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1948/11/18 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 文部委員会 第4号
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1948/11/18 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 文部委員会 第4号

#1
第003回国会 文部委員会 第4号
昭和二十三年十一月十八日(木曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 圓谷 光衞君
   理事 松本 七郎君 理事 伊藤 恭一君
   理事 久保 猛夫君
      古賀喜太郎君    渡邊 良夫君
      高津 正道君    田淵 実夫君
      小島 徹三君    後藤 悦治君
      西山冨佐太君    一松 定吉君
      黒岩 重治君    松原 一彦君
      織田 正信君
 出席政府委員
        文部政務次官  栗山長次郎君
        文部政務次官  小野 光洋君
        文部事務官   稻田 清助君
 委員外の出席者
        文部事務官   釘本 久春君
        專  門  員 宇野 圓空君
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
一月十八日
 委員増田甲子七君辞任につき、その補欠として
 水谷昇君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月十七日
 國立國語研究所設置法案(内閣提出第二六号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十六日
 日光の國宝建造物修理費全額國庫補助の陳情書
 (輪王寺門跡菅原英信外二名)(第二五六号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國立國語研究所設置法案(内閣提出第二六号)
    ―――――――――――――
    〔筆記〕
#2
○圓谷委員長 会議を開きます。
 昨十七日の本委員会に付託になりました國立國語研究所設置法案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。
#3
○栗山政府委員 下條文部大臣が臨時閣議で席がはずせませんで、まことに皆さまに対しまして失礼に当るかもしれませんが、お許しを得て私から今皆さんの御審議を煩わします國立國語研究所設置法案の提案理由について、内容を御説明申上げます。
 わが國における國語國字の研究所を見ますときに、國語國字の改造の問題は教育上ばかりでなく國民生活の全般の向上に、きわめて大きな影響を與えるものでありまして、その解決は日本再建の基本的條件の一つであるとも申し得ると存ずるのであります。けれどもその根本的な解決をはかりますためには、國語及び國民の言語生活の全般にわたりまして、科学的にして、かつ総合的に調査研究を行う比較的規模の大きい研究機関を設けることが、ぜひとも必要であると考えたのでございます三音いかえますならば、國語國字のような國家國民に最も関係の深い重大な問題に対します根本的な解決策を打立てますには、ただいま御審議願いますような研究機関によつて作製されます科学的な調査研究の結果に、基かなければならないと存ずるのであります。國家的な国語研究機関の設置は、明治以来先覚者たちによつて往々提唱されて来ましたいわば懸案でありまして、また経験の後におきましては、第一回國会において、参議院及び参議院か國語研究機関の設置に関する請願を御採択になり、決議されましたのを初の、國語審議会からの建議並びにアメリカの教育使節團の勧告とその設置につきましては、各方面から一段と強く炭望されておるところであります。政府心おきましてもその措置について久しい間種々研究を重ねて来たのでありますが、実現を見ることなく今日に筆リましたことは、少し手遅れの感もないではございません。しかるにこのたび國会におきまして請願が採択され、輿論の支持のもとに、急速にその準備か幸い進められることになつたのであります。この法案の立案にあたりましては、その基本的な事項につき國立国講研究所創設委員会をまず置きまして、國会その他関係学会の権威者を十分に取入れるようにいたしたのでございます。
 次にこの法案の骨子について少しく申し述べますならば、第一に國立國語研究所は、國諾及び国民の言語生活につきまして、科学的な調査研究を行う機関であり、その調査研究にあたつては、いわゆる科学的方法により研究所が主になつて行うように定めてございます。第二にこの研究所の事業は、國民の言語生活全般につきまして、久しく調査研究を行い、国語政策の立案國民の言語生活の町上のための基礎的な資料を提供させることにいたすつもりなのであります。第三にこの研究所の運営につきましては、評議員会を設けまして、その研究が教育界、國会その他社会各方面から孤立分離することを防ぎますとともに、研究所の健全にして、その運営はもちろん民主的にいたすようにするつもりでございます。「この研究所が設置されまして、研究調査が進められて参りまするならば、わが國文化の進展に資するところは、はなはだ大きかろうと存じております。どうぞこの法案の必要性をお認めいた一だきまして、十分御審議の上御賛成がいただけますようにお願い申し上げます。なお詳細につきましては、他の政府委員から御説明させていただきたく存じます。
#4
○稻田政府委員 それでは私から本法案の内容につきまして、概略御説明申し上げたいと存じます。法案の第一條には研究所の目的を掲げておるのでありますが、これはただいまの提案理由の説明にありましたことく、この研究所といたしましては、國語及び國民の言語生活に関する科学的調査研究を行い、あわせて國語合理化の確実な基礎を築くために、設置するのであるという目的を示しておるのであります。同じ條文。第三項に、研究所は文部大臣の所轄とするけれども、文部大臣は人事及び予算以外の事項については、監督をしないという趣旨が明らかにされておりますのは、この研究所があくまでも自主的に研究を途行ずるということを、確保いたしたい趣旨であるのであります。
 第二條に掲げてありますのは、翻條にあげました目的を遂行するために、研究所において行うべき各種の事業であります。その第一といたしましては、現代の言語生活及び言話文化に関する調査研究、第三に國語の歴史的発達に関する調査研究、第三に國語教育の目的、方法及び結果に関する調査研究、第四に掲げておりますのは、今後民主的生活を向上発達させるためには、新聞、放送あるいは廣告、告示のごとき同時に多人数が対象となる言語というものを十分に洗練し、発達させなければならぬというような点に着目いたしまして、この問題を重要視いたしまして、研究調査の題目として掲げたわけでございます。さらに第二項におきましてただいままで申と上げました調査研究に基きまして、あるいは國語政策の立案上参考となる資料をつくつたり、あるいは国語研究資料の集成、保存及びその公表、または現代語辞典、方言辞典、歴史的國語辞典その他研究成果の編集及び刊行というこしを掲げてあるわけであります。
 第三條には研究所の調査研究を、他に委託するととに関する條文が設けられておるのであります。こうした國立の研究所を、たとえば大学等の研究所と別におきます理由といたしましては、一つはさきに申上げましたように、それと國の政策と関連を持たせるという点に、一つの理由もございます。またもう一つの理由といたしまし、ては、方々の研究を総合しその結果を発揮するという点にあると思われるのであります。この三つに他の研究機関に研究を委託と得る道を開いたわけは、その総合性を十分に発揮するというような意味合いからいたしたものでありまして各種の大学あるいは民間のいろいろな研究を、そのままこの研究所と密接な関連をもつて利用し協力をするという点に、遺憾なきを期したわけであります。
 第四條、第五條、それから飛びますが、一番最後の第十一條に規定されておりますのは、この研究所を構成いたしまする職員に関する規定でございます。第四條におきまして研究所に所長を置きます、所長は一級の文部教官または文部事務官の中から、文部大臣が命ずることになつておるのであります。第五條におきましては、この所長は毎年少くも一回調査研究の状況及びその成果に関する報告を、公表する義務を規定いたしております。また所長のもとに十一條に規定されましたような各種の職員が置かれるわけでありますが、こうとた職員を構成する部下の編成、職員の選出配置、その他研究所の運営に関しまする必要な事項は、その前の第十條によりまして所長が定めることになつておるのであります。
 それから第六條から第九條に至りますまての規定は、評議員会に関しまする規定でございます。この研究所に、特にこの法律におきましてこうした評議員会を置くことにいたしました趣旨は、各研究所はややもすれば研究所特異の研究に走りまして、一般の國家から離れ、あるいは一般の忙会の要求に慮じ得ないというような欠点が心配されるのでありますが、この國立の國語研究所につきましてこうした懸念を除く意味におきまして、評議員会を設け、その評議員会には各方面から学識経験ある方を選んで、評議員になつていただきまして、そうしてその評議員会におきまして研究所の毎年の事業計画、調査研究の委託、あるいはその他の重要事項について十分審議する。所長の側からいいますれば、そうした重要事項については評議員会に相談をして、その所見をま乏めなければならない。こういうことによりまして一般の学会、一般の社会要求と研究所の事業とが密接不可分な関係を保つように、改良いたしたわけであります。この評議員は定員二十名といたしまして、学識経験のある者から文部大臣が命じあるいは委嘱する。また政府職員は評議員となることができない。評議員の任期は四年として二年毎に年数を交替するというような規定、それから評議員の互選によりまして、任期二年の会長、副会長を置く。その評議員の運営に関します規定は、評議員会の所見によつて、文部大臣が組むというような趣旨を、次々の條文で明らかにいた、たわけであります。以上大体各條項につきしての御説明といたします。
#5
○武藤專門員 先ほどの政府の提案理由の御説明の中で、第一回國会において衆議院及び参議院が國語研究機関の設置に関する請願を、採択し議決されたのを初め云々とありましたが、これは文化委員会に付託になりましたことでございますので、すべては当時の速記録に明らかでございまするけれども、一言粗筋だけを御紹介申し上げたいと存じます。
 この請願は國語國字問題の研究機関設置に関する請願という問題で、請願者があります。紹介議員は星島二郎、近藤鶴代両議員であられました。前の文化委員会といたしましては、八月二十九日にこの請願の御付託を受けまして、十月三日の委員会でこの請願を審議いたしました。この間に一回の打合会を開きまして、請願代表者から詳しくその御趣旨を承つております。最初の委員会の九月二十三日におきましては、佐々木盛雄議員が紹介議員の代理として趣旨の説明をされております。それで國語國字の解決は、文化國家実現のためと産業復興のために欠くことのできない條件である。文化國家実現のためには國語國字をたやすくわかることのできるように改める必要があり、産業復興のためには事務の敏捷をはかることが必要であるということを言われて、その次に國字國語問題を解決するためには、標準語や標準音をどのように定めるか、あるいは漢字は廃止すべきかどうか、漢字を廃止しないならばどの程度でとどめるか、またこれらに関していかなる表示方法を採用するか。これらの問題が研究問題として起つて來るということを述べられ、それから研究機関としては、政府は明治三十五年に國語調査委員会を設けられておつたのが、大正二年に財政貧困の理由でこの機関の廃止にあい、その後大正十年に臨時國語調査会が設けられ、現在は國語審議会が設けられておるのでありますが、いずれも皆さんが意見を持ち寄られる程度なので、どうしても研究調査の決定的な機能を発揮するというわけには行かない。このためには問題の重要性にふさわしい規模の調査研究機関を設けて、権威のある具体策を確立する。それによつて最善の努力を拂うことが必要であるとの御趣旨の説明がありました。永江政務次官が政府側の意見として、趣旨にはまつたく同感であるということを申されております。なおまたその際釘本國語課長から、政府にも実は案がある。だということで、政府側が持つておられます國語國字問題の研究機関についての御説明がありました。趣旨は結局國語の民主化、國字の決定ということにあるのであると冒頭され、第一にその研究機関の組織、第二にその研究機関の建前としてこれは国立とし、文部省の所管とした“ということ、第三にはかような趣旨でできるものであるから、なるべく各方面の意見を反映した研究機関にしたいと。それにはまず國語研究所の設立の準備委員会というようなものを設けたい、こういう御趣旨の御説明が来ております。それから十月三日の委員会におきまして、重ねてこの請願を審議いたしました。その際は近藤鶴代議員から紹”議員としての趣旨の弁明がありましてその後委員会で活発な発言がありました。たとえば当時の馬場委員からは、このような國語國字の改良案はいままでしばしば出ておるけれども、どうも実行力という点において遺憾な点があつ光。この点を考慮されたいという発言がありました。近藤鶴代議員からも、研究機関は同時に強力な実行力を持つてもらいたいという御希望が出ております。当時御出席になりました稲田政府委員からも、その意に沿うようにするという御答弁がありました。結局この請願を通すことは、文部省が研究、計画しておつたところの研究所の設置ということと合致するのであるというような建前の上から、この請願が採択になつた次第でございます。そして今年に入りまして六月の十二日から、この研究所の準備委員会が発足いたしております。そのときの文化委員であられました川越博議員が、文化委員を代表して委員として加わられた次第でございます。一言申添えます。
#6
○圓谷委員長 これより質疑を許します。
#7
○松原(一)委員 予算関係もございますが、予算は何管月分、どのくらいございますか。
#8
○稻田政府委員 予算について御説明申上げます。予算といたしましては八百十七万二千円が、教育文化費、学術教育調査研究費中の國語研究所に組まれておりますが、このほかになお御承知のように職員の家族手当、その他特別俸給の特別措置費といたしまして、行政共通費中にも組まれております金額があります。その全部を合せますとおよそ一千万円程度あるわけであります。本年中八箇月分が組まれておるのであります。
#9
○松原(一)委員 人的構成の人の関係でございますが、これは特別の研究及び能力を持つた人が必要なんですが、ここにあります定員だけの人は求められましようか。
#10
○稻田政府委員 所長初め本研究所の首脳部の人として、どういう人が好ましいかというような点につきましても、先ほど御説明申し上げました創設準備委員会において、いろいろ審議しておられます。その御審議の線に沿うて、文部省といたしましても、極力この研究所の構成に御援助したいと思つておりますが、おそらくお話のように適当な人が得られることだと思つております。
#11
○田淵委員 第七條の二項でありますが、最後に文部大臣が命じまたは委嘱するとなつておりますが、命ずる場合と委嘱する場合との相違、もしくは全部命ずるのか、または全部委嘱するというのか、そこのところにあいまいなんですから、説明していただきたいのです。
#12
○稻田政府委員 ただいまのお話には、國公務員法の定めるところに上つてとありますので、全面的に公務員法が適用に相なつて参りますれば、その條項によるわけでありますが、たボいまのところは御承知のごとく、國家公務員法に関しまする各種の職階制を定める法規が定めてありませんので、さしあたり従前通りの方法をもつて取扱うことに相なつておるわけであります。ここに書いてあります命ずるというのは、部内の職員に対して命ずる傷合で、委嘱するとありますのは部外の人にあらためてお願います。こういう意味でございます。おなりになりました上におきましては、まつたくいずれも同じ資格の評議員になるわけであります。
  (圓谷委員長退席、久保委員長代理着席〕
#13
○一松委員 いまこの法案を受取つたのでありますが、少しわからぬところを伺つてみたいのです。第一條の二項で、文部大臣がこの研究所の監督をしてはならないということは、どういうわけですか。
#14
○稻田政府委員 第一條第二項を設けました趣旨は、この研究所があくまでも自主的性格をもつて、研究調査を遂行することを、保証いたしたいという趣旨でございまして、文部大臣の方から研究の方向でありますとか、いろいろ研究について指示いたしましたり監督をするということをやめるという趣旨を、ここに現わしたわけであります。と申しましても研究所がまつたく独善主義に陷りますことを避ける意味におきましては、先ほど申しましたように、第六條以下の評議員会を設けまして、評議員会に文部大臣が委嘱しました各方面からの学識経験者を入れまして、その事業計画その他重要なことを審議してもらうということにより、研究所が反面また独善に陷らないということを保証いたした次第でございます。
#15
○一松委員 私はこの評議員会を入れたがために、必ずしも文部大臣の監督を必喜要としないということはどうかと思います。文部大臣の監督と心うものは不合理な監督をするのだとか、不必要な監督をするとか、どうも権力の乱用に過ぎるというようなことをすることは、これはよくない。しかしながらいやとくも自分の所管において設けた國語研究所というものに対して、何らの監督権を持たないということは、かえつてよくないと思います。やはり適当な監督は必要があるんで、今の政府委員の説明のような趣旨であるならば、みだりにとか、ほしいままとか、あるいは不適当なとか何とかいう文字をそこに入れて、その監督の権限を制限することはけつこうです。全然監督権がないといつて、もう研究所のすることについては一指も触れることはできぬということであると、場合によつてはどういうような方向に進まんとも限らないと思いますが、その点についてはどうか。
#16
○稻田政府委員 重ねてお答えいたすわけでありますが、文部大臣の最も重要な監督権は、ここに掲げておりまする予算及び人事に関する問題だと思います。それ以外研究所に関しますることは、先ほど申し上げましたように研究の題目、研究の方法、その他研究自体を左右する事項以外には、ほとんど想像ができないのであります。国語政策を文部大臣が立てます場合には、この法律には掲げておりませんが、別に國語審議会――これは現にございますが、これは今後存続いたしまして、重要な事項はこの國語審議会に諮問して文部大臣が國語政策を建てる。また国語審議会において審議いたしまする國語政策の必要な参考資料は、この研究所において提供する。縫いまして研究所が研究いたしますことは、あらかじめ方角づけられることはあくまでも避けて行かなければならない。今一松委員の仰せられたところも、まつたくその通りだと存ずるのでありますが、つまり文部大臣がみだりに監督をすることはいけないのでありますが、監督をし得るというような條項がありますと、やはりそこに研究所の研究のまつたき自治制がそこなわれわしないかという心配がありまして、また同時に今申し上げましたように人事と予算、この問題を押えてお力ますれば、そうしてまた評議員の任命ありますれば、研究所としては車窓に陥ることはないということが確保いたされますので、こうした條文を表わしたわけであります。
#17
○一松委員 そういたしますと、今まで政府のこしらえたこういう機関に対して、その所管大臣が監督権がないという機関がほかにありますか。あつたら例をあげていただきたい。
#18
○稻田政府委員 たとえば各大学におきましては研究の自由があるわけであります。大学はもちろん文部大臣の所轄になつておりますが、大学そのものの研究は文部大臣において監督をしておりません。
#19
○一松委員 そういうことについて監督権がないという明文があるのですか。
#20
○稻田政府委員 たしか所轄という明文がございまして、コントロールする、監督するという意味での明文はないと思います。
#21
○一松委員 そうすると監督はしてはならなぬというよよな規定はこの本法が初めてですか。
#22
○稻田政府委員 あるかどうか全部存じませんが……。
#23
○一松委員 しかし政府としてこういう重要な所管大臣の監督権がないというような法文を提出する以上は、そのほかに例があるか。その例によつて、運営が非常に巧妙に行つているというような特殊な効果を発揮すべき理由として、ただいまあなたがおつしやるようなことで、所管大臣が監督権がないということはいかがでしようか。
#24
○稻田政府委員 今おつしやつた監督権がないという言い方をしているものがあるかどうかという点につきましては、そういうことは全部調べていないが、今例に申し上げましたように大学等の研究の自由、それに対して監督しない。これは所轄とか所管という言葉で表われておつたかと思いますが、そういう例はもちろんあるわけであります。
#25
○一松委員 こういう研究所などが誠心誠意研究を続けておるということに対して、いろいろ干渉がましいことはやるべきではないことは当然だと思います。しかしながらいやしくも所管大臣が自分の所管しておる事柄について、これははなはだ不都合なことだというような場合には、それを監督して適当な処分をするという権能は持つていることがいいと思う。たとえば極端な例をあげれば、ここに共産主義をしきりに主張する大学がある、そういうようなことで、その機関を動かすところの評議員というものも、ほとんど共産主義の人が動かすことになつたと仮定する。そういうときに所管の大臣が監督権ぶないのだというようなことでは國を救うゆえんではないと思う。やはりそういうような場合に、これは非常に悪い例であるが、必ずしも絶無ではないということであれば、やはり所管大臣はある場合においては、監督し得ないということを原則としにも、他の場合において監督の必要がある場甘には、監督権というものは保留しておく必要があると思うんですが、その点について所見を承りたいと思います。
#26
○稻田政府委員 もしただいまのお話のような場合がございますれば、文部大臣といたしましては人事に関します監督権の発動で、事態を救い得ることだと私どもは考えます。
#27
○一松委員 今のような精神であれば、一体人事に関することも予算に関することも一つの監督権です。だからしてむしろ人事及び予算に関する事項以外のものについては、監督権を持つてはならないというような書き方よりも、あなたのおつしやるような精神をよりよく表わすような字句を使う方がいいぢやないかと思つて、今質問をしておるんですが、さらにこれは御研究を願うこと、にしておきます。
 それからその次の第三條ですが、研究所の事業は他の研究機関または個人によつてすでに行われ、または現に行われている同種の調査研究と重複しないことを原則とする。二項に、これを避けるためには、適当な研究機関または個人によつてすでに行われている場合には、研究所の事業としてその調査研究をその研究機関または個人に委託することができるとある。そうするとすでに個人がある同種の研究としておると、政府はこの國語研究所で研究されないということになる。個人の研究によつて國家の事業がそこで妨げられるということになると思う。私は個人の事業よりも國家の事業の方を軽く見ておると思います。
#28
○稻田政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、國立でこうした研究所を設置いたします理由といたしましては、大学その他に付置する研究所と違う性格といたしまして考えられることは、一つは國の政策に関係のある研究を行うということ、いま一つは総合的性格、非常に廣い研究、大規模な研究をやるという性格にあると考えられるのでありますが、この国語研究所もその例に入るものでありまして、今方々の大学なりあるいは民間の研究團体等におきまして、國語問題について種々の見解はございますけれども、この國語研究所の第一條及び第二條に掲げますような大規模な調査研究をやつておるところは、今日のところほとんどないと考えられます。もちろん部分的に各個人の研究所でやつております研究調査は、そのままこの研究所において全体の総合計画のうちに利用いたしますことが、國家としても最も少い経費、少い労力をもつて大きな成果を発揮するゆえんでありまして、この研究所が、民間研究所の競争相手となつて、非常に特殊な一部の研究にのみ局限するということを避けることが、この研究所の性格であろうと思います。そういう意味において、原則として他の研究所と重複した同じような研究を、この研究所で追いまわさないということを、第一項で表わしたわけであります。決して研究所自体が民間の研究所の他に全面的に讓つてしまつて、その研究を放擲するというような趣旨で、この第一項を掲げたわけではないのであります。研究所が適当と考える場合に他の研究機関に依頼することができるという道を、第二項によつて開いたわけであります。お話になりましたような心配はおそらく起らないと考えております。
#29
○一松委員 今お話のようなことであつて、國立の研究所は総合的に大規模に研究しておる。こういうことは民間にはない。ないからしてこういう法文があつても何もしようがないという御趣旨でありますが、それならば現に行われている同種の個人の調査機関と、重複してならぬということはいかぬと思います。そういうことを前提とすればこそ、他人がやつていることを重複することは、國立の研究所がしてはならぬということならわかるが、國立の研究所が研究するようなことは、個人としてはならぬものだというならば、それは政府のやつていることに対して、個人が後からそれを追つかけて来て政府と同じことをやつているこどは、むしろそれは政府に吸牧されるようにしなければならぬと思う。私はそのいがんことを書く必要はないと思う。のみならず私をして言わしむるならば、こういうことが国立として必要な機関であるならば、総合的にこれを調査研究する必要は、個人の調査研究よりも國費を使つて大規模にやる方が効果的であるからである。それならば個人がやつておるからといつて重複してはならない6個人のやつていることはそつと脇において、その残りのことを国家がやるということでは、この研究を設置する目的と少し離れはしないかと思いますが、この点はいかがですか。
#30
○稻田政府委員 ただいまこの研究所で考えます程度の大規模のものはほとんどないと申し上げましたのは、現状を申し上げましたので、将来につきましてまた民間その他の研究所で、各種各様の研究がもちろんあろうかと考えられるのであります。ここにこうした趣旨を置きましたのは、あくまでもこの國立の研究所というものは非常に廣い大規模の研究を――この研究所それ自体の力のみの研究ではなく、あらゆる方面のあらゆる有効な研究をこの研究所を中心に結びつけてうその成果を自他ともに利用し合い、総合的の結果を発揮するという趣旨でこの第一項を設けましたので、「……原則とする」とあります趣旨もその意味を表わしたわけであります。重ねて申し上げようでありますが、結局これによりましてこの研究所も伸び伸びとした大きな研究をやつて行く。また一般の研究所につきましても、この研究所ができたからといつて何もそれに万事席を譲る必要はない。それぞれの研究それぞれの調査を十分これから奨励して行きたいという趣旨が、第一項に表われておるわけでございます。
#31
○一松委員 それならば第一項はいらぬではないか。政府もやる。個人もやる。同じようにみなやつて、いいことを吸収して國策の線に乗せて行くということであれば、個人がやつていることに対して政府が重複してできぬという制限を受けるからいけない。自由にやることができるということにしておけば、政府がやるごとについて個人もやるし、そうして個人のやる研究が政府よりもむしろ比較的合理的であるという場合には、個人に譲つてもよろしい。それを個人がやつていることに対して、政府がそれに制限を加えることそれ自体が悪い。政府もかつてにやる。個人もかつてにやる。政府が着手している研究に、民間が手を出すことができないということであつてはいけない。個人のやることに対して政府は重復してできないということはおかしいのであつて、範囲を廣くしておけば効果は上ると思う。また個人がやつている研究に対しては政府が國営でやらぬでも、個人の事業を奨励すればいい。
#32
○稻田政府委員 多少繰返しになるかもしれませんが、これは研究所が各方面のいろいろ研究の状況を調べまして、ここにありますように「既に行われ又は現に行われている」研究と重複しないということでありまして、將来行われるかもしれないことについて言つているのではないのであります。それぞれの研究の状況を見て、それとまつたく同じことを研究所で同じように繰返す必要はないと思います。研究所はもう少し廣い高所に立つての目的で事業をやつて行く。そのうちで頼んでしかるべきものは第二項によつて委託して、総合したものを研究所の研究成果として発表するという趣旨でございますので、お話のようなきゆうくつなことに陷ることはなかろうと思います。
#33
○一松委員 個人がやつている研究は人物の点、費用の点で、政府のやることよりも不完全であると考えなければならない。個人の研究が不備である場合、政府が遠慮してそれに手がつけられないということであつてはならない。そういうときにその調査研究を政府もやり個人もやり、もし民間の研究が優秀であるならば、それを政府は吸収してもよろしい。またその反対の場合もあると思うが、原則として五條のような條文を書くことはどうかと思う。
#34
○稻田政府委員 ある題目について民間の方で研究している場合に、この研究所でもつと大規模に有力な別の方法をもつてやるという場合におきましては、決してこの研究所の仕事を制限しようという意味ではないのでありまして、民間のいろいろな研究を利用する意味において、まつたく同じ題目、方法でやることを避けるのだということを、明らかにしたのであります。民間の調査研究も大いに伸びてもらいたいという氣持が、第一項に表われております。
#35
○一松委員 それならばむしろ政府のやる研究の方に、重点を置いた方がいいじやないかと私は思つております。同じようなことを研究しておるが、民間で思うように進まないと認めるときには遠慮することはない。國家は國家として研究をやることが正しいのじやないか。
#36
○稻田政府委員 あるいは同じことかもしれませんが、私どもは民間に委託し、民間の仕事を研究所に大きく取入れることが、結局人材を集め研究成果を集中するゆえんであると思います。そういうものはそれとじて、利用するものは利用する。それでいいじやなやかと思います。
#37
○一松委員 利用するものであるということであるならば重複してはならぬということを書く必要はない。この書き方だと個人のやつているものに対して、國立の研究所は手をつけられないということになる。それだからこの書き方はいけないと思う。
#38
○稻田政府委員 こういう趣旨で將来運営して行くことになるわけでありますが、また繰返しになるかもしれませんが、民間の各種の研究、調査をこの研究所の大きな研究のうちに包含するという趣旨が、第一項、第二項を通じて表われておるわけであります。御了承いただきたいと思います。
#39
○一松委員 包含するのであればこう書かない方がいい。あなたのおつしやるのは民間に吸収するのであつて、國家が研究を吸収するのではない。私は逆に國家の方へ吸収する方がよくはありませんかと聞くのですが、これは意見の相違ですからよろしゆうございます。
 次にお伺いするのは、國立國語研究所と國語審議会と重複しておることはおもしろくないのですが、この点どういう御見解を持つておりますか。
#40
○稻田政府委員 國語審議会は文部省がこれに諮問いたしまして、重要な國語政策を審議答申していただく機関でございます。その審議会が重要な國語政策について審議いたします場合の参考となるべき資料を――この法案の第三條第二項の一でございますが、この研究所から提供する。従つて研究所においてまつたく科学的に調査研究をいたしました結果に基いて、國語政策の立案上の参考となるべき資料を研究所から文部省に提供いたします。そうすると文部省は國語政策について國語審議会に諮問する場合に、その資料を國語審議会の方にも提供する。國語審議会において政策の審議決定がありますれば、文部省はたとえば國語課といつたような機関を通じまして、ある問題は教育に関連せしめ、ある問題は他の行政部門との関連をとつて、それを実施し、あるいは民間を奨励助長するというぐあいに、文部省と國語研究所と國語審議会との三者が関連を持ちながら國語政策を実施する。こういうふうに考えております。
#41
○一松委員 それならば重複しておることにならないか。そのように國語審議会に資料を提供するというような屋上屋を重ねるようなことをしなくても、國語研究所の権限を拡大すれば目的は達せられるのではないか。このように行政整理の必要なときに、國語研究所に全面的に権威を持たせればいいものを、二つにわけなければならない理由はどこにあるのか。
#42
○稻田政府委員 従来國語政策の立案をする場合には、審議会は文部省のお手簿いをいたしまして各種の調査をいたしたのでありますが、國語政策を立てる場合にはもりと根本的に、廣範囲に、大規模に、國語に対する科学的な調査研究が必要であるどいう趣旨をもつて、この研究所が生れて参つたのであります。お話のように研究所自体が調査研究に基いて國語政策を立案いたすということになりますと、ややもいたしますれば政策の方が先に立つて、必要な資料を集めるというようなおそれもないではない。研究調査をするところまつたく自主的に科学的に研究調査をやつて、そうして政策を審議するところは政策を審議する機関にわけてやるということの方が、國語政策の点から見てよろしかろうという点から考えて、三者の関連が考えられたわけであります。
#43
○一松委員 從来そういうことを國語審議会にやらしておつたから、それを保存しておかなければならぬというように聞えるが、新たに國立國語研究所を設けて、しかむ第二條に規定してあるような廣範な事業をやらせるということであれば、同じことではないか。研究の結論を文部省に答申し、文部省は原案をつくて國会に提出するということでいいわけであるのに二重に屋上屋を重ね、人を増し予算を増してやるということはどうでしよう。従来やつているからということにとらわれるよりも、この研究所というものをもう少し拡大強化すれば、その目的を達することができるように思うのですが……。
#44
○稻田政府委員 研究所自体の目的が事業はここに掲げられておりますがうこれは政策に関する資料の提供ばかひではなく、ごらんのごとく調査研究というもつと廣い別の目的も十分あることは御了承願いたいと思います。それから一面國語審議会におきましては、單に学者ばかりでなくいろいろ社会各層、各方面から人が集まつて、國語政策はいかにあるべきかを審議されるのであり、おのずから構成も違い目的も違う点がありますのでただちにこれを他にかえるということはかえつてやりにくいと思います。
#45
○一松委員 國語研究所の研究目的というものが、この第二條に規定されておるが、この中に国語政策も含まれておるならば、あなたの仰せられるよりもこの研究所の範囲というものは廣い。その廣い範囲の中から國語審議会に必要なものを抽出して、それを基礎にして文部省が國語政策に関する立案をして國会に提出するということであれば、さらに審議会を設ける必要はないと思う。この研究所が廣範な権限を持つということであれば、それを拡大強化すれば審議会はいらぬと思う。審議会というものを廃止してしまうのは気持の上で惜しいということで、存置するということであつてはよくない。費用の点、人員の点を節約して、できるだけ簡便にして目的を達することができるようにすればいいと思う。ほんとうにこれを二本建による必要があるというならば、ここがごうだという納得のできる説明をしていただかなければならない。
#46
○稻田政府委員 國語政策につきましては政策の線が強くて、科学的の研究が曲げられるということであつてはいけませんし、また科学的研究なしに政策のみが進められるということも悪い。研究する者自身が政策の結論を出すというよりも審議会という他の手でやつた科学的研究調査の結果の中から、政策決定の資料となるものをとる。そうしていろいろな見地から見て政策として審議会が決定する。こういうふうにわけた方が妥当を得るのじやないかと考えるのであります。
#47
○一松委員 そうするとこの研究所の研究したことは、審議会において制限を受けるのですか。せつかく研究所が自由な立場から研究したもののうちから、これはいい、悪いといつて審議会において制限するということであれば、文部省に監督権がないという趣旨と矛盾すると思う。
#48
○稻田政府委員 これは自主的な立場に立つて、科学的な見地から永久に研究を続けて行くのでありますが、調査研究の結果國語政策の立案の資料となるものは文部省に提出する。もちろん資料というものは一つの政策の結論が出て心るものではないと思います。文部省は重要な國語政策を立てる場合には、題目を與えて審議会において審議してもらうどいうわけであります。研究所自体はずつと調査研究を続けておるわけでありまして、そのうちから政策立案の資料となりそうなものを提供するのが、研究所の趣旨であります。
#49
○一松委員 研究所が研究した資料を文部省に報告する。これをとりまとめて國策の線に乗せるということは、そのくらいのことは文部省の役人がしなければならない。審議会できめた問題を文部省が取上げて國会に提出するということであれば文部省の役人は何も必要ない。そのために文部省の中にはいろいろ調査機関があるわけです。研究所というものはそれだけの大切な研究をしてそれを答申するのだから、それを選択することが文部省の役人にできなければそれをまた審議会にかけて、その結果を文部省がうのみにして國会に出すのですか。やはりそれは文部省がしなければならないのだから、二重の手間をかける必要がどこにあるかと聞くのです。
#50
○稻田政府委員 同じ点の繰返しになるかもしれませんが、もちろん文部省が責任をもつて実施するわけでありますけれども、各方面の方々によつて構成されている審議会において、重要な問題を愼重に審議していただいて、その答申をまつて文部省が実施に移すということが、国語政策といつたようなものについては必要ではないかと思うのであります。
#51
○一松委員 権威者と費用を入れて調査研究をするのは國語研究所ではないのですか。その報告の結果から審議会が抽出して、文部省がそれを國策の線に乗せるというのは、屋上屋を重ねることになるというのです。そういうことをするから人と費用がたくさんに必要になる。それならばこの研究所に人材を集め予算をとることは必要でなくなる。研究所の研究結果について、文部大臣はそのうちからいいものを調査して國策の線に乗せればいいわけで、その間に審議会を存置させて二重の手間をかけることがいいのかどうか。今日政治を簡素化して予算を省略してやろうというときに、そういう調査研究のために審議会を設ける必要はないじやないか。要するに研究所か審議会かどつちか一つでよくはありませんかと聞くのです。
#52
○稻田政府委員 研究所それ自体は政策の立案はやるべきではなく、やることは適当ではないと思うのであります。これは科学的な調査研究を将来にわたつてあらゆる面について継続して行くわけです。そのうちに文部省の方から要求ある場合もあり、研究所自体として國語政策に関する何らかの資料を提出する場合もございましよう。これは研究所の一つの仕事として文部省に提供する。そこで文部省は國語政策をきめるわけでありますが、やはり独自できめずにこうした重要な問題でありますから、各方面の人によつて構成された國語審議会にかける。研究所はあくまでも自主的に研究をやり、國語政策というものはまた別途の観点に立つてやるのが適当と思います。
#53
○一松委員 國語政策の立案は研究所ではしないとおつしやるが、この第二條の二項の一にある「國語政策の立案上参考となる資料の作成」、これをやつてこれを文部省に報告するのでしよう。そうすれば文部省はそれを基礎にしで、どういう点をどうしたらよかろうということをとりきめて國会に出せば、これより愼重なことはないと思う。資料があるのにまたそれを審議会に審議させて、その上のことでなければならぬということでなくても、文部省の中の機関にかけて決定し、それを國会にかけて審議すればいいのに、審議会でやるということは二重であつて費用がいるから、それがいかぬじやないかというのです。今まで利用し続けて来た審議会を廃止することは惜しいという気持ちがある思う。われわれ國会議員の立場から見れば、これだけの人材、費用ででき上つたものを、また審議会にかけてやらなくてもよくはないかというのです。それなんです。
#54
○稻田政府委員 研究所は政策資料。作成だけが問題ではないということは、先ほどから申し上げておるのであります。研究所の仕事の一つとして参考になる材料があればそれを提供する。もちろん政策そのものを提供するわけではありません。研究所においてはそこまで結論は出ない。それを結論づけるのは文部大臣が各種の見地に立つて政策をしてそれを実行する。政策を実行する上においで愼重を期する意味において、國語審議会の諮問答申をまつということになるのでありまして、たとえば実験をやつて実験の結果を報告する。その結果の応用ということはこれは別問題でありまして、單に実験の結果を報告するという意味で御了承願えればよろしいと思います。
#55
○久保委員 私は國語改良の点について伺つて見たい。
#56
○稻田政府委員 改良の滑革については先ほど申し上げた通りでありますが、國語改良の問題は、教育の修業年限の短縮に影響を持つ問題でありますからして、急速に日本人自身の手によつて解決しなければならぬのであります。この点につきまして、國語審議会からの建議並びに米國教育使節團の勧告がありましたわけです。
#57
○久保委員 私の聞かんとするのは、國語改良問題は古くからあつた。しかるに何ゆえ今日まで日の目を見なかつたかという点で、私も審議会との関係を聞きたかつた。これは想像ですが、審議会ができたのは、國語問題を科学的に調査するというのでできたのではないんですか。
#58
○稻田政府委員 審議会の消長はありました。ときには学者をもつて、ときには学者以外の人をもつて審議会ができておりましたが、今度まで十分な成果があげられなかつた。それはこの法案のごとき研究所というものがなかつたからであります。その欠点を補つて目的を達成しようとするもりが、この研究所でございます。
#59
○久保委員 今日初めてこういうことが考えられたのですか。
#60
○稻田政府委員 これは予算化しなかつたのでありまして、もちろん研究的な機関が必要だとは考えでおりました。
#61
○久保委員 この法案は文部行政に携わつた人がいかに怠慢であつたかを物語つておる。今までこんなことが考えられなかつたとは考えられない。審議会とあわせてできなかつたかということに疑問を持つておるのです。
#62
○高津委員 私は一松委員の説に全部賛成であります。第三條は、要約すると、一つは、研究所の事業は民間に委託することができるということ、もう一つは官民、研究所の事業が重複しないようにするということだと思う。それをここにうたう必要はないと思う。この第三條は削るべきである。國語審議会をつぶしてしまえということはもつともである。
#63
○稻田政府委員 あくまで研究所は自主的に國語及び國民の言語生活に関する科学的な調査研究を行うところであぴまして、審議会は文部大臣の監督下にその語詞に応じて國語政策に関する事項を答申するところであります。
#64
○後藤委員 私はこ。法案は將來の理想としては賛成であります。しかし現状に即して調整の必要があるのではなかろうかと考えます。すなわち審議会と評議員会との関係は、先ほど一松委員の申されだように、また高津委員や久保委員の御意見でもわかりますように、調整の必要があると思う。
#65
○久保委員 自由奔放な学術的基礎研究をやつて行くものならば、あえて所長は文部教官、文部事務官の中から子れぞれ役人が更迭する行き方ではなく、権威ある学識者をもつて、長く学術研究的な機関としてこれを置くことがよろしいと思います。文部官僚だけを文部大臣が自由に任命して行くという考えには賛成しないのであります。
 もう一つは第三條の「同種の調査研究と重複しないことを原則とする」ということに関しては、私は一松委員と同感であります。これをわざわざ條文にうたう必要がどこにあるか。これは政府委員の答弁を聞いておつてもその感を深くするのであります。少くともこの点は修正しなければならぬと思うのであります。さらに審議会と評議員会と関係のある規定が第六條にございますが、理想としては冒頭に述べましたように賛成でありますが、現状に即して参りますならば、評議員会と審議会と二本建にして運用して行くことは、將來はともかく現実においては、條文に審議会とこの研究所を結びつけることをうたう必要があるのではないか。もつと自由奔放に、國語研究が何らかの学術的な目的を持たずにいもつぱら國語学上から自由奔放に特殊の目的を持たずに研究し得るということであれば、わが國のために幸福でありますが、わが國の現然はそごまで行くかどうかを考えなければならない。自由奔放な学術研究は好ましいけれども現実はそこにない。少くとも國語審議会が政策に必要とするような特定の範囲に、研究が制約されなければならない現段階では、何らの目的を有しないところの、しかも奔放多岐な研究が行われるような理想境には断じてないと思う。生きた政治をやつに行く上から行きまして、よろしく本法がかような形において立案されるよりも、一つの制約をここへつけなければならない。わが國の経済力自体がその制約を余儀なくされると考えなければならぬと思いす。國情が根本だからといつてわが國の文化を無規することはできませんけれども、この点について本研究所を設けるということ自体は賛成でありますが、もつぱらわが國の國情とその勘案の基礎の上に立たなければならない。これが審議会と本研究所に対しまして、本法の立案にあたりましては暫定措置的にこれが結びつけられて、特定の目的のためによりよき効果をあげられるように再検討する必要があると思います。この点については当局の御意見を承りたいと思います。
#66
○稻田政府委員 最初に第四條の問題でございますが、これは任命と補職の関係でございます。もちろんこれは部内の職員でございますが、いずれの研究所でありましても、あるいは内閣でありましても、行政機関でありましても、文部事務官、文部教官、これによるほかはないのであります。研究所の所長も文部教官あるいは文部事務官として任命されて、所長を命ぜられるわけであります。この定員表につきましても所長はこの定員の中に入つでおるわけであります。従いまして文部部内にある人は、横すべりの意味でありまして民間から起用いたした場合も、まず文部教官、文部事務官に任命いたしまして、任命された方を所長に命ずる。こういうことになるのであります。他の点につきましては繰返しになりますが、第三條につきましてはあくまでも研究所が廣い総合的の見地に立つで、研究所として利用し得る限りは利用する。また研究所自体がほかで研究しておることと重複して、無駄をすることがないようにということを、この法律の第一項第三項によつて明らかにすることによつて、研究所のそうした性格が初めてこの法律に表われるものだと考えておるのであります。それからただいまの非常に苦しい財政状態の時期におきましても、こうした教育なり国民文化の基盤になります重要な國語問題でありますので、一面において必ずしも政策から出発し政策へ帰る目的を持つての研究ばかりでなく、國語全体についての自主的に研究をいたします機関も必要だと考えますし、政策の立案は研究する者それ自身でなくて、別途に材料をもらつて別に構成された委員会によつて諮問して文部大臣がきめるということが、私どもは國語政策立案の妥当を得る道だと考えるのであります。どうかよろしくお願いします。
#67
○黒岩委員 国語の問題でどうしても早く解決しなければならぬ問題は、國語の合理化の問題とそれを表現する文学の簡素化という二点が重点だと思います。その建前からこの二條を見ますと、最も軍規すべき問題は第一項ではないかと思います。二項も三項も研究の成果を保存するという意味において重要でぱありますが、生きた政治の上から考えまずと、一つの國語政策の立案上参考になる資料の作意ということが最も研究所の重大なる任務であり、今日の段階におい七はさように考えられるのであります。そういういう意味でこの研究所を設置することは、きわめて妥当なことであります。しかもでき土つた研究所には、その規模おいても権威においても特に重きをなすものでなければならぬと思います。そういう観点から私も御意見の通り國語審議会との関係が、この際十分に究明されなければならぬと考えます。一体立案上の資料といいますけれども、権威を網羅して研究しましたところの成果が、それ以外の人によつていろいろと政策上論議される余地があるようなものが、できてはならぬと思います。國をあげての一流の権威者が研究した資料でありますから、それから將來の國語政策の方向というものも、自然に現われて来るのではないかと思います。今まで國語の問題が時代によつて変化しておる。かなづかいに一つ見ましてもこの二、三十年間にたびたび変化しておる。そのために迷惑するものは國語教育の実際に当る者、またそれを学ぶ者であります。かようにわずかな年数の間に変轉きわまりな、結果でありましでは、日本の國語教育はいつまでたちましても、ほんとうのものにならぬということを憂慮するものであります。こういう観点からいたしまして、先ほど一松委員から屋上屋を重ねるという言葉をもつて表現されました通り、國語審議会が不要であるということを考えると同時に、國語審議会を不必要ならしめるほどに、この研究所を強化したいという意見を持つておりますが、政府の今までの意見を聞いておりますと、基本線を堅持されておりますことはよくわかりますけれども、その点についてはもう一度検討いたしまして、その上で最も妥当なりという点に意見の一致を見たいと希望いたします。文部当局としてもその点についでお考えを願いたいということを希望いたします。
#68
○田淵委員 私の質問も審議会の問題に関連すると思いますが、先ほど質問いたしました第七條の二項の、評議員は学識経験のある者のうちから、文部大臣が命じまたは委嘱する、というのでありますが、この文部大臣が命じまたは委嘱する実際上の手続は、どのようにして行われるかという点についてお答えをいただきたいと思います。なお付言いたしますならば、黒岩委員からおつしやつたように、國語問題については國語の簡素化、文学の制限という問題がありますが、従来の國語審議会の構成分子というものを見ますならば、必ずしもこれが日本の最高権威もしくは絶対中立的な立場をとつておる人ばかりで構成されているとは思わないのであります。もう一つは人事が狭く限られている。たとえば國語を審議する場合には、その道の専門家であるならばという考え方であつたため、に、今日の国語問題の解決というものは中途半端になつてしまつている。文学の制限はもちろんやらなければならない。しかし單に文学の制限、かなづかいの改良という点のみを強調して、國語そのもの、言語的言韻の整理というものについては、あまり考慮が拂われていないのであります。從つて用字法というようなものはまつたく整理されていない。一方において漢字制限をしても、音韻的に見た國語の整理が伴つていなかつたならば何にもならない。それが日本語を他國語に比して複雑にした根本原因であると思います。一つには國語審議会の構成委員の中には、へんぱな者があつたということを考えざるを得ない。殊に従来の國語審議会の委員の顔ぶれにつきましては、国語学者には反対者が非常に多い。これらの人は決して文部省の奨励するものを援助しない向きも、明らかに現われているのであります。國民大衆もこれに同調しようとしつつも、ただいま申しましたように文字制限のみに力を入れて、音韻的な國語そのものの研究がされなかつたということなのです。ここに評議員の人選が非常に問題になつて来るのでありますが、文部大臣が委嘱することは、従来國話審議会などの構成委員もしくはこの人たちを推薦した限られた人の推薦であるとか、あるいは依頼であるとか、そういうものによつてされるようなことがあるならば、これは國語審議会が多くのプラスを加えると同時に、前のマイナスの繰返しにすぎないと思うのであります。そこで文部大臣が委嘱し命ずるということは、実際上の手続はどのようにされるか。あるいは学術会議との関連が考えられているかどうか。この点をお尋ねしたい。
#69
○稻田政府委員 評議員の実際の選任につきましてお答え申し上げます。國語研究所につきましてはすでに創設準備委員会というものが設けられております。この創設準備委員会に加わつております方は、各学会あるいは新聞、放送その他の学界から出ておられます。その準備委員会で、評議員がいかなる方々から構成さるべきかということを審議していただいて、それについて文部大臣がお願いをするという段取りになつております。
#70
○圓谷委員長 本問題につきましてはいま一回質疑を継続いたしますか。いかがいたしますか。
    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり)
#71
○圓谷委員長 それでは次会は明日の午後一時より開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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