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1948/11/17 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第14号
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1948/11/17 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第14号

#1
第003回国会 本会議 第14号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
 議事日程 第十三号
    午後一時開議
 第一 國際電氣通信條約に加入することについて承認を求めるの件
 第二 過度経済力集中排除法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 日程第一 国際電氣通信條約に加入することについて承認を求めるの件
 日程第二 過度経済力集中排除法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 農民に対する不当彈圧及び不法拘束に関する緊急質問(堀江實藏君提出)
 吉田内閣の施政一般に関する緊急質問(米窪滿亮君提出)
    午後三時三十五分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 國際電氣通信條約に加入することについて承認を求めるの件
#3
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、國際電氣通信條約に加入することについて承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長生越三郎君。
  〔生越三郎君登壇〕
#4
○生越三郎君 ただいま議題と相なりました国際電氣通信條約に加入することについて承認を求めるの件について、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、十一月九日内閣から國会に提出され、ただちに本委員会に付託されましたので、十一月十一日及び十二日の二回にわたり委員会を開き、降旗逓信大臣、外務・逓信両省の政府委員並びに説明員の出席を求め、この案件について承認を求める理由並びにこの條約の詳細なる説明を聴取いたしたのであります。
 政府委員の説明によりますれば、わが國は、昭和七年十二月九日マドリツドで締結された國際電氣通信條約、すなわち現行條約に署名し、批准を了し、本條約に規定されたいわゆる國際電氣通信連合の連合員となつたのであります。しかるに、最近において電氣通信技術は著しい発達を見、特に今次世界大戰の結果、現行條約ではとうてい事態に適應し得ないことが痛感されるに至つたのであります。よつて、米國政府の発議により、昭和二十二年七月二日から十月一日まで、米國アトランテイツク・シテイで、現行マドリツド條約改正のための全権委員会議が開催され、その結果成立したのがアトランテイツク・シティ國際電氣通信條約と呼ばれるこの條約であります。わが國はマドリツド條約の締結國ではありますが、アトランテイツク・シテイ会議には代表を参加させることができなかつたので、この條約には署名しておりませんが、この條約は昭和二十四年一月一日から実施されることになつており、わが國の加入については、この條約の追加議定書に、権限ある当局が加入を適当と思料するときは、ただちにこれに加入できる旨規定されており、かつまた本年九月一日、連合國総司令部から加入を適当と思料する旨の意向が表明されたので、この機会に條約に加入しようとするものであるとの説明がありました。
 新條約の重要な改正点は
第一、國際電氣通信連合は國際連合の專門機関として認められたこと。
第二、電氣通信連合の機能強化のため、同連合の構成員を新たに連合員及び準連合員の二つにわけ、前者の資格を厳重にしたこと。
第三、連合及び関係諸機関の所在地をベルリン及びパリからジユネーブへ移したこと。
第四、管理理事会及び國際周波数登録委員会なる常設機関を新たに設け、前者は條約及び会議の決定の実施機関として常設され、後者は周波の國際的統制のため、各國民の優秀な技術家をもつて構成されることになつたこと。
第五、條約の加入、批准及び廃棄の手続は、従來は会議主催國の政府に対してなされたが、新條約では連合事務総局長に対してなされる。また條約の加入について、前條約に比べて厳格な手続を設けたこと。しかし日本及びドイツについては、前述の通り、ただちに連合員の資格をもつて簡單に加入できるという特別の規定が設けられたこと。
等であります。
 以上は、政府委員の説明の大要でありますが、次いで本委員と政府委員との間に活発な質疑應答が行われましたが、その詳細は会議録に讓り、ここでは、そのうち最も問題となつた諸点を申し上げることにいたします。
 まず、委員馬場秀夫君、若松虎雄君、和田敏明君等から、現下わが國の置かれている特殊の立場において、この條約に加入する必要ないし利益について質疑がありましたが、政府側においては、この種國際條約に加入することは、わが國が國際社会の一員として活動する機会を與えらるることであつて、平和條約の締結が遅延しております現状において、わが國にとり最も意義あることであり、また電氣通信関係の技術の発達が、マドリツド條約締結当時より今回までに特に大きかつたために、新しい規則によつて業務を行う必要が生じて來ているので、明年一月一日から実施せらるる新條約に当初から加入して、多数國家とともに協力することが最も適切有利であり、殊に電波の割当等についても利益することが少くないという應答がありました。また、委員安東義良君、馬場秀夫君から、本條約及びこれに附属した規則については、参加國中相当多数留保の宣言をしているものもあるが、わが國として何ら留保なしに條約に加入して支障なきやとの質疑がありましたが、政府側の答弁によりますれば、各國はそれぞれ特殊の事情があつて留保をいたしたのであり、わが國としては、旧條約についても何ら留保なしに業務を遂行いたしており、新條約の條項を十分檢討した結果、將來の日本の海外通信の立場から、新しい制度によりまして、留保なしに全面的に條約規則の実施に当ることが適当と認めたものであるとの説明がありました。
 さらに、委員中村嘉壽君、安東義良君等かち、わが國の負うべき分担金について質問がありましたが、政府側の説明によりますれば、各連合國の分担金は、大体五箇年毎に開かれる條約改正会議で決定せられ、わが國は旧條約では、一級國として二十五單位、別に外地関係二十二單位となつておりますが、新條約では、從來通り二十五單位で、外地関係の分は、わが國として負担しないでよいという結果になるであろう、それから新條約では新たに三十單位の第一級國が設けられましたので、今回新條約に加入いたしますれば、わが國は第二級國となるわけであり、これを金額にいたしますれば、十三万二千四百五十スイス・フランとなり、これを現在の相場で円に換算すると八百二十二万五千円程度になるとの説明がありました。
 右をもつて質疑を終了し、委員安東義良君より、この際討論を省略して、ただちに採決せられんことを提案され、採決の結果、全会一致をもつて本件は承認を與うべきものと議決いたした次第であります。つきましては、本院において、國際電氣通信條約に加入することについて承認せられんことを希望いたします。(拍手)
#5
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第二 過度経済力集中排除法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#7
○議長(松岡駒吉君) 日程第二、過度経済力集中排除法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長水田三喜男君。
    ―――――――――――――
  〔水田三喜男君登壇〕
#8
○水田三喜男君 ただいま議題となりました過度経済力集中排除法の一部を改正する法律案について、経済安定委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 まず原案を申し上げますと、本法第二十六條中「昭和二十三年九月一日から同年十二月三十一日までの間に於て」とあるのを「昭和二十四年六月三十日までに」と改めるというのでありまして「現在持株会社整理委員会が持つている権限等の移管に関する法律の制定期限を一時延期しようというにすぎない事項であります。
 なぜこの改正を必要とするかの理由を簡單に御説明申し上げますと、御承知のように、過度経済力集中排除法は昨年十二月十八日に公布実施されたのでありますが、この法律は、経過的性質その他の事情からして、財閥解体の機関としてすでに設立されておりますところの持株会社整理委員会をしてこの法律施行の担当機関としているのであります。そうして、持株会社整理委員会が一應の仕事を終りましたならば、將來適当の機会に、公正取引委員会に、その権限とか、記録とか、あるいは職員を引継ぐ、こういうことを二十六條できめてあります。しかも、その移管については別に新しい法律をつくらなければいかぬ、その法律の制定期限として、本年の九月一日から十二月三十一日までと規定されておるのであります。ところが、同法が実施されて今日まで約一年間の実情を見ますと、持株会社整理委員会は、いろいろな手続や基準をきめまして、現在二百七十五社の指定を終つております。そうして仕事は一應完了しておりますが、具体的な排除の措置については、当初予定されたよりも非常に遅れております。さらに最近に至りまして、諸君も新聞で御承知の通り、経済力集中排除法の実施の問題につきまして、九月十一日に司令部の覚書、いわゆる四原則が示されました。この四原則の示されたことによりまして、從來の集中排除の基準に対して非常に微妙な変化が出て参りました。そのために、この期限内に急速に立法することは適当でないという理由が明瞭になつて参りましたので、とりあえず、この立法期限を明年の六月三十日まで延期したいというのであります。
 本案につきまして、委員会は去る十三日に開きまして、提案理由を政府から聽取しまして、ただちに質疑に入り、もつぱらこれまでの実施状況についての質疑が重ねられましたが、その結果、この期限延長は日本経済にとつて非常に重要であり、かつ緊急を要するということを認めまして、討論を省き、全会一致で可決した次第でございます。
 右、簡單でございますが、御報告申し上げます。(拍手)
#9
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 農民に対する不当彈圧及び不法拘束に関する緊急質問(堀江實藏君提出)
#11
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、堀江實藏君提出、農民に対する不当彈圧及び不法拘束に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#12
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 農民に対する不当彈圧及び不法拘束に関する緊急質問を許可いたします。堀江實藏君。
  〔堀江實藏君登壇〕
#14
○堀江實藏君 鳥取縣に起こりましたところの倉吉税務署事件及び佐野川事件、愛媛縣に起つた中山小作爭議事件及び松江市に起つた民主團体共闘彈圧事件につきまして、当局に緊急質問をしたいのであります。
 長い間農村が、資本家、地主、官僚、軍閥の封建的圧制支配によつて、低いところの社会的経済生活と非文化的生活を強制されておつたことは、皆さんすでに周知の通りであります。敗戰によるポツダム宣言の受諾、新憲法の実施によつて民主主義の一應の方向が打立てられたのでありますが、農村の民主化は、はたしてなつたでありましようか。不当にして過重な農業所得税と大衆課税、生産費を償わないところの低い農産物價格、重たい事前強権割当、封建的残存勢力の土地改革の妨害、官僚機構の温存等、農民の犠牲において資本主義経済の再建をはからんとする現在の政治経済のあり方によつて、農民は依然として低いところの経済生活、文化生活を続けておるのでありまして、さらに予想される農業恐慌來を考えるときには、われわれは慄然とせざるを得ないのであります。農村の民主化なくして日本の民主化はないのでありまして、敗戰後、歴代の内閣の政策がこれに反するために、農民がみずからの生活を守るために團結し、農民組合運動がほうはいとして全國を風靡したのは、当然の結果であります。
 農民組合は、農民の自主的團結によつて、みずからの生活を守るために、農業所得税の不当課税の是正、供出の民主化、農産物價格の適正化等の経済的要求をひつさげて闘うとともに、農村生産協同体の基本であるところの農業協同組合の農民的設立の推進、地方自治体の民主化等々、労働組合運動が果してあるところの民主的役割を、農村において果たしておるのであります。しかるに、大衆收奪の二十三年度予算遂行に基盤を置く直接税と大衆課税を強行するために、農民に対するところの不当彈圧、不法拘束が、最近に至つて頻発しておるのであります。これはあたかも、政令第二百一号の発布によつて労働階級を抑圧するのと軌を同じくするものでありまして、この反動攻勢こそ、日本の民主化を阻害し、憲法を蹂躪するものにほかならないのであつて、司法当局は、何ものにも動かされることなく、公正妥当、いわゆる司法権の独立と憲法擁護の立場から、不当彈圧、不法勾留を即刻停止するとともに、適当の措置をとられんことを要求するものであります。(拍手)
 以下、簡單に事件の概要を御説明いたします。
 倉吉税務署事件は、日農中國四国協議会代表者と廣島財務局長との会談に始まり、一月、日農代表者と鳥取縣下三税務署との間に協定ができ、二月、さらに三税務署代表と農民組合の間に協定がなされ、そして納税が進行したのでありますが、倉吉税務署管内で、約三千件の再審査の請求が提出されたのであります。その査定が天くだり的、実情無視であるとともに、再審査が遅々として進まない。その間進行方を要求するも、言を左右にして誠意を示さなかつたのであるが、突如として七月六日、ある村に差押えを執行したので、これに憤激した農民は、税務署に押しかけて、署長と農民代表者との間に五項目の協定が成立したのでありますが、その仲介あつせんには、縣会議員であり、労働組合の委員長である生田という人が中に立つたのであります。しかし、この協定に対しまして署内に反対があり、廣島財務局から三回にわたつて官房長、直税部長などが來られ、組合代表と懇談して、その協定を破棄してもらいたいということでありましたが、納得納税、公正妥当な納税を要求し、再考を要請したのであります。
 一方七月七日、協定の七月末日までに再審査をするということの約束がなされないので、強権徴收が継続されるので、八月二十二日、日農の執行委員会の決議によつて、翌二十三日、代表者五、六名が税務署長に面談し、何とか妥結点を見出すべく努力したが、協定が成立せず、午後四時ごろ退去し、門外に集まつて農民に経過を報告したのでありますが、この交渉も、七月七日の交渉のときと同じように、生田という人が仲介に立つておつたのであります。このとき、税務署長の一方的な要請によつて、何ら調査することなく、倉吉檢察廳は、六十名内外の武装警官を、警察署と税務署は近い位置であるにかかわらず、トラツクに乘せて、代表者四名に任意出頭を求めたのであります。四人の代表者は、事情を述ぶべく出頭いたしましたが、三時間たつても取調べないので、帰ると言いましたところが、緊急逮捕を署長は申し渡したのであります。時間的に見ましても、三時間たつておるときに緊急逮捕をするということは、非常に不当彈圧であるということは明らかでありまして、これは意識的な農民運動の彈圧であると断ぜざるを得ないのであります。
 またその聽取書にも、農民運動は嚴重に処罰すべきものであるという司法警察官の意見が付してあります。農民が官廳に交渉するのが住居浸入になるのか。何らの暴力を伴わず、しかも第三者のあつせんによつて結んだ協定が職務強要であるとは、最も反動的な官僚思想の現われでなくて何でありましよう。こうした結果は、証人に対し、白紙の調書に調印させたのであります。そうしてこの事件は、農民運動彈圧の意図のもとに起訴され、公判になつたのでありますが、檢事の論告が済んでも、証人調べが済んでも、判決が済んでも、弁護人からしばしば保釈の要求があつたにかかわらず保釈せず、かつ弁護人より勾留理由の開示を求めても、その都度却下したのであります。あらゆる自由は知る権利からという言葉の、民主主義の根本たる知る権利は排せられ、知らしむべからず、よらしむべしの封建的思想によつて、新憲法の精神は蹂躪されたのであります。被告は七十日近く勾留されていましたが、廣島高檢に控訴して、ようやく保釈せられたのであります。
 なお重要なことは、裁判にあたつて極度に傍聽を制限して、そして被告に有利な証人の喚問を拒否したということは、民主的裁判ではないといえるのでありまして、さらに重大なことは、檢事も裁判長も、農民には團結権、團体交渉権がないということを、はつきり申したのであります。
#15
○議長(松岡駒吉君) 堀江君、打合せ時間を経過いたしましたから、お急ぎください。
#16
○堀江實藏君(続) 私は憲法学者でありませんから、憲法第二十八條の團結権、團体交渉権の法律の意味を詳しく知りません。しかしながら、この團結権、團体交渉権は普遍的な問題であり、農民が生活の擁護のために團結し團体交渉することは当然であるというふうに解釈しておるものであります。
 次に佐野川事件――時間がたちましたので、ごく簡單にやります。鳥取縣の日野川の水利灌漑によつて佐野川発電所事件が起つたのでありますが、これに対して、関係地方の農民が佐伯地方事務所にデモを行つた。そして地方事務所長から、この工事を中止するように努力するという誓約書をとつたのでありますが、これが暴力行爲である、職務強要であるということによつて、勾留し起訴したのであります。しかるに公判廷において、しばしば地方事務所長は、強要されたこともないし、また暴力を受けたこともないということを証言しておるのであります。
 次に、松江における民主團体共同鬪爭委員会の不当彈圧事件であります。裁判所及び刑務所にデモをやつたことに対して、不法侵入及び騷擾罪等で十数名を檢挙したのでありますが、その日には百名近くの警官が警備しておつたのでありまして、そういう事実があつたならば、即刻現行犯として逮捕しなければならないにもかかわらず、三日を過ぎてから逮捕したということは、職権濫用であるといえるのであります。
 次に、愛媛縣に起つた事件でありますが、愛媛縣におきまして、土地改革の問題につきまして、十月の二十二日、松山檢察廳は、地主の一方的な要請によつて小作人を勾留し、逮捕したのであります。農地改革は日本の要請されておる重大な問題であるにかかわらず、一方的に地主のみの要請によつて檢挙したということは、実に重大な問題であります。
 この四つの事件につきましては、時間の関係上内容を詳しく申し上げることのできないのを遺憾としておりますが、法務廳総裁は、この不当彈圧及び不法拘留に対しまして、またそれに伴うところの人権蹂躪、憲法違反の事実に対して、いかに措置される考えでありますか。農民の團結権、團体交渉権について、いかに考えられているか。また、農民運動が農村民主化にとつて有害なりと考えられているか。新憲法下にあつては、司法権は断じて支配階級の権力の手先になつてはならないのであると思いますが、いかに考えておられるか。さらに、檢察官、裁判官は依然として封建的裁判をやつた人がやつているということに対しまして、新憲法下におきましては、こうした古い、化石した司法官を追放して、眞に民主的な司法権を行使し得るところの司法官に粛正されるところの意思があるかどうか、という点をお伺いしたいのであります。
 以上、簡單でありますが、緊急質問といたします。
  〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#17
○國務大臣(殖田俊吉君) ただいまのお尋ねにお答えを申し上げます。
 ただいまお話の鳥取縣倉吉税務署の事件、佐野川発電所の事件、松江における民主團体共同鬪爭委員会の事件等は、いずれも前内閣時代の事件であります。最後にお話の愛媛縣中山の事件は、割合に新しい事件のようでありますが、しかし事件そのものは、やはり前内閣の時代の事件であります。
  〔発言する者多く、議場騷然〕
#18
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#19
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) 從つて私自身は、この事件の内容について存じません。しかしながら……(「内閣の責任ではない」と呼ぶ者あり)そうです。
  〔発言する者多く、議場騷然〕
#20
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#21
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) そこで、ただいまお聞きいたしましたので調べましたところが、これらの事件は、いずれも問題の内容が、たとえば税の軽減ということの主張を彈圧したのでもなし、あるいは発電所の設置が困るという主張を彈圧したのでもありません。これらはいずれも、これらの主張をなさるにあたつて、暴行、脅迫、あるいはその他家宅の不法侵入というような事件があつたので、やむを得ず、それらの事件を違反として処理したのである。あるいはすでに、少数の責任者は起訴をいたしました。しかしながら、これはその主張がいけない、これらの運動がいけない、というわけでは決してないのであります。ただ、それらの主張をなすについて、その事件に関係する人の行動に不適当なところがあつた。それを矯正するだけのことであります。また、その逮捕の手続等について不都合があつた、あるいは不法に拘束したというお話がありましたが、それらも決して不都合や不適当なことはなかつたそうであります。
 私の考えますのに、これらの國民の主張は、いずれも正当な主張である限り、これを彈圧すべきではありません。ますますこの主張を――正当な主張は十分にこれを聞いて、そうして、その主張のよいところはとり、これを助長することこそ、民主化の一番適当な方法であると思います。私は、司法檢察を預かる立場から、もし不都合な点がありますれば、これを嚴正公平に取締つて行くつもりであります。ただいまお話のごとき不法なことが、もしありとすれば、私は断じて許しません。これは決して御心配のないことであります。
 さらに愛媛縣中山の事件は、実は新しい事件で、まだ調査中でありまして、ここでお答えできないのを残念といたします。
 また、裁判のことにつきましてのお話がありましたが、現在裁判は法務総裁の管轄外でありまして、私が裁判の適否についてお答えができないことを遺憾といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 吉田内閣の施政一般に関する緊急質問(米窪滿亮君提出)
#22
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、米窪滿亮君、北村徳太郎君、稻村順三君及び安東義良者提出、吉田内閣の施政一般に関する緊急質問を逐次許可されんことを望みます。
#23
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 吉田内閣の施政一般に関する緊急質問を許可いたします。米窪滿亮君。
  〔米窪滿亮君登壇〕
#25
○米窪滿亮君 吉田内閣は、皆さんもすでに御承知の通り、十月十九日に組閣されまして、十一月八日にこの第三回國会が開会されたのでございます。この間二十日間あるのでございまして、われわれは、この十分なる期間において、吉田総理大臣初め各閣僚は、この國会へ臨む準備が十分に果されておると思つたのでございます。すなわち、現在問題になつております総理大臣の施政方針につきましても、あるいはその他の重大なる問題につきましても、十分なる用意ができておると思つておりましたところ、未だに総理大臣から施政の演説がないことは、明らかに政府の怠慢であると断言してさしつかえないのであります。(拍手)しかも、わが党その他の野党側から、この問題に関する緊急質問、あるいは決議案が出ておるにかかわらず、何らこの院議を尊重せずして、いまだに施政方針を総理大臣は述べておらないのでございます。
 ここにおいて、われわれは、この内閣を信任すべきであるか、不信任すべきであるかの態度をきめるためには、今日まで歴代の内閣の慣例であつたところの施政方針を聞かざる限り、われわれの態度は決定できないのでございます。(拍手)日本の憲政、議会の歴史を見ましても、田中義一内閣以外において、施政演説を行わなかつた内閣はないのでございます。この意味において、私は、國家公務員法は、すでに本会議における審議を完了して、目下人事委員会にそれが付されたこの機会こそ、われわれが吉田内閣の一般施政に対する緊急質問をなすべき時期が來たと思いまして、これから総理大臣、大藏大臣、労働大臣に対して質疑を試みんとするものであります。(拍手)
 吉田総理大臣は、組閣以來、閣議におきましても、また國民に対しましても、單独内閣担当の抱負として、健全なる民主政治の確立、政界、財界、官界を通ずる綱紀の粛正と社会道義の確立、経済の再建に対する國民の熱情振起を掲げておられるのでありまして、まことにけつこうなことだと私は思うのでございます。しかしながら、いやしくも一國の総理大臣たるものが、こういう大抱負を述べる以上は、單なる抽象的な言辞ではいけないのでございます。すなわち、われわれは、いかにしてこの抱負を実現するかの具体策を伺わない限り、われわれとして、この言明に賛成するわけには参らぬものでございます。(拍手)
 総理大臣は、健全なる民主政治を確立する方策といたしまして、もつぱら國民の総意に基き、私心を去り、一切の権謀を排して公明に行動し、自己の政治的責任を明らかにする、とおつしやつておるのでございます。われわれはもちろんこれに反対するものではないのでございますが、この方策としては、いまだに抽象的の範囲を出ないのでございます。どうすれば総理大臣はその理想を達成できるか、具体的のことを承りたいのでございます。
 私は、フアシズムとか全体主義とかいう人生観を信奉する人々や、あるいはボス的政治家という印象を國民に與える人々によつて指導されると信ぜられている、いわゆる極右政党によつては、決して健全なる民主政治は確立できないと思うのでございます。(拍手)また同時に、その政治行動の主力を院内に置かず、院外の大衆を政治的に動員して、最惡の場合は、國民の持つ社会不安を暴力的革命に結集しようとする極左政党によつても、決して眞の健全なる民主的政治は達成できないと考えているものであります。(拍手)ここにおいて、われわれは、右に偏せず、左に傾かず、社会民主主義に立ついわゆる中道政治によつてこそ、吉田総理の言われる健全なる民主政治を実践することができると考えているものであります。(拍手)
 この点に関連して考えられますことは、民主自由党内閣の性格に対する批判は、われわれがあえて言うまでもない。支那には他山の石という言葉があります。吉田総理大臣が内閣を組織しましたときの外國の批判を、皆さん再び思い返してください。ことに、ニユーヨーク・ヘラルド・トリビユーン紙は、どういう批評を下しておるか、吉田内閣の出現によつて、過去一年半、新憲法実施によつて、形式的ながら一應順調に進んで來た政治の民主化は、実質的にその内容を整備する今日の段階において若干期間後退した、といわれておるのではありませんか。(拍手)この批判は、單なるニユーヨーク・ヘラルド・トリビユーンだけではない。フランスの新聞、英國の新聞、中華民國の新聞は、筆をそろえて吉田内閣の反動性を指摘しておるのであります。(拍手)
 なるほど國内的には、政権授受にあたりまして、民主的、立憲的意見を実施した点において、わが國の新聞紙は、一應その政権授受の方法について、この内閣に好意を寄せたことは事実であります。しかし、好意を表したのは、ただその一点だけであります。組閣以來の民自党及び政府のとつた態度については、そろそろ不評なるところの批判が出て來ておるのでございます。
 ここにおいて考えられることは、かの英國の労働党首であるところのアトリー氏が、「社会主義への意志と方途」という著書のうちに、こういうことを言つております。アジア的諸國において、資本主義は、ややもすればフアツシヨ化する危険がある、社会主義は、ややもすれば共産主義化する危險がある、ということを言つておるのでありますが、私は、あのアトリー氏の言こそ、民自党にきわめて適切に当てはまるものと思うのであります。ここにおきまして、吉田総理たるものは、健全なる民主政治の確立を天下に約束されたこの重大なる重荷をいかに運ぶかという、その具体的方途について、率直なる御意見を伺いたいと思うのであります。
 次に総理大臣に伺いたいことは、政界、財界、官界の綱紀粛正の具体的方策についてであります。芦田内閣を倒した昭和電工、炭鉱國管、兵器処理、繊維事件等は、まことに醜惡なる事件でございまして、國民の目をおおわしめる事件であつたことについては、われわれはこれを認めるものでございます。從つて総理大臣が、政界、財界、官界の粛正を決意したことは、ごもつとものことでございます。しかしながら、その後の経過はどうであります。殖田法務総裁を委員長とするかのごとくに傳えられた粛正委員会は、その後どうなつた。あたかも砂漠の川であります。行方がわからない。この点ついては、この際明確に、この綱紀粛正の具体的方策を承りたいと思うのでございます。
 從つて、この種の委員会をつくつても、高閣につかねて何もしなければ、これは屋上屋を架するところの、子供らしいいたずらにすぎないのでございます。粛正工作の遂行は、不退轉のものでなくてはならないのででございます。一旦決意した以上は、この内閣によつて大掃除をしていただかなければならない。しかるに、何ら大掃除などということは考えずに、ただ一言にしていえば、解散々々ということばかりを言つておる。政界、財界、官界の粛正についての具体的の方策は、組閣以來二十日たつた今日において、いまだに何ら現われておらないのでございます。
 しかも総理大臣は、三週間にわたつて專任の法務総裁を任命せず、兼務しておつたということが、いかにこの粛正工作に対して熱意がないかということを物語つておる。総務大臣は、法務総裁を兼任したとき、廳員を集めて、どういうあいさつをしたかというと、こう言うております。いわゆる綱紀粛正は断固としてやるべきある、もしも閣僚のうちにも、あるいは法務総裁自身である自分にも、疑惑の点があらば、どしどし檢挙せよ、ということを言つておる。まことに意氣悲壯ではあるのでございます。
 しかし私は、あまり言いたくないのでございまするが、現在民自党の幹部からは、元の幹事長、元の総務等十指に余る人々が、いろいろの疑獄事件でもつて、容疑者として檢束をされ、あるいはすでにとらわれている者があるのでございます。しかも、わが党にもあるのでございまするが、わが党は、すでにこれに対しては除名をし、かつ離党せしめております。すでに自粛自戒の態度をとつておる。しかるに民自党からは、一人もそういう自粛自戒者が出たということを聞かない。まず足元を清めて――みずからを清めずして、いずくんぞ天下を清めんやであります。
 もちろん、今回のごとき政界、財界、官界の腐敗のよつて來たその理由は相当多くあり、かつ淵源するところ遠いのでございます。こういう現象が現われたその理由の一つには、道義の頽廃ということがあげられるでしよう。あるいは官公吏の生活が窮乏と不安におののいているということが取上げられなければならない。こういう点については、総理大臣はいかにしてこの道義の興隆をはかるつもりであるか。いかにして経済的に官公吏の生活を安定させ得るものであるか。この点を考えずして、いたずらに道義的に粛正を唱えても、私は決して完全なる解決であるとは思いません。私、いまさら管仲の言葉をここで引例する必要はない。しかし、衣食足つて礼節を知るということは、今日においても、やはり眞理であります。私は総理大臣に、よろしくこの点について文教的及び文化的の施策を講ぜられんことを希望するものであります。
 政界浄化の問題については、各政党運営の資金その他の政治運動の経理の面において、われわれは相当思いをめぐらさなければならない点があると思うのでございます。すなわちアメリカにおいては、党費のみによつて政党運営をするのでなく、かのハツチ法のごときは、個人または團体における政策支持者あるいは受益者からの醵出を公認する法律があるのでございます。私は、わが國において、政党資金規正法というものがすでにできておりまするが、はたしてその程度でもつて、政党及び政治運動の資金を公明正大なる方法をもつて集め得るものであるかどうか。この点については、政府はよろしく、この政治運動運営の方策について、この際確固たる案をお出し願いたいと希望するのであります。
 次に、大藏大臣にお尋ねします。民自党は、在野当時、統制の大幅撤廃、金融引締めの緩和、米麦の供出後の自由販賣等、これを要するに自由経済政策を唱えて來たのであります。
 けだし自由の本質は、経済的に言うと、いわゆるレツセフエール、すなわち放任と競争の主義でありまして、統制とは眞正面から対立するものでございます。同時に、自由経済主義の最終的形態であるデフレーシヨンは、インフレーシヨンと相反的関係に立つものであります。しかも、デフレーシヨンに到達するためには、経済的には過渡的に若干のインフレーシヨンを肯定することによつて産業的に生産を振起し、統制を撤廃する方法も考慮しなければならなくなるでございましよう。從つて民自党が、十月九日の大会で発表しました、緊急対策十九項目のうち、生産第一主義を積極化してインフレを收束するとうたつたことも、理想論としては、必ずしも自己矛盾であると一笑に付するわけには参らないかも知れません。しかし、かくのごときは、ノーマルな経済状態においては、若干の副作用と犠牲を生じつつも実現可能でございましようが、資金資材が極度に行き詰まつておる現下の日本のアブノーマルな経済状態のもとにおいて、統制を全廃し、一切の價格、一切の生産を自由市場、自由貿易、自由競争にまかせるべき何らの経済的、客観的條件はないのでございまして、かくのごとき経済的措置は、インフレーション激化を誘発することこそすれ、インフレーシヨンの收束には何ら貢献しないことは、第一次吉田内閣の石橋財政によつて、みごとに試験済みになつておるのでございます。(拍手)民自党は、この石橋財政を再び繰返さんとする考えであるか、大藏大臣にお尋ねします。
 資金の面においても、資材の面においても、生産の面においても、今日の日本と比較することすら不自然であるアメリカのルーズベルト政権は、二ユー・デイール政策を実施して、ある程度の統制経済、計画経済を断行したのでございます。今日において、しいて自由経済政策を行わんとするならば、イフレーシヨンを一應抑制した上において、さらに数十億ドルの入超決済資金を導入することを前提として、財政の收支を均衡するため赤字公債の発行を中止し、通貨の増発を防ぎ、金融を合理化し、もつて通貨の整理を断行したる上でなければならないことは、自明の理であります。わが党のインフレ処理の基本対策は、まさに、ただいままで申し上げたこの一線に合致するものでございます。泉山藏相は、民自党の自由経済政策をもつて現下の経済難局を乗り切れると思うかどうか。また、いかなる具体的方策をもつて、生産第一主義を積極化してインフレーシヨンを收束するという民自党の緊急対策を実現しようとするものでありますか。
 西ヨーロッパに対するアメリカのマーシヤル・プランは、当然これはアジアにも適用すべきでありますが、無條約の今日、このことは、にわかに実現ができないのでございまして、ここにおいて、芦田内閣当時において、関係筋の意向をもくんで十大原則を確立しまして、この十大原則を具体化するために長期経済計画を立てております。大藏大臣は、このいわゆる十大原則を認めるものであるか、あるいはこれに基いて長期経済対策を立てるおつもりであるか、この点を明らかにしていただきたいのであります。
 泉山大藏大臣は、就任直後、赤字融資を行わないと言明しまして、價格、財政両政策の上から必要やむを得ないものは國債の発行によつてこれを賄うべしとする一万田日銀総裁の言明に同調し、建設公債のごときものを発行すると傳えられているのでございます。しかも、この意見については、民主自由党がこれに反対をしたために泉山藏相との意見が不一致になつているということを伺つているのでございますが、この点は、はたしてどうお考えになるか、この調節をどうとられるか、お伺いしたいと思うのであります。また泉山君は、この不一致を、赤字融資と公債発行一本にとりまとめる自信がおありになるのであるか、また関係筋の了解を得られる見通しがあるのであるか、その点をお聞きしたいと思います。
 資金資材が極度に行き詰まつているわが國現下の経済界の実情において、民自党の政策のごとく、一方において統制を緩和し、他方において生産を積極化せしめんとするならば、勢い通貨の増発と、政府補給金ないし産業融資を放出せんとする、放漫なる石橋財政を再び繰返さざるを得なくなる。この結果、インフレーションは今日よりもさらに激化して、賃金と物價との惡循環をさらに促進し、國民生活の窮乏を今日以上に惡化せしむる結果に終るにすぎないのでございます。なおかつ、この経済政策を強行するとせば、勢いデフレ的傾向に附随する整理恐慌を招來することになりまして、大量の行政整理と企業整備を断行しなければ、つじつまが合わないことになるのでございます。
 さすがに民自党の諸君も、かかる結果になることはやむを得ないと認めたものと見えまして、十月九日の緊急対策には、行政整理を決議しているのであります。しかるに、小澤運輸大臣その他の閣僚は、就任直後、行政整理は行わないと言明した、そうして党に帰つて來て大いにしかられた、ということを聞いている。(笑声)総理大臣、大藏大臣は、党の方針に從つて行政整理を断行するつもりであるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
 また、自由経済政策の実施に基くインフレの高進と、現実に見る財政と金融の不調和を、いかに調整せんとするつもりでございますか。また、組閣以來極度に國際的不評をかもし出している現内閣に対し、米國及びその他の外國から、自由経済政策を遂行するかぎともいうべき大量の入超決済資金を導入し得る見込があるかどうか、この点を総理大臣及び大藏大臣にお伺いしたいと思うのであります。
 民自党の決議は、あるいは統制の大幅撤廃を叫び、あるいは米麦の供出後の自由販賣を説いておりますが、これまた、その結果としてインフレを促進することになると思うのであります。現に、吉田内閣組閣直後、ただちに大手筋の諸株は暴騰を続けているのは、このいわゆるインフレの前景氣であることを、如実に物語つているのでございます。(拍手)このインフレ收束をいかにしてなすべきかについて、大藏大臣にお尋ねしたいと思います。
 また民主自由党は、料理店、飲食店の再開を公約しております。われわれといえども、庶民的、大衆的飲食店の再開には、何ら異議を持つ者ではありません。しかし、民自党の眞のねらいは、彼らを支持しているところの高級料理店の再開であります。(拍手)高級料理店は、食糧供出の調子を乱し、しかもインフレを促進し、そうして官界を腐敗するところの巣になると思うのでございまするが、これについては、日本における自國の生産の食糧で足らずして、約千五百万石の食糧を海外から求めておるこの現状において、はたしてかくのごとき政策が許されるべきであるかどうかということについて、総理大臣であり外務大臣である吉田さんは、関係筋に対して了解を求め得る見通しがあるかということを、お伺いします。
 次に民自党は、野党当時も、また組閣後も、取引高税の全廃を主張しております。これは何といつても惡税でございまして、われわれも、芦田内閣が提出した予算からこの二百七十億円の取引高税を全廃するために努力をしたのでございまするが、これを埋めるかわり財源がないために、逐にわれわれは、生活必需品その他の物に対する課税を撤廃して六十億円を削除することに成功しまして、なお二百十億円は残つておるのでございまするが、泉山藏相は、この二百十億円の取引高税廃止のために必要である見返り財源を、全体どこに求めるつもりございましようか。傳えられるところによると、泉山大藏大臣は、このかわり財源として、汽車の運賃、通信料、タバコの値上げ等をもつて充てようということで、これまた民自党へ行つて、諸君にしかられて撤回したということであります。しからば、全体このかわり財源をいずこに求めんとするか。ひとつ大藏大臣の御意見を伺いたいと思うのでございます。
 かくのごとく、大藏大臣と民自党との関係は、まことに見るも氣の毒な状態でございます。(拍手)この哀れなる状態を、どうやつて脱却するか。これは大きな見ものであると私は考えております。大藏大臣たるものは、民自党が何と言つても、万難を排して、かわり財源を探すべき責任があるじやないか。
 最後に大藏大臣にお伺いしたいことは、公務員の賃金べースの改訂を含む追加予算を、いつ議会へ上程するのであるか、また、いかなる金額をお組みになるつもりであるか。すでに、政府の一部である臨時人事委員会は、六千三百七円という額をきめまして、これを政府当局に勧告しております。しかるに大藏大臣は、先日の本会議において、これは高過ぎると言われた。政府の意見の分裂は、まさにここに現われておる。これを総理大臣はいかに調整されるつもりであるか、お伺いしたいのであります。
 官公吏は、國民全体の奉仕者であるという理由のもとに、憲法によつて與えられたる罷業権を剥奪され、しかも重大なる義務を強要されながら、しかもマツカーサー元帥の手紙の中に歴然と書いてあるところの賃金その他給與の保護規定に対してきわめて冷淡であるこの内閣は、はたしてマッカーサー元帥の手紙に沿うだけのことをしておるかどうかということに対して、疑いなきを得ないのでございます。(拍手)傳えられるところによりますと、政府は、この國家公務員の給與の財源に窮しまして、給料を月の初めに繰上げるとか、あるいは年末に生活補給金を出すとかいうような、きわめて糊塗的な手段をもつて、これの一時のがれをしようと試みておるがごとくであります。かくのごとき態度をもつて、二百七十一万の全官公の諸君が、ほんとうに喜んで憲法できめられたるところの義務を行うか、ほんとうに喜んで行政実務に彼らが精進して行くかどうかということについて、お尋ねしたいのでございます。
 労働問題について、労働大臣にお伺いしたいと思います。高能率高賃金で労働者の生活安定を実施するということを、増田労働大臣は言つております。あるいは民自党の大会において、これをうたつております。しかし、いかにして高能率を出させるか、いかにして高賃金を與えるか、いかにして労働者の生活を安定せしめるかということについて、組閣以來一箇月たつた今日、何らの具体的な方策を伺つておらない。増田労働大臣は、道義と愛をもつて労資の間を調節し、改善解決すると言つておられます。私は、これに対して必ずしも反対はしないのでございまするが、しかしながら、こういう抽象的表現をもつて、いかに労働者のモラルを高揚力説しましても、彼らの生活が不安定では、たとい唯物弁証論者にあらざる私といえども、これに同調することはできないのでございます。
 増田労働大臣は、國家公務員法の改正は芦田内閣が関係筋と折衝をして到達した最終の修正意見以上に改惡しないと言明をしました。一般労働法規については現状以上に改惡しないということもつけ加えております。しかし社会の一部には、民自党は、この機会に便乘して、年來の持論である三労働法規に対する改惡を断行しようと傳えられております。労働大臣の言明にもかかわらず、かかる流説の行われる理由は、何であるかというと、第一次吉田内閣のときに、吉田さんが、憲法によつて認められた罷業権を行使しようとする労働者に対して、不逞のやからと言つたのが、いまだに労働者の頭にこびりついているからであります。(拍手)また民自党は、政権をとつたならば、賃金と物價の惡循環を断ち切る方法としまして、賃金安定、すなわち賃金のくぎづけを断行するということを言つております。同党の高賃金とは、もし賃金のくぎづけの意味であるとするならば、われわれは、これに絶対に反対であります。労働大臣に、この点をひとつ明らかに御説明願いしたいと思うのであります。
 増田労働大臣は、就任当時、企業整備はしないと言つております。しかし民自党は、行政整理を行うと言つておる。もちろんこれには、行政機構の改革と簡素化の結果としての整理と、註釈がついておりまするが、これはただちに民間企業界の企業整備を誘発する危險が多分にあるのでございます。これらの点は、同党のインフレ政策に対する反対とともに、全國七百万の組織労働者の吉田内閣への全面的否定となつて今日現われて來ておるのでございます。労働者に不信の内閣、労働者に敵意を持たれる内閣が、どうして生産の増強ができますか。(拍手)どうして労働者の生産意欲を高揚することができますか。これに対して増田労働大臣は、生産第一主義を積極化するという、この唯一の労働対策を、いかに具体化されるか、お伺いしたいのでございます。
 最後に増田労働大臣にお伺いしたい点は、目下大問題になつている電産爭議及び鉱山爭議に対して、いかにしてこれを急速に收め得られるところの自信がおありになるか。一日三万六千トンずつの減産をしているこの石炭争議については、これを一日も早く解決することは、目下のわが國の至上命令であります。労働大臣の確固たる御回答を伺いたいと思います。
 最近の米國大統領選挙におきまして、トルーマン氏が、いわゆる番狂わせの勝利を得た原因は、タフト・ハートレー法に反対した労働者、すなわちAFL、CIOの労働者諸君が、デユーイ氏に投票せずしてトルーマン氏に投票した結果でございます。民自党は、今人氣があるというので解散解散と叫び、選挙の結果は民自党が圧倒的多数を占めると、うぬぼれてはおりますが、労働者の信用を落しておるところの民自党が、トルーマン氏のごとき番狂わせを受けないと、だれが断言できましようか。
 最後に、解散問題について吉田総理。大臣にお伺いします。
  〔発言する者多く、議場騒然〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#27
○米窪滿亮君(続) 解散は――解散については。
  〔発言する者多く、議場騒然〕
#28
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#29
○米窪滿亮君(続) 昨日尾崎先生が、この壇上に立つて、解散権の所在がわからない、政府にはもちろん解散権はない、こういうことを言われておりますが、私は、解散権の所在いかん、あるいは解散をする場合は憲法の第七條第三号によるべきであるか、あるいは第六十九條によるべきかの憲法論は、ここで論議することをやめます。しかし吉田総理大臣は、國家公務員法の改正すらたな上げをして冒頭解散をするということを、組閣の当時において言われたのであります。これは明らかに民自党の党利党略的議会運営方法であるとしまして、天下ごうごうたる非難がありました。(拍手)にわかに冒頭解散を早期解散に改めまして、公務員法が改正を終つたときには解散すると、はつきり言明をしております。しかも、この吉田氏の決意は、せつかく十一月三十日まで会期を延長することが決定されたにかかわらず、十五日までに公務員法のごとき重要法案の審議を終了してくれと期限を区切つて來た、無謀な、非民主的な提言に見ても明らかであります。(拍手)これは行政府の立法府への圧迫であり、政府並びに民自党の利益で、國民の多数の意思を代表する議会の多数意見を蹂躪し、圧迫するものでありまして、東條式ファツシヨ政治の再來といわざるを得ないのでございます。(拍手)しかも、この暴挙によつて、公務員法の改正と不可分の関係にある官公吏の賃金ベースの改訂は犠牲になつて、來年度に延期されてもしかたがないという態度をとつておるのでございます。かくのごときむりをなし、犠牲を出しながら、何ゆえに早期解散を急ぐのであるか。しかも早期解散を急ぐために、必要である政界、官界、財界の粛正には何ら手を触れておらない。その点について、吉田総理大臣の御意見を伺いたいのであります。
 ここにおいて、世上往々、口さがなき京わらべは、こう言つております。民自党が早期解散を急ぐのは、このまま推移して行けば、檢察廳方面においても、不当財産方面におけるところのいわゆる刑事事件の波及が自分の党にも來るかもしれないから、今のうちに、いかが墨を吹いて逃げ出すように早期解散を行うのだ、こういう推測が今日行われておるのでございます。私は、この推測は、吉田総理大臣の綱紀粛正のあの御主張のためにも決してとるべからざる問題であると思うのでありまして、この点について、偽らざる所信を総理大臣にお伺いいたしたいと思います。
 これをもつて私の緊急質問を終ることにいたします。
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#30
○國務大臣(吉田茂君) 米窪君にお答えいたします。
 私が施政演説をいたさないことが、いかにも非立憲のように、しばしば言われるのでありまするが、しかしながら、私の記憶するところでは…
  〔発言する者多し〕
#31
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#32
○國務大臣(吉田茂君)(続) 片山内閣においても、あるいは芦田内閣においても、施政の演説は必ずしも劈頭においてやつておらない事実を、諸君は御承知と思いますが、しかしながら――しかしながら、私の施政の演説を院議によつて御要求になりましたから、去る十五日、吉田内閣の性格及び吉田内閣の行わんと欲する公務員法の先決を希望する演説をいたしたことは、諸君御記憶の通りであろうと思います。のみならず、重ねて申しまするが、この國会は、公務員法の改正のため、前内閣によつて召集せられた特別議会であります。前内閣によつて召集せられた特別議会であります。公務員法を通過させることは、マツカーサー元帥の書簡によつて勧告せられた政府の義務であります。のみならず、現下の労働問題解決のために、この法律の制定は、はなはだ急務と考えるのであります。この義務が果されて公約せられた公務員法が通過せられた場合においては、いつでも施政演説をなす用意があることは、すでにしばしば申し述べた通りであります。どうか諸君におかれては、すみやかに公務員法を通過することに政府に御協力あらんことを、切に希望いたします。
 この際米窪君の種々の御意見に対してお答えをいたしますはずでありまするが、施政の演説に讓つて、ただ一言申し述べたいことは、私が申す健全なる民主政治の発達は、また確立は、憲法の精神を國民に徹底せしむるとともに、よき憲法上の先例をつくり上げて、よつてもつて憲法の意味を補充することが大事であると思うのであります。しかるにだ、しかるに、指名選挙に当つて白票を投ずるがごときは、これはよき先例ではない。
  〔発言する者多し〕
#33
○議長(松岡駒吉君) 靜粛にに願います。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#34
○國務大臣(泉山三六君) 米窪議員の私に対しまする御質問は、おおむね左の七点かと思うのであります。すなわち第一には、わが吉田内閣ははたして自由主義経済をもつて貫くのであるかどうか、さようのことであります。第二点は、その経済政策は生産第二主義をもつてやるのかどうか、第三におきましては、なおこれらの政策を貫く上に、いわゆる前内閣当時の経済十大原則は、これを踏襲するものであるかどうか、第四には、しかしてその財政並びに金融政策におきまして、はたして赤字金融、赤字財政は…
  〔発言する者多し〕
#35
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#36
○國務大臣(泉山三六君)(続) これを認めるものかどうか、それが第四点、第五点といたしましては、インフレ收束の政策ははたしていずれにありや、しかして第六点においては、財政的に、わが党年來の主張であります取引高税の撤廃の財源は、はたしてこれをいずれに求めるか、なお第七点は、官公吏の新給與ベースは、いついかなる形においてこれを決定するものであるか、以上の七点であつたかと思うのであります。
 まず第一に、わが吉田内閣といたしまして、民主自由党の……。
  〔発言する者多し〕
#37
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#38
○国務大臣(泉山三六君)(続) 掲げておりまする根本政策は、これを踏襲いたすのであります。しかしながら、その自由主義政策は、ただいま米窪氏の指摘せられ、かつ御心配のような、さようのものではないのであります。わが党の、たとえばその統制の面におきましても、新しき段階におきまして、私は就任以来、いわゆる明るい統制と自由なる活動、かようの表現をもつていたしておるのでありまするが、そもそも生産増強の要諦は、各企業の創意と責任とにまつべきものでございまして、限られた領域における統制方策が明瞭にされるでありましようならば、必ずや自己の責任において向うべきところを自覚し、活発なる企業活動も、これによつて初めて期待できるのであります。かようの意味合いをもちまして、その経済再建の方策の第一といたしまして、われわれは生産第一主義、この点においては、先刻米窪さんから御指摘の通り、まさにその通りであります。
 なお、経済十大原則につきましては、わが吉田内閣もこれを踏襲するものであることを、ここに明言いたします次第であります。しかしながら、前内閣以来、この経済十大原則の実施面におきまして、いまだ実施の運びに至りませんものが多々あるやに存じまするので、この点につきましては、今後いろいろ実際上に政策を展開いたしたいと思うのであります。
 なお第四の御質問でありまするが、赤字金融、赤字公債の問題は、私はたびたび言明いたします通り、赤字金融は、断じてこれをいたす考えはないのであります。なおまた財政につきまして、赤字公債のごときは、今日何ら考慮をいたしておらないのであります。しかしながら私は、この現下の急迫したる財政におきまして、また金融におきまして、幅のある財政と彈力に富む金融、かような意味合いをもちましてその運用の面に深く留意をいたし、その巧妙なる運用によつて必ず國民の期待に沿いたい、かように考えておるのであります。かるがゆえに、たとえば取引高税の撤廃に関しましての財源の問題でも、かようの見地より、その財源はこれを適当に見出すべく、目下せつかく檢討を重ねている次第であります。
 なお、官公吏の新給與ベースについてでございますが、これは先般來たびたびお答えを申し上げました通り、まことに刻下の緊急を要する問題でありまするので、鋭意研究中でもありまするから、一日もすみやかにその回答を得まして、これに対しまする財源につきましては、追加予算としてこれを提出いたしたい、かようの考えでおりますので、以上御了承を願いたいと存じます。
  〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#39
○國務大臣(増田甲子七君) 米窪さんの御質問にお答え申し上げます。
 まず労働法規を改正する意思があるかどうかという御質問にお答え申し上げます。私は、皆さん御承知の通り、いわゆる労働三法中労働基準法は、わが國が國際連盟に加入しておつた当時から、米窪さん等もしばしば出席されました國際労働会議におきまして、いわゆる八時間労働原則というものは採択いたしているのでございまして、この條約は、すでにわが政府が調印いたしております。御承知の通り、国際連盟を脱退いたしましても、行く行くは栄誉ある國際社会の一員として國際連合に加入することが、われわれの最大の期待でございますから、これらの國際條約は厚く遵守する必要があると私は考えおります。從つて、これらの條約にのつとつたところの八時間労働というものは、あるいは國際関係から申しましても、もうこれは一つの通念になつておりますから、私は、労働基準法それ自身は、この際改正するということは、原則的に考えておりません。しかしながら、他の二法、すなわち労働組合法及び労働関係調整法は、皆さん御承知の通り、すでにこれは施行後数箇年を経過している次第でありまして、ただに労働者側、また経営者側のみならず、一般社会からも再檢討の必要が要求されております。現に米窪さんも、労働大臣といたしまして、これら二法の改正については檢討せられた次第でございまして、今引続き私は檢討いたしていることを、どうぞ御了承を願いたいと存じます。
 その次に、賃金のくぎづけは絶対反対である。私は、この点も、原則的には賛成でございます。いわゆる名目賃金をそのままくぎづけすることは、よろしくないと思います。しかしながら実質賃金を労働者の労働條件をできるだけ改善しまして、そうしてある程度の実質賃金が確保できましたならば、そのときには安定策を講ずるということが、いわゆる経済十原則にも示されておりますから、私は必要だと存じまして、こういう方面に向つて、せつかく研究中でございます。
 その次に、私が企業整備をする意思はないということをどつかで表明したということをお尋ねでございますが、そういう事実はございません。皆さん御承知の通り、米窪さんの所属された社会党が與党であつた片山内閣においても、また芦田内閣におきましても、企業再建整備法その他によつて、着々企業整備をいたしておつた次第でありまして、またこれを離れましても、いわゆる産業合理化という意味合いから、私は企業というものが健全性を獲得する、企業の健全性の確立という見地から、やはり産業合理化の原則にのつとつた企業整備というものは將來必要になつて來る、こう思つております。
 それからその次に、生産第一主義を民主自由党は標榜しているが、これに対して何か具体的方策はないかというお尋ねでございますが、これも今のところは、多少アブストラクトのお答えを申し上げることができるにすぎませんが、要するに勤労意欲の高揚をはかる。また経営者方面に対しましては、企業意欲、生産意欲の高揚をはかる。そこで、企業意欲の高揚の点につきましては、私しばらく省略いたしますが、勤労意欲にいたしましても、実質賃金の確保その他労働條件の維持改善をはかるという方向に向つて全面的の努力を拂うつもりでございます。
 次に、電産爭議と石炭爭議のことのお尋ねでございますが、御承知のごとく、前内閣の加藤労働大臣が、電産爭議につきましては強制調停に移されました。この調停の期間が経過いたしました後におきましても、中労委に非常に活動願いまして、いわゆる調停案が出ております。これが今日、いわゆる三原則との関係上、まだ実施の運びになつておりませんが、できるだけ早くこれを尊重し、これを実現いたしたい、そうしてこの爭議を終熄せしめたい、こう思つております。それから石炭爭議は、仰せの通りすでに十日から始まつておりまして、日々二万トン弱の減産を見ておりますことは、まことに遺憾にたえませんが、これも関係筋と、われわれ商工大臣、大藏大臣、また私、一生懸命努力いたしまして、せつかく妥結に到達するように、引続いて一生懸命勉強中でございます。中間報告の程度で非常に遺憾でございますが、以上で御了承願いたいと存じます。
 最後に、民主自由党の労働政策あるいは全体の政策が保守反動であるというお尋ねでございますが、私は決してそう思つておりません。いわゆる惡い意味の保守でもなければ、また絶対に反動でもございません。ことに労働政策に関する限りは、社会党も國協党も民主労も民主自由党も同じでなければならぬ。すなわち労働條件の維持改善をはかる、これ以外にはないのでありまして、労働條件の維持政善をはかつて、労働の生産性を高揚する。われわれと社会党の諸君と主義主張が違うとすれば、物資の生産方法に関する主義主張の相違である。すなわち、あなた方は産業の社会化を主張するが、われわれは、私企業の原則、公正なる自由競争の原則によらなかつたならば、國民大衆の必要なる生産資材にいたしましても、消費物資にいたしましても、生産されない。それでは労働大衆も含めて國民大衆が困つてしまうのであるから、われわれの主義主張が一番國民大衆のための進歩的な政策である、こう考えておる次第であります。
  〔米窪滿亮君登壇〕
#40
○米窪滿亮君 労働大臣の御答弁はともかくも、総理大臣と大藏大臣の答弁は、まことに遺憾きわまるものであります。こういう答弁がなされないように、あらかじめ私から質問の要旨を三大臣に渡してあります。從つて、相当の時間があるはずです。時間があるにかかわらず、こういう答弁しかできないということは、こういうことに理解がないのか、あるいは全然お知りにならないのか、疑うものでございます。ことに総理大臣は、私の質問に対して挑戰的に出まして、片山内閣のときにも前例があるという、事実無根の虚構事件を述べておるのであります。吉田さんがお疑いになるならば、当時の速記録をお取寄せになつてお調べください。一國の総理大臣たる者が、議員を前にして、こういう事実無根の虚構事件を述べるがごときことは、私はその人格を疑うものでございます。しかも総理大臣は、あまりにも血のけが多くて、けんか腰であるために、私の質問をすつかり忘れてしまいました。
 すなわち、私が総理大臣にお尋ねしたいという点は、官界、政界、財界の綱紀粛正の具体的方策はいかん、社会的道義の具体的確立方策はいかん、それから、クレジツトの形で入超決済資金の導入の見通しがあるかというお尋ねをしておる。また料理店、飲食店の再開とインフレーシヨンとの影響、あるいは食糧問題との影響について、関係筋の了解を求められる自信があるかどうか、それから早期解散と賃金ベースとの関係はどうされるつもりであるか、これを聞いたのに、何ら一つとしてお答えがないのであります。おそらく、そういう自信がないのか、そういうことに無知であるのか、いずれかであると思うのでございます。
 また大藏大臣は、七項目にお答えしますと言いながら、ほとんど何ら聞くべき御回答がございません。(「やかましいからだ」と呼ぶ者あり)全体どういう御回答であつたか、私は最前列に來て聞いておりましたが、わかりません。ことにクレジツトの導入問題、統制の大幅撤廃、米麦の供出後の自由販賣によつてインフレーシヨンが起ることに対する対策、あるいは行政整理の問題、その他重大なる経済問題の質問に対して、何らお答えがございません。私は、これ以上大藏大臣にお尋ねするのはお氣の毒と存じますから、やめます。
#41
○議長(松岡駒吉君) 総理大臣は答弁はないそうであります。
#42
○今村忠助君 残余の緊急質問はこれを延期し、明十八日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#43
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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