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1947/11/29 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第25号
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1947/11/29 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 通信委員会 第25号

#1
第001回国会 通信委員会 第25号
昭和二十二年十一月二十九日(土曜日)
    午前十一時四十一分開議
   委員長代理 理事 天野  久君
      海野 三朗君    梶川 靜雄君
      成田 知巳君    野上 健次君
      矢尾喜三郎君    小島 徹三君
      千賀 康治君    田島 房邦君
      多田  勇君    林  讓治君
      宮幡  靖君    森  直次君
      河口 陽一君    林  百郎君
 出席國務大臣
        逓 信 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        逓信政務次官  椎熊 三郎君
        逓信事務官   岡井彌三郎君
 委員外の出席者
        専門調査員   吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十一月二十七日
 簡易生命保險法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)(第一二三號)の審査を本委員會に付
 託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 簡易生命保險法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)(第一二三號)
    ―――――――――――――
#2
○天野委員長代理 それではこれより會議を開きます。
 本日は委員長の意によりまして、私が委員長代理をいたします。
 これより去る十一月二十七日、本委員會に付託されました簡易生命保險法等の一部を改正する法律案を議題といたします。まず政府よりその提案理由の説明を聽取いたします。三木逓信大臣。
    ―――――――――――――
#3
○三木國務大臣 ただいま議題となりました簡易生命保險法等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 この法案律は最近の經濟事情に鑑み、簡易生命保險の保險金額及び郵便年金の年金額についてそれぞれその最高制限額を引上げるとともに、新たに最低制限額を設けようとするものであります。簡易生命保險は、大正五年十月一日國民生活の安定をはかることを目途として創始されたものでありまして、創始以來三十一年間、不斷の躍進を續け、現在その契約高は、件數九千萬件、保險金額四百億七千萬圓となつており、その積立金は、餘裕金を含めて六十六億一千萬圓と相なつておりまして、世界官營史上まれに見る業績を示しているのであります。
 その間、經濟情勢の進展に伴い、保險金の最高制限額は、創始以來六囘にわたる引上げによりまして、(創始當時二百五十圓、大正十一年九月三百五十圓、大正十五年五月四百五十圓、昭和十三年十月七百圓、昭和十七年四月千圓、昭和十九年四月二千圓、昭和二十一年十月五千圓)現在五千圓となつておりますが、現在契約のほとんど大部分は保險金額千圓以下の小額獎約で占められ、從つて最近のインフレによる影響は、民間生命保險のそれに比しきわめて深刻なものがあるのであります。そこでこの際、保險金の最高制限額を大幅に引上げることによりまして、高額新規契約を大量に獲得することが、收支の状態を改善し、健全な運營に立ちかえるためにぜひとも必要であると存じます。
 ところで、今この最高制限額を本法案の通り二萬五千圓といたしますると、新契約の平均保險金は約九千圓に上り、これに對する一件平均保險料は五十圓程度となり、毎年四百萬件の新契約を募集するものとしましても、ここ數年間のうちにはほぼ收支のバランスを得られる見込みであります。
 なお最高制限額を改定するにあたりましては、もとより最近の物價指數、生計費指數等をも参酌いたしたのでありまして、これらを基準に考えますれば、最高制限額はあるいは三萬圓ないし五萬圓の間に決定いたしましても、決して高きに過ぎないとも思われるのでありますが、一方におきまして、これがため民間業者を不當に壓迫してはならないという考慮をも拂いました結果、今囘はこれを二萬五千圓に止めたのであります。
 次に郵便年金についてでありますが、郵便年金は、簡易生命保險と同じ趣旨をもつて大正十五年十月一日に創始されたものでありまして、創始以來二十一年間、不斷の躍進を續け、現在その契約高は件數百九十萬件、年金額三億九千七百萬圓となつており、その積立金は餘裕金を含めて二十八億四千一百萬圓という輝かしい業績を示しているのであります。その間郵便年金の最高制限額は、二囘にわたる引上げによりまして(創始當時二千四百圓、昭和十八年三千六百圓、昭和二十一年六千圓)現在その最高制限額は六千圓となつておりますが、簡易生命保險と同じく、それでは最近における物價の急激なる高騰に伴い、よく國民生活の安定強化を確保し、制度本來の機能を十分に發揮することができないようになつたのでありまして、他面事業それ自體としても、高額契約を獲得することによつて、つとめて事業費の低減をはかる必要もありますので、ここに年金の最高制限額を二萬四千圓に引上げることにいたしたいと存じます。
 最後に今囘、新たに保險金額について千圓、年金額について二百四十圓という最低制限額を設けましたのは、兩制度とも中流階級以下を對象とする社會政策的官營事業ではありますが、あまりに小額契約を取扱いますことは、利用者にとつてもほとんど價値がないのみならず、これがため事業費の膨脹を來し事業經營の合理化を阻害するゆえんであると考えたからであります。
 以上、何とぞ十分御審議の上、速やかに議決せられんことを切望いたします。
#4
○天野委員長代理 これより質疑に入ります。質疑はこれを許します。
#5
○小島委員 簡易生命保險の保險金額の最高を二萬五千圓とし、年金の最高を二萬四千圓にされたということについては、何らか科學的の基礎數字でもあつて計算の上でそういう數字が出たのでありましようか。
#6
○岡井政府委員 簡易生命保險の最高額を二萬五千圓とし、郵便年金の最高額を年額二萬四千圓といたしました根據でありますが、それはお手もとに差上げております簡易生命保險及び郵便年金参考資料、これの第二の物價指數とありますものによりますと、昭和十七年度の小賣物價の指數一六三、昭和二十二年の十月、すなわち最高比でありますが、最近の指數が五千八百六十になつております。すなわち昭和十七年度に比べまして現在は約三十六倍になつております。ところで昭和十七年におきまする簡易保險の最高限額は千圓でありましたので、この小賣物價の指數からいたしますと、一千圓ということになります。またその下の欄にあります御賣價格を同じような方法で計算いたしますと、簡易保險の最高制限額は三萬圓が相當であるということになります。しかしながら先ほど大臣からも御説明がありました通り、簡易保險の最高制限額をあまりに高くいたしますれば、民間業者を壓迫するというような關係もありますので、それらを斟酌いたしました結果、今申しましたような指數からいたしますれば、三萬圓あるいは三萬六千圓、ほかの指數をとつて、たとえば通貨の指數などから考えますと、これ以上四萬圓にも上るかと思いますが、そういう關係もありまするから、民間業者を壓迫してはならないということを考慮いたしまして、この際は二萬五千圓としたのであります。また郵便年金の二萬四千圓にいたしましても、これは現在生活保護法できめられておりまする扶助額月一千五百圓、これを年額に換算いたしますと一萬八千圓となつておりますが、これと比べますと、生活保護法の方はほんとうの最低生活を保障するのでありますから、郵便年金はそれより少し高いところへ標準を置くのが適當ではないかと考えたのでありまして、これをあまり高くいたしますと、遊んで暮すというような階級のために利便を與えるという弊害もありますので、そういう點を考えました結果二萬四千圓といたしたわけであります。
#7
○小島委員 政府においてはこの年金の保險金額を増加した結果、今後一箇年の間に保險金額の總額においてどれくらいの増額を期待され、同時にまたそれに基く保險料の收入はどれくらいのものを期待されておるのか。
#8
○岡井政府委員 今囘の保險の最高制限額を引上げることによりまして、昭和二十二年度にいくらの保險料の増收になるかということでありますが、本年度は八千四百六十三萬二千圓、二十三年度におきましてはずつと殖えまして、十三億一千六百餘萬圓、二十四年度は二十七億九千五百萬圓というふうに、だんだんと殖えてまいります。その結果、これもお手もとに差上げておりまする參考資料の保險部の最後の方の簡易生命保險事業五箇年の收支の豫定表にあります通り、現在は八億五千三百萬圓の繰越しの赤字がありますが、これがだんだん減つてまいりまして、昭和二十七年度におきましては、逆に十億一千八百餘萬圓の黒字が出るかように收支の状態が改善されてまいる豫定であります。
#9
○小島委員 質問はこれで終ります。
#10
○成田委員 ただいま小島委員の御質問がありましたが、政府委員の御答辯によりますと、最高限度を簡易保險において二萬五千圓に押えた。小賣物價の算定からいきますと三十六倍、卸賣物價の算定からは三十倍ということでありますが、三萬六千圓が物價指數からいつたら當然ではないか。先ほどの大臣の提案理由の御説明によつても、三萬圓あるいは五萬圓という數字が妥當ではないかと考えます。しかしながら民間保險業者を壓迫してはいけないというので二萬五千圓に押えられたと言いますが、物價指數の關係からいつたら、當然三萬五千圓程度がいいのじやないか。政府の御答辯によつても三萬五千圓におちつくのがほんとうじやないかという氣がいたしますが、聞くところによりますと逓信當局では三萬圓ないし五萬圓という案を出されたけれども、大藏省で二萬圓という説をとられた。その大藏省の意向には大分業者の運動が效を奏しているのだという話も聞いておるのでありますが、その間どういうような事情になつているか。ひとつ御説明願いたい。
 それからもう一つ、これはよく問題になることでありまして、先ごろも請願にあつたと思いますが、簡易保險をかけて將來老後の安定をはかりたいと思つたけれども、最近のようにインフレが高進をしたために、せつかく保險金をかけても何にもならなくなるのではないかということを非常に憂慮しておる。また被保險者あるいは年金をもらつた人が困難な状態に陥つておるという話を聞くのでありますが、そういうインフレの高進期における根本的な解決策といたしまして、この事情が變更したことに對して、當然實質的な保險金額なり年金のとれるような制度をおとりになるお考えはないか。この點をお伺いいたします。
#11
○椎熊政府委員 逓信省の考え方は、先ほど大臣の御説明にもありました通り、また今保險局長の説明の中にありました通り三萬圓ぐらいにしてもあえてさほど民間の企業を壓迫するようにも考えなかつたのであります。民間業者が大藏當局に對してどのような運動をされたかということは、私どもは一向知りません。おそらくさようなことはなかつたであろうと思うのでありますが、われわれの基本的な考え方は、なるべく増額して、しかも民間業者にさしたる影響がないようにというところに考えがあつたものでありますから、一應三萬圓程度でもよかろうとは考えておりましたが、大藏當局との事務的折衝において、目下の日本の財政その他の状況、あるいは社會情勢から、今囘はこの程度に止めておこうということに兩者の意見はまつたく合致いたしまして、閣議においても何らかの異論もなしに、こういうことに決定したのであります。業者との關連性などは私どもには信じられないのであります。
#12
○岡井政府委員 第二の點についてお答え申し上げます。簡易生命保險なり、郵便年金なりについて、契約者が過去においてかけた保險料なり掛金なりに比較して、非常に價値の下落したものを受取という結果、たいへん損失をこうむつておる。それについて補償する必要はないかという御質問かと存じますが、御承知の通り生命保險にいたしましても、郵便年金にいたしましても、過去におきまして政府が收納いたしました料金なり、掛金、これをもし不動産にでも投資いたしましておりますれば、それだけインフレによりまして騰貴いたしますから、それだけのものを支拂うということはできるのでありますが、不動産にその料金なり掛金を投資いたしておりませんがために、現在といえども過去に受取つたその金だけした積立金としては殘つておりませんので、もし過去の百圓に相當する、たとえば現在の五千圓を支拂うというためには、どうしてもこれは一般會計から補償でもいたしません限りは、保險年金の特別會計自身の力としてはそういうような救濟の方法はないのであります。これは一般生命保險でも同じでありますが、過去の保險金千圓、これ以上支拂うということは遺憾ながらできませんし、またその考慮をいたしておりません。
#13
○天野委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。―なければ本日はこの程度で止めておきたいと思います。
 それでは本日はこれで散會いたします。
   午後零時三分散會
ソース: 国立国会図書館
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