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1948/11/18 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 厚生委員会 第3号
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1948/11/18 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 厚生委員会 第3号

#1
第003回国会 厚生委員会 第3号
昭和二十三年十一月十八日(木曜日)
    午後一時三十一分開議
 出席委員
   委員長 佐々木盛雄君
   理事 大石 武一君 理事 田中 松月君
   理事 山崎 岩男君    庄  忠人君
      村上 清治君    角田藤三郎君
      武藤運十郎君    師岡 榮一君
      小野  孝君    成島 憲子君
      榊原  亨君    松谷天光光君
 出席政府委員
        厚生政務次官  庄司 一郎君
        厚生事務官   慶松 一郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
十一月十六日
 國民健康保險診療施設に対する國庫補助増額の
 陳情書(長野縣北安曇郡陸郷村國民健康保險組
 合理事長廣澤輔一)(第一六五号)
 地方衞生研究所及び保健所経費に関する陳情書
 (京都府知事木村惇外九名)(第一八八号)
 消費生活協同組合法施行に伴う府縣事務費國庫
 補助の陳情書(京都府知事木村惇外九名)(第
 一九二号)
 國民健康保險診療施設に対する國庫補助増額の
 陳情書外四件(富山縣西礪波郡太美村國民健康
 保險組合長中山常次郎外十名)(第一九八号)
 國民健康保險診療施設に対する國庫補助増額の
 陳情書(福島縣岩瀬郡大屋村役場内大屋村國民
 健康保險組合直営診療所)(第二一三号)
 富士箱根國立公園施設拡充等に関する陳情書(
 富士箱根國立公園地方委員会長神奈川縣知事内
 山岩太郎)(第二二一号)
 國民健康保險拡充強化に関する陳情書外五件(
 福島縣西白河郡古関村國民健康保險組合代表熊
 崎新右エ門外五名)(第二四九号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 麻藥取締法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第二〇号)
    ―――――――――――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 まず麻藥取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。田中松月君。
#3
○田中(松)委員 私前回の委員会には、同じ厚生関係の法案のことで某方面に相談に行つておつたために、質疑をすることができませんでしたので、ここでお伺いいたします。
 まず一番に、この法案を一部改正しなければならぬようになつたのは、厚生省当局の方の都合でこういうぐあいにしたいという発意があつてなつたのか。それともここに配られました資料の上から見ますと、刑事訴訟法が一部かわつてきたので、そのために受動的にこちらの方にこういう処置をとらねばならぬようになつたのであるか、この点についてひとつ御説明を願います。
#4
○慶松政府委員 ただいまの御質問は、今回の改正が厚生省からの発意によるか、あるいは他の法令その他の関係上、改正しなければならないことになつたのかという御質問でございますが、これは後段におつしやいました通りで、ここにございます通り、刑事訴訟法が改正になることによりまして、やむを得ず改正せざるを得なくなつた、こういうことでございます。
#5
○田中(松)委員 そういう御都合であつたならば、厚生省の関係当局にそういう点をお尋ねし、意見を述べることはあるいは妥当でないかもしれませんが、日本には嚴然としていわゆる警察権というものがあります。今までの欠点を補うて、今日では國家警察、地方警察、こういう今までよりも進歩した警察制度ができておる。ところが一方におきましては、すでに既存のものとして鉄道公安官、あるいは経済査察官というような、どう説明いたしまするか、屋上屋を重ねるというか、あるいはせつかく一方において嚴然たる警察制度があるのに、同じような性格を持つたものを並べるというか、そういうかつこうになつておるところに、またここに麻藥取締員、次いではこれは厚生省には関係外のことでありますが、逓信関係の方でもあるいは逓信監察官というものができるとかなんとか言つております。そうすると、將來これが例になりまして、いろいろな方面にこんがらがつた複雜な弊害を起すようになるのではないか。これも厚生省とは直接関係はありませんけれども、税務官吏に警察権を持たせるというような問題も起つて來るでありましようし、特にそういう点を考えますと、今受動的にこれをかえなければならぬようになつたとおつしやるのでございますから、その点についてはやむを得ぬとも思いますけれども、この法律を改めるにあたつて、われわれの意のあるところだけをはつきりとしておきたいと思うのでございます。ややもすると、こういう場合いろいろな弊害を伴う。そういう警察権を持たしたほんとうのねらいをはずれて、別な方面にこれを使う。直接麻藥取締りにあたつて申し上げることは、いろいろな誤解も起しますので控えますが、たとえば不正な手段をやつている大きな勢力を持つている者のところに税務官吏が行く場合、何かそういう警察権的なものを持つていないと、どうにも捕捉のしようがない。そういう面に向けて使うのはよろしゆうございまするが、ややもすると、それがそういう方面に向わずに、大衆の弱い者の方に、いわゆるおどし文句として使われるという弊害が起つて來がちである。この麻藥取締員の問題につきましても、ともすると、そういう弊害が起るのではないか。こういう点を憂慮するものでございます。一方において警察制度が嚴然としてあるのに、この問題だけにこういうものをつくらなければ、どうしても麻藥取締りの実をあげることができないのかどうか、質問は長くなりましたけれども、お答えはその最後の一点だけでよろしゆうございます。こういうような制度を別に持たなければ、ほんとうに取締りの実をあげ得ないのか、いわゆる現行警察制度のままでは十分取締りができないのか、この一点だけをお答え願いたいと思います。
#6
○慶松政府委員 ただいまの最後の御質問の点につきましてお答えいたしますが、麻藥はきわめて特殊なものでございます。從いまして特殊な知識技能を必要とする。こういう意味から、麻藥に関しまして、特に別に司法警察権を持つた人間を必要とすることをわれわれは痛感いたしまして、すでに從來から刑事訴訟法に基いて麻藥に関してのみ司法警察権を持つた人間を任命いたしておるのであります。なおつけ加えますと、この運用については十分な注意をこれまでも各麻藥取締官に対しまして通達しておるのでございますが、さらにこの法案を通していただきますれば、あらためましてその点につきましても十分な注意をいたす所存でおります。
#7
○田中(松)委員 これは何と申しますか、警察制度の完備していないような國があるとするならば、いわゆる映画なんかに見るようなギヤングが横行するような未開の大陸的な所では、何かそういう必要もあるように思われますけれども、國内において特に小型の武器を持つて取締りをせねばならぬような必要があるかどうか。麻藥を取締るには、今おつしやる特別の技術というか、知識を持つていなければできないから、一般警察官ではどうも徹底することができない。その一点については納得が行くようでありますが、事実小型の武器を持つていなければ取締りができないというような、われわれが常識で考えられないような、映画で見るようなそういうことが現在ありますか。あるいは將來あり得るような御懸念があるのでございましようか。これは質問がまことに幼稚でございまして、綿密な調査をするためには、そういう特別な取締りが必要であるという点はわかりますけれども、小型の武器を携帶するという、そういう面における取締りの必要があるかどうかということについては、どうも疑いをはさむ次第でございます。この点について伺いたい。
#8
○慶松政府委員 ただいまの小型の武器を携帶する必要ありやいなやということに関しましては、実例をもつて御説明した方がよいかと存ずるのであります。それは大体この麻藥関係の犯罪が特に多うございますのは兵庫あるいは神奈川、あるいは東京、大阪等のごとき、港を控えました都市あるいは大都会に多いのでございますが、それらの地におきまして、從來の麻藥統制主事が臨檢をいたしました際に、ピストル等を突きつけられました例がこれまでに数回ございます。また麻藥統制主事にして、麻藥の密賣者と申しますか、そういつた者につけねらわれまして、ピストルを現に射たれた者も二例ばかり兵庫縣と東京都にございますので、從いまして、小型の武器と申しますのは拳銃のつもりでございますが、そういう正当防衞に限り、これを使用し得るような意味で持たせたいと存ずるのであります。但しこれにつきましては、厚生大臣の告示等で、この職務執行に際しましては、言葉はどうなるかしれませんが、自己の危險が予想される場合に限つて小型武器を携帶することを許す、しかもその使用は正当防衞あるいは緊急待避に限つて使用し得るのである等のことを、はつきりした形で示したいと存じておりますので、さよう御了承を願います。
#9
○田中(松)委員 新しく加えようとする第五十二條の二、「麻藥統制主事の中から、合計二百五十名を限り、麻藥取締員を指名する。」とありますが、まず麻藥統制主事の人員であります。これは荒数字でよろしゆうございますが、現在大よそどれぐらいあるのでございましようか。
#10
○慶松政府委員 麻藥統制主事は各地方長官が任命しておりますので、私どもの方に現在までわかつておりますのは、大体二百四十名ばかりでございます。
#11
○田中(松)委員 それはもちろんはつきりした数字でなく、想像でよろしゆうございますが、今おわかりになつている二百四十名という数であらかた押えられたおつもりでしようか。それとももつとふえて、五百も千も事実上あるのではないかというようなお含みでしようか。
#12
○慶松政府委員 大体今申しました程度でございます。
#13
○田中(松)委員 そうすると、この麻藥統制主事二百四十名か二百五十名の中から、合計二百五十名を限りというのは、言葉をかえると全員麻藥取締員に指名したというかつこうになりますが、指名されたいわゆる新しい麻藥取締員というものが二百五十名程度できる。そうすると差引麻藥統制主事はゼロになりまするが、この際、その麻藥統制主事が麻藥取締員という性格を持つようになるのか、あるいは麻藥取締員というものができると、その空白になつた麻藥統性主事は新たに補足する。具体的に言いますと、麻藥統制主事が二百五十名、麻藥取締員が二百五十名、合計五百名、こういうぐあいに増員を意味するのでしようか。
#14
○慶松政府委員 まず最初にお答えいたしますことは、何ら実質上の増員にならないということであります。と申します趣旨は、もちろん從來の麻藥統制主事なるものは定員がございません。從つてこれは二百名になるか、あるいは三百名になるかしれませんが、しかしながらそれは地方の、具体的に申しますと麻藥を今取締つております各地方廳における藥務課員なるものが麻藥統制主事に補せられるわけでございまして、その中から特に司法警察権を持ち得る人間を二百五十名麻藥取締員に任命する、こういうことになるわけでございます。さよう御了承願います。
#15
○田中(松)委員 失礼でございますが、私、のみ込みが惡くてわかつたような、わからないような氣持がいたしますが、人員が限つてないとおつしやるのは、これは都道府縣の方でそういうぐあいに任命するのであるから、よくわからないというお含みであろうと思いますが、私が聞きたいのは、一々こまかい数でないでもよろしゆうございますが、新しく麻藥取締員というものを指名するようになると、その分だけ増員になるような氣持がいたします。いわゆる麻藥統制主事でありながら麻藥取締員になるのであつたら、ふえませんけれども、二百五十名が三百名であつてもよろしゆうございます、五百名であつてもよろしゆうございます。とにかく五百名程度の麻藥統制主事がいるその中から二百五十名を選び出して、麻藥統制員を指名する。そして二百五十名指名したその数字だけはあとで補填するようになると、実質上はこれは増員となるような氣持がいたしますが、一名、二名ならとにかく、こういう二百何十名というような人たちが増員になると、これはただ單に麻藥取締法というような局限した面からだけでなく、もつと大きな國策の面からひとつ吟味しなければならぬような氣がいたします。というのは、今日日本の限られたる乏しい経済の中から、官公吏の方々の生活を安定させるためには、いわゆる血を流すような首切りはいけませんけれども、自然に減るのはそのままにして置いて、その分だけをむしろ予算を浮かして他の人たちを優遇する、あるいはよつぽどの事情がない限り、新しく増員して、予算をその方面にまわすようなことは控えなければならぬという、大きな國の経済という面から盲、考えてみなければならぬ問題が起つて來ますので、この点を執拗にお尋ねする次第でございますが、ただいまの御説明では、私の勘が鈍いので、どうも実質上増員にならないということがのみ込めませんので、そういう点をお含みの上、もう一度どういうわけで実質上は増員にならないかということを御説明願いたいと思います。
#16
○慶松政府委員 これは現在においても麻藥統制主事なるものが地方廳にございまして、その中で司法警察権を使用し得る者は二百四十名で、全部じやないのです。從いまして今回におきましても何らその点がかわるわけではございません。從つてこれは別に新たに二百五十名の人間をつくるわけではございませんし、また新たに麻藥統制主事をつくるわけではございません。
#17
○田中(松)委員 それではこういうぐあいに了解してよろしゆうございましようか。麻藥統制主事というものがある。その中から二百五十名程度を限つてその人たちにいわゆる小型の武器を持たして、麻藥取締りの実務に当らせる。いわば二本建の名前をつけるならば、今までの麻藥統制主事が小型の武器を持つてそういう取締りをするようになるから、麻藥統制主事であり、かつ麻藥取締員になる、こういうぐあいに了解していいのでしようか。しからば増員がないということが納得できますが、麻藥統制主事の中から二百五十名を限り麻藥取締員を新たにつくる。そうすると麻藥統制主事の空白になつたものは別な形で埋めると、これはどうしても増員にならざるを得ませんが、私が今申し上げるように了解していいのでしようか。
#18
○慶松政府委員 ただいま田中委員のおつしやつた通りでございます。
#19
○田中(松)委員 了承いたしました。
#20
○松谷委員 ただいまの田中委員の御質問に関連いたしまして、末梢的なことでありますが、ちよつと伺つておきたいのは、ここに小型武器を携帶させるとございます。先ほどの御説明でも大体拳銃を携帶させるというお話でございましたが、これはすでにできております公安官にも武器の携帶が実質上まだできておらない。それはやはり武器の数の不足によるということを私はかつて伺つたことがありますが、はたしてこの麻藥取締員が携帶する武器がすでに現在あるのか、あるいはその筋の援護がもうすでにととのつておられるのかどうかを伺いたいと思います。
#21
○慶松政府委員 正直なところを申しますと、ただいままだございません。その点は目下その方面と折衝中でございます。
#22
○松谷委員 いつごろから実施なさる大体のお見込みですか。
#23
○慶松政府委員 ここに法案に書いてございます通り、一月一日からでございますけれども、もちろん全部の麻藥取締員が常に拳銃を必要とするわけじやございませんので、必要とする場合は、私どもの想像ではそうたくさんないと存じますが、その都度融通してもらうということもできやしないかとも考えております。
#24
○松谷委員 そういたしますと、常時携帶というわけじやないのですか。
#25
○慶松政府委員 その通りでございます。
#26
○松谷委員 常時携帶でないといたしましても、少くともその職務執行にあたつて武器の携帶を許されるということになりますと、先ほど田中委員からの御質問にもあつたように、これを濫用するというようなおそれも多分に出て來るのではないかと思いますし、あるいはまた先ごろ起りました平澤事件の問題のような間違いも出て來るかもしれんという可能性は存在するわけでございますので、主事を取締員として新しく任命なさり、新しい権限を與えられる際に、特別の何か檢査なり、調査なり、あるいは資格審査なりというものをなさるのでございましようか。
#27
○慶松政府委員 もちろん從來の麻藥統制主事にも司法警察権を與えておつたのでございますが、それらにつきましても、その任命につきましては嚴重な資格審査が行われ、かつこれに対しまして非常に嚴格な訓練が行われております。そういう意味で、もちろん訓練あるいは資格審査、さらに任命にあたりましても十分な注意その他を加えますが、まず間違いがないと私どもは信じております。
#28
○田中(松)委員 伺い漏れましたが、第五十三條のいわゆる麻藥統制主事という字句を麻藥取締員に改める。この点でありますが、麻藥統制主事が全員麻藥取締員になるならそれでよろしゆうございますが、この改正の字句の通りでございますと、麻藥取締員にならなかつた麻藥統制主事は、この五十三條の権限が消滅するようになりますが、この点それでよろしいのですか。
#29
○慶松政府委員 それはこの方が大体私ども正しいと思つております。と申しますわけは、搜査にあたりまして麻薬を買い得る権限、これを與えるのが五十三條なのでございますが、これはきわめて特殊な例でございまして、御承知の通り、麻藥は何人も簡單に買えません。しかしながら特に搜査の必要上厚生大臣の許可を得まして、司法警察権を持つた者は買い得ると、こういうことになつておりますので、そういうふうになるべく限定した人間に対してのみ、麻藥を買い得る権限を與えるということにいたしたい趣旨なのでございます。
#30
○田中(松)委員 その点はそれでよろしゆうございますが、私が念のたろにお伺いしたいのは、麻藥統制主事には今までそういう権限があつたけれども、こういうぐあいに字句を改めると、麻藥統制主事にはそういう権能がなくなる。そういうぐあいに解釈してもいいのでしようか、この点をお伺いしておきます。
#31
○慶松政府委員 その通りでございます。
#32
○佐々木委員長 ほかに質疑はございませんか。――ないようでございますから、これにて質疑を打切りたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○佐々木委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
 次に本案に対する討論に入るはずでありますが、討論につきましては別に通告もございませんので、これを省略してただちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○佐々木委員長 御異議がなければ、麻藥取締法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔総員起立〕
#35
○佐々木委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決いたしました。
 なお本案に関し、議長に提出する報告書の作成に関しましては、委員長に一任していただきたいのでありますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○佐々木委員長 なければさようとりはからいます。
 残余の日程は延期し、本日はこの程度にとどめて散会いたします。次会は公報をもつて御通知いたします。
    午後二時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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