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1948/11/17 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 農林委員会 第5号
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1948/11/17 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 農林委員会 第5号

#1
第003回国会 農林委員会 第5号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 坂本  實君
   理事 田口助太郎君 理事 井上 良次君
   理事 圖司 安正君 理事 寺本  齋君
      佐々木秀世君    重富  卓君
      中嶋 勝一君    八木 一郎君
      金野 定吉君    永井勝次郎君
      成瀬喜五郎君    小林 運美君
      関根 久藏君    寺島隆太郎君
      飯田 義茂君    松澤  一君
      山口 武秀君    加藤吉太夫君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 周東 英雄君
 委員外の出席者
        総理廳技官   岩永 達夫君
        食糧管理局長官 安孫子藤吉君
        農林事務官   大谷一太郎君
        商工事務官   和田 太郎君
        専  門  員 片山 徳次君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十一月十六日
 農業共済掛金國庫負担の陳情書(愛媛縣農業共
 済組合長会議越賀正夫外九名)(第一五五号)
 徳島懸販賣農業協同組合連合会業務停止の陳情
 書(徳島縣美馬郡東部畜産農業協同組合長前田
 彰一)(第一六七号)
 農地改良法案制定実施に関する陳情書(近畿府
 縣知事会議代表大阪府知事赤岡文三)(第一七
 三号)
 土地改良事業費國庫補助の陳情書(京都府知事
 木村惇外九名)(第一九四号)
 農業共済国体事務費國庫負担増額の陳情書(農
 業共済保險協会長東浦庄治外七名)(第二〇三
 号)
 昭和井路開設事業費増額の陳情書(大分縣縣会
 議長荒金啓治)(第二〇五号)
 食糧調整委員会経費全額国庫負担の陳情書(廣
 島縣議会議長小谷傳一)(第二二〇号)
 農業調整委員会経費全額国庫補助の陳情書(神
 奈川縣議会議長添田良信)(第二二四号)
 小笠郡の農業風水害対策に関する陳情書(静岡
 縣小笠郡町村会長蔦ケ谷龍太郎)(第二三九
 号)
 長崎縣における農業試験研究機関存続の陳情書
 (長崎縣議会議長岡本直行)(第二四一号)
 開拓事業促進に関する陳情書(徳島縣農地委員
 会長阿部五郎)(第二五五号)
 静岡懸の農業水害対策に関する陳情書(静岡縣
 町村会長加田萬蔵)(第二五九号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 食糧需給に関する件
 石灰其の他肥料に関する件
    ―――――――――――――
#2
○坂本委員長 ただいまより会議を開きます。
 都合により議事日程を変更し、第二、石灰其の他肥料に関する件を議題に供します。重富君
#3
○重富委員 石灰並びにカリに関しまして、緊急質問をいたしたいと思います。
 石灰の價格は非常に高くなつて参りましたために、農家はほしくてもこれが手に入らないという実情が今日現われて参つたのであります。全國的な状況について、私の手に入れました資料によつて申し上げてみますると、五月までは、政府の計画いたしておりました生産をオーバーして需要もあつたのであります。ところが石灰の値上りがあり、その関係から石灰の値上りが出て來た六月以降におきましては、急に農家がこれを手にし得なくなりまして、六月には約七・七%の購入減になりましたが、七、八月等になりますと、四七・六%というような購入減を來しておるのであります。従いまして生産関係も減つて参つたのであります。これは結局石灰の價格が非常に高くなつて、そのために農家がほしくても買い得ないという実情が現われて参つたからだと思います。全図的な割合ではまだこの程度にしか減じておりませんが、特に山口懸のごとき石炭のすばにあるものは、毎月石炭を買つておくそおりました関係上、すぐ石炭の値上りが影響しまして、そのために農家がこれを買い得なくなつたというこからいたしまして、麦肥に約四千トンの石灰を需要しておりましたものが、本年はわずか七百トンしか需要し得ないというような状態になつて参つたのであります。かような状態におきますると、今度の麦の收穫というものは非常な影響を來すものであるということが憂えられるのでありまして、この際これに関しまして、急速に何とか処置をしていただき、農家がこれを買い得るような状態をここに施策していただかなければならないと思うのであります。これに対しまして、政府としてどのような対策を持つておらるるかということが実はお尋ねいたしたいのであります。
 また包装等につきましても、これが統制外の公團取扱外の品物になつたということからして、包装のかますとみなわ代とかいうようなものが生産業者、いわゆる石灰の生産業者に対して賣られますときには、もとは卸値段で賣られておつたものが、現在は小賣値段でなければ波さないというふうなことになつたことも聞いております。そのために生産裸では約二千幾らでありますが、さてそれらのものをすべて加算いたしますと、農業者の手に入りますものはトン四千円程度にもなつて來るというふうな状況になつていると聞いておるのであります。これらの包装等に関しまする取扱いにつきましても、どのようなお考えを持つておられるのか、こういう点を特にお尋ねいたしたいのであります。
 なおカリ肥料でありますが、カリ肥料につきましても、農業者側の方からは非常にこれを要求いたしておりまするが、ほとんどないと言つてもいいぐらいの配給しかないのであります。本年思わざる収穫減の所の状況を聞きますと、やはりカリ肥の不足だということが言われておるように思いまするが、これらの点につきましてどのように政府は考えておられるか。またカリ肥料の輸入に対する將來の見通し、日本での理想的な需給関係、それに対する不足はどういうふうになつておるか。あるいは國内でのこれが生産に関する政府の企図はどういうところにあるか。これらの点を一應お尋ねいたしたいのであります。以上二点についてお尋ねいたします。
#4
○和田説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。第一点の石灰の價格が、この前の物價改正に伴いまして石炭の値段が上つた関係から、石炭の値段も相当の値上りをいたしまして、ただいま御指摘のような需要の減退を見たということは、私も承知いたしておるのでございます。この問題につきましては、私ども生産官廳といたしましては、御趣旨の辿り、できるだけ低廉に供給申し上げるような方法に進みたいと考えるのでございますが、問題といたしまして、実はこれは生産者の方からかれこれ申し上げるよりも、むしろ消費の面におきまして、石灰というものが非常に重要なもので、もつと供給をしてもらわなければならない、あるいは値段ももつと安くしてもらわなければならないというような声を出していただきませんと、私どもの方の生産の方から、どちらかと申しますと、進んで―一もちろんやるべきでございますけれども、力がどうしても弱くなると思うのでございます。今後農林省ともよく連絡いたしまして、実情を調査いたしました上、できるだけ御趣旨に沿いますような線に関係方面と折衝をいたして参りたいと考えます。
 それからカリの問題は、御承知の通り、日本には優秀なカリ原料があまりないのでございまして、現在のところ鉱石から焼きますものは下田から出ますカリ肥料で、カリの原鉱でやつておりますが、何分にも含有量が非常に低い。従いましてこれをつくりますために、貴重な石炭をあまり使うことは適当でないというような意味合いからいたしまして、國内の鉱石カリの生産は関係方面から非常に押えられておるような次第でございます。また苦汁カりの方におきましても、これは塩の副産物でございまして、ただ苦汁カリだけを増産をするということもなかなか困難な事情にあるのでございまして、私どもといたしましては、もちろんこの方面の石炭の確保につきましては努力いたしますけれども、何分にもカリ肥料の全需要に対しまして、國内で努力いたしましても、生産し得る数量はごくわずかでございますので、どうしてもこれにつきましては輸入を懇請いたしまして、その面から供給を確保して行くという線に向つて進まざるを得ない、かように存じております。
#5
○重富委員 ただいまの石灰の問題でありますが、これは消費者側の声をもつと大きくしていただきたいという話でありますが、私の申し上げますのは、山口縣の消費君側から非常にやかましく言つて参つておりましたので、生産者側の意向もどうかといつて、聞いて調べたものなのであります。特に山口縣からは、縣知事からも現在の償格を六五%以下に引下げる操作をいたしてもらいたいというようなことが、皆さんの方に具申されてあると思います。また需要者團体の協同組合連合会からも、また農民團体の農青連等からも、そうした陳情か皆さんの方に行つておると思うのであります。山口懸が特にはげしいために、山口縣が早くこの運動を起したのでありますが、全國的な駅況も、この数字に現われておりますように、だんだんとそれが顕著に現われて來ると考えますので、何とかこの際これに対し、あるいは補給金を出すとか、その他の方法を考慮していただきたい。かように考えておりますが、それらに対する、何かのお見通しがあるならば、お伺いいたしたい。また包装費等に関する取扱い等も、皆さんの御意見を聞かしていただきましたら仕合せと思います。
#6
○和田説明員 石灰の需要の面におきましては、私といたしましては、石灰のメーカーの方からいろいろ話は聞いておりますけれども、実は消費者の方の御意見というものは、あまり伺つておらないのであります。先ほど申し上げましたように、要するに生産工場が、需要が減つたためでありますが、ものが賣れないために、経営が困難である、だからこれを何とかしてくれということでは、非常に主張が弱いのでありまして需要者の方から、どうしてもこれだけのものは供給してもらいたい、この値段も高いから、この程度の値段でなければ困るというような声があつて、初めて生産官職として、それではこういうぐあいに増産をしよう、こういうぐあいに値段も関係方面と交渉して行くということになると思いましたので、さように申し上げたのでありまして、今後需要官廳でございますところの農林省の方と、緊密に早急に連絡いたしましてやつてみたいと思つております。
#7
○重富委員 ただいまのこの問題は、特に麦肥に影響することでありますので、一刻も早くこれを解決されんことを要求するものであります。なおカリの問題に対しまして、輸入に対するお見通しをお聞かせ願いたいと思います。
#8
○岩永説明員 カリ肥料につきまして、非常に農民の要望が高いことは、私どもも承知しております。輸入の関係を申し上げますと、懇請は盛んにやつておりますが、なかなか入つて参りませんが、來年の春の稻に対しましては、稻のほんとうにカリがいるという地帶を、大体全体の面積の三五%と押えまして、それに反当塩化カリを一貫目やるという計画をしております。その他カリの非常に必要なばれいしよとかその他についても、若干ずつ出すような計画をしております。本年の八月から以降輸入しましたカリは、カリ五〇%に換算いたしまして約六万トン余りであります。今までの日本が輸入しました最高の額は大体二十五万トンであります。二十五万トンまでは行かなくても、もう少し輸入をしなければいかぬたらうと思います。これについては盛んに輸入懇請をいたしております。
#9
○重富委員 今の輸入懇請をされましたときに、輸入され得るというお見透しは、どの程度まで輸入され得るのか。私が世間で聞いておる範囲内におきましては、輸入はほとんど望みがたいというふうに聞いておりますが、それらの点に対するお考えはどうなつておりますか、お尋ねしたいと思います。
#10
○岩永説明員 カリの生産地がヨーロツパ、スペイン、ドイツというような所が多いような関係で、だんだん將来は殖えて行くのではないか、そういうふうに考えております。
#11
○重富委員 その將來は、殖えるということなのでありますが、大体におきまして、ここ一、二年の間の見通しだけでけつこうでありますが、その間にわれわれが要求するものをある程度充し得るという見通しがあるならば、どの程度のものが発し得るか、こうした見通しをお聞かせ願いたいと思います。
#12
○岩永説明員 これは現在のところではほとんど豫定するということが困難な状況でありまして、向うから一方的に同月何日船が入るというような状況であります。
#13
○重富委員 國内におけるカリ肥料の生産ということに対して、政府が積極的に動くかどうか、今のような輸入に対してほとんど見通しがつかないということならば、國内の貧鉱といえども、これを何とかくふうして、カリ肥料をとるというふうな考え、あるいは海藻からとるというようなことにつきまして何らかの処置をとつておられるか、また積極的な政策としてどういうことを考えておられるか、これらのことをお伺いしたいと思います。
#14
○和田説明員 國内のカリの生産につきましては、私どもといたしましても一トンでも余計につくりたいという気持で、いろいろ関係方面と折衝をいたしておるのでございますが、結局そのときどきの輸入の見通しというようなものとも関連いたしまして、カリ肥料に対する石炭の割当等が非常に窮屈なわけであります。たとえばこの第三・四半期におきましては、カリ肥料に対する石炭を全部削減されておるというような状況でありまして、なかなかこれの増産対策というものはむずかしいのでございますが、私どもといたしましては、今後ともできるだけその機に臨みまして、カリ肥料の増産のために必要な原材料の確保に努力して参りたいと思つております。
#15
○重富委員 ただいま農林省の方がお見えになつたようでありますので、ちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、先ほどから議題となつておりますのは、石灰の價格の問題とカリ肥料の問題なのであります。石灰を施肥いたします計画といたしまして、政府としては百二十万トンの計画をされておつたと聞いております。それだけのものが農家には当然必要なものである。また農家の需要を十分に充し得ないまでも、これだけのものはどうしても渡さなければならぬ、こういうふうな考えのもとに、この計画がされたものと思いますが、これだけの生産を、生産者側がいたしましても、現在これを農家が買い得ない。價格の関係で買うことができなくなつてしまつておるのであります。山口懸の実情などを申し上げますと、去年までは四千トンの需要がありましたのが、今年はわずかに七百トンしか買い切れない。これは價格の関係からそうなつたのであります。実際は非常に要求をいたしておるのであります。縣知事あるいは購買連合会等の方からも、それぞれ陳情が参つておるように承つておりますが、これに対して農林省といたしまして、どういうふうな施策をとつておられるか、これをお尋ねいたしたいのであります。
#16
○大谷説明員 ただいまの御質問に対しましては、これを消費する面から考えまして、現実にそのような事態がまま聞かれるのでありますが、お話の通りに調整を試みたいと存ずるのであります。なかなか價格の点と消費の点との調整は、一般に非常にむずかしいものでありますので、ただいまのところこれという名案もございませんけれども、できる限り、たとえば開拓地等に対するものには補助的な施設をするとかいうような方法によつて、何らかの調整をいたしたいと考えます。拔本的な策がないのでははなはだ遺憾でございますが、そういう方向に向いまして考究中でございますので、御了承願いたいと思います。
#17
○重富委員 問題は價格の点でありますが、價格が御承知のごとく高くては、消費者としてとうていこれを手に入れることができないという現実であります。しかもこれは今手をこまねいて見ておるわけにいかない現駅でありまして、御存じの通りにもう麦に対してすぐに渡さなければならぬ状況にあるものであります。ここで施策をしくじりますと、今度の麦の収穫に非常な影響を及ぼすことが心配されるのであります。そこで少くとも價格をずつと下げるということについて、補償金制度か何か至急対策を講じていただきたい。そういたしませんと、いくら生産されても百姓としてこれを買うことができない。今お詰の開拓團関係の方に対しましては、たとえば酸カリ等に対しては相当な特典が與えられてあるようでありますが、石灰に関しましては何らそういうことが講ぜられていない実情であります。ところが農家の現在の資金繰りというものが非常に窮窟になつておることは十分御承知と思いますので、金融面あるいは補償面というようなもので、應急対策を講じていただきたいと考えます。その点特によろしくお願いしたいと思います。なおカリ肥料の問題でありますが、カリ肥料に対する農家の要望も非常に強くなつて参つております。今年の収穫が思つたより少いというのは、やはりカリ肥料の少かつたといううことが大きな原因をなしておるように聞いておりますが、そういう点からいたしましても、輸入カリの問題がもち上るのでありますが、これに対しまして今まで聞くところによりますと、非常に不安定な状況にあるように承つたのであります。ところが國内の生産につきましても何ら手が打つてない。石炭の配給基こういう方面にはほとんど行つていかい、完全に停止されたような状況であるといたしますと、カリに対する見通しは一体どうしたらいいのか。これも今のところでは施すべき手がないという状況のように聞いたのでありますが、これでは増産をしろ、供出をしろと言つても、ますます黒くなると考えますので、特にカリ肥料の輸入の見通しがなければ、國内生産に全力を注ぐようになんとかお手配願いたい。また輸入につきましても十分な農家が安心し得るような言明をしていただけるような施策を講じてもらいたい、かように考えておりますが、それらに対する農林省側の御意向をお伺いいたしたいと思います。
#18
○大谷説明員 最初の点につきましては、御意見の趣旨に沿うように十分努めたいと存じます。なおカリの点につきましては、すでに御答弁があつた次第でございまして、われわれこれを必要とする側の立場からいたしますと、お話のような國内資源の開発も、これを開発するに必要な資材をできるだけ捻出していただきまして、貧弱なものであつてもこれを開発していただきたい、かように考えております。農林省といたしましても、いろいろ肥料検査の関係でありますとか、あるいは取締りの関係でありますとかいう面からタツチしておりますので、この点につきましては商工省の方と十今緊密な連絡をとつて、実行いたしておる次第であリます。ただ全体的にははなはだ見通しの悪い状態でありますので、この点につきましては今後一層努力をいたしたい、かように考えております。
#19
○成瀬委員 重富委員からきわめて大切な質問がありまして、私も同感でございます。本年度のうんかの発生が全國二十万町歩に及び、最低の被害が百五十万石、あるいはそれ以上であると推定されるのでございますが、肥料は御存じの通り窒素及び燐酸、カリの三要素によつて、その増産がなされるということでありますが、石灰はその三要素と同等程度以上の重要なる養分を持つものであるという立場から重視いたされておるにかかわらず、この面に対する当局の考え方がともすれば稀薄であるように感ぜられるのでございますが、熱心なる農家は少くとも反当石灰を四百五十円ないし五百円のものを投じなければならない。いわゆる一トン四千円の價格に見積りますならば、そういう計算になるのでございますが、それに遠隔の地から運ぶ農民の労力等も加えましたならば、少なからざる生産費の増となる次第でございます。しかるにこの石灰の國内資源が、戦時中におきまして、軍の要請する化学資材を確保するために、もつばら一部財閥等のメーカーの手に握られておりまして、古来から農業用の石灰製造の面が、石炭の入手等々の関係もありまして、近時非常にその方面における製造が衰微いたしておるように存ずるのでございます。従つてかような点から考えて見ますと、農業用の石灰を製造するために新たなる組織、たとえて申し上げるならば、農業協同組合等々の民主的な農民国体におきましてこの方面の増産をはかりませんと、一割増産等々の食糧増産にも悪影響を與えるはかりでなしに、また一部そういういつた財閥により、國内資源の確保ということが開放されておらない現状にありますので、こういうようなことをもつていたしますならば、うんか等に対してこの方面からのある程度の防止もでき得るように考えますがために、この方面に対しましましては、農林省及び商工省の方面において格段の御配慮お煩わしたい。まず希望といたしましては、新たにこういう農業用石灰製造に対しまして、石炭を低廉に、もしくは所要量だけ特別に配給するとか、あるいはその他の價格につきましても、さいぜん重富委員が言われたような補助政策におきまして操作をするとかいう点がなされなくてはならないのでございます。またカリにつきましても、なかなか國内におきましては資源がほとんどないような形でありまして、もつぱら海外に依存するような状態でおりますが、ある程度この間の不足は石灰によりまして補い得ることができるのでございます。もちろん今までは赤地等のこういう客土によりまして、そういつたカリの欠除する土地に対する補給が、農民の努力によりましてなされてきたのでございますが、だんだんと食糧の自給を要請せられるときにあたりまして、この方面があまりに等閑視されている。また一般のメーカーのそういつた支配によりまして、また商工省方面における認識不足というような点から、債務操作が農民の要請に嘱じ得ないような高額な價格にあるということは、はなはだ遺憾に存ずる次第でございますので、まず商工省の方におきましては、農業用石灰の石灰の配給及びそういつた製造の目的に対しましては、これは統制を拡張して企業を許可される方針であるか、これを一点お伺いをいたしたい、また農林省の方の肥料課に対しましては、こういう石灰に対しまして、十分に今後新たなる構想のもとに要請に應ずるための研究と、予算的措置を講ずるための努力をなされるかどうか。
 またもう一点、委員長に希望申し上げ、また小委員会におきましても採用してもらいたいのでありますが、こういう直接手の届くところにある國内資源を活用するために、食糧小委員会及び農林委員会におきましては、價格面とこういう資材、肥料の確保の面からいたしまして、これを調査研究いたしまして、早急に麦におけるところの、あるいは稻作におけるところの農家需要に即應する研究態勢を整えてもらいたい。以上申し上げて、私の質問を終る次第であります。
#20
○和田説明員 石灰の製造工場は、御承知の通り比較的中小規模の工場が非常に数が多いのでございます。私どもといたしましては、各肥料の生産計画を遂行いたしますのに必要な原材料の取得につきましては、極力努力をしておるのでございますが、各肥料ともその工場の能力と比較いたしまして、必ずしもそれぞれの操業率は高いというわけにもいかないのでございます。今どうしても生産能力を殖やさなければ、所定の計画のものがつくれないというような状況にあるのではございませんけれども、さればといつて新業者を必ず全然認めないというような方針があるわけでもないのでございます。それぞれの場合に應じまして、あるいは資金関係なり資材関係というようなものをにらみ合せてやつて行かなければならないと考えております。ただ最近安定本部の方からのいろいろな計画を伺いまして、各重要な産業につきまして資材の割当に対する基準をつくりつつございます。肥料につきましても、石炭その他の資材の割当基準というものをそれぞれつくつて参るわけでございます。その際情勢に感じましては新規葉者に割当の途を開くというようなことも考えるべきではなかろうかというようにも考えておるのでございまして、結局今肥料については全部新しい生産工場を認めないとか、あるいは出て来たものはどんどん許可するというような概括的な考えは持つておらないのでございます。今後割当の基準の作成と並行いたしまして、個々の問題につきまして勘案して行きたい、かように考えております。
#21
○坂本委員長 成瀬君に委員長としてお答えを申し上げます。ただいまの御意見は了承いたしました。從つて食糧対策委員会にこの問題を移しまして、急速に適当なる措置を講じたいと考えます。
#22
○中嶋委員 先刻以来お話のカリ肥料が欠乏しておるために増産ができないということは、これは世間周知の事実です。これを補うために最も手取り早いのはマンガン肥料によるほかはない。こういうことによつて私はマンガ肥料の問題を提唱しておるのでありますが、まず質問を申し上げる前に課長さんにお尋ねを申し上げたいのでございますが、この間私の補助員に立体農法の提唱とマンガン肥料というパンフレツトをお手元に届けさせたのでありますが、御出張中でありましたが御覧願えたでありましようか、お尋ね申し上げます。
#23
○大谷説明員 実は今お話のように、私会議に出ておりまして、帰りまして病氣になつたものでありますから、昨日から出動しておりまして遺憾ながらまだ拝見しておりません。
#24
○中嶋委員 まだ御覧になつておらないそうでございますが、とにかくあれを見ていただけば詳しく書いてございますから、おわかり願えると思いますが、マンガン肥料をつくり、並びにこれを販賣することを今農林省が認められ、許可せられておるのであります。農林省の許可をとつて今製造販賣しておるものが五、六工場あるかと思います。ところが許可を得ないで今どんどんこれをつくつて使い、並びにその販賣をしておるという工場が全國では、五十工場ぐらいに上ることと思います。しかし今農林省の言われるのは、これを硫酸処理をして、水溶性にしなければいけないという條件がついておる。ところが硫酸処理をしろということが條件になつておるのに、硫酸の配給はくれない、こういうことになつておる。ですからつくつてよろしいという許可はせられておるけれども、結局つくれぬことになつておる。しかしその効果が甚大でありますから、これを希望する者が非常に多いわけです。多いわけでございますから、その工場にはわんさわんさと買い手が押しかけて來ておる。農民がわざわざトラツクをもつてこれを取りに来ておる。こういう状況でございますから、この製造工場はソーダ工場等の硫酸の廃液を手に入れてようやくつくつておる。しかし硫酸が足りないから一〇%の水溶性になつておらない。検査官が行つて檢査してみろと、五%か六%しかない。これは販賣はできないということでそれを押えておるものが今すばらしくあるのでございます。これを一番希望しておるのは小麦の植込みに農民が希望しておる。麦にこれを使つた場合には赤錆病がつかない。そうして実入りがよろしいということになつておる。これを使つておる者はその効果を十分知つておるから、非常にこれを希望しておる。ところが私どもは農林省の今言つておる水溶性マンガンにして使うことが害があるのであります。どうして害があるかというと、硫安をあまりに使い過ぎるために、土壌が酸性になつて行く。その酸性土壌がふえるためにあの秋落ちが來ておる。これは現在專門家でも非常にこの点を憂慮しておる。これを中和するために石灰というものが使われる。しかしその生産が低くて十分にこれを使うことができないということは、ただいま成瀬委員からお話があつた通りであります。ところで酸性土壌を中和するために石灰を使つた場合には、土壌の酸性は中和ができましようけれども、そのあとにまだ酸性に勝るべき石膏が残つておる。この石膏の害というものは甚大なものです。ですから硫安を向う十箇年間も使い続けた場合にはたいへんな問題が起つて來る。ですから私どもは石灰を使うかわりにマンガンを使う。マンガンは酸性中和の効果がある。それと間接肥料として農林省が言つておられるけれども、カリ間接肥料だけではない。農林省はこれを刺戟剤とおつしやつておりますけれども、刺戟剤ではない。ホルモン剤なんです。御承知の通り日本の土壌は非常に老衰しております。この土壌を若返らせるためにはマンガンが最も効果がある。でございますから私は石川さんに始終言つております。石川さん、あなたは全國のマンガンでつくつておる、稻のできばえを見て歩いたらどうだということを私は要求した。ところがその要求によつてかどうか、西ケ原の試験場のある技官が、全國の名工場を見て歩いた。ところが見て歩いて驚いた。それはただつくるところの工場だけを見ておる。そうしてお前のところは硫酸はどこから手に入れておるとか、一〇%の水溶性になつておるかというようなことを見て歩いただけで、実際に作物ができて、非常に成績が上つているところを見なかつたということを聞くのでございます。農林省はまるで的をはずれた調査のしかたをやつておられる。かように考えるのでございますが、私が今お尋ね申し上げたいのは、これだけに効果のあるものでございますから、また全國にはマンガン地帯はすばらしく多いのですから、これを奨励して、農業協同組合でどんどんつくらせたい。自給肥料としてこれを大いに施したい。これを施した場合には、堆肥なんかは、堆肥を一々積み上げて行つて、その中にマンガンを混入して置いたら、堆肥の腐蝕が非常に早い。だから堆肥をつくる上に非常に効果がある。この効果の点を申し上げておれば、非常に長くなりますから今日はいたしませんけれども、稻のできばえや麦のできばえを見てこられるときであれば、本委員会に調査團をつくつて、そういうところを一々調査していただきたいと思いますけれども、遺憾ながら今は全部收穫を終つて、そのできばえを調査することができない時期でございますから、それは他日に讓りたいと思いますけれども、とにかくこの問題の提唱者は農大の塩入博士なんです。水溶性マンガンにしなければならぬと……。私はたびたび塩入さんのところに行つて話しておるが、あそこではどういうものか学説というものを非常に固執しておられるように思う。ところが現在の食糧対策上から考えてみた場合に、これはきいていいんだから、学説なんというものはいつぺんに考えをかえてもらつて、効果があるものならばそれをよく調査せられた上で、どんどん希望すをようにつくらせることを許してもらいたいと思う。でございますから、私は水溶性マンガンにしないで、硫酸処理をする必要もない。硫酸処理をすれば土壌を酸性にするところの材料をそこに持つて行くことになる。害のあることをあの博士連中が、どうしてもこれを、なければならぬということについては実に疑わざるを得ない。でございますから、水溶性マンガンにする必要はない。そのマンガンたるや二〇%程度の貧鉱でいい。二〇%内外のマンガンは製鉄原料にはならないから、全部廃鉱として捨てておる。だから廃物利用になる。しかも日本には大分縣とか、北海道とかに何億トンでも出る。二〇%前後の貧鉱は無盡藏である。埼玉、岐阜、京都至るところにその鉱石はあるのでございますから、これを教へてさえやれば、自分の家の裏山にマンガンの鉱石が埋藏されておるにもかかわらず、その家はマンガンが肥効を持つておるかどうか知らない。この貴重なる肥料を全然使用していない地域が非常に多いのですから、これを大いに奨励して行きたいと私は考えるのでございますが、それには水溶性にしなくてもいい、つまり水溶性一〇%というところの條件を解除せられる御意思があるかどうか、この点をまずお伺いしてみたいと思うのであります。
#25
○大谷説明員 今のお話の点につきましては、技術的な点についてはお話のようにいろいろなことがあるように聞いております。この点につきましては今十分調査研究をしておりますので、ただいま水溶性にしなくてもいいかどうかということは、私は実は技術家でないものですから、はつきりお答えできないのですが、その点は各担当者におきまして、良心的に研究をしておるところでございますので、結諭を出しましてからお答えをいたしたいと思います。ちよつとその点御了承願いたいと思います。
#26
○中嶋委員 よくわかりました。それでちよつとこの機会につけ加えて申し上げておきますが、このことについては、私は去年の十月から叫んでおるのであります。前の農林大臣の永江さんもよく承知してくださつて、全面的に協力いたしましよう、これはぜひやらなければならぬというように御了解してくださいますし、ことに過ぐる七月五日の第二國会最後の農林委員会において、ここにおいでになる井上さんが委員長としておいでになるときに、この問題に関する請願書が出まして、その日に採択していただき、またその日に前の大島政務次官も、この問題については全画的に協力して行くということを言明されたような次第でありまして、どうか積極的に御調査が願いたい。それからこれは失礼な話ではありますけれども、私どもは農林省の官僚技術陣の啓蒙運動をしなければならないと考えておる。この点については課長さんも御心配のこととは思いますが、どうぞひとつ積極的に御研究をお願い申し上げたいと思います。
#27
○成瀬委員 ただいま中嶋君からマンガン肥料につきましてのお話がありましたが、私はこの資料については眼を通しておりません。しかしながら過般九州方面にタバコ耕作状況の調査に参りまして、宮崎縣、大分縣の各地方をまわつて参つたのでございます。御承知の通りタバコ耕作の面におきましては、タバコは農作物のあらゆる品種の中で、特にカリを必要とするのでございまして、耕作者はこの方面に対するところの熱意は一層大きいものがございます。ところがそういうような立場からこのマンガン肥料等々に類似するどころのカリ肥料の入手につきましていろいろの意見があるのであります。農家生産支出の大宗をなす肥料の面におきまして、あるいはまた農薬の面におきまして、農民は常に採算を度外視してまでも食料増産の面に邁進いたしておりますが、そういつた農民心理からいたしまして、何かカリにかわるべきところの肥料がほしいということは一致せる意見であります。かようなところからメーカー等の宣傳に乗りまして、おぼれる者はわらをもつかむというわけで従来相当の損害を農民はなめさせられていたのでございます。かようなことから考えてみますと、農薬に対しましては、農薬檢査法が布かれまして、現在市販の中の相当品種のものが不適格品であるということによりまして、いまさらのごとく私は審議の際に驚いた次第でございまするが、肥料におきましてもそういう疑いがある。今日農林省が販賣を認めているマンガン等に類似せる肥料の効果たるや、まつたく期待に反する点があるのでありまして、農林省技術陣との間の何かの醜惡なる取引によつて不都合なる商品をわれわれに賣りつけるものであるという非難さえ一部農民の間に起つております。そういう状態でありますので、でき得る限り農林省といたしまして、おぼれる者はわらをもつかむということのないように十分調査をしていただきたい。特に成育過程において、ただ葉の色がよくなつたとかいうことだけではだめでありまして、結局その目的は結実であり、その収穫がどういうふうになるかということについて、十分なる調査をしていただきたい。ただ山鳩君の言われるマンガン肥料は、かようないかさまな市販の肥料とは違うのでありますが、農民が今までの過程において相当苦盃をなめておりますので、十分このものに対する調査檢討によつて、農民に損害をかけないように今後許可されているものでも十分なる檢査を励行して、農民の誤解を解いていただきたいということをお願い申し上げておきます。
#28
○中嶋委員 私は誤解のないようにお願いしたいと思う。このマンガンをいうものは実際の効果がある。しかしこれを一製造工場に許して販賣させるという問題よりも、これは先刻申し上げたように日本は埋臓地帯が非常に多いのです。日本はマンガン生産國なんですから、農業協同組合等にこういう肥効があるのだということを知らしめて、これを調査して、肥料として大いに使わしめたいと思うのでありますから、その点誤解のないようにお願い申し上げたいと思うのであります。
#29
○成瀬委員 この際肥料課長の方から資料提出をお願いいたします。これは商工省の関係でもいいのですが、石灰が過去十箇年の間にどういう價格で累進されてきたか。あるいはまた農民の使用量がどの程度まで増加いたしておるか。石灰を聞いることなくしては米麦等の農作物の増産はあり得ないとまでわれわれは極言し得られるのでありまして、特にうんか発生等に悩む今日の病虫害の防除には、農薬とともにこの石灰を重視しなくてはならぬと思うのであります。以上の見地からその資料を提出願いたいと思います。
#30
○井上(良)委員 この際ちよつと政府に伺つておきたい問題が一つだけありますので、お許しを願いたいと思います。今資料を要求いたしましたけれども、現在すでに政府が実施しております秋肥の配給状況は、一体どういう状況になつているか。いつごろまでにこれが完全に農家に渡る計画か。それから来年の春肥の生産の見通しと、名農家に配給します反当配給量は、硫安概算でどのくらい行くか、それから燐酸はどのくらいになるか、カリはどのくらいになるか、そういうことがわかつておりましたら、この際お知らせを願いたいと思います。
#31
○大谷説明員 御質問の最初の点につきまして、正確な資料を今持ち合せておりませんので、後刻提出いたしたいと思います。おおむね、生産から公團を通つての輸送は、順調であります。ただ配給公團から指定業君への引渡し状況は、必ずしも良好の状態ではありませんので、その点につきましては、われわれといたしまして非常に責任を感じ、憂慮をしておる次第であります。いろいろ原因も考えられるのでありますが、割当の未完了とか、その他手続上の未了のために、遅れておる事情もまま認められますので、この点につきましては緊急に、とにかく秋肥に間に合うように、仮割当その他の方法によつて、昨年行いましたような緊急措置を懸によつてはとつてもらつております。そういう緊急措置をとりました縣におきましては、短時日のうちに非常にそのパーセンテージは上つておりますので、秋肥配給は來月に入りますれば、状況はずつとよくなるのではなかろうかと思つております。ただ一般的な資金の行詰まりでありますとか、いろいろな面もありますので、この点につきましては、いろいろ各方面の協力を得まして、対策を考究中であります。概要はその通りでありますが、詳しい数字は最近の資料を、先ほどの資料と同時に提出したいと思います。
#32
○井上(良)委員 はなはだどうも要領を得ないのですが、もうすでに麦のまき付が始まつておるのでして、これの元肥としての肥料は、どうしても適期に渡りませんと、食糧確保臨時措置法に基く割当の上に非常な影響を來して來るのでありまして、これがもし適期に行けないということになりますと、当然それだけ減收を認めるということに、法律的にはつきり明文化されておりますから、この面は相当あなた方の方で責任を持つて、この配給成績を上げてもらいませんと、重大な問題になつて來ますから、それを私は伺つておるのであります。同時に、今お話を承りますと、指定業者の方への引渡しがなかなか順調に行つていない。それは一体どこに原因があるかと言いますと、一つは資金の関係、あるいはまた倉庫の関係、そういうものが十分檢討を加えられ、調査された上で指定業者の許可をなしてないのがあるのであります。こういう関係と、いま一つは、各市町村において肥料の配給申請をいたします場合の調査手続というものが非常に遅れておる。この関係が、もつと政府が早く手を入れまして、うまくこれに対策を講じますならば、完全に適期までに肥料が渡るようなことになるのにもかかわらず、そういう手はずが整えられてない地域があるのでありまして、少くとも今私が申します通り、肥料の配給の良否は、食糧供出の上に重大な影響を持つて來る。法的措置が明記してありますので、今度は政府の責任になつて來ますから、今までのように、行かなんだからしかたがなかつたということにはならぬのであります。今度は食糧確保臨時措置法で、その責任の所在は明確にしてありますから、この点はよほど責任を持つてやつていただきたいと考えるのであります。
 それからいま一つは、硫安なら硫安、あるいはまた石灰窒素なら石灰窒素の配給が、全國一律に大体に配分される傾向がありまして、ほんとうを申しますならば、石灰窒素が相当多くほしいのにもかかわらず、天くだり的な割当にやられる。これはもちろん肥料公團ができまして、まだ十分の組織が完備せず、かつ活動が円滑に行つてないために起つた現象でありますけれども、将來は少くとも生産農民の要望を聞いて、その地域に必要な肥料を重点的に配給して行く。そういう対策をひとつあわせて考えていただきまして、やはり適地に適合する肥料を持つて行くというやり方を考慮していただきたいことを、つけ加えて申し上げておきます。
#33
○永井委員 肥料は配給公團の方には相当量渡つておるようでありますが、配給公團から協同組合、それから各農家に対して、一定の時期に一定の量引取れ、それも相当量前波しの肥料を受取るように強要して、もしそれを受取らなかつた場合には、権利放棄として、これは渡さないというようなことを相当強く求めておるようでありますが、農家においては、相当それらの多量の肥料を前渡し的に受取るという金融的な余裕がないために、受取れない。それを受取らないと権利放棄として肥料を渡さぬということになれば、来年の増産には相当大きな影響があると思うのでありますが、そういう関係に対して、当局はどういうふうに考えておりますか。
#34
○大谷説明員 お話の春肥の前渡しの点につきましては何と申しますか、引取りを強要するというような態度は全然とつておりません。お話のように、末端におきましてそういうことががあるといたしますれば、はなはだ遺憾なことでありますので、これはただちによく注意をするようにいたします。春肥の前渡しにつきましては、農業者の自発的な意思で、なるべくとつていただきたい、こう言つておるわけでありまして、これをとらなければ権利放棄だというようなことは、全然こつちの方といたしましては言つておるわけではありませんので、御了承願いたいと思います。
#35
○永井委員 私は北海道でありますが、北海道の場合、そういうことを組合及び農家に対して強く言つておりますので、御調査の上そういうことのないように善処していただきたいと思います。
#36
○金野委員 永井委員の質問と関連するのでありますが、ひとり北海道だけではなくて、山形縣なんかでもそういうことが現実に行われております。そこで資金を獲得するにあたつて、農業協同組合に行つても金がない、営農資金がないというようなことで、いろいろ苦慮した結果公園がら営農資金を借りるような方法をとつてこれに対処しております。また農民組合等においても、何らかの方法で農業協同組合でそういうむりな肥料をとらなければならぬのでいろいろ苦心しているのでありまして、そういうことはひとり北海道だけではなくて、全國にそういう例がたくさんありますから、厳重御監督を願いたいと考えております。
 さらにもう一つお伺いしたいのは、昨年秋田懸から山形懸に横流しして來た硫安が何百トンあります。この横流れのために―一いわゆるやみからやみに秋田縣の方から山形懸の縣界を通つて流れて来る肥料でありますが、これが不当横流しに相なるわけであります。その結果非常な犯罪者が出まして、目下檢察廳でこれを取上げて裁判に付されている問題がたくさんあるのであります。私も秋田縣の大曲地方を山形縣の立場から見てみましたが、実際農家をまわつてみますと硫安がたくさん來ておつて余つているので、もつたいないから硫安を賣るのだ、その價格は厖大なやみ價格で流れております。一方においては単作地帯で肥料が十分でないといふことから非常に困つているにもかかわらず、一方においては大量の肥料を他縣に横流しをするというような、こういうことは、横流しをする農民にも責任があろうと思いますが、配給の任に当つている農林当局にも重大な責任があるのではないか、かように考えております。私この点についてきよう質問をする考えを持つていなかつたので、こまかい資料を持つて來ておりませんが、いずれ次の機会にこまかに資料を提供いたしまして、農林当局の反省を促すと同時にこの問題に対する責任を明らかにしてもらいらいというふうに考えておる次第でございます。きようは一言その点をつけ加えて質問を打ち切りたいと思います。
#37
○成瀬委員 私はこの際さらに課長にお尋ね申し上げたいのですが、昨年度國内肥料の欠乏等を補うために、硝安が月々二万トン程度輸入されておつたのでありますが、この硝安の肥効については硫安と同價値であるということでございます。しかし各地を調査してみますと、この硝安は硫安より非常に肥効價値が低いという農民の意見で、思わぬ被害を受けているということでありましたが、農林省は硫安と同じ肥効價値があると言われておりました。いろいろ内容にわたつて検討してみますと、同じ乾燥地帯に施肥いたしまして、乾燥肥料といたしましても低地部の水の多くある所、あるいはまた年間雨量が非常に多いというようなところは、この硝安の成分が流出するという面におきまして、同じ肥効價値がありましても、そういう雨量等の立地條件からして肥効價値が減退したということであるのであります。こういう方面に対してはその配給操作において十分考慮されていただきたい。こういう点について御意見を承りたい。
 次に昨年の農林委員会におきまして、食糧増産に重点を置き、その面からするところの肥料の増配を企図する関係から、その当時もつばら行つておつたむしろ、かます等のわら工品に対する特配を停止いたしたのであります。その弊害は、農民にあらずしてわら工品の生産者にこの肥料が渡りまして、それがまた逆に食糧の方面の物交の媒介になりたというような弊害を認めたからであります。しかしその後香川縣、徳島縣、その他のわら工品の生産縣に参りますと、この扱い方がまつたく地方の実情を無視したものであつて、わら二品は御承知の通り自給肥料の原料をもつて当てるがために、この方面の特配報奨肥料を停止されたことは、食糧増津に至大なる影響を與えたということであるのでありまして、これらの農民の要望は、生産者に配慮した原料わらの分を、農家に対して特別配給をしてもらわなくては、これ以上増産はできない。これはわら工品の製造とまた食料増産の問題に関係いたしておりますので、これに対する肥料課長のお考えを伺いたい。また昨年の秋以來特にこの夏以來蔬菜の欠乏によりまして、政府は特に蔬菜に対するところの肥料の特配をここに計画せられたのでありますが、その蔬菜に対する出荷に対して肥料の特配が技術的に十分なる計画性がなかつたために、その蔬菜の出荷業者、いわゆる農民にあらずして出荷業者の手元に大量に硫安が入手されまして、そうして商品の賣却による利益はないけれども、その特配による硫安の利益によりまして莫大な利益を改めておるものが現在あるわけであります。かようなことも肥料配給の技術面、操作面において欠陷があるということを私は考えるのでありまして、かようなことについてどういう考えを持つておられるか。またこのほか肥料公團についてでありますが、肥料公園は最も低廉に、最も破実に農民に肥料を配給するところの考えのもとに公團組織になつたのでありますが、しかるにこの公團になつたことによりまして、従來におけるところの営團あるいは農業会等の職員を吸收する。そうしてまつたくお役所式の経営になりましたがために、ある縣におきましては十三名で従來配給ができておつたものが五十三名に増加した。こういう人員増加におけるところのこれらの費用はあげて農民の負担にならざるを得ないのでありまして、かようなことが地方農民のたいへん疑惑の的であるし、かようなことについても改正を要すると考えておるのであります。その他肥料公国から地方の農業協同組合を通じて農民の手に渡るその間におきまして大きな弊害がすでに生じておる。先ほど井上委員からもメーカーの方から一應公園の方までの肥料計画はなつておるが、末端における配給が不十分であるがために今後の秋肥、食糧増産におけるところの点が憂慮された例があります。これは米價の問題、税金の問題におきます農村の金融逼迫ということが非常に大きな原因であるのでありまして、たとえて申しますならば、徳島縣におきましては、七月から十二月までに肥料全農より農民に当然配給すべきところの肥料が二十五万トン停頓しておるということでありますが、その原因がどこにあるかと申しますと、今言つたような原因であります。一面それらの原因以外に公園における肥料代金の回収については、わずかに五日間しか余祐を置いておらない。近時高額に上るところの肥料代金をそう一度にこれを集金することができないのでありまして、まず十日、十四、五日の間自然的な情勢として延引される。その延期された場合には、延滞料といたしまして相当高率なる延滞料をとられるがために、これまた地方農業協同組合におきましては、その延滞料を支拂うために扱い手数料がなくなつてしまう、こういう悲鳴を上げておりまするので、私としては、この五日間の余裕期間を十日ないし十五日、この週間を置いてもらいたい。そうしなかつたら、あるいは今のような短期間におけるところの肥料代金の回収は、まつたく不可能のことであるということも言われておりまするが、これはやはり事務的な面におきまして十分操作もされることであるし、地方の実態を認識されておらない運営方法による農民の災害であるとも考えるのであります。從つてこの方面における操作をなされるお気持があるかどうか。かようなことをもちまして、今後われわれは公團そのものの運営内君につきまして十分檢討しなくちやなりませんが、末端の農民に対して肥料がスムースに渡らないところの原因を十分検討され、以上の点につきましての御所見、御答弁を煩わしたいと思います。
#38
○大谷説明員 第一の硝安の点につきましては、硝安の消費の量と申しますか、技術的に害を與えずに有効に使うということにただいまいろいろ手段を講じております。おおむねよくなつて参つているのではないかと考えておりますが、今後ともお話のような点は十分注意して参りたいと存じます。
 第二の、わら工品とのリンクの肥料の問題でありますが、ただいまはリンクの制度を操損しておりません。ただお話の通り、わら工品として出ます部分は、これは自給肥料のそれだけの減耗になるわけでありますので、その減少いたしました肥効分を補填するための割当を縣単位にやつております。その縣下の現地への還元の方法につきましては、それぞれの相当な幅を持たしてありますので、その現地に適應した方法をやつているものと考えております。
 第三の、蔬菜のリンク肥料の点につきましては、これは蔬菜集荷のためにとられた手段としてやむを得ないものがあつたと存じますが、肥料をリンク物資にするということ自体にはなはだ疑問もありまするし、これによりましてまたお話のような横流れなどの事例も非常に出ておりますので、蔬菜のリンク制はただいまのところ中止しております。
 最後のお話の点につきましては、公團の運営資金の面もはなはだ窮窟な面がございまして、この面と関連せしめて、ただいま研究をいたしております。資金の不円滑その他の理由によりまして、せつかく生産されました貴重な肥料が、現実そこにありながら、使用者たる農業者の手に渡らないというようなことがないようにいたしたい。今当面の問題としてみる研究中の次第でありますので、御了承願いたいと思います。
#39
○岩永説明員 先ほど、来年の春肥はどのくらいかという質問がございましたが、稻について申し上げますと、硫安でことし五貫五百行つておりますが、五貫五百は必ずやる、できますれば六貫目までやりたい。燐酸は昨年二貫目でありましたが、これを少くとも二貫五百、できれば三貫目、カリ肥料は先ほど申し上げたように、稻の植付予定面積の三五%の面積に対してカリ肥費を一貫目やる予定であります。大体、ほかの作物については今年と同じ程度であります。
#40
○中嶋委員 農林大臣がお見えになりましたから、ちよつとお聞きしておきたい。農林省自体として食糧増産対策というものを研究せられておるのですか。
#41
○周東国務大臣 もちろんやつております。
#42
○中嶋委員 私どもは農林省は肥料対策を何ら講じておらないとしか思えない。もう少し積極的に肥料の面に対策を講じておつたら、日本は今アメリカから千四百万トンも毎年輸入しないで済むと思う。また自給自足できる確信を持つておりますから、農林省は技術面に対してもう少し積極的に調査をせられるよう御配慮願いたい。もう一つ関連してお尋ねしたいのは、先ほど以來硫安の話が盛んに出ておるが、農林省では硫安というものを使い続けて行つたら、非常な弊害が現われるのだということは御承知ですか。
#43
○大谷説明員 今のお話でありますが、硫安の消費を長く続けると害があるのを承知かというお話でありますが、これはどうも当てになりませんので、それは硫安は硫酸があとに残るという関係から害があるということは聞いております。
#44
○中嶋委員 私どもはこれから十年間も硫安を続けて行つたら大減産に陥ると思う。今年のごときは、天候のかげんで非常に豊作でありましたが、一朝不作に見舞われたら、昭和二十年のような三千万石台にばつたり落ちて来ることは火を見るよりも明らかであります。この段に臨んで狼狽してもだめで、今のうちからこれに対するはつきりした対策を講じていただきたいことを要望して私の質問を打切ります。
#45
○坂本委員長 以上をもちまして石灰その他肥料に関する件の質疑はこれを打切ります。
#46
○坂本委員長 日程第一、食糧需給に関する件を議題に供します。政府に対する質疑を行いたいと存じますが、質問は申込みの順序によつてこれを行いたいと思います。井上良次君。
#47
○井上(良)委員 農林大臣にお伺いしたいのですが、それは去る十五日に本委員会で農林大臣と金野、圖司両委員並びに私から供出後の米の処置について伺いましたときに、大臣は二十三年度の産米の供出後の米の処置については自由販賣にもどすことが一應党及び政府として考えられる案であつて、現在実行の時期方法については愼重に考慮しておると申し、ただいまでは超過供出を求めるが、供出期間中にでも具体案がもし可能になつた場合は実施するかもしれない。こう答え、さらに本二十三年度産米の期間中に実際やるかとの質問に対しては、今やるとも、やらぬともはつきりしたことは言えない。こういう答弁を、この速記録を見ますといたしております。大臣は本年二合七勺の配給を確保するために計画しました、二十四年度の主要食糧需給推算を認めておりましようか。この点をまず伺いたいと思います。
#48
○周東國務大臣 二十四年度の需給推算については一應の推算として認めております。
#49
○井上(良)委員 この需給推算は関係方面と話合いの上成立したものであり、かつ関係方面かち指示を受けた需給推算であると考えますが、そう考えてよいですか。
#50
○周東國務大臣 大体これは農林省において推算として立てた案であります。
#51
○井上(良)委員 農林省で立てた推算の案でありますが、それは関係方面の了解を得ずに立て得ないと思いますが、關係方面の了解を得ておりますか、どうですか。その点をはつきりしてもらいたいと思います。
#52
○周東國務大臣 どこまでも自主的に農林省が立てております。
#53
○坂本委員長 速記を中止して……。
    〔速記中止〕
#54
○井上(良)委員 そこで私が一應この際大臣に伺いたいのはわれわれの想像し、またわれわれが與党時代に食糧行政の内容についていろいろ檢討を加えました場合、年間どうしてもここに千二百万石から千四百五石不足する。そのうち歴年連合國から援助を受けました数字は、百五、大十万トンが大体の見当である。そうしますと、ここにどうしても二、三百万石の穴があくが、この穴はどうして埋めるかということと、いま一つは、本年の補正割当がどうしても昨年の割当の数字から下まわるということは、いろいろな関係から困難であるというところでもつて、三千六十一万九千石ですか、補正割当にきまつたと承つております。そういたしますと、この三千六十一万石の補正の数字でもつてしましたのでは、とうてい二合七勺を年間に計画的に配給することができないのであります。そこで一部被害を受けた農村は除きまして、相当豊作を予想されます地帯に対しましては、どうしても大幅な超過供出をお願いをして、この不足食糧を國内でまかなうの対策を講ずるとともに、また減收いたしました三百万石からの大体の減収率を補うのにも、中央補正だけではどうしてもいかないというようなところから、やはり超過供出の見返りにおいてこれを穴埋めしなければならぬ。こういうような苦しいわが國の食糧事情にありますときに、この超過供出を二、三百万石というものはどうしても出してもらわなければ、わが國の食糧の確保はできないと思う。二合七勺の配給が年間に実施できないということになつておるのであります。そういうときに一應途中でこれが自由販賣を云々する。途中で自由販賣をやることができればやつていいのだ。かりにこういう意見を出しました場合に、はたして政府が計画しております予定の超過供出量というものが確保できるかどうか、この問題であると私は思います。これをあなたはどうお考えになつておりますか。この点を伺いたいと思います。
#55
○周東国務大臣 私は昨日も申し上げましたように、現下の事情において連合國の方面から相当の数量の援助を受けておることもよく承知しております。また来年度と言いますか、二十四米穀年度においても、でき得る限り援助を求めなければならぬ数字があることも承知しております。しかしその間において立てられた需給推算のもとにおきましても、ある程度の不足に対して、これをどうするかということはよく承知しておりまして、その上に立つて施策を進めておるのであります。従つて昨日申し上げましたように、ただいまのとこ供出後における超過供出について協力を求めることについて、方針はかわつておらぬということをはつきり申し上げたことは御承知の通りであります。次に供出後に米の自由販賣をするのかせぬのかというお尋ねがありました。それに対しましては、政府としてはそれらについてやるとすればいかなる具体策をもつて、いかなる時期にやるかということを十分研究していることを申し上げた。しかしてそのものを実行するについては、今日の食糧事情として超過供出に援助を求めているが、それに対して影響があるかないか、どうなるかということは、諸般の事情を考えて、やるとすれば実施するということを申し上げたのであつて、それらのことはすべて事情の中に組み入れる。このことはあなたの先ほどの御質問の中にありましたように二十三年度については、途中でやるだろうとかやらぬだろうとかいうようなことをお話になりましたが、私はきのう申し上げましたように、二十三年度の米についてやるとかやらぬとかいうことは今申し上げる時期でない。われわれはどこまでも供出後の超過供出について農民の協力を求めつつこの需給推算のもとにおける食糧政策を進めて行く。現在のところこの方針はかわりはないのであります。いかにすれば将来の食糧の安定をはかつて、農民の生産意欲を向上し食糧問題を解決するのに適当であるかということの立地に立つて、その具体策を研究していることを申し上げた。しかしてそれができ上つた上におきましても、いたずらに食糧行政を混乱せしめるごとき方法はとらない。あらゆる事情を考えて、実施するならば実施する。その場合において農民の方々に迷惑のかからぬように、消費者側に迷惑のかからぬということを、すべての情勢判断の中に入り込まるべきことであつて、そのことを現内閣におきましても考慮に置かずして、やることを考えているのでないということを申し上げたのでありまして、この点は了承が行くことと思います。それ以上は見解の相違であります。
#56
○井上(良)委員 大分昨日の話とは違うのでありまして、速記録がありますから、あとでごらんを願えばおわかりでありましようが、私の方では何も供出後の米の処置について議論をしているのではない。供出後の米を自由販賣にするのが民自党の政策であり、また大臣みずから各方面において、供出後の米の自由販賣をできるだけやりたい、こういうことを発表しているのであります。だからわれわれとしては、やれるかやれぬか、この二十三年度の供米期間中において、もしその自由販賣がやられるというようなことになりましたならば、政府は超過供出でいくという方針をとつているとき、そういうことを言いましたときには、いろいろな混乱をそこに生ずるから、私はその点について一應確かめて見たい。
 さらにしからば伺いたいのですが、そうすると民自党並びに農林大臣は、供米期間中の本年の三月ごろまでに自由販賣をされ得る見通しがあるかどうか。もう一つはかりにそれがないとしました場合、今後わが國が外國から年間に一千二、三百万石の食糧援助を受けなければならない状態において、供出後の米の自由販賣ができるか。可能であるとあなた方はお考えでございますか。この見通しをこの際はつきり申していただきたい。いま一つ大事なことは、昨日図司さんも大臣との質疑のうちで、酒米の問題について大臣は、現在のような酒米の割当の状況のもとでは、どぶ酒の造石を奨励することになるから、いわゆるうその政治が実際行われている。このうその政治から正直な政治をやるためには、どぶ酒のやみの造石をやめてもらつて、政府の方から酒を多くつくつて配給するようにすべきが必要ではないかという考え方をもつて、いろいろ御説明と御答弁がございました。私どもも現在わが國の酒の状況を考えてみました場合に、なるほどそういうことも言い得られるかもわかりませんが、日本が連合國から食糧の不足を援助を求めております今日、あの三十三万石の酒の米は、今後これが何倍にもふえるというような見通しは、おそらくつかぬのではないか、かりにわれわれがそれを望んでみみても、連合國がこれを許すはずはないじやないか。われわれはこういう考え方でおります。料飲店の再開の問題も同じでありまして、われわれの立場から申しますと、料飲店を再開しても別に弊害はないと考えて、いろいろな面でこれの再開を陳情もし要求もして来たのでありますけれども、遺憾ながら今日これが許可にならぬというのは、日本の食糧事情が世界の食糧事情の一環に立つておるという関係からこれが許されないのでありまして、こういう点を全然見通しを立てずに、大衆受けのする―できもせぬことを掲げて大衆を欺瞞するがごときことを言うことは、責任ある政治家の言うことではない。もつと私どもは見通しを立て、方針を立てて、その方針のもとに國民の協力を求めるという態度を明らかにして行くべきではないかと考えるのですが、この二つの問題について、大臣の所信をいま一度伺つておきたい。
#57
○周東国務大臣 繰返して申しますが、私はすべての情勢を無視してやる考えはないのであります。從つてあなたの言う通り供出後の米の超過供出に協力を求める以上は、もう一定の時期までやらぬのかという御意見であります。そこらは別途よりよき方策方法によりまして、各方面と連絡の上これを進めることに話をつけて行けば、やると言つていいのではないか。それからあとの問題にもお答えいたしますが、まず中央におけるいろいろな情勢を見てきめてかかつて、そうして実際はやり得るのではないかと思うけれども、情勢がだめだからというので努力を怠ることは、政治家としてはいけないのではないか。どぶろくの問題にしましたところで、今あなたのお話のように、現に日本の各地に、していいことではありませんが、現にどぶろくがたくさんつくられている事実は、肯定されておるのであります。そこで私はすべての情勢を無視して、米を酒につくれということを言つておるのではない。この事実をどうかして了解してもらつて、どぶろくにつくれる米ならば、供出後の農家に一定の数量を出してもらつて清酒をつくるように了解を進めて行つた方が正しいのではないか。こういうことを言つておる。すべての情勢がむずかしかろうから、どぶろくをつくらしてもいいぢやないかというお話のようでありますが、私はそこにすべての國民、政治家が一致して、こういうことになつておる事実をよく説明して、こういうことで米がつぶれておることが事実ならば、これは正しく元にもどして清酒をつくらしてどぶろくを禁止する。いやしくもそういう形に進めることはできぬかという了解を求めることが、私は政治家の行き方ではないか思います。一つ一つ前提をきめておいて、それはだめだからという行き方がいいのか。そこに私どもとあなた方の相違がある。私はいたずらにできもせぬことを掲げて欺瞞するというお話でありますが、これはお返しをいたします。私どもはどこまでも目標を定めて、それに対して実現に努力するということに政治家としての行き方があると考えております。
#58
○井上(良)委員 最後にさらにだめを押しておきたいのですが、われわれは、何も供出後の米の自由販賣が絶対にいかぬという前提をおいて言つておるのではないのです。わが國諸般の食糧事情の見地から、そういうことはこの際不可能じやないか、こういう立論を立てておるのでありまして、おそらくあなたが農林大臣中にこの問題が解決されたら、私はお目にかかりませんよ。私ははつきり申し上げておきます。そういうたやすい食糧事情のもとにはないのです。また同時に酒の造石の問題にいたしましても、なるほどどぶ酒はつくつておることを連合國に話をして連合図側の了解を求めてやみの酒をつくらぬように、ひとつ造石を認めてくれということには、それは一應交渉の余地があるかもわかりません。しかしもしそういうことが明らかになりました場合は、どぶ酒をつくつておるだけのいわゆるやみの米は、輸入食糧の上においてそれだけ減つて来るのでありまして、この点ははつきりするのであります。日本が外國から買う力がなくて援助を受けておる現在の食糧事情のもとにおいて、國内で酒をよけいつくつてそれで援助を求めるというようなことが、政治常識として、國際道義として許されるかどうか。この点はわれわれあなたからそういう説明を求めるまでもないことである。私どもは敗戦下において、外國から食糧の援助を受けておるというこの深刻な事実の前に立つたときに、國民が内緒でどぶ酒をつくつておるから、これをひとつ了解を求めて、酒の造石をよけいしようなどというそんな考え方が、一体正しい食糧行政の方向と言えますか。私はそういうことは絶対反対であることをはつきり申し上げておきます。
#59
○坂本委員長 加藤吉太夫君。
#60
○加藤(吉)委員 私は、需給に関して農相にお尋ねしたいのです。わが國の食糧事情を見ましても、五箇年計画の最終の年次においても三百数十万トン輸入しなければいけないというような食糧事情下におきまして、今年度のさつまいもの都市における配給面を見ましても、消費者側からこれを拒否しておるというようなことが、全図的に起つておるのであります。これは配給計画が悪かつたためにこういうことが起つたのか、もしくは消費者が食糧事情をも了解せず、米食偏食というような誤つた観念から省き起つたのか、この原因についてどういうお考えをお持ちになつておるのか。私はこの原因は両方にあると思つております。それでこういう情勢のために、さつまいもの産地において、農民はもうさつまいもをつくることは考えなければいけない、やめなければいけないということを言い出しておる。それから第二には、どうもいもをつくるには、多産系の品種よりも消費者の嗜好に適した品種をつくらなければいけないということを、農民が言い出しておるのであります。こういうことは食糧需給関係に非常に大きな影響を来すであろうと思いますから、早急に農林省として対策を講じていただかなければ、ますます食糧が困難になるのではないかということを憂うるのでございます。それでこれに対して私の対策といたしまして、さつまいもをあめもしくは澱粉に加工するところの方法を政府として計画してやる。またさつまいもの貯藏法についてその貯藏するところの穴藏をこしらえるというような点に、積極的な補助政策をとる。またそのように過剩を來しておるということならば、さつまいもの統制を撤廃して、どんどん協同組合に澱粉、あめの加工をやらせるという方向へ、強い施策を施していただきたいと考える。特に私が望みたいのは、今日農村においてたまたまわずか一合かそこらの酒を配給を受けておるが、あの配給價格ではとうてい酒は飲めない、受取れない。こういう農村の窮状にあつて、わずか一人あたり一合ぐらいが、二箇月か三箇月ごとにあたるのが、それすら料理屋の買出しに賣つてしまうというようなかわいそうな状況にあるので、少くとも農民が過労を慰するために酒一ぱい晩酌に飲もうというのには、三百五十円くらいまでの値段でなければ酒は飲むことができない。この際において私はさつまいもからいもしようちゆうを米から酒を造石するということは反対でありますが、このやや過剩を察しておるところのかんしよを、消費者が好まないところのかんしよを利用して、いもしようちゆうを協同組合に大々的につくらせて、一面税金の補いにもする。また一方農民に安いアルコールを飲ませる。こういうようなすつきりした政策を周東農相がこの際ひとつとつていただきたい。こういう考えを農民全部が持つているので、どうかしかるべく対策を講じていただきたい。また食生活の改善という考えから見ましても、いもを排斥するような消費者の観念は絶対いけないのでありますから、生活改善という意味からでも、消費者にもつと食糧事情を徹底させる必要がある。こう考えるのでございます。それについて特にいもしようちゆうを大々的に協同組合につくらせるという方策について、農相の御意見を聞きたいのであります。
#61
○周東国務大臣 お話のいもの問題でありますが、これは今年の状況にかんがみまして相当に研究をいたす余地が多いと思います。御案内のように、今日では供出用のいもというような品種ができておりますか、かなり味が悪くて、目方だけは多くあるというようなものが一部で特に栽培されている。受取拒否などに出ているいもは、主としてそのいもが多いようであります。しかもこれはどういうことでありましたか、特にこのいもについて品等とか品位が一級上げてあります。こういうことも前の内閣がいろいろのお考えがあつておやりになつたことと思いますけれども、そのためにそのいもと他のものとの均衡がとれないというかつこうにありまして、非常に研究をさせられております。將来いもの供出あるいは生産増強をお願いいたしますにしても、そこには相当に品位、品等、品質を考えて價格等をきめて、供出をお願いするということでないと、品質が惡くてただ目方が多いものが高い價格で供出用にきめられているというところに非常に困る問題が起るのではないかと考えております。さらにお話のように、せつかくつくつたものが受取られない、あるいは腐るというようなことに対して、貯藏の方法なり、これを食べさせることについて、加工等がいま一段と研究の余地があろうと思う。貯藏については從來からずいぶん研究はされておりますが、なかなか的確ないもについての貯藏方法も少いようであります。これらについては御意見あるいは御案がありましたならば伺いまして、取入れて行くことにやぶさかではありません。
 さらにいもについてのしようちゆうの問題であります。これは一番考えられる点であります。ただいまのように、酒と名のつくものは分量が制限されている。價格も買えないような價格になるということは、税の確保の上からやむを得なかつた仕儀かもしれませんが、でき得るならば、量を多くして價格を下げるというのがよいのではないか。その点で一番考えられることは、食糧問題としては、それはいもからアルコールをつくるという方がまだやりやすいと思います。これらについては、新内閣になりましても、いろいろな点から、従来の計画とは別にしようちゆうの方にまわすべき分を目下大体の成案を得て、交渉いたしております。これは今年は年度の途中でありまして、極端な増加も困難であります。将来に向つては、いもの生産者に対する考慮と消費者に対する考慮をあわせて考えて行きたいと思つております。
#62
○加藤(吉)委員 もう一つ、超過供出についてお聞きしたいのですが、超過供出米の本質は、大体農民の節米によつて出て来る場合、第二には割当の不均衡によつて生れる場合、第三には精農の努力によつて生れる、こういう性質を持つておるのでございますが、今度農林省の指示によつて、補正を受けた部落に対しては、その補正前の額を超過しなければその恩典の三倍買上げに適用されないという通牒を発せられたそうです。その超過供出の点から見まして、災害があつた場合に本年度から補正されることは当然なので、そういう意味から考えると、補正された部落も補正されない部落も、同じ條件下にあると思われる。こういう点から補正された部落の供出に対しても、また補正されない部落の供出に対しても、供出米に対しての同等の待遇を與えるのが理論的であるという考えです。これがすこぶるあいまいなために、少し補正を受けた部落においても、多少超過する米があるのでございますが、それが恩典に加えられないというので、これは八月ごろまでとつて置けば高く賣れるだろうし、税金の点もうやむやになつておるから、出さぬでとつて置いた方がいいじやないかというようなことを、産地において農民が信じておるのですが、これは当然災害のために補正されたのだから、補正しようとしまいと、同じ余つた米に対して、食糧自給にいつでも貢献させるのが政府のねらいでなければならないと思う。こういう点について農相の御意見をお伺いして、すみやかに指示をあてがつて、ぐずぐず農民に躊躇しないようにしていただきたい。
#63
○安孫子政府委員 補正をいたしました際の超過供出に関する取扱いの問題でございますが、ただいまお話がございました部落単位において補正を受けた場合に、その部落から個人として事前割当の数量以上に出しても、超過供出の取扱いを受けないのではないかという御懸念のようなお話もございましたが、この点はさように考えておりませんで、あくまでも超過供出は個人単位で考えております。従いましてある部落でもつて百石以上の補正を受けた。ところがその部落のある農家が事前割当数量以上に出した場合に、やはりそれは超過供出として取扱います。もう一つつけ加えて置きます。個人の場合でありますが、たとえば百俵の事前割当を受けた人が、今度二十俵補正を受けた。従つて補正した結果の供出数量は八十俵になるわけであります。この人が八十五俵出した場合にどうなるかというと、その五俵分については超過供出の取扱いをいたしません。その人が百五俵出した場合には、五俵分については超過供出の取扱いをする。かようにこの点は先般の知事会議におきましてもはつきり明示いたしております。
#64
○加藤(吉)委員 もう一つお願いいたします。私は米價決定が現在賃金ベース、給與と同じあるいはそれ以上に重要な問題であると思う。ところで給與をきめるのについては、政府はすこぶる積極的に、かゆい所に手が届くくらい、人事院など厖大な機構をつくつて、丁重な扱いをしておるのにもかかわらず、われわれ給與以上の重大性を持つ米價の問題について、今年度の米價決定を見ましても、休会中にどこで米價をきめたのかわからない。物價廳の一隅においてパリティー計算をされる。農林省その他は第二義的な立場をとつているような感じを私は持つているのです。そういうばかげた待遇を農民は受けている今日、当然今度周東農相は、その米價決定の審議会というようなものを早く法文化して、人事院以上の機構をもつて、合理的に農民が増産に励まされるような、差別的なことがないように、納得の行く米價審議会を構成してほしい。これについて農相の御意見をお聞きしたい。
#65
○周東国務大臣 まことに御もつともなお話でありまして、私どもも何かこれに対しては、農民代表なり消費者代表というようなものを加えた審議会というような機構ができて、それに諮問してきめるというような形にまで進めて行くことが正しいのではなかろうか、こういうふうに考えて、今研究出せております。これは別の問題でありますが、臨時食糧増産措置法ですか、あの中に、農業計画を立てるために、肥料、資材割当供出ですか、それに対して何か委員会ができて、そこで諮問してやるということになつているようであります。なぜああいうふうな形のものにでも、前内閣が諮問するというようなことをおきめにならなかつたかど思つているのであります。あれは一つの考え方ではないかと私は思つておりますが、細部的には決定しておりませんが、就任早々今後の米價の決定に対してはもう少し愼重に扱つて行きたい、かように考えております。御了承を願います。
#66
○加藤(吉)委員 その米價決定についてわれわれは一番がんとしているところは、財政法第三條に、酒、タバコは國会の承認を得る、但書に主食品を除くというのが、一番これが農民をばかにした法文なので、この審議会も何も要らない。あの但書を削除するのが根本的であろうと思います。その点について農相の所見をお聞きしたい。
#67
○周東国務大臣 その点につきましては、ただいま申しましたような趣旨で、総会的に將來の米價決定についてはどうすることが一番正しいか、また農民のほんとうの必要経費をまかなつてあまり得るような形になるか、最も正しいきめ方はどうかということについての研究をいたしたいと思つておりますから、そのときに今のお話も考慮に入れて、総合的に考えてみたいと思います。
#68
○坂本委員長 農林臣大は一時から閣議が開かれるので、そちらへ御出席になるそうでありますから、なるべく質問は簡單にお願いしたいと思います。
#69
○圖司委員 大臣に伺いますが、二合七勺の配給というものは、変えないでやつて行かれるお考えでございますか、本年もそれを変化せずにずつとやつて行かれる御趣旨でありますか。その点をお伺いしたい。
#70
○周東国務大臣 長年の要望でだんだんふえて来たものであります。これはその方針にはかわりないと思います。
#71
○圖司委員 もしこれに変化がなしということでございましたならば、この二合七勺の配給の基本でありますとこころの食糧の総額というものは、現在の一般の供出とそれから輸入食糧と、そのほかに超過供出というものが見込まれなければならぬと思いますが、その点計算の中に入れておられるでしようか。
#72
○周東国務大臣 大体昨日秘密会で申し上げたように、そういうものを推算の予定に織り込んで考えております。
#73
○圖司委員 推算の中に入れておるというお話でございますが、その額はどのくらい見込んでおられますか、大体でけつこうです。数字は祕密だろうと思いますから伺いませんが、そんなら例年二、三百万石というものはどうしても超過供出に期待しなければならなかつたということはお認めになつておられますね、その程度でよろしうございます。
#74
○周東国務大臣 大体さように考えております。
#75
○圖司委員 そうしますと、供出後の自由販賣というものは、一体超過供出というものを見込まないということになるだろうと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
#76
○周東国務大臣 圖司さんは賢明であられるからわかつているはずと思いますが、ただいまのところを繰返して申し上げますが、超過供出に対して協力を求めて行く方針であります。もしいろいろな準備が整つたと仮定いたしまして、それをやるときには、そういうことに影響のないように、あらゆる需給推算に基いてまた考えますから、それを今並行的に御心配をいただくには及ばないと思います。
#77
○圖司委員 そうしますれば、少くも昭和二十四米穀年度におきましては、自由販賣ということは農林大臣の頭の中には出て來ないと思うのでございますが、その点いかがでございますか。
#78
○周東國務大臣 たびたび申し上げているように、あらゆる面を考えて、どういう方法でどういう時期にやることがよろしいかということは考えておりますが、それがもし成案ができたときに、四囲の情勢を考えてやるのでありますから、今あなたのお話のように、二十四米穀年度内においてやるとかやらないとかいうことを、これと並行してきめる必要はないと私は考えます。あなたの方の御心配は、そういうことをやるならば供出に影響するだろうというお話ですけれども、先ほど井土さんにお答えしたように、すべての情勢を考えてやるのですから、そのときには消費者、生産者に迷惑のかからぬようなことがどうせ織り込まれるのでありますから、それをただいま申し上げる必要はないと思います。それ以上は見解の相違であります。
#79
○圖司委員 私は見解云々をお聞きしているのではありません、事実について伺つておるのであつて、二合七勺というものの基礎を動かさないで、あくまでもその配給を確保するということでありましたならば、供出後の自由販賣というものはなし得ないはずなんだ。理論上そういう政策というものはあり得ないはずなんです。私はその点を伺う、もし二合七勺というのを二合五勺にしておいたということであつたならば、それなら供出後の食糧というものを自由販賣にして、金のある者には自由に買わせるが、金のない貧乏人は買えない、そんな者は餓死してもかまわないというような、いわゆる手放しの自由主義経済である、貧乏人に対してはきわめて冷酷無残な自由党の政策も、やつて行かれると思うのでありますけれども、そうでなくして、二合七勺の配給を確保しなければならぬということであつたならば、そういう政策というものは生れて來るはずのものではないと思うのであります。それは見解の相違と言うのならば、これは二十四米穀年度を基準にしての話でなくして、連合國の援助も受けず、わが國の食糧において自給自足体制というものが確立し得る、こういうはつきりした見通しが立つておるならば格別、さもなくして日本の置かれておる現在の立場においては、とうていできがたいということは、健全な常識を備えておればはつきりしておるはずなのです。それなのにかかわらず、あえておやりになるということには、何かそこに下心があることは見えすいておりますけれども、そんなことは私は議論いたしません。ただ事実に基いて、そういうことは少くとも二十四米穀年度においてはできないのだと、なぜ農林大臣は政治家の良心に立ち返つておつしやることができないのであろうかと思います。その点を私は疑うのです。むしろそんなことを言うことが、現在の食糧行政を混乱させ、民心をして不安定に置くところの、最も実情に即しない政策であると思うのでありますが、いやしくも農林大臣はそういう点に対して、関係方面と御折衝になつたことがあるかどうか、その点をお伺いしておきたい。
#80
○周東国務大臣 関係方面に折衝したことがあるかどうかということを、ただいま申し上げる必要はないと思う。あなたはすべての問題に対して、結論を先に出して、できないことだと規定しておいて、そうしてあとから演繹的にものを考えられるのでありますが、先ほど申し上げたように、いかにすることが食糧行政のうちで最もよろしいかということから考えて、具体案を考えているのであります。その案の実行については、すべての諸般の情勢を考えるのは当然であります。あなたは右か左かで、中間はないと考えておられる。そういう考え方にわれわれはむしろ反対するのであります。
#81
○圖司委員 私は何も決定的に私の結論を出して、そうして農林大臣にものを伺つているのではない。いやしくも行政の衝に当られる人は、諸般の事情ということを考慮のうちに入れておかなければならぬことはもちろんであつて、特に世界の食糧事情であるとか、あるいはまた日本の現在の立場ということをお考えになることは当然のことである。そこで健全な常識を備えているならば、おのずからここに一つの結論が出て來るのであるが、大臣のはそうではない、あなたのこそ夢を話している。できないことを、不可能をまず前提に置いて話しておられる。そうしていたずらに選挙対策というようなことのみを念頭に置かれている。しかしそういうことを議論したんじや始まらないから、私は二十四米穀年度というものを基準にして論じている。それについて関係方面に対して、おそらく大臣として、今まで御折衝なさらないことはあるまいと思う。御折衝なさつて、そうしでそれに対してある程度の示唆を受けるなら、いやしくも輸入食糧を懇請しなければならぬ現在の食糧事情のもとにおいて、どれだけの輸入食糧を懇請するかというようなことは、昭和二十三年度の産米の見通しが立つた今日においては、もうすでに御折衝になつていると思う。御折衝になつておりながら、なおかつ超過供出というような問題、あるいはまた輸入食糧の問題、そうしたことを伏せて置いて、ほおかむりして、国民の代表であるところの議会に対して、ただものを押しつけて行く。こういう考え方、これがはたしていいかどうか、食糧の白絵自足ということの不可能な今日の場合において、われわれは常識としてこれはもうはつきりしたことなんだ。そんなことは連合國の許可は得られないであろう。いくら努力してもむだな努力にならなければ幸いなんだ。努力ということは可能なればこそ努力するんだ。不可能なことに対して壁に頭をぶつつけるようなことに対して、だれが努力する者がありますか、そんなむだな努力を農林大臣はしているとは私は思わない。ですからもしそういう超過供出というものが不可能になつた場合、輸入食糧に影響を來すということはお考えになつておられないかどうか、その点をお聞きしたい。つまり自由販賣ということをあくまでも政府の施策として押し進めることによつて、輸入食糧に何らの影響がないかどうか、私はその点をお伺いしておきたい。
#82
○周東国務大臣 はつきりし過ぎるほどはつきりしていると思うのです。われわれの現在の立場において、超過供出に対して協力を求める方法にはかわりはないと思う。あとの問題は現内閣にお任せになつたらよいでしよう。それについて折衝したかどうかをただいま申し上げる必要はありません。私どもとしては、最もよい方向に向つて研究を進めて、具体案を考えておる。それができなければやりますまい、できたらやるかもしれない、しかしそれはいずれも天下に対しては、ただいまのところ超過供出に協力を求める方針にはかわりはないと言つているのですから、影響はないはずであります。
#83
○圖司委員 最後に二合七勺をあくまでも今年度は配給基準に置かれるということでありますから、それには先ほど明かにされましたように、輸入食糧と超過供出を求めなければできないのだということでありますので、少くとも昭和二十座米穀年度においては、供出後の自由販賣はできない、かう了解してさしつかえありませんか。
#84
○周東國務大臣 それは見解の相違であります。
#85
○坂本委員長 成瀬君に発言を許します。きわめて簡潔にお願いいたします。
#86
○成瀬委員 私はまず冒頭に、この問題を党利党略の立場から質問を展開するのでない、かような意味におきまして、一應良心的にお答えを願うのでございます。私はまず今日の二十四年度におけるところの食糧需給関係におきまして、いかに相当数に及ぶ食糧の不足を農民の協力によつて、超過供出面から自給自足の体制を整えていかなければならぬかという点にかかつておるのであります。從つて供出面からするところの意見と、消費者面からするところの意見と二つにわけて尋ねて見たい。ただ昭和二十一年度産米が、十九年、二十年、特に二十年の大凶作のあとを受けただけに、当時の自由党内閣におきましては、ワシントンにおける株式の暴落が農産物の一般豊作である。こういうようなことと、日本國内における食糧増産との関係、まだ戦時中戰後における農民の供出に関する苦痛等から考えまして、まず政策的に農民の関心を買うという考え方もあつたでありましようが、きわめて困難なる食糧事情をよく知つておりながら、割当の八割程度でよいというような考えを、一般地方の食糧供出の責任者に植えつけまして、あの当時においては、日本の國内において生産される食糧をまず確保することなくしては、輸入食糧を放出しないということに狼狽いたしまして、いわゆる供出の督励時期にあらざるときに一一%の供出を強要いたしまして、マツカーサーの命令だとか、あるいは強権発動だとか、これによつて長野縣、新潟縣、各縣に生命をさえ奪われた農民があるのであります。これはいわゆる自由党の党利党略に立つ政策であつたと、被害を受けた農民からその当時非常なる恨みを買い、昨年の七月における緊急食糧対策の面においても、こういうことが指摘されたのでありますが、今回自由党が組閣に成功いたしまして、その食糧政策の全責任を担われる農林大臣として、在野党当時における供出後の自由販賣をやるという公約が、今日供出面にどういう影響を與えているか、農民は世界的な食糧事情といつたようなこと、あるいは國内における生産食糧需給関係というようなことは一々頭の中に入つておりません。ただ税金及び米價、これらの不合理なる立場に立つ農民が民自党の唱える自由販賣ということが、何らか農民経済を潤おすものであるということに期待いたしておるのであります。しかるにこの面に関しましてはいまだ研究中であるということでありまして、おそらく政治の当路に当るあなただけに、世界食糧事情、あるいは当面の日本國内の事情をいろいろ勘案せられまして、そしてその点において万潰漏のない対策を立てることは賢明なるやり方でありまして、当然のことと思うのでありますが、その対策がいつ立てられるか、目下農民は調整の眞最中で、東北各方面においてはすでに供出を完了しつつあるような状態でありまして、この二月、三月の間はきわめて重大である。特に本月あたりは重大であるのでありますが、こういう点が鮮朗にされない限り、超過供出に対する期待はとうてい望み得られないものであるというようなことでありまして、これは匿名供出によつて、來年度における割当及び課税、そういつた面からする農民の受ける不利益を除去しようという警戒心も伴うのでございます。從つてこの際諸般の食糧事情から考えて、自由販賣はできないものであればできないものとして、はつきり末端町村の関係者にまでそれを鮮明にいたしまして、この際農民の協力を願うようにやつていただきたい。もう一つは、そのこと自体が早急に決定されない限りは、相当多くの超過供出を見込みまして、いわゆる國内操作をするための補正を超過供出に期待しているが、國内補正の分がいかに取扱われるかという点についても、農民は懸念なきを得ないのであります。かような点は党利党略を離れて、一日も早くその根本方針を樹立し、そして農民の考えるととろの不安を一掃して、國家全体のために対策を樹立してもらいたいが、その成案は、大体の見通しでいいのでありますが―一目下研究中研究中と言つて、二月、三月も延ばされては、これではたいへんであると考えますので、この点についてお尋ね申し上げたい。
 なおまたそのほかに、米價の問題につきましては、九月二十一日、二十二日及び十月の七、八、九日、こういつた閉会中における農林委員会におきましても、相当つつ込んだこの方面の意見を交換して参つたのでございますが、いわゆる六十キロあたり生産者米價が御承知の一千六百三十一円でございますが、それに政府諸経費及び奨励費等々の諸雑費を計上いたして、そして消費者價格が三千五百五十七円というわけで、大体倍額以上の経費がかかつておるのであります。これらは、農民の立場から考えて見ますと、こういう倍額の米價決定に対して、農機具その他すべての農民関係の消費物資は、こういう倍額の米價において價格が決定され、さらにまたやみの米價等も加算せられて、農民の生活それ自体のこうむる、こういつた米價関係からするところの負担過重ということも大きいのでございます。自由経済時代におけるところのそういう点を考えて見ますと、莫大なる相違でありますが、かような点につきまして、まず農民の生産者價格、手取價格を基礎として経費を節約して行くことに努めなくちやなりませんので、かような点につきましては、むしろ食管特別会計という面でなしに、そういう特別の経費は、國家全体の食糧政策のもとからいたしまして、一般会計の方において支拂いをなし、一般労働者、消費階級の人たちのこの面よりする負担の軽減をはかることか、これまた社会政策的な面と、また農民の再生産に対するいろいろそういつた面に対しての、公平を期する面におきまして、妥当であると考えるのでございますが、こういうあまりにも高きに失する消費者價格を引下げることに対しまして、の御所見を承りたい。
 なおまた金利関係におきましても、政府は一度に買入れたがために、それらの年間のいわゆる金利も相当多額に上るのでありますが、これも前申し上げたような一般会計において負担すべき筋合のものであると存ずる次第であります。
 さらに早場米の奨励金が四十二億八千万円に及んでおるのであります。これは大体政府の意図するところの早場米、数量に対しましては、四百円、五百円の間の平均支出と考えるのであります。そのほか超過供出に対する奨励金も見込んでおりまするが、私はこの際早場米の奨励金の性質がどこにあるのか、当然放任しておきましても季節的影響によつて生産及び販賣にしなくてはならない。そういうような地方に対して、あえて早場米奨励金として支出するということは、これは二十三年度における不足分をこの早場米の早刈りによりまして補填していこうという考えのもとになされておるものであるか、もしそういうことであつたならば、それらの方面に関係する東北及び北海道全体にわたつて、できる限り公平なる方法をもつてなすべきものであると考えておりまするが、聞くところによると、早場米の奨励金が四十二億八千万円の中で、十八億かが一縣において支拂われておる。一体これはどういう考えのもとに一縣にそういう莫大なるサービスをなされておるや、また奨励金の内容が、單作農村地帶であつて米作以外に冬期における他の副業收入がない、從つていわゆる生産費の高額にかかるような意味で、地域的な補助政策がなされるのであつたならば、これまた北海道その他東北各懸に対してそういう政策がとられなくてはなりませんが、あえて一地方に政治的な意味であるかどうか知りませんか相当の高額なる奨励金を出しておるということを、一應資料をはつきり出していただいて、われわれは良心的にこれを檢討せざるを得ない。またなおかつその上に憂慮すべき状態は、さような政府の政策が当面早場米の供出をなさしめて、食糧の確保のために努めるためのことであつたならばやむを得ません。しかしながらそういうことでなしに、官の倉庫あるいはその他の縣内における倉庫に相当量の米を貯藏せしめる。早場米であるが実は恒久的な年内消費の立場における貯藏量であつて、しかも農民の心理も考えておらないがために、早場米獲得のために、こういつた富くじ的な農民の射倖心をねらいまして、ふまじめなるところの供出督励をするために、目下その倉庫においては乾燥の粗悪な物がしまい込まれ、目の前に水分による、腐敗のおそれがあるというので、その関係縣においては狼狽をいたしておるような状態でありますが、もしそういうことによつて高額なる奨励費及び國家の金を支拂つた米が腐敗した場合におきまして、一体政府はそれに対してどういう責任をもつて國民に見えるかということも考えるのでありまして、われわれはまずこの早場米奨励金というものが、あまりにも不可解のものであるがゆえに、この点をはつきりせしめて、一般、農村全体の立場に立つ政策を行うとともに、またいわゆる地域的な生産過重の点につきましては、はつきりした見解のもとに、米價政策を決定すべきものであるというふうに考えるのであります。時間がありませんために、これ以上申し上げませんが、とにかく私はかような面からいたしましても、消費者における消費價格の高價であるということは、わが國の全体の面に対しまして悪影響を與える。かように考えますのでこの点の御答弁をわずらわす次第であります。
#87
○周東國務大臣 お答えを申し上げますが、第一の党利党略を離れてこの御質問謹んでお聞きいたしました。それによりますと、吉田第一次内閣のときに、供出に関して八割くらい出せばあとはよろしいというようなことを政府で言つたじやないかというお話でありますが、これは何かの間違いでありますから、御了承願いたいと思います。政府からそんな話を一つも言つたことはないのでありまして、何か農民を指導される方面でそういううわさが出たようにも聞いておりますが、政府では、そういうことは何ら関知するところではなかつたことを御了承願つておきます。それから供出後の米の問題であります。これは先ほどから繰返して御答弁を申し上げたところで御了承願いたいのでありますが、御心配のように、今日農民の方がいろいろな政策がきまらぬというようなことがあつて、供出等において迷いを生じてはならぬということは、國家のためまことにもつともな御意見であります。その意味におきまして、私は就任早々、第一番目に言いましたことは、超過供出後の自由販賣の問題については、政策として考えられていることであるが、しかしそれにはおのずから時機と方法があるのであるということをはつきり言つて、農民にわれわれの考えを申しておるわけであります。さらに進んで今日の段階において、私はこの食糧事情のもとにおける超過供出に対して、農民の協力を求める方針であるということにかわりはないということで進んでおりますから、御了承願いたいのであります。御心配の点はもつともでありますが、今日まで辛いに農民の方は、もつと別な意味において眞劍に國を憂えて考えてもらつていると信じます。昨年に比べまして三箇月も早く続々と供出完了を見ておる縣が二縣あります。だんだん供出は進んでいるようであります。今日むしろそれと別に、供出に対するいろいろな促進措置、税金等の問題についての発表を待つているようであります。税金等においても一両日のうちには発表する運びになつておりますから、御了承願つておきます。
 次は消費者價格の問題です。この点は私はまつたく同感です。ところが前内閣のときにそうきめられたのでありますが、消費者價格に対しては食糧行政に関する一般行政費並びに食糧公團等における事務費、人件費すべてこれがはいるようになつている。はたしてその点については根本的にいかがかという疑問をもつております。ことし私就任早々の決定であります。これはすでにあらゆる面から價格を出したということでありまして、そのときにもいろいろな点において疑問をもちつつ指摘いたしたのでありますけれども、各種の事情からいたしまして急ぎましたから、あの通り出ました。いかにもお話の通り生産者價格と消費者價格の幅が廣過ぎる。しかしこれは当然であるものならばやむを得ませんが、そこには米というものの配給を扱つて、政府が一手にやつておりまする立場の特別会計と、他の事業特別会計との間にはおのずから違いがあると思う。ところがそれが一律に独立採算制という意味合いにおいて、すべてのことを消費者にかけておる。この根本がいかがかと思つておるのであります。前内閣のときにとつた方針の第二年目でありまして、一應それを踏襲いたしました。來度年におきましてはこの点について深く考えたい。それぞれの方面とも今折衝しております。できるならば一般行政費の方は相当に考えて、これは減らす方法をとりたい。それでなければこれにつきましても食糧公團等に関する支出については、独自の考えでやるにしても、もつと減らさなければならぬと考えておりますから御了承をお願いします。
#88
○坂本委員長 すでに閣議が始まつたようでありまして、農林大臣は退席されます。なおこの会場を午後一時から労働委員会でお使いになりますので、質疑はこの程度で打切りたいと思いますが……。
#89
○成瀬委員 それでは早場米につきましてはあとで所管の長官から承ることにいたしまして、一言申し上げておきたいのは、なぜに二十一年度の自由党内閣における食糧政策を述べたかというと、そういうようなことがかりに誤解とすれば、再び誤解を繰返さないようにお願いしたい見地から比較対照した意見であるということを了承してもらいたい。また今言つた中で早場米の問題につきましては、これはどの道からでも農村に入る金であれば何でもかまわない、こういう考え方は無責任だと思います。社会党は四千二百円を主張し、また農村においては四千五百円を主張しておる。こういうようなことをもつてすれば、普遍的に農民全体が一應再生産の熱意がそこから生れるという政策を政府は講じてもらいたいと思う。一部の農民に潤おしただけでは、全体としての農民の幸福ではないと考える。ひいては消費者に対しても迷惑である。できるだけかような点を納得の行く政策をとつていただきたい。以上簡単ですが申し上げます。
#90
○井上(良)委員 さきに加藤委員から質問しました補正の問題でございますが、先ほど食糧管理局長官は、超過供出の問題について個人単位でやる、その場合に百俵の事前割当を受けた農家が補正をされて八十俵になつた。ところが八十五俵出しましてもこれは通過供出を認めない。やはり百五俵出さなければならぬ。こういう御意見ですが、それでしたらもし補正を受けない農家との食違いはどうしますか。
#91
○安孫子説明員 先ほども申し上げました点は、部落單位とか、懸單位とか、町村單位で超過供出は考えて参らないで、個人單位で考えておる、この点は御了承を願いたいと思います。
 それから第二点は、事前割当数量に対しまして補正を受けました場合に、その間の超過供出をどう考えるか、こういう問題であります。当初事前割当数量に対しまして補正を受けましたものは、これは超過供出の取扱いをしない、こういう考え方で従来経過して來しおつたわけであります。これは関係方面とも累次折衝いたしましたが、御議論といたしましては、たとえば飢餓供出をした場合には、そういう取扱いは酷すぎるのではないか。こういうのが第一の反駿の論点だつたと思いますが、それに対しましても、これはりくつといたしましては、そういう農家超過供出があり得ないはずのものだ、こういうようなりくつでありまして、要するに補正を受けました農家にについては、超過供出の扱いはしない、こういうのが大体の方針だつたわけであります。しかしながらいろいろ考えてみますと、補正を受けました農家が、補正を受ける前の事前割当数量以上に出した場合に、はたしてそれも超過供出の扱いをしないということはいかがなものであろうか、こういう点が論議されまして、私どもの方針といたしましては、補正を受けました農家が、補正前の事前割当数量以上に超過供出をした場合には、その超過分に対しては超旭供出の扱いをする。要するに補正を受けなかつた前のラインより上に出たかについて超過供出の扱いをする、こういう方針をきめたわけでございます。
#92
○井上(良)委員 そこが非常に大事なところであつて、村に補正割当をおろして行きます場合に、そういうことか実際に不可能ではないかと思う。それから一つは、補正を受けるというのは大体災害を受けた農家でありますから、從つて補正を受けておる。そこに超過供出があり得べきはずがないと私どもは思うのです。そこでいま一つ、事前割当の数字によつて超過供出をやる場合と、補正による数字の場合とは全然違つて來ます。その問題でみなが超過供出を事実足踏みをしている状態です。それを一体どう解決してやるかということです。それはあなたの言うように、個人割当のできているところはいいが、個人割当ができておらず、部落割当だけで止まつておるところが、今年の事前割当において多いのです。そういう場合に今度補正が来て、その補正が被害を受けた農家と、被害を受けない農家とありまして、そこで実際補正による数字と事前割当の数字との開きが出て來まして、事前割当以上出さなければ超過供出を認めぬというものですから、出したくても出せないという農家が相当ある。これは非常におかしな話でありますから、あくまで補正の数字を供出の単位にしなければならぬじやないかと思うのですが……。
#93
○安孫子説明員 事前割当が部落までであつて、個人におりていないのが現状だ、こういうことですが、私は必ずしもそうも思つておりません。それからただいまの御議論の点は、これは前からしばしば議論された点でございます。要するに補正を受けました農家が、その補正以上に出した場合に、それを超過供出として扱うべきではないか、こういう御議論であります。この点はいろいろ関係方面とも折衝を続けて参つたのでありますが、要するに先ほど申しましたように、補正を受けた農家は御指摘の通り災害農家である。そうした農家が超過供出のできるはずはないではないか。そういうことを考えるのはおかしいし、そうした取扱いは適当でないというのが最後の結論になつておりまして、補正を受けた農家は補正以上に出してもそれは超過供出の扱いはしない。こういうことは各縣にも十分御通知してある点であります。ただ議論を繰返しますれば、それは饑餓供出という問題もある。饑餓供出した場合に、それに対して超過供出を認めないのは酷じやないかという問題が残る。しからばそれは災害を受けた農家が超過供出すれば、一率に饑餓供出であるという認定ができるかどうかという問題が出て来ると思う。先ほどお話がございましたように、その場合の認定についても、割当がほんとうに個人まで全國的に公正に各個人について行つておりますならば、そういう補正を受けた農家が超過供出することは、饑餓供出であるという断定を下すにやぶさかでないと思います。御承知のように、各個人の農家について申しますならば、必ずしも全國的に公平に行つているとも言えない面がございます。たとえて申し上げますならば、被害を受けておらない農家に対しましても平等に補正をしているという実情もあります。これは麦の補正の場合にもそういう例をしばしば耳にもしているのであります。要するに被害のある農家に補正をするのは当然でありますが、それのみでなく、部落全体で平等割にするというようなところもあるようであります。そういう点からいたしますと、全国公平に適正に割当なり補正が行つているとも言えない現状であろうと思います。そうしますと、この補正を受けました農家が供出した場合に、それがただちに饑餓供出であるという認定がそこで困難になつて來るわけであります。そういう行政上のいろいろな見方からいたしまして、先ほど申しましたように、結論的には補正ラインを超過しただけでは超過供出の取扱をしないという方針がきめられているわけであります。ただそれをもう少し分析して申しますと、先ほどそれは当然のことだというお話もございましたが、実はその当然のことがはつきりいたしておらなかつたので、いろいろ研究をいたしました結果、補正ライン以上に出しても事前割当数量以上出た場合にはその差額だけは当然超過供出として取扱うべきであろう、これは縣によつてその辺が非常に不明瞭になつておりましたので、その辺は当然のことかと存じますが、朗瞭にいたしているような次第であります。
#94
○坂本委員長 成瀬委員の質疑中保留の点もあり、そのほかなお二名の御通告もあることでありますから本日の委員会はこれで打切り次会にこれを譲ることといたします。
 本日はこれをもつて散会することにいたします。
    午後一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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