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1948/11/15 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第6号
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1948/11/15 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第6号

#1
第003回国会 運輸委員会 第6号
昭和二十三年十一月十五日(月曜日)
    午後二時六分開議
 出席委員
   委員長 有田 二郎君
   理事 前田  郁君 理事 佐々木更三君
   理事 原   彪君
      原  孝吉君   小笠原八十美君
     岡村利右衞門君    井谷 正吉君
      境  一雄君    成田 知巳君
      正木  清君    志賀健次郎君
      矢野 政男君    成重 光眞君
      館  俊三君    小西 寅松君
      河口 陽一君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 小澤佐重喜君
 出席政府委員
        運輸政務次官  片岡伊三郎君
        運輸事務官   加賀山之雄君
        運輸事務官   三木  正君
        運輸事務官   荒木茂久二君
        運輸事務官   牛島 辰彌君
 委員外の出席者
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 連合審査会開会に関する件
 公聽会開会に関する件
 日本國有鉄道法案(内閣提出第一二号)
    ―――――――――――――
#2
○有田委員長 これより会議を開きます。
 それでは日本國有鉄道法案を議題といたします。右案に質疑に入る前に皆さんにおはかりしたいのですが、本日内閣委員会より、本案に対して当委員会と連合審査会を開きたい旨の申入れがありましたので、内閣委員会との連合審査会を開くことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○有田委員長 御異議なして認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○有田委員長 この際公聽会開会の件についておはかりいたします。去る十三日委員長より提出したしました公聽会開會承認要求書に対しまして、ただいま議長の承認を得ましたので、これより正式に公聽会を開くことを議決いたすことに相なるわけであります。これにつきましては公聽会開会の日時を決定いたさねばなりません。この日時の決定は公聽会に対する申出、公述人の選定、公述人への通知及び公述人の出頭等の時間的余裕も考慮いたしますとともに、本案の審査の進行状況とにらみ合せて決定することが妥当であると考えられます。しかして各位においても種々御議論があるかと存じますが、これは委員長及び理事に御一任願うことにして、その日時に日本國有鉄道法案について意見を聞くこととして公聽会を開くに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○有田委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決します。日時が決定次第、衆議院規則第七十九條により委員長より公聽会開会報告書を議長に提出するとともに、諸般の手続をとることといたします。
    ―――――――――――――
#6
○有田委員長 それではこれより質疑に入ります。館委員。
#7
○館委員 一般的な質問をいたしたいと考えておつたのでありますが、運輸大臣がお見えになつておらないので、大臣の御出席を特に要望したいと思います。
    〔速記中止〕
#8
○館委員 日本國有鉄道法案というものは、以前から新聞その他で概略が述べられているのを見ておつたのでありますが、実際においては、この法律案がこの委員会に提出されましたのはごく最近のことであります。從つてこの委員会としては、あらためてこの個條を愼重に研究して、さらにこれを提出したところの基本的なものの考え方について、十分な討議をして、これを採決すべきものであると思つております。この法案の最後に書いてある理由を見ますと「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合國最高司令官書簡に基いて、國有鉄道事業を公共企業体の事業とするため、日本國有鉄道を設立する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」これだけ述べているのを單純に解釈いたしますと、最高司令官の書簡に基いて、こういう指令を受けたのであるから、この法律案は提出したのであるということなのでありますが、しからば運輸当局が單にそういうことであつたから出した、というふうに考えられるのでありまして、そこに政府当局の自主的な見解が述べられておらない。そうされたから出したということになつているように考えられるのは、はなはだ物足りないと思います。占領下におけるところの日本の行政というものが、そういうことに制約されることはもちろんでありますが、國会といたしましても、政府といたしましても、とにもかくにも自主的な立場において法案の提出なり、審議をしなくては國民に相済まないと私は考えるのであります。この点について單にこれだけのことでしかたなしに出したのか、それともまた一つの基本的な考えをまとめて出したのかということについて最初お尋ねしたいと思つておつたのであります。この前の議会で運輸省設置法案というものが、たしか構想されておつたのでありますけれども、運輸省設置法案の内容と、今日ここに出されたところのこの日本國有鉄道法案の内容の相違するところを大臣からひとつ承りたい。
#9
○小澤國務大臣 館君の御質問にお答えいたします。今お話のように、本法案を少くとも今國会に提案した直接の原因、はお説の通りマツカーサー元帥の書簡が動議になりまして出したことは、一点疑いないのであります。しかしわれわれといたしましては、一應マツカーサー元帥から書簡が参りましても、その内容の点については眞にこの法律の目的精神を十分檢討して――つまり別の言葉を借りて言うならば、自主的な見解をここに加えまして、一つの理想化した法案にして出そうという見地から、今日までいろいろとその意見の違つている点を先方とも折衝して参りました。折衝して参つた点で向うの了解を得た点もあります。得ない点もあります。あるいは將來得るであろうという点もございますが、さしあたり得たものが現在國会に提案いたしておる原案であります。從いまして私が提案理由説明の際にも申し上げました通り、必ずしも理想的にはなつておりませんが、現段階においてはどうしてもこの程度で提案するよりほかに道がないという見地から出して参つたのであります。
 それから第二点は、運輸省設置法案と本法案との相違いかんという御質問でありますが、これはもう全然異なつております。なぜかというと、運輸省設置法案は大体パブリツク・コーポレーシヨンというような考えは全然拔きまして、從來の行政組織をそのまま新しく民主的な行政組織にかえようという考えだけでありますから、全然その方面とは関係なく、これに関連した点はないと申し上げてさしつかえなかろうと思います。
#10
○館委員 この法案の全体を見て、マ書簡に指示された公共企業体としての特徴がどこにあるかということを御説明願いたい。
#11
○小澤國務大臣 大体公共企業体労働関係法案と本法案とを対照してごらん願うとわかるのでありますが、本法案は大体この公共企業体により適用され得るように、換言すれば現在の國鉄の現業員にやはり公務員法の適用をただちに行うということは妥当性を欠いている、こういう見地から、これと違つた労働法規の支配を受けて、そうして從事員が安心して業務に從事して行けるようにという考えで、むしろ主としてこの労働法規の関係が大きな前提となりまして、本法案が出ておるような次第であります。
#12
○館委員 今大臣は運輸省関係の労働者の組合のあり方について、御説明があつたのでありますけれども、マ書簡が取上げており公共事業、ことにここに取上げておるところでは、官営事業というものと民営事業というものに対しての基本的なものの考え方に差別か存在しておる。そういう点についての指示はなかつたかどうか。そういう点についての考慮を運輸省で拂つておられるのかどうかという点と、それからその中で働くところの労働者の立場というものと、二つの点において説明していただきたい。
#13
○小澤國務大臣 大体官営か民営かというような問題がお考えの中心のようでありまするが、少くとも輸送事業、なかんずく國鉄の事業というものが、官業であろうと民業であろうと、いわゆる公共的な事業であるという点においては、何人も御異論はないと思うのであります。從いまして労働法規の適用も、おのずから公共の福祉ということか十分に斟酌されまして、今國会に提案になつておるような公共企業体に関係する労働法規が出ておるのでありまして、労働團体のあり方というような点につきましては、これはむしろ一般労働組合法を適用することが理想的かもしれません。ただ公共の福祉という点がこの事業それ自体に大きく扱われておりまするので、その間の調和という意味で公共企業体労働関係法案が出て、またその適用を前提として本法案が出たものと考えております。
#14
○館委員 運輸大臣は國鉄の機構を改革しなければならないという重点を、國鉄の中に働いておるところの労働者の組合のあり方か現状のままであつてはならないから、これを公共企業体労働関係法案というものによつて分離することによつて、國鉄の機構が改革できるのであるということでお話かされておりますけれども、そういうことも考えられる一面において、官営事業というものが一つの企業の方面から見る場合に、非能率的である。あるいはまた非常に非社会的である。あるいは非営業的である。こういうことなるがゆえに常に採算がとれない。あるいはまた事務がスムースに行つておらない。そういう点が考えられて、少くとも公共企業労働法案というものの審議に今はいつておらぬ現段階においての、日本國有鉄道というその経営形態についての御論議を私はここに望んでおるのであります。労働組合の関係については公共企業労働法案が出ておりまするから、どんどんとその方へも関連はできておりまするが、まず國有鉄道の法案として今審議をしようとしておる際に、それについての運営その他についてどこにおいて一体官営と公共企業の形態がわかれておるのであるか、そこに主眼点を置いた質問をしたり、また答弁を聞いておるのでありまして、第一國会、第二國会から見ておりましても、企業の民主化とか、あるいは社会化というときに、單に委員会を設置することだけの一項目において法律案が改正されたというふうな意味に受取るのである。この場合にも監理委員会というものを設置しておるのでありますが、私に言わせれば、この監理委員会という項目がなかつたならば、この國有鉄道法案というものは、ほとんど元の運輸省の機構内において鉄道を運営したときと何もかわつておらないということになります。從つて運輸大臣に、どこが一体この法律を提出しなければならない異なる特徴であるのかということを聞いておるのは、そういうことなんです。この監理委員会というものは運輸省の直接指揮を受けるのではなくして、かえつてらら外に置かれておるようにも考えられるのでありまし、権威のない存在である。しかも会議はだれが開くのか、いつどういうふうにするのかという点にも非常に疑念を持つておるのでありまして、たつた一つの監理委員会だけでは、公共企業体としての特徴が認められない。そのままそつくり運輸省の外局という関係になつておるのか。單に切り離したというだけであれば、元の通りのような非能率的な、また民主化されない、社会化されない形態が、そのまま依然として残るのではないか。こういう点についでてあります。
#15
○小澤國務大臣 館君のお考えと大体私らも同どであります。つまり現在の法案が出た場合において、はたしてどの程度に経営の合理化とか、あるいは民主化ということが行われるかという趣旨の御質問でありますが、その通りでありまして、この点につきましては、むしろ私どもは積極的にこの機構をある程度かえるならば、いろいろ積極的を経営の合理化ができるのではないかという面も考慮に入れまして、交渉いたしたのであります。しかしそれが先ほどお話申し上げました通り、いろいろな事情がありまして、現段階におきましては、このようになつたのであります。ごく平たく言うならば、館委員の言う通り、大体現在の鉄道当局というものに公法人という人格を認めて、そうして從來のような経営をするという非難を受けてもやむを得ぬと思いますが、そこがマツカーサー元帥から來た書簡の中心でありますので、その線に沿うて本法案を立案いたしたような次第であります。
#16
○館委員 大臣もこの法案では公共企業体としての業務遂行は不可能であるとはおつしやらなかつたけれども、大体めんどうであるということをおつしやつておられたので、私もこの質問は了解いたしましたが、いろいろたとえば社会性を持たせるというようなこと、あるいは労働組合の経営参加ということもさせないでこれから取るというような点、その他また監理委員会の中に労働者の代表を入れてないように條文で考えておりますが、いろいろの点をあげてみますと、この公共企業体というこれからあるべき業態というものの中には、きわめて非民主的なものが依然として温存されるような形勢になつておることをはなはだ遺憾と思うものであります。私の次に質問したいことは次会に讓りまして、私の質問はこれで打切つておきます。
#17
○成田委員 運輸大臣に本法の概略について二、三重要な点を御質問してみたいと思います。第一は今館委員からも御質問があつたのですが、日本國有鉄道というものができた場合に、運輸省の機構改革とどういう関連があるかという問題なんです。この法案が提案される以上、当然、現在の運輸省の機構改革が並行的に考えられなければいかぬと思うのですが、運輸省の機構改革について何ら今のところ法案の御提出もないようであります。この点についてどうお考えでありましようか。
#18
○小澤國務大臣 成田君の御質問にお答えいたします。お話の趣旨はごもつともでございます。たとえば運輸省の中核となる業務は、この法律によつて公法人の所管になつてしまうのでありますから、從つてそのあとに残る運輸省が、どういう姿で將來行政廳としての形をとつて行くかということは大きい問題でありまして、そのうちの海運とか氣象という問題は大した変化はございませんけれども、この法案によつて設立さるる公法人と、それから運輸省の行政とはどういう連繋をもつかということがここに残つているのであります。この問題につきましては、あまり拡大しないで、ごく小部分の、たとえば大臣官房に公共企業鉄道調というようなものを設けて、できるだけ経費をかけないで、本法案に含まれている監督行政をやつて行きたいという考えをもつているのであります。從つて、そういう結論になるならば、当然運輸省設置法案というものが、同時に提案さるることが適当でないかという御意見がで出て参るのであります。ところが、成田さんも御承知の通り、行政組織法は一月一日から施行することになつております。ところが、これは各省とのにらみ合せの関係上、四月一日からやるということになり、しかも行政組織法に基く各行政廳の設置法案は考え方も一にして進むことが至当だというような――現内閣ばかりでなく前々内閣あたりからもこういう考え方があつたのであります。そういう見地から、一番理論的に適正なのは、成田委員の言う通り、ここに本法案を提案すると同時に、運輸省設置法案が出て、同時に並行して御審議をする姿が望ましいのでありますが、一方各省設置法案というものが今申し上げた通り、各省でせつかく出した法案を前議会から撤回して、そうしてこれをそろえて出そうというような行き方になつておりますものですから、今成田委員のお考え通りのことは望んでおりながら出さずにいるというような姿でありまして、そういう点御了承を願いたいと思います。
#19
○成田委員 ただいまの御説明了承いたしましたが、そういたしますと、この法案提出を機会に、残りました運輸省の機構を徹底的に縮小される御意思があるのかどうか、その点を承りたい。
#20
○小澤國務大臣 その点につきましては、御承知の通り現在の鉄道特別会計というものは非常に大きな欠損を出しております。私の念願といたしましては、本法案がむしろこの國鉄の独立採算制というようなこともからみ合せて、何とか全部が目的を達成しなくとも、この法案の提案と同時に幾分それに近づいて行くということが望ましいし、なお一條の目的などから見ましても、どうもそうしたことを望むのが、本法案の骨子のように考えることが適当だと思うのであります。從つてこの面を、鉄道審議会という機関がございますので、この審議機関に諮問をいたしまして、ある程度の成案を得たのであります。そうして私も首肯ささる個所が相当出たのでありますが、客観情勢はそれを修正して出すような余裕がなかつたものですから、後日に讓ることにいたしまして、現在のような法律で出したような次第であります。
#21
○成田委員 次に、日本國有鉄道法案というのは、会社にしてみたら大きな会社の設立なんでございますから、当然会社設立にあたりましては、事業計画だとか收支のもくろみ書というものが出るだろうと思います。日本國有鉄道法案の詳細な條文は出ましたけれども、日本國有鉄道法というものが成立しましたあかつきには、事業計画とか收支目録とかいうものがどういうことになるのか、何らの資料もいただいていないのでありますが、この点について御用意があるか、概略わかりましたら御説明を願いたい。
#22
○小澤國務大臣 お話のその点は、実はそうした收支計算、あるいは予算関係、施設関係を概略でも添付いたしまして、御審議の御参考にすることも考えたのでありますが、鉄道はすべて現在の鉄道総局そのものをただちに持つて來るということになつておりまして、條文そのものもそういうことになつており、また財政法、会計法その他の適用も今のままと少しもかわりがないものですから、つまり資料というものは、現在國会で承認されておりまする予算そのものを出すことが、この公法人設立の財政計画になりますので、省略いたしますが、しかしこれは重複いたしましても出すことが適当であると思いますから、後刻概略のことを提出して御参考に供したいと考えております。
#23
○成田委員 概略の御説明もないのですから、参考のために伺いたいのですが、資本金は大体どれくらいになりますか。法案によりますと、來年の三月三十一日現在の財産目録で純資産を資本金として計上するらしいのでありますが、全額政府出資として大体どのくらいになるのか、おわかりになりまたしらお示し願いたい。
#24
○三木政府委員 御説明申し上げます。御承知の通り現在の國有鉄道の特別会計は、戰後非常な欠損続きでございまして、繰越しの損失を政府一般会計からの繰入金、あるいは借入金というようなものでまかなつておりますし、それから固有資本は昭和二十一年度末の現在高で固定して参りました。しかもそれか帳簿價額でございますから、非常に少額なものになつておりました。現在の貨幣價値の変動に伴いまして、本法施行を予想されます本年度末の貸借対照表を予定しましても、非常にいろいろな問題があると思うのであります。この点につきましては目下研究中でありますか、多分本法の施行法というものの中に、予定のその期末の財産関係を、どの点を出資するか、どういうふうにするかということを規定して御審議を願わなければならぬのじやないか、かように考えております。
#25
○成田委員 資産、負債は幾らぐらいになるか、大体でもおわかりになりませんか。
#26
○三木政府委員 今期末を予想いたしますと、貨方におきまして、固定資本、これは先ほど申しました通り二十二年來員定いたしておりますが、四十九億一千万円ばかりであります。それから評價勘定として減價償却の引当金を本年度の予算に計上いたしておりますものが六億一千三百万円であります。それから公債の額が三百七十五億八千四百万円余であります。借入金び百六十億五千三百万円ばかり、一般会計からの繰入れが五百八十八億ぐらいになるのじやないか、かように考えられます。それから固定資産は四百十四億七千万円ばかりになると思います。そのほかに投資が六千二百万円、それから作業資産、物品を持つておりますものが約百億ぐらい、その他諸種の流動資産がございますが、その資産総額を合計しまして六百億ぐらいになります。これが今期末の資産の総額として資本額になるだろうと予想されます。
#27
○成田委員 数字の御発表があつたのでありますが、十分檢討したいと思いますので、昭和二十二年度の決算書類がございましたならば、参考のためにお出し願いたいと思います。そういたしますと、欠損員多いものですから、結局再評價されまして資本金というものせ政府出資としてお出しになるのですか。
#28
○三木政府委員 再評價ということになりますと、一般の会社というようなものとの資産の関係もございましようし、どういうことになるかと思いますが、そういうことも当然考えられるかとも思います。帳簿づらの数字は先ほど申し上げました通り非常に欠損でございますけれども、実質的にこれを見ますと、そういうものではありませんので、適当な方法を講享なければならぬのだろうと思います。
#29
○成田委員 大体結論といたしまして、資本金はどのくらいになるか御発表願いたい。
#30
○三木政府委員 まだ十分研究いたしておりません。
#31
○成田委員 ではこの点はあとでまた御質問いたすことにいたしまして、次にいただいま運輸大臣からも、今度の鉄道法というものは鉄道総局をそのまま持つて行つたものにすぎないものだというお話がありましたが、私たちもこの法案を見ますと、それを痛感するのであります。特に地方組織の問題に全然觸れられておらないのであります。第四條二項に「日本國有鉄道は、必要な地の從たる事務所を置く。」という簡單な規定があるだけで、地方組織の問題は何ら規定していないのでありますが、これにつきまして現在どういう腹案を持つておられるか。現在の地方鉄道局をそのまま地方事務所にして行かれるのか、それともある程度の改革を行われるのか、承りたい。
#32
○小澤國務大臣 法案を出すときの考えは、大体御承知の通の地方鉄道局、あるいはその下に管理部がございまして、地方の方はこれを変更しないで、そのまま現在の組織で営業をやつて行くというような考えでおりますが、しかしその機会に、從來の機構がはなはだしく客観的に見て妥当でないというような点がありますれが、それを機会に多少の変更を加えますけれども、原則として現在の機構をそのままこの公法人を移行しようというのであります。
#33
○成田委員 先ほど館委員からも御指摘があつたようでありますが、本法の特色は、監理委員会を置けておる点に、特色といえば特色を見出せると思うのであります。地方におきましても、地方監理委員会というものを設定される御意思があるか。本法ではこの点觸れておりませんけれども、本法の民主的運営をやるためには、地方監理委員会というものが必要だと考えるのでありますが、それに対する大臣の御所見を承りたい。
#34
○小澤國務大臣 この監理委員会は、從來行政に対する一切の措置を運輸大臣がやつておつたのを、監理委員会へ移したというだけでありまして、從つて監理委員会が中央にはありますけれども、地方鉄道局はやはり監理委員会の命令あるいは示唆によりまして実行することになりますから、委員会は地方へは設けないという建物であります。ただ監理委員会は、先ほども申し上げました通り、運輸大臣の仕事をこの五人の監理委員でやるというような建前で進んでおります。
#35
○成田委員 今中央の監理委員会の仕事についてお觸れになつたのでありますが、ただいまの運輸大臣の御説明では、大体中央の監理委員会というものが、從來やつておりましたところの運輸大臣の仕事をやる、そう解釈してさしつかえないのでありますか。條文を見ますと、どうも監理委員会と大臣と國有鉄道の総裁との三者の権限の関係というものが明確でないのでありますが、この際あわせて御説明願いたいと思います。
#36
○小澤國務大臣 大体こういうことになつて参ります。從來は完全な行政組織で、大臣から次々と命令が行われて行くような系統になつておりますが、この法律が通過いたしますと、大臣の監督権というものは、特に法律で明文がある点だけの監督権しかないことになるわけでありす。從つてこの公法人は、実際の仕事は、総裁がいわゆる一つの行政的仕事をやる、これに対してある程度の諮問的な重大な事項については、監理委員会が決する。もつと具体的に言えば、事務的なことは総裁が大体副総裁と相談してやる、それから少し大きな政治的な、あるいは会社としての重大な問題は、監理委員会の議決を経て行うということになりますが、これは從來の運輸大臣、あるいは次官、あるいは鉄道総局長官の権限がそこに行つてしまうのでありまして、運輸大臣には特に法律に規定された点以外には残つておりません。もちろん全般的な監督権というようなものも考えられる点がありますが、しかしこの場合は制限されまして、公益上あるいは福祉の増進というような意味の規定となつておりますから、原則として経営自体に関しましては、この総裁が執行機関となり、また委員会が諮問機関、あるいは決議機関というような形になつて運用されて行くものと考えておる次第であります。
#37
○成田委員 次に第四十九條について質問いたしたいのですが、四十九條によりますと、「日本國有鉄道は、運輸大臣の認可を受けなければ営業線往びこれに準ずる重要な財産を讓渡し、交換し又は担保に供することができない。」という規定になつておるのであります。私たちの考え方から行きましたら、運輸大臣だけの認可で営業線だとか、重要な財産を讓渡し、担保に供し、または交換するということは、非常に危險性があるのではないかというような感じがいたすのであります。從來日本の運輸の大動脈をつかさどつておつたところの國有鉄道が、運輸大臣の認可があつた場合に交換され、あるいは担保に供せられるということを許すということは、相当危險性があるのではないかということを痛感いたしておるのでありまして、むしろこれは國民の代表でありますところの國会の承認が必要だというように、お改め願うのがいいのじやないかと思うのでありますが、この点について御意見を承りたいと思います。
#38
○小澤國務大臣 これは実は私は今成田委員の仰せのように、運輸大臣がこういうことの認可を與えるについては、運輸大臣自身が適当な機関に諮つて最後の認可をするというように考えておつたのでありますが、今事務当局から聞きますと、これは從來運輸大臣が有しておつた権能だけを運輸大臣でやれるのであつて、この四十九條は、今までの運輸省において、運輸大臣の專決でやり得る仕事を四十九條の規定に表わしたのだ、こういう説明なのですけれども、なおこの点は研究いたしまして、私もその点考えてみます。
#39
○成田委員 この條文を見ますと、「営業線及びこれに準ずる重要な財産」というのでありますから、今の御説明で、大臣の御意見というものはあまりこの條文には出てないと思うのであります。この点重要な財産の讓渡または担保でございますから、これについて國民の意思が反映できるような法文にひとつ改めていただきたい。大臣も大体そういう御意見らしいのでありますからそういうように了承いたしまして、この点につきましては質問を折切ります。
 次にもう一点お伺いしたいのでありますが、それは第三十三條でございます。第三十三條に「日本國有鉄道は、左の各号の一に該当する場合においては、労働基準法第三十二條、第三十五條又は第四十條の規定にかかわらず、その勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。」という規定になつておりまして、以下四号まで規定してあります。この條文を見ますと、大体労働基準法の例外規定をここに設けたということがすぐ想像されるのでありますが、この一号、二号、三号の前段につきましては、労働基準法三十三條に規定があるのであります。何ゆえに特にこの三十三條でこういう規定を設けたかということについて了解に苦しむのであります。労働基準法だけで十分だと思うのでありますが、この点についてどんなお考えか、お答え願いたいと思います。
#40
○加賀山政府委員 今の成田さんの御質問に対してお答え申し上げます。労働基準法の中に、御承知のように、八時間労働制に関して例外を設けておるのでありまして、その一つは、天災地変等不可抗力の場合の労働時間の延長、第二は、公務員について臨時の必要がある場合、第三には、労働組合と書面による協定をした場合、こういう三つの場合には労働時間の延長ができ、あるいは休日労働を認めることができるというふうになつておるわけであります。それがあるのに、どうして別に三十三條を置かなければならぬ理由があるかということがお尋ねの主点であつたように伺つたのであります。この第三十三條は、その三つの例外を非常に拡張したり、変更しようという趣旨ではないのでありまして、ただ先ほど御論議がございましたように、國有鉄道なる公法人は、申せば、公務員法と、一般の私企業における労働関係、この二つのちようど中間に立つような関係にありまして、そのために職員の勤務等に関する規定は、公務員に近いような規定も、一部に設けてあります。三十三條のごときも、その勤務に関しまして、ちようどその性格に合うために挿入したいということなのであります。しからばどういう必要があつてということでありますが、國有鉄道のような運営は、その公共性において他に類例を見ないものであるというように考えるのでありまして、災害の発生等、一、二、三号は、申すまでもなく、ただ輸送だけをやつておればということでは済まない場合もありまして、たとえば車両を緊急に整理する昌刺が臨時に起つた、あるいは線路や信号その他については、安全の問題にも影響がある。また輸送そのものとは言えないかもしれませんが、着いて貨物を臨時に、どうしても今日中にそれを倉庫に入れなければならぬといつたような、いろいろの事情がございまして、その場合に、いわゆる書面による協定があれば、それはもちろんできることではありますけれども、それだけでは、公共の利益の保護ということについて遺憾があるのではないか、というふうに考えまして、この一條を挿入いたしたような次第であります。
#41
○成田委員 ただいまの御説明で、事前に書面で協定するまでには間に合わないかもわからないから、こういう條文を入れたという御趣旨でございましたが、それは三号の後段の「臨時運轉を必要とするとき」、四号の「公共の福祉に直接影響ある」云々という場合には、今の御説明は当ると思うのであります。最初の一号、二号と三号の前段は、労働基準法の第三十三條で明示されておるのでありまして、私企業においてさえも、こういう際は許されるのでありますから、何もこれに挿入する必要はないということを御質問申し上げたのであります。その点は御了解願えると思うのであります。ただ、今御説明ありました三号後段の「臨時運轉を必要とするとき」四号の「公共の福祉に直接影響ある輸送力の維持」云々、この場合は、ただいま御説明のありましたように、事前の協定をやつておつては間に合わないというような場合が出て來るかわかりませんが、この点は先ほど運輸大臣が、本法と公共企業体の労働関係法との関連というものも問題にされたのでありますけれども、この公共企業体の労働関係法の第三十三條に、強制仲裁の規定があるのであります。もし從業員が聞かない場合には強制仲裁ができる。これは最終決定だという規定があるわけでありますから、第三号後段、四号についても、ことさらに労働基準法の適用を除外するという規定を設ける必要はないと考えておりますが、その点についての御意見を伺いたいと思います。
#42
○加賀山政府委員 御趣旨ごもつとも考えるのでございますが、実は一号から三号までにつきましても、一般の労働基準法におきましてそういつた時間外勤務をできるだけさせないということを趣旨といたしておりますことは、御承知の通りであります。つまりその点からいたしまして、非常に制限を嚴格にいたしておるように私は考えておるのでございます。ところが國有鉄道の運営のごときものでございますと「災害その他により事故の事生したとき」といつておりますが、いわゆる不可抗力というような考え方とは多少事情が違つて参る。極端に申しますならば、これはほんとうに天災地変等の不可抗力が起きるということは疑問であつても、その場合に遲疑逡巡せず、この事故せただちに復旧して、旅客貨物の輸送を再開しなければならぬというような点がございます。從いまして客観的に見て不可抗力であるかどうかといつた問題よりも、もう少しその点は廣く考えておかなければ、公共の利便を防護するのに足りないのではないか。また「災害の発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき。」これについては私は現在の労働基準法では、この場合の時間外労働は多少むりがあるのではないかと考えるのであります。たとえば鉄道のごときは、せんだつてのアイオン台風等につきましても、ただちに非常呼集を行いまして、この災害に備えて、事故が発生した場合のみでなく事故が起きる前にこれを予防し、警備するという問題が非常に大きな問題になつて参ります。そういうような場合を予想して規定した規定でございます。先ほど労働基準法の規定を非常に拡張したものではないというように申し上げましたが、そういう点を考えますと、一号、二号等につきましては、そういう見地から鉄道の運営に適するようにこの規定を入れだ、かように申し上げたいと存ずるのであります。
#43
○成田委員 ただいまの御説明でありますが、基準法の三十三條で、災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官廳の許可を受けて、労働時間の延長、あるいは休日廃止をできるということになつております。一号、二号、三号は鉄道の特殊性を具体的に書いたにすぎないのでありまして、ことさらに労働基準法に規定があるものを、さらにここに入れる必要はないと考えます。三号の後段と四号でありますが、この問題につきましては、今申しましたように公共企業体労働関係法に強制仲裁の規定があるのでありますから、この点につきましても、ことさらに三号後段、四号をここに列記する必要はないと思います。特にここで問題になることは労働基準法の例外規定なのでありますが、女子、年少者についてはどういうようにお考えになりますかということであります。女子、年少者につきましては、一般成年從業員よりも特に労働基準法で保護しておるわけでありますが、この三十三條の規定を見ますと、女子成年者も年少者も十ぱ一からげにこういう例外規定の適用を受けるような感じを受けるのであります。これにつきましては当局はどういう考えをもつておられますか。
#44
○加賀山政府委員 ただいまの問題に対しましてお答え申し上げますが、客観的に見て不可抗力であるということが、現在の労働基準法の非常に重大な解釈になつておるように思われます。客観的に見て不可抗力であるかどうかということは、鉄道のような災害等につきましては、必ずしも絶対に不可抗力とのみ言えない場合でも、あるいはいずれか判明しない場合でも、こういう必要が起る場合が予想されると存ずる次第であります。
 それから仲裁でこれを決定できるということでございます。実はこれも鉄道の非常に大きな特殊性と思うのでございますが、一度ロスいたしました輸送力というものは永久に回復できないのでありまして、書類をもつて協定する、あるいは仲裁にかけるというような手続を待たずして、とにかくその場の処置をしておかなければならぬという問題が非常に多いわけでございます。そういう点からいたしまして、私どもは第三十三條は必要であるというふうに考えるものでございます。また年少者、婦人の問題につきましては、労働基準法第三十三條の場合と同樣に解釈いたしております。なお成田委員の御質疑に対しましてはわれわれもよく研究をいたすつもりでございますが、ただいまのところわれわれの見解としては、さようであるということを申し上げておきます。
#45
○成田委員 さらに考慮していただけるという政府の御答弁でございますから、私の質問はこれで打切りますが、これに関連しまして、第三十三條で八時間を越えて、あるいは休日を廃止して働かした場合の割増金の規定が全然ないわけであります。ただいま女子、年少者は労働基準法と同じ解釈だという御答弁でございましたが、これも明文化する必要があるわけでありまして、割増金の規定がないということになれば、労働基準法の精神に反するわけでありまして、結論として第三十三條は労働基準法の精神からいつて無用の規定である、むしろ有害の規定であると私たちは解釈しておるということをつけ加えて、私の質問を打切ります。
#46
○加賀山政府委員 実はこの法律の第三十五條に「公共企業体労働関係法第八條の規定を変更するものと解釈されてはならない。」とありますが、別に御審議を願うことになつております公共企業体労働関係法の第八條におきまして、團体交渉の範囲をきめておるわけでございます。その中に勤務に関する條項も列挙いたしておるわけであります。從いましてそういつた時間の問題とか、この内容についても、もちろん團体交渉の範囲内ということになつておるわけでありまして、割増金等についても当然その中で團体交渉してきめられる。立場として労働の関係を主として見る見方と、どうしても公共の利益を主として見る見方と二つがあるわけでありまして、双方をうまく調整して規定をつくらなければいけないわれわれといたしましては、両方をよく勘案して、現在の一般の労働関係法、一方における公務員法の中間に立場といたしまして、愼重に考慮をいたしましてこの條項を設けました次第であります。
#47
○成田委員 これだ大体の質問を打切りまして、また後ほど個々の條項について、こまかい点について質問がありましたらお伺いしたいと思います。
#48
○有田委員長 原彪君。
#49
○原(彪)委員 日本國有鉄道法案につきましては、いずれ一括して御質問申し上げたいと思いますが、きようはただ二点だけ大臣の御見解を承りたいと思うのであります。その一つは運賃の問題、もう一つは独立採算制に対する大臣のお心構えを承りたいと思うのでございます。一昨日の本会議において泉山大藏大臣は運賃の値上げをしないということを御答弁になつておりまするが、運輸大臣は大藏大臣といかなるお打合せをなされて、かようなことを言明されたかということをお答え願います。運賃値上げをせぬということは、民自党内閣においてはせぬというのか、あるいはこの國会においてしないというのか、あるいは和年中は運賃値上げをしないとおつしやるのか、運賃値上げをせずに、國庫の補助でまかなつて行くというお考えであるのか、この一点をお伺いしたいと思います。
 それから第二点は独立採算制の問題でございますが、これは去る國会で三倍半運賃値上げを絹にも、当時はわが党内閣でありましたけれども、われわれは運輸交通委員の立場からこれが修正をあえてしたわけであります。それくらい運賃の値上げについては重大関心を持つておるのでございまするが、この國有鉄道法案によりますると、先ほどもどなたかの委員がおつしやられたように、現在の鉄道総局とほとんどかわらない。つまり法人になつても以前とかわらない。豊方税も課さない、國税も課さないというような行き方であり、また欠損員生ずれば國庫からまかなう、もうかれば國庫にその金を入れるというように、経理上は從前と同じような形であります。こういうような形態において、どういうふうにして独立採算制で、独自で國庫のやつかいにならぬで能率を上げてやつて行くかという建前に対して、大臣はどういうお考えをお持ちになつておるか、この法案を今後審議して行く上において関連性がございまするので、御抱負を承りたいと思います。
#50
○小澤國務大臣 原さんにお答えします。第一に運筒値上げの問題でございますが、きのう泉山大藏大臣は、運賃の値上げをしないということを本会議で言明いたしました。結論においては私も同じであります。そういう答弁をしたのは私といつ打合したかというお話でありますが、別にそういう答弁についての打合せはございませんが、大体閣議でそういう問題が、本式ではありませんが、雜談的に今後の経済の見通し等について論ぜられた場合に、われわれは現段階においてただちに運賃の値上げを承服するものではないということは話したことがあるのであります。その線に基いて泉山君が答弁されたのだと思いますが、これが一歩進んで、運賃を値上げしないという時期はいつまでのことは、今年一ぱいにという意味か、また來年の本年度末ということかという御質疑でございましたが、日を切つてどうこうということは申し上げられませんけれども、われわれの考えておるのは、現在賃金の面におきまして、たとえば全官公労の賃金について、人事委員会が六千三百円ベースを勧告した。あるいは電産の問題で賃金がこうだ、あるいは炭鉱の賃金がこうであるとかいうような点は、非常に重く主張されておる次第でありまして、これは原さんも御承知の通りでありますが、そういうように賃金が改訂された場合において、たとえば炭昔の労務者の賃金が上れば石炭の價格が上る。炭價が上れば、鉄道運賃も上るという形になるのではないかというような推論も一應出て來るのであります。しかし私どもは現在の段階では、運賃の値上げだけをやる行き方は断じてとるべきではないという見地をとつております。では全然値上げしないかというと、後日賃金という面につきましても、大体公正な賃金が決定され、またこれに対する物價対策という問題が、全面的に蒲欟討される場合は、やはり運賃の値上げはやむを得ない。こういう見地から全般的な物價改訂、あるいは賃金の安定性をここで大きく結論づけるまでは、ただ運賃値上げだけをやるということに対しては、これはとるべき措置ではない。從つて私どもは反対だという結論なのであります。従つてそういう措置が具体的に申しまして今年一ぱいにとられるか、來年三月までにとられるかということによつて、今の原さんの御疑問がはつきりすると思うのであります。
 それかり独立採算制の問題でありますが、御承知のように戰前においては、鉄道特別会計は非常に大きな黒字になつておつたのであります。黒字になりまして一般会計にも繰入れておつたというような状態でありましたが、戰爭後だんだんといわゆる採制が破れまして、現在では約三百億も一般会計から補給を受けておるような現状であります。從つて私どもといたしましては、どうしても少くも戰前のように黒字に行くということは非常に困難であるにしても、せめて独立採算制までは――つまり收支のバランスをとるまではどうしても行かなければならぬという強い考え方が進んでおるのであります。しかしながらこの我立採算制をとるということになりますと、どうしたらこれを具体的にやるかということになると、これは非常に大きな問題であります。たとえば、運賃値上げであるとか、あるいは行政整理ということがすぐに浮んで來るのであります。私はもちろん最終的に、あるいは一定の時期にそういう場面に、あると思うのですが、私の現在の心境から行くと、さしあたり冗費の徹底的に節約する。ただちに人員の整理とか、運賃の値上げということに觸れずに、一体現在の鉄道事業でどれだけのものが経費の中から抜けるか、すなわち歳出が防げるかということ極力こまかい点まで檢討いたしまして、そしてもしこの点だけで独立採算制がとられるならば、こんないいことはないのでありまして、その点を先にやつて、しかる後に運賃の値上げをするとか、あるいは行政整理をやるとかいろいろなことは、その結果がわかつた場合にあらためて考慮する問題であつて、今ただちに独立採算制のために大量の馘首を断行するとか、あるいは運賃を極度に値上げするということに行くべき問題ではないかという見解を持つて、その方針でに進みつつあるのであります。
#51
○原(彪)委員 ただいまの大臣の御答弁で大体満足するのでありますが、そうすると運賃の値上げは各般の物價とにらみ合せておきめになるというお考えのようであります。これはまたインフレ対策の重要な問題になつて來ますので、いつごろそれをおやりになるお氣持であるのか、それを承りたいと思います。
 それからもう一点は、ただいま大臣は人員の馘首はされぬというようなお話でありましたが、行政整理という問題が民自党の政策として強く主張されておりますので、それと少し食い違いはしやせぬかと私は懸念するのであります。いま一應はつきりおつしやつていただきたいと思います。
#52
○小澤國務大臣 先ほどの諸般の物價の改訂等がいつごろ行われる予定であるかということにつきましては、大体來年度、昭和二十四年度の新規予算の編成にあたつては、少くともこれを考慮しなければならぬと考えております。それから首切りの問題でありますが、首切りの定義はいろいろございますので、もしそういう段階になつても、行政整理即首切りではないのでありまして、たとえば首は少しも切らぬでも、私どもがこの前の國会で主張しましたように、新しい人員は全然採用しない、すなわち欠損不補充の原則を立てまして、その他職場の不均衡は配置轉換を行うということをいたしまして、かりにここに五分の自然淘汰があるということになりますと、約三万から四万が一年に減少するのであつて、しかもそれはその次のねらいといたしまして、まずその他の面における経費の節約を徹底的にはかりまして、どうにもならぬような場合においては、そういう問題にも觸れるかもしらぬけれども、今これをどういう方法で行くかということは、むしろ考えたくない。まず経費の節約という点を徹底的に行う。たとえば傍系團体に対しても補助を與えております。そういうものは必要なものもありましようし、不必要なものもありましよう。そういうものを檢討しながら歳出の極度の節約をはかると、同時にこの独立採算制に進んで行きたいと思います。今の一番ポイントであります民自党でいう行政整理ということと、私が首を切らないと言うことは矛盾する思想ではないかという点についてでありますが、私は俗に言う首切りというものはできるだけ避けたいという趣旨でありまして、この独立採算制に行くまでの過程における、ただいま私が申し上げましたいわゆる大きな意味の行政整理ということは、つまり冗費の際約も行政整理の一環だと考えておるのであります。そういう意味から避け得るものはできるだけ避けて、そうして狭立採算制をとつて行こうという現段階でありまして、具体的の面に当つた場合に、どうしてこれはではできぬのだというようなときには、いろいろなことが現実の問題として出て來るかもしれませんけれども、今は第一段階の問題に努力中でございますから、やがて適当な時期が來ました場合には、あらためてこれに対する具体的なお掌を申し上げる機会があると存じます。
#53
○原(彪)委員 私の第一の質問に対する御答弁は満足いたします。第二の質問に対する御答弁はまだ満足の行かぬ点もありますと、申し上げれば議論の余地がたくさんあるのでありますが、この程度が保留したいと思います。
#54
○井谷委員 私はこの全体的な法案についてはまだ別に考え方があるのでありますが、きようはこの法案についてわからないところをお尋ねしてみたいと思います。第二章の監理委員会のところでありますが、この監理委員会は日本國有鉄道の意思決定機関でありますか、それとも單なる諮問機関であるのかということであります。
    〔委員長退席、前田(郁)委員長代理着席〕
この第十條に「業務運営を指導統制する権限と責任を有する。」とあるのでありますが、この指導統制する権限とはどういうことを指しているのであるか。これは総裁以下の決定したものも変更し得るというのでありますか。この責任を有するというのはだれに対して責任を有するのであるか、これを聞きたいと思います。第十五條の名譽職とするというところがありますが、これを常勤として單なる諮問機関でなく、意思決定機関として、総裁以下は監理委員会の決定に基いて業務を運営する單なる執行機関とするという方が、私はいいのではないかと思つております。十一條の委員の数が六人とあるのでありますが、これは会議体の体制上奇数をとる方がいいのではないか、こういうことを考えます。逐次参りますから、この監理委員会のところだけの御答弁をお願いしたい。
#55
○荒木政府委員 第十條監理委員会の責任と権限の御質問であります。これはちよつと横文字を使つて恐縮でありますが、エックス・オフィシオ・メンバー、こういうことになつておりまして、意思決定は総裁がやりますが、総裁の意思決定が不適当である、さらにこういうふうにやる方がよかろうと監理委員会が決定して申し入れるときには、総裁はこれに從う義務があります。諮問委員会との違いは諮問委員会でありますれば、諮問の答申事項につきましては、総裁がこれをとるかとらないかの自由を有しているわけでございますが、指導統制する権限を有すとしてありますために、総裁は監理委員会の提案した、こういうことにした方がよろしかろう、ここはこういうふうに改めた方がよろしかろうというそのことに対しては、総裁として從う義務がある、こういうふうに解釈します。日本國有鉄道の意思決定機関ではございませんが、同時にまた諮問機関でもない、こういうものである。それから監理委員会が責任を有するといいますのは、責任という観念は常に相手方のある観念のようでありますが、そういつた職責を有するというような意味に御解釈を願つてよかろうと存じます。特にだれが責任をとる相手かと申しますれば、これは一應日本國有鉄道の内部機関でございますから、政府の勧告を受ける政府に対して責任を負うというように解釈ができると思いますが、その責任という意味はそういつたような意味合いよりも、むしろ職責を有するというように御解釈を願つた方がよろしいと思います。
 それから十一條の点で、六人にするというのは、こういう会議体制として不適当であるという御質問でありますが、その点は実はエックス・オフィシオ・メンバー、こういう原語を使いまして、職務上当然就任し得るというふうに訳しております。しかしながらエックス・オフィシオ・メンバーというのは、発言権をもつておりますが、議決権を有しないという建前でありますので、これだけ書いておきますと当然井谷委員のおつしやるような疑問が生ずるわけでありますから、その点につきましては目下関係方面と折衝中でありまして、十六條の一項の但書といたしまして、職示上当然就任する委員は議決に加わることができないという規定を追加するように、今折衝中でございますから、その方の了解が得られますならば、十六條を修正いたしまして、井谷委員のおつしやるような疑問は解消いたしたい、こういうふうに考えております。
#56
○井谷委員 次は第三章の役員及び職員のところであります。ここで理事の数は何人くらいにせられるかということと、総裁は監理委員会に対して責任を負うというのでありますが、これはどういう意味であるか。
#57
○荒木政府委員 理事の数につきましては一應数をきめたらよろしかろうという意見も関係方面にあるのでございますが、現在といたしましては、どこまでを理事とするか、鉄道局長を理事にするか、全部を理事にするか、一部をするか、あるいは本省に局長に該当する人を理事にするかという点が十分きまつておりませんので、今後も十分研究して御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。監理委員会に対して責任を負うと申しますが、しからば責任を負うという形式をいかにするかと申しますれば、事実上法律論としては若干その点にギヤップがあるかと思いますが、一應内閣において、監理委員会の同意を得て、不適当であるというような場合には罷免することができるという規定になつておりますので、事実上といたしましては、監理委員会の活動によつて内閣から総裁を罷免するということが起るのではないか、責任の方法として罷免ということで、別に懲戒処分とかということはございません。
#58
○井谷委員 続いて二十條役員の任命及び任期でございます。総裁は職務上当然監理委員会の委員となるのでありますが、ほかの委員との均衡上、やはりこれは球院の同意を得て内閣が任命するというようにしたらいいのじやないかと思います。また理事も日本國有鉄道を代表する者でありますから、これの任命にも監理委員会の同意を得るというふうにすべきものではないかと思います。
#59
○荒木政府委員 これは監理委員会が先ほど申し上げましたように、意思決定機関ではありませんけれども、総裁が行つておりますところの行い方について、よろしくない場合には、これを指導統制する権能をもつておりますのであります。その監理委員会が両院の同意を得て任命されるものでありますから、ちようど監理委員会が國有鉄道のトップになるという関係でございます。そのトップが國会の同意を得て任命されるということになりますれば、むしろその指導統制下に服する総裁は、監理委員会の同意を得るということがよろしかろう、こういうふうに考えまして、かように相なつておる次第でございます。
 なお理事は、なるほど一部國有鉄道を代表する機会もございますが、これはいわゆる総裁のスタッフとして存在するものでございまして、その総裁がやはり能率を上げるという面におきましては、自由にその任免を行うという体制がよろしかろう。外國の鉄道会社等もさような状態になつておりますので、その点を勘案いたしまして、理事は総裁の專権をもつて任免ができる、こういうことにいたしております。
#60
○井谷委員 この役員の中に、監理の制度がないのでありますが、これはほかに御意味があるのでありますか。
#61
○荒木政府委員 この点に関しましては、監理委員会がございますので、指導統制する上につきましては、当然その業務の実績、財務の状況は監査するということができますと同時に、あとに條文がございますが、監理委員会においては、総裁その他の役員をして会議に出席せしめ、その説明を聽取することができる、こういうことに相なつておりますので、監事の職務をもこの監理委員会は同時に兼ね備えておる、こう考えておりますのど、別に監事を置かなかつた次第であります。
    〔前田(郁)委員長代理退席、原(彪)委員長代理着席〕
#62
○井谷委員 第二十六條以下でありますが、日本國有鉄道職員と、國家公務員との間には、その地位、資格、あるいは任免の基準でありますとか、給與、降職あるいは免職、休職、懲戒、服務等の基準、勤務地等について、それとこれとの差が出て來るはずでありますが、これらについて詳細に知りたいと思いますから、適当な資料をお出しくださるようお願い申し上げたいと思うのであります。
#63
○荒木政府委員 承知しました。
#64
○井谷委員 それから第二十九條の第四項、業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合免職することができるということになるのでありますが、今後の國鉄從事員の地位からいたしますると、現在より著しく不安定なものになると思うのでありますが、この点についてのお考えはどうか、承りたい。
#65
○牛島政府委員 ここに掲げてございまする業務量の減少の他経営上やむを得ない事由が生じた場合におきましては、これを降職し、あるいは免職することができるということであります。ただいま御質問のございましたように、非常に從事員の地位が不安定になるのではないかというようなお話でございましたが、私どもといたしましては、今後鉄道事業をもつて能率的に合理的な経営をやつて行く上からいたしますれば、將來におきまして、こういう事態が起らないとも限らないとは存じております。また業務量も、非常な経済事情の変動が將來に起りまして、非常に業務量が減少する、また收支のバランスが非常に破れてしまう。こういう事態が起りまして、どうしてもある程度の合理化をはからなければならぬというようなことが起りますれば、こういう点につきまして何らかの措置をとらなければならないかと思つております。しかしながら、ただいま運輸大臣が御説明申し上げましたように、行政整理というような点につきましては、極力これを避けて参りたいと存じておりまするし、また先ほども加賀山政府委員から御説明申し上げましたように、第三十五條におきまして、「この章のいかなる規定も、公共企業体労働関少法第八條の規定を変更するものと解釈されてはならない。」ということになつておりまして、こういう事態がたとい生じましても、この方法その他におきましては、組合側との團体交渉によつて、これを行うということに相なつておりますので、法文上この條文だけを見ますると、非常に地位が不安定であるとお考えになるようでございますけれども、実際上これを運営して行く上からいたしますれば、御心配にならなくてもよいのではないか、こういうように考えております。
#66
○井谷委員 次は第四章の会計であります。第三十六條の、日本國有鉄道の高能率に役立つような会計に関する法律は、いつごろ御制定になるお考えでありまするか、御腹案があれば承りたいと思うのであります。また予算の形式、内容等は、政令をもつて定める、こうありまするが、國鉄は現在赤字で一般会計に依存しておりまするし、会計上に関しましては、官廳と同様にみなされておる今日においては、予算の形式、内容等につきましても、現行通り詳細なものをやはり國会に提出をする、こういうものだと思うのでありますが、これについてのお考え方を承りたいと思います。
#67
○三木政府委員 企業的な経営をいたしますためには、どうしても企業体にふさわしい財政、会計の法規の制定が必要であることは申すまでもございません。わが國最大の企業でありまするし、またその全額が國家の出資でもございまするし、その國家の財産を保持するに十分であり、また企業体として十分な活動ができるような法律は、なるべく早く制定する必要があることは申すまでもございませんが、これは非常な難事業だと考えられるのであります。いつこれが制定できるかというようなことは、ただいまのところお答えできないのではないかと思います。われわれにく幾分の腹案もございますから、関係方面へも十分説明を申し上げまして、その了解を得ましたならば、なるべくすみやかに提出したい、かように考えております。
 それから予算の形式、内容につきましては、現在の予算の制度が、御承知の通り歳出予算、現金の支出というものをもつて國家活動を統制しようとする予算の方式でございますが、これは一般会計におきましては非常によい事業の統制方式でございますけれども、鉄道のように事業をやつておりまするものの予算につきましては、これで十分だとは言いがたいのでございます。それはなぜかと申しますと、金銭の現実の支出を伴わなくとも、債務を負担するような行為は、これは統制しなければなりませんので、たとい年度内に金銭の支出がなくとも、將來にそういうものをもたらすような懸念のある契約であるとかいうようなものはもちろんのこと、金銭の支出のみならず、事業そのものを統制するというような予算の方式が、ぜひ必要なのでございます。もちろん金銭の支出にいたしましても、一國の経済、財政上の見地から、それを全然度外規して、統制しなくてもよいというわけではございませんけれども、同時にまた金銭の支出だけを統制するというような現在のやり方では、予算の統制としては不十分な点がありますので、その両方の、一國の財政から見た金銭の支出あるいは借入金、公債というような点に限定されるのではないかと思いますが、そういうものを統制すると同時に、事業の伸縮に應じて支出も收入も増減できるような統制方式を講ずる必要があるのではないか。もちろんその基礎になります参考資料と申しますか、事業計画と申しますか、そういうような詳細なものを添付していただかなければなりませんが、國会へ提出されます分については、そういうものを考慮した内容、形式の予算を出さなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
#68
○井谷委員 四十三條であります。日本の國有鉄道は、損失の限度において政府から交付金を受ける、また利益がありましたときは一般会計に納付しなければならないと明記してあるのでありますが、これは現行の國有鉄道事業特別会計法にも定めてないのでありまして、現在以上に独立制と自主制とを喪失し、政府に対し非常な依存性を増大するという解釈ができるのでありますが、これらに対するお考え方を承りたいと思います。
#69
○三木政府委員 損失の最高額は損失の限度である。それからその交付の額は特別の必要あると認めたとき交付する、こういうことになつておるのでありまして、現在とかわりはないのではないかと思います。
#70
○井谷委員 四十六條であります。長期の借入金の償還計画につきましては大藏大臣の承認のみでいいのでありますが、運輸大臣の認可は要らないのでありますか。どういうことになるのでありましようか。
#71
○三木政府委員 おつしやる通り、大藏大臣だけになつております。
#72
○井谷委員 これは先ほど成田委員からも御質問があつたのでございますが四十九條について私の考えを申しておきたいと思います。営業線の讓渡でありますが、これは運輸大臣の認可を受ければいいことになりますが、鉄道営業線あるいは國営自動車線の國営か民営かは、地方の産業民生上に重要な影響のあるものであります。また日本の國有鉄道が赤字で、一般会計に依存をしております限り、法律によらなければならぬことで、それは國会の決定によることとせねばならぬと思いますが、これは先ほど大臣から御答弁がありましたから、お氣持は大体わかつておるのでございますけれども、こうなつておつて、運輸大臣の認可だけではどんな重要路線でありましても、これはいつでも民営になつてしまう。こういうおそれがあるのではないか。こういうことを私考えていたのであります。五十三條の営業線の讓り受けについてもまた同樣でありまして、同樣な解釈を私は持つておるようなわけであります。なお総括的に大体に対します意見は別にございますが、きようはこの程度にいたしておきます。
#73
○小笠原委員 こまかいことは後にいたしまして、二、三点この法案について承つておきます。大臣もお見えになりませんから――大臣は、從來は黒字であつたものが、戰後非常に大きな赤字になつておる。これを大急ぎで独立採算に切りかえる、この断行をされたいという御主張のようでありますが、それにしても運賃の値上げも避け、また行政整理も避けて、それでどうしてやれるかというまず御手腕の点は後に承ることにして、今度は事務当局に伺いますが、大臣がら行政整理は極力避ける云々の御主張がありました。そこで事務当局もやはり独立採算ということを主張して行く上においては、何らかそこに計画的に求めるところがあつて、それに合うところがなければならぬ行政整理をせぬ、値上げもせぬで、独立採算を軌道に乘せる計画があられるか、事務当局の計画が今一番大事なとき、こういうことがあれば承りたい。
 もう一つ事務当局から承りたいことは、この法案は前内閣の立案でありましよう。そこでこの第一の目的の公共の福祉を増進するという目的を達成するのに、この法案を実施すればどういう利益があるのか、それがぼくらにわからぬ。もう一つは先刻成田委員の質問に対して、まだ計画が立つておらぬという御趣旨であるが、國有鉄道の資本の計算ができておらぬというのか。これは前内閣の案であつて、事務当局としては内閣がかわつたから発表できぬということなのか。しからばこの資本の計算ができずして、独立採算の計画ができるかどうかということについて非常な疑問を持つ。資本というものはこの法案の実施に対して何ら関係のないことで、そのまま移すのだから、資本の計算なんかは、関係がないじやないかというのであるか、この問題について、まず承りたい。
#74
○加賀山政府委員 独立採算制について事務当局はどう考えておるかというお尋ねでございますが、この法案に関して独立採算制がどうなつておるかという御質問か、あるいは独立採算制について一体將來どうするのかという御質問か、私もその点判然といたさなかつたのでございますけれども、本法案といたしましては、独立採算制の問題はしばらくこれをはずしてあるということは、先ほど大臣の御答弁にもありました通りであります。もちろんわれわれの方向といたしましては、この行政と運営とを分離するだけでは意味がないのであつて、これをほんとうの企業体に適するように、独立採算制をとり得るような姿にして、それについて予算、会計の諸手続といたしまして、衣をかえただけではいけませんので、その内容実質を変更して行かなければ、これはとうていできないことではないかと考えておる次第であります。ただいま御審議を煩わしておりますところのこの法案におきましては、從つてそういう見地から、独立採算制という問題はしばらくここにお預けをされておるというふうに御解釈を願いたいと存ずるのであります。しからばこの法案の利益をどこにあるのかというお問いでございますが、私どもといたしましても実はこの法案によりまして非常に自主的な、能率的な運営ができるものとは実は考えていない、と申しますと非常にそつけないようでございますが、非常な大きな期待は持てないのではないかというふうに存じております。先ほど鉄道総局がそのまま置かれたにすぎないではないか、いわば公法人とはいうけれども、外局にすぎないような、それに以たようなものになるのではないかというような御論議があつたのでありますが、そういうようなことが、実質的からいたしまして言えるのでございます。ただ監理委員会等の今後の運営並びに役員、職員等の努力、あるいは運営の方式、あるいは行政監督に当る運輸省を初めとして各省との関係といつたようなものの運営いかんが非常に問題に相なろう。從つてこの法案自体からは非常な私は大きな変革は考えられない。また考え方によりましては、この非常な変動期の経済下におきまして、非常な変革をするということがはたしていいか惡いか、あるいは非常な危險性を伴うのではないかというふうにも考えられるのでありまして、まずわれわれの考え方といたしましては、先ほどの独立採算制の問題にしろ、こういうコーポレーションができましても、眞に國民のためになるということは、今後のこれに関係する者の努力いかんにあるというふうに私は考えておるのであります。さらにこの法案自体につきましても、先ほど井谷委員からお尋ねがございましたように会計その他について能率的、自主的な運営ができるような法律の制定されるまで、これによるのだということになつておるのでありまして、これらの問題につきましても、政治、経済その他全般の情勢とにらみ合せまして、われわれといたしましては、この法案をさらに國民のためにいいものにして行くことに、全努力を傾注して行かねばならないものであるというふうに考えておる次第であります。從いまして資本等につきましても、特に評價その他につきまして――現在は評價をするにいたしましても非常に困難な時期にあることは御承知の通り、また現在先ほど固有の資本が四十九億ぐらいであるというふうに申し上げたのでありますが、これらはこの一、二年の間のインフレによりまして、非常に変なものになつて参つておるのでありまして、ぜひともこれは評價がえをしなければならないのでありますけれども、現在の情勢が最も適当な時期と言えるかどうかという点もございますし、この際ちようど一般の法律がそういうふうになつておりますように、資本につきましても一應この形を受継いで行く、特に形式的に資本を明らかにしないというふうにいたしたような次第であります。これはいつまでもこれを不明確に置いておくという趣旨では毛頭ないのでありまして、もちろんこれはさらに自主的な公企業体に進んで参ります場合には、当然それまでには明らかにされなければならぬ問題であるというふうに考えております。
#75
○小笠原委員 ただいまの御説明で、わかつたようで、わからぬのでありますが、期待のできない法案だ、こういうことに一口に言えば申されたようであります。それに対して役人の努力いかんだと言う。期待のできない法案に努力するということは、どういう努力になるか、それが私はわからない。期待のできないものに努力ということはどういうことになるか、それを承りたい。
#76
○加賀山政府委員 非常に大きな期待は持てない、非常に大きなという形容詞をつけて申し上げたのでありまして、この法案自体から出て來ることだけでは、私は非常に大きな期待なり、変化なりはないと思うのであります。つまり能率的運営にいたしましても、この能律的に運営するということは、規定なり法律だけによつてやれるものではない。能律を上げるということは実際の問題といたしまして努力をして行かなければならぬ。自主的の問題というようなことにつきましては、法律にきめられまい限りは、なかなか自主的に動こうといつても動けない、そういうようなことに相なつておる。その点が、自主的運営については非常に大きな期待がこの法律自体からは持てない、かように御説明申し上げたのであります。
#77
○小笠原委員 そういう御説明であるならば、この法案によつての努力と、現在の努力とどこが違うか。結果においてどういうことが違いますか。
    〔原(彪)委員長退席、委員長着席〕
#78
○加賀山政府委員 現在は行政と運営とを同時に、運輸大臣の監督のもとにやつておるわけであります。これは國会でもしばしば問題になりまして、行政と運営とは切り離してやつて行かなければならない、こういうことでございました。そういうことがありましたときに、たまたま七月二十日のマッカーサー元帥書簡にこのコーポレーションの問題が現われて來た。從いましてわれわれといたしましては、行政と運営とを分離する場合に、あくまでも自主的、能率的な形態を考えて、いろいろ法案を練つておつたわけでございますが、とりあえずこの法案によりまして、行政と運営とは切り離されて、その執行の責任者は総裁、またその代理者である副総裁、理事というような今までの官廳としては考えられない。任期を持つものがこれの運営の責任に当る。しかもその上には監理委員会――これは先ほど御論議がございましたように、國会の同意を得てこの監理委員が任命される。これがその公共企業体のトップ・オーガニゼーションとして置かれる。これらの点が民主的な経営には、運営いかんによつては役立ち得るのではないか。そういうような点が考えられる。労働関係法といたしましては、公務員からはずれるかわりには、一般の労働三法の特例を規定いたしまして、いわゆるその中間的な労働関係を律するといつたような形、これらの点が法律の特徴になつておるうかと思うのであります。
#79
○小笠原委員 行政、運営を切り離すということに対しては、事務当局もよく御研究なされたという話でありますが、この法案は、事務当局の方で御研究なされて、その筋と折衝した案でありますか。
#80
○加賀山政府委員 研究もいたしまして、当方としても腹案を持つていろいろ折衝したのであります。なお詳細につきましては機会を見てお話申し上げます。これは非常に大きな期待と申し上げたのでありますが、特に財政、会計方面につきましては、たとえば現金の扱い方にいたしましても、國庫金の扱いとしてやつたのでは非常にきゆうくつでございまして、いわゆる企業的なうまみがなかなかできない。予算につきましてもいわゆる官廳予算あるいは官廳会計と違わないものになる。それでこれはあくまでもつと企業会計的なものに持つて行かなければならぬ。こういう点につきましてはわれわれの方においても、会計制度の委員会を設けまして檢討いたして來ておつたのでございますが、そういうような点につきまして、われわれの意図がこの案の中に十分盛り込まれておらないということを申し上げた次第であります。ただ先ほど申し上げましたように、人事管理その他につきまして、あるいは運営の方式いかんによりましては、私はこの姿においても從來と違つた経営がある程度まではもちろんできると考えておるわけでありまして、この法案がまつたく意義がないというような意味で申し上げたわけではありません。その点御了承願います。
#81
○小笠原委員 その点はよくわかりました。私はそういうことを目的として聞いておるのではありませんが、一体機構改革ということによつて、今國民の最も期待しておることは、鉄道が何かにかわる場合には、この赤字を何として補填する方法がどこかに見出せないかということを期待しておるのだ。三百億というような、とほうもないものをみな國民が負担するのではやりきれないことである。それは万々御承知である。何か独立採算を切り離しているというお話がありましたけれども、機構改革になれば、そういうことにうまみのある何かの内容を含んだものでなければ、ほんとうの機構改革であると、今日では言われないと思いますが、そういうことがどこかに存在しているか。何か將來改革できる目的があるか。それを改革しようとしても、できなかつたような事情があるならば、秘密会でよく内容をお知らせ願いたいという意味でありまして、会計がどうとかいうことは、どうでもいいのだ。ないものはない、あるものはあるで、それでいいのだ。経理をどうつけたところが、赤字は赤字で出る。そうでないことを私は承りたいのだ、その目的を達する何かがありますかということを承りたいのであります。
#82
○加賀山政府委員 小笠原委員の言われることはまことにごもつともでありまして、こういうコーポレーションができる以上は、あすからでも独立採算ができて、赤字がきれいになくなるということを、國民は期待すると言われるわけであります。私もまつたくその通りに考える一人でありまして、そういうことはまつたく望ましい。この点についてはまつたく同感申し上げるものであります。しかしながらこれは私は單なる機構だけからではとても出て來ないと存ずるのでありまして、それにはやはり経済の実情というものが、最も中心になつて行かなければならぬと思います。たとえば赤字の最も大きな原因が、いわゆる現在のインフレーションにあるということは御承知の通りであります。これらの事情は、ほんとうにいわゆる経済がノーマルな状態になるまでは、たとい機構をいかいいたしましても、非常にむずかしいのではないか。たとえば運賃の決定にいたしましても、物價体系というものを考えるので、いわゆる運賃が財政の問題として論議されているうちは、とてもうまくいかない運賃というようなものはもつと経済性と申しますか、いわゆる経済的な見地からきめられて行くというようになりませんと、なかなかむずかしいのではないか。こういう問題は非常にむずかしい問題だと考えるのであります。從いましてこの法案自体の中には、こういつた問題が含まれておらないということだけは、御了承願つておかなければならぬと存じます。
#83
○小笠原委員 私は、法案の内容は別として、一箇月ほど前にこういうことを出先機関から聞いている。利益のない、必ず損が出る今日の鉄道路線をひつぱがして、利益のある方に移轉する。そのための調査をしているということを承つたのでありますが、そういう事実がありますか。
#84
○加賀山政府委員 そういう事実は全然ございません。
#85
○小笠原委員 あなたの方では、一体はなはだしい損害があるのはどこかということを見出して、一つ一つこの損害を補填あるいは防止するということに努めなければならぬと考えておりますが、そういうことを何か着々おやりになつておりますか。たとえば自動車のことでも汽車のことでも、あるいは附帶した事業のことでも、損害のあるものに対して、やめるとか中止するとか、何かでこれを防止するというような対策をとられて今日までやつておられますか。
#86
○加賀山政府委員 單にそういう面はかりに私どもは努力をいたして來たわけではないのであります。從いまして、これがほんとうに純企業会計で行きますならば、かなりそういう方向を徹底し強化して行かなければならないと考えております。むしろ現在といたしましては、不経済線に列車を動かしあるいは交通不便な所に進んで道をつける、あるいは公共の利便のために荷役の設備をするというような公共的な施設に、われわれとしてはこの國営の現在の形態では、力を入れてやらなければならぬ。いわゆる営利性より、公共性にこそもつと力を注がなければならないのではないかというふうに考えてやり來つたのであります。それがいわゆる独立採算制の問題とマッチしない点が從來あつたわけでございますが、それが今度のコーポレーションになつてどうなつて行きますか、おそらくコーポレーションになりましても、先ほど申し上げたような、公共的な独占的な企業でありますがゆえに、依然としてそういう点は相当強調されなければならぬ。從いましてこの法律にございますように、いかにも独立性のないような「特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付する。」というような規定を設けられているのではないかと解釈しております。
#87
○小笠原委員 この法案が実施になりましても、現在鉄道でやつておる赤字補填、損害の防止に対しては御努力をなさる、その努力云々という意味だろうと私は考えるのでありますが、委員会でしばしば問題になつたところの補助金とか、あるいは附帶事業とか、いろいろなことの損害の問題で、いろいろ例をあげて事務当局とも折衝もし、委員会の問題にもなり、懇談も重ねたはずであります。その後においてそういうことの問題を御調査なされているようにも承つておりますが、今なおそれは継続中でございますが、実施の目標はつきましたか。
#88
○加賀山政府委員 特に現在やつております調査といたしましては、戰時中買收いたしました線区につきまして、拂下げを可とする論議が非常に強いことは御承知の通りでございまして、これにはたびたび請願もございまして採択にもなつておりますので、その面の調査は特に氣をつけてやつておりますことと、もう一つは戰時中にやけを得ずとりはずしました線、あるいは建設の予定線として建設を始めましたままで立腐れになつております線、これらにつきまして、営業收支関係の調査を綿密にいたしている事実はございます。もちろん省営自動車の線区につきましても、各線区ごとに営業收支の計算はやつているわけでございます。そういうような点でございますが、どうしても國有鉄道の性格上、單にいい分だけをとつて考えることは非常にむずかしうございまして、運賃のごときも、本來から申しますならば、特に設備をした、あるいは特に非経済的な線区でありますならば、そこの部分の運賃は高くする。非常に割のいいところは安くするというような運賃制度をとることも考えられるわけでありますけれども、現在は統一鉄道でありますために、運賃もいわゆる統一運賃の制度を採用いたしておりますので、これがために私どもといたしましては、かえつてこれが公共の福祉の増進に役立つていると確信をしている次第でございます。
#89
○小笠原委員 今の附帶事業の問題はこの委員会でしばしば問題になつたようですが、その方の御回答はないようですが、御調査はありますか。
#90
○加賀山政府委員 附帶事業と言われますのは、あるいは病院施設、共済組合の施設等に觸れられたか、あるいは傍系の團体等の問題に觸れられたか、ちよつとはつきりいたさなかつたのでありますが、もちろん附帶の施設につきましても調査はいたしているわけでございます。傍系の團体等につきましても、これらに関する調査は特に國会等の御要求もございますので、前國会以來続けていたしている次第でございます。
#91
○小笠原委員 これは別の問題でありますが、石炭が惡質になつたために鉄道沿線に火災が頻々として起り、國民に多大の損害をかけておる。それで鉄道はその見舞金に多大の負担をしておるのでございますが、今日のような惡質炭をこのまま継続して、それに対して何か防止対策をおとりになつておりますか。
#92
○加賀山政府委員 特に石炭の質の惡化、それで非常に粉炭の率が多くなりましたために、これは鉄道経営上非常に大きな負担であるばかりでなく、今言われました沿線に火災のおそれがあるのでございます。これに関しましてはまず第一に良質炭の獲得に努める、配炭公團との契約を更改いたしまして良質炭の獲得に全力を注ぐということが最も大筋であろうかと考えます。あるいは粉炭の錬炭化を考えましてそういつたことを未然に防ぐ方法をとるといつた方策を考えておる次第であります。
#93
○小笠原委員 それは今後の方針でありましようが、石炭の方は急に間に合うかどうかを疑います。特にそれがために國民は多大の損害をこうむつておるのであります。今日は一旦火災にかかりますと、物資その他の関係で國民は取返しのつかないどん底に陷ることは皆さんの御承知の通りであります。それに今のお話の程度でそのままほうつておくということは許すべからざることであると思います。私は今資料を要求したいことが一つある。それは戰爭後年次わにけて、汽車の原因による火災で、國民の損害と鉄道の負担した損失を現在までのものを調査されてあとで提出してもらいたい。一体國民の家屋に鉄道の原因で多大な損失を與えたときに、あなた方はどういう目標のもとに損害の補填をしておるか。承るところによれば、事務当局はすきかつてに、弱いところに少く、強く主張して來たとこには多く、何の目標もなしに決定しておるということを承つておるのであります。何そこにあなた方の方では規定というか、例というか、何かの方法によつて、われわれが一見して、これは比較して同樣であるというに見られるところの内規があるに相違ないと思うのです。そういうものに基いておやりになつておるかどうか承りたいと思います。
#94
○加賀山政府委員 過去の実績につきましては調べまして提出いたしたいと思います。万一、石炭が惡くなつたとはいえ、鉄道の噴火のために燒失したということでございますならば、これは事務的に十分な調査を遂げまして、これに対する対策を講じたいと考えておる次第でありまして、小笠原委員が言われましたように、すきかつてに、強いところにはひつ込み、弱いところは、こちらがこれを押えつけるというようなことは絶対にしないつもりであります。
#95
○小笠原委員 それではあなたに申し上げます。私のところの北川村というところで、三百なんぼというものを鉄道の飛び火によつて全燒したのであります。その損害に対して、私も折衝をして見ましたが、こういう経過だつた。今は十万円まではお見舞金を出せるという制度になつておるのだそうですが、青森のバラツクが燒けた際に、一戸に対して一万円づつをお見舞金として折衝して出していただいた。それで今度はバラツクでなくして、損害が十倍以上になつておることは鉄道当局もよく御承知の通りであります。それだから私が仲をとつて、寒さに向つて私の國の方は雪が降つております。家屋が側ができても、内部の建具、疊は全部ありません。寒さにふるえてどうにもできぬのであるから、來年の七、八万より今の三万の方がいいから、その程度で何とか折衝してもらえないかということを私は言つた。仙台の鉄道局長も三万円ならこれはむりありますまいということで折衝したのであります。前大臣にも現大臣にもそれを申し上げた。みな御同情なされておつたのであります。ところが東京の方のこれを担当しておる調所という課長さん、その方にもしばしば会つた。最後にあなたのうしろにおられる三木局長に会つた。局長の言うには、こつちが過失したのだから、あなた方をわずらわすまでもなく、こちらが出張してきめます。出張してきめれば、弱いから押しつけると見えたから、いや私はこちらから呼びましよう。呼ぶには及びません。あなた方はあなた方の、職務があるから、働いてもらわなくても、そんなことにまで、くちばしをいれなくてもいいと言わんばかりの話だ、それはあなたむりじやないか。とにかく地元に火災があつて、目前に彼らの窮迫しておるのが見えているんだ、これを代表者として訴えるのが何が惡い。冬になるから準備を整えて、早く解決をつけてもらいたいということで懇願して來た。それでそうしよとう約束しておりながら、役人が仙台に走つて、向うの村長以下の代表者を仙台に呼んで、そこで何と言つてきめたかというと、今一万五千円でもらえ、これでもらえなければもうだめだ、來年の四月になればもう御破算になつてしまうからと、ほとんど脅喝がましいことを言うた。もう罹災者は困難しておるから、泣きの涙で一万七千円で承諾させた。そうしてそれが私のところに一昨日参りました、もういらぬ。責められて、一万七千円ときめました、と言つて來ました。あなた方はこれは何という名義で一万七千円を出すのか、これの名目を承りたい。見舞金、弔慰金、損代であるか。見舞金というものは脅喝して出すのは見舞金になりません。弔慰金またしかり、何という名義で出したのであるか。あくまでも役人というものは、弱いものをいじめて、彈圧しなければあなた方の責めは負えないか。一戸一万七千円なんということは――もう去年青森で一万であつた。そのときと今日では金の價値が違う。特にまたあなた方は今日十万円とまでその見舞金を経済情勢に應じて引上げておるではございませんか。どういうわけで――私が仲に入つたのが惡いか、仲介をして惡いか、その衷情を訴えて惡いか、そこまで承諾しておきながら、ここまで來ることをよして、仙台に役人を出張させて、そうして途中でつかまえて、脅喝がましいことによつてそれを解決しなければならぬ事情がどこにあるか。それから青森市の一万円と、一年たつた今日、しかも戰災で燒けた青森のバラツクと違つて、建ててある大きな建物は、そろいもそろつて目拔きの場所である。それが全燒したところの損害を、どういうところと比較をしてきめられたのであるか。その内容をよく承りたい。三木さんもうしろにおられますから、速記を通じてこまかくはつきり御答弁を願いたいのであります。
#96
○加賀山政府委員 今小笠原委員が言われました事柄につきましては、私としましても、各地元の代表の方々から伺つておるわけであります。ただこれらの問題は、最も事務的に解決するのがいいのではないか。從來の例に徹しましても、もちろんすべて事務的に解決いたしまして、鉄道といたしましても、できるだけ訴即とかそういつた方策を避けて、できるだけ同情を申し上げていることを明かにするような途を講じて來ておる次第であります。今回もそういう考え方で事務的に折衝を続けて來ておるものと私は解釈しておるわけであります。ただそれらの眞の事情を御紹介になるというようなことにつきましては、もちろんわれわれは進んで伺いたいと存ずるのでありますが、問題の性質上、きわめて愼重に事務的に解決したいという方針で來ておるわけであります。
#97
○小笠原委員 そうすると、加賀山さんが、決定した事情内容をよくお知りになつての御答弁ですか、総括的な全般的の方針としての御答弁ですか。私が北川村と銘打つて申し上げた、そのものについての御答弁ですか。それをまず伺いたいのであります。特にまた他の方の損害も、幸いに、先刻のお言葉で、全國の終戰後の年次にわけて各損害、それに対して補填した見舞云々と、しつかりと列記して材料を出していただけるということになりましたから、あとでこれは比較をいたしますが、今の御答弁は、今申し上げた実際この問題についてよく御承知での御答弁ですか。重ねてお尋ね申し上げます。
#98
○加賀山政府委員 私は事務当局に対しまして、愼重に調査をし、そうして地元の代表のお方とよく折衝するようにということを申しておる次第でありまして、現在折衝中の段階であると理解いたしておる次第であります。ただ寒さが迫つておりますので、できるだけこの解決を早くするようにということを、私としましては申しておる。そういうことでございまして、最後の決定をいたしたいということにつきましては、私は現在まだ承知をいたしておらないのであります。
#99
○小笠原委員 私が三木局長と約束して、最後に折衝に行つた方を、ここに電報で呼んで参りますということで承諾を得ておつたにもかかわらず、仙台に出張して、仙台から向うに電話か電報で村長以下の代表者を呼び寄せて、今きまらなければ、これは來年の四月になる、あるいは御破算になつてしまうからだめだぞということを言つて、この寒さにふるえる連中に、こういう言葉をもつて接することは穏当であるか、穏当でないか。その点あなたの御見解を明らかにしていただきたい。
#100
○加賀山政府委員 どういうふうに申したか、私は実は存じておらないのでございますが……。
#101
○小笠原委員 いや、私の言つた通りとすれば……。
#102
○加賀山政府委員 万一承知しなければ、それでもう御破算だというように申したとすれば、まことに不穏当であろうと私は考えるわけであります。われわれとしては、あくまでも同情を失なわないという立場をとつて行きたい。ただ國有鉄道といたしましても、御承知のように非常な赤字の経営をしておる。少しの出費もやかましく言えということをわれわれとしては言つておるわけでありますから、これが当然負担すべきものであれば、いかにしても負担しなければならぬのでありますけれども、事情によつてできるだけこれを少くしようという、経費の少からしめんとする熱意から、おそらく出ているのではないかと私どもは考えるのでありまして、そういう点については御理解をお願い申し上げたいと存ずるのであります。
#103
○小笠原委員 だんだんこれは事がこまかくなりますから、当委員会で取上げて時間をつぶすことを避けたいと思いますが、ただ加賀山さんに申し上げる。鉄道の方も支出が多いので、國費を何分でも少くするために努力をしたものだということは私はよくわかります。しかし受ける方の立場だと、同じ縣内の者に対して比較をして、あまり縣隔のあるものが出るということは、役所としてはやるべきではないと考えます。よくわかります。これはあとの問題になりますからこれできようは打切つておきます。
#104
○原(彪)委員長代理 本日はこの程度にて散会したいと思いますが、いかがでしようか。――それでは次会は明十六日午後一時より開会することとし、本日はこの程度で散会いたします。
    午後四時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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