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1948/11/13 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第11号
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1948/11/13 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第11号

#1
第003回国会 本会議 第11号
昭和二十三年十一月十三日(土曜日)
 議事日程 第十号
    午後一時開議
 一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
 第一 内閣総理大臣の施政方針の演説に関する決議案(細川隆元君外七名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 國際電氣通信條約に加入することについて承認を求めるの件
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
    午後四時五分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
 ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 辻井民之助君より、議事進行に関し発言を求められております。これを許します。辻井民之助君。
  〔辻井民之助君登壇〕
#4
○辻井民之助君 私は、野党側を代表いたしまして、議事進行に関して発言をいたしたいと考えます。
 政府は、本臨時國会の劈頭にあたりまして、公務員法改正案の審議を十五日までに終了するようにという強硬な申入れを行うておるのであります。さらにまた、先般の本会議におきまするわが党の吉川君の質問に対しまして、吉田総理は、もし公務員法の改正案の審議において引延し戰術に出るような場合があるならば、断固たる態度に出るというような意味の発言をいたしておるのであります。あたかも公務員法改正案に対して、われわれ野党が初めから引延し戰術に出ようとしておるかのごとき言辞を弄しておるのであります。実にもつてのほかであるといわなければなりません。(拍手)
 その後の審議状況を見まするならば、かえつて政府自身が毫も誠意を示さず、審議の引延し策を政府みずからがとつておるとしか考えられないのであります。連日の本会議並びに委員会に対しまして、ほとんど満足に政府側が出席をしたためしがないのであります。昨日の本会議に対しましても、議院運営委員会におきましては、一時半からの開会を決定しておる。
 しかるに、開会せられましたのは四時近くであつたことは、御承知の通りである。なぜ開会がさように遅れたのであるか。聞くところによりますると、総理以下閣僚が軍事裁判のニュースを聞くために出席しなかつた、かように傳えられておるのであります。本日の本会議もまた、かように一時半開会が四時を過ぎてしまつておる。これまた政府側の出席が遅れた結果であります。委員会もまた同樣の有樣を示しております。昨日の重要な人事委員会に対しましても、政府側ではほとんど出席をしない。そのために審議に入ることを得ずして散会してしまつておる。本日の人事委員会と労働委員会の連合審査会におきましても同様であります。午後の連合審査会に対しましては、ただ人事委員長が出ただけでありまして、大臣は一人も出席しない。(拍手)そのためにやむを得ず審議を中止して散会してしまつたという始末であります。(拍手)
 かように、政府が審議に何ら誠意を示さず、かような引延し的な態度をとる以上は、とうていこの重大議案の審議は満足に進む見込みがないと考えるのでありまして、こういう状態でこの公務員法改正案の審議が遅れることは、当然政府側の責任であるといわなければならぬのであります。本日の人事委員会に対しましても、民主党あるいは社会党その他の野党側は全部出席しておる。出なかつたのは民自党だけであつた。(拍手)そうして大臣が出席をしていない。こういう状態でありまするから、繰返して申し上げまするが、審議が遅延をいたすのは明らかに政府と與党側の責任であるといわなければならない。(拍手)こういう状態が続きまするならば、会期内に審議を終ることは全然望みがないといわなければならぬのであります。その責任は政府と與党側で全部負うべきであるということを、私は断言してはばからないのでああります。(拍手)私は政府に重大な警告を発しまするとともに、その反省を求めるものであります。(拍手)
#5
○議長(松岡駒吉君) ただいまの議事進行に関する発言は、お聞きの通りでありますが、この際政府から発言がありますれば、お答えを願います。
  〔「総理を出せ」と呼び、その他発言する者多し〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#7
○國務大臣(林讓治君) 本日かくまでに時間の遅れましたことは、政府といたしまして申訳がございません。しかるに、その理由につきましては、運営委員会において申し上げました通り、総理にいささか事故がありまして、そのために出席することができませんでした。従つて、今後におきましては、政府におきましても十分に注意をいたします。従つて、今後の問題につきましては、各位にもできるだけ議案のすみやかに終了いたしますように一段の御援助をお願いいたしまして、私は以上をもつてごあいさつを申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 一 國家公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)
#8
○議長(松岡駒吉君) 國家公務員法の一部を改正する法律案の趣旨説明に対する質疑を継続いたします。野老誠君。
  〔野老誠君登壇〕
#9
○野老誠君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、國家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、吉田総理大臣は御不在のようでありますので、副総理及び浅井人事委員長に率直に質問を申したいと存じます。まず最初に、海の彼方アメリカにおきましては、世界の予想を裏切つてトルーマン大統領が再選せられたのであります。キーナン検事をして言わしめれば、このトルーマン大統領の再選のおもなる原因は、労働者、農民、中小商工業者の絶大なる支持によつて勝利を得たのであるといわれております。そのトルーマン大統領の再選によつて、かの労働者彈圧法といわれているタフト・ハートレー法の廃止は必至であると、新聞紙は傳えておるのであります。ひとりアメリカのみでなく、英國においては数年前すでに労働党の内閣が誕生し、また隣國中國においては新しき事態が発生しているのであります。
 かかる世界の情勢下にあつて、わが日本はどうでありましようか。社会党内閣去り、民主党内閣また去つて、ここに「不逞のやから」と労働者を呼んだところの吉田内閣が出現して、ここに労働者彈圧法であるところの國家公務員法が改悪せらるるという事態を――この客観的な事実を見られて、はたして吉田総理、林副総理は、いかなる感想をもたれるか。昨日の社会革新党の赤松君に対する答弁によりますとそれは日本の國情が違う、アメリカはアメリカ、日本は日本であるという答弁でありましたが、世界が先に進むのに、日本のみが何ゆえにあとにしりぞくのでありましようか。世界の船はただいま前進しているにかかわらず、日本の船のみが何ゆえに後退しなければならないのでありましようか。國民は、その艦長が、何ゆえにわれわれは後退しなければならないかという事情をはつきりと具体的に示さないならば、どうしてそれを信頼することができますか。どうぞ、その点において林副総理の率直なる御意見を承りたいと思います。これが第一点であります。
 次に第二点として、政令二百一号の問題であります。この問題は、現内閣には直接に関係はないのでありますが、しかし、現内閣が処置し得られる部面がありますので、私は、その点について質問をしたいのであります。マツカーサー元帥の書簡が命令であるか、勧告であるか、この点については、対日理事会において、シーボルト議長が結論を出しております。また、憲法に違反するかどうかということについても、われわれは、あくまでもこれは憲法に違反するものであるという見解をとつております。この点については、委員会において種々論議をすることといたしまして、ただいま質問いたしたい点は、百歩を讓りまして、これが憲法違反でないということにいたしましても、憲法に違反するかしないかのすれすれのところを通つておるものと思うのであります。すなわち、これは正道でなくて権道である、常道でなくて権道であると信ずるものであります。何ゆえにかかる権道を選んだかということを、われわれは強く考えてみなければならないと思うのであります。常道は、あくまでも國会を召集して、國会において審議せられたる法律によつて決定すべきものであると思うのでありますが、内閣がかわり、しかもここに法案が國会に提出されたからには、提出せられたこの機会に、吉田内閣は、ただちに二百一号の政令を廃止せられて、罪なくしてとらえられているところの多くの人々を即時釈放せられる用意があるかどうかという点をお伺いしたい。これが第二点であります。
 第三点は、マツカーサー元帥の書簡の中に明らかに述べてあります通り、一方においては官公労働組合の労働運動に対しての制限を加えるとともに、他方政府においては給與を改善して公務員の生活を保障せよという書簡の内容があるのでありますが、政府がとるべきところのこの給與の問題につきまして、全官公廳労働組合においては、七千三百円のベースを要求しております。これは当然な要求であつて、実態生計費を基本にして、確実なる資料によつて組まれたところのこの七千三百円ペースに対して、政府はいかなる考えを持つているか。これで正当なる要求であるというお考であるか、それとも、これに対して何らか別途の考えを持つているか、この点についてお伺いしたいのであります。以上三点、林副総理にお伺いいたします。
 次に、人事委員長に質問したいのであります。新聞紙の傳えるところによると、人事委員会においては六千三百七円案を決定されたのでありますが、この六千三百七円案が、いかなる実現の可能性を持つているか。先日この議場において、淺井委員長は、今回の公務員法改正の趣旨の一つとして、人事院は政府の支配から脱して独立性を得られるということを言明されておりますが、その独立性を得るところの人事院の決定した六千三百七円案が、もし政府によつていれられない際においては、人事委員長はいかなる責任をとられんとするか。この点を人事委員長にお伺いいたしたいのであります
 第五点、政府は口を開きますと、公務員は國家の奉仕者であるという点を強調せられて、公務員の特殊性を極度に強調せられております。しかしながら公務員は、また同時に人間であります。人間としての基本的な人権が、公務員としての特殊的な地位よりも、もつと重視されなければならないと信ずるものであります。憲法第十四条には、「すべて國民は、法の下に平等であつて、人種、信條、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と、はつきり規定しているわけであります。このようにして、公務員と一般國民との間に、越えることのできないかきを置くということ、わくをつくるということ、これそもそも封建制度への逆もどりであると思うのであります。徳川時代においては、明らかに士農工商、この四段階があつて、それぞれその階級によつて、違つたところの法律なり、違つたところの道徳なりが行なわれておりました。このようにして、公務員に越えるべからざる特権的な地位なり、また特権的なる差別を與えることによつて、國家が動脈硬化症を起して、ほんとうの民主主義を阻害するものであると信じておる次第であります。從つて、九十八條にあるところの團体協約権を認めて、完全なる團体交渉権を認める意思ありや。さらに、百二条の政治活動の制限の項を全面的に撤廃する意思ありや。この点を淺井人事委員長に質問いたす次第であります。
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#10
○國務大臣(林讓治君) ただいま野老君からの御質問の私に関係いたしました二つの問題は、幾たびかここにおいて総理大臣が述べられておるところの問題でありますので、重ねて申し上げるまでもないと考えますが、外國におけるところの問題などは別個にいたしまして、わが國はわが國としての独自の建前をもつて進むことにおいて何らさしつかえないと考えております。
 なお政令二百一号の問題につきましては、さきに私も、この演壇に立つて御説明申し上げました。きわめて簡單ではありましたけれども、やはりこれは、さきの内閣より十二分に研究せられ、また吉田内閣においてこれを検討いたしました結果、決して憲法違反にあらずという見解をもつて今日まで進んでおりますので、これがためにいろいろな諸問題が起きて、あるいは犯罪者があつて、釈放するとかどうとかいうような問題につきましては、ただいま、こちらの私どもの方では何ら考えておりません。さよう御了承を願いたいと思います。(拍手)
  〔政府委員淺井清君登壇〕
#11
○政府委員(淺井清君) 御質疑にお答えを申し上げます。臨時人事委員会は、ただいまお示しのごとく、新しいベースを発表いたしました。このベースにつきましての御説明は、やがて機会をあらためまして御審議を願うような際に、いさい申し上げたいと存じております。
 次に、このベースが政府においていれられなかつたときに委員長としてどのような態度をとるかとの仰せでございました。しかしながら、委員会の考えましたところは、何が合理的な給與水準であるかということでございまして、これを財源その他一層広い視野から考えまして決定いたしまするのは内閣の権能であり、また最高的かつ最終的にこれを決定いたしまする権能は、もとより國会にあることは、申すまでもございません。ただ私は、一つここで確信を持つております。すなわち、この人事委員会の報告書は、数百万人の政府職員の疾苦の声に満ちておるものでございまして、この報告書に対しまして、國会におかれましても、内閣におかれましても、最大の御考慮を賜わるものと確信いたしております。(拍手)
#12
○野老誠君 その問題について、大藏大臣より御答弁を伺いたいと思います。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#13
○國務大臣(泉山三六君) 野老さんのお尋ねにお答え申し上げます。全官公労の要求でありまする新ベース七千三百円案につきましては、政府といたしましては、今日の段階において、それは高過ぎると思うのであります。何となれば、今日各般の情勢、すなわち國家財産並びに國民経済との調和の点にかんがみまして、これはあまりに高い、かように考えておるのであります。
 右、お答え申し上げます。
  〔発言する者多し〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。――相馬助治君。
  〔相馬助治君登壇〕
#15
○相馬助治君 まず、内閣総理大臣に対しまして質問いたします。林副総理の返答でけつこうであります。
 まず審議期間の問題でありまするが、さきにこの問題につきましては諸君が触れて、なお社会革新党の赤松君に対する答弁として、審議期間や修正は國会の自由である吉田総理が申しましたが、まことにその通りであると思います。少しくどいのでありますが、第一回の國会におけるところの、すなわち、さきに國家公務員法が通過いたしましたあの審議の過程を私どもがながめてみますると、九月十五日に決算委員会に付託されました本案が、十月十五日にやつと委員会ででき上つて、即日本会議に上程され、討論わずかに十五分、そうしてその問題は可決されたのであります。その間を見ましても、公聽会一つ開かれておりません。私は当時第一議員倶樂部を代表して申しました。この法案の内容の問題はともあれ、かかるずさんなる審議過程によつて、かくも重大なる、日本民主化に影響を及ぼす法案を可決せしめることは、何としても受取りがたい。そうして、おそらく議員諸君も本案についてよく御承知になつていないのではないかということを申しまして、ものすごく私はやじられたのであります。そのとき私は、私の懸念を承つてするならば、一年足らずして本案を再び本議会に持ち出すような醜態のないことを祈ると申したのでありまするが、この通り一年足らずして、われわれはまた本案の審議にかかつております。從いまして、何としましても、この問題は十分審議されなければなりません。しかるところ、先ほど社会党の代表からの話がありました通りに、昨日の委員会においても、本日の委員会においても――特に本日の委員会においては、淺井人事委員長が出ただけでありまして、一つも審議されておりません。私がここでお尋ねいたすと同時に、林副総理より明確に承りたいことは、最後のどたんばに來て、また例の通り、諸般の事情だから、きようのうちに仕上げてくれ、というようなことを申していただきたくないということを申し上げて、この辺についての御見解並びに見通しを、とくと承つておきたいと思うのであります。
 私は、現内閣が、いわゆる諸般の事情から、政治運行の面において相当苦しいであろうことを、推測するにやぶさかでありません。そこで、私の申し上げたいことは、政令二百一号違憲の問題でありまするが、吉田さんは違憲でないと申しております。そうして、その理由を最高裁判所の見解に求めております。マ書簡が命令ならば、まさに違憲でありません。しかし、一方吉田さんは、これを勧告と申しているのでありまして、私は、どちらであるか見当がつきかねるのでありまして、この辺についてお伺いすると同時に、こういう答えも一つあろうかと思うのであります。日本憲法から見れば違憲だ、しかし、日本の現在置かれている位置からは、しかたがないのだ、そうなら、そのように正直に承りたい。そうして、この際内閣は、國会を通じて、國民諸君にこの点を明確ならしめていただきたいと思うものであります。
 次に、大藏大臣にお尋ね申し上げます。六千三百七円案を人事委員会案として発表されまするや、政府は受諾しがたいと申し、ただいまも大蔵大臣は、ここで高過ぎると申しております。しかし何と申しましても、政府が新給與をここに持ちだす場合には、経済政策の一環として決定すべきでありましようから、その辺も明確に承ると同時に、ただその場合、財源がないからだめだなどということは、御返事いただかなくても、私はそういう返事ならば聞かなくてもよろしいのでありまして基本的問題として、一体インフレを徹底的にとめようとしているのか、それともまた、前の第一次吉田内閣のときのように、インフレ恐るるに足らずというのが本音なのか、その辺について私はお尋ねをするものであります。(拍手)財源をどこに求めるかということによつて、新聞の傳えるところによりますと、大藏大臣は、運賃、タバコの値上けを考慮するというようなことを申して、民主党の諸君から、どえらくしかられたかに聞きましたが、まさにこれは民自党の諸君が賢明であります。そういう意味合いにおきまして、この辺の見解をとくと承り、運賃、タバコの値上げを考慮中であるかどうかということをお聞きしたいのであります。(拍手)
 次に、もしインフレを食いとめるために、今の一般会計予算の中から冗費節約をしてまわしてやるというならば、そういう用意がどこかにあるか、すなわち冗費節約の用意があるかどうか、これを聞くのであります。どういたしましても、この新給與をいわゆる國家公務員に與えます場合に、一般勤労大衆のふところに直接関係のあるような、すなわち賃金にすぐにはね返りが來て、月給は上つたが物價も上つた、飯が食えないというのでは、てんで問題にならぬということを、つけ加えたいのであります。
 なお、現在新聞において騒がれております復金融資の問題に対して、これを規制し、断固として手を打つところの用意があるかどうかということをお尋ねするのであります。
 それから、大藏大臣に最後に聞きたいことは、これは野老君も申しましたが、どうも返答がはつきりしないので、重ねてお尋ねします。大藏省案としては、現在の物價並びに國家公務員の置かれている生活の現実から割出して、何円くらいが適当と思われるか。私は何円何十銭というようなことは要求いたしません。百円單位でけつこうです。何円くらいを適当とするか、数字を示して明確に御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 次に、人事委員長にお尋ねいたします。人事委員会が一方的に六千三百七円案を発表されたことにつきましては、よほどの自信があつたことと思うのであります。これは、私の見解をもつてすれば、一方では公務員は政令によつて罷業権を失つている、だから、人事委員会は今度の法案ができ上ると人事院になるのでありますが、すでに公務員の現実はもう縛られているから、それで人事委員会は、人事院になつたようなつもりになつて、うんと偉くなつて、そうして独立の権限を持つたつもりになつてお出しになつたのかどうかということを尋ねたいのであります。(拍手)
 また新給與に対しましては、人事委員長は、その職を賭しても断じて政府に向つて強く主張するの勇氣ありやいなやを、お尋ねしたいと思うのであります。(拍手)
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#16
○國務大臣(林讓治君) 審議期間につきましては、もとより國会の御自由であります。しかしながら、その案を通過せしめられるがためには、できるだけの時間を用いるということの方がけつこうだと思いますけれども、われわれは、事情などによりまして、あるいはよんどころなく、そういうことをしなければならない場合というものが過去にあつたものとするならば、將來においても、ないとは申されませんが、われわれは、そういうようなことはないように努めたいと考えております。
 なお委員会などにおきまして、ことに本日午前中に政府からだれも出ておらなかつたようなお話であつたようでありますけれども、けさほどにおきましては、総理、労働大臣、あるいは法務総裁なども出席をしておつたはずであります。その点については御了承をお願いいたしたいと考えます。
 なお、政令第二百一号の違憲の問題についてでありますが、これは拒絶することのできない勧告であると私どもは考えて、決して違憲であるものではないと考えます。
  〔「だから政令無効だと言うのだよ」と呼び、その他発言する者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 私語を禁じます。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#18
○國務大臣(泉山三六君) 相馬議員のお尋ねにお答え申し上げます
 私に対します御質問の第一点は、人事委員会におきまして示されました新給與ベース六千三百七円は高過ぎると言つたかどうか、さようのことに承つたのでありますが、先刻私が申し上げましたのは、全官公労の御要求にかかわるその点についてお答え申し上げたのでありまして、ただいまお示しの人事委員会案につきましては、目下愼重檢討中でございます。
 私に対しまする御質問の第二点は、本内閣はインフレの進行に対してこれを抑止するのか、あるいはまたこれを野放しにするのか、かようのお尋ねであつたのであります。もとより本新給與べースの問題に関連しての御質問と了解いたすのでございまするが、本内閣におきましては、インフレの抑止につきましては、かたき決意を持つているのでございまして、その高進をはかるものでは断じてないのであります。官公吏の新給與問題は、これは本來物價に織込みの賃金とは、その性質におきましては異なるのでございますが、しかしながら実際問題といたしまして、ややともすれば一般の物價に影響の甚大なるものあることをも憂えられますので、その新給與べースを、適切なるところにこれを定めたい、かようなわけで、今日これまた鋭意研究を進めているのであります。
 なお私に対しまする第三の御質問は、新給與べースの予算を組みます上に、その財源といたしまて鉄道並びに通信の料金の引上げをやるかどうか、さようのお尋ねでございましたが、今日において、さようのことは決して考えておらないのでございます。(拍手)
 その後の御質問の第四の……。
  〔発言する者多し〕
#19
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#20
○國務大臣(泉山三六君)(続) 新給與ベースのその財源におきまする重圧は、他方経費の節約の方面において、これを多少とも補充する用意ありやいなや、さようのお尋ねであつたかと思うのでございます。政府におきましては今日この新給與ベースの少くとも財政上におきましての重圧過重の点に強き決意をもつて、これまた目下具対策を検討中であります。
 御質問の第五点は、今日大藏当局といたしまして新給與ベースにつきましての……
  〔発言する者多し〕
#21
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#22
○國務大臣(泉山三六君)(続) 計数的の結論が出ておるかどうか、かようのことでございましたが、これはまだ、お示し申し上げるような結論を得ておらないのであります。
 以上、五点につきましてお答え申し上げます。(拍手)
  〔政府委員淺井清登壇〕
#23
○政府委員(淺井清君) 私への御質疑の第一点は、人事委員会はもはや人事院になつたつもりで給與べースを発表したかとの仰せでございました。國会でまだ御審議も相済みませんのに、そのようなことをいたすはずは決してございません。これは、現行の國家公務員法によつて、與えられました権限によつてなし得ることと心得ております。
 第二の御質疑といたしまして、この新給與ベースを貫徹する確信ありやとの仰せでございましたが、これはさいぜんからの御質疑にお答え申したのと、少しもかわるところはございません。(拍手)
#24
○議長(松岡駒吉君) 木村榮君。
  〔木村榮君登壇〕
#25
○木村榮君 私は、日本共産党を代表いたしまして、公務員法改正案並びにその背景について、二、三の点を質問いたしてみたいと思います。
 去る七月、時の芦田内閣が公務員法の改正を準備いたしましてから三箇月を経過いたしまして、この間において、世界の情勢は一変いたしまして、さつきの労農党の代表の方も申しましたように、アメリカの大統領の選挙においては、日本の公務員法改悪のひな型ともいうべきタフト・ハートレー法に賛成いたしましたところの議員は、ほとんど全部が落選をいたしております。デユーイ候補もまた世界の反動者派の予想を裏切つて落選いたしました。そうして、タフト・ハートレー法の廃止を公約いたしましたトルーマンが、再び大統領に選ばれるに至つております。この点については、革新党の赤松君も指摘いたされましたが、吉田総理は、まるで世界の情勢のごときは関知する必要はないというような御答弁でございました。
 かかる情勢のもとにおいて、アメリカのトビン労働局長は、タフト・ハートレー法の撤廃と、クローズド・シヨツプを内容とするところの新労働法の起草に着手したと報ぜられておりますが、極東委員会においても、日本國内における世論の反対の前に大きく動搖いたしまして、新たな観点からこの問題を檢討される傾向だと、われわれは承つておる次第でございます。現在までに、わが党の方へ持ち込まれましたこの法案に対する反対署名は、五百万を突破いたしております。これはまさしく、國際的にも、國内的にも、この法案改悪絶対反対の方向をたどつていると見てさしつかえないと、われわれは考えております。
 他方、隣邦中國の内戰も重大な轉機に立つてまいりまして、國府軍の満州からの撤退、人民解放軍の南京への進撃が傳えられ、情勢は刻々と変化している次第でございます。特に、國際連合第三回総会において採択されんとしている國際人権宣言第二十一條には、「各人は勤労の権利、勤労及び給與の正当かつ有利な條件及び失業の保護に対する権利を有する、各人はその利益を保護するために自由に労働組合を組織し、それに参加し得る」と述べているが、かかる情勢のもとに公務員法改悪を行わんとすることは、世界の民主主義に逆行し、われわれが待望する講和会議も遅らせる結果となり、日本の再建と独立にとつて、きわめて悪い影響を及ぼすものといわねばなりません。私は、日本民主化のために、この改悪法案の撤回を要求する次第でございます。
 なお政府は、この法案の提案理由の説明によれば、すべて外力に依存するかのごとく申されておりますが、今私が申し述べましたような國際的な情勢を無視して、いかなる外力に依存されるお考えであるか、この点、林副総理の御答弁を願いたいと思います。
 さて、本法案をめぐる法律的な立場よりする多くの問題は、委員会において徹底的に究明することといたしまして、今ここに、その正論の一つを紹介いたしますならば、米國のミネソタ州セントポール市に本社を有しますところのカトリツク・ダイジエストの日本版編集長は、同誌の十月号において署名入りの意見を発表いたし、「國会及びその行政委員会たる内閣、その他明らかに指導的、指令的機能を行使する特定の官僚、彼らについては、政府と全然別個のものではない。だが政府職員の大多数は、統治とはおよそ縁が遠い。その行う仕事は私企業内のそれとかわらず、非政府、一般被用者のそれと同じである。行政各省、郵便局等の事務は、本質的に私的事業体のそれとかわらない。政府に対する影響がほとんどない点では、駅の出札孃と映画館の出札孃とに差異はない。」と述べております。
 なお、対日理事会の英國代表パトリツク・シヨー氏は、対日理事会において意見を述べ、「一九四五年九月六日付の極東委員会指令の第五部には、ストライキその他の罷業は、占領軍当局が直接占領目的を害すると思われる場合にのみ禁止されると定めており、一九四六年六月三十日付で総司令部の発表した日本労働團体取扱いに関する報告にも、右の極東委員会指令を次のように解釈している。曰く、罷業は占領軍の軍事目的ないし安全に影響を及ぼすおそれのある場合及び占領の目的や必要を直接害する場合にのみ禁止の必要がある云々、と述べている……ただ私の強調したいのは、罷業権その他の権利を制限することは、緊急事態においてのみ正当化されるもので、長期立法により人権を制限するにあたつては愼重を要するということである。私は労働組合の諸原則に関する極東委員会指令が公務員法と関係しないという議長の見解に不同意を表明せざるを得ない。同一の人物が政府の使用人であると同時に組合の一員であることは、さしつかえないばかりでなく望ましいことだ。私は政府職員の罷業権を否定するよりは、罷業の必要をなくするような本來の團体交渉手続を確立することが一層重要であり、國家公務員法改正の目的も一つはこの点にあると思う。」と申し述べております。
 政府は、公務員法改正の名のもとにおいて、國民に奉仕する公務員の権利義務を規定するといいながら、実際には、その内容においては服務紀律と混同いたしまして、これを強化し、かつての日本の軍隊組織のごときものをつくり上げ、絶対服從の制度を確立して、独占資本の防壁としようとしている。この点は、この法案を檢討するならば、きわめてはつきりと判明する次第でございます。たとえば附則第九條第二項のごときにおいては、人事院はいかなる官僚に在任する職員に対しても、適宜試験を実施し、これを轉退職させることができる、という規定があつて、試驗に名をかりて首切り、轉職を強行するしかけになつております。人事院が第四権的性格のもとに、独裁者の参謀本部となることは、きわめて明らかであつて、この点は、参議院において、わが党の板野議員も強く主張したところでございます。
 この法案は、憲法第二十八條を初めとして、憲法の各條章を十五箇所にわたつて侵しておりますが、その各條についての質問は委員会に讓ることにいたしまして、私はこの際、この法案の提出者であられる吉田総理その人が憲法違反である点を認めなければならないところの証拠を出したいと思う。すなわちこれは、かつて前の内閣のときの総理大臣である吉田さんが序文を書いて、法制局が発行いたしまして、ここにおいでになる林副総理が発行人になつて出した「新憲法の解説」という本の第三十二ページにおいては、こういうことが言つてある。「明治憲法においても、一定の事項を拾つて國民の自由権利を保障しているが、これらの保障と自由とは、多くの場合法律に定められたる場合を除くほか、または法律によるあらずしてという限界点があつて、しかも一部の権力者がこの法律に定めてある場合を運用して、遂には憲法が死文と化するような状態に陷つてしまつたことは、われわれが特に既往十数年間にわたつて身にしみて体験したところであつた。新憲法においては、法律云々の抜け道はつけてない。憲法みずから直接保障する原則を採用しておるから、その強さにおいても各段の相違がある。」かように申されております。すなわち、憲法第二十八條に定めました基本的人権のごときは絶対侵すことのできない点を明々白々に認めておる次第でございます。この点は、吉田総理はいつ御見解がかわつて、こういう法案提出者になられたか、ということを承つてみたいと思う。この点では、前の総理大臣であつた芦田均法学博士もまた同様である。当時の「新憲法解釈」という本を見ますと、その三十七ページにおいて、大体さき述べましたと同様なことが強調されております。大体、総理大臣になると憲法を侵してしまうということが任務になるらしいのは、まことに驚くべき次第といわなければなりません。さればこそ、さきに引用したカトリツク・ダイジエストも、またわれわれ議員に参考に配付いたしましたこの本の巻頭論文において、同様の意見を強調いたしておりますが、國際世論も一致してわれわれへの意見を支持しておる。これは間違いない事実だと思います。その一つの現われとして、この法案においては團結権をも禁止されていますところの海上保安廳の職員に対して、GHQ当局は、去る七月十四日、同廳職員組合結成準備会代表との会見において、アソシエーシヨンの結成を承認し、また團体交渉権についても制限はないという旨を答えております。組合代表者と海上保安廳長官官房長西田豊彦氏との間に、七月十四日、確認文書ができておる。
 次に、かつて、アメリカは講和條約後も無期限に日本にとどまらねばならぬ、あるいは外國商人には所得税はかけないとかの新聞記者会見談を発表しておられる吉田総理に、特に伺いたいのでありますが、公務員法第二條の最後の項並びに第十條をあわせて読みますと、政府機関はもとより人事院に、法文の通りに述べれば、政府またはその機関と外國人の間に個人的基礎においてなされる勤務の契約、すなわち外人顧問を置くことが明らかとなつておるが、どの機関に、どのくらい外人顧問をお雇いになるつもりか、腹案があるならば御発表をいただきたいと考えます。
 次に、マ書簡においても明確に述べてあるごとく、まず公務員の待遇改善の問題である。今までのところ、泉山國務大臣の答弁によつてもわかる通り、政府は、この点には何らの誠意を持つていない。諸般の情勢云々ということが一枚看板である。一向要領を得ません。傳えられますところの政府案の五千三百円ベースは、戰前の十二円にしか当らない。戰前換算で二十六円四銭であつた千八百円ベースの五四%引下げ、こういう計算になつております。これさえも財源がないと、ほおかむりをして、人事委員会が発表いたしました六千三百七円案のごときにいたつては、まるで問題にしていない。これでは、官公廳労働者に対して野垂れ死にせよというのか、食えなくなつたら自然にやめろということだと解釈してさしつかえないと思います。これは、まさしくマ書簡を無視しておるものであつて、こういうことでは、日本の再建はおろか、何もやつて行けない。わが党は、すみやかに全官公廳の要求を入れて、安心して働くことができる保障を政府に要求する次第でございます。
 財源は幾らでもある。たとえば、わが党の野坂代議士と前の大藏大臣の北村徳太郎氏との一問一答によつても、本年度の大口脱税は約四千八百億円もある。昨年度分も四千億円以上あつたという話である。要するに政府が、昭和電工事件に見るような大資本家や大やみ業者を援助するような不正をやめて、この点を徹底的にやめて、眞に日本再建、労働者の生活安定を考えるならば、簡單にできることだとわれわれは考えている。この点に対して、泉山大藏大臣の意見を求めたいと思います。
 最後に、吉田総理もマ書簡は勧告であると認められたごとく、これに基く政令二百一号は無効となつている。從つて、この二百一号で檢挙された者の即時無罪釈放並びにこのための一切の事件の取消しを強く要求する次第でございます。日本の労働者大衆は、もうこういつたふうなごまかしには絶対だまされないところまで発展いたしました。着々日本の民主化運動のために働いているということを特に私は強調いたしまして、私の質問を終る次第でございます。(拍手)
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#26
○國務大臣(林讓治君) 大村君にお答えいたします。
 この改正法案は、起草当時と現在と國際事情が非常に変つている、というような問題についてでありましたが、この点につきましては、総理大臣が幾たびかお答えをいたしておりますので、私はここでは省略をいたします。なお、將來條約の締結に際して、さしさわりはないかというような御質問であつたのでありますが、私どもは、これはさしつかえないと考えております。
 なおその他の問題につきましては、関係者からお答えをさせることにいたします。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#27
○國務大臣(泉山三六君) 木村君のお尋ねにお答え申し上げます。人事委員会の提案にかかる新給與ベース六千三百七円に対しましては、その御提案の作成に、政府といたしましても相当の苦心の跡を認めますのでございますが、何分にも國家財政の現状は、にわかにこれを全面的に受入れがたい実情にございますので、國民負担の増加、また民間産業賃金への影響、あるいは物價その他一般経済施策との関連とも総合勘案いたしまして、愼重に新給與を設定したいと鋭意研究中であることは、先般來たびたび申し上げました通りであります。しかしながら、ただいま御心配の、それをみだりに低きに押えるというようなことはないのでありまして、わが民主自由党におきましてすでに決定されました高能率、高賃金の方針は、この内閣におきまして、まさに踏襲いたすのでありまして、御了承願いたいと思うのであります。
  〔木村榮君登壇〕
#28
○木村榮君 ただいま私が質問いたしました点に対しては、泉山大藏大臣の答弁は、まるで食い違つていまして、要領を得ません。從つて、わからなかつたならば、速記録でもお読みになつて、もう一ぺんここで御答弁を願いたいと思います。
 それからもう一つは、前の吉田内閣のときの法制局で作成されました憲法解釈の書物に対して、今度は公務員法に対しては根本的な違つた観点からお出しになつているのは、今までの林副総理並びに吉田総理の御答弁で大体わかつたのです。從つて、今度はまたあらためて憲法解釈が変つたという書籍をお出しになる用意があるかどうか。少くとも責任ある政府ならば、前にはこうであつたが、今度は考えが変つたのだというくらいのものは、法制局からまた御発行になつて、憲法を御解釈なさるのが、國民に対する忠実なる奉公だと私は考えます。その点の御解釈を承りたいと思います。
#29
○議長(松岡駒吉君) 答弁はないそうであります。
    ―――――――――――――
#30
○今村忠助君 残余の日程はこれを延期し、明後十五日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#31
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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