くにさくロゴ
1948/11/19 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 農林委員会 第7号
姉妹サイト
 
1948/11/19 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 農林委員会 第7号

#1
第003回国会 農林委員会 第7号
昭和二十三年十一月十九日(金曜日)
    午前十一時四分開議
 出席委員
   委員長 坂本  實君
   理事 田口助太郎君 理事 井上 良次君
   理事 圖司 安正君 理事 寺本  齋君
      重富  卓君    中嶋 勝一君
      野原 正勝君    八木 一郎君
      清澤 俊英君    金野 定吉君
      永井勝次郎君    成瀬喜五郎君
      小林 運美君    飯田 義茂君
      松澤  一君    山口 武秀君
      加藤吉太夫君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 周東 英雄君
 出席政府委員
        農林政務次官  伊藤 郷一君
        農林政務次官  北村 一男君
        農林事務官   平田左武郎君
 委員外の出席者
        農林事務官   最上 章吉君
        專  門  員 片山 徳次君
        專  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十一月十八日
 北相馬郡における食糧供出割当軽減の請願(小
 野瀬忠兵衞君紹介)(第二四七号)
 越中堰用水改良工事施行の請願(金野定吉君紹
 介)(第三〇七号)
 釧路競馬場を地方競馬場に編入の請願(森田三
 樹二君外一名紹介)(第三一八号)
 日向川沿岸用水改良工事促進の請願(金野定吉
 紹介)(第三二〇号)
 白羽村開墾事業助成の請願(加藤靜雄君紹介)
 (第三二一号)
 初倉村地内農業水利工事施行の請願(加藤靜雄
 君紹介)(第三二二号)
 遊佐町に冷害農事試驗場設置の請願(金野定吉
 君紹介)(第三二四号)
 感謝献穀救済制度実施の請願(森三樹二君紹
 介)(第三二五号)
 兒島湾第七区干招工事完成促進の請願(森山武
 彦君外一名紹介)(第三二九号)
 北佐久郡の食糧供出割当軽減の請願(小林運美
 君紹介)(第三三九号)
 知内原野開発に関する請願(冨永格五郎君紹
 介)(第三四二号)
 姫治村分田地区及び吉の本地区の開墾計画中止
 の請願(荒木萬壽夫紹介)(第三四三号)
 農地法に関する請願(松原一彦君紹介)(第三
 五〇号)
 南佐久君の供出割当軽減の請願(小林運美君紹
 介)(第三六二号)
 九州の開招事業に関する請願(松野頼三君紹
 介)(第三七〇号)
 森林組合強化に関する請願(松野頼三君紹介)
 (第三七一号)
 造林資金融資に関する請願(松野頼三君紹介)
 (第三七八号)
 春日井市に國営競馬場設置の請願(早稻田柳右
 エ門紹介)(第三八二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 馬匹去勢法を廃止する法律案(内閣提出第一〇
 号)
 畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連
 合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を
 受ける場合における課税の特例に関する法律案
 (内閣提出第二一号)
 予家畜市場法を廃止する法律案(内閣提出第二
 二号)(予)
#2
○坂本委員長 これより会議を開きます。
 日程第一、畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案を議題に供します。これが提案理由の説明を求めます。伊藤政務次官。
    ―――――――――――――
#3
○伊藤政府委員 ただいま御審議を願います。畜産に関する農業協同組合または農業協同組合連合会が馬匹組合または都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案は、畜産に関する農業協同組合連合念が、競馬法第三十七條第三項の規定に基いて、旧馬匹組合連合会または縣を区域とする馬匹組合の資産を都道府縣から買受ける場合並びに馬匹組合の整理等に関する法律第四條に基いて、畜産に関する農業協同組合が、都市を区域とする馬匹組合から資産の讓渡を受ける場合において、これらの財産の移轉に対して地方税を免除するとともに、買売資産の登記を受ける場合において、登録税の課税標準の價格を張薄價格とするの特例を認め、畜産に関する農業協同組合または農業協同組合連合会の財産的基礎を確立し、もつてそれらの健全なる発達に資しようとするものであります。
 何とぞ愼重に御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
#4
○坂本委員長 ただいま伊藤政務次官から御説明を伺いましたが、便宜上本日の日程第二、馬匹去勢法を廃止する法律案並びに家畜市場法を廃止する法律案の三案を一括議題に供します。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○坂本委員長 御異議なして認めます。平田畜産局長。
#6
○平田政府委員 畜産関係の三法律案につきましては、その提案の理由につきまして大臣並びに政務次官より御説明があつたのでありますが、さらに事務当局よりその内容についての御説明を申し上げたいと存じます。
 第一の馬匹去勢法はその制定は明治三十四年の法律でありまして、当時日露爭前後の軍馬徴用を必要とする情勢に基きまして制定された法律でございますが、牡馬につきましては原則として官行の去勢を行うということを骨子とする法律でございます。ところでこの法律は若干施行上の不備な点もありまして、実際において実施を見ましたのは、その後十有五年を経過いたしました大正五年の十一月のことであつたのでございます。ところでその後政府の責任において府縣を主体としての馬匹の去勢を全國的に実施して参つたのでございますが、その後の経過を見ておりますと、馬の去勢時期であります三月ないし七月のころは、たまたま農繁期にも際会いたすことでもありますので、縣の行います一定の時期に全部の馬の去勢を実施することにつきましては、時期的に困難の点もございますので、馬の飼育農家といたしましては、そうした官行の檢査よりも、むしろ自主的の去勢を行うということを希望する向きもだんだんと出て参つたのであります。從いましてその経過をながめてみますと、大正六年より最近までの数字がございまするが、官行去勢によりました去勢の頭数は、大正六年の三万八千八百十頭を最高といたしまして、その後漸次減少いたし、昨年昭和二十二年度におきましては、一万七千九百十頭に減少いたしておるのであります。これに反しまして、農家が自費をもつて去勢する頭数は、大正八年の一万三百五十五頭ということから、漸次増加いたしまして、最近におきましては一万八、九千頭に及び、二十二年度におきましても一万四千四十二頭を数えておるのであります。かような情勢でありまして、実際に官行去勢の建前をとつておりまするが、現状におきましては官行去勢と自費去勢とが相半ばするというような状態でございます。一面におきまして、この去勢の実施に当ります獸医師の関係におきましても、府縣の去勢技術員の数は、最近の調査によりますと全國におきまして六百六十四名でありまするが、一方開業医師の数は同じく五千六百三十五名を数えているの情勢に立ち至つておるのであります。從いまして、諸般の情勢からいたしまして、馬匹去勢法に基き官行去勢を強制するということよりも、むしろ馬主の自主的の発意に基きまして、また民間の開業獸医の能力を十分に活用いたしまして、この去勢の制度を実施しても、すでに諸般の情勢はさしつかえない事情に熟しておりまするし、いま一面、前回の國会におきまして、種畜法の制定を見まして、種畜の檢査を受けたもの以外のものは種付をやつてはいけないという制度がすでに確立されたことでございますので、その種畜法と両立困難なような馬匹去勢法につきましては、当然改廃を必要としておる情勢にも立ち至つておりますので、この際この馬匹去勢法は廃止するのを適当と認めた次第であります。なお一点、從來の官行去勢の場合におきましては、手数量といたしまして、一昨年ごろまでは一頭について六十円、昨年二百円に上げ、本年は三百円に引上げられたのでありますが、民間の実施手数料によりますると、高きものは千五百円、安きものは五百円程度でありまして、平は七、八百円くらいの手数料がとられておるのであります。從いましてこの点よりいたしまして、馬産農家の負担を高からしめるのではないかという点も考えられるのでございまするが、しかしながら農繁期の一定期間に、不便を忍んで強制的に去勢を実施しなければならぬというよりも、むしろその思うときに、少しは高くても去勢の実施ができる方が望ましいという空氣がございまするし、ことに種付という後々に及びまする重要な仕事でございまするので、若干の手数料の増高ということにつきましては、さして支障のないことと信じまして、この際馬匹去勢法は廃止することに致したいと考えた次第であります。
 第二に家畜市場法の点につきまして申し上げます。この法律もまた古い法律でありまして、明治四十三年に制定せられたのであります。この法律の骨子は、市場の開設には地方長官の許可が必要であるというのでありまして、その許可権に関連いたしまして、一定の畜産関係の團体につきましては、あるいは市場開設の期間について特典があるとか、あるいは常設家畜市場と並立しまする家畜市場につきましては、停止の措置を地方長官ができるのでありまするが、一定の家畜、畜産團体につきましてはそれを除外するとかいうような特典もあつたのであります。ところで最近におきまする農業團体の改組の措置と関連いたしまして、この間の事情がだんだんと檢討されたのでありまするが、こうした地方長官の許可制度のもとに市場制度が存在しているということ、並びに一種の特典が特定の團体に認められているということ、これらの点につきましては、いわゆる私的独占禁止法の趣旨にかんがみまして、適当でないということになりまして、むしろこれはそうした特典を有することなく、自由な設立を認むべしということになつたのであります。ところで家畜市場法につきましては、そうした設立に関する許可の規定のほかに、あるいは取引の上におきまする監督規定であるとか、あるいは衞生上の取締りに関する規定等が盛られているのであります。そこで根本であります許可制度の問題を廃止するということになりますと、そうしたあとに残りました規定等につきましてだんだん檢討を重ねて参つたのでありますが、たとえば衞生に関する取締り監督の問題につきましては、すでにこれまた家畜傳染病予防法が前期國会において可決せられまして、必要な取締りにつきましては地方長官の権能において発動することができるというようになつておりますし、その他の取締りにつきましても、この法律によつて画一的な監督を実施するより、むしろ地方の実情に既して、地方長官の自治権能による監督ということを実施した方が、適切でもあるというふうにも考えられましたので、この際家畜市場法は廃止いたしまして、設立許可に関連いたします制限を解除し、その他の点については家畜傳染病予防法等の運営によつて處置いたして参りたい、かように考えた次第でございます。從いましてこの法律自体は廃止されることになるのでございますが、すでに設立せられました家畜市場そのものにつきましては、從來と同樣は運営が継続されることと存じますし、また必要に應じては適当な市場が今後開設されることができることになつたのでありまして、その間におきまする関係当事者の自由な競爭によりまして、畜産農民に有利な取引が行われるように、またそうした事情もだんだん成熟していることと信じまして、この家畜市場法を廃止することといたした次第でございます。
 第三に、畜産に関する農業協同組合または農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道村縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律でございます。この法律は、やはり畜産関係團体の組織の改変に伴いまして財産の移轉を生ずる場合が多々あるのでありまして、たまたま前期國会におきまして、一般の農業協同組合について課税の特例の法律が制定されたのでありますが、その場合におきまして、畜産関係の團体に対する適用が十分はつきりと規定せられておらなかつた次第もございますので、この際同樣趣旨の規定を畜産関係團体に認めていただきたいという趣旨であります。
 その第一は地方税の免除でありまして、畜産に関する農業協同組合または農業協同組合連合会が、競馬法の第三十七條第三項または馬匹組合の整理等に関する法律第四條に規定によりまして、これは郡市を区域とする馬匹組合から連同組合等が馬匹組合の資務の讓渡を受ける場合でありますが、その財産の移轉につきまして、地方の公共團体は不動産の取得税を中心とします地方税を課さないという、こういうものであります。
 第二は登録税の点に関します特例でありますが、これまた同樣の場合におきまして、動産の移轉を受けますと、通常の場合におきまする課税標準といたしましては、時價が基準となつておりますが、ただいま申し上げました場合におきまする財産の移轉は、法律の改廃、制度の改正によりまして、不可避的にやむ得ず起つてまいる、財産の移轉のことでもありますので、その場合における動産の移轉につきまして、登録税の時價によるという通常の場合に対しまして、帳簿價格によつて登録税を課するということにいたしていただきたいと考えておりまして、この二点を内容とする法律案を提出いたした次第であります。
 その結果どのような特典が起るかと申しますと、第一点の場合に、縣を区域とする馬匹組合、または馬匹組合連合会から都道府縣が承継しました資産は約三億三千余万円と想定せられますが、そのうち協同組合へ讓渡されると推定せられますものは、動産を中心とした約六千万円のものと考えるのであります。不動産取得税地方税は、不動産取得税を主とするのでありますが、そのうちの約三分の二程度を不動産と推定いたしますれば、四千六百万円となり、これに本税附加税の百分の二十がかけられるといたしますと、九百二十万円程度と相なることかと考えるのであります。次に郡市区域の馬匹組合から資産の讓渡を受けるその資産は、約九千七百万円と推定せられるのでありますが、不動産取得税を主としました場合には、そのうち三分の二と推定いたしますと、六千五百万円になり、その税額は千三百万円となるのであります。從いまして地方税の免除額は両方を合して二千二百二十万円程度と相なるかと考えておるのであります。第二の登録税の点につきましては、これを時價で計算いたしますと、二百十万円程度の登録税を課せられることになるのでありますが、帳簿價格によるといたしまれば、大体現在の実情を考慮いたしますと約、五十万円程度に軽減されると思うのであります。これらの二つの特典によりまして、今後新たに発足いたすことになりました畜産に関しまする農業協同組合、または農業協同組合連合会の財政的基礎が、それだけ強固になることが考えられますので、本案を提出したような次第であります。
#7
○坂本委員長 以上三法案に対する政府の説明を伺いましたが、これから質疑を行いたいと思います。田口君。
#8
○田口委員 馬匹去勢法を廃止する法律案について一点聞きたいのであります。あの去勢法を設けた立法当時の趣意書、優良なる種畜を残すという点が一つと、それから交通保安という点が考えられておつたのでありますが、現在優良種畜を残すという点においては、他の法律によつて大体目的は達せられるのでありますが、交通保安という面についての処置はどうされるか。たとえば発情期において、去勢してないおす馬とめす馬などが道路上においてすれ違つたというこような場合に、從來非常に事故を起している例がたくさんあります。これに対して政府はどういう考えをもつておりますか。
#9
○平田政府委員 お尋ねのごとく、交通保安上去勢せざる馬につきましての事故が起り得るものと考えられまするので、從來は去勢法によつて強制的な去勢を実施いたしたのでありますけれども、そうした事故の起るということは、馬主自身にとつても非常に迷惑なことでございますので、だんだんと去勢に関しまする知識が普及しました今日におきましては、馬の飼育者並びにその監督を行つておりまする人たちから、進んでそうした事故のないように去勢を行うという空氣がだんだん滲透いたしておりまするので、われわれとしましては、そうした問題は法をもつて去勢せずとも、馬の所有者の自覚によつて去勢が実施し得る段階にまで到達したと、かように認めておる次第であります。
#10
○田口委員 あとは見解の相違になりますから、それでとでめますが、実際問題としてはなかなかむずかしい問題であつて、去勢の時期というものはきまつているし、都市においては去勢ということはなかなかむずかしい問題でありますから、その点は何とか考慮して、自治的にそういう方向へ強力に指導育成するということもぜひ考えなければならないし、またこれはほんとうに実際問題としては交通保安上非常にむずかしい問題だと私は考えますので、できるだけ他の方法で取締るように力を注いでいくことが、肝要だと思います。
 次にお伺いしたいのは、畜産に関する農業製同組合は、一体設立状況はどの程度になつているかという点であります。それから資産を讓渡する範囲はどの程度かということをお伺いしたいのですが、これを聞きまする目的は、今度の新法律によつて地方競馬が許されるのだが、それはあくまでも縣がやるべきであつて、地の代行機関というようなものは全然認めないという趣意でやつていると思います。從つて資産の讓渡の範囲いかんによつては、再び代行機関というようなものが発生する可能性が出てまいます。実質的にはそういうような傾向が起きると思いますが、そういう意味において、どの程度の資産を讓渡するのか。たとえば机とか何とか、そういうものか。それとも競馬施行に絶対に必要なものまでやるのかどうかとうかということを、お聞きしいと思います。
#11
○平田政府委員 御質問の第一の、畜産に関しまする農業協同組合の設立状況の点についてまずお答え申し上げます。七月末の統計によりますと、畜産関係の農業協同組合の設立せられましたものは五百六十六ということになつております。これは全國の一般の農業協同組合一万二千八百八十八、養蚕関係の農業協同組合の四千九百六十九に比しまして、相当少いのでありまするが、御承知のごとく、農業協同組合の設立につきましては農民の自主的発意にまつということになつておりまするの、で現在までのところはこの程度になつております。その中で出資の畜産組合は百九十二、非出資の畜産組合が二百八十二、酪農組合で出資のものが五十一、非出資のものが二十九、養鶏の畜産組合で出資のものが九つ、非出資のものが三つということになつております。
 なおこうした協同組合を全國的にまとめる組合におきまして、先般全國畜産販賣農業協同組合連合会というものが設立せられることになりまして、去る十一月の十一日に創立総会が開催せられたのであります。それは出資金一千万円、借入金八千五百万円をもちましていろいろ販賣のあつせんであるとか、あるいは飼料工場、酪農工場等を運営するとか、その他の全國的事業を行つて行こう、こういうようなことになつております。
 御質問第二点の、この新しい團体に讓渡せられる財産の範囲、その中に競馬の資産が含まれておるかどうかということでございますが、現在の競馬法によりますれば、政府のほかに競馬の開催主体となりますものは、御承知のごとく都道府縣であります。從つて地方競馬の施設は都道府縣に必要でありますので、從來の畜産関係の團体が所有しました資産の中で、競馬関係の資産が協同組合に讓渡せられるということになりますれば、地方競馬の施行上障碍になりますので、その点は競馬法の第三十七條の三項に規定がありまして、競馬に必要な資産を除く、こういうことになつております。一應読みますと、「都道府縣が馬匹組合連合会の資産を承継したときは農業協同組合連合会及び農業協同組合は当該資産(競馬に必要な資産を除く)の買受については政令の定めるところにより他のものに優先する」という次第でありますので、地方競馬の開催に必要な競馬に関する資産につきましては、都道府縣に留保せしめる措置が講ぜられた次第であります。
#12
○金野委員 畜産局長に少し御質問を申し上げたいのでありますが、ただいま提案いたされております法案とはあまり関係がないのでございますので、そのつもりでお聞きを願いたいと思います。畜産問題は私自身経驗が浅いのでございまして、私の質問の要旨が專門家の局長にぴんと來るかどうかわかりませんが、わかつておる面だけお答えを願いたいと思います。
 私山形縣でございますが、最近農業協同組合ができましたにつれまして、郡下方々に畜産協同組合という組合ができておるのであります。これには馬だけを中心にしてできておる組合、牛だけを中心にしてできておる組合、これからめんよう、こういうものだけを中心にしてできておる組合、一つの郡に三つもこういう組合が設立されておるのであります。これはどこが中心になつて統制して行けばよいかということについては、縣に畜産課がございますので、縣の畜産課長の出席を求めて、いろいろ農民自体がただしてみたのでございますけれども、なかなかはつきりした回答を與えないために、今日非常にこの問保が混乱をしておるような状態に置かれておるのであります。私どもは牛馬あるいはめんようとそういうようなものは、すべて畜産局の所管において、一貫した一つの組合の中にそういう問題を包含して行くべきものであるというふうに考え、そういうふうな方向に導かんとしておるのでございますが、考え方が違いますので馬のものは馬、牛のものは牛、めんようはめんようというようなことで、いろいろな角度から施策を考えておるようでありまして、要後の畜産の発展のためにこういう傾向は非常に遺憾だと私どもは思考えておりますが、これらの三つの点を畜産局が中心になつて、將來統一的な方向に導いて行く考え方を持つておりますかどうか、この点が一点であります。それからもう一つは、特に單作地帶で問題になつておる問題でありますが、單作地帶がこのままでは將來の農業経営ができませんので、根本的な営農革命、経営革命を行わなければならぬとしてわれわれは考えておるのであります。農民組合においてもそういうような指導に当つておりますし、また今度できました農業協同組合が、そういう方向に向つて企図しつつあるのでございますが、それにはまず手取り早いところの畜産の普及と言いますか、こういうようなものをやる以外にない、酪農をやる以外にないではないかというような考え方を持つておるのは、今の農民の大多数の考え方である。かように私ども考えておるのであります。そういう面について第一は牛馬の貸付に対してどの程度のあつせんをしてもらえるもものか、この点であります。第二は資金の貸付のあつせんはどの程度の資金の貸付のあつせんを願えるか、こういう点であります。もう一つは飼料の問題でございます。これらの家畜の食べるところの飼料の問題でありまして、近年非常に飼料が不足でございまして、せつかく農民が成育せんとするところの牛馬が、非常に飼料が不足のために困難を來しておるのでございまして、この飼料の見通しに対しては、どういう見通しをもつておられるか、こういうことであります。それからもう一つお伺いしたいことは、單に牛だけを飼つて、子供を取つてそれを牛乳にして市場に流す、こういうことではほんとうの畜産にならぬと私は考えておりますので、單作地帶の経営革命と重大な関係を持ちますので、將來は逐次加工工場の設置を行つて行かなければならぬではないか。かように考えておりますので、加工工場等の設置にあたつては、農林当局はどういう対策を持つておるか、こういう点であります。はなはだ質問が雜でありますので、お答えにくい点があるかもしれませんが、どうぞこの点に対しまして、局長の考え方をはつきりとお答え願いたいと考えております。
#13
○平田政府委員 お答え申します。第一点の畜産に関する農業協同組合の設立状況といたしまして馬、牛、めんよう等にそれぞれの組合ができているのであるが、これを統一する考えがないかという御質問でありました。この農業協同組合の設立については、たびたび申し上げますように、農民の自主的意思を尊重いたして、それを基礎として、必要な事業に行うという建前をとつておりますために、政府として積極的に、こうした組合をおつくりなさいということは強力に申し上げていないのであります。畜産関係については、他の一般農業の米麦中心の生産主義であるとか、あるいは養蚕方面において繭だけをつくるとかいような、單一な色彩を持たないのでありまして、馬あり牛ありめんようあり、さらに鶏あり兎ありといつたような非常にバライエテイに富んでおるために、地方によりましては、状況によりましてそれぞれの団体が設立されるというようなこともあり得ることかと思つております。しかしながら、そうした馬、牛、めんよう等について、だんだんの組合の基盤が固まつて参りますならば、さらに今後の大きな発展を期するために、むしろ大同團結して一本となつて行こうというような氣運も漸次釀成されることかと存じます。われわれとしては他の畜産の施策の確定を持ちまして、あるいは資金の面なり、飼料の面なり、強力に農民を引き得るだけの施策ができましたならば、その際にそれらの團体の機構とも合せて、働きかけることといたしたいのでありますが、現在のところにおいては、協同組合法制定の趣旨にのつとりまして、自主的の團体設立にまかしておるような次第でございますので、今後その濫立に基きます弊害等が発生することがはつきりいたして参りましたならば、この情勢によつて適切なる指導と申しますか、助言をいたしたいことと存じます。
 第二の單作地帶において畜産の普及、なかんずく酪農の普及をはかるべきではないかという御意見に対しましては、まつたくわれわれとしても同感でございます。今後の日本の農業を再建します上に、有畜農業の経営をとつて立体的生産を行うにあらんば、土地生産力を増大せしめることが至難であるということは、一般識者の認められたところであります。從つてその線に沿いまして、当局としましては、昨年以來畜産増殖の五箇年計画を樹立いたしまして、現在の頭数に比して、五箇年後には約二割程度増加せしめた増殖を遂行しよう考えておるのであります。酪農はことにその中の重要な部分を占めております。その実施の方策として、御指摘になりましたような牛馬の貸付の問題、あるいは資金の問題、あるいは飼料の問題、いずれも五箇年増殖計画遂行上の重要な問題でございまして、われわれとしましては民間畜産界と協力いたしまして、鋭意それらの問題の解決に当つている次第であります。ます第一に牛馬の貸付の問題、これは本年度から無畜農家に導入するために家畜のあつせんを、少額ながらやつているのであります。但し畜産局として進んで牛馬を購入し、これを貸し付けるということにつきましては、財政上の困難も伴いますので、十分とはいつておりませんけれども、実際上はできるだけあつせんに努め、そのためにしばしば各地に協議会を開きまして、その貸付のあつせん等を実施いたしておるのであります。第二の資金の問題、これは畜産の現状におきまして最も重大なる問題の一つになつておるのであります。昨年以來農家の税金の問題と関連いたしまして、資金の梗塞をかこつ声が生産者並びに需要者両面から起つておりまして、この資金のあつせんをどうするかということにつきまして種々の対策を講じておるのでありますが、政府といたしまして実施いたしております資金の問題は、まず家畜導入、あるいは小畜購入施設、あるいはアンゴラの共同飼育施設等に対しまして、復金資金を動かしまして農林漁業復興金融の資金といたしての施策を行つているのであります。この点につきましては、当初の需要額は相当多額に上つており、全体のわくとしておよそ四十億円が芽田 李茂灯金融の資金と相なる予定であつたのであります。そうしてそのわくの中におきまして、畜産関係におきまして五億六千六百万円程度までが受けられ得る予定であつたのでありますが、第三・四半期におきましては、この農林漁業の復興資金といたしまして認められました金額は、総額二十億円となつたのであります。その中に、御承知のごとく本年はアイオン台風の善後措置、福井縣の震災問題等が突発いたしましたがために、十分に畜産方面にわくをさいていただくこともできかねたような事情もありまして、さらにまた各種の需要額のうち、公共事業は優先せしめるというような方針がとられましたがために、当初の予定よりは若干減少いたしましたが、現在のところにおきましては一億一千五百十二万余円を畜産方面の資金として振り向けることになつておるのであります。この点につきましては、すでに農林中央金庫並びに地方廳にその趣旨を通達いたしまして、目下申込みを盛んに受けつつあるというような状況にあるのであります。
 第三の飼料の問題、これまた畜産問題の最も重要な問題の一つでございまして、食糧の逞迫と相関連いたしまして、飼料の不足ということが終戰後におきまする畜産の不振を惹起いたしました主要な原因と認められるのであります。從いまして、戰後においてどしどし家畜を殺すということも起つてまいつたのでありますが、この飼料資源を大別いたしますれば、大体三つになるかとも思います。その一は、從來の國内産飼料資源であり、その二は、新興飼料資源であり、第三は、輸入にまつべき飼料資源でございます。
 國内産の飼料といたしましては、米ぬか、ふすま、その他漁かすというような種類があるのでありまして、この國内産資源に対しましては、現在として、食糧と同じく飼料の輸入を海外に懇請しなければならぬ立場にありまするので、極力最高度の利用をはかりますために、去る二月飼料配給公團等を設立いたしまして、鋭意集荷に努めているのでありまして、その事業の実績は、今日まで大体所期の目標を達成しつつあるような実情にあります。なお最近におきましては、澱粉質の飼料のほかに蛋白質飼料を集める必要もありまするので、魚かすの集荷等につきまして、関係部局と協議の上、適切なる措置を講じたいと考えている次第であります。
 第二の新興飼料の問題につきましては、こうした飼料事情の窮迫しておる実情でありますし、國土の狹いことでありまするので、新たに、たとえば徴生物であるとか酵母等を利用いたしまして、未利用資源を蛋白質化いたしまして飼料とするという方法が、化学的研究の結果だんだんとその成果をあげつつありますので、われわれといたしましては、こうした新規方面の開拓に関しまする研究を助成いたして、飼料給源の発見せられることに努めつつあるような実情であります。
 第三の輸入飼料の状況、これは、戰前におきましては最高およそ百万トン程度の飼料が海外より輸入されておつたのでありまするが、戰爭中だんだんとその数量が減少いたし、戰後におきましては、今日まで約二万トン程度しか入つていないという実情にあるのであります。こうした大きな給源が失われたことが畜産の不振を招いた最大の原因の一つであるのでありますが、最近におきましては、食糧事情の緩和と関連いたしまして、飼料方面におきましても、大分ゆとりができているような感がいたして参りまして、現在のところ、関係方面を通じまして輸入の大体確定的と認められまするものは、飼料自体の輸入資源によりますものおよそ三万五千トン、農家保有の飼料用食料を引当てとしまして、とうもろこし等をアメリカより輸入いたしまする数量およそ四万トン、これがおよそ確定的のものであります。なお現在交渉中でありますものは、濠州産の麦類を日濠通商協定に基いてポンド決済により輸入しようといたしまするものがおよそ二万トン、さらに乳幼兒の食糧といたしまして脱脂粉乳を輸入いたす予定であるのでありますが、その輸入がいろいろの事情上困難となりましたので、飼料を輸入して脱脂乳幼兒食糧を國内において生産するという方式に切りかえられまして、それのために輸入せらるべき飼料が來年の六月までに一万二千トン、來年終りまでに三万トン、というような数字になつておるのでありまして、現在のところ一年間におよそ十余万トンの飼料が輸入せられることになるのではなかろうかと考えているのであります。かような次第でございますが、需要量全体から見ますればなお僅少の感がいたすものでありますけれども、漸次明るい方面に向いつつあるということを申し上げることのできるのは、畜産関係者として喜びといたすところであります。
 第三の御質問の点は、單作地帶等におきまして牛馬の飼育のみに限らず、加工施設等についても政府は助長する方針を持つておるかどうかという御質問であります。もちろん酪農等におきましては、牛乳の生産のみをもつては、あるいは市場に運搬する期間の腐敗等も考えられますので、さらにこれを乳製品等に加工いたすというようなことは、もちろん必要なことと考えられますので、われわれといたしまして、これらについて積極的に助成金を交付するということもいかがかと考えられますので、現在のとつておる方針といたしましては、復金資金の融資という方法をとつておるのであります。たとえば今日まで実施したところによりますると、そうした畜産関係の工場に約九月までに十四件にわたり一千七百三十五万円の融資が決定されておる次第でございます。もちろん非常に少額のものでございますので、今後拡大をいたして参りたいと考えておりますが、大体においてさような方策をとつておる次第でございます。
#14
○金野委員 ただいま畜産局長からきわめて懇切、丁寧な御説明を承りましたので、大体了承いたしましたが、この際私は最後に一言お願いいたしておきたいことは、各地方に先ほど申し上げました通り、ばらばらな畜産関係の協同組合がつくられておりますので、これをこのまま放置しておきますると、將來この統一のために非常に大きな困難を來すという懸念があるわけであります。この統一は今のうちからひとつ畜産局を中心にして、強力な指導をお願いしたい、こういう点であります。今行政整理とかいろいろな、ことが問題になつておりますので、官吏の配置轉換を行いまして、畜産局にもし人が足らないとするならば、畜産局の職員をいま少し増員いたしまして、そうして地方にどしどしと出られまして、畜産局が中心になつて、一定の方針を與えてもらうような、強力な指導をお願いいたしたいというふうに考えておりまするが、これに対してどういうふうな考えを持つておられるか、お意見を承わりたいと思います。
#15
○平田政府委員 ただいまの御意見の点につきましては、十分に御趣旨を体しまして、適切なる施策を講ずるように檢討を重ねて実施に移したいと存じます。
#16
○井上(良)委員 この法案に関連をして、政府は昨年農村の近代化と農業経営の合理化の必要上から、畜産五箇年計画を立てられたのでありますが、この計画は現在その通り実行されておりますか、それとも計画に変更が加えられておりますか、この五箇年計画を実行するにあたつて、飼料の関係、それから資金の関係、資材の関係等は計画通り行つておりますか、これらの点について御意見を伺いたいのであります。それから今飼料の需給状況について、詳細な説明がございましたが、具体的な数字は輸入飼料の見通しについての数字だけで、國内の需給の状況についての具体的な数字の説明がございません。今お持ちでございますならば発表願いたいし、もし持つてなければ資料として後ほど提出を願いたい。御承知の通り飼料公團が設立され、爾來十箇月あまりも仕事をして來ておりますのに、飼料の需給状況は円滑でないのであります。しかも何のために公團を設立したか、その意義が失われるような状況にありますから、はたして公團を設立して実際の業務運営に必要な飼料が確保されるかどうかということが明らかにならなければ、この公團の設立は本年度で打ち切られなければなりませんので、そいう点について明確な資料をひとつお出し願いたいと思います。
 それから牛肉の統制の問題でありますが、最近政府は牛肉の統制に手をやいて、價格統制だけをやられておるようですが、その價格統制でさえ満足に守られておるところは一つもないのであります。ほとんど牛肉が、今日祖國再建に必要なる勤労をやつておる方面の蛋白資源として、あるいは脂肪資源として、これが供給されずに、いわゆるやみとインフレで金もうけをした人の食繕に牛肉が供せられておる事実を、政府は何と見るか。非常にこの統制は困難な統制でありますが、困難だからというてそれでほおかぶりして放任しておくという手はないのであります。一方畜産の五箇年計画を立てて、家畜の大増産をはかつて、非常な努力と経費を使つてやつておるにかかわらず、それから生産される肉は無統制のままに放任されるということは許されないのでありまして、どういう手を打つて、どういうぐあいにやれば最も生産農民とまた当業者の協力を求めてやれるかという成案を、政府はこの際考えるべきでありまして、これに対する見通しを明確に願いたい。
 それからいま一つは牛乳の問題でありますが、御承知の通り牛乳が最近非常に順調に増産をされつつありますけれども、これがまたかんじんの乳幼兒の食糧に供せられず、必要な面にこれが確保されずに、いわゆるぜいたく面に流れておる実事を政府は何と見るか、そこで一應牛乳を生産しております酪農農家からは、全部これを政府が買い上げる。そうしてこれを食糧の代替供出の方針をもつて、牛乳を一石かりに供出いたしますならば米何斗分にこれを見る。こういうぐあいに一つの供出の代替制に牛乳をとりまして、これを乳幼兒の主食に確保していく。そのかわり乳幼兒において牛乳を必要とする分は、主食の配給をとめる。こういうぐあいにしますならば、牛乳というものがほんとうに生きたわが國の重要な主食にこれが上つてきますけれども、今のような状況で放任しておいたんでは、まつたくぜいたくな面にこれが流れて、かんじんの方向にこれが流れませんから、その点に対して政府は一体どういう手を打とうとするか。これらの点について御意見を承つておきたいと思います。
#17
○平田政府委員 お答えいたします。
 まず第一は畜産増殖五箇年計画の実施状況、その後の経過がどうなつておるかという御質問でありました。畜産増殖の五箇年計画は、昨年九月畜産審議会を設置いたしまして、民間の意見等をも組み入れました計画を立てたのでありまして、大体昨年度におきまして、家畜單位に換算いたしまして三百三十四万頭ありましたものを、この審議会の五箇年計画の目標といたしましては、昭和二十七年におきまして四百三十七万頭に増加せしめよう、こういう計画を内容としたものであります。過去におきまする最近最大の頭数は昭和十九年の四百八万頭という数字でありましたが、その後だんだん低下いたしまして三百三十万程度に減つて参りましたものを四百三十七万頭にまでふやそうというのでありまして、最大の数に比べまして、一〇%の増加、最近の数字に比べまして三〇%の増加を企画しようとしたものであつたのであります。これをその後地方の六箇所のブロツク会議につきまして、地方の情勢を打診いたしたのでありましたが、地方においては意外に畜産熱が高揚していたしておりまして、その実施予定の数字を集計いたしますと、四百七十九万頭という数字になりまして、さらに一割程度を増加したい要望が地方にみなぎつていることを察知し得たのであります。ところでこの二つの数字をもちまして、経済安定本部におきまする他の五箇年計画と相関連いたしまして、さらに檢討を加えた結果、新しい目標といたしましては、昭和二十七年度におきまして四百五十九万頭、五箇年計画が一箇年ずれまして、二十八年を最終目標といたしますが、その年度においては四百九十万頭に達せしめようという内容を盛つたのであります。われわれとしてはこの数字を目途といたしまして、その実現に向つて種々の実施方策、たとえば資金の面とか、飼料の面とかいう方面に努力いたしているような次第であります。そこでその実施の経過がどんなふうになつているかということを申し上げまするならば、今年の六月推定いたしました数字によりますければ、現在の家畜頭数は、家畜單位に直しまして三百五十五万八千頭と捨定せられておるのであります。ところで二十四年の二月の計画上の数字がいかになつているかと申しますると、三百五十七万一千頭ということになつておりまして、來年の二月計画上到達すべき数字が大体において本年の六月、ここに達しておるというような実情でございまするので、この点はまず御安心をいただきたいと考えております。
 第二の飼料の点におきまして、輸入飼料について申し述べましたが、國内飼料についての説明を欠いているではないかというお尋ねであつたのであります。で國内の飼料状況を申し上げますならば、昭和の初めにおきましては、大体二百五、六十万トン程度から三百万トンと推定せられておつたのであります。ところが昭和十四年の秋の大早魃を契機といたしまして、米について七分づき制度がとられたので、從來の白米九一・三%の搗精歩合より九四%に搗精歩合を高めるというような措置が講ぜられ、また麦につきましても七五%を食用に供し、二五%を飼料に供するという制度を食糧方面にさらに一〇%を高め、飼料方面は一五%しかないというふうに飼料給源が減らされましたがために、その後数年は二百二、三十万トン程度になつて参つたのであります。ところがさらに最近の情勢によりまして、從來は食糧農作物中から大体食糧への惡影響を及ぼさない利用率を考慮いたしまして、他の残りを飼料に充てるという方針を持つておつたのでありますが、新たに食糧管理局におきまして農家の保有量を決定せられ、麦につきましてもこの程度しか認めないというようなことになりましたので、昨年の数字は國内産飼料として充てられますものは百四十六万トン、本年度におむまして百二十八万トン、かような現状を見ておる次第であります。もちろんこれは濃厚飼料の需給数字をながめたのでありまして、さらにこのほかに家畜の生活を維持し得べき粗飼料の点につきましては、これは牧野の草を主といたします関係上、そこには大した増減も認められないというような関係もございますので濃厚飼料の減少に基きまする影響としては、たとえば乳牛が牛を生産する数量が減つて参るとか、鶏が卵を産む量が減つて参るとか、役牛の能率が落ちるとかいうような方面に、主として影響が現われているし存じます。そうした需給の総体を通観いたしますると、現在の濃厚飼料の数字と申しましては、需要の二百五十三万八千トンに対しまして、國内産供給が百二十八万六千トンで、それだけでは百二十五万トン程度の不足を見ている実情でありまするが、ここに若干の輸入数量を期待し得るというようなことで補いまして、残る点につきましてはまだ必要な十分の飼料が家畜に供せられていないという実情におる次第であります。
 第三の御質問は、飼料公團の発足後の成績についてのお尋ねでございます。飼料の配給公團は去る二月二十三日に設立いたしまして、職員として千名以上の人がおり、全國に六つの支部を置きまして、北海寺に出張所を設けているのでございますが、この公團の買收品目となつている飼料の種類は、二十一品目でありまして、買收対象となつている工場の数は、二万二千を越えているのであります。公團発足以來の業績は、八月末までの收買実績十七万トンということでありましたが、それはその当時まではまだ公團の組織を整備するスタートの時期でありましたがために、十分の機能の発揮を見ることができなかつたのでありますが、最近におきましては職員も充実いたすというような実情になりましたので、年間收買目標四十五万トンは、來年三月までにおそらく到達できるというような見通しを持つている次第であります。
 次に牛肉の統制並びに牛乳の統制についての御質問であります。牛肉の統制は御説のごとくなかなか困難な点がございまするし、戰爭中におきましては食肉配給の統制株式会社等を設立して、これに当つたこともあつたのでありますが、この乏しい牛肉を配給いたします上において、一体個人的にどれだけ配るかということも、配給割当ての対象となる数を確保することも、とうてい至難であるというようなことから、除外の方の一つのチヤンピオンになつているような実情でございますので、今後におきましても、なかなか配給の統制を実施するのに至難な対象品目と考えておりますが、実はこの食肉の取扱いは、農林省部内におきましても食品局において担当いたしておりますので、詳細につきましてはさらに食品局長の方にお尋ねをいただけばけつこうかと存じております。
 最後に牛乳の問題であります。現在におきましては、ただいま申しましたような飼料の供給が減少いたしておるという事情に基因いたしまして、ことに乳牛は最も蛋白飼料を多く要求する動物でありまして、普通の役牛に比しまして約三倍も必要としているような事情にあるのでありますが、この飼料の配給が十分に参りませんために、乳牛の生産者といたしましては、そこに経営上非常な困難を感じておられるのであります。このためにたとえば乳牛を生産する場合には一定の圃場を持つておられるのでありますが、その圃場に生産されます麦類等は、食糧供出の窮屈になりました今日におきましては、やむを得ず供出の対象面積の中に取入れられるというようなことがありまするので、乳牛の生産者としては一定の圃場のもとに乳牛を飼育することにより、食糧の方にも供出しなければならず、また生産した牛乳、乳製品は供出しなければならず、いわゆる二重供出に苦痛をなめられるということからいたしまして、乳牛の生産に必要な圃場は飼料圃として分離してほしいという要望があつたのであります。農林当局におきましてもそうした問題を取上げて、一時は地方に対してその趣旨の通牒を発したこともあつたのでありますが、食糧供出の窮屈な今日におきましては、実施上遺憾ながら実現を見ていないというような実情にあつたのでありました。なおまたさらに御質問のありましたように、牛乳を供出した場合に、それに相当する飼料を配給したらどうかという点につきましては、農林当局といたしましても、牛乳一石の供出に対しまして麦類を三斗三升リンク的に配給するということを申し上げておいたのでありまするが、最近までのところ食糧事情が窮迫いたしておりまするために、その実が上つていなかつたのであります。しかしながらただいま申しましたように輸入飼料等もだんだん見通しがついて参つたというようなことからいたしまして、最近はさかのぼつてこれを差上げておるというようなことで、おそらく八月ごろまではすでに配給の手続きを了しております。以上のような次第でありまして、牛乳の生産につきましては、さらに酪農生産者の要望にこたえた適切な措置を講じて参るように、いろいろの準備をいたしておる次第であります。
#18
○井上(良)委員 今の説明の中で飼料問題ですが、大体二十二年は百四十六万トン、二十三年が百二十八万トン、需要にこれを対比すると百二十五万トンほど不足する状況で、この不足は約十万トンまで輸入飼糧によつて補われる見通しがついておる。あと百万トンの余りは一体どこから持つて來るつもりですか。
#19
○平田政府委員 これは先ほど申し上げましたように、從來におきましても数字を申しますと、昭和十五年におきまして百六万トン、十六年が百五万トン、十七年が百十六万トン、十八年が百四十三万トン、十九年が百四十八万トン、二十年においては百五十九万トン、二十一年は百五十九万トンというような不足を統計上出しておつたのであります。その不足というのは濃厚飼料の問題でありますから、家畜が十分に能率を発揮しなかつたためでございますので、これはできるだけその線に沿つて増加するように努めてもらいたいということであります。
#20
○坂本委員長 松澤一君。
#21
○松澤(一)委員 家畜の飼料に対しては、時間がないそうですから、あとでお伺いすることにしまして、当面の問題で私はこの機会にちよつと伺つておきたいのですが、國の種牡馬は貸下げ制度で今全國に貸下げられておるのですが、これが今民間に拂い下げられる方法と、貸付ける方法との二つになつて來た。その状況を一つお伺いしたいのと、もう一つはその種牡馬の拂い下げが本年度いよいよ第一段階というか、それが開始されたようでありますが、すこぶる値段が高額だ。一体この種牡馬は戰爭当時各馬匹組合等に貸し下げて、それが個人によつて管理されておつたのでありまするが、最近の値段を聞くと平均が七万円ないし八万円ということで、今日では農家に馬一頭拂い下げてもらうのに、数万円の金などはとうていでき得べきものでない。こういう点から問題が起つて來たのであります。一体農林省はその貸し下げた当時において、これが何年後にはその管理者に無償で拂い下げられるという公約があるのにかかわらず、今回七万円だの十万円だのという値段をきめて、しかもこれを近い月日のうちに拂い込めというような嚴達が來ておるのであります。その点に対してひとつ明瞭にお願いしたい。また種牡馬は大体戰時中の貸下げでありまして、この種牡馬は大体十歳前後の年齡に來ております。種牡馬としては老齡になつておるにかかわらず、もちろん今日若い種牡馬は何十万もするでありましようが、今申し上げた通り農林省は將來は無償で拂い下げるという公約をしたにかかわらず、これを有償にしたのはどういうわけか。聞けば大藏省が非常に強くて、價格の査定等も大藏省でやつた。農林省としては地方の管理者に対して何か公約があるので申しかねるけれども、大藏省が非常に強いから困るとも聞いておるのであります。こういう際に種牡馬に対する値段等に対しても、徹底的にひとつお考え願いたい。この答弁をこの機会に私はいただかなければならぬ、こう思つておるのであります。貸下げ制度があるなら、どういう制度で行われておるか、また拂下げはどういう方法で拂い下げられておるか、その点をひとつお聞きした上で、また御質疑申し上げることにいたします。
#22
○平田政府委員 種牡馬の國有制度につきましては、現在政府におきまして北海道を中心として、二十五の種畜場を経営いたし、そこにおります馬のほかに、さらに民間に貸付のものも仰せのようにあるのであります。政府もこの種牡馬を飼育しておるという制度につきましては、從來の馬政計画が軍馬というものを主としたという点もあつたのであります。今後産業上の必要に應じて馬政の方針を建て直し、そうしてまた先ほど御説明申しましたような去勢法を廃止するという点と関連いたしまして、新しい馬の生産というものを遂行いたさなければならぬことになつておるのであります。從いましてそうした観点よりも種牡馬を國で独占的に持つという必要もなくなる。また牧場の点につきましても過大な面積を占めつつあるということも非常に檢討を加えられまして、適当に改正するというような措置を今考えつつある次第であります。ところで現在拂い下げつつありまする馬の價格というものは、これはお説のごとく予算上の要求もありまして、時價を基準とすることが適当と考えて実施しておるのでありますが金融の問題に関連しまして御説明申し上げましたごとく、現在の農家経済をもつてしては、なかなかこれが困難であるという実情もわれわれ痛感しておるのであります。これはひとり種牡馬ばかりでなく、一般の家畜を農家が買われまする際に、資金に困つておるという関係に立つておる問題でありまするので、この点につきましては先ほど申しましたように一億一千万円余の復興金融の問題を考えましたり、その他の資金融通につきまして全般的に措置を講じてもらいたいということで、目下一生懸命に努力しておるところであります。ただその價格を國家が將來どうするかということにつきましては、從來の関係等につきまして、この際十分にまだ私自身として承知いたしていない点もあります。從來の経過、沿革等につきましてさらに檢討を加えまして、松澤委員の御質問におこたえいたしたいと考えております。
#23
○松澤(一)委員 現に値段がきめられて、拂込み期間まで定められておる。畜産局長はもちろんそういうこまかいことを知らないとは思うが、その係の人がありましたら、その人からこの際お話を承つておきたい。
 もう一つ價格の点の査定でありますが、どういう方法で査定したか、それもお伺いしておきたい。なぜかというと、管理を完全にした馬は今日りつぱになつておる。貸し下げられた馬を駄馬に使つたり、挽馬に使つたりして、やせ細つた馬は値段が安くなつておる。そうすると世上傳えられるように、正直者がばかを見る。國の貸下馬だからその管理を一生命念に完全にしてきたものが、この際價格が高くなつてしまつた。むしろそれを利用したものの方が安くなつて來る。こういう値段の踏み方はどういう方法でおやりになつたか。これは國の所有の馬が相当貸し下げられておるので、將來の問題にも重大な影響を及ぼすと思うので、この際そういう國会答弁でなくて、私は具体的にお尋ねしておるのでありますので、係の方からお聞きになつてもよろしゆうございますから、もう少し具体的に御説明願いたい。
#24
○平田政府委員 ただいま御質問の事務を担当いたしております係りは当席に出席いたしておりませんので、至急打合せの上御返事をいたしたいと考えております。
#25
○松澤(一)委員 この機会にただちに御答弁願えますか。――それは國の方では何とも思わないけれども、種牡馬を借りておる一人々々の農家から見れば、非常に重大な問題であります。実は私はこれをとうに農林省の係の人にも申し上げておるのであります。値段の点やその他がはつきりするためには、大藏省の係の人にも私はお聞きしておかなければならない。今申し上げた通り、戰時中長く管理しておれば、無償で拂い下げるという約束のもとに貸し下げたものを、この際時價に見積つて金を取るというところにも、不合理が一つ残つておる。それから今私が申し上げた通り、その管理のいかんによつて馬にも價格がついておるにもかかわらず、むしろ完全に管理した馬が高い。それから今日五年も六年も管理して、そうして過去の自分の馬を賣り飛ばした。そうしてそれを管理したものがこの際七万も八万も十万も出さなければ自分の馬が手に入らぬという、そんなばかなことはありませんので、これをはつきりしないと私はいけないと思つておる。從つて大藏省が、もう戰爭中のことはおしまいだというなら、ただやることもよかろうし、戰爭中の約束でも今日守るというならば、それは守らなければならぬ。どの道そういうことは今後重大な影響を持つので、私は明答をいただきたいと思つておるのですが……。
#26
○平田政府委員 ただいま申しましたように、馬の貸付、拂下げに関しまする担当係はこの席に出席いたしておりませんので、もし御必要でございますならば事務の方へ連絡いたして呼びますなり、あるいは局へ帰つて十分御趣旨の点をただしましてお答えいたしますなり、いずれにいたしましてもしばらくの御猶予をいたぎたいと存じますので、御了承願いたいと思います。
#27
○松澤(一)委員 お話ごもつともでありまして、私も今ただちに聞こうと思つておりませんが、こういう所で一問一答の形で、馬の價格その他等に関して私は質疑をいたしたいのであります。委員長の方に申し上げておきますが、今日でなかつたらあすでもよろしいし、あるいはその他の機会でもよろしいが、この点は十分御調査の上、その拂下げの頭数、今日國有の馬の数、どういう計画で今後拂い下げて行くか、また値段はどういう方法で査定されて行くか、貸し下げた当時においての約束やその他はどう履行して行くか、今まで管理した農民に、あるいは個人に対して、あるいは管理者に対して、どう賠償して行くか、こういう点に対して次にはよどみなく御回答を願えるようにお願いしておきたいと思う。まだ私の発言は残つておるので、実は委員長が去勢法の廃止を時間的にやるのだということで私は簡單に申し上げたのですが、承つておると畜産局長が実際日本の畜産に対して心から御努力されておることに対しては、敬意を表するものであります。井上委員が、この間自分が政府側でありながら、何か人ごとのように尋ねることがふしぎに思つておるくらいであります。ただこの機会にお願いいたしたいことは、一体畜産局長はどういう方法で今後の日本の畜産業なるものを考えて行くつもりであるか。ただ馬や牛やめんようを飼えばいいのか、それは前にも言われたのでありますが、立体的農業経営の上に立つた畜産経営、これに重点を置くというなら、今後どういう有畜農業の御奬励をなさるか、また御計画をなさるか。もちろんそれは五半年計画には盛り込まれておりますので、その数字は今ただちに欲しいとは思いませんが、抽象的でよろしいから、その点をちよつとお伺いして置きたいと思います。
#28
○平田政府委員 畜産振興の方針といたしましては、昨年來すでにその振興対策は樹立されておるのでありまして、終戰後における家畜の減少、むしろ畜産の危機を打開してこれを振興いたし、さらに農業経営の合理化、農業経済の安定という面から、有畜農業の採用によつて農業生産力を高め、また國民栄養食糧の確保という見地から、食生活の改善のために畜産農業の振興をはかり、さらにまた輸送力の挽牛馬等の関係によつて豚を畜産の方面において補つて参る。また農業生産の上におきましても労力不足の現状でございますし、しかもまた機械力の導入が困難であるというような実情にかんがみまして、そうした不足は畜力の合理的使用によつて補填して参るという見地からして、積極的な畜産の振興をはかつてまいるという考えであります。目標の頭数四百数十万頭という数字につきましては、先ほど申し上げた通りであります。今後の五箇年間において家畜の自然的繁殖、それに平素の屠殺頭数を勘案して、できるだけ最大の増殖をはかつて参る考えであります。
#29
○松澤(一)委員 私も農林の專門家でありますから抽象論はよろしい。時間の関係で他の方にも御迷惑をかけますから、方向だけをちよつと言つてくださればよろしい。大体私は意見を聞きましたが、承れば、畜産局は日本で家畜を飼うことは、運搬に供したり、人々の食用に供したり、いわゆる食糧の問題等をお考えになつておる。その次に考えておるのは農業経営はこうなつて來ると、そこを私は聞こうと思つておるのであります。農林省は一体日本の食糧を、あるいは日本の將來の農業政策なるものを、どうお考えになつておるかということを考えるときに、ただ家畜が人間の食糧になること、またそれが時に運搬交通の力をなすこと等のことはだれにでもわかつておることであるが、私はそういうことが主であつてはならないと思つております。日本の將來の食生活というものは非常に重大な危機に直面しておるのでありまして、平和國家、文化國家の日本が外國に食糧を依存することは間違いだと思つております。民主自由党は、今日外國から食糧がどんどん入つて來るから、日本の農業経営はどうでもよいじやないかというかもしれないが、そういう將來の日本の農業立國というものはあり得ないと思う。從つて今日畜産局は農林省の一角を担当する上において、少くとも日本の將來の農業経営の上……。
#30
○坂本委員長 松澤君に申し上げますが、簡單に願います。
#31
○松澤(一)委員 そういうわけで私は農業経営としての畜産でなければならぬ、こういう見解を持つております。
 次に盛んに御質問の方が飼料をどうのこうのと言つております。
局長の話によると、戰前百万トンの輸入飼料があつたのが、現在では二万トンだという。一体日本が食糧に困つて外國食糧に依存しなければならぬような場合に、まだ外國の飼料に依存するという考え方は大きな間違いだと思う。そしてこれが今後の有畜農業の指導方針に影響して來るのであります。一体今の政府は、大家畜を奬励して、人間の食糧さえ困つているのに外國にまた飼料まで仰ごうとするようなお考えでいるのか。今日の日本の小規模の農家の七二%が鶏一匹飼つていない事情を御存じですか。今後の有畜農業は中小家畜に中心を置いて、日本の内地で草やその他の飼料を自給することによつて、日本の有畜農業を指導して行く方向に轉換するのか、あるいは今までのように牛乳とか、牛肉という魅力の上にのみ立つてやるのか。その点をはつきりと伺いたい。
#32
○平田政府委員 畜産の生産の基本としての有畜農業の推進というお考え方、すなわち農耕上の労力を家畜に求めるとともに、その糞尿を肥料化するというような、農業と畜産の経営とが合体して高度の生産をあげて参るということは、われわれも重要なことと考え、畜産計画上の一つの大きな指針としている次第でありまして、この点につきましては松澤委員とまつたく御同感であります。
 第二の飼料を外國よりの輸入にまたないでやつて行けという点につきましても、われわれとしてはできるだけそうした方途は講じておるのであります。たとえば現在の牧場は約百五十万町歩あるのでありますが、農地開放の見地からそのうち二十万町歩は開放せられるというような運命にありまして、さなきだに不足の牧場がさらに狹きをかこたなければならぬということになつております。こうした缺陷を補填する必要もありますので、われわれとしては牧野の集約利用をはかりまして、牧草の生産能力の改良の実施によつて、約三倍半に高め、そうした缺陷を補填するような計画をもつて牧野の改良予算を今政府部内において審議しつつある実情にございますので、輸入の方面につきましてもできるだけの努力はいたしますが、國内のそうした自給肥料と申しますか、さらに優良牧草を導入して、牧野の生産能率を高めるという面についても一面努力を傾注しつつある次第でございます。
 なお大家畜か中小家畜か、いずれに重点を置くかという御質問でありますが、これは大家畜には大家畜の特徴があり、中小家畜には中小家畜の特徴があるというようにそれぞれの特徴があることでございますので、農業経営、畜産経営全体とにらみ合せまして、それぞれ所要の頭数を増殖するという見地に立ちまして、牛もふやせば、馬も豚も鶏もふやすという考え方をもつて進んでおります。ことに鶏のごときは、最近におきましては都市において、家庭において飼育するというような傾向がだんだんとふえてまいつておりますので、一般の專業畜産農家のほかに、そういう家庭の飼育ということもできればけつこうかと存じて奬励いたしておるような次第であります。
#33
○松澤(一)委員 中小家畜を奬励するか、大家畜を奬励するか、この点私は申し上げますが、私は今日決して日本で牛や馬が飼えないというのではないが、一体畜産局の方針というものが、私がさつき言つたように、どの農家にも一匹の小さい家畜、鶏の一つでも飼わせるという方針のもとに計画を立てるのか、今聞いておると、牧場が百五十万町歩で、二十万町歩がどうなつたとか言われるが、一体日本にそんな大きな牧場がどこにありますか、もちろん数字を寄せたものでありましようが、私は今日牧場経営の家畜を飼うということは北海道以外にその見込を持つておりません。八千万の國民でさえもうようよして、肩を突き合せておるというまつただ中においては、私はたとえ一つの小家畜でも飼わせるという方針を立てるところに、今後の日本の有畜農業の指導方針がなければならぬと思つておる。もちろん牛には牛の分野、馬には馬の分野がありますが、そういうところまでは今までのように畜産局は中心とせず、少くとも日本農家にはどんな中小家畜でも飼わせるという一つの指導方針を立てなければならぬ。もう一つは、言葉が足らぬでしようが、あなたも專門家でおわかりだろうと思いますが、一体牧場を求めるよりも、同じ農林省の中で、將來局長は有畜農業を進める上において近接の林野をどうお考え、になつておるか、そこまでお考えになつたことがあるかどうか、日本のこれだけの林野の形態をどうお考えになつておるかということを一應この機会に、私は畜産局長としての抱負を伺つておきたい。今日はたいへん時間を急ぐそうでありますから、また別の機会に具体的のことをお伺いすることにいたしまして、そういう大きな問題だけを一つ聞いておきたい。
#34
○平田政府委員 御質問の二点はまつたく御同感でありまして、有畜農業の普及ということからいたしましても、農家に対する家畜の導入ということが主たる眼目となつて運営されておるわけであります。從つて松澤委員のお話のように、できるだけなるべく農家に飼つていただくということになつておるのであります。
 第二の放牧、林業を利用いたしまして、牧野が狹小の今日、不振にある牧畜業を促進せしめるような政策を考えておるかどうかという点でありますが、これまたわれわれとしても理想として同樣の見解を持つておるのであります。ただ問題は放牧林業を経営いたします際に林業経営上家畜が入ることによつて林業経営それ自体を、從來の單純な林業でなくして、畜産を混入するに適するような方法に改良して参らなければならぬというような問題があるわけであります。だから現在の林地にどこでもかまはないから家畜をやつたらいいというのでなくして、家畜の入つた場合にはそれに相應したような林業形式にやつて参らなければならぬというようなこともございまするので、これらの問題の実施にあたりましては、よく林野廳の方と連絡をとりまして、適切な結論を得るように努めたい、こう考えております。
#35
○松澤(一)委員 私は全國の林野を牧畜にしろなんという意味で言つているのではありません。そんなおわかりにならぬことでは、まだ畜産局長として林野の研究がお足りにならない。要するに山接林いわゆる山が有畜農業にどういう効用を果すかということの御研究があるかどうか。お考えがあるかどうかということで、あとの点は少しお間違いになつておるようでありますが、時間がありませんから次の機会に讓ります。
#36
○坂本委員長 お諮りいたします。ただま議題になつております三案のうち、日程第二、馬匹去勢法の廃止に関する法律案の質疑については、これにて打切り、討論に入りたいと存じます。本法は独占禁止法に基く関係法案でありますので、討論はこれを省略して採決に入りたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○坂本委員長 御異議なしと認めます。
 それではこれより馬匹去勢法を廃止する法律案、内閣提出第十号を議題として採決いたしたいと存じます。原案に賛成の諸君は起立を願います。
    〔総員起立〕
#38
○坂本委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 なお衆議院規則第八十六條による報告書の作成については委員長に一任いたされたいと存じますが、右御了承を願つておきます。暫時休憩いたします。午後一時半から再開いたします。
    午後零時四十四分休憩休
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト