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1948/11/17 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第6号
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1948/11/17 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 水産委員会 第6号

#1
第003回国会 水産委員会 第6号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 西村 久之君
   理事 冨永格五郎君 理事 藤原繁太郎君
   理事 馬越  晃君 理事 外崎千代吉君
      石原 圓吉君    川村善八郎君
      仲内 憲治君    夏堀源三郎君
      佐竹 新市君    庄司 彦男君
      坪井 亀藏君    鈴木 善幸君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 周東 英雄君
 委員外の出席者
        專  門  員 小安 正三君
    ―――――――――――――
十一月十六日
 名護屋港修築に関する陳情書(佐賀縣東松浦郡
 名護屋村大字名護屋漁業会長山崎三十一郎外十
 九名)(第二六〇号)
を本委員に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員長及び小委員選任に関する件
 國政調査承認要求に関する件
 水産業協同組合法案(内閣提出第一五号)
 水産業協同組合法の制定に伴う水産業團体の整
 理等に関する法律案(内閣提出第一六号)
 漁業権等臨時措置法案(内閣提出第一七号)
    ―――――――――――――
#2
○西村委員長 これより会議を開きます。
 審査に入りまする前にお諮りいたします。昨日の委員会において御協議いたしました水産金融、水産資材、水産物集荷配給及び魚價に関しまして小委員会を設置調査いたすことと相なりましたが、これには議長の國政調査承認を要しまするが、委員長においてとりはからうことに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○西村委員長 御異議ないようですからさよう決定いたします。
 次に小委員、小委員長は委員長より指名することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○西村委員長 御異議ないものと認めますから、さよう決定いたします。では水産金融小委員会の小委員会には、
   石原 圓吉君  三好 竹勇君
   馬越  晃君  外崎千代吉君
   加藤 靜雄君  岡田 勢一君
この六名を指名申し上げます。小委員長には石原圓吉君を指名いたします。
 次に漁業資材小委員会の委員には
   川村善八郎君  鈴木 善幸君
   藤原繁太郎君  平井 義一君
   宇都宮則綱君  椎熊 三郎君
の六名を指名し、小委員長には川村善八郎君を指名することにいたします。
 次に魚價に関する小委員会の委員には
   夏堀源三郎君  小松 勇次君
   大森 玉木君  野上 健次君
   仲内 憲治君  庄司 彦男君
この六名を指名することにいたします。小委員長には夏堀源三郎君を指名することにいたします。
 次に水産物集荷配給に関する小委員会の委員には
   冨永格五郎君  佐竹 新市君
   矢後 嘉藏君  坪井 亀藏君
   關内 正一君  深津玉一郎君
の六名を指名し、小委員長には冨永格五郎君を指名することにいたします。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○西村委員長 御異議ないと認めまするから、その通りといたします。
 次に水産業協同組合法案、水産業協同組合法の制定に伴う水産業團体の整理等に関する法律案及び漁業権等臨時措置法を一括議題として質疑を継続いたします。農林大臣の御出席がありまするので、昨日農林大臣に対する質問を留保されておりました石原圓吉君にお許しをいたしたいと存じます。
 なおこの際お諮りいたします。大臣は再々御出席が困難と思われまするから、大臣に対する質問のおありのお方は、この機会に順を追うてお願いいたしたいと思います。石原圓吉君。
#6
○石原(圓)委員 私の保留してある御質問は幾つもありますが、便宜上三つだけお尋ねをいたしまして、あとは他の委員諸君よりお願いしたいと思います。
 まず第一はこの法案は、漁業法案と不可分の関係にあるのでありまして、今これを決定することは少し不適当と思うのでありまするけれども、漁業協同組合の成立は、全國の漁村が待ちかねておる問題でありまするから、この際多少の不備、不都合はまげて通過をはからなければならぬと考えておるのであります。つきましては、漁業法案が次に制定された場合に、必ずこの法案も不合理な点が多々現われてくると考えるのであります。その場合に、政府においては、自発的にその不備な点を改正するという点にやぶさかではあつてはならぬと思うのでありまして、その点に対してどういうお考えを持つておりますか。まずその点をお尋ね申し上げます。
#7
○周東國務大臣 お答えをいたします。ただいまの御意見はまことにごもつともであります。私どもも、でき得れば組合法案と漁業法関係とは一緒に出ることを希望いたしておりましたが、いろいろな事情でこれは漁業法が遅れました。從つてもし將來漁業法の改正にあたりまして、最後案と組合法関係法規の間に矛盾の個所でも出てくることがもしありますならば、これに対してさらに積極的に改正を加えて行くことについては、十分考えて参りたいと思つております。
#8
○石原(圓)委員 次にかりにこの法案はこの際確定されるものと仮定しまして、次の漁業法案が一ときも早く出なければうまく行かないということは明らかでありますから、次の通常國会にはぜひともこの漁業法案を出してもらいたい。これに対してここにはつきりとして御方針を承つておきたいのであります。
#9
○周東國務大臣 政府におきましては、大体漁業法に関する成案を得ておりますので、先日も申し上げましたように、これを廣く世論に問いまして、御意見によつてさらに完璧なものにして、次の議会におきましてはぜひこれを提案したいと考えておる次第であります。
#10
○石原(圓)委員 次にこの法案が成立しましても、いわゆる漁村金融の制度が確立しなければ、私はこの法案のみができても、その問題でとうてい漁村の協同組合は完全なる経営発達ができないと思うのでありまして、私個人としては、この金融の制度とこの法案の制度が同時に制定さるべきものである。もし金融の制度が遅れるならば、この法案もそれまで遅らしたいというような考え方をしているわけでありますけれども、これもなかなかそういうことは漁村の実情としてできないことでありますから、この法案を通過せしめるための一つの條件という意味で、ぜひこの会期中に漁村金融の確立という政府の確立した案を示されたい、こう考えるのであります。この点をお伺いいたします。
#11
○周東國務大臣 お話のように今一番問題であり、遅れているものが農漁業金融であります。なかんずく漁業金融に対しましては、短期、中期、長期の各金融にわたつて、いずれも確たる制度がないことにつきましては、私ども遺憾に思つているような次第であります。たまたま協同組合法案が出るわけでありますが、漁業の特殊性にかんがみまして、協同組合法案中にある組合のなし得る自律業務、信用業務というものも一つの行き方でありますが、これに対して大きく資金の融通をしたり、あるいは金融の方法としても、漁獲物担保金融というようなことなども考えられると思いますが、これらのことにつきましては、お話のように、もつとしつかりした漁業金融の体系を考慮したいと私も念願いたしております。目下事務当局でも研究を進めていると存ずるものでありますが、幸いただいま委員長からお話がありましたように、当委員会におきましても漁業金融に関する特別小委員会もできるやに伺いました。ひとつりつぱな御案をお立てを願いまして、政府の考えておりまする案を指導、鞭撻いただきまして、できる限りある種の方向をつかみたいと考えている次第であります。
#12
○石原(圓)委員 ただいまのお説のうちの、新漁業協同組合及びその連合会等が、かりに信用事業が営まれるとしましても、それによつて漁村の金融を円滑にしようということは、とうてい五年や八年ではできないと思うので、それはそれとして、当面の窮迫している漁村の金融というものには全然間に合わないのでありまして、別個にここに金融の方法を確立せなければならない。たとえば農林漁業金融法案というようなもの、また漁業手形法案、あるいは農業組合中央金庫の融通のわく、復金の貸出し、いろいろありますけれども、これらはいずれも漁村に対する金融は不徹底でありまして、たとえば今問題になつている昭和電工の一つの会社へ融通した程度の金が、漁村全体に融通されておらぬという情勢でありますから、ここに確立した方法を立てなければならぬというので、本委員会にも金融小委員会ができることになつたのでありますが、これはあくまでも資料等は十分当局より提供され、協力して一日も早くこの案が立つように希望する次第であります。
 次に民主自由党にあつては、統制撤廃、自由経済を叫んでいるのでありまして、ことに農林大臣には、われわれの最も尊敬する漁業水産界に理解のある方がつかれたのでありますから、漁村全体、いずれもすみやかに生鮮魚の統制撤廃が発令されるものと期待しているのでありまして、その実現をせない場合は、非常に國民の期待に反するのでありますから、今すぐその実行ができぬ場合においては、閣議においてその方針をきめて、やがて総理が施政方針の演説の政策のうちに、ぜひともこの生鮮魚の統制撤廃を声明することを特にここに要望する次第であります。
 最後に漁業協同組合ができた場合に、農業組合のように、從來の役職員が全部よきも惡きも排除されて、そのために経営に非常な支障を生じている。この事実から申しまして、漁業協同組合関係に対しては、これはもとより選挙によつて役員が上つてくるのでありますから、それを阻止して、農業協同組合のように、從來の人は経驗のあるまじめな人でも全然排除するというようなことがあつてはならぬと思うのであります。そういう指導的な考えがあるかないか。私どもは絶対にあつてはならぬと思つておりますが、このことをお尋ねしておきたい。
#13
○周東國務大臣 最後のお尋ねについてお答えいたします。漁村及び漁業の民主化という線に沿うて、協同組合法あるいは漁業法ができて参るのでありますが、その趣旨はどこまでもあまりに政府等が組合の設立あるいは漁業のやり方について干渉しないで、各漁民、漁村の自治、自由の意思にまかすべきだと私は考えております。從つて協同組合に從來の漁業会等が移りかわる場合におきましても、もとより新時代に目ざめた、しつかりしたよい人が新しく役員等に出ることを望むことはもちろんであります。しかしながら一律に從來から関係しておつた役員等は、よきも惡きも一切これを出さないというような指導をすることは間違いであると考えております、今農業組合のお話が出ましたが、今日まですでに農業組合で農村に單位組合のできておるものは二万六千ほどあつたように思いますが、その中の役職員の状態を見ましても、旧來から役員であつた者がやはり相当出ております。二割近くは從來関係した役員が出ておりまして、あとは新人だというようなかつこうになつております。その意味から、りつぱな識見を持ち、ほんとうに民主的に漁村、漁業を指導し、また組合の仕事を扱つて、ほんとうに漁民のために仕事をしてくれる人があれば、これは漁民の自由意思に基づいておそらくは選挙されて來るものと私は考えます。政府はどこまでも自由な意思の発露によつて設立され、自由に選出されることがよろしかろうと考えております。
#14
○西村委員長 西原君にちよつとお諮りいたしますが、きのうのあなたの農林大臣の答弁を求められる留保の御意見は、本協同組合法案ほか二案の議了をする前に金融対策の明示を願いたいという御要求と、漁民大衆の生活安定に不安があるという点を強く主張されたようでございますが、ただいまの農林大臣のお答えで御満足になるのでございますか。
#15
○石原(圓)委員 その二つは別に御答弁を願いたいのであります。
#16
○周東國務大臣 先ほども申しましたように、漁業金融の問題に関しましては、当委員会において小委員会ができて研究されるようでありまして、その委員会にわれわれの方で研究しているいろいろな案を出しまして、御参考に供するように運びたいと思つておりますから、その際申し上げたいと思います。
 それから今の漁村、漁民の不安解消の問題ということは、どういう御質問ですか、私昨日伺つておりませんが、おそらくそれは今日における漁業経営上その中心となるべき團体の確立もまだなされていない。しかもその関係からいたしまして、漁民の意思を代表すべき機構が確立しない。從つてまた金融、資材あるいは魚價問題というようないろいろな点について、とかく遅れがちである。しかも漁業に必要な資材で漁獲物の價格に比して高いというような点についていろいろな不安があると存ずるのであります。それらの問題につきましては、すみやかに協同組合法を通して中心をつくつて、それが一つの中心母体となりまして、そこに漁業者の意思を代表させ、希望を強く反映さすことにしたいし、また漁業金融につきましての受入れ態勢というものも、この漁業協同組合が中心となつて考慮していく。またそこに先ほどお話がありました金融の面は一つの受入れ態勢ができるが、しかしそこには大きな必要資金を流すという面において考えられなければならぬ点があると思いますが、それらにつきましては小委員会等において案をお示しして御相談をいたしたい、かように考えております。その意味におきましても、早くこの協同組合法ができまして、漁村の中心母体を確立することが、漁業者の方々の不安を解消する一つの手段ではないかと思つております。いろいろその他にもありましようが、さしあたつて大きな問題はそこにある、かように考えております。御了承願います。
#17
○石原(圓)委員 金融の問題は、昨日はまだこの小委員会のことが議に上つておらなかつたのでありまして、それで政府の方針の明示を求めたのでありますが、これは小委員会ができたのと同時に、大臣の御説明も、それと協力して確立するべく邁進するという御意思のようでありますから、この程度に止めて小委員会で論議を重ねたいと思うのであります。ただ漁民大衆の問題につきましては、漁業協同組合が確立しましても、よほどそこに不安があるのでありまして、これは一時永年やつておつた漁業組合が漁業会となり、そして敗戰後今日まで、農業会はそれぞれ解消がなつたが、漁業協同組合法案はその後一手も遅れて、その間漁業会は非常な苦心をして経営しておるのであります。そしてその苦心の中には、自分らは今後どの方向へ向いたらよいかということの不安にかられ、またこの月やつている漁業と來月やる漁業とが轉々するので、そういう点から非常に漁業大衆は不安の念にかられておるのであります。これはいわゆる漁業協同組合が完全にできると同時に、漁業法案がすみやかに引続き制定されて、そして金融方法が確立するということの、それらの問題が具備しなければ、はなはだ不安にたえないのでありまして、そういう点について今後これがうまく行くとのみ見られないのであります。この漁業協同組合法案によるところの経営が、日本の民度と民主主義を徹底的に織り込んだこの組合の機構等において不安の点があるのであります。そういうような点から、大局的に漁業大衆の生活不安を除去して、安定させて行くことに対する政府の方針があれば承つておきたい、こういうのが私のお尋ねする趣旨であります。なお一應お話を願いたいと思います。
#18
○周東國務大臣 ただいまも申し上げましたように、漁業者の経済的な中心母体が確立しなかつたということについては、大きな不安があつたのであります。これは従來いろいろな事情があつて遅れたと思いますけれども、惻後漁業会はいけない、戰時中の漁業團体であるものは解消して、他のものをつくるということが早く叫ばれ、從つて漁業会というものはいつやめられるかということで実際身が入らぬ、しかもこれが遅れたということに非常な不安があるのでありますから、このたび新内閣ができて早々の短期の間でいかがかということもありましたが、私どもは進んでこの漁業協同組合という中心母体を早くつくることにして、漁村における不安の一部を解消したいと思つたのであります。同時に、お話のように、その裏には漁村の経営の中心である漁業権問題というものが、今度はどうなるかということについての不安があるのであります。これらについては政府としてもその点をよくくみまして、次の議会に出すという腹をきめているのでありまして、しかもこれは前内閣の末期でありましたが、そこらのところも考えられたと見えまして、およそ漁業権の方向というものを輿論に問うために、政府の考えている考え方はこういうふうな行き方になつているということを新聞に発表せられたようであります。これなどはたしかに一つの行き方であつたと私は思つております。そこにおのずから帰属し行くべき方向を示したと思います。よつてその線に沿いつつ、輿論に問うて完璧なものとして次の議会にこれを出す。これができれば車の両輪のごとく、一應漁村の態勢が確立さるのではないか、かように思つております。從つてその間において多少日がかかりますので、漁業権等に関する特別な処置を行いまして、その行われるまでの間に漁業権が切れたり、あるいは新規に免許することによつて漁場が混乱することのないように、あるいは漁業権を担保として貸付ける担保の問題はどういうことになるかというようなことにつきまして、臨機の処置をつけることによつて、漁村における漁業権に関する不安の面を解消しようという形をとつたわけであります。ことに金融の問題につきましては、お話のように一番遅れておるのであります。しかしこれは一番むずかしい問題であるがために今日まで遅れたと思いますが、そこにはおのずから新時代に即する金融のやり方もあると思いますが、しかしどこまでも受入れ態勢というか、個々の漁業者に貸すべき機関というものは、相互金融というものを中心とした協同体を中心にしていく方がよろしいと私は思うのでありますが、そのところで漁村だけでの必要資金の調達といいますか、獲得は困難であるということは、今お話の通りであります。そこに國家というものがある程度そこに流れるところの資金を、いかなる形で流すかということが、今後考えなければならぬ一つの大きな点であります。これにつきまして私どもかねがね不満に思つておりましたことは、戰後各方面が打くだかれた、ああいう金融上においても困難な事情に陷つたところの産業復興に関して、鉱工業関係においては、今日すでに復金を通じて千三百五十億という政府の予算面の措置があつて、これが金融にまわされた。しかしながら農漁業に関しては、今日まで大体に積極的でない。こういう点にも一つの示唆を持ち、今後考えなければならぬ点もあると思います。同時にまた今度は金は出ても、比較的不安な相手方に貸すのでありますから、漁業協同組合等が中心になるにしても、そこに貸付の方法と申しますか、貸付條件というか、ここらにいろいろ考えるべき点があるだろう。大きなものについては漁船邸保金融はすでにあるけれども、しつかりした漁獲を持ちながら、その漁獲物をあるいは出荷機関等を通じてから出すというような一つの態勢を整えれば、そこの漁獲物を担保とした金融も考えられる。これらを考え合わせて漁業手形が考えられなければならぬのではないか、漁業手形と空漠に申しましても、今農業手形に行われておるごとき、ある種の確実な担保で、支拂いの見通しがあるものに限り行われておるのでありますが、農業についてもそれについては狹い、少いという感じを持つのでありますが、漁業に対する漁業手形につきましては、その漁業手形の裏づけとなるべきものを何にするかということについて、相当考えて行かなければならぬ。これは必ず道があると思うのでありまして、そういう面を今後小委員会等で考えていただき、資料も出しまして私どもも考えを述べまして、新しい事態に即する金融の方法を考え出して行くならば、ここに何がしかの漁民に対する將來に対する明るさと申しますか、見通しがつく。かように考えておりますので、今後御一緒に研究をいたして行きたいと思います。
#19
○鈴木(善)委員 協同組合法案第三法案に対する農林大臣の提案理由に対し、総括的な質疑を行いたいと思います。まず第一点は、組合は漁民あるいは生産加工業者の職能的な協同組織であるということを御説明なさつておるのでありますが、この職能的協同組織体と申すのは、具体的にいかような性格内容を持つものであるか、これを言葉をかえて言いますならば、戰爭以前の産業組合的な從前の漁業協同組合を、ここに復活するようなことを考えておられるのであるかどうか、新しい今後の協同組合のあり方として、生産の協同組合であると同時に、流通の協同組合であり、かつ生活の協同組合でなければならないという、漁村の切なる要望があるのでありますが、政府の考える職能的な協同組合というものの性格内容を、大臣から伺いたいと思います。
#20
○周東國務大臣 職能的な組合であるということを申しましたが、その性格はどこまでも漁業者または水産加工業者の相互扶助的な團体の性格を持つと思います。戰前における漁業組合とどこが違うかということでありますが、そこに職能的なということを書いたゆえんがあるのであります。從來は漁村における人々は、漁業者のみならず、俸給生活者も、漁村に住んでいる人すべてが入り得たのでありますが、今度は正組合員として入るものとしては、例外を除きまして常に漁業を営むそのもの自体が入るということが、この性格を強く職能的に現わしている点であります。從つてそういうところから現われる一つの結果というものは、おそらく組合における役職員というものの四分の三以上、一定限度以上は常に漁業を営む者でなければなり得ないというところに、強く職能的な色彩が現われておると思います。根底を流れる思想は業者の相互扶助的組合である、かように考えます。
#21
○鈴木(善)委員 組合を漁民にあらざる者の支配からこれを守るという建前から、漁民のみの組織にされたということは当然のことであると思うのであります。ただしばしば政府の事務当局の方から御説明されているところを承りますと、この協同組合が流通過程を主たる対象として、産業組合的な協同組合を考えておられるようにわれわれは感ずるのであります。御承知のように、戰後轉換産業資本等が漁村に進出して参りまして、また金融の逼迫等によります関係から、沿岸の中小独立生産者である勤労漁民が、逐次賃金労働者に轉落しつつあるような傾向を持つのであります。これらの中小漁業者に生産の協同組織を與えるために、今回漁業生産組合というものを法案の中で設けられておるのでありますが、さらに協同組合としても、この生産協同組合としての機能を強力をこの際盛り込んで、その面で生産協同組合としての機能を十分に発揮することが必要である。こう考えるわけでありまして、また今日の漁村の実情から見まするならば、その生活の面におきましても、文化の面におきましても非常におくれている。この生活を合理化し、科学化し、健全な厚生医療の施設を與えて、文化的な快的な漁村生活を営むのでなければ、生産の拡充も発展を期待できないという観点からいたしまして、この協同組合は、漁民の生活の協同組合でもなければならないと考えるのであります。こういう観点から、單にこの組合は戰前の産業組合的な、流通過程を対象としたる協同組合でなくて、新しい生産、流通、生活の全面にわたるところの協同組織でなければならないという観点にわれわれは立つのでありますが、この点に対する大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
#22
○周東國務大臣 御意見まことにごもつともでありまして、私も同感であります。このたび提出されております協同組合法案につきましては、この事業の目的から見まして、單に流通面における協同組織体でなくて、組合員の生活面における仕事も、あるいは生産面における仕事も、すべてなし得る状態になつており、さらに進んでは、その福利増進、厚生に関する仕事も、またある意味において組合員の技術、その他組合事業に対する知識の向上というような方面に対する仕事をもなし得ることになつておりまして、單に漁民の必要とする流通経済においての協同体ということでなくて、廣くお話のような点を含んでやり得ることになつておることを御了承願いたい。さらに一歩進んで生産の面につきましては、協同組合の中に別に漁業生産協同組合という形のものもできるようになつておりまして、進んで中小漁民が生産自体に協同的に從事し得る形を、会社組織によらず、協同組合組織によつてやり得る体系を整えたということを、御了承願いたいと思います。
#23
○鈴木(善)委員 次に、この法案の実施によりまして、漁業及び漁村の民主化をはかるということが、一つのねらいのように思うのであります。しかしながらこの協同組合法案のみをもつてしては、はたして十分に漁業及び漁村の民主化が期待できるかどうか。特に沿岸漁業におきましても、あるいは海洋漁業におきましてもしかりでありますが、賃金雇用関係に立つところの漁民の関係におきましては、これはこの協同組合の運営だけでは、十分にその目的を達することができない。私は日本漁業の民主化をはかる方法といたしましては、独立生産者であるところの中小漁民に協同の生産組織を與えて、そうしてより高度の生産機能をやらしめますと同時に、また賃金労働者であるところの漁民に対しましては、健全なる漁業労働組合の組織をつくらせまして、そうして團体協約あるいは團体交渉を通じて分配の社会化をはかる。それを通じて漁業の民主化をはかるほかはないではないかと考えるのであります。こういう面からいたしまして、独立生産者である中小漁民は、この協同組合によつて民主化の方向を徹底し得ると思うのでありますが、しからざる賃金労働者である漁民の面におきまして、政府は漁船船員法であるとか、あるいはその他の漁業労働者の労働立法を新たに制定されまして、そうして本組合法案と両々相まつて、日本の漁業の民主化をはかられる御意図があるかどうかという点をお伺いしたい。
#24
○周東國務大臣 漁業從事員といいますか、漁業労働者に対する今後の施策をどうするかということの御質問でありますが、ただいまのところ、特に漁業労働者というもののためにだけ、特別な労働法規をつくるという準備にまでは至つておりません。漁船船員保險についての問題でありますが、これは今船員保險法というものがありまするが、この中には多分に漁業の特殊性、漁船船員というものに対する特殊性から考えて、いろいろな点においての不備な点があるやに考えております。これらにつきましては、農林省といたしまして、強くその改正に関する要望し、努力して行きたい、かように考えております。
#25
○鈴木(善)委員 次は、本法案におきましては、漁業協同組合と水産加工業協同組合と二つに分離して、また別系統としてこれを組織して行く、こういうことに相なつておるのであります。私は第二次加工以上の生産加工業につきましては、この行き方もよいと一應考えるのであります。しかしながら第一次加工、塩干であるとか、あるいは塩藏であるとか、あるいは素ぼしであるとか、にぼしであるとか、いわば漁獲物の処理の段階に属すべき第一次加工を、特に漁業の面から切り離して、生産加工の面にこれを別組織としてやつて行くということが、はたして漁村の有機的な経済を確立する上から言つて妥当であるかどうか、漁村に、このような漁獲物処理の範疇に入るべきものに一線を画して、二つの組織をつくるということは、漁村経済を破壞する結果になりはせぬかどうかということについて、政府は考えておられるか、この点をお伺いいたします。
#26
○周東國務大臣 ただいまのお話でありますが、これは單に塩干等の簡單な加工ということのみならず、その他の第二次的な加工にいたしましても、これを漁村漁業者から奪つている趣旨ではございません。漁業協同組合におきましても、みずからそこに組合員の漁獲物の加工、貯藏、運搬等の仕事ができるようになつておると思いますので、もし漁業協同組合において、それらの加工設備をもつて、漁業者が直接に漁獲したものを塩干その他加工をなすということは、進んでやり得る場合があり得る、かように御承知を願います。
#27
○鈴木(善)委員 私はそういう制限をしているとかどうかという問題ではなくして、漁村における生産加工業というのは、大体大臣も御承知のように、第一次加工であります。漁獲物処理の段階に入るものが圧倒的に多い、そういう場合に、漁業協同組合のほかに加工協同組合をつくつて、そこに有機的な関係にあるものを一線に画して、別途の組織をつくることは、今後の漁村経済を破壞するおそれがないか、対立せしむるおそれがないかということについての、政府の御所見を伺つているのであります。
#28
○周東國務大臣 この点は土地々々の事情によつて、指導して行くことによつて、漁村経済の破壞というようなことは起らない、かように考えております。大体今日までもおのずからその分野があると存じます。ことに漁村、漁民の指導にあたりまして、指導と申しますか自主的に進まれる面を見ておりますと、その点については、かなりしつかりした基盤があるわけであります。たまたま基礎法と言いますか、これが遅れたので今日動搖を來しているようでありますが、この点はおそれがないではないか、かように考えております。
#29
○鈴木(善)委員 次に現在のわが國の経済のあり方は、各般にわたりまして統制が行われておるわけでありますが、この統制経済下における協同組合の機能が、あらゆる面で制約を受けることは必然であります。そこで協同組合を個々つくつて、そして漁民の経済的、社会的地位の向上ということを期待いたされましても、この協同組合の機能を制約する各般の統制がここにあるわけであります。漁獲物の販賣の面におきましても、あるいは資材の配給の面におきましても、あらゆる面において統制が現在実施されております。現在のこの統制経済下において、協同組合の機能を十全に発揮せしめて、漁民の共同の福利を増すということについて、政府はこれらの統制法規との関係、協同組合の機能といかに調和されるか、それについて今後いかなる手を打たれる御方針であるかということを伺いたい。
#30
○周東國務大臣 この点は統制というものがしかれております物、方法等について、おのずから制限を受けると思います。しかしその制限の範囲内において、でき得る限り利用者の團体が、漁村に対して必要な販賣講買あるいは利用事業、運搬事業等については、この團体がなし得るように進めて行きたい。かように思つております。要は根本においては、だんだんと時期を見て統制をはずして行くということが窮極の目的であろうと思ひます。たまたまこの法律にも、実は今度は金融機関に対して倉荷証券を発行して、倉庫業を営むことができることになつております。昨獲物の耐久性を増したものについては、倉庫に入れて倉荷証券を出して、金融あるいは担保をつけるということが今度できております。これ自体というものは、根本に自由な形にもどさなければ死文に帰するものだと私は考えております。しかしこのことは將來を見越してできた一つの方法でありますが、それらに対しましても、加工品等今日すでに統制をはずされておるものについては、ただちにこの制度が活用できるのではないか、こういうふうに思つております。從つて繰返して申しますが、現在の統制のもとにおきましては、やむを得ずその制限を受けますが、その場合におきましても、主体性として漁村においては昨業協同組合をできるだけ活用して行きたいと考えております。
#31
○鈴木(善)委員 この法案には全國的な連合組主を認めておらないのであります。しかしながらこれはおそらく経済力集中評除とか、あるいは独占禁止とか、漁業者團体法というような関係からと思うのでありますが、経済行為をやらないところの指導とか連絡とか調査とか、そういうような指導教育、連絡調査の面だけを扱うところの経済行為をしない全國的な連合組主というものは認めていいのではないか、この点について、それを認められないいかなる理由が存在するかということを承りたい。
#32
○周東國務大臣 まことに御意見ごもつともでありまして、私どもから見ますと、ほんとうに農業家も漁業者も、その自己の事業の振展のためにも、だんだんと連合組織をつくつて、中央的組織のある方がよろしいと考えるのでありますが、お話のように事業の集中排除という事柄と関連いたしまして、これが認められておらぬようであります。ことに全國的に地区につきましては、ただいまのところいろいろな事情のもとに許されておりません。たまたまお話のように、それなら経済的行為を行わないで、指導團体としてならばよくはないかということも、第二義的には御意見ごもつてもであります。個人としては同感でありますが、いろいろそういう点も、ただいまのところはむずかしいような状見になつております。これは今後の努力によつてその道をあけることにいたしたいと考えます。
#33
○鈴木(善)委員 本法案の内容中、漁業生産組合に関する條項は、最も進歩的な面であるとわれわれ非常に敬意を表しておるのであります。しかしながらこの生産組合の組織は、資金あるいは漁船、漁具等の生産手段が社会化されて、これに付與されなければ、いわゆる佛をつくつて魂を入れない結果に相なると思うのであります。過去における労働者生産組合等の歴史等を見た場合に、これらが失敗しておりますのは、多くの場合、資本主義制度のもとにおいて、こういう労働者に対する金融その他の措置が、十分に行われていなかつた、こういう面に私はあると思うのであります。政府が今回漁業生産組合を特に設けられたゆえんのものは、中小漁業者の労働の生産性を高く評價されまして、これを基準として日本漁業の民主化、漁業生産力の発展を大いに期待されるところがあつてと思うのでありますが、これに対して、政府は資金並びに漁船、漁具等の優先的な付與について、具体的な措置を講ぜられておるかどうか。今後共同金融の問題について、農林中央金庫から独立させまして、漁業組合金庫であるとか、あるいは水産金庫であるとか、そういう独自の漁業の実態に即する漁業共同金融の途を開かれる御方針をお持ちになつておるかどうか。さらにまたこれ等の中小漁業者に共同の生産組織を持たせましても、漁業の特殊性からいたしまして、ここに保險制度が確立されない場合は非常に危險であると思うのであります。私どもはこの漁業生産組合の割成、助長と合わせまして、政府が甫に漁業保險制度をすみやかに制定さるることを期待するのでありますが、これを対する政府の御準備を伺いたと思うのであります。特に漁業権制度の改革におきまして、專門漁業権を今度は根つき漁業権として、海洋漁業権等は專用漁業権の内容からこれをはずすということになりました場合に、中小漁業者に漁船、漁具等の生産手段、金融の途が終かれない場合には、その自分の地先の遊魚までも、資本的な漁業会社等の手によつてどんどん荒らされてします。地元の漁業者はこれを拱手傍観するのほかはない。こういう危險がここにあるのであります。私どもは、漁業権改革によつて專用漁業権の内容から排除され、生産が自由闊達にでき、生産力の発展が期体されます一面、もしもこの沿岸の中小漁業者に生産手段を與えるところの金融その他の措置が十分に用意されなければ、これはきわめて危險なことである。こう考えるのでありますが、政府にその具体的な御準備がありやいなやということをお伺いしたい。
#34
○周東國務大臣 まことにごもつともな御意見でありまして、お話の通り、生産組合ができましても、金融なり資材の面について確保できなければ、中小業者であればあるだけ漁業の継続がむずかしいと思います。これにつきましても、先ほども申しましたように、金融が一番中心をなすものであるから、それぞれ事務当局の方でも案を研究しております。これは先ほども申しましたように、いずれ委員会等において参考資料としてお示しをして、御相談を願うということで行きたいと思います。
 漁業保險の問題でありますが、これは保險の難事中の最も難事だと思うのであります。すでに農業保險というようなものが共済的にありますけれども、これは收穫保險というものにはなり得ない。しかしあの方は、まだ海と違いまして陸上にまいて、これができるということについての関係は、天災の関係からもある程度の見込みがつくのであります。魚の泳いでいるところをどこまで確保できるかということについては、一般的にはなかなかむずかしい問題があると思う。漁船保險のごとき確定したものに向つての保險はやさしうございますが、漁業に收穫保險というものは、ずいぶんてから考えられておるようであります。しかしまあ人があるようであります。しかしまあ人間の知惠でいろいろ考えてみて、何がしかの特殊の形態をつかむことができぬか。被保險物として何を考え、どれぐらいのものを共済保險的に考えるかということは、考慮すべき問題だと思います。現に事務当局にはいろいろ研究した試案もあるようであります。そういうこともいろいろ金融と関係する問題であると思いますから、小委員会等でお示ししつつ、ともにつくつて行つたらどうかとも考えております。
#35
○鈴木(善)委員 ただいまの大臣の御答弁では意は大体盡しておると思うのでありますが、この際私の希望を申し上げまして質疑を打切りたいと思うのであります。それは漁業の保險制度のことでありますが、これは大臣のお話の通り非常にむずかしい。しかしわれわれとしては、漁具等の葬害保險程度のことはぜひこれをやつてほしい。特に漁業権の改革によつて、漁業権の免許料等が上るはずであります。これをぜひ関係当局、関係方面と強力に御折衝をいただきまして、その財源を特別会計として、これを基礎としてここに定置漁業等の保險制度を確立していただきますように、大臣の特段の御盡力をお願いいたしたい、こう思うのであります。以上で質疑を打切ります。
#36
○西村委員長 それでは本日の会議はこれをもつて閉じることにいたします。明日の日程は本日の議題と同日程でございますから、さよう御承知おきを願います。散会いたします。
    午前十一時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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