くにさくロゴ
1948/11/19 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第7号
姉妹サイト
 
1948/11/19 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第7号

#1
第003回国会 法務委員会 第7号
昭和二十三年十一月十九日(金曜日)
    午後一時五十六分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 鍛冶 良作君
   理事 佐竹 晴記君
      佐瀬 昌三君    佐藤 通吉君
      井伊 誠一君    池谷 信一君
      石井 繁丸君    石川金次郎君
      榊原 千代君    森 三樹二君
      荊木 一久君    中村 俊夫君
      安田 幹太君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 殖田 俊吉君
 出席政府委員
        法務調査意見長
        官       兼子  一君
        法務行政長官  佐藤 藤佐君
        法務廳事務官  岡咲 恕一君
        法務廳事務官  野木 新一君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        次長      五鬼上堅磐君
        專  門  員 村  教三君
        專  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
十一月十七日
 副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出第三号)
 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第四号)
同月十八日
 大垣市に刑務所支所設置の請願(山本幸一君紹
 介)(第二九一号)
 私立少年矯正施設存続の請願(圓谷光衞君外一
 名紹介)(第三二七号)
 岩井町に簡易裁判所及び檢察廳設置促進の請願
 (庄司彦男君紹介)(第三七六号)
 戸籍事務担当の市区町村吏員を官吏とするの請
 願(今村忠助君紹介)(第三八五号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出第三号)
 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第四号)
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
 一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
 裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提
 出第一九号)
    ―――――――――――――
#2
○鍛冶委員長代理 これより会議を開きます。
 副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)両案を一括して議題といたします。両名はさきに予備審査として付託せられておりましたが、参議院を通過して十七日本委員会に本付託せられました。御参考までに申し上げておきます。それでは両案について審査を進めます。御質疑はありませんか。
#3
○井伊委員 戸籍手数料の額を定める法律の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいと思うのであります。改正の点は「第二條、第三條並びに第四條第一項及び第二項中「五円」を「十二円」に改める。」という点でありますが、これはその理由となつておりますのは、結局物價の高騰によつて五円が不適当であるから十二円に上げる、こういうことでありますが、第二條の方の内容は、これは戸籍の閲覧の手数料であります。それから第三條の方は、これは謄抄本の下付についての手数料であります。第四條の方は、これは謄抄本の戸籍上の変化がないということの証明をするものであるのであります。從來これらの手数料はいずれも同額になつて、数次それが改正増額になつているのでありますが、今日に至つてこれを見ますると、その手数料の内容についてかなり違うところがあると思うのであります。これが三つの場合とも同一率にしてある根拠はどういうものでありましようか、これをお尋ねしたいと思う。
#4
○佐藤(藤)政府委員 仰せのように戸籍手数料の額を定める法律の第二條は、閲覧一回についての手数料でありまして、第三條は謄抄本の交付一枚についての手数料、それから第四條は証明書一件についての手数料でありまして、それぞれその單位が異つておりますけれども、手数の点においては第二條の一回についての手数、第三條の一枚についての手数、第四條の一件についての手数がほぼ同一と見られますので、從來から同じ額になつております。今回の手数料の増額につきましても、第二條の一回についての手数料、第三條の一枚についての手数料、第四條の一件についての手数料を全部同じように大体二倍半程度の増額、五円を十二円に増額することに立案いたしたのでございます。
#5
○井伊委員 閲覧の場合の手数料と謄抄本一枚に対する手数料、証明一件についての手数料、これらは大体その手数料の点において同じだということでありますが、これが元のように非常に額の低いときにおきましては、これをわけることは実際は手数において違つておりましても、それをわけるほどのこともなかろうというのがむしろ根本でないかと思うのであります。しかし今度これを五円のものを十二円にするということになり、なおさらにこれを檢討してみて、その額の適否を考える場合になりますと、その手数の問題を考究してみる余地はあると考えるのであります。第二條の場合における閲覧と申しますのは、結局実地を見ますと、代書人にその願書を書いてもらつて出せば、結局本人がその謄本を閲覧するか、あるいは代書人にこれを閲覧せしめるというのでありまして、市町村の係の者の手数というものは何もない。ただ台帳を出して見せるということなんで、手数は大したことはないのであります。それから第四條の方の証明の手数料でありますが、これは先にあるところの謄抄本にその後の変化がないかどうかということでありまして、一應これは台帳と対照する手数があります。これはむしろ閲覧の場合よりは、私は市町村の方の関係では手数のかかるものであると考えるのであります。しかしそれにしても、これに対して判を押してやるというだけのことですから、大した手数ではない。それに反して、第三條の謄抄本の下付の手数料というのは、單に手数だけではなくして、これには実費も含まれているのであります。そして一々その原本を寫して行くものでありますから、現実におきましてはこれが非常な、戸籍係の方の最も時間を要する、手数を要するものなのであります。今日閲覧を願い出る者と証明を願い出る者というのは非常に少いのでありますが、大部分は謄抄本の下付申請をするのでありまして、これは最近親族法、相続法等の改正に基いて頻繁に起きて参ります家庭関係の事件に関して、この謄抄本の下付申請というものは著しく殖えているという実情であります。ですから第三條が、実は地方の方からの改正を要求する請願の中心となつているものと見なければなりません。ここにおきまして、資料としていただいておりますものによつて見ましても、大体第三條の方の謄抄本の下付申請のときの実費はどのくらいかかるということが、それに対する重要な審査の根底になつているわけであります。それにかんがみましても、大体十一円何ほどか、結局十二円にほぼ近いという額が現われておりまして、これが眞に信すべきものだといたしますならば、むしろこれによつては第二條の方や第四條の方は減らさなければならぬか。十二円の案は高きに失するのではないかという考え方も起きるのであります。そこでお聞きしたいのですが、第二條、第四條と第三條における実際謄抄本の下付の場合におきまして、どちらの方が一体十二円に適するというのですが、そういう御見解を伺いたい。
#6
○佐藤(藤)政府委員 仰せのように嚴密に計算いたしますれば、たとい第二、第三、第四條の手数は同じであつても、第三條の謄抄本の交付については、手数のほかに用紙代、印刷代、消耗品、それから入件費等の実費を要しますので、第三條の謄抄本の交付の手数料が本來第二條の閲覽や第四條の証明についての手数料よりも高かるべきであるという仰せについては、まことにごもつともであると存ずるのであります。しかしながら第二條の閲覽の場合でありますが、これは御承知のように閲覽の際には、求めに應じて戸籍吏員が戸籍簿、あるいは除籍簿を倉庫から取出して來て、そしてその面前で閲覽者に書類を閲覽せしめているのであります。その閲覽の際には登記簿、除籍簿について一件とか、あるいは一枚の閲覽をするというのではなく、その際に関件でも閲覽できるわけでありますから、さような点を考え、またあまり閲覽の手数料が低い場合には、いたずらに閲覽する者が多くなりはしないかというようなおそれもありまするので、一般の物價指数の騰貫に照して、第二條の閲覽の手数料もやはり大体二販半程度の増額が相当であろうというふうに考えたのであります。ところが第三條の戸籍の謄抄本を交付する場合には、いろいろ実費も要しまするので、あるいは第二條の閲覽の手数料よりも、もう少し増額の率を高める方が相当ではないかという意見もおありだろうと思うのでありまするが、現在の経済情勢から見て、当分物價騰貴が継続し、あるいはさらに物價騰貴が進展するという見通しのもとに、第三條の謄抄本の交付の手数料は、あるいはもう少し高める方が相当であろうというふうにも考えられるのであります。第四條の証明の手数料は、これは現在の物價騰貴の率から見まして、やはり十二円ぐらいに増額する方が適当と考えておるのであります。
#7
○井伊委員 ただいまの御説明で、大体御意向もうかがわれるのでありますが、そうしますと、第三條の方のものを、かりにこれを二十円というようなことにすれば、その点では御意見としてはどうでありましよう。
#8
○佐藤(藤)政府委員 第三條の戸籍の謄抄本の交付についての手数料を、從來五円とあるのを、改正法律案では十二円と提案いたしておりまするけれども、場合によつては、一般の物價指数の割合に應じて、十五円ぐらいまで増額することは、あるいは適当かとも存ぜられるのでありますけれども、二十円まで増額することについては、一般の物價体系との関係もございまして、なかなか困難ではないかと思われるのであります。しかし市町村の要望といたしましては、仰せのようにこの際二十円まで増額してくれという要望が非常に強いのであります。
#9
○井伊委員 もう一点伺います。これは結局戸籍法第五條によりまして、市町村の收入になるものでありますが、これが第二項でもつて、その額は法律でもつてこれを定める、こういうことになつておるのでありますから、國会でもつてその必要に應じてかように頻繁に改正をしなければならんことになつておりますが、実際この事務を扱つておりますところの市町村におきましては、物價がかように騰貴をいたしまして、その都度困難をいたしておりますために、請願をしたりしておるのであります。また國会にも議案を出して修正をしなければならぬことになつておるのでありますが、これを國法をもつて規定するゆえんは、おそらくはその戸籍関係の手数料というものは、全國的に一率なることを希望するという趣意に出ておるものだろうと思うのであります。しかしながら、かようにすでに実際が市町村の收入となるところのものを、法規に災いされてこちらでやつて行くというようなことは、向うの方でも非常に困るというような事態になつて参りましたが、いつそのこと戸籍法の第五條第二項によつてその額を定めるというのを廃止して、そうしてこれは地方の公共團体の條例に委ねるということにするならば、むしろ実際に適するのではないか。ただ今考えるところの、全国なるべき同じような手数料で行かなくては困るという点は、たしかに考えられると思うのでありますが、これはどうしてもそういうふうにしなければならぬものか。まあ想像のごとく、それがこの法律をもつて扱うという理由であるとして、それはどうしても強行をしなければならぬ大きな理由になるかどうか。私の考えでは、これを廃止して、地方に権限を委讓してみても、やはり直接影響するのは、その所に住んでいる市町村住民でありますから、これを極端に高率なものを取立てるというようなことをすれば、市町村議会において市対が出るに相違ないのデ、一般市民に関係が深いような手数料を高くとつて、そうして税收入をはかるというようなことは、私は自然ないものであるというふうに考えるのでありますが、その辺、今これを地方に委譲するというようなお考えはないかどうか、伺います。
#10
○佐藤(藤)政府委員 戸籍手数料の額を定めるにつきまして、一々法律によらなければならないということは、仰せのように戸籍法の第五條第二項で定められておるのでございます。これは政府案としては、戸籍法の提案の際に、手数料の額は政令でこれを定めたいという原案でありましたのを、國会の御修正で法律で定めるように改正されたのでございます。法律といたしましても、また政令といたしましても、これを市町村にゆだねないで國家で定めるというふうにいたしますことは、これはまつたく仰せのように各地方々々で手数料に差別があつてはならない。これを統一したいという趣旨にほかならないのでございます。なお戸籍は國民の権利義務に重大な関係がある登録でありまするので、手数料の額を定めるにつきましても、政令または法律で国家でこれを一定して定めるということが望ましいのじやないかと思われるのであります。今のところ全部これを地方に委讓するということは考えておらない次第でございます。
#11
○榊原(千)委員 この手数料の問題ですが、これは國民の権利の問題についての重大な登録ではあるにいたしましても、手数料などというものは枝葉末節の事柄ではないのでありましようか。それでこういうことを中央の行政府において関係いたしますよりも、これをむしろ地方に委讓いたしますことが、今日はできないといたしましても、將來において行政の民主化とか、あるいは行政が中央集権的な面からだんだん地方分権的に、地方の行政機関に委讓されるというような建前におきまして、將來これを地方に委讓した方がいいというようなふうにはお考えになりませんでしようか。もちろん全國一率であるということはよいことだと思いますけれども、これは私的企業でも何でもありませんから、非常に非常識な差はつかないだろうと考えますので、この点ちよつとお伺いしておきたいと思います。將來の問題でございます。
#12
○佐藤(藤)政府委員 戸籍事務は重要な國家事務でありまして、國民の権利義務に直接影響するものでありますから、できれば国家において統一した制度を持つ方が適当と考えるのであります。しかしながらそのための費用を現在のようにすべて市町村の負担とするということは、非常に重要なる國家事務を委任して置きながら、その費用だけを市町村に負担せしめて置くという現状はまことに適当でありませんので、將來はその費用は全部國庫において負担するように仕向けて行きたいと考えております。現在のところ、手数料だけを各地方にまかせるということについては、先ほど申し上げましたように、考えておりません。しかしながらこの点は、戸籍事務に関する費用を国家で負担することに関する問題と並行して研究いたしてみたいと考えております。
#13
○井伊委員 ただいまの榊原委員からの御質問によりますと、大体將來においては、私らの予想したものとはちようど逆に、手数料の方も國庫の方に納めるということにしたいということですが、これは將來のことでありますから、今論議すべきでもないかと思いますけれども、一應形の上においてはそれでいいといたしましても、たとえばそういうふうになつておりますと、証明の方の費用等のごとき、そういうものについては今度國庫から特別に地方へその費用をまわしてやらなければならぬというような、非常にむずかしい問題が起きて來ると思うのであります。些末なことであつて、ただ形式だけは威容がはなはだ整うて來ますけれども、問題は手数料の額はあまり差別があつては困るというにとどまるのであつて、これは費用の問題にすぎないのであります。戸籍の実体については、これはもう嚴として、裁判所が管轄しておるのでありますから、手数料の問題までを持込んで大藏省を煩わすということは、どうもあまり当を得たものではないと考えるのであります。むしろこれは將來においては、現在これからだんだん地方分権、地方自治体というものがいよいよ確立をして行く方向にこれをもつて行くべきものだ。ことにこれのごときは、政府においても法律としたのは、むしろこれは國会が何か間違いのようであつて、政令として行くべき案さえもできておるところから見れば、これはだんだん地方へ分権するという傾向を持つておられたと思うのに、逆に今度みんな上の方に上げてしまおうという考え方はどうかと思うのでありますが、これはまあ意見でありますから、なおそれらに対してはお考えを願つておきたいと思うのであります。これは今お聞きしても今のような御答弁でしようから、御研究を願つておきたいと思うのであります。
#14
○佐藤(藤)政府委員 ただいまの御意見の点は、將來十分研究いたしたいと思います。
#15
○鍛冶委員長代理 それでは右両案に対する審査は、本日はこの程度でとどめ、日をあらためて続けることにいたします。
    ―――――――――――――
#16
○鍛冶委員長代理 次に下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一九号)右両案を一括して議題とし、審査を進めます。
#17
○中村(俊)委員 私は裁判所法の一部を改正する法律案について、二、三総括的にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、その前にちよつとお尋ねいたしたいのです。本日御出席になつておる最高裁判所の御答弁を願う方は、どの地位の方がお越しになつておられるのす。私の伺いたいのは、少し総括的に最高裁判所の監督その他の問題についてお尋ねいたしたいので、各條についての質疑は私は後ほどいたしますが、その点について責任ある御答弁が願える方がおいでになつていられるかどうかを伺いたいのです。
#18
○岡咲政府委員 最高裁判所事務局次長の五鬼上さんがお見えになつておりますから、十分責任ある御説明がおできになることと確信いたします。
#19
○中村(俊)委員 私はこの際意見を申し上げたいのですが、当委員会が開会されて今日まで重要な法案が相当出ているにもかかわらず、法務総裁は一回も顔出ししない。一番最初に田中政務次官が來て簡單な挨拶をされただけで、それ以來今日まで、最高責任者である法務総裁はこの委員会に顔を出していない。御承知の通り本会議においても、政府側が委員会に出ることが非常に不熱心だということが論議されている今日でありますし、当委員会は御承知の通り政党政派を超越した純粋な法律に関する法律案が提出されておるのでありますから、われわれは決してこの問題を取上げて政治的な問題にしているのではない。ただ総括的な問題について最高責任者であり法務総裁の意見を聞こうとしてもほとんど出られないというのでは、私は法律の審議が円滑にできないと思う。この際特に委員長に私の意見を申し上げて、これが励行になるように政府を御鞭撻願いたい。
#20
○鍛冶委員長代理 必要があればいつでも呼びます。必ず大臣を出させます。
#21
○中村(俊)委員 それでは裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、二、三総括的な御質問を申し上げたいと思います。一番最初にお尋ねいたしたいのは裁判官会議の問題であります。御承知のごとく裁判所法が制定されて今日まで、司法行政事務というものはすべて裁判官会議によつて処理されていることは申すまでもありませんが、これも一つの民主主義的な制度として、原則的には私らは賛成をしているのでありますけれども、この裁判官会議によつて司法行政事務が運営されている関係上、責任の帰属が非常に不分明であるという点を指摘いたしたいのです。なるほど予期することについて裁判官会議が開かれて、それにその問題がかけられて決するということは当然でありますが、突発的問題について、たれが責任を持つのかという点が裁判所法には一つも明らかにされていない。かりにこれを地方裁判所に例をとつて見ましても、地方裁判所の所長の責任監督というものは、裁判所法に書かれている点は実にわずかなものでありまして、大体裁判所長というものはほとんどロボツト的存在にすぎないのでありますが、かりに裁判官会議に上ることはあらかじめ承知されたる問題ですが、突発的に重大な問題が起つてときにたれが責任をとるかということについて、最高裁判所はどういう方針をとつておられるかをまず伺います。
#22
○五鬼上説明員 ちよつとお答え申し上げる前に、今度國会法が改正になりまして、裁判所からも國会の委員会に出席して説明ができることになりました。裁判所に関することはごく少いことでありましようけれども、今國会からこちらに出て説明させていただきます。
 ただいまの御質問は、裁判所法の建前では裁判所の行政というものはやはり裁判官会議でやる建前であるからして、すべて裁判所の司法行政というものが裁判官会議で行われているのはお仰せの通りであります。そしてやはりその責任者は、裁判官全員の連帶責任となるように從來から解釈されております。
#23
○中村(俊)委員 それではひとつ例を上げてお尋ねいたしますが、先般東京の地方裁判所であつたと記憶いたしますが、書記が記録を故意に燒却したという問題が起つたのは御承知だろうと思いますが、ああいう場合に、だれが責任をとるかということをまずお聽きしたいと思います。
#24
○五鬼上説明員 この記録についての保管は、書記が保管者となつておりますが、裁判官会議で監督いたしておりますから、その監督の責任は裁判官全員ということになるだろうと思いますが、書類を保管する責任は書記にあります。
#25
○中村(俊)委員 そういう問題については私は責任の帰属がぼんやりしているということを指摘申し上げたい。書記に保管の責任があるのだ。そうするとその書記が故意に重大なる記録を燒却した場合に、書記だけに具体的な責任をとらせて、それに対する監督者が何らも責も負わないということで、はたして崇高なる裁判事務が公正に行われていくかどうか、私は多大の疑問をもつております。それならば今仰せのように直接の責任者は当該書記だ。昔は御承知の通り裁判所長というものがおそらく全責任をもつていたと思います。ところが裁判所法第六十條第三項には「裁判所書記は、その職務を行うについては、裁判官の命令に從う。」という規定がある。この規定は監督権を含んでいないものでありますかどうか。もしもこの第六十條三項の、裁判所の書記はその職務を行うについては、裁判官の命令に從うのだというこの規定は、單なる事務的規定にすぎないとすれば、監督権は今御説明の通りに裁判官会議全体の連帶責任だと言われるが、この抽象的な責任を具体的にとるのはだれだということをお尋ねいたしたい。そうでなければ公正なる裁判所の事務というものは將來とつていけないのではないか。そういう点で、裁判官会議というものだけにものをまかしていくということについて今の裁判所法に大きな欠陷があるのではないかと考えますのでお尋ね申し上げているわけです。
#26
○五鬼上説明員 仰せの通り第六十條三項には、結局その職務を行うについて裁判官の命令に書記は從うことになつておりますから、当該事件の裁判内が結局責任を負うことになると思います。
#27
○中村(俊)委員 次にお尋ねいたしますが、それでは裁判官会議が連帶責任を負うということは、具体的に責任問題を問われるときにどうなるかということを聞きたい。裁判官会議に連帶責任があると言われますが、そうすると責任をとる人は裁判官会議に参加した全員がとるのだというように拜承してよいかどうか。
#28
○五鬼上説明員 結局その裁判官会議が裁判官を監督し、裁判所の書記を監督しているのですけれども、この当該事件に関して、また場記をその裁判官監督しておる。そうすると、その監督するところの裁判官に第一次的に責任があるだろう、こう考えております。
#29
○中村(俊)委員 それではもう一つ具体的の例を申し上げて御答弁を願いたいのですが、御承知の通りすでに八月半ばごろだと思いますが、裁判所の事件の取扱いに関する最高裁判所のルールというものが制定されまして、その制定される以前からでもそうでありますが、この事件の担当というものは裁判官会議によつてきめられて、いわゆる順点によつて事件を処理していくものときめられておつたはずです。この点は二十三年の八月中に最高裁判所のルールに明文化されておりますから、もちろん今はつきりしておるのです。そうするとこの順点に從つて事件を処理していくということが裁判官会議できまつた。これは非常に重大なことです。それで任意に事件の順点をかえたために、現に最高裁判所から大月簡易裁判所の寺迫判事が訴追されておる。また現に問題になりつつある大阪地方裁判所における間渕判事の順点任意変更の問題というのが訴追委員会で取上げられておりますが、こういう場合にかりに責任をとるとすれば、本人が責任をとることは申すまでもありませんが、そういうことをしでかした裁判官があるとすれば、それに対する具体的な責任をとるのは裁判官会議に参加した全員がとるのか。だれがその監督の責任を具体的にとられるのかということを次にお伺いいたしたい。
#30
○五鬼上説明員 裁判官は、裁判に関することは申すまでもなく、これは独立して職務を行うのでありますが、裁判以外の司法行政事務に関する監督という問題に限定いたしますならば、結局裁判官会議が最高の責任者になるのだと申し上げていいと思います。
#31
○中村(俊)委員 私の承りたいのは、責任をとるということはよくわかるのですが、具体的にどうするかということを伺つているのです。責任について懲戒を受けるとか、罷免をされるという問題が起つた場合に、裁判官会議に列席している全員がそれを負担するのかどうかということを伺いたい。というのは、いかにもこの裁判所法にその点が明らかにされていないわけで、これは私は大きな法の欠陷ではないか、こう思つておりますので、その点が明らかになつていなければ明らかになつていないで結構なんです。しかし今の裁判所法でその点が明らかになつておるとおつしやるならば、どういう問題について、どこにそういう責任の帰属が明らかになつておるか。責任があるという抽象的議論はよくわかつておるのですが、具体的な問題です。
#32
○五鬼上説明員 先ほど申したように、裁判官の行政事務に関する監督は裁判官会議にあるのですが、具体的な場合に裁判官に対する責任をとる方法としては、裁判官公限に関する法律によつてやはり処理されておると思います。
#33
○中村(俊)委員 それでは次にお尋ねいたしますが、裁判所法の第五十九條第二項には「各高等裁判所の事務局長は、各高等裁判所長官の、各地方裁判所の事務局長は、各地方裁判所長の監督を受けて、事務局の職員を指揮監督する。」また裁判所法第八十條一項三号には「各地方裁判所は、その地方裁判所の職員並びに管轄区域内の簡易裁判所及びその職員を監督する。」という規定があります。そうすると、大体裁判所事務官が書記の身分を獲得して、裁判所の書記の仕事を始めるのですが、事務局長が責任を負担する場合と、法第六十條三項の裁判官の命令に從うのであるから、裁判所書記に対しては裁判官が責任があると言われておりますが、また法第五十九條の二項あるいは法第八十條一項三号によりますと、各地方裁判所がその地方裁判所の職員並びに管轄区域内の簡易裁判所の職員を指揮監督するとなつておりますが、こういう点は非常に私はあいまいになつていると思うのです。そうすると裁判所事務官の場合の責任と書記の場合との責任によつと監督する人だ違うのか。事務局長というものはその事務官に対して直接の責任者である。その上に裁判所の監督権というものが行使されるのか。こういう点がよくわからないのですが、まず裁判所書記の場合の責任と事務官としての責任の場合とは二つ区別されるか、あるいは同一の監督権の服するのか、その点について伺いたい。
#34
○五鬼上説明員 この五十九條は裁判所のいわゆる司法行政事務の事務系統の監督に関する規定なのであります。これは結局最後はやはり裁判官会議の監督に服するのでありますが、まず第一次的には長官の監督を受けるように規定されたのであります。しかし裁判事務に関しては、裁判官会議では直接に監督をすることになつているのでありますから、仰せのような書記の裁判事務に関する監督は、やはり裁判官会議がすると解釈しております。
#35
○中村(俊)委員 そうしますと、裁判所法六十條三項に書いてある「裁判所書記は、その職務を行うについては、裁判所の命令に從う。」というときの「裁判官」というのは、裁判官会議と読みかえるという意味におつしやつているわけですか。
#36
○五鬼上説明員 六十條の三項は、裁判所書記がその職員を行うについて当該裁判官の監督を受け命令に從う、こういう解釈をとつて行くものです。
#37
○中村(俊)委員 だから伺うのですが、この裁判所法六十條三項の規定について、先ほど御説明があつたように、裁判所書記の責任については、その裁判官が監督権があるとおつしやつたんですが、裁判官会議と責任の帰属は違うのですかどうですか。裁判官が責任を負担する場合と、裁判官会議が責任を負担する場合と違うのですか。
#38
○五鬼上説明員 先ほど申し上げたように、まず第一次的には当該裁判所が責任がある、そうしてその上に裁判官会議というものがあるのだろう、そう申し上げたわけであります。
#39
○中村(俊)委員 同じようなことを繰返してもなんですから次に移りますが、すでに御承知の通り、先ほど私も質問の一つの例としい申し上げた、順点が任意に変更されるという実に不愉快な事件が、私の知つているのに二つ起つているわけです。これに対して最高裁判所はどういう監督の方法、是正の方法をおとりになつているか伺いたい。私の申し上げるのは、つまりどういう具体的な処置をおとりになつたかどうか伺いたい。すでに大阪においても最高裁判所から訴追されている事件がある。順点の任意変更の問題です。こういうことだ問題化されているのですが、最近において最高裁判所として、それに対して何か具体的処置をおとりになつたかどうかを伺うのです。
#40
○五鬼上説明員 今具体的資料を持合せがないので詳しいことは申し上げられませんが、順点によつて起つたんではなくして、たとえば寺迫判事の問題のごときは、すでに直接高等裁判所で調査し、さらに最高裁判所が調査をして訴追委員会の方に訴追を求めた。その他の事件については、監督上の責任は最高裁判所、あるいはその所属する高等裁判所、あるいは地方裁判所等が調査して、もしこれが彈劾に該当するのならば彈劾裁判所の方に、あるいはそれに該当しないようなものであつても、なお分限に該当するようなものは分限に関する法律によつて、その責任を明らかにすることになつております。但し具体的なものについては資料がありませんから……。
#41
○中村(俊)委員 今の問題なんです。こういう問題が起るたびごとに私らが思うのは、裁判官会議という責任の帰属のはつきりしないものがこれに責任をもつといるという建前であるがゆえに、所長の地位がいわゆるロボツト的存在になつている。從つて最も神聖であるべき順点、裁判官会議できめられた事件の、あるいは奇数、偶数という順点をすら、しかもそれが大月裁判所のごとく田舎の裁判官ならともかくとして、大阪地方裁判所のごとき日本の一流の裁判官がいると自他ともに許している裁判所においてすら、任意に順点を変更するということは、まことに一般國民から言えば、裁判の公正を疑われるようなことが起つているのです。そこでこれが地方裁判所長にほんとうに監督権があれば、こういう問題についても十分に最高裁判所長の訓示であるとか、その他適当の方法によつてそういうことがないようになし得たのにかかわらず、裁判官会議というようなものに責任が全部移つてしまつたために、所長はみすみすこれを自分が責任者として処置できないという点に非常に遺憾な点がある。つまりこれが裁判所法の一つの大きな欠点ではないかと考えているのでありますが、この点は後ほどまた実態的事実の資料を御調査の上、ひとつ適当なる御処置を講じていただきたい。つまり二度とこういうことがないように私はあるべきだと思う。現に大阪のなくなつた白方高等裁判所長も、現在の小原地方裁判所長もそんなことは断じてあり得ないと断言せられておつたにもかかわらず、実際の例は任意に順点変更がなされておるという不愉快な事件が起つておる。何のために所長の地位というものがあるのか、現在の制度ではほとんど意味をなさぬと思う。裁判所法が次から次へと改正になりますが、この点についてはたして最高裁判所として考慮されておるのかどうかを私は疑う者ですから、お尋ね申し上げておるのであります。
#42
○殖田國務大臣 本委員会が開かれておりますのに、大変出席が遅れましてまことに申訳ありません。深くおわびを申し上げます。実は必ず出席をいたすべきでありましたのに、衆議院の公務員法の委員会、あるいは運輸、労働委員会の連合会とかいうようなものにぜひ出て來いというような御要求がありましたために、そちらに参つておりました。それからまた今日のみならず、しばしば実は重要な閣議を開いておつたりいたしまして、今日まで出席が延引いたしました。深くおわびを申し上げます。今後はできるだけ折を見まして出席して、皆樣の御協議に参加したい、こう考えております。どうかよろしく。
#43
○五鬼上説明員 ただいまの中村委員の御意見は十分考慮いたしまして、將來研究いたしてみたいと思います。ただ多少所長あるいは長官の責任というものは下級裁判所の事務処理規則というルールで、たとえば裁判所の職員に対しての取扱い方及び注意をするというようなことは、事務処理規則に從つてまかなつて行けると思いますが、仰せのように責任の最高を所長に持つて行くか、あるいは裁判長に持つて行くかということについては、現在までの裁判所の建前は先ほど申し上げたようなことでありますが、將來は十分御意見のあるところを考究いたしたいと、裁判所の方でも考えております。
#44
○中村(俊)委員 次にお尋ね申し上げたいのですが、簡易裁判所の判事の任用について、近來盛んに判事の不足を來しておるがために、弁護士から、あるいはその他の人々を任用されておるのでありますが、今全國的に非常に急いで裁判官の不足を充当するという意味において、弁護士その他の資格者から、あるいは引揚者であるとか、その他の有資格者から裁判官を御採用になつておられるのでありますが、これらの採用になつた人々の任地の問題については、私は日本全國のことはよく知りませんが、二、三聞いてみますると、たとえば弁護士を採用するには、その土地の簡易裁判所で採用しているという例が少くないと思う。その他あるいは引揚者の有資格者を採用されるにつきましても、その人の郷里に採用するということが多いのではないかと思うのであります。それは大体どうなつておりましようか、私はこの問題は非常に危險ではないかと思う。その土地になじみのある裁判官をその土地の管轄裁判所に任用するということは、非常に危險ではないかと考えられるのでありますが、今御資料があれば資料に基いて、それに対する御意見を伺いたい。資料がなければ、私の今の質問に対してどういうお考えを持つていられるか、伺えれば結構です。
#45
○鍛冶委員長代理 ちよつと速記を止めて。
    〔速記中止〕
#46
○鍛冶委員長代理 速記を始めて。
#47
○中村(俊)委員 今の簡易裁判所の判事の任用の問題ですが、実はこの法務委員は訴追委員を兼ねている方が多いのですが、あそこでは別に質問するような機会もないと思いますから、今ここで総括的にお尋ね申し上げます。これは結局繰返して言うことになるのですが、一例を弁護士出身の判事の問題を取上げて見ましよう。先般最高裁判所から訴追された寺迫判事の場合のごときは典型的な事件だと思う。われわれは調査の結果、寺迫半事個人には、実にりつぱで、御性格といい態度といい、まことに同情したのです。しかもなぜああいう問題が起つたかと申しますると、これは弁護士をやつて、半事のあり方というものについて経驗がなかつたということが、最大の原因なんです。だがああいう事件は、あの人を惡意に解すれば、ほかにもありそうなものだが、ただ一つだけ自分の親しい人に対して、こんなことは大したことはなかろうと思つてやつた。それはいわゆる弁護士的な考え方なんです、その考え方を持つたままに判事になつている。しかもそれに対しまして監督権のあつた所長が、あらかじめ呼んで判事としてのあり方というものについて、遺憾ながら最初に注意を與えていなかつた。後に問題が起つてから甲府地方裁判所長が、君たいへんなことをやつてくれたなと言つて、遺憾の意を表された事実はあるが、前にそういう注意を與えたことはない。私は裁判所議会などは、そういう人を呼び寄せて会議の席上で、裁判官のあり方というものを、よく監督の立場から言い得るような会議だろうと思うが、それとも所長は監督権がないのだから、そういうことは出過ぎるといつてやつていないのか。裁判所法にはこういうふうな大きな欠陷があるために、具体的にはそういう問題が起きて來ていると私は直感したわけです。だからはなはだしつこく言うようだが、裁判所法に何とかもう少し監督権の所在を明らかにするような規定が考えられなければ、將來ますます不愉快な事件が起つて來るんじやないかと心配いたしますがゆえに、この点についてもひとつ十分再檢討をしていただきたいと思います。
#48
○五鬼上説明員 御意見は十分尊重いたしまして、將來十分考究いたすことにいたします。
#49
○中村(俊)委員 最後にもう一点だけお伺いいたします。今般この裁判所法の一部の改正の中に、最高裁判所の裁判官に秘書官設置の問題、高等裁判所の裁判官に秘書官設置の問題が取上げられているのでありますが、お伺いいたしたいのは、歴代の内閣はいわゆる行政整理ということをやかましく言つているのであります。しかもこの秘書官は機密を扱うということになつておりますが、はたして今までのままではどういう不便があるのか、人員を殖やして行くということは、――現在の政府はもちろんのこと、過去における政府も行政整理を口やかましく言つて、ほとんど実行できなかつた。現状維持でやつて行つてすら、われわれはまだ大きな行政整理をやるべきだという考え方を持つているのに、ここにさらに最高裁判所の長官以外の裁判官十四名に対しても、秘書官をつける。あるいは全國にある高等裁判所に所長にも秘書官をつけるという。なるほどその数はわずかであるかもしれません。けれども行政整理と反対のことがこういうように裁判所にも行われるということは、必要欠くべからざるものならばとにかくとして、こういう秘書官というものを高等裁判所の長官にも一人づつつけ、また最高裁判所の他の十四名の判事にも一人づつつけなければならぬという緊要な用件がどこにあるかということを、私は伺いたいのです。
#50
○五鬼上説明員 御承知の通り司法行政は最高裁判所の裁判官会議で行うことになつております。しかもわずか十五人の裁判官で非常に事件が今輻湊しておりまして、ただいま数字はちよつと持合せておりませんが、相当たくさんの事件が参つております。しかもそれ以外にいろいろの司法行政というもので、裁判所独立後に相当複雜なものが出て参りました。従つてこの司法行政を助け、また参判官のいろいろの行政事務に関する連絡というようなことについて、裁判官に秘書官を必要とするというところから、実は本改正案を提出した次第でございます。これは実は公務員法の改正にすでに織込まれておりまして、最高裁判所の判事の秘書官は特別職として行くということになつているし、それに合致して裁判所法の改正が行われた次第でございます。
#51
○中村(俊)委員 今の質問に関連する事項でありますが、裁判所長官の機密というものより、私は檢事長の方が機密事件が多いと思う。ことにこのごろのように法務廳と最高裁判所とが截然と区別されて、町のうわさでありますけれども、各地方裁判所においても、高等裁判所においても、裁判所の力が非常に大きくなつて、予算は十分とつている部屋は十分あり、檢察廳以外にもらえないというような非難も聞くのであります。そういうことから法務廳においても秘書官をつけなければならぬというようなことになるのではないか。ほとんうにそういう必要があるということは今の御答弁では納得できない高等裁判所の長官にも秘書官をつけなければならぬという切実なる必要がわからない。ことに國家が今やろうとしていることは行政整理です。それに相反するようなことを――高等裁判所長官にも秘書官をつける、そうすれば檢事長にもつけるということになるのではないかということを心配いたします。今の御答弁では秘書官をつけなければ仕事ができぬということが納得できない。もう一應御説明願えればけつこうであります。
#52
○五鬼上説明員 行政事務を裁判所で扱つて行くために、やはり高等裁判所長官にも大体事務官というものが從來あつたのであります。それを結局最高裁判所の判事には秘書官、高等裁判所の長官には事務官を秘書官ということにして、実は扱つて行くつもりであります。行政整理の関係からいうと、そう大した人員増加ではないし、一方においては殖えるようですけれども、また一方においてはそういう事務官の仕事がなくなるわけですから、その点において何はないと思つて思つております。
#53
○中村(俊)委員 そうしますと、最高裁判所としては現在の定員で、秘書官という一つの職をつくるというだけですか、これによつて人員を殖やされるのですか。
#54
○五鬼上説明員 むろん十四人の秘書官は定員を殖やすということになります。
#55
○中村(俊)委員 高等裁判所の秘書官はどうですか。
#56
○五鬼上説明員 從來秘書官的の仕事をしておるものが古くからありますから、それをもつて充員して行つたらよいのではないかと思います。
#57
○中村(俊)委員 そうなれば最高裁判所の秘書官だけは増員になつて、高等裁判所長官の秘書官は増員にならない。ただこういう職名をつけたにすぎないのだと承つてよろしうございますか。
#58
○五鬼上説明員 大体そういう考えでありまして、高等裁判所長官の事務官をもつて秘書官にかえるつもりでありますから、特別職になつておりません。
#59
○池谷委員 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案についてちよつと承りたいと思います。第二国会におきまして、各地から簡易裁判所設置等についていろいろ請願が提出されておりまして、その大部分は採択されておると思うのであります。今回の改正案にその採択された請願が全部織込まれてありますかどうか、その点を承りたいと思います。
#60
○岡咲政府委員 お答えいたします。まず簡易裁判所の管轄の変更の件でございますが、これは國会に提出されました請願の数が全部で十分ございましたけれども、國会で採択になりましたのは一件でございます。すなわち土浦の簡易裁判所の管内の筑波郡吉沼村と、それから高道祖村と申しますか、これを下妻簡易裁判所に変更してもらいたいという趣旨の請願陳情でございます。これは國会において採択になりましたので、このたびの改正法律案の中に認めてあります。それから簡易裁判所の設立の問題ですが、これは御存じのように、鳥取縣の岩井町、岡山縣の兒島市、宮崎縣の高鍋町、岐阜縣の関町、この四個所の請願がございまして、関町については衆参両院で採択になりましたが、岩井町と兒島市と高鍋町は衆議院のみにおいて採択になつております。実はこの採択になりました市町村に簡易裁判所を設置する件につきましては、政府といたしましても十分関心をもちまして、先般私が中國地方に事務視察に参りました際には、特に岩井町と兒島市については、現地の詳細なる陳情なり事情なりを承つて帰つた次第であります。なるべく請願の御趣旨は政府といたしましても尊重いたしまして、それに沿いたいと考えたのでありますが、二十三年度の最高裁判所の予算において、簡易裁判所の新設の費用は財務当局との間の交渉の結果、全然その費用を認められることを得ませんでしたので、私の方といたしましても一應事情を研究いたしまして、簡易裁判所の増設については、なるべく早い機会に採択された請願の趣旨に副うようにいたしたいと考えておりますが、現在は簡易裁判所の設置方につきましては、遺憾ながら請願の御趣旨に沿い得ないでおる状況でございます。
#61
○池谷委員 そういたしますと岩井町とか、兒島市とか、そういうところにつきましては、來年度あたり予算が確保されましたならば、実現できると考えてよろしいでしようか。
#62
○岡咲政府委員 裁判所の設置関係は法律事項になつておりまして、一應法務廳で研究いたしますけれども、重大なる司法行政に関係いたしておりますので、最高裁判所に十分御研究を願いまして、最高裁判所と意見の一致いたしました点につきまして、なるべく請願の御趣旨に沿うようにいたしたいとは考えておりますが、いやしくも予算が認められたならば、必ず請願の場所に簡易裁判所を設置するということを明確にお約束申し上げることは、困難だと考えます。
#63
○鍛冶委員長代理 今日はこの程度で散会いたします。
    午後三時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト