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1948/11/27 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第22号
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1948/11/27 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第22号

#1
第003回国会 本会議 第22号
昭和二十三年十一月二十七日(土曜日)
 議事日程 第二十一号
    午後一時開議
 第一 平和会議促進懇請に関する決議案(廣川弘禪君外四名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 不当財産取引調査特別委員会における調査の中間報告
 第三 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(参議院提出)(委員会審査省略要求事件)
 第四 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第五 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第七 家畜市場法を廃止する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 國家公務員法の改正と新給與追加予算との関係に関する決議案(川崎秀二君提出)
 追加予算等提出に関する緊急質問(多賀安郎君提出)
 日程第三 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(参議院提出)
 日程第四 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第五 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第七 家畜市場法を廃止する法律案(内閣提出、参議院送付)
 地方財政委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 不当財産取引調査特別委員会における調査の中間報告
    午後五時五十九分開議
#2
○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
 総理大臣は要務のため出席できないとのことであります。
     ――――◇―――――
 國家公務員法の改正と新給與追加予算との関係に関する決議案(川崎秀二君提出)(委員会審査省略要求事件)
#3
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、川崎秀二君提出、國家公務員法の改正と新給與追加予算との関係に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際上程しその審議を進められんことを望みます。
#4
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 國家公務員法の改正と新給與追加予算との関係に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。川崎秀二君。
    ―――――――――――――
 國家公務員法の改正と新給與追加予算との関係に関する決議案
  國家公務員法の改正と新給與追加予算との関係に関する決議
 本院は、國家公務員法の審議にあたり、マツカーサー元帥の書翰にも明らかに指摘されている通り、國家公務員法の改正とともに官公吏の公正なる新給與を含む追加予算案を提出すべきものであつて、その関係は一体不可分のものと認める。
 右決議する。
    ―――――――――――――
  〔川崎秀二君登壇〕
  〔「大臣がおらぬぞ」「大藏大臣を呼んで來い」「大臣が來るまでやるな」と呼び、その他発言する者あり〕
#6
○川崎秀二君 私は、野党側を代表しまして、國家公務員法と官公吏の新給與予算の関係は一体不可分のものであるという決議案の趣旨弁明をいたしたいと思うのであります。(拍手)
 ただいま本院の人事委員会において審議中の國家公務員法と官公吏の新給與は表裏一体のものであるということは、きわめて明白であり、マツカーサー書簡を読んだ天下の良識人は、何人もこれを疑つておらないのであります。しかるに吉田総理大臣は、去る二十三日、衆議院の運営委員会において、これは必ずしも不可分のものでない、分けてもよいものであるというようなことを言明され、同日衆議院に対し、國家公務員法の審議を二十七日までに終了するようにという強硬な申入れをして來た。さらに首相声明は、公務員法審議遅延の責任は野党側にあるというような、きわめて独断的な、偏狭かつ一流の高圧的な態度によつて声明しておるのであります。
 去る七月二十二日、マツカーサー元帥から総理大臣にあてられたところの書簡を、何と読んだか。現行の國家公務員法が持つ欠陷を是正するための改正を勧告されたとともに、次のような文面が現われておるのであります。「國家の公益を擁護するために政府は課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対して常に政府職員の福祉並びに利益のために十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わせている。この理念は、民主主義社会においては完全に了解され、実現されているのであつて、それゆえにこそ公職が威嚴と権威と永続性とを備えており、公職につき得る機会が廣く一般から好ましい特権として認められ、かつ求められているのである」とうたわれている。明らかに、公務員の生活保障をこの機会に確立すべきことを示唆しておるのであります。また、公務員法改正の細目にわたつて、日本政府に対して相談と助言を行つた関係当局の係官は、しばしば「この法律をもつて公務員を正しい姿に置くためには、公務員の生活に不安があつてはならい。官公吏の生活保障をこの法案の制定とともにはかるのである」という意味の談話を発表されておるのであります。されば、前内閣においては、公務員法の改正と並行して新給與ベースの決定を急ぎ、今國会が開かれるならば双方並行して提出するよう準備を進めておつた。しかるに、政変によつてそのあとを受継いだ吉田内閣は、意外にも公務員法だけをこの國会に出して來て、いまだに新給與ベースの決定並びにこれに伴う追加予算の提出を怠つているのは、まさにマツカーサー書簡に対する背反行為と言わなければならぬ。(拍手)
 諸君、マツカーサー書簡は、かりにこれを平板的に読んでみましても、公務員法と官公吏の新給與を切離すことのできないことは明らかである。しかし、私が指摘したい点は、それだけではない。マツカーサー元帥が、法律を改正しなければならないゆえんと、改正すべき要点を説けば十分であるにかかわらず、何ゆえ書簡の重要なる締め括りにおいて官公吏の待遇改善を強調したかという、書簡の底に流れる思想をわれわれはくみとらなければならぬのであります。(拍手)
 今回の公務員法改正に対する是非の論議は別といたしまして、これを世界的な視野から見ますれば、各國に比して労働運動の著しい制限であることには間違いがないのであります。基本的人権を擁護し、労働者の解放を與えたマツカーサー元帥が、官公吏の組合活動、政治活動に対し制限を加えられたことは、公共の福祉に奉仕する者の特殊性を認めての措置とは思いまするが、さらにそれよりも日本再建の立場を重しとし、経済復興を大なりとし、かつ終戰以來の極左運動に対する是正のため、終局においては労働運動の健全化を希求するための緊急措置であるということを、深く考えねばならないのである。かような措置をとる反面には、改正にあつては、一般世間より尊敬される立場と体面を保持するために十分なる待遇が官吏に與えられなければならない。この労働者への深き理解があふれておるということを見のがしてはならぬのであります。吉田首相及び閣僚諸君は、ここに思いをいたさなければならない。
 しかるに、施政方針演説も行わず、追加予算も提出せず、公務員法と給與の予算は切り離してもよいのだ、可分のものであるという、驚くべき横車を押すに至つては、まさにマツカーサー書簡の趣旨を蹂躪し、國民を瞞着するもの、これよりはなはだしきはない。(拍手)この非立憲、横車の態度は断じて許すべからざる措置であります。率直のところ、私は、今度の國会における吉田総理大臣の委員会における態度あるいは答弁内容は、従來の傲慢不遜あるいは政策に対する無理解からやや進歩し、あるいは轉換したものとして、その心構えに対し、いささか敬意を表しておつた。ところが、今回のごとき態度と、労働者の生活を顧みぬ言辞には、一両年前に放つた不逞のやからの思想が、なお彼の脳裏に巣喰い、体内に残つておる。(拍手)その旧時代的な感覚が尾を引いておるという印象を私は拂拭することができない。
 この物價高に、三千七百九十一円ベースというような低賃金に呻吟しておるところの官公労働者の生活は、今や賣る物は賣り盡し、借りられる物は借り盡して、まさに生活苦は破滅の境涯にあるのであります。吉田内閣の政策は、明らかに官公労働者に対する脅威的な政策である。法律でその地位を規制しておいて、生活保障はあとまわしだ、反動的人氣のあるうちに解散しよう、政治空白などは構わぬという。これは一体何という態度であろうか。それでは、二百六十万の公務員の生活は、歳末を控えてどうなるのであろうか。國民生活は、まさに一党一派のために、しかも日本の民主化を逆行せしめようとする吉田一派のために犠牲に供されておるといつても、さしつかえないと私は思う。(拍手)
 大体、この予算案というものは、なぜ國会に姿を現わさないのでありましよようか。はなはだもつて不可解千万。先ごろ民主自由党の代表者は……。
  〔発言する者多し〕
#7
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#8
○川崎秀二君(続) 先ごろ民主自由党の代表者は、この演壇で、この内閣は民自党の單独内閣だ。從つて、連立内閣などとは違つて、政策はすでに発表した通りだから、施政方針はきわめて明白だと言つた。施政方針が明白なら、なぜ民自党の政策を盛り込んだ追加予算がそんなに手間どるのであろうか。民自党の政策が実行可能ならば、簡單に手続ができるはずでございます。
 言うまでもなく、民自党の政策というものは、行政整理を大幅に断行する、料理屋、飲食店を開放する、酒を増石して新財源をつくる、また運賃、通信料の値上げは絶対に行わない、例の取引高税は即時撤廃する、予算の編成にあたつては、所得税の水増しは國民の担税力を無視するものであるから反対だと言つておつた。それが、あなた方が今まで言つておつたところの政策だが、政権をとつてからの姿はどうであつたかというと、新聞紙上を通じての最近のニユースによると、閣議決定案なるものはどうであるか。なんと、所得税の水増し二百億をもつて最大有力なる財源にしておるではないか。これは、まさに國民に対するところの苛斂誅求というよりほかはない。問題の取引高税の撤廃はどうなつた。取引高税は政府ではできないから、民自党の方で政策をお立てになつて、三月一日から三十六億だけは削ろうという、まことにインチキきわまる案を出したが、これもどうやら今國会には顔を出しそうもない。料理屋、飲食店の再開はどうだ。料理屋、飲食店の再開は当分だめだ。酒の増石も大幅にはできません。現業官廳の人員は整理しないと、小澤運輸大臣が――その辺にいるかもしれないが、言つている。運賃、通信料は値上げしないと言つておつたが、一番最近のニユースでは、泉山大藏大臣なるものは、談話で、やむを得ないというようなことを言い出してきた。諸君、もしこれが眞に予算の上において現われたあかつきには、これは公約不履行という程度ではなくして、まさに政治的詐欺だ。天下の公党の面目はどこにある。
 民自党が今日まで得ておつたところの一部の反動的人氣というものは、実は実行不可能の政策、功利的政策のたまものであります。一部階層の射倖心とエゴイズムに投ぜんとしたものであることは明らかである。その正体が近く國民の前にさらされることは火を見るよりも明瞭であるため、かくは公務員法と給與は可分でもいいのだというような強弁をして、局面を糊塗せんとしているものであることは明らかである、こう非難されても、弁解の余地はなかろうと私は考えるのであります。(拍手)
 大藏大臣は今いないけれども、泉山大藏大臣というものは、この殺風景な議場にユーモラスな色彩を添えているが、一体いかなる方針で予算を編成しようとしているのか、われわれが、この間からいろいろ質問で聞いてみても、その答弁は捕捉するに苦しむところがある。仄聞するに、新給與ベースに対する基本的な方針さえまだきまつていない。これでは、一体追加予算はいつらちがあくものでありましようか。諸君、金融三原則を提示された経済難局の新しい段階は、一貫せる卓拔な財政計画と、産業合理化への構想なくしては、とうていこれを乘切ることはできないのであります。泉山藏相のユーモラスな雰囲氣やよし。さりながら、國家財政の今日の重責は、泉山財政今日の姿をもつて、はたして対処し得るものなりやいなや。識者をして單に答弁の漫画的風景、カリカチユア的風景に微苦笑させる以外に実質的な抱負なしとせば、私は國民とともに深く憂えざるを得ない。(拍手)
 結論として、公務員法と新給與予算は、元來同時に提出すべきものであつたのであります。不幸にして、労働政策に理解なく、総合的経済政策に能力なき吉田内閣によつて、このことは、もはや不可能の段階に達してまいつたのであります。從つて、今日言えることは、本決議案が大多数をもつて今國会を通過すれば、昨日通過した、参議院の緊急集会における追加予算の審議は違憲なりとする院議によつて、もはや政府に残されたる道は、みずから独断的な手続で召集した第四回國会において官公吏の給與予算を提出する以外に、逃げ道はなくなつてまいつたのであります。
 吉田内閣は、組閣以來、解散解散ばかりを叫んで、遂にこのどたんばに來て、みずからまいた種を刈らなければならないはめに陷つた。國家を思う民自党の眞面目な諸君の中には、この段階に及んで、吉田首相の時代錯誤の施政と、その封建的な、殿様的な姿に対して、反省的な、空氣がうん釀して來たと言う。(拍手)
 われわれ野党は、公務員法を連日眞劍に審議をいたしております。その早急通過をはかつておるのであります。政府の出席や答弁の状態が、今日まで審議を遅延せしめた最大の原因であることは、事実に徴しても明らかであります。(拍手)私は、遅延の責任はあげて政府側にあることをもつて、二十三日の首相声明をあらためて返上いたしたいと考えるのであります。(拍手)
 本決議案は
  本院は、國家公務員法の審議にあたり、マッカーサー元帥の書翰にも明らかに指摘されている通り、國家公務員法の改正とともに官公吏の公正なる新給與を含む追加予算案を提出すべきものであつて、その関係は一体不可分のものと認める。
  右決議する。
 何とぞ満場の御賛成を希望いたします。(拍手)
#9
○副議長(田中萬逸君) 討論の通告があります。これを許します。倉石忠雄君。
  〔倉石忠雄君登壇〕
#10
○倉石忠雄君 私は、ただいま上程せられました決議案に対して、民主自由党を代表いたしまして反対の意思を表明せんとするものであります。
 申すまでもなく、公務員法の改正は連合國最高司令官の勧告に基き、わが國の現状に顧みて、國家公務員の労働運動に対するあり方を法文の上に表わさんとするものであります。先般來、人事委員会における質疑應答を拜聽いたしますれば、公務員に対する給與ベースの決定は本法案審議と不可分一体にして、公務員法改正は公務員の既得権を不当に彈圧するものなるがゆえに、その代償として賃金ベースを引き上げることを並行的に行うべきものである、と論ぜらるる向きもあるのであります。しかしながら、私どもは、公務員法改正をもつて公務員の労働運動に対する抑圧なりと断定する御意見には、今にわかに賛成しがたいのであります。(拍手)
 申すまでもなく、現行法においても公務員の爭議行為は明らかに制約を加えられておるにもかかわらず、きわめて非合法的なる爭議行為がしばしば行われ、かくのごとくしては、とうてい日本再建を期し得られずとして、マツカーサー元帥の書簡が政府に対して発せられたのであります。(拍手)この書簡に基き前内閣によつて立案せられましたる本法案の趣旨に対して、われわれは國家的見地から全面的に賛意を表せざるを得ないものであります。
 しかして、ただいま川崎君は、この改正案と同時に給與予算を國会に提出すべしと論ぜられるのでありますけれども、何ゆえに同時的にこれを審議せねばならぬか、われわれは了解に苦しむのであります。(拍手)もし芦田内閣が、今日まで継続してこの第三回國会に臨んでおられましたならば、継続いたされたる内閣として、当然予算に対する諸準備をせられ得たでありましよう。しかしながら芦田内閣は、不祥事件のためにその責を負うて辞職せられた。(拍手)その後を受けたる新内閣は、まず緊急を要する公務員法改正案を國会に提出し、しかる後に、政変直後のまつたく新らしき観点に立つて予算の編成に対処いたした今日の情勢下においては、公務員法改正案と同時に予算案の提出を求むるがごときは、いたずらに政局の紛糾を招かんとする小兒病的言いがかりにして、野党諸君の品位のために、まことに悲しまざるを得ないのであります。
 申すまでもなく、公務員法改正という法的措置は靜的なものであり、予算編成ということは動的なものであります。公務員法が改正せられるとせられざるとにかかわらず、予算案は、その時の諸般の事情を総合して編成せらるべきものであります。公務員法の改正と給與ベースを含めたる予算編成とを同時に行い得まするならば理想的でありましようけれども、その間多少時間的ずれの存することを、何ゆえに野党の諸君はそれほど問題視せられるのでありましようか。
 まことにマツカーサー元帥の書簡には、政府に対して常に政府職員の福祉並びに利益のために十分なる保護の手段を講じなければならぬ義務を負わせておると申されておるのであります。われわれは政府に対して、與う限りすみやかに給與予算案を決定して本國会に提出せられんことを希望いたすのでありまするけれども、本決議案のごとく同時的審議を要求せられることは、まつたく無意味にして、絶対に賛意を表することができないのであります。(拍手)
 野党の諸君の言われるごとく、公務員に義務をのみ要求して待遇の問題を同時的に決定せざることを攻撃せられるならば、芦田内閣当時、政令第二百一号をもつて断固として公務員の労働運動を取締られたあの当時に、何ゆえに同時に給與ベースを決定する措置をとらなかつたのでありましようか、私は反問いたしたいのであります。
 これを要するに、本決議案のごときは、現下の政局のもとにおいて、いたずらに事を構えて重要法案の審議を妨害せんとする反間苦肉の策にして、かくのごとき小策を弄せらるる野党諸君の良心に訴え、その猛省を促して、私の結論といたす次第であります。(拍手)
#11
○副議長(田中萬逸君) 成田知巳君。
  〔成田知巳君登壇〕
#12
○成田知巳君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました国家公務員法の改正と新給與追加予算は不可分たるべしとの決議案に対しまして、全面的に賛成の意見を表するものでございます。(拍手)
 國家公務員法の改正と新給與ベースの確立が一体不可分のものであることは、少しでも政治常識を有する者にとつては一点の疑いもいれる余地のない明々白々の事実でありまして、かかる当然のことが、國民代表の府たる本國会において、事新しく決議案として上程され、再確認されなければならないということは、國会の権威のために、まことに残念に存ずるものであります。(拍手)いわんや本決議案に対しまして、民主自由党の代表として反対意見が開陳されるにおいては、はたして民主自由党の諸君は正氣なりやいなやを疑うものであります。(拍手)
 マツカーサー元帥の書簡を援用するまでもなく、今回の國家公務員法の改正は、憲法で保障されたる國民の基本的人権を、國家公務員という特殊の身分のために、公共の福祉擁護のために、やむを得ず制限せんとするものであつて、あくまでもこれは例外的異例の措置であります。從つて、その制限は、公共の福祉のために必要なる最小限度にとどむべきはもちろんでありますが、これを制限せんとする場合におきましても、政府としては、あくまで同時的に、勤労者が憲法に保障されたる人たるに値する生活を営み得るように、周到なる配慮をめぐらすべき重大なる責任を有しておるのであります。すなわち勤労者が、自己の生活権擁護のために最後の武器でありますところの罷業権その他の團体行動をとることをあえて必要としない程度に、政府は公務員の福祉並びに利益のために十分なる保護の手段を講ずることが、公務員法改正の不可欠の前提条件であることを、忘れてはならないのであります。(拍手)
 しかるに吉田首相は、口を開けば公務員法改正が先議なりと主張し、公務員法改正と給與ベースの審議は不可分にあらずと強弁されておるのでありますが、首相は、ただ大きな声を出して先議だ、不可分だとわめいておるだけでありまして、私たちを納得せしめる何らの合理的な論拠も示さないのであります。
 吉田首相を初め、民自党の諸君といえども、現給與三千七百九十一円ベースが低きに過ぎることは認めておられるはずでありまして、これが改善は緊急を要する現実の問題であり、公務員にとつては、まさに死活の問題であります。從つて、もし吉田首相にして、眞に公務員の生活に対しまして、あたたかき一片の同情心を有するならば、給與の改善は、公務員法改正の問題が、なくとも、すでに取上げていなければならない問題でございます。しかも公務員法改正案は、首相の希望されました通り、すでに十数日前より審議されておるのでありまして、会期が終りに近づいた今日、まだ追加予算案を提出しない吉田首相の意図は、はたして那辺にあるか、了解に苦しむものであります。
 吉田首相は、在野時代、いわく取引高税の即時撤廃、いわく供出後の食糧の自由販売等のから手形を乱発いたしまして、現在そのすべてが債務不履行の状態にあるのでありますが、今や、さらに災害復旧、給與改善のための追加予算の提出を怠ることによりまして、緊急を要する災害復旧を不可能ならしめ、一千万の公務員及びその家族を飢えと寒さのうちに見殺しにせんとするところの政治的な犯罪をも犯さんとしておるのであります。(拍手)
 吉田首相は、二十四日の記者團との会見におきまして、野党は公務員法改正に対して消極的態度を示しておる、これはマツカーサー元帥書簡に対する公約無視である、との談話を発表されております。私たちは、マツカーサー書簡の精神に基きまして公務員法改正を急いでおるのでありまするが、これと同時に、車の両輪をなすべき給與ベース改善のための追加予算の提出を政府に要求いたしておるのであります。公務員法改正と不可分の関係にあります追加予算を提出せずして、みずからいたずらに本法案審議に不必要なる摩擦を惹起せしめておりますところの現政府こそ、マツカーサー元帥書簡の精神を無視するものと言うべきでありまして、吉田首相の言こそは、顧みて他を言う、いわゆる耳をおおうて鈴を盗むの類だと言わなければなりません。(拍手)
 吉田首相を初め民主自由党の諸君は、口を開けば解散を主張されるのでありますが、私たちは、あえて解散を回避するものではありません。急を要する災害復旧を放置いたしまして、國家公務員の生活改善をたな上げにしてへ党利党略のための解散を行つて、その間政治的空白のために災害復旧は不可能となり、一千万の公務員及びその家族の生活を困窮に陷れるがごとき政治的陰謀と暴挙に対しまして、私たちは強く反対いたしておるものでありまして、追加予算が提出されまして、その審議が終了して、政局の轉換をはかることは、むしろ私たちの望むところなのであります。
 昨日、本会議席上におきまして、追加予算を参議院の緊急集会に委ねることは憲法違反なりと、絶対多数の院議をもつて決定されたのであります。政府は、よろしくこの厳粛なる院議を尊重されまして、從來の態度の誤りなりしことを率直に認められ、一日も早く追加予算を提出されんことを強く政府に要望いたしまして、賛成の意見とするものであります。(拍手)
#13
○副議長(田中萬逸君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#14
○副議長(田中萬逸君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
 内閣より発言を求められております。これを許可いたします。厚生大臣林讓治君。
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#15
○國務大臣(林讓治君) 國家公務員法の改正と給與の問題につきましては、政府におきましては、これは不可分のものでないということの考えをもつておることは、幾たびか本会議並びに委員会において御承知のことであろうと考えます。しかしながら、公務員の福祉保護の手段については、もちろん、われわれは常に考えておるところであります。從いまして、会期迫つたりといえども、極力努力をいたしておることが、今日の実情なのであります。
  〔発言する者多し〕
#16
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#17
○國務大臣(林讓治君)(続) あえて、もしわれわれの行動が惡いものといたしますならば、他日國民の批判を仰いでみたならば、はつきりとするであろうと思うのであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 追加予算等提出に関する緊急質問(多賀安郎君提出)
#18
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、多賀安郎君提出、追加予算等提出に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
#19
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議員(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 追加予算等提出に関する緊急質問を許可いたします。多賀安郎君。
  〔多賀安郎君登壇〕
#21
○多賀安郎君 私は、追加予算と、これに関連する諸問題につきまして、総理大臣と大藏大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 まず第一点は災害対策並びに新給與ベース等を含めた追加予算の問題であります。災害に関する予算的措置は、災害の影響下にある罹災民はもとより、現下の食糧事情等との関連におきましても、一刻を爭う緊急の問題であることは、申し上げるまでもないのであります。時にこれが対策は、ぜひとも冬の間に完了しなければならないという、季節的制約を強調いたしたいのであります。すなわち冬は、年間を通じてたつた一度の農閑期でありますから農村における労働事情等がきわめて適切であります。さらに、冬は水の少い時期でありまするから、工事がきわめて容易である。特に雪の多い地方におきましては、三月を過ぎれば、雪解けの水が流れ、工事がまつたく不能に陷るのであります。さらにまた、從來せつかく進めて來た準備工事まで、根こそぎ洗い流されてしまうという損失があるのであります。かかる季節的制約と、農村における労働事情の特殊性にかんがみ、災害対策は最も緊急を要する問題であります。國会が、特に院議をもつて、これが予算的措置の促進を政府に要求したゆえんも、かかる理由に基くものであります。
 次に総理は、公務員法の改正と新給與の問題はまつたく別個の問題であるという御見解を持つておられるようでありますが、われわれ野党といたしましては、この両者は絶対に切り離すことのできない不可分のものであると確信いたしていることは、先ほどの決議案にうたわれている通りであります。もし、かりに可分不可分の原則論を問わないといたしましても、官公吏諸君の生活実態が、すでに從來の給與ベースをとつくに突き破つていることは、既成の事実であります。災害対策にいたしましても、給與ベースの改正にいたしましても、もはや議論の余地はなく、今日ただいまにその解決の迫つている、深刻にして憂慮すべき事態であります。むしろ解決の時間を失した感さえ深くするのであります。
 政府は今日、かかる火急を要する対策を故意に怠つて――言いかえれば、これらの問題を解散前に取扱うことは、政府與党を不利に陷れるという、まつたく党利と党略に基く時間的作為によつて、今日直面している緊急事態を先に持ち越すがごときは、良心と責任を有する政府の断じてとらざるところであります。いわんや、きわめて近將來、これをいかにも緊急事態化して、憲法を歪曲し、院議を蹂躪して、局面の糊塗をはかろうとする魂膽に至りましては、われわれは決意を新たにして、國民生活圧殺の重大責任を天下に訴えんとするもりであります。すなわち、逆説をもつていたしまするならば、災害罹災民の血を吐く叫びも、官公吏諸君の狂い死にも、政府與党は、これをしも彼らの選挙対策の犠牲に供して顧みないという結果を、みずから招くことに相なるのであります。責任をわきまえないのか、力に欠けるのか、さらには誠意に一片の見るべきものがないのか、それとも、これらの全部を持ち合していないのか。
 吉田政府が、どうしても今國会に追加予算の提出が困難であれば、幸いに通常國会は、今國会の会期に直結いたしておるのでありますから、政府與党の選挙対策以外には、会期等については、追加予算の提出を澁る理由はいささかもないのであります。今からでもおそくはありません。政府はすみやかに追加予算提出の至上義務を果すべきであると思う。はたして提出の意思があるかどうか、さらに、出すとすれば何日に出されるか、総理大臣並びに大藏大臣から、はつきりと承りたいのであります。
 次に、この問題と関連する吉田政府の施政方針でありますが、施政方針とは、文字通り政府の行わんとする政策の基本であります。從いまして、政府が開会の冒頭にあたつて、その行わんとする政策と信念を國会に表明いたしますことが、法案審議の義務を果す國会から負わされた嚴粛なる義務であることは、当然であります。この事実は、昭和三年、時の田中義一総理大臣が開会冒頭やらなかつたという、たつた一回の異例を除いては、歴史的にも、慣例の上からも、その例をいまだかつて見ないということによつても明らかになつているのであります。まして今國会は、吉田内閣が成立して初めて開かれたものでありまするから、單に公務員法に対する吉田政府の見解にとどまらず、吉田政府の性格なり基本方針を國会を通じて内外に宣明することは、吉田政府のとらなければならなかつた当然の責務であつたと思うのであります。
 しかるに総理は、会期わずかにあと三日に迫つた今日、いまだに黙して語らざるの頑固な態度を持つていることは何といたしましても不可解千万であると断ぜざるを得ないのであります。すなわち、開会当初、準備ができ次第施政演説をやると言い、宣傳し、去る十九日には、議院運営委員会に対して、おそくとも二十六日には必ずやると申し入れ、さらに去る二十四日に至つては、前言に眼をおおい、從來の確約に対する何らの結末もつけず、公務員法が議了せられた後にやると臆面もなく言明いたしておるのであります。しかるに吉田総理は、去る十五日本議場において、公務員法が通過したら解散すると言明している。してみると、りつぱな総理の人格も、結果におきましては、卑劣きわまる選挙対策のための食い逃げ演説をやつたと言われても、弁解の余地はなかろうと存ずるのであります。(拍手)さように了承して御異存はないかどうか、この際総理の御所存を承つておきたいであります。
 以上述べた災害対策、新給與ベース並びに施政方針演説等につきましては、いずれも最高の権威を保有する院議をもつて政府に要求いたしておるのでありまするが、今日に至るも政府から何ら誠意ある具体的意思の表明に接しないことは、院議を無視するものといたしまして、國会の権威のためきわめて遺憾に存ずるのであります。さらに昨日來、参議院の緊急集会の権限に関する決議案及び公務員法改正と新給與不可分に関する決議案等が可決されたのでありまするが、私は、この機会に、みずから本院に議席を有しておられる総理の、院議に対する定義の観念を伺つておきたいと思うのであります。
 次に、國会が政府から、前後三回にわたり、公務員法の審議期間ついてきわめて強い意味の申入れを受けて参つた問題であります。すなわち、その第一回は、これが審議期間を十日間に限定しようとして、國会から拒否されたのであります。第二回目は、去る十一日、これを十五日までに議了されたいと申し入れて、受け入れられず、去る二十四日には、二十七日にこれが審議を完了されたいと、三たび強引に申し入れて参つたのであります。政府は、何ゆえに、きわめてあいまいなる理由をもつて、國会に対し、かくも執拗に、國会が持つ正当なる審議の自由に挑戦して参つたのでありますか。
 われわれは、公務員法改正の重要性にかんがみ、何ものにも拘束されず、國会独自の権威の上に立つて、慎重かつ全力を傾けて、これが審議の促進に努力いたして参つたのであります。政府が眞に公務員法の早期議了を望まれるならば、これが基本をなす施政演説や、これと不可分につながつている新給與ベースを、なぜ早く出されなかつたか。さらに國務大臣は、委員会等になぜ熱心に出席をされなかつたか。かくのごとく、これが審議の過程において政府のとつて参りました一連の行動と態度それ自体が、不必要な時間を空費する最も大きな要素となつておつたのであります。しかるに、國会の眞劒なる努力と國会の権威を無視し、政府與党の選挙対策に基く一方的意図によつて再三國会の審議権を拘束せんとするがごとき不遜なる言動を弄して來たことは、まさに議事引延ばしの責任を與党側に轉嫁せんとした、悪質なる陰謀であつたと断じられても返す言葉はなかろうかと存ずるのであります。わずかな会期中において、重要法案の審議期間を前後三回にわたつて拘束せんとした政府の眞意について、総理大臣の率直なる御答弁を承りたいのであります。
 次に総理は、吉田政府成立以來、一にも二にも、終始、今國会の目的を解散の断行に置いておられるようであるが、われわれは、あくまでこの特別國会は、公務員法と不可分の関係にある六法案の審議成立を至上の使命とするものと確信いたしておるのであります。もちろんわれわれは、その理由、その時期において正当なる名分を認めれば、断じて解散を回避するものではありません。特に今日の國政は、いかにして一日もすみやかに、窮乏にあえぐお互い國民生活を安定に置き、これに希望と光明を與えるかということに、第一義を置かなければならないことは申すまでもないのであります。國家の再建も、民族の復興も、さらには民自党の党勢拡張も、これなくしては成り立たないのであります。
 先ほど來私の特に強調いたしておる追加予算の問題は、議論ではなく、直接國民生活の今日の課題であります。かかる緊急事態の処理を犠牲に供してまで解散を急がなければならない理由と根據は、一体どこにあるのか。なるほど解散の時期が一日遅れれば、それだけ、もろもろの疑獄事件の進展から深刻なる影響を受け、また在野時代の公約不履行による不信を天下にさらけ出さなければならないとの政府與党側の悪條件は増大するでしよう。にもかかわらず、当然やるべき施政演説をやらなかつたり、公務員法と不可分の新給與や災害対策等を含めた追加予算を出し澁つたり、委員会に大臣が出席しなかつたり、加えて……。
#22
○副議長(田中萬逸君) 時間が迫つております。
#23
○多賀安郎君(続) 不必要に解散を呼号するにおきましては、政府自身が議事引延しを推進して、政府與党を不利に導く結果を招いておるのであります。
 しかも総理は、過ぐる首班指名の白票を不信任であると解釈し、これを解散の理由として言明いたしておられるようでありますが、しからば吉田内閣はなぜ成立直後に解散しなかつたのでありましよう。國会で不信任を表明された内閣が、解散ぜずして十日以上存在しておることは、明らかに憲法六十九條に違反しておると思うが、しかりとすれば……。
  〔「定足数を欠いている」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
#24
○副議長(田中萬逸君) 叶凸君、靜粛に。
  〔叶凸君、離席して何事か発言す〕
#25
○副議長(田中萬逸君) 叶君、着席を命じます。
  〔発言する者多く、議場騒然〕
#26
○副議長(田中萬逸君) 叶凸君、退場を命じます。――執行を命じます。
#27
○多賀安郎君(続) もし、しかりとすれば、すでに解散の時期を失しているのでありますから、吉田内閣に残された唯一の血路は、総辞職の道以外にはないのであります。この際総理に御善処を促す次第でありますが、この点に関し、吉田総理はいかなるお考えを持つておられるか、明確なる御所信を伺いたいのであります。
 最後に、去る十八日の民自党秘密役員会における吉田総裁の発言内容として、十九日付の第一新聞に掲載された事件であります。私は、この問題を一民自党内の問題として不問に付するわけには参らないのであります。何となれば、いやしくも一國の総理大臣の発言は、それが家庭内におけると、公開の席上におけるとを問わず、その及ぼす影響があまりにも深刻かつ廣範囲だからであります。この問題は、國際的影響もあり、きわめて愼重に取扱わるべきは申すまでもありませんが、問題は、すでに一新聞を通じて公にされ、同僚榊原亨君によつて、これが眞相調査を議院運営委員会に提案されておりますので、この問題の事情について、総理から御説明をお願いしたいと思うのであります。
 以上六点について、総理大臣並び大藏大臣から責任ある御答弁を承りたいと思うのであります。(拍手)
  〔國務大臣林讓治君登壇〕
#28
○國務大臣(林讓治君) お答えいたします。
 施政方針の問題につきましては、幾たびか申し上げてあります通りに、公務員法の通過いたした後にいたす考えでありまして、決して食い逃げ内閣だと言われるような、そしりを招かないようにいたしたいと考えております。
 なお、院議の問題についてのお話でありますが、決してわれわれは院議をおろそかにいたしておりません。政府は、鋭意尊重いたしまして、その運びに努力をいたしたいと考えておるわけであります。
 なお解散の問題でありますが、このたび何ゆえに解散をしないか、こういうような御質問でありましたけれども、この公務員法を通過させるということが第一の問題であると、この議会を考えておりますので、私どもは、そのために解散などをするということはいたさないで今日になつているわけであります。なお、ほかの問題につきましては、大藏所管の方からお答えを願うこことにいたします。(拍手)
  〔政府委員塚田十一郎君登壇〕
#29
○政府委員(塚田十一郎君) 大臣に代りまして、大藏省所管の問題につき多賀議員に御答弁申し上げます。
 まず第一点、災害復旧予算につきましては、その緊急性にかんがみ、極力すみやかに予算上の措置を講ずべく、目下鋭意努力中でございます。
 第二に給與予算につきましては、一層その緊急性をよく承知しておりますので、この國会に提出できますることを目標にいたしまして、目下鋭意準備を進めております。
     ――――◇―――――
#30
○今村忠助君 日程第一は延期とし、日程第二はあとまわしとされんことを望みます。
#31
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程第一は延期することに決し、日程第二はあとまわしとすることに決しました。
     ――――◇―――――
 第三 引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案(参議院提出)(委員会審査省略要求事件)
#33
○副議長(田中萬逸君) 日程第三は参議院より委員会審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。
 日程第三、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#35
○副議長(田中萬逸君) ただちに採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
#36
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第四 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第五 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#37
○副議長(田中萬逸君) 日程第四、戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案、日程第五、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、右両案は同一委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長高橋英吉君。
    ―――――――――――――
  〔高橋英吉君登壇〕
#38
○高橋英吉君 ただいま議題と相なりました戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案は、法務委員会に付託され、一括して審議されましたので、両法律案の要旨及び委員会における審議の経過並びに結果の概要を一括して御報告申し上げます。
 まず、戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案について申し上げます。戸籍手数料の額は、昭和二十二年政令第二百一号で、同年十月一日から五円に増額され、右政令は、本年六月、戸籍手数料の額を定める法律に切りかえられ、現在に至りました。しかるに、右のように増額しても、物價の騰勢は続いていますから、戸籍の謄本や抄本を作成する実費は約三倍となりました。このままでは、戸籍事務を担当する地方公共團体の財政的負担はたえがたくなり、この際戸籍手数料の額を引上げてもたらいたいという声は、地方公共團体の強い要望となりました。政府もこれを認めて、この法案を提出するに至つたのであります。
 さて、この法案の内容は簡單でありまして、その要点は、閲覧手数料も、戸籍謄本、抄本の交付手数料も、記載事項及び受理の証明手数料も、ともに五円とあるのを、十二円に増額しようとするのであります。以上が政府提案の要旨であります。
 法務委員会においては、戸籍の謄本、抄本の交付手数料は一枚につき十五円、その後はしばらく増額しないようにしてはどうか、その方が地方公共團体の財政的負担を軽減するのに役立つし、かつ國民のためによいではないかという意見が出ました。この意見は、各派共同の修正意見として有力でありました。これに対し政府から、近い将来において十五円くらいに増額するように考慮し、その準備に着手するという答弁がありました。
 かくて、十一月二十六日、法務委員会はこの法案の討論に入り、各党より賛成の意思表示あり、採決をいたしました。採決の結果、戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案は、全会一致で政府原案通り可決した次第であります。
 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。
 まず最初に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につき提案理由及び内容の概略を申し上げますと、第一点は、新しく家庭裁判所が設けられることになつたことであります。現在、少年事件は少年審判所で、また家庭事件は家事審判所で処理されているのでありますが、これらの事件は、事柄の性質上、あたたかい家庭的雰囲気の中で、また國民の協力しやすい、親しみのあるところで、すなわち國民裁判所ともいうべきところで取扱うことが、最も適切だと考えられるのであります。しかも今日、日本再建途上において次代を背負うべき青少年の不良化は、まことに恐るべき、憂うべき傾向を呈しているのでありまして、この青少年の不良化防止ないしは純化は、國家の一大喫緊事であります。このような認識から出発、かつ時局の要請にこたえる一助として、今回少年審判所と家事審判所とを統合し、新しい構想のもとに家庭裁判所を設けようとするに至つたのであります。この家庭裁判所は、全國を通じ四十九箇所を、地方裁判所のあるところに新しく設置せんとするものでありまして、現在の地方裁判所とほぼ同等の地位に立つものであります。從いまして、いわゆる下級裁判所は、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所のほか、今回の家庭裁判所を加え四種類となるわけであります。
 第二点は、簡易裁判所の管轄区域を二十四箇所にわたつて変更したことであります。御承知のように、現在簡易裁判所は全國に五百五十九箇ありますが、その設立後一年有余の実績にかんがみ、土地の状況、交通の便否等を考慮し、今回二十四箇所につき、その管轄区域の変更を企てたものであります。もちろん、この変更にあたりましては、地元の関係市町村や関係官公諸團体の意向を十分参酌して、これを決定したものであります。そのほか若干の改正が企てられておりますが、これは省略することにいたします。
 委員会におきましては、現在いわゆる青少年事件が一つの大きな社会問題と化しつつある現状にかんがみ、新しく発足する家庭裁判所は、その運営の妙を十分に発揮し、時局的要請にこたえるよう努力すること及び簡易裁判所の区域変更等にあたつては、他の一般司法の問題と同様、政爭の具に供せられないように格段の注意を拂うこと、等の趣旨の希望的意見が開陳せられ、討論の結果、全会一致をもつて原案を可決いたした次第であります。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#39
○副議長(田中萬逸君) 両案を一括採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第六 畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第七 家畜市場法を廃止する法律案(内閣提出、参議院送付)
#41
○副議長(田中萬逸君) 日程第六、畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案、日程第七、家畜市場法を廃止する法律案、右両法案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員長坂本實君。
    ―――――――――――――
  〔坂本實君登壇〕
#42
○坂本實君 ただいま議題と相なりました、内閣提出、参議院送付、農林委員会付託にかかわる、畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案並びに家畜市場法を廃止する法律案に関しまして、その審議の経過並びに結果の概要を御報告いたします。
 まず、畜産に関する農業協同組合又は農業協同組合連合会が馬匹組合又は都道府縣から財産の移轉を受ける場合における課税の特例に関する法律案につきまして、提案の趣旨を説明いたします。
 本法律案の目的といたしまする課税の特例措置は、二つの場合を予想しているのであります。すなわち、その一は、畜産農業協同組合または同連合会が、競馬法の規定に基づきまして、旧馬連または縣を区域とする馬匹組合の資産の讓渡を受けまするとき及び馬匹組合の整理等に関する法律に基きまして、畜産協同組合が郡市を区域とする馬匹組合から資産の讓渡を受けますとき、これらの財産の移轉に対しまして不動産取得税等の地方税を免除しようというのであります。その二は、右の買受資産の登記にあたりまして、登録税を賦課する標準價格を帳簿價格としようというのであります。右の二つの特例措置によりまして、畜産協同組合の受ける利益は二千数百万円に上り、その健全な育成に貢献するところも少くないと思われるのであります。
 次に、家畜市場法を廃止する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 家畜市場法は、家畜取引の公正をはかるため明治四十三年に制定せられ、爾來今日まで適用されてまいつたものであります。しかるに、農業團体の民主的改革の行われておりまする今日、市場開設に関して地方長官の許可を要することなし、また許可権に関連して種々の特恵的待遇を特定團体に保証することを主要内容といたしまする本法は、当然私的独占禁止法の精神に抵触いたしますので、この際家畜市場法はこれを廃止し、今後はもつぱら健全な自由競爭によりまして家畜取引の発展をはかり、かつまた家畜衛生上の取締りにつきましては、さきに國会を通過いたしました家畜傳染病予防法の運用によつて萬全をはかろうというのが本廃止法律案提出の理由でございます。
 以上の二法律案は、十一月十五日、予備審査のため農林委員会付託となり、前者は十九日、後者は十六日、政府より提案理由について説明を聽取いたしましたるのち、十九、二十六の両日にわたり、両法律案を一括して議題となし、畜産振興に関する一般方針とも関連いたしまして、政府側と質疑應答を行つた次第であります。その詳細な内容につきましては、この際省略し、速記録の参照を願うことにいいたします。
 両法律案に関しましては、現下の情勢より当然実行すべき畜産行政土の措置を内容といたしまするので、農林委員会におきましては、十一月二十六日、討論を省略して、ただちに表決に付しましたるところ、全員一致これを可決するに決した次第であります。
 簡單ながら、以上御報告申し上げます。(拍手)
#43
○副議長(田中萬逸君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方財政委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#45
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、地方財政委員会法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#46
○副議長(田中萬逸君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 地方財政委員会法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長山口好一君。
    ―――――――――――――
  〔山口好一君登壇〕
#48
○山口好一君 ただいま議題となりました地方財政委員会法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を簡單に御報告いたします。
 まず、本法律案の内容を申し上げます。本法律案は、本年十二月六日をもつて満了いたします地方財政委員会法の存続期間を、一應明年三月三十一日まで延長せんとするものであります。
 御承知のごとく地方財政委員会は、地方自治確立の方針に即應する自主的地方財政制度の企画立案機関として本年一月七日発足いたし、以來着々その効果をあげて参つたのでありますが、その存続期間を法律公布の日から一年間とされておりまするため、本年十二月六日をもつてその存続機関が満了いたすのであります。しかしながら、自主的地方財政制度の確立は、経済その他諸般の情勢上、未だ完了するに至つておりませず、さらに大改革を断行するの要切なるものがあるのみならず、根本的に、地方行政財政全般にわたりまして自治の擁護並びにその振興をはかり、また中央と地方との連絡を密にするため、中央に、民主的で、地方行政、財政を総合的に所管する機関を設置することは、政府も、またわれわれも、その必要を痛感いたしておりますし、かつまた地方公共團体の側からの熱烈な要望がございまして、地方行政委員会といたしましては、この機会に現在の地方財政委員会と総理廳官房自治課とを統合しまして地方自治委員会を設置するという法案につきまして、相当努力しつつあつたのでありますが、諸般の情勢によりまして、かつまた会期の関係もありまして、今回はとりあえず、現存する地方財政委員会の存続期限を來年三月末まで延長することといたし、地方自治の擁護ないし振興をはかる機関の設置につきましては、明年三月三十一日までに、さらに根本的な検討を加えた上で決定いたすことといたした次第であります。
 地方財政委員会におきましては、十一月二十六日、本法律案の付託を受けましてさつそく本二十七日委員会を開いて、これを審議いたしたのであります。まず、岩本國務大臣から提案理由の説明を聽取したる後、二、三熱心な質疑應答がありました。そのおもなる共通点は、この法律案は期日的に急を要するから、この際はとりあえずこれを定めておいて、引続き政府も、本委員会も、この問題に関する恒久的研究を続けるということに、ほぼ一致しておるのであります。
 そこで、小暮委員の動議によりまして質疑を打切り、討論を省略し、左のような希望を附して、採決にあたりましては全員総起立、本法律案の可決を見た次第であります。その希望は次の通りでございます。すなわち
 現行の中央における地方自治管行政機関は微弱無力にして、民主政治確立の基礎たる地方自治の強力な進展を期することはとうてい困難である。よつて本院は、國と地方公共團体の緊密な連絡をはかるとともに、地方自治行政及び財政を統一的に所轄し、國家公益と地方自治権との調和をはかるべき、協力かつ民主的な地方自治総合連絡調整機関の急速な設置を期す。
 以上をもつて御報告といたします。(拍手)
#49
○副議長(田中萬逸君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 第二 不当財産取引調査特別委員会における調査の中間報告
#51
○副議長(田中萬逸君) この際不当財産取引調査特別委員会における調査の中間報告を求めます。不当財産取引調査特別委員長武藤運十郎君。
  〔武藤運十郎君登壇〕
#52
○武藤運十郎君 十月中における不当財産取引調査特別委員会の調査審議の状況を御報告申し上げたいと存じます。
 十月十一日第三國会が開会せられると同時に、第二國会において設置せられました不当財産取引調査に関る特別委員会とまつたく同一の委員会が設置せられ、前委員会において調査審議中の案件は、引き続き本委員会において調査を続行することにいたしました。去る六月三十日、第二國会の本会議において御報告をいたしました以後の調査は、休会中のため議長あてに書面報告をいたしておきましたが、本日、重要な部分はあわせてこれを御報告申し上げたいと存じます。
 前回御報告申し上げました以後における本委員会の調査審議の主要なる案件は、兵器処理問題についての眞相究明、二、石炭國管問題に関する調査、三、佐世保地区における隠退藏物資に関する問題の調査、四、復金融資に関連せる昭和電工問題の調査、五、大口やみ利得者に対する調査、六、官公吏の汚職に関する調査、七、艦艇解撤に関する調査などであります。右のうち、復金融資に関する調査、大口やみ利得者に対する調査、官公吏の汚職に関する調査及び艦艇解撤に関する調査等は、それ小委員会を設け、目下調査の途上でありまして、いまだ御報告を申し上げる段階に達しておりません。兵器処理問題及び佐世保地区における隠退藏物資問題は、一應調査が終結いたしました。また石炭國管問題につきましては、いまだ調査は緒論の段階ともいうべき程度でありますが、一應中間的に御報告を申し上げたいと存じます。
 第一。まず兵器処理問題に関する調査結果の概要を申し上げます。
 兵器処理に関する調査は、すでに第一國会に設置せられた隠退藏物資等に関する特別委員会において取上げられ、引続き第二回國会における不当財産取引調査特別委員会において調査を続行し、約十箇月にわたつて厖大な資料を精査し、また現地を視察して綿密なる調査を行い、並々ならぬ努力を傾倒いたしました。本委員会に証人として喚問しました者は、東久邇稔彦君外五十名でありまして、十五回に及ぶ委員会を開き、眞相究明に努めましたが、何分にも終戰直後の混乱時に際しての処分状況は、今日においては確実なる資料に乏しく、かつ兵器処理による物品は特殊の用途に限定せられたものが多いので、全般にわたる詳細克明なる調査は、すこぶる困難をきわめました。本委員会といたしましては、調査の理由及びその眼目を次の諸点に置いたのであります。
 一、國民の血と汗とによつてあがなわれた莫大な兵器の処理が、はたして再建日本の経済復興と民生安定とに対してどれだけ寄與し得たか、その点を明白にする必要がある。
 二、終戰時における軍保有物資の数量を明かにし、その処分状況の当否を究明し、もつて責任の所在を明白にする必要がある。
 三、兵器処理機構の実情を調査し、兵器処理に関する経理及び業務実施についての当否を究明する必要がある。
 四、兵器処理委員会結成の経緯と、代行五社選定の事情を解明する必要がある。
 五、兵器処理に関する関係者の背任横領等の犯罪事実を究明し、監督上の責任を明らかにする必要がある。
 以上の見地において調査いたしましたが、その結果、概要次のごとき結論に到達いたしました。
 一、終戰直後の八月十四日、鈴木内閣は、敗戰に処する緊急対策として、軍保有物資及び資材の緊急処分に関する閣議決定をいたしましたが、この閣議決定は、完全に憲法並びにその他の法令を無視するものであります。さらに陸海軍高級官僚が、自己の責任を追求せらるることを恐れ、これを緩和し、かつ將來もその勢力を保有するために國家の財産を不当に処置せんと意図したものでありまして、その責任の糾明は、政治的にも、司法行政的にも、断固たる処置に出ずべきものと信ずるのであります。右閣議の決定には、その冒頭に陸海軍はすみやかに國民生活安定のために寄與し、もつて積極的に軍民離間の間隙を防止するため、軍保有資材及び物資等につき隠密裡に緊急処分方措置す、なお陸海軍以外の政府所管物資等についても、右に準ず、ということが記述してあります。この緊急放出処分実施の結果は、軍関係者による物資の爭奪となり、一部の関係者のみに不当なる利得を與えたのみならず、やみとインフレの根源となり、経済界は不正を働く者によつて壟断せらるることになりました。そのため政治的にも、経済的にも、また社会的にも頽廃を來し、経済の復興を困難ならしめたことにとどまらず、ますますこれを深めるに至つたのであります。
 二、八月二十八日、東久邇内閣においては、右の緊急放出停止について、昭和二十年八月十四日開議決定、軍その他の保有する軍需用保有物資資材の緊急処分の件はこれを廃止す、との閣議決定をなして、同日陸軍は、八月二十九日以降の緊急放出停止とともに、すでに拂下げまたは保管轉換したるものにつき回收可能なものはこれを回收し、しからざるものは、その内容を明らかにすべしとの通牒を発し、海軍においても放出とりやめの示達をしました。しかしながら、回收については、いずれもほとんど実効をあげ得なかつたばかりか、とりやめの指示にもかかわらず日時を遡及して放出処分する等の不正が行われたのであります。これはまつたく当時の政府並びに軍首脳部及び指揮官の不注意と怠慢と言われるものであり、一部の軍人に至つては、故意に不正行為をあえてしております。かかる処置は、軍官僚が責任を免れるための形式的処置でありまして、当時の軍官僚組織がいかに無責任きわまるものであつたかを立証して余りあるものといわなければなりません。(拍手)
 三、同年九月二十四日、連合軍最高司令部の覚書に基き、兵器及び軍需物費が日本の経済復興及び民生安定のために返還せらるることになり、これが受領官廳として内務省が指定せられました。内務省は調査部を設けてその事務を担当いたしましたが、この業務は相当廣汎にして困難な仕事でありました。しかしながら、当時の政府要路者は、この重要任務についての十分なる認識と関心を欠き、これを等閑視していたきらいがあつて、その人員、予算等についても貧弱をきわめ、多くはあげて地方長官に実施業務を委任せざるを得なかつたのであります。しかも地方廳は、中央の監督の手薄に乘じ、独断的措置を專行して、一部腐敗官僚と不正業者との結託により拂下げ処分が行われ、各地に隠退藏物資を生む間隙を與えたのであります。もし当時の政府、特に内務省と商工省が、返還物資に関する業務を重要視し、すみやかに陣容を整備して十分に地方廳、兵器処理委員会並びに代行五社の兵器処理部を指揮監督いたしましたならば、日本経済の復興と民主安定とのために一層の実効をあげ得たと考えられるのであります。いかに当時の政府及び地方廳がまつたく政治並びに行政の責任を放擲し、利己的行為をたくましくしたものであるかが立証せられます。今後、この問題は別個の問題として、本委員会が精力的にかつ徹底的に処理すべきことを痛感するのであります。(拍手)
 四、兵器処理の機構については、昭和二十年十一月五日、特殊物件処理委員会において解体兵器等の処理機構に関する件が定められ、その根本方針が決定せられたのであります。すなわち、鉄のスクラツプについては日本製鉄、日本鋼管の二社、非鉄金属については神戸製鋼、扶桑金属、古河電氣の三社にそれぞれ分担処理せしむることとし、この五社を組合員として、いわゆる兵器処理委員会を結成せしめたのであります。しかしながら、この兵器処理委員会の結成は、明らかに憲法並びにその他の法令に違反するものであり、不正の行政行為であることは、論をまたないところであります。五社の選定についても公正を欠いた点がすこぶる多く、これを一々的確に指摘しなければならないのでありますが、現在の委員会の組織をもつてしては、ほとんど不可能に近いのであります。さらに、政府のこの委員会に対する監督がきわめて不十分であつたため、委員会はほとんど代行五社に利益を與える機関となつたのであります。しかも、ここに最も驚くべきことは、兵器処理委員会を構成する五社と兵器処理委員会とは、実質上一体であるにもかかわらず、賣手と買手になり、ここに代金の決定、数量の決定等に十分なる不正をなすべき事態が発生したのであります。兵器拂下げにつき、政府が一括して兵器処理委員会に拂下げをなしたことは、右のごとく兵器処理機構が定められた以上当然のことではありますが、その拂下げ契約において、代金決済の方法を長く不確定の状態に置いたために、経費の支出が放漫に流れたきらいがあり、またその他の点についても契約の内容が不十分であつあたのでありまして、契約をなす際慎重を欠き、ために兵器処理委員会が莫大な兵器を処理しながら、ほとんど利益をあげ得なかつた原因になつたと考えられるのであります。
 五、兵器処理実施の実情について、その概要を申し上げますれば、右のごとく昭和二十年十月三十一日、日鉄、日本鋼管、古河電氣、住友金属、神戸製鋼の五社を組合員として、民法上の組合である兵器処理委員会を設立し、各組合員は百万円を出資し、委員長に小松隆氏を互選したのであります。委員会は鉄鋼部会と非鉄部会との二部会にわけ、主として前者は地上兵器、後者は航空兵器を担当し、部会内においては、地域別に五社各自の担当分野を定めて業務処理に当り、委員会に事務局を設けて各社間の連絡統一をはかつたのであります。しかながら、拂下げ物件の受領、解体、溶解、保管、運送等の作業より拂下げ処分に至るまで一切の実務は組合員たる担当五社に代行せしむることとして、委員会と五社代表者との間に業務実行契約を締結し、五社は各自独立の兵器処理部が設けられて、各社本來の会計と、独立した特別会計において経理せられたのであります。
 兵器処理委員会が回收した兵器の実際の数量は約百三十万トンでありますが、終戰時に存在した兵器の数量がこの程度であつたかどうかについては、各関係方面にわたり鋭意調査を進めましたが、残存兵器の総量を正確に把握することは、今日に至つてはほとんど不可能のこととなり、その調査の目的を達することのできなかつたことはわれわれのはなはだ遺憾とするところであります。兵器処理物件の拂下げ並びに配分については、商工省の指示または監督の下に、中央配分と地方配分とにわけ、それぞれ処理要領に基いて処理したのでありますが、これらの業務実施のあとを監察して言い得ることは、解体作業費につき、請負業者らの一方的過大見積りを容認してその支出をなしたることや、拂下げ需要者が、中央配分として兵器処理特別委員会または商工省鉱山局長の承認を得べきものを、故意に小口に数回にわけて地方配分とし、地方商工局長の承認を得てその目的を達しているなどの不正行為が指摘できるのであります。
 兵器処理業務は、昭和二十年十二月ごろより開始せられ、翌二十一年八月ごろを最盛期とし、昭和二十二年九月には、おおむね回收作業を終わり、本年二月末までにおける廃兵器の回收量は三十一万トン、その総経費十五億円であります。右のうち販売したものは約八十二万トン、これが代金十二億四千万円であります。この差額二億六千万円の不足であります。他方、在庫の数量は約五十万トンでありますが、本年二月末日をもつて同委員会を解散し、残務はすべて産業復興公團に引継ぐことになつたのであります。
 以上、業務実施の結論として、兵器処理委員会が國家に與えた損益につき一言すれば、拂下げ契約の解除により、約五十万トンの回收物件を政府に無償に返還し、これに対して政府から、二億六千万円の未收経費の支拂を受けることになつているのであります。從つて、國家に與えた損益については、一に在庫五十余万トンの物件の價格または処理の結果いかんにかかつておるのでありまして、産業復興公團の今後の処理の責任まことに重大なるとともに、これが業務実施につき、一箇月八、九千万円の諸経費を要するがごときやり方に対しては、万全の監督をなすべきものと考えるのであります。兵器処理委員会が引継ぎまでの処理において、二億六千万円の未收の経費支出をなしたことは、從來の経費支出が放漫のために、かかる結果を招來したとも言い得るのでありますが、一面、屑鉄、軽金属、再生塊の各公定價格が、業界の実情に沿わぬ、著しい低廉であつたことにもよるのでありまして、價格設定に関する行政的措置の不注意、怠慢によることも、また國家に不利益を與えた有力な原因と言わなければなりません。
 ちなみに、兵器処理委員会が兵器処理に関し不正不当と認められる主要な事実を指摘すれば、交際費その他の名義を使用して支出の濫費をしたこと、会社のプロパーには特に安價に拂い下げたこと、ジユラルミンの再生総費の不当支拂いをしたこと、拂下兵器の横流しをしたことなどであります。
 第二。次に石炭國管問題に関する調査審議の現状を申し述べます。
 石炭國管問題については、すでに一年以前、石炭國管案が議会に上程せられた当時より、業者の猛烈なる運動の裏に大規模な買收、餐應等の醜事実のあることが、廣く世間に流布せられておりました。しかしながら、疑惑の中心は、國権の最高機関たる國会議員に関する贈收賄であり、國会内における議決権の売買というべきものでありますから、本質的には、検察がつとにこれを取上ぐべき刑事問題であつたのであります。にもかかわらず、その規模の大なる、その手段の巧妙なる点において、今日まで、あえて手を入れることができなかつたのであります。しかしながら、みずからの手によつて政界の浄化をはからんとするわが不当財産取引調査特別委員会は、政界の出血を覚悟の上で、断固この石炭國管問題の調査に着手したのであります。(拍手)
 委員会としては、これを徹底的に究明するため、日本石炭鉱業会関係業者及び運動の拠点と目せられる旅館等より資料の提出を求めて、鋭意調査を続行いたして参りました。本委員会は、九月一日以降十月十四日に至る間十回にわたる委員会において、山川良一君外三十九名を証人として喚問し、その証言を求めて、眞相究明に努力を傾倒したのであります。元來、本件事案は、國会議員の涜職に関する疑惑に指向せられた刑事問題に直結する調査審議でありますから、公開せられた委員会における証言のみによつて眞実を発見しようとすることは隔靴掻痒の感じがありますことは、けだしやむを得ないところであります。從つて、本件に関する調査の現況は、序論とも言うべき程度のものでありますが、しかし、この序論の程度においても、すでに國管反対運動の資金に関して疑惑に包まれた様相が露呈しており、また國管反対運動に関連して、幾多の刑罰法令違反の容疑事実が表面化していますので、本委員会としては、しばらく基礎的調査に專念し、刑罰法令違反容疑事実に関しては、今後における檢察廳の十分なる捜査に信頼して、檢察廳を激励し、かつその捜査の状況をを注視しつつ、適当な時期に再び委員会を開催するつもりであります。(拍手)
 本委員会における今日までの調査の概要を申せば、次の通りであります。
 昭和二十二年六月中旬、商工大臣より炭鉱業者に臨時石炭鉱業管理法案が提示せられて、この案の立法化が進められるや、全國炭鉱業者は、炭鉱経営権の棚上げなりとして強力に反対運動を展開しました。なかんずく、同法案が閣議決定を経て衆議院に提出せられるに及んで、全國炭鉱業者の反対運動はいよいよ尖鋭化し、日本石炭鉱業会は、理事会、総代会を開いて、正式に反対決議をなし、これに呼應して、北海道、東部、西部、九州の各地域別石炭鉱業会もまたこれと同一歩調をとつて、多数の代表者を上京せしめ、日本石炭鉱業会と地域別鉱業会とが一体となつて、連日多数の自動車を借り切り、各政党等に反対陳情をなすとともに、この間、龍名館、日本石炭鉱業会事務所を運動の拠点として、料亭等にも出入し、運動目的達成に奔走したのであります。
 一方、九州方面の炭鉱業者は、かかる運動もなお手ぬるしとして、九州方面炭鉱業者より、同年六月分出炭量一トン当り十円の割合による運動費を賦課徴收し、さらに前月分出炭量に対するトン当り二円の割合によつて徴收した炭價問題の経費三十六万円をこの運動資金に繰入れ、合計一千万円以上を集めて特異の反対運動を展開したのであります。この運動資金の会計責任者である木曽重義君は、本委員会に証人として喚問せられました際、右金員の使途に関して、旅費日当に五百七十六万円余、交通費に二百二十六万円余、通信費に七万円、宣傳費に三十七万円、雑費に六十一万余円、酒代に七十万円、総計九百七十八万余円を支出したと証言し、その計算書を提出いたしておりますが、その使途については、いまだ疑惑を解消するに至つておりません。
 一方、西部石炭鉱業会は、会長俵田明君が中心となつて、同年四月分出炭量トン当り十四円ないし十五円の割合により、数回にわけて合計百十二万円余の運動費を徴收して、反対運動を継続し、その一部である大阪部会は、田中彰次、肥田理吉の両君が中心となつて國管反対の街頭運動を展開し、立看板、ポスターなどを多数掲示、頒布したのであります。
 この間、日本自由党は石炭國管対策委員会を設置し、植原悦二郎君が委員長となり、所属議員数名を一班として数班を編成し、北海道、常磐、西部、九州の各方面の炭鉱の実地視察におもむきましが、その際、視察者一名につき三千円ないし五千円の手当を支給しました。しかしてこの費用は、植原君が個人として友人より借り入れた十五万円をもつてまかなつたと証言しておるのであります。
 一方、民主党においては、当時の党務部長岡部得三君が坪川信三、川崎秀二両君に五万円内外の金を供與した事実及びこれが返却せられた事実の証書がありますが、この金銭授受の趣旨については、証言によつては必ずしも明白にせられなかつたうらみがあるのであります。
 また、國会議員の一部には当然党議に服すべく考えられたのに、これに反し、あるいは欠席をなし、あるいは脱党する者があつて、(拍手)石炭國管案の審議は、すこぶる複雑混乱をきわめたことは、御承知の通りでありまして、この間における疑惑の究明は後日に期したいと考えるのであります。
 なお、日本炭鉱業業会の運動経費は、主として会合費、交通費等に使用せられ、会食費には百四十五万七千余円が支拂われております。このうち、石炭國管反対運動に関連しての費用は、その全部か、あるいは一部かについては、支出傳票等が杜撰のため、明らかにし得ないのであります。交通費については、日本石炭鉱業会は、元來三台の自家用自動車を所有していたのでありますが、さらに、昭和二十二年八月から十二月までの間に貸切自動車使用料として合計六十五万余円を支拂つているのでありまして、日本石炭鉱業会がいかに活発に反対運動をなしていたかをうかがい得るのであります。また、九州石炭鉱業会所属の業者は、昭和二十二年七月より同年十二月に至る約半年の長期にわたり交互に上京滞在して、それぞれ反対運動を続けたのであります。特に、北九州地区のいわゆる旧互助会のメンバーが、北九州石炭株式会社の職員とともに総力をあげて活躍したことは顕著でありまして、その運動の指導者ともくすべきものは、竹内禮藏、木曽重義、原口秀雄、上田清次郎、田籠寅吉、野見山佐一の諸君であります。その他、藤井則文、橋上保、渡邉正夫、田籠勝、有吉満の諸君等三十数名の石炭業者がこれに協力して活発に動いたと思われるのであります。(拍手)
 以上、石炭國管反対運動に関する調査の緒論的段階における概要を中間報告をいたしたのでありますが、本問題の今後における本格的展開の後に、さらに詳細なる報告をいたしたいと存じます。(拍手)
 第三。次に佐世保地区における隠対藏物資に関する調査について、その概要を申し述べます。
 本件につき、本委員会は、本年七月以降九月に至る間に、北村徳太郎君外八名の証人を喚問して、長崎縣佐世保地区における佐世保船舶工業株式会社をめぐる隠退藏物資等に関し証言を求めて、眞相を調査いたしたのでありますが、その概略は次の通りであります。
 佐世保船舶工業株式会社は、北村氏が社長当時、社長あてになされた連合軍総司令部の指令に基き、昭和二十二年七月十五日現在における非鉄金属の在庫数量を報告すべきことになつておつたのでありますが、同社が同年九月二十二日附で届出をなした報告には、非鉄金属が、当時の價格にして約四百万円が漏れており、その物品は、起重機を使用して航空母艦隼鷹を解体した船底に隠匿したり、または倉庫、地下室等を轉々して隠匿した事実があるのでありまして、この点並びに隠退藏物資の摘発は、現在檢察廰で捜査を継続し、多大の成果を收めつつあります。また佐世保船舶工業株式会社は、航空母艦隼鷹ほか三十隻を解撤しておりますが、しかしながら大藏省おいては二十五隻の解体を許可したのみでありますから、六隻の不当処分の事実があり、さらに解撤後の轉活用資材並びにスクラツプの処分につき、許可を得ずして賣却した疑いがあるので、この点につきに目下調査中であります。
 なお、佐世保地区隠退藏物資問題に関連して、艦艇解撤につき継続して調査を進める必要がありますので、本委員会に艦艇解撤に関する調査の小委員会を設けて調査を続行することとし、佐世保地区における隠退藏物資問題の調査は、一應これを打切つた次第であります。なおまた、佐世保地区隠退藏物資問題に関連して、同地区土建業者より相当多額の政治資金が選挙に際し撤布された疑いのあることは、まことに遺憾とするところであります。
 第四。最後に、目下調査の途上であつて、報告の段階に達してはおりませんが、昭和電工問題、官公吏等の汚職調査及び大口やみ利得者の調査について、調査の目的と方針等に関し附言しておきたいと存じます。
 一、昭和電工問題。昭和電工問題は、復金不当融資究明の一環としてその調査に着手したものでありますが、本委員会における基礎調査の進むに從つて同社に対する不当融資に関してのみならず、同社前社長森曉氏の退任と、新社長日野原節三氏の就任とを通じて、同社乘つ取りの疑いがあり、また日野原氏就任後における子会社の経営その他についても、また大なる疑惑を持つに至りました。よつて本委員会としては、第一、乘つ取り問題、第二、不当融資問題、第三、子会社問題の三段階に調査の基本方針を置いて、目下、第一段階たる乘つ取り問題の究明に主力を注いでいる次第であります。
 二、官公吏汚職調査。われわれは、すでに、いわゆる辻献金、亀井献金、土建献金並びに石炭國管、昭電問題等を通じて政界及び財界の淨化に成功しつつあります。しかしながら、本委員会が当然に淨化すべくして、いまだの成果をあげ得ないものに、官界の淨化という大事業があります。明治以來日本の政界に根強くわだかまるものは実に官僚主義であり、この官僚主義は、軍閥と抱合して、遂に誤れる太平洋戰爭を起した元兇と言わなければなりません。(拍手)ことに、戰時、戰後を通じて強化された官僚統制は、行政のあらゆる部面において官僚の介入を必要とし、当然そこに、はなはだしい腐敗を結果しましたことは、何人といえども疑いをいれないところであります。今にしてこの腐敗を剔抉し、これを淨化するのでなければ、日本の民主化は絶対に完遂し得ないことを信ずるのであります。(拍手)この観点に立つて、本委員会は断固官公吏の汚職調査に着手し、すでに小委員会を設けて、目下着々としてその基礎調査を進めている次第であります。
 三、大口やみ利得の調査。終戰当時無一物であつたものが、わずか一、二年のうちに数億の巨富をたくわえた例を、われわれは目撃するのであります。しかしながら、かかる巨富は、日本経済界の現状よりして、とうてい尋常一様の正当手段によつて得られるものではありません。必ずや隠退藏物資の不正領得、原材料の不正受配、製品の大量横流し等不正手段によるものと認めざるを得ないのであります。かかる大口やみ利得は、徹底的にその取得原因を調査して、正直者がばかを見ない社会道義を確立すると同時に、かかるやみ利得は、これを遺憾なく捕捉して、もつて勤労階級の負担軽減に資せんとするものであります。本問題については、小委員会を設けて鋭意基礎調査に從うと同時に、すでに、奈良縣下における大口やみ利得者として井上信貴男氏の現地調査のため、数回にわたり委員を派遣して調査の実績をあげつつある次第であります。
 以上で報告を終りますが、なお兵器処理問題並びに石炭國管問題については、近く文書によつて詳細な御報告をいたすことにしておりますので、本日の報告は、ただその概要にとどめた次第であります。(拍手)
#53
○副議長(田中萬逸君) 明二十八日は日曜でありますが、定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後七時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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