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1948/11/29 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第12号
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1948/11/29 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 労働委員会 第12号

#1
第003回国会 労働委員会 第12号
昭和二十三年十一月二十九日(月曜日)
    午前十一時三十五分開議
 出席委員
   委員長 綱島 正興君
   理事 尾崎 末吉君 理事 山花 秀雄君
   理事 中原 健次君
      東  舜英君    倉石 忠雄君
      亘  四郎君    久保田鶴松君
      辻井民之助君    村尾 薩男君
      安平 鹿一君    山本 幸一君
      木下  榮君
 出席國務大臣
        労 働 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        法務廳事務官  西村健次郎君
        労働政務次官  鈴木 正文君
        労働事務官   賀來才二郎君
 委員外の出席者
        労働事務官   和田 勝美君
        專  門  員 濱口金一郎君
十一月二十九日
 委員松木宏君辞任につき、その補欠として亘四
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公共企業体労働関係法案(内閣提出第一三号)
    ―――――――――――――
#2
○綱島委員長 ただいまより会議を開きます。
 前会に引続いて公共企業体労働関係法案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。今日は逐條審議で、九、十、十一條の交渉委員のところを議題といたします。
#3
○倉石委員 きのう途中でからだが悪くなりまして欠席いたしましたので、八條のところでちよつと政府委員にお尋ねいたしたいと思うのです。八條の第五に降職ということがありますが、この降職させるということは、どういう方法でおやりになるのでしようか。たとえば、人事院規則によれば、公務員に対しては試驗というふうなものがありますが、この公共企業体では、その職員をどういう方法で降職せしめなければならないということを発見されるのか。その点に対する御意見を承りたい。
#4
○増田國務大臣 私からお答え申し上げます。昇職、降職でありますが、降職の場合は、たいてい懲戒その他に該当するような場合に降職するということをおそらく規定されるのではないかと思います。昇職という場合は、それぞれ手柄があつたとか、あるいは試驗に合格したとか、あるいは勤務状況がよろしいとかいうようなことが、その昇職の要件になる。その反対になる。こういうふうに考えております。
#5
○倉石委員 日本専賣公社法案及び日本國有鉄道法案のただいまの降職関係のところを見ますると、日本專賣公社法案の第二十二條、それから日本國有鉄道法案の方は、何條でしたかに同じような規定が、たとえば日本專賣公社法案二十二條には、「公社の職員が左の各号の一に該当する場合を除いては、総裁は、その意に反して、これを降職し、又は免職することができない。」こうなつておりまして、降職及び免職は、この二十二條の四箇項目に掲げられたこと以外には行われないだろうと、私どもはこの條文から推測いたすのでありますけれども、この公共企業体の勤務員と、公共企業体とが行う労働協約の中に、これを入れる方がいいのじやないかと私どもは思うのです。一方的にこうやつてこの二十二條できめられてあるというと、公共企業体に勤務する人々は、政府のお考えによりますると、この第二十二條をあらかじめ了承して勤務するということになるのじやないかと思うのですが、こういうことはやはり私は労働者の立場を保護する意味から、労働協約にはつきり入れたい。法文化することがまずければ、そういうことについては、特にこれを監督される労働省において、意を注いでいただきたいと思うのであります。
#6
○増田國務大臣 お説の通りでありまして、專賣公社法案の第二十二條、あるいは日本國有鉄道法案の二十九條は、それぞれ降職の場合を規定しております。この降職をなぜ規定されたかといいますと、身分保障の意味で法律で規定してあるわけでありまして、その法律を施行する場合の、施行細則といつた意味の労働協約が締結される。こういうことに相なるのでありまして、法令ではございませんけれども、法令的の作用を労働協約が営むことになるのであります。一般國家公務員につきましては、おそらく人事院規則で公務員の降職の場合を保障しておいて、今度その保障された降職の規定を執行する意味において、施行細則として人事院規則が設けられるものとわれわれは予想しております。
#7
○中原委員 ただいまの点ですが、私もちよつと氣になつておつたのですが、國有鉄道法案並びに專賣費公社法案との関連でありますが、これらの國有鉄道法案並びに公社法案を見ますと、その意に反してこれを降職し、または免職することができないという。從つて除くというその限界から除かれるものの中に、その職務に必要な適格性を欠くときとあります。從つてその意思に反しても、総裁はこれを降職または免職、その他懲戒することができる。こういう解釈になると思うのですが、そこでこの両企業体の從業員が、総裁のそういう認定にかかつて参りますと、その意思に反しても、なおかつそれだけのことを執行する職権が保障されておるという解釈になると思うのです。そうなると、この團体協約の中で、ここに降職以下のそれぞれの処分権が内容として團体協約に織り込まれることになるが、その間の食い違い、あるいは正面衝突というような氣づかいは起らないものですか。
#8
○増田國務大臣 これは結局施行細則のような意味でございまして、一号ないし四号の場合以外は、その意に反して降職されることがないというのは、これは身分が保障されておる。しかしながらあなたの御指摘の三号の適格性を欠くというようなことは、総裁の独断的な決定にまつということになりはせぬか。そこで結局一方的にどんどん適格性を欠くという判断をされて、首切られては、やりきれないという御心配だと私は思つておりますが、そういうことはやはりあるべきものではないのでありまして、労働協約等で、適格性を欠くとはおよそ左のごとき場合であるというようなことを、この三号の施行細則として、両者が協約してもよろしいと私は思つております。しかしその協約以外の場合は絶対になし得ないかといえば、法規の解釈としては、総裁が見てもつて適格性を欠くということになれば、やはりなし得ないことはないと思いますが、しかしそういう場合はおそらくあり得ないと私は考えております。
#9
○中原委員 ここに法律の非常に重要な点があると思うのですが、そういう一つのいわば絶対権限を総裁に付與するということになつて参りますと、このことが、その一角から民主性を阻害して行くことになる。すなわち雇用関係は、雇用する者と雇用される者との間における対等の関係において、すべてのことが協議されて行かなければならぬし、決定されて行かなければならぬという原則から考えますと、これらの両企業体の法律案がすでにその出発において、いわゆる労働行政の基本線が、だんだん変質しつつあるということを物語るものであるかのように、私は考えるのであります。もとよりこの委員会において両法案の、いわゆる國有鉄道並びに專賣公社法案可否を論ずる場合ではないと思いますけれども、その論議があるので、この点については一應われわれとしても、はつきりとした認識を持つておりたいと考えるのであります。從つてこれらの法律案が一貫しておる点は、從來労働組合運動並びに労働者に対する方針が、労働者の対等の地位という点にあつたものを抹殺して、対等ならざる地位に置きかえようとするものが、ひそんでいることを遺憾ながら見のがすことができないと思うのであります。從つてこれらの点について、もう一度大臣の御見解を伺います。
#10
○増田國務大臣 先ほど倉石委員にもお答え申し上げた通り、公共企業体の二十九條及び二十二條にそれぞれ規定されているのは、公共企業体職員の身分を保障する規定であると私はあくまで思つております。さらにその細則といたしまして両者が対等の立場で締結した労働協約の中に、一号ないし四号に関する細則を規定するということは、これまた民主的であると私は思つております。但ししいて申しますれば、國家公務員に関することは、やはり公務員法の身分保障の中でこういうふうにございます。しかしその細則は人事院規則できめる。これは中原さんの御指摘のごとく一方的にきまるわけでございまして、人事院総裁がきめることになりますから、これはアンチ・デモクラティックということになりますが、こちらの方の身分保障の細則はそれぞれの交渉委員が対等の立場で協約を締結することに相なる次第でございまして、おそらくこの協約に定められた施行細則的なもの以外に、的確性を欠くということは事実上あり得ないと私は思う次第でございます。これはあくまで身分を保障し、尊重したデモクラティックな規定であると思う次第であります。
#11
○中原委員 身分保障という、いわば労働者にとつて保護的な法律であるというふうな御説明でありますが、私はまつたくそうとばかり言えないと思うのであります。というのは、この法律がわざわざこのようにして総裁の絶対権限を保障するということであるからには、身分保障としてりつぱな保障が條件づけられているとは言えない。つまり一應保障するかのごとき表現はされているものの、たとえば國有鉄道法案の二十九條の中で指摘された、四項目にわたる総裁独裁権の保障というものは、これはもう身分保障をまつたくきずつけるものであつて、保障どころではなくて、その範囲に属するものに対しては容喙を許さないという態度が規定づけられていることになると思います。もちろんお言葉のように、労働関係法の点において細則を協約できめるということになつておりますから、その細則に手落ちがないならば、その目的を達成し、保障することもできないではないと思いますが、ここに問題になるのは、あとに來る條項でお尋ねをしてみたいと思いますか、これらの團体交渉を決定する交渉委員会の組織、人選等々の手続に関連しまして、必ずしもこのことがりつぱに確保されるとは保障しがたい点があるのであります。そのことと関連して考えますと、この両企業体法案の総裁独裁権の確保がなされているということは、身分保障という言葉をもつて、何と申しますか、あまりにもりつぱに行き届いたデモクラティックな内容を持つたものであるということには、当てはまらないと私は考えます。しかしこの点についてはあとの條項にわたりまして関連がありますから、その場合関連して御質問することにいたします。
#12
○綱島委員長 それでは九條、十條、十一参條の交渉委員及び團体交渉を行う單位の決定、交渉委員の選出の手続等について御質疑を願います。
#13
○中原委員 まず最初に第九條についてお尋ねいたします。公共企業体の職員を代表する交渉委員とにより行うという点がありますが、これを御説明願いたい。
#14
○和田説明員 説明員より御説明申し上げます。九條の交渉委員により行うと申しますのは、十一條の中に規定がございますように、團体交渉は交渉委員だけが行う。それ以外の者は交渉を行い得ないということを意味しているわけであります。交渉委員は單独に行うものでありませんで、第九條二項にございますように一定数の者が交渉委員として出て來るのでありますが、それが交渉委員團を形成して、團体交渉を行う相手方の公共企業体を代表する交渉委員團と交渉を行う、その両方の交渉委員團がお互いに團体交渉を行うということになつております。
#15
○中原委員 御説明はよくわかりますが、この交渉委員團の構成員である交渉委員を選出する母体としては、公共企業体の職員を代表することになつているわけであります。この点で労働組合と職員を代表するということとの意味の関連をお聞きしたい。
#16
○和田説明員 第九條では公共企業体の職員というように非常に一般的な言葉で言つておりますが、具体的に交渉委員はどういう方法で選ばれるかということは、十一條で詳細に手続を規定しているわけであります。ここで職員と申しますのは、一般的にその單位における職員を代表するという意味でありまして、具体的に出て参ります者は、十一條等から予想いたしますと、その單位における主たる組合から、ほとんどの者が選ばれるようになるのではないかと考えております。
#17
○中原委員 問題はそこにあるのです。なるほど予想ではその單位を代表する者は、大体において組合を代表するものである、こういうふうに考えられるという御認識であつたと思いますが、これが先日來から非常に問題になつている点であります。労働組合員を代表する者並びに非労働組合員を代表する者、そういうものの両者が抱き合されてこの交渉委員が選ばれることになると考えられますが、はなはだくどいようでありますけれども、この点組合というものが非常に軽く考えられておる。労働組合に対する認識が、関係法案の中ではどうも欠けておる。あるいは認識があるとすれば、労働組合をなるべく排除しようとする傾向が織り込まれておるということを指摘するのはここなんであります。從つて公共企業体の職員を代表する交渉委員によつてというこの場合を、組合を代表するということにすれば、問題が非常に端的になつてスムースになる。しかも労働者のかくあるべき姿が、法律をもつて規定づけられて行くことになるようにわれわれは考えるのであります。從つてかくあるべきあり方を法律で規定することが今の場合必要なのではないか。ことに今までの労働組合の成長の過程から考えますと、國の方針として、労働者には組合を組織せしむるということであるべきじやないかと思うのであります。この点について大臣の御見解を承りたいと思います。
#18
○増田國務大臣 この十一條の規定は、この間からも政府委員から御説明申し上げました通り、「主たる組合は」とこう書いてあるのでありまして、組合員以外の職員という場合は、主たる組合でないほかの組合の組合員たる職員もありますし、また組合員外の職員の場合もあると私は考えております。そこで第九條の書き方は、組合という問題でなしに、エンプロイヤーとエンプロイーというような立場で、使われる側の代表者、こう書いただけにすぎないと御了承願いたいのであります。別に組合と書かなかつたからどうこうということではございません。しかし中原さんと私どもの意見の相違がある点は、数日來継続しておる、いわゆるオープン・シヨツプにするか、クローズド・シヨツプにするか。あなたはクローズド・シヨツプにした方がいいとおつしやいますし、われわれはオープン・シヨツプでよろしいと考えておる次第でありまして、健全なる組合の発達助成については、こちらは非常な熱意は持つておる次第でございまして、組合排撃という気持はいささかもない次第でございます。使う側と使われる側とが、それぞれ代表者を出して交渉をするのだ、こう書いただけでございます。
#19
○中原委員 さらに第九條第二項「交渉委員の最大限の数及び機能は、政令で定める。」これも官僚的な一つのきつぱりした表現でありますが、交渉委員の数が実は問題になるのです。三名でもりつぱな交渉委員が出れば、みごとに労働者の総意を代表することができる。十名出たからといつて、交渉委員が悪ければ、かえつて労働者の意思を代表しがたくなるというようなことをもつて、説明づげられたという点があるのでありますが、しかしそれがどうあろうとも、大切なことは、そのような数を決定したり、機能を決定したりすることは、あくまで利害関係の直接的な立場における労働者の意思を聞いて、その話合いの結果として、決定すべきものだとわれわれは考えております。しかるにこの場合やはり政令できめると表現されておるのでありますが、この点についてのいろいろな当局の考え方を承りたいのであります。
#20
○増田國務大臣 この最大限の数というものは、要するに数を制限したわけではございませんで、その範囲内ならば、幾らでもよろしいということになつております。結局これは十人でなければいけないというわけではありませんで、かりに十人なら十人としてありますれば、八人でも九人でも、およそ十人というのが最大限である。二十人、三十人、そこはどういうふうにきめるかわかりませんが、われわれも非常識なきめ方はいたしたくないと考えております。それから機能というのは、もつぱら交渉なり協議をする一つの議事運営のことを書くわけでありまして、別に政令で定めたから、これは強権的であるというふうには感じておりません。こういうものを書かぬことには、動きが始まりませんから、動きを始めますために、政令で書くというだけのものであります。
#21
○中原委員 最大限ということは、もちろん非常にゆとりのある最大限を決定される場合も予想されないわけではありませんが、このきめ方によりますと、五名を最大限とすると言われても、それだけのものでありまして、もとより非常識なことをしないというお言葉がありましたから、いろいろな過去の経験と実情を参酌されて決定になることと思いますが、それであればなおさらのこと、労働者と協議してきめるというようなことになれば、非常に民主的な性格がそこに出て來て、労働者側としましても、法律に対する一つの信頼が持て、あるいは政府のそういつた態度に対しても、心からそれにくみするという氣持を持たせることができるのではないか。一方的にきめるのだという、いわば一つのそういう特権を、政府が持つているのだというような考え方で表現しているということそのことが、どうも問題になると私は思つております。この点について……。
#22
○増田國務大臣 これはくどいようですが、こういうふうに書いておきませんと、動きが始まりませんから、動きを始めるために、政令で書く。ほつたらかしておくと、労働協約もまずできないというようなことになつてしまいますから、一應こういうような交渉委員がこういうふうに動くのだということの、動きを始めていただくための政令であります。それから数のことや機能のことは、あくまで現在やつているようないろいろな習慣がございますから、現在國鉄労働組合と使用者側との交渉というようなことは尊重いたしまして、その形を政令に生かす。專賣公社についても同断であるというふうに御了承願いたいと存じます。
#23
○中原委員 すべり出しを始めるための必要からこれができている。そのすべり出しを始めるためにも、そういう協議をする対象がないというのじやないから、別にすべり出しをするために、一方的に政府の考え方できめなければ、きめられないという方法はないと考えるのであります。この点につきましては、見解の相違もあるのでありますが、一應この程度にいたしておきます。
 それから交渉委員の問題でありますが、交渉委員を決定する比率というか、労働者側で決定する一つの決定方法ですが、これはたとえば組合と非組合側との間の話合いといいますか、そういう点は大体どのように行えるであろうというお見通しを持つておいでになりますか。
#24
○和田説明員 御説明申し上げます。十一條の初めの方に「主たる組合は、組合員以外の職員の代表者と協議して、」ということになつておりますが、この内容を申しますと、大体数的な関係等も相当協議の対象になるのじやないか、協議の場合に相当の問題になつて来るのじやないかと思つております。具体的には、各組合がそれぞれその都度の具体的な事情に應じて、決定して行くことになろうと思いますが、何と申しましても、組合員数という問題が一番大きい問題になりまして、それにある程度比例をするというようなことになるのじやないかと思います。
#25
○中原委員 またここに一つ問題が出て来るわけなんです。一つの企業の中で、あるいは單位の中で、労働組合員の数が多い場合には、比較的組合員の数が多いのであるから、労働組合の意思が一應進歩的な立場に置かれるということも見えるのでありますが、逆に労働組合の組織員の方が非組合員より少いというような場合がないと保証できないのであります。しかも今度の性格から申しましても、組合員にならなくてもいいというような氣持が助成されるようにできておりますから、組合員にならなくても、ということで、だんだん組合員の方が非組合員より数が少くなることのおそれがあるわけです。こうなつて参りますると、この場合の交渉委員を指名することの協議が、非組合員の意思によつて支配されて行くということが考えられるのではないかと思うのですが、この点についてはどうですか。
#26
○和田説明員 交渉委員が行います團体交渉、それに基いてできます労働協約は、組合法の十九條によりまして、どこまでも労働組合でなければ結べないわけでございます。ですから、ばらばらの職員がおりましたときには、交渉委員になりましても、それは労働協約が結べない。結局結べますのは、組合をつくつておる者だけしか協約が結べないのでありまして、むしろそういうために、組合をつくる比率が多いのではないか、そしてその労働協約には、八條の二項にございますように、非常に労働者の職員の労働條件に関することがございますので、これは協約を結ぶ必要上、職員はかえつて組合をつくる方に向うのではないか、さように考えております。
#27
○中原委員 それでは労働組合以外のものが團体協約を結べないということになると、この法律案では非組合員の團体交渉への参加も、この関係から言いますと、下さるわけですが、その間の食い違いといいますか、方針に矛盾が起つて参りませんか。
#28
○増田國務大臣 團体交渉をいたしましても――團体交渉をした結果、労働協約を締結するということになりますと、当該労働組合と、それから公共企業体を代表するものとか、公共企業体の代表者、つまり総裁になるのですが、交渉委員がかりに本名あるといたしまして、その本名の者と、それから非使用者側といいますか、職員側が十名で交渉いたしましても、その中に労働組合が、かりに二つあるといたします。二つあつて、主たる組合が総裁なら総裁と労働協約を結ぶ、從たるといいますか、二番目の大きい労働組合もその組合と総裁とが團体契約を結ぶ、交渉はあくまで交渉でありまして、結局契約当事者といいますか、これは一種の團体契約といえども、雙務契約でありますから、その雙務契約の一方の当事者は総裁であり、他の当事者は組合である。こういうふうに思つております。
#29
○中原委員 それでは協約を結ぶ対象は、あくまで組合とこれを行うのである。こういうふうにはつきり理解いたしてよろしいですね。さらに両者の、組合員と非組合員との協議が一致しなかつた場合、そういう一致しなかつた場合には、その必要な措置を労働大臣が決定するということに明記されておりますが、そういうところにわざわざ一致しがたいような條件をつくつておくということが、やはり労働行政の根本方針からいうと、私はいたずらにそういう混乱を引起すような條件をこの法律がわざわざ規定しておるというような感がいたすのであります。ほんとうは、労働者の方の意見が一致しなかつたというような結果の生れるような條件をつくることが悪いのじやないか。そういうことをするから、それが一致しなかつた場合には、わざわざ労働大臣の職権の行使によつて、労働大臣がその措置を講ずるというようなことになつて來る。從つてそのときに起つて來る問題は、政府が労働組合の自主権へ手をつけて行くというようなことになるのじやないか。この解釈はどうでございますか。
#30
○増田國務大臣 中原さんもお感じになつておると思いまするが、最近法令は非常に親場切にできております。というのは、從來われわれはどつちかというと、ドイツ系統の法律を学んだものでございまして、きわめて簡明直截にしか書いてございませんが、経験とかあるいは実際の、ことを非常に重んじまする英米系統の法令というような思想が、また入つて來ておりまして、これは非常にこまかい、親切な規定をたくさん書いてあるのでございまして、親切に書いた規定ということは、私は非常によい傾向だと思つております。大体ドイツ系統ばかりの法令思想はよろしくないので、やはり英米系統の法律思想も相当入れまして、実際上のいろいろな場合を想定して、親切に書くというような――これは、この法律に限りません、経験後でき上つておる法律はほんとうにこまかいことを、かゆいところに手の届くような法令がたくさんございますが、実際実証的知性を重んずる英米の傾向といつたようなものは、われわれがこれから民主主義を確立するために、参考にしてよいというふうに考える次第でございまして、こういうようなこまかいことまで、こういう場合にはこう、ああいう場合にはどうするという、こんなところまで規定しなくてもよいじやないか、あるいは逆にというお感じはあるかもしれませんが、逆にお考えになつて、そういうこまかい、かゆいところまで手の届くような規定をお考えになつて、こういうようなことは、むしろ不一致を予期しておるのであるというふうにまでお考えになるのは、少し頭がよすぎる法律解釈であるというふうに私は考えますが、決して惡意でも何でもございません。また一致すること――二月二十五日までに選出することがわれわれは望ましいし、またすることを期待しております。また熱望もいたしております。
#31
○中原委員 非常に行き届いた法律の内容になつておるという意味で御説明のようでありまするが、私が申しますのは、ここまで手を盡して保障をつけて行かなければならぬような、從つて紛爭を予想しなければならぬような、從つて紛爭の起るような條件を労働者側に與えて行くということが、そもそも間違つておるということを申し上げておるのであります。ですから、こういうふうに組合員並びに組合員外の代表者と協議する必要のないような状態がつくれるわけです。だから労働組合という一つの單一体において、ことを進めて行くことのできるような、いわゆるシヨツプ制もまたできるわけです。しかも今までの日本の職後の組合運動の組織の実情から申しますとクローズド・シヨツプの形に大体なされておるわけです。それをわざわざ組合員たることを要せずというような感じのする取扱い方が薄くなされて來たというところに、こんな複雑な問題が発生して來るのでありまして、これを労働組合というものの自主性にまかして、労働組合の責任において交渉委員の指名をすべきである。こういうふうにきまつておれば、ことはないのです。わざわざ複雑にして混乱を生せしめるようなことを規定したというところに私は問題がかかわつておるということを申し上げたのです。これは一つの法律の取扱い上の非常に複雑性があるのでして、その複雑性のゆえに、その複雑のうちに、労働者が思わず知らずの間に、不利をこうむつて行くという結果になることを、私どもは氣づかうのであります。その点はいかがでしよう。
#32
○増田國務大臣 中原さんの御説は一應ごもつともでございますが、あくまで私はこれははつきり申し上げておきたいと思います。混乱を惹起したり、釀成したりするような規定を置いたという趣旨ではございません。意見が一致することをもちろん期待しておりまするし、また二月二十五日までに、交渉委員を選出するということを必ず期待しておる次第でございます。しかし万々一できなかつた場合には、團体交渉もできなければ、いわんや労働協約もできないということになります。そうなると、これは公共企業体の企業の運営にさしつかえございますから、こういう規定が置かれてある次第でありまして、しかも労働大臣がやるということは、労働大臣がそれほど専制的な立場で臨むのだという前提ででもなければ、あなたの説も一應首肯しかねる。私はあるべき労働大臣という立場でお考え願いたいと思つております。またあなたは、理想的なへあるべきという言葉をお使いになりますが、私はあるべき労働大臣といたしますれば、何々個人たる労働大臣は格別といたしまして、あるべき労働大臣というものは、労資両方面から見ますと、やはり中立的立場に立つているのであり、そういう立場に立つている者が交渉委員の決定をする、こういうようなことに相なるのでございますから、別段これはそう惡い規定ではない、どつちかと言いますと親切に過ぎるということは私は言い得ると思いますが、それ以上の何ものでもないというふうに御了解願いたいのでございます。
#33
○中原委員 二月二十五日までに指名しなければならない、そうしてその期日までにもし指名をなし得なかつた場合には、交渉することさえできないという結果になるから、とこういうふうに御指摘でありますが、労働組合は、そしてまた労働者は、自分の利害に関する問題を交渉するのでありますから、労働組合の責任において、二十五日という期限があれば、その期限までに交渉委員を指名するということは、当然なし得ることであり、またなさなければならぬことであります。從つてそれをしも、なおかつ不可能な場合があるかもしれないと考えられるところに、つまり組合員と非組合員との対立関係をわざわざつくり上げたということになるわけであります。しかしこれは議論になりますから申し上げませんが、ただその点を指摘いたしまして、当局と私との見解の相違点を一應はつきりいたしておきます。
#34
○綱島委員長 午前中はこれで休憩いたします。
    午後零時二十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十四分開議
#35
○綱島委員長 休憩前に引続きまして逐條審議に入ります。
 休憩前に議題にしておりました九、十、十一條について御意見を伺います。
#36
○辻井委員 これはちよつと元にもどりますが、簡単なことですから御答弁を得たいと思います。第六條の会計報告の、外部の監査人が監査を行うというのは、組合の本部だけなのか、あるいは支部とか分会とかいう下部の單位の会計をもさしていうのか。この点をお尋ねしたいと思います。
#37
○賀來政府委員 この趣旨は、昨日來大臣から申しましたように、組合が全組合員から信頼を受けた強いものになり、また社会的にも信用のあるものになるから、ということをいうておるのであります。從いまして、こまかく下部までというふうなことも別に考えていないのでありまして、規定はいたしておりません。ただ全体としての組合の運営がうまく行くということを予定いたしております。
#38
○辻井委員 次は十一條に「職員を代表する主たる組合は、組合員以外の職員の代表者と協議して」云々とあつて、いわゆるオープン・シヨツプで、組合以外の未組織の職員も認めているのですが、これは数に制限をするお考えがあるのかどうか。労働組合法によると、同一企業体とか地域で四分の三以上に行われている協約は一般にこれを適用するというようなことになつているのですが、組織に参加していない職員は、どれだけ数があつた場合とか何とかいうような制限が、何も明らかになつていない。この点どういうお考えですか。
#39
○賀來政府委員 制限をする意図はあけません。ただこの点は御了解を願いたいと思います。この公共企業体の関係法自身が、労働組合法を一般法として持つておるのであります。しかも團結権をそれによつて認め、團体交渉権すなわち国体協約の締結権を認めておりますが、これは組合としての組織を持つておるものでなければ、團体協約は結べないのでありますから、かりにたとえて申しまして千人の労働者のうち組合は百人であるとしますと、この百人の組合が團体協約を締結する力があるわけであります。從いましてこの組合をつくつておるものが非常に力強いものになるということと、それからもう一つは交渉いたします場合に、一つの交渉委員会、すなわち一体としての交渉に当るということがありますので、数字は制限をいたしていないのであります。
#40
○辻井委員 第十一條には、労働大臣がその職員の間で交渉委員を選出しなかつた場合に、選挙せしめる規定でありまして、三号には職員の集團の職種と数的勢力に適当なる考慮を拂わなければならない、とあります。これは当然なことだと思いますが、しかしその考え方から行きますと、ごく少数の職員が組合に参加していない場合にも、やはりこれを無視することができない。もし数に制限をしなければ、無視することができないというような非常にやつかいな問題が起つて來ることになると思いますが、これはどうお考えになりますか。
#41
○賀來政府委員 特に少数者で、こういうめんどうなことをやらそうという意図の者があれば、めんどうなことになりますけれども、いろいろな情勢を考慮して、適当に労働大臣がやることができるということは、そういう場合には、こういうごく少数者は無視してやり得るということを考えておるのであります。
#42
○辻井委員 労働組合法では四分の三が一致すれば、あとは四分の三できめたことによつて利益を受けることもできるかわりに、反対な決定をなされても、從わなくちやならぬという原則を労働組合法では認めている。しかるに数の方に何らかの制限をせずに、どれだけでも組合に入つていない者があつた場合には、これにも選挙権を與えて、やつかいな手続をしなければならぬというようなことは、非常に煩雜な問題を引起すと思うのです。このオープン・シヨツプがいい惡いは別として、この規定自身が非常な矛盾ではないかと思いますが、一つの職場に、たとえば五人でも十人でも組合に入つていない者がある場合には、それを無視することができないということでは、たいへんやつかいなことになると思います。これは数に全然制限は考えられていないのかどうか、承りたいと思います。
#43
○賀來政府委員 これは先ほど私申しました説明が足らなくて恐縮でありましたが、一般法と特別法との関係も持つておりますし、労働組合法の二十三條の四分の三という規定は、やはりこれに適用になつております。從いましてここの十一條の一項の第三号の終りの方の、労働大臣は適当なる考慮を拂はなければならないという場合におきましては、それらの諸情勢も勘案いたしまして、めんどうなことのないように、また労働者全体の保護がうまく行くように、運営をしなければならないと考えておるのであります。要はこれらの諸規定がありますことは、使用者側が故意に、あるいはある意図をもつて組合をなるべく分裂させて行こう、こういう意図が現われて出ますのを防止するための規定でありまして、この趣旨でこれが運用さるべきだということを申し上げまして、御了解願いたいと思います。
#44
○辻井委員 かりに労働組合法の原則を見ても、四分の一以下の場合にはそれを無視してもいいということになりまして、四分の一以上なければ交渉委員の選挙に参加できないということになると、結局何人かを獲得すれば選挙権が得られるということになつて、場合によつては組合を切りくずそうとするような傾向を促すおそれなしとしないと考えます。それからもう一つは、企業体側にそういう意図が全然ないにしましても、組合の間からそういう動きを起こすおそれがあると思う。それからもう一つは、必ず全教連なんかがすぐこれを見習つて、民間企業にも押し廣めて行こうとする。民間企業では現在盛んに組合の切りくずし、幹部の切りくずし、十一條違反、そして労働委員会に提訴したり、裁判の問題になりましても、その間に第二組合をつくつて組合を切りくずそうとするような動きが、全國的に盛んに行われておる。こういう場合に國の法律でこういうことがきまりますと、これに習うて必ずそういうものが出て來る。こういう上にも非常に大きな弊害を來す。未組織の者の選挙権に対する数を制限しなければ、こういうことになる。制限すればするで、またもう少し数があればというようなことになつて――企業体側ではそういうことはないにしても、組合員の中からそういうことが起らぬとも限らぬというふうに考えますが、どうお考えになるか。
#45
○鈴木(正)政府委員 根本方針として、絶対にただいまのような考え方が意図されておらないことはもちろんでありまして、ただこういうような場合が、民間の一般の方に運用されるような形で廣がつて行くようなことはないかという点を、御心配になつているように思いますけれども、御承知のように累次御説明申し上げましたように國鉄及び專賣関係の特殊な企業形態、それから現在の特殊の事情という上に立脚して、この範囲においてこういう規定を設けたのでありまして、もちろん政府の考え方として、一般的にさようなことがあつてよいとは思つておりませんし、また全然そういう意図を政府が持つておらないのみならず、一般の企業関係においては、ただいま御心配のような、そういつた方面に運用されるおそれは大体ないものと考えておる次第であります。
#46
○辻井委員 ただいまの御答弁には全然満足ができませんが、結局意見の相違になりますから打切りまして、次に二十一條2の一の「公共企業体及び職員を代表する交渉委員は、それぞれ委員の候補者として推薦すべき者の名簿を作成し、相互にこれを交換する。」これはどういうことを意味しているのか。ただ職員側の方、組合側の方から言いますと、組合側から委員を出すのに最も信頼のできる者を、委員の数が一人でよければ一人、候補者がもう一人いるなら候補者とも二人選べばいいはずだと思うのに、一体それ以上の数を選んで相手側と交換をする。なぜこういうことをしなければならぬかということを承りたい。
#47
○賀來政府委員 この法案自体は組合員に爭議権も與えられていない。その趣旨は、できる限り公共企業体の運営を正常に持つて行きたい。ついては労働者側の苦情不満というものをすみやかに解決をはかつて行きたい。つきましては調停委員会も力を持つたものでなければならない。力とはすなわち双方が信頼し得るものでなくてはならない。さような意味合いにおきまして、相互が、つまり使用者側は組合側から出しております推薦者の中から信頼する者を選択する。組合側は使用者側から出します委員について自己の信頼し得る者を選任する。そうして、双方出ました労資の代表が、労資双方の信頼し得る者でありますならば、この調停委員会の裁定につきましては、労資双方とも喜んで裁定に服するであろう。かような意味におき質してこの調停委員会の能率を有効なものにするために、こういう制度をとつておる次第であります。
#48
○辻井委員 それでは数はどれだけずつ出すことになつておるのか、これは明らかになつていないのですか。
#49
○賀來政府委員 初めの案では、五名以内という考えも一應出たのでありますけれども、法律でさようなことを制限すべきではないということから、削除になつておるので、法案としては立案されなかつたのであります。從つてただいま何名ということは考えておりませんが、施行令をつくりますときには、一應考えなければならぬかと思つております。
#50
○辻井委員 これもただいまの御説明では、全然納得ができないのでありますが、労働委員会はできてから、もうすでに二年余りになりますが、相当な経驗を経て來ております、その労働委員会の経驗から見ましても、また労働委員会の制度から見ましても、労働者側から選ぶ者は最も忠実に労働者側の利害を代表してがんばる。経営者側を代表する者はまた経営者側の立場に立つてがんばる。それをうまく調和さすために、両者から選ばれた中立委員が設けられていることは御承知の通りでありまして、この委員会もやはりそういう形になつているにもかかわらず、大体五名出してその名簿を相手方に渡して相手方に選ばす。結局相手方は五名の中からなるべく無能な人間、労働者側にとつては無能な人間、その調停にかかつている問題についてあまり精通していない、あるいは経驗のない者を選ぶようになることは、明らかなことでありまして、それでこそ紛争が起り、調停の必要がある。從つて労働者側の最も信頼する人間だけを出すことが最も当然だと思うのですが、すこぶるこれは変な規定だと思います。もう一度この説明を承ります。
#51
○賀來政府委員 これは辻井さんと決して議論をするわけではありませんが、もし反駁できないことになりましたら、お許し願うことにいたしまして、この労働組合法によりまする労働委員会は、やはりお話の通りに労働者側の利益を代表する者を出す、使用者は使用者の利益を代表する者を出して行くというのでありますけれども、三者は一体性を保つて調停に当るということが予期せられておるのであります。どこまでも一対一で参りますと、結局中立におります者がキヤステイング・ボートを握りまして、AとBとの中間線をとるということになるのでありますが、これが一体性を保つて行きますと、公正なる、また適正なる調停案が出る。かようなことを予期いたしておるのであります。ところで、これに加えますに、さらに一対一の対立ができないような相互の信頼を持つた者が出ますならば、一層ただいま申したような調停委員会としての一体性がうまく保てるのでないか。今日までの経驗によりますと、すなわち組合法によります労働委員会によつてつくられます調停委員会というものが、おおむね一体性を保たれて來ておりまするが、場合によりますと、ただいま私が申したように、一対一の対立になりまして、結局中間におります中立の人がAとBとの中間線を保つて、その現象を糊塗するというようなことになつた結果もないではないのであります。御承知の通りにこういう調停仲裁制度の先輩國でありまするアメリカにおいては、さような長い経驗からでありましようが、やはりこういうふうな制度をとつておるのでありまして、これはわれわれといたしましては、労働者側は自分の最も信頼する者を候補者として出し、使用者側も自己の最も信頼する者を候補者として出します。その中からさらにお互いに信用ある者を選ばさせるという非常に理想的な考え方になつておるのでありまして、これがうまく運営されますならば、われわれの意図するような結果になり得るものと期待いたしておる次第であります。
#52
○辻井委員 そういう建前から行きますると、三種の委員を出す必要はないわけで、全部が寄つて、單なる委員を選べばよいという結論になるのではないかと思います。これまたこれ以上の議論はやめまして、次にもう一つお尋ねしたいと思います。
    〔綱島委員長退席、山花委員長代理着席〕
 それからこれは簡單にお答え願いたいのですが、委員はどういう範囲から出すのか、職員側は職員の中から出すのか、経営者側は利益代表の中から出すのか、また第三者と見られる委員、労働委員から選ぶ委員はどこから出すのか、これをひとつ承つておきたい。
#53
○賀來政府委員 これについては制限をいたしておりませんので、職員でなければならぬということはありません。先日來お話のありましたように、組合運動の先覚者であり、また長年指導に当つた人が、自己の一身上の都合で職員をやめられたが、この人は長い間組合長であつて、労資双方の信頼がある。そういう場合には、かような人が労働側から出られ、あるいはそういう人が使用者側から出られてもよいわけでありますし、第三者に関しても、これは制限を付していないのであります。
#54
○辻井委員 それでは次に三十六條の件であります。仲裁委員会は第五條違反の行為があつたときには、企業体にその行為の停止を命ずることができるということになつていますが、十七條違反に対しては何も規定されていないのであります。たとえば業務の正常な運営を阻害する行為があつたと認められて、そのために十八條の一切の権利を失い、かつ解雇されたというような場合は、もちろん仲裁委員会にかけることができると思いますが、そういう場合に、これは企業体側にむりがあつた、不当であつたと認められたときにはどうなるのか、取消しを命ずることができるのかどうか、あるいはもし解雇を命ぜられてその間勤務ができなかつたとすれば、その給料の支拂いなんかをどうするのか。この点をお伺いしたい。
#55
○賀來政府委員 十七條違反で十八條で処分を受けましたときには、これは直接裁判所に行くことにいたしております。從いましてそれがために、もし裁判所でその行為がいかぬということになりますれば、使用者側が給料下拂いの損害賠償に任ずることと思いますが、ただわれわれの考えておりますことは、十七條の違反であるとして処分されます場合には、五條の違反行為が伴う場合が多いと考えられるのであります。すなわち実際は、組合活動を活発にやる、けしからぬというので、これを十七條のそそのかした、あおつたというような関係で、十八條の処分をやるような場合が相当あり得るものと思います。さような場合においては、三十六條によつて仲裁委員が取消しを命ずることができると考えるのであります。
#56
○村尾委員 病気で休んでおりまして、あるいは質問が重複するところがあるかもしれませんけれども、簡單に二、三点お伺いします。最初の目的から第二條にかけましての、この法の根本的な点ですけれども、私どもは國家というようなものはゲゼルシヤフトだ――利益團体だというふうに考えております。從つて何か特殊なもの――なるほど公共的機関と言えば、意味がわからないことはないけれども、しかしやはり一つの利益團体だ。鉄道とか、あるいは專賣局というようなものと、他の大きな企業体、あるいは電氣産業とか、その他のそういうような企業体というものと比較して、そう本質的な差異はないのではないか、從つて何も今ここに特別な公共企業体という名称をもつて規定して、しかもただ國有鉄道と、日本專賣公社だけがこれに入る、ほかのいろんな看板だけの公共企業体、あるいは自治体等の公共機関もありましようし、あるいはその他のいろんな機関もあると思いますし、公共企業体と称すべきものはほかにもあるのだけれども、しかもそれはおのおのみんな何らかの形で利益團体なのである。それをなぜこの二つだけを特別にこういうように規定をしなければならなやかという問題について、もう少しはつきり当局の御説明を得たいと思うのであります。
 さらにこの法案は、明らかに二つの企業体の從業員にいろいろな意味で制限を加えておる。しかしながらその制限の面だけが非常に強く出ておつて、制限するかわりに、何かたとえば一般の勤労者の生活水準に比べて劣らないように、その生活を擁護してやるというようなそういう保護的な面、擁護的な面というものが、私の読み方が足らないのかもしれないけれども、この法案には、どこにそれが盛られておるか、ほとんど発見に苦しむような状況でありまして、これについて、もしか政府委員の方に、ここの項は明らかに従業員のために――たとえば今日みたいにインフレーシヨンの激しいときには、それに対應して生活指数なりそういうものをちやんと調べて、それに対してこういうふうにスライドするというふうな、何らかのそこに生活を守つてやるとか、公正に取扱つてやるというような規定はないのか、あるいはお設けになる意思はないのか、その二点をお伺いいたします。
#57
○鈴木(正)政府委員 國家はそもそも公益性のものだというふうな御議論がありました。それは一般の國家論として、幾つかの説が行われておる中に、そういう説ももちろんありまするし、それからまた、そういうようなお考えのもとに、別の角度から数日來御質問がありました。というのは、別の方の角度といいますか、何も鉄道、專賣だけでなくて、ほかにもあるのじやないかというような、実例をあげての御質問もありましたけれども、この法案が出て來る現在の日本の國家、それは一般的の通念から日本人が考えておる法治國家というような考え方からおそらく出発して――さらにそれ以上別の深い特殊の意味をもつて、この法案をつくるにあたつて新しい國家論を検討したのじやないかと思います。いずれにせよ、私自身そういう方面は專門でもありませんからして、大体そういうようなごく平面的な、現在の國家をそのまま――普通の常識的の國家論を受入れて出発したのだと思うのであります。
 それから國鉄、專賣関係の二つ以外にも公益的の性格を持つた事業がいくらでもあるのじやないか、この御質問は各方面から数回繰返されたのでありまして、お説のように確かに特に專賣事業のごときをとりますると、たまたまこれが全的に國家事業であつたというだけで、その内面を分析して行くと、これと同程度の事業も、他の民間にも相当たくさんあるという見方、これはお説の通りと思います。しかしたまたまこの二つのものが取上げられましたのは、公益的の性格を持つた事業であると同時に、完全なる國有の公共企業体である。そうしてそれがマツカーサー元帥の手紙に指示された点と直接的につながつておるという関係から、第二の点を取上げまして、特殊の法的の措置をしたという意味だと思うのであります。また基本的の労働者の権利に対して幾多の制約が行われておる、それは公益関係という面から一應認めるにしても、それに対する保護の面が現われておらぬじやないかという御質問も、すでにあつた御質問でありますが、大体におきまして國家公務員法と違いまして、この方面は労働三法を準用するということになつておりますので、組合法一條、二條等を初めとして、労働者の保護、そういつた面に対する法的の準備は労働三法の方にあるのでありまして、それらの点は特にこの法律の中で一々うたつてなくても、現在一般労働者がわが國の労働法規の中で受けておるところのそういつた面は、同等に受けることができる。それからある面において基本的な労働者の権利が制約を受けておるということは、これは今も申しましたように、特殊な公益的なものであり、しかも全的に國家が持つて経営しておつたものであるという関係、現在の段階、それからマツカーサー元帥の手紙に関係を持つ、そういつた関係から、この二つが抜き出されて、こういつたような扱いを受けたというように、私たちは考えておるわけであります。
    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕
#58
○村尾委員 今の御説明の中で、労働三法の適用を受けるというようなことでございましたが、しかしたとえば爭議権というものは否認されておりますし、從つてその否認から來る特殊な不利益と申しますか、片手落ちな処置に対しまして、何か生活水準を十分維持さしてやるというような保障ですね。そういうようなものがほしいと思うのですが、それに対しての御意見を承りたい。
#59
○賀來政府委員 私から事務的な面に関連してお答えいたします。公社法の二十一條に「公社の職員の給與は、その職務と責任に應ずるものでなければならない。」それから「公社の職員の給與は、生計費並びに國家公務員及び民間事業の從業者の給與その他の事情を考慮して定めなければならない。」ということで、公社の経営者の方は、こういう趣旨で縛つてあります。ところでこういう程度でありましたならば、公務員とさしてかわらないのでありますが、さらにこの公共企業体労働関係法におきましては、ただいま次官から申し上げましたように、この定め方も一方的に定めるのではない、團体交渉によつて定めるということになつておりますので、これは御承知の通りでありますが、公務員と違いまして、組合の労働者の意図が、国体交渉の形において反映せられることになつております。さらにまた、もし両者の間に意見がまとまりませんときには、公正なる調停及び仲裁の制度によつて、これが公正に結ばれるようにというような、保護が考えられておるわけであります。
#60
○村尾委員 一應これで質問を打切ります。
#61
○綱島委員長 そういたしますと、第十條、第十一條は一應終つたことといたしまして、第十二條から第十六條まで関連があるようですから一括議題といたします。
#62
○村尾委員 第十五條は、毎年少くとも一回は会合を開かなければならないということにしてあつて、少くとも一回はできる。あとは一方の請求があればその都度開くことができるとしてありますけれども、当今のように非常にインフレーシヨンの過程にありますときには、一年一回というのでは回数が少いので、少くとも年に四回ぐらいはやるというように、はつきりした方が、実情に適するのではないかとも思われるのでありますが、これに対して御所見はいかがですか。
#63
○賀來政府委員 これに「毎年少くとも」と書いてありますのは、毎年一回は必ず開けということを言つているのでありまして、何回開いてもいいわけであります。
#64
○村尾委員 これは、年に一回は必ず開かなければならない。その他の場合に、一方の請求あつたときには、相手方は必ずそれに感じて開かなければならないというふうに解釈してよろしゆうございますか。
#65
○賀來政府委員 この條文の「一回」というのは、一回も開かぬというのを防止する趣旨でありまして、何回開いてもけつこうでありますが、ここの法文で、一方が要求したときは必ず感じなければならないということを書くのは、これは適当でございませんので、ただ「開くことができる」ということにしてあります。但しもしも使用者側がものわかりが惡くて、開こうということに対して、どうしても感じないという場合には、ただちに調停委員会ということになりまして、調停がありますし、その調停でまとまらぬときには仲裁ということになつております。仲裁ば強制的に仲裁ができます。また調停も、強制的な調停もできることになつております。さような意味で御了承願いたいと思います。
#66
○綱島委員長 ここは手続ばかりですから、これでよろしゆうございますか。――ちよつと急ぐようですが、第四章に移りましよう。第四章第十七條、第十八條を一括して議題に供します。
#67
○辻井委員 第十七條の第二項「公共企業体は、作業閉鎖をしてはならない。」これは職員側の罷業権を取上げるために、文章上均衡をとるために書かれているだけのように思うのですが、事実作業所の閉鎖というようなことがあり得るかどうか、お伺いしたい。
#68
○賀來政府委員 ごもつともな御質問であります。國鉄の場合には、まさか使用者側が閉鎖するわけには参らぬだろうと思います。しかし專賣の場合におきましては、使用者側がやろうと思えばやれぬことはありません。さような場合も考えておるわけであります。
#69
○山花委員 この第十七條の「同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為」ここでは非常に文章が抽象的になつておりますが、業務の正常な運営を阻害する一切の行為ということは、これは常識的に考えればわかるじやないか、こう言えばそれまででありますけれども、この解釈がまちまちになりますと、この法律を適用するのに非常にややこしい問題が起きて來るのではなかろうかと思うのでありますが、これはどういうように理解し、またどういうところを政府当局としては、立案に際してねらつておられるのかという点をお聞きしたいと思います。
#70
○賀來政府委員 ここで予定しておりますところの正常なる運営の阻害行為と申しますのは、爭議行為として行われる場合を言つておるわけであります。從いましてその爭議行為の定義は、組合法、労調法で出て参るわけであります。ここに例示といたしまして、同盟罷業、怠業というふうに、代表的のものをあげておる点から御了解願えると思うのでありますが、爭議行為として行われるという場合を考えておるのであります。從いまして、たとえば普通のダイヤで列車が運行されておりましてむ、これが爭議行為といたしまして――これはもう御承知の通りに要求を出しておる、その要求を通すために、團結の力によつて正常なる業務の運営を阻害する行為に出る、さような意味から、総裁とか、あるいはその他の業務執行者の指揮を排除して行われている場合は、正常なる運営と言われないのでありますが、具体的にはただいま申しましたように、爭議行為としてということで御了解願いたいと思います。
#71
○山花委員 その趣旨であつたならば、この文句は少し抽象的なそしりを受けるのではなかろうかと思うのであります。爭議行為に伴うということであれば、大体同盟罷業、それから怠業、俗にいうサボ、これで字句としては総括的に表現できるのではないかと思うのであります。たとえば何か要求を出しているときに、ほかの理由で列車なら列車が遅延しだという場合でも、たまたまそのときに要求を出しておるということによつて、それらの遅延事故が、爭議行為としてみなされるおそれが十分あるのであります。もしこれを爭議に関する行為というふうに解釈願えるならば、同盟罷業、怠業、この二つでいいのではなかろうかと思うのであります。もちろん私どもは、この條文全体には意見としては反対意見を持つておりますが、この間の御説明を願いたいと思います。
#72
○賀來政府委員 ごもつともな御意見でありますし、われわれもできたらなるべく具体的に書きたい。また書く方が労働者にとりましても、また使用者にとりましても、いらざる紛爭を起さないことになりますので、書くべきだと考えます。しかし一面から申しますと、書くことによつてまたその法文をくぐつて行こうというものも労資双方に出て参ります。その利害得失を考えますと、書くことの方が害が多くてむずかしい。かようなことも考えられまして、現在の組合法、労調法におきましても、いろいろ議論がありますけれども、現在のような漠然たる書き方になつているのでありまして、この十七條の書き方も、やはりその線に沿つてこれを表現をいたしておるわけであります。ただいま例示されましたような場合は、これは多く第五條違反、使用者側がよく使うところはたいていそれの場合が多いと思います。その場合には先ほども申しましたように、三十六條で仲裁委員会がただちに処置をとるだろうと思いますし、十七條の場合、どうしても使用者側がそれで強行する。十八條をもつて強行するという場合には、これは裁判所が一つの判例をつくつて行くだろう。これはこういうことを山花さんに申しては失礼でありますが、爭議行為の戰術といたしましては、なるべく幅の廣いのもよいのではないかということも考えております。
#73
○山花委員 又職員は、「このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」これは宣傳、煽動という意味でありますが、これによつて、とにかく一方的な解釈で、今までの労働運動が労働者側に弾圧的圧迫を加えているということは、私どもがたびたび経驗しておるところであります。そそのかし、あおるというこの解釈が、はたして正当にできるかどうかという危惧を私どもは持つのであります。この点に対して立案者はどうお考えになつておられますか。
#74
○賀來政府委員 ただいまここに政府委員としまして、法制第二局長がおられるのでありますから、その法文の解釈の仕方等については、法制局長から申し上げるだろうと思うのですが、労働省のわれわれの立場から申しますと、御質問の点はまことにごもつともでありまして、先般中原さんがこの十七條というのは非常に縁故がある、こうおつしやつて、しかもこの法文までよく似ておるということになりまして、なるほどとわれわれも感じたのでありますが、この点の運用につきましては、よほど愼重な態度をとらなければならないという考え方は御意見の通りであります。しかしこれが具体的にどの程度になるかということは、先ほどお答え申しましたように、結局は裁判所の判定ということになりましようが、この場合におきましても、多くは第五條違反を伴つて來るものと考えられるのであります。それにその場合におきましては、三十四條、すなわち仲裁委員会の活用ということが問題になつて來ると思うのでありまして、かような場合、裁判所の問題は別といたしまして、法文全体の運用によりまして、さようなことによつて労働者の利益が侵害されることのないように運営をいたしたい。かように考えておりますので、その立場を御了承願いたいと思つております。
#75
○西村(健)政府委員 後段の「そそのかし、若しくはあおつては」というこの字句そのものにつきましては、お説の通りその運用については相当幅があり得るわけであります。実際問題としまして、前段の「正常な運営を阻害する一切の行為」を禁止する、いわゆる爭議行為の禁止と対應しておるものでありまして、從いまして最終的には、何がこの法規のそそのかしに当るかということは、裁判所が決定すべきものでありますが、この法文の運用につきましては、ただいま労政局長が答弁されましたように、その間これが不当に運用されるというようなことは、まずないのではないか、こういうふうに考えております。
#76
○山花委員 このそそのかし、あるいはあおつてはというのを具体的に申しますと、次のような事例が今までの経驗からしてたくさんあるのであります。たとえば一定の團体協約、あるいはそれらの機関によつて要求が提出されおるときに、たまたま同僚相はかつて休暇をとる。最近休暇戰術というようなことが労働爭議の上に採用されておりますが、それに類似した労働爭議をやるという意味でやつたのでなく、たまたま同僚相寄つて休暇をしたような場合に、かりにそれが具体的に申しますと共産党員であるとか、組合の優秀な幹部であるとかいうような場合には、往々にしてこの一定の要求を出した要求事項にからみ合せて、爭議行為と見る、こういうような経驗が從來あつたのであります。それは第五條の問題であつて、仲裁等によつて解決すればいいではないかというような御答弁でありましたが、そういうふうに、ややもすると使用者側から惡用されるようなおそれのある字句を、ここに入れる必要はないではないかと私は思うのであります。法律の全体につきましても、こういうような非常に抽象的な文句が散在しておるのであります。もつと明確に、もつと労資ともはつきりわかるような條文をつくつた方が、いいのではないかと思うのであります。そういうようなおそれが私はあると思うのでありますが、ただいまの御答弁によると、ない。これは意見の相違になると思いますが、討論のときにいろいろ私どもの賛を申し上げたいと思います。
 そこで問題は第十八條でありますが、こういう違反行為をした職員は「この法律によつて有する一切の権利を失い、且つ、解雇されるものとする。」労働者が解雇されるということは、ある意味における死刑の宣告であります。労資の雇用契約の上で、一番極刑に値するものでありますが、これらをすべて極刑に遇していいかどうか。あるいは減俸処置であるとか、あるいは轉勤処置であるとかいうような、罪一等下げるという意味の條文がなく、全部極刑に処すというような点について、「前條の規定に違反する行為」が、軽い違反と、重い違反と、それから指導的な立場に立つた者と、今ここで問題になりました煽動宣傳によつてうつかり動いた者との差別を、一体どういうような規定によつてつけるかという点であります。ただ極刑だけをこの項目に規定しておるのかどうか、但し断つておきますが、第十七條、第十八條のこの規定は基本的には私ども反対であります。しかしこの法案を提案された提案者といたしまして、処罰問題について極刑だけを規定しておるのは、少し思いやりのないやり方ではなかろうかと思うのでありまして、一應その点についてどういう意味で極刑だけを出されたかという点について質問したいと思う。
#77
○賀來政府委員 労働者側から考えますと、まことに極刑になつておるのでありますが、この十八條の規定は、公共企業体側に対しまして、これらの処置をなし得る権限を與えておるのであります。このことは、全部必ず十七條のこれこれの場合は首を切らなければならないという規定とは解しておりません。おそらく程度によりましては、懲戒の処分程度で済むものもあろうと思つております。かれこれかような意味からいたしまして、この企業体の労働関係法におきましては、團体交渉の一つの対象に、懲戒規則の基準を労資双方で團体交渉によつて定め得る権限を與えております。労働組合と使用者とが、双方ともに労働権を守るということは、結局企業体の運営を正常にさせるゆえんでありますから、これらの関係につきましては、適当に労資双方納得ずくの、さような取扱い上の方針が定められるであろうということを予期いたしておるのであります。なお議論を申し上げるのではありませんが、先ほど私申しましたように、労働関係の法律はなるべく明確な方が、労資双方の関係を安定ならしめるゆえんでありまするが、しかしながら逆に明確ならしめることによつて――この労働関係というものが常時各種の情勢によつて変化して行くわけでありますから、それを法文でがつちりきめてしまいますことも、これは適当でないという考え方もあり得ると考えておるのであります。
#78
○山花委員 明確、不明確はそのときの情勢判断によつていろいろ判断がつくと思いますが、從來の経驗からいたしますと、不明確であるがゆえに、労働者側に非常に不利な判定を下されておるという点であります。この点を一つ申し添えまして十七條、十八條に関する私の質問は終りたいと思うものであります。
#79
○久保田委員 ほかに質問者も多くあるようでありますので、私の希望意見も入れまして十七條、十八條についてお尋ねしてみたいと思います。この十七條と十八條につきましては、第一條のこの法案の目的とも、考え合せてみなければならぬと思うのであります。この十七條と十八條はこの法案の中心の点と私考えるのであります。そこで目的の第一條を見まする場合、公共企業体の職員の労働條件に関する紛爭は、友交的かつ平和的調整をはかるように、また團体交渉を確立するように、また公共企業体の正常な運営を最大限にすること等、また公共の福祉を増進することを目的とする、こう書かれてあるのであります。その2には、國家経済と國民の福祉に対する公共企業体の重要性にかんがみ、この法律で定める手続に関する関係者は、経済的紛爭をできるだけ防止し、かつまたその主張と不一致の点を友好的に調整するために、最大限の努力を盡さなければならぬ、こう言われております。私このことから考えて参ります場合に、この十七條あるいは十八條の字句は、むろん削除してしまうべきものと考えておるのでございます。ここでもう一、二私の意見をつけ加えますならば、公共企業体の從業員に対して、國家公務員法の適用を除外するとともに、労働三法を公社法案の中において確認することであるというふうに考えますが、昨日労働大臣の答弁によりますと、労働三法は認めるという御答弁がありました。また今日も次官から、労働三法を認めるという御答弁がありました。これは非常に私はけつこうだと思いますが、また客観的な情勢によつて、この法案を必要とすることを合せて考えます場合、たとえば專賣事業のごとき、筋肉労働者を含む企業について考えましても、罷業権の存在することも認め、またその調停、仲裁等の措置は、両者の労働協約の締結の際に、自由な立場でこれを選択さすべきであるというふうに考えるのでございます。そうするとこの十八條の「一切の権利を失い、且つ、解雇される」という文句を認める点も、私の考えとは非常にかわつて來るわけでございます。またこのかわつて來る考え方から、私の考えております意見は、公共企業体の場合は民主的な運営を主張いたすのでありまして、人民に奉仕する政府としては、そのとつておる政策は根本的に間違つておろうと思います。なお專賣事業について見ましても、今日國家財政の財源の約四分の一をまかなつておるのでございますが、この大きな財政的重責を持たせておりますことも――これは大きな大衆課税になるわけでありまして、これは日本の民主主義化を大きく阻害する点であります。これは反動的、また資本家的考え方であるとともに、独善的、フアツシヨ的であつて、私は断じて反対するものであります。この十七條、十八條の立場にある労働者を、十七條、十八條の法律で縛つてしまおうとしておる。その考え方が十七條、十八條でありますから、私は反対せざるを得ないのでございます。こういうような大きな國家酌財源の立場から働かしている労働者に対しては、’この法案の中心ともいうべき十七條、十八條を私は削除してしまいたいという意向を持つているのであります。この点は大臣がおられたら、大臣にお尋ねしてみたいと思つておつたのでありますが、大臣がおられませんから、次官あるいは局長から一膳御答弁願いたいと存じます。
#80
○鈴木(正)政府委員 ただいまの久保田さんの御質問は、仰せのごとくこの法案の最も重大な点だと思います。從つて一應私からお答えはいたしまするけれども、なお大臣がお見えになつてから重ねて聞いていただいてけつこうだと思います。この法案全体を貫く考え方としては、十七條、十八條に示された解雇というふうな事態に、労働者を追い込んで行こうというような考えは、絶対にないのであります。爭議の調停、仲裁、しかもその間の時間をかなり自動的に短縮して、ごたごたした爭議行為の形の中で、労働者諸君が失う損失を救いながら、この事態に立ち至ることを妨げるため、ほかの法律よりは進歩した有機的つながりを持つた方式が準備されていることを、合せて考えていただきたいのでありまして、立案者の意図するところは、十七條、十八條を振りかざして、仰せのように労働者諸君をこの立場に追い込んで行くという考えでは絶対にないばかりでなくこの立場に來ないうちに、この法案に盛られた幾つかの方式によつて、使用者、第三者、あるいは労働者代表の努力によつて、自然に事を解決して行きたいというのが、法案全体のねらいなのであります。究極するところ、法案の目的は第一條にもありますように、幾つかの手段、たとえば労働者の生産性をどうする云々、それから手続をこう、というふうに並べまして、最後に示しておるように、公共の福祉を確保するのだ。ここにこの法案の目的があることは明らかでありまして、一般の労働関係と違つて特殊な措置がとられ、特に十七條、十八條というようなものは、私どもも、仰せのように、読んで見て、好んでこのような條文が出て來るということを歓迎するような氣持は、お互いにないのでありますが、しかもこういうものができて來たのは、一にかかつて、この二つの事業が持つ公共の福祉性という上にあることが一つと、それから現在の段階における関係という点から、こういう法案ができたというのである。繰返して申しますけれども、第一條、第十七條、第十八條というような事態に立ち至ることを避けるための、すべての方式が準備されておるのであつて、十七、十八條は、そこに向つて、労働者諸君を追い込むというような事態が、しばしば出てくることを目的としておるのではなくて、むしろ最惡の場合に、ここで何とかして公共の福祉に最も関係のある企業を、停滞状態に陷らせないための用意がなされたのみであつて、それ以上の労働者諸君に対する圧迫というようなことは毛頭考えておらない。但し久保田さんにいたしましても、そのほかの皆さん方からむしばしばありました、十七條その他さしあたつて労働者の基本的な権利をできるだけ侵害しないように、正常な労働組合の発達を阻害しないようにという御注文、御意見は、私どもも衷心より拝聽するのでありまして、運用に当つて、そういうような氣持でやつて行きたいと存じております。
#81
○久保田委員 次官の答弁を聞いておりますと、一條の目的が中心であつて、十七條、十八條はこの一條の目的によつて、大体これはなくてもよいものだというような御答弁のように解釈してよろしゆうございますか。
#82
○鈴木(正)政府委員 この法案自体の問題につきまして、なくてもよいものだ、たとえば削除してもいいのだという意味ではございません。ごく一般的な労働運動の本質というものを私ども考える場合に、こういつた方式で行かずに、労働運動すべてが解決して行かれるようであれば、けつこうであるという一般的な考えにおいては、皆さんと同じであるということを申しただけでありまして、この法案自体におきましては、やはり現在のこの二つの事業が立つておる関係、それから第一條の目的からいつて、原案の通りにやつていただきたい。こういう意味であります。
#83
○久保田委員 それではやはり第一條の目的と、第十七條、十八條というものを考えて行く場合、第一條と、十七、十八條が非常に矛盾しておる、間違つておるというふうにお考えにならないですか。
#84
○鈴木(正)政府委員 現在の労働運動の実態が――先ほど申しました一般的の希望として、またわれわれの到達すべき理想として、そういう点を理想とするのであるけれども、この二つの企業の推移、また現在立つておる関係上、それから現在までの労働運動の経過、いろいろの点から考えますると、やはりこの公共の福祉をいかなる場合にも守つて、危機を切り抜けて行くことのためには、十七條、十八條というふうな規定が必要になつて來たのだと考えております。
#85
○久保田委員 この十七條と十八條については、この法案において相当重大なところでありまして、私はこれについていろいろ意見を持つておるのでありますが、これをまとめるために、一應このくらいにしていただいて、まとまつたときにおいて意見を申し上げることにいたしまして、この十七條、十八條については、この程度にしておきます。
#86
○中原委員 いろいろ政府の御見解も拝聽いたしましたが、この場合私はまず最初にこの十八條の――何と申しますか、職員の身分に対する一つのいわば懲罰的な規定ですが、この場合労働組合法の第一條の第二項の、刑法の適用除外の項は、どういう関係になつておりますか、その点をひとつ……。
#87
○西村(健)政府委員 今の御質問は労働組合法一條二項でございますか。――これは十七條の問題であろうと思います。十七條では爭議行為を明らかに禁止してございますので、ここに列記しておるような行為、これらの違反行為は、いわゆる労働組合法一條二項の正当な行為ではなくなるのであります。從つて刑法三十五條の適用もない、こういうことであります。
#88
○中原委員 それではこの十七條に規定しておる禁止行為をした場合はこの処罰を受けると同時に、刑法の適用を受けるというようにみなすのですね。
#89
○西村(健)政府委員 必ずしも刑法の適用を受けるかどうか、これは具体的な事案によらないとわかりませんが、たとえば公務執行妨害とかいうものに該当するような行為であれば、刑法の適用を受ける。一方会社と公共企業体の職員、十八條はその職員との関係でございますが、これは別の関係でございます。
#90
○中原委員 從つてその保護規定は適用されない、こういうふうにまず解釈されると思います。それで労働組合運動が、幾回も繰返しますように、敗戰後ようやくその組合の機能を発揮し得るような状態に高められつつ、今日に至つておるわけでありますが、ようやくその緒につきかけた日本の労働組合運動に対して、次から次へと労働階級に対する保護的のものが、從つて既得権利というものが剥奪されつつあるというこの現象は、否定できないというふうに考えられておるのです。從つてこの第十七條の、同盟罷業、怠業その他業務の正当な運用を阻害する行為、このその他という中に包含されるものが、いわゆる同盟罷業あるいは怠業、それに伴つて起る行為というふうに御説明があつたように聞き及んでおりますが、これらの解釈の点を、よほど嚴重に規定していただきませんと、今後の労働組合運動、しばしば大きな犠牲の前にさらされるような状態に陷るのであります。正当なる行為でありながら、その正当なる行為が不当なる行為として廣い範囲に刑法が適用されて、労働階級の権益を守るための行動の一切がほとんど封鎖されてしまう。從つて労働階級は、自分の権益を擁護するための主張を、團体的に行使することができないようなはめに陷るおそれがある。先ほどからの局長のお言葉によれば、明確でない方がかえつて労働階級のためにも都合のいい場合もある、必ずしも明確であることが有利とは考えられない、いわゆる融通性のあるということが、かえつていいのじやないかというふうな意味合いの言葉があつたかと思いまするが、かかる十七條のごとき場合にこれが明確を欠くことは、ますます危險率をふやすことになるおそれがあるのであります。從つて労働階級の立場に立つて行政を運営して行く労働省なら、この点については相当労働春的感覚から、この問題についての周到な心構えがなければならぬと思うのであります。從いまして私はその他のという場合を、もう少し明確な文字にかえて規定づけておく方が、親切な行き方ではないか。これが不明瞭であることによつて、予想せざるあやまちを起さしめることになるのではないかと考えるのでありますが、この点についてどういう御解釈でありますか。
#91
○賀來政府委員 労働省といたしましては、常に労働者の福祉を増進しなければならぬ責務を持つておるのであります。從いまして御意見のほどはわかりまするし、また心構えとしてもさような運営をいたすべきだと考えております。ただ先ほど申したように、ここにさような意味合いをもつて書きますことは、非常に至難でもありまするし、現在の状況においては、まあこの程度の方がいいんじやないかと考えましたので、さような意味を申し上げたのでありまして、御注意の点並びに心構えとしておくへき点については、中原さんの御意見の通りに考えております。
#92
○中原委員 もう一度はつきりとお答えになつていただきたいのは、この立法の精神、そして法の草案者の考え方は、第十七條において、すなわち「同盟罷業、怠業、その他」という「その他」は、同盟罷業、怠業、これに伴うて起る行為こういうふうに、伴うて起る行為が業務の正常な運営を阻害する場合、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
#93
○賀來政府委員 これは伴うというのじやありません。同盟罷業、怠業、その他業務のこういう意味でありまして、これは伴うという意味ではないということを申し上げておきます。
#94
○山花委員 今十七條の点で、その他業務の正当な運営を阻害する一切の行為というこの私の質疑に対して、これはストライキに関して――関するというのと、伴うというのは、表現が違つても大体同じじやないかと思いますが、今の労政局長の中原委員に対する答弁と、私に対する答弁と少しちぐはぐになつているように考えますが、その点もつと明確にしていただきたい。
#95
○賀來政府委員 山花委員に対する答弁で、もしさような御解釈をくださいますとすれば、私のあやまちでありまして、私はその他業務の運営を阻害する行為というのも、爭議行為として行われる場合を言うということを申し上げたのであります。同盟罷業と怠業に伴う行為というのじやないのでございまして、同盟罷業、怠業、それからその他業務の運営を阻害する行為、これらはいずれもみな爭議行為として行われる場合を言う、ということを申し上げたのであります。
#96
○山花委員 労政局長の答弁は、同盟罷業、怠業に伴うのでなくして、その他の業務の正当な運営を阻害するというのは、罷業に関係するという意味ですか。どうもその点が非常にあいまいに聞えて、われわれちよつと解釈に苦しむわけですが、伴うというのと、今の労政局長のお答えとは、われわれの常識からすれば、どこが一体違うのかという疑いもあるのですが、ひとつよくわかるように御答弁願いたい。
#97
○賀來政府委員 かように御解釈願いたい。これは三つの範疇にわかれている。同盟罷業、怠業、その他の行為、こういうことにわかれておるのでありまして、具体的な例を申しますと、先ほどもちよつと触れましたが、その他の行為の例としては、最近業務管理というふうな言葉で行われておるものがあります。これが労調法、あるいは労働組合法によるいわゆる爭議行為の範疇に入るものでありましたならば、それがここに入るという意味を申し上げたのであります。
#98
○山花委員 どうも今の説明を聞いておりますと、三つにわける必要がないのじやないかというような氣もするのです。同盟罷業、怠業、こういうような問題から関連して、今説明されたような業務管理であるとか、あるいは一齊賜暇であるとか、休暇職術であるとかいうものが生れて來るのじやなかろうかと、私どもは常識的に解釈しているのでありますが、そうなりますと、基本的にはストテイキをやるというところから、いろいろな戰術行為が生れ、それが説明にある正当な業務の運営を阻害することになる。もつともストライキそのものは、業務の運営を阻害することが一つの目的になつておりますから、当然基本的には、ストライキから発生したいろいろな行為というふうに私どもは解釈しておるのであります。同盟罷業と怠業と、それから別のいろいろなる行為、こう三つにわけて表現したという説明でございますが、基本的にはこれは一つじやないかと思うのであります。ストライキから発生したいろいろなる戰術行為というふうに私どもは解釈し、またその解釈のもとに次の罰則行為なんかが生れて來ているのではなかろうかと私は解釈しているのですが、この解釈が間違いかどうかという点を、ひとつはつきりしていただきたい。
#99
○賀來政府委員 私の説明がはつきりしないので、たびたび御迷惑をかけて恐縮いたしますが、この爭議行為にはいろいろな方法があり得る。労務を全然提供しないのが同盟罷業、それから労務は幾分提供するがスロー・ダヴンの提供の仕方、これが怠業である。その他労務は提供している、たとえば先ほど例を申し上げたように、日常のダイヤ通りには運轉しておる。ところでそれが國有鉄道の公社総裁、またはその業務執行者の指揮を排除して行われておる。すなわち正常な運営ではないのだ、かような戦術があり得る。それで爭議行為といたしまして、同盟罷業、怠業、その他の正常なる業務の運営を阻害する行為、大体大きくこの三つにわける、かような意味を申し上げたのであります。
#100
○山花委員 ただいまの説明を聞いておりますと、大体わかるのであります。爭議行為を大体三つに分類して、同盟罷業、怠業、その他の爭議行為とか何とかを言うのだと、はつきりするのでありますが、業務の正常なる運営を阻害する一切の行為とされると――私が前に質問いたしましたが、こういう抽象的な文字で表現しておるから、解釈がまちまちになる。そのまちまちの解釈がやはわ具体化して現われて來たのではなかろうかと思うのであります。これより以上の質疑を続けることは、何だかこんにやく問答のような形になりますので、私はやめますが、ただいまの質疑應答に現われたところによつて、これの解釈について、引続いて中原委員の方から質問していただければ、けつこうだと思います。
#101
○中原委員 大体政府の考えておる範囲は見当がつきますが、こういうような意味においてその他の場合ということをさすのに、これが明確でないことが、むしろ労働者にとつても不利益ではないというような見解のもとに、あいまいな表現を支持するという立場をとられることは、はなはだ私は不満に思うのであります。この條項は労働者に対して非常に不利益な條項であるわけであります。それが労働者の地位をほんとうに守るための條項であるならば、あるいはそういう解釈も場合によれば成立つかもしれぬ。しかし労働者にとつて非常に不利益な、いわば労働者の権益をほとんど剥奪するような関係において、でき上つておる條項なら、それがあいまいであればあるほど、それだけ危険の度が大きいのであります。ことにこれを三つにわけてという御説明において、いわゆる罷業、怠業、並びにその指揮に服せざる、いわゆる業務管理というような関係のことをさすということでありましたが、そうであるならば、なぜそういうふうに明記されないか。この点はどのような御説明にもかかわらず、政府の意図するところが、はなはだ惡意であるということを私どもは指摘せざるを得ないのであります。そこでこのような場合に私どもが想起することがあるのでありますが、敗戰の後における労働運動ではなくて、その以前における労働運動の経驗したいろいろな重みの中の一つに、たとえば相手側に対して交渉を開始する、その交渉その他のいろいろの場合に、労働者側の態度が非常に傲慢無礼である、あるいは非常に威嚇的である、從つて相手方の経営者側が恐怖を感じたというようなことを証拠づけまして、その経営者側に恐怖を感ぜしめるという相手方になつた労働者の場合は、たちまち暴力行為取締法によつて、牢獄の中に投げ込まれた経驗が幾度もある。そういうようなあいまいな適用が、しばしば労働者を不利益な立場に追い込んで、いわば手も足も出ない、たとえば大きな声をすることもできない、きつい形相をもつて語ることもできないという結果にさえ、陷る場合がないとは保証できないのであります。そうなつて参りますと、労働者は自分の主張すべきことを主張する自由をさえ、その面から奪われる。それをほんとうに心をこめて主張するならば、しばしば――これらの関係法の中でその処分を受ける者はないといたしましても、刑法その他のいろいろな拘束を受けて行くことになつて参るのでありまして、これらに関しては政府がもつと労働者の立場に立つて、親切な考え方をもつて臨むことが、責任上当然ではなかろうかというふうに私思うのであります。そうであればなおさらこの「同盟罷業、怠業その他」というここへ、もう少し明確な表現をもつて、政府みずからこれは訂正せらるべきじやなかろうかというふうに思うのであります。しかしこれは繰返し申しますが、これによりますと、十七條は認めるということを前提とするかのごとき印象を與えるかも知れませんが、そういう意味ではなく一應ここに提案されている法律案に対する一つの取扱いの技術としては、これははなはだ誠意を欠くものであるということを申し上げておるのであります。これについてもう一度伺いたい。
#102
○賀來政府委員 先ほど申し上げましたように、御意見なり御質問の趣旨なりは、労働省の立場にある者といたしましては、十分理解できるのであります。從いましてこの運用に当りましては、お話なり御意見がありますまでもなく、われわれは常にこの條文を惡意をもつて立法したり、あるいは惡意をもつて運用したりすることは、絶対にないように留意をして行かなければならぬということは、重ねて申し上げたい思いますが、たびたび申しますように、ここに具体的にあげて行くことについては、われわれの考え方といたしましては、適当な処置ではないと考えておるのであります。まことに智恵のない話でありますが、さような精神においては中原委員の御意見と同じ意見を持つておるということを申し上げておきます。
#103
○辻井委員 三十六條についてお尋ねしたいのです。仲裁委員会は、第五條違反の行為と認めて企業体に取消しを命ずることができるようになつていますが、この取消命令は最終決定であるか。もし企業体において不服であれば、やはり行政訴訟も行い得るのかどうか。念のために承りたいと思います。
#104
○西村(健)政府委員 三十六條の仲裁委員会の公共企業に対する行為の取消しの命令は、いわゆる仮処分の命令でございます。これは裁判所において、この処分に対して公共企業体が不服を申し立て、爭われ、決定があるまでは当然その効力はあります。
#105
○辻井委員 それで最近頻々と起つております十一條違反行為に対しては、労働委員会において最終決定を行うように、労働組合法の改正が今強く要望されているのでありますが、こういう点について何らの考慮が拂われていないように思いますが、どうですか。
#106
○賀來政府委員 お話のように現行の労働組合法におきましては、労働委員会が処分権を持つておりません。しかしこれがために先日申しましたように労働者は非常に不利益な立場に置かれている。待つて何とか処分の権限を與えたいということはわれわれも考えているのであります。しかしながら、この処分権といえども、いわゆる裁判所的な最終決定ということは不可能でないかと考えます。
#107
○辻井委員 もし第五條違反の疑いを受けて、処分する方では違反と認めてやつたにしても、仲裁委員会にこれが提訴ができることになつていますから、第三者的な立場から見れば、要するにこれは疑いということもできるのであります。しかるに仲裁委員会で決定が相当長引き、なおその決定が裁判の決定をみなければ、確定しないということになりますと、その間現在行われているように、相当長い期間收入が杜絶しながら、ぼんやり判決を待たなくちやならぬというように、非常に困つた事態が起るのでありますが、もし仲裁委員の決定があれば、裁判の仮処分と同じように就業をなし得ることを認るというようにでもしなければ、万一二月も三月もたつてから、第五條違反であることが決定しましても、その間の犠牲、損害は非常に大きいと思うが、この点はどういうふうにお考えになつていますか。
#108
○西村(健)政府委員 今辻井委員の御質問、ちよつとわかりにくい点もございましたが、仲裁委員会のこの仮処分が第三十六條によつて決定がありました場合には、その仮処分はただちに効力を発するわけでございます。たとえばその者を復職させるという決定を仲裁委員会がしましたら、それで効力を発生する。但し公共企業体がそれに不服なら、裁判所に提訴できる。裁判所で判決があれば、またそのときにかわるわけで、仲裁委員会の決定が裁判所の決定までひつかけられるというこよではございません。
#109
○辻井委員 それでは企業体から裁判所に提訴しましても、その間には一應仲裁委員会の決定が生きて來るわけですか。
#110
○西村(健)政府委員 さようでございます。
#111
○辻井委員 もう一つ伺いたい。それでは第五條違反という決定があつた場合には、離職していた間の賃金も、もちろん支拂うことになると見てもよろしいか。
#112
○西村(健)政府委員 その問題は民事上の問題になりまして、損害賠償の問題で裁判所が決定すべきことだろうと思いますけれども、仲裁委員会も、あるいは決定の仕方においてはある程度やり得ると思います。
#113
○辻井委員 仲裁委員会が不当な解雇であると認めた場合には、不当な解雇によつて、收入の道が断たれていたのでありますから、当然賃金も支拂うべきであると思いますが、そういう点についてはつきりしたお考えがあるかどうか、もう一應承りたい。
#114
○西村(健)政府委員 やはり仲裁委員会は仮処分の権限があるだけでございますから、民事上の訴訟の問題や爭訟の問題になりますと、やはり裁判所が最終的に決定するということになります。
#115
○中原委員 そうなりますと、仲裁委員会が第五條違反であるというふうに結論を出したときに、それを不服として企業体が提訴するというような手続に出だ。それでもし万一企業体の方が違反であつたという結論が出ますと、その間における損害の点は、民事訴訟、別にこの損害賠償の要求を提起するということになる。そうなると、この損害に対して労働者をこの法律が保護する面はいよいよ一つもない、こういうことになると思うのですが、どうですか。それとも私の理解の仕方が間違つているか。
#116
○賀來政府委員 りくつから言いますと、かりに十一月一日に企業体が解雇をやつた、それに対して仲裁委員会が十二月一日に取消しを命じた、十二月一日に本人が復職した、かようなことになりましたときには、この一箇月間の給與に関連しましては、企業体側でどうしても拂わないということになりますれば、民事訴訟による以外にはないという行き方だと思うのであります。この仲裁委員会自身の、三十六條の設けられた趣旨の取消しと申しますところの、その行為自体を取消すというのは、おそらく仲裁委員会は十一月一日にさかのぼつて取消すであろうと思つておりますし、現在まで労働組合法の十一條違反に関連いたします最高裁判所の決定はまだありませんが、一審、二審できまりました例を見ますと、これに伴います判決には、いわゆる民訴は伴つておりますが、やはりさかのぼつてその行為自体が起つたときからやらしているようであります。
#117
○中原委員 それではその取消しは、解雇宣告したその日にさかのぼるということを明記された方がいいのじやないか、それともやはり明記しない方がいいか。
#118
○西村(健)政府委員 これは必ずしも、その場合だけがこれに該当する場合ではなかろうと思つております。仮処分の命令には、いろいろな場合のものがあるのでありまして、今労政局長の言われました場合も、一つの場合として考えられる、こういうふうに考えております。從つて、これをはつきりさかのぼらすようにするのが適当であるかどうか、これはまた労働省の方としても御意見があろうと思います。
#119
○中原委員 それでは元の状態に復さしめる責任がある、こういうふうに理解すればよろしいか、元の状態に復さしめるという、その責任があるわけですね。
#120
○西村(健)政府委員 多分三十六條の正誤はお手元の方に参つておると思いますが、行為の取消しということであります。この趣旨は、やはり原状回復ということが趣旨であります。そういうように御了承願いたい。
#121
○辻井委員 私ははつきりしないので、もう一應念のためにお伺いしておきたいのであります。ただいままでの御答弁によりますと、第五條違反と仲裁委員会が認めて取消しを命じた場合には、一應復職せしめなければならないが、しかしそれに不服であれば裁判に訴えることができる。裁判に訴えることができるが、その判決まではやはり仲裁委員会の決定に從わなければならぬというふうに、先ほどお答えがあつたと思うのですが、そうとつて間違いありませんか。
#122
○西村(健)政府委員 さようでございます。
#123
○辻井委員 それでは今の賃金の問題でありますが、その五條違反の行為があつたときにさかのぼつて、その解雇の命令の取消しをさすということになれば、これは賃金は当然支拂わねばならぬことになるのではないかというふうにわれわれは考えるのであります。それ以外に精神的に非常な打撃を受けたとか、名誉をそこなわれたというように、賃金以外にも、そういう場合には相当な損害をこうむる。この損害の賠償は民事訴訟を起すより道がないと思いますが、賃金は、その解雇したときにさかのぼつて取消しを命ずることになれば、これは当然支拂う義務が起つて來るというように解釈すべきではないかと思いますが……。
#124
○西村(健)政府委員 辻井委員の仰せの通りでありますが、私の申し上げた意味は、取消しの命令があつて、さかのぼつて復職させるということになれば、当然それから賃金の支拂い義務は生じると思いますけれども、その場合、この賃金を支拂わないような場合においては、これは民訴しか手がない。その他の損害賠償、これも民訴で提訴をする。こういうことを申し上げたのであります。どうぞ御了承願いたい。
#125
○辻井委員 それで大体わかりましたが、結局企業体が仲裁委員会の決定に從うかどうか、それは企業体自身の考えによることであつて、仲裁委員会が決定をしても、それに從わぬ場合もあり得るわけでありますね。
#126
○西村(健)政府委員 そういう場合も考えれば考え得るわけでございますけれども、公共企業体というものは相当強い政府の監督もございまして、一般の私企業とは違いますものでございますから、実際の問題としては、その御懸念の点はないのではないか、こう思つております。
#127
○辻井委員 わかりました。
#128
○綱島委員長 ちよつと速記をやめてください。
    〔速記中止〕
#129
○綱島委員長 それでは速記をとつてください。
 一時間休憩いたします。
    午後四時二十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時十四分開議
#130
○綱島委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。明日は午後一時より開会いたします。
    午後六時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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