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1948/11/25 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第10号
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1948/11/25 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第10号

#1
第003回国会 人事委員会 第10号
昭和二十三年十一月二十五日(木曜日)
    午前十一時五十八分開議
 出席委員
   委員長 角田 幸吉君
  理事 赤松  勇君 理事 生悦住貞太郎君
   理事 玉井 祐吉君
      淺利 三朗君    中野 武雄君
      根本龍太郎君    菊川 忠雄君
      島上善五郎君    前田 種男君
      松澤 兼人君    米窪 滿亮君
      高橋 禎一君    最上 英子君
      吉田  安君    船田 享二君
      水野 實郎君    相馬 助治君
      徳田 球一君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 殖田 俊吉君
        文 部 大 臣 下條 康麿君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
 出席政府委員
        総理廳事務官  鈴木 俊一君
        臨時人事委員長 淺井  清君
        総理廳事務官  岡部 史郎君
        法 制 長 官 佐藤 達夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第七号)
    ―――――――――――――
#2
○角田委員長 これより開会いたします。
 前会に引続き、國家公務員法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。
#3
○赤松(勇)委員 委員長御承知のように、本委員会におきましては、本法案の重要性にかんがみまして、政府委員の出席も要求し、なかんずく本法律案に重大な関係のありまする内閣総理大臣並びに大藏大臣の出席を要求いたしまして、委員会の決議をもつて要求すること一回、さらに委員会におきまして、議事進行について各委員に数回の発言、要求があつたのでございます。さらに本会議におきまして、わが党の辻井民之助君、さらに私も議事進行に関しまして発言を要求し、政府の本委員会への出席方を要求いたしたのでございます。二十二日の記者團会見におきまして、吉田内閣総理大臣は、その談話の中に、あたかも委員会の委員が故意にこの審議を妨げておるかのごとき、あるいはまた國会そのものが、この審議を妨げておるがごとき談話が発表されたことは、はなはだ遺憾にたえな四のでございます。そこでこの際、十二時半まで審議を続けられまして休憩の後、吉田内閣総理大臣の出席を求めまして、吉田内閣総理大臣に、われわれといたしましては、談話の眞意をただしたいと思いまするので、委員長におかせられましては、そうような手続をとつていただきたいということをば要求いたします。
#4
○角田委員長 赤松君の発言の趣旨を、委員長において了承いたしまして、善処いたします。
 これより政府委員から、國家公務員法第二章の説明を求めます。
#5
○岡部政府委員 第二章人事院について御説明申し上げます。すなわち第二章第三條ないし第二十六條は、主として人事院の性格及び権限を規定している條項でございます。
 まず第三條でございますが、第三條は第四條と相まちまして、人事院の性格を明確にしておるわけであります。すなわち人事院が科学的、合理的な人事行政を総合的に実施いたしまするために、必然的に要求せられます独立的な性格を現在の憲法のもとにおいて、できるだけ調和的に実現しようというのが、この三條、四條の規定の趣旨でございます。その意味におきまして、憲法のもとにおいて、できるだけその独立性は確保しておるわけでございますが、他面におきまして、人事院はあくまで憲法のもとにおいて、内閣の所轄のもとに置かれる行政機関でございまするから、憲法と矛盾する、憲法に違反するおそれがないように規定してあるわけでございます。すなわち一例を申し上げまするならば、憲法第七十二條には、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督する、こう規定してございます。この規定を排除するのかと申しますならば、それは決して評除する意味ではないのでありまして、内閣の一般的な監督は受ける、但し個々の仕事の性質に應じまして、あるいは試驗であるとか、懲戒であるとか、そういうようないろいろ仕事の内容に應じまして、おのずから個々の仕事については独立的な性格を持つものである、こういうように御了承をいただきたいと思うのであります。ただこの人事院は職員の不利益なる行政処分に対する是正の措置を講じましたり、行政官廳の不当な行政措置に対しまして、その是正の要求を審査する、こういうような、いわば準司法的な機関の性格を持つという意味におきまして、他の行政官廳とは異なる組織、機構を持たなければならない。そういう意味におきまして、人事院が独立的な性格を持つておるわけであります。その権限の詳細につきましては、第三條に事こまかに規定しておるほけであります。これは第四條ないし第十三條とも関連いたしまして御説明申し上げなければならぬわけでありますが、時間の都合もありますので、この程度で打切りまして、あと引続き御説明申し上げることにいたしたいと思います。
#6
○角田委員長 この際農林大臣が見えておりますから……。玉井君。
#7
○玉井委員 農林大臣にお伺いしたい点は、第一に先般來農地委員会の事務局の職員が來ておりまして、一昨日でありますが、私の質問申し上げたことに対しまして、事実上首切りが行われておるのだ、こういうことを申されましたのですが、その際実は作物報告所の方に三分の二に当る人が移されておるのだ、かようなお話だつたのです。ところが御承知のように農地委員会は、各町村に一つずつあるのに対しまして、作物報告書は五箇村に一つ、七箇村に一つ、大きいところでは十二、三箇村に一つということになつておりますので、各農地委員会から作物報告所に移轉されられた元の農地委員会の專任書記の諸君は、その場合には結局地域の関係、交通の不便等の理由によつて、事実上は奉職することができなくなつた。從つてその意味においては、明らかに事実上の首切りに近いものになる、こういうような事実があるわけなのであります。その日に申し上げようと思つたのですが、時間の関係で申し上げることができなかつた。そこでそういうようなことが今後とも行われることは、農地委員会の事務局の諸君としても好ましくない問題でありますし、ただ作報の方に仕事を與えてあるのだということでは、これは済ませない問題だと考えておるわけであります。
 さらにもう一点申し上げておく必要のありますことは、すなわち御承知のように俸給の関係におきまして、この諸君が俸給を受取りますのは、約三、四箇月ずつ遅れております。その事情は、すなわち農林省から出た予算が、まず認証官の手元に参ります。認証官の手元を通りまして、次に各農地委員会の縣ブロツクができておりまして――新潟縣の例をとりますと、金澤のブロツクの中にありますので、金澤の事務局に行つて、関澤の事務局から新潟縣廳にまわり、縣廳から地方事務局へ、地方事務局から市町村事務局へ、そして市町村事務局から初めて支給を受けるというように、五段階を通ります。賃金ベースは一應きめられても、三、四箇月も遅れたものを支給される。賃金ベース自体遅れているのに、三、四箇月も遅れて支給されるのでありますから、農地委員会事務局職員の仕事の不便さは一通りでないのであります。そこで先般も淺井人事委員長にお伺いしたいところによりますと、これらの諸君は地方公務員に入ることは当然の話であるというようなわけであつたのであります。そうすると地方公務員に入るとすれば、当然國家の方からの俸給の補助もしくは負担は行われないのでありますから、これらの人々の俸給は地方からもらわざるを得ない。ところが地方においては過日も申し上げましたように、財政法の第十一條の関係におきまして農地委員会に対する俸給の支拂い、もしくは補助をする必要がないということが規定されておる。そうなりますと、地方公務員ということに一應きめられておりながら、事実は俸給上の保障は、全然受けていないという結果が起きている。さらに地方公務員法が制定され施行されるまでの間は、政令二百一号をもつて、これらの人々が縛られるわけでありますから、政令二百一号が存在する限り、俸給が現実に手元に入らない。しかも自分たちの家族を抱えている人たちは結局ほかに職を求めるか、あるいは農地委員会の仕事を放棄するよりしかたがないという事態を生じている。そういう事態に対して政令二百一号を適用し、あるいは新たに制定される地方公務員法を適用されて、これは罷業である。怠業である、ストライキであると言つて、それぞれ処罰されたら、ゆゆしき問題であると思います。しかもそれらの人々が好んでやるのでなく、むしろ政府の方できめなかつた予算から生れて來ると言わざるを得ないのであります。そういうことに対して農林大臣としての立場からの御説明を、ぜひともお願いしたいと思います。特に今申し上げた作物報告所の報告は、これらの人々がつくることになるわけですが、この轄籍された者に対して、農林省農地部の側においては、作報に移轉されたのだからといつて、俸給の心配はしておりません。作報ではまだわれわれの所に正式に籍が移つていないからといつて、俸給を考えておりません。その結果全國五万の農地委員会專任書記のうち、約一万二千が現在移されておるが、これらの人の俸給も、現に作報に勤めて仕事をしようとする人があつても、俸給が保障されていない形になつております。これは作報と農地部の対立でございますので、農林大臣の立場において、この調整は十分できることと考えます。さらに先ほど申しました俸給が渡るまでの五段階の段階が、絶対必要なものでないならば、できるだけこれを省略して、農地委員会の諸君が、今後さらに行わなければならない移轉登記の事務、並びに不法に取扱いの行われておる農地の摘発という問題に対しても、これらの人々が活動しなければ、日本の民主化はとうていできない事情に置かれておりますので、農林大臣は以上の事情を十分御考慮の上、万全の処置をとつていただきたいとお願いすると同時に、今申し上げた諸点について、大臣の御見解をお伺いする次第であります。
#8
○周東國務大臣 お答えいたします。第一の農地委員会の專任書記諸君の轉職の問題でありますか、これについては作報事務については今の機構では不十分であります。いろいろの災害調査、收穫の調査についても、もう少し充足する必要があるということで考えられたのが、農地委員会の專任職員の轉職の問題であります。大体において目標としては、ただいまお話の三分の一程度の者を轉職せしめる方向で予算措置を講じておる次第でございます。ただお話のように地域の関係上、事実において轉職不可能というものがありはしないかということについては、実際問題としては起るかと思いますが、それらに対しては退職等に際し、十分の措置をとりたいということが考えられておるのであります。しかし大部分は作報の事務のやり方を、できるだけ充実する方針によつて、これを收容いたしたい。こういうことで進めておることを御承知願いたいと思うのであります。
 それから第二段の俸給の支拂いの時本的ずれでございます。農林省から出る予算が最終の段階に至るまでに、五段階になつておるというお話でありますが、私よく実情をただいま承知しておりませんから、よく調査いたしまして、何か特別の事由がないならば、お話のようにできる限り段階を省いて、すみやかに最終段階に経費が到達するように努力したいと思つております。
 資格についてのいろいろ御議論がありましたが、今日のところ、先日淺井委員長からお話になりましたように、形式的には地方公務員の形になつております。しかしこれに対しては國庫が別個の食糧確保臨時措置法において、その予算の範囲内で國が補助金を交付することになつておりますから、給與に関してはその方面でただいまのところ不便はないと思います。しかし第二点のお尋ねの、いたずらに繁文縟礼になつておると思う点は、りくつがつく限り、完全にしてすみやかに到達するようにしたいと考えております。この際ちよつと申し上げておきたいと思いますが、この前徳田さんにお答えいたしました、私よく事情を知らぬから、間違つたら直すと申しましたが、給與はやはり三千七百九十一円で組まれております。專任職員に対して、水準が動くに從いまして、当然これを動かすようによろしく指導いたしておりますから、あわせてお答えを申し上げたい。
#9
○玉井委員 ただいまの大臣の御答弁よく理解できますが、作報事務の充実をする必要が事実上あるから、そちらの方にまわすということはよくわかる。しかし通勤できない者に対しては善後措置を講じたい、こういうような話ですが、善後措置とは具体的にどういうことか承りたい。事実首を切られると申しますか、通勤できなくなつた人々に対する退職手当と申しますか、それは俸給の一箇月分三千三百円だけしか現実に渡しておりません。職員の諸君は今まで非常につらい仕事をして來たし、御承知のように役場や農業会の中に事務所が持たれておりますが、土地により顔役である地主の人たちや、あるいはまたときに應じて小作人の人たちの要求にも反して、至当な処置を講ずることがありますので、いろいろな形で背後から、あるいは前面から圧力がかかつておるわけであります。そういう中で働いて來た人に対する俸給が、少くとも政府の方針である日本の民主化の大方針に基いて活動した人々に対する退職手当が、わずかに三千三百円では、あまりにも少な過ぎると私は思うわけです。できるならばこの諸君が要求しておる六箇月分、現在のべースですと大体三万円近くになるそうであります。これらの点をぜひとも御考慮を願いたいと考えておりますが、そういう意味で善後措置を、具体的な点でお示しを願いたいというのが一つであります。
 それから俸給の点でありますが、國庫の方で農地委員会の事務遂行上の予算が十分に出ておりません関係上、村の方で一時よそから借りて立てかえる。かようなことをやつておつたのであります。そのために俸給が來ますと、紙を買つたとか、それらの関係で使つたものを、農地委員会の專任書記の諸君が、政府の方からかりに、一定のベースでもらつた俸給の中から、それに要した紙代であるとか、いろいろな費用を引かれておる町村が事実あるのであります。列挙せよとおつしやるならばそれらの町村名も全國的に調べれば数多くあります。そういうような関係で、実は農地委員会の事務局の諸君の、経済的な、肉体的な、精神的な負担において、現在の農地改革がなされておることを、ぜひとも念頭に置いていただきたい。そういう意味で、この農地委員会の業務を遂行する事務局の諸君がもらつた俸給の中から、さらに事務上の経費を差引かれるというようなことのないように、ぜひとも御監督をお願いしたいと思います。これは実際上ありますので、こういうことをはつきり申し上げるわけなのですが、この点を十分御注意いただきまして、今後かようなことのないようにおとりはからいをお願いしたい。かように考える次第であります。
#10
○周東國務大臣 やむなく退職になるという結果の場合に、退職金をできるだけ増額してというお話であります。この点につきましては今日までも非常にその点について努力いたしておるようでありますが、今後におきましても、私もその点について努力して見たいと思います。ただいまのところ今お示しの点の一箇月とか、一箇月半とかいうところに――それ以上は年限の関係で出ないようなかつこうになつておりますことは事実でありまして、いろいろ他の國家公務員並びに公團というような方面の関係とにらみ合せになるのでございます。なかなか困難な点があると想像しますが、できるだけ努力をいたしたいと思います。
 それからあとの点でありますが、これは事務費をその人の俸給の中から差引いて使うというようなことがあることは、まことに不都合な話であります。よく調査いたしまして、そういうことのないように監督いたしたいと思いますが、それにつけてもやはり事務費の点も、ある程度増額を必要とすると思います。この点についても相当な要求をいたしております。あわせてお答えを申し上げます。
#11
○玉井委員 実は淺井人事委員長がこの前お見えでありましたので伺つたのですが、農地委員会の事務局の諸君が、御承知のように地方軍政部あたりの要求の関係もありまして、何月何日までに手続を完了せよというようなことが、たびたびあるわけであります。そのたびに一箇月のうちで徹夜する日が十日も十二日もあることがありますが、そういう徹夜したりしてやつた仕事に対する手当としては、今までは一箇月に六十八円しか來ていない。一箇月を通じて十日くらいの徹夜をして六十八円の手当では、事実上何もできない。これでは非常に氣の毒だと考えている。人事委員長に高過ぎるかどうかと伺つたところ、やはり安過ぎるという御意見であつた。私もそのように考えておりますが、この点ひとつ十分に御考慮を願つて、何とかしてやつていただきたいと考えております。
#12
○赤松(勇)委員 この際人事委員長に二点だけお尋ねしておきます。第一点はただいま玉井君の質問の中にありましたように、この公務員法がかりに通過すると、そのときに当然政令は廃棄される。廃棄になつた場合に、地方公務員法は、あの政令の中には國または地方ということがうたつてある。その政令が消えてなくなつて、地方公務員は野放しになるかどうか。第二点は極東委員会の指令で基礎法だけを國会でつくつて、あとは地方の條例にまかすというようなことも、私はちよつとうわさ話で聞いたのでございますが、その点はどうか。この二点だけをお尋ねしておきたいのであります。
#13
○淺井政府委員 第一点についてお答えいたします。それはこの國家公務員法が実施されますと、あの政令は國家公務員に関してはその効力失うという規定が、新しい附則の第八條に入つておりますから、地方公務員に関してはなお最後の措置が地方公務員法によつてとられるまでは、その効力を継続する。こういう一應の建前でこの法律が提案されておるわけでございます。第二点は自治課長より答弁いたした方がよろしいかと思います。
#14
○鈴木(俊)政府委員 私からただいまの御質問に対して御答弁申し上げます。地方公務員関係の問題につきましては、今國会に暫定地方公務員法という形の法案を提出いたすべく、準備をいたしておつたのであります。その暫定地方公務員法の内容は、大体國家公務員法の服務関係の規定を中心にいたしまして、提案する準備を進めておつたのでございますが、今ちよつとお話にもございましたような関係方面の意向がございまして、その提案を見合わせることにいたしたのであります。その際いろいろ話に出ました問題といたしましては、國の法律をもつて地方公務員の各種の制度について基本的な規定を設けるよりも、やはり直接各地方團体の條例をもつて、それぞれの地方公務員についての制度を規律するようにした方がいいじやないか、ただその場合のよりどころとなります根本精神を規定した地方公務員法というものを、ごく大まかな基本規定だけのものをつくりまして、その精神に立脚して、各地方々々で地方公務員の制度についての條例を設けるようにしたらどうか。こういう話がございまして、目下そういうような方向に向つて案を用意いたしておる次第であります。これは目下の予定では次の國会にはぜひ提案して御審議を願いたいという考えであります。
#15
○高橋(禎)委員 農林大臣に一点だけお尋ねします。それは食糧配給公團の職員のことであります。現行法によりますと、これらの職員は特別職ということになつて、國家公務員法の適用を受けないことになつておりますが、改正法によれば一般職になつて、國家公務員法の適用を受けるということになるわけであります。しかし食糧配給公團の事業の状態、及び食糧配給公團の職員が、自分たちを一般職にされることは、いろいろの不合理な点があるから、この点は改めてもらいたいという意向が強く要望されておるということも、農林大臣御存じのことと思うのであります。そこで私はこの際農林大臣に、かくのごとく要望があるにかかわらず、それを排してこれを一般職に入れて國家公務員法の適用をすることにしなければならないという、その必要性と合理性とを、農大大臣の口からひとつ説明を伺いたい。
#16
○周東國務大臣 お答えいたします。御承知の通り、食糧の配給ということを担当しておる公團の職員といたしましては、國家國民全体に関する大きな仕事をしておるわけであります。從つてこれらの職員に対しましては、一般の企業体における企業者と被使用者との関係に置くべきものでなくて、むしろ一般公務員と同樣な取扱いになすことが正しいと考えまして、私どもはこれに賛成いたしておるのでありますが、ただその間、もし公務員として認めてさしつかえのある点等につきましては、除外例として公務員法の中に規定を設けて、除外の方法をとるという行き方で十分でなかろうか、かように考えておる次第であります。
#17
○徳田委員 農林大臣に、この前のはあなたの間違いでわかりましたが、農地委員会の書記ですね。今予算定員は三万四千人になつておるようですが、それはそうですか。
#18
○周東國務大臣 そうなつております。
#19
○徳田委員 実際は五万二千、五〇%以上よけいのおるのですがね。これがよけいになつておることは、一市町村平均で三人の專任書記になつておりますけれども、実際上は今玉井君から質問があつた通り、期日が迫つてから仕事をどんどんやらねばならぬ。期日までに仕上げなければならぬために、仕事の量がうんとふえる。從つて臨時雇をうんと入れる。いつまでも臨通雇にしておくわけにも行かぬからつい書記にもなる。そういうふうにしまして五万二千になつておりますが、予算よりはるかに多くなつておる。そういう場合に、これをやはり政府がきめた三千七百円ベースの基準賃金を拂つておりますか、どうですか。
#20
○周東國務大臣 今日の場合、臨時雇はたしか今の制度ではできないことになつておると思います。從つてそれはどこまでも公務員法の規定に基いて採用しておると思いますので、昔のような臨時雇で補うということができないと私は思つておりますが、なおよく調査いたします。俸給につきましては、先ほど玉井さんにお答えしたような関係で、遅れておるということがあれば直さなければなりませんが、大体関額は渡つておると思つております。
#21
○徳田委員 そうしますと、この專任書記に三千七百円ベースで拂つて、臨時雇ではないというのですか。臨時雇というのはどうなるのですか。
#22
○周東國務大臣 臨時雇の制度は、たしか新しい公務員法では認められておらないと私は思つております。
#23
○徳田委員 認められておらないのですか。これは認めるわけには行かぬけれども、しかし事実上そういう働いておる者にはどうするのですか。ですから事務費を食う。事務費を食えば結局するところまた事務費は俸給を食う。何もかもやはり実際上の仕事は多くて人間は少いものですから、内部はがちやがちやになつてしまうじやないですか。そういう事実がここに現われておる。たとえば新津などでは、專任書記などは八人もいるそうです。新津管内のある村などは十五人もいるところがある。これは仕事が多いからと言えばやむを得ない。それは制度がないからといつて、そういうものを仕事もしないでほつたらかしておいたらどうなるか、いくら徹夜したからといつて、人間のからだにはやはり限度があるものですから、そう技術までおつつくようにできるものではないのです。そういうふうになる結果、結局財政は非常に紊乱して何もかもめちやめちやになつてしまう。あなたの方では金はよこさぬ、省では金がない、それでまたべースもずつと遅れる、大体六箇月くらい遅れるそうですね。そういうふうに遅れるから、がちやがちやになつてしまう。そういう点について、農林大臣は一体どうしてこれを正常の状態に引直すかということに対して、何か一定の方針がありますか。
#24
○周東國務大臣 先ほど玉井さんにお答えしましたように、現状については新しい内閣としてよく調べました上で、それに対してまず俸給の支拂い等に要するものは、敏速に出せるように努力いたしまするし、今の予算定員以上に事務費を食うというような行き方で行くことは、これは是正しなければならぬと思います。
#25
○徳田委員 この前もお尋ねしましたけれども、いつまでこの農地改革の仕事が続くか、この見通しがつきませんと、実際ここに働いておられる人々は非常に不安なのです。最近ではこういうことがあるのです。未開墾地を買收するための林野局がやつておる仕事がある。それから治山治水協会でいろいろな仕事をやつておる。こういう方面に書記をだんだんずらして行くということをやつておるそうですが、この仕事が大体どれくらいの見込みがつくということもわからずに、そんなことをしておると、この仕事はちつともはかどらぬ、はかどらぬのに一方では首を切られる傾向がある。そういうことをして事実大体これをどうするのですか。事実登記は一つもしていないのです。登記してなければ、今の状態では実際所有権は不確定の状態にある。事実始末の終えないものになつてしまう。そういうものを一体どういう見通しで、どんなふうに仕事をして行くかということの方針をひとつ聞きたいのです。
#26
○周東國務大臣 ただいまのところ、お話のように政府の土地の買上げ並びにその買上げた土地の拂渡しということについては、約百六十万程度までできております。あとは経理面における受渡し代金支拂い、登記というような方面が主要な事務として一應残る、こういうふうに思います。これに対してはただいまのところ早急にこれを打切るとかいうようなことは考えておらぬことは、この前本会議で申し上げた通りであります。從つてこれらの登記その他一應の土地の移轉賣買等に関する事務の終了につきましては、先ほど申し上げたように、現在の人員が約三分の二あればよかろうというような見通しのもとに、予算措置をつけておるのであります。しからば何月ごろまでに完了するかということは、ただいま申し上げる時期ではありませんが、私はそういう今の事務だけでは長くかからないと思うのであります。しかしこれが終つた後に、さらに農地改革の眞目的を完成するために、どういうことをやらなければならぬかということは、そのときにさらに研究されて、それに相應する処置をとるべきであると私は考えております。
#27
○徳田委員 そうすると、どれだけの時間がかかるかということはわかりませんですね。一体そういう場合には書記は非常に不安な状態にあるのだが、この書記の退職手当などについてはどういうきめにするわけですか。今の話では一箇月ぐらいだということですけれども、一箇月ぐらいの退職手当では、今失業したらとても食つて行かれない。一箇月ぐらいではどうにもやりきれるものではない。こういう退職手当について政府はどういうふうに考えておられるか。
#28
○周東國務大臣 先ほど玉井さんにお答えしたように、ただいまのところ一箇月とか一箇月半とかいう形に言われておりますが、全体の終了の目安が立つということになりますれば、先ほど申し上げたように各方面の振合いも考えて、でき得る限り努力をいたしたいとただいまのところ申し上げるよりほかありません。
#29
○徳田委員 大体各方面の云々という話でありますが、政府としては行政整理による首切りを三割ぐらいやるという予定じやないですか。これをやるのに対して予算もきまらなければならないはずですが、まだ政府は予算をちつとも出しておらない。この三割ぐらい首をたたつ切る、そのたたつ切る量はいくらぐらいという予定はしておらぬのですか。しておらなければならぬ。これはとてもたいへんですよ。そうすればこの書記の方々の退職手当もこの並ということになると思いますが、そういうことに対して政府は何もきまつておらぬのですか、どうですか。
#30
○周東國務大臣 ただいまのところは、できるだけよく報いたいということで努力しておる段階であります。
#31
○徳田委員 実際は何もやつていないのですね。
#32
○角田委員長 これにて休憩し、午後一時半再開いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十五分開議
#33
○角田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。高橋君。
#34
○高橋(禎)委員 午前中赤松委員の御発言によつて、吉田総理の出席を強く要請されたのでありますが、私もそれに関連して申し上げたいのであります。吉田総理は二十四日午後五時半、首相談として発表されたところについての新聞記事があるのでありますが、それによりますと、國家公務員法の審議について、野党側としてはきわめて消極的な態度をとつておる。いたずらにこれを遷延せしめようとしておることは遺憾である。こういう趣旨の談話がなされたような記事が出ておるのでありますが、私はこれを見まして、まつたく憤慨したものであります。一体この國家公務法改正案の審議は本委員会において継続しておる。少くともこの改正案の審議の経過、模樣というものの眞実を知らんとすれば、この委員会の模樣を知らなければならぬと思うのであります。しかるに委員会の模樣はどうかと申しますと、私ども委員が要求するにもかかわらず、閣僚は満足に出席せず、出席した閣僚の答弁はきわめて不十分であつて、われわれを満足せしむるに足らない。そしていろいろの資料を提出しなければその審議が進まないというにもかかわらず、これを提出せず、また與党側は御存じのように、委員はただいまも一人の出席もありません。從來の委員会の経過を見ましても、速記録をごらんになればわかるでしようが、きわめて不熱心な態度であると思うのであります。私はむしろ政府並びに與党が、この審議に対してきわめて消極的であると考えておつて、野党側として非常に眞劍な態度で臨んでおるにもかかわらず、全然事実に反した逆なことを言つて、遺憾であるなどということは、実に言語道断の態度であると私は思うのであります。これはまさに本委員会の野党側のわれわれを侮辱するものであり、また國民を欺くものであると思うのであります。これについては吉田総理がはたしてこういう発表をしたのか、また発表したとすれば、その眞意いずこにありやということを究明しなければならぬと考えるのでありまして、ただちに吉田総理の出席せられるよう、委員長において嚴重にとりはからわれんことを強く要望いたす次第であります。
#35
○角田委員長 赤松、高橋両委員より吉田内閣総理大臣の出席を求められておりました。しかるにただいま内閣総理大臣は、院内において、野党側議員代表者と懇談されておりますので、懇談が済み次第出席を促すことにいたしますから、御了承を願いたいのであります。
#36
○赤松(勇)委員 再度私は委員長にお願いするのでございまするが、今までの政府の本委員会に対する態度を見ておりますと、國家公務員法を機械的にこれを通過せしめて、賃金ベースの問題はほとんど國会の審議にかけずに、たとえば吉田総理の談話の中に、参議院の緊急集会にまかせるかのごとき意味のことが出ておるのでございます。私の手もとには全國の労働者から多数の電報やあるいは手紙が参つております。現にここにも電報があるのでございますが、ほとんどその電報なり手紙の内容は、給與ベースと切離して國家公務員法だけを審議することには、絶対に反対だという痛烈な、しかも歳末を目前に控えて非常に切実な要求が出ております。そこでたとえばマツカーサー書簡に明示されておりまする表裏一体をなす給與の問題と、國家公務員法の問題を分離して、一方だけを機械的に國会において通過を策するような政府の態度に対しましては、日本社会党としては絶対にこれに対して賛成することはできないのみならず、こういうようなマツカーサー書簡そのものを冐涜するようなやり方に対しては、あくまで鬪わなければならぬと考えております。私はけさほども委員長に要求をいたしましたが、本委員会あるいはまた各委員が、どれだけ政府に対して各閣僚の出席を要求したかもわからない。現に菊川委員は文部大臣の出席を要求しておりまするが、一向に文部大臣も出席しない。こういうような状態でございまして――ただいま文部大臣は御出席のようでございまするが、いずれにいたしましても政府の誠意が十分に示めされていない。ただいま高橋委員から談話の件が問題にされておりまするが、私どもも同樣でございまして、私どもは朝十時から、この間なんかは七時半までも審議を続けておる。この審議をサボつておるものは政府であり、吉田内閣であり、吉田内閣総理大臣その人であると言わざるを得ないのでございます。委員長も與党の一人でございまして、ことに総理は総裁でございますからはなはだ言いにくい点があるとは思いまするが、委員会の権威にかけて、ぜひとも委員長から総理の出席を要求されまして、この審議がすみやかに進むように努力されんことを重ねて要求しておきます。
#37
○角田委員長 ただいま赤松委員より、委員長は與党であり、総理大臣は総裁であるから言いにくいであろうというお発言がありましたが、委員長は職務の執行においてさような氣持は毛頭ありませんから、その点御了承願いたい。
#38
○相馬委員 私は文部大臣に対してお尋ねしたいことがあります。國家公務員法の一部を改正する案が上程されておりまして、この際特に全國の教育公務員がこの問題に対して至大の関心を持つておることは、文部大臣すでに御了解の通りだと思います。そこでまず十ばかりのことを順々にお尋ねしたいのですが、その前に一つお尋ねしてそれから質問に入りたいと思うことは、この國家公務員法の一部改正案が政府から上程されるについては、文部省は積極的に人事委員会と連絡をとられておるかどうか。またそういう時間的な余裕がなかつたかどうか。これは実は人事委員長さんにはお尋ねしてございます。人事委員会の方からは積極的には十分連絡をとり得なかつたという御答弁がありますが、文部大臣、いいがですか。
#39
○下條國務大臣 國家公務員法の改正につきましては、私の方ではその内容を早くから承知いたしておりまして、部内で相当研究いたしておりました。必要な点については意見を述べたことはありますけれども、別に特に申し上げる程度のことはなかつたように思います。
#40
○相馬委員 わかりました。続いて尋ねます。教育委員会法が成立されまして、御承知のように教育公務員の任免、分限、懲戒、その他すべてこの教育行政が教育委員会法によつて律せられておることは大臣御承知の通り。ついては文部大臣とか、知事、市町村、こういうものは、教育公務員に対して現在ただいま、こういうことに関する権限をお持ちだという見解ですか。それともこれらはすべて教育委員会にまかされたので、文部大臣としては権限は現在のところ持つていないとお考えでしようか。
#41
○下條國務大臣 教育委員会が今月一日から発足いたしまして、都道府縣並びに市町村の公共團体におきまする学校教育の大体は、教育委員会に権限が移つたわけであります。それでただ文部省といたしましては、これらの委員会の相互の連絡、それから委員会がいろいろ運営をいたしますにつきまして必要な資料とか、研究の材料というようなものを提供するような立場に置かれておるということに御了承願いたいと思います。
#42
○相馬委員 よくわかりました。大体でなくて、このことは教育委員会法によつてすべてが律せられると私は思います。ところでこの教育職員は、國家公務員法とか、あるいは次に予定される地方公務員法とかいうようなものによつて身分を拘束されることは、今申したような経緯から私は適当と考えません。具体的に言えば、この國家公務員法の一部を改正する今度の政府案の第一條の中に、「この法律は、國家公務員たる職員」とあつて、その下にでも、但し教育職員を除くというようなことを、文部大臣としては当然挿入すべきであるという御見解でしようか。それとも政府提出の原案のままでさしつかえないという御見解でしようか。
#43
○下條國務大臣 教育職員もまだ公務員たる本質にかんがみまして、一般的には國家公務員法の適用でさしつかえないと考えております。但しその責任とか、職務の内容が、相当特殊性を持つておりますから、その限りにおきまして附則第十三條の規定によりまして特例を設けよう、こういう考えになつております。
#44
○相馬委員 そうすると、國家公務員法という一般基本法で縛つた上に、特例を設けて教育公務員は律せられる、こういうふうにお聞きするのですが、これでは何せ身分の任免、それから給與の問題まで教育委員会法に律せられており、かつまた國家公務員法によつて律せられ、さらにその上に特例をもつて律せられるということが、現在の教育民主化の立場から、文部大臣はこれでもつてさしつかえないとお考えでしようか。と言うのは私はさしつかえあるという前提に立つてお尋ねしておるのであります。
#45
○下條國務大臣 今のところは國家公務員法の適用が、公務員である以上はいかなる面においても適用がある。こういうふうに解釈しております。それで必要がないと思つております。ただ任免等の問題につきましては特例が要る。その点につきまして特例を設けたいというので、これは特例法というものを出したいという考えであります。
#46
○相馬委員 そうすると特例でもつて律するというので、單独立法化したいわゆる教育國家公務員法とか、教育地方公務員法案というようなものの御予定は、現在のところ文部省にはございませんか。
#47
○下條國務大臣 そういう考えはもつておりません。
#48
○相馬委員 十一月十二日の教育刷新委員会において、劒木次長と相良事務官が、明白に教育公務員法の單独立法化の意思表示をしておられますが、大臣は御承知ですか。御承知であればその責任はどちらにあるのでありますか。どちらの話がほんとうなのですか。お尋ねいたします。
#49
○下條國務大臣 ただいまお述べになつたような事実は存じません。よく取調べますが、私の考えをもつて文部省の考えとしてお聽きとり願いたいと思います。
#50
○相馬委員 そうすれば、これは劒木次長と相良事務官は勝手に個人的な見解を述べた、こう了解するほかはございませんが、大臣はかかることのないように、ひとつ監督していただきたいと思います。ことは非常に重大であつて、このことは実は人事委員長も率直にきのうは答弁されたので、きのうの速記を読んでいただくとわかるのでありますが、実は今世間では、常識的には、教育公務員法というものが單独立法化されると、教員はもちろんのこと一般の者もかように考えております。特例でこれをやるということを考えていない。
 次にお尋ねしたいのですが、教育委員会法の中に校長及び教員の身分取扱いについては、別に教育公務員の任免等に関して規定する法律に定められるまでは云々ということが書いてありまして、そういう特別に教育公務員の任免等に関して規定する法律が、前國会に提出されていることは、文部大臣も御承知の通りでありますが、それが今般撤回されておるます。そうするといまだに特例を出したいとおつしやつているけれども、われわれの前には利例は何も出ていない。國家公務員法だけ審議しろというので、われわれは國家公務員法を審議している。そして見当違いにわれわれは人事委員長に食いつくほかはないから、人事委員長にそれを尋ねている。特例が出ないで、教員は一般的に國家公務員法だけで律するのだ。教育者としての特別のところは特例によるのだ、そしてその特例を出して來ない。これは明らかに文部省として怠慢である。この辺がどういうふうになつているか。今はどの程度まで進んでいるのか。いつごろここにこの特例を提案される予定であるか。これを明白にひとつ御答弁願います。
#51
○下條國務大臣 最初に劒木次長の問題を今ちよつと局長に聽きましたところが、劒木次長の述べた單独立法というようなことは、いわゆる特例の意味だそうであります。特例を言つているのだそうです。さように御了承願います。それから教育委員会法の方の準例の法律でありますが、これは今お述べになりました通り、第二回國会に任免等に対する特例の法律案を出しておりましたが、これは國家公務員法の中に修正が加えられましたので、それと照應するために適当な修正を加えたいというような意味で撤回したのであります。すなわち再提出する目的で撤回したのであります。そうして実は九日にすでに私の方の手を離れておりますが、いろいろの経緯がありまして、今日のところ提出ができなくなつた。きようになつて初めて提出できないということに確定いたしました。それで今後はやむを得ませんから次の國会に提出するほかないと思つております。但しそれまでの暫定措置といたしましては、すべて從前の規定が適用になりますから、事実上支障はありませんし、もし國家公務員法の改正が通過いたしまして、そうしてその内容が全面的に適用になつた場合には、それは人事院規則によりまして適当な特例が設けられまするから、現実の問題としては支障ないと考えております。
#52
○相馬委員 劒木次長の説が單独立法化ではなくて、特例の意味だとこう文部大臣は安直に訂正されましたが、私もかかることを発言するからには、やはり教育刷新委員会でどういう答弁がなされておるかということを研究して申したのでありまして、これは私もしかるべき方面の速記を調べまして、かりに食い違つておりまする場合には、あらためて文部大臣にこの席においでを願つてお聞きしたいと思いまするが、最らかにこれは文部大臣の今の見解の通りであつて、劒木次長の言つたことは、單独立法化とは言うていない、はつきりとこう文部大臣としてはおつしやるわけでございますね。
#53
○下條國務大臣 今この席で関係の局長に聽きましたところではさようでございます。もし間違いがあればあらためて訂正いたします。
#54
○相馬委員 私は眞劒に聞いています。特例によつて律せられるか、單独立法によつて律せられるかということは、非常に大きな問題であります。しかもまたここで発言してしやべるからには、私もその辺のうわさ話や何かで、でたらめに聞いておるのではありません。從つてこの点につきましては明らかに本日の御答弁では食い違いがある、こういうふうに私としては承知する以外に方法がありません。これについてはもうよろしい。それで確認できますね。食い違いがあると見るほかないですね。
#55
○下條國務大臣 私の意見は文部省を代表している意見でありまして、單独立法は考えておらない。將來もし規定する場合におきましても、それは特例の範囲において規定する、こういうふうに御了承願いたいと思います。
#56
○相馬委員 私は文部大臣の話を聞いていてわかります。それはわれわれの聞いたところでは、單独立法で文部省は行かれる考えがあつたそうでありまするが、その後諸般の事情からこういうふうになつたと聞いておりまして、私はこれは劒木次長はこのとき確かにこう言つたと思うのです。しかし今言つたようなことであつて、あなたが文部省を代表しての御答弁でありまするから、その点は了承しますが、それが食い違つていた、こう言わざるを得ないということだけをここにつけ加えておきます。
 それからこの國家公務員法というものが基準となつて教育公務員が律せられるということになりますると、もちろろん人事院規則によつてですが、教員の政治活動が制限されます。ところが米國教育使節團の報告書に何と書いてあるか。教師は他の公民のもつておる一切の特権と機会が與えられなければならないと明白にうたつてある。日本民主化の段階においても、公民教育に当る教員に、選挙権以外の政治的な、あるいは公民権行使を制限するというのは、私はきわめてこれは妥当を欠くと思う。從つて特例等を出される場合にも、特にこの教育公務員法には、他の行政官と違うという説前から、特に政治活動の制限を教育に関してゆるくする御予定があるか。それともそのようなことはないか。またそのようなことを考えていないか。研究中であるか。この三つのどれですか。お尋ねいたします。
#57
○角田委員長 この際文部大臣に申し上げておきますが、本会議から文部大臣の出席を求められております。今の質問に御答弁になりましたら本会議においでになりまして、済み次第こちらに御出集を望みます。
#58
○下條國務大臣 今の問題にお答え申し上げます。教育職員もやはり公務員でありまして、公務員である身分に伴います制限は、やはりあるものといたしたいと思つております。
#59
○相馬委員 文部大臣は帰られるのですか。
#60
○角田委員長 本会議中は議長の許可を受けてやつておるのですから、本会議から出席を求められたら……。
#61
○相馬委員 これは普通の常識的な國会ならばその通りです。しかし一体本國会は何のために開かれたか。國家公務員法の審査のためでありまして、それがこの委員会に付託されております。むしろ本会議の選挙演説みたような……。
#62
○角田委員長 発言ちよつと待つてください。先ほど議長から本会議に休憩して入つてくれという要求が來ておるのです。しかも議事規則によりましても、本会議があつた場合には、こちらの議事は許可を受けてやつておるのですから、そういう意味の取扱いの慣例といたしましては、本会から出席を求められた場合は、こちらの方は向うに讓るのが原則であります。その通りの職務の執行をやつております。それには私はあなたと見解が相違していることを申し上げます。
#63
○相馬委員 見解の相違じやない、そういう前提があれば委員長の言葉は了解するが、突然だから私は了解できなかつた。
#64
○角田委員長 そういうふうに了解してください。
#65
○相馬委員 わかりました。
#66
○角田委員長 それでは松澤君に願います。
#67
○松澤(兼)委員 文部大臣に対する質問は留保しておきましてほかの人に質問します。
#68
○赤松(勇)委員 委員長のただいまの発言によれば、議長の要求によつて本委員会を休憩して本会議に入つてくれ、定足数が足らないから本会議に入つてくれという議長の要求でしよう。從つて大臣だけ行つて委員があとに残つて何を審議するのですか、一旦休憩して本会議に入つて、適当の機会に再開してもらいたいことを動議として提出します。
#69
○角田委員長 それではそういたします。暫時休憩いたします。
    午後三時二十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時二十分開議
#70
○角田委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。高橋君。
#71
○高橋(禎)委員 法務総裁にお伺いいたしますが、この改正案の第八條によりますと、人事官の彈劾訴追権は内閣にあるということになつておりますが、人事官も内閣のもとに所属してその監督を受けておるという関係がある。人事官に失態があつて、これを彈劾訴追しなければならぬというときに、かかる人事官を出したということは内閣にも責任があるわけです。そういたしますとこの彈劾訴追権が内閣にあるということでは、公正な彈劾訴追はできないのではないか。むしろこれは國会に彈劾訴追権を持たしてしかるべきであると考えられるのですが、その点について法務総裁はいかなる見解をお持ちになつておりますか、お伺いいたします。
#72
○殖田國務大臣 なかなか微妙な関係があるいは生ずるかもしれませんが、しかし人事官がすでに選任されまして、そしてその選任については適法に選任されておりましても、あるいは送中から間違つた人事官になるかもしれない。そういう場合にはむろん訴追する場合があるかと思いますが、あるいは内閣がその途中でかわつておるかもしれません。初め人事官を選定した内閣でない内閣になつておるかもわからない。いろんな場合が考えられますが、しかし内閣は彈劾の申立てはいたしますけれども、彈劾するのは彈劾の機関がたしか別にできるかと思つております。そうすればそこで公正な彈劾が行われる。それは國会でおやりになることも一方法だと思います。ただ彈劾のイニシヤチーブはどこでとるかということでありまして、これは内閣でやる方が適当ではないかと考えておるのであります。いろいろこれは議論があることかと思いますが、まず内閣の自分の監督下にある人事官でありますから、それの彈劾は自分の手でやらない。彈劾の手続によるというのでありますから、これは内閣がイニシヤチーブを持つておつても差支えないのではないかと考えております。
#73
○高橋(禎)委員 問題は嚴正公正な彈劾訴追をなすつたのに、どの機関が最も適当であるかということになるわけなんで、ただいまお話のように内閣が更迭したというときに、その人事官がその内閣にとつて都合の惡いという場合には、彈劾の事由は職務上の義務に違反し、などというような理由、あるいはその他人事官たるに適しない非行があるという理由がありますが、その限度が見方によつてはどのようにでも見られるわけですから、それで政府に都合の惡い人事官だと思えば、これを彈劾訴追するということであつては、これまた非常に弊害が起ると思います。それからまた他面彈劾しなければならないような人事官を出したということはやはり内閣が行政全般について連帶して國会に責任を負わなければならぬという建前から、やはり臭いものにふたをするというような氣持をもつて彈劾訴追をしないというようなことがあり得るわけです。ですからお話のような場合は、彈劾すべきものをしなかつたり、あるいはすべからざるものをしたりするような危險が非常にある。結局問題は國民全体の意思で、その訴追をなしてしかるべきかいなかを決定するという行き方でないと、非常な危險があると思う。そこでむしろ内閣よりは國会に彈劾訴追権を持たせた方が相当であるというように私は強く考えるのですが、法務総裁はそれに御賛成になるかどうか、伺いたい。
#74
○殖田國務大臣 ごもつともな御議論でありますが、人事院は内閣の監督下にあるのでありますから、やはり内閣が自分の責任においてこれを彈劾する方が適当ではあるまいかと思います。ことにそのために公開の彈劾手続を持つておりますから、あまり不当な理由をもつて彈劾するということはできないと思います。やはり万人認めて適当な彈劾ということでなければ、彈劾は行われないと思います。ただお話のごとく、消極的に彈劾すべきものをしないのではないかという問題も出て参りますが、それは内閣の責任でありますから、それこそ國会において内閣を糾問されていいのであります。これは内閣内部のことでありますから、内閣に任せておいた方がいい。人事官はたださえ独立性が強いのでありますから、まつたく内閣を離れては一層内閣と対立するようなものになるきらいがありはしないか。これは理論上ぜひこういうことでなくてはならぬということではございませんけれども、私は現在のこの法律で適当ではあるまいかと考えております。
#75
○高橋(禎)委員 どうも法務総裁の御答弁がすつきりしないと私は思うのでありますが、内閣が彈劾訴追をすることによつて内閣自体に傷がつくわけなんです。そういう場合に、内閣は自己擁護のために、訴追すべきものを訴追しないでふたをするということが、相当あり得るということを考えておかなければならぬわけです。國会が公平に見てこの人事官は不適当である。すなわち彈劾事由があるというときにこれを彈劾し、國会は決して臭いものにふたをするというようなことをなす必要はないわけですから、それはやはり内閣よりは國会に訴追権を持たせる方が、安全であるというふうに考えられますが、そのようにお考えになりませんか。
#76
○殖田國務大臣 私はやはり、内閣の責任において処置する方が適当ではないかと思います。なるほどお話のような場合もございましよう。ございましようが、内閣でございますれば、人事官の執務の内容がよくわかりまして、從つて内閣は、良心のある内閣なら、ただちに適当な処置をとると私は思います。かえつてそれは國会の方が公平でおやりになれますけれども、國会では人事官の執務の内容をよく精通をなさるというわけには行きにくいのじやないかと思います。
#77
○高橋(禎)委員 政府が良心ある政府ならとおつしやるのですけれども、私は、たとえば吉田内閣のごときは、実に良心のない内閣と、こういうふうに考えておるのですが、そういう内閣が彈劾訴追権を持つておるということは、きわめて非良心的な行動に出ると思うのであります。そうして人事院というものを非常に強化して行くということは、ちようどマツカーサー書簡にありますように、準司法機関的な立場をとらせる、こういうわけなんです。そこがやはり、たとえば裁判官についての彈劾訴追を國会においてなす、裁判を國会においてなす、こういうものと想類似した考え方が行われてしかるべきであると思うのであります。その点について彈劾裁判は最高裁判所でけつこうですが、やはり準司法機関だというような建前をどこまでも維持するということが、この改正案全体から見まして、すつきりとした、あやまちを犯す余地のない行き方だ、こう思うのでありまして、私はその点を強く、國会に訴追権を持たすべしということを考えております。法務総裁の御答弁では、私の確信は微動もしないということに相なるので、少しその点お考え直しをなさる余地があるように思われるのですが、いかがでしよう。
#78
○殖田國務大臣 私はやはり、人事委員会が行政機関の一部である内閣の監督下にあるという意味からいたしまして、内閣がこの訴追をするということは、内閣の責任としてやはり当然じやないか、かように考えております。
#79
○玉井委員 法務総裁にお伺いしたいのですが、ただいまの高橋委員の御意見は、私もきわめて妥当であると思います。それは、先ほどお話のありましたように、良心的な内閣ならば訴追するだろう、かようにおつしやるわけです。ところが良心的な内閣であるかないかということは、そのときどきによつて違います。やはりそれは人にかかつた問題である。成文法をつくり理由は、大岡越前守がないから成文法がいるわけなんです。惡い言葉で言えば、どういう人でも判事になるから成文法が必要になるわけなんです。そこに制度の價値があるのですが、その意味で、今申し上げたような意味合いから、私はやはり高橋委員の言われることが非常に妥当ではないか、かように考えておるわけなんです。
 それからもう一点お伺いしたいのは、これは先日、実は岡部政府委員に伺つたのですが、今法務総裁の御意見の中に、人事院は行政官廳の一部だ、こういうようにおつしやつておられる。ところがこの行政官廳の一部である人事院が、司法裁判所の中における職員の問題に関しても、一應人事官としての執務を行います。それから國会の職員に対しても、これを行うわけであります。そうしますると、私の印象から申しますれば、行政機関が司法権の中に、また立法権の中に、人事院という形においてある程度の拘束力を加えて行くということを憂えるわけなんです。その意味から申しましても、逆にこの人事官の地位というものを、立法府の國会において彈劾する権利を與えるということは、もしもそういう意見を通そうとするなら、ますます國会において彈劾をするのが妥当になつてくるのじやないか、こういうように思うのであります。この点について法務総裁の、現在職務をとつておられる立場においての御意見を伺いたいと思います。
#80
○殖田國務大臣 私は、内閣というものは良心的なものと考えます。でありますから、内閣が良心がないかもしれぬという前提のもとに考える必要はないと思うのであります。もし良心のない内閣であるならば、國会が不信任をたたきつければよいのでありますから、それはりつぱに國会の監督下に置き得るかと思うのであります。でありますから、何も直接人事官の問題につきまして國会に彈劾の権を與えなくとも、十分その目的は達し得ると思います。
 それから、ただいまお話のごとく、人事官がなるほど裁判所の中にも、立法府の職員についても、相当の権限を持つのであります。これはどうも行政の便宜上やむを得ない結果だと思います。でありますから、その調整はなかなかむずかしいのでありますけれども、さればと申しまして、その調整のために、ぜひとも國会に彈劾のイニシアチーブを與えなければならぬというほどでもないのであります。イニシアチーブはむろん内閣が持ちますけれども、最高裁判所で、しかも公開の裁判をするのでありますから、間違つたでたらめな訴追はしないと思います。ただ高橋さんのお話のごとく、訴追すべきものをしないのではないかという、消極的な場合はむろん想像されますけれども、それもやはり内閣の責任の問題でありまして、どうも國会が内閣を監督されて、適当に是正されるというほかには方法がないのではあるまいか。今のように國会にイニシアネーブを持ちせることも一案ではございまするが、いろいろの状況を考えましたあげく、この方が適当である、こういう結論に達して、この案になつたのでございます。
#81
○高橋(禎)委員 内閣が良心的であるべきで、もしも良心的でなければ、不信任案を提出したらよいじやないかとおつしやるのですが、しかし絶対過半数を持つておる内閣であれば、そんなことは意味をなさないわけであります。むしろ非常な横暴をきわめるということは、これはまあ憲法もそこは考えております。國政上むろんその点は考えておかなければならないわけです。いわゆる多数の與党を持つて、政府が横暴をきわめるところ、いかなる方法をとるか、それは予測できない。これは今から考えておかなければならぬのです。それにまた、人事官の中には政党に属する人も、一人に限り入り得るわけです。そういう場合に、絶対多数をとつておる政府は、もしもその人事官が、野党に所属する者だつたとしたら、それを追放しようとすれば、きわめて抽象的な――職務上の義務に違反し、その他人事官たるに適しない非行があるというようなことは、先ほども申し上げたように、限界が非常にむずかしいことなのですから、いろいろの理由をつけて、これを彈劾訴追をする。こういうことになりますと、非良心的の内閣が、非常な國家重要な機関たる人事官を不当に処置するということも考えられまするし、またこの人事院の制度は非常に強化されておつて、見方から言えば、これまで委員会で発言もありましたが、第四官僚台頭の機を與えるものだというような説があつたくらいであります。非常に人事院を中心として官僚勢力というものが強くなるということも考えられるのであります。そういう場合には、いかに大きなことをおつしやつても、内閣は人事院に押されぎみだというようなことも予想しなければならぬと私は思うのであります。そうすると、なすべきものもなし得ない。ですから一面前段に申し上げたことく、なすべからざるものもなす危險があり、なさなければならないということも他の勢力に押されてなし得ないということも予想されるのであります。やはりこれは國会に所属せしめなければならぬと考えるわけですが、いかがですか。
#82
○殖田國務大臣 ごもつともでありますが、内閣が多数党である。そしてその多数党ということを背景にわがままをする。この場合は、これは單に人事院の問題にとどまらず、政治全般の大きな問題であります。またさような際には、たといこれが内閣でなくて、國家が彈劾権をもちましても、その國会はまたやはり多数党、いわゆる横暴である多数党の國会であつて、同じような問題が起りはせぬかと思うのであります。その点は私はいずれにしても同じような結果ではないか、こうも考えます。それで幾度申し上げましても同じことでありますが、私は人事官は内閣の監督下にあるもので、内閣の責任上、内閣がその彈劾のイニシアチーブをとるべきだ。また先だつて中もいろいろお話がありました人事官が独立に過ぎはしないかというような場合にも、内閣は任命の権をもつておる、また彈劾の権をもつておる、この二つで適当に人事官を監督し得るのじやないか。ですからそんなに、三権のほかに四権ができる憂いがないということを、私は多分申し上げておると思いますが、これは内閣にとつては、ある意味から非常に大事な一つの権限であると思います。でありますから、私はやはり、この法案のごとくお考えくださるのが適当ではないかと考えております。非常にこまかいことになりますと、私は実は適切な御返事ができないかもしれませんから、人事委員長が見えておりますのでどうぞ。
#83
○松澤(兼)委員 関連して御質問申し上げます。良心的な政府という問題が出まして、何か良心的な政府という、抽象的な概念があるように考えられるのであります。実際にそういうことはあり得ないのでありまして、良心的ということは、やはり客観的に判断しなければならないと思うのであります。抽象的なそういう概念というものは、私はここでとられないというふうに考えます。しかも何か内閣が任命するということに、無過失というような考えがあるように見受けられるのであります。しかし現に百九條の罰則を見ますと、人事官の任命につきまして、第五第に規定しているような人事官を任命しなかつた閣員に対しては、「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する」ということがある。第三号には「第八條第三項の規定に違反して故意に人事官を罷免しなかつた閣員」第四号には「人事官の欠員を生じた後六十日以内に人事官を任命しなかつて閣員」また百十一條を見ますと、百九條の第一号、第三号より第五号という点につきまして、これに「掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又はそのほう助をした者は、それぞれ各本條の刑の処する」ということが規定されているのでま有ます。從つてこの政府の案それ自体から見ても、政府あるいは閣員というものは、過失を犯すということが十分に考えられているのであります。從つて総理大臣以下各閣僚は、この條文によつて処罰せらるべき行為をやるかもしれないということが、十分に期待できるのであります。從つて内閣が任命したことが良心的に行われる場合もあるだろうし、良心的に行われない場合というものも、はつきりわかるのであります。そこで高橋君が言うように、その彈劾訴追の権は、やはり裁判所におけると同じように、國会がこれをもつべきものであるという結論が出て來ると考えられるのであります。最初申しましたように、良心的な政府ということは抽象的な概念であつて、実際的にはそうでなく、必ず過失があるという前提に立たなければならない。この見地から内閣が彈劾訴追をするということよりも、國会が彈劾訴追をすることが適当であるというふうに考えます。從つて百九條の罰則の見地から見て、第五條に規定するような人事官を任命しなかつた場合、そういう場合を予想して、私どもは内閣に彈劾訴追の権を持たせるよりは、國会が持つた方がいいと考えるのであります。実際この罰則第百九條というような規定に関しまして、一体内閣が人事官をきめる場合には、どういう形式によつてこれを任命するのかということを、一應伺つてみたいと考えるのであります。
#84
○殖田國務大臣 私は何度も繰返して申すようでありますが、なるほど百九條にあれだけの罰則を掲げておりますが、さればと申して内閣というものは、かくのごとき過失を常に繰返すものであると考えることは、これは間違いだと私は思います。これは万々一の場合を規定しているのでありまして、内閣というものはかような過失を犯さざることを原則とするものと思います。それゆえに、私は内閣がイニシアチープを持つておることは決して妨げない、こう考えておるものであります。その点につきましては、國会といえども同じ誤りをしないとも限りません。そういうことを心配すれば限りがないことであります、心配もしなければならぬとも思いますが、その方法でいずれがよいか。これは要するに絶対的にどれがいいということは申されないのでありまして、いろいろな事情を勘案いたしまして、やはりこの方が適当であろう、こう考えてこの案になつておるのであります。絶対的にとは申されぬと思います。それから任命の手続につきましては、私より人事委員長からお話願うことが実はいいと思います。
#85
○松澤(兼)委員 内閣においてきめる場合です。内閣の中において任命する場合を尋ねいてるのです。
#86
○殖田國務大臣 内閣においては、人事官を選挙いたしまして、國会の同意を得てきめるのでありますから、原案は、いろいろな人につきましてふだんから研究いたしまして、あるいはそのときになつて研究いたしまして、いろいろな候補者の中から選ぶよりしかたがない。それはどういう方法でやりますか、それは現にいろいろな行政官を選考いたしますときの方法と同じことであろうと思います。ただ一層愼重に、一層重大な観点から考えて行くよりほかないと思います。
#87
○松澤(兼)委員 どういう手続をとるかということは將來の話でありますから、これは今はつきりとしてお答えができないことは当然だと思います。しかし少くともこういう規定をお出しになる以上は、人事官の選考はこういう方針で進むのだということは、お話願えると思うのです。そうでなければ、人事官を内閣が任命するという、こういう規定は無になつてしまうのであります。一つの規定があれば、内閣としてはこういう方針で進むのだという、その方針を明らかにしていただかなければならないのであります。この点が一つと、それからもう一つは、先ほどから内閣が監督するというふうに言つておられるのでありますが、これは漠然としておつて、一つの行政官廳であるから内閣が監督するということは考えられます。しかし私どもはそこにいろいろ疑問もあるわけでありますが、この法律によれば、準司法的な機関として、一應は内閣総理大臣の指揮監督からはずされているわけでありますから、その意味における監督という点から、内閣が人事官の彈劾訴追をすることは適当である。こういうふうに言われたと私は思うのであります。そこで私どもとしましては、少くともこの人事院という機関が、準司法的な機関であるとすれば、彈劾訴追の権は裁判所の彈劾がそうでありますから、内閣が持つべきでなく、國会が持つべきである。普通の行政機関であるとすれば、彈劾訴追ということもないでしようし、またよしんばあつたところで、それは内閣がやつてさしつかえない。少くともこの機関が準司法的な機関であるというところに、彈劾訴追ということが認められて、しかもその方法が内閣がやるのでは不適当であるという結論が生じて來るのでありまして、この内閣が人事院を監督するという意味が、どういう意味のものであるかということを、一つ詳しくお聞かせ願いたいのであります。
#88
○殖田國務大臣 普通の行政機関でありましたならば、内閣はその行政機関の執務につきまして、一々指揮し、あるいは準則を設けてこれを強制するのでありますが、人事官はいわゆる準司法的と申しますか、ほとんど内閣と独立のような形のものであります。從つて内閣は一々人事官の執務の内容について、指揮監督はいたさないのであります。ただこれを監督する方法といたしましては、人事官の任命と、それから彈劾のイニシアチープを持つ、この二つだけであります。これによつて初めて人事官というものが内閣の一部となつて、行政機構の中に織り込むことができるのであります。従つて内閣といたしましても、この監督権を持つ以上、その責任上からいたしまして、彈劾を自分で行う、訴追を自分で行う、そうして彈劾を最高最判所の判決にまつということが、最も適当であろうと思うのであります。その監督権のある内閣を超えて、ただちに國会が彈劾や訴追をなさるということは、どうも私は少し飛躍に過ぎて不適当のように思うのであります。それから人事官をどうして選ぶか、これは非常に実際的にはむずかしい問題でありますが、この第五條に規定してあります人事官の資格要件というようなものがあるのでありますから、大体人事官というほどの高い地位の人を選ぶときには、社会に相当名の知れておる、あるいは相当の地位にある人々の間から私は選ぶことになると思います。そうしてそれらの人を一々考えて見まして、この條項に当るかどうかというようなことからだんだん候補者の数が減つて参りまして、そして何人かの候補者を得まして、それを國会の議にかけてお諮りをするということになるのでありまして、現在閣僚を選びますとか、あるいは最高裁判所の判事の候補者を選びますとか、あるいは高い地位におります行政官を選ぶとかいうときは、みな同じような方法で行われておると思うのでありまして、日本におきましては、それに対しては組織的な手続というものはきまつておらぬと思うのであります。それ以下の人々は人事院におきまして規則を設けられて、いろいろ選択の方法、あるいは順序をきめられるのでありますけれども、こういう高い地位の人々を選定いたします場合には、それほど、何と申しますか、しやくし定規な方法はきめられないと思うのであります。また人間の数も少いのでありますから、それほどいわゆる祖織的にやりませんでも、りつぱな人が得られるのではないか、こう考えております。これは今まで行われております方法と大差ないことで、私は支障なく行われるものと考えております。
#89
○松澤(兼)委員 どうも内閣と人事院の監督関係というものが、よくわからないのであります。條文によりまして、こういう監督の権限があるということをお示し願いたいと思うのであります。そういうわけに行かないでしようか。
#90
○殖田國務大臣 その監督の権限があると申しますのは、内閣行政機関でありながら、内閣を離れてしまうのではないか、内閣の監督権はどこにあるかというようなところからこの問題を考えまして、任命権と彈劾権を持つということが、監督権のあるりつぱな証拠ではないか、こういうことに解釈できるのであります。そうでなければ、内閣の中にあつて、監督権がなければ全然これは行政を離れてしまいます。
    〔「それを問題にしているのだ」と、呼び、その他発言する者多し〕
#91
○松澤(兼)委員 何か條文で根拠を示してもらいたい。
    〔「法務総裁のような答弁なら、現行法にもどせばいいではないか」と呼ぶ者あり〕
#92
○殖田國務大臣 独立のことが強くなつたのであります。強くなつたのでありますが、最後の任命権と彈劾権を持つておるから、監督はできる。從來よりも……。
    〔「苦しい答弁だ。現行法にもどせばいい。」と呼び、その他発言する者多し〕
#93
○高橋(禎)委員 法務総裁のお考えは、彈劾権をもつて人事官を押えて行つて、それが監督権の有力なものた、こういうお考えのようですが、それが間違いだというのです。内閣が人事官を押えてやつたのでは、人事官としてのほんとうの仕事はできないのですから、將來仕事をやつて行く上には、人事官と政府と意見が衝突するような場合は始終起り得る。たとえば新しい給與の問題についての勧告のごときは、まさにその一つとして現われておると私は思う。そういう場合に政府に盲從するような人事官であれば、政府はこれを喜ぶ。人事官が人事官の権威をもつて主張すればそれを喜ばないというときに、その人事官を押えるために彈劾権を発動する。そういう危險があるから、私はその点を強く考えておるので、法務総裁のようなお考えであつたならば、これはとんでもないことになると私は思う。
#94
○殖田國務大臣 私は高橋さんと考えが違いまして、これがあるがゆえに内閣は責任がとれるのであります。もしこれがなければ、内閣は人事官というものを、まつたく独立のものとして、それは内閣以外に内閣ができるということになりまして、内閣は責任がとれません。行政の責任は内閣にあるのでありまして、内閣は自分が責任を負う以上は、これだけの権限を持たなければならない。これは人事官が行政組織である以上は、内閣に監督権にあるのは当然のことであります。ただ監督権をどの程度に行使し得るか、どの限度に監督権があるか、そうして人事官を半司法的の地位に保つということを、どうして調節するかということが、この規定のできたゆえんのなのであります。
#95
○相馬委員 法務総裁のおつしやることはその通りであります。この委員会でもそういうふうにして議論して來た。ところが高橋委員の言つておるのはそうでなくて、今度の一部改正の中に、提案趣旨の御説明の中にもありますように人事院というものを内閣の支配から脱して独立させるというのが、提案の趣旨説明です。もし法務総裁の見解をもつてするならば、現行法通りでよろしいし、また現行法通りのことをおつしやつておることは、政府部内が本案提出に関して十分なる了解を得ておらないのだ。これは人事委員長の説明でも私たちはよく承知している。その辺の見解についてお尋ねしたいのであります。
#96
○殖田國務大臣 その点を申し上げたつもりであります。つまり内閣から完全に独立させるのではございません。独立性を高めるというだけであります。でありますから独立性をこの程度に高めるということであります。お前の言うようにすれば独立性が高まらぬじやないか、こういう御議論でありますが、私どもはこれで相当独立性が高められる。そして内閣の責任とここで調和している、こう考えております。それ以上になると見解の相違だと私は考えます。
#97
○相馬委員 しかし法務総裁の言うような意見が、具体的にこの法案の上の何條のどこに現われておりますか。私は不幸にして発見することができない。
#98
○殖田國務大臣 つまり具体的に申し上げますれば、任免権と彈劾権があること、彈劾権と申しましても自分でかつてに措置するのではありません。最高裁判所の訴追するのであります。でありますから最高裁判所は最も公平なる見地から判断をするのでありましよう。それは要するに程度問題であります。それで私は、これは程度問題として御了承を願うよりほかにないと思います。
#99
○松澤(兼)委員 そうしますと、任免権と彈劾訴追権があるだけであつて、内閣としては、それ以外に監督権はない、監督する根拠はないと了解してよろしゆうございますか。
#100
○殖田國務大臣 それは一々監督権として発動しませんでも、内閣の意思を傳えることもできましようし、あるいは人事官の考えを内閣に傳えることもできましようし、そこはもう両者の隔意なき協調によつて運営して行くよりほかにないと思います。
#101
○松澤(兼)委員 私どもは法律を審議しておるのでありまして、話合いということは、それはもちろんあるかと思いますが、しかし話合いということが監督であるということは、おそらく法律の常識からはないことだろうと思います。少くとも内閣が監督権を持つているといえば、何か法的な根拠があつて、ここにこういうふうに書いてあるから監督権を発動するのだということになると思うのでありまして、話合いをするとか、意思を疏通するとかいうことは、おそらくこれは法律的に考えて監督権の発動ではない、こう思うのであります。それでもそのほかに監督権の根拠があれば承りたい。
#102
○殖田國務大臣 内閣は人事官の独立の執務ぶりを見ておりまして、そしてそれがいけないというときにこの彈劾で監督をするのであります。内閣の監督権は非常に消極的なものであります。これは人事官の独立性を高めるためにやむを得ずそういうことになつておりまして、積極的な監督権は私ははなはだ乏しいと思います。
#103
○松澤(兼)委員 大体内閣が人事院のやり方を見ていて、いけないということになれば、彈劾訴追権を発動させるということに私は承つたのであります。そのほかは内閣の監督というものは、はなはだ乏しいというふ言うにわれるのでありますが、乏しいと言えば何か肯定したような形であります。そういう根拠があれば示していただきたいというふうに考えます。
#104
○殖田國務大臣 内閣というものは、内閣の下部組織に対しましては、一般的に監督権を持つておるのでありまして、これは憲法の規定から出ておるのであります。從つて今私の言葉は少し不十分でありましたが、話合いと申しましたけれども、たとえば人事官に向つてお前の方は人事の選考が遅いじやないか、もつと早くしてもらえぬか、あるいはこういう点において法規とどうも考えが違うじやないかというようなふうに、相当積極的な監督はなし得ると思います。ただいわゆる指揮監督と申します、ああいうふうの行政機構における監督権は持つておらない。全般的監督権は持つておる。これは程度問題であると思います。そのときに具体的に判断するよりほか方法がありません。お話のごとくこの條章のどこにあるか、ないのであります。独立性が非常に強いのであります。しかし絶対ないことはないのであります。今の彈劾権は持つておつて、そうして憲法の七十二條の規定によりまして、一般的に行政機構としては内閣が下部組織を指揮監督するのはあたり前であります。ただそれが独立性が強いために、非常に稀薄である。こういうことを申し上げておるのであります。最後の拠点はどこにあるかといえば、それは彈劾権で始末をつけるのだ、こういうことであります。
#105
○松澤(兼)委員 憲法の規定というなら、憲法何條によつて監督するのだ、あるいは行政組織法の第何條によつて監督するのだ、あるいは國家公務員法の第何條によつて内閣は監督権を持つておるのだという、その法的根拠を示していただきたい。
#106
○殖田國務大臣 憲法七十二條の規定に、内閣総理大臣は内閣を代表して云云、並びに行政各部を指揮監督するという規定が、これは全般的にあるのであります。この規定がこの場合にも、やはりこれは適用されて行くと思います。それ以上こまかいことは法制局長官にお聞きを願います。
#107
○松澤(兼)委員 そうするとただいま憲法の規定をお読みになりました、これが監督権の唯一の根拠であるというふうに了解してよろしうございますか。
#108
○殖田國務大臣 さように御了解になつてよかろうと思います。
#109
○前田(種)委員 今御答弁を聞いておりますと、どうも改正案を提案された立場上、非常に苦しい言いわけをしておられる。むしろすなおな立場で考えると、今の答弁は現行法にもどした方がよい、現行法の立場での答弁をしておるが、改正案を出した手前上、そういう答弁をしておるというふうに聞えるのであります。われわれは今言われたように、内閣が監督するということは、訴追問題を任免問題でありまして、任命は一遍すると四年間の任期でありますが、その間にやめさせるということは、重要なる問題でない限りは、そう内閣でかつてにできるわけではないのであります。普通の行政官廳としての内閣総理大臣は、監督権は持つておるが、そういう任期中に訴追をしなければならぬという大事な問題がない限りにおいては、任期中に訴追するということは大問題になるわけであります。もちろんそういう問題があつてはなりませんが、能率的に行かぬという場合は、行政上多々あると思います。そういう場合に常に総理大臣が監督しておれば、その監督権を発動してそこを調整することはできますが、法規上それがないのです。現行法とすればありますが、現行法から削除されますので、まつたく独立した形で、今答弁されたように、一遍任命したら四年間は任免という箇條はないわけですし、ただ訴追という問題だけが残る。これは今私が申し上げますように、重要な問題がなければ訴追というものはなかなかできるものじやないのです。その程度では不十分だ、もつと強く内閣が監監する必要があるのじやないかという立場に立つて、法務総裁の見解を聞いておるわけです。しかしこれをあくまで純司法的立場に置くために独立さしたという言い訳はわかりますが、われわれはこの法案を審議しておるのですから、やはりほんとうに日本の行政機構全般がうまく行くためには、内閣と人事院とのつながりが、改正案のようでは結果が惡い。だからもう少しことのつながりをはつきりして、総理大臣の責任の範囲を明確にした方がいいのじやないかという考え方を持ちますから、ここは忌憚ない答弁を願つておきたいと考える。しつこく質問するゆえんは、ここが一番人事院の構成の基本になるものでありますから、それだけに私は承つておきたいと考えるのです。
#110
○殖田國務大臣 ごもつともな御説でありまして、私どももその御説に対しましては同感を表したいところがたくさんあるのでございます。しかしながら人事官の独立性を強めなければならぬ。どうも人事官の独立性が乏しいために、從來人事に非常な不明朗なことがあつて、日本の人事がはなはだ能率的でないという点からいたしまして、独立性ということを強く求めましたために、こういう案にならざるを得なくなつたのでありますから、いろいろ御議論もございますし、ごもつともな点もございますが、御了承を願いたい。もし將來この法律で運用がうまく円満に参りませんときには、また別に考えなければならぬと思います。
#111
○前田(種)委員 今の点は大体法務総裁のある程度の答弁で私は追究いたしません。
 さらにもう一点法務総裁にお聞きしたい点は、予算を編成する権限を人事官に與えておるわけですが、この問題は内閣の立場から行けば、重要な問題でありますけれども、あるいは答弁は独立性を持たせておるから、予算もある程度編成することを認めるという答弁になるかわかりませんが、これは内閣全体の問題として、ここまで人事院に権限を與える必要があるだろうかどうか。内閣の責任において予算を編成する。請求はもちろん人事院が、ある程度の案をいろいろ事務的にやることはよろしいが、責任はあくまで内閣の責任において、予算を編成して國会に提案するという建前の方が当然ではないかという議論が立つわけです。この点に対するところの法律裁判の見解を承つておきたいと思います。
#112
○殖田國務大臣 今の御質問もまた非常にごもつともな御質問でありますが、予算の編成は閣議でやはりきまるのであります。人事院から理想案が出て参りましても、最終的には内閣で財政上の点をも調整して國会に提出するということになるのであります。しかし人事院そのものの費用についての予算を、内閣が削減した場合におきましては、内閣は人事院の原案を参考案として國会に提出しなければなりません。その程度で人事院の独立性を保持しておるのであります。
#113
○前田(種)委員 今までの人事院長あるいはその他から、この点についての答弁はさような答弁ではないように聞いております。これは私の聞き違いかもわかりませんが、十三條の解釈は、今法務総裁の言われたように解釈して間違いないですか。
#114
○殖田國務大臣 間違いございません。
#115
○高橋(禎)委員 彈劾訴追権の問題について、私のお尋ねした点についての法務総裁の答弁は、私を納得さすべき何らの價値を持つていないのです。しかし最後にはどうやらかぶとをお脱ぎになりかけたように認めましたから、いま少し御研究を願うこととしまして、今度は次の別な問題についてお尋ねいたしたいと思うのであります。先ほど松澤委員も話された罰則等の関係において研究してみますと、たとえば百九條の第一号によりますと、第五條に規定する資格を有しない人事官の任命に同意した閣員は、一年以下の懲役または三万円以下の罰金を処する、こういうことになるのですが、第五條の資格ということを見ますと、えらいたくさんの資格條件が掲げられておるわけです。たとえば禁治産者の宣告を受けた者とか、準禁治産者の宣告を受けた者というような点は、これはもう爭いのないはつきりした問題なんです。ただ第五條の第一項のごときは、「人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、且つ人事行政に関し識見を有する」などという、きわめて抽象的な、作文のような名文が載つておるわけですが、こういうときに、もしも檢事がこの内閣を潰そうと思つたらすぐ潰れてしまう。被疑者として家宅搜査をやる。そうしてお前は人格が高潔でない、能率的な事務の処理に理解がないじやないかというような疑いがあるというので逮捕状を出す。しかも閣員ですから、全部に逮捕状を出そうと思えば出せるようなことになる。そういうことが法律で許されておるということについて、何ら危險を感じられないかどうか。いわゆる檢察フアシヨということは、國民の声として非常に論議されております。われわれは檢察部を愛するがゆえに、將來そういうことのないことをこいねがうものですけれども、どのような事態にならぬとも限りません。特に法務総裁は先ほど來原則々々とおつしやつたのですが、われわれの憂うるのも、例外を憂うるのですから、この点について御見解を伺いたい。
#116
○殖田國務大臣 その点もごもつともな御議論でございます。しかしながら私どもは、閣員が誠実に十分な努力を盡して人事を決定いたしますならば、あるいは過失によつて見込み違いのことがないとも限らないかもしれませんが、それが犯罪になるようなことはあるまいと思います。
#117
○高橋(禎)委員 あると思うから規定するのでしよう。
#118
○殖田國務大臣 それでありますから、規定はありますけれども、万に一にもそういうことはないと思います。もしありましたときはどうもやむを得ませぬ。この規定でやることになります。
#119
○高橋(禎)委員 法務総裁はないと思うなら、何もこんな制裁法規を設けて禁ずる必要はないのですから、そんな御議論は全然とるに足らぬ御議論だと思うのですが、立案者として今一度御説明を願います。
#120
○殖田國務大臣 万一ありましたときの規定でありますので、もし不都合な閣員がおりましたときは、りつぱにこの規定が適用される。多くの場合にそれはないと思いますけれども、しかしただ檢事フアシヨというようなことで、実際において過失がないのに、檢事フアシヨで内閣を倒すためにやるというような稀有な例外は、想像の必要もないと思います。
#121
○高橋(禎)委員 必要ないことはないのです。非常にあるのです。その稀有なことを研究しておかなければ、それがあぶないのです。始終それがあつたのでは國が立つて行かない。内閣は存在しないわけです。われわれはその稀有なことがあるということを非常に懸念するわけであります。こういう犯罪は稀有でありましようが、檢察フアシヨによるところの、先ほど申し上げたような事態が起るということも稀有であると思いますし、またそうでなければなりませんが、その稀有なことがあつたときには一大事ではないか。こういうわけでありますから、原則論だけをお示しになつて、例外の問題はとるに足らぬということは、大いに誤まつておるわけであります。それについての御所見を伺いたい。
#122
○殖田國務大臣 確かに稀有の場合に、こういうことがありましたときには一大事でありましようが、それはやむを得ない。つまり人事の選考を愼重にするということのために、その稀有の場合のアクシデントを犠牲にしておるわけであります。
#123
○相馬委員 罰則の件に関して法務総裁の見解を承りたいのですが、ほかの國の國家公務員法、これに類似した法案を調べてみても、こういうふうに、何のときにはこうというような罰則がきゆうくつに設けられているのは、私どもは寡聞にして知らない。この罰則が設けられているという前提には、政府は良識を持つておるものだという前提がなければならぬと思う。ところが一方公務員というものは、良識を持つていないものなるがゆえに、きばもとられ、はさみをとられ、あらゆる労働者的な力をとられております。そこで私どもが考えるには、なるほど上司の命令に反し云々というような場合には、雇用上の條件は失うことがあつても―具体的に言えば、首を切られることがあつても、首を切られた上にまた刑務所にぶち込まれるということは、あまりにも酷だと私は考える。從つて法務総裁の立場から、この罰則というものはむりだとお考えにならないか。むしろ今としては法務総裁の立場から、これを軽くすべき、ないしは廃止すべきだというような、良心的な、進歩的なお考えがあるかどうか、これを承りたい。
#124
○殖田國務大臣 今日のところ公務員の制裁といたしましては、これが必要であると考えてこういたしましたので、將來につきましては、また考える時もあろうかと思います。
#125
○高橋(禎)委員 法務総裁は先ほどその稀有の場合には、やむを得ないとさじを投げておしまいになるのですがそれでは実に無責任な話でありまして、稀有な場合に國家の存亡に関するようなことを起すことのないように考えて法律をつくらなければ、法律をつくるも價値はないのですから、先ほど申し上げた第五條の適用等については、これは幾らでもあやまちを犯す危險がある。これはかりに故意にやらないにしても、ややもすると抽象的な言葉がたくさん並んでおるために、今状が出たり、家宅捜索をやつたりすることになるわけです。そうしてこれははなはだ遺憾なことですけれども、現在いろいろ捜査されている事件の中に、起訴してみれば無罪になるものが相当あると思う。決して檢察部のやることは、神のやることではないのだから、間違いが起りやすいのです。その点について檢事もあやまちを犯して、國家の一大事になるようなことが起り得るような余地を残した法律ではだめだ、こういうわけであります。だからそれについて何かお考えがないかとお尋ねしておるのであります。私は名案があるのですが、それは後で申し上げるとして、法務総裁の御意見を伺いたい。
#126
○殖田國務大臣 私どもはいろいろな事情を考えまして、こういう規定を置くより道があるまいと考えて、置いたのでありまして、もし御名案がありますれば承りたい。
#127
○前田(種)委員 もう一点はつきりと聞いておきたい点は、人事院の直接の監督権は総理大臣にはないように本法にはなつておりますが、法務総裁は憲法上その他の点でいろいろあるように言われます。人事院のことについて総理大臣は責任があるのかないのか。責任を持たなければならない立場にあるのか、持たぬでもいい立場にあるのか。この点をもう一度明確にしておいてもらいたい。
#128
○殖田國務大臣 総理大臣は責任を持たなければならぬと思います。
#129
○前田(種)委員 もし持つとすれば、本法で構成されておりますところの人事院のいろいろな権限について、どの法文によつて総理大臣は責任を持つことになるか。その法律上の根拠を明確にしてもらいたいと思います。
#130
○殖田國務大臣 それは先ほど申し上げました憲法第七十二條の監督権のために持たなければならぬと思います。
#131
○前田(種)委員 もし憲法によつて一々責任を持たなければならぬということになりますれば、私はこういつた單行法をつくる限りにおいては、單行法の一條に、内閣総理大臣が皆責任を持つという、明確な條項がなくてはならぬと考えます。その方が正当だと考えますが、それはその程度にして、もう一点、先ほどの予算編成の件につきまして、内閣が責任を持つて出す、しかし削除された部分は、人事委員会独自で國会に出せるということになつておりますが、ここの二十三條を見ますと、こういう点があるのです。「人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を國会及び内閣に同時に申し出なければならない。」ということになつて参りますと、一体内閣の責任においてやるのか、また人事院は内閣にも半分責任があり、國会にもあるというようなことで、はたしてこういう條項がこの法規の中にあるということにおいて、内閣総理大臣は全体の責任が持てるかどうかということになつて参るわけです。私はこういう條項は、先ほどの予算編成の問題等において、もし法務総裁の答弁が正しい意見でありますならば、むしろ内閣の責任において、こうした法令の制定改廃等もやるというのが正しいと考えます。なお國会と内閣に同所に出すというような二十三條の修正案のごときは、どうもりくつに合つていないと考えますが、この点に対する御答弁を願いたいと思います。
#132
○殖田國務大臣 これも先ほど來申し上げました通りに、人事官の独立性ということから生じたことでありまして、從つて内閣総理大臣の責任はむろん負いますが、責任の内容において緩和されることがあり得ると思います。
#133
○前田(種)委員 ここも私はやはり重要な予算編成が、内閣の責任でやられる場合ならば、こういう法令の制定改廃という人事院の規則、あるいは本法のごときものを改廃するという場合には、むしろ内閣の責任において、一本で國会に出すのが正しいのではないかと考えます。それを本法のような書き方をするということは、今の答弁では得心ができぬのです。むしろ一本にした方がいいと考えます。それが一点と、もう一点は先ほど罰則の問題がございましたが、現行の労働法規その他の法令等を見ますと、罰則は非常に軽い罰則になつておる。ところがこの改正案は相当重い罰則をここに挿入してある。なぜ從來の労働関係法規その他の法規は軽い罰則であつたにもかかわらず、改正案はこういう重い罰則を付して提案されたかという理由を、明確にしていただきたいと思います。
#134
○殖田國務大臣 それは一般労働者に比しまして、國家公務員の特別な性質から生れたものと考えます。
#135
○相馬委員 法務総裁がわきにすわつていられるところで、人事委員長にお伺いしておきたいと思います。法務総裁がいろいろ答弁されましたが、それは人事委員長としては承認されますか、具体的に特に触れて、人事委員長からの御答弁を願いたい。すなわち内閣は監督権を持つていると法務総裁はおつしやる。その具体的なこととして任用手続と彈劾追のことをあげておられる。それから罰則の点は、私の質問に対して法務総裁は答えられて、あとに含みのある言葉をおつしやつておる。すなわちあとで必要があれば考える、こうおつしやつておる。罰則のことはちよつとむりなのだ、政府自体でも公務員にはかわいそうだとは思うのだが、まあこの際やむを得ないからこうするのであつて、あとで折を見て直すのだと言う。それも法務総裁の言葉のあやかは知りませんが、これらの点についての御答弁を、人事委員長としては全部満足されるか、されないか、この点を人事委員長にお伺いいたします。
#136
○淺井政府委員 さいぜん來の法務総裁の言葉は、内閣を代表してのお言葉でございますから、私からこれを批判することはできかねると思います。
#137
○相馬委員 人事委員長の立場としては非常にごもつともだと思います。しかし事は重大であります。なぜならば、これはいい惡いという問題で言えば、人事院を独立させて、いわゆる第四権力を生むがごときかかる改正案に対しては、われわれは反対であります。それはしばらくおくとして、この政府提出の本案に対する趣旨弁明を見れば、人事院というものをつくつて、それは政府の行政権から独立させる。そうして云々ということをわれわれは聞いて、そういう意味で本案の審議に当つて來た。ところが法務総裁はきよう突然の御答弁で、監督権を持つていると、こう申すので、われわれはまことにこの点については判断に困ります。そこで本日ここで即答をとは申しませんが、このことについては政府部内においてよく研究されて、明確なる答弁を後日願いたいと思います。それだけ要求しておきます。
#138
○高橋(禎)委員 刑罰をもつて法務総裁が押えて行くという行き方は実際は間違いなのです。ごく例外的なものでなければならぬと思います。最近の傾向としてはどうも刑罰に頼り過ぎる。規則をもつておれば必ずそれを刑罰によつて強行していこうとか、指導とか監督とかいうことのために、刑罰法規が前にできてしまう。刑罰法規は御存じのように私の計算では五百種類くらいあると思います。おそらくこれはリユツクサツクに入れて負うて歩かなければ、持ち運びができぬほどの刑罰法規であり、まつたく刑罰法規の充満、刑罰に依存する範囲が非常に拡大されておると思うのです。このたびの改正案によりますと、現行法よりも、また前内閣の案よりも、非常に刑罰の範囲が拡げられておる。先ほどの第五條違反の場合について申され、そして名案があればとおつしやいましたが、私はそういう罰則は設けない方がいいのだという名案を持つているわけであります。そしてしいてそれでは心配だということであれば、たとえば第百九條の第二号にありますように、この規定に違反して任命を受諾した者、すなわちその任命を受けた人事官に責任を持たせることの方が私は賢明だと思います。本人は第五條の要件を備えているかいないかということは、ほぼわかつているのですから、それを政府が任命するからと言つて、むしろ詐欺的な態度でこれをやられるということであつては、やはりそこに制裁を加える價値がある。こういうふうに私は考えるのでありますが、前段に申し上げた根本的態度について、行政があまりに刑罰に依存し過ぎるのじやないかということについての、法務総裁の御所見を伺いたいと思います。
#139
○殖田國務大臣 お説にまつたく御同感であります。御同感でありますが、この公務員法が御主張の通りできておりませんことは、はなはだ残念でございますが、私ども今のところこの程度にしなければしかたがない、こう考えて提案いたしたのであります。
#140
○前田(種)委員 私は昨日から総理大臣を要求しているのでありますが、もう日にちもないのに、この劈頭からいろいろ問題になつております関係が、重要なときに來ていると思います。それで特に委員会の決議をもつて総理大臣並びに大藏大臣の至急なる出席を要求いたします。そしてその答弁によつては、この審議に対して重要な決意をしなければならぬと思いますから、両大臣の出席を至急に要求いたします。
#141
○角田委員長 今の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○角田委員長 それではさようとりはからいます。
#143
○菊川委員 法務総裁にお尋ねいたしますが、ただいま伺つておりますと、公務員は公務員なるがゆえに、民間の人間よりは処罰規定が重くてもよいのだ、こういうことであります。ところが、これは一般にそういう考えが常識的になつておりますけれども、はたして法務総裁として罰則ということをお定めになる場合、民間の人間より公務員は処罰が重くなければならないのだ、こういう根拠が一体どこにあるのでありますか。これについてお伺いしたいと思います。
#144
○殖田國務大臣 つまり人事行政が公正に行われますように、嚴正に実施されることを念頭いたしまして、いささか罰則が重くなつているのであります。
#145
○菊川委員 それではお尋ねしますが、この罰則の中で相当の部分というものは公務員とはいつても、その実質は勤労者であるが、勤労公務員であるがゆえに、これに対するところの基本的な人権の一部である團結権、團体交渉権、あるいは團体行動の権利というものを押えているのであります。從つてこれは單に國家権力の一部として行動するところの官公吏であるがゆえに罰則があるのであつて、勤労公務員であるということから、たまたま公務員というわくにはめられて罰則が重くなるのであります。今例をもつて申しますれば、商工省でアルコールをつくつているところの公務員の諸君がある。その諸君の仕事というものは、言いかえますれば、これは民間のアルコールをつくつている工場と同じ仕事をしております。しかるにこの國家公務員法によつて罰則を適用される。一体この間に、公務員であるがゆえに、特にこの諸君に対して、違反の場合、罰則を強化しなければならぬ根拠がどこにありますか。いま一つ印刷局の例をとりますれば、あの百円札をやつている印刷という仕事は、民間五つの工場でやつております。この五つの工場では労働組合をつくり、賃金の安い場合には公然爭議権を行使しております。たまたま印刷局の從業員のみが公務員であるがゆえにストライキをやれない、罰則を適用する。民間の労働者であれば罰則を適用しない。この同じ岐労者が、なぜ罰則が加重されなければならないか。この具体的な根拠を伺いたい。ややもすれば今の官僚諸君は、公務員であるがゆえに罰則が重くてもよいのだ、これは全体の奉仕者として当然あるべき姿だというように考えられておりますが、考えれば、きわめて根拠がない点であります。いかなる根拠によつてそういう主張をなされているか。この点について伺います。
#146
○殖田國務大臣 やはりただいま根拠のない説だと仰せになりました全体の奉仕者という点を、強く考えまして出したわけでございます。
#147
○菊川委員 私のお尋ねするのは、そういう抽象的な問題ではない。もし抽象的な議論といたしましても、全体の奉仕者であるがゆえに処罰を重くしなければならぬということになりますれば、それは全体の一部としての個人というものが、全体のために全部を沒却される、こういうような法理観念は、ナチスのフアシヨ的な法理観念から一歩も出ていないところの法理観念である。理論的に申しましてもその通りである。全体の奉仕者であるがゆえに部分として個人の人権は、決して侵害されるものではありません。民主憲法においては、個人の人権が基礎になつて、その上に全体の奉仕者としての調和を保つというところに本質がなければならぬ。でありますから今のお考えでこのことをきめるならば、これは理論的に申しましても、フアシヨ的な思想の再現であると断定して差支えない。かような論理的なことは、しばらくおいて、具体的にお尋ねするのでありますが、印刷局の從業員が民間と同じ百円札を刷る仕事をしていながら、この人々に対して、民間の労働者がやつたと同じことをやつて、罰則が特に強くなければならぬというその根拠はどこにありますか。
    〔「そんなことはへりくつだ」と呼ぶ者あり〕
#148
○殖田國務大臣 へりくつと仰せられますが、やはり國家公務員という範疇に入りますために、全体の奉仕者であるという性格が強まります。從つてそういう考えになるのでありまして、決して國民全体の奉仕者というわくにはめてしまつて、ナチス的に取扱う意味ではございません。ごく狹い國家公務員法という範疇にはまるために、そうなるのであります。
#149
○菊川委員 どうも話せば話すほど考え方の相違が明確になつて來る。私のお尋ねするのは、國家公務員法のわくにはめたからそれを処罰するという、その考え方がいけないというのであります。百円札を刷る民間の從業員と同じ仕事をしているものを、國家公務員法というわくにはめて、わざわざ処罰しなければならぬその必要はどこにあるか。あなたのお話は、もうはまつているのだからしようがないと言われるが、われわれ今法律をきめておりますのは、まだ法律にはめるかはめないかをきめておるのであります。でありますから、これをおはめにならなければならないところの理由はどこにあるか、これをお尋ねするのであります。どうか間違わないようにしていただきたい。まだ法律はできておりません。できる前の相談をしているのであります。なお百円札でもしぴんと來なければ、営林署に働くところの、山で働いておる從業員と、農林省の机の上でいろいろ行政をとつておられる人と、これをひとつお考えになつてもよろしゆうございます。それを國家公務員法にはめたからしかたがないのだと言うのは、これは法律がきまつたあとの話である。われわれは今それをはめて、わざわざ罰則までもつけなければならぬほどにはめるわけがあるかどうかと檢討しているのです。どうか間違わないように御答弁願いたい。
#150
○殖田國務大臣 御説ごもつともであります。私どもは、そういうごく例外的な特例的の勤労でありますが、それも今のところ一樣に國家公務員法のわくにはめた方がよろしい、こう考えてこの法案をいたしました、しかしながらもしお説のごとくそういう特例がたくさん出てまいりまして、そしてそれは別にはめなかつた方がよいということになりますれば、また將來考えたいと思います。
#151
○菊川委員 特例とか例外とかいうお話でありますが、これは一体数の上のお話でありますか。それとも方針の上のお話でありますか。数の上のお話とすれば、そういう特例をお考えになるものは一体何万あるか、そういうことを御檢討の上かどうか、それを伺いたい。われわれは決して机の上でこの法律を議論しているのではない。この法律によつて、國民が直接に、どういうふうな自分の基本的権利を冐されるかということを議論している。どうかひとつ数について現実にお考え願いたいと思います。
#152
○殖田國務大臣 この附則十三條におきまして、「一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則を以て、これを規定ることができる。但し、その特例は、この法律第一條の精神に反するものであつてはならない」という規定もありますので、適当にまた考えることができると思います。
#153
○菊川委員 さるがらつきようをむいた、らつきようの中に実があるだろうと思つてむいた、これも皮だ、これでも皮だというのでむいてみたところが、最後に何も残らなかつたという話もあります。今の法務総裁のお考えは、これも特例だ、これも特例だと、特例をだんだんおはぎになると、最後に残が残るかということをひとつお考え願いたい。明らかにそれは机上論であります。われわれは法律をきめる場合には、現実に公務員が二百七十万ある場合において、その二百七十万の人間で、國家権力の部分として行政をつかさどるところの者が何人あるのか、さらに民間と同じような仕事をして、当然基本的権利が守られなければならぬところの者が何人あるのか、この数字に基いて、そしてお立てにならなければならぬと思うのであります。それをあれも特例、これも特例と言つて、それは附則でやるのだ、こういうことでありますれば、これは架空な論であります。そこで私は今お話の附則に附随するところの部分が、数量的にどれくらいあるのか、そういうことをひとつ例挙願いたい。
#154
○殖田國務大臣 私は今数字を持ち合せませんので、はつきりお答えできません。
#155
○徳田委員 この問題は給與の問題ときわめて密接な関係をもつているのでありまして、野党しては給與の予算が出なければ、野党全体の決議として、並行して審議しなければこれを審議する必要はないということになつておりますから、どうしてもこれは総理が出て來られて、はたした予算を出してこれを並行して審議し得るかどうかということがわからなければ、これはいくらやつても無意味です。だからこの委員会としては、総理が出て來られなければだめです。これは大藏大臣にはわからぬ問題で、政府の責任者でないとわからぬようにできている。だから首相が出て來てやらなければだめです。
#156
○前田(種)委員 私は先にも申し上げましたが、総理の出席を委員会の決議をもつて請求されたことは皆さん御承知の通りであります。ところが今総理の秘書官から、総理は帰られたという報告を聞いたのです。しかも日にちのない今日、人事委員会は時間をつくして審議しているのに帰られたということは、いかに吉田総理大臣が本案の審議に対して熱意がないかということが、明白にわかつていると私は考えます。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は総理大臣がもう一度ここに來られ、そして必ずここに出席するというならば、この委員会は審議して行く必要がありますが、今日総理大臣が出席せぬということならば、これ以上本委員会を進める必要はないと考えます。委員長はたびたび委員会の総意のもとにおいて、総理大臣にもそれぞれ通告してあつたにもかかわらず、総理大臣がここに出席されないということは、はなはだ遺憾であると私は考えます。そういう不誠意な態度をとりながら、みずからは天下に対して、むしろ野党が消極的にこれを引き延しをやつているというようなことを高言するということは、もつてのほかだと私は考えます。この意味において、この問題を先に解決しなければ、この審議を進めるわけにはいかぬと私は考えます。
#157
○根本委員 公務員法の一部改正案と新給與の予算の問題は、立法的に考えるならば、何も同時に審議しなければならないことはない。ただし政治的に見たならば、これを同時に解決することが望ましいということであつて、從つて予算案が出なければ國家公務員法を審議しないということは私はまことに遺憾にたえないのであります。なお本日総理大臣が來ないということは、何かの事情があつたのでありましようが、総理大臣が本日出席しないということによつて審議を拒否するということは……。
    〔「だれが拒否した」「拒否するとは何だ」と発言する者あり〕
#158
○角田委員長 靜粛に願います。
#159
○前田(種)委員 今根本委員は首相はほかに用事があるかもしれないということでございましたが、わざわざ総理廳の秘書官が來まして、帰られたと言つております。少くともほかの用事のためにほかに行かれたのではないかと思う。だから、これはのつぴきならない用事であつたならば、少くとも委員会に対しての返事でありますから、秘書官はこういうところに行つて、本夕出席できないということを言うはずです。そういうことを言わずして、もう家に帰られたということをはつきり言つておるのです。これほど明白なことはないのです。だから私が先ほど申し上げましたように、いかに総理大臣が熱意がないかということを裏書しておるということが明確になつておると考えます。
#160
○徳田委員 根本君、そんなことを言うけれども、十二月になつてごらん、今給與のことをやらなければ、十二月になると税をとられるのだ、更正決定で総合所得税をみんなとられる。そうすると、手取りは給料の三分の一になる。こういう三分の一になるようなときに、もし無謀な公務員法を通して、それで縛つてどうするのだ、みんな死んでしまうのだ。だから給與の問題と同時に並行してやらない限り、これはとても問題にならないと言うのです。法律上どうのと言つたつて、どんな法律だつてやはり人間の生活を規正するための法律であつて、人間の生活を離れての天上の法律じやないのだ。だからこれは給與と別にして審議したのじや無意味だと言うのだ。これは拒否というのじやないのです。だから給與の問題に関して首相がちやんと出て來られて、責任のある答弁をすれば審議するわけです。そうでなしに、首相は出て來られない。それでは審議をしたつて何もならない。むだです。われわれだつて、これで帰つて飯も食つて、休まなければ、また明日の仕事はできやしない。そんなにぞろぞろやつたつてだめです。大藏大臣では答えられないということを知つておるからそう言うのです。これは内閣の重大な問題です。大藏大臣一個で、予算が出るとか出ないという問題でないことを知つておるから、そういうことを言うのです。だから、そういう意味で首相が出て來られないならば、とにかく明日首相が出て來てから審議することにしましよう。
#161
○角田委員長 この際委員長より発言をいたします。ただいま秘書から外出したことを聞いておるので、ただちに出席してくださいということを、委員長から内閣を通じて今回答を待つておるのです。その回答を待つてからその問題に移つて……。
#162
○赤松(勇)委員 議事進行について…。ただいま民主自由党の根本君から発言がありましたが、根本君は先般私が國会に提出いたしました衆議院本会議によつて可決されました決議案の内容を、おそらく忘れておられるのじやないかと思うのです。先般衆議院の本会議にかけました私ほか七名の提出になる決議案の内容は、マツカーサー元帥が指摘しておりますように、國家公務員法と賃金ベースの問題は、同時に審議されなければならない、こういう見解の上に立つて、衆議院は多数をもつて同時的審議を行うべし、そのために政府は即時追加予算を國会に出さなければいけない。こういう決議が採択され可決されておるのでございます。從いまして、今ごろ根本君が総理がおる、おらぬ、あるいは賃金ベースの予算が出る、出ない、こういうことは本法律案に関係がないと言うことは、みずから國会の議決を侮辱するものであり、それを軽視するものである。院議においてそれを決定している。從いまして、私は根本君の発言は、院議を軽視し、むしろ院議を無視するものだという点におきまして、はなはだ心外にたえない。
 それからもう一点申し上げておきます。吉田内閣総理大臣の出席を要求してありましたのは、すでに昨日前田君から要求されてありますし、本日も私は二、三回、民主党の高橋君からもそういう要求が出ている。この吉田内閣総理大臣の出席を要求しました理由は、先般の内閣記者團との共同会見におきまして、その読話の中に、あたかもわれわれがこの國家公務員法の審議を故意に遅延さしているかのごとく談話の内容が発表されている。この点につきまして、われわれはすみやかに國家公務員法の審議をしたいという熱意の上に立つて、吉田総理が当然ここへ出席しなければならぬ義務があるので、吉田総理の出席を要求しまして、そこにおいて隔意のない意見をお互いに交換して、議事の進行をはかりたいと考えておつたのでありますが、ただいま前田さんからの発言がありましたように、秘書官を通じて、すでにいわゆる殿樣総理は帰つて行つた。きのうから、さらに本日委員長を通じて内閣に要求しておきましたが、さつき佐藤官房長官がやつて参りまして聞きましたら、そういう委員会の要求は聞いた覚えがないということを言つている。一体何たることだ。委員長は一体これをたれに要求されたのであるか。佐藤官房長官は聞いた覚えはない、今初めて聞いたと言つている。いやしくも佐藤官房長官たるものが委員会の要求を知らない、また吉田総理は委員会の再三再四の要求があつたのに、そのまま自動車で帰つてしまう。あとに残つているわれわれ委員は、吉田総理はもう來るだろうと思つてさつきから待つている。こんなばかげた状態が一体どこにあるか。しかもこの國家公務員法に対しては、全國六百万の組織労働者は、ほんとうの大きな関心をもつて見守つている。これは憲法問題と関連して、日本の民主主義の非常に大きな危機だ。そういう意味におきまして私は、暫時休憩を要求しまして、われわれの態度をきめたいと思います。暫時休憩せられんことを要求いたします。
#163
○根本委員 ただいま私赤松委員から、私の発言に対して、院議無視あるいは院議を侮辱したというような発言がありましたが、私の言葉にはそういうことは全然ございません。院議の事実については私も承知しております。但しこの國家公務員法の改正に関する法律の審議と給與の問題は、同時にやることは望ましいけれども、これが上程されないゆえに、この國家公務員法改正に関する法律案の審議を拒否するごときことがあつてはいけないのだ、こう言つている。從つて私の発言は院議を無視したことではない。この点だけを明らかにしておきたいと思います。
#164
○角田委員長 この際十五分間休憩いたします。
    午後五時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時八分開議
#165
○角田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 本日はこれにて散会し、明日午前十時より開会いたします。内閣総理大臣及び要求閣僚に対しては、委員長より明日午前十時出席せられるように、特に特に要求いたしておきますから御了承願います。
    午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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