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1948/11/24 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 文部委員会 第6号
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1948/11/24 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 文部委員会 第6号

#1
第003回国会 文部委員会 第6号
昭和二十三年十一月二十四日(水曜日)
    午後二時三分開議
 出席委員
   委員長 圓谷 光衞君
   理事 松本 七郎君 理事 伊藤 恭一君
   理事 久保 猛夫君
      古賀喜太郎君    平澤 長吉君
      水谷  昇君    高津 正道君
      田淵 実夫君    一松 定吉君
      黒岩 重治君    野老  誠君
      織田 正信君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 下條 康麿君
 出席政府委員
        文部政務次官  小野 光洋君
        文部事務官   稻田 清助君
 委員外の出席者
        專  門  員 宇野 圓空君
        專  門  員 武藤 智雄君
    ―――――――――――――
十一月十九日
 新学制実施促進に関する陳情書(仙台市長岡崎
 榮松外十九名)(第二六八号)
 戰災小学校復旧に対する起債及び國庫補助増額
 の陳情書(全國戰災都市連盟会長姫路市長石見
 元秀外十九名)(第二七七号)
 地方に國定教科書の作製委讓に関する陳情書(
 四國図書出版株式会社代表牟禮政次郎外三名)
 (第三一五号)
 六・三制完全実施のため全額國庫補助の陳情書
 (長野縣町村議長会)(第三五四号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國立國語研究所設置法案(内閣提出)(第二六
 号)
    ―――――――――――――
#2
○圓谷委員長 これより開会いたします。
#3
○田淵委員 再び質問が許されましたので、二、三重ねてただしてみたいと思います。先般來問題となつております第三條でありますが、聞くところによりますと、この第三條の規定の内容につきましては、相当権威のある研究團体から申入れがあつて、それを内容決定の一助として、このような規定が案として取入れられたというふうにも聞いているのであります。そこで、そういう点を考え合せますならば、これは内容の修正ということは当面ないように考えるのであります。ただ表現の問題に帰するというふうにも見られるのであります。しかしこの條文は読み下したところ、見方、取り方によつてはどのようにでも解釈のつくような、いわば繁文だ。であるがゆかにこれをもう少し簡素化して一本にまとめ上げるということが、われわれは望ましいのであります。そこで社会党といたしましては他党の委員有志の方にも三、四お諮りしたのでありますが、この條文をこのように修正してはどうかという議が、一應まとまつたのであります。すなわち第三條、研究所は必要と認めるときは、その調査研究を他の適当な調査研究機関または個人に委託することができる。以上でありますが、こう規定いたしますならば、かえつてこの原案に盛られておりますところの内容は振幅性、融通性をもつて余すところなくこれに包括されて、かえつて彈力性のあるところの規定になるのではないかと考えるのであります。そこで一應そういう議がまとまつたのでありますが、なおこれにつきましては手続上その他の関係もあつて、この委員会において審議されることが望ましいと思うのであります。
 それから第四條でありますが、四條二項のこの規定の表現も、修辞的に申すならば多少難があつて、誤解を招く節がなくはないと思うのであります。先般の委員会において政府委員より説明がありましたので一應了承したのでありますが、所長は一級の文部教官または文部事務官の中から文部大臣が命ずる。從つてすでに一級の文部教官または文部事務官としてあるところの人よりというふうに受けとれまして、民間人を起用して有能な学識経驗者をそこに起用いたしまして、これを一級の文部教官または文部事務官に任命いたしまして採用するというふうには、とれないようなうらみがあるのであります。つまりこの條文は、所長は一級の文部教官または文部事務官とし、文部大臣が命ずるというところであろうと思うのであります。表現はなお不十分であります。この点につきましてもなお政府委員なりあるいは文部大臣なりの御見解を、承つておきたいと思うのであります。
 それから第五條でありますが、「所長は、毎年少くとも一回、調査研究の状況及びその成果に関する報告を公表しなければならない。」となつております。この一回を二回に改めてはいかがであるかということを申し上げたのでありますが、言葉が足りませんので、なお補足いたしますが、なぜ一回を二回にしなければならないかと申しますならば、もちろん年度一回の報告発表ということがあらゆる調査機関、研究機関などの慣例でもあり、都合でもありましよう。しかしこうした学問研究というものは、これが成果であるといつて一年ぐらいで出されるものは比較的乏しいのでありまして、三年、四、五年も要する研究も多いのであります。あるいはそれ以上の歳月をかけなければならぬところの研究が、はなはだ多いのであります。といたしますと、年一回の報告をさせるという場合に、熱心な研究者はもちろんその任を果すでありましようが、官公立の研究機関にいたしましても、私立の研究機関にいたしましても、往々にして再々予算の食い逃げ的な研究報告ということがあるのであります。いわゆる一夜づけとは申しませんが、にわか仕立ての研究報告書なるものをつくつて、その年度内研究活動をサボつているというような事実も見受けられるのであります。それで調査研究の成果の報告ばかりではなくて、状況の報告ということになつておるのでありますから、年二回といたしまして、年度内前期に一度報告せしめてその経過を見る形式にし、さらにまた報告せしめてその経過を見るということであるならば、予算の食い逃げ的なサボタージユというものを防げるのではないかというふうに考えましたがゆえに、私は二回とここを直していただきたいということを申し上げたのであります。この点いかがお考えでありますか。さらに御意見を承りたいと思うのであります。
 それから第七條でありますが、「評議員は、二十人の評議員で組織する。」、二項は「評議員は、國家公務員法の定めるところにより、学識経驗のある者のうちから、文部大臣が命じ、又は委嘱する。」、この文部大臣が命ずるところのものは部内関係、委嘱するというのは部外関係であるというふうに、政府委員の説明があつたのでありますが、その点は了承したのであります。ただ文部大臣が任命しまたは委嘱する場合におきまして、文部大臣一個の御判断によつて、任命または委嘱が行われることはあるまい。またあつてはならないのだと思うのであります。内実におきましては、ここに何らか評議員たる者を推薦するもの、あるいは評議員たる者を審議して、文部大臣にその候補者を申告するというような手続がふまれなかつたならば、これは民主的ではないと思うのであります。そういう意味におきまして、どのような手続で、文部大臣の任命委嘱ということが行われるのであるか。手続上これに要する機関というものはここに必要がないのか。規定する要はあるのか、ないのかというようなことも、ひとつ御意見があつたならば承りたいと思うのであります。つまり申しますならば、人事権の発動手続という問題が、ここになお残されておると思うのであります。これに関連いたしまして、この規定には直接関係がありませんが、間接的に関係を持ちますのは、國語審議会でありますが、これは國語研究所ができるならば、屋上屋を架するきらいがあるのではないかということは、十分論議されたのであります。ところが審議会の存置の必要性ということが、政府委員によつて説明されましたので、一應了承したのであります。残る問題は、國語研究所の人事の民主化ということと並行して、これを存置するならば、國語審議会の人事ということも、考え直してもらわなければならないということを要望するのであります。さらに第十一條にわたりまするが、研究所の專任の文部教官または文部事務官の定員でありますが、この定員はここにあげてあります人教以外に、他の職員、傭員、雇員等を合すと五十名を越える数になると承つたのであります。これだけの定員が必要であるかいなかということは、この國語研究所の機構運営というものが、なお詳細に明らかにならなければ、実は納得が行かないのであります。しかしこれはにわかに手続上望まれることでないといたしましても、適当なる機会にこの研究所の全機構のデイコールにわたつて一覽表のごときものをつくつて、お示しくださるということが望ましいのであります。
 なお二、三の問題につきまして意見があるのでありますが、機会が與えられますならば追つて申し上げたいと思います。以上の点御意見を承るべき節があつたならば、承りたいと存ずるのであります。
#4
○下條國務大臣 ただいま田淵委員から御意見のありました点について、私ども考えておるところを申し上げて御了解願いたいと存じます。第一点は、第三條第一項の点についてでありますが、規定の文面は別といたしまして、内容につきましてはまつたく私と御意見が同じであるということを申し上げたいと思います。と申しますのは、國語研究所を設けました趣旨というものが、國語研究所を本体としまして、そうして民間に適当なものがありましたならば、それを加味して行きたいという建前でありますことは、すでに私が申し上げた通りでありまして、結局お考えと一致しておるというふうに考えておるのであります。
 それから第二の、第四條第二項の「一級の文部教官又は文部事務官、」これはお考えの通りのものであります。一級の文部教官または文部事務官というのは、現にある人ばかりでなく、野にある人が文部教官または文部事務官になります場合も、包含しておるつもりでございます。
 それから第三点のリポートの回数の問題であります。これはお話の通り成果につきましては一年一回でも困難かと思います。しかしながら調査研究の実況につきましては、あるいは二回でも三回でもなし得るかもしれませんが、しかしその調査研究の実況の発表も、あるいは一回で済む場合もあろうかと思いますので、書き方としては、二回くらいにしておきまして、事実もし調査研究の状況によつて二回できます場合には、二回いたしてもよろしいと思います。ただ、二回としましてあまり大した進行もないのにいたすということも、いかがと思いますので、まず一回としておきまして、現実の問題としては二回ということもあろうかと思います。
 それから第四点の評議員の任命について、何か手続上民主的な機関はないかというお尋ねでありますが、これは文部大臣が責任を持ちまして、そうして創設委員会がございますから、それにかけてやるつもりでございます。それから國語審議会は、これはたいへん古い時代に成立いたしました官制でありまして、官制自体につきましても直す必要がありますと同時に、その人事につきましては、全然改組いたしたいという考えをもつて、お考えの通りにとりはからいたいと思つております。
 それから第六の機構の内容は、一應の案はありますが、現在創設委員会で審議中でございますので、いずれお示し申し上げる機会があろうと思つております。
#5
○圓谷委員長 他に御質問はございませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○圓谷委員長 それでは、これより國立國語研究所設置法案を議題として討論に入ります。平澤長吉君。
#7
○平澤委員 私は数次にわたる質疑等にかんがみまして、また本日ここで文部大臣の言明も承りましたので、原案に賛成するものであります。
#8
○圓谷委員長 田淵委員。
#9
○田淵委員 社会党を代表して討論を申し上げます。一切の文化活動というものは言語、國語によつてなされるものであり、從つて文化國家の建設ということは、言語研究、國語研究より始まると言つて過言でないと思うのであります。そこで、國語研究ということは、文化建設の上の出発点であるとともに、最終点だと私は存ずるのであります。こうした大きな事業としての國語研究を、國家の手によつて行うところの國立國語研究所が設置されることは、われわれ文部委員として同慶にたえないと思うのであります。本法案の内容及び規定にわたりましては、すでに過日來の委員会において論議し盡されたと思うのであります。その結果、政府の説明により、各委員の御発言によりまして、了解されるところが多大であつたのであります。そこで社会党といたしましては無修正のまま、原案に賛成いたしたいと存ずるのであります。
#10
○圓谷委員長 伊藤委員。
#11
○伊藤(恭)委員 私は民主党を代表いたしまして討論に入ります。國語の合理化をはかつてあらゆる学術振興に寄與し、文化國家建設のためその能率を向上させ、さらに國際的運営上最も適切なる科学的調査研究をすることが、喫緊なる要事でありますから、一日も早くこの法案の成立するように望む次第であります。もちろんこの法案の成立につきましては若干の修正意見もありますが、將來必要ある場合にはこれを適正に修正することといたしまして、今回は時日も切迫いたしておりますから、まずもつてこの原案を無修正のまま成立することに私は賛成する者であります。
#12
○圓谷委員長 黒岩委員。
#13
○黒岩委員 國立の國語研究所の設置されますことは、國民のひとしく切望する点であろうと思います。この國民の期待を背負いまして本法案が成立し、早急に新しいこの機関が設置されることを、私ども切望するのであります。内容につきましては、十分に案を立てられました政府の御檢討の結果を、われわれの質問によつて明確に把握することができましたので、國民協同党はこの政府原案に賛成をするものであります。
#14
○久保委員 私は小会派を代表して本案に賛成するものであります。國語問題は私が世に出て以來、ただちに耳にしたことであつて、歴史的にこれを見ると、おそらく私が生れる前からの日本の問題であつたと思う。それほど長い歴史のあるこの問題が、今日やつところに日の目を見て、とにかくこれを國家の力で科学的に取上げて解決をつけようということになつたのは、実に喜びにたえません。私は、今日までいろいろこうしたものが必要であるということを朝野で論議せられ、いろいろ先輩の人たちが研究をされたことであろうのに、なぜこれが今日までこうした運びにならなかつたかを、実は遺憾に思つておつたのでありまして、今日考えてみると、日本人が日本の國語の複雜さと難解によつて、いかに精神的に、あるいは時間的に重荷を負うて來たか。これは生徒、兒童ばかりでなく、一般の日本人がすべてそうであつた。今度の第二次世界戰爭が終つて、ヨーロツパ、特に東ヨーロツパ諸國ではただちに何に着手したかというと、いろいろあるでありましようけれども、文盲僕滅の運動をただちに始めておる。ああした國語を持つておる國にして今始めておるようであります。もしこうしたことが日本に行われたとしたならば、日本の國語をもつてしては、容易なことでなかつただろうということは思うのであります。とにかく國語はもつと科学的に公正に研究され、ほんとうの結論を出して、國民に與えねばならないものであります。こうした意味で今日まであつた國語審議会は、一應の役目を果したかもしれません。しかし今日これと関言して考えてみると、この國語審議会は、ここに新たに改組される準き時期に到達しておると思うのであります。すなわちその目的においても、あるいは構成等におきましても、これは純粹の審議機関として、もつと根本的に考え直さなければならない。政府の御意向もそうであるように承つておるのでありまして、合わて私はこのことをひとつ考えていただきたいと思うのであります。本案そのものについては、いろいろと論議が盡されて、大体その趣旨がよくのみ込め、それは妥当であるとわれわれは考えるのでありますが、どうか問題になつた諸点につきまして、政府当局におきましては、今後その運営にあたつて十分遺憾のないようにお願いし、かつこの発足によつてこの難解の、しかも複雜な日本の國語がほんとうに解決され、数十年にわたるこの難問題が解決されまして、國語行政に一大紀思を画されんことを私は期待いたしまして、ここに賛成するものであります。
#15
○圓谷委員長 これにて討論は終結いたしました。
 採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#16
○圓谷委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 なおこの際報告書は議決の理由を付して議長に提出しなければならませんが、報告書の作成に関しては委員長に御一任あらんことをお願いいたします。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○圓谷委員長 御異議なしと認めましてさようとりはからいます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後二時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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