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1948/11/28 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第11号
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1948/11/28 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第11号

#1
第003回国会 労働委員会 第11号
昭和二十三年十一月二十八日(日曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 綱島 正興君
   理事 尾崎 末吉君 理事 山花 秀雄君
   理事 中原 健次君
      東  舜英君    倉石 忠雄君
      大石 武一君    三浦寅之助君
      松木  宏君    久保田鶴松君
      辻井民之助君    安平 鹿一君
      山本 幸一君    高橋 長治君
      中垣 國男君    木下  榮君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        労働政務次官  鈴木 正文君
        労働事務官   賀來才二郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 濱口金一郎君
十一月二十八日
 委員亘四郎君辞任につき、その補欠として松木
 弘君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第一三号)
#2
○綱島委員長 前会に引続いて会議を開きます。
 公共企業体労働関係法案を議題といたします。本日は逐條審議に入るつもりでありますが、その前に御質問がありましたら、願います。
#3
○倉石委員 政府委員にお尋ねしたいのでありますが、本法案の第四條の但書の「管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者」となつておりますけれども、この範囲に対する構想を承りたいと思います。
#4
○賀來政府委員 お答えいたします。具体的にどの範囲というところまではまだ確定をいたしておりませんが、われわれの考え方といたしましては、やはり課長級以上というものが管理、監督の任にある者、機密の事務を取扱う者につきましては人事、経理、企業運営に伴いまする機密の事務を取扱う者といたしまして、総裁その他の秘書のごとき者もこれに含まれることになるであろう。ただ問題は國鉄におきましては、駅長、区長を入れるかどうかという問題があるわけであります。駅長の立場は「監督の地位にある者」という範疇には入るわけでありますけれども、現在の國鉄の組合においては、駅長、区長は組合員になつておりまして、管理、監督の任にある者という立場をとつていないのであります。と申しますのは、現行の労働組合法におきましては、單に使用者の利益を代表する者ということになつておりました関係もあります。それから國鉄の労働組合におきましても、かつてはこの駅長、区長を組合員でない、すなわち使用者の利益を代表する者に入れておりました。またある時期におきましては、すなわち現在はこれを組合員の方に入れております。ところで全國全部そういうことになつておるかと申しますと、さようでもないので、駅長で入つていないのもあるという状態になつておるのであります。かような状態でありまして、これは相当労資の双方の爭点になるのでありまして、現在は労働協約によつてその範囲をきめておる状態であります。それではいろいろ問題も起しますので、この法律におきましては、具体的範囲を、たとえば現在労働協約でやりますような範囲を、明確に、具体的に政令によつて例示して行こう。かような考え方を持つております。但しこれは一方的にやる意図はないのでありまして。現在の慣行を尊重し、なお組合の意向を十分聽取し、尊重しながら、政令をきめて行きたい。かように考えております。
#5
○綱島委員長 これから逐條審議に入りたいと思います。第一章、総則、第一條。これについて何か御質疑等があつたら伺いたいと思いますが、いかがでありますか。――御質疑がなければ第二條に移りたいと思いますが、第二條はいかがでありますか。これも大分議論がありましたが……。
#6
○尾崎(末)委員 総論で大分議論があつたから、はつきりしておりますね。
#7
○綱島委員長 それじや第三條。これは印刷刷りが改訂になつておりますから、そのおつもりで……。御質問ありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○綱島委員長 それでは第四條。倉石さんありませんか。
#9
○倉石委員 ただいまの政府委員の御説明で第四條については了承いたしました。
#10
○綱島委員長 そのほかにはございませんか。――しからば第五條。
#11
○倉石委員 第五條には「公共企業体は、組合員であること、又は組合のために活動したことをもつて、」云々と書いてありますけれども、「この組合のために活動したことをもつて、」だけではきわめて漠然としておりまして、今日行われております非常に險惡な労働紛爭議をかもした組合の行為、あるいはまたきわめて非合法的であると見られるような行為も、やはりこういう漠然と組合のために活動したということによつて、非合法性を阻却されておるという事実がしばしば見受けられるのでありまして、この組合のために活動したというのは、ちようど労働組合法の一條二項がきわめて漠然としておつて、困るのと同じようなものでありますから、何とかこれを、正当なる行為をしたというふうに制限を加える必要があると思いますが、政府の御見解を承りたいと思います。
#12
○賀來政府委員 從來の労働組合法には、やはりこういう意味のことが書かれておりまして、その結果は今日までの運営の実績から見ますると、御質問の点はごもつともなわけであります。われわれがここに予期いたしておりまする「組合のために活動したこと」と申しますのは、組合の結成、加入もしくは組合の運営等のためになした活動という意味でありますが、これはその活動が無制限かつ無條件に保護されるものではなくして、やはり組合法の第一條第一項ないし第十一條等にうたつてありますごとく、社会通念上、正当な範囲を逸脱しないものであるということは、当然條理上要請されると思うのであります。ただこの正当なる範囲というものは、相当権利義務に関係いたす問題でもありますので、われわれはこの正当なる範囲というものは、結局裁判所によりまして決定せられることを予期いたしておるのであります。現在労働組合法におきまする、この正当なる範囲というものの最高裁判所におきまする決定は、まだないのであります。一審、二審におきましては、その判例があるようでありますが、まだ最高裁判所の決定には至つておりません。これは山口縣小野田炭鉱の事件が、目下最高裁判所にかかつておりますので、近くこれが決定せられるだろうと思つております。それによりまして、正当なる範囲というものが決定せられることを予期いたしておるのであります。
#13
○倉石委員 ただいまの政府委員の御説明で、大体はわかるのでありますけれども、今日までの労働紛爭議の経過を見ますと、この組合活動のためということを理由に、しばしばいろいろなことが行われることは、当局もよく御承知なはずであろうと思うのでありまして、ただいま例にお引きになつたような事柄も、一つの参考にはなりますけれども、どうもこの点は、私どもはやはり明確にしておかれる方がいいんじやないかと思うのであります。重ねてひとつ、これを直す御意思はないかどうかということを、お尋ねいたしたいと思います。
#14
○綱島委員長 ちよつと速記をやめて……。
    〔速記中止〕
#15
○綱島委員長 それでは速記を初めてください。
 引続いて質問を継続いたします。今までの経過を御報告しますが、実は逐條審議をやろうということゐ、一條から四條まで、大体一條、二條、三條はほとんど質疑がなくて、四條、五條の御質疑をやつておつたところです。そこらまで、どうぞ別な方もひとつまとめて御質疑を願います。
#16
○中原委員 第二條についてちよつと御質問いたします。第二條の2で、期間を三十日から二箇月に御訂正になつておられます。その理由をひとつ御説明願います。
#17
○賀來政府委員 これは当初なるべく多数の人を組合員に入れようというので、三十日という期間で一應やつたのであります。ところが御承知のように、労働基準法におきましても、こういう臨時の職員は二箇月ということになつておるのであります。それから承りますと、國鉄の共済組合、あるいは專賣局の共済組合の関係も二箇月ということになつておるそうでありまして、これらとの関連性からいいますと、処置が非常にしにくいので、二箇月という基準をとつたようなわけであります。
#18
○中原委員 この法律が、しばしば労働組合運動の正常な発展を阻害するというような、いわば基本的な考え方の上に立つて編成されたものであるかのごとき印象を、多分に與えておりまする場合でありまして、この三十日を六十日、二箇月に引延ばしたということが、他のいろんな実情から考慮してかえられたという意味は、ひとまずわかるといたしまして、ただ遺憾ながら、この法律に一貫するものが、なるべく組織される労働者の範囲を縮小して行くというような傾きになつておることであります。そこで私どもは、労働組合運動を正常に成長させるということを、ほんとうに当局が心から願つておるものと考えがたい節が、しばしば見受けられるわけなのでありますが、ここで三十日が二箇月になつたということは、理由はいろいろつくことでありましようが、この三十日間の開きというものは、結果としては非常に大きな打撃を與えることになるわけであります。そこでこの法律案が、他の法律とまつたく違つた別個の性格をもつて出発しておるということが前提になつておる限りおいては、わざわざ一應きめられた三十日を六十日に引延ばすという必要はなかつたのではないか。つまりこの法律が一つの別個な性格の上に組み立てられたものであるということの特異性が、けだしこの面においても出てよかつたのではないかと私は考えるのであります。この点については見解がまつたく違うわけでありまして、しばしば政府の御意見などに、この法律の特異性が主張されておるわけであります。しかるにそういつた都合の惡い面においては、一般の法律の慣習を取上げて行くというようなことになつて参りますれば、この法律案に対するわれわれの審議の態度も、政府の常に強調されるそういつた特異性というものを主眼にする根拠がおのずからなくなつて來る。こう思うわけであります。こういう点について三十日はあくまで二箇月に改正されたままの、変更されたままの立場を固執するお考えであるのかどうか。場合によれば、これは三十日であつてもかまわないというような御見解があるものか。そういう点について伺いたいと思います。
#19
○鈴木(正)政府委員 第一審に、正常な組合が極力質、量ともに発達してもらうということに、労働問題解決の根本の考え方を置くということは、しばしば大臣から各種の質問にあたりまして、繰返してお答えした通りでありまして、私どももちろんそういう氣持でおりますので、ただいまの中原さんの、できるだけ組合に入る範囲を狹めようというような意図は、全然終始持つておらないということを、ぜひ御了解願いたいと思います。
 それから三十日を二箇月にしたというさしあたつての理由は、ただいま局長から御説明申し上げた通りであります。そのほかなお三十日が二箇月に当初の案よりかわつて來たということにつきましては、そこにいろいろの関係もあつたということを御了承願いたいと思います。それからこの際事情が許すならば、二箇月をもう一度最初の原案の一箇月に直したらどうかという御質問に対しましては、政府の方といたしましては、ぜひそういう事情を御了解願いまして、原案の方を御承認願いたいと考えております。
#20
○中原委員 次は第四條であります。これも先日來一般的な御質問の場合に触れた点でありますが、その場合まだ十分の討議をいたしておらなかつたので、その点を少し補足する意味において御質問申し上げてみたいと思います。ここにいわゆるオープン・シヨツプの採用が出て参つておるわけでありますが、職員が労働組合に加入し、もしくは加入しないことができるという、この加入しないということをわざわざここに規定したことによつて、どういう結果が起るかということについての、いろいろな実情に対する御考慮も必ずあつたことと思います。当局として加入しないこともできるということを規定したことによつて、どのようなことで相発生するかということを、御想像になられたことがあるか。この点ひとつ承りたい。
#21
○賀來政府委員 この点は労働省の当局としましても、先日來の御質問なり、御意見なりにもありました通りに、現在の労働組合法の行き方及び現在までの日本の労働組合がずつてやつて参りました状況等は一應考えまして、結局このこと自体が組合運動をかえつて弱めるような結果になりはしないかということについては、十分檢討をいたしたつもりであります。この加入しないことができるという理論的な問題につきましては、御了承願つたと思うのでありますが、具体的な問題としまして考えました場合、現在の國鉄労働組合が非常に健全に歩いておる。專賣局の組合にいたしましても、非常に健全に歩いておる。從つてこの結果組合の脱退者が多数出ることはない。かような見通しを持つておるのであります。
#22
○中原委員 鉄道並びに專賣局関係の労働組合の健全なる歩み方については、局長が今御説明になられた通りでありまして、おそらく日本の労働組合運動の中で、これらの労働者の組合はど、いうところのない完全な、そして健全な成長を遂げつつある組合はないのでありまして、こういういわば模範的な労働者を対象として考えられたこの法律案が、わざわざ加入しないことができるという文字を挿入したということは、考えようではそういう労働組合なるがゆえに、またある意味では、その労働組合はやりようによれば、いわゆる政府の取扱い方いかんによれば、非常に弱体なものにせしめることができる。こういうねらいもまたないとは言いがたいのであります。ことにわれわれが労働組合をつくるということは、これは原則なのであつて、労働者は組合に加入すべきものということが、まず基本的に承認されなければならぬのであります。そうであれば、労働者の加入せないことも、またよいという考え方を助長するような文字が、條文の中に明記されて來るということになりますと、組合に加入するということの意義を弱めに、しかもこれから以後の各條項に現われて参ります、組合員であろうと、組合員でなかろうと、自分の意思を反映する手続は法律的に処理されて來る。そうであれば、組合に加入しなくても、また利益を守られて行くのであるというような関係になつて來るわけであります。そうすると、わざわざ組合をつくつて組合費を納めて、めんどうな手続や、あるいは組合のためにいろいろな時間をさかなければならぬというようなことも必要ではない。いわば組合のない状態においても、なおかつ團体交渉をすることができるという態勢がこの中に留障されているわけであります。そうなつて参りますと、極端なことを言えば一人も組合に入らないという事態が生じないと断言することはできない。そうするとやはりこの法律案は、組合結成への必須的なそういう諸事情を、抹殺して行くというような結果になるのではないか、こういう点については、やはりわが日本の労働組合運動が、戰後急激に成長したとはいえども、いまだなお完全に組織づけられているわけではない。いわば廣い意味において、一千万の労働者の中のようやく六百五、六十万を組織づけているのにすぎない。まだ残りの未組織の労働者の数が相当大きなものであるということに思いをいたすならば、この場合こういう文字をもつて、労働組合の組織を阻害して行く結果になるということは、これは否定しがたいところであると私どもは考えておるのであります。こういう点についていろいろな角度から大臣も説明されておつたようであります。特に個人の自由を尊重するというような意味において、このこともまたよしという御議論もあつたようでありますが、眞実に自由というものを追求して参りますと、自由ということはただ氣ままにということとは違うと思います。やはり一定の規律が必要であり、一定の責任が必要なのであります。そうであれば、労働階級にとつて、労働階級自身が経済的に社会的に守られて参りますためには、労働階級の力を一つの集團に結集して行くということが、必須の要件になつて來る。そういう必須の要件になつて來るということが妥当であるならば、もはや労働者としての一つのこれは義務的な―労働階級に対する全体の責任でもあり、また同時に義務でもあると私どもは考えるのであります。つまり労働階級自身をほんとうに守る方法としては、これ以外にない。労働者が個々ばらばらに、個人個人が思い思いに動くという形をとつて参りますれば、やがて労働階級が元の無力な労働者に轉落して行くということは、必至の方向であると思うのであります。從つて自由という言葉によつて、この條文を、加入しないことができるというように説明づけられることは、はなはだ許しがたい労働階級に対する権益の蹂躙であり、無視であると私は思うのであります。こういう点について、ちよつと事務当局の方ではごむりかと思いますので、政務次官の方からお答え願いたいと思います。
#23
○鈴木(正)政府委員 大体中原さんの御質問のうちの、自由という観点から云々という御質問に対しましては、昨日大臣からしばしば繰返して申し上げた通りでございまして、中原さんあるいは大臣、私たちの間の考えの角度が多少かわつているかもしれませんが、しかしあくまでも労働者の地位の向上、それは組合の質、量ともに拡大強化に向つて行くべきだという観点に至りましては、大臣はもちろんでありましようが、私どもも中原さんとも頭かわつておらないつもりであります。ただここにユニオン・シヨツプに類する規定が出て來たということは、現在のこの法文をつくるに至つた基本的な内外の情勢、関係という二点から、この形のものを出して行くのが適当であるという考えのもとに出したのでありまして、その結果、中原さんの一番具体的な御質問の中心をなしておりましたところの、結果において労働組合というものに入る人たちの範囲を狭めて、極端な場合には労働組合に入る人は一人もないという場合が生ずるばかりではなく、そういうひどい場合にならなくても、傾向として、そういう傾向に持つて行くものをここに挿入するのはどうかという御質問でありましたけれども、現状に照しまして、現在の國鉄とか、專賣局関係のあの組合の現在通りつつあるあの民主的のコースをたどつて行かれるならば、傘下の組合員からの信頼、私ども政府側というか、國民一般の側から見ての信頼というような角度から見ましても、あの組合が労働者階級のために絶対に必要なものであり、しかもきわめて積極的に貢献しつつあるものである、將來もそうであろうという信頼感が崩れるはずはないと思うのでありまして、幸いにして皆樣の賢明な御指導によりまして、その線がますます強化せられるならば、組合に入らないというような形が続々出て來るという結果は、おそらく現実問題として招來されないと私たちは見通しておるわけであります。政府といたしましても、もちろん組合の活動範囲、加入範囲を狭めようという意思は毛頭あるはずはないのでありまして、その線に沿つて強力に善処するつもりでありますが、何と申しましても組合自体の問題は、皆樣に申し上げるのは釈迦に説法かもしれませんが、組合自体の力によつて成長さして行くほかないのでありまして、繰返して申しますが、あの系統の組合の現在の力、その動向というものを考えましても、皆樣が適当にこれに協力指導していただきますならば、中原さんのおつしやるような現象が起きて來るということはむろん避け得られると思いますし、それどころでなく、もつと積極的に健全に拡大強化されたものの実現発達をも、期待し得ると私たちは思つておるのであります。意見の相違は多少あるかもしれませんけれども、法案全体に盛り込まれた精神も、やはりそういう民主的の健全な組合が質、量ともに拡大強化していただきたいというのが全体を貫く骨子なのでありまして、その骨子はこの第四條の御指摘の点についてもやはり通し得るものだ、そういうふうに存じております。
#24
○中原委員 おそらく労働組合に対する見解としての御意見はそうあるべきだと思います。おそらく労働組合の健全な発達をこいねがわないという立場からの説明というものは、あろうとは思いませんが、この條文の規定する限りにおいて、そういう結果が考えられる、これは一つの純粹な理論的の立場に立つて一應この條文を見なければならぬと思います。ことに大臣はしばしば純粹というようなことをよく口になさるのであります。そういうことをほんというに心から思つておるとすれば、この條文はどうしても不純に考えられる。しかも加入しない者が、しないということのできる権利をここで確認して行く、何というか、加入しなくても同じように保護するぞ、こういうことは、何としても組合をつくることの煩瑣を避けしめることになるのではないか、こういう考え方を私は理論づけるものではないかと思うのでありまして、この点は、見解の相違どころではなく、本質的に違うということを申し上げられると思うのであります。だからこの條項はやはり、職員は労働組合を職員の自主的な立場において結成すべきものである、こういうことに修正さるべき筋のものであると思うのであります。いわゆる労働者の自主性を尊重するということを労働者が自主的につくつて行く。だから労働者自身がみずから欲せずして、何としても入らない者があるかもしれないが、それはいずれにしても、労働者の自主にまかして行くという態度の方が、法律として正しいのではないか。ことに組合に入る者と入らぬ者とがありますと、いろんな労働問題を取扱いまする面において、入つた者と入らぬ者と、組合員と非組合員との間において、必要以上の粉爭が起つて來る。人間の心理は妙なものでありまして、組合側がこう言うのならば、非組合側はこうだということも起らないとは保証しがたいのであります。從つてここに別個の粉爭を予想せしめることも、また考えられる。この別個の、必要以上の粉爭を予想せしめることが考えられるような事情を、まずこの中に規定づけて行くことは賢明ではないと思うのでありますが、無用な粉爭を起すおそれなしという御確信がありますか。
#25
○鈴木(正)政府委員 根本論の方は先ほども申しましたように、大臣が昨日來御説明申し上げましたあの考え方に私どもも同どである、これは御了解願いたいと思います。なおその根本の事態について御質疑なりありましたならば、大臣が間もなく出て來ると思いますから、この点については大臣に御質問していただきたいと思います。それから見通し云々という問題は、現在の國鉄、それから專賣関係の組合が正常に今申したような線で行く限り、二つにわかれてしまつて、入らない部分がきわめて多数で、組合の力が弱化されるようなことはないという見通しを私たちはもちろん持つて終始しているのであります。なお多少のそういつた紛爭関係の起きたような場合には、それを処理すべき規定はあとの方にもあるのでありまして、逐條が進んで來たならば、さらに前にもどつてもよろしゆうございますから、これらの場合、中原さんが今指摘されたような点は、そこにあげられている手続によつて処理し得るものかどうかという問題を、御檢討願いたいと思います。根本的の見通しといたしましては、繰返して同じことを申すようでありますが、この規定によつて中原さんのおつしやるような現象は起きて來ない。少くともあの線に沿つて健全な組合運動が続けられて行く限り、起きて來ないばかりでなく、質、量ともに拡大強化されるだろうという見通しを、私は持つておりますということを申し上げます。
#26
○中原委員 非常に御達観でありまして、そのような憂いがないのだそうでございますが、はなはだ申し過ぎかもしれませんが、少々労働組合運動に対する御認識にむりがあると思います。ことに多数の労働者が集團して生活いたしておるのでありまして、その労働者を一つの正しい軌道に乘つけて行くことこそ正しいのであるが、わざわざそれから離脱して、なおかつさしつかえないという状態を與えて参りますと、そこにいわば、ものの考え方が二本になつて参るわけで、二本になつて來るものの考え方を、適切に統一して行くということは、一層これはむずかしくなつて來る。ことにそのことのために紛爭をもし起すならば、紛爭を処理するようなまた規定が設けられておるのであるから、その点で救つて行こう。こういう御見解のようでありますが、わざわざ紛爭をかもすような條件をつくつておいて、それを救いあげて行く別のものをつくるということは、なおさら法の不賢明さを暴露するものではないかと私は思うのであります。まずこの点ならば完璧であるという態勢がとられて、その完璧にもかかわらず、なおかつ問題の起る場合に、かくするというのであれば、ともかくといたしまして、それだけのすきのあることを意識しながら、しかもそれをそのまま放置して行くという行き方は、はなはだ立法者の不賢明を立証し、みじめさを暴露するわけでありまして、われわれとしては、この点はどうしても了解ができない。ここで私は労働組合の問題をしきりに申しましたが、この法案が通過いたしましたら、ほんとうは労働組合は成立たぬのであります。労働組合としての條件を具有した労働組合は、もうこの瞬間に喪失するわけであります。從つて國有鉄道並びに專売公社関係の労働者は、実質的には労働組合を持つことを許されないということにほんとうはなる。ただ名義上の労働組合が残るにすぎない。從つてこの法律案を、このまま通すというようなことが、もしあるならば、ただいま申しておるような議論は実は必要でない、このようなことを議論することそのことが、すでに愚の骨頂でありまして、労働組合というものの、本質的なあり方を確保するための法律案でない。これは労働組合の本質的なあり方を否定するための労働関係法案である。そういうふうに考えますならば、今シヨツプ問題がどうだ、こうだというふうなことを論議する必要はないのでありますが、しかしわれわれとしては、與えられたこの法案に対して一應の審議を必要とするがゆえに、議論しておるのでありまして、この点は私は、前提としてはつきりと申し上げておきたいと思うのであります。
 さらに2の「前項但書の範囲は、関係省の勧告に基き政令で定める。」これは誤植はありませんか。
#27
○賀來政府委員 訂正になつております。「前項但書の範囲は、政令で定める。」と間がとつてあります。
#28
○中原委員 そうなると、われわれとしては一層問題になるのでありますが、但書の範囲を政令で定めるということになりますと、これは政府の一方的な考え方でこれをきめるということになる。これもさつきから申しますように、本法律案の性格がそうであるから、一貫したものであることに間違いない。いわゆる労働階級の意思を尊重しない、労働者の容喙を許さないということが、この法律案に一貫する一つの精神であるから、ここにもこういうふうになつて來ることは、当然かもしれない。だから、この法律案そのものが肯定されれば、もちろんこれで異議はないでありましよう。しかしそれであるだけに、われわれから言うと、はなはだけしからぬと思う。労働者はこのような但書の範囲の決定についても、相当意見を持つておるわけでありまして、その労働者の意見を顧慮するということが、なぜこの場合考えられなかつたか、このことについて一應承つておきます。
#29
○賀來政府委員 ごもつともな御質疑でありますが、この政令で定めるといたしました趣旨は、この公共企業体の労働組合の運営がスムースに参りまして、從つて公共企業体の経営自体が非常にスムースに行くということを予定したしておる関係上、從來この具体的な範囲の決定について、これがいろいろ問題になりましたので、なるべくこの運営が問題にならないようにいたしたいために、政令で定めるという趣旨で書いてあるのであります。しかしながらこの範囲については、從來の慣例を尊重する。御承知のように從來はこの点は労働協約で行つておつたわけであります。慣例を尊重すると申しますことは、労働組合の意向を尊重いたしまして、政府が一方的に政令で定めるという意味を持つておるのではないということでありまして、取扱い方としては、現在労働協約にありますものを尊重して行かなければならぬ、かように考えておる次第であります。
#30
○中原委員 慣例を尊重するという今お言葉でありまして、そうしてまた前提としては、そのようなことについて紛爭をかもすおそれはないといす見通しのもとに、つまりこの法律案によつて労働組合はスムースに成長して行くものだという観点から、このようにきめたのであるという御意見のようでありましたが、善意に言えば、そこにすでに一つの錯覚があるということが言えると私は思うのであります。労働者の意見、労働者に直接利害関係のある問題について尊重するための手続は、やはりこの場合ここに明記されるべきものであつて、慣例というような漠然とした言葉でこれを説明づけて、この場を糊塗するということは、はなはだ遺憾千万であると申すのほかはないのであります。これは意見になりますけれども、やはりこういう点は、労資両者間の決議によつてきめるということを明記すべきである。あるいはそうでないならば、まつたく入れない。そうして説明としてそこに加えて行くということであれば、必ずしもあえてこだわるほどのこともないと思いますが、一應こういう文字が明記されるということになれば、それはかえつて労資の協議によつてきめるという文字にかえられるべきであると考えますけれども、この点についての御意見を承りたい。
#31
○賀來政府委員 ごもつともな御意見でございまするが、われわれの方の考え方としては、公共企業体のこの関係法ができましたのは、やはり準公務員の扱いという関係もありまして、公務員法との関連を考えておつたのでありまするし、先ほど申しましたように、また御意見もありましたように、この点は從來の経驗から言いますと、非常に問題になる点であります。現在の労働組合では、單に使用者の利益を代表するという規定で参つておる関係からいたしまして、この点がいろいろ問題になる。これが問題になるようなことがありますと、どうしても企業体の運営自体にも影響いたしますので、企業体運営の正常化をはかりますために、労働者の意見はもちろん尊重するし、現在の慣行も尊重して、問題が起らないようにするが、やはり政令ではつきり定めるという方が適当であろう、かように考えておる次第であります。
#32
○中原委員 その御説明によると、やはり尊重はするが、條文の上ではもうはつきりと政令できめる。そうなりますと、尊重しなくても実はさしつかえないことになつて來るわけです。これは極端な言い方になるようでありますけれども、この條文の限りにおいては、別に意見は出さなくても、あえて労働者の容啄を許さないということも、また可能であるわけであります。そこに問題があると思う。これは意見を申し上げたのでありますから、別に御返答を承ろうとは思いません。
 それから第3の公共企業体の職員でなければ、組合員または役員となることはできない。なるほどこれは一應もつともな一項であると私は思うのであります。ところが一つここに問題なのは、労働者はいろいろな意味で將來その職を奪われるという整理の過程が予想されるのであります。そういう場合に、ことに私どもの氣づかうのは、このような法律案を出さなければならぬという考え方をもつて取扱つて参ります場合に、しばしばその犠牲になる者は、ほんとうは労働組合の運営に最も練達の士である造合が多いのではないか、つまり労働組合の自主性を生かして行くために、ほんとうに有能な力を持つた者が、かえつて整理対象になる、こういう場合が予想されないではないのでありまして、いわば労働組合の自主的な行動能力、あるいは自主的な経営能力をまつたく喪失せしめるような結果になろうとする法律案なら、從つてまたそういう法律案を出す性格の政府なり、從つてその政府の関係する公廳、あるいは國有鉄道等においては、眞に労務者の立場から申しますと、なくてはならぬ有能な人材が、どんどん整理されて、街頭へほうり出されて、失業させられて行くというような場合のあることが予想されるのであります。そうなりますと、労働組合の運営上、この人はどうしても組合の運営に当つてもらわなくとはならぬというような場合に、その有能の士が、みすみす組合から離別して行かなければならぬというような結果に陷つて参るのであります。從つてそういうことが一つの考慮の内容として、この三項ができて來たのではないかというふうに私どもは思うのであります。このことを思いますると、今まだ成長の過程にある日本の労働組合運動に対する態度としては、必ずしもこれは策の得たものではない。なるほど労働組合を取締り対象として考える政府の立場から言えば、そういうことを必要であるかもしれぬ。しかしながら、おそらく今日の日本の政府が、それはどこのどの政党が首班を占めた場合といたしましても、労働組合を取締り対象などと考えるようなことは、それは表面そういう説明はなさらぬと思います。しかしながら実際は取締的立場をもつて労働組合をながめて、そういう施策を行おうとしておることが、もうはつきりとうかがいとれるわけであります。そういう場合ならば、われわれとしてはなおさらこの問題が了承できない。あくまでこの3項のごときは、われわれが労働階級のために、いわゆる固守しなければならぬ一点と考えるのであります。この点について次官の御見解を承りたいと思います。
#33
○鈴木(正)政府委員 労働組合を取締り対象として考えるという点につきましては、これはそうは言つても、実際にはそうに違いないのだと、中原さんはおつしやるかもしれませんけれども、さような角度だけでながめて行くということは、今日の労働行政において、かりにどの政党が労働行政の部門を預かつても、そういう心構えの労働行政というものは成立ち得るはずがないのでありまして、そのように考えておるというふうなことは、大臣も私どもも絶対にあるはずはない。そうは言つても、形の上でもつて、また事実上そうに違いないというふうになりますると、見解の相違ということになつてしまいますけれども、私たちは、そういうような氣持で労働行政に臨んでおらない、組合というものに対しておらないということだけは、衷心を傾けて認めていただきたいということを、お答えするよりしかたがないと思います。
 それからこの第三項の條文は、ただいまも中原さんのおつしやつた通りなのでありまして、何らそれ以上他意のある形でもつてこの條項に臨んでおるのではないのでありまして、中原さんのおつしやいましたように、こういうことを挿入しておくことによつて、何らか労働組合の発展を阻止するといいまするか、積極的に言うと、弱化するというような方面に、これを取締りの一つの方式として使おうというようなことを考えておるはずはないのであります。現実の問題は、事実をもつて処理して行くよりほかしかたがないのでありまして、私たちは中原さんから、最初に一應私どもにかわつて解釈していただいた、あの率直、平面的な解釈でもつて、忠実にその解釈の線を守つて行くという氣持をもちろん持つておりまするし、それによつてこれに関する問題は処理して行けると同時に、最初から私どもも、また中原さんも、この点はお互いに確認し合つておるのでありますけれども、労働組合の質、量ともに健全な発達という中から、日本の労働運動の解決の根本的のかぎを見出して行くというこの方式も、こわされずに遂行して行けるものだという考えのもとに立つておりますということを申し上げます。
#34
○中原委員 一應御意見はよくわかりました。ここでもう一つの御認識をいただきたいのですが、今の段階における日本の労働組合というものが、いまだなお未成熟な過程をたどつておるということについては、どのようにお考えになりますか。もはや押してもついても動かない、成熟した、いわば完全という言葉が適当でないならば、相当育成されたものであるというふうにお考えになられまするか、今いろいろな過程において、その成熟への道をたどりつつあるというふうにお考えになられますか、その点について承りたいと思います。
#35
○鈴木(正)政府委員 先ほどから中原さんもしばしば繰返して申されましたように、目下まだ幾多の弱点も包藏し、そうして全般的には成長過程にある。それから御質問にはありませんでしたけれども、これはよけいなことにわたるかもしれませんが、成長過程の労働組合を指導される政府、一般國民ともに、これを助長発達さして行くということが、ほんとうだというように考えることにおいては、これは間違いありません。
#36
○中原委員 昭和二十年の後半というよりは、むしろ終りころから、ようやく組合運動がぽつぽつ動きかけて今日に至りました。從いまして、まつたく廃墟の中からはい出た形において、労働組合運動が立ち上りつつ今日に至りました。從いまして、いまだなお未成熟部分の大量に内藏されておる労働組合であるならば、その労働組合運動を労働者の正しきあり方において発展さして行くということのためには、ただいま私が氣づかつて申しましたように、有能な労働組合の運営の練達者というものが、あくまで重要視される必要があると思うのです。その労働組合の運営の能力のすぐれた人が、特に重要な段階であるということは、これは否定できない。そうなりますると、ただいま申しました、この三項にきめられました企業体の職員でなければという問題の中に、その職員でない立場に追い込まれておる人たちの中に、そういつた有能な者がしばしば出て参るのではないかという氣づかいは、どうしても拂拭し去ることができない。ここが非常に大切な点でありまして、そういう氣づかいがある場合なら、從つてこういう暫定的な規定が適当でないということになつて來るわけです。この点を私は繰返して特に強調して、当局の一層の御認識を深めていただきたいということを希望するものでありますが、同時にそれについての御見解をもう一度承つておきたいと思います。
#37
○鈴木(正)政府委員 先ほどからの御質問の趣旨が、ただいまのところに焦点があつたということもよくわかりましたし、それから有能な、組合のためになるところの闘士と言いますと語弊があるかもしれませんが、指導者というものが、組合のためにも、國家のためにも、経営者のためにも、最も必要な人たちであるという程度の認識は、私どもも十分持つているつもりであります。そういつた人たちが、中原さんのおつしやいますようなこの條項の中の職員としての、まず資格を失うというような立場に追い込まれて行くことは、單に組合だけではなくして、日本の経済再建のためにも、少くともそれが先ほどから繰返しますような正常な、正しい組合の、その組合運動の中心になるべき人たち、指導者たちであるという限り、これは絶対にさようなことが行われてよいはずのものではないのでありまして、私どももその点においては、中原さんとまつたく見解を同じくしております。誠意を傾けてそういつた点に対しましては、善処して参りたいと思つております。なおこれはあとの方で、五條、六條、逐條に從つて出て來るでありましようが、万一そういつた悲しむべき人がこれは予定しているわけではありませんが、かりに万一あつた場合には、第五條から引続いてそれを妥当な線において救出するという方法も残されておりますし、ただ残されているだけでなくして、運営に当つて極力誤ちがないように、もつと端的に言えば、正しい労働組合の発達のために、そういつた人たちを擁護して行く、育成して行くという態度は当然とるべきものと思つております。
#38
○山花委員 大体四條までの逐條審議が先ほどからなされておりましたので、四條までを一括して審議して行きたいと思いますが、この公共企業体労働関係法案は、私どもの解釈からいたしますと、公共企業に從事する労働者のための労働組合、こういうふうに解釈しているのでありますが、この第一章の目的及び関係者の義務という項目を見ますと、労働組合というにおいより、むしろ公共事業に関する服務規定というようなにおいがするのであります。從つて労働組合の根本精神から見れば逸脱している、労働組合ではない、こういうふうに私は感ずるのであります。公共関係で特に一般労働組合法から切り離してはおりますが、基本的に貫く趣旨は、やはり労働組合法の精神にのつとらなくてはならないと存じておるものであります。労働組合法の第一條、第二條の目的の項目において、労働者の賃金、もしくは労働條件、あるいは経済的地位の向上、これを労働組合としては基本的な目的としておるのであります。この第一條によりますと、そういう労働組合の基本的な目的である、労働者の日常経済利害を守るという項目がないのであります。ただ公共的な事業であるから、公共福祉のためにというように、一方的に公共という美名に隱れて、労働者の基本的権利であるところの経済擁護の項目を抜いておる。從つて法の第一條の目的及び関係者の義務というものは、いわゆる公共事業、その事業主の目的のみを大きく出して、労働組合法の眞の精神である労働者の経済的地位の向上という目的が、全然うたわれていない。從つてこの條文は労働組合という観点から見れば、ゼロに近い條文であるというように私どもは考えておりますが、この法案を提案された政府当局では、この問題をどうお考えになるか。ひとつ所信を承りたいと思うのであります。
#39
○鈴木(正)政府委員 御了解を願いたいのでありますが、この法案も、國家公務員法案の方も、ひとしくマ元帥の書簡に基いて出たものではありますけれども、組立て方が根本的に違つておる点があるのでありまして、ただいま山花さんから御指摘のような点、これは國家公務員法の方は、御承知のように労働三法を適用しないということになつておりますから、それ自体の中に今申しましたような関係を盛り込む必要があり、それが労働者のためにならないという幾多の議論も出て來ると思いますけれども、こちらの法案におきましては、そういつた労働者の基本的な問題は、全部現在の労働組合法が適用されることになつておるのでありまして、この法案に盛られました部分は、いわば実質的には、そういつた基礎の上に立つて労資の関係を調整するところの一つの手続というものが主になつて、その部分がこの法案に盛られておる。そうしてその目的は、ここにありますように、最後にはいろいろな手続、方式を決定して、その決定して行く目的は、究極においては、鉄道、現在の專賣というようなものの公益性その他の性質から考えて、公共の福祉を維持し、擁護し、推進する。これが目的である。こういう建前のもとになつておるのでありまして、基本的の問題は、この法案の中には立法の表現技術としても盛られておらないのでありまして、その方は労働組合法によつてやつて行く。こういうことになつておりますので、現在の労働組合法自体が、眞に労働者の利益を推進し得るものかどうかという、より一層根本的な議論になれば別でありますけれども、少くともこの法案に関する限りは、そういう関係になつておるということを御了解願いたいと思います。
#40
○山花委員 ただいまの御説明によりますと、公共福祉ということを眼目にして大体この法案が表現されている。そういうふうになると、私はもつと露骨に、公共企業体の労働者の服務規定というような表現で現わした方がいいのではないかと思うのであります。少くともこれは公共企業体の労働関係法案となつておりますから、常識的には、公共企業に從事する労働者の労働組合法というように私どもは解釈しておるのでありますが、この條文に盛られないところは労働三立法をもつて律する。これは私は政府当局の逃道というふうに考えております。少くともこの総則においては公共企業体の労働者の服務規定的な、そして公共企業体という重要なる職責を果すための義務を十分に盛られておる限り、やはり労働者の福祉、経済、利害の擁護というようなものをも対蹠的に盛るべきではなかろうか。單にそういう方面は労働三立法を適用するのだ。そういうまわりくどい、納得しにくいようなことを言うよりも、むしろこの公共企業体労働関係法案で、そういうような点もはつきり明示した方がいいのではないか。先ほど政府当局の御説明にもありましたように、國家公務員法とは違う。これは別の意味の法案だ。こういうふうに御説明のある限り、私は國家公務員法にならう必要はないと思うのであります。公共企業は一般の企業よりも非常に重要性があり、それがただちに國民の福祉に影響するという点は、もちろん私どもも十分了承しておるのでありますが、それだけをもつて労働階級の基本的は権利である生活防衞、経済的地位の向上という項目をぼかすというのは――法の立法精神、特に労働者を保護するのが労働組合法というように考えて参りますならば、そういう点をぼかす必要はない。この総則の條文に、労働組合の基本目的をはつきり明示した方がかえつていいのではないか。その方が労働階級も安心して、産業の再建、あるいは公共の福祉の関連性のある公共企業の性質を十分わきまえて、職務に勉励するのではなかろうかというふうに感じておるのでありますが、そういう労働組合の基本的な目的、要項をこの総則に入れる意思があるのかどうか。それとも、あくまでそれは労働三立法で律するのだという建前で、政府の方は臨まれるのかどうか。その点をひとつはつきりしていただきたいと思います。
#41
○賀來政府委員 御意見に関連いたしまして、立法技術的な面も出て参りますので、私からその点沿革的に御説明申し上げたいと思います。御意見のように、一番初めの案には、総則の第一條にさような意味の言葉を書いてみたのであります。ところがさようなことをいたしますと、あらゆる面を書いて行きませんと、言いかえますならば、組合法を全部こつちに移したような書き方をいたしませんと、かえつて保護の面が脱落いたしましたり、目的がはつきりしなくなります。この法案はただいま次官から御説明申し上げましたように、組合の團結権、團体交渉権等は明確に守らなければならない立場をとつておるのであります。從つてそういう書き方をしまして、かえつて不十分なものになりますと、労働組合のためにならないと思うというので、これは團結権、團体交渉権に関連いたしまして、労資の関係を調整するについては、特別の規定を設けなければ、公共企業体の精神に合わないために、関係法だけでこちらは行こう。こういうことになりましたので、今御指摘のような点は削除いたしまして、このような案になつたのであります。
    〔綱島委員長退席、尾崎(末)委員長代理着席〕
 ところで正誤表でお願いいたしましたように、前の案で行きますと、第三條は非常に簡單過ぎて、今度労働組合法が適用されておるのかどうかがはつきりしないのでは、またあやまちが起るというので、第三條を全面正誤で直しまして、そしてここに労働組合法のこういうふうな條文が適用されるぞ、ということを念のために入れたのであります。御質問のような、あるいは御意見のような誤解が起らないためにとりました処置が、こういうことになつているのであります。この点を御了承願いたいと思うのであります。
#42
○山花委員 先ほど中原委員からも議論がございましたし、昨日私労働大臣にも一應質問はしておいたのでありますが、第四條の第三の項目でありまして、公共企業体の職員でなければ、その組合員または役員になれないという規定でありますが、先ほど労働政務次官の御答弁の中にも、そういう優秀な人は、國家としても、あるいは事業主としても、組合としても、すべてが必要であるから、そういうようなことが起らないように、万一起きた場合には、すぐにそれを直すような項目をあとに盛つてあるような意味のことが御答弁ございました。たといそれが非常に優秀者であつても、全然関係のない者を持つて來て組合員にはめ込み、あるいは組合役員にする。たとえばその組合があの人を持つて來て指導を仰ごうという場合に、組合の決定によつて、職責とはあまり関係のない、ただ労働運動の指導者で優秀であるという意味だけで持つて來るというようなことも、時と場合によつては行われるのでありますが、それもある意味においてはまた弊害を生ずるという点も私どもは懸念しておりますので、ここでは公共企業体の職員もしくはその出身者でなければ、すなわち出身者ということを明記しておれば、組合運動の犠牲者、あるいは非常に優秀なる指導的意見を持つている人々を組合運動に参画せしめて、そういう人が組合運動と運命をともにすることによつて、國家事業体もしくは組合員の全般の福祉の擁護になると言われた労働政務次官の言質から考えましても、そういうふうにこの項目をお考えになる意思があるかどうか。現に職についているというだけに限定せずして、かつて職についていた、すなわち職員の出身というふうな一項目を入れて、この問題を解決する御意思があるかどうかをお尋ねいたします。
#43
○賀來政府委員 ごもつともな御意見でありますが、公共企業体の組合は、企業体の精神から見まして、きわめて自主的でなければならないという意味でこれを設けましてことは、御了解願つていると思うのであります。われわれといたしましては、ことに現実の問題といたしまして、現在の國鉄あるいは專賣の組合は、わが國におきましても、ある意味におきましては最も長い歴史を持つているのでありまして、特に外からそういう人を持つて來なければ、自主的には力強い歩みができないという考え方を持つていないのであります。しかし、かつてさような運動をされた方が、いろいろな理由で組合員を辞した、すなわち職を辞したという場合に、さような方々が全然関係ができないかと申しますと、これは先の方の條文で御説明申し上げますが、交渉委員になりますことにつきましては、さような制限はないのであります。おそらくさような方々といたしましては、交渉委員となり、場合によりましては調停委員になられることになるのではないかということも考えているのであります。
#44
○山花委員 從來の経驗から考えますと、そういう職場犠牲者という人は、おもに書記という形で一應労働組合の事務をやつておルのでありますが、この場合書記は、一般の企業の労働組合では、組合員の資格を十分持つておるのであります。これは解釈にいろいろ相違がございますが、ここでそういう人々が書記というような任務につけるかどうか。ついた場合にそれを組合員と見るかどうか。單なる雇い書記というような扱いにするのかどうか、政府当局のお考えをお漏らし願いたいと思うのであります。
#45
○賀來政府委員 專從職員のことにつきましては、第七條に規定をしております。ここで專從職員と申しますことは、われわれが考えておることを申しますと――これは先の條文に行きますが、関連しますので申し上げますと、ここで專從職員というのは、具体的には組合長、副組合長、執行委員、監査委員、鬪爭委員等、組合運営の責任に任ずる者をいうのであります。從つて組合の書記等のごときは、役員には含まないのであります。われわれは組合の人が組合員としてこれらの事務に從事するということはあり得ましても、それらに対しては給料も拂つておりませんし、またさような場合は予期してはいないのであります。從つてこれらの組合の書記としてやられる方は、組合が雇用するという形になるだろうと考えております。
#46
○山花委員 一般企業の組合の関連から申し上げますと、組合長もしくは執行委員というような人で專從する場合には、事業主あるいは経営主から給料をもらつておるのが大体の習慣でありますが、そういう書記に雇い入れた場合には、組合から給料を支拂う。從つて事業主は何らの関係はないのでありますが、組合員としての権利は組合内に確保しておるのであります。そのような事態がこの公共企業体の組合の中に起きた場合に、政府としてはそれを組合員として認めるか、認めないかを聞いておるのであります。
#47
○賀來政府委員 この法案は全体といたしまして準公務員扱いという点があります。從つてここでいう專從職員は、先ほど申したような範囲でありますので、この條文から言うと職員は組合員であります。この職員として組合員であります者は、ただいま申しましたような、いわゆる專從者以外の職務、すなわち書記に從事することは認められないのであります。
#48
○尾崎委員長代理 それでは暫時休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時十七分開議
#49
○綱島委員長 休憩前に引続いて開会いたします。
 公共企業体労働関係法案を議題といたします。逐條審議に入ります。第五條、第六條、第七條まで一括して御意見を伺います。――それでは委員長からお尋ねいたします。第五條の規定は、組合法規に大体明らかな事柄のようでありますが、組合法規の適用があるにかかわらず、特にこういうものを列挙された立法理由はどういうところにありますか。
#50
○賀來政府委員 御承知のように組合法の十一條では二項がついております。使用者は労働者が組合に加入せざること、または組合より脱退することを雇傭條件となすことを得ずということが出ております。これがこちらには入つておりませんので、特にこういうことをこちらにあらためて入れているわけであります。
#51
○綱島委員長 次に第六條の中に、外部の監査人による組合資金の定期的監査の規定を設けなければならぬという、規約の必要記載事項に、こういうものを特にお入れになりました立法の事情を御説明願いたいと思います。
#52
○賀來政府委員 第六條に特にこういうものを入れましたのは、從來のわが國の労働組合などの実情を見ますのに、役員選任に関する規定だとか、あるいは組合の経費の監査の規定というのが、ほとんど欠如しているものが多いのであります、それがために、組合の民主的運営が十分でないという点が多かつたのであります。公共企業体の労働組合は自主性を保ちますこと、これから民主性を保ちますこと、あわせてそれら二つの性格から見まして、責任性の明確に出た組合でなければならぬ。さような意味におきまして、特にこの規定を入れたわけでありますが、この会計監査人を置きますのは、われわれの期待しておりますところは、公正な、しかも專門的な能力のあります経理の專門家というものを、公認でなくてもけつこうでありますが、これを監査人といたしまして置くように、ということを必要記載事項にいたしたのであります。
#53
○大石(武)委員 会計報告をなさしめるための公正な外部の監査人による組合資金の定期的監査の規定を設けてありますが、公正なということは具体的にどんなことをお考えになつておりますか。
#54
○賀來政府委員 組合員でない人、あるいは使用者側でもない人、具体的に申しますならば、公認の計理士等を予定いたしているのであります。
#55
○大石(武)委員 それはわかりましたが、そういう公認の計理士の選び方ですが、組合側から選ぶか、あるいは企業体の方から選ぶか、その選び方について伺います。
#56
○賀來政府委員 これは組合規約に定めることになつておりますので、組合が自主的にその方法を規定することにいたしております。
#57
○尾崎(末)委員 第六條に関しまして政府委員に念のために伺つておきます。この第六條の趣意の事柄は、第二國会において、運輸交通委員会で、私がその趣意のことを設けよということを質問いたした條項がそのまま出て参つて來ておりますので、内心私はこれを非常に愉快に思つておるのでありますが、ただ一つここに足りない点は、定期的監査をやつた結果、その内容において不当不正なことがあつた場合に、いかなる処置をせられるかということの規定のないことであります。それらのことについて何らかのお考えがあるかどうか、念のために伺つておきたいと思います。
#58
○賀來政府委員 これには明らから書いておりませんが、この点は先ほど申しましたように、組合が民主的に運営され、責任性を明確にするといいますか、ここに役員の選定についても特に無記名投票をやるということが書いてありますとともに、その役員の責任、また内部に対する責任等も明確に運営をせられなければならないということを期待いたしておるのであります。從つて、これには書いておりませんが、もし監査の結果、さようなことになりますならば、自主性を保ち、民主性を保ち、責任性のある組合のことでありますから、それはみずから処置をして行くであろうということを期待いたしておるのであります。
#59
○尾崎(末)委員 その民主的な事項についてはよく了承ができるのでありますが、これは政党資金と関連した考え方において、先に申しますように第二國会において私は徹底的に質問をしたのであります。政党の資金については相当嚴重な規定が設けられておるのでありますが、組合運動におきましても、本年の春以來しばしば行われた大きな組合の運動並びに爭議等におきまして、相当巨額の費用を各組合員に負担をさしておる。その負担をしておる総額は、今日わが國の政党の資金どころの問題ではなくして、これらをはるかに凌駕する額の金が集まつておる事実があるのであります。それらの金によつて、組合の幹部等が、あるいは温泉場、あるいは遊覧地等を使つて、長い間にわたつていろいろの協議や何かをなされている。そこに非常におびただしい多くのおもしろからざるできごとが生じているというようなことを、しばしば耳にいたしておりますので、こうした條項をおつくりになることの反面に、これらの組合資金というものが、どういうふうに使われたかということを正しく、明るくして行くことが、組合を最も民主的に発達せしむるゆえんだという趣意で、私は前からしばしば質問をしてみたのであります。この見地から考えますれば、こういうことは、ただその組合の自主性にまかせるだけでなくして、何らかのこれに関する規定を設けておかなければ、有名無実に陷るおそれがあると思うのであります。でありますから、このことについて、重ねてそういうお考えであるかどうかを伺つておきたいのであります。
#60
○賀來政府委員 ごもつともな御意見でありますが、もし監査の結果、大部分の金が政治的に使われているということになると、この法律は先ほど申しましたように、組合法の第二條が適用になつているわけであります。從つて第二條によつて、これらの経費が主として政治運動をやつたというふうな結果が出て参るならば、組合法第六條の処置になりますが、この組合法の第六條は労働委員会がやることになつております。しかしながらこの関係法においては、この法規の附則の第三項において、労働組合法第五條、第六條、第八條等の労働委員会の職務は、労働大臣がこれを行うということになつておりますので、労働大臣がこの組合資格の審査をやることになりました。もしそれが第二條該当者ということになると、組合法によつて労ど大臣が処置をするということになるのであります。
#61
○三浦委員 今の説明はちよつと聞きかねたのでありますが、労働組合が、政党や何かに組合の資金を政治目的で使用するというようなことは、これはどう考えておりますか。
#62
○賀來政府委員 これは組合法第二條に基きまして、主として政治運動を目的とする組合であると認められました場合には、資格は否認されることになつております。
#63
○三浦委員 政治目的じやなく、組合の資金を組合が政治目的のために政党へ献金というか、それとも支出するというのか、そういうことを一体政府では認めるつもりか、認めないつもりか、そういう考えを承りたい。
#64
○賀來政府委員 この点につきましては、程度問題だというお答えをする以外にはないのであります。と申しますのは、労働組合がその組合員全体の意思として、どのような政党を支持しよう、あるいはだれを應援しようということで、組合自身が行動することについては、それぞれ組合全体の成規の機関に諮つて行動いたします場合、それ自体は問題にならないのであります。從つてだれだれを應援して行こう、それがためには組合の資金のうちこれだけを献金しようということ自体は、問題にはなりません。ただその程度が過ぎて、その状態は、いかに成規の機関を経ておるとは申しながら、主としてこれは政党的な動き方をしているのではないかというふうになると、組合としての資格は否認されるのであります。
#65
○三浦委員 程度問題とはどういうことですか、具体的にどの程度に考えられておりますか。程度問題だということになると、取調べをする者の立場によつていろいろ具体的に違つて來る。一定の標準を與えなければ、ある組合はこれはさしつかえないと思つても、ある人はいけないということになる。また取締る人の立場から見て、これは具体的にさしつかえないと認めたり、いけないと認めたりするようになると、非常に弊害が多いと思います。ですから、もし政府において、労働組合が政党に対して政治資金を出すことは、ある程度は認めているのだ、さしつかえないのだという見解ならば、少くともそれは具体的にしておかないと、必ず取扱る人によつて、ある場合には干渉になり、彈圧になり、ある場合にはいろいろな問題がかもされると思います。もし認められるならば、程度問題というのをもう少しはつきりと具体的に示しておく必要が、あとからの問題を避ける意味において、必要だと思いますが、この点をひとつ明確にしておいた方がよいと思います。
#66
○賀來政府委員 ごもつともな御意見でありまして、組合法第二條には、主たる経費を使用者の補助に仰ぐもの、あるいは主として福利事業のみを目的とするものなど、ここに四つの條項を上げております。この線の切り方については非常にむずかしい点が多々あります。政治活動のごとき問題につきましては、労働組合それ自体が政党ではない、しかしながら自己の経済生活の向上のために、政治的には無関心ではあり得ない、かような意味で政治活動をやることについて、これを一定の法規で禁止あるいは制限するということは、非常に困難なのであります。從つて組合法におきましても、これが主として政治運動をやつたものであるかどうかということを判定いたしますのは、第六條に基いて労働委員会が民主的に決定する、すなわち労働委員会は労資、中立、三者構成でありますので、この決定によつて行政官廳がこれを処置する、かようになつておるのであります。さて現在の状況ではどうかと申しますと、ただいま申しましたように、行政官廳としてのこの線がこうだという決定はいたしておりませんし、また内規的なものも持つていないのであります。さらに労働委員会が、今までさような意味で処置した前例があるかと申しますと、前例はないのであります。從つてこの点は今こういう基準を設けるという意向も持つておらぬのでありますが、全体の労働組合法の精神から見まして、今度この公共企業体による組合がかような処置をいたしましたときには、労働大臣がこれを決定するということになつておりますので、いずれ具体的には研究しなければならないとは考えておりますが、目下のところはつきりしたことは、定める方法もむがかしいし、また定めようという意向も持つていないのであります。
#67
○三浦委員 この問題は、実は非常に重要問題だと私は思うので、しつこく言うのですが、御承知の通りアメリカのタフト・ハートレー法では、一時政党へ組合資金の使用がたしか禁止されたように考えております。それに対してアメリカのコロンビヤ直接地区特設連邦地方裁判所では、いわゆる憲法違反だというようなことで、政党へ組合資金の使用は認められたように私は記憶しておるのですが、そういうように、政党へ組合資金の使用が自由だということが当然認められて、それをもし否認することがいわゆる憲法違反になるというようなことであれば、その間の調節問題として、あるいは相当程度政党へ組合資金の使用を自由に許されなければならないというようにも、憲法の解釈から考えられる。日本の憲法には言論とか集会の自由を一切規定しておるので、アメリカの地方裁判所の判決がどうということでなくとも、日本でも自由に認めるような方法に行かないと、將來正当問題が起るのではないかと思うから、今後の問題として、政府においても十分その点は研究され、具体的にはつきりさせておいた方が、將來の組合運動において非常によろしいのではないかと思います。ただ私の意見だけ申し上げておきます。
#68
○尾崎(末)委員 第五條と第七條の両方に関連して質問を申し上げますが、さかのぼりますと、第四條の意味にもなりますけれども、第四條はすでに終つておりますから、第五條と第七條に関連して御質問をいたしたいと思います。それは今まで第四條、第五條、第七條、こういう條項に反対をせられた委員の方々の御意見をもつてしますれば、組合を発達強化せしめるために、必ず組合に入ることを助長しなければいかぬ、こういう議論が盛んに繰返されたようであります。この考え方は、私の考え方におきましては、かえつてこれが憲法の精神に反するように思うのであります。結社の自由、言論の自由ということは憲法に定められておるところでありますが、同時に結社せざるの自由、言論せざるの自由というものも認められておるところでありますので、この結社する自由、せざる自由、言論をする自由、せざる自由、こういう建前から考えますならば、ここに定めてありますように、職員は組合に加入し、または加入せざることができるという、これらのことが当然こういうふうに生きて行かなければいかないと思うのでありますが、さつき申しましたように、ぜひとも組合に入ることを建前としてこれを強化して行けという議論は、私の考え方では逆に組合に一つのフアツシヨ的な色彩を持たせることになりはしないかということをおそれるのであります。こういう点についての御見解を伺つてみたいのであります。
#69
○鈴木(正)政府委員 その点につきましては、数日來ほかの議員の方からも、しばしば繰返して質問があつたところでありますが、私ども政府側といたしましては、大臣も言いましたように、加入する自由と並んで、加入せざる自由、そういつたものを束縛しないというのが憲法の精神であるという解釈を累次答弁しておるところで明らかだと思います。と同時に一方において組合を――これは健全な民主的な組合を指すのでありますが、そういう組合を質、量ともに拡大強化して行くということの中に、ほんとうの労働問題解決のかぎを見出すべきであつて、むしろ法規の問題よりも、ほんとうの解決のかぎはそこにあるんだという見解も累次繰返してお答えした通りであります。だからこの條項がありましても、こういう表明がありましても、それによつて一部の方々が心配されるように、組合加入の範囲を狹めるというような考え方のもとに、これを持つて來ておるのではないのでありまして、あくまでも尾崎委員の指摘されたように、憲法上の両面の自由という立場からであります。根本的に組合自体というものの加入の範囲を狹めるというような考え方は、毛頭持つておるのではないのでありまするし、同時にそういつた線に沿つて條文は運営して行くべきだと考えております。
#70
○尾崎(末)委員 先般の公聽会におきまして、佐藤公述人が、私が今言わんとするところと同じような意味のことを公述されたように思うのであります。第五條の「公共企業体は、組合員であること、又は組合のために活動したことをもつて」という「ために」と「活動」との間に、先刻も出たようでありますが、正当なる活動というような意味のものをつけ加えることが必要だということが公述人からも述べられたのであります。午前中にこの点について労政局長から御説明があつたようでありますが、なお徹底したところまで行かなかつたようでありますので、これはぜひとも、あとでまぎらわしいことにならないように、はつきりした文句をつけ加えておく必要があるんじやないかと思うのでありますが、重ねてこの点についての御見解を伺います。
#71
○鈴木(正)政府委員 考え方は尾崎委員とまつたく同じであります。そういう線に沿つて解釈運営されて行くべきものと思いますが、しかしその正当なるという言葉は、この前後の各條文の條理上当然出て來ることであつて、しいてその言葉を入れておかなくても、その線に沿つての運営はやつて行ける、こういうような考えのもとに、言葉は別にしいて入れなかつた、こういうようにお答えいたします。
#72
○尾崎(末)委員 第七條につきまして御質問いたしたいのでありますか、一部の委員の間から述べられたことの中に、元職員であつて組合のためによく活動した人で、犠牲となつて退職をしたような者を、組合の中に入れておく方が、組合の発達のために非常に有力な場合が多い。だからこれらのものを組合員として認めるかどうか。こういう点について先日來しばしば論議をせられたようでありまして、まことにこれはごもつともな意見だと一面考えるのでありますが、一面におきましては、組合は組合員をもつて自主的に運営をして行くということが最も望ましいことであつて、前からの関係であるとか、あるいは午前中の質問に、一委員から御発言あつたように、組合員以外から適当な組合運動に堪能な者を呼んで來て、組合員の中に入れておいて、指導させるような場合も必要だ、こういうような御意見もあつたようでありますが、そうしたやり方はかえつて組合を民主的に発達させるということよりも、いわゆる世にいうところのボス的存在というような色彩が濃厚になるおそれがあるように私ども思うのであります。この両方を判断して考えますと、やはり組合は組合員自体をもつて運営して行くという考え方が、正しいように私は考えるのであります。その点につきまして政府委員の御所見をあらためて伺つておきたいと思うのであります。
#73
○賀來政府委員 この法案の立案の趣旨は、第四條で組合の自主性を特に強調いたします意味で、第三項に、職員だけで組織するというようなことを入れておるのであります。組合の健全なる発達を願いまするわれわれといたしましては、組合のために非常に功績のあつた方、犠牲となるというようなことは過去の歴史でありまして、現在の労働組合法、あるいは労働関係法の五條等の規定があり、全体といたしましてこの関係法におきましても苦情処理の方法、あるいは調停、仲裁の方法と、あらゆる方法を規定いたしまして、さようなことのないことを予期しておりまする意味合いにおきまして、かような功績者がさようなことになるということは予期していないのであります。ただこの際念のために申し上げておきたいと思いますのは、第四條の第三項を、ただちに一般の組合に持つて行こうという趣旨は考えていないのでありまして、これはこの公共企業体の組合の特殊性にかんがみて、特に入れておる点は御了解願つておきたいと考えます。
 第七條におきましても、專從職員と申しますのは、組合の役員ということを予定いたしております。組合の職員、書記などにつきましては、午前中にお答えいたしましたように、この組合員がなつてはいけないということになつておるのであります。さらに午前中に申し上げましたように、かような方々は非常に理解もあり、また多年の運動の経驗もあるわけでありますから、組合といたしましては、おそらく調停委員にこれを選任し、あるいはまた交渉委員に選任する等の方法によりまして、その間の調整をはかつて行かれることと期待いたしておるのであります。
#74
○尾崎(末)委員 了承いたしました。
#75
○綱島委員長 辻井君にちよつと申し上げますが、大分お待ちしておりましたけれども見えませんでしたから、五條、六條、七條と、午後は逐條審議を始めたわけです。大臣は今石炭の代表者の人たちと交渉しておられまして、もう間もなく見えますから、午前に引続き五條、六條、七條と逐條にどうぞ御質疑を願います。
#76
○辻井委員 六條についてお伺いしたいと思います。六條には組合会計の問題について、外部の監査人による組合資金の定期的監査の規定を設けなければならぬことになつていますが、これは具体的にはどういうことを意味しているのか、お尋ねしたいのであります。
#77
○賀來政府委員 具体的に申しますと、組合が主自的に規約によつてかような規定を入れなければならないということと、もう一つは、公認の計理士のような人をこの監査人にするということを期待いたしておるのであります。
#78
○辻井委員 一般の組合法にはそういうことはなかつたように思いますが、労働組合法では何かこれに似たような規定があつたかどうか、わからぬからお尋ねしたいのであります。
#79
○賀來政府委員 お答えいたします。労働組合法の第七條に届出記載事項が書いてありますが、それの第八号に「組合費其ノ他会計ニ関スル規定」というのが入つております。民主的に非常に発達した組合におきましては、みずからさような監査を受けようという規定があるのもあると聞いておりますが、この組合法におきましては、明確に監査に関する規定を置け、しかもかような人を置くようにというふうなことは規定していないのでありまして、この関係法におきましては、組合法の第七條の八号の規定の仕方をここに書いてあるのであります。
#80
○辻井委員 先ほど山花君からもそういう意見が述べられておりましたが、企業体側と職員側とが一体になつて経済の復興をはかろう、企業の繁栄をはかろうというようなことはいいと思いますが、そのほかには、別に職員の福利をはかろうというようなことは一條もうたわれていない。そうして組合の民主的な運営というお言葉が再々出ておりますけれども、こういうように外から、一般の労働組合にも適用されていないような規則をもつと縛るということは、ますます企業体側からの職員に対する取締りを目的にしたような感じを強く與えるのですが、これは組合の自主的な方法にゆだねるということが当然だと思います。労働組合法ではそうなつていないのに、なぜ特別にこの組合だけがかような規定を設けなければならぬのか、特別の理由があれば、承りたいと思います。
#81
○賀來政府委員 ごもつともな御質問でありますが、当然この組合法によりまする普通の組合におきましても、それが民主的に運営される、その責任性を明確にする、かような意味におきまして、役員の選挙は無記名投票の一般選挙によるように、あるいは会計監査に関する規定も入れるように、ということを期待いたしておるのであります。ただ違います点は、これら一般の私企業におきまする組合におきましては、自主的にやることを期待する程度で足りるという考え方で、いわゆる組合の自覚になつというふうな態度でおるのでありますけれども、この公共企業体関係法の労働関係の組合におきましては、準公務員的な扱いもいたしておりまするし、この組合が民主的に正常な運営をせられるということは、ただちに公共企業自身の運営が、うまく行くか行かぬかということに、直接非常に強い関係を持つて参るのであります。從いまして今日一般の私企業に対してはむりにあまり言つていないことでも、この組合につきましては、かような重要な点については特に留意してもらう、かような意味合いにおきまして、この規定を入れておる次第であります。但しわれわれの期待しておりますことは、かような規定があるから、組合自身がつくらなければならないというむりな感じでなく、われわれのような、こういう健全に発達した組合においては、当然これはやるのだという氣持で、この條項に從つて適切なる規定を入れていただくことを期待いたしておるのであります。
#82
○綱島委員長 大臣も見えましたから、どうぞ大臣に質問してください。
 第二章第七條までのところで他にどなたか御質問はございませんか。――なければ第三章に移ります。これは非常に重要な章でありまして、團体交渉及び交渉委員の指名でありますから、ひつくるめて関連して御審議を願わないと、わからないように思いますが、それともやはり逐條にいたしますか。
#83
○山花委員 この第三章は第八條から十六條までございますが、一應逐條的にやつて、それからまた総括的にしたらどうかと思います。
#84
○綱島委員長 しからば第八條についてどなたか御質疑はありませんか。――安平君。
#85
○安平委員 労働大臣にお伺いしたいのでありますが、この第八條の第二項によりますると、組合に加入していない者も團体交渉の対象として、労働協約を締結することを妨げないとして、たとえば賃金、労働時間云々というように項別にあげられておるのですが、こういうことは結局組合に入らないことを奬励するというようなことになつて、むしろ、組合の健全な発達を阻害する分裂政策と思われるような條文だと、私はこう解釈するのでございますが、この点について大臣のお考えを一應聞かしてもらいたいと思います。
#86
○増田國務大臣 安平さんの御質問にお答いたします。これは別にそういう趣旨からでき上つておりません。四條の但書をごらんになればわかりますが、要するに監督者としての立場にある者は、組合を結成することができない。それは公共企業体の性質にかんがみまして、こういう規定が置かれたことは、四條の説明のときに申し上げておる次第でございまして、結局組合員に関する事項が團体交渉の対象になるのである。組合員でない者については、團体交渉の対象として、賃金や労働時間その他のことをきめるわけではない。これはもう労働組合として当然のことを言つたにすぎないわけであります。
#87
○安平委員 労働組合として当然なことであると思われないのです。ということは、こういうことになりますと、労働組合に加入していない人たちのためにも、やはり團体交渉ができるということになるのでしようか。
#88
○増田國務大臣 とにかく鉄道局長なら鉄道局長に関する賃金なり労働條件を鉄道局員というような者の賃金と一緒に、労働協約に対象にしておくことは、おかしな話なんでして、労働組合員以外の者に関する労働條件は、労働協約の対象ではない。これはもうあたりまえのことを言つたにすぎないと思います。安平さんのような方にしては何ですが、よくごらんになればわかりますから、もう一ぺんお読み願いたいと思います。組合員のことを規定するのだ、こう書いてあるだけなんです。
#89
○安平委員 組合に加入できない者以外というのは、つまり使用者の利益代表ですか。
#90
○増田國務大臣 ばかにむずかしく考えているようですが、組合員のということなんです。
#91
○安平委員 組合員のと解釈していいのですか。
#92
○増田國務大臣 そういう意味です。
#93
○安平委員 できない者というと、ちよつと分裂政策に聞えるのです。組合に加入できない者でも、組合に加入しておる者と同等に取扱うというふうに解釈できる。
#94
○増田國務大臣 そうではありません。
#95
○安平委員 そうすると、できない者ということは、使用者の利益代表、理事者、要するに使用者側に立つ者と解釈してよいのでございますか。
#96
○増田國務大臣 さようでございます。
#97
○山花委員 今の安平委員の質問と関連しておりますが、監督者の立場にある者が大体対象になるということでありますか。そういたしますと、第四條のところに組合に入らなくてもいいという條文があるのでありますが、そういう組合に入らなくてもいいという考えで、組合に入つていない職員は團体交渉の対象にならないというふうに明確な線が出ていないのですが、これはどういう扱いになるのですか。
#98
○増田國務大臣 要するに書き方といたしましては、今安平さんのおつしやいましたように、監督者の労働條件なんということは労働協約の対象でない。こういうふうに書く以外、やはり立法技術としては手はないと思います。表現はなかなかややこしいのでございますが、要するに先ほど私が常識的に申せば、組合員のという意味であると申しましたけれども、山花さんの御質問がまたそこに触れたわけでありまして、組合員の、また組合員でない、しかも監督者でない者の労働條件もきめるのである、こういうわけであります。
#99
○安平委員 そうすると、この第八條の二項は、これは一應念を押しておく必要があるから何べんも聞くのですが、今言われたように、使用者の利益側に立つた者というふうに解釈していいのですね。つまり理事者側と言いますか、会社で言えば、会社の利益を代者する者でございますね。
#100
○増田國務大臣 さようでございます。
#101
○安平委員 一般の労働者には、これは当てはまらないものだと解釈していいですか。
#102
○増田國務大臣 そうではございません。これは要するに、監督もしくは管理の地位にある者、つまり安平さんのおつしやる使用者側の者は、労働組合に参加できません。そういう者に関する労働條件があるかどうか、ほんとうは疑問ですが、勤務條件はございましよう。重役でも、あるいは局長でも……。そういうものが労働協約の対象にならないだけであつて、結局たとえば労働組合員であつても、労働組合員でなくても、そういう者以外の一般職員に関する労働條件その他のことが、労働協約の対象になる。こういうことであります。
#103
○安平委員 そこですよ。
#104
○増田國務大臣 國鉄のごときは職員が全部労働組合に入つていますが、たとえば二人か三人の車掌が労働組合に入つていないとする。そうすると、その労働組合に入つていない二人か三人の車掌さんの俸給もこうするのだ、労働條件もこうするのだということを、單一労働組合と総裁との間の労働協約で締結するということです。
#105
○安平委員 労働組合に入つている者以外の者も、たとえば総裁なり総裁と、ここに列記しておる賃金その他の問題で協約を結ぶことができる。こういうわけですね。
#106
○増田國務大臣 さようでございます。
#107
○安平委員 だから使用者の利益代表として協約ができるのでなく、組合員以外の者でも協約が結べるということになるのですね。
#108
○増田國務大臣 そうではございません。組合員以外の者が労働協約を結べるはずがないじやありませんか。組合という團体が使用者を相手方として協約を結ぶ。特に團体協約ですから。組合員でないばらばらの人が、國有鉄道なら國有鉄道の総裁との間に労働協約を結べるはずがないので、國鉄労働組合と総裁の間で労働協約を結ぶ。そのときにたまたま山花さんの御心配の、國鉄労働組合に入らない二人か三人の車掌がある。その車掌の勤労條件その他もやはりこの労働協約で規定していいということです。
#109
○安平委員 だから、それは國鉄労働組合なら國鉄労働組合と総裁が結んだ協約の範囲内において、その他の國鉄労働組合に入らない労働者にも適用される。こういうことなのですか。
#110
○増田國務大臣 それはそうだと思います。但しその労働協約はいやだと言つて、國鉄労働組合員でない車掌さんがやめちやうというようなことはできますよ。しかし一應労働組合の労働協約の支配を受けて、月給が三千円、あるいは六千円もらうというようなことはあり得ると思います。
#111
○安平委員 たとえば國鉄の労働組合が、総裁と結んだその團体協約というものがいやだ、不服だというので、かりにその中の何分の一かが、あらためて総裁を対象にした労働協約が結べるというりくつになるのではないですか。
#112
○賀來政府委員 実は技術的な問題になりますから、あとの逐條でおわかり願えると思うのでありますが、さようなことがあり得ないようにするために、團体交渉は一本であるということになつております。從つて多数の組合があるとしますと、その組合が交渉委員の多数をとることになる。そうしますと、交渉は一本でありますから、多数の組合員を持つているところとの交渉によつて團体協約ができる。こういうことになります。そのときにそれはいやだということになりますならば、その交渉委員の選任の仕方について異議が出て來ます。そのときには労働大臣が出まして、どの組合のどの代表について交渉したらいいのかということを示すために、十一條以下の規定がありまして、一般無記名投票をやりまして、それで交渉委員が出ましたら、その交渉委員が委任を受けてやるわけであります。ところで、さてその交渉委員が一本でありますから、総裁との間で労働協約ができたとしますと、今度二つ組合があるとしますれば、しからば協約内容に別々に――もう一本なんですが、別々の名前で判を押すということになるかどうかは、その交渉委員の出たときの委任の仕方ということによるわけであります。
#113
○安平委員 問題はそこなんです。先ほどからそこを私は聞きたかつたのですが、私はそう解釈したのですけれども、たとえば國鉄なら國鉄でも、同樣な内容を持つたもので、たまたま名前の違つたものであるということになりますね。それにしても、やはりこの場合分裂することになりますね……。
#114
○賀來政府委員 われわれは、こういうことをやつて行きますと、分裂しておること自体がかえつてむだになるのですから、結局一本にならざるを得ない。大きい組合ができました場合には、どうしても大きい組合にその選び方は支配されることになつておりますので、いわゆる多数主義で行くということになつておりますので、いわゆる多数主義が行くということになつておりますことこれ自体が、分裂とは考えないのであります。
#115
○安平委員 そうだとすると、今の一つの労働組合の中で同じ内容を持つたもので、名前が違つた協約ができるということは、否定されなければならないと思うのでありますが、今の賀來政府委員の答弁では、それを認めるという答弁ですね。二つある場合もあり得るという建前で御答弁なすつておるのですね。
#116
○賀來政府委員 これは労働協約の判このついたものは、三つになるかもしれませんが、交渉委員は一本になつての交渉をやりますので、内容は一本になるわけであります。ただこの際に御了解願つておきたいと思いますのは、今の國鉄の組合は全体の業種で一本になつておりますが、これがそうでなしに、職種別組合のような建前になつており、機関士は機関士としてつながる。車掌は車掌でつながる。その他工機部は工機部で一本になる。この場合においては、それぞれ工機部は工機部らしい協約が盛られて來ると思います。しかしながら交渉をする際には、それらのものがありましても、一本になつて交渉委員が何名ということがきまりまして、総裁と当つて参ります。具体的には、デテールに入りますと、いろいろ違つた協約があり得るかもしれませんが、國鉄の総裁としては組合の労働者は一本として扱つて行く。こういうことになります。
#117
○三浦委員 私はまだその点があまりのみ込めないのですが、組合が二本なら、今のような説明でわかるのですが、もし組合が一つで、全然組合というものに加入しない職員があつた場合、その全然組合に加入しない職員に対して、團体協約がそのままその職員にも当然効力を及ぼすというような根拠があるかどうか。
#118
○賀來政府委員 これはこの関係法には、労働組合法第二十四條が適用になつております。言いかえると、それは人数は少いと思いますが――四分の三以上の組合員があつた場合、残りの組合員が同一條件の場合には、それが適用されるという規定が、この関係法にも適用になつております。
#119
○三浦委員 それはわかつておりますが、そうすると、当然團体協約というものは、全然加入しない非組合員にも効力が及ぶということになりますね。そうすると全然組合に加入しない人は、組合費も納めないし、何らの組合活動もしないで、組合員たると同一の利益が受けられる、こういうことに解釈されるのですか。それからもう一つは、組合の全然入らない何名かの個々の職員は、全然團体協約に拘束されないで、今の総裁なら総裁から――あるいは企業活動による何か特別な待遇あるいは利益を受けるようなことはあり得ないのですか、そういう点は何かあり得るようにも思うのですが……。
#120
○賀來政府委員 今のお話の、組合に加入しておらなくても、組合が大いに働いて、そうしてとつた利益は当然受けられる。このことについては二つの面から考えられるのであります。労働組合法第二十三條でさような規定をいたしましたのは、これらの少数の未組織の労働者を保護しようというのが、一つの組合法の規定の趣旨であります。もう一面から考えますと、かような、自分は組合費を納めるのはいやだ、しかしほうつておけば組合が獲得するであろうと、いうような、ずるい氣持で組合に加入しないような労働者は、自然労働者同士でしかるべく自主的に話がつけらるべきものであつて、法律でそれらの点はどうにもならないのであります。またすべきでないという考え方を持つております。もう一つは、組合員でないからという区別でもつて、特別な扱いをするということは――最近の組合では、こういう場合には、非組合員、組合員のゆえをもつて、差別待遇をしないという労働協約をとつておるようであります。從つてここには、差別待遇はする、せぬということは書いてありませんが、労働組合が團体交渉をやる場合には、自然そういう点について論ぜられるであろうことを期待しております。
#121
○三浦委員 まあわかつたようで、わからないのですが、未組織の労働者、それは当然労働者同士で、内部において自主的にそれが解決されるものであろうということを言うのですが、それは私はそうばかりは行かないと思う。もし惡く考えるならば、未組織の方が多くあつた方が、企業家の立場からいうと、場合によつてはいい場合もある。むしろ陰に未組織の方を擁護するような態度をとらないとは何人も保障できないと思う。今局長さんの答弁のように、自主的に労働者同士で解決さるべきものであるということは、はたしてそうなるかどうか。個々に組合に入らないのだから。労働組合等の團体協約には不利益な取扱いを受けないが、本組織の職員に対して特別なる個々の待遇を受けさせることは、別に法律で禁じてないように思うが、どうですか。
#122
○賀來政府委員 本法の五條、組合法の第十一條で、組合に加入し、加入せざるゆえをもつて不利益な取扱いをしてはならないということでありますが、このことは組合の分裂を策するようなことのないように、使用者側を取締ると言いますか、さようなことのないように防止する規定であります。すなわち組合員でないから特別に待遇してやる、なるべく組合からはずれて來た方が、お前にはいい待遇をしてやるということは、組合に加入したゆえをもつて組合の連中を不利益に取扱うことになる。さようなことをしてはならないということを五條は予定しておるのでありますから、使用者がさような意味で差別待遇をしては、組合法十一條違反になるわけであります。
#123
○三浦委員 しかし私はこの規定から見ると、不利益なことをしてはいけないけれども、利益なことをしても、別にそれが労働組合法の違反になる、制裁があるとは、どう考えても私解釈できないのですが、どうでしようかね。
#124
○賀來政府委員 最近こういう実例が大分出て來ておるのでありまして、特に自分のところの工場の組合は非常に急進的というか、使用者がかりいじめて困るというので、組合を脱退させようとすることがあります。特にストライキのあと、そういう事件が多く起る。そのときに脱退した連中には特別の給與をやる。そうして残つておる組合員の言うことはなかなか聞いてやらない。こういう例が最近相当出て來ております。そういう場合には利益を與えるというならば、ひとしく元からおつた組合員に対しても與えるべきであつて、それを不利益に扱うことは十一條違反である。こういうことになつております。
#125
○安平委員 だから、私はこの八條の2項はいらなくなるのじやないかと思う。先ほど大臣の御答弁によれば、第四條の後段の管理または監督の地位にある者及び機密の事務を通扱う者、これらの者を対象としてできるという御答弁でしたね。ところが労政局長の御答弁では、二つの同じ内容のものが、別個の名前による團体協約ができるというふうな御答弁でしたね。そこに食い違いがある。
#126
○増田國務大臣 要するに、これは組合員たり得る職員の労働條件を、労働組合が労働協約として締結する。こういうことだけなんです。おおむね、組合員でありましようが現在組合員でなくても組合員たり得る職員の労働條件、賃金なり就業規則なりを規定するのだ。こういつただけであつて、労働組合たるのゆえをもつて不利益をかけるとか、利益を受けるということは、別にないわけであります。そこで賀來労政局長があとで答えられたのは、二つ、三つ労働組合がある、こういう場合には、法律上の見地から解釈しますと、労働協約というものはやはり二つ、三つ労働組合の数に從つてあり得るということを申し上げた。但しその労働協約の内容は、主たる働組合がイニシアチーブをとつてきめますから、労働協約は三つあつても、四つあつても、協約の内容は大体において同じである。ごくさまつ的のことは違うにいたしましても、本質的のことは、幾つ労働組合があつても同じであるということを申し上げたのであります。
#127
○安平委員 だから私は、内容が同一のものであつて、本質的なかわりがないものなら、この二項というものはいらないものじやないか、こう思う。
#128
○増田國務大臣 つまり單一労働組合以外には、つくつてはいかぬということであれば、デモクラテイツクであるといつたお考えのようですが、これでは一つの労働組合だけで、他はいかぬということまではいつてないわけです。結局文句といたしますれば、労働組合員たる職員の、こう書いてしまうと、安平さんのお考えからすればよろしいようになりますが、それでは本法規全体の構造が――御意見の相違はございますが、組合員でなくてもいいのだから、そこで組合員たり得る職員の給與條件その他のことを労働協約の対象とするのだと、こうただ範囲を書いただけです。
#129
○安平委員 そこであとでの修正は別として、今労働大臣のお答えになつたことはわかる。第四條を受けて「組合に加入できない者」ここまではそれを受けておるわけですね。ところが、その下に「以外の職員」これは何を指しておるのですか。
#130
○増田國務大臣 ちよつと速記をやめてください。
    〔速記中止〕
#131
○綱島委員長 速記を始めてください。
#132
○増田國務大臣 法規ができますでしよう。そうすると経済上、あるいは社会上、あるいは労働関係上はなるほど労働組合というものはあるでしよう。しかし法上は一應今の國鉄労働組合というものは、これが四月一日に施行されるといたしますと、その瞬間に消えてしまうわけだと私は思う。そこで日本國有鉄道という公法上の法人の職員が、さらに同一の労働組合を結成する。こういうふうに考えてよろしいのではないか。そこで今のところは、われわれがこの法案を論ずる場合は、現在労働組合があるかないかは別問題として、法律論だけをしてよろしいと思う次第であります。
#133
○安平委員 國鉄なら國鉄というものが、同一の労働組合をつくることが考えられる場合には、なおさら「その以外の職員」というものはいらないと思われるのですが……。
#134
○増田國務大臣 安平さんにしてはおかしいと思いますが、もしこの以外という字をとつたとすると、鉄道局長に関する労働條件を規定するということになつてしまいます。以外のという字をとつてしまうと、組合に加入できない者に関する左の事項が團体交渉の対象になる。こういうことになりますから、鉄道局長の賃金をきめるというようなことになつて、おかしいことになると思いますが……。
#135
○安平委員 私の言い方が違うのでしようが、要するに第二項はいらないというのです。
#136
○増田國務大臣 これは表現はむずかしかつたかもしれませんが、要するに、職員の左に関することをきめるのだ、こういうことであります。
#137
○山花委員 先ほど労働大臣、局長の方からいろいろ答弁がございまして、よくわかつたのでありますが、この議論のいろいろ混線しました原因は、やはり第四條のユニオン・シヨツプにするか、オープン・シヨツプにするかという点で、この議論が出て來ておるのだと思います。そこで問題となりますのは、私どもとしては一應第四條は修正の意見を持つておりますが、かりにこの第四條を原案通りにしたといたしまして、そこで「以外の職員に関する」という点で、たとえば千名のところで三十人や五十人組合に入つていなくても、大体その組合で全部適用してしまえば問題ございませんが、これがかりに組合をつくつておる者より、未加入あるいは未組織の者が多くなつた場合に、その取扱いを一体どうするか。現実にこれはあり得ると思いますが、その場合にどういう取扱いをするか。
#138
○増田國務大臣 これは一つの労働政策の問題だと私は思つております。そういう場合がないようにいたさなければならぬと思つております。というのは、この労働協約というものは、公共企業体に関する限り、一つの公務員法のようなものでありまして、服務紀律みたいなものをこの中できめるようですし、ことに懲戒、免職、停職という、國家公務員法に書かれておるようなことを労働協約の対象とするようにもなつておりますから、まるつきり組合外の職員が多いというようなことは、まつたくまずいことである。そこはひとつ労働政策でそういうことのないように持つて行きたいと思つております。
#139
○山花委員 政府が非常に労働者のことをお考えくださいまして、言いかえれば新しい時代に聰明なる感覚をもつて労働行政を行つていただければ、けつこうでございますが、ややもすると労働者の運動を不逞の徒というような感覚で、もし労働行政が行われますならば、一つの分裂政策として未組織をふやすというような――これは一つの懸念でございますが、そういう懸念もなきにしもあらずであります。先ほど労働大臣も言われましたように、新時代の新しい感覚で労働行政をやる。そういうふうにやつていただければ、ただいま議論になつておりますような疑問は、なくなるのではなかろうかと思うのでありますが、問題は第四條の点でいろいろ意見がございますので、一應この第八條のただいまの問題につきましては、私の質問は終えたいと思うものであります。
#140
○大石(武)委員 これは別に質問するつもりはなかつたのでありますが、さつき労政局長の御答施がちよつと腑に落ちませんので、もう一度お聞きしたいと思います。未組織の労働者の問題でありますが、労働組合法の二十三條で、四分の一以下の未組織労働者は当然その労働協約に從わなければならぬということがあります。もしその場合に、未組織の労働者の方をよく扱つて、よけい利益を與えたという場合には、その反対から考えれば、つまり組織労働者の方を不利益に扱つたことになるという御解釈でありますが、その御解釈は当らないのではないかと思います。というのは、この第八條の第二項の第五号ですか、ここにあるいろいろな昇職、降職、その他の基準を労働協約がきめるのでありますから、その労働協約にきめられたことで待遇することは、決してその労働組合の不利益ではなかろうと思います。ただ要するに未組織の者に利益を與えるということになると思います。だからその反対も当らないと思いますから、その点はどういうふうに御解釈になるのか、お聞きしたいと思います。
#141
○賀來政府委員 私のお答えにつきまして実は足らぬことがありましたので恐縮いたしておりますが、私の申しましたのは、組合法第十一條及び公共企業体労働関係法第五條の趣旨は、組合運動に関連してやつてはいかぬという意味であります。從つてその扱い方が純然たる労働者の保護のためにやるというならば、さような問題は起りませんし、また労働協約によつてそういう基準が出ておるならばこれはいいのでありますが、ただ組合をつぶそう、組合活動を妨害しようとする趣旨の差別待遇をやりました場合には、それによつて行こうという意味であります。
#142
○山本(幸)委員 第八條第一項でちよつて伺いたいと思います。運営に関する事項云々となつておりますが、これにつきましては、要するに政府から任命せられた責任者が、政府、國会の責任を持つて運営するからという理由でありますけれども、もしこの運営事項に関して團体交渉の対象にした場合には、どういう弊害があるのか、その弊害を具体的に承りたいと思います。
#143
○増田國務大臣 山本さんにお答え申し上げます。経営、管理のことは、これは日常の事務運営でございまして、その管理なり運営の仕方が一々日によつて違うということもあり得るのでありますから、これが一々労働協約を締結し直さなかつたならば、運営も管理もできないということになると、鉄道なり、あるいは專賣の業態の特殊性にかんがみまして、活発にして敏速、しかも適正なる運営ができないというわけで、除いたわけであります。
#144
○山本(幸)委員 そこでもう一つ念のためにお尋ねしますが、そういう日常個々の、もつと具体的に言うと、迅速に処理しなければならぬような運営面以外の運営もあるわけですが、そういう程度のものを團体交渉の対象にすることについては、どんな御意見を持つておりますか。
#145
○増田國務大臣 そういうようなことは、労働協約の対象としてようろしいと思います。今お説のようなことは就業規則で労働協約の対象になつているわけでございます。こういう基準で業務は運営するのであるという一つの原則的なことは、すべて協約の対象になつております。
#146
○山本(幸)委員 他の産業においてもやつているのですが、個々の迅速を必要とする運営、こういうものについても團体協約の対象にしている組合がほとんどなんですが、私どもの見た目では、決してそういう支障を來さなかつたわけですけれども、そういう場合には迅速にやり得るような別の内規と申しますか、規定を設けてやられるなら、輸営にタツチすることはかまわないではないか。その点もう一つお尋ねします。
#147
○増田國務大臣 山本さんのお説の通り、普通は労働協約は経営のことにも触れているのでありまして、経営協議会等によつて運営も行われるというような労働協約が非常に多いと思いますが、この公共企業体の特殊性にかんがみまして、運営のこと、あるいは管理のことは除外された、というのは、やはり迅速適切に、日々の運営のことは使用者側、監督者側にまかせていただきたいということであります。もとよりこの使用者側の筆頭ま総裁でありまして、この総裁その他の者は、國会なり政府なりに責任を負うているものでありまして、政府及び國会が監督して、その監督のもとにおいて運営、管理を行うわけでありますから、まあそれでよろしかろう、皆さんの監督でよろしかろう。こういうように考えた次第であります。
#148
○中原委員 欠席しておりましたから、あるいは重複するのではないかということをおそれまして、なるべくその道から避けたいという心構えのもとに質問いたします。第八條の問題を当然ここで問題としなければならぬのだと思いますが、まなまた恐縮でありますけれども、第六條の点をただ一点だけ、むし返しておそれ入りますが委員各位の御了承を願います。第六條において「組合員に会計報告をなさしめるための公正な外部の監査人による組合資金の定期的監査の規定を設けなければ、」というこの文面の問題なんですが、これは何のために、外部の者の監査による組合資金の定期的監査の規定を設けなければならぬというのか。それをひとつ伺います。
#149
○賀來政府委員 これは大体一般の労働組合につきましても、組合法第七條の規定によりまして、組合規約には会計に関する事項を規定しなければならぬということが入つております。このことは組合の民主性、自主性というものを明確にし、かつ組合の内部、あるいは外部に対します責任性を明確にする意味において、公正な会計運営がなされることを予期いたしておりますが、特にこの公共企業体関係の組合におきましては、その点をさらに明確にして行くべきである。從つて組合法における会計に関する規定に、予期せられておりながら書いてない事項、すなわち第三者的な人、しかも專門家的な人が組合員全体のために会計の監査をやつて、組合に対する信頼性を保持せしめるということが、組合が強力になるゆえんである。かような意味におきましてここに入れておるのであります。ここに予期しております第三者と申しますのは、組合が自主的にどんな人ということをきめるのでありますが、具体的には公認の計理士等を選任するであろうと期待しているものであります。
#150
○中原委員 そうなりますと、会計の面においては外部からの容喙を許すとでもいいますか、むしろそれを必須の條件とするというようなことになるわけです。そうなりますと、第四條の公共企業体の職員でなければこの組合員あるいは役員となることができないという問題と、これとの間の正面衝突が起ると思うのですが、その点はいかがですか。
#151
○賀來政府委員 ただいま中原さんのお言葉の中に第三者の容喙というようなお話がありましたが、われわれはそういう意図は全然持つていないのであります。先ほど申しましたように、組合に対する全組合員の信頼性を高め、組合の力を強からしめるには、やはりどこでも公共的なものにありますように、嚴正なというか、あるいは公正な第三者の会計檢査をやつてもらう方が團体生活、しかも公共的な團体生活としてはいいであろう、かような意味で考えておるのでありますから、その組合員にすることができぬという規定とは関係はないのであります。
#152
○中原委員 切り離してもよろしゆうございますが、切り離して取扱うといたしまして、利期的監査をするというのでありますから、これは事務的なものとは違うと思います。そこでそういう監査権を行使する者が外部の人間であるということは、いわば組合員の自主的な形をこの一角からこわして行くということには間違いないと思うのです。外部の何人が当るといたしましても、そういう人の監査を得なければ、この組合の会計は信頼されないということがもし言えるならば、これは組合員を侮辱する一つの考え方ではなかろうかと思うのであります。組合員自身は、自分の組合は自分の自主性において、自分の責任において、守つて行くということはあまりにも当然なことであると考えるのでありまするが、それにもかかわらず、組合の会計へ外部から介入するということは、とんでもない組合の自主性に対する挿害であると私は思うのであります。しかもそれをもしなさなければ、この法律できめる権利を受け、あるいは手続に参與することができない。いわゆる組合としての権限を一切剥奪してしまう、こういう一つの、ある意味では懲罰的なものが附帶されておるのでありまするが、かくのごとき懲罰的なものを附帶しても、なおかつ外部からの介入を法律的に保障し、また強制して行こうとする、これがはなはだどうも疑わしい。この点を伺います。
#153
○増田國務大臣 私は中原さんの御意見とは違うのでありまして、中原さんも私の言うことを結局御理解くださると思いますが、要するに組合の経理の公開ということが、労働組合の健全に発達する上には必要であるというのは、ひとり公共企業体労働組合ばかりでなく、一般の労働組合についてもしかるべきものと私は思つております。そこで自己推薦というようなことは世の中で一番醜いことであります。自分で確かだからそれでよろしいという行き方では、信憑力は出て來ない。せつかくりつぱに組合を経理し、経営して行くからには、ほかの方が見て、会計士なりその他の方が見まして、なるほどこれは適正であるというような裏書きをされることが――正直にやるならば、あるいは適正な経理をするならば、なおさらそういう有識経驗者から裏書きをしてもらうということは、望んででもやつていいことであると私は思う次第でありまして、決してこれは第三者の干渉でもなければ、自主性の侵害でもない。こういうふうに考える次第であります。
#154
○中原委員 第三者のいわば証明がなければ、その組合の会計というものは外部に向つて信用がない、こういうふうに受けとれると思うのであります。労働組合の会計なるものは、組合員自身の会計において経営して行くのでありますが、その際第三者が立証しなければならないというほどに、組合の自主性が無視されてよいのかどうか。もしこういう考え方をほかのことで考えますと、最近特殊産業のいわゆる企業の経理について、われわれはしばしば疑惑を持つておる。たとえば石炭なら石炭企業の会計の経理が、各種補給金その他國家補助との関係において國に報告されておりますが、この報告されておる経理内容について、われわれは非常に疑問を持つておる。しかもそのような大企業の経理内容が、國家の庇護を受ける関係に置かれておる。從つてひとつ間違えば、赤字補填のために國帑を傾けるという結果になつておるのでありますが、そういうような経理の場合にも、その経理内容を第三者が檢討しなければ、國家から受けるいろんな援助、いろんな利益は、これを停止されるというようなものではないと思います。というのは國の援助によつてその赤字が補填されたり、あるいは経理がそのために超過したりするという関係に置かれておるがゆえに、そのような場合にはあるかもしれないが、労働組合の会計というものは、そういう性質のものでないと私は思うのであります。もしそうであるならば、労働組合の会計の内容が非常に弱くて、相当程度組合の費用を必要とするという場合に、それを國が援助補填して行くというような関係があるから、その信用を立証するために、第三者の監査が必要である。こういうならば、また一つのりくつが成り立つと思うのでありますが、むしろこの労働組合の場合は、それどころか專從職員に対して拂う給與をさえ一切支給してならないということになつた。当然しかるべきはずの事情があつて、ここに給與がなされて、給與が支拂われて参りました。その沿革を無視して、ここにこういう規定をさえ設けておる。そうなりますと、さきの特殊産業資本の経理に対する問題と、これとの問題もまるで逆になつて來る。こういうふうに私は理解できる。そうなると労働組合というものは、まつたく國家から考えれば、監督の面は決定的に深く追究して行こう。しかし援助の面は、あくまで自主性という言葉にかりてこれを薄めて行くというふうな心構えが、ほとんどできておるように思うのでありますが、この点はどうでございましようか。
#155
○増田國務大臣 結局意見の相違になるかと思いますか、私は今中原さんのおつしやつた点は少し反対でございまして、この公共企業体労働組合というものは、一面において爭議権はなるほどございませんし、また労働協約の対象なるものは運営、管理だけは成立たないかもしれませんが、懲戒手続だとか、あるいは職階制のことでとか、あるいは從來の就業規則のことだとか、そういうことまで規定し得るわけでございまして、この労働組合の締結した労働協約というものは、鉄道運営法規のようになるわけでございまして、私はよほど強力なる労働組合であると思つております。そういうように労働組合が権利を享受する場合には、せめてその労働組合の会計内容くらいは、第三者が――会計士さんなら会計士さんが見て、なるほど適正であるという判ぐらい押してもらうことは、私は少しも干渉ではない。むしろりつぱさを証明することになる。自己証明くらい――もつとも自己証明といつても、自分が一番正しければ、これが一番よいのでありますが、やはり第三者が証明することが一番よろしいと思つております。中原さん御承知の政府の経理といえども、会計檢査院から監督を受ける。さらに皆さんから決算報告ということを嚴重に審査されまして、決算が皆さんの御協賛を経なければならないわけである。國会と会計檢査院と二重の監督を受けておるような次第でもありまするし、また聞くところによりますと、アメリカあたりは一般産業労働組合が全部第三者の監査を受けるという法律になつておるそうでございます。
#156
○中原委員 國の財政の問題を引例されて、このことを立証づけられたのでありますが、これはとんでもない例証だと思うのです。國家の歳入歳出、その他の財政の問題についての檢査を嚴重にするというのは、それは政府が國民に対して一つの責任上それだけの手続をとらなければならないのであつて、労働組合の場合は、組合の会計というものは、組合員自身に対する問題なのであります。何も第三者に対して、組合の会計を立証しなければ、効力がないという性格のものでは毛頭ないのであります。ただ今お話の、いわゆる團体協約の一條項の中に、非常に有利な事柄が織り込んであるので、從つてそれだけの信用は第三者の立証によつて証明された方がいいというふうに受取りましたが、これは爭議権を認めないで、労働組合を結成さして行くという行き方の関係から、あまりにも封建的な條件でありまして、そんなことが特典であるがごとき考え方は、いかがかと思うのです。結局言葉の上ではいかように説明がつきましても、この本質から考えますと、やはり組合の会計の内容を、第三者の証明づけによつて外部へ向つて立証しなければならぬという責任を負わすことは、はなはだ行き過ぎじやないかと私は考えます。
#157
○増田國務大臣 この点は実は中原さんの方が先輩でありまして、私はむしろ賛成してくださると思つておつたのですが、御反対の御意見があるようで多少不本意な次第でございますが、要するにこの條文をお読みになつてくださつてもわかりますように、また諸外國の労働組合がそうでありますように、組合員が相当の経費を組合費として出しておる。その組合費が適正に妥当に使われるということは、組合員の利益を擁護することにもなるというわけで、一面組合員の利益擁護の規定でもあるのでございます。
#158
○中原委員 そういう御説明ならどうしても言わざるを得なくなるのですが、あたかも組合のために有利な條件としてここにこれを規定したと言われるに至りましては、まつたく私どもとしては了承し得ないのであります。というのは、組合員が自分の組合の会計の報告を信用する、しないという問題に関しては、これは組合員だからこそ、組合員自身の自主的な、自由なる意思によつて、信頼ある人を組合の会計監査にいつの場合にも指名をするのが建前になつております。從つて組合員の中から、組合員の自由なる意思によつて選び出したその会計監査が、信用のできないものであるというふうに、組合員間の信義を持たないような、そういう労働組合は、実はないのであります。労働組合の中では、おそらく自分の同志として、同じ労働組合員を信頼いたしておりまするし、また今まで信頼して間違いがなかつたと思います。從つてこの点はいかに大臣がこの説明を雄弁になさろうとも、これはその裏側には、やはり組合に対する一つの必要以上の干渉が規定されておるものと私どもは断ずるのであります。
#159
○増田國務大臣 今日は中原さんはずいぶん断じられますが、なかなか断ずることはできないというように、昨日私はおしかりをこうむつたばかりでありますけれども、その点はいかがでありましようか。私は客観的事実として、ただちに断定まではできないというふうに考えます。労働組合の役職員が、今までのところ全部公正な人ばかりであつて、千人が千人そうであつたということは言えないと私は思うのであります。千人のうちたまには一人くらいは私はやはり間違つた人もあつたと思う次第でありますが、要するに鉄道労働組合にいたしましても、あるいは專賣公社労働組合にいたしましても、非常に公的な性質がある。何となれば労働協約の内容のごときは、ほとんど公務員法の内容なんかまで規定し得るようなものがありまするからして、やはり公正に組合経費なんかも運営されておる仕掛を、第三者監査というようなことにしてやることは、決して干渉でも何でもない。いよいよその公正な証明が天下に周知できてよろしいことであると、私は思つておる次第でございます。
#160
○中原委員 断定という言葉が私らしくなければ取消しますが、もちろん私どもは物事を絶対的な立場から考えようとは思うておりません。しかしながら労働組合の組合員が、みずからの意思によつて選考した監査人をもつて、ほんとうは十分なのであります。あるいは千人に一人間違つた組合の幹部、役員が出た場合がないとは申しませんが、もしそういうことがかりにあつたといたしましても、それは組合員の責任においてなされたことであり、また再びそういうあやまちは繰返さないということが予想されるのであります。ということは、組合は組合員自身の利害関係において形成されたものでありまして、そういう意味において結成された労働組合ならば、その労働組合の会計につきましては、あくまで組合員自身がみずからの責任をもつてこれをなすはずのものでありまして、労働組合員、すなわち労働者の人格と申しますか、あるいは労働者の教養と言いますか、あるいは労働者の自覚と申しますか、そういうものをそこまで軽く見てもらいたくない。われわれは労働階級に対して、労働者に対して、もつとその地位を、労働者の人格を、あるいは労働者の教養、あるいは自覚を、高く評價してしかるべきものであると考えるのであります。ただ問題は、このことが外部に向つて効力を発生しなければならない必要があるというような場合ならば、またこれは話が別になつて参ります。会計はあくまで組合員の内部関係の問題でありまして、この内部関係の問題にまで、法律が干渉するように規定に規定づけることは、これはやはりこの労働関係法案そのものの中に、外部から労働組合の権限を侵犯しようとするところの一貫する、精神が織り込まれておることを、おのずから暴露するものであると私は考えます。しかしこのことについて議論をしようというわけではありませんが、これはあくまでそういうような解釈に立たざるを得ない。從つてもしその考え方が間違いであるならば、私も各條項を並べてでも申し述べてみますが、この労働組合法そのものに一貫する、一つの性格であるということが言えるわけであります。從つてこれは労働者の側から見ますと、ことごとく修正しなければならぬ対象になつて來ることと考えるのであります。
#161
○増田國務大臣 私はこの点は一つ中原さんにとくと御懇談でもいたしたいと思つておりますが、中原さんのような経驗の深い方といたしましては、ちよつと私受取れないと思うのであります。というのはアメリカあたりの労働組合は、第三者の会計士の監査証明があることが必要であるということを法律で書いてある。こういうようなことが一般産業労働組合にあるのであります。そうすると、アメリカのAFL、CIOは自主性、民主性もないかということになりますが、私はそうでないと思う。清ければ、みずから進んで証明でも求めるということでよろしい。自己証明というのは、これはお互いに自分でたいこ判を押したところで、人さまが承知しないということもありますし、ことに一般日本の産業労働組合に、こういう規定を置こうという趣旨ではございません。先ほどからたびたび申し上げます通り、官吏服務紀律のようなことまで労働協約の対象になる、身分まで労働協約によつて左右されるような、強大なる権限を労働協約によつて與えられる、そういうような権限を行使できる労働組合でありますから、みずからを持することがやはり公正でなければならない。組合費の経理の仕方は、組合員保護のためにも、公正である必要があるという意味合いから、置かれた規定であるから、これが非民主的だという御意見はございましよう、ございましようが、これがあべこべのマイナスの点をつけられるような、非民主的な規定というようには、思つていないのであります。
#162
○久保田委員 中原氏の質問は、非常に組合にとりまして重大な質問であります。重大な質問でありますが、本会議も始まつておりますのでこれは明日に持ち越していただきまして、今日は一應この程度で委員会をとじてもらいたいと思います。
#163
○綱島委員長 ただいまの久保田君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○綱島委員長 御異議がなければ、そういうことにいたします。本日はこれにて散会いたし、明日は正十一時より再開いたします。
    午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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