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1948/11/09 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第7号
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1948/11/09 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第7号

#1
第003回国会 本会議 第7号
昭和二十三年十一月九日(火曜日)
 議事日程 第六号
    午後一時開議
 第一 会期延長の件
 第二 逓信省設置法案、逓信省設置法の施行に伴う法律の整理等に関する法律案、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、農地調整法の一部を改正する法律案、農業協同組合法の一部を改正する法律案、放送法案、賣春等処罰法案及び教育公務員の任免等に関する法律案撤回の件
 第三 常任委員長辞任の件
 第四 両院法規委員会規程中改正案(議院運営委員長提出)
 第五 両院法規委員会の委員の選挙
 第六 檢察官適格審査委員会の委員の選挙
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 議員辞職の件
 日程第一 会期延長の件
 日程第三 常任委員長辞任の件
 常任委員長の補欠選挙
 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(吉川兼光君提出)
    午後三時十六分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ―――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 議員永江一夫君より辞表が提出されております。これにつき、お諮りいたしたいと思います。
 まず、その辞表を朗読いたさせます。
  〔参事朗読〕
     辞職願
       衆議院議員 永江 一夫
 私儀一身上ノ都合ニ依リ議員ヲ辞任致度候ニ付此段御許可相成度願上候
 昭和二十三年十一月八日
          右
           永江 一夫
   衆議院議長松岡駒吉殿
#4
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。永江一夫君の辞職を許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて辞職を許可するに決しました。
     ―――――◇―――――
 第一 会期延長の件
#6
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、会期延長の件につき、お諮りいたします。今回の会期は本日をもつて終了することになつておりますが、各常任委員長の意見を聞き、議院運営委員会にもはかつた上、参議院議長と協議の結果、明十日より十一月三十日まで二十一日間会期を延長したいと思います。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて会期は明十日より十一月三十日まで二十一日間延長するに決しました。
     ―――――◇―――――
#8
○議長(松岡駒吉君) 日程第二はあとまわしとするに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第二はあとまわしとするに決しました。
     ―――――◇―――――
 第三 常任委員長の辞任の件
#10
○議長(松岡駒吉君) 日程第三に入ります。内閣委員長工藤鐵男君及び図書館運営委員長伊藤郷一君より、それぞれ委員長を辞任したいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ―――――◇―――――
#12
○議長(松岡駒吉君) つきましては、内閣委員長及び図書館運営委員長の補欠選挙を行います。
    ―――――――――――――
#13
○石田博英君 常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
#14
○議長(松岡駒吉君) 石田君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。議長は小川原政信君を内閣委員長に、水谷昇君を図書館運営委員長に指名いたします。
     ―――――◇―――――
 総理大臣の施政方針に関する緊急質問(吉川兼光君提出)
#16
○石田博英君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、吉川兼光君、小川半次君、河野金昇君、水野實郎君、中原健次君、大瀧亀代司君及び野坂參三君提出、総理大臣の施政方針に関する緊急質問を逐次許可せられんことを望みます。
#17
○議長(松岡駒吉君) 石田君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 総理大臣の施政方針に関する緊急質問を許可いたします。吉川兼光君。
  〔吉川兼光君登壇〕
#19
○吉川兼光君 私は、吉田新総理大臣の民主政治に対するお考えをお伺いする目的をもちまして、ここに登壇したのであります。社会党を代表する意見としてお聞き取り願いたいのであります。
 吉田総理大臣は、先般組閣の当時におきまして、新聞記者團との会見の際に、民主政治の確立のために内閣を組織したものである、従つて自分の今後の総理大臣としての行動は、あげて民主政治の確立のためにするものであるということを言明されておるのである。その一つの例として、新聞の記事を読み上げてみますならば、十月十六日の朝日新聞の記事に、「明朗な民主政治」と題する見出しのもとに、三段抜きの記事が、記者團との一問一答の形をもつて吉田首相の話を傳えておるのであります。これによりますると、「國会の解散は今すぐは避けたい、國家公務員法改正と給與法案、災害復旧費の追加予算は、なるべく早く臨時國会で成立させたい、しかし公務員法改正については、原案ができているが、独自の立場で再検討する」独自の立場で再検討するということを特に断つておるようであります。
 本日私が緊急質問をいたしたいところの趣旨は、ここであるのでありまして、吉田首相のお考えとして、八日の運営委員会において私どもが拜聽したところによりますると、第三國会の本会議の劈頭におきまして、総理大臣は施政方針に関する演説をやらないというのであります。私どもは日本の議会始まつて以来――これは旧憲法を含めてでありまするが、いまだかつて、時の総理大臣が内閣を組織いたしましたる最初の國会におきまして、施政方針の演説を冒頭においてやらなかつたという例を聞いておらないのであります。特に今日の新憲法下における國会におきまして、新内閣を組織しておりながら、しかも官公廳職員三百万の生活問題を含むところの公務員法の改正という重大なる議案をひつさげて召集されたる第三國会におきまして、新聞記者に対しては、原案はできておるけれども、独自の考えをもつて臨むのであると言いながら、その独自の考えを表明すべきところの冒頭における施政方針の演説をやらないといいますることは、それをもつて私は民主政治の確立を口に呼号する吉田首相の言とは解しかねるのであります。
 諸君、元來吉田総理は、民自党の総裁として、われわれはかねて尊敬をしておるのでございまするが、この吉田総理が、このたびの組閣にあたりましてとられたる行動につきましては、われわれがかねがね、敬意を拂つておるのには、はなはだ期待に反するお考えが少くないのに驚いておるのであります。
 その例証を、必要とあれば私はたくさんあげることができるのでありまするが、最も大きな例の一つといたしまして、ここにあげたいのは、たとえば先般の政変騷ぎの際に、自党の山崎幹事長に詰腹を切らしたという事件である。これなども、自由党の放送によりますると、それは他党より山崎幹事長の首班指名の運動があるので、その運動に対する山崎幹事長の政治家としての良心から自発的に辞表を提出されたのであつて、すなわちこれは、他党における策動の結果が山崎幹事長の議員辞職を結果したものであると言つているけれども、われわれは、そういうふうにとることはできない。なぜとることができないかと申し上げまするならば、経過等についてのこまかい議論は抜きますけれども、結果から論じて、これは明白である。すなわち先般の本会議におきまして、山崎幹事長の議員辞職願のことが議題となりましたときに、民主自由党の諸君がほんとうに山崎幹事長の議員辞職願に反対であるならば、何がゆえに辞職に反対の投票をしないかと言いたい。(拍手)彼らがこれに賛成の投票をしておりますということは、要するに山崎幹事長を葬り去ることによつて、それに詰腹を切らせることによつて吉田内閣をつくらんとする考えであつたということを雄弁に物語つていると思うのであります。要するに、他の政党でどういうことを言おうとも、民自党においては、この場合少くとも山崎幹事長の議員辞職願には反対の投票をしなければならぬということを、私は固く信じているのであります。
 さらにいま一つの問題は、最近の組閣にあたりまして、閣僚選考その他について、多くの忠実な党員諸君をのけものにいたしまして、いたずらに官僚、学者を登用せんとする傾向である。吉田総理大臣は口を開きますると民主政治を説く。民主政治といいますることは、健全なる政党の発達でなければならぬ。その健全なる政党の発達があつてこそ初めて民主政治が確立されまするにもかかわらず、彼は何かと申しますると、ただちに党人以外から多数の官僚であるとか多数の学者を捉え來つて、それに内閣の重要なるポストを與えるということは、これこそ民主政治を裏切るものでなくて何でありましようか。諸君、私はこういう点を考え合せる場合に、吉田総理大臣の抱いておりまするところの政治的考えといいまするものは、今日の民主政治とおよそ反対的な立場に立つものでなければならない。言葉をかえて申しますると、フアツシヨ的な考えであるとも、言い得るかもしれないのであります。
 諸君、今日の民主政治の新しき國会におきまして、政党の総裁が総理大臣になりました場合においては、何としましても、自分の平素考えておりまするところの政策を國民の前に展示いたしまして、すなわち国民の代表の集まれる國会においてこれを詳しく述べることによりまして、その政策に対する國民の批判をまたなければならないのである。しかるにもかかわらず、それをやらないということにつきましては、われわれといたしましては、まことに奇怪と考えざるを得ないのでありまするが、ただ本日に至りまして、私は妙な風聞を一つ耳にいたしたのであります。
 それは、吉田首相が第三國会の冒頭において施政演説を回避しようといたしまする大きな理由の一つとしてこういうことが巷間に傳わつている。吉田内閣は組閣以來いろいろの、おそらくできもしないであろうと思われるところの政策を発表し、國民に公約いたしたのである。ここにその例を二、三あげてみるならば、まず第一は取引高税の撤廃、第二は供出後における米の自由販賣、第三は料飲店の再開、これらのものを断行するということを吉田首相及び與党筋から放送されておるのである。私は、このことについて、いつでも証拠をあげることができるのであります。
 さて風評というのは、吉田内閣は何でも、この第三國会の召集の当初におきましては、施政方針の演説を用意しておつたというのであります。しかしながら、その一枚看板ともいいまするところの、今述べたところのこれらの三大政策が、ことごとく予算その地の原因により実現不可能な情勢に追い込まれましたがために、國会冒頭の施政演説が不可能になつたという風評が傳わつておるのであります。諸君、これはただ單なる風評であるならばよろしいが、もしそうであれば、風評にすぎないということを、この責任ある衆議院の本会議場におきまして、吉田内閣総理大臣自身の口から明答を求めたいと私は思うのであります。(拍手)
 諸君、吉田首相のお話によりますると、冒頭において施政方針の演説を行い得ない一つの困難なる事情といたしまして、公務員法の改正を急ぐからということが言われておるのであります。國家公務員法の改正といいますることは、申し上げるまでもなく第三國会の最大の命題であります。この公務員法を改正するために第三國会が召集されたといつてもよろしいのであります。しかし公務員法の改正につきましては、組閣の当初におきまして独自の考えをもつて臨むということを言明いたしておりまするところの吉田内閣といたしましては、まずみずからの内閣の性格を明瞭ならしめるために、何をおいてもその施政方針を國会において明らかにすることが当然ではないかと思うのであります。このことをなさずして、いたずらに公務員法の改正を急ぐということを理由に、その内閣の性格を明らかにすることをごまかそうとしますることは、われわれ國民の代表たる國会といたしましては、断じてこれを承認することはできないのであります。(拍手)
 皆さん、国家公務員法及びそれに伴うところの賃金べースの改訂問題、あるいは災害対策等の重要にして緊急欠くべからざる幾多の議案を包藏いたしておりまするところの本第三國会に対しまして、吉田内閣は、その会期を十日にしたいと過日の運営委員会に申し入れて、民自党委員をしてかく主張せしめておるのであります。これについては運営委員会におきまして圧倒的な反対のもとにただいまこの議場で可決を見ましたように、会期は十一月一ぱい、すなわち二十一日間の延長が決定を見たのでありまするが、ひるがえつて、この重大なる案件をもつ第三國会をわずか十日間に片づけようといたしましたところの吉田内閣の対國会方針こそは、実に驚くべき、また恐るべき非立憲的な、非民主主義的なものであるといわなければならないと思うのであります。(拍手)
 諸君、全國三百万の官公廳労働者諸君のために、特に第三國会を召集してまでも、われわれは解決を急がなければならないところの公務員法及びそれに関連する賃金ベースの改訂であります。
 去る九月、第三國会が芦田前内閣によつて召集されましたとき、その初の会期を決定しまする運営委員会におきまして、私も運営委員といたしまして、それに列席したのでありまするが、民主自由党から出席された委員の諸君も、該運営委員会で第三國会の会期を決める際、会期は三十日を最低限度必要とするということを決定しておるのであります。すなわち野党にありましてきめる場合においては会期は三十日であるが、一旦これが自分の党が内閣を組織しまして與党になつたる場合は、十日間に会期を圧縮することによつてこの問題を簡單に解決しようとするのは、どういうところにその根拠があるのか、われわれにはわからない。(「社会党の解散はどうした」と呼ぶ者あり)わが党主張の解散問題は必要によつては後刻申し上げてもよろしい。諸君、このわずか十日の会期によりまして重大なる議案を簡單に葬り去ろうとしまするところの、政府の眞意に、私は大きなフアツシヨ的な考えがあるではないかということをおそれる。顧みますれば、吉田総理大臣は、この前内閣を組織していた当時、労働者諸君に対して不逞の徒という言葉を使つたことがある。彼は今日労働者を目して依然として不逞の徒と考えておるのであるか。不逞の徒であるがゆえに、わずか十日間で公務員法改正その他を簡單に圧殺しようとするのであるかと私は聞いてみたいのであります。
 諸君、私どもは、新國会の新しき國会法に照して考えましても、かくのごとき重大なる議案に対しましては、少くとも公聽会のごときものをもたなければならぬと思う。親しく國民の声を議会において聞くことによりまして、われわれはこの重大なる法案の改正に誤りなきを期さなければならぬと思うのであります。この公聽会一つを開きましても、五日や一週間はすぐ消えるであろう。労働者の代表、資本家の代表、官公廳のいろいろな方面の代表を集めまして、そういう人々の御意見を公聽会において拜聽することだけでも、一週間や十日は当然必要でなければならない。しかるに、全体をあげて十日間の会期においてこの問題を片づけようといたしますることは、吉田首相は、かつて不逞の徒という言葉を使つて労働者を侮辱いたしましたが、その当時と現在と彼の心境には何らの変化がないということを、われわれは思わなければならぬのであります。(拍手)(「政令はどの内閣でつくつたんだ」と呼ぶ者あり)
 諸君、政令がつくられましたところの理由は、この問題が愼重な審議を必要とするために應急的処置として臨時的に政令をつくつたものであると私は思う。政令があればこそ、われわれはこの問題をしかく簡單に片づける必要は絶対にないということになる。これは、ただ單に私のみの議論ではありません、数日來の新聞社の論調においてこれを見ることができる。たとえば毎日新聞におきましても、明らかにこのことを書いておるではありませんか。十一月九日付、すなわち本日の毎日新聞の社説に、「解散國会に望むこと」との題で、るるこの問題について吉田総理に教えるところがあるのであるが、私は、吉田さんはこれを読んだかと聞きたいのであります。
 諸君、大体このたびの政変の目的あるいは原因がどこにあつたかということを御承知であるかということを、私は吉田首相に聞きたい。吉田首相がこのたびの内閣を組織するに至りました政変は、言うまでもなく政界浄化でなければならない。この政界浄化につきましても、吉田さんは――本日の時事新報の記事に、こういうものが出ておるのである。七日の閣議決定事項としまして該紙上に報道されておるところを見ますと、吉田さんは、その御信念として、現在の衆議院各政党はかさなる不祥事で國民一般の信任を失墜しておると断定するから、この際解散を断行することこそ最も妥当な方途であると述べておる。解散の可否については、私はしばらく問いませんが、衆議院の各政党が全部不祥事に関係しておるということが述べられておるのでありますけれども、各政党ということについては、異議のある政党も相当あるではないかと思いますが、但し小くとも、これらの政党の中に、吉田さんが総裁をしておりますところの民主自由党の関係において、不祥事の関係者が、中央においても、あるいは地方において最も多数を占めておるということを、吉田さんは御存じであるかということを聞かなければならないのであります。
 吉田さんはみずから口をぬぐいまして、何らか不祥事を起した政党は民主自由党以外の他の政党のみであるかのごとく言つておりますが、われわれは、新聞なりその他の報道でも明確にすることができますように、その他の政党に比べまして、はるかに、みずからが主宰いたしますところの民主自由党に、その数が圧倒的に多数であり、またその性質が最も悪辣なものであるということを吉田さんは御存じであるかということを申し上げなければならない。
 私がかく申し上げまするからといいまして、わが党における世評に対しまして耳をおおうとするものではない。從つて、わが社会党といたしましては、それらの問題につきまして、嚴粛なる中央委員会を通じて、社会党として最善と信ずる方針をとつたのである。しかるに民主自由党に至りましては、そういうような問題が起りましても、それがさも当然のことであるかのごとく、それらの党員に対して何ら粛正を行つたということを、いまだわれわれは聞かないのである。むしろ、そういう人々が拘置所から出て参りますならば、大きな宴会のごときものを開きまして大歓迎をしているということが、新聞に堂々と報じられているではないか。われわれは、そういうような考えをもつた総裁によつて率いられるところの――政党によつて組織されたところの内閣によつて何の政界浄化なりやと絶叫せざるを得ないのであります。
 諸君、私は、民主自由党の諸君が國民大衆に対するほんとうの良心的な考えをもつならば、まず諸君の総裁であるとか党の幹部に向つて、民自党の諸君はその話をしてもらいたい。要するに、ただ單に選挙対策的な、非常に景氣のいい議論だけをいたしますけれども、國民は断じて盲ではないのである。今とうとうとして全國に起つておりますところの疑獄事件のほとんど大多数は民主自由党の関係者ではないか。國民をして言わしめますならば、党人たる私がこのような議論をすることすら目くそ鼻くそを笑うというかもしれませんが、あるいはそれ以上に、総理大臣が政界浄化を説くことが、國民のもの笑いを結果するものであるということを、私は申し上げたいのであります。
 とにかく吉田内閣といたしましては、從來の日本の議会運営の習慣から考えましても、傳統から考えましても、まずみずからの内閣の性格を明確にいたしまして、反対党の批判、國民の批判を甘受することによりまして、その政策の遂行をはかることこそ、ほんとうの民主政治であるということの自覚をおもちであるがどうかということを、私は吉田首相から聞かざるを得ないのであります。われわれは、いかに苛烈なる批判が参りましようとも、それを十分に拜聽することによりまして、みずからの政策の遂行に誤りなきを期さなければならない。それが今日の民主政治であると私は確信するものであります。
 わが新しき民主國会において、私どもは、新しき民主主義的な國会運営の先例をつくらなければならないという重大なる立場に立つておるのでございまするが、現段階における吉田首班、吉田総理大臣の國会に対する態度、あるいは、みずからのことではありますけれども、政党に対する態度、このことは、私は反民主主義の最たるものであるということを叫ばざるを得ないのであります。吉田総理大臣が、この國会の劈頭におきまして、みずからの施政方針の演説を行わぬところの心理について、政治家として正しい良心的な立場に立つたお言葉を拜聽したいというのが、私の質問の目的にほかならないのであります。
 これをもちまして私の質問といたします(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#20
○國務大臣(吉田茂君) ただいまの吉川君の御質問に対して、ただちにお答えすべきでありまするが、他の御質問と重複することもあるかと存じまするから、一括してお答えいたします。
  〔吉川兼光君登壇〕
#21
○吉川兼光君 今の答弁を聞きまして、私が先刻來、吉田さんは民主主義を解しないということを、この壇上において繰り返し述べたのでありますが、吉田さんみずからが私のこの質問をその通りだと裏書きしたことになるのではないかと思うのであります。(拍手)質問は私が最初でありまして、私の質問のあとに続く議員諸君の質問の中に、もしかりに私と重複する場合がありましたときに今の答弁であるならば、われわれはうなずくことができるかもしれないが、私が最初の質問者でありまして、るるいろいろの問題を重ねて申し上げたのでありまするが、その中で要点だけでも御答弁あらんことを望みます。もし御答弁がなければ重ねて先刻の言葉を繰返すということを、ここに申し上げておきます。(拍手)
 (「答弁、答弁」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然)
#22
○議長(松岡駒吉君) お靜かに願います。――靜粛に願います。――吉田総理大臣にお聞きいたします。お見かけの通り、答弁のないことのために議場はかくのごとき状態を呈しております。答弁ありませんか。――答弁がありますか……(議場騷然、聽取不能)断じて強要はいたしません。答弁がありますかと聞いておるのであります。吉田さんの答弁があるかどうかを聞いておるのであります。――吉田総理大臣は依然として答弁はないとのことであります。吉川兼光君に発言を許します。
  〔吉川兼光君登壇〕
#23
○吉川兼光君 私は、吉田総理大臣がきわめて非立憲的な人であるということを、このときしみじみと感ずるのである。吉田さんは、口に民主主義をとなえますけれども、民主主義ということを知らない。民主主義といいまするものは、まず自分で反対の意見を、より親切に、より丁寧に聞くことでなければならない。私は、諸君の貴重なる時間でありまするにもかかわらず、ここに再び重ねて質問演説をやらなければならない段階に來たのであります。私は吉田総理の答弁がありまするまでは何時間でもここにがんばるということを、はつきり申し上げておきます。(拍手)
 吉田総理は、私が先刻來幾つかの例をあげて御質問申し上げました通りに、今日の民主主義の時代にむしろ対抗するところの政治家であるといわなければなりません。私は総理大臣に重ねてお伺いいたしまするが、あなたの考えておりまするところの民主政治の確立といいますることから、日本における最高の機関でありまするこの衆議院が、あなたが答弁をなさらないために非常な混乱をしているという事実を、何と見られるかと聞きたいのであります。ただあなたの所信をここで披瀝されれば問題は済むことではないかと思う。私は、いやしくも國民の代表でありますところの天下の公党を代表して、あなたにこの質問をしておるのであります。それに対しまして何らの答弁を試みないということは、國民ははたしてこれを何と見るか、あなたのお考えを重ねて聞きたいのである。
 私のあなたに聞いておりますことは、何らあなたが答えられないような、そういうむずかしい問題を申し上げたのではない。要するに、あなたの信念、この國会の当初におきまして、國民の代表でありまするところの國会に向つて、吉田内閣の信念、吉田内閣の性格を明らかにするための施政方針の演説をなさつてはどうかということを求めておるのである。あるいはまた、それをなさらないところの理由はどこにあるかということを伺つておるのであります。これほど簡單な質問はないではありますまいか。これに対しても、あなたは答弁はできないとおつしやるのでありますか、もし重ねてやらなければわからないというならば、私は先刻の演説をもう少し敷衍してあらためて申し上げてみてもよろしいのであります。要するに、あなたの御答弁を聞きさえすれば私はよろしいのでありますが、御答弁は願えないものであるか。これを私は、議長を通じてもう一度お伺いしたいのであります。
  〔発言する者多く、議場騷然〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。――吉田総理大臣より答弁はないとのことであります。先ほどお聞きの通り、あとで一括して答弁をいたすということであります。
     ――――◇―――――
#25
○議長(松岡駒吉君) 椎熊君より、議事進行について、総理大臣の答弁忌避に対して……(発言する者多く、議場騷然、聽取不能)許可いたします。椎熊三郎君。(拍手)
  〔椎熊三郎君登壇〕
#26
○椎熊三郎君 私は、國会の権威のために重大なる発言をしたいと思います。從つて、議場が騷然としておつては私の趣旨が徹底いたしません。この騷ぎが治まるまでは発言いたしません。
  〔発言する者多く、議場騷然〕
#27
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。椎熊君よりは忌避に関してとありますが、総理大臣はあとで一括してお答えするとのことでありますから、その点を御了承の上、議事進行について御発言を願います。
#28
○椎熊三郎君(続) 了承しております。
  〔発言する者多く、議場騷然〕
#29
○議長(松岡駒吉君) ただいまの椎熊君の議事進行に関する発議は、さきの忌避を取消して、議事進行に関する点だけの議事進行であることを附言いたします。
  〔発言する者あり〕
#30
○椎熊三郎君(続) それでは発言を継続いたします。
 諸君、本日第三回國会の劈頭において、総理大臣吉田君は、新憲法下におけるわが國会を侮辱するがごとき態度、言動に出ておることを、私ははなはだ遺憾に存ずる。(拍手)諸君、吉田総理大臣は、その在野党時代において、彼は日ごろ主張していわく、身をもつて新憲法下立憲の常道を確立することが自分の一大使命であると呼号しておつた。私は、彼のこの空虚な言葉をもつて、実は言葉だけはりつぱであるが、彼の今日までの國会議員としての議員生活を見るときに、彼の誇張したるこの言説は、いかにも國民を欺瞞するものであると私どもは考えておる。(拍手)
 その例証として、われらは第一回國会にあたりましては二百余日の議会を継続した。その際……。在野党の第一党総裁たる吉田君は、二百余日にわたる長期の議会に、議席についたこと、わずかに三日である。(拍手)かくのごとく議会を蔑視し……。
  〔発言する者多し〕
#31
○議長(松岡駒吉君) 椎熊君、議事進行の結論を……。
#32
○椎熊三郎君(続) 議会を軽視する行動は、かつて見たことはない。(発言する者多し)そこで諸君、かくのごとき行動が、ただちに本日の議場に現われた。
  〔発言する者多し〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 議事進行の結論を……。
#34
○椎熊三郎君(続) 私は議事進行について発言しておる。かくのごとき状態では、この第三回國会を円満に遂行せしむることは不可能である。
 私は思うに、第三回國会は國家公務員法という重大なる法案を審議せねばならない。從つて、われわれ國会議員は、議員たるの職責を……。
  〔発言する者多し〕
#35
○議長(松岡駒吉君) 議事進行の結論を急いでください。
#36
○椎熊三郎君(続) 総理大臣の所信を承らなければならないにもかかわらず、本日この議場における総理大臣の態度は、あれは一体何か。質問者に対する答弁を忌避するがごときあの状態では、断じてこの議事を円満に遂行するわけにはいかないと私は思う。(拍手)
 そこで私は、この議会の権威を保持し、この議会の運営を円滑せしむるため、総理大臣に対し反省を促す意味において、暫時休憩をして、その間総理大臣に反省を促し、懇切丁寧なる答弁をしていただきたいと思うのであります。(拍手)よつて本会議ば、議長の宣言によつて暫時休憩をして、ただちに議院運営小委員会を開くべしということを提唱いたしまして、私は総理大臣の反省を促すものであります。この反省こそは――この反省なくしては議事の進行はあり得ない。断じて吉田君の反省を促すゆえんでございます。(拍手)
#37
○議長(松岡駒吉君) ただいまお聞きの通り、椎熊君より暫時休憩の動機が出ました。賛成の方は御起立願います。
  〔賛成者起立〕
#38
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつてこの際暫時休憩いたします。
    午後四時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時四十四分開議
#39
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
 明十日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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