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1948/11/09 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 議院運営委員会 第11号
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1948/11/09 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 議院運営委員会 第11号

#1
第003回国会 議院運営委員会 第11号
昭和二十三年十一月九日(火曜日)
    午後一時四分開議
 出席委員
   委員長 山口喜久一郎君
   理事 石田 博英君 理事 吉川 兼光君
   理事 椎熊 三郎君
      今村 忠助君    木村 公平君
      淺沼稻次郎君    笹口  晃君
      細川 隆元君    小島 徹三君
      坪川 信三君    内藤 友明君
      成重 光眞君    榊原  亨君
      田中 久雄君    岡田 春夫君
 委員外の出席者
        議     長 松岡 駒吉君
        副  議  長 田中 萬逸君
        議     員 中村 寅太君
        議     員 徳田 球一君
        事 務 総 長 大池  眞君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 委員会における小会派の理事追加に関する件
 議員の辞任に関する件
    ―――――――――――――
#2
○山口委員長 これより議院運営委員会を開きます。
 先般小委員会におきまして、大体各派の了解を得ました小会派合同して各委員会に一名ずつ理事を置くということを議題に供しますが、これについて御異議はありませんか。
#3
○山口委員長 御異議ないようでありますからさように決定いたします。
 続いてただいま衆議院議員永江一夫君から辞職願が出ております。一應これを朗読いたします。
   辞職願
     衆議院議員 永江 一夫
 私儀一身上ノ都合ニ依リ議員ヲ辞任
 致度候ニ付此段御許可相成度願上候
  昭和二十三年十一月八日
        右  永江 一夫
   衆議院議長松岡駒吉殿
 以上であります、これをいかように取扱うかについて御審議をお願いいたします。
#4
○椎熊委員 私はただいま議題になつておる問題に関連して一般的のことで非常に不安を感じておりますので、この際意見を述べてこの問題の取扱に対する御参考に供したいと思います。
 近時議会に関係していろいろな不愉快な問題がたくさんあるようでございます。たとえば議員の職にある者が辞することによつて起訴されないことになるなどというようなことが中間に立つておる弁護士等によつて言われておるというようなうわさなども聞くのであります。これは非常に遺憾千万なことで、檢察当局が議員の職を辞することによつて罪を赦してやるなんという態度もどうかと思うし、またそれを免れるために議員の職を辞するということもどうかと思う、そういうふうに檢察当局に対して惡い印象を世間に與えることになると由々しき一大事だと思う。なお犯罪容疑を受けた者がただちに辞職してしまわなければならぬということは必ずしもよい前例ではない。永江さんの場合、内容をよく知りませんから批判の限りではございませんけれども、これらの取扱いに対して十分愼重に議員全体、國会全体のことを考えてお互いに善処して行かれたいということを私は希望する次第であります。
#5
○石田(博)委員 私もただいまの椎熊君の御意見にまつたく賛成であります。前議会におきまして原侑君の逮捕令に対して私共はその建前から反対をいたしたのでありますが、遺憾ながら御承知のような事態に相なりまして、結論として原君は一審において無罪の判決を受けるようなことになつてまいつたのであります。檢察当局によつて犯罪の疑いを受けた場合に、ただちに議員を辞任するというような前例と申しますか慣習というものがあるということは、言いかえますならばわれわれの頭の中に檢察当局はオールマイテイであるという観念を自分自身もつと同時に、國民にそういう観念を植えつけて立法府の権威を傷けることになると思うのであります。もちろん容疑をしておる檢察当局が何らの根拠をもたずにやつておるとは全然思いませんけれども、しかし今日の司法制度は議員逮捕の権限を檢察当局に與えていないことは申すまでもない。その建前から申しまして容疑を受けたら議員を辞任するという習慣をつけることには賛成できないのであります。議員の身分は憲法によつて保障されております。今日経済上社会上の混乱に乗じて、もしもある特定の議員を何らかの目的をもつて犯罪容疑で檢挙しようとするならば、たとえば食糧管理法違反という名義で檢挙することもでき得る、そういう場合を考えますときに、犯罪容疑を受けたということだけで議員を辞任するということは私どもは賛成できないのでります。
#6
○淺沼委員 社会党でも、執行委員会で相談したのですが、いろいろな意見がありましたが、しかし、本人がやめたいということについてこれをとめるべきでもない、本人の意思を尊重するということで辞職を認めるときめたわけでありまして、いろいろの御意見はありましようが、この前山崎さんのときにも、本人の意思を尊重するということでありましたから、本人の意思を尊重していただいて議員をやめるというのを認めていただきたいと考えておるわけであります。何とぞ御承認願いいたと思います。
#7
○石田(博)委員 こういうことをお尋ねしたところでわれわれの期待するようなお返事を承れるとは思いませんけれども、念のために伺うのですが、先ほど椎熊君が前段に言われたような事情というものは伏在しておりませんか。
#8
○淺沼委員 椎熊君の言われたのは一般論として言われたことであつて、私はそういうことがあるということは全然伺つておりません。ただ、永江君に私は会いましたが、永江君は、いかような決定になろうともこの際自分は議員をやめたいのだという意思表示があつた。その点御了承願いたい。
#9
○石田(博)委員 ずいぶん古い話だと思いますが、たしか大浦兼武氏の内務大臣時代に、議員を買收した事件が起つた。その際大浦内相は大臣を辞任することによつて起訴を免れた、檢察当局がそういう措置をとつたという前例があることを聞いておるのであります。しかし檢察当局の任務に鑑みましても、そういう交換條件をもつて処置するなどということはあり得るはずもなく、またあつてはならないことで、そういうことはうわさに過ぎないのであろうと思うのでありまして、もし永江氏が不起訴になつたという場合に、永江氏は当然そういう事実がないので不起訴になつたとわれわれは考えますけれども、世人に與える印象としては、議員を辞任されたがためにそういうことになつたというふうにうわさされることも考えられるので、この際この問題の取扱いは、党議の御決定でありましようが、私どもとしてはなお一段御考慮を願いたい。
#10
○淺沼委員 私どもは、党議として決定して、永江君がやめられるのを、党の意思としてやめろというのではない。本人が一身上の事情でやめたいというのならやむを得ぬということで党はこれを認めただけであつて、今までの取扱いも、本人の意思を尊重するということになつて扱われたのでありますから、それ以外に申し上げることは何ものもないのであります。
#11
○松岡議長 今石田君のお話がありましたが、永江君は実は私もいろいろとめたのです。さつきから言われたようなことも私ちよつと耳にしておりますし、そういうふうに思われるようなことがあつては永江君のためにいかぬのじやないかと考えて私もとめたのですが、永江君はこういうことを言つておつたのです。とにかく結果がどうなろうが、同志に対しても非常な迷惑をかけてはなはだ相済まない。この際自分はぜひやめさせてくれというのです。起訴不起訴の問題では全然ないのだ、弁護士の方では、檢察廳内部においても起訴はおろか無罪になるのだということで、退かない方がよろしいという機運があるように聞いておるということも言つておりました。これは事実かどうか知りませんが、自分はそういうことを聞いておるくらいであるが、とにかく同志に対してもはなはだ迷惑をかけた、起訴不起訴のいかんにかかわらずこの機会にぜひやめたい。こういうことでありました。
#12
○中村寅太君 私は、やはりこの問題は、法が決定すれば自然失格することが規定されておるのですから、きまらぬ前にやめるということは避けていかなければならぬ問題じやないかと考えるのです。そのために、法がきまつた場合には自然失格するということがきめられておるのであります。法がきまらぬ前にみずからが退いていくということは非常にきれいのようにも思えますけれども、これは事実が明らかになつて法が決定したときにはそれに從うべきである。もしもそれが潔白であつた場合には堂々と國民の代表として働かなければならぬ。かように考える点から、永江さんの辞表は一應承認せぬということを表示することが正しいのではないか。かように考えます。
#13
○椎熊委員 私は、最近議会で行われた某氏の辞任のごとき、何かそこに政略的の意味があるように考えられて、われわれはその辞任を認めないという投票さえしたわけなんですが、今度の永江さんの場合を靜かに淺沼さんなどのお話を聞いてみますと、本人の心境実に同情に余りあるものがある。國会議員をやめるということまで決定をするのには相当の深い理由もあるのではないかと思います。社会党におかれましても、中央執行委員会まで開いて、やむを得ぬだろうということになつたというときに、実に私どもは残念しごくなことではあるが、この際本人の希望をいれてあげることもあるいは永江君に対する一片の同僚としての同情心の発露であるとも思われる節もあるのであります。從つて私は、社会党が書記長みずからが確認せられたような状態において、あまり深く立入らずに、この問題は本人の希望をいれてあげた方が本人のためにあるいは仕合せであるかと思うのであります。辞任を認めます。
#14
○山口委員長 この際速記を止めてしばらく懇談いたします。
#15
○山口委員長 ただいま提出されております衆議院議員永江一夫君の辞任を認めることに御異議ありませんか。
#16
○山口委員長 別に御異議がないようでありますから、本委員会は満場一致これを認めることに決定いたしました。
 お諮りをいたします。これは本日の日程の劈頭に上程することに御異議ありませんか。
#17
○山口委員長 御異議がないようでありますから、さように決定いたします。
 本委員会はこれをもつて散会いたします。
    午後一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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