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1948/11/11 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第9号
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1948/11/11 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第9号

#1
第003回国会 本会議 第9号
昭和二十三年十一月十一日(木曜日)
 議事日程 第八号
    午後一時開議
 一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
    午後三時五十一分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#3
○議長(松岡駒吉君) 國家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する質疑に入ります。順次これを許します。松澤兼人君。
  〔松澤兼人君登壇〕
#4
○松澤兼人君 昨日御説明になりました國家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、私は日本社会党を代表いたしまして、総理大臣その他の所管大臣に対しまして質問を申し上げたいと存ずるのであります。
 まず第一にお願いいたしたいことは、私は、この法案がきわめて重要なものであり、單に日本國民ばかりでなく、國際的に見て、この改正法案の審議の問題が注目を浴びているという事実に基きまして、総理大臣に対しまして、質問の内容については率直丁寧に御答弁願いたいと存ずるのであります。私昨日の御答弁を拝聽しておりまして、こういうことでは円満なる國家公務員法の改正を審議するに十分でないという感じがいたしたのであります。
 第一に御質問申し上げたいことは、國家公務員法改正に対する内閣総理大臣の信念を承りたいのであります。もちろん、今回の公務員法の改正がマツカーサー元帥の書簡に基いているということは十分承知しているのであります。吉田内閣総理大臣は、昨日の本会議において提案理由の説明をされたのでありますが、きわめて簡單であつて、政府の態度や、これに対する信念について、総理大臣御自身の口から十分に聞くことができなかつたことは、まことに遺憾であります。総理大臣は、これまでもそういうことがしばしばあつたということを聞いているのでありますが、たとえば労働組合の人々が大会を開いて、その決議文を総理大臣に手交するために官邸に行つても、絶対に会わないということを承つているのであります。國民の声を聞くことは、民主主義の第一歩であると私どもは聞いているのでありますが、二百七十万の官公吏が、何ゆえ現在の段階において國家公務員法を改正しなければならないかの理由を十分に説明してもらいたいということを総理大臣に望んでいるのであります。単に二百七十万の官公吏だけでなく、幾百千万の勤労者は同様に、総理大臣の政治的信念を國権の最高機関である國会を通じて吐露されることを期待しているのであります。
 労働者に会うことはきらいだといえば、それはそれまでであります。しかし一國の総理大臣としては、すききらいを言えないはずであります。施政方針の演説はやらない、國家公務員法の改正の提案説明はわずか三分か五分程度しかやらないというのでは、われわれは何をもつて吉田内閣の政治上の信念を理解することができましようか。人事委員長が専門家であるから、これにまかせておくということも、一つの理由でありましようが、それでは総理大臣の責任が十分に済まないと思うのであります。將來人事院はほとんど独立した行政機関となつて、総理大臣の指揮命令は受けないのであります。現に官公吏の給與水準の改訂勧告によりまして、政府は、言葉が悪いかもわかりませんが、煮え湯を飲ませられたという状態にあるのであります。人事院の將來についても、総理大臣として一言その信念を披瀝すべきであると思うのであります。
 健全なる労働運動がわが國の民主化に貢献していることは、マツカーサー元帥の書簡の中においても明らかであります。すなわち「占領下日本において、労働者が急速にかつ前例のない地歩を獲得した事実は、現代生活において労働組合主義がきわめて重要なものであること、現代の産業経済に伴う多くの弊害を是正するにあたり、労働組合運動の有する歴史的意義に対して、余の見解を正当化するものである」と述べているのであります。日本社会党は、その前身時代より、わが國の民主化が勤労者の自覚と協力によるべきであるという信念のもとに、健全なる労働運動の促進に努力して來たものでありますが、民主自由党は、何かこれと対蹠的な態度や政策を有しているとの感じを與えているのであります。組閣後一箇月になるかならないかに、すでに勤労者は吉田内閣打倒を叫んでいる声を聞くのであります。この際総理大臣より、國家公務員法改正に対する信念と、その抱懐せられる労働対策を伺いたいのであります。
 第二に、給與の問題について御質問いたしたいのであります。公務員法の改正、給與の改訂、官業の再編成の問題、この三者は、マツカーサー元帥の書簡に明示されておるところでありまして、三者一体となつて審議されなければならないことは当然であります。しかるに政府は、昨日の総理大臣の答弁において明らかであるごとく、公務員法の改正のみがあらゆる議案に優先して審議されねばならないと言い、施政方針演説に関する各党代表者の緊急質問に対して、吉田総理大臣は、施政方針演説はやらないとは言わないが、公務員法改正の審議が優先するから、それが済まないうちはやれないと解せられるような発言を、繰返し繰返し述べておられるのであります。われわれも、公務員法改正が緊急であり、重要であり、優先的に審議すべきであるという点は同感であります。ただしかし、その意味は、官業再編成の問題と給與改訂の問題とが一体として審議されるという意味において同感なのであります。しかるに政府は、改正法案のみ提出して、重要なる施政方針演説もせず、押しつけがましく、高圧的に改正法案の審議をせよという態度をとつて來ることは、われわれの承服できないところであります。
 特に給與改訂の問題は、マツカーサー元帥の書簡の中で、「國家の公益を擁護するために政府職員に対して課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対し常に政府職員の福祉ならびに利益のために十分なる保護の手段を議じなければならない義務を負わしておる。この理念は、民主主義理念においては完全に理解されておるのであつて、それゆえにこそ公職が威嚴と権威と永続性を備えており、公職につき得る機会が廣く一般から好ましい特権として認められ、かつ求められている」と述べられておることは明らかであります。從つて、國家公務員法を改正することと、この給與を改訂して、政府職員をして安んじて自分自身、自分の家族の生活を維持し、政府職員としての威嚴と権威とを保持するようになすことは一体不可分のものであり、それが政府の責任であることをマツカーサー元帥の書簡は指摘しておるのであります。(拍手)政府はこれを故意に分離して法律の改正のみを上程して、國会の迅速なる審議を要求するのは、マツカーサー元帥の書簡の趣旨に沿わないのみでなく、これを歪曲して、政府職員がパンを求めておるのに対し、法律という冷たい石を投げ與えておるのであります。(拍手)いかにりつぱな法律をつくつても、國民の生活が安定せざる限り、その完全な実施は不可能である事実をわれわれは指摘したいのであります。國家公務員法の改正が、官僚主義を打破して民主國家確立の基盤たらしめることを目途としているにしても、給與の裏ずけがない限り、政府職員に民主日本の公僕たれとしいることは残酷きわまることであるといわなければならないのであります。(拍手)
 吉田内閣が民主主義の看板を掲げておりながら、その性格が保守反動であるということは、以上述べました事実と、昨日、一昨日の総理大臣のこの議場における態度とともに、ここに完全に馬脚を現わしたのであります。(拍手)われわれ日本社会党は、七、八、九三箇月の平均賃金を六千二百円、七月―十二月の平均賃金を六千六百円と計算しているのであります。臨時人事委員会は、去る九日、十一月一日現在六千三百七円と決定し、これを政府に勧告しているのであります。政府は声明を出して、「右案作成については相当苦心の跡が認められるが」と言い、苦心の跡だけを認めて、賃金ベース改訂の金額はこれを認めないというのであります。民間企業の平均賃金より低からざる、また單に生活を維持するのみでなく、政府職員として威嚴と権威とを保持するためには、人事委員会の決定したベースも十分でないと考えるのであるが、政府は、これにすら難色を示しているのであります。聞くところによりますと、大藏省の案として、五千三百円ベースということが発表せられております。政府が五千三百円を発表するならば、その具体的な根拠を、この議場において説明していただきたいのであります。われわれは、人事委員会の発表いたしました六千三百七円という合理的な計算に基くものが適当であると考えるのでありますが、はたして政府は、これに対していかなる対策をもつているのか、給與改訂の追加予算はこの法案審議の問題と不可分の問題であるが、政府ははたして、いつごろ、いかなる形式によつて上程するか、明確なる答弁を総理大臣及び大藏大臣からいただきたいのであります。
 第三の問題は、労働法規の改正に関する問題であります。民主自由党は、在野時代、しばしば労働法規の改正を行うと発表しておつたのでありますが、吉田内閣が成立して、在野党時代の公約を実現しなければならない立場にあるのであります。いかなる労働法規のいかなる点を改正されるか、この際明らかにされたいのであります。一切の公約を実現しようとせず、ほおかむりで解散に逃げ込むことは、民主主義の今日、許さるべきことではないのであります。外國の新聞が、吉田内閣を著しい保守内閣であると論じていることは、昨日同僚議員によつて述べられた通りであります。マツカーサー書簡は、民間労働運動に対しては何ら言及しておらないのでありまして、勤労者の健全なる團結運動を彈圧することが、もしも吉田内閣によつて、行われるといたしますならば、外國諸新聞の論調を裏書するのでありまして、マツカーサー元帥の書簡の趣旨にも反することであることは申すまでもありません。この際吉田内閣は、民間労働組合運動に対していかなる対策を持つかを明示されたいのであります。
 第四の点は、地方公務員及び教育公務員に関する問題であります。マツカーサー元帥の書簡の中には、單に公務員または公務員制度なる言葉が使用されている場合と、國家公務員または政府職員なる言葉が使用されている場合があるのであります。前者の場合は、教育及び地方両公務員が含まれるものと解釈できるのでありますが、この場合におきましても、漠然と使用されている場合と、國家公務員の國家という言葉を省略したと思われる用い方があるのであります。しかし、書簡全体の調子から判断すると、書簡の対象は國家公務員であり、政府職員であると思われるのであります。書簡は、あるところでは「政府の使用人」なる言葉を用い、また別なところでは、「勤労を公務にささげるものと私的企業に從うものとの間には顯著な区別が存在する。前者政府職員は、國民の主権に基礎をもつ政府によつて使用される手段そのものであり、その雇用される事実によつて與えられた公共の信託に対して無條件の忠誠の義務を負う」と述べているのであります。申すまでもなく、ただいま上程になつておりますものは國家公務員法の改正であります。しからば、教育公務員や地方公務員は、マツカーサー元帥の書簡及びそれに基いて発せられた政令二百一号及びこの國家公務員法の改正案との関係においては、いかなる取扱いを受けるのであるかを伺いたいのであります。
 政令二百一号は、「國又は地方公共團体の職員の地位にある者」といい、いずれも政令の適用を受け、しかもこの政令は、マツカーサー書簡に基いて発せられているものでありますから、マツカーサー元帥の書簡において主たる対象となつていない教育及び地方公務員が、國家公務員と政令において同様な取扱いを受けているのであります。このこと自体も不合理でありますが、さらに改正案が成立すると、法案の第一次改正附則第八條に規定しているごとく、國家公務員に対してはその効力を失うのであります。しかるに、教育及び地方公務員についてはこれらの身分を規定する法律が成立しておらないのでありますから、現在政令によつて規定せられております地方及び教育公務員の身分関係というものが今後どうなるかは疑問であります。現在では教育委員会が、教員に対して任免、給與の主体となつているのであります。政府は、昨日の衆議院本会議において、教育公務員の任免等に関する法律案を撤回されたのでありますが、たしかこの法案の第一條に、國家公務員法を準用するという規定があつたのでありますが、いかなる理由でこの法案を撤回されたのか、その理由を伺いたいのであります。なお、現行公務員法の附則第十三條に、いわゆる公務員法の特例を設け得る職員として学校職員が規定されていたのでありますが、改正案によりますと、これが削除されているのであります。この削除はいかなる理由に基いたか、これを明らかにしていただきたいのであります。さらに、教員の身分上不安定であるという事実にかんがみまして、政府は教育公務員法という單独法をつくる意思があるかどうかを文部大臣に伺いたいのであります。なお、地方公務員に対しても同じような單独法をつくるかどうか、所管の総理大臣に伺いたいのであります。
 第五に、人事院の性格と権限の問題について伺いたいのであります。改正案によりますと、人事院は内閣の所轄のもとに置かれ、内閣総理大臣に報告することになつており、内閣はこれに対し、行政上の指揮権を有していないのであります。また改正案第四條によれば、人事院は國家行政組織法の適用を受けないことになつているのであります。人事院が人事院規則をつくることは、現行法によれば、内閣総理大臣の承認を経てなすことになつているのでありますが、改正案によりますと人事院規則を制定するほかに人事院指令を発し得ることになり、しかも総理大臣の承認を要する規定が削除せられているのであります。われわれが法律を審議する場合、必要な手続を政令に讓ることを極力避けている事実は、できるだけ國会の議決を必要とする法律の中に手続法規も盛り込むことが適当であると考えているからであります。しかるに改正案は、行政機関たる人事院は、総理大臣の承認を必要としないで、自分の考え通りの規則をつくり、命令を発し得ることになつているのであります。今回の改正は、民主主義の常識から言えば、まさに時代に逆行する暴挙といわなければならないのでありますが、総理大臣はいかなる見地から、かくのごとき改正をされたのであるか、伺いたいのであります。
 なお改正案によりますと、第三條に「この法律により、人事院が処置する権限を與えられている行政部門においては、人事院の決定及び処分は、その定める手続により、人事院によつてのみ審査される。」とあり、法律問題につき裁判所に出訴する権利は保留されておりますが、一行政機関が不当不法の処置をなしたと疑われたときに、行政機関のみが、その意思によつて適否を決定するということは、民主主義國家の行政機関としては、まことに驚くべき独善的な権限といわなければならないのであります。國家公務員が、給與においても恵まれず、身分の点においても不安であり、身分上の処置に対しても人事院の一審であり、しかも最終審の性格を有する審査によつてその生涯が葬り去られることになるならばいかにして職員がその職務の執行にあたり最大の能率を発揮するという國家公務員法の最大目的を達成することができるでありましようか。かくのごとき改正は、憲法第十八條による「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。」との規定に反し、國民の基本的人権を蹂躙するものであり、公務員を人事院規則と指令によつて酷使しようとする圧制であると信ずるのであります。(拍手)この新たに改正案に規定せられている人事院の独善的権限に対する政府の見解を伺いたいのであります。
 さらに人事官は、國会の同意を得て内閣総理大臣が任命するのでありますが、上に述べたように、総理大臣は人院の報告を受けるだけであつて、何ら監督命令する権限をもつておらないのであります。人事官が適当でないと考えるときは、総理大臣は彈劾訴追をなすことができるが、公開の手続によつて罷免を可とする決定がなければ、やめさせることができないのであります。自己の処置に対する自己の決定、総理大臣の人事院に対する権限の弱体化、人事院の強大なる独立権、これらを通じて見ると、人事院は立法、行政、司法の三権分立の憲法の大原則に違反する権限を有するのではないかと考えられるのであります。今回の改正は、憲法の三権分立の精神を蹂躪するものであると考えるが、総理大臣の所見を伺いたいのであります。
#5
○議長(松岡駒吉君) 松澤君、時間が少いですから注意をしてやつてください。
#6
○松澤兼人君(続) また、人事院が第四官僚の根源をなしつつあるといわれております。いかにして人事官僚の独善的、圧制的、独裁的な行為を防止することができるか。内閣はいかなる方法で人事院の行政上の問題について國会に責任を負われるのであるか、御見解を伺いたいのであります。われわれは、かかる人事官僚のフアツシヨン的独善を防止する方途として、人事院の運営を民主化する必要があると考えているのであります。それには人事院に民間経験者によつて構成される監理委員会のごとき機関を設置することが適当であると考えているのであるが、総理大臣は、かかる委員会を通じて人事院を民主化することにつき、いかなる考えをお持ちであるか、伺いたいのであります。
#7
○議長(松岡駒吉君) 松澤君、結論を急いでください。時間がありませんから……。
#8
○松澤兼人君(続) あとは簡單に申上げます。
 第六の問題は、團体協約の問題であります。改正法第九十八條によりますと、團体交渉権は認められているのでありますが、それは政府と團体協約を締結する権利は含まれていないと規定されております。われわれは團体交渉ということは團体協約を締結する手段であつて、目的がなければその手段は何らの効力を持つておらないことを、はつきりと知つているのであります。なぜ、かくのごとき團体協約を結ぶ権利を政府は制限したのか、この点について伺いたいのであります。
 第七に、公務員の政治活動禁止の問題について簡單に伺います。政府案によりますると、國家公務員……。
#9
○議長(松岡駒吉君) 松澤君、結論を急いでください。
#10
○松澤兼人君(続) 國家公務員は投票する域外の政治活動を一切禁止せられているのでありますが、憲法の趣旨からいいまして、國民は單に投票する権利ばかりでなく、投票される権利を持たなければならないのであります。自己が抱懐するところの政治的識見を國民に訴え、みずからが候補者となり、國民の信任よつて、それぞれの議会において政治的識見を発表するということは、國民に與えられた義務であると考えるのであります。しかるに、今回の改正におきましては、公務員は一切の政治的な活動を禁止せられて、單に投票する権利だけが認められているのであります。なお、現在公選による公職についている者がその公職を失わななればならないという規定になつているのでありますが、われわれは、これらの公務員が地方議会に進出して、日本の民主化のために相当の貢献をしているという事実を考えますので、少くとも現在公職にある者については、その任期満了まではその公職におらしめるということが、最も妥当な措置であると考えるのでありますが、これについて政府の所見を伺いたいのであります。(拍手)
 以上、大体簡單に申し上げまして、私は冒頭に申し上げましたように、総理大臣から、それぞれの点について率直明快なる御答弁を伺いたいのであります。
  〔発言する者多し〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#12
○松澤兼人君(続) 政府の率明快なる御答弁がなければ、われわれが委員会において審議する上に非常な支障を感ずるということをどうぞお考え願いまして、御答弁願いたいのであります。以上におきまして私の質問を終ります。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#13
○國務大臣(吉田茂君) 松澤兼人君にお答えをいたします。
 私は、各労働團体その他の代表者には、つとめて時間の許す限り常に会つております。ただ、すべての代表者に会うということは……。
  〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#15
○國務大臣(吉田茂君) 私の時間の上から許さないので、時間の許す限り常に会つております。
 また、國家公務員法に関する信念については、しばしばここで述べましたが、この國家公務員法なるものは國家公務員の地位を打立てる上において、確保する上において必要なる法律として、目下労働問題の最も激化しておるときにおいて最も緊要欠くべからざるものであるがゆえに、すべての法案に先だつて審議していただきたいということは、これまでしばしば述べた通りであります。(拍手)
 また給與問題について、これを予算化するということは、今大藏当局でしきりに準備いたしております。
 また、労働法規を改正するやいなや。労働法規をつとめて妥当に改正したいという考えで現に準備を進めております。
 公務員その他地方公務員、教育公務員等の取扱いについては、主管大臣からしてお答えいたします。また人事院の性格、権限等については、人事委員長からお答えをいたすことにいたします。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#16
○國務大臣(泉山三六君) 松澤議員の私に対します御質問にお答え申し上げます。
 私に対する御質問は、人事委員会の提唱によります官公吏の新賃金ベースは六千三百七円である、これは妥当と思われるが、それに対しまして……
  〔発言する者多し〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#18
○國務大臣(泉山三六君)(続) 財務当局は五千三百円の説をなすが、その論拠はいずれにありや、さようなお尋ねであつたように承るのであります。私は今日、人事委員会の御提案に対して自分の計数的の意見を申し述べたことはないのであります。しかしながら、私は財務当局といたしまして、その財政上におきます負担の程度、これが國民経済に及ぼしますその影響、各般の影響を勘案いたしまして、目下愼重に研究をいたしておるのでございまして、いまだその結論に到達しておらないのであります。従いましていその論拠についてお答え申し上げるような段階には立ち至つておらないのであります。
 以上、簡單にお答えいたします。(拍手)
  〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#19
○國務大臣(増田甲子七君) 松澤君の御質問にお答えいたします。わが民主自由党においては、在野党時代に、労働法改正について相当の公約をいたしておる、これについての労働大臣の所見いかん、こういう御質問でございます。まず、これにお答え申し上げます。わが党におきましては御承知のごとく、去る三月十五日の立党のときに、労働政策について公約をいたしております。それは、生活給、固定給等はなるべくある範囲に限定いたしまして、能率給を大いに加味して労働の生産性を高揚いたしたい、こういう案でございます。(拍手)その次には、六月の十日ごろに、わが政調会の労働政策として試案なるものを発表いたしております。それにつきましては、民主自由党のいまだ公約には相なつておりませんことは、しばしば社会党の政調会において試案が続々として出るあの例によつて、皆様は御納得が行くことと存ずる次第でございます。(拍手)次に、この十月の十日に党の大会を開きまして、そのときに、また一つの労働政策を発表いたしております。そこに何と書いてあるか。
  〔発言する者多し〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#21
○國務大臣(増田甲子七君)(続) すなわち、わが党におきましては、高能率、高賃金によつて大いに生産力の発展を庶幾しておる、こういう政策を発表しております。これらの政策は忠実に実行いたす所存でございます。(拍手)
 それから民間の労働運動について、労働政策はいかなやものを抱懐しておるかという御質問、これに対してお答え申し上げます。わが党におきましては、つとに労働組合の自主性、民主性、責任性というものを強調いたしております。すなわち、これを包活的に説明いたしますと、要するに健全なる労働運動を馴致いたすことに向つて全幅的な努力をささげる、こういう意味でございます。
 第三に、公務員に対する團体交渉権は一般労働者に対する團体交渉権と違う、すなわち労働協約が許されていないのであるから意味がないのじやないか、こういう御質問でありまするが、一面眞理があると思います。しかしながら、皆様御承知の通り、公務員の労働の対象は一般國民でありまして、その一般國民を代表する政府と公務員との関係は、使用者が事業者である、個人であるという関係とは、いささか異なるのでございます。従つて、労働協約を締結するところの権利のない團体交渉権であるということも、またやむを得ない次第でございますから、どうぞ御了承願いたいと存じます。(拍手)
  〔國務大臣下條康麿君登壇〕
#22
○國務大臣(下條康麿君) 文部省関係の事項につきましてお答えいたします。教育公務員にきまして單独立法をいたすかどうかというお尋ねでありまするが、一般的に特例をもつて單独立法をなす必要はないと認めます。但し、附則第十三條によりまして教育公務員の特殊性に関しました点につきましては、すでに第一回國会に提案いたしました通りの案を近く提案するつもりでおります。
#23
○議長(松岡駒吉君) 拡声器の調子もよくないようでありますから、特に御靜粛にお願いします。
  〔政府委員淺井清君登壇〕
#24
○政府委員(淺井清君) ただいまの御質疑中、人事院の性格及び権限について、だんだんと御議論をいただきまして、まことに感謝にたえない次第でございます。人事行政が総合的に、かつ専門的に行われまするためには、人事院というような機関が必要であることは、申すまでもないことでございます。ただ、御論議の中心となりましたのは、この機関があまりに強大に過ぎまして、内閣の権限その他と牴触することがないかとの御質疑のように拜聽いたしました。しかしながら、この問題は終局におきまして、國会に基礎を有する政党内閣の実力と、人事官たるべきものとの良識とが相まちまして、運用の上において円満なる解決をなすと、私は確信しておるものでございまして、御懸念のような点はごうもないと存じております。(拍手)
  〔松澤兼人君登壇〕
#25
○松澤兼人君 ただいま、総理大臣初め各大臣から御答弁をいただいたのであります。しかし、マイクの調子が惡いという機械的な原因もあるのでありますが、私どもといたしましては、政府が私の質問に対しまして十分なる答弁をしておらない、その熱意におきましても、あるいは抱懐せられる政策におきましても、十分に熟しておらないということを私どもは考えるのであります。(拍手)特に私が総理大臣に、人事院の関係について承りたいことは、ただいま淺井人事委員長からお述べになつたのであります。しかし、これは人事院の側からの答弁であります。私は、総理大臣の立場から、この人事院の問題について明快な答弁を要求しておるのであります。
 さらに大藏大臣は、先ほど愼重に検討中であるということを申されたのであります。私どもは、繰返し繰返し申しておりますように、この公務員法の改正と給與の改訂とは一体をなすものである。本來私たちが率直のことを申し上げますならば、給與の改訂が出なければ法案の審議はしなくてもいいという確信を持つておる。しかるに政府は、法案の提出だけをやつて、給與の改訂については、何ら片言隻句もここで発表になつておらないのであります。そこで問題は、いつ追加予算をお出しになるのか、明確に追加予算を上程されるその時期をもう一度承りたいのであります。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#26
○國務大臣(吉田茂君) お答えいたします。ただいま人事委員長の説明は、すなわち私の説明、すなわち政府の説明を御了承願います。
  〔発言する者多し〕
#27
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#28
○國務大臣(泉山三六君) ただいまの松澤さんの再御質問に対しましてお答え申し上げます。先刻の御質問は、追加予算をいつ出すのか、かような御質問には承つておらないのであります。
  〔発言する者多し〕
#29
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#30
○國務大臣(泉山三六君)(続) しかしながら、せつかくの御質問でございますので、私はここにお答え申し上げます。ただいまは、その追加予算につきまして鋭意研究中でございますので、近く提出の予定でございます。以上お答え申し上げます。
  〔松澤兼人君登壇〕
#31
○松澤兼人君 ただいまの総理大臣から……
  〔発言する者多し〕
#32
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に交渉してください。――松澤君、進行してください。
#33
○松澤兼人君(続) ただいま総理大臣より御答弁があつたのでありますが、総理大臣に、もう一度御質問申し上げます。総理大臣は、人事院と内閣の関係について十分御承知がないから、先ほどのような御答弁があつたものと私は思います。普通の行政官廳でありますならば……。
  〔発言する者多し〕
#34
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願い申す。
#35
○松澤兼人君(続) 普通の行政官廳でありますならば、各省大臣と総理大臣の意見は一致するといえるのであります。しかし、人事院は総理大臣の指揮監督を受けないのであります。人事院は、單に総理大臣に対して報告するだけであります。総理大臣は、人事官の任命に対して、國会にこれが同意を求めて任命するだけであります。これを罷免する場合には彈劾訴追をするだけであります。從つて、この独立した人事院の行政機関と総理大臣の関係は、普通の行政機関における関係とは違うのであります。この点を総理大臣ははつきりと御認識くださつて、もう一度ごめんどうでも率直な御答弁をいただきたいのであります。(拍手)
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#36
○國務大臣(吉田茂君) ただいま人事院と内閣総理大臣との関係についてのお話がありましたが、私が申すところは、人事院の性格についての説明は、すなわち政府を代表しての説明である、こう申すのであります。この点、御了承を願います。
  〔発言する者多し〕
#37
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。――靜粛に願います。中曽根康弘君。
  〔中曽根康弘君登壇〕
#38
○中曽根康弘君 私は、民主党を代表して、國家公務員法改正に関し質問したいのでありますが、総理大臣は所用でおりませんようですから、明日御答弁を伺います。労働大臣、大藏大臣、臨時人事委員長に質問をいたしたいと思います。私が質問をいたしますことは、大略次の三点であります。すなわち、本改正案における憲法、行政法上の問題、第二は労働法上の問題、第三は財政法及び本法の実地運用上の問題であります。
 まず、第一の問題の内容について申し上げますと、その一は、本改正案における憲法違反に関する疑義の問題であります。その二は、本法の反立憲的性格の問題であります。その三は、反國家的不法行為に対する措置、その四は、雇用人の地位、身分に関する問題、最後に、現行法に認められた官吏彈劾條項を何ゆえ削除したか、及び國家公務員と地方公共團体公務員の関係の問題であります。
 まず憲法違反の疑義に関しては、御存じのように、いわゆる政令二百一号芦田政令の憲法的疑義の問題があるようであります。この問題は、主として共産党方面より主張されておりまして、その理由は、いわゆる政令二百一号なるものは憲法上の妥当性に基いた政令ではない、憲法外の妥当性に基くものであり、そこに國内法の妥当性における断層があるがために違反であると主張しておるようであります。本件に関しては、共産党方面で追つて主張があると思いますが、政府は、先般新聞に、憲法違反にあらずという見解を発表いたしました。私は、この際この國会を通じて、吉田内閣が正確に國民にその所信を表明してもらいたいと思うのであります。
 次の重大なる問題は、憲法六十五條と改正案三條との問題であります。諸君、一昨日突如として、臨時人事委員会より、新給與六千三百七円というベースが発表されるや、吉田総理大臣以下特に泉山大藏大臣に至つては、顔色蒼白となり、脳貧血のような状態を來したのであります。(拍手)何ゆえにこのようなことが起つたかと申しますと、それは憲法六十五條では、行政権は内閣が專有すると書いてある。しかるに、本改正案三條によると、人事院は内閣総理大臣に対しては報告する義務があるだけであつて、いわば内閣に対しては半独立的な地位にあるのであります。こういう状態において、内閣は、憲法六十五條に規定しておるところの國会に対する責任を負えるかどうか。言いかえれば、憲法第六十五條の行政権というものは、実質的にはその一部にすぎないのではないか、こういう問題なのであります。実に吉田さんや泉山さんが顔色蒼白となつたのは、この第三條がしからしめたのである。この目の前においてこの醜態を演じながら、何ゆえに政府はこのような條項を認めるのか。それで國会に対する責任が全うし得るのか、私は質問したいのであります。先ほど人事委員長の淺井君が、運用の妙味を発揮するということを言つた。これは、まことに不可解な言葉である。運用の妙味を発揮するならば、何ゆえに吉田総理大臣は顔色蒼白となつたのか、その理由がわからない。運用の妙味を発揮するならば、このような不可解な事態は起きないであろうと私は思うのであります。この国家公務員法改正原案第三條は、そのほか実に國家公務員の採用、恩給、行政整理その他勤務條件全般に及ぶところの本改正案中最も重要な箇所の一つであります。この点に関する政府の明確なる所信を、私は再びお尋ねいたすのであります。
 第三の憲法上の疑義は、應急予備金の問題であります。この点については、財政法上の関係のところで申し上げたいと思います。
 次に重要な問題は、本改正案の反立憲的性格の問題であります。諸君、新憲法は明らかに議院内閣制を認めておる。議院内閣制とは、必然的に政党の責任政治である。しかるに、わが國の現在の官僚機構を見ると、依然として牙城抜くべからざるものがあるのであります。この官僚制度を打破しなければ政党の責任政治は断じて貫徹できない状態にあるのであります。しかるに本改正案を見ると、依然として行政の中立性、あるいは専門性、あるいは能率主義、こういうような言葉に籍口して、巨大なる人事院のもとに、從來の官僚機構は、当分の間依然として温存せられるようなことになるのであります。吉田総理は、みずから高らかに政党の責任政治を叫びながら、何ゆえにこの現状を打破する法的措置を講じなかつたのであるか。もつとも吉田さんは、学者と官僚の催眠術にかかつているそうでありまするから、それで本法案を喜んで出したのかもしれない。しかし、それでは吉田さんがとなえるところの責任政治はできない、その信念と背馳するということに私は目ざめていただきたいのであります。
 さらにまた附言するならば、現行法第五條五項を見ますると、人事官の地位におきまして、任命の日以前一年間において政党の役員であつた者は人事委員になることができないとある。しかるに改正案によると、五箇年間に延長しております。五箇年間、政党の役員であつた者その他は人事委員になれないということになつている。これは明らかに、本改正案における反政党的な、反立憲的な性格であろうと私は考えるのであります。また、たとえば何ゆえに、吉田さんがとなえるような責任政治を行おうとするならば、政策決定に影響を及ぼし得るような地位、つまり局長であるとか、部長、次官、こういう内閣の政策決定に影響を及ぼし得るような地位を特別職、あるいは一般職にしても選考任用あるいは特別の自由任用を認めるような法的措置をとらなかつたか。この問題は、憲法の基本精神に関する、議会政治の本旨に関する重要な問題でありますから、私は所信をお尋ねする次第であります。
 なおまた、本改正案及び原案は、原則的には官吏制度の根本精神として、いわゆるスポイルシステムを排して、メリツト・システムというものをとつております。これは、私も同感のところであります。しかし、たとえば改正案の人事院というものは、先ほど松澤君が指摘せられたように、國家行政組織法というものを排除している。あるいは應急予備金という、ほかの官廳では持たないような変なものを持つている。あるいは人事院規則、人事院指令というものを單独に制定するという権能を有している。あるいは、どの官廳が一般職であるか特別職であるかというような決定をやる権限までも持つている。そしてまた國務大臣級の人事官を擁するという、言いかえれば、國家行政組織体系における一種の怪獣、いわゆるリバイアサンのごとき存在であるのであります。しかもその上、公務員を試験と格付の鑄物に詰め込んでしまつているところの本改正案の過度の職階制なるものは、人間を人間として使わない、人間たる公務員を大きな行政のメカニズムの一部分人として当てはめるだけである。まして、この怪獣のような人事院の横行する中には、公務員の創意とくふうを押しつぶされて、いわゆる点取虫のみが氾濫するような結果になりはしないか。アメリカやイギリスの國民性と日本の國民性は違う。この國民性の相違を考えるときに、私は、にわかに首肯しがたいものがあるだろうと思うのであります。この点に関する政府の見解を伺う次第であります。
 次に重大なる点は、國家公務員の不法なる反國家的行為及びそのおそれある行為、これに対する措置の問題であります。原案よりますと、この点については、たとえば第三十八條において、「日本國憲法施行の日以後において、日本國憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の團体を結成し、又はこれに加入した者」、これは國家公務員になれない。こういう一つの規定がありますが、改正案において、百二條で、政治行為の制限をさらに拡大しております。
 御存じのように民自党は、在野時代、國家公務員のこのような行為に対しては相当の規制を行うという構想があつたということを承つております。この点、私も同感であります。たとえばあのドイツの例において、ワイマール体制が崩壊した歴史をひもときますと、ヒトラーは議会政治の街道を直進しながら、議会政治をカモフラージして出て來ておる。そうして、議員を議会においてふやすことにまず專念して、一九三三年の総選挙において過半数を制するや、その議員をもつて授権法を制定して、國会の権能を政府に與えてしまつておる。つまり、國会が自殺したということになる。しかし、一應は議会の街道を通つておるような仮裝をしておるのであります。わが國の現状を見ても、このようなおそれなしとしない。極右は極左に通ずるという言葉もあります。最近の東宝爭議の例や、あるいは法廷鬪爭における一部の者の行動のごときは、明らかにこの扮飾であると私は感ずるのであります。
 諸君、民主主義を仮裝する者の勢力というものは、われわれは相当警戒しなければならない。ほととぎすという鳥があります。このほととぎすという鳥は、実に不精な鳥でありまして、自分で巣をつくらない。ほととぎすは、うぐいすの巣の中に卵を産み、そうしてうぐいすの親は、ほととぎすの卵とうぐいすの卵を暖める。ところが、ほとどぎすの卵の方が先に孵化して鳥になるのであります。烏になつたほととぎすは、うぐいすの母親からえさをもらつて親鳥になる。親鳥になると、そのうぐいすの卵をけ飛ばして飛び立つて行く。こういうことをやつておるのであります。日本の現在の状態を見て、官界のほととぎすが、はたして日本にないと言えるか。また、この官界のほととぎすをあやつつておる一部の政界のほととぎすが、この議場の中にないとは私は断言できないと思う。(拍手)もちろん、言論、思想等の基本的人権は擁護しなければなりません。しかし、わが國の民主主義は、このうぐいすの母親のような民主主義であつてはならない。民主主義には、崇高なる鬪爭宣言、自由を守る鬪爭宣言が含まれておるだろうと思うのであります。最近の世界情勢及び東亞の形勢にかんがみて、この問題に関して吉田内閣はいかなる構想を持つておるか、その構想をお聞きしたいものであります。
 第三は、改正案第二條において、現業廳、公團職員及び單純労務に雇用されておる者、これは從來は特別職であつたものを、一般職に含めて本法を適用することになつております。現業廳や公團については、新労働法が制定されるようでありますから、私はこの際しばらくおきますが、いわゆる單純労務者というものは、決してこれは昔のいわゆる官吏関係にあるものではない。公法的な関係にあるものではない、私法上の雇傭契約に基いている労務提供者である。かくのごときものを一般公務員と同じようにひつくるめて、このような規制をやつてよいかどうか。私はしかし、このような人たちを一般の私企業の人並みに扱えというのではないのであります。この公共企業体に準ずるような措置を必要とするのではないか。この点について吉田総理の所信を承りたいと思うのです。
 もう一つは重要な問題でありまするが、公務員彈劾條項を削除したことであります。原案第七十七條は、この前の前の議会におきまして、國会が追加して入れた條文であります。つまり、憲法にある公務員の罷免権、国民が持つておる罷免権を國会が有効に発動するように、不良なる公務員に対しては、これを彈劾して罷免するような措置を認めたのであります。ところが不可解にも、この國会が挿入した條文が今度は削除されておるのであります。私は、これは実に不可解な点でありまして、何ゆえにこれを削除したのか、総理大臣その他関係大臣にお尋ねするのであります。
 最後に、地方公共團体の公務員の問題でありまするが、この点については松澤さんが質問されましたから、あまり触れません。附則第十五條において若干触れておるようでありますが、一体政府は、地方公共團体公務員法、こういうようなものを制定する意思があるのかどうか、これはひとしく地方公共團体の公務員が聞かんとするところでありまして、政府の所信をお伺いする次第であります。
 次に、労働法上の問題について伺います。その一つは、交渉権、團結権の問題であります。昨日の政府の説明によりますというと、團結権は認める、また限られた交渉権は認める、こういうことを明言しております。しからば、この交渉権とか團結権とかいうものは、いわゆる労組法、労調法上における團結権であるのか、交渉権であるのか、もし、そういうものでないとするならば、これは羊頭を掲げて狗肉を賣るような類のものではないか、もつと率直に表明したらどうか、こういうふうに感ずるのであります。もちろん、公務員関係はいわゆる特別権力関係でありまして、一般私企業との地位も異なります。また、從來の労働組合運動が一部の過激分子に災いされて常軌を逸した点も認めざるを得ません。しかし私は、労働組合がより健全化されること、そうしてより民主化されること、たとえば、この改正案附則第四條に示しているような、このような法的措置を講じた後に、團結権はもとより、罷業の脅威を伴わないということを條件として交渉権も認めたらどうか、そうして、これが処理のために苦情処理機関のごときものも設置したらいいのではないか、こう思うのであります。この態度は、わが党が、一昨年労調法制定の当時より一貫してとつている態度でありまして、今後の日本労働界の將來を見通した中正、中道の立場であると信ずるのであります。この点についての政府の所信を承りたいのであります。
 もう一つの点は、第九十八條第五項の問題であります。第九十八條第五項において、御存じのように、同人も同盟罷業、怠業その他の爭議行為、こういう問題に関して「このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。」こういう條文がある。それに対して罰則があるのであります。ところが、この罰則で罰しているのはどういう人たちであるかというと、これは「違法な行為の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者」と書いてある。つまり、これは共犯者と共謀者、幇助者、煽動者、予備を企てた者、こういうものを罰するという趣旨だろうと思うのであります。それによりますというと、行為をやつたもの自体は罰しなくてもよいということになる。私は、この法的措置はいい改良であると思うのであります。一般の労働組合員が争議行為をやつた場合は罰しない、しかし、煽動し、あおる者は罰する、こういう措置なのであります。しかし、ここで重要な問題は、この「遂行を共謀し」という一般関係が、どの程度まで伸びるかという問題であります。たとえば、労働組合の幹部が罰せられるのか、準幹部が罰せられるのか、あるいは組合が大会を開いて表決をして爭議に入つたという場合には、組合員全体が罰せられるのか、この点に関して、私は増田労働大臣の正確なる御答弁をお願いしたいと思います。この点は労働組合員として最も重大なる点であろうと思うのであります。
 次は專從職員の問題であります。本改正案によれば、公務員たる專從職員は否定されております。この趣旨は、組合の自主性回復のために私も了承する点であります。しかしながら過渡的の措置として專從職員の相当の数の減員をやる、つまり、数を減らした一定の比率のもとに公務員たる無給の專從職員を設置することは、鬪爭を職業とするところの爭議屋の跋扈を防ぎ、政府、公務員間に深い理解と協調を生ずる原因になりはしないか。この点に関する政府の所見を承りたいと思います。
 次に政治行為の問題でありますが、改正案は、選挙権行使以外の政治行為は、これを人事院規則の定めるものを除いては禁止する、こういうふうに書いてあります。しかし、これは重大な規定でありまして、たとえば、從來選挙に関係のない官吏が、勤務の余暇を利用して、支障のないように、日曜日に、たとえば自分の友人の應援演説をやつた。これは從來の戰爭前の法規でも認められたところであります。このようなところまで、今度の法規でこれを否定しているのかどうか。これは基本的人権の重要な部分に関する問題であろうと思うのであります。私は、この問題については、組合側が團体的拘束をもつて資金を集めたり、あるいは特定人に投票しろとかいう指令をしたり、そういう拘束をすることは、禁止すべきであろうと思う。しかし個人的行為については、基本的人権に関する重要問題であるがゆえに、これこれのことはしてはいけないという制限列挙で、禁止事項を列挙すべきが、正当な立場であろうと思うのであります。この点に関する労働大臣の見解を承りたいと思うのであります。
 次に、財政法上その他の運用問題について質問します。
 第一は應急予備金の問題であります。改正案第十三條において、應急予備金というものが認められております。この予備費あるいは予備金という経費の性格を見てみますと、これは憲法でも相当重視しておりまして、憲法第八十七條によれば、予備費は内閣が責任をもつて支出する、そうしてそれは國会の事後承諾を得る、こういうふうに措置を講じております。これは、予備費というものの性格を相当重視して、監督を巌にするために、こういう規定をつくつたものであると思うのであります。この第十三條に認められた予備金も、やはり同様なる性格をもつて、少くとも憲法を忠実に履行しようとするならば、その憲法の精神に從つて運用されなければならないと思うのであります。ところが、この予備金を支出する点に関して、人事院の総裁と内閣総理大臣との関係を見ると、関係がないのであります。つまり、人事院の総裁は予備金を支出する。しかし、支出した予備金に対して、内閣総理大臣に対して特にこれを報告する義務があるかどうかというと、その点は、はなはだ不明確になつております。つまり、第二十四條において、「人事委員会は、毎年、内閣総理大臣に対し、内閣総理大臣の定めるところにより、その業務の状況を報告しなければならない。」こういうふうに原案ではなつておるのであります。ところが、改正案はどうかと言うと、「人事院は、毎年、國会及び内閣に対し、業務の状況を報告しなければならない。」こういうふうになつておる。原案によりますと、内閣総理大臣はこういうふうに報告しろということを指定して、それによつて人事委員長は報告することになつておる。ところが改正案においては、人事院の総裁がかつてに様式をきめて、項目をきめて報告するということになつておる。そうすると、この重大な予備金についても、あるいは報告しないことがあり得るのであります。こういう重大な予備金の運用について、法的に重大なミスがある。これは憲法違反の疑いがあるのではないかと私は思うのであります。この点に関しては、私は、この原案の方がはるかに憲法的な規定であると思うのであります。何ゆえ、このような非憲法的な規定をここに挿入したのか、この点について、私は関係大臣に眞相を聞きたいと思うのであります。
 次に予備金の性格でありまするが、この予備金は、一体人事院の維持管理に要する費用だけを出すのか、あるいは國家公務員全体を対象にして、いろいろな不時の給與ベースを上げる追加経費として出すのか、つまり人事院だけの予備金か、あるいは國家公務員全体に対する予備金であるか、こういう問題が明確でないのであります。條文によりますと、たとえば人事院の予算原案を内閣が修正した場合には、原案と内閣案とを同時に國会へ出すという規定がある。あるいは第十三條によれば、昭和二十七年三月末日までこの予備金を置くということが書いてあります。これらは、いずれも経済不安定時期における公務員の身分を保障するために、つまり公務員擁護のための規定のようである。つまり後者のように解せられるのでありますが、いかなる性格のものであるか、この点もお伺いしたいのであります。しかし、いずれにしても私は、このような予備金を設けることは妥当ではないと思う。人事院だけでこのようなものを認めることは、大した理由がない。またかりに、後者の、國家公務員全体に対する不時の経費として認めるのであれば、この給與問題その他は、現下の財政に関係する重要な問題でありまして、國会を離れてこのようなことを処理することは非立憲的な所為である、こういう点から見て、私は予備金の性格及びその設置について重大なる疑義を存するものでありまして、内閣総理大臣及び関係大臣の御所見を承りたいと思います。
 次に恩給に関してでありますが、公務員の現在の腐敗状況を救うためには、待遇改善が一番大事であることは、これは御承知の通りであります。そういう意味で、この恩給制度も今般また認められたのであると思いますが、この恩給をどういうふうにやるのかという問題について、改正案によると、保険数理に基いて出すということになつております。しからば、保険数理とはどういう意味であるかというと、今までのように國家公務員関係のみに認められたような方式でやるのではなくて、総合的社会保障制度の一環として、その精神と方法をもつて公務員に適用するような新しい方式でやるのか、この点について関係大臣の御所見を承りたい。
 最後に私は、本法の運用上の問題について承りたいと思うのであります。第一に、このような重大な人事院の職能を現在の臨時人事委員会がやれる実力があるかどうかという問題であります。私の見るところによりますと、現在の臨時人事委員会がやつておるような、助言と指導ばかり求めるトンネルのような存在であるならば、このような厖大なる機構はいらぬ。しかし、実力ある人事院として再発足するためには、早急なる内容の充実と整備をやらなければならない。この点について、人事委員長はいかなる所見を持つておるか、見通しを持つておるか、簡單にその現況を承りたいのであります。
 そして現実の問題として、この國家公務員に対する身分の規制と、國家公務員の身分の保障というものは、同時にやらなければならぬ問題であります。この点、先ほど松澤君の指摘した通りでありまして、同時に保障してやるということ、これが本法実施の精神である。しかるに、この給與問題を実施しようとするならば、これは結局、総合的視野のもとに諸般の対策を講じなければならない。たとえば給與ベースを上げるとすれば、それは一般民間の賃金に響いて騰貴をもたらす。その賃金がまた一般官公吏の給與に圧力を加える。そういうことになつて、結局は民間賃金の安定というところに行かざるを得ないのであります。從つて、国家公務員法の問題及び給與の問題というものは、國政全般の根本的なものに触れる問題でありまして、どうしても一般的な政策を発表しなければ、確実な審議は断じてできないのであります。このような状態でわれわれが審議するということは、これは國民に対して、まことに済まない審議状況であると思うのであります。(拍手)
 この点について、朝日新聞でありましたか、先日の吉田さんの態度というものは暴風雨の中に乗り出す船長のようなものだ。ただ船に乘り込め乘り込めと言う。お客はどこへ行くのですかと聞いても、そんなことはわからぬ、船長にまかせろ、こういう態度が吉田さんの態度であつた。このような態度でわれわれ審議することはできぬ。吉田さんが誠意をもつてこの國家公務員法の審議を促進しようとするならば、全般的な見通しのある一般政見発表をなぜやらないか。それを促進することが眞に根本原則であると思うのであります。吉田さんは、先日來の答弁でやると言つておる。やると言うならば、しからばいつここでやるか。十一月何日にやるのか。これを私はお聞きしたいのであります。これは追加予算も同時に出さなければならない問題でありますが、これもいつ出すか、何円ベースで出すか、この問題を至急ここで答弁してもらうようにお願いいたす次第であります。(拍手)
  〔政府委員淺井清君登壇〕
#39
○政府委員(淺井清君) 僭越でございますが、私順序が先になりまして、まことに恐縮でございます。中曽根さんから、だんだんと御教示をいただきたいのでありますが、はなはだおわびをいたさなければならないことがございます。私の席が離れておりましたために非常に聞き取りにくうございまして、お答えになるかどうか、はなはだ心配をいたしております。
 結局、御質疑の一番の重点といたしましては、この人事委員会の権限があまりに強いために憲法違反のおそれがあるのではないかという御質疑のように拝聴いたしました。なおその他においても、この国家公務員法と憲法違反問題との関係については多々御論議があると存じまするが、これらにつきましては、委員会におきしまして詳細に申し上げたいと存ずる次第でございます。ただ、ただいま明らかに私の方で間違いないとお聞き取り申し上げました点について、ここに一つお答えをいたしたいと存じます。中曽根さんの御論によりますれば、内閣総理大臣に報告するだけで、一体内閣総理大臣はどのような権限を人事院に持つて出るのかというような御論議と拜聴いたしましたが、憲法第七十二條に定めました内閣総理大臣の行政各部に対する監督権としての監督権は、私はごうも失わないものと考えておる次第でございます。何となれば、憲法は国家公務員法よりは上位の法律と心得ております。ただ、その監督の方法が、普通の行政官廳と違いまして、人事院の独立性にかんがみまして、おのずと制限せられてまいりますることは、これはやむを得ないことと存ずる次第でございます。
 それから予算の独立、予備金等に関しまして御論議がございましたが、これは申すまでもなく人事委員会自身の経費に関する問題だけでございまして、決してその他に及ぶものではないのでございます。(拍手)
   〔國務大臣林讓治君登壇〕
#40
○國務大臣(林讓治君) 総理に御質問のあつた点について、総理は欠席をいたしましたので、私がかわつて申し上げられる点だけ申し上げ、あとは、それぞれのお係の大臣から御説明を申し上げたいと存じます。マツカーサー元帥の書簡に基きますところの政令二百一号に関しましては、これはすでに芦田内閣の当時におきまして、憲法上の問題については何ら関係、違反するものにあらずというようなことが、確定をせられておりまして、その次にわれわれ内閣を組織いたしまして、十分考慮いたしました上で、今日提案になつておるわけであります。その点は、とくと御了承をお願いいたしたいと考えます。
 なお以下はほかの係の大臣から御説明を申し上げることにいたしまして、総理にかわつて、それだけのことを申し上げておきます。(拍手)
  〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#41
○國務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。中曽根君から大分こまかい御質問でありまして、私がもし、これをこまかに答えておりますれば、相当時間を食いますから、適当にお答えいたしますことを、どうぞ御了承願います。
 まず第一に、公務員法によつて認められた團体交渉権は限局されたものである、これは何ゆえであるかという御質問でございます。御承知の通り、労働組合法によつて認められた團結権あるいは團体交渉権は、いわゆる労資対等の原理に立つものでございまして、これが團体協約なり、あるいは爭議権を認められていることは、当然でございます。しかしながら、公務員の労務の対象は一般国民である。その國民を代表するところの政府機関とは、中曽根君の言われたようないわゆる権力服從関係に立つておる次第でございまして、從つて、その團結権につきましても、あるいは團体交渉権につきましても、特別の立法措置をなさなくてはならぬいうことは、これまたやむを得ない次第と御了承願います。
 その次に罰則の適用でありますが、かんじんの爭議行為に從事した者を罰せずして、これをあおつた者あるいはそそのかした者、あるいは共謀者等を罰するのは何ゆえかという御質問でございますが、これはその性質上、怠業行為あるいは爭議行為に從事した本人よりも悪質であるというような見地に立つておる次第でございます。
 それから、労働組合の幹部が――これは法人的のものになるのでございまして、一般の労働組合ではないのでございますが、この労働組合の幹部が処罰されるかどうかという御質問でございますが、私は、行為の当事者が罰せられる、こういうふうにお答え申し上げます。
 それから、さらに専從職員の問題でございますが、給與を受けながら労働組合運動に従事する、あるいは團体交渉をするというようなことが、おもしろくないということは、中曽根君も御同感であろうと思います。すなわち、わが國の労働組合は、今や幼稚なる時代から蝉脱いたしまして、自主性を獲得すべきときであると思つております。一般の労働組合につきましても、専從職員が会社から給與をもらいながら組合業務に從事するということは、これは御用組合に堕するきらいがあるのでありまして、組合の自主性獲得という意味合いからいたしましても、私は専從職員は給與を受けてはならないというふうに考えております。でありますから、給與を受けながら組合業務に従事すということは、おもしろくないという見地のもとに、今度の公務員法は立法されております。但し、人事院が認め、あるいは人事院の規則に定めるところの條件あるいは事情下において組合事務に從事するということは許されておる次第でございます。
 それから、政治行為を人事院規則でしばつておるということは何ゆえかという御質問でございますが、もちろん法律において原則的の政治行動は禁止いたしております。すなわち、選挙権行使以外のことは人事院規則に委ねると書いてあるのでございまして、特殊のいろいろな政治活動にして公安を害する、その他のことは、そのときそのときの政治上の客観情勢で決定される次第でございまして、今われわれが予見できないものを法律で書いておくことは、おもしろくないというわけで人事院規則に委任した次第でございます。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#42
○國務大臣(泉山三六君) 中曽根議員の私に対する御質問は、おおむね二つの点であつたかと思うのであります。
 第一点は、國家公務員法第十三條の應急予備金について、憲法違反ではないか、かような意味合いに承つたのであります。しかるに、右の應急予備金は、憲法及び財政法上の予備金というものではございません。國会法とか、あるいは裁判所法のいわゆる予備経費と同性質のものである、かように御了承願いたいのであります。
 御質問の第二点は、新賃金給與ベースの追加予算はいつ提出するのか、またそれは何円ベースによるか、かような御質問でございましたが、この点に関しましては、先ほど松澤議員にお答え申し上げました通りでございます。さように御承認願います。
  〔中曽根康弘君登壇〕
#43
○中曽根康弘君 ただいまの御答弁を承りますと、相かわらず無責任な吉田内閣ぶりでありまして、唖然とした次第であります。
 まず第一に、淺井臨時人事委員長は、内閣の行政権と人事院との問題については、憲法七十二條に総理大臣は一般的監督権がある、だから、それでいいのだという答弁でありましたが、これはまことに不可解な答弁であります。なぜならば、この七十二條を無規するような法律が出ているから、この法律は憲法違反ではないかということを聞いている。しかるに、憲法がある、だからこの法律は大丈夫だという、逆の答えをしている。これが淺井さんの御答弁とは、私は受取れない答弁だろうと思います。この点について、私はもう一回淺井人事委員長の所見を承りたいと思います。
 第二に、林さんは総理大臣の代りに答弁されましたが私は総理大臣から聞きたいのであります。それで、林さんにもう一回承りたいのですが‥‥。
  〔発言する者あり〕
#44
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#45
○中曽根康弘君(続) もう一回申し上げます。この政令二百一号の憲法違反云々の問題については、私は副総理などの答弁を求めているのではない、一國の内閣総理大臣が、責任ある正確な答弁をここでしてもらいたい、これを再確認いたしておきます。
 それから、一体施政方針演説を何日にやるのかというのが私の質問の根本であります。その何日というのを、ここで明言してもらいたいと思うのであります。
 それから労働大臣にお尋ねいたしますが、先ほどの九十八條の罰則の問題で、行為の当事者を罰するのだという、あいまいな答弁を伺いました。しかし私が聞いているのは、共謀関係がどこまで成立するかという問題であります。これは一般の労働組合としても重要な問題でありまして、怠業行為、爭議行為をやつたならば、幹部だけ罰するのか、他のものは罰せられないか、これは重要な問題であります。この重要な見解を、私は率直に披瀝してもらいたい。この点、重ねて申し上げます。共謀関係がどこまで成立するかという問題であります。
 それから無給の専從職員を置くことについては、臨時人事院規則によつて可能性があるということを言つておりましたが、これを実際置く意思があるかどうかという点を、重ねてお聞きしたいのであります。
 最後に泉山さんの御答弁を拜聽いたしまして、はなはだたよりないと思うのであります。問題は、追加予算をいつ出すかという問題である。もう一つは、一般的な財政政策との見透しがなければ、この問題はできないのだ。その一般的な財政政策、つまり民間賃金の安定をやるのかやらないのか、そういう一般的な、特にその大事な点を率直に披瀝してもらいたい。そうして、追加予算をいつ出すか、これを聞いておるのであります。この点について、もう一回御答弁を承ります。
  〔國務大臣林讓君登壇〕
#46
○國務大臣(林讓治君) ただいまの再質問に対してお答えいたしますが、施政方針をいつ出すかということは、先ほど來幾たびか申し上げてあるわけでありますから、重ねて私が申し上げるまでもないと思います。
  〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#47
○國務大臣(増田甲子七君) 先ほどのお答えで御了解を得たと思つておりましたが、重ねての御質問でありますから、お答えいたします。
 要するに、そそのかした者、あおつた者、共謀した者、これらの犯罪者自体を罰するのであります。すなわち行為当事者を罰する。こういうわけであります。從つて、もし――これはほんとうは法務総裁が御答弁に相なるべきでありますが、中曽根君が何を感違いせられたか私に聞かれますから、私がお答え申し上げますが、行為当事者を特定し得ないというような、一つの司法処分上の問題があるといたします。そのときは、これは司法処分上の問題でありますから、司法当局にゆだねるよりいたし方ありませんが、法の解釈といたしましては、あくまでも共謀者、それからそそのかした者、あおつた者、これらを罰する次第であります。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#48
○國務大臣(泉山三六君) ただいまの中曽根さんのお尋ねにお答え申し上げます。新給與ベースに関しまして、その予算の提出にあたり、それが経済の全般にいろいろ関係のある点についての御心配は、ごもつともに存じます。しかしながら官公吏の給與は、物價織込みの賃金とは、その性質においておのずから異なるのでございまして、官公吏の給與が、そのまま当然物價に影響あるとは申しかねるのであります。しかしながら実際におきましては、賃金並びに物價の面に関係いたします点も、あるいはないわけではないと考えますので、今日、將來の物價の点につきまして愼重に検討を重ねている次第でございます。以上、お答え申し上げます。
  〔政府委員淺井清君登壇〕
#49
○政府委員(淺井清君) 中曽根さんから重ねて御質疑がございましたが、私の申しましたところは、前回御答弁申し上げたところと少しもかわりないのでございまして、なおこれに対する御論議につきましては、委員会において詳細に申し上げたいと思います。
  〔中曽根康弘君登壇〕
#50
○中曽根康弘君 どうも、吉田総理大臣の答弁しないという癖が閣僚にまで傳染して來たようでありまして、はなはだ遺憾にたえないところであります。(拍手)淺井さんの御答弁は、委員会で説明するというお話でありますから、委員会で承ります。その次に林さんに至つては何も答弁しない。これは、さすがに副総理だけあつて、一番総理大臣の病氣の感染が早い。(拍手)林さんが答弁しないというならば、私は総理大臣に、重ねて明日明確なる答弁をここでお願いいたしておきます。
 また労働大臣におかれましては、やや明瞭なる答弁をなさつた、ただ一人の方でありますが、(笑声)相かわらず行為の当事者を罰すると言われておる。それはわかりきつたことで、あなたがおつしやつた、そそのかすとか、共謀するとかいうのは、條文をそのまま読んだにすぎない。私のお聞きしたいのは、この條文の解釈はどうかという問題なのであります。私は、法務総裁が所管であるということは、よく知つております。しかし、いやしくも一國の労働大臣たるものが、これくらいのことをわきまえないで、どうして労働大臣になれるか。(拍手)この点について私は承りたいのであります。つまり共犯関係というものは、どの程度まで牽連するのか、組合幹部か、準幹部か、投票した組合員にも及ぶのか、この一点について、明確なる答弁をもう一回お願いしたい。
 また泉山大藏大臣に至つては、給與ベースの問題は物價に関係ないというような変な答弁をされておる。(拍手)これは私ははなはだ了解に苦しむ答弁でありますが、何とも御返事のしようがないのであります。これは間違いであるかどうか、さらに御答弁を願いたいと思うのであります。
  〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#51
○國務大臣(増田甲子七君) 法律を学ばれた中曽根君が、明確なる法律観念を持つていらつしやらないことは、きわめて私は遺憾であります。もうこれだけお答えしたら、おわかりになると思うのでありますが、重ねての御質問でありますからお答えいたします。すなわち、共犯関係はどうかという御質問らしい。そこでお答えいたしますが、要するに、これに対してのお答えも、行為者自体を罰するのである。共犯関係はどういう関係になるか、というと、そそのかしたり、あるいはあおつたり、あるいは、謀議をした場合に、共犯というものはどういう関係になるかということは、共同してそそのかした、共同謀議、あるいは共同してあおつた、こういう関係になるのであります。そこで罰されるものは、あなたの御質問のごとく、単に組合幹部には限りません。外部のものでありましても共犯は成立つのでございます。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
  〔発言する者多し〕
#52
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#53
○國務大臣(泉山三六君) 三たび中曽根君のお尋ねにお答え申し上げます。ただいまのお尋ねは、先ほどの私の答弁を、さだめし声が小さかつたためでありましようか(笑声)お聞違えのようでございます。私は、官公吏の給與と物價織込みの賃金とは、その性質におきまして多小の相違があることを申したのでございまして、物價に関係がない、かようのことを申し上げてはおらないのであります。何とぞ、この点を御了承願いたいと思うのであります。
    ―――――――――――――
#54
○今村忠助君 国家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する残余の質疑は延期し‥‥
  〔発言する者多し〕
#55
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に。
#56
○今村忠助君 明十二日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#57
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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