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1948/11/30 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第15号
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1948/11/30 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 人事委員会 第15号

#1
第003回国会 人事委員会 第15号
昭和二十三年十一月三十日(火曜日)
    午前五時十八分開議
 出席委員
   委員長 角田 幸吉君
   理事 根本龍太郎君 理事 赤松  勇君
  理事 生悦住貞太郎君 理事 玉井 祐吉君
      淺利 三朗君    菊池 義郎君
      中野 武雄君    中山 マサ君
      野原 正勝君    平島 良一君
      菊川 忠雄君    島上善五郎君
      前田 種男君    松澤 兼人君
      米窪 滿亮君    高橋 禎一君
     長野重右ヱ門君    最上 英子君
      吉田  安君    大島 多藏君
      水野 實郎君    徳田 球一君
 出席國務大臣
        内閣総理大臣  吉田  茂君
        大 藏 大 臣 泉山 三六君
        國 務 大 臣 林  譲治君
        國 務 大 臣 大屋 晋三君
        國 務 大 臣 小澤佐重喜君
        労 働 大 臣 増田甲子七君
 出席政府委員
        内閣官房長官  佐藤 榮作君
        内閣官房長官  橋本 龍伍君
        臨時人事委員  山下 興家君
        臨時人事委員  上野 陽一君
        総理廳事務官  佐藤 朝生君
        総理廳事務官  岡部 史郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第七号)
    ―――――――――――――
#2
○角田委員長 これより開会いたします。
 前会に引続き、國家公務員法の一部を改正する法律案を議題としてその審査を進めます。
 この際御報告いたしておきます。高橋禎一君より民主党を代表して本案に対する修正案が委員長の手もとに提出されております。これは印刷物として諸君のお手もとに配付してある通りであります。以上御報告いたしておきます。
#3
○淺利委員 本案は連日審議を重ねましたので、この際質疑應答を打切り、ただちに討論に入り、議事を進められんことの動議を提出いたします。
#4
○角田委員長 淺利君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○赤松(勇)委員 議事進行について。御承知のごとく第三國会はいわゆる國家公務員法の問題と賃金ベースの問題を審議し、かつ國家公務員法の附属法案を審議いたしまする重大な國会であるのでございます。しかも本日一日の会期を控えまして、われわれは徹夜をいたしましてこの法案を審議をいたしておる。しかるにこの法案の提案者であり、その最高の責任者であります吉田内閣総理大臣が、本委員会に出席しないということは、すなわち吉田内閣総理大臣がこの委員会を軽視し、かつ國会の権威を無視しておるものと言わざるを得ないのでございます。そこで私は吉田内閣総理大臣の出席を要求いたしまして、そうしてこの委員会におけるいわゆる共通提案になりまする修正案、あるいは政府原案の討論、これらの詳細なる事情を十分お聞きくださいまして、われわれとともに審議を進められんことを望みます。從つて吉田内閣総理大臣の出席まで暫時休憩を要求いたします。
#6
○平島委員 ただいま吉田総理大臣の出席を要求する動議があつたのでありますが、すでにこの議案は総理大臣も出席いたしまして審議を済ましたのでありますから、私どもはその必要なきものと認めます。
#7
○角田委員長 この際運輸大臣から発言を求められておりますから、これを許します。
#8
○小澤國務大臣 ただいま赤松君からの要請もありましたが、この問題につきましては、すでに委員長よりの要請がありまして、ただいま迎えに行つておりますから、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
    〔「動議は先議だ」と呼び、その他発言する者あり〕
#9
○角田委員長 赤松君の動議に賛成の方は起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#10
○角田委員長 賛成者多数。よつて暫時休憩します。
    午前五時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午前五時二十三分開議
#11
○角田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 この際修正案について高橋君より説明を求めます。
#12
○高橋(禎)委員 きわめて簡單に本修正案提出を理由を申し上げたいと存じます。
 國家公務員法は、政府職員について適用すべき各種の根本基準を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で選択され、指導さるべきことを定め、かつ職員の福祉及び利益のため十分なる保護の手段を講じ、もつて國民に対し公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的とするものであることは申し上げるまでもございません。本修正案はこの法律目的の達成のために、政府提出の改正原案をもつてしては不十分と考えられる点について、それを修正いたしたのであります。この修正案の第一條は、政府原案によりますと、公務員の福祉及び利益のため十分なる保護の手段を講ずることを目的としておる法律であるにかかわらず、その点が明確にされておらないのでありまして、私はこの法律のこの点に関する目的を明確にいたしておきますこと、將來この法律運用に関する指導精神を明らかにしておくことが必要と存じまして、配付されております通りに第一條に、公務員の福祉及び利益を保護するため、適切な手段を講ずることを含むところの、各般の根本基準を確立するというように改めたのであります。すなわちここに本法案の欠点を補正いたしたのであります。
 その他の修正部分につきましては、大体本委員会において熱心に審議されたところでありまして、本委員会の討議の模樣から見まして、各委員ともこれに賛意を表せられるところのものであると、私は確信いたしておるのでありまして、本法案すなわち政府改正原案の許され得る範囲内において、最小限度の修正をいたしたわけであります。修正案をごらんくだされば、その意はおのずから明瞭であると存じますから、各逐條的の説明をいたすことは、時間の関係もございますので省略いたしたいと存じます。
 以上簡單に修正案提出の理由を申し述べた次第でございます。
#13
○角田委員長 これより本案並びに修正案を一括議題として討論に付します。討論は通告順にこれを許します。菊川忠雄君。
#14
○菊川委員 私は國家公務員法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、この二つに対して、日本社会党を代表して反対の意を表したいと存じます。
 國家公務員法の今回の改正の意図するところは、マ書簡に基いて、日本の國家公務員制度をより民主布に、能率的に改正するという点にあることは、われわれもマ書簡の趣旨について十分に了承いたしておるところであります。從つてわが日本社会党としましては、この書簡に接して以來、この趣旨に基いて、國家公務員制度の改正に対しましては、十分に愼重審議して、合理的かつわれわれの責任あるところの方針を持つて参つたのであります。その趣旨といたしますところは、マ書簡の趣旨を十分に具体化するとともに、一方においては、今日の労働段階に與えられておりますところの、基本的な人権を擁護し、さらに他面におきましては、日本の労働組合運動の健全な発展に資する、これによつてさらに一属日本の労働組合運動によりまして官廳の民主化が進み、また公務員制度がより能率的になり、さらにこれによつて官公廳全從業員諸君の幸福と福祉が守られて行くということを期する点にあつたのであります。その要点といたしましては、労働者の基本的な人権は、国家公務員の場合においても原則として尊重をせられなければならない。この原理は国家公務員制度の改正にあたりましても、常に一貫して尊重確認されなければならぬところであると信ずるのであります。
 第二は、日本の公務員は國家機関に一部として行動するところの、從來いわゆる官吏というほかに、勤労を提供することを主体とするところの、多数のいわゆる下級官公廳の從業員を含んであるものでありまして、これは特にアメリカその他のような、高度に発展したところの官公廳の制度とは異るところの、特殊な事情に置かれるのであります。でありますからこういう実情においては、勤労者の團結権、団体交渉、その他團体行動の権利という、これらの憲法における基本的な人権は、みだりに制限をすべきでないということをわれわれは信ずるのであります。
 第三の点としては、かような基本的人権を尊重すべきではありますけれども、今日國家の公益を擁護するために、政府職員に特別の制限が課せられるという場合もわれわれは認めるのであります。しかしながらこういう場合においては、單に制限を與えるのみならず、同時に政府に対して、常に政府職員の福祉並びに利益のために、十分な保護の身段を講じなければならぬ義務を負わせておるのでありますから、政府は公務員に対して生活を保障しなければならない。このことなくして國家公務員制度を改正いたしましても、場合によりますれば逆の効果を生むのではないかということを、おそれるのであります。
 第四の点としては、封建的な官僚主義を打破し、官廳機構の民主化をはかるということは、公務員の健全な労働組合運動の発展にまつところが大であります。これは從來の実績によりましても、何人も認めるところがあると思います。その運動の自由とその水準というものは、日本が國際的な協力の上に立つということを目標とする場合においては、廣く國際的に認められておりますところの勤労者の権利と照應して、常に考えられなければならないと思います。
 第五の点としては、公務員が公的な立場において、國家機関の一部として行動する場合には、公共の福祉あるいは全体の奉仕者、こういう建前から、個人として有するところの基本的な人権の行使と調和し得ないところの場合はもちろんございます。そういう場合においては、ただ漠然たる公共の福祉あるいは全体の奉仕者ということでなくて、あくまでも基本的な人権が、國家と調和し得ないところの條件が明確な場合において、これに対するところの制約が加えられるということを、われわれはやむを茂ないものとして認めるのであります。こういうふうな点から、常に國家公務員に対する、いろいろの基本人権その他に対するところの制限は、愼重に考えられなければならないということを信ずるのであります。
 こういう立場からわれわれは常に愼重に対策を考えて参つたのでありますが、その結果として今日の國家公務員法の改正案を見ます場合において、幾多の欠陷、幾多の不合理、さらに根本的な欠陷すらあるということをわれわれは認めるのであります。これを修正をすることなくしては、國家公務員制度の一部修正ということは、目的を達しないのであるということを信ずる次第であります。從つてこれに対する修正の事項としては、私どもはまず第一に、労働三法及び船員法を適用から除外するということには反対でありまして、むしろ從來通り労働三法及び船員法を適用すること、第二には適用範囲でありますが、この適用範囲においても、これをやはり現行法通りとすることはもちろんのこと、さらにその後のいろいろの経驗に鑑みまして、幾多追加すべきものがあると思います。第三としては人事院の民主化、さしあたつて規則の中の重要なものは法律をもつて規定し、または國家公務員法中に明記をしなければならぬ。さらにまた権威のある民主的な諮問機関を設けなければならない、こういう点をわれわれは考えるのであります。第四には政治活動の制限を撤廃をするということが必要であると考えるのであります。殊に政府職員が政党の地方投員となることを認めなければならぬ。また現在公選によつて公職にある者に対しましては、少くとも任期まではその兼職を認めるということでなければならないと考えるのであります。さらに罰則などを見ましても、これを逐條的に、あるいは一つ一つについて審議をいたしますならば、きわめてその間においては不均衡、不備の点が多いのでありまして、これを整備し、さらにまた全体を緩和するということが必要でありますが、特にこの中には、他の民間の労働組合運動において見られないところの、労働爭議をなしたがゆえに、これが処罰の対象になつているというようなことは、絶対にわれわれが容認し得ないところであります。また第六の点としましては、組合專從者を認めなければならない。これを少くとも人事化規則の中で明瞭にしなければならないということを考えるのであります。第七といたしましては、これに関連いたしますところの政令二百一号でありますが、これをやはり廃止をすべきである。これは從來すでに幾多の議論のある問題でありますけれども、從來の議論並びに行きがかりはしばらく措連ましても、この際これを廃止して、そうして單に國家公務員のみならば、地方公務員に対しても、この適用を免れしめるということでなければ、今後幾多の弊害が起るということをわれわれはおそれるのであります。
 最後に第一條関係でございますが、たとえば第一條におきまして、その目的においてやはり積極的に公務員の福祉、利益というものを保護するというふうに面が、十分に出なければならないということを考えるのであります。これらの点につきましては、すでに本案審議中におきましても、しばしば述べた点でありますから重複を避けます。從つて、私どもはこういう点からいたしまして、すでに先般國家公務員法の一部を改正する法律案に対するところの社会党の修正案を用意いたしまして、事務局まで提出をいたしておつたのであります。この内容は時間の関係上省略いたしますが、そのおもな点といたしましては、第二條のいわゆる適用の範囲において、十三という項目において、「現業廳、公團その他これ等に準ずるものの職員で、法律又は人事院規則で指定するもの」、十四に「單純な労務に雇用される者、」十五に「連合國軍の需要に應じ、連合國軍のために労務に服する者、」十三「國会職員及び裁判所職員、」十七「教仕職員」、これらのものは当適用を除外し、いわゆる特別職として明確に規定すべきであるということをわれわれは主張をするのであります。これらの理由につきましては、これは申し上げる必要もなく、すでにおわかりのことであると思うのであります。
 またその次には先ほど申しましたところの人事院の民主化という点からいたしまして、第二十六條の二として「人事院規則の定めるところにより人事諮問委員会を置く。人事諮問委員会は、人事院規則の制定、職員の分限、懲戒その他重要な事項について、人事院の諮問に應じ又はこれに建議するものとする。」そういう條項を当然入れるべきであるということを考えるのであります。
 さらにこの法案の眼目でありますところの第九十八條でありまするが、これはいわゆる團体交渉権の制限、團体協約の否認でありますけれども、私どもはこの條項に対しては、絶対に反対をせざるを得ないのであります。從つてこの九十八條は、改正規定は全部削除するということを主張いたすのであります。同樣に第百一條並びに第百二條の政治運動の制限につきましても、この改正規定は削除し、現行法でもつてとどめるべきであるということを主張いたすのであります。
 さらにそれに付随いたしまして、附則第十六條におきましては、労働三法並びに船員法の適用を除外するというがごときは不当であるから、当然削除すべきである。かように考える次第であります。
 こういうような点につきまして、詳しく申し上げますれば相当時間を要しますので、ここに提出を予定いたしておりましたところの修正案がございますから、これを朗読を省略して、議事録におとめを願いたい、このことを申し添えておきます。かような事情で、わが日本社会党におきましては、根本的な修正案をもつて臨む用意をいたしておつたのでありまするが、本日午前四時ごろに、突如として衆議院議長より議院運営委員会に対するところの申入れによりまして、ある特殊の事情のために、この社会党の修正案は遂にこの委員会に提出することの不可能な事情に立つ至つたのであります。かような事情からいたしまして、私どもはこうした修正案をもつて臨むべきであるにかかわらず、この一部を改正する法律案、並びにこれに対するところの修正案、この二つに対して、わが党自身の信念をもつて主張するところの修正案を提出して、本委員会に審議を仰ぐことができない。かような事情に立ち至りました以上は、この不備なるところの改正案、並びにこれに対するところの不満足なるところの修正案、この二つに対しまして、われわれは十分の審議ができないということを信じますので、ここに本案に対しましては、わが社会党といたしましては二つながら反対をいたす次第であります。私どもは今日の内外の情勢をいろいろと檢討いたします際において、刻々とわかりつつあるところのこの情勢の中において、今日のこの一部改正案並びに修正案、かようなものはやがて近き將來に、わが党の主張するがごときところの、根本的な修正案によつて立て直さなければならぬところの時期が必ず來ると思うのであります。(拍手)われわれはこの國会の権威のためにも、また將來日本の労働対策の健全を世界に示すためにも、さらに日本の公務員制度の明確なるところの擁護のためにも、絶対にわれわれの信念を曲げることができないのであります。かような立場からいたしまして、根本的修正を持ちながら本案に反対をいたす次第であります。
#15
○角田委員長 根本龍太郎君。
#16
○根本委員 私は民主自由党を代表いたしまして、民主党の高橋君提出の修正案に賛成し、修正案を除くその他の政府原案に賛成いたすものであります。理由につきましては、時間の関係上これを省略いたします。(拍手)
#17
○角田委員長 水田實郎君。
#18
○水野委員 私は社会革新党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする國家公務員法の一部を改正する法律案、及び民主党の修正案の二つの案に対しまして、反対意見を述べるものであります。
 一昨々日二十七日、野党各派の共同提案をもつて、本改正案と、公務員の賃金ベースを含む追加予算とは不可分のものであるという、すなわち同時審議すべきものであるということが、本会議におきまして可決決定されていることは、諸君も御承知の通りでございます。しかるに追加予算案は昨晩六時ごろ、政府があわてふためいて出したものでありまして、從つてその内容の檢討もできず、ちよつと拜見すればきわめてわけのわからないものでありまして、なお賃金ベースもいまだ未確定であるようであります。從つてかくのごとき重要法案を審議半ばにして可決するということは、國会の権威のためと、國民に対する忠実なためにも、断じて反対せざるを得ないのであります。
 第二に本改正案の内容を見ますると、國家行政組織法である三権分立をきわめてあいまいにする人事院制度というがごときものができはしないかと思われる、独裁的な箇所がきわめて多く、非常に独断的であります。重大なことは立法権から一方的に司法審議権の内容を制限しようとしております。これは改正原案の第一條の四項を御覽になればはつきりわかると思いますが、「この法律のある規定が、効力を失い、又はその適用が無効とされても、この法律その他の規定又は他の関係における適用は、その影響を受けることがない。」とされております。新憲法によりますると、第八十一條に最高裁判所に法令の実質的な審議権が認められております。そうしてこの法令の実質的な審議権というものが、單に個々の具体的な場合にとどまるのか、それとも一般的な効果を持つかということに関しては、東大の宮澤教授の説によれば、そういう実質的な審議権というものは、一般的な確定的な効力を持つのだという有力なる学説もあるのであります。そうして新憲法において、司法権の独立ということを尊重する限りきわめて重大なことであります。また第五項に「この法律の規定が、從前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には、この法律の規定が、優先する。」というふうに、これまた立法権の側からいえば、いかなる法律でもつて司法権が活動するかということは自由である。それなのに一方的にそういう制限をやつております。これは立法権の優越という新憲法における一つの原則を利用いたしまして、行政権がきわめて独断的なる宣言をなしたと見られるのであります。同時に労働者の基本的人権が無視されている点、あるいは公務員の正当な立場において獲得された既得権の消滅とか、労働三法より除外されているとか、政治活動の制限は追放者と同じような立場に置かれているのであります。憲法によつて保障されておる官業労働者の基本的な権利を抹殺し、民間労働者にまで影響せんとするものであり、独立資本家の擡頭の前夜の観を看取し得るのであります。
 次に私は官廳民主化の立場から見ましても、終戰以來今まで、全官公廳の大多数を占める勤労する諸君が労働組合をつくつて、役所の民主化がされつつあることは事実であります。そういうふうな趨勢がまた元の状態にもどつてしまうことは、非常に重要なことではないかと思うのであります。とにかくわれわれは極東十六原則並びに日本憲法に明示されたところの、労働者の基本的権利をあくまでも確保すべきであると思います。しかして日本の民主化に寄與すべきであると信じます。本改正案並びに民主党の修正案に指摘する点は数限りなく修正箇所は残つておるのであります。しかも人事院規則の定むるところにより、あるいは人事院指令という箇所が五十数箇所もあるのであります。本法によつて人事院に委任立法をさせるようなことになつておる。実に重大であると思うのであります。また一面にはわが國官僚制度と、官吏の非能率的なものも、率直に認めなければならないのでありますがゆえに、私は本案は十分を愼重審議を経て、また追加予算案も檢討いたしまして、よりよき改正案をなすべくわが党に用意があるので、本案は第四國会劈頭再提案を要求するものであります。從つて現在の状態では、本法正案には反対をするものでございます。
#19
○大島(多)委員 私は國民協同党を代表いたしまして、國家公務員法改正案並びに民主党の修正案に対しまして、わが党の所見を申し上げます。
 ただいま上程になつております政府原案は、これを詳細に檢討いたしますと、その構想においてまことにずさん、その内容においてまことに苛烈、立法史上まれに見る法案でありまして、にわかに賛意を表しがたきものがあるのであります。本法案が一度天下に公表されるや、社会の各方面から、勤労大衆のあらゆる部面から、あらゆる労働者團体からの改惡反対の声がごうごうとして起り、ちまたに満ちたのであります。ちようど衆議院におきまましての公聽会で席上でも、一部資本家の代表を除きましては、その大多数の公述人は、政府原案に対してその不当を指摘したのであります。各組合代表は申しに及ばず、中労委の代表も、学識経驗者の代表の人たちも、一齊にその非を攻撃したのであります。しかしわれわれはここに一面深く反省しなければならぬものを見出すものであります。何がゆえにかかる法案が提出されなければならなかつたかということであります。敗戰後の致命的な経済的苦境と、そのことから必然的に起り來つた道義の頽廃と、個人生活の極度の窮乏は、一部急進分子の煽動もあり、ややもすれば良識を失い、常軌を逸し、公務員にしてその使命を忘れ、國家を急殆に瀕するの懸念さえも生ぜしめるに至つたのであります。かかる結果、事ここに至りましたことを、われわれははなはだ遺憾に思い、かつ悲しむものであります。同時に事ここに至りましたことは一つの生存権を脅かされた悲惨な事由に基くものであるとも認めるものであります。
 かかる反省と認識において本法案を檢討いたしまするときに痛感することは、本法案は公務員に対し求むるところはなはだ多くして、與うることはなはだ少いことであります。すなわち生活権保障の薄弱なるに比して、その負担のみいたずらに重きことであります。さらに重大なることは、この憲法に保障される数字の基本的人権を侵害するものではないかと思われるごとき規定を発見することであります。さらにまた公務員といえども、本質的には一般労働者と何ら異なるものでないにもかかわらず、その職権のゆえに、一般労働者に比しあまりにも嚴格なる拘束を強要されるものと思われる点があります。
 教育に関しては特に重大なる関心を有するわが党として痛感することは、教職員を本法案により実施することの不当なることであります。まことに遺憾に思う点であります。教職員はその本來の使命からいたしましても、教育の本質的目的からいたしましても、本法案の適用の対象とすることには、幾多の困難と不合理があるのであります。さらにまた公務員なるがゆえに、その團体協約を締結することの権利を奪われたるごとき、また政治活動の全面的禁止は、わが党のいかにしても納得し得ざる点であります。はなはだ遺憾とするところでありますが、さらにまた本法に列記せる罰則は不当に重きに失し、公務員としていたずらに萎縮せしめ、かえつて低能率を來す憂いなしとしないのであります。次に人事院のことに言及しますると、その権限のあまりに強大にして、一朝その運用を誤らんか、官僚フアシヨの危險を招來する憂いなしとせず、何らかの愼重なる考慮の余地を有することは、万人の認むるところであります。
 以上数々の不満の点を列挙しながら、なおかつわが党の最後的結論としては、本法案に対し賛意を表せざるを得ない理由は、かかつて緊迫せる客観情勢にあるのでありまして、わが党としてはまことに認びがたきものがあるのであります。よつて本案に対しては、最近の國会において根本的な修正案を提出する権利を保留して、政府原案並びに修正案に賛成する次第であります。
#20
○角田委員長 玉井祐吉君。
#21
○玉井委員 私は労働者農民党を代表いたしまして、國家公務員法を一部修正する法律案、並びに民主党提案の修正案、その両者に対して反対の意思を表明するものであります。この法案はすでにたびたび審議せられた、アメリカのいわゆるスポイル・システム自体を排除しようとする、アメリカの國家公務員法を輸入した形において提案されておりますけれども、わが國においてはかような制度は、今もつて存在したことはなく、同時にわが國の現在の実情に合致しないものがあるからであります。
 さらに第二にこの法案は、公務員制度を政党の権力のそとに置くことを目的としておりながら、事実上その結果おいては、かえつて國会の権力自体が制限されるような形を呈するからであります。
 その次に、この人事院が行政官廳の一部に属しておるのにもかかわらず、さらに司法権の一部である裁判所職員、並びに國会職員にも、その威圧を加え、同時に行政権の優位を誘起し、その結果日本の國の、現在行われておるところの民主的な制度に対して、大きな影響を與えることを考えなければならないのであります。
 次に反対する理由の一つといたしまして、われわれがこの人事院規則を見た場合に、この人事院規則は、さつきの水野君の方において指摘されたように、廣汎な委任事項をまかすものであつて、憲法上当然認めらるべきものではなくして、むしろこの人事院規則は、法律の手続によつて行わるべきであるにかかわらず、この点が留保されておりません。
 次に、公務員は第百二條の規定において、廣範囲に政治活動が禁止されておりますけれども、憲法上認められた集会の自由を剥奪する等のごときは、絶対に許しがたいものである。むしろわれわれとしては、單に、勤務時間において政治活動をなすべきではないという程度の制限にとどめるべきものではないかと考えておるのであります。
 さらに、労働者が團結して労働者が團結して労働する権利は、資本主義的な機構のもとにおいて、低賃金、労働強化並びに自由なる首切りに対抗するところの、一つの正当防衞の権利として認められておるものであり、同時に、この公務員法を見た場合に、それらの点がいささかも保障されてはおらない関係上、あくまでも労働三法その他は、当然公務員にも認められなければならないと考えておるわけであります。
 さらに、働く公務員制度自体、その確立の趣旨はまことに賛成する次第であります。しかしながら、人事委員会が人事院となり、官僚勢力の温存をなし、その結果日本の官僚主義的な傾向をさらに強めるおそれがあるものである。むしろこの際、一つの民主的な代表――人事官並びに公務員代表等をもつて、一つの諮問機関制度を置くべきであると考えておるのであります。
 次に、第百三條において「私企業からの隔離」といたしまして、かつて公務員として奉職しておつた者が、五箇年間勤務しておつた職務と密接なる関係のある職務に関しては、二箇年の間は就職してはならないという規定があります。しかしながら自由なる首切りが認められておるのにかかわらず、かような規定をおくということは、実に公務員法自体が、しかもその自由なを首切り自体の中に、病氣のため、あるいは公務傷害によつても首切りが行われるようなことがあります場合には、職を離れた公務員自身の今後の生活というものを、いささかも考慮していない点であると考えざるを得ないのであります。しかして罰則全体に対しては、われわれとしてはむしろ酷にすぎるものである。かえつてこの罰則は排除し、單に公務員としての関係を離れるべきであるというように理解しておるのであります。
 以上の観点を通じまして、現在提案されておる政府原案並びに民主党の修正案のいずれにも反対するものであります。同時に申し上げておきたいことは、予算の賃金ベースの問題並びにこの公務員法に反対の意向というものは非常に強く、特に先ほども指摘されたように、同時審議の院議がなされておる関係上、やはりわれわれとしてはかような取扱いに対しては賛成しがたいものが多々あるのであります。ただいま私の机の上にありますところの請願書自体は、これは宇都宮の國鉄の諸君の家族を加えて約七万人の人々の署名である。同時にこの中には、七千三百円ベースを維持せられて、保障してほしい――生活が困るという点と同時に、ただいま申し上げましたような諸点に関する國家公務員法全体に対する反対の意向というものが盛られた陳情書であります。
 以上の点から私どもがこのたびこれに反対し、同時にわが党といたしまして、独自の立場において修正案を提出いたしましてけれども、この修正案も各種の事情によつて、提案することができなくなつたわけであります。しかしながらこの修正案の一部のうち、特に重大な点は、ただいま申し上げた最も重大な点に関して、この修正案を起草しておいたわけであります。現在事務の方におきまして、この修正案が保管されておりますので、後ほど政府におかれましても、一應ごらんをいただきたいと思うのであります。私どもは、この法案を通じて日本の民主化の立場から、こういう法案に対しては絶対に反対するということを表明する次第であります。
#22
○角田委員長 徳田球一君。
#23
○徳田委員 私は日本共産党を代表しまして、政府の提出しておりますこの改正法案、また民主党の出しております修正案に反対である。のみならず、こういう公務員法というものは、かけらさえも残してはいかぬ。全部一掃すべきものであると信ずるものである。
 そもそもこの公務員法というものは、公務員の一切の権利を奪い、これをおりの中へ入れて、そうしてこれを奴隸にしようという政策である。何らこの公務員法によつて益するところのものはない。すべて社会の進歩を害するのみならず、日本の現在の経済においても、この公務員法のあることは、日本経済を破壞するものである。日本の経済を破壞するのみならず、日本の政治を破壞し、腐敗、墮落させ、日本の社会をまつたく壞滅に導くものであると信ずるのである。そもそもこの公務員法につきまして、これを制定するにあたり、また改正するにあたりましても、公務員を保護すると言われておる。しかし一体この法案を見て、どこに公務員を保護している点があるか公務員の一切の権利を奪いながら、何で保護ができる。この点につきまして、さらに私は今度出された予算を見なければならぬ。これは院議によりましても、この公務員法は予算と並行して審議すべきであるということを決定しておるにもかかわらず、これは今さつき出て來たばかりであり、ちつともこれと並行して審議されておらぬ。しかるにここにおきまして予算を見ますと、これは三千七百九十一円の水準を、約四割引上げるため必要な経費を盛るということになつておる。でありますから、これは五千三百七円四十銭ということになつておる。五千三百七円四十銭で今実際食えますか。人間を食えなくしておいて、どこに保護がある。組合があるのは、この食えなくせられることに対して鬪爭して、そうして食えるようにすることにある。食えるようにしない限り社会は腐敗する。現に今高級官僚もみんな腐敗墮落しておる。幾多の不正事件がどんどんわいて來ている。不当取引委員会は忙しくてたまらない。きようもまたやるのであるけれども、実にたくさん、もうほじくればほじくるほど、たくさんある。実際現在におきましても、下の方の職員は、過剩労働をしても手当ももらわないのに、上の方のやつは、過剩労働もしないのに、したことにしてどんどん金をもらつておる。これは今逓信省関係でも、國鉄でも、またほかの官廳でもどんどん現われておる。こういうことをしておるのに対して、労働者が團結をしてこれに抗議をしないという法があるか。この抗議をする一切のものを、この公務員法において窒息せしむる。あらゆるものでこれをしばつておいて、少しでもこれに反対すれば、すぐ監獄へぶち込む、すぐ罰金をとる。そういうばかなことが一体どこにある。それでもつてどうして公務員を幸福にすることができますか。こういうことをすれば、結局政府の行政は腐敗しなければならない。この腐敗したものをいかに人事院が試驗をするとかいい、成績を見るとかいい、ありとあらゆる監督をしても、絶対できるものではない。人間は食えなくなれば、いかなることをするかわかるものではない。食えなくなつたときには、同じ人間の肉さえ食うではないか。そういうような、人間が人間の肉を食うほどの窮乏に陷れることが、どうして幸福だと言えるか。さらにわれわれはもつと考えなければならぬ。なぜならば、この予算におきましては、実にひどいことが書いてある。というのは、こういうわけである。これには歳入におきまして、源原課税の所得税、すなわちこれは主として労働者階級からとる所得税でありますが、これが四八・五%、すなわち大体五〇%増である。また入場税のごとき、これも主として一般大衆が納めるのであるが、これも三三・五%ふえる。それから世の中を腐敗墮落せしめるところの馬券税のごときは、一九〇・五%ふえる。
#24
○角田委員長 徳田君に御注意申し上げます。この際討論の趣旨を進めてください。
#25
○徳田委員 すなわちその討論の趣旨は、この予算が大衆を搾取するという点において、一層の犯罪をしておるという点をわれわれは述べなければならぬ。さらに、この予算におきましては、こういうことを言つておる。給與の予算の不用額が七十七億円、これだけこの前に使われなかつたものを予算にもどしておる。これを見ますと、実際予算定員より実定員が非常に少いこを意味しておるのである。これは実際上首切りということを現わしておる。民自党吉田内閣は、いかに首切りが好きであるかを、よくこの予算が示しておる。さらにわれわれが見なければならぬのは、この人間がふえておる点におきまして、昭和七年を一〇〇といたしますれば、勅任いわゆる一級官は六五四、すなわち六・五四倍にふえておる、二級官もまた六一七、すなわち六倍にふえておるのに、三級官、すなわち判任官は三二七にしかなつていない。すなわちふえ方がだんだん下りまして、判任官はずつて少い。雇その他のものは政府から資料が出ておりませんが、おそらくもつともつと低いに違いない。しかも実人員が少い。それは何を意味するか。それは労働者に対していよいよますます労働強化をし、いよいよますます過剩労働時間を課し、そうしてこれを実際上死に至らしめつつあることを意味する。しかもこの過剩手当をくれないのである。現在肺病の状態などもどんどんふえつつある。そのほかからだの状態もずつと惡くなりつつある。こんなことをして公務員が幸福になるか、日本民族全体が自滅することになる。いわんや憲法においてわれわれが有する権利……。
#26
○角田委員長 簡單に願います。
#27
○徳田委員 すなわち憲法が規定しておるものを、こういう法律でもつて剥奪し、さらに人事院規則で剥奪することになつておる。でありますから、われわれはもつと言いたいことがたくさんあるけれども、そんなことを爭つてもしかたがないから、これだけにとどめておきますけれども、この公務員法を施行することは実際できないと思う。これをやれば日本が崩壞するからである。行政も何も崩壞するからである。だからこの公務員法は、実際は形式的な形ばかりになる。すでに政令二百一号でさえ形ばかりになつておる。実際実行できないのである。この政令二百一号はポツダム宣言違反である。労働組合十六原則にも、憲法にも違反しておることは世界的に定評のあるとことである。いわんや公務員法が世界の民主主義的方向に反しておることはもちろんである。從つてまた講和促進もむだになる。平和促進を院議においてやりながら、一方においてこういうことをすることは、日本民族をして世界の仇敵に持つて行くことになるから、われわれはこれに反対である。われわれはこれに対して鬪爭するであろう。
#28
○角田委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これよれ政府原案並びにそれに対する修正案を一括議題として採択いたします。
 採決の順序はまず修正案について採決した後、原案を採決いたします。
 それではこれより採決いたします。高橋順一君提出の民主党修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#29
○角田委員長 起立多数。よつて本修正案は可決いたしました。(拍手)
 次にただいま修正と決しました部分を除いた政府原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#30
○角田委員長 起立多数。よつて政府原案は修正案のごとく決定いたしました。(拍手)
 この際本案に関する委員会の報告について、おはかりいたします。これを先例によりまして委員長及び理事に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○角田委員長 御異議ないと認めます。それでは委員長及び理事において作成した上、議長に提出することにいたします。
 これにて暫時休憩いたします。
    午前六時十九分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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