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1948/11/22 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第18号
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1948/11/22 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第18号

#1
第003回国会 本会議 第18号
昭和二十三年十一月二十二日(月曜日)
 議事日程 第十七号
    午後一時開議
 第一 食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 自由討議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 全國選挙管理委員会の委員の指名
 日程第一 食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 供出奨励金の課税免除に関する決議案(佐々木秀世君外十名提出)
 中小企業振興に関する緊急質問(成重光眞君提出)
 ポ政令第二〇一号及び勅令第五四二号に関する緊急質問(林百郎君提出)
 官憲の不当彈圧についての緊急質問(石野久男君提出)
    午後三時三十七分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
 この際暫時休憩いたします。
    午後三時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時四十七分開議
#3
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 全國選挙管理委員会の委員の指名
#4
○議長(松岡駒吉君) 全國選挙管理委員会の委員のうち二名の欠員を生じております。よつてこれを補充しなければなりません。この際全國選挙管理委員会の委員の指名を行います。
    ―――――――――――――
#5
○今村忠助君 全國選挙管理委員会の委員の指名については、議長において指名されんことを望みます。
#6
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて議長は、全國選挙管理委員会の委員に、金子武麿君及び今井登志喜君を指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 第一 食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#8
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員長島村一郎君。
  〔島村一郎君登壇〕
#9
○島村一郎君 ただいま議題となりました食糧の輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案について、大藏委員会における審議の経過並びに結果について概要御報告申し上げます。
 まず政府原案の要旨についてでありますが、米麦、雑穀、澱粉、カン詰類等の主要食糧に対しては、昨年法律第百八十八号をもつて、その輸入税を本年一年間免除することといたしたのでありますが、わが國現下の食糧事情にかんがみ、さらに向う一年間これを免除いたしたいというのであります。
 本案は、去る八日、本委員会に付託されたものでありまして、十三日提案理由の説明を聽取し、十六日及び二十日の両日にわたりまして愼重審議をいたしたのであります。
 まず十六日の委員会においては、社会党の佐藤觀次郎君及び國協党の内藤友明君より輸入食糧の概況等について政府の説明を求め、次いで二十日には、社会革新党の本藤恒松君及び労働者農民党の堀江實藏君より二、三の質疑がありましたが、詳しくは速記録によつてごらんを願いたいと存じます。
 続いて同日、討論を省略し採決に入りましたが、起立多数をもつて原案を可決いたしました。
 以上をもちまして委員会の経過並びに結果の御報告といたします。(拍手)
#10
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしましました。
    ――――◇―――――
 供出奨励金の課税免除に関する決議案(佐々木秀世君外十名提出)(委員会審査省略要求事件)
#12
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、佐々木秀世君外十名提出、供出奨励金の課税免除に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際上程し、その審議を進められんことを望みます。
#13
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 供出奨励金の課税免除に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。佐竹新市君。
  〔佐竹新市君登壇〕
#15
○佐竹新市君 ただいま議題となりました、各派共同提案にかかります供出奨励金の課税免除に関する決議案の理由を説明させていただきたいと思います。
 まずその前に、各派共同提案にかかります決議案を朗読いたします。
   供出奨励金の課税免除に関する決議
  食糧の増産の確保と供出とを促進することは、現下の緊急課題たるにかんがみ、政府は、早場米及び早掘薯の奨励金並びに米麦等主食食糧の超過供出に対する奨励金についてはこれに課税せざるよう急速に処置すべし。
  右決議する。
 以上が各派共同提案の決議であります。この決議に対しまする簡單な理由の説明を申し上げます。
 現行供出制度は、法律に拘束された責任供出でありまして、一般事業とその性格を異にしております。課税の査定捕捉が明確である上に、年一回の経営効率は他の業種と著しく相違し、収入の内容また彈力性のない点で、その課税率はおのずと性格を異にすべきにかかわらず、更生決定による天くだりの不当課税が行われ、これがために、全國にわたり約二万町歩の土地の放棄が発生しつつある状態であります。
 かかる不当課税が行われておるにかかわらず、政府はさらに早場米、超過供出米に対しまして課税を強行せんとしておるのでありますが、元來早場、超過供出等は、農民の努力と飯米の節約によつてこれを行つておるのでありまして、政府のねらう早掘、超過供出は、食糧の需給操作に基く國の食糧政策をもつて行わるべきであります。かくのごとき性質のものについては、石炭その他の重要産業のごとく、補助金すら交付してその目的を達しておるにかかわらず、供出については單に報奨價格のみをもつてし、逆に課税を行うことは、報奨の趣旨に合わないと思うのであります。(拍手)目的が早掘、超過供出を通じての食糧の窮乏打開にありながら、これを阻害するごとき課税は、本末轉倒もはなはだしいと思います。(拍手)報奨措置に課税することは、累進課税となり、税負担額を増大し、早掘、超過供出の政府施策に反対する傾向を助長するものと考えるのであります。報奨措置に課税いたしますなれば、從つて増産に影響を來し、勤労意欲を低下すること、これまたはなはだしいのであります。報奨措置に課税することは、超過供出に影響し、政府のねらう所要量確保に影響し、なお合理的供出を政府みずから否定し、やみの助長を促すことになるのであります。課税のため早掘、超過供出等に影響を與えれば食糧の遅配欠配を起し、ひいては消費者のやみ食糧購入費がかさみ、インフレを助長することになると考えるのであります。(拍手)
 かかる意味におきまして、本年度の供出は、御承知のごとく超過供出に対しては匿名供出にいたしておるのでございます。この匿名供出の趣旨は、いわゆる三百万石の超過供出によつて日本の食糧確保をねらつておるのであります。かかるときに、これに対して逆効果を來すべきところの、この供出獎励金のごときものに対して課税するということは、はなはだ不当であると私は考えるものでございます。(拍手)
 先般泉山大藏大臣は、日本農民党の高倉定助君の、この超過供出奨励金の免税に関する質問に対しまして、大藏省では目下事実上免税にひとしき具体案を考えておる、こういうことでありましたが、その具体的な内容は、ここでまだ説明を受けておりません。農民は、今日の食糧増産に寄與しながら、一方農業所得税において多額の税金を取られ、農民のつくりました農産物と諸物價との均衡は、著しくその差があるわけであります。かような点にかんがみまして、この奨励金に対する免税の点に対しては、全國の農民の食糧増産意欲に関係することはなはだしいのでございますから、どうかこの際大藏大臣におかれましては、その案の具体的内容を明示していただきたいと思うのであります。
 以上の点を申し上げまして本案の説明にかえる次第でございます。何とぞ満場の御賛成を得たいと存ずる次第でございます。(拍手)
#16
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 大藏大臣は、やむを得ない用務のため出席いたしかねております。この際本決議案について、なお一昨日の榊原亨君の緊急質問に対する答弁のため、厚生大臣より発言を求められております。これを許します。厚生大臣林讓治君。
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#18
○國務大臣(林譲治君) ただいま大藏大臣が、よんどころない用事のために出ておりませんから、ただいま御決議になりました問題につきまして、政府の所信を披瀝いたします。
 早場米獎励金並びに超過供出奨励金等に対する課税の問題につきましては、早場米につきましては、早期供出のため、普通の場合に比して収穫高が少い上に余分の経費を要しますし、また超過供出についても同様に、一般の場合以上に多額の経費を要するものと考えられますから、御決議の御趣旨を尊重いたしまして、これらの事情を十分考慮いたしまして、実質的に農民諸君の負担の相当程度の軽減をいたしたいという所存でおります。この点、以上をもつて御了承願いたいと思います。
     ――――◇―――――
#19
○國務大臣(林讓治君) なおこの際におきまして、「昨日榊原君の御質問に対して、折柄私よんどころなく出席ができませんでしたので、この際榊原君にお答えいたしたいと考えるのであります。
 その際質問の一つは、政府の厚生保險の問題に対する対策はどうかということの御質問であられたかのように拜察をいたします。政府といたしましては、社会保障制度につきましては、かねてから險討中であつたのでありますが、御承知の通り、去る七月におきまして、連合軍最高司令部より日本の政府に対しまして、社会保障制度の問題について勧告書が参つておるわけであります。從いまして、その関係の方面と連絡をとりました上において、すみやかにこれが推進をはかつて行きたいという心組みでおるわけであります。
 次に、國民健康保險の國庫補助の問題についてでありますが、この補助金については、國家財政をも十分考慮いたしまして、できるだけ増額をはかつてみたいというつもりでおるわけであります。そこにおきまして、目下予算を編成中の大藏当局とも種々研究をして應分の事柄をいたしたい、こういう考えでおりますから、さよう御了承願いたいと考えます。
#20
○榊原亨君 自席から厚生大臣に重ねてお伺いいたしたいのでありますが、ただいまの国民健康保險に対する補助金は今次の追加予算中に御編成になるのかどうかという明確なるお答えを願います。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
#21
○國務大臣(林讓治君) ただいまの御質問に対してお答えいたします。
 目下非常に困難なる状態に立ち至つておりますが、できるだけ私どもは大藏当局と折衝いたしまして、御趣旨に沿うべく努力をいたしたいと考えております。
     ――――◇―――――
 中小企業振興に関する緊急質問(成重光眞君提出)
#22
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、成重光眞君提出、中小企業振興に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#23
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 中小企業振興に関する緊急質問を許可いたします。成重光眞君。
  〔成重光眞君登壇〕
#25
○成重光眞君 私は、中小企業振興対策に関する質問をいたします前に、吉田総理がいらつしやいませんので林副総理にお答え願いたいと思うことは、吉田総理は、本月十五日、本会議におきまして、公務員法通過の直後に解散を断行するということを答えられ、年内総選挙を決定しておるようでありますが、このたびの選挙の際には、憲法第七十九條の二項に基きまして、最高裁判所の裁判官の審査投票を同時に行わなければならないということになつておるのでありますが、その手続を完全に遂行する見通しなしに解散をやるといいうことは――もちろん、その期間において三十日ないし四十日を必要とすると思いますが、政府は、右の裁判官審査投票につきまして、いかなる準備が大体できておるか、もし、できておるといたしますならば、審査せられますところの裁判官の経歴その他、信任すべきやいなやということを決する國民に対して、裁判官に対するいわゆる周知徹底をせしめるためのいかなる方法を講ぜられるか、もし現在のまま行われますならば、まさに國民は、その裁判官の人となりを知らずして、これを投票しなければならぬような結果になるのではないか、こういう点から、この憲法第七十九條の二項に基きます最高裁判所の裁判官の審査投票について、政府といたしまして、いかなる準備、あるいはいかなる心構えをもつてこの審査投票を行われんとするのであるか、この点について一應お答え願つておきたいと思うのであります。
 さて私は、まさに崩壞の一歩手前であると申し上げてもあえて過言でないと思いますこの中小企業に対する根本的な対策について、所管大臣に対してお尋ね申し上げたいと思うのであります。わが國におきます中小企業問題は、古くからの、かつ深刻な問題であつて、常に重大ななる関心を拂われておりますことでありますが、これは根本的に、わが國の産業が諸外國に立ち遅れまして、しかも跛行的な発達を遂げたこと、及び資源に比較してきわめて大きな人口を有しておりますところのわが國にとりましては、必然的にもたらされたものでありますが、今後わが國の事情を考えれば、この問題はさらに深刻化すると考えるのであります。すなわち、戰前におきましての産業設備の大部分と、また今日は海外資産の全部を失いました。しかも縮小された狭い国土に八千万という多くの人口を擁しておりますところのわが國におきましては、結局今後、日本の産業は中小企業形態により、しかも大局的には加工貿易方式によりまして、その成立をはかるほかはないのでありまして、國民が生存するための必須な條件は、世界的競爭に耐え得る優秀な中小企業を健全に育成することにかかつておると考えるのであります。
 しかるに、中小企業の現状は、その技術及び経営におきまして依然低調の域を脱せず、今後よほどの努力をもつてその質の向上をはからなければ、加工貿易の任務、はたまた國内の競爭にとうてい耐え得ないのではないかと憂慮するのであります。戰後、最近の加工製品が、質において、また技術において低下はなはだしく、一例をあげますと、輸出いたしました陶器製品の大量が最近におきまして送り返されたということ、その他これに類似の事例は数多いと考えるのであります。
 よつて、中小企業の重要性を深く認識いたしますとともに、しかも私的独占の禁止と不当の取引制限排除等により確保せられる自由公正なる競争形態下におきましては、中小企業の健全な発達をはかることは、わが國経済再建の眞の基盤にして、産業構成上きわめて大きな比重を占め、しかも、さらに今後中小企業等によらざるを得ないところの人口がわが國におきましてはますます増大する必然的な趨勢にあり、ゆえに中小企業対策は、現在のわが國におきましては、最も緊要にして経済的かつ社会的な重要問題であると考えるのであります。この点につきまして、ただいまのような消極的な中小企業に対する政府当局の考えでは、とうてい私どもは満足し得ない結果になると考えますので、所管大臣たる商工大臣として、この点に対していかなる所見を持たれておるか、第一点にお尋ねしておきたいと思うのであります。
 次は、中小企業に対するところの金融問題であります。この金融問題に関しましては、詳細申し上げますことは避けたいと考えますが、経済復興、産業再建の途上にありますわが國におきましては、中小企業の勢力は企業数の九八%を占め、その使用労働者数は七六%にして、生産額はまさに四六%、但し、大企業との関連産業または下請工業等を合せると、生産高の三分の二は中小企業の生産と推定されるのであります。しかも、この中小企業の数はますます増大しつつあり、また目下國民経済に対するところの至上命令ともいうべき輸出増進上に占める中小企業の重要性はさらに大なるものがあると考えます。すなわち過去におきましては、わが國輸出品の六五%はこれに依存しておるといつても、さしつかえないと思うのでありますが、今後におきましても、この点はますます増大されて行くものと考えるのであります。從いまして、この中小企業が今日のような状態におきましては、なかんずくその点におきまして、いわゆる金融面から見た場合に、深刻なる金融難に陷つておりますこの中小企業に対して、いかなる金融対策を講ずべきかという点について、私は特に憂慮しておるものであります。
 今や、わが國の中小企業の経済振興については、この金融難を打開することが最大の急務であると考えますために、政府当局において即刻大胆なる金融対策が実施されなければならぬと考えるのであります。この問題の処理は、これが手遅れいたしますならば、その解決はほとんど不可能となるおそれがあるといつても過言でないと思うのであります。政府は一体、この深刻なる金融難に悩んでおります中小企業に対して、いかなる方針をお持ちになつておるか、その点をお答え願いたいと思うのであります。これをこのまま放置するときは、まさに今日の状態から見ますと、中小企業は自滅するか崩壞する以外にないと考えるのであります。
 この機会に当局にお尋ねしておきたいことは、復興金融金庫の資金は一千三百五十億でありまして、このうち九百十億を貸し出してありますが、一体中小企業に対して何がしの融資がなされておるか。この点について、私は一應お尋ねしておきたいと思うのでありますが、特に私がこの機会に述べたいことは、北九州八市の中小企業連盟、これは五百三十有余の業者が連盟をつくりまして、この資金難に行き詰まつた中小企業の代表の諸君が、二箇月から上京いたしまして、いわゆるこの金融問題につきまして救いを求め、中小企業廳を中心に、各省に対して融資の陳情をいたしておるということを聞いておりますが、しかもこれらの五百三十有余の中小企業者の方々は、二万五千有余の労働者を有し、この越冬を目捷に控えまして、いかにして今年を切り拔けるかという、まことに窮迫した状態を私どもは見ましたときに、しかも企業廳あるいは政府にいたしましても、これに対して何らの打開の途を今日與えていないということを聞いておるのであります。もし、この五百三十有余のこれらの中小企業の方々が、二万五千という多くの労働者を控えて、この年末の差追つた金融に困つておる状態を見まして、私どもは、昭和電工に対する二十六億の融資、あるいは東洋製粉、炭鉱融資などの不正融資、あるいは大臣であるとか官僚であるとかにばらまかれ、贈收賄に使われたその何分の一かの融資でも、せめて中小企業の諸君に融資することができるならば、このせめてもの越冬の目的を達することができるのじやないか、こういうことを考えざるを得ないのであります。
 ともあれ、現在の復金は、中小企業の金融に対してはきわめて冷淡であります。眞に必要な中小企業を國民経済的見地より推進するがために、現在の復金から中小企業金融の機能を分離いたしまして、別個の國家的金融機関として廣く市中銀行の協力を得て、あるいは設備資金ないし長期の固定的運轉資金を供給する中小企業金融金庫を設立する御意思が当局においてないかということを、私はお尋ねいたしますとともに、特にこうした中小企業に対する金融機関の設定を熱望するものであります。なおまた、この信用保証制度につきまして、私どもはその趣旨には賛成しております。これを法文化すべきだと考えておりますが、いつごろになればこの信用保証制度というものが法文化されるのであるか。なおまた、この所管官廳は商工省とするのか、この点に対してお尋ねしておきたいと思うのであります。
 第三点は中小企業廳の拡充であります。この中小企業廳は、御承知の通り、前々内閣においてその要綱が決定され、今年の七月に中小企業廳設置法が立法化され、そうして八月から開廳いたしておりますが、その内容を見てみますと、現在の中小企業廳は、わずかに予算千三百万円にして、定員百三十三名ということになつておりますが、実員において百十名そこそこの少数のものをもつて、はたして要綱ないしその設置法等にきめておりますところの中小企業の経営あるいは診断、動力、資材、資金あるいは生産方法等に対しまして、各般にわたつての中小企業の育成振興というものが、その目的を達し得られるかということにつきましては、私ははなはだ疑問を持つものであります。この点に対しまして、せつかく発足しておりますところの中小企業廳をいかに拡大強化して運用するか、これにつきまして所管大臣としての抱負を承つておきたいと思うのであります。この企業廳を強化し、これの振興を期することは、わが國の現在にとつては、いかなる困難があらうとも、これを遂行しなければならぬ絶対的命題であると私は信じておるものであります。すなわち、この中小企業廳をどうするかということに対して、積極的、具体的な御意見を、この機会に所管大臣より特に私は承つておきたいと思うのであります。
 第四点は、まさに崩壞の一歩手前にあります中小商工業者の実情を訴えまして、私は、いかにこれを救済するかということに対しまして、実は大藏大臣がいらつしやれば大藏大臣にお尋ね申し上げたいと思うのでありますけれども、関係者より御答弁願いたいのであります。
 この中小商工業に從事いたします中小商工業者の課税に対する問題でありますが、中小商工業は、実情を無視した重税のために、まさに崩壞の一歩手前の危機に直面しておるといつても、あえて過言ではないと私は考えるのであります。最近の歴代政府は、財政需要に対して、ただ安易なるところの増税以外の策をとらず、今日の窮状に導いたと私は考えるのであります。これは主権在民の基礎に立つておりますところの民主政治とは言いがたいと考えるのであります。かくのごとき、むしろ営業禁止的重税の続く限り國民の中堅層たるところの中小商工業者は、好むと好まざるとにかかわらず、急進勢力依存の風潮を見ることなきを保しがたいのではないかと考え、祖國復興の緒についておりますこの場合、私は、この問題は最も重大な問題であると考えますとともに、この重大時期におきまして、私は、この中小商工業者の救済に対する何らかの具体策を考え、またこの課税に対しましては特に愼重に考えなければならぬと思うのであります。
 いろいろ中小商工業者に対するところの課税の具体的な事例を引用してお願いいたしたいと思いますけれども、時間の関係上省略いたします。私が申し上げなくとも、最近これらの業者がいわゆる重税のためにいかに困つておるかは、おわかりのことと思います。なおまた、前年におきまして千三百三十九億が、本年におきまして二千五百八十二億に達し、一般の租税負担は、すでに國民におきまして限界点に達しておると考えるのであります。しかるに、今また政府は、追加予算におきまして二百億の各税の増税を見込んで賦課せんとしておることを聞きますが、私どもは、はたして現在の状態において、これらの中小商工業者がこの課税に対してこたえ得るかどうか、あるいはその能力ありやいなやということに対しましても、大きな疑問をもつておるものであります。この点につきまして、私は具体的に要約いたしまして、ここにその事例を示しまして、これに対する左の四点について、大藏当局としていかなる所見を持たれておるか、お尋ねしておきたいと思います。
 第一点は、これら中小商工業者に対して、申告税施行とともに廃止されておりますところの所得調査委員制度を復活する必要はないか。その理由といたしましては、申告納税とはいえ、大部分が更生決定を受けておるという事実に基きまして、私どもは、この所得調査委員制度を復活する御意見はないかどうかということを、大藏当局にお尋ねしておきたいのであります。
 第二点は、更生決定に対するところの異議申請については、目標額にかかわらず一箇月の制限があつても、当局の異議審査には何らの期限を定めないことは、民主的とはいえないと思うのであります。
 第三点は、異議審査請求中の者に対しては、その決定までは徴收猶予の処置をとる必要はないか。從いまして、これに対しては加算税あるいは延滯利子の賦課、あるいは差押え等をしない、こういう点に対して、私どもはこれを望みたいとともに、これに対するところの当局の所見を承つておきたい。
 第四点は、現下の経済界の状態よりいたしまして、この中小商工業者に対する分割納税を認める意思はないか。
 以上四点を具体的に御答弁願いたいと考えるのであります。このほかにいろいろただしたいことはありますが、與えられた時間がありませんので、いずれ他の機会にただしたいと思いますが、これに対しまして、商工大臣並びに大藏、労働各大臣の御答弁をお願い申し上げる次第であります。
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#26
○國務大臣(林讓治君) お答えいたします。裁判官國民審査につきましては、事務的準備は進めておりまして、いつ総選挙がありましても支障のないような手はずになつております。参議院議員中から構成いたします國民審査委員会は、数次委員会を開催いたしまして、準備を整えておりますので、裁判官の経歴の周知、審査方法の徹底も、それぞれ方法を講じてある次第でありますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#27
○國務大臣(大屋晋三君) ただいまの成重君の御質問に対しましてお答えをいたします。
 中小工業が非常に重要であるという御意見に対しましては、私もまつたく同感なのでございます。かつまた、その中小工業が、現在いわゆる大工業と申しますか、あるいは重要工業に圧迫を受けまして、かつ現在の極端に困難でありますところの経済情勢からも圧迫を受けまして、非常な困難なる状態に立ち至つているということも、まさにその通りなのでございます。しかして、ただいまるるお説の中にございましたが、日本の人口の増加という面から考えましても、この中小工業は、古來日本の家内工業の形におきまして大部分処理されて参つておる実情からかんがみましても、これを軽々に放置しておくわけには参らない。また、この敗戰以來のわが國の産業の姿が変貌いたしておることは御承知の通りであります。すなわち、企業集中排除の精神、あるいは私的独占企業の排除という面からいたしましても、年來のわが國の傳統であり、しかもこの重要なる將來性を持つ輸出産業に、中小工業が非常なる関連があるという点から考えましても、当局といたしましては、これが指導、育成、救済という方面に対しましても非常な重点を置き、関心を持つているのであります。
 しからば、これを政府はいかように処理する考えであるかというお尋ねでありますが、これに対しましては、いわゆる公正なる、自由なる、國際的の、また國内的の事情におきまして、その工業がやつて行けるという線に沿いまして、私はこれの経営ないし技術の指導をいたさねばならぬと考えておるのであります。しかして、その順序といたしましては、あくまで中小工業の指導強化という点に重心を置きまして、いたずらにいわゆる世に喧傳されておるところの救済々々ということを目標にして考えるのは誤りであろうかと考えておるのであります。すなわち、さような意味におきまして、從つていかなる手順でこれをいたすかという問題を考えてみますときには、やはりわが國の経済再建に対しまして貢献する度合いの大きい中小工業から、まず手始めにこれが指導、育成、振興をはかつてだんだん順位を考えてこれが指導行政をやらなければならないと考えておる次第であります。
 さように考えて参りますときに、実際問題といたしまして、中小工業のただいま直面いたしております一番の重要の問題は、先ほど成重君のお説の中にもございました通り、金融の問題でございます。次いで資材の問題が根本の問題、次にこれを中小企業廳が直接指導をいたしておりますが、この中小企業廳がほんとうに能率を発揮して、中小企業の指導、育成、強化を完成遂行できるようにするという、いろいろな点がございます。
 まず、この金融の点に対して第二問のお答えでございますが、これは非常に金融の点において困つておるのでありますが、御承知のように、中小工業が種々雑多な工業を網羅いたしておりますると同様に、中小工業の金融というものが実に複雑いたしております。
 御承知の通り、單純な市中銀行から融資を受ける、あるいは組合から融資を受けるというような形もございます。また、これらがいわゆる無盡会社から金融を受けておるということ、また個人の縁辺知己をたよりにいたしまして金融をやつておるというようなことなど、中小金融の行き方はいろいろ複雑しておるのでありますが、私の考えるところによりますと、これらの縁故先あるいは友人から金融をいたすような形、無盡会社から金融をいたすような形、あるいは組合等から金融をするということは、これは目下経済界の不振によります購買力の不足等で、だんだんむずかしくなつて参りますから、どうしても市中銀行からまともに融資ができるようにすること、次いでまた、復興金融金庫の機能をこの中小工業の金融面に活溌に適用することに重点を置いてやらなければならぬと思つております。
 さて、そこでしからば、どういう実情にあるかと申しますならば、復興金融金庫の金融の方式は、在來、短期一・四半期十億円を復金のわくの中から算定いたしておるのでありますが、この方式がまた二つになつておりまして、そのうち五億五千万円は、いわゆる代理貸しという方式で、復金の代理店を通じまして中小業者に融通しておる。その残りの額は損失補償制度によりまして金融をいたしておりますが、これは市中の銀行が、自己の損失を恐れるあまり、在來あまり活用されておりません関係と、また五億五千万円の代理貸しの金額があまりに少額に失するというような関係を考慮いたしまして、本年の第三・四半期よりは、代理貸しの制度の金額を八億五千万円に増加いたしまして、残りの一億五千万円を損失補償の方に向けることにいたしたのであります。いうまでもなく、この損失補償の面におきましては、三割の損失をカバーいたすことになつておりますから、一億五千万円が実際は五億に働く、すなわち、この五億円と前の八億五千万円とを合計いたしましたものが、主として復金の機能によります中小工業者に対する金融の額に相なつておるのであります。
 さてその次に、北九州の機器をつくります二百数十軒の業者が非常に苦しんでおるという問題の質問がございましたが、この点につきましては、私たちも業者から直接に陳情を受けて参つております。目下、この特殊性にかんがみまして、それらの業者の逼迫しております金融金額の所要量の計数をただいまあんばいいたしまして、目下関係者と協議中であるということを、御承知を願いたいのであります。
 次に、信用保証協会の法律化という問題に触れられましたが、この点につきましては、目下法律案を準備いたし、國会に上程を急いでおると御承知を願いたいのであります。
 また第三は、中小工業の金融金庫を設定する考えはないかという御質問でございましたが、これに対しましては、この金融金庫を設定する意思をもつて、目下その仕組みについて協議をいたしておる次第であります。
 第四番目に、中小企業廳の機能を拡充する考えはないかという御説がございましたが、御承知の通り中小企業廳のスケールが非常に小さくありまして、現在の予算も、わずかに二千八百万円しかとつてないのでありますが、私たちの希望といたしましては、これを一億二、三千万円程度に拡大いたしまして、この機能を予算の面から増額を要求しておるのでありますが、この点も、さように御了承を願いたいと思うのであります。これをもちまして成重君に対するお答えといたします。
 なおまた、一昨日の岡田君の御質問に対しまして、ここに御答弁をいたします。
  〔発言する者多し〕
#28
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#29
○國務大臣(大屋晋三君)(続) 一昨日の岡田君の御質問の第一問は、炭鉱の中には、あながち赤字ばかりではない、黒字を出している炭鉱もあるがゆえに、一概に炭鉱業者の言うがごとく、この賃上げの問題に対して補給金を出すに及ばぬというような御質問でございましたが、なるほど現在、御承知のように炭鉱には数々ございまして、その中には黒字を出している炭鉱もあるのでありますが、現在の賃上げ問題は、その金額がどの程度の線で折合いがつきますか、そのぐあいによりまして、必ずしも現在黒字であるところの炭鉱が、それで黒字が継続できるとは考えないのでありまして、これはやがて決定されるでありましようところの賃金値上げの線を考慮いたしまして、お説のようなことがありましたならば十分考慮いたす考えであります。
 また、第二の御質問は、鉱山保安法をいかに取扱うかという問題でございますが、これは生産と密接な関係がございます点に重点を置きまして、目下労働省と商工省におきまして、せつかく成案中でございますから、さように御了承を願いたいのであります。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#30
○國務大臣(泉山三六君) 成重さんのお尋ねに対しまして、簡單にお答え申し上げます。
 御質問の第一点は、中小企業の金融、昨今の金詰まりを、いかにして打開するかという問題と承るのであります。中小商工業に対しましては、まず一般の金融機関からの融資に努めますとともに、なおこれを補足いたしますために、中小商工業金融に適当なる特別の金融機関の設置につきまして、かねてよりその方途を研究いたして参つたのでありますが、恒久的なる措置は、金融制度の全面的改正とにらみ合せて、これを險討いたすことといたしました。とりあえずの措置といたしまして、復興金融金庫の代理貸し制度、補償融資の制度を活用いたします等、まことに必要なる資金の融通に対しましては、万遺憾なきを期することといたしたのであります。なお新たに信用保証制度の整備をはかり、担保力の薄弱なる中小商工業に対しまして、金融を円滑ならしむるよういたしたい所存でございます。
 御質問の第二点は、中小商工業に対しまする税金の問題だと承つたのであります。まず第一に、その課税はやや過重に過ぎるのではないか、かようなことでございましたが、中小商工業に対します課税の適正につきましては、この際特に十分に考慮いたしたい、かように存ずるのでございます。しかしながら、何しろ財政困難を來しております現状におきましては、中小商工業の諸君におかれましても、この時局の御認識を賜わりまして、十分の御協力を願いたいものと、かように御期待申し上げる次第であります。
 なお、所得税の更生決定に関しましていろいろ御議論がありましたが、その御趣旨につきましては、政府といえども、まことに御同感に存ずる次第であります。しかしながら、その具体的の方策といたしまして、所得税の調査委員制度を復活するとか、あるいは異議申請後三箇月を経た後になお何らの処置のないときは本人の申請を認めよとか、あるいはまた異議申請者に対しては、その決定までは徴收の猶予をせよ、かような具体的の御意見に対しましては、またお尋ねに対しましては、今日の徴税の段階におきましては、いずれも御趣旨に沿いかねるのを遺憾といたす次第であります。しかしながら、たびたび申し上げます通り、その御意見の御趣旨は十分拝承いたしておりますので、この点とくと御了承願いたいと存ずる次第であります。(拍手)
  〔成重光眞君登壇〕
#31
○成重光眞君 商工大臣にお尋ねいたしますが、私のお尋ね申し上げた最も重要な点でありました中小企業廳のこれから先の運用なり、それからその内容の拡充なり、はたして今のような機構でできるかということに対してお答えがなかつたようでありますが、この席でなくても、いずれその点に対して具体的なお答えを願いたいと思います。
 それから大藏大臣のお答えは、よく私は聞き取れなかつたのでありますけれども、国民はすでに今年の当初において担税力が限界点に達しておるが、今度の予算追加において、各税の増收見込みは二百億以上とこれを見て、はたしてこれが――なかんずく農民ないし中小商工業者に対する課税が、より以上かさむことに対して、はたしてその徴税の見込みありやという点についてお尋ねしたのでありますけれども、この概念的質問に対するお答えのなかつたのを非常に遺憾と考えます。
 それから、せつかく私がお願いいたしました最後の四点に対しては、遺憾ながら処置なしというような誠意のないお答えでありましたけれども、この点につましては、全國中小商工業者の、いわゆる血の叫びであるということを、よくおくみとり願いまして、誠意をもつて私の質問に対する御險討を煩わしたいということをお願いしておきたいと思うのであります。
  〔國務大臣泉山三六君登壇〕
#32
○國務大臣(泉山三六君) 成重議員の再質問に対しましてお答え申し上げます。
 まず第一に、自然増收の見積り、かような点でございましたが、この点につきましては、現実におきまして、その後の物價の騰貴の現実並びになおまた近く予算化いたしたいと存じております。新給與ベースの引上げ等、その他いろいろの点を勘案いたします場合に、必ずや相当の自然増收あることを、政府といたしましては確信しておるのでございます。
 なお第二点といたしまして、成重議員から重ねての熱誠なる御意見の御開陳がございました。私は、その御意見に対しましては深く敬意を表するのでございまして、先刻も申し上げました通り、なるべくその線に沿いまして何らか具体的の方途を求めたい、さようの立場にありますことを明言いたす次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 ポ政令第二〇一号及び勅令第五四二号に関する緊急質問(林百郎君提出)
#33
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、林百郎君提出、ポ政令第二〇一号及び勅令第五四二号に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#34
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 ポ政令第二〇一号及び勅令第五四二号に関する緊急質問を許可いたします。林百郎君。
  〔林百郎君登壇〕
#36
○林百郎君 簡單に質問したいと思うのであります。私は本日は政令二百一号に関する質問だけにしたいと思うのであります。私の考えは、政令の二百一号は無効であると考えておるのであります。これに対しまして、吉田首相並びに殖田法務総裁にお聞きしたいのであります。
 この二百一号が無効であるという根拠は多々ありますけれども、私は中心点を二つだけ主張いたしたいと思うのであります。一つは、この政令という形で出されているということであります。これは憲法の第七十三條の第六項によりますと、憲法及び法律の規定を実施する手続上の必要にのみ政令が許されるということになつておるのであります。ゆえに、國民に義務を課し、あるいは國民の権利を拘束するような、ポ政令の二百一号というような内容を持つものを、政令で出すわけには行かないというように考えておるのであります。旧憲法におきましては、緊急勅令ですら次回の國会の審議に上程されまして、もし國会の承認を経なければ、その國会以後の効果は失うということになつているにもかかわらず、國会は國権の最高機関であるという新しい憲法下において、かかる内容をもつた政令が、政府の一方的な見解をもつて出され、しかも國会は、これに対する審議の機会を全然與えられておらないということが、許されるかどうかという点であります。私は、こうした國民の侵すべからざる権利を侵害しているような政令の二百一号というものは、政令では出し得ないというように考えておりますが、この点について吉田首相はどう考えるかということを聞きたいと思うのであります。
 それからもう一つは、勅令の五百四十二号によりますれば、「最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ」とありまするが、この七月二十二日のマ元帥の書簡が勧告であるということは、吉田首相みずからが、この壇上において明確に答弁されておるのであります。これはたしか労農新党の岡田君の質問に対して、吉田首相が答えられていると思うのでありまして、その際の吉田首相の答弁によりますると、要求を含む勧告であると言つておるのでありまするが、要求を含んでおつたとしても、勧告は勧告であると思うのであります。もし勧告だとすれば、勅令五百四十二号によつては絶対に政令は出し得ないのであります。從つて、要求を含む勧告というのは、要求であるのか勧告であるのか。われわれの解釈としては、たとい要求が含まれておつても、勧告であるという以上は、あくまで勧告だというように解釈しておるのであります。(拍手)この点について、吉田首相の明確なる御答弁を求めたいと思うのであります。
 なお次に伺いたいことは、大体地方公共團体の政府職員について、政府側では、地方公務員法というようなものは別に定めないという御見解だそうであります。その場合に、このポ政令の二百一号を、地方公共團体の職員に関してのみはこれを残して置くということを聞いておるのでありますが、吉田首相は、將來このポ政令の二百一号を地方公共團体の職員に対しては存置させる意思があるかどうかという点が、次の質問であります。
 さらに吉田首相は、公務員法の改正を今急いでおりますが、この公務員法の改正を地方公共團体の職員あるいは公團に対しても適用する意思があるかどうか。
 それから次には、地方公共團体の職員に対しては地方公務員法は制定しないということを、地方行政委員会で述べておるそうでありますが、この点も一應確かめておきたいと思うのであります。
 さらに、ポ政令の二百一号について將來は電産、鉄鋼、石炭、こういうような民間産業にまで適用される意思があるかどうかという点を、お聞きしたいと思うのであります。この点につきまして、事は非常に重要でありまして実は去る八月二十八日の対日理事会におきまして、シーボルド議長みずから、書簡は日本政府が独自の立場から措置を講ずることができるよう、指令というよりは、むしろ單なる勧告として出されたものであるということを、説明しておるのであります。しかも、この問題に関しましては、八月十一日の対日理事会において、ソ連代表のキスレンコ少將は、マ元帥あてに、七月二十二日の書簡の取消し方を申し入れておるのであります。さらに八月二十八日の対日理事会におきましては、この問題が論議され、九月十六日のワシントンにおける極東委員会においては、再びソ連代表のパニユーシキン大使より、この問題が提案されておるのであります。さらに七月の末には、総司令部の前労働課長のジエームス・キレン氏は、二百五十万の日本官公廳從業員の團体交渉を否定されることは日本の政府職員の民主主義に対する信念を弱めるであろうとの理由によつて、みずから反対し、辞職までされておるのであります。
 なお、対日理事会における各國代表の見解を簡單に申しますと、ソ連代表の意見によりますと、國家公務員法の修正に関する最高司令官の一九四八年七月二十二日付日本政府向け指令を撤回すること、一九四八年七月三十一日付日本政府の政令を廃棄すること、官廳労働者及び公務員に対する報復行為を停止することを最高司令官に勧告せよとの提案をしておるのであります。
 次に、英國代表のパトリック・シヨウ氏は、ただ私の強調したいのは、罷業権その他の権利を制限することは緊急事態においてのみ正当化されるもので、長期立法により人権を制限するにあたつては愼重を要するということである。マ元帥は、現業、非現業とはつきりと区別しておるが、それに基く日本政府の発表は、この点を明確に認識してはいないように見受けられる。民間企業に類似する政府企業においては、固有の政府職員並の制限を課する必要はない。この点で私は、労働組合の諸原則に関する極東委員会の指令が公務員と関係しないという議長の見解に不同意を表明せざるを得ない。
 さらに中國商震代表は、マ元帥書簡に含まれた公務員制度の根本観念が日本政府によつて実施されることを望む、但しその際、日本の反動分子がこれを機会に健全なる労働組合の発展を阻止するような行動に出ることに対し十分なる警戒をする必要がある、ということを言つておるのであります。
 こうした國際的な重要な情勢下におきまして、現政府は、この政令二百一号についていかなる見解を持つかということを聞きたい。
 その次に、簡單に殖田法務総裁にお尋ねしたい。
  〔「時間を嚴守しろ」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(松岡駒吉君) まだ、あと二分あります。
#38
○林百郎君(続) まだ二分ありますから――殖田法務総裁は、この政令の二百一号と、占領軍の目的違反行為を取締る勅令三百十一号との混乱が非常に行われておりますが、これについてどういうお考えを持つているか。また政令二百一号については、すでに國際的にも國内的にもこれは無効だという意見が非常に強いのでありますが、これについて幾多の犠牲者が出され、ことにその彈圧の仕方は苛酷をきわめているのであります。昔の治安維持法当時の取締りとかわらない。かつての三・一五時代に、一年中に檢挙されたほどの人間が――ポ政令施行後一箇月の間に二千名もが檢挙されているのであります。これに対して、殖田総裁としては、ただちにこの官憲の不法な彈圧を停止して、公訴を取消し、獄中の犠牲者を即時釈放する意思があるかどうかということを、私は日本の國の自由と平和と独立を望む國際的、國内的民主主義諸勢力の名において、あなたに質問したいと思うのであります。
 これをもつて私の質問は終ります。(拍手)
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#39
○國務大臣(林讓治君) 林君の御質問に対してお答えいたします。マツカーサー元帥の書簡は、私どもは要求を含んだ勧告と考えておりまして、日本の政府といたしましては義務づけられている法律であると考えております。從いまして、勅令第五百四十二号に基いて、政令第二百一号は有効に制定せられたものであつて、これは芦田内閣の時代にすでに制定になつて、公布せられたものでありまして、現在におきましても、もちろん有効であると考えております。なおこの問題につきましては、本会議並びに委員会において幾多御答弁になつていらつしやる通りでありますので、私は省略いたします。日本の政府が政策実施の直接基準とするものは、連合國最高司令官の命令、指示等でありますが、もちろん極東委員会であるとか、あるいは対日理事会などの御意向は、これをよく研究し、注意をいたさなければならぬ必要があると考えております。從いまして、ポ政令はマツカーサー元帥の書簡に基いたものでありまして、いまさらこの政令が有効であるか無効であるかなどということは、私どもにはもはや問題のないものであると考えております。
 なお地方公務員につきましては、次の國会に法律とする準備をしている次第であります。
 なお、ほかの問題につきましては、法務総裁よりお答え申し上げることにいたします。(拍手)
  〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#40
○國務大臣(殖田俊吉君) 勅令五百四十二号の効力につきましては、ただいま厚生大臣よりお答えいたしました。政令一百一号は、この五百四十二号に基いて発せられたものでありまして、有効でございます。
 また、このたびの公務員法改正はマ元帥の勧告であつて、要求ではないというお話でありますが、私どもは、政令二百一号は勧告に含まれた要求に基いて発せられたものであると考えております。從つて、間違いはないと考えます。
 それから、二百一号がすでに有効であるといたしまして、二百一号によりまして執行された檢察その他の処分は、また有効でございます。また、二百一号と三百十一号とを混同して、混乱しておるのではないかというお話でありますが、それは一見混乱に見えるのでございますが、両方とも正確に区別して、おのおの独立に適用いたしております。混乱はないはずであります。またこういうふうに、二百一号あるいは三百十一号等を混乱をして適用して、そのために民衆の運動を不法に彈圧しておるというお話でありまするが、決して不法には彈圧しておりません。いずれも正当に、適法に檢束を加えておるのでありまして、特に不法なる彈圧はいたしておらぬつもりであります。今後といえども、決して不法な彈圧はいたさないつもりでおりますから、御承知願います。
#41
○林百郎君 自席から簡單に申し上げますが、吉田首相は要求を含む勧告だと言つておる。法務総裁は勧告を含む要求だと言つておる。これでは両方逆になつておりますが、どちらが事実かということが第一点、要求を含む勧告というのは要求であるのか勧告であるのかという点が第二点、それから第三点は、地方公務員法を次の國会に提出すると言いますが、その間はポ政令の二百一号で地方公務員を取締まるか、この三点を、簡單で結構ですから御答弁願いたいと思います。
  〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#42
○國務大臣(殖田俊吉君) 私の説明が不十分でありまして、おわかりにならなかつたかと思いまするが、私は勧告に含まれた要求と申し上げたのであります。勧告がございまして、その勧告の中に要求が含まれておるということを申し上げたのでございます。勧告の中に含まれた要求、それに基いて政令を発したのであります。
  〔発言する者あり〕
#43
○議長(松岡駒吉君) 私語を禁じます。
#44
○國務大臣(殖田俊吉君)(続) 地方公務員法について申し上げます。地方公務員法は、いずれ立案をいたしまして、次の國会に提出する予定でございます。
  〔発言する者あり〕
#45
○議長(松岡駒吉君) 私語を禁じます。
     ――――◇―――――
 官憲の不当彈圧についての緊急質問(石野久男君提出)
#46
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、石野久男君提出、官憲の不当彈圧についての緊急質問を許可されんことを望みます。
#47
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 官憲の不当彈圧についての緊急質問を許可いたします。石野久男君〇。
  〔石野久男君登壇〕
#49
○石野久男君 私は、去る八月二十四日に、茨城縣日立市におきまして、労働者及びその家族を含む約五百名の集会が、警察官の乱入することによつて混乱し、そこから流血の惨事を巻き起しました不祥事件につきまして、関係大臣に御質問申し上げたいと思うのでございます。
 簡單に当時の事情を申しますると、その前々日でありまする八月二十二日に、全逓の日立支部の労働者の諸君が、國家公務員法の改悪に反対する鬪争の際に、官憲の不当な人権蹂躪のことがありましたので、それに対しまする追究と、並びに全逓の支部長でありまする海老名氏以下三名の懲戒免官についての眞相を確かめるために集まつたものでございました。この大会に、当時警戒をしておりました武裝警官約四、五十名が、大会のスムースな進行の途中において、突如として乱入いたしまして、手に持つた凶器によつて、無抵抗な労働者及びその家族に対して暴行を働き、ために数十名に及ぶところの負傷者を出したのでございます。二週間以上に及ぶところの重傷を負つた者が三十四名でございます。これはまさに労働者の持てる基本的な人権に対する官憲の不当なる彈圧であると断じて間違いないと存じております。(拍手)
 私どもは、この不当な彈圧に対しまして、その後これを告訴いたしました。検察当局に対して、その取調べ方を要求したのでございまするが、検察当局におきましては、訴因の不十分なるゆえをもつて、今日では不起訴の取扱いをしていると聞いているのであります。さきに、理研小千谷の問題、あるいは日本タイプの問題、東宝の問題等において、官憲の不当彈圧の問題が、われわれの同僚によつてこの壇上から叫ばれておつたのでございまするが、今またこの流血の惨事を見るということは、私ども、日本の民主化の途上において、まことに忍び得ないものがありまするとともに、これは徹底的に追究しなければならぬ問題であると存ずるのでございます。(拍手)
 しかも、この事件の特質は、大会に対して、制服の官憲が無警告に凶器を持つて乱入したということであります。第二には、その無抵抗な労働者に対して流血の惨事を起しているということであります。しかも、それはわずかに十数分の間に三十数名の負傷者――軽傷者を入れれば七十名に及ぶという多数の被害者を出しているということであります。かつまた、このような現実があるにもかかわらず、この事件が、地方檢察廳において、事実の不十分なるゆえということによつて今日不起訴という取扱いをされているということにも、特に注意しなければならぬと思うのでございます。
 このような観点から、私は簡單に首相、法務総裁及び労働大臣に対して御質問申し上げたいのでございます。
 この事件の始まりました直接の動機は、いわゆる國家公務員法に対しまする労働者の改悪反対の運動でありまして、しかもそれは、ポ政令二百一号に対する大なる疑義のある点から生じているのでございます。この意味において、ただいま共産党の林君から説明のありました、二百一号は違憲であるという考え方、それに対して、ただいま法務総裁は、これは勧告の中に含まれたる要求であるとして、それを正しいものだという考え方を申し述べられたのでありまするが、私はそれに対して十分に納得することができないのでありまして、この点に関して、私は今日でも、この二百一号は違憲であるという考え方を持つておりまするし、そのために政令はただちに廃止さるべきであるという考え方を持つております。(拍手)これにつきまして法務総裁並びに首相の見解を承りたいのでございます。
 また、この暴行の事実は、今日日本の労働運動、それが基本となるところの日本の民主化の途上において、まことに忌むべきものでありまして、これは明らかに官憲のフアツシヨであるというふうに私は見るのでありまするが、これに対しまして、首相並びに法務総裁は、どのような見解を持つておられるかということを、お尋ねいたしたいのでございます。
 またこの事件が、憲法第十一條が保障するところの人権の尊重、並びに憲法第二十一條が保障しておりまするところの集会の自由に対しまする蹂躪行為であるという点から見ましても、明らかにこれは憲法違反の行為であるというふうに考えるのでございまして、この事件に対しましての私の憲法違反であるという考え方に対する法務総裁の御見解を承りたいのでございます。
 なおこの事件が、警察法第一條に「警察は、國民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の搜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその責務とする。警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、いやしくも日本國憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。」と規定されてありまするところのこの責務を逸脱し、その権能を濫用しているものであるというふうに考えるのでありますが、法務総裁はどのようにお考えであるかということをお尋ねいたしたいのであります。
 かかる意味におきまして、この事件の過程、途中において、労働者が何ら抵抗すべき武器もなく、官憲の持つ凶器の前におのずから組まれたところの、労働者みずからの持つたスクラムによるところの防衞は、明らかに労働者がその大会を守るための権利として持たるべき自己防衞の手段であるというふうに自分は考えるのでありますが、法務総裁は、この労働者がとつたスクラム行為に対して、それがいわゆる日立の……。
○議長(松岡駒吉君)もう二分しかありません。
#50
○石野久男君(続) 日立の警察署長が言つておりまする公務執行妨害であるというこの言に対して、どのようにお考えになつておるかということも承りたいのであります。
 なお、この問題に対しましては労働大臣に承りたいのであります。われわれが労働運動をほんとうに民主的に健全に育てるためには、このような警察官の何ら警告のない行為に対しまし、労働者が、そのみずからの手をもつて、その妨害する官憲の彈圧に対して対抗することが、われわれの持つ基本的な人権としても、また二十一條が保障するところの集会の自由の権利から言いましても、当然持たるべき自己防衞の策であると考えられますが、労働大臣はどのようにお考えであるかということも承りたいのでございます。
 最後に、この問題が水戸の地方檢察廳におきまして不起訴になつた理由でございますが、それには、約五つに要約される理由があります。その一つは、第三者は暴行の事実を認めていない。第二は、暴行が行われたとしても、その被告になつておる者全部がやつたのではなく、だれがだれをやつたかわからないから、これも不十分であるということ。第三番目には、労働者がスクラムを組んだということは公務執行の妨害であるというふうに言つておる。第四は、逮捕後も暴行は行われなかつたと言つておる。第五は、警察官の行き過ぎに対する処分は行政処分によつてなさるべきで、裁判所でやらるべきでないと言つておりますが、この点に関しまして、第一点から第四点までは、これは日立の鈴木警察署長が言つておるそのままの言葉を言つておるのであります。
 私は、今新聞紙上をにぎわしておるところの福島の地檢が、いわゆるボスどもと結託した問題ともにらみ合せまして、この水戸地檢がとつておる態度が、われわれにとつて非常に理解しにくいものがあるのでありまして、これにつきましては、現に三十数名の重傷者を出し、七十名に及ぶところの軽傷者を出しておる。これに対して、いま一度水戸地檢の態度を再檢討し、再調査をなす御意思ありやなしやということに関して、私はお伺いしたいのでございます。(拍手)
#51
○議長(松岡駒吉君) 発言の時間は切れました。
#52
○石野久男君(続) 地方裁判所の言う行政処分にまつべきであるという考え方、これにつきましてどのような見解を持つておるかということも、重ねて承りたいのでございます。
 以上私は、血の惨劇を受けまして、われわれは抗弁する手段さえもない、法的に地方檢察廳に訴えたことさえも妨げられておりまするところのこの茨城縣下におきまする重大な問題は、これは全日本の労働者の問題であるというふうに考えております。私は、血に泣いておりまするところの労働者の声をもつて、これを政府当局にお尋ねするのでございます。以上で質問を終ります。
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#53
○國務大臣(林讓治君) ただいま伺いましたその眞相について、私は深く存じておりませんから、明確なるお答えはできません。從つて、法務総裁からお話をしていただくことにいたします。
  〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#54
○國務大臣(殖田俊吉君) お答えをいたします。
 私は、政令二百一号は勅令五百四十二号に基くものでありまして、有効であると考えております。從つて、これを廃止する考えはございません。
 それから次に、日立における事件についてお答えをいたします。この事件は、去る八月下旬のことでありまして、実は私の就任前のことでございますが、私の調査いたしましたところによりますれば、日立における町民大会がございました。その当日に、警察官は、政令第二百一号に違反の嫌疑のある人、被疑者二名の逮捕状を裁判所から得まして、その執行におもむいたのであります。ところが、たまたま右町民大会が、その二人の被疑者をまん中に取囲みまして、不当彈圧反対の大会を開いたのであります。警察官は正服を着用いたしまして、こもごも大声で、右二名に対し令状を執行する旨を告げて、右二名を逮捕しようとしたのでありますが、大会の主催者が、これに対しまして、会衆に向つて、スクラムを組め、こう命令いたしました。スクラムが組まれたので、警察官はやむを得ずこれを排除しまして、右二名を逮捕したのであります。その際、混乱にまぎれまして、会衆の中に若干の負傷者を生じたのは、はなはだ遺憾でありまするが、警察官において、ことさらに会衆に暴行を加えたような事実は認められないのであります。また、このような場合には、警察官は必ずあらかじめ警告すべきことは当然でありまして、当時執行に当つた警察官は、もちろん十分に警告をいたしたということであります。
 なお、警察官が令状を執行するにあたつて、スクラムを組んでこれを妨害するがごときは、明らかに公務執行妨害罪を構成するのでありまして、決して不当なものとは考えられないのであります。
 地方の檢察廳の不起訴処分に対しまして、当事者に不服がありますれば、順次上級檢察廳へこれを申し出まして、処分の適否を審査すればいいわけでありまして、もしお申出があれば、ただちに審査するはずであります。
  〔國務大臣増田甲子七君登壇〕
#55
○國務大臣(増田甲子七君) 石野さんの御質問にお答え申し上げます。私は、この事件については、実はまだ調査をいたしておりませんで、正確には申し上げかねますが、しかし法務総裁の御答弁で、事態の眞相は、ある程度石野さんも御了承願つたと思つております。但し、私に対しましては、労働大臣として一般労働運動に対していかなる方針で臨むかという御質問でございまするから、それに対してお答え申し上げます。私は健全なる労働運動を馴致いたしたい、こういう方針で進んでおります。でございますから、もしこの労働運動が非合法の範囲に逸脱した場合には、司法権の発動があるということも、またやむを得ないと存じております。
#56
○石野久男君 簡單でありますから自席から…。
#57
○議長(松岡駒吉君) 自席で発言を許します。
#58
○石野久男君 簡單に法務総裁と労働大臣にお伺いいたします。
 ただいま法務総裁が申されましたことは、事実と非常に相違するのでございます。それはまつたく警察署の言つておることそのままでありまして、事実は違うのであります。被害の事実がないとかあるとかいうことよりも、当時の日立病院が発行しておりまするところの三十四名に対する診断書というものが、明々白々にその事実を証明しておりまするし、またその被害のあとは、被害者は現に頭の中に大きなはげを今日残しておるのでございます。その当時血にまみれたところの上衣は、そのまままだ残されておるのでございまして、このような問題については、私、後刻委員会等においてなお究明さるべき問題だと思うのでございまするが、今日法務総裁が、十分なる審議もされたように見受けられないその答弁要旨をもつて、私どもに一方的な答弁をなされることを、まことに遺憾に存じております。私は、この問題が、前内閣であろうと、今日の内閣であろうと、少くとも日本の民主化のためには徹底的に究明せらるべきものであり、政府は、この國会において生じた疑義に対しては、いたずらに下僚から上申されたところの、そういうような虚偽の事実に対しては、十分眞劍な態度をもつて再檢討を加えられんことを、特に望みたいのでございます。
 なお私ま、政令に関しまする問題につきまして、先ほど法務総裁が申しましたいわゆる勧告の中に含まれた要求であるということに関連しまして、政令二百一号というものは取消さないという考え方を申されたのでございますが、この問題については、地方公務員法が提出されるまでの間どのような御処置をなされるものであるかということについて、ここでお聞きしたいのでございます。
 なお労働大臣に対しましては、労働大臣は、労働運動の行過ぎに関しては、これを中央官廳が抑えることは当然だというような御趣旨のことを申されたのでございますが、私の聞きたいことは、スクラムを組んだということが大会の議長の指示によつてなされたものであると申されておりました。また逮捕状の発令された二名は大会の中に取巻かれておつたとおつしやつておるのでございますが、当時、鈴木日立市署長は、この二名の逮捕はわずか一分か二分かで完了したものであるということを認めており、鈴木署長は、われわれが知つておる範囲においては、大会は混乱しなかつたと言つておるのであります。それらの事実からかんがみましても、しかもその二人は、その大会の最後列から二番目の、しかも右翼から二人目のところにおつたのでございまして、これはすぐ逮捕されてしまつたのでございます。ただいまの法務総裁の答弁は事実と非常に相違するものであるのでございますから、もつと眞劍な調査をされた上での御答弁をお願いしたいのでございます。
 以上、再質問をいたします。
  〔國務大臣殖田俊吉君登壇〕
#59
○國務大臣(殖田俊吉君) お答えいたします。政令二百一号を廃止いたしませんのは、地方公務員法が改正できるまでは、この政令をもつて地方公務員に適用したいと考えておるのであります。
 それから日立の事件でございますが、御希望の点はよくわかりました。私は、今後十分に注意いたしまして、御希望のようにやりたいと思います。しかしながら、日立の事件は、これは私が当局者に命じて調査報告いたさせたのでありまして、私は、この報告は正しいものと信じております。
#60
○今村忠助君 自由討議はこれを延期し、明後二十四日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#61
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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