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1948/11/24 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第10号
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1948/11/24 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第10号

#1
第003回国会 運輸委員会 第10号
昭和二十三年十一月二十四日(水曜日)
    午後二時五分開議
 出席委員
   委員長 有田 二郎君
   理事 前田  郁君 理事 原   彪君
     小笠原八十美君   岡村利右衞門君
      田村 虎一君    原  孝吉君
      井谷 正吉君    成田 知巳君
      伊瀬幸太郎君    佐伯 宗義君
      橘  直治君    矢野 政男君
      萩原 壽雄君    成重 光眞君
      館  俊三君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 小澤佐重喜君
 出席政府委員
        運輸政務次官  片岡伊三郎君
        運輸政務次官  加藤常太郎君
        運輸事務官   加賀山之雄君
        運輸事務官   三木  正君
        運輸事務官   荒木茂久二君
        運輸事務官   牛島 辰彌君
        運輸事務官   壺井 玄剛君
 委員外の出席者
        議     員 並木 芳雄君
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
十一月二十二日
 委員正木清君及び境一雄君辞任につき、その補
 欠として伊瀬幸太郎君及び花月純誠君が議長の
 指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月二十二日
 海事仲裁等に関する法律案(内閣提出第二九
 号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日本國有鉄道法案(内閣提出第一二号)
 海事仲裁等に関する法律案(内閣提出第二九
 号)
    ―――――――――――――
#2
○有田委員長 開会いたします。
 去る二十二日本委員会に付託になりました海事仲裁等に関する法律案、内閣提出第二十九号を議題といたします。まず政府より提案理由の説明を聽取いたします。小澤運輸大臣。
#3
○小澤國務大臣 ただいますから海事仲裁等に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 御承知のごとく、さきに公布施行せられました事業者團体法は、経済民主化の見地から、各種の事業者團体の活動範囲を規制いたしており、その一さして事業者團体は、一般に紛爭の仲裁、解決等の行為をなし得ないことといたしておりまするが、同法制定の当時より、海事関係の紛爭につきましては、その特異性から、これを何らかの形で特に許容する必要があると考え、一まず同法では、経過規定を設けまして、当時現に海事に関するこの種の行為を行つていたおもな團体であるところの、社團法人日本海運集会所に対し、同法施行後九十日間、すなわち十月二十六日までに依頼を受けた紛爭については、当該行為を許容することとし、これを行うため必要な範囲に限り、経過的に同法の適用除外團体とする旨を定め、後日研究の上、すみやかに別個の恒久的立法をいたすこととしておつたのであります。
 このような次第で、去る十月二十六日までは、從來通りに團体による海事仲裁等の行為が行われておつたのでありまするが、期限経過後の現在では、十月二十六日以前に依頼を受けた事件を処理できるだけで、その後新たな依頼を受けることはできない状態となつております。一方海事関係の取引につきましては、法制が実践界に即應していないうらみも強く、商慣習のごときも、特殊なものがあります上に、國際性をも有し、現行民事訴訟法の認める仲裁制度を初めとし、裁判所以外で、必ずしも法規に拘泥しない事件の解決方法がきわめて重要であります。中でも海事関係各方面の考えを総合的に代表し得るような、公益法人の行うものが最も権威あるものとされておるのであります。
 この法律案は、以上のごとき経緯と要請に基くものでありまして、海運に関する團体が、海事仲裁等を行うことを事業目的に加える場合に認可制を確立し、かつ、附則の規定をもつて、この法律による認可を受けた團体は、当該行為を行う限度において、事業者團体法の適用除外団体となるように、同法の適用除外團体に関する規定を改正するものであります。これにより海運に関する團体は、その事業目的に海事仲裁等の行為を行うことを加えることを認められたときは、当該行為を許容せられることとなるのであります。
 以上この法律案の経緯及び主目的につき簡單に申し述べ、その必要な理由を御説明申し上げましたが、会期切迫の折柄ではありますが、よろしく愼重御審議の上、すみやかに、御可決あらんことを切望いたす次第でございます。
#4
○有田委員長 本案に対する質疑は明日より行うことといたします。
    ―――――――――――――
#5
○有田委員長 次に議員並木芳雄君より、食糧輸送の現況について発言したいとの申出がありましたので、これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○有田委員長 御異議なしと認めます。よつて並木君の発言を許します。
#7
○並木芳雄君 お許しを得まして運輸当局に要望とお尋ねをしたいのでございます。実は今朝の朝日新聞の都下版でございますけれども、秋田米が腐つて到着した、こういう記事が載つておるのでございます。これは簡單な記事でございますから読んだ方がよいと思いますのでお聞き取り願いたいと思います。「秋田米三十俵腐つて到着、貨車にこぼれ残つた藥品がもと、秋田縣米内澤駅から八王子駅に去る二十日届いた政府配給用保管米二車、三百五十俵のうち下積みの三十俵が灰色にかわつているので、八王子食糧事務所が檢査したところ、貨車にこぼれていた藥品の粉がついて腐つたものとわかつた。八王子市署は大事な食糧輸送の車に、そのようなものが残つているまま積み込むのは不注意だと、二十二日八王子駅を通し発駅に注意を出すとともに、同駅貨物係に、食糧関係の輸送貨車は今後衞生に十分留意するよう、これは関係方面へも傳えてほしいと望んだ。」こういう記事でございます。私の方へも新聞社の方から電話がかかりまして、これは事実起つたことであるから、國会の運輸委員会の方々にぜひこれを傳えて、取調べをしていただきたいということであつたのです。このことはまだ本省の方ではお聞きになつていないかもしれませんが、毒は小さいようでありますけれども、こういうことがもし方々に起つておるとしますと、大事な食糧輸送については非常な影響があると思うのであります。三十俵でも、小さな村の一日分の食糧にも足りるものでありますし、最近のようにさつまいもの配給が多くて、少しでも米がほしいというわれわれ國民の氣持の上からも、こういつたせつかくの大事な米が、しかも勤労感謝祭と申しますか、新穀感謝祭の前後の日取りに到着したものが腐つている。こういうことで地元の人が非常に残念がつており、また憤慨しておるのであります。そこでまずこの実情をお取調べ願いまして、そうしてこれに対して当局としてぜひ善処していただきたい。同時に私どもこの機会にお伺いしたいのは、食糧の輸送状況について、大体こういうロスとか、ダメージと申しますか、こういうものはどのくらい出るものでございましようか。また出た場合に、そういうものに対して、当局といたしましては、どういう処置をもつて臨まれておるのか。これがもし國民の貨物でありますならば、相当な賠償というようなものも請求されるでありましようが、國家であやつつている食糧で、それをまた國鉄が輸送しているということで、一般國民に直接損員とか何とかいうものが響いて來ないうらみがあるために、あるいはうやむやになるようなこともないとも限らないと思うのです。そういう点を考えまして、ぜひひとつこの機会に御説明いただきましたならば、幸いと存ずるのであります。ことに最近國鉄に対する國有か、民営かの問題が、かなり大きく取上げられておりまして、こういうものに対しても、これは一つの重要な参考資料になると思うのでございます。お忙しいところをはなはだ恐縮でございますが、御答弁をお願いいたします。
#8
○小澤國務大臣 並木君にお答えいたします。ただいまお示しの新聞紙掲載の事案は、実は私も今朝新聞紙で拜見いたしましたので、これはたいへんだというので、係官に至急に詳細の事情を調べるように頼んで來たのであります。いまだその詳細な報告に接しておりませんが、お話の通り、輸送が不完全なために、このような重大な食糧の、しかも米三十俵が腐敗するというようなことのあることは、断じて愼まなければならぬのでありまして、私どもといたしましては、至急詳細なこれに関する報告を聽取すると同時に、そうした不始末がいかなる原因でできたかということを突き詰めまして、その原嘉の起る前の原因も調査し、再びこのようなことがないように、適当な処置を講じたいと思つております。なお事案の詳細な原因等につきましては、後刻本委員会に書面、もしくは適当な時期に口頭をもつて御報告、御回答を申し上げたいと存じておるのであります。
 それから一般の食糧輸送の問題でございまするが、もし鉄道の過失もしくは故意によつて損害を生じた場合におきましては、もちろんその額、すなわち損害の発生した額に應じまして、損害賠償の責任は負うておるのであります。從つてこの額というものは、相当の多きに上つておるのでありますが、御承知のように現在、物の不足な時世におきましては、幾ら金で賠償を受けましても、この物價の変動のはげしい場合に、國民諸君といたしましては、実際の賠償を受けるのが一年先というような状労に置かれては、非常に困るのであります。
    〔委員長退席、前田(郁)委員長代理着席〕
從つて賠夏するといなとにかかわらず、賠償は賠償として最後手段であつて、この賠償金をできるだけ拂わずに済ませるように、換言しますれば、ただいま申し上げました通り、輸送によつて一般輸送物資が毀損したり、あるいは喪失するというようなことに対しましては、特に留意いたす所存でありますから、この点どうぞ御了承願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
#9
○前田(郁)委員長代理 それではこれより日本國有鉄道法案を議題といたしまして、質疑を続行いたします。有田次郎君。
#10
○有田委員 日本國有鉄道法案は、先般來の大臣の御答弁によりますると、鉄道総局がそつくりそのままパブリツク・コーポレーションの形をとつて來たものであるがごとくであります。私どももまたそういう見解をとつておるのであります。しかも仄聞するところによりますると、今日鉄道総局におきましては、以前運輸次官をしておつた者とか、あるいは鉄道総局長官をやつておつたような者の、ボス的な存在が非常に強いということをわれわれは聞いておるのであります。しかもそれらの者が人事その他の権限に対して大きなる発言権を持つておつて、そうして政務次官、大臣はまつたく浮き上つておるというようなことすら仄聞するのであります。かようなボス的な存在があるところの鉄道総局、これがパブリツク・コーポレーシヨンになることによつて、ますますそういう色彩が大きくなり、しかもそれに対する政党あるいは國会の監督の目がだんだん届かなくなる。しかもこの監理委員会、あるいは総裁というように、屋上屋を重ねて、こういつた機構になることによつて、ますますボスの温床になる可能性が非常に多い、私はかような見解をとるものであります。おそらく大臣はそんなものはないというふうに御答弁になるかもしれませんけれども、私どもの聞く範囲内においては、そういう者が依然として大きなる力を持つて、しかも鉄道総局の人事に対して大きなる発言権を持つている。またその後最近できましたるところの鉄道審議会というようなものの審議におきましても、御用審議会であるかの観がある。私は先般私鉄の拂下げのことにつきまして、総務局の総務課長のところへ、第二國会の請願の方で、すでに國会の意思、衆議院の意思というものはある程度決定しておるから、この際國会の意思に反するような決議事項をしないようにという申出をしておいたにもかかわらず、審議院では――これも御用審議会であるかどうか知りませんけれども、――第二國会において本委員会で採択になりましたと反対の意思表示をする。こういうようなことになつて、本日の新聞にそれが出出いるのでありますが、さような行き方、あるいは近くまた陸運監理局において、運送店の問題について同じく委員会のようなものができると聞くが、これまた官僚と手を握つて、官僚のまつたく御用委員会ができるような状態にある。そういうような傾向がだんだん濃厚になつて來ている折柄、現在の政府提出の法案によつて、はたして民主的なものができるかどうか。この制度によつて大臣がはつきりそういつたものに対して監督できるかどうか、この点をひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
#11
○小澤國務大臣 御指摘のいろいろな諸例は、必ずしも否定できる問題ばかりでなくして、ある程度肯定しなければならぬ問題がたくさんあると思うのであります。しかしボスに支給されて鉄道省内の人事が左右せられるというようなことは、結論においては大臣の政治力が足らぬということに、半面から見ればなるのでありまして、私が政治力が強いということは申し上げませんけれども、過去においてはどういうことがあつたか知りませんが、現段階におきましては、そうしたボスによつて私の考えが中止されたり、あるいは変更されたりするという事実はないつもりでありまするし、またあるいは、まだ日が短かいから、このボスというものがまだ手を伸ばさないで、今後手を伸びすかもしれませんが、もし伸ばすようなことがありますれば、委員長の協力を得ながら、極力これに反抗するつもりでありますから、その点御了承願いたいと思います。
 さらに進みまして、現在問題になつておりまする企業体の問題でありまするが、有田委員も仰せられた通り、大体一口に申し上げるというと、現在の鉄道総局というものが、一つの公法上の法人になるという形のものでしかないのでありまするけれども、しかしこれがために運輸大臣のこれに対する監督権というものが、そう激減するものではないと存じます。ことにこの監理委員会というものがありまして、運輸大臣が監督し、片方に監理的立場をとつた監理委員会も監視して、その総裁の職務をある程度指導あるいは統制というようなことをしまするならば、一方民主的な業務の運営ができると同時に、從來大臣一人で監督をしておつたのを、そうした民主的な委員が選ばれて、ある程度届かないところを補うというような形にもなると存じまするので、機構を改革したために、ただちに弊害が多くなるというようなことは、一應考えられないのであります。しかし大体の例は、先ほどお話のように、從來の運輸省に対する欠陷あるいはその行き方を御注意されたのでありまして、これと同じような弊害はやはり伴うのではないかということが予測できるのであります。われわれは今申し上げたような線で、極力この弊害を是正しながら、國有鉄道の円滑なる、しかも能率的な運行をやつて行きたいと考えております。
#12
○有田委員 大臣の御答弁を承つて、はなはだ意を強くするのであります。たとえば私の聞くところによりますると、一度大臣をやると、一生涯パスが出る。こういうような鉄道独特のやり方については、私どもは非常に遺憾に思うのであります。從つてこれは大臣だけでなく、他の者についても、こういうような切符の発行のやり方をやつておるのではないか。たとえば以前鉄道次官をやつておつた、あるいは鉄道総局長官をやつておつたというような者に対しては、一生涯鉄道のパスをやるというようなことになつていないか。さらにまた、その他こういうボスの温床となるような封建的な機構が今日においてもあるか、ないか。この点もひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
#13
○小澤國務大臣 パスの発行方法につきまして、私はまだ詳細に発行する規程、あるいは事務の処理について承つておりませんが、このパスの発行の仕方というものは、鉄道業務の運営上きわめて至難な問題であり、また嚴格にやらなければならぬ問題であります。從いましてお示しのように、パスが乱発されておるような事情がありましたならば、極力この発行する内規を檢討いた上で、至急に改善したいと考えております。
#14
○有田委員 このパスの問題につきましては、以前から一ぺん大臣になると一生涯パスがもらえる、かようなことをわれわれは承つておるのでありますが、これは旧憲法下の考え方であつて、新憲法下の民主的な今日において、大臣になつた者が、いつまでも永久にその特権を持つということは許されないものである、かような見解を私はとるのでありますが、一ぺん大臣になつた者はいつまでもパスをもらうというような、今までの慣例について、大臣の御事見を承りたいと思います。
#15
○小澤國務大臣 今有田委員が言うように――私はまだもらつたことがないから、存じませんけれども、とにかく運輸大臣を一日でもやれば、パスが一生涯もらえるというようなことは聞いております。しかし、どういうわけでそうした制度ができたかということについては、檢討いたしておりませんので、そのよつて來た当時の模樣から、また現在の状況を調べながら、適当なこれに対する私の決意を断行いたしたいと考えております。
#16
○有田委員 大臣の御事見で、本体のところ了承したのでありますが、要は今日、一ぺん大臣になつた者が永久にもらえるというような、そういつた考え方がいけないのであつて、どうか小澤運輸大臣の手によつて、大臣になつた者であろうが、何であろうが、とにかくそんなことによらないで行くべきである。そういう官僚から切符を頂載するというようなところから、政党が官僚から押えられるような結果を招來するのであります。從つてひとつ嚴然としてそういうものはもらわないようにしていただきたい。大臣になつた者は切符をもらうというような慣例から、鉄道総局の先輩各位が、ボス的な一つの大きな勢力をつくるということにもなるのであつて、どうか大臣におかれては、十分ひとつ御調査願いまして、そういう封建的なものは、鉄道がこの際パブリツク・コーポレーシヨンになろうとしておるこの際におきまして、封建的なものは全部一掃して、そうして新しい憲法下における日本國有鉄道としての発足に当られんことをお願いする次第であります。
 さらに、この法案によつて問題になるのは、運輸省の建物でありますが、この法案のまま行きますると、あの建物は日本國有鉄道に移るのであります。他の鉄道局の建物とか、その他の建物は別でありまするけれども、現在の運輸省の建物というものは、單に鉄道総局のみでなく、あるいは大臣官房、あるいはまた陸運監理局、あるいは海運総局、それぞれのお役所がその中に入つておるのでありますから、この建物はやはり運輸省に残して、そうしてその中を日本國有鉄道がこれを借りるというようなことにしてはどうかという考えを持つ委員もぼつぼつあるのであります。これに対して、ひとつ大臣としては、これは日本國有鉄道にまわさなければならぬものである、あるいはまた必ずしもそうしなくてもよいのだ、国会において決定になつたことに運輸大臣としては異存ない、そういうお考えであるか、承りたいと思うのであります。
#17
○小澤國務大臣 本法案が施行されますると、いうまでもなく法案の何條かで、当然鉄道特別会計の財産は、すべて公法人の所有になるのでありますから、原案が通過いたしますれば、当然ただいまの本省も鉄道特別会計の財産でありますから、いわゆる公法人に移轉されるのであります。しかし移轉された場合におきましても、では公法上の團体のものになつてしまうから、その他の残つた運輸省の関係、たとえば海運総局であるとか、陸運監理局というようなものは、すぐ立ちのくのかといえば、実際上の問題としては現在と少しもかわりはなくて、鉄道総局が使つている程度の部屋は、やはりその公共團体で使い、その他海運関係あるいは陸運関係で使つている部屋、あるいは大臣、次官の部屋というようなものは、そのままでやはり運輸省が使うというようなことになることは明瞭なのであります。御所論のように、あの建物だけを特に残すということは、法的に不可能ではないのでありまして、たしえばこの法案に、但し現在の本省が使つている廳舍は除くというように書けば、除けないことはないのでありますが、それはどちらにいたしましても、現実にはあまり変化がないと考えておりますので、進んであれだけを残そうという考えは私としては持つておりませんが、國会の方で特段のそうした理由があつて、その理由が納得できるものであつて、しかも残すということになりますことは、あえて私としては反対するものではありませんから、いずれになつても――一つの感じからいうと、いろいろ問題が起きましようが、実際問題に関しましては、どつちが所有しておつたからといつて、現実の問題に惡影響が來たり、好影響が來たりするものではないと考えております。しかしだんだんお話のように、國会の意見をもちまして原案を修正されて、そうして本省だけを特にこの財産中から除くということになりましたからというて、私は反対する理由はないのであります。
#18
○有田委員 大臣の御所見よく了承したのであります。とにかく陸運監理局、海運総局とかが運輸省の建物の中にあるのはいいのですが、これが日本國有鉄道というパブリツク・コーポレーシヨンの形になり、海運総局、陸運監理局が借りることになると、非常に肩身の狹い思いをするのではないか。あの建物を本省が持つておることによつて、日本國有鉄道と陸運監理局、海運総局もなごやかに行くのではないか、こういう見解を持つておる。いずれ本委員会におきまして愼重審議いたしまして、あの建物に関する限り、日本國有鉄道は鉄道にまかしておくべきものであるというような見解になるか、これは運輸省として残して行くべきものであるという見解になりますか。いずれにしても本委員会としては、今の大臣の御答弁によつて、愼重審議をいたしたいと思います。
 さらに四十九條の「日本國有鉄道は、運輸大臣の認可を受けなければ、営業線及びこれに準ずる重要な財産を讓渡し、交換し、又は担保に供することができない。」とあるのでありますが、少くとも小さな問題は別といたしまして、営業線及びこれに準ずる重要な財産というものは、やはり國民の財産でありますから、國会の承認を得なければならない。運輸大臣のみにまかすことは不十分だと思うのであります。從つてこれは本委員会において、もしも國会の承認をさらに必要とするように修正されるようなことになりましても、大臣としては御異論ないかどうか、この点もひとつ承りたいと思うのであります。
#19
○小澤國務大臣 今の四十九條の問題でありまするが、これはもし運輸大臣がこうした申請を受けたような場合において、特に他の條項によつて國会の承減を求めなければならぬ場合もあると思います。また求めぬで、現在の運輸大臣の権限内でなし得ることもあるて思うのであります。從つてもしすべて國会の承認を受けることになると、いわゆる國有鉄道の運営に相当に困難な問題があると思います。最近は國会が始終開かれますからよろしいのでありますが、重要な財産ではありますけれども、重要だという区別は相当むずかしい問題で、そういうような從來國会の承認を得なくてやつて來ておつたような処分の問題を、一々國会の承認を得なければできないことになつて來ると、その運営が円滑に行かぬ場合も想像できるのであります。要は具体的に、どういう問題と、どういう問題というようなお話をすれば、一番明瞭になるのでありますか、抽象的なお尋ねでありますから抽象的に申し上げますが、この中で運輸大臣が許可権を持つておつても、許可をするについて國会の承認、あるいは間接にいたしましても、予算の承認、あるいはその他の承認を得なければできないものがあります。たとえば新線を設ける場合に、現在鉄道敷設法というのがありまして、運輸大臣だけでは何としても新線ができないのであります。こういうようにこの條文は行きながら、同時に國会の承認を得なければ、新線の鉄道はできないのであります。路線を運輸大臣が許可をするには、國会に法律の改正案を出しまして、承認を得た上でこれを認可するということになるから、現在は運輸大臣が專権でなし得るものはないのでありまして、重要なものはすべて國会の承認を得ることになります。現在のこの法律から考えますと、現在運輸大臣が國有鉄道の財産その他の重要事項について、專権でなし得るものは運輸大臣だけでやつて行く、それから現在でも國会の承認を得なければできないような、たとえば新線の敷設とか、あるいは予算に関する重要な事項というような問題は、やはり承認を得た上でこれを認可、許可するということに当然なります。
#20
○有田委員 現状においては鉄道審議会が最近できたけれども、私の見解としては御用審議会という感を深くするのであります。從つて運輸大臣の認可ということだけにすると、審議会の許可があるからいいということになつて、この結果は、官僚の思う存分のものになるきらいが非常に多いのであります。從つてこの項、あるいはその他の項においても、民主的に選ばれた國会によつて、國会の監督の必要性のあるものについては、本委員会において國会の承認という文字について、相当審議されることだと思いますが、この場合、これに準ずる重要な財産という程度では、その運営の上において、大臣の御答弁の通りに、お困りの点も多かろうと思うので、もしも國会の承認という文字が挿入される場合、この重要なる財産の限度をそちらでおきめ願つて、御報告を賜わりたいと思うのであります。
    〔前田(郁)委員長代理退席、委員長着席〕
#21
○成田委員 ただいま有田委員から御質問がありました四十九條でございます。これは最初の委員会で私が御質問申し上げたのであります。運輸大臣が認可すれば、営業線とか重要なる財産は讓渡、交換、あるいは担保とすることができるということは、政党政治に利用されることがあるし、よく言われる日本の植民地化の問題もあるのであります。この点國会の承認が必要だという條項にかえる意思はないかと御質問申し上げましたら、そのとき運輸大臣は、自分はそう思つていたと御答弁になつたはずであります。速記録にもそれは載つておると思う。ただいま運輸大臣の御説明によると、現在は國会の承認を受けるものがあるから、そういう取扱いをしたいという御答弁になつておる。特に日本國有鉄道法の四十九條でこの條項を規定した以上、運輸大臣の認可があれば、重要な財産の讓渡、交換、担保ができることになると、現在の取扱いとは一應別個に考えるべきだと思います。具体的にどういうことがいいかということはわからないと申されましたが、それは二項の「前項の重要な財産の範囲及び種類は、運輸大臣が、大藏大臣にはかつて定める」この点は、あくまでも國会の承認が必要であるという建前ならば、これは存置する必要はないじやないか、ここに書いてあることはその必要がないじやないかと感じます。
#22
○小澤國務大臣 お話の点は、たしか成公委員から、今の有田委員と同じような御質疑があつたように記憶しております。そのときの態度と現在とは私は少しもかわつていないつもりでおりますが、具体的にどういう表現をしたかは記憶しておりませんけれども、少くとも私の頭はあの当時と今とかわつておりません。從つて私は今具体的の問題になつておる戰爭中に買收した二十何個線かり路線がございまして、この路線を民間人から拂い下げろという運動が盛んに行われておつて、この問題は重要だから鉄道審議会に諮問しております。それは幸か不幸か、反対であるという答申が來ておりますけれども、しかしもしもこれを拂い下げるということに決定する場合は、やはり國会にこれを提案する考えでございます。從つて條文のつくり方をどうするかということは別問題でありますが、少くとも考え方から言うと、成田委員と有田委員にお答えしたことは、いずれもかわつていないので、條文がどうなつていようと、こういう大きな問題は運輸大臣と大藏大臣と想談してやれで、予算が出るからいいじやないかということは、ある程度國会を無視するものであつて、私どもといたしましては、やはりこの予算の承諾がいるからいいじやないかということでなく、こうこうこういう鉄道を拂い下げるかどうか、値段はどうかというようなことを、当然國会の承認を求めながら決定することが向当であると考えております。しかしながらこれをどう考えて、どう持て行くかということについては、まだ詳細な檢討を続けておりますから、その問題については強い反対、賛成の意見は申し上げません。
#23
○成田委員 ただいまの問題に関連いたしまして、重要な財産の讓渡だけではなしに、普通株式会最なんかも重要な財産の讓渡、讓り受けについて株主総会の議決を要するということになつておりますので、五十三條の一号に「鉄道新線の建設及び他の運輸事業の讓受」ということがごどいますが、この「他の運輸事業の讓受」というものにつきましても、同じような御考慮を願いたいと思います。
#24
○小澤國務大臣 まつたく賛成であります。
#25
○原(彪)委員 ただいま大臣から私設鉄道の拂下げに関する御答弁がありましたが、私は非常に意外に思つておりますのは、つい二、三日前に、鉄道審議会において私設鉄道の拂下げに反対の結論が出たということをラジオで放送されました。私はそれを聞いて非常に驚いたわけです。少くともラジオで放送するということは一つの政治行動でありますし、全國民津々浦々にそれを知らせるということであります。運輸大臣の諮問機関であるべきそのものが、一つの政治活動をとつたという形に――そういう意思があつたかないかは別ですが、そういう形になつたと私は解釈するのでございます。そうすると國会のこのわれわれの委員会に対して、この前も高瀬君が言われたのだけれでも、何だか目の上のたんこぶ式なものになるような氣がすると思う。それで今後のこの審議会の運営について、率直に申せばこれは大臣の諮問機関ですから、あまり外部に漏れぬようにおやりになるかどうか。
 それからもう一つは、私鉄の拂下げの問題を、審議会ができてからわずか三月か四月で結論を出すというのは、あまりに軽率過ぎはしないかと思うのです。それぞれエキスパートの方ばかりおられますけれども、われわれも第一國会からここでまる二年、この問題にたいていの委員の方は重大な関心を持たれて、調査もし、またわれわれ委員は夏休み中全部私設鉄道を視察いたしまして、そうして地元の労働組合にも会うし、それから沿線の市町村長にも会いまして、いろいろ世論を聞いておるのですが、私は審議会が実地の視察したということを聞かないのであります。しかもわずか三月でそういつた結論をお出しになるというのは、あまりに軽卒過ぎはしないかと考えます。しかも世論を聞いたというのは、私には一部の筋違いの方面の世論を聞いておるというニユースも入つておりますが、一体こういうことについて大臣はどういうふうにお考えになるか、御答弁を賜わりたいと思います。
#26
○小澤國務大臣 お話のように審議会は一つの大臣の諮問機関でございます。從つて最終的の決定をするものではありませんから、でき得る限り諮問した結果、たとえば運輸大臣も諮問に應ずることが適当だというような考えでありましたならば、運輸省の意思として発表することも、あるいは適当かと存じまするが、これを審議会で決定をしたからといつて、ただちに新聞に出るというようなことは、お話のように好ましいことではないと思います。從つて私はこれを新聞紙に発表した事実は毛頭ありません。また発表うるように努力したことも全然ありません。今後こういうことにつきましては、やはりお示しの線に沿うてやつて行きたいと思います。それから審議会の結論でありまするが、ちようど木曜日でしたか、何でも夜遅くなつて、この審議会の委員の方から、こういう答申をしたからというような御説明を簡單に受けまして、反対だという結論は聞いたのでありまするが、その理由もまだ実は私は聞いておりません。そうして私はこの問題についてはいろいろな意味で重大に扱つておるので、その結論はそうであつたにしても、必ずしもこれに拘束されるものでもないのですから、自分は自分として再檢討してみたいというような意向を申してわかれました。それから後にすぐ、おそらく拂下げ運動の会社の者だろうと思いますが、三、四人私の部屋に入つて來まして、実は今日やつたが、審議会の決議にはわれわれは反対だと言う。私は同じ委員だと思いまして、これは採決したのですか、あなた方は反対で、片方は賛成だと言うが、賛成の結果だけが報告されたので、あなた方は反対ですかと聞いたら、そうじやない、私どもは利害関係人として呼び出されまして、ただいま審議会できまつた結論の申渡しがあつたのだという話がありましたから、私は率直に、審議会というものは一つの諮問機関でありまして、從つてただちにこれに運輸大臣は拘束を受けるものではありませんから、運輸大臣は運輸大臣として愼重にこの問題を考慮してもし再諮問――といいますか、そういう方法があるかどうかわかりませんが、するような場合が考えられる。從つてただちにこの問題についてあなた方が今どうこうしなくても、われわれとしてはなおさらに愼重にこの問題を考えるつもりだからと言つて、おわかれしたような次第で、こう率直に申し上げれば、私の氣持は大体想像できるのじやないかと思います。今御注意の点は、どこまでもこういう審議会は審議会として進めて行きたいと思います。
#27
○有田委員長 この際委員長として大臣にお飼いいたしたいと思います。ただいま私が御質問申し上げた中にもこの意見が盛つてありました。しかも私は委員長になりましたときに、委員長個人の立場において、総務局総務課長の所に参りまして、前國会の委員会で請願が採択されたという問題であるだけに、この鉄道拂下げの問題については、一、二日のうちに審議会が開かれるそうであるが、それについては愼重にやつて結論をとつて、かえつて國会に対立するようなことがないようにということを、委員長として申し傳えておいたのであります。しかるに今日こういうことがラジオ放送され、しかも本日新聞にこれがれいれいしく載つたということについては、少くとも責任をもつてこの点は取扱つていただきたい。しかもこの問題は、私の聞くところによりますと、利権が伴うというようなことさえ鉄道総局の一部の人から聞いて――いかにも委員各位の中からそういう疑獄的なものが起るかもしれないというような話すら私は委員長として承つて、はなはだ遺憾に思つているのであります。私は前國会では運輸委員をいたしておりませんから、この鉄道拂下げの法案については詳しい事情は存じませんが、前國会の委員会においてこの請願が採択され、しかも今日鉄道が非常に赤字であるというような建前から行きましても、私は委員長個人としてこの法案に賛成いたしており――もちろん私はこの問題について疑獄的なことは絶対にないのであります。こういう点からいつて政党と官僚というものがこの問題をめぐつて非常に不愉快なものがある。しかも委員長として正式に、もちろん委員長個人ではありますが、私が正式に申入れをしているにかかわらず、逆にこういう事態を招來したということは私としては非常に遺憾であります。大臣におかれましても嚴重にこの間のことを御調査願い、あるいは鉄道審議会というものが不満であるというなら、これをなくしてもいい。そのためにかえつていろいろな疑惑を招くというような結果ならば、これをなくしてもいい。あるいはまたこれを存続するならば、そういう御用的なものでなく、もつと民主的なほんとうの鉄道審議会というものにこれを切りかえるというようなことにされてはどうかと思いますが、これに対して大臣の意見をお伺いしたいと思います。
#28
○小澤國務大臣 この審議会の問題についていろいろお話がありまするが、私はこの審議会を今廃することは考えておりません。なぜかといえば、こういう大きな問題は、できるだけ多くの人が檢討し、多くの人がこれに対して注意をしまして、そうした結論を総合的に判断して、最後に運輸大臣としての決定をすべきものだと思うのであります。しかし今委員長がお話のように、この審議会の委員自身が利権の対象となるとか、利権に関係したとかいうようなことが、これはうわさでありましようけれども、あるといたしますれば、その点だけを強調すればよろしいのであつて、そうした一つの事例があつたからといつて、審議会の本來の目的を全部ごつちやにするということは、私は考えておりません。いわんやこの審議会は、運輸大臣の意思を拘束するものではございません。いわゆる諮問機関でありまして、いろいろな角度から大いに諮問をしまして、いろいろな知識の総合に対して最後の利断をすることが、むしろ適当だと考えておりますから、ただちに審議会を廃そうとは考えていないのであります。ただ御指摘のように、もしこの委員会の構成分子、あるいは委員に、お話のようなことがありますれば、これに対しては断固としてその非難を排除するような強力な力を注げばいいと思うのであります。何回も申し上げます通り、この問題は非常に大きな問題であります。結論からいうならば、いわゆる國営か民営かという問題にまで行かなければならぬ問題でありまして、私はただちにこの審議会の決定がいいものだ、惡いものだという結論に達する時期に至つておらぬことをむしろ遺憾といたしますが、今後あらゆる面からこの問題を檢討いたしまして、なおこの委員会の皆さんの御意見等も参考にしながら、最後の決心をいたしたいと考えております。
#29
○有田委員長 もう一度大臣にお伺いしたいのでありますが、委員と申しましたのは審議会の委員ではなくて、この輸送委員会の委員のことを申すのであります。この運輸委員会が第二國会において鉄道拂下げについて請願を採択した。そのことについて、あたかもそこに疑獄的なものがあるというような口吻が、一部官僚の中にあるように私は承つたのであります。しかも石炭の疑獄あるいは昭和電工の疑獄の問題がやかましく言われておる折から、この鉄道拂下げ法案についていかにも本委員会に属しておられる委員が、そういつた疑いの目をもつて官僚の諸君から見られるということを、委員長として非常に遺憾に思うのであります。さらにまた先刻も申しましたように、すでに第二國会で本委員会の意見がある程度決定されておる。從つて審議会の運営についても、十分注意してもらいたいということを申し上げておるにもかかわらず、こういうような結果としてラジオに発表され、新聞に発表されたということを、私は非常に遺憾に思つておるのであります。もちろん鉄道審議会をなくするとかなくさないとかいう点につきましては、おのずから別個の問題でありますけれども、官僚が鉄道審議会を利用して自分の野望を達するようなことのないように、官僚が審議会を利用して國会に対するとか、そういう感情のもつれにならないように、運営において十分な御注意を賜わりたいと思います。
 ただいま閣議が始まつて大臣の出席を内閣が要望しておりますので、何か他に大臣に御質疑はございませんか。
#30
○成田委員 十二條の監理委員の欠格條項でありますが、この欠格條項は、役職員についても適用されておるのでありましようか。その三項の三号に「地方公共團体の議会の議員」ということがあがつておるのであります。一方國家公務員法を見ますと、「公選による公職の候補者となることができない。」ということになつておるのです。そうしますと反対に解釈しますと、國家公務員法では、現在の議員はさしつかえないという解釈ができると思うのでありますが、この國有鉄道法では現在の議員もだめだというような規定になつておるらしいのであります。その点均衡を失するように感ずるのであります。
#31
○小澤國務大臣 ちよつと研究しておりませんから、あとで政府委員からお答えをいたさせます。
#32
○成田委員 第二條の公法人の問題でございますが、この前私質問をいたしまして、運輸大臣、法制局長官、法務総裁から御答弁があつたのですが、ちよつと了承できなかつたのであります。ところがこの前の公聽会に田中一郎東大教授が來られまして、行政法の権威ですが、この方が日本國有鉄道を公法人にするというのは意味がない、何のためにこういう條文を盛つたのかわからないという公述があつたのであります。これは意味がないどころじやなしに、政府当局は公法上の法人であるということを建前にして、労働者の罷業権を剥奪し、労働基準法第三十三條の例外規定を設けておるということになつておるので、非常に意味があるのだということを申し上げたい。田中一郎教授の考え方としては、公法上の法人とするのは意味がないと言われる、私たちはこれは意味がないどころじやない、惡用されるおそれがあるということを申し上げたのですが、この第二條は削除なさる御意思があるかどうかということをお尋ねいたします。
#33
○小澤國務大臣 成田委員から公法人というお話が再三十たのですが、成田委員が考えられている公法人というようなものと、私の考えておる公法人と、どこか食い違いがあるように思うのです。どうもはつきりしない点があるのじやないかと思います。私のは古い方ですから、あまり参考にならないかと思いますが、私が法律的に意識しておる公法人は、大体行政上の観念である。この行政法上の観念で実際の最もよい例は市町村である。こういう頭でおります。さらに私法上の法人として、公益上の法人と営利上の法人とにわける。片方は問題ないのですが、公法人というものの中には、市町村のようなものもあれば、それから特殊な、理論的には合わぬいわゆる特殊公法人というようなものもある。私はこの行政上の公法人の中で、ただいまのような法案の法人はいわゆる特殊の公法人であつて、これは行政法上、あるいは各國の法令等を参酌してはあまり参考にならぬ法人である。そこに特殊の法人ということがあるのであつて、そういう意味から、行政法上の公法人に対する理論を正しく適用することが、無理だというような場合が始終あるのじやないかと思うのであります。そこで特殊法人ということになるのであつて、この法律の内容を有する特殊な公益法人だというような――議論としてはあまりよい議論ではないのですが、特殊法人という公法人というものと、普通の行政法上の公法人ということに観念を置きまして、それ以外に一目的に達するために、各國でも例のないような、あるいは日本でもいまだかつて例のないような公法人が、この法律によつて生み出されて來る。そういうものを全部集めたものがいわゆる特殊公法人であつて、極端な例を示す法人である。今までの公法人の理論を持つて來ると、何もかもぶつかつています。そこに特殊公法人というようなものがあるのだと考えておるのであります。これは必ずしもそういうものがよいと思うわけじやないが、私は私の常識的な考えで、そう考えております。
#34
○成田委員 特殊の公法人を法律で御説定なされて一向さしつかえないのですが、私が問題にしておるのは、公企業の労働関係法行びに本法の第三十三條で罷業権を剥奪したり、労働基準法の例外規定を設けている。その根拠として最初事業の実態が、公益性があるのだから、そういう例外規定を設けたという御説明があつたが、いろいろ他の例を申し上げますと、單なる事業の実態でなしに、公法人であるから、こういう例外規定を設けたのだという御説明があつた。この二つの面から罷業権の剥奪なり、労働基準法の例外規定を設けたというのである。それなら、一つの例として特殊の法人を設けて、わざわざ罷業権を剥奪したり、労働基準法の例外規定を設けたりするということはむしろ行き過ぎで、有向じやないかという解釈を持つておるのです。
#35
○小澤國務大臣 それと優結びつけますと、私はこの公共企業体という問題について、仕事、容内から見ち公共性ということが一つと、それから形態上から見た公共性というものと、この二つにわけてこの際考えてみると、この二つが両方そろつたものに対してのみ、今公共企業体労働関係法を適用するのだ。そこでそれじや公共企業体という特殊の形というものはどうかといえば、今申しまして行政法上から言うならば、特殊公法人。特殊公法人のどれかということになりますと、私は俗にいう國家公務員にはあらずとも、準公務員がその仕事を直接やるような形態の公共性のものに適用するのであつて、その他公團とか何とかというようなものでやはり公務員に準じて刑法、民法その他の法令の適用のあるものもあります。また政府が間接に責任のあるものもあります。そういうものがありますが、そういうものは一つの準々公務員だ。國家公務員というものは、はつきりしたものが出ている。その中に準公務員というものができ、準々公務員ができて、これは準公務員にだけ適用するので。準公務員とは何かというと、さしあたり日本國有鉄道法と專賣公社法によつたいわゆる準公務員の形を有するこの二つしかないのだ。それ以外に準々公務員の形態を有するものはあるけれども、準公務員として見るものは、この二つしかないという議論なんですが、これは私自身の考え方であつて、それでは何からそういう理論をとつたかと言われると、どこからもとつていない。しかしこの法案の裏づけの理論をどこから持つて來るかという御質問のようであるから、私独持の理論をここで申し上げたわけですが、必ずしもこれに固執するわけではないのであります。
#36
○成田委員 第五條の資本金の問題でありますが、この前に資本金をどのくらいにされるかと聞きましたら、今のところわからないという政府委員の答弁だつた。現在もまだどの程度の資本金にするがおわかりになりないのでありますか。それからもう一つは、この條文を見ますと「資産の價額に相当する額とし、政府が、金額出資するもの」というので、一應政府が金銭の形で金額出資して、國有鉄道が日本政府から資産を買收するというような形になると考えますが――現物出資でないような感じがするのでありますが、はたして現物出資か、それとも一應金銭出資をされまして、適当な價格で政府が買入れるか。それをひとつ伺いたい。
#37
○小澤國務大臣 その第五條の問題を理論的に言うと、これまた理論としてはほんとうは説明できないのでありまして、要するに先ほどの理論から言つた、準公務員の形成する公共企業体に対して、この内容をどうするかというと、出資面については、あるいは資本金について田、もす現在と少しもかわらないのだ。今の鉄道総局そのまま行くのだという文章の表わし方でありまして、この言葉それ自体には大して意味はないので、要するに現在鉄道特別会計に属する資産、あるいはマイナスの一切のものがこの公共企業体に移るのだという表現の方法であります。一般の会社の出資あるいは資産というようなお考え方での御質問でありますけれども、そういうふうに持つて行くと非常にあてはまらないのでありまして、現在の鉄道特別会計に属する一切の資産をそのままここにやるのだという表現の仕方が、こういうような言葉になつておるのであります。従つて具体的な全額出資とか、あるいは相当する額とか、こういう言葉はあまり意味がなくて、そのまま一銭も残らずやるのだというような考え方で法律を出したのでありますが、その字句等につきましては、趣旨はかわらぬのですから、御意見によつて適当な、実際と違わないような字句で表現されることがありますれば、あえてわれわれとしてはこれに固執するわけではないのであります。
#38
○成田委員 私が疑問を持ちましたのは、日本專賣公社法の第四條と、この國有鉄道法第五條と、表現法方が違う。專賣公社法第四條はどうも現物出資のような氣がするのでありますが、鉄道國有法第五條はそれが逆のような表現になつておる。それで御質問申し上げたのであります。御趣旨はわかりましたが、大体資本金はどれくらいにされるか、まだ御算定つきませんでございますか。
#39
○加賀山政府委員 この資産を出すにつきましては、やはりこの法律が施行される時期で資産が相当かわつて來るのじやないかと思います。諸担の情勢がかわるということは、物價とか、あるいは評價ばとういうところに基準を置くかということから定まつて來る問題でありまして、現在ではそういうものをどういう方式で見積るか、採算するかということまで政府としては決定しておらぬのであります。従つて今出しますと、今出して額とは相当違つた結果が、あるいは生ずるのではないかということが予想されるのであります。従つてただ現在の段階で、まだそういう一定の方針をなしにして、率直に財産、資材関係をここで皆様に御報告しますれば、この通りだというような――その次に行つてかわつたも関係のない、責任のない――というと、語弊がありますが、そういう趣旨のものでありますれが、すぐできますけれども、この公共企業体が実施された場合に、ただちにこの資産になるのだということになると、まだそこまで政府の方で進んでおりませんので、ちよつと出しかねる。でありますから、そういうことはどうでもいいのだ、今現在どんなものがあるのか、見たいのだという趣旨でありますならど、むしろこの資産というのじやなくて、特別会計の資産状見として出しますれば、すなわちそれが個々の財産になるのでありますから、この企業体の出資額というような意味でなくして、特別会計における資産一覽表というようなものをお目にかけて御参考に供するということならば、すぐできるのであります。
#40
○成田委員 私がお聞きしているのは、國有鉄道として一つの法人になりますれば、利益損失を計算するわけですが、そうしますと、資本金というものは利益なり損失の大きな基準になるのでありますから、具体的に幾らというのではなしに、大体の方針として、三月三十一日現在で……。今大臣のお話では、物價その他を御慮しなければならぬというお話がありましたが、それでは、時價に再評價される御方針があるのか、それとも帳簿價格だけでおやりになるのか、それをお聞きしたい。
#41
○小澤國務大臣 その問題も政府としてまだ決定いたしておりません。從いましてこの資産をただちにどのくらいに見るという意味じやなくて、鉄道特別会計というものがこの財産になるというこの法律の建前でありますから、その公共団体の資産とか、あるいは財産目録表というような意味でなくて、特別会計における資産一覽表というようなものが出ますれば、自然それが全部この出資額になり、財産になりますから、そうした意味の表でありますれば、ただちにでも出せますけれども、この公共企業体の資本額をどうきめるか、そうして利率が何分にまわるかというような基礎のもとに立つ資料というものは、現在出せない。遺憾ながら、そういうような事情を御了解願いたいのであります。
#42
○成重委員 大臣は閣議に行くのでお忙しそうですから、大要をお尋ねして、またの機会に私の最後の質問は保留したいと思います。本法案の取扱いについて一應政府の所信を承つておきたいのですが――というのは、私どもは大体この法案の内容を見てみますと、これが現在の國鉄の運用をしておる面と比較して、この法案によつて國鉄が將來運営されることによつて、はたして能率的になるか、あるいは民主化されるかという点について大きな疑義を持つておる。從つてこの法案に対して私どもは大きな疑問を持つておる。この点は私の考えですけれども、ただお尋ねしておきたいのは、政府として特にこれを本臨時國会にぜひあげなければならぬのか。それともそれほど急いだものでないのか。大臣は当初提案の趣旨弁明の最後の結論に、國家行政組織法と関連を持つ法案である。從つてこれを四月一日から実施したいというようなことを言つておる。その大臣の発言のときは、前國会において大体各省設置法案は一月一日からこれを実施するということになつておつたが、近日の委員会において國家行政組織法の実施は四月一日に大体延期するようになつたとか言つておりますが、わが党としては内閣委員会の行き方にもまだ大きな疑問を持つているのであります。從つて関係方面との何かの都合上、この法案は今國会中に通過を見なければならぬのか、それとも、これはわれわれ愼重審議しなければならぬので、あるいはこれを通常國会に持ち越してもよいのであるか。これは委員会の何によるでありましようが、政府としての御見解を承つて、私どもの審議を進めたいと思うのです。その見解だけを承り、その他詳細にわたる点は、また機会を改めて大臣のひまのときに承りたいと思います。
#43
○小澤國務大臣 お話のように、本法案は当初事務的にも、また政治的にも、この臨時國会に出すことはきわめて困難であるというような見地から、第四回通常國会に出そうというような考え方が進んで参つたのであります。ところが各観情勢は公務員法と一環をなすものであるから、この日本國有鉄道法と專賣公社法、公共企業労働関係法は、公務員法改正と同じ形において審議を議了することが望ましいということで、本案を出したのであります。從つて私どもといたしましては、公務員法と同じような見地から、この法案の御審議を臨んでいただきたい、こう希望するものであります。
#44
○成重委員 わかりました。
#45
○成田委員 先ほど御質問いたしました現職の議会の議員の場合の問題でありますが、これは國家公務員法の百二條が改訂になるわけでございますね。
#46
○荒木政府委員 百二條が改正になりまして「公選による公職の候補者となることができない。」いわんや公選による公職をやという意味でありまして、公職の候補者になることはできないということでありますから、從つて公務員法が施行されますると、現在議員である者は全部だめになる。その跡始末をどうするかということで、この附則の第二條で「國家公務員法第百二條第二項の改正規定施行の際、職員で現に公選による公職に在る者は、昭和二十四年二月一日前にその公職を退いて辞表の寫及びその辞表が受理され、且つ、その効力を生じたことを公に証明する書面を人事院に送付しない限り、その日においてその官職を失うものとする。」ということになつておりますので、当然二月一日前、すなわち一月三十一日までにその手続をとらないと官職を失う、こういうことになるわけであります。
    〔委員長退席、前田(郁)委員長代理着席〕
#47
○成田委員 わかりました。ではこの國家公務員法の方で、現職の議員は任期終了まで在任できるというような改正があつた場合には、勢いこれと関連いたしまして、この國有鉄道法の地方公共團体の議員というものも改正される御意思があるわけでございますか。
#48
○荒木政府委員 國家公務員法の方で、さような現在議員である者が、その任期中だけは官職を保有してよいのであるという建前になりますれば、こちらの方もそれに歩調を合せるということは研究して参りたい、こういうふうに考えております。
#49
○成田委員 それから第二條の問題であります。運輸大臣はいろいろ御説明になつておつたのでありますが、運輸大臣は別といたしまして、一應第二條を生かすとした場合に、民法第三十四條の公益法人、これをなぜ條文に規定しなかつたかという疑問がある。三十五條は商事会社だけを規定しておりまして、民法の公益法人を規定してない。その理由を承りたい。
#50
○前田(郁)委員長代理 速記をちよつととめてください。
    〔速記中止〕
#51
○前田(郁)委員長代理 それでは速記を始めてください。
#52
○成田委員 もう一つだけお尋ねします。二條でございますが、その前に井谷委員の御質問にあつたと思つておりますが、理事の数を決定してないということを質問しましたら、理事の数は研究中だという御回答があつたと思います。この理事の数に関連いたしまして、理事の任期の規定もないのでございます。これはどういう関係でございましようか。
#53
○荒木政府委員 総裁、副総裁は一應その任期で保障するということがよろしかろうということで、いろいろ交渉の結果、かようなことに相なつたのでありますが、理事につきましては、いろいろな点を考えまして、任期をつけないで、いわゆる身分保障も実はないわけであります。やはり総裁が事務を執行して行くという執行機関として、その任免に関しましては十分な自由を與えるということによりまして――そうすることがいろいろな意味において日本國有鉄道の能率を上げ得るゆえんであろう、こういうふうに考えて、かようにいたしたわけであります。
#54
○成田委員 專賣公社法、國有鉄道法とも、マツク書翰に基いてできたもので、大体構成は似たものではないかという氣がいたします。それでいろいろ比較をして御質問申し上げたのですが、專賣公社法の方では理事の任期は規定してあるのですが、國有鉄道の方にはない。どうもそのつり合いがとれないような感じがするのですが、これは大藏省当局と御折衝なさつたことがございますか。
#55
○荒木政府委員 大藏省当局と直接折衝したことはございませんが、関係方面に会議に参りましたときは、大藏省も関係の方が全部お出になりまして、相当長時期にわたつて議論したのでございます。ただ理事の任期の問題については直接に討議したことはございません。ただ專賣公社の方は非常に官的色彩が濃厚であると見えるが、おそらく向うには監事というものもあつたと思いますが、こちらは監事にかわる職能を同時に果すものとして監理委員会がございますので、監事は置かれてない。こういう実情でございます。但し御質問の理事の任期については、政府として関係省が集まつて、理事の任期をいかにするやということの議論はいたしておりません。
    〔前田(郁)委員長代理退席、委員長着席〕
#56
○有田委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#57
○有田委員長 それでは速記を始めてください。
 他に御質問はありませんか。――なければ明二十五日午後一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。
    午後三時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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