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1948/11/20 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第8号
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1948/11/20 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 法務委員会 第8号

#1
第003回国会 法務委員会 第8号
昭和二十三年十一月二十日(土曜日)
    午後二時二分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 鍛冶 良作君
   理事 猪俣 浩三君
      佐瀬 昌三君    花村 四郎君
      古島 義英君    松木  宏君
      井伊 誠一君    池谷 信一君
      石井 繁丸君    石川金次郎君
      榊原 千代君    森 三樹二君
      中村 俊夫君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 殖田 俊吉君
 出席政府委員
        檢 務 長 官 木内 曽益君
        法務廳事務官  野木 新一君
        法務廳事務官  岡咲 恕一君
 委員外の出席者
        專  門  員 村  教三君
        專  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
十一月十九日
 戸籍事務費全額國庫負担の陳情書(宮城縣戸籍
 事務協議会長岡崎榮松)(第二九三号)
 出雲市に松江刑務所支所設置の陳情書(出雲市
 長森山繁樹外一名)(第三〇二号)
 民法の一部改正に関する陳情書(北海書及び東
 北六縣地方労働委員会協議会長宮城音五郎)(
 第三一六号)
 代用監獄廃止の陳情書(岐阜縣公安委員会)(
 第三三七号)
 仮出獄及び保釈の取扱に関する陳情書(岐阜縣
 公安委員会)(第三四四号)
 倉敷簡易裁判所昇格等の陳情書(岡山縣吉備郡
 岡田村長武本又次郎外二十八名)(第三六四
 号)
本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣提出第三号)
 裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提
 出第一九号)
    ―――――――――――――
#2
○松木委員長代理 これより会議を開きます。
 副檢事の任命資格の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。御質疑はございませんか。
#3
○鍛冶委員 まず檢務長官にお伺いしたいのですが、副檢事の任命資格の特例に関する法律を昨年通過させまする際にわれわれも実情をよく承知しておりまするが、これは特例中の特例であつて、正規の判檢事を得られないからということは、はなはだわれわれ司法のために嘆かわしいことだと考えておりまするので、やむを得ざる事情としてこのたびは通すが、それ以後にはぜひともほんとうの資格を有する判檢事を十分得られるような制度に改めてもらうことを附帶條件としてお願いしておいたのでありまするが、その後それに対していかなる手段を法務廳でとつておられたかを伺いたいのであります。
#4
○木内政府委員 御質問の点につきましては、御承知の通り正規の檢事は高度の資格を必要とするのでありまして、にわかにこれを補充することはなかなか困難でありますので、弁護士会等にもお願いいたしまして、在野法曹の中からも來ていただくようにお願いしてあるわけなのでありまするけれども、なかなかおいでを願うことができないので、その方面からも十分の補充のできないことは、まことに遺憾に思つておるのであります。なお政府の試驗を通つた者の中からも、つとめて判檢事を希望するように勧誘をいたしておるのであります。しかしながら從來待遇等の問題がありまして、十分得られなかつたのでありまするが、前國会において、判檢事の待遇について特段の御配慮を煩わすことになりましたので、今後は相当希望者が殖えるつもりでおるのであります。なお在任中の者も、一時は相当不安な氣持でおつたのでありまするが、特別の優遇が認められましたために、皆落ちついて、安心して仕事をしておるような次第でありまして、十分御期待に副うように充員することに努力しておるのでありまするが、ただ予定したように充員できないことは、まことに遺憾と考えておる次第でございます。
#5
○鍛冶委員 副檢事の特例に基いて副檢事を採用なされた中で、はなはだ檢事として困るという実例もなきにしもあらずと考えまするが、さような実例はありませんですか。またありましたとすれば、どういうことで、どれくらいのものがあつたかをお聞かせ願いたいと思います。
#6
○木内政府委員 その点につきましては、副檢事の中におきましても、十分事務に慣れないために、法律の手続上の間違いを起したという実例もあることでありまするが、それがどのくらいに及ぶかということについては、いまだ十分調査いたしてありませんから、正確な数字は申し上げられませんが、事実しかりに地方檢察廳の手元におる副檢事ならば、直接その廳の檢事正なり次席檢事、その他の檢事が指導の任に当つておるのであります。なお本廳と離れた檢察廳に在任しておる副檢事の場合におきましても、いろいろ疑問のある場合には、すべて地方檢察廳の指揮を受けるようにいたしておる。また地方檢察廳から檢事がときどき巡回いたしまして、取扱い事件の相談を受け、またはすでに処理した事件の処置について十分檢討いたす、そして指導して過誤のないようにいたしておる次第でございます。その他につきましては、副檢事の地位向上のために、なお十分法律上の知識を與え、その他実務上の技能を與えるために、いろいろの方法を講じまして修習さしておる次第でございます。
#7
○鍛冶委員 先ほどの御答弁にもありましたように優秀な人物から判檢事を採用するときには、何としても待遇がよろしくなければ來ません。そこで昨年以來しばしば当委員会で言うのでありまするが、ほとんど判檢事をしておつては食つて行かれぬという実情にあつたものですから、來る者もないし、なつておる者もやめて行くのは、人情の当然のことだと考えます。そこで判檢事というものは他の行政官と異なる重大なる任務がある者であるから、特に異つたる待遇をいたさなければならぬということで、ようやく昨年判事の俸給に関する特例及び檢事の俸給に関する特例で、本委員会でもこれを通しまして、少しは愁眉を開いたのであります。ところが判檢事は他の行政官よりも特に優遇せらるべきものだというからには、それだけの他の行政官と違つた資格を持つておるということでなかつたら、ほかの方面が許さぬと思う。從つて判檢事については、他の行政官と違つた採用方法及び修習等をぜひとも必要とするわけであります。かように考えておりますときに、この特例がだんだん延びて行きまして、特例が通例になつて行くようでは、この原則をぶちこわすと思うのです。この特例はただいまもう一年延ばすことになつておりますが、一年以内で延ばさずに、あと十分やれるという御確信があるかどうかを伺いたいと思います。
#8
○木内政府委員 御質問の御趣旨はまことにごもつともと存ずるのであります。しかしながら御承知の通り檢察廳法によりますと、副檢事は二級官三年以上というわくも一つあるのであります。ところがこれを最初動かすことになりましたときに、三年以上の二級官と申しますと、警察関係においては相当古い人があるのでありますが、檢察廳、裁判所関係におきましては、書記長が二級官である以外に、ほとんど二級官のいすがなく、その後優遇等によりまして、裁判所書記あるいは檢察事務官につきまして二級のポストができたのでありますが、それはごく最近のことでありますがために、三年に達していないのであります。從つて優秀なる者でありましても、三年以上というわくがあるがために、副檢事に採用するということができなかつた実情なのであります。そこでただ質を下げて副檢事を補充しようというわけではないのでありまして、ただ三年というわくがあるゆえに、優秀なる人が部外におつても入れない。その採用の途を開くということも、その特例を設けていただく一つの有力なる理由であつたのでございます。その後この特例ができまして、採用いたすにあたりましても、その人選には非常に注意を拂いました。まず第一の方法といたしましては、一應檢察事務官等から副檢事たることを希望する場合には、それぞれ地方檢察廳において、特別に法律知識及び実務につきましても、担当檢事を設けまして修習さす、あるいは高檢へ集めて修習さす、そうしてその中からまず檢事正が選んで檢事長に上申する。高等檢察廳においてまた管内全部の副檢事希望者を集めて、さらに選考をやりまして、そのうちの優秀なる者を本省へ上申するということになつております。そうして本省においては、檢察廳法によりまして御承知の通り副檢事選考委員会というものがあるわけでありますが、その選考委員会においてさらに嚴選いたしまして、そうしてその優秀な者の中から副檢事の任命をいたすということにいたしまして、いわゆる檢察官としての技能、人格、能力等を十分勘案し、檢察の威信を落すことのないように姫力して参つた次第でございます。
 さような次第で、今までの一年間の特例によりまして、その特例の範囲内で採用された者が相当あるのでありますが、先ほど申しました通り、三年以上二級官良の地位になかつたという点だけでありまして、人物、技能等におきましては、決して三年以上の二級官をやつた者に劣るというような者はほとんどないと考えておる次第であります。さようにいたしまして相当の充員をいたすことができたのでございますが、先ほども申しました通りに、嚴選に嚴選を重ねましたために、思うような充員ができずして、なお相当の欠員を生じておるという次第でございます。なお新刑事訴訟法の実施を見越しまして、相当の檢察官を増員する必要があると思うのでありますが、すでに御承知の通り、檢事をもつてこれを補充するということがなかなか困難なことでございます。そこで私どもといたしましては、まず檢事よりも採用のしやすい副檢事及び檢察事務官の増員をはかりまして、そうして多少とも檢事の手足として働かして、檢察の機能をあげて行きたい、かような考えでおるのであります。從つて副檢事の増員ということも考慮いたしておる次第でございます。欠員があるところにもつて來て、さらにまた増員しなければならぬという実情から見ましても、ぜひともこの特例をさらに延ばしていただかなければ、とうていこれを充足することができない、かように考えておるのであります。ただ今御質問の、今度また一年延ばしてそれで一体いいのか、また今後どうする考えだ、こういう御質問でございますが、私どもも決してこの特例が長くたびたび延びるというようなことは、やはり特例中の特例であるのでありますから、さようなことはよろしくない、かように考えておるのであります。しかしながら一年延ばしていただきまして、この次はもう絶対に延ばさなくても十分まかなえるか、こういうことに相なりますと、今のところ私どもといたしましては、見通しがつかないわけでございます。しかし少くともこの一年で何とかできるだけのことをやりたい、かように考えております。しかしあらかじめ二年、三年、五年というような長い期間を切つて特例を願うということは、特例の趣旨に反すると思いますので、また次の実績を見まして、あるいはまた一年延ばしていただくということに相なるかも存じませんが、私どもとしては、ぜひ延ばさずに行けるようには望んでおる次第でございます。
#9
○鍛冶委員 檢事にいたしましても、判事にいたしましても、急いで補充をするときには、何としても在野法曹からことを補充するという以外に道はないと私は考えておるのであります。それにはわれわれ多年主張しておりまする法曹一元制度を確立していただいて、常に在野と在朝と交流する。そうして朝でいるときには在野から送るし、野でいるときには在朝から送る、この制度を確立する以外には方法はないと考えております。また本年判事並びに檢事の俸給の特例を認めますときも、判檢事を特に優遇するというのは、どこまでも選考方法も他の行政官と異なり、修習の方法も他の行政官と異なるようにするのは、法曹一元制度の確立をはかるためであつて、現在行われている、司法修習生からまず判檢事をとつて、残りを弁護士にしておくという考え方は、法曹一元制度ではなくて、やはり官尊制度でありますから、そういう制度にある以上は、かような場合にも間に合いませんし、また行政官と特別の取扱いをするということにもとる。ぜひとも司法修習生は弁護士として、判檢事の養成プールに一ぺん入れてしまう。そしてその中から優秀な者を持つて行く。この制度に改められなければならないということで、当時まだ法務総裁でなくて司法大臣だつたかと思いますが、そういうことを申しましたところ、まつたく同感であるから、ただちにその制度の確立に着手するということで、あの法律を通しますときにも、あれを條件としてわれわれは通したわけでありますが、その後それに対して法務廳においてはどういう手段をとつておいでになりますか。また総裁がかわられた後であるから、方針がかわるのであるかどうか。これをお伺いする次第であります。
#10
○殖田國務大臣 ただいまの御議論はまことにごもつともであります。私はまだその問題につきまして深く研究いたしておりません。但し今お話のごとく、いずれにいたしましてもこの問題は司法全体に関しまして重大な問題でありますし、私も今度就任いたします以前から、官良の選択あるいは人事の問題について多少考えたこともございまして、私自身すこぶる同感を表したい御意見であります。法務廳におきましても、從前司法省時代からもこの問題は相当考えておつたようであります。やはり結局においては、御意見のようなことに向つて行くのではないかと思いますが、まだりつぱな案が確立されておらぬようであります。どの程度に研究が行つておりますか、その点は私まだよく承知いたしませんが、さつそくみなと相談をいたしまして、將來の方針を確立するように努めたいと思います。なるべくすみやかに方針を立てまして、また御相談をするような機会がありましたら御相談したいと考えております。
#11
○鍛冶委員 総裁としては御就任早々ですから、ごもつともですが、檢務長官なりまた行政長官なり、前のことをよく御承知の方で、どんなに準備ができておりましたか、どういう腹でおられたかを伺つてみたいと思います。
#12
○木内政府委員 法曹一元化の問題につきましては、私もまつたく同感でございます。在野法曹からもわれわれ檢察陣の方へぜひ入つていただきたいというのは、法曹一元化の実をあげたいがための熱意の一つなのであります。なお御質問は、法曹一元化を確立する基本として、修習生は一應みな弁護士にして、それから判檢事の道をとらせるようにしてはどうかという御趣旨と了承いたしましたが、この点につきましては、私はそこまでの点はまだ考えておらない次第でございます。
#13
○岡咲政府委員 ただいま鍛冶委員からお尋ねの点につきまして、事務の関係から、前法務総裁との間において、どういうふうに事柄が進捗しておつたかという関係につきまして、お答えいたしたいと思います。裁判官の報酬等に関する法律案の審議の際に、まさしく鍛冶委員が御指摘のように、法曹一元化について非常に強い御要望がありまして、法務総裁はその席上、自分も同感である、そういう線に沿つて、新しい裁判官の採用について、なるべく早い機会に委員会でも設けて檢討したいということをお答えいたしました。そのお答えを鍛冶委員が了承せられまして、裁判官の報酬等に関する法律案に御賛成を願つたように記憶いたしております。法務総裁は、さつそく司法制度に関する調査研究を責任といたしておる法務廳の調査意見第一局長と私にお命じになりまして、至急お前の方で司法制度の根本的な審議会をつくることを研究してみてはどうかという御下命がありましたので、関係者の方々にお集まりを願いまして、一應司法制度の審議会案というものをつくりました。それは裁判、檢察そのほか司法制度一般に関する根本的な帰善を目標とする調査会であるわけでございまするが、最高裁判所の事務当局とも連絡いたしまして、大体御賛成を得たかのように考えますし、また弁護士会の代表の方々にも御内談を申し上げまして、大体御了解を得られるのではないかという見通しがつきましたので、私の方で一應案をつくりまして、関係方面にも折衝し、また最高裁判所の事務局にも、正式にその案をお示しいたしまして、御協力を願うようにいたしたのでございまするが、その後いろいろ研究いたしてみますのに、これは單に一法務廳が事務的に取扱う問題としてはあまりに問題が重大である。むしろこれはアメリカにありますようなバー・アツシエーシヨンと申しますか、弁護士会が中心になられまして、弁護士、檢事、裁判官、法務廳、そういう関係者が全部一丸となりまして、共同の調査機構を設け、そこで根本的に研究してみてはどうだろうかという意見も出ました。前法務総裁からも、それは非常にけつこうだという御意見も出まして、最高裁判所長官、弁護士会連合会の会長、檢事総長、法務総裁が一堂に相会しまして、そういうことを將來やつてみようと思うがどうかというお話が最高裁判所長官から出まして、列席の方々は一同その案に御賛成になりました。そこでそれでは事務の点は最高裁判所と法務関係の方とで共同分担という形で、ひとつそれをやつて行つたらどうかということに一應とりきめられまして、現在最高裁判所と私の方とで連絡いたしまして、弁護士会、裁判官、檢察官、法務廳を母体としたような、根本的な一つの調査機関を設けるということに準備をいたしている次第であります。いずれ遠からざる機会にそういう一つの機構ができ上りまして、鍛冶委員も御指摘のような、またきわめて理想的な制度の実現に向つて事柄が運ばれるであろうということを、十分期待している次第でございます。
#14
○鍛冶委員 ただいま岡咲政府委員からの御説明によりまして、われわれもまことに意を得たところでありますが、二日もすみやかに実現することを希望してやまないのであります。なお総裁に申し上げる次第でありますがただいま鍛冶委員からの前の質問であつたというお話でありましたけれども、実は私個人の意見ではなくて、当委員会を代表して私が申し上げたのでありまして、今日といえどもその意見にはかわりのないことは間違いございません。從いまして今日の事情からして、本法案はやむを得ざるものとしてわれわれも通すほかはないと思つておりまするが、かように特例が重ねて出ることははなはだよろしくないと思う。それには今言うような制度を確立していただく以外に、解決の道がないものと思いまするから、ぜひともこのことを近く実現してくださるものと考えて本法案を通そうと思いまするが、総裁もそれに対して御同意をくださるかどうか、お飼いいたします。
#15
○殖田國務大臣 ごもつともでございます。私はこの特例はなるべく早くやめたい、つまりこの上延期することはなるべく避けたいと考えております。またただいまお答えをいたしましたように、すみやかに新しい制度の確立に向つて邁進をするということは、私ただいまはつきり申し上げられることでございますが、なるべく急ぎましても、そう確然とそれに間にあいますかどうですか、危惧いたしております。それから皆さんの御相談を得ました結果が鍛冶委員のお話の通りのことになりますれば、われわれもただいまから約束いたしかねるかと思いますが、なるべくその線に沿いまして、急速に結末をつけたい、これはこの際申し上げてよかろうかと思います。その意味に御了承願いまして本法案をお通しを願いたい。
#16
○松木委員長代理 ほかに質疑はございませんか。ほかに質疑がないようでございますから、これにて質疑を終局いたしまして、討論に移りたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○松木委員長代理 御異議ないものと認めます。
 これより討論に移ります。
#18
○鍛冶委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本法案は現状においてやむを得ざるものとしてこれに賛成いたします。そのかわり当局においては、すみやかに根本的な制度を確立せられることを、あわせて希望を述べておきます。
#19
○井伊委員 私は日本社会党を代表しまして、本縄案に賛成をいたします。
#20
○中村(俊)委員 私は民主党を代表いたしまして、本法案に賛成いたします。
#21
○松木委員長代理 討論は終局いたしました。
 これよりただちに本案の採決をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○松木委員長代理 御異議ないと認めます。本案に対して、原案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔総員起立〕
#23
○松木委員長代理 起立総員。よつて本案は全会一致をもつて原案の通り可決せられました。
 なお本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○松木委員長代理 御異議ないと認めます。よつてさようにとりはからいます。
    ―――――――――――――
    〔松木委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕
#25
○鍛冶委員長代理 次に裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一九号)を議題として審議を進めます――御質疑はありませんか。
#26
○中村(俊)委員 幸い本日は法務総裁がこの委員会に出席しておられますので、一言だけお飼いいたしたいと思うのであります。昨日私は裁判所法の一部を改正する等の法律案について、総括的に二、三の質問を最高裁判所の説明員にいたしたのでありますが、そのうちで特に私がお尋ねいたしましたのは、この改正法律案の中に最高裁判所の裁判官に新しく秘書官を設けるということと、それから高等裁判所の長官に秘書官を置くという改正案があるのでございます。すでに昨日も申し上げたように、前内閣は申すに及ばず、過去におけるすべての内閣は、いわゆる行政整理をその政策に掲げて、特にこの問題を重要視されて來ているのでありますが、なかなか徹底した行政整理が行われていない。それで新しく最高裁判所の十四名の裁判官におのおの秘書官を置き、さらに八箇所にあります高等裁判所の長官に秘書官を置くということの必要性がどこにあるかということを伺つたのであります。いまだに日本における各官廳はいわゆるセクシヨナリズムが強固に根ざしておりまして、先般も少年法の改正にあたりましては、法務廳と厚生省との間に熾烈なるセクシヨナリズムの爭いが行われたことは、御承知のことだろうと思いますが、一言法務総裁にお伺いいたしたいのは、かくのごとく高等裁判所の長官に秘書官を置き、最高裁判所の裁判官に一名ずつの秘書官を置くということになつたが、この秘書官は御承知の通り機密をつかさどるということになつておりますが、この機密の程度は、むしろ私は最高裁判所長官よりも、檢事長の方が機密を扱う範囲とその深さは大きいだろうと思いますが、これに対して法務廳においても、近い將來において檢事長にも秘書官をつけるというような制度をおとりになるかどうかということを一言お伺いしたい。
#27
○殖田國務大臣 ごもつともな御意見でございます。これは思うに、從來から裁判所が独立をいたしておりますが、独立の権限が非常に大きくなりまして、同時に裁判官の地位が非常に高まつたというようなことから秘書官が必要である。こういうことで秘書官が設けられたものと考えるのであります。御説のごとく行政整理をやろうというような際に、ますます人を殖やすということはおもしろくない。ごもつとものことと思います。またそういう要求のあることも私は聞いておりません。ありましても、なるべくそれはやめにしたいと考えております。
#28
○森(三)委員 本法の第三條に、判事補の職権の特例等に関する法律の一部を次のように改正するとありまして、その中の第二條の二に「裁判所構成法による司法官試補たる資格を有し、満洲國の学習法官、高等官試補又は前條に掲げる満洲國の各職の在職年数が通算して三年以上なる者については、その三年に達した時に裁判所構成法による判事又は檢事たる資格を得たものとみなして、前條の規定を準用する。」という改正が出ておる。ところで私の問わんとするところは、通算して三年以上となつておりますが、その三年以上というのは長きに失するではないかということを御質問したいと思うのであります。その理由は、すでにわが國の高文司法科試驗合格後、満洲國の学習法官または高等官試補として一年ないし二年の修習をすまして、さらに試驗をし、裁判官または檢察官に任命され、爾後司法官として勤続して、そうして終戰後の非常に苦しい生活をしながら、ようやく日本に引揚げて來た人人でありまして、これらに対して、私は特にできる限りの待遇をしてやらなければならないと考えるのであります。しかしてこれらの人々がそうした外地に行かず、日本内地におれば、当然この拘束――三年というような長い制約期間を受けなくても、当然権利を保有すべき人々であつた。しかるにそうした遠隔の地に行つたために、三年という不利益なハンデキヤツプを受けておるのでありまして、こうした人々は全体から見れば非常に少数でありますが、しかしこれらの人々に対してでき得る限りの同情を與えてやり、そうして日本内地におつて修習をした者と同一な待遇をしなければならぬと私は思う。その間に何らか特別な差別的な待遇をしてはいけないと、かように私は考えるのでありますが、法務総裁はいかなる御意見を持つておるか。
#29
○殖田國務大臣 ごもつともでありますが、私は実はこの問題について深く承知いたしませんのですが、こういうことだそうであります。これはやはり満洲は外國でありますから、日本と同樣にするわけにはいかない。從つて満洲國に在勤いたしました者を採用するということは、一種の特例であります。特例の場合はすべて三年以上といたしておるそうであります。たとえば司法官試補の資格を得て弁護士になられた方を採用するのもやはり三年、特例に属する方はみな三年という長い期間を置いてあるそうでありまして、それと歩調を合す、こういうことだそうであります。
#30
○森(三)委員 ただいまの法務総裁の御答弁は、これはすべてを一樣に考えておられるところの見解であつて、もちろん満洲國は外國である。しかしながら過去から考えまして、満洲國であろうと、ドイツであろうと、アメリカであろうと、そうした問題については文化の程度と教育の程度によつて考えなければならぬのであつて、すでにこれらの人々は、満洲國の高等試驗に通つている人ではなく、日本の高等試驗に通つておるのだから、なんら差別的に考慮さるべきものではないのであります。從つてあなたが、今そうした外地に行つた人は、他の法令においても三年というようになつておるのであつて、本法においても三年というようなことにしたのだと言われておりますが、私はやはりわれわれと同じ日本人であつて、同じ試驗に合格しておる以上、そうした長いハンデイキヤツプをつけてはいけない。少くとも私は二年ということに制限をしなければならぬ、かように考えておるのでありますが、さらに法務総裁の御所見を承りたい。
#31
○殖田國務大臣 ごもつともでありますが、弁護士であられる場合もやはり三年だそうであります。そうしてやはり資格を持つております。内地で弁護士をしておりましても、三年を経過しなければやはり任用しない。満洲で実習をしたのは、もうお説の通りだと思いますが、やはりどうしても外國というハンデイキヤツプがかかりまして、内地で実習したということとは同じに見られない。こういうことだろうと思います。私ははなはだ責任回避でありますが、三年がいいのであるか二年がいいのであるか、自信を持つては申し上げかねるのでありますが、今説明を聞きますと、どうももつともなように考えるのであります。あの満洲國で実習したということを内地と同樣に見ることは、やはり客観情勢その他からどうかとも私は考えます。この辺のところがちようど折り合つてよろしいのではないかと思つております。
#32
○岡咲政府委員 私から便宜事務的な点をお答えいたしておきたいと思います。御承知のように裁判所法が施行いたされますときに施行令が出まして、その施行令によりますと、司法官試補たる資格を有して弁護士になられた場合に、三年間によつて司法修習を終えたものとみなすということにいたしまして、三年間弁護士に在職されたということが、あたかも判事補あるいは檢事たるの要件を備えられる條件のようにいたしております関係上、満洲國においてなるほど法律的な実務をおとりになつたことは仰せの通りでありまして、必ずしも満洲國の法律的事務取扱いが、内地と比較いたしまして劣つておるということはもとより申されませんけれども、内地においても弁護士の事務をおとりになつても、三年間の事務修習が司法修習を終えたものと匹敵するという取扱いをいたしております関係上、それを基準にいたしまして、この三年を規定いたした次第であります。
#33
○森(三)委員 ただいま法務総裁並びに政府委員からのお答えがあつたのでありますが、昭和十一年以前は高文に合格すればただちに登録できた。その後改正になつて、昭和十一年以後に合格になつた者は一年半の修習を必要とした。現在は二年の修習をすれば、私は弁護士の登録ができると思つておるのです。ですから三年というように、特に一年間執行猶予の期間でも延ばしてやつたような法はいけないと思う。それから特に申し上げたいことは、これらの人々が外地から引揚げて参りまして、ただちに日本の裁判所、檢察廳に切りかえておるのではないのです。相当長い間の引揚げ期間、あるいはこちらに帰つて來てから生活態樣を整えるために、相当の空白をつくつておるわけであります。それらを入れてやれば、実際は相当長い間の時間的ずれがありますから、これは五年も六年にもなるのです。だから三年となつておりますが、実際上は五年も六年もの年数を加算したことになるのでありますから、できるならば私はこれを二年にしていただきたいと考えます。
#34
○岡咲政府委員 まことに恐縮千万でございますが、今手元に資料を持ち合せておりませんので、次会までに用意してまいりまして、十分御納得の行くように御説明申し上げたいと存じます。
#35
○井伊委員 今度の改正案につきまして第十條の第一号のところろに「意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く」ということを追加するというのでありますが、ここに言うところの「意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則、又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じである」というその「意見」というものは、最高裁判所において、どういうところできめられるものでありますか。その意見というのをお聞きしたいと思います。
#36
○岡咲政府委員 事件が上告されまして、最高裁判所に参りますと――事務のこまかい取扱いにつきましては、最高裁判所の説明員にお尋ね願いたいと思いますが、私の承つておるところでは、一應それが各小法廷に分配になるわけであります。その際に上告文を見ますと、かつて最高裁判所において違憲にあらず、憲法に適合するというその法律問題をむし返して、憲法違返だということを事由にして上告しておることが、どの裁判官が見てもうかがえるわけですが、その事件を受理しております小法低におきまして、これはすでに最高裁判所において先例となつておるところの判断、意見であるということは、その主張自体を見ればうかがえるたろうと考えます。從つてその場合には、その小法廷において上告の指摘の事柄は憲法違反ではないという判断を下す。こういうことになるだろうと思います。
#37
○鍛冶委員長代理 それでは本日はこれで散会いたします。
    午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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