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1948/11/17 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第6号
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1948/11/17 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第6号

#1
第003回国会 法務委員会 第6号
昭和二十三年十一月十七日(水曜日)
    午後二時四十分開議
 出席委員
   委員長代理 岡井藤志郎君
   理事 猪俣 浩三君
      佐藤 通吉君    樋貝 詮三君
      池谷 信一君    石井 繁丸君
      石川金次郎君    榊原 千代君
      森 三樹二君    荊木 一久君
      北浦圭太郎君    中村 俊夫君
      安田 幹太君
 出席政府委員
        檢 務 長 官 木内 曽益君
        法務廳事務官  岡咲 恕一君
 委員外の出席者
        專  門  員 村  教三君
        專  門  員 小林 貞一君
    ―――――――――――――
十一月十五日
 刑事訴訟法施行法案(内閣提出第一八号)
 裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提
 出第一九号)
 囚人獄外作業特別許可に関する請願(中嶋勝一
 君紹介)(第一一九号)
 苫前村に司法事務局出張所設置の請願(坂東幸
 太郎君紹介)(第一三四号)
 網野町に簡易裁判所設置の請願(大石ヨシエ君
 紹介)(第一六五号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 刑事訴訟法施行法案(内閣提出第一八号)
 裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提
 出第一九号)
    ―――――――――――――
#2
○岡井委員長代理 これより会議を開きます。
 刑事訴訟法施行法案裁判所法の一部を改正する等の法律案の両案を一括して議題といたします。政府より提案理由の説明を願います。
    ―――――――――――――
#3
○木内政府委員 ただいま上程に相なりました刑事訴訟法施行法案の提案理由について御説明いたします。
 この法律案は、明年一月一日から施行になりまする新刑事訴訟法の施行に関し必要な経過的措置等を定めたものであります。
 第一條は定義規定であり、第二條から第十九條までは刑事訴訟法に属する事項の経過的措置について規定し、第二十條は私訴の廃止に伴う選挙関係法律の手当について規定し、第二十一條は刑事訴訟費用法の一部改正について規定し、第二十二條は訴訟費用等臨時措置法の一部改正について規定し、第二十三條は二つの関係法令の廃止について規定しているのでありまするが、いずれも新刑事訴訟法の施行に関連するものであります。
 まず刑事訴訟法に属する事項の経過的措置でありまするが、大原則といたしましては、すべて事件は、新法施行前に第一審における第一回公判期日が開かれているかいなかは区別の標準といたしまして、新法施行前に第一審における第一回の公判期日が開かれた事件につきましては、新法施行後も、なお旧法及び應急措置法によることとし、新法施行の際まだ第一審における第一回の公判期日が開かれていない事件につきましては、原則として、新法を適用することにしたのであります。第二條が前者に関する原則規定であり、第四條が後者に関する原則規定であります。しかして第三條は旧法主義に対する例外を規定し、第五條から第十五條までは新法主義に対する例外ないし補正について規定しているのであります。第十六條及び第十七條は確定訴訟記録閲覽の手数料等について規定し、第十八條は新法施行の際係属中の私訴は通常の民事訴訟手続によつて完結すべき旨を規定し、第十九條は最高裁判所の規則で必要がある場合には補充的経過規定を設けることができる旨を規定しているのであります。
 次に御留意を願いたいのは第二十一條の刑事訴訟費用法の一部改正でありまするが、この改正によりまして、國選弁護人に給すべき日当、旅費及び宿泊料は鑑定人に給すべきものに準ずる額とし、これを刑事訴訟費用のうちに加えることにした次第であります。
 以上で簡單ながら提案理由の説明を終えることにいたしまするが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。
#4
○岡井委員長代理 次は岡咲政府委員。
#5
○岡咲政府委員 ただいま上程になりました裁判所法の一部を改正する等の法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 まず第一條について御説明申し上げます。本條は裁判所法を改正する規定でありますが、本條による裁判所法の改正の要点は次の三点であります。
 すなわちその第一点は、最高裁判所の小法廷で裁判することのできる事項の範囲を廣げまして、大法廷の負担の軽減をはかつた点であります。現行の裁判所法第十條第一号によれば、当事者の主張に基いて法律、命令規則または処分が憲法に適合するかしないかを判断することは、もつぱら大法廷のなすべきところに属しておりまして、小法廷のなし得なかつたところでありますが、このような憲法問題に関する事件でありましても、すでに一度大法廷が憲法違反ではないとの判断を下しております以上、同樣の判断を大法廷において、繰返して行う必要はないものと認められますのみならず、かかる事件が最高裁判所に山積いたしております現状におきまして、一々大法廷を開く繁を避け、小法廷をしてすでに定まりました大法廷の判例に從つて裁判をなさしめてもさしつかえないものと考えられるのであります。またかようにして大法廷の負担をして軽からしめることは、大法廷をしてますますその本來の任務を効果的に遂行せしむるゆえんであろうと思われます。このゆえに今度裁判所法第十條第一号を改正いたしまして、小法廷が裁判することのできる事件の範囲を拡張いたしました次第であります。
 次に改正の第二点は、今度現行の家事審判所と少年審判所を統合して、家庭裁判所という新しい裁判所を創設することにいたしましたので、裁判所法第三篇中に新たな一章を設けて、第三十一條の二ないと五の規定を置き、家庭裁判所の組織及び権限を規定いたしました点であります。すなわち第三十一條の二におきましては、家庭裁判所こ判事及び判事補をもつてこれを構成すべきものとし、第三十一條の三におきまして、家庭裁判所が行う裁判権及びその他の権限を規定し、また第三十一條の四におきまして、これらの裁判官は家事審判法第四條の規定によつて、除斥、忌避の裁判を行う場合等を除いては原則として單独で裁判を行うこととし、第三十一條の五におきましては、第三篇第二章地方裁判所の章下における判事補の職権の制限、裁判官の職務の代行、司法行政事務、事務局及び支部出張所等に関する規定を準用いたしておるのであります。なお裁判所法の他の章下の條文で、家庭裁判所の創設に伴い当然に訂正を要することとなりました規定の改正をいたしました。尊し裁判所法第二條、第十九條、第二十八條、第三十三條、第四十一條第二項、第四十二條第一項、第四十四條第一項、第五十條、第五十九條、第六十條第一項、第六十四條、第六十五條及び第八十條の改正がこれに該当いたします。また家庭裁判所には少年保護司という新しい裁判所職員を置くことといたし、これに関して新しく第六十條の二という新しい條文を置きました。
 次に改正の第三点といたしましては、第二回國会による刑事訴訟法の改正によりまして、刑事事件の訴訟における事実の審理は原則として第一審限りとなりましたので、從來地方裁判所に提起されておりました簡易裁判所の刑事の第一審の判決に対する控訴及び簡易裁判所の刑事に関する決定、命令に対する抗告を直接高等裁判所に提起すべきものといたしました。これが今回第十六條及び第二十四條に規定された高等裁判所及び地方裁判所の管轄を改正いたしました理由であります。
 以上三点が第一條による裁判所法改正の重要点でありますが、この外にもなお、次の諸点につき裁判所法の改正をいたしました。すなわち最高裁判所事務局の事務の輻輳に伴い最高裁判所事務局の機構を拡路する必要がありますので、第十三條の規定を改め、最高裁判所事務局の名称を最高裁判所事務総局と称することにいたし、また最高裁判所に図書館を設けることにいたしまして、これに関して新たに第十四條の二、第五十六條の二及び第六十條の二等の規定を置き、図書館、図書館長及び裁判所司書官等に関する事項を規定いたしました。次に從來最高裁判所長官にのみ附されておりました秘書官を最高裁判所の各判事及び各高等裁判所長官にも付することといたし、これに関して高最裁判所長官秘書官に関する第五十四條の規定を改正いたしますとともに、高等裁判所長官秘書官について第五十六條の二という新しい規定を設けました。さらに第六十三條第一項の改正は、現在傭員である廷吏のうち若干のものは廷吏の優遇上三級の職員といたす必要がありますので、法律で定める員数に限り三級とすることができることにいたすための改正であり、最後に第六十四條の規定は裁判官以外の裁判所の職員の任免及び敍級に関する規定でありますが、この規定につきまして前述いたしました家庭裁判所の設置に伴う必然の改正の外、今度裁判官以外の裁判所の職員の任免及び敍級を内閣と関係なく、最高裁判所以下各高等裁判所並びに各地方裁判所がこれを行うことに改めましたのは司法行政の独立を保証することが司法権の我立を確保するゆえんであり、また今國会に提出いたしました公務員法改正の主旨にも沿うゆえんと考えた次第であります。
 続いて第二條について御説明申し上げます、第二條は裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律第三條及び第十四條の改正に関する規定であります。同法第三條によれば、各高等裁判所はその管轄区域内の地方裁判所及び簡易裁判所の裁判官の免官及び懲戒に関する件について裁判権を有するのでありますが、今回これを改正いたしまして、各高等裁判所はその管轄区域内の家庭裁判所の裁判官の免官及び懲戒についても裁判権を有するものといたしました。また同法第十四條によれば、同條第一項に掲げた裁判所職員のうち、三級のものについては、懲戒による減俸並びに懲戒による譴責は最高裁判所の定めるところにより最高裁判所、各高等裁判所及び各地方裁判所がこれを行うことになつておりますが、今回これを改正いたしまして、家庭裁判所にも右に述べました裁判所職員についての懲戒を行い得ることにいたしますとともに、裁判所法第六十四條の改正によりまして、裁判官以外の裁判所職員の任免及び敍級は内閣と関係なく、最高裁判所の定めるところにより最高裁判所以下各高等裁判所、各地方裁判所及び各家庭裁判所がこれを行うことになりましたのに軌を一にいたしまして、懲戒による免官につきましても内閣に関係なく裁判所職員懲戒委員会の議決により最高裁判所以下各高等裁判所、各地方裁判所及び各家庭裁判所がこれを行うことといたし、また裁判所法の改正によりまして、最高裁判所長官のほかにも最高裁判所各判事及び各高等裁判所長官にそれぞれ秘書官を付することになりましたので、本條について必要の改正を施した次第であります。
 第三條は判事補の職権の特例等に関する法律の改正でありますが、同法第一條の改正は家庭裁判所が新たに設けられましたことに基くものであり、第二條の二の規定を新たに設けましたのは、この法律の第二條で判事または檢事たる資格を有する満洲國の推事または檢察官の在職年数を判事、判事補または檢察官の在職年数とみなしているのでありますが、このたびこの法規の適用範囲を廣げ、判事または檢事の資格は有しなかつたものでも、司法官試補たる資格を有し三年以上満洲國の一定の官職にあつたものは、その三年後の在職年数は、これを判事、判事補または檢察官の在職年数とみなすことといたしました。
 第四條は裁判所職員の定員に関する法律の改正でありますが、同法第四條を改正いたしましたのは、裁判所法第六十三條の改正によりまして、廷吏のうち若干名を三級となし得ることとなりますので、從來三級の裁判所事務官のうち同数の定員を本條から削りますとともに、新たに第六條を設けまして、三級の廷吏の定員を規定した次第であります。
 第五條の檢察廳法第二條の改正は、新たに家庭裁判所が設けられたことに対應するものであり、同法第十九條及び三十八條の改正は少年審判所が消滅することに基くものであります。
 第六條は法務廳設置法におきまして、將來少年裁判所として発足することを予定されておりました少年審判所が家庭裁判所に統合されることになりましたので、法務廳設置法第十條及び第十五條中の「少年裁判所」を「家庭裁判所」と改めるための改正規定であります。
 第七條は刑事訴訟法第四百六十三條を改正する規定でありますが、簡易裁判所が略式裁判を不相当と認める場合に、事件の地方裁判所に移送することに関する規定である同條の但書を削除いたしましたのは、新刑事訴訟法立案当時は裁判所法第三十三條の簡易裁判所の管轄の規定を改めまして、簡易裁判所は、刑事に関しては選択刑として罰金の定められている罪については略式裁判しかなし得ず、略式裁判を不相当と認めるときは、これを地方裁判所に移送することになつていたのでありますが、今度裁判所法第三十三條の規定の改正は前述いたしました程度にとどめることにいたしましたので、この刑事訴訟法第四百六十三條但書の規定は不必要となりました。これが同條を改正いたしました理由であります。
 第八條は家事審判法の改正に関する規定であります。今回同法中の「家事審判所」を「家庭裁判所に改めますとともに、從來地方裁判所の支部でありました家事審判所が少年審判所と合同して家庭裁判所に統合されましたので、家事審判所を地方裁判所の支部といたしております。同法第二條を改め、また家投裁判所の組織及び権限に関する規定が裁判所法の中に取入れられることになりましたので、從來これらの事項について規定いたしておりました家事審判法第三條の規定を改正いたしました次第であります。なお同法第十條及び第二十二條によれば、家事審判所が地方裁判所の支部であります関係上、家事審判所の参與員及び調停委員は地方裁判所が毎年選任することになつておりましたが、今度これを改正いたしまして、家庭裁判所が参與員及び調停委員を選任することにいたしました。
 第九條は家事審判所が家庭裁判所にかわります関係上、民法その他の法律中「家事審判所」を「家庭裁判所」に改めた規定であります。
 終りに附則について御説明申し上げます。第十條におきまして、本法中新たに設けました規定のうち、裁判所図書館に関する裁判所法第十四條の二、第五十六條の二、及び第六十條の二の規定、一定の満洲國の官吏の在職を判事補または檢察官の在職とみなす判事補の職権の特例等に関する法律第二條の規定及び廷吏の定員を定めました裁判所職員の定員に関する法律第六條の規定並びに最高裁判所の小法廷の取扱う事件の範囲を廣げた裁判所法第十條の改正規定、裁判所廷吏の若干を三級となし得るものとした同法第六十三條第一項の改正規定及び三級の裁判所事務官の定員を改めました裁判所職員の定員に関する規定の施行期日は、これを本法公布の日と定め、その他の規定の施行期日を昭和二十四年一月一日といたしましたのは、前者の規定はこれを即刻施行する必要があるのでありますが、その他の規定は主として新刑事訴訟法の改正及び家庭裁判所の発足に伴い必要な改正規定でありますので、改正刑事訴訟法の施行期日であり、かつまた家庭裁判所の発足いたします昭和二十四年一月一日をもつてその施行期日を定めた次第であります。以下第十一條は裁判所法第十六條、第二十四條及び第三十三條の改正により高等裁判所、地方裁判所及び簡易裁判所の刑事事件の管轄が変更されましたのに関連いたしまして、昭和二十三年十二月三十一日当時これらの裁判所に係属いたしております刑事事件の取扱いについての経過的規定を、第十二條は少年審判所が家庭裁判所に統合され、從つて少年審判官という官名が消瞬いたしましたのに伴い、裁判官の任命資格に関する経過規定を、第十三條は同しく少年審判所が家庭裁判所に統合されるのに伴い、昭和二十三年一二月三十一日当時少年審判所に係属中の事件を引継ぎ取扱うべき管轄家庭裁判所を定めるべき経過的規定を、第十四條ないし第十八條は家事審判所が家庭裁判所に義りかえられますに際して、家事審判所に係属している事件の措置等に関する経過的規定を、又第十九條は本年一月一日改正の民法施行に際して経過的に家事審判所をして行わしめた事項を、今度家事審判所が家庭裁判所に切りかえられるに当つて、これを家庭裁判所に行わしめるべきことにいたしました経過的規定を、それぞれ定めたものであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことを御願いいたします。
#6
○岡井委員長代理 本日は提案理由を聽取するにとどめ、これにて散会いたします。
    午後三時散会
ソース: 国立国会図書館
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