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1947/08/19 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 水害地対策特別委員会 第3号
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1947/08/19 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 水害地対策特別委員会 第3号

#1
第001回国会 水害地対策特別委員会 第3号
昭和二十二年八月十九日(火曜日)
    午前十一時四十七分開議
 出席委員
   委員長 本間 俊一君
   理事 山崎 岩男君 理事 内海 安吉君
   理事 小澤佐惠喜君
      石川金次郎君    佐々木更三君
      島田 晋作君    鈴木 善幸君
      田中 健吉君    野溝  勝君
      細野三千雄君    生越 三郎君
      工藤 鐵男君    鈴木彌五郎君
      平澤 長吉君    山本 猛夫君
      淺利 三朗君    石田 博英君
      大瀧亀代司君    角田 幸吉君
      高田 弥市君    野原 正勝君
      葉梨新五郎君   的場金右衞門君
      只野直三郎君    高倉 定助君
      木村  榮君
  出席國務大臣
       内 務 大 臣 木村小左衞門君
        農 林 大 臣 平野 力三君
  出席政府委員
        經濟安定本部建
        設局長     高野 與作君
        内務事務官   岩沢 忠恭君
        林野局長官   中尾  勇君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 水害地の状況その他に關し内務大臣、農林大臣
 竝びに經濟安定本部總務長官より説明聽取後、
 對策につき協議
    ―――――――――――――
#2
○本間委員長 ただいまより會議を開きます。石田君。
#3
○石田(博)委員 今囘の水害は明治二十三年以來の水害といわれるものでありまして、特に秋田縣を初め東北五縣にわたる慘害は、まことに目をおおわしめるものがあるのであります。また農作物あるいは林産物その他における損害はまことに多大なものがあるにかかわらず、全般的にその水害の慘禍に對する當局の認識がはなはだ不十分であるように思われるのであります。まず質問を行います第一の前提といたしまして、今囘の水害はまことに非常なものであるという點について、十分御認識をいただきたいと思うのであります。特に農林關係のことといたしましては――農林關係だけに限りませんけれども、この水害に對する解決はまことに緊急を要するものであります。特に水害によつて破損せられました農耕地の修復につきましては、まず第一に、わずかでも殘された耕地の收穫をできるだけ保存あるいはたくさんとるように努力する。第二點は荒れ果てて米自身の生産は望めないといたしましても、できるだけ早く代作物の播種その他の措置を講じて、代作物の收穫をあげるように努力する必要があるのであります。ところが今囘の水害によりまして、特に用水路の破損が非常に著しいものがあります。用水路の破損ということは水害のあとにただちに旱害が生ずるところの危險を包容しておるものであります。從つてこの用水路を速やかに修復することが現在では最も必要とされておるのであります。また今囘水害の襲つてまいりました東北地方は、御承知のごとく非常に雪の多いところであります。これから九月、十月とわずか二箇月間をあますのみで、十一月からは雪が降つてどんな工事もできないような状態になる。從つて耕地の修復等のごときも、來年度の産出を確保するためには、來年までに工事を修復すればいいというのではなくして、降雪期までにその修復を終らなければ、來年度の生産も期待できないというような特殊の事情にあるわけであります。また代作物等に對する處置にいたしましても、殘された期間というものはきわめて短いので、それだけに非常に迅速にして果敢な處置を必要とするのであります。この點につきまして、まず第一に農林當局は問題の解決を迅速に行う、また水害の慘禍のいかにはなはだしいかということについて、どの程度の認識をもつておられるのか、この二點についてお伺いしたいと思います。
#4
○平野國務大臣 水害の非常にはげしいということを、どの程度認識しておるかというお問いでありますが、これは先般本會議におきまして、私より東北については特に耕地面積をあげてその被害の大小を述べた。その他の府縣に關しましては大體被害見積りの金額によつて述べたのであります。從つて東北におけるところの災害は、その他の府縣とはけたはずれに重大であるということを考えますとともに、なおこれが對策については尋常一様の手段をもつてしては、とうていいけない。言いかえますならば、非常に重大であるという考え方をもつておるのであります。私實は今晩出發いたしまして、東北五縣の實情の見舞と、同時に、その對策のために參ることになつておりましたが、他にやむを得ざる閣議の主要事項がありまして、とりあえず今晩立つことは延期をいたしましたが、私といたしましては特にこの重大性に鑑みまして、深く考慮を拂つておるということは、ひとつ十分御諒承願いたいと思います。
 なお御指摘になりましたような、個個のすぐあとの應急施設をどうするかという御質問については、それぞれ手配をいたしておるのでありまして、もとよりこれが十分でない點は多々あるのでありまするが、とりあえずの肥料、農器具、農藥劑、こういうものについては、先般本會議に述べましたような數量はすでに送付濟みであります。なお今後の問題に關しましても十分檢討を加えつつあるのでありまして、御指摘のような點については十分考慮をいたしたいと思います。
 なお當面の食糧といたしましては、大體ある地方にありまする特別なる食糧を約四千トンほど、この被害地縣に海上輸送をいたしまして、これは現在において相當に到著をいたしておると思つておるのであります。さような次第でありますから何とぞ御諒承願いたいと思います。
#5
○石田(博)委員 災害に對する御認識につきましては十分諒承いたしました。これの對策として、根本的に伺つておきたいことは、東北地方の現在までの特殊の經濟事情に鑑みまして、この災害というものに對する復舊費用は、これは土木費用も、あるいは農林關係の耕地、あるいは公共事業の對策の費用にいたしましても、今度の水害によつて生じました事態に對する復舊費というものは、全額國庫において負擔をしていただきたいというのが、被害地全般を通じての要望であります。この點につきまして農林當局はどういう御見解をおもちになつておりますか。
#6
○平野國務大臣 復舊の費用の點に關しましては、根本的なる問題と應急的なる問題と大體わけて考えております。當面せる應急復舊工事に關しましては、これまた先般本會議で報告いたしましたように、大體二億數千萬圓の金を、とりあえずここに放出をする。それから肥料その他農機具等の、農家が現在購入費に必要といたしまする一億二千數百萬圓の金は、これまた併せて今日とりあえず應急の處置をとる、かように考えております。合計いたしました三億數千萬圓の金は、本日の閣議において大體諒承を得たのでありますが、とりあえず地方銀行からすぐ縣が融通できる方途を考えたのであります。從つてその方法は地方銀行の現在もつておりまする手持の資金を融通していただくことを原則としておりますが、これがその銀行において手持のないときは、日本銀行がこれを保證するという途を考えまして、これは早速被害各縣におきましてはそれぞれ地方銀行から融資を受けまして、これを各農家、各被害者に向つて融資をすることの方法を考えたのでありまして、この面に關する點におきましては政府といたしましては、從來のいわゆる應急施設といたしましては最も速やかに手配をいたした次第でありますので、この點お考えを願いたいと思います。
 なお根本的なる復舊といたしましては、單に以上申し上げましたような費用をもつてして十分とはとうてい考えません。從つてこれは現在公共事業費として計上されておりまするところの費用の中から、どの程度根本的なる費用として土木費、災害費としてとれるかということは、今ここではつきり申すことはできませんが、われわれといたしましては、極力この面においては努力をするつもりであります。これが全額國庫負擔というようなことになし得るか、あるいは一部分を國庫補助といたしまして、その方法をどうするかというような諸點については、必ずしも全部國庫負擔ということが通るかどうかということは、現在大藏大臣が諸般の豫算においてもいわゆる健全財政を堅持して、赤字公債を拒否いたしておる關係から、あなたのおつしやるように、全部國庫負擔ということになるかどうかということは斷言いたし兼ねるのでありますが、これらの點に關しましては十分災害の状況、實際の數字を檢討した上において、われわれとしてはなるべく全額國庫負擔の主張をいたしてみたいと思つております。
#7
○石田(博)委員 應急費として三億數千萬圓の支出をせられたというお話でございましたが、これは政府が現在考えておられるところの應急費というものは、もうこれで打切りになるのであるか、あるいは以外の費用というものはすべてただいま二つにわけられました根本對策に要する費用として考えておられるのかどうか、もし應急費を三億數千萬圓お出しになつて、應急措置がこれで能事終われりとお考えになるとするならば、これはわれわれにとつてまことに不滿に思うものであります。私の選出せられました秋田縣一縣におきまして、もつとも秋田縣は東北五縣の全體の損害の約三割をこうむつておるのでありますが、緊急融資として五億二千二百萬圓を計上いたして陳情にまいつております。他縣の數字を合わせますと、とうてい三億數千萬圓前後の應急融資をもつてしては、あまりに懸隔がありすぎるのであります。また政府は健全財政の建前から、これらの復舊費に對して全額國庫負擔、あるいは緊急融資の額をこれ以上増額することはできないというような御趣旨のように承りましたけれども、今日東北地方がこうむつておりますところの事態というものは、この事態を解決しなければ、ほんとうの意味の國家の健全なる再建というものは不可能な状態にあるわけであります。國民の生活の基礎であります主食を主として産出いたしておりますところの各縣に水害が見舞つてきたのでありまして、秋田縣のごときにおきましては、二百二十萬石の生産に對しまして約六、七十萬石以上のものを東京あるいはその他の地方に送つてまいりました。それらの額が現在の状態からみますと、ほとんどもう本年度においては餘裕を生じ得ないような見込みの状態である。さらに今後の處置を誤つたならば、今日以上の減收になることが必至というような状態にあります。また木材關係、薪炭關係にいたしましても、應急の處置をもし誤つたならば、現在復興に必要なるところの木材、あるいは都市の薪炭に要するところの資材というようなものは、とうてい出し得ないような状態にある、これだけの生産縣に對する應急處置を犧牲にして、そうしていたずらに帳面づらの上の健全財政を主張されても、これは國家今日の危急に處する途ではないと私は考えるのであります。從つて先ほど御發表になつた三億數千萬圓という額が、應急費として全部のものであるかどうか、あるいは今度の生産縣の水害の慘害に對して十分の御認識があると、こう農林大臣は言われておるけれども、それに對する緊急融資の額の決定の仕方というものはわれわれの考えておる、またわれわれの要求している額と比べても懸隔がはなはだしい。これだけの措置をとられてもつて今日の水害について十二分の認識をもつておるとはわれわれ受けとりがたいのである。この點について重ねてお考えを伺いたい。
#8
○平野國務大臣 先般申し上げましたのを正確に申しますると、二億三千六百萬圓でありますが、このいわゆる應急復興工事費というものはきわめて緊要なものでありまして、大體十一月までの分と御了解願いたいのであります。從いまして十二月以降のものとしては新たに計上いたしまして、農林省としては大藏大臣に要求する覺悟であります。そこでその後のわれわれの要求金額というものについては、ひとつ皆さんと御相談をいたしまして、私自身も東北の方に行つてまいりまして、實際上の數字の上に立つて相當に盡力をいたしたい。かように考えておりますので、先刻申し上げました二億三千六百萬圓と、農具、肥料等の一億二千五百萬圓のこれだけの金額をもつて、われわれは十分とは毛頭考えておらないのであります。大體應急のものとして、とりあえず現在大藏省に對して要求いたしまして、即時承認を得られる範圍内においてというので、こういう措置をとつたのであります。今後の問題に對しましては、相當多額の豫算を計上するつもりであります。ただ赤字財政の御議論がありましたが、この際一言申し上げたいことは、私はかような應急の施設にしても、その他諸般の問題についても、この豫算というものは、明らかに生産になり、明らかに増産になるという部面においては、赤字財政だの、健全財政だのと言わないで出そう、こういうことは經濟閣僚として私は大藏大臣に根強く要求しておるのであります。ところが御承知の通り、いかに頼むと主張いたしましても、やはり賃金水準というものを一定限度におく、赤字財政というものを一定限度におく、こういう財政上の意見は、現在ごらんの通り、相當微妙に展開されておるのでありまして、私一個といたしましては、今あなたの御主張のように、いやしくもその金が生産面に實際影響するものについては、今後も主張するつもりであります。
#9
○石田(博)委員 赤字財政についてのお考えは私もきわめて滿足するのであります。しかし十一月までの緊急費として三億いくらという數字を承つて、私どもなおその點について、はなはだ不滿とするものであります。なぜかと申しますと、東北地方においてはいわゆる緊急對策というものは十一月までにすべて行わなければならないのであります。十一月を越しますと降雪期にはいり何らの行事もほとんど行われないという状態になるわけであります。從つて問題は十二月以降の豫算をどんなにとつていただきましようとも問題ではなく、雪が降らない前に、行事が行われる時期に、しかも本年度の殘されたところの收穫量を増加せしめるところの措置を緊急にとつてもらいたい。東北の氣候、風土、その他の特別な條件から考えて、この際他の府縣と違いぜひともお考えを願いたい問題であります。十一月までの額として三億數千萬圓ではとうていわれわれの考へておるものとは隔りがある。われわれの考えている緊急對策は、すべてどんなに遲くとも十一月までに完了してしまうという建前からいかなければならぬものなのであります。たとえば、農耕地で今囘冠水あるいは流出いたしましたものを修復いたすにしても、降雪期前の十一月までに行つてしまわなければ、來年度の植付ができません。從つて十二月以降の費用をいくら計算されましても、それが實際の生産に現われてくるのは再來年になるわけであります。この東北の特別の事情をお考えになられたい。十一月以降のものは緊急對策とは考えない。われわれが考える緊急對策は十一月までのものであります。從つてこの十一月までの支出に決定せられるところの緊急融資補助金の額をもつと増額してわれわれの實際の現實に即した要求額に一致せられんことをわれわれは望む次第であります。
#10
○平野國務大臣 ごもつともでありますので、十分御主張のように考えて盡力をいたしたいと思います。繰返して申しますが、今申しまたのは應急の豫算でありますので、とりあえずまずこれを使つてもらう。しかして、これでもやれば相當に仕事はできるのでありますから、この分だけを十分消化を願う。むろん來年度の豫算は相當とれるのでありますから、それを十二月に繰上げて使うという可能性もあるので、その點についてはもつと事務的にひとつよく御相談いたしたいと思います。
#11
○石田(博)委員 私はただいま三億數千萬圓が十一月までの分と、こう打切られたので、今重ねて要求した次第であります。繰返して申すようですけれども、東北の特別の事情についてよくお考えをいただかなければ、とうていこれではお話になりません。相當なことができることはもちろんでありますが、あなたの言われる相當の程度では納まりきらない状態にあるという點についてお考えをいただきたい。
 次にお尋ね申し上げたいことは、昨日事務官の人々から御説明を伺いましたが、この緊急處置は今なお關係方面と打合わせ中であるとか、大藏省と交渉中であるとか、あるいは安本に行つて折衝中であるとか、一兩日中にどうだこうだという種類のお話があつた。これらの御説明をわれわれがいくらお聽きしても、そんなものは言いわけのようにしか考えられない。私どもの方はもつとせつぱ詰つた考え方をし、もつとせつぱ詰つた要求をいたしておるのであります。從つてそれぞれの關係官廳と連絡をとり、その承諾を得なければならぬとすれば、事務的に迅速に解決されるための適當なる處置を現在とられているのか。昨日の説明によると、何らそういうあとが見えない。何もかにも問題は安本に行つて打切られてしまうという御説明のようにわれわれは承つた。むしろこの問題を迅速に解決するためには、關係官廳自身が直ちに連絡會議を開いて、書類のいたずらなる持ちまわりを行つたり、あるいはつまらないなわ張りの世話をしたりすることなくして、この問題を速やかに解決してもらいたいと思うのであります。この問題と直接には關係ありませんが、こういう緊急を要する問題にこれほど手間をとることは、いたずらに行政の機構が屋上屋を架している状態に起因していると私どもは考えます。特に緊急を要する事態に對する處置、あるいは解決をなされるにあたつて、現在の農林省と安本の關係について農林大臣はどうお考えになつているか。たとえば先ほども豫算の問題について大藏省との間に意見の相違があるように承つたが、安本その他の間において問題を敏速にかつ的確に解決するためにいかなる状態にあるということを農林大臣はお考えになつているか。またこれをどうしなければならぬとお考えになつているかという點についてお答えをいただきたい。
#12
○平野國務大臣 大藏省が今度の東北の災害についてとつた技術上の處置については、農林省の要求を從來まれに見るほど速やかに容れたのであります。金額の御不滿の點はあると思いますが、現在の東北五縣において地方銀行から三億六千萬圓の金を大體においてすぐ借り出せる。こういう處置をとりまして、本日の閣議で決定をいたしましたので、これらは從來の金融處置から見ますと最も手早く實行したと申してもやぶさかでないと思います。
 なお農林省の關係につきましては過般申し上げました通りにとりあえずの四千トンの食糧については、すでにこれは北海道にあるものを應急運んだのでありますが、この運び方といたしましては、實は嚴密に申しますると相當問題であるかもしれませんが、とりあえずわれわれの一つの考え方のもとに、あとはしかるべくということでやつたのでありまして、これらの處置といたしましても、相當手早くやつたということを御了承願いたいと思います。
 それから農業藥劑にいたしましても、先般本會議で申しました數字はすでに送付濟みでありまして、これまた數字が多少不十分でありましようけれども、手早く送つたのでありますからこの點も御了承を願いたい。
 なおセメント等につきましても大體において十分檢討を加えておりますが、セメント千二百トンというものは本日大體決定する、こういう見込みをもつております。從つて御指摘の農林省に關しまする今囘の東北救濟問題といたしましては、われわれは從來のようにあつちの省こつちの省というような、そういうことにそんなに氣がねなくやるだけはてきぱきやつてのけたと思います。なおこれはきわめて應急のことでありまして、第二段、第三段として考うべき手が十分あると考えますので、これらは私自身も向うへ參りまして、いろいろ相談の上實行いたしていきたい、こう思います。ただ安本關係につきましてはこれはその土木費用というものが、開拓費用でも、土木費用でも、これは公共事業費ということで、安本の豫算の中にはいつておるのであります。從つてこの折衝はどうしても安本といたさなければ、農林省一存ではまいらぬ豫算であるのであります。これらの點については今後十分ひとつわれわれも盡力をいたしまして、とれるだけとるという考えをもつていますからこの點御了承願いたいと思います。
#13
○石田(博)委員 復興に要するいろいろの資材の被害地に對する輸送について迅速なる處置をとられた、こういう御答辯でありまして、問題はそれが現實の要求に對して、どの程度に、どういうぐあいに現實に手にわたるようになつておるかということが問題なのであります。御處置のとられた結果について、私どもは嚴重にこれを見守つてあらためてまた質すべきは質し、要求するものは要求したい、こう考えております。
 次にこの水害によりまして馬鈴薯、麥その他の被害というものはまことに甚大なものであります。これらの供出に對して、あるいは現在までの供出割當に對して、供出量の減免の處置、あるいは早場米の供出に對する割當の減少に對する措置、こういうものがぜひ望ましいのであります。さらに農家の被害というものはきわめて大きい。農家にかかわらず各種の産業の被害、特に農林省關係の産業の被害というものはきわめて大きいものがあります。從つてこれらのものに對する免減税その他の處置、あるいは救濟の處置についてどういうふうにお考えになつておるか。先般私どもの被害地に對しまして、一戸當り最高五千圓までの封鎖解除を早急に認める、こういう處置をとられましたが、現在の状態におきまして特にそれぞれ各戸のこうむつたところの被害の程度に大きな差があつて、極端なところにおきましてはもちろんのこと、大體一般の被害の水準におきましても、五千圓程度の封鎖の解除をもつてしては何事もできない。こういう状態にあります。さらに封鎖をもつておる人々は一部中農以上の人々はそれである程度の處置ができるかもしれませんけれども、封鎖をもたないところの人々に對しましては何らの處置が現在まだとられていない、こういう状態にあります。この點についてどういうふうにお考えになつておるか御答辯いただきたい。
#14
○平野國務大臣 これはひとつ私からもお願いをいたしておきたいと思いますが、政府といたしましては、各府縣に對してこれこれの融通資金と、これこれの物資というものを送ることを決定して送付したのでありまして、その縣に到達いたしましてからその縣の配給状況及びその金の貸し方というものについては、實はわれわれとしては大體府縣に一任するという所存より現在はいたし方ないのであります。もとより行政官廳といたしましては、その末端に至るまで萬遺憾なきを期することは當然でありますけれども、皆さんの方におかれましても、どうかかようにいたした金、物、もとより御主張に比べますれば少額でありますけれども、必ずしも貧弱な金ではないのであります。貧弱な物資ではないのでありますから、なるべくこれが適當なる災害者、災害地に速やかに到達するように御協力を願いたい、かように思う次第であります。
 なお今囘の災害によつて起る早場米あるいは麥、馬鈴薯等の、いわゆる割當額の減少、こういう問題については十分考えなければならぬと思います。私といたしまして、今東北水害によるところの米の減收がどれほどあるかということは、十分見透しがつかないうちにその數字を發表するとこは差控えたいと思いまして、この前本會議においては、井出君から御質問がありましたが、留保したような次第でありまして、この席上においても御同樣御了承を願いたい。ただ麥と馬鈴薯については、これは現實の問題でありますので、實際上の減收をいたしましたその數字については、當然これを差引くということはあたりまえであります。「但しこの數字については司令部の方の了解も得なければなりませんので、」實際上の減收の數字をはつきり見極めた上で、その部分についてはこれは當然供出割當を削除する、つまり供出割當をうちわに減らすということは當然の處置であろうと思います。
 なお早場米對策につきましては、われわれといたしましては、早場米の奬勵金について現在考慮中でありますので、この奬勵金等がきまつた場合において、水害地に對する早場米についてはどの程度のことが願えるか、あるいは實際上願えなければどういうことになるかということは、次の機會に檢討いたしたい、かように思つております。
#15
○石田(博)委員 今囘の農作物に關する被害を受けました土地はおおむね米の單作地滯であります。この單作地滯が特別の農業經濟の條件のもとにあるにかかわらず、現在まで當局のこれに對する諸施策というものはほとんど見るべきものがなかつたのであります。その地滯が今囘今私どもから申し上げておるような異常な慘害を受けました。惡い上にもより一層悪い經濟條件の中に追い込まれておるわけであります。從つて本年度の供米對策にあたりまして、この單作地滯に對する特別の御配慮を願わなければならないわけであります。この點についてどういうお考えをもつておられるか、これをお伺いいたしたいと思います。
#16
○平野國務大臣 これは今囘の供出制度の根本的改革と新らしい供出制度を立てるという意味において現在立案をいたしておるのでありますが、單作地滯については從來のような畫一的割當制を改めまして、特に單作地滯は單作地滯としての特有なる状況から割當等は相當考慮しなければならぬ。具體的に言えば相當うちわに決定される、かような方法をとつておるのであります。
#17
○石田(博)委員 次に林業關係のことについて二、三お伺いをいたしたいと思うのであります。今囘の水害地はもちろん降雨量が未曾有のものであつたという點については否定できないのでありますけれども、その降雨量にかかわらずその損害を非常に大きくしたという點は、何といつてもこれは戰時中の濫伐に基因する、こう私どもは考える次第であります。恐多くも、先般天皇陛下が秋田縣に行幸遊ばされましたときに、知事の御説明に對しまして、わざわざ濫伐のためではないかという御下問であつたような次第でありまして、一般に濫伐の結果だということは何人も否定できない状態にあると私どもは考えるわけであります。さらに秋田縣、青森縣、岩手縣、宮城縣、また先般水害があつたと傳えられております北海道、また和歌山縣等におきましても、主として國有林が民有林よりもたくさんある地滯に被害が大きい、このことは國有林の伐採が、縣の實情あるいは特別の縣政の方向というものを、無視あるいは輕視いたしまして、上からの直接の命令によつてせられる。こういう傾向が濫伐の状態により一層拍車を掛けた、私どもはこう考えるわけであります。從つて國有林の伐採、山林の伐採が、その縣の農業に甚大なる影響を與え、林政の上にきわめて密接なる關係をもつておる實情に鑑みまして、國有林に對する林業對策というものは常に地方行政の線と密接なる連路をとつて進まなければならぬと私どもは考える次第であります。從つて現在の國有林に對する管理權を大幅に縣の自治體に移される、あるいは拂下げられる。その他によつて現實的に縣行政の方向と一致せしめる。こういう方策をとらなければならぬ。こう私どもは考えておりますが、これに對する農相の見解を承りたい。
#18
○平野國務大臣 今囘の水害が戰爭中における非常な濫伐にあるということは、もはや天下の輿論であると考えております。從つてわれわれは治山、治水の面から見たる山林行政については、きわめて高度なる立場から愼重に檢討を加えなければならぬことは當然であります。しかしながら御指摘のように、すぐ管理權を地方へ大幅に委讓するかどうかという點については、今ここで即答いたしかねますので十分檢討を加えたいと思います。
#19
○石田(博)委員 これを濫伐と言うもなんと言うも、現實に戰爭中にこれが必要であり、かつ今後は焦土と化した國土を再建いたしますためにも、木材の需要はますます増大いたしてまいる。當然ある程度以上の木材資源を必要とするわけであります、しかしその影響は今囘のような大きな慘害を招いたという實情に鑑みまして、常に木材の伐採が治山、治水と連絡を保ちつつ、これが進みますならば濫伐にならない。たくさん伐つてもそれに相應したところの治山、治水の政策が確立されるならば、被害を僅小に止めて國家の應急の要求に對して應じていけるのであります。ところが東北地方の河川はほとんど全部と言つてもよいくらい原始河川であります。これに對する改修の問題あるいは護岸の問題、これは一應内務省關係の事項ではありますけれども、その程度いかん、その施策よろしきを得るか否かということが、ただちに農業生産に影響してまいるという實情に鑑みまして、農林大臣は速やかにこれらの問題、特に治山、治水の問題について關係當局と嚴重に交渉の上促進方を努力せられたいと思うのであります。特に植林が現在ほとんど進行していない。この植林の進行に對しましては、現在五箇年復興計畫云々というようなものを立てられておるようでありますが、植林が何といつても治山、治水上の效果を現わしますためには、二十年、三十年の年月を必要といたします。從つてこの慘禍を再び繰返さないためにも、特に關係方面と密接な連絡をとられて、治山、治水に遺憾なきを期せられたい。私どもはこう考えるわけであります。さらにこれもまた希望條件でありますけれども、先般來申されたところの應急の處置、緊急の施策は、私は被害地から出身せられたところの關係委員諸氏は、ほとんど全部同じ考えであろうと思うのでありますけれども、この額はきわめてわれわれとしては不滿であります。さらにそれに對して割當てられ、あるいは送付せられましたところの諸物資にしても、その總量はやはりわれわれとしては不滿な量であると考えるものであります。しかし農林大臣が再三再四これはあくまで緊急なものだという限定をされましたので、そういう意味に解釋いたしまして一應今後の處置をお願いし、あるいは要求し、そうして農林大臣に對する私の質問は打切りたい、こう考えております。
 次に内務大臣がお見えになりましたので、私は先般も農林大臣に對して申し上げましたことで、重なるようではありますが、先般私どもの秋田縣の縣會議長以下が、内務大臣のところに水害状況について陳情にまいりました節に、内務大臣はもう内務省は廢止になるから、おれは權限はないのだ、この權限のないおれに陳情したところでしかたがあるまいというような御答辯をなすつた。こういうことをわれわれは縣會議長から聽いたのであります。私は内務省は廢止になりつつあるということは知つておりますが、現在この國土計畫、殊に土木關係を管掌しておりますものは、内務大臣以外にはないのであります。さらに内務省はどう變りましようとも、内務大臣は國務大臣として閣議に列席しておるはずである。こういう見地から本縣の代表者が内務大臣の所に行つたのでありますが、前に申しましたようなお言葉をいただいて、非常な不滿を感じて歸つてまいりました。遠隔の地である東北は、由來いくたびか災害に見舞われても、他府縣の災害と比べて當局はきわめて輕く扱われておる。こういう不幸な運命にあつた地方であります。それに對して今囘重ねてこういう災害に見舞われたにかかわらず、その程度の御認識、その程度の御關心しかなかつたということについては、私どもも痛憤にたえないものがあるのであります。特に土木關係に對しての對策がよろしきを得なかつた。先ほどから農林大臣の答辯にもありました通り、それが今囘の災害をより大きくしたものであります。從つて内務大臣が管掌せられておる内務省の責任が、きわめて大であると言わざるを得ないのであります。こういう見地から内務大臣の先般の陳情團に對する考え方は、一縣の陳情團に對する答辯であつたかもしれないけれども、今囘の水害全體に對する認識の不足を明らかに現わしたものとして、私は重ねて内務大臣が今囘の水害に對してどういう考えをもつておられるか。この點を伺いたいものと思うものであります。
#20
○平野國務大臣 今囘の水害が山林の濫伐にあるということは先刻申し上げた通りでありまして、この問題をどうするかということは、しばしば申し上げた通りきわめて重大であります。そこで一體私の知る範圍におきましては、戰爭中の過伐に陷つたところの山林が、百六十萬町歩、現在政府が豫定して植えつけたいと考えておる面積が、二百七十萬町歩、これを大體五箇年計畫によつて完成をいたしたいというのが一應の構想であります。そこで現在立てられておるこの五箇年計畫は、昨年度における實状から申しますると、その豫定の五〇%にも達しておらないのでありまして、この計畫そのものを踏襲するということによつては、この目的が十分達し得られない。かように考えますので、一應今囘の東北における水害の調査をいたしました結果、その原因がかようなところにあるということを再認識いたしまして、新たに日本の治山治水の關係から見たいわゆる山林政策の五箇年計畫というものを立て直してみたい。かように考えておるので、この點御了承得たいと思います。
 それから今囘取上けた應急施設があくまで少額であるという御主張でありますが、これはしばしば繰り返して申し上げる通りに少額でありますけれども、まずとりあえずこれを十分消化していただき、その上新たに追加に盛つていきたい、かように考えております。
#21
○木村國務大臣 お答えいたします。ただいまの私に對する御不滿の點、今思い出しまして、はなはだ恐縮に存じます。ただいま記憶を呼び出しますと、今とつさではつきりと覺えませんが、なんでも先々週の終りころではなかつたかと思われますが、私大臣室から出まして委員會にひつぱり出される多忙の際に、次の秘書官室の所を通りかかりましたところが、秋田縣の上京の方でありましたか多數おつて、たれかちよつとちよつとということでありまして、それで、なんでありますかといつたら、災害に對する陳情をしたいというので、私は非常に忙しいときでありましたから、じようだん半分に、内務大臣は元の内務大臣のように、知事に對する指導權も命令權も昔のようにもつておりませんから、陳情なさつても昔のような效果はないでしようと言つたことを覺えておりますが、御陳情を承らぬということではなかつた、秘書官室のあの混み合つた中でありましたから、あらためてまたいらつしやることであろうと思いまして、私は輕くそう考えまして、じよだん半分にそういうことを申したことは確かに申しました。それがなにか大きいことにお取りくだすつて御不滿があつたことといたしますれば、それは私の失言でございます。惡かつたらここになんの顧みるところはございません、陳謝いたします。私の意思はそういう意思でなく、じよだん半分に、昔の内務大臣は知事に指導權ももてば、知事に命令權ももつておりますけれども、今の内務省はそういう指導權はなしまことに輕い權限のものであるということを、ちよつとじようだんに申し上げたのでありますから、私の申し上げたことが惡ければなに顧みるところはございません、きれいに陳謝いたします。
 それからきようのこの委員會から委員長がしきりに出席を要望されましたけれども閣議がありますので手間取りますと申し上げておいたのでありますが、まだ閣議は濟んでおりません、それは本委員會に非常に重要な關係をもつ閣議の了解事項が提案されおります。それを濟ましてまいりましたならば、この委員會に御報告するのに非常に效果があるのではないかと思いましたので、遲れたのであります。直ぐ發表していいか惡いかということも閣議の了解を得ないとできませんことでありましたので、ついただいままで遲らせて大變お待たせして相濟まぬと思います。これはただいま御質問ではなかつたのでありますが、東北地方その他の水害に對する金融の對策要綱、金融の對策というものが、まだきようまできまつておりません。きのうの今の閣議でこういう了解問題が決定いたしましたので、ちよつと申し上げましよう。ちよつと讀みあげますと、大體こういうことなんです。「今次の東北地方の水害に關し、金融對策として、次のような措置をとる。災害復舊のため國庫から支出される補助費及び府縣の負擔する災害復舊費の合計金額の範圍内で、必要な金額に限り右の補助費が支出されるまでの間、東北地方に店舗を有する普通銀行等から一時つなぎの資金を融通すること。右の融資は極力當該銀行等の自已資金によるものとするが、必要やむを得ない場合には日本銀行において資金の斡旋または供給を考慮すること。それから二は、農機具、肥料等農業生産用品の購入資金等は地方の農業會等から必要に應じ一般の方法により融通すること。當該農業會等が右の融通資金に不足するときは、農林中央金庫から資金の供給をすることとし、農林中央金庫が資金に不足するときは、日本銀行において資金の斡旋または供給を考慮すること。三は、罹災者の生活必要物資購入のため、一人千圓一世帶五千圓の範圍内において第一封鎖資金からの自由支拂を認めること。備考、和歌山縣、高知縣及び兵庫縣等の水害地については右に準ずる措置を講ずること。なお右の國庫補助による補助及び府縣の負擔する額は早急に各縣別に決定する豫定」こういう了解事項を今閣議で決定いたしました。なお私といたしましては決して今囘の東北地方その他の水害に對して無關心どころではない、多大の關心、重責を感じておる次第であります。
#22
○石田(博)委員 じようだんだとおつしやられれば何ともしかたありませんが、今囘の水害を現地で體驗して上京してくるところの縣の代表者の諸君は、きわめて眞劍な氣持できております。せつぱ詰つた氣持でやつてきております。もう過ぎたことはしかたがありませんが、今後は決してじようだん扱いにしてもらいたくない、これを重ねてお願いしておきたいと思います。
 さらに昨日事務官の人からの御説明にもありましたし、ただいま内務大臣からもお話がありましたけれども、和歌山縣、高知縣、兵庫縣に對するいろいろの金融上の措置あるいは土木事業に對するいろいろの處置を、今囘の東北に對する處置を一緒にやろうとせられているのは一體どういうわけか。高知縣、和歌山縣、兵庫縣の水害はすでに一箇月以上も前に起つたでき事であります。それを今日までべんべんと日を空しゆうせられたのは一體どういうわけであるか、この點について御説明を承りたい。
#23
○木村國務大臣 お答えいたします。じようだんのように扱つては困ることはごもつともであります。釋明するようですが、これは時と場合によるので、陳情のようなことでおいでになつた場合には私も愼重にお答えいたしますけれども、あの當時のあの場合を御承知の方もあると思いますが、あの祕書官室の前の非常に混雜したところで、私の通りかかつたところをちよつとということでありまして、たれかに陳情しておられるところを私が通つたものですから、陳情というような言葉は聽いたのですが、正式にあらたまつた陳情でないように私は感じました、その感じ方が惡かつたので、輕い意味で申し上げたようなわけであります。
 それから和歌山縣、兵庫縣、高知縣の災害の處置を、今度の東北の災害と一緒に扱つたのはどういうわけかということですが、この災害に對する融資は一緒に取扱つた方が非常に便宜でありまして、融資の關係が直ちにまとまらないで考慮しているうちに、東北に大きな水害が二度も起りましたので、ついこれは一緒に取扱うことに相なつた次第であります。
#24
○石田(博)委員 便宜というお話ですが、それは行政をしている方は便宜かも知れませんが、被害をこうむつた方は延ばされて便宜ということは絶對にないのであります。政府が當局の便宜で災害に對する融資の時期を勝手にきめられたり、額を勝手にきめられたのでは國民はたまつたものではない、從つてこれはあくまで怠慢であると私は斷定せざるを得ない。
 次にお伺いいたしたいことは、この東北の水害の結果、橋梁と道路が非常な損害を受けております、この損害に程度というものは決してなまやさしいものでなくて、また現在の各縣の財政能力をもつてしては、決して負擔しきれない程度の非常なひどいものであります。さらにただいまこれを非常に急いで行いませんと、この山の中の生産現場に貯藏してありますところの木炭あるいは薪などというものが消費地へ運べない。冬が迫つてまいりまして、東北の水害地あるいはその他大都市の消費地へこれを輸送しようといたしましても輸送できない。東北全體はこれは一應陸續きのようでありますけれども、すでに各方面とも交通は杜絶いたしておりまして、小さな島があちこちにできておるというような状態に現實的にはなつております。この必需物費――單に内務省の管掌しておられるところの土木事業という見地からでなく、國民の必需物資であるところの薪炭を輸送し、あるいは主食その他を輸送するために、できるだけ早く行わなければならぬ事業であります。これについての融資の額は先ほど農林大臣からお話がありましたけれども、今内務大臣が言われた金融對策要綱というものを、ちよつと農林大臣に伺いますが、先ほど農林大臣から御説明があつたものと同樣のものでございますね。
#25
○平野國務大臣 そうです。
#26
○石田(博)委員 そうすればこれは農林省關係のものと、内務省關係のものと合して先ほど言われた三億いくらという數字になるのですね。
#27
○平野國務大臣 これは農林大臣が要求をいたしまして、大藏省から承認を得た數字であります。
#28
○石田(博)委員 そうすると三億いくらというものは農林省の管掌しておられる關係内の費用でありますね。
#29
○平野國務大臣 もう一遍申しますと、今囘の災害復舊に對する農林省案というものを立てまして、その内譯が先刻申し上げたように、應急復舊費と、とりあえず肥料農機具等に對する融資、これが合計三億六千萬圓、これを大藏省に對して要求して通つて、その支拂分が今ここで申し上げたような形になつておる。こういうわけであります。
#30
○石田(博)委員 わかりました。それでは内務省の管掌しておられるところの河川の修復、あるいは橋梁の復興、道路の囘復等に対する費用はどういうふうに内務省としては處置をとられておるか承りたい。
#31
○木村國務大臣 今私の手もとに詳しい資料をもちませんから、政府委員がまいつておりますから詳しく申し上げます。
#32
○岩沢政府委員 お答え申し上げます。内務省といたしましては土木應急施設――先ほど石田さんから御指摘になりましたような山間の道路が決懷して生産物の輸送が杜絶する、こういつたような應急施設に対しまして、大體二億圓を一應二十二年度の公共事業費からもらうことに相なつております。そのうち一億圓を東北に配付する。各縣における配付は先般お手もとに配付したことで十分御承知だろうと思います。この額につきましては、現在の状況においては非常に少いのではないかというお叱りを受けると萬々承知しておりますけれども、何しろ豫算の決議した中からむりやりにお願いしてこの額をもつてきたのでありまして、われわれといたしましては、こういう時節ですから、二億でなく十億、二十億というくらいのものができれば、これを早速お渡ししたいという氣持であつたのでありますけれども、財政の關係上二億に止めたことは、はなはだ遺憾に存じております。なお本年度の災害についてはできるだけ早く復舊する、こういう觀點から、特に東北方面は十一月以降においては氣候の關係上復舊が非常に困難だという意味において、できるだけ早くするというような關係から、秋田縣のごとき十數億の土木關係の災害があり、また岩手縣のごときは三億なにがしの災害があります。こういつたものを一年でやるということはほとんど不可能でありますから、これは少くともわれわれの考えとしては、資材、勞力その他資金の關係から見まして、大體秋田縣は三箇年でこれを完成する。それから岩手縣のごときも多少延びますけれども、これも大體三箇年くらいでやる。そうして宮城縣のごときは大體一箇年でこれを完成したい。そのほか山形縣、青森縣はこれを二箇年において完成したい。こういつたようなことで全國的に、昨日河川課長から御説明申し上げておる通り、現在までにおける土木關係の被害というものは四十二億に達しておりますが、それを勘案しまして、大體今年度の實行災害復舊費として十五億くらいを消化したい、そうして二十三年度において二十億、そうして最後の三年目は七億くらいのものを消化したい、こういう意味においてただいまできるだけこの乾燥時期において仕事をしたいという點から、できるだけ融資しなければならぬ。縣全體がご存じのような財政的に逼進しておる關係上、その點をさつき内務大臣から申し上げたような融資の面において、内務省の方では今せつかく折衝しておるのであります。その額がわれわれの望むような額に落ちつきますか、あるいはまたそれ以下になりますか、その結果もまだわれわれのところまでわかりませんけれども、そういうふうな意味に於いて大體目途としては今年度の仕事をやり得るような範圍において金を融資するように努力しておる次第であります。
#33
○石田(博)委員 先手を打たれて申し上げるのは、はなはだくどいようでありまするけれども、額が少いという點については、これはやはり農林省管轄の緊急融資の額と同樣あるいは同樣以上に私どもは不滿に存ずるものであります、國土局長も御承知の通り、秋田縣は十數億の災害を受けておつて、全體が四十二億になつている。それに對して僅々二億という程度のものでは何ごともできない。さらにこれもまた國土局長自身が御承知であつた通り、東北地方は十一月以降になると何ごとも仕事ができない状態になる。橋梁、道路の改修も十一月までに完了いたさなければ、ただに本年度の生産に影響し本年度の物資の輸送に影響するばかりでなく、來年度の生産に非常な影響を及ぼすものであります。問題はその言葉の通り緊急に必要なものである。從つて融資の額等も秋田縣のごときは二億六千萬圓土木關係の緊急融資を求めてまいつております。これは文字通り十一月までに雪が降るまでに完了しなければならぬ最小限度のものに對するせつぱ詰つた要求なのであります。こういう實情に鑑みまして、東北六縣全部合せて秋田縣の三分の一程度の額を一應決定され、あとの額はまだ未決定だというような状態では、われわれとしてははなはだ不滿に存ずる次第であります。さらにそうしますと、内務大臣は御自身から緊急金融對策要綱というものを御説明になりましたが、今内務大臣の御説明になつたのは全部農林省の要求に基いたものだけに止まつておつて、内務省關係のものは全然まだ決定をみていないわけでございますね。その點もお伺いしたい。
#34
○木村國務大臣 今の金融緊急措置は、これはおもに災害のありました範團が農耕地その他生活に關係いたしまする問題でありまして、その方に該當しておるという意味で、おもに農林省の要求によつて大藏大臣が取扱つたものであると思います。説明は聽きませんが、當然そうであると思います。内務省の管轄としましては、土木復奮の工事としては、ただいまのところそういう地方の金融機關なんかを通じまして、融資をしてもらうようなさしむき必要がないようであります。これは大體一つのわくがありまして、このわくの中からこれを出しまして、對策を講どますことになつております。
#35
○石田(博)委員 わくがあるとか、地方の銀行から緊急に融資してもらわなくてもできるという仕事は、一體どういう意味か、詳しく伺いたいと思います。
#36
○岩沢政府委員 ただいまの點につきまして具體的に申し上げてみますと、これは先ほど申し上げましたように、金額はどこまでに落著くかまだわかりませんけれでも、事務當局の意現としましては、石田さんと大體意見を同じくしておるのであります。たとえば先ほどお配りいたしました金融措置の問題においては、大體十四億三千萬圓というものを目途にいたしておるのであります。その場合における配分といたしましては、この表をごらんになります通りに、秋田縣のごときは大體十一月までに仕事ができる範團内の三億圓、もし十四億三千萬圓が閣議の了解事項になれば、配付できる。こういうようなぐあいに配付をしておるのでございます。
#37
○石田(博)委員 そういう程度の融資の御斡旋を、當局と交渉中であるということについては、了承いたしますけれども、これはあくまでもやはり緊急を要するものでありますから、この點については重ねて緊急かつ現在のお考えの通り、要求を貫徹せられるように御盡力を望む次第であります。ただいま内務大臣が御説明になりました土木事業は、農林關係その他の復奮事業と違つて、金融上特別の状態にあるというお話がありましたが、その點についてどういう意味が、御説明願いたいと思います。
#38
○木村國務大臣 私は御質問の要旨をちよつと考え違いをしていました。錯覺をもつておりました。ただいまの閣議で決定したあの金融措置が、内務省にどういう關係をもつておるかという御質問のように考えました。ただいま決定して、さつき申し上げましたあの金融措置は、大體地方銀行などを利用して、そうして緊急の、いわゆる言葉がどうかと思いますが、救濟をするということでありましたので、内務省所管は土木關係でありますから、地方銀行のこれに對する災害復奮等の地方の融資を必要とするということが、ただいまのところないと申し上げるつもりで申し上げたのですが、ちよつと考え違いしておりました。今よく見ますると、御指摘になりましたように、二十二年の災害の融資は、ただいま政府委員から申し上げました通り、内務省は極力この融資を受けまして、速やかに災害の復奮をいたしまするのに十分な熱意をもつておりますので、御承願いたいと思います。
#39
○石田(博)委員 熱意の問題をお尋ねしたのではなく、御答辯の内容が私どもには了解できないお言葉であつた。了解できないというのは、反對であるとかいう意味でなく、その言葉自身が日本語として私どもの頭の中にはいり得なかつたので、御質問したのであります。重ねて言葉の意味をお伺いします。
#40
○木村國務大臣 それは先ほど申し上げましたように、御質問に對して私は錯覺をもつておりました。そこにそういう食い違いが起つたのであります。
#41
○石田(博)委員 そういうことではない。あなたのおつしやつた意味を敷衍してお願いしたい。つまり土木事業は金融上特別の状態にあるということをお話願いたい。
#42
○木村國務大臣 ただいまの閣議の決定したことは、土木事業は省かれておりますから、その方から融資を得ようとするような考えではない、こう申し上げたのであります。
#43
○石田(博)委員 土木事業で緊急融資を現在十數億要求されておる。その金はどういう方法において地方に融資されるおつもりでありますか。
#44
○木村國務大臣 私は閣議決定の臨時金融對策要綱は、農林省の要求した三億六千萬圓融資に對する臨時措置であるように錯覺をもつておりまして、少し違つたことを申しましたから、さきにこれに關連して申しましたことを訂正いたします。
#45
○石田(博)委員 私はこれで質問を終ります。
#46
○本間委員長 淺利君。
#47
○淺利委員 ただいま内務大臣の御説明を承つたのでありますが、われわれは不幸にしてこれを十分に了解することができないのであります。今囘の水害においては、農業關係の被害が甚大なばかりでなく、道路、河川、橋梁の被害が最も甚大であります。この道路、河川、橋梁の復奮を見るにあらざれば、應急の措置をなすにあらざれば、交通杜絶の結果、先刻石田議員の言われた通り、穀物の搬出も、あるいは薪炭の搬出もできないという事情であります。殊に岩手縣のごときは今囘の水害のために、炭焼窯が二千いくつも壊れておる。また林道がすべて壊れておる。しかも木炭が三十何萬俵というものがなくなつておる。京濱地方における岩手縣の製炭の供給量は、その四割を占めておる。この冬を迎える際において、これらのものを完成するにあらざれば、この冬における京濱地區の燃料には、非常なる悲慘な状況を來すと思うのであります。これらはあるいは農林大臣がすでにお述べになりました三億數千萬の中に、含まれておるだろうと思うのであります。のみならず内務關係におきましては、公共事業費としてわずかに二億圓程度である。あるいは目下十數億圓を要求中である。その要求の方法については、何ら具體的な方向をお示しにならぬ。目下交渉中である。もし内務大臣が閣議に列席されておるならば、何ゆえに農林當局と歩調を合わせて、この土木費についても臨時融資の方法をもつて、この十數億圓を解決するという方法に出なかつたか。その理由をひとつお聽きしたいのであります。また他に何か適當な方法があるのか、その點を承りたい。
#48
○木村國務大臣 お答えしますが、農林省と同一の歩調をとつて、やつておるつもりであります。別に個々にやつておるようなことはありません。
#49
○淺利委員 そうすれば内務省もやはり農林省と同じように、特別融資の方法を講じて、先刻國土局長が説明された十數億圓というものを、早急に解決する御方針でありますか。
#50
○木村國務大臣 十四億三千萬圓の融資は大藏省の方へ要求いたしております。あなたの御質問の要旨をもう一遍承りたいのであります。
#51
○淺利委員 先刻國土局長の御説明によれば、この十一月までの應急措置として十四億萬圓の費用を要求しておる。こういうふうに承つたのであります。そういたしますれば、これを至急に解決する上において、一方農林省當局においては三億數千萬をとりあえず閣議決定をいたして、そうしてこれを地方銀行の融資によつて早急に解決する。こういう方法をおとりになつたのであります。内務省は十數億圓のものを大藏省に要求しておる。しかし大藏省の解決がいつになるかわからぬ。そうすればこの問題もとりあえず併せて閣議決定の地方融資事項として、農林省と同様に至急に解決するという方法を何ゆえにおとりにならぬかという點であります。
#52
○木村國務大臣 よくわかりましたが、内務省といたしましては、全體の關係からもう少し基本的な計畫を立てて要求しておりますが、とりあえず先ほど政府委員から御説明いたしましたように、二億圓だけは緊急の措置として要求しておる。大體農林大臣のお述べになりましたことも、すべてこれは日本政府としてやつておることでありまして、別に個々で責任をもつてやるということでなくて、日本政府として責任をもつてやるということに考えております。
#53
○淺利委員 ただいまの御答辯はただ同じことを反復したように承つたのであります。基本的要求と申されましても、これは應急の緊急措置の費用であります。根本的の治山、治水の恆久的對策ならば、基本的ということでゆつくり交渉になつてもあるいはしかるべきでありましようけれども、日限の追つておる今日において、基本的であるからというようなことで今交渉中々々々では、いたずらに遷延するばかりであると思うのであります。一體この水害問題に對する政府の考え方が、あるいは健全財政とかなんとかいうわくに縛られてこれを考えているということが、根本において間違いである。かくのごとく天變地異、突發事件に對して、しかもこの民生の上に重大なる關係のあることは早急に、むしろこれは健全財政というきまつたこと以外に、特別に考慮を拂うべきものであると思うのであります。來年の生産に重大な影響をもち、またこの水害地における各種の交通杜絶という事態を收拾する上においては、いたずらに普通の健全財政をもつて律すべきものにあらず、むしろ起債を起すなり、臨機の措置をとるべきではないか、こう思うのであります。この問題については内務大臣は主管大臣である。最も責任の衝に立たれる方でありますから、この點を強く主張していただきたいのであります。先刻秋田縣の陳情團に對して、自分はもはや内務大臣としてすることがないとお話になつたことは、これは御じようだんでありましようが、しかしわれわれからみますれば、この内務省の空白時代ということは、この治水復舊事業に對しての熱意を缺いておる。内務大臣自體があまり深く御研究にならず、國土局長の責任においてこれを任しておるというようなことでは、まことにわれわれは心細く、信頼ができないのであります。大臣の現職にあり、またやがては建設廳ができましたならば、あるいは御所管になるかもしれませんが、ともかくその職にある間は、この緊急の處置に對しては、これだけは御任期中に必ず解決するということの熱意をもつて當つていただきたいということをここに要望いたします。
#54
○本間委員長 ちよつとお諮りしますが晝食を食べずに皆さん御勉強をいただいて恐縮しておりますが、もうすでに一時を過ぎておりますし、きようは午後から本會議もあるのですが、午後繼續してやりますか。
#55
○本間委員長 それでは皆さんがそういう御希望ならば、もう少し繼續してやつても一向差支えありません。
#56
○木村國務大臣 淺利さんから御注意がありましたが、それは努力いたします。答辯の食い違いがあつたかもしれませんが、それは十一月までに金にするように努力いたします。政府全體の責任をもつていたします。
#57
○石田(博)委員 十一月までに金がくるように努力されたのでは間に合わぬ。十一月までに工事が濟むように金は緊急にまわしてもらいたい。二億ではお話にならない。一億ぐらいもらつたのでは問題にならないことは、國土局長御存じのはずである。だから十四億三千萬圓というものを要求せられておるならば、それは農林省關係のことは出されるのですから、内務省關係のものも速急にできるはずです。それを早急にやつてもらいたい。そのお覺悟とお見透しをもう一度はつきりとお伺いしたい。これはわれわれの縣にとつては實に重大なる問題ですから。
#58
○木村國務大臣 ごもつとも千萬な御質問であります。その融資を十一月までに得るという意味ではございません。それは緊急に、できるだけ早く要求してとりまして、なるべく早く工事をいたすつもりでございます。
#59
○石田(博)委員 その見透しを伺いたい。
#60
○木村國務大臣 それはただいまちよつとお答えできませんが、なるべく急速にこの上ながらも努力をいたします。
#61
○葉梨委員 先ほどから農林大臣の御答辯、内務大臣の御答辯を伺つたのでありますが、大體災害復舊に關しては、内閣としてはどこが中心となつて災害復舊についての議を練つておるか、これを伺いたい。
#62
○平野國務大臣 安本長官と大藏大臣と内務大臣と農林大臣と、大體この四閣僚が中心となつて案を練つております。なおこれについては東北出身の閣僚二三の人も、オブザーヴアーの形で參加いたしまして大體やつております。從つて、嚴格に申しますと、東北水害に關するところの對策といたしましては、安本、大藏、農林、内務、これだけの關係においてやつておるのであります。
#63
○葉梨委員 しからば、四閣僚の會議によつて行われるものであるか、或は内閣に統一機關があつて行われるのであるか。その點は、關係閣僚が寄つて互いに話し合つておるということで進んでおるのか、また東北關係のみでなく、全國に對する災害救助に關する對策は、その四閣僚及び出身地の閣僚によつてやるというような漠然たる方針でやつておるのか。あるいは内閣に特別の組織をもつてやるということでやつておるのか。そこをはつきりさせないから、かように答辯が食違つたり施策が前後したりすることになるのじやないかと思う。その點をもう一應はつきりと責任のある内閣としての答辯を願いたい。
#64
○平野國務大臣 先刻申し上げました閣僚において、東北水害對策閣僚懇談會というものをつくりまして、その懇談會において決定いたしましたものを閣議にかけて最後決定をする、こういう段取りであります。
#65
○葉梨委員 しからばお伺いいたしたいのであるが、八月六日附をもつて衆議院に提案になつておりまする災害救助法案、これは現内閣の決定によつて提案それたものである。この趣旨によつて少くも災害救助に關する運營を考慮していくべきじやないかと思う。この法案を一面提出しておきながら、しからばこの法案のもつておる内容と現内閣の施策というものは一致しないことになる。これはどういうことになるか。
#66
○平野國務大臣 法案は法案として別個でありまして、先刻申し上げました四閣僚が中心としてやつておりますのは、緊急東北救濟に關する當面の對策の懇談會であります。
#67
○葉梨委員 現内閣が施策として災害救助に關する法案を出して、しかもその法案の中には、ちやんと内閣の災害救助に關する組織方針というものを明らかにしておる。この法案が出してある以上は、現内閣の責任であろうと思う。これをそのまま國會の承認を得れば實行に移すことができるのである。この精神は現内閣の精神であろうと思う。提案している以上、法案は法案であり、對策は對策であるというようなことは、同じ災害救助に關する問題であつて、何だかこの法案のことをお忘れになつておるのではないか。この災害救助法案の基準によれば、この對策の立て方というものは容易である。現内閣が出されておる法案そのものを通覽してみますと、この對策というものに對する基準が明らかになる。また、これによれば、内閣總理大臣のもとに中央に災害對策協議會というものを置くことになつて、内閣總理大臣主管のもとにやつていくことになつておる。そうすればこれは統一された計畫になつて現われてこなくちやならぬ。金融の措置についても、農林省の所管とか、内務省の所管とか、それぞれ別々に大藏省と折衝しておるというようなことなしに、災害に關しての豫算はこれこれである。これこれの豫算に對しては、さしあたり資材の關係はこうであるから、こういうふうになるように實行していこうというようなことは、内閣全體としてと申しますか、中央災害對策協議會のようなものがあつてこそ、初めて統一した案ができるのじやないかと思う。それがないから、ただいまのような食い違いがあるのではないか。こうわれわれには感じられる。お忙しいから閣僚諸公のお互いの間の連絡はなかなか順調にいかないのかもしれませんが、そういうふうに、この災害救助法案をみますと、書いてある。あなた方が提案された法案、目下審議中の法案、それにはつきりとそうなつているのですから、そういう方法でおやりになられたら連絡統制がつくのじやないかということを私は伺つておるのです。
#68
○平野國務大臣 議會へ捉案しております災害救助法は、厚生省の所管として出しておる問題でありまして、もつぱら災害に對する人を救濟する點に重點をおいたものであります。從つて、緊急ではありますが、相當考え方は根本的なものに觸れておるわけであります。先刻申し上げました安本、大藏、内務、農林の四相によつて立つておりますところの東北水害對策の閣僚懇談會は、當面せる現在の東北の救濟に對する應急的な措置を立てて、これを閣議にかける機關でありますので、これは別個の違つた機關として御了承願つて十分筋が通る、かように考えております。
#69
○葉梨委員 私は、統一ある災害救助對策というものを内閣として立てて、そうして、農林省は農林省、内務省は内務省というようなことで、從來のように一つの河川に關しても、それぞれ違つた工事をしておるというようなことでなく、しばしば論議になりましたように、統一ある、統制ある對策を講じていかなくちやいけない、それでなければそこにむだを生じ、あるいは緩急序を失する場合もないとは限らないと思う。そういうことは往々あつたことである。そこで統一ある方法によつてやるべきじやないか。關係閣僚が話合いでやつておるということでありますけれども、ただいまも他の委員からの質問において明らかなごとく、内務省は内務省、農林省は農林省、しかも應急對策の方法等についても、おのおの、一方では農林省として要求して通りましたという、一方では内務省として要求しておりますという、しからば大體これに對する應急の根本的な統一ある方針というものをもたないことになる。東北五縣の災害ももちろん甚大であるがゆえに、それの對策を講ずる閣僚の會合をお開きになることも至當であろう。しかし兵庫、和歌山、高知等の災害も、先ほどから問題になつておりますように、放置するわけにいかない。いわゆる災害對策というものに對する内閣としての一貫した協議體をつくられたらいかがであらうか。こういうことを私は老婆心からお話申し上げておる、法案の趣旨は、なるほど災害救助法案は厚生省所管である。しかし勞務その他資材に關してまでみなこれは法の中に含まれておる。所管が厚生省であり、主として人命である。もちろん人命を對象としておることは明らかである。ところが民生の安定をはからんための災害救助なんです。所管がどこであろうとも、災害は災害である。この基準が一應示されておるのだ。こういう基準に基いて急速に統一ある案をお立て願つたらいかがであろうかということを申し上げた。議論をしかけられたというふうに考えられるからそういう答辯があつたのではないかと思いますが、議論ではない、實際の問題の運用上さようにされるのがよろしいではないかということを申し上げ、なお災害救助法案によれば罹災基金というものもこれが通過すれば廢止になるということである。國庫補助をどの程度國家が負擔するかということのおのずからなる標準もこの中に示されておる。すべてにおいてなかなかよく立案されたと思うように内容においては盛られておる。それであるから先ほどから私が申し上げておる全額國庫負擔の要求もあるし、いろいろ意見もあつた。いわゆる國家全體としての見地からしての標準というものがなければならぬ。その標準を大體この法案においては常識的に盛られておる、それらのことを考えて私は申し上げておるのです。そういう點をお考えの上慮心坦懐に一つ御答辯願いたいと思います。
#70
○平野國務大臣 はつきり申し上げますが、災害救助法はあくまでこれを厚生省の所管であつて、人を中心として救濟する案であり、現實問題でありますが、相當恒久的な問題である。東北地方に對する救濟法といたしましては今日いますでに手を打つており、打たなければならぬ問題であるので、これは大體において四閣僚で現在考えておる。和歌山縣その他全國を含みまするところの災害問題については、内閣全體として、あらためて一つの方策を立てる、こういうふうに區別してお考えを願いたい。
#71
○只野委員 私は宮城縣の者で、水害の中心地の提防の決壊した村の出身者であります。それで私の申し上げたいことは、村の故老がどういうふうにこの水害に對して考えておるか、それから政府に對してどういう感情をもつておるか、またどういう期待をもつておるか、そういうことを申し上げて、それに關連していろいろ御質問したいと思います。もちろんこれは宮城縣の一部の問題だけを申し上げるのでありません。その一部を申し上げればそれが全體とほとんど同じようになると思います。その意味で一つの例として申し上げます。たとえば今度の宮城縣の一部の水害は江合川の氾濫というものが大きな原因をなしております。ところがその江合川の氾濫は避けることができないかどうかというと、これは避けることができる。どうすれば避けることができるか、それは川の水の氾濫しない大きな川の方へその氾濫する水のはけ口をつくつてやればそれで水害が避けられる。今度の災害の大きな原因は江合川が氾濫してその氾濫した水が北上川の方へ合流して、しかも北上川の方の水が氾濫しておつて、それがさらに逆流をして、そこで直接提防を決壊しない場所も冠水する。こういうふうになつた。ところがこの問題は今からすでに三十年前に考えられておつた。ちようど明治四十三年の水害、大正二年、大正六年の水害、こういうような水害のためにその當時の為政者たちがこれは河川の合流をしなければいかぬ。河川合流によつてその危險分散の方式をとらなければうまくいかないということを考えたのです。そして江合、鳴瀬の河川合流問題が起つた。ところがこれはもちろん一利一害があります。たとえば、鳴瀬川の方に水がよけい出た場合には江合川の上に流れる危險もあるだろうし、また江合川の水が鳴瀬川の方へ相加わることによつて鳴瀬川の沿岸が危險になるというふうなこともあり得るけれども、その間の事情を言えば、人為的に、機械的にたとえば鳴瀬川の水が少いときには江合川の水を思い切つて入れる、そうなれば江合川の下流は水も停滯しませんから、結局ある一地區の冠水状態はなくなる。こういうことが實は三十年前に考えられた。そうして内務省の事業として、それがある程度續いておつた。ところが戰爭その他の關係でその事業がまだ未完了になつているままのところに、今度の山の濫伐から來る大洪水、こうなつた。ところがこれに對して村の故老は、政府ぐらいあてにならぬものはない、結局こういう結論をもつてくる。これは政府としてもそう言われてはお困りだろうと思いますが、國民はそのときそのときでそういうふうに思うのです。ですから私はこういつた事情が今度の東北五縣の水害に相當あつたろうと思う。たとえば、どつかの川の河川改修といつたようなものが、政府のいろいろの事情、あるいは怠慢というような關係で、仕事がはかどらないでおつたために、避け得べき災害をとうとう避け得ないでしまつた。こういう實情が東北五縣の中にも、宮城縣だけでなくあるんじやないかということを考えた場合に、私は少くとも今度の災害に關しては、從來なすべきはずであつた仕事をやめておつたために、ある程度の災害を不可避にしてしまつたとすれば、優先的にその事業は急速にやらなければならぬということを私は思うのです。それでこの問題に關しましては政府、特に内務省の河川關係の方々におかれまして十分御調査の上、急速にやらなければ民心の安定がないと思います。つまり二十年も三十年も以前からほつたらかしておつたための災害であつた。そうして今度はそれに對する復舊工事とか、その繼續事業の促進とかいうことを熱心にやらなければ政府というものは信頼することはできないものだ、こういう觀念を國民に與えたならば、これはたいへんなことになると思います。できないことはできないのだが、やるべきことに對する熱意は示してもらわなければ相ならぬ、そういうふうに思います。それで私の質問いたしたいのは東北六縣でやるべきはずのものが、未完成になつたために災害を避けることができなかつたというような個所がどのくらいあるか、またそれを今後ただちに急速に實行されるかどうか、そういうことについてのお答えをお願いしたいのであります。
 それからもう一つ、これは農林關係になると思いますか、治山が治水であることは言うまでもないことであります。徳川時代には山を保護するということが名君のわざであつた。ところが明治時代にはいりましてから、いわゆる都市文明が發達して、人口も殖え、建築もやらねばならぬといつたような關係が伴うで、山を愛するということが非常に少くなつてきた。特に今度の戰爭においてはいろいろの關係上山の木を伐つた。ところがそのあとの問題が大きい。戰爭前に伐つた木と、戰爭後に伐つた木とその量が一體どういうふうになつておるか、どうもわれわれの考えでは戰爭前と戰爭後と、伐つた木の量から見ると、戰爭後に伐つた木の方が多いように思う。これは村人はそう考えております。どうも山をもつておる地主の間には木を植えておつては損だ、木を伐れ、こういう空氣がみなぎつている。この空氣をわれわれはどう見ればよいのか。これはいわゆる山を愛するとか、植林とかいうような單純な問題ではないと思う。これは國家的な大きな問題なりと思います。山を愛する問題は決して單なる一片の理論ではできてくるものではないと思います。たとえば、山を愛する道義を高めねばならぬとか、あるいは山を愛する思想を涵養しなければならぬとかいつたようなことだけでは處理ができません。山に木を植えた方が得だという感じをもたせるような政策が樹立されなければ、山に木は生えては來ないのであります。これを忘れては植林事業はできないのではないか。私は植林に關してもこういつた問題に關してもまつたく素人でありますが、結局農民は山に木を植えた方が得だという觀念をもたせるような政治をとれば、山には自然木が生える、山に木を植えれば損だということになれば默つていても山の木はなくなつてしまうということを言つております。それで私はこの問題については農林大臣のお考えを承りたいと思いますが、まずもつて御質問したいことは、山の木を濫伐する根本の原因をどうごらんになつておるか、それから今後山に木を植えることについてどういう御施策をもつておられるか。山に木を植えさえすれば、川はひとりでに深くなります。古老は言つております。われわれの村の中を流れている川は今から五十年前は帆掛舟が、米を積んで通つたのだ。川の底がずつと深かつたと言つております、ところが現在は川底が地面よりも高くなつている。山に木がないために土砂が崩壊して流れて川を埋めている。山に木があれば一石の木が一石の水をたたえると言われております。從つて山に木があればその水が自然に流れて、川の底を掘つていつて、砂を海の底に押し出してしまう。そうすればおのずから川は深くなる。堤防は小さな堤防でも間に合うということになるのであります。そういう意味から考えましても、山を愛するということ、山に木を植えるという問題は非常に大きいのでありますが、この問題に關しての根本的な政策の樹立がなければこれはできないと思いますので、農林大臣からこのことについての御説明を承りたいと思います。
 なおもう一つ、これは先ほど來石田君その他の方々からいろいろ御質問がありまして、ほとんど言い盡されておりますが、私が今申し上げるのは私の村の古老の言つておる心配をそのままお傳えする、そういう意味で申し上げますので、あるいは重複するかもしれませんが、まず一番心配しているのは堤防が決壊した先に住んでいる住民であります。この住民が何を心配するかというと、今年は雨が多い、九月にはまた暴風雨が來るぞ、九月の暴風雨をどう處理するか、決壊した堤防があけつぱなしで水がまたどんどんはいつてくるようなことがあつたならば、あとからまた何かとろうとする後作がどういうことになるか、こういうことを心配しております。つまり決壊した堤防に對する大きい處置はもちろんのこと、何とかしてこれを食い止める方法はないものか。それからその次には家が流され、ほとんど床に浸水して食糧などを失つた者などの生活、それも直接被害者としての援護をしなければなりませんが、さらにもう一つは、登米郡の石越村というのはあの邊の災害の中心地ですが、その中心地にまいりましたときに、村の長老が言つていたが、今の村の青年たちはこの村の姿を見て出かせぎしなければならぬのではないかということを心配しております。もう食生活に困る。これをどうすればよいか。結局は救濟事業を積極的に起して、そうしてお金をもらいたい。それによつて來年まで生きていきたい、こういう要求が濃厚なのです。これは命がけの要求なのです。私は政府のお困りのことも、日本の國が困つていることもよくわかつております。わかつておりますが、今現に餓死する場所に直面している哀れなる農民は救わねばならぬ。今死にかかつている者は何をおいても助けねばならぬのである。そのことについて政府は思い切つて積極的な手を打つていただきたい。これをお願いしたいのです。從いましていろいろ具體的な數字をあげられておりますけれども、先ほど石田委員の申された通り、燒石に水の感がありますので、やはり最善をつくして東北の民を救つていただきたい。われわれはそのことのために全力を注がねばならぬということを感じております。まとまりませんでしたが、以上三つのことについてお考えを伺いたいと思います。
#72
○平野國務大臣 第一點の、どうしてこんなに木を伐つたかということでありますが、これは私どもの方の知る範圍におきましては、何と申しましても戰時中の濫伐であると、こう斷定せざるを得ない。むろん現在におきましても薪炭材その他の用材が必要でありますので、相當の濫伐が行われていることはもとより認めますが、一應戰時中の濫伐をどうするか、こういうことになります。從つてあなたの御議論のように、どうして木を植えさせるかという問題は非常に重大なことであり、しかし簡單にはまいらぬのでありますが、われわれといたしましては昨年以來現在の林野の實態調査ということを行いまして、實際山がどうなつているかという實情を拒握することに重點をおいております。それから五箇年計畫なども立てまして、先刻申し上げました通り、二百七十萬町歩のいわゆる緑化ということを著々計畫をいたしております。しかしこれは昨年の結果から申しますと、それだけでは十分とはまいりません。そこで私といたしましては、新たに相當大規模な計畫を立てまして、あなたのおつしやるように、いかにすれば山が青くなるかということについては、十分皆さんのような專門家の御意見も承つた上で案を立てたい、かように思つている次第でございますから、この點御了承を願いたいと思います。
#73
○木村國務大臣 水害につきまして、根本的な復舊なりまた計畫を誤つているがために、あとから出る水害について一層甚大なる被害を與える。そういう誤つたような工事が東北地方にはどのくらいあるかという御質問でありましたが、これは政府委員からお答えいたします。
#74
○岩沢政府委員 今の只野さんの御質問は、誤つたというのではなくて、實際上のいろいろの財政上の都合なりその他の事情によつて工事が遅延したために災害をこうむつたということだろうと思いますが、それにつきましては、お説の通り、これは大正七年からの問題でありまして、江合川の治水ができていれば、江合川の水は鳴瀬川の方に吸收して相當緩和されるということは事實であります。でありますから私どもといたしましてはこの水害を契機といたしましてできるだけ迅速にこの江合、鳴瀬の切落しを敢行したいと考えております。なおこういつた例が東北にあるかというお話でありますが、これは江合、鳴瀬とは違いまして最上川の下流、赤川の合流點においてその堤防がもつと加設しなければならぬものが、いろいろの事情から今日まで遅延したために、最上川の逆水がはいりまして、五十町歩ばかり浸水したという例以外には、別にまだ聞いておりません。
#75
○本間委員長 農林大臣が一時から參議院の方に會議がありまして、それをずつと延ばしておるわけでありますからできるだけ簡單に要點をお願いいたします。佐々木委員
#76
○佐々木(更)委員 大臣の時間の都合もあるようでございますから簡單に御質問申し上げます。現在惹起しておる災害の復舊對策、應急對策につきましては、すでに大體盡きたと思いますから、私はその應急對策がよつて生ずるところの將來の根本對策との有機的關係についてお伺いしたいと思うのであります。今度の東北の災害を通じてみることは、爾來東北が日本のいわゆる資本主議政治と申しましようか、半植民地的な取扱いを受けまして十分なる治山、治水の施策がなされておらなかつたということがあげられると思うのであります。從つてこの機會に私は今後東北におけるところの災害の對策はあくまで日本の政治が、日本全體の大衆にとつて政治、經濟、文化、あらゆる部面にわたつてその恩惠が均等化されなければならぬ、こういう原則の上に立つてこの惠まれない東北に對して、この災害を機會に、政府は重點的に、東北の災害の將來の防止に對して徹底的な、特殊的な對策を講ずべきもと考えるのであります。從つて本委員會もこの基本的態度の上において案を作成いたしたいと思うのでありますが、この點については政府はどうお考えになられるか、お聽きいたします。
 次には將來の治山、治水の對策はひとり東北のみではございません。全國的に全面的かつ統一的に國家が當然その責任を負うべきことを私は要求したいと思うのであります。すなわち從來の河川對策は内務省の直轄と國家保障のもとに、中小河川はほとんど縣市町村の責任に任せられて今日に至つております。そのために徹底的な施策が講ぜられなかつた河川對策の脆弱性が、今囘の災害の上で遺憾なく暴露されたものと思うのであります。殊に今囘の水害は大部分地方の責任であるところの中小河川にその被害が激甚であります。その原因の一つには不徹底な施策の結果、ほとんど東北の河川というものは原始河川の形態にとどまつておるという事實であります。たとえば、宮城縣の迫川の被害は、その河川の敷地に今なお厖大なる私有地が多くて、いわゆる河床にはいまだ樹木や竹藪が繁茂しておるために、流水を妨害してその慘禍を激甚ならしめておる状態であります。さきに只野委員から申されましたように、江合川の被害も、要するにこれらの直轄河川といわゆる中小河川との有機的な連合關係がないところにあると思うのであります。從つて將來の河川對策というものは治山、治水、中小河川すべてを一元的にかつ統一的に國家事業となすべきものである。この上に立つて初めて今後政府が緊急行おうとするところの、いわゆる緊急應急對策が萬全の效果を表わすものと私は考えるのであります。從つて今囘の復舊工事も單なる全額國庫負擔というような問題ではなしに、治山治水の國家事業として國家の責任負擔をもつという根本的建前に立たなければ、とうていこの河川對策のいわゆる恆久性というものは樹立せられないと考えるものであります。從つて本委員會はかくのごとき根本對策に對して立案すべきものと私は考えるのでございますが、政府の御見解はどうでございましよう。この點についてお伺いいたします。
 第三點はいわゆる災害の社會性というものを認めなければなりません。從つて災害の社會性を認める以上は、災害の犠牲負擔の均分化ということが問題になるのであります。災害を受けたところの住民だけがその災害の犠牲を負擔するのではなしに、かかる不徹底なるところの治山治水の對策の結果生じたところの損害というものは、社會全體がその犠牲を均分にしようという意味におきまして、この際政府は速やかに決定的に全額國庫負擔のもとに、この災害住民の復興に努力すべきものと考えるのであります。本委員會もまたこの災害民の救濟の問題に對しましては、かくのごとき態度の上に立案すべきものと私は考えるのでございますが、政府はどう考えまするか。この三點について政府の御見解を御披瀝願いたいと思います。
#77
○平野國務大臣 私に關する分についてお答えいたします。御指摘のように東北が特別な關係の上において今度の災害が起つたというような點もむろんあろうかと思います。しかしこれは繰返して申します通りに戰時中における濫伐の結果、全國的に起つたところの災害であると判定できますので、政府といたしましては御指摘のように、全國の治山治水及び山林政策、こういうものをこの際恆久的に立てることによつて今囘の水害に對する大なる教訓としていきたい、かように考えておる次第であります。なお東北に對して特別な從來の措置が惡かつた、だから特に東北がかようなことになつたというような實情が明確になりまする限りにおいては、その部分のついてはその部分として十分考慮いたしますることは當然であると考えます。
 なお災害が災害地だけの犠牲において復舊されるべきではなくして、社會全體の上において復舊すべきものであるという御議論は當然のことであると考えまするので、この點に關しましては國が乘の出して救濟をする、災害の復舊をするという考え方について、まつたく同感でございます。今囘農林省におきましては、農業保險に關しましては、單に農業者がこれを負擔するのではなしに、消費者階級がむしろこの農業の災害に對しては、その一半を負うべきものであるという考え方から、農業保險については米一石に對して何がしかの金をとつて、それらの資金をもつて農業災害に充てるというような考え方をしておるのであります。米と水害とは同一ではありませんが、いずれにしても災害に対する社會性というようなことに對しましては、ただいま佐々木君御指摘のような點について十分考えたい、かように存じております。
#78
○木村國務大臣 全國の河川の種別が町村なり県なりの負擔の種類があつて、統一ができないために災害が非常に多いというような御質問に承りましたが、お説はまことに御同感であります。御同感でありまするが、できるならば全部直轄河川として全額國庫負擔でやるということの、まことに結構なことは、申すまでもありませんが、現行の緊迫せる國家經濟としては、どうしてもこういうことをやり能わない現状にあります。今囘の災害についてはできるだけ多額の負擔を國庫でいたすように努力したいと考えております。
#79
○佐々木(更)委員 全部の中小河川も直轄工事にして、總合的な統一的な施策を講ずべき意見については、内務大臣は贊成せられたのでございますが、ただこれが實現に對して、現在の日本の國力がこれを許さないというお話でございましたが、私は内務大臣がそこまで御決心をなさいますならば、現在中小河川に對しても六割八分、約七割の補助をしておりますから、あと三割でございます。この三割によつて日本の治山治水の對策が徹底的に解決され、統一的、總合的に解決されることによつて、將來起るべき災害が防止せらるるならば、これは當然斷行するところの勇氣をもつて立案なさることが至當であろうと考えるものであります。昔から一文惜しみの百知らずという言葉があります。あと三割の國庫負擔を惜しむがゆえに、現在のような不統一な治山治水によつて、東北が將來なお災害に見舞われる危險を座視することはできないのであります。從つてそういう意味において、そこまで御認識なさいます内務大臣は、一歩を進められまして、これを全部直轄河川とし、治山治水の全責任を國家の責任においてなすべきように、ひとつ御奮發を願いたいと考えるのであります。
#80
○本間委員長 石田君。できるだけ簡單に……。
#81
○石田(博)委員 ただいま配付を受けた直轄河川災害復舊に關する經費その他の資料について、政府委員で結構ですから簡單に御答辯願いたい。
 第一枚目の「直轄河川災害復舊に要する經費」という點の中に、秋田縣の米代川の復舊費總額を一千七百萬圓、富山縣の黒部川の復舊費總額を千六百七十万圓、ほとんど同額であります。その中で本年度著工する豫定のものは、米代川に對しては二百萬圓、富山縣の黒部川に對しては四百萬圓、富山縣の方は今囘の水害において免れておる。しかるに今囘の水害において災害をこうむつて復舊を一日も爭つておる米代川の方が、同じ條件にありながら半額であるとはどういうわけであるか。氣候的條件においてもほとんど變りがないはずである。しかも米代川は復舊を一日も早く急いである。それだけよけい壊れておる状況にあつて、こういう半端な取扱いをされたのはどういうわけであるか、これが一點。
 第二點は三枚目の「昭和二十二年災害復舊緊急施行額調」というものがありますが、その中に復舊費總額として組みこまれておる豫算總額というものは、直轄河川に對するものを含んでおるのかどうか。直轄河川に對するものは全額國庫で行うべきものであつて、補助金というような名目で支給されるものでないが、これは直轄河川以外のものだけであるか、まずその點について答辯を飼いたい。
 それから時間がないので一括して質問しますが、ここに資料が出ておりますが、そのうち復舊工事所要資材に關する調というものがある。この資材に對する確信をはつきりおもちであるかどうか、この點安本關係の人が見えておられたならば御答辯をお願いしたい。この三點について御答辯を願います。
#82
○岩沢政府委員 お答え申し上げます。由來直轄河川と申しますと、ただ單に國會で豫算が決議になつたものについては、すべて内務督の負擔において管轄するというのではなくて、今その實際の取扱いを申し上げますと、仕事をしておる區間を結局國が責任をもつ、こういうことに相なつておりますから、從つて米代川のこの千七百萬圓というものは、實際國が手を下して工事をやつた箇所が流亡したのでありまして、そしてこの二百萬圓という應急措置は、結局内務省の實際の建設力からにらみ合わして、一番緊急を要するものが二百萬圓、一應はそれで止まるのだというような意味合で、仙臺東北出張所から來ましたので二百萬圓をやつたのであります。お話の通り米代川は上流から下流に向つて非常な災害を受け、上流の大部分はまだ直轄工事の區域ではありませんけれども、いずれこれは直轄で根本的な計畫をしなければならぬと思ます。しかしながら下流における未著手の部分は、ほんとうにあとかたもなくやられておるのであります。これは縣の今度の災害復舊の中に含んで、その施行については縣と國とが合議して、どういう方法で迅速にするかということを考えてみたいと思います。それから黒部川のことでありますが、この黒部川はよほど前から國の方で施行した工事の延長は相當長いのであります。それが今度の出水において大分破壊しましたから、その破壊に對して復舊を要したのでありまして、從つて場所も相當あいておりますすし、工事も相當長いような關係上、工費が高くなつておるような状態であります。
 それから第二番目の補助費につきましては、この中には各府縣における直轄のものは全然含んでおりません。
#83
○高野政府委員 私は安定本部の建設局長であります。資材關係につきまして、責任の局と打合わせてきてはおりませんけれども、ここにあります資材は、現在の鋼材とセメントの生産量から見て、非常に困難な數字でありますが、セメントについては、一應他の事業ら約七、八千トンは早急にまわすことができるという目あてがついております。鋼材は千五百トンくらいでありますので、今囘の災害の重要性に鑑みまして、安定本部としてはぜひこれだけの材料はとりまとめたいと考えております。
#84
○石田(博)委員 最初の米代川と黒部川の取扱いについては、政府委員の答辯では滿足しかねるというよりも、わかりかねる點が多いのであります。つまり直轄工事をやつておる箇所に對する災害の状況竝びに工事を要する状況というものは、黒部川の方が現在の東北における水害を受けた状態においてよけい必要であるというよりも、米代川がそれ以下の取扱い状態にあるとは考えられない。つまり米代川の復舊というものはこういう水害がないとしても、當然考えられるものとわれわれは考えるわけでありますが、私は富山縣の例は知りませんけれども、今囘何人も激甚であると認めておる米代川が――われわれはたくさん資料をもつていませんので的確には申し上げられませんが、一般的社會通念からして、それほどでもない所よりも少いということは、どうも納得がいかない。さらにもちろん緊急を要することであるので、復舊費を見積つたならば、本年度においてできるだけたくさん出してもらいたいことは當然であるが、少くとも同一、あるいは同一以下の條件にある黒部川より以上に支出するように努力せられたい、こう思うのであります。
 それから安本の方がおいでになつたので、ついでにお伺いいたしますが、このいただきました資料の一番終りに「災害融資所要見込額調」というものが掲げてあります。この所要見込額を安本關係の資材の面から見て、これだけの土木工事の復舊に要する融資の裏づけとなるところの物資のお見込みを伺いたい。先ほどの物資は今まで豫算の通つたところのものに對する裏づけであるが、今度新たに見こむところのものは當然のことで、われわれはこの金額を要求するわけですが、この金額に對する資材の裏づけはできるかどうか、これはどうしてもやつてもらわなければならぬが、この點を一つお伺いしたい。
#85
○高野政府委員 資材の點につきまして、私はここで責任をもつてお答えできないことは遺憾でありますが、私の存じておる程度では、これは非常に困難だということだけは申し上げられると思うのです。今一番困難なのはセメントに鋼材なのでありますが、この點につきまして、早速歸りまして本日幹部會合がありますので私は長官にお傳えいたしたいと思います。
#86
○石田(博)委員 資材の裏づけができなければ、數字の上で金をいくらもらつたところでこれは何にもならない。だから内務省の方は資料を的確に實に早く出して、われわれとしても感謝をいたしておりますが、資料だけをやたらに出してもらつても、現實に融資についての大藏省との折衝も濟んでいない、裏づけとなる資材の面について、安本との折衝も濟んでいない、そういう状況でこういう數字をいくら羅列していただいても、現實に東北は助からない。從つて當然のことであるけれども、速急にその間について確信ある資料をお出し願いたい。
 それから特に米代川の問題につきましては、昨年度からこれを改修するように、内務省國土局の當局からの案は通つておつたはずである。これを一年延ばしに妨げるかになつたものは安定本部、從つて東北秋田縣、特に米代川流域につきましては、もしあの改修工事が一年早く始められたならば、ある程度は救われたであろうということをわれわれ考えるのです。そういう意味合の責任から言つても、しかも資材の裏づけというものは困難であつても、それをできるだけ完成するようにわれわれは要求する次第であります。
 さらにこの「災害融資の所要見込類調」というものを見ますと、非常に總花的である。今日においてはこれだけの總花的な事業を各地にやつていくということは、資材の面から言つても、金融の面から言つても困難であることは明らかであります。從つてこれをもつと重點的に切りかえてもらう、ほんとうに急を要する東北地方は、國土局長みずから御説明になつた通り、降雪期が迫つたという特別の條件にあります。從つて降雪期までのわずか二箇月間にやらなければならない、ほんとうに緊急を要するわけである。ほんとうに緊急を要する面に對しましては重點的に特別のお計らいを願いたいと思いますが、そういうふうに計らつていただけるかどうか御答辯をお伺いしたいと思います。
#87
○岩沢政府委員 資材につきまして裏づけがないのにその數字を羅列しては云々のお話がありましたけれども、私どもといたしましては、この資材というものは關係各縣が調査をしてこの工事をやるということで、大體數字は的確なものと心得ております。但しこの數字をできるだけ早くとりまとめまして、それを安本の生産局の方へもつていつて、今せつかく交渉中でありますから、お話までもなく、われわれとしては資材の裏づけがなければ實際はこの工事はできないのですから、できるだけまた努力いたしまして、資材をより以上に獲得するように盡力いたしたいと思います。
 それから融資云々の總花式ではないかというお話でありますけれども、内務省といたしましては、この災害對策は、先般からたびたび申し上げます通りに、今日まで四十二億の災害が各縣に起つており、しかもその各縣とも相當苦しい財政のために何かしら工面をして應急處理をやつておるのでありますから、この際もやはり全國的にそういうようなことを勘案しまして、この十四億を割り振つたので、しかも東北につきましては大體この十一月までにでき得るだけの金をやつて、そうしてその殘りを今申し上げたような各縣の災害の大きいところに配付したような次第なんであります。
#88
○石田(博)委員 ただいまの御答辯に對して念を押しておきますが、東北の特別な氣候風土の條件に鑑みまして、災害がどこにもあつたということは、それはわかりますが、特別の風土氣候の條件で緊急にやらなければ、冬には何事もできないという特別の條件を御勘案願いまして、この資金は東北に對して優先的におまわし願う、こういうふうに理解して差支えございませんか。
#89
○岩沢政府委員 これははつきりしたことは申し上げられませんけれども、私個人としましては、今融資の額を十四億三千萬圓折衝しておりますが、これがどの額までなりますか、これはわかりませんけれども、もちろん今囘の東北六縣の大水害に對しましては、できるだけ地形的に、また氣象的に見ても、復舊を早くしなければならないというような觀點から、そういつたような融資の額が確定すれば、仕事はでき得るだけの程度において責任をもつて配分したい、こういうふうに考えております。
#90
○石田(博)委員 十四億いくらというのはどの程度許されるかどうか、こういうお話でしたが、これははなはだ氣の弱い話であります。われわれは少くとも本縣に關する分につきましては、この數字でどうやら滿足できるという程度であります。從つて私どもの希望といたしましては、一歩も讓歩しない覺悟をもつて大藏當局と交渉願いたい、こういう希望を附しまして質問を打切ります。
#91
○本間委員長 大分時間も經過いたしましたので、本日はこの程度で打切りまして、次會は大藏大臣、それから安定本部長官の方々に來ていただいて、さらに協議を進めていくことにいたしたいと思いますが、皆さんいかがでしようか。
#92
○本間委員長 それではさよう決定いたします。
 本日の會議は大體これで打切りたいと思います。次會は大臣の都合もありますから、交渉した上で、公報でお知らせいたしますから、さよう御承知を願います。
   午後二時九分散會
ソース: 国立国会図書館
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