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1948/11/28 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第23号
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1948/11/28 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 本会議 第23号

#1
第003回国会 本会議 第23号
昭和二十三年十一月二十八日(日曜日)
 議事日程 第二十二号
    午後一時開議
 第一 平和会議促進懇請に関する決議案(廣川弘禪君外四名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 原油輸入に関する決議案(石田博英君外十三名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第三 課税適正化に関する決議案(倉石忠雄君外十五名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第四 水産業復興促進に関する決議案(西村久之君外二十四名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第五 災害地対策特別委員会における調査の中間報告
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 平和会議促進懇請に関する決議案(廣川弘禪君外四名提出)
    午後五時十二分開議
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
   ――――◇―――――
 第一 平和会議促進懇請に関する決議案(廣川弘禪君外四名提出)(委員会審査省略要求事件)
#3
○議長(松岡駒吉君) 日程第一は、提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、平和会議促進懇請に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。片山哲君。(拍手)
  〔片山哲君登壇)
#5
○片山哲君 私は、ただいま上程の平和会議促進懇請に関する決議案の提出理由を説明いたしたいと思います。
 まず決議文案を朗読いたします。
   平和会議促進懇請に関する決議
  政治の民主化、経済の再建を期するためには一日も早く対日平和会議の開催が必要なことは自明の理である。
  政府は、総司令部その他に対しこの際速かに対日平和会議の開催が実現するよう懇請に努力すべきである。
  右決議する。
こういう案文であります。以下、提案の理由を説明いたしたいと思います。
 終戰以來今日まで、すでに三年と三箇月を経過いたしております。その間、われら八千万國民は、よく敗戰直後の混乱に対処いたしまして、連合軍最高司令官の指導のもとに、ポツダム宣言の趣旨を守り、祖國の再建、特に政治、経済、労働、社会、文化等各般にわたる民主化に努力して参つたのであります。その結果、比較的短時日の間に平和的な無血民主革命の基盤を築き、ほぼその骨組みをつくり得ましたことは、新しき日本のため、まことに喜びにたえない次第であります。(拍手)今や、われわれ、日本國民は、民主主義平和國民として生れかわつたのでありまして、世界平和の確立と人類文明の進歩に貢献し得る態勢と心構えを樹立するために、今後もなお一層の努力を続けんとするものであります。私はここに、この國会を通じて、世界の各國に向い、われわれ日本國民は再び過去の誤りを繰返すことのなき、眞の民主主義平和國民として再生しつつあることを告げんとするものであります。(拍手)
 今さら申し上げるまでもなく、わが國は、敗戰により、今日なお連合國軍の占領下にあるのでありまして、連合國に対して対等の地位に立つて平和條約締結に関する要請を行う立場を持つていないのであります。しかしながら、幸いにして最高司令官マツカーサー元帥は、つとに対日平和條約のすみやかなる締結に関し最も深い理解と支援を持たれて、しかもこれを最も強力かつ有効適切に唱導せられておることは、われわれの感謝にたえないところであります。(拍手)すなわち、昨年二月の末、米國記者團に対しまして、次いで、同じく昨年三月十七日、新聞記者会見におきまして、元帥は、賠償問題の解決と可急的すみやかなる対日平和條約の締結の必要を説いておられるのであります。また、同じく昨年三月三十一日、ニツポン・タイムス紙上に掲載されましたブラインズ特派員の通信によりますると、マツカーサー元帥は次のごとき見解をもつておられることを傳えておるのであります。すなわち、いわゆる銃劍によつて支えられた民主主義は行き得るところまで行つてしまつた、現下日本の進歩は、継続的な占領によつて阻害されておる、というのは、日本はますます連合國の助言と指導とに頼るようになつて來ておる、という意味の見解を元帥は持つておられると報道しておるのであります。さらに本年一月十八日、元帥は、米國陸軍長官あて書簡におきまして、講和会議はつとに期限が到來しておると述べておられるのであります。
 以上のようなマ元帥の卓見と努力と、またこれに相應する米國政府その他の理解ある方針にもかかわらず、複雑な國際情勢により、昨年対日講和予備会議開催の企図も実現を見るに至らずして終つたのであります。しかしながら、本年後半期に入つて以來、連合國側のうち從來必ずしも対日平和條約締結を急いでいなかつた國々の輿論も、ようやく好轉し來つたことを感ずるものであります。すなわち、中國においては本年六月末、監察院に対して対日平和促進決議案が上程され、南京中央社の電報によりますと、七月十七日、同院の本会議において可決されたことを報道せられておるのであります。また、九月十二日のUP電報によりますと、ワシントンのソ連大使館筋は、非公式ながら、ソ連が早期対日平和條約の締結を希望しておることは周知のところであると発表された由であります。さらに、去る十月中旬ロンドンにおいて開催されましたイギリス連邦首相会議におきましては、濠州並びにニユージーランド両國代表から対日平和会議の促進を要望する旨の発言が行われたと報道せられておりまするし、また同じく十月の下旬、パリーにおける國際連合総会の政治委員会において、メキシコ國代表から、大國はその意見の対立を解決して、すべての講和会議を締結するための努力を倍加すべし、という意味の決議案が提出され、全会一致をもつて可決されたということであります。このように、対日平和会議のすみやかな締結は、もはや世界の輿論となつておると申しても、少しも過言ではないのであります。(拍手)
 次に、われわれ、日本國民が対日平和会議のすみやかな開催を熱望しておることについては、いまさらくどくどしく申し述べるまでもないのであります。長期に、わたる軍事占領、軍政の継続がいかなる影響をもたらすかは、マツカーサー元帥の指摘せられた通りであります。オーストラリア前首相メンジース氏は、もしわれわれが日本に責任ある政府を樹立せんとするならば、講和條約によつて戰爭状態を終熄せしめなければならない、余は長期の日本占領には不同意である、長期占領というものは、占領する方にもされる方にもあきが來て、うまく行かないものだ、占領があまり長引くと、占領國が往々にしてその責任にうみ、被占領國に不健全な結果を來すことになることは、歴史の示す通りである、と述べられておるのでありまするが、まさに至言であろうと存じます。眞に確固たる民主主義は、自主性と責任なくしては断じて成育するものではないと信ずるものであります。(拍手)さらに、日本が一日も早く自立経済を回復して、米國納税者の負担を軽減するためにも、平和條約が締結せられ、完全な外國貿易の機会が與えられ、賠償問題の解決、産業水準の決定等がなされなければならぬことも、世界各國の識者のひとしく認めるところであると信ずるものであります。(拍手)
 しかしながら、われわれは、いたずらに海外の好意ある輿論に甘えることなくして、対日平和條約促進の意見に並行いたしまして、いなむしろ、それと相表裏いたしまして、日本の民主化、精神的非武装化がいまだ十分でないという見解が有力であることを、見のがしてはならないと思うのであります。連合國側の圧力がなければ、日本は再び極右反動、軍國主義、封建的財閥の支配に復帰するか、または極左の全体主義の巣窟になるのではないかという危惧の念が相当根深いという、嚴粛な事実を忘れてはならないのであります。われわれは、民族の独立、自主性の回復等々をスローガンとする右、左の両極端分子の世論に対する呼びかけに対しまして、その裏に何がひそんでいるかを見拔き、その実体を十分に監視していかなければならないと思うのであります。極右、極左に偏せず、眞に日本國民が民主主義の正道を歩むことが事実の上において立証せられない限り、われわれの熱望する平和條約の早期締結は、とうてい実現し得るものではないと信ずるものであります。(拍手)この意味におきまして、私はここに、あらためて日本民主化の徹底を誓い、断じて全体主義を排し、精神的非武装化を完成して、日本に対する世界の危惧を一掃しなければならないということを要望するものであります。いやしくも、過去三箇年の間に築かれたる民主的改革をこれに逆行させ、これを水泡に帰せしめるがごときことは、断じて許すべきことではないと私は信ずるものであります。(拍手)われわれは、断固として、眞に民主國建設、平和國建設のために、全力を傾倒して闘つて行かなければならないということを信じ、ここに諸君の協力を得まして、國民の深き理解を求めまして、平和條約締結促進に関する運動を続けたいと考えておる次第であります。(拍手)
 全員諸君の賛成を得たいことをここにお願いいたしまして、私の趣旨説明を終りたいと存ずる次第であります。(拍手)
#6
○議長(松岡駒吉君) これより討論に入ります。樋貝詮三君。
  〔樋貝詮三君登壇〕
#7
○樋貝詮三君 ただいま片山氏によつて説明せられましたところの平和会議促進懇請に関する決議案に対しまして、民主自由党は、心からこれに賛成の意を表すものであります。
 回顧すれば、すでに三年以上になりまするが、昭和二十年の九月、かのミズーリ号の艦上に休戰條約を締結いたしました当時には、日本が、またわれわれ日本民族が、どういうふうになつて行くかということについては、限りなき不安が廣がつておつたものであります。しかしながら、その後に、ただいまお話がありましたごとくに、われわれは忠実にポツダム宣言の線に沿うて着々として整理して参りまして、政治に、経済に、文化に、あらゆる方面にわたつて、新しい日本にふさわしきところの方向に向つて参つたのであります。
 まず、恒久の平和を念願して、無責任なる軍國主義を拂拭いたしました。また從つて、陸軍、海軍、空軍を廃し、これに從つた人々も、平和のうちに完全なる武装解除を行いまして、各自の家庭に帰つて生産的生活をいたしたような次第であります。人間相互の関係を支配する崇高なる理想を深く自覚いたしまして、平和を愛好する諸國民の公正と信義とに信頼いたしまして、われらの安全と生存とを保持することに努めたものであります。
 かつて日本國民をこれらの軍國主義に追いやつたところのあらゆる権力と勢力とを駆逐いたしまして、再び戰爭の巻き起ることのないように、これを破壊したところのものをわれわれはすべて破壊し去り、民主的傾向の復活と強化とに努めた次第であります。言論、思想、信教の自由を、そのまた基礎であるところの個人の人権の尊重とともに確立いたしました。一昨年は、憲法によつてこれを内外に声明いたしたような次第であります。
 さらに経済の面におきましても、わが国民をささえ、かつ賠償のできるだけの産業は維持したけれども、再び軍需工業に轉換するような産業は一切ありません。経済力集中排除その他の法律をもつてこれを放棄し、今日におきましては、一般に平和的産業にのみ精進することになつております。また貿易にも入るようなことが、最近において許されたような次第であります。
 さらに、戰時中に失われておつたところの文化の方面におきましても、現在復活の途上をたどつておることは明らかなことでありまするし、わが國の新秩序は、ようやく國民の自由に表明するところの意思に從つて成立しようといたしておるような次第であります。
 かくのごとく、新日本は、新らしき態勢に應ずるように着々改造せられて参つておるのでありますが、しかしながら、内に國民は、この数年の耐乏生活によつて、今疲れ切つておるのであります。インフレは高進して、大衆の生活は圧迫せられておりまするし、租税は上昇いたしまして、ほとんど限界点に達しておる次第であります。金融は逼迫して融通を欠き、労働爭議はまさに勃発せんといたしております。また國際的方面を見ましても、さきには欧州におきまして、今また中國及び朝鮮におきまして、あの通りであります。このときにあたりまして、この解決の一助といたしましても、政府が平和の促進を懇請いたすべきことは当然であります。ことに國際間が平和であることは原則でありまするし、これを要求することは実に国民の権利であると考えておるような次第であります。(拍手)われわれ民族が、平和条約一つだに持たないということは、われわれ民族の努力の足らないことを示すものとなりますから、一日もすみやかに平和を招來せんことを政府にも望む次第であります。
 いよいよ平和が成立した場合に、われらの民族が再び世界の脅威になるようなことは、これはないつもりであります。われらは、すでに武器を放棄して、戰爭を回避しておる次第であります。講和後、日本が無防備地帯になることはありましても、日本の潜在的價値は大きくありましても、これには嚴然たる國際的保障があると信ずる次第であります。われらは安心して、これに信頼を寄するものであります。
 本年一月一日に、マツカーサー元帥は声明を発せられて、日本を近代化し、再建する計画が完成する目が近づいた、すでに下図はでき上り、進路はきめられておる、今後の発展は國民の双肩にある、ということを申されたような次第である。すでに戦犯A級の裁判も最近において終つておりまするし、デモクラシーの考えも、ようやく腹にしみ渡つたような次第でありまして、余すところは、正道を歩もうとするわれわれに脅威となるところの思潮を除去いたしまして、議会や政府は永久にわれわれ國民を絶望の状態に置かぬことであります。これには、政府も國民も一丸となつて努力せねばなりません。
 敗戰三年、焦土のうちに立ちまして、心から本決議案の実現せらるる日を待つものであります。(拍手)
#8
○議長(松岡駒吉君) 一松定吉君。
  〔一松定吉君登壇〕
#9
○一松定吉君 諸君、ただいま上程せられておりまする平和会議促進懇請に関する決議案に対しまして、私は民主党を代表して賛意を表するものであります。(拍手)以下、少しくその理由を説明いたしたいと存じます。しばらくの間御清聽をお願いいたします。
 わが國が、敗戰後すでに三年三箇月を経過いたしました今日におきましては、わが國民は、ポツダム宣言の趣旨を忠実に履行いたしまして、ただいまでは、わが國の政治機構に、また人民の自由と権利に革命的な変化がもたらされまして、憲法の改正、普通選挙の実施、女子の参政権の獲得、議会の改造、天皇制の再檢討を初めといたしまして、警察、司法、教育等の制度の根本的の改革、また農民、労働者の地位の向上など、政治、経済、文化、社会のあらゆる方面にわたりまして民主的傾向を強く推進し、言論、宗教、思想、出版、集会等の自由、その他基本的人権の尊重など、夢想だもしなかつた幾多の改革が、少しの流血の惨事をも見ることなく、きわめて平和のうちに行われましたことは、連合國、ながんずくアメリカ國の多大なる御好意によることは、いまさら申すまでもございません。私はこの際、これら連合國に対しまして、心からなる感謝の意を表したいのであります。(拍手)
 もつとも、この点につきましては、わが國民の愛國の至情の現われであることは、これまた論ずるまでもありません。さりながら、これらの事実は、いまだ十分の域に達していないことは、諸君周知の通りでございます。ゆえに私は、この政治の民生化、文化の向上、経済の再建を一層強度に推進拡充し、かつ世界の平和に貢献しなければならないことは、われわれ日本國民に課せられたる権利と義務であると確信いたすのであります。(拍手)
 このことにつきましては、連合國の深き御理解と御援助によりまして目的を達成することが最も必要であると存ずるのでございます。この意味において、一日もすみやかに対日平和会議の開催を希望するのであります。これは、わが國民の一人残らずが、一日千秋の思いをもつて念願するところであります。されば、政府におきましては、総司令部その他に対し、この際すみやかに平和会議を開催し、世界の平和と人類の福祉増強の実現せられまするよう、懇請に努力する必要があると確信するのでございます。これが、わが民主党が本決議案に賛成いたす理由でございます。(拍手)
#10
○議長(松岡駒吉君) 笹森順造君。
  〔笹森順造君登壇〕
#11
○笹森順造君 ただいま議題となりまして、提案者より趣旨の御説明があり、また二人の議員から御賛成のありました、対日平和会議開催促進懇請に関しまする件につきまして、國民協同党を代表し、私は心からなる賛成の意を表したいと思うものでございます。(拍手)
 顧みますれば、過去三年三箇月、われら日本國民は、すべてこの平和会議開催の一日もすみやかならんことを念願して参つたものであります。そのことの実現せられまするために、私どもは、國内における政治、経済、文化、社会、あらゆる面におきまして、私どもの秩序の整備に努力をし、今日に至つたものであります。
 もとより、戰爭の終局の形式は、由來さまざまあるのでありまするが、近世における國際戰爭の終局の段階は、戰闘停止、休戦條約、講和條約の段階を通して行われるのが、通例であるのであります。しかして、この平和会議あるいは講和條約の締結におきましては、当時國あるいは第三國の居中調停によりまするところの当事者同士の互いの相談により、すなわち條約締結によるところの協議によりまするがゆえに、これはあるいは敗者がその責任をとる意味において重きものがあるにかかわらず、対等の地位において行われて來たのが、今日までの状況であります。しかるところ、今回のわが國のこの戰爭の終局を見まするときに、私どもは、四箇國共同宣言の受諾において行われたことであり、先ほど來お話のありましたように、ミズーリ艦上におけるところのとりきめが終局の形をなしたことは、申し上げるまでもないのであります。
 かくのごとくいたしましては、日本政府の命令による日本軍隊の武装解除によつて、戰闘のない進駐によつて日本の國が占領せられて、今日に及んだのであります。從いまして、これは、わが國の領土の宗主権の喪失でもなく、あるいはまた永久の領土の割讓でもないことも明らかであります。しかして、私どもが日本國民として、日本國のこの國籍を有しておることも、またあらためて申し上げるまでもないのであります。この領土の面に関しては、明らかにこのことが示されておるのであります。しかしながら、占領期間におきまして、明らかに日本の政府は、連合國軍最高司令官に從属してこの政治を行つておることも、また申し上げるまでもありません。從いまして、この占領下におきましては、行政においても、立法においても、司法においても、大いなる制約を受けておることも、また申し上げるまでもないのであります。從いまして、私どもは占領國のその占領政策に從つて、日本の政府がそれぞれの責任を負うたところの政治を忠実に行つて來ておりますことも、また事実なのであります。
 しかして、この段階におきまして、私どもが平和会議の開催を望むといたしましても、私どもが外交の主導権を今発動すべき段階でないことも、また申し上げるまでもありません。ここにおいて、私どもがこれを望むならば、自他ともに許すところの態度、あるいはまた世界に不変なるところの道理に従つて、その公正と信義とをわれわれ自体が求め得る状況に日本自体がなければならぬことも、また言うまでもないのであります。(拍手)
 われらが、いかなる方法をもつて、いかなる態度をもつてここに進むべきかは、すでに四箇國共同宣言のそれらの原則が、私どもの前に明らかに示されておるのであります。これは、対独クリミヤ公報とはその趣を異にいたしまして、事前に戰後経営に関する計画、方向が示されておりますので、先ほど來のだんだんのお話にあります通りに、それぞれの條件に從いまして、日本の國がその整備を急ぎつつあるの実情であるのであります。
 しかして、これにつれて最も大事なことは、何と申しましても、わが國の民主化の徹底であろうかと思うのであります。日本國民の自由なる意思の表明によつて、平和的傾向を有し、しかもまた責任のあるところの政府ができまするならば、占領軍がただちに撤収すると言われて、この四箇國共同宣言の一箇條ができ上つておるのであります。ここに徹底したところの民主化がなされなければならない。
 私どもは、三年の間に、いかなる政府をつくつて來たのでありましようか。もとより私どもは、この点について深き反省を要するのであります。新しい憲法ができました昨年の春、その実現せられました最初の内閣は、まことに民主的な傾向を日本國民の上に現わしましたものとして、われらもかく感じ、また國際的にも歓迎せられたのであります。爾後、いかなる経路をわれらがたどつて來たかは、今私どもが反省する必要があると思うのであります。私ども自身が、國民全体が反省する必要がある。
 その際には、この議場においても、自由なる國民の意思の表明によるところの國会の支持が大多数を持つたのでありました。できるならば、この機会において講和條約が結ばれることを念願したのでありますが、そのことならず、次いで立ちましたところの内閣も、これがために努力をしたのではありましたけれども、國会における支持が過半数を占めたのではありましたが、その数が減つたのであります。現在の内閣においては、さらにまた、國民的な支持が非常に減つているのであります。
 こういうことで、私どもが挙國的な態勢をもつてこの要望をまつたく実現し得るかどうかということについて、私ども自身は大いなる反省をなさなければならない。もしも、このときに、私ども自身が國際的な信望を得ることに反するようなことがありますならば、まことに愼まなければならぬと思う次第であります。從つて私どもは、この点について大いなる反省を持ちながら、この期待を実現するために努力をしなければならない。
 今日まで、講和條約締結に関しますることが、いろいろの國際的外交上の話頭に上つた場合があるのでありますが、先ほど來御説明のありましたように、いろいろの事情で今日まで延びました。しかしながら、幸いに今日また新しい情勢が沸いて來ておりますことは、まことに喜ぶべき次第であると思うのであります。近いうちに、このことが実現される希望が遂げられるでありましよう。
 しかして、この時に、特に私ども自身として注意しておかなければならぬ一箇條があろうかと思うのであります。それは何であるか。もしも、わが國の利己的なる態度においてのみこの講和條約締結を望むならば、あるいは失望しなければならないこともあるかもしれません。傳え聞くところによりますと、イタリアが平和会議に臨んで、その目的が遂げられずして、國民が非常に悲痛なる思いをもつてこれに処したということであります。私ども日本人といたしましては、当然になうべき責任は十分にない、果すべきものは果すの覚悟を持ち、しかして、われわれに與えられます再出発の最低限度を甘受して、ここに再建の覚悟をいたし、その上に國際社会全般に対するところの、われらの寄與すべきものの與えられることを心の中に期し、ここに世界平和と世界に寄與するところの覚悟を明らかにする必要があろうかと思うのであります。
 この意味において、私は、本案がここに可決せられて、すみやかにその趣旨の徹底せられんことを、心から希望する次第であります。(拍手)
#12
○議長(松岡駒吉君) 佐竹晴記君。
  〔佐竹晴記君登壇〕
#13
○佐竹晴記君 社会革新党を代表して賛成の意を表します。
 私は、この決議案に賛成するに先だつて、一言赤誠を披瀝しておきたいと存じます。すなわち、かつての日本軍閥や財閥、官僚の誤れる指導のもとに先般の大戰爭が勃発いたまして世界の平和を撹乱し、友邦中華民國、南洋諸國並びに英米各國に多大の損害を與え、あまつさえ残虐事件まで引起しましたことは、まことに遺憾のきわみであり、率直にその罪を謝し、おわびの誠をささげなければならぬと思うのであります。(拍手)
 さて、われわれ日本國民といたしましても、この戰爭の渦中に投ぜられ、多くの生霊を失い、はかり知られぬ財物を煙にし、ついに悲痛きわまりなき敗戰という結果に追い込まれたのであります。敗戰以來、すでに三年有三箇月、われわれは文字通り塗炭の苦しみをなめて参りました。戰爭の害悪がいかに深刻であり、戰爭がいかに人類の敵であるかということを、身をもつて体験させられたのであります。(拍手)われわれは、好意ある連合國の御援助と御指導のもとに、この敗戰の悲運を深く肝に銘じ、再びかくのごとき過誤を犯さないようにということを念願し、憲法を改正して戰爭放棄を宣言し、人権を確立して民主主義の基本を定め、あらゆる法律、制定の改廃を断行いたしまして、平和的文化國家建設のために面目を一新するとともに、経済の復興再建のために懸命の努力を続けて参つたのであります。われわれは、日夜奮闘努力、ポツダム宣言の趣旨を忠実に実践し、一日も早く國際國家の列に復帰せしめられるよう切望いたしておるのであります。
 マツカーサー元帥におかれましては、昨年の三月十七日、対日講和條約早期締結を提唱せられ、同七月十一日、米國政府の予備会議開催方の提案となつて現われ、われわれは、その希望の達成せられる日の近からんことを神に祈りつつ、感謝感激した次第でありました。その後、ロイヤル陸軍長官、マツコイ極東委員会米國代表、その他の要人たちの相次ぐ対日声明によりまして、対日占領政策の改訂や日本経済自立に関する対日援助が積極化する機運にあることが、うかがわれて参つたのであります。また、本年三月、ケナン國務省政策企画委員長、ドレーパー陸軍次官の御一行の來訪によりまして、対日援助政策がますます促進せられ、かつ、その内容も漸次具体的に明らかにされつつありますることは、まことに感謝にたえないところであります。ここにおいて、いま一歩を進めて、平和会議開催へと推進せられますることを、切望してやまない次第であります。(拍手)
 さらに、中國の前行政院長張群氏御來日に際しましては、日本が独立を回復し、國際國家として復帰できるよう対日講和の早期締結を期待すると語られ、また濠州のマツケル総督は、九月一日、連邦会議開院式の演説中において、濠州当局はすみやかなる対日講和の実現のために努力していると述べられ、いずれも対日講和促進に熱意を示されておりますることは、われわれ日本國民の忘れ得ない感激であります。
 今や、戰爭責任者に対する東京裁判もいよいよ終結し、世界平和のための最後の断が下され、平和への熱情と民主主義への要求がその高調に達しておりまするこのときに、これを契機として一日も早く講和会議の促進せられまするよう衷心より懇請するものであり、ここに本決議案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
#14
○議長(松岡駒吉君) 中原健次君。
  〔中原健次君登壇〕
#15
○中原健次君 私は、ただいま上程に相なりました平和会議促進懇請に関する決議案に対しまして、労働者農民党を代表して賛成の意を表明いたすものであります。
 ここに私は、一應思いを過去に及ぼすものでありまするが、こののろうべき戰爭の惨禍をもたらしましたその原因は、昭和二年のころに、これをまず求めなければならぬのであります。昭和二年当時、わが日本の状態は、金融資本がその独裁への過程を急速に進める様相を呈して参りまして、金融資本の独裁体制を確立するためのまず最初の糸口が、このころに始まつたのであります。その金融寡頭支配の確立は、同時に海外に対する侵略への体制をまたとり始めたのでございまして、かかる体制を進めて参りまするために、國内的には、あらゆる進歩的な民主主義的な動きに対しまして、時の支配階級は決定的な迫害を加えることをもつて、その体制強化への一つの方法といたしたのであります。すなわち、昭和二年以來相次いで起りました現象は、まず学園に対する不当なる干渉、教育に対するさまざまなる迫害、あるいは労働運動に対し、農民運動に対し、あるいは民主主義自由政治運動に対して、すなわち無産階級の解放運動の万般に対して、ありとあらゆる迫害の手を推し伸べて参りました。さらにそのことは、言論、結社、出版、集会の自由を決定的に抑圧する方式をとつて参つたのであります。かくの如き体制の中に、國家主義的な勢力が、そうしてまた國家主義的な動きが、だんだん活発になつて参りました。
 これらを通じて次に現われて参りました、各種の惨をきわめた全國民大衆に対する迫害は、もはやここに私が数え立てて申し述ぶることすら、みずから耐えがたく感ずる次第なのであります。このような一つのフアシズム的な反動体制の強化を通じて、いよいよ海外に対する侵略の様相を明確に強固に固めるに至つたのでございまして、遂にこのようなことを通じまして、右翼的反動勢力の活発化は、同時に國粋的、軍國主義的、軍事的行動の高揚となつて現われ、今回の、決定的に批判を要する、あののろうべきさきの戰爭となつて参つたのでありまするが、まずわれわれは、この過去の批判を通じて、平和会議の促進懇請へのわれわれの心構えをきめなければならぬと考えるのであります。
 ここに、わが日本は、敗戰後、いわゆる平和國家の建設に向い、戰爭放棄の体制を整えることを、すでに内外に宣言をいたしました。その線に向つて、ひた進みに進みつつある現在であることは、私もまた、これを否定するものではございません。しかしながら、そのような敗戰後の平和希求の諸体制をしり目にかけて、今や官界、財界、政界、これらの部面においては、見苦しくも相次ぐ醜状を暴露いたしまして、國際信用を傷つけるのおそれなしとせざる状態を、遺憾ながら露呈いたしたのであります。(拍手)われわれは、このような國内の諸情勢をもつてして、はたしてよくこの平和会議促進懇請のわれわれの要請を達成するために、万滞りなきを期することができるであろうか。ここに大なる反省を、われわれはともにしなければならないと考えるものであります。(拍手)
 われわれは、このような國内の諸情勢と同時に、もう一つの見のがすことのできがたき傾向を指摘しなければならないことを悲しむものであります。それは、さきにも指摘いたしましたように、あののろうべき大東亜帝國主義侵略戰爭のその準備時代におけるわが日本の國内の様相、民主主義的な諸勢力の動き、あるいは出版、集会、結社等々の自由を剥奪して、その間に國粹的な、あるいは國家主義的な、右翼的な反動勢力の台頭を生みましたその様相に似通つた動きが、現実に皆無と断言することができるであろうか、どうであろうか。(拍手)
 われわれは、各種の民主主義運動の中に、そうでないことを遺憾ながら指摘しなければならないような、不当な官憲の弾圧迫害、そうしてまた、全國民大衆の生活権防衛に対する各種の動きに対しまして、許すべからざる支配的迫害をもつて臨み、はなはだしきは集会を蹂躙し、あるいは言論を拘束し、あらゆる場面に國民の自由を拘束づけようとする傾向が、最近顕著に現われつつあることを、見のがすことができないのであります。(拍手)ことに、現吉田内閣が第三國会に提案いたしておりまする法律案のそれぞれの面に、はなはだ遺憾なる点の散見されることを、われわれは見のがすわけに参らぬのであります。(拍手)このような動きをもつてして、はたして、わが日本の國内の民主主義体制が確立され得ると断言し得るかどうか、私はこの点に対して、お互いが眞実に國を愛し、民族を憂うるの立場から、顧みなければならないものと考えるものであります。(拍手)
 しこうして、われわれは、ポツダム宣言に指摘されておりますように、日本國民の間における民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障害を除去し、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の確立に向つて万全の努力を傾倒し、もつて平和会議促進の懇請の願いを一日も早くわれわれは達成し盡さなければならないと考えるのであります。從つて、われわれは、その平和会議の促進を可能ならしむるための國際的な信用を、これらの諸点を通じて確保するために努力しなければならない、このように念願してやまざる次第でございます。
 以上の点を述べまして、労働者農民党を代表して本案に賛成する次第であります。(拍手)
#16
○議長(松岡駒吉君) 宇都宮則綱君。
  〔宇都宮則綱君登壇〕
#17
○宇都宮則綱君 私は、新自由党を代表いたしまして、上程の本案に賛成を表明したいと思うものであります。
 今や、東條以下の戰爭裁判は嚴粛に審判をされまして、断罪を下されつつあるときであります。われわれは、この記録的、世紀的の審判によつて新しき平和が生れることを確信するものであります。これによつて新らしく大なる希望を持つものであります。戦争の罪悪は徹底的に究明され、われわれの心に、このことは深く刻みつけられまして、ただわれわれは、新しき文化國家建設に今や気負い立つておる次第であります。戰爭に悩み、戰いに敗れ、ここ数箇年間戰爭の苦悩を続け、精神的、物質的に過重なる償いを担つて参りました。まつたく、われわれ今日の生活は、暗黒社会に望みなく生きておるにすぎないのであります。あたかも、はてしなき断崖をよじ登るような心境であります。しかし、今や戰爭責任者の断罪により、戰爭の終末決算は遂げられたと思います。
 ここにおいて、われわれは、憂欝なる世相、そして悩み多かりし過去の罪惡の償いを清算いたしまして、平和なる文化國家の建設をこそ切望するものであります。連合國、特に総司令部の好意により、生命のかてである食糧は充足することができたと申しても、願わくは將來自力更生により食糧の確保を望むとともに、かつ一日も早くこれが復活することを切望するものでありまする。
 人間は、食糧の保障もむろん必要でありまするが、人間としての自由、國家としての自由こそ、われわれの望むところであります。この意味において、一日もすみやかに独立國家としての行動を熱望するものであります。もちろん、平和なる文化國家の建設と、國民すべてが眞に民主化するには、この上とも連合國の御指導を常に仰がねばなりません。われわれは、この際、連合國への感謝と感激を事実をもつて表現することを忘れてはなりません。すなわち、これこそ日本建設への光明であり、最善の機会であります。日本國民が興奮感激のるつぼと化するときであります。
 思うに、この光明こそ一にかかつて平和会議の促進により生ずるものであります。日本國家の独立、日本民族の解放、ただこれあるのみであります。今や八千万同胞は、一日千秋の思いをもつて講和会議の促進をこいねがうものであります。平和会議の促進こそ國民朝夕の念願であります。この意味において、私ども新自由党は、本案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
#18
○議長(松岡駒吉君) 中村元治郎君。
  〔中村元治郎君登壇〕
#19
○中村元治郎君 私は、第一議員倶樂部を代表して、ただいま提案されました平和会議促進懇請に関する決議案に対しまして、心からなる賛成の意を表するものであります。
 われわれ日本國民が、終戰後満三箇年余の日子を経過いたして來た今日において、特に切実に講和條約の早期締結を待望する心境にありますことは、いまさら申し上げるまでもありません。前に佐竹氏も申されましたが、中國の張群民来朝の節、明確に次のように述べております。すなわち、日本の朝野が一刻も早く講和会議を結んで自主独立の地位を回復し、國際社会に復帰するのを望んでいることは、私の深く同情しているところであつて、中國政府もまた、その既定政策である講和会議早期開催の主張を貫徹して、関係各國と協議を継続し、一日も早く実現の道を発見することに努力を続けるものと確信している。以上の張群氏の言葉は、語はなはだ簡單ではありますが、まことに意味深長なるものがあり、この際私ども日本國民は、深く反省するところがあらねばなりません。
 すなわち講和会議は、國際情勢下、連合國側の意思によつて最終決定をなされるものと申しながら、われわれは、われわれの立場において國民協力一致、講和会議への道を自主的に切り開く、眞摯なる努力を必要といたしますことは、もちろんであります。私どもは、改正憲法において、戰爭放棄ということを重要項目の一として規定し今後日本の進むべき原則を世界に向つて表明いたしました。國民は、深刻なる敗戰の現実の前に立ち、近くはわが國における戰犯者に対する世界審判の過程を通じ、かつての日本支配階級が犯した世界平和撹乱という國際的罪過に関する日本国民全体の共同責任の自覚及びこれに伴う痛烈なる侮恨を通じて、今後努力邁進することにより、世界の平和と文化への貢献を國民生活最高の指標とすることに相なりました。
 しかしながら、現実の國民生活並びに政治界、経済界の様相は、必ずしも世界の要望にこたえるに耐えるものではありません。すなわち、元対日理事会英連邦代表マクマホン・ボール氏は、その論文において、「日本の心理的雰囲気は、どの方面から見ても、軍隊は死滅したのではなく、冬眠しているのだと思わせるものがある。」、また「日本人は、戰爭と軍隊の放棄について、少しも眞劍に考えていない。」と述べておりますが、この際われわれは、眞実にこの批判の前に頭をたれ、何がかかる印象を與えたのであるかを考えてみる必要があります。
 この際政府は、端的に、率直に、かつ誠心誠意をもつて、日本國民が内心いかに講和條約の早期締結を熱望しているかを世界に表明する必要があることを信じます。今は、奥歯に物のはさまつたような言い方をして、時期を失うべきではない。政府は、国民の熱望に対して無感覚、無責任であつてはなりません。
 本決議案の提出にあたり、心からなる賛意を表するとともに、政府に対し以上を要望するものであります。(拍手)
#20
○議長(松岡駒吉君) 北二郎君。
  〔北二郎君登壇〕
#21
○北二郎君 私は、日本農民党を代表いたしまして、本日上程に相なりました平和会議促進懇請に関する決議案に対し満幅の賛意を表するものであります。
 新憲法のもと、連合國側における厳正にして寛容なる施策のもとに、日本國國民は、遅々たりといえども一歩一歩荒廃を興し、再建の緒につくを得たることは、吾人の最も喜びとするところにして、われわれは、ここに連合國最高司令官を通じて、連合各國に対し、満腔の謝意を表するものであります。
 十一月二十五日、國際裁判に対するマ元帥の声明書には、勝者のおごりもなく、さばく者の尊大さをも捨てられて、ひとしく神の前に置かるる人間としてのあたたかき、理解の言葉を賜わりましたことは、われわれ日本人として、およそ言語に絶する深遠なる感銘を受けたるところにして、ことにその末段において、戰犯処刑の当日、日本國民は宗教のいかんを問わず、形式のいかんにかかわらず、世界平和への祈念をささげよと訓戒せられましたことは、われわれ日本人は、幾たび年を重ねるも、これを遵奉することを誓うものであります。
 由來日本人は、淡白にして、あやまちを知りてこれを改むるにやぶさかならざるものでありまして、敗戰後、ポツダム宣言を國條とし、また数次の声明に対しては、常に愼重これに忠実ならんと努力し來つたものでありまして、教育に、産業に、社会文化に、着々連合諸國家の好意ある指導と援助を受け、その一段階を把握する現実に至つたのであります。
 日本國民は、その勤勉さにおきましては、世界のどの國民にも劣らざる誠実なる國民でありまして、終戰以來、乏しきに耐え、難きを補つて、農業、漁業または鉱工業に献身の努力をささげ、しかして着々その成果を改め來つたのであります。しかしながら、ここに最も大切なることは、早く講和條約が成立し、賠償の限界が決定しなければ、國民の國家再建への本腰が入らず、世界平和に貢献しようとするほんとうの熱意も上つて來ないと申したいのであります。
 また現在、この局限された國土の中に多数の國民を擁し、原料資源の乏しきわが國にありましては、その衣食住すベてを連合國の好意に仰がなくてはならぬ状態でありまして、わが國といたしましては、一日も早く海外の諸國と有無相通ずる貿易の再開を熱望するものであり、また今日ただちにでもこれに感じ得る態勢と準備はできているのであります。かくして、連合國との通商をなし、平和的、文化的なる生産品の輸出を促進し、連合國よりの負担を大幅に軽減し、もつて民族の自主性を獲得し、日本民族の矜持を確立したいのでありますが、講和條約が成立するまでは、日本人の心には何かしら大きな空洞があるのであります。私は、一面この空洞こそは、共産主義を育成する最もよい温床であると言つても、過言ではないと思うのであります。
 また、最近における國際情勢、特に東洋における友邦諸國の情勢にかんがみて、一日も早くわれわれは國内自給の態勢を確保し、わが國に理解ある友邦と相携え、東洋における安定勢力の一翼を負担せんとする誠意と実力とを有することを、ここに明らかにするものであります。幸いにして、最近諸國における各実業團体より有能なる人士の來訪される者多数ありて、深くわが國を観察し、有意義なる助言を得、また日本実業関係者の海外渡航も許されている今日、さらに一歩を進めて、連合國の好意のもとに平和会議を締結し、廣く友邦諸國と思想、政治、経済各面にわたり、隔意なく胸襟を開いてこれと提携し得るは、実にわれわれ國民の熱望してやまざる総意であります。加うるに、現に中國に起こりつつある憂慮すべき変化に対しましても、日本が眞の民主主義の防波堤となるためには、何よりも講和條約によりまして日本の國際的地位が安定することが、絶対に必要であると確信いたすのであります。
 よつて、わが日本農民党は、講和会議が一日も早く行われんことを念願し、本提案に対しまして絶大の賛意を表し、あわせてこれが実現に全力を傾注せんとする誠意を有することを表明するものであります。(拍手)
#22
○議長(松岡駒吉君) 林百郎君。
  〔林百郎君登壇〕
#23
○林百郎君 私は、平和会議促進懇請に関する決議案に対し、共産党を代表して賛意を表する次第であります。
 この平和会議の促進は、全國民の熱望であることは当然でありますが、問題は、これをいかにして具体的に促進するかという、この方策によると思うのであります。
 まず第一に、この具体的な促進の方策としては、日本の民主化を徹底するということであります。顧みまするに、日本の國の民主化にとつて、まだ遺憾きわまる点が多々あると思うのであります。日本の工業化に対して、中國及びオーストラリア等が大きな不安を持つておるという情報が、たくさんの弁士によつて報告されておるのでありますが、このことは、問題は工業化の機械が問題になるのではなくして、日本の國内に今もつて軍國主義的な反動勢力が一掃されておらないということに、中國並びにオーストラリアが日本の工業化に対しての大きな不安を持つ原因があると思うのであります。しからば、対外的に、日本の國にまだ残されておる反動的な勢力というのは、具体的には何を指すかということを、われわれは考えてみなければならないと思うのであります。
 まず第一にわれわれが心すべき点は、憲法違反の芦田政令のごときものが今もつて発布されておるという点、さらに政治追放者が今もつて暗躍を続けておるというような遺憾なる点、あるいは財閥解体等がまつたく不徹底であるという点、または遺憾ながら日本の國の政界がまつたく腐敗しておるような惨状を露呈しておるという点、また労働階級において低賃金が押しつけられて、いわゆるソーシヤル・ダンピングのそしりを招きつつあるという点、さらに農地改革が今もつて不徹底であるという点であります。こうした日本の國の民主化の不徹底に対して、われわれは徹底的な変革を促進しなければならないと思うのであります。このためには、われわれは、ポツダム宣言を嚴正に実施して、日本の民主化を徹底するということが、平和会議促進の具体的方策の第一條件だと思うのであります。(拍手)
 その次に、第二の條件としましては、対外政策といたしまして、一方的に片寄つて――一方の國にのみ片寄つて他國を排斥するというような点、あるいはまつたく日本の國の自主性を忘れて他力本願のみに走るという点、こういう点は、かえつて日本の國の独立を失わしむるとともに、講和の促進を阻害すると思うのであります。われわれの期待するところは、單独に講和のないように、すべての國と平等な講和を講ずべきだと思うのであります。しかも、われわれの信念としては、あくまで日本の國の自由と平和の自力再建を試みるべきものだと思うのであります。
 共産党は、去る八月二十六日に、この講和條件について、具体的な條件を九項目決定したのでありますが、これは私は、ここで詳しくは申し述べませんが、以上の精神を九項目にわけて決定したのであります。
 要するに、われわれは、ここで國民の要望である平和会議の促進を徹底的に実践しなければならない。その準備のために、私は次の三つをここに提唱したいと思うのであります。すなわち、超党派的な講和準備のために、次の三つの方策を提案したいと思うのであります。第一には、平和会議促進のための大國民運動を起すということであります。第二としましては、具体的な立案に基いて、具体的に交渉を開始するという点であります。第三としては、從來平和会議の促進に対して、政府はすこぶる冷淡であり、消極的であつたと思うのであります。われわれは、この平和会議促進懇請に関する決議案の上程と同時に、この際政府を徹底的に鞭撻してこの促進をはかられんことを希望するのであります。
 これをもつて私の賛成演説を終りたいと思います。
#24
○議長(松岡駒吉君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
 内閣総理大臣より発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣吉田茂君。
  〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#26
○國務大臣(吉田茂君) ただいま議決せられた決議案に対して、政府の所感を申し述べます。決議案の御趣意は、政府といたして満腔の賛意を表するものであります。(拍手)わが國に対して常に理解と同情を寄せられるマツカーサー元帥におかれても、必ず同情と理解をもつてこの決議案の趣意を了せられるだろうと思います。(拍手)政府といたしましては、この決議案の趣意に沿うように善処いたしますことをここに申して終ります。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○今村忠助君 残余の日程はこれを延期し、明二十九日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#28
○議長(松岡駒吉君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時三十七分散会


ソース: 国立国会図書館
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