くにさくロゴ
1948/11/25 第3回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第11号
姉妹サイト
 
1948/11/25 第3回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第003回国会 運輸委員会 第11号

#1
第003回国会 運輸委員会 第11号
昭和二十三年十一月二十五日(木曜日)
    午後一時五十二分開議
 出席委員
   委員長 有田 二郎君
   理事 前田  郁君 理事 佐々木更三君
   理事 原   彪君 理事 高瀬  傳君
      田村 虎一君    原  孝吉君
      山本 猛夫君    井谷 正吉君
      成田 知巳君    石神 啓吾君
      佐伯 宗義君    成重 光眞君
      館  俊三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  片岡伊三郎君
        運輸政務次官  加藤常太郎君
        運輸事務官   加賀山之雄君
        運輸事務官   荒木茂久二君
        運輸事務官   壺井 玄剛君
 委員外の出席者
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
十一月二十五日
 委員伊瀬幸太郎君辞任につき、その補欠として
 石神啓吾君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日本國有鉄道法案(内閣提出第一二号)
 海事仲裁等に関する法律案(内閣提出第二九
 号)
    ―――――――――――――
#2
○有田委員長 これより会議を開きます。
 まず海事仲裁等に関する法律案を議題として、質疑に入ります。質疑はこれを許します。原委員。
#3
○原(孝)委員 海運は御営でできるようなことになつておりますが、どういうことでありますか、御説明願いたいと思います。
 それから日本海運集会所の状況はどうなつておりますか、これに対して御説明を願います。
#4
○加藤政府委員 海運の御営問題でありますが、これはもちろん本質的には民営でやるべきでありまして、從來から業者並びに関係当局におきましても、將來は民営に還元すべきものであるということは、大体見針はきまつておるようなものでありますけれども、ただ最近関係方面とのいろいろな関係もありまして、とりあえず官営の効力を延長いたしまして、なお当分運航管理が実施されておるようなわけであります。しかし最近の実情は、國家の使用船舶に関しまして、タイム・チヤーターということにつきまして、この切りかえが着々と準備されております。近くこれに対しまして、関係の政令の公布を必要といたすような次第でありまして、これらを勘案いたしまして、現在のところといたしましては、民営に還元する一段階を進んでおるというような現状でありまして、今後民営でやるのが至当と思います。
 次の御質問については、專門にわたりますので、総局の総務長から答弁いたさせます。
#5
○壺井政府委員 日本海運集会所の状況はどうかという御質問でありますが、同集会所はイギリスに範をとつております。バルテイツク・イクスチエンジというのがありますが、それを模範といたしまして、二十年前につくつたものであります。現在正会員が百十八名、副会員が九十七名、計二百十五名の会員を持つておりまして、会員のおもなるものは、船舶業者、造船業者、海上保險業者、海運仲立業者、倉庫業者等、あらゆる海運に関係ある部門を含んでおるのでございますが、その事業といたしましては、非常にたくさんな海事仲裁、海事の和解というようなものをやつておりますほかに、商談の場所を提供いたしましたり、雜誌を出しましたり、新聞を出しましたり、あるいはまた海運関係のいろいろな書式、書類を編纂、頒布いたしておるのであります。この集会所の外局といたしまして、仲裁委員会を設けまして、その委員会におきまして、海事仲裁に関する一切の事務を処理しております。もちろん権威ある仲裁機関として前から業界に重んぜられておつたのでございます。
#6
○井谷委員 本法を本國会になぜ出されねばならないかという点と、本法は海運事業の発展のためにどうしてもなければならぬものであるかということと、第三に民事訴訟法の仲裁と本法と海事仲裁との関係はどういうふうになるのであるか、この三点についてお伺いしたいと思います。
#7
○加藤政府委員 御質問のことにまし対してお答えいたします。その御質問の中で、本法は海運事業の発展のために、不可欠であるかどうかというお問いがあつたと思いますが、本法は海運事業の発達のために、ぜひとも必要であると存じます。御承知のように、わが國の海運業に先進海運國である英國流のものであります。ところがこれを規正いたします法律は、すなわち海運関係におきましては海商法と申しますか、これは独法の流れをくむものでありまして、どうもその間に多少の矛盾があるのであります。この海商法は明治四十四年に大改正を行いまして、その後何らの修正、改正をいたしておりませんので、多少ともその間に、現在といたしましては不便を感じております。一例を申しますと、現在行われておりますタイム・チヤーター制であります。これにつきましても何らの規定がないのでありまして、いろいろこれにつきまして、業界において不便を感じておるのであります。またいろいろの裁判所におきましても、普通の民事裁判で行います場合には、関係裁判官がこの海事の商習慣を熟知せられないというようなきらいがありまして、法的にとらわれがちであるというような関係もありまして、当事者間におきましては、かえつて裁判所でこれを仲裁いたしますよりは、裁判所外におきまして、いわゆるかかることを熟知いたしました海運界の諸團体によりまして、円滑なる仲裁を願うというようなことが必要であります。この仲裁の事務が円滑に進むことが、すなわち海運の発展に貢献することでありまして、本法の施行はぜひ必要であると思います。
 その次の御質問でありますが、なぜ本國会に提出しなければならぬか、また民事訴訟法との関係でありますが、これは総務長から詳細御答弁申し上げたいと思います。
#8
○壺井政府委員 なぜ本國会に本法を出さなければならないかという問題でありますが、これは提案理由で大臣から御説明がございました通り、事業者團体は事業者團体法の規定によりまして、仲裁行為等の事業をしてはいけないことになつておるのでございます。けれども、海事関係につきましてだけ、特殊性をよく考えまして、先ほど御説明いたしました日本海運集会所が、本年の十月二十六日まで経過的に除外例として、事業者團体法の條項の仲裁行為を継続してやつてよろしい。しかしそれを越した場合には、新しい法律をつくつてやらなければならぬというような規定になつておるのでございます。從いまして目下のところ海事仲裁を行い得る團体はまつたくないという状態になつておりますので、ただいま政務次官の御説明の通り、法律規定としては非常に不備ではございますが、この海事仲裁を行い得るような團体を速急に承認していただいて、事業者團体法の特例として本法の制定をお願いいたしまして、権威ある仲裁制度をもつて海運取引の確実性を担保して行かなければならないわけであります。
 次に民事訴訟法の仲裁と本法の海事仲裁との関係についてでございますが、本法の海事仲裁と申しますのは、民事訴訟法第八編にあります仲裁そのものとまつたく同一でございまして、ただ仲裁の対象となる事件が、本法の第一條に述べてございますように、海事に関するものに限るという意味で、海事仲裁と申しておる次第でございます。民事訴訟法の仲裁は、通常当事者双方から一人づつチヤンピオンを出しまして、爭いの仲裁に当るのでございますが、両方の利害代表でございますので、爭いの延長に陷り、あまり高く活用されておらないというのが実情でございます。先ほど申しましたように、海運集会所の仲裁は、二十年前から非常に年習慣として活用されておりますので、非常に有益なる事項と申さなければならぬと思います。
 それからなおつけ加えて申し上げておきますが、この法律案は、民事訴訟法第八編の仲裁制度に加えられた事業者團体法上の制限を、海事團体の行う海事仲裁については除去するというものでございまして、民事訴訟法の仲裁制度自体を変更し、またはその特例を認めるものではないのでございます。
#9
○有田委員長 内閣の方から本案に対するミスプリントがあるそうでありますから、壺井政府委員から御説明を願います。
#10
○壺井政府委員 三ページの「ロ」の第一行目「当該事業團体」の間に「事業者團体」と「者」が抜けております。次に四ページ二行目の「事業者團体、」のぽつが、まるでございます。以上であります。
#11
○有田委員長 他に御質疑はありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○有田委員長 なければ、この際皆さんにお諮りいたしますが、本案に対する質疑はこの程度で終了し、ただちに討論、採決に入りたいと思いますが、いかがでありましようか。
#13
○高瀬委員 この際討論はこれを省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
#14
○有田委員長 ただいまの高瀬君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○有田委員長 御異議なしと認め、討論を省略してただちに採決に入ります。原案に御賛成の諸君の御起立を求めます。
    〔総員起立〕
#16
○有田委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決されました。
 なお衆議院規則第八十六條による報告書作成の件は、委員長一任に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○有田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#18
○有田委員長 引続き日本國有鉄道法案を議題として質疑を続行いたします。質疑を許します。高瀬君。
#19
○高瀬委員 たいへんこまかくなりますけれども、この條文について一應疑義の点を質問いたしたいと思います。特にこの國有鉄道法案の第二十九條の点でありますが、この第二十九條によりますと、「職員は、左の各号の一に該当する場合に除き、その意に反して、降職され、又は免職されることがない。」ここにいうような趣旨に基いて、第四項に「業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合」こういう項目がございます。結局こういうような事由が生じた場合は免職され、それ以外は職員の意思に反してこれを免職することができない、こういうことになつているようであります。どうもただいまの言い表わし方はちよつとおかしいのですが、その意に反してこれを降職し、または免職することができない。結局業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合は、その意に反してもこれを免職することができる、こういうことに解釈できるわけであります。この点は、國有鉄道の職員の地位というものが、今後いろいろな点で非常にむずかしくなつて來ると思われる今日、こういうような規定は少し職員全体に不安を感じを與えやしないか、こう思うのです。少しこういう点は極端に行き過ぎていやしないかという感じがするわけです。たとえば今度議会に提案になつておりまする國家公務員法の一部を改正する法律案に、これに類したような字句がありますが、こんなふうにひどいものではないと思います。たとえばその中に、官制もしくは定員の改廃または予算の減少により廃職または過員を生じた場合に免職することができる、こういうふうになつておりますので、この点と比較いたしまして、本法案にきめておりますところの條文の趣旨は、あまりにも廣汎に失しはしないか。経営上やむを得ない事由ということによつて、いつでも免職ができるということでは、生産の増強とか、主要産業たる國有鉄道に從事しておる人たちの労働意欲というものを高揚するゆえんにならない。むしろ非常に惡影響を及ぼすようなことになりはしないかと思うのですが、その点に関する政府の所見を承りたいわけであります。もちろん労働組合といろいろ相談してやるから、そういう点は問題はないと言われますけれども、それならば、こういうのは相当労働組合をおどかす條文ではないかというふうに考えますので、この点はぜひ改めていただきたいという趣旨のもとに、政府の所信を伺いたいわけであります。
    〔委員長退席、前田(郁)委員長代理着席〕
#20
○加賀山政府委員 大体高瀬委員はよくおわかりと思うのでありますが、鉄道のような業務をやつておりますと、結局旅客貨物の輸送事業というものが一番主要なものでありまして、ほかの生産と違つて、自由に生産量をふやしたり減らしたりすることはできない。つまり経済事情、産業事情、あるいは社会事情によつて旅客貨物の移動が行われる、こういうことになるわけでありまして、この量は鉄道がそれを適当にあんばいし、かげんするということはできないことなのでございまして、今度パプリツク・コーポレーシヨンになるについて、しからばそういう業務量が減つた場合に、これはやむを得ないということで、いつまでもべんべんとしてその從事員をそのままにしておくことができるかというと、これはいわゆる独立採算制の見地から申しましても、この法律でただちに独立採算制をとるということではありませんけれども、そういう方向にしておかなければ、とうてい経営が能率的、合理的に行かない。そういうところから、この四号が入つておるというような御解釈願いたいと思うのであります。御推察の通り、これが入つておるからといつて、経営者あるいは管理者のほしいままに條項を解釈して、職員を降職したり免職したりすることは、本旨ではないということを、明らかにしておきます。
#21
○高瀬委員 ただいまの御趣旨はよくわかりますが、これは國家公務員のために特別な労働立法もあるわけですから、國家公務員法の一部を改正する法律案に盛られた趣旨とにらみ合せて、あまり極端に過ぎはしないように、勤労階級を保護する意味で、この点は御考慮あらんことを私は希望いたします。
 次にこの國有鉄道法の四十九條の点でありますが、これによりますと、「運輸大臣の許可を受けなければ、営業線及びこれに準ずる重要な財産を讓渡し、交換し、又は担保に供することができない。」という点があります。四十九條の趣旨によると、営業線の讓渡は、すなわち運輸大臣の認可さえあればいいということになりはしないかと思うのです。現行においても、運輸大臣の権限にこの営業線の讓渡がなつておつても、法律によらないと全然讓渡はできないと思うのです。結局法律によらなければ営業線の讓渡はできない。この鉄道の営業線とかあるいは國営の自動車路線は、非常に地方の民間の経済に影響するところが重大でありますし、日本の産業振興という点から見ましても、こういうような路線の移動というものは大きな影響を及ぼす。こういうふうに思うのであります。それで、もしこの法律のように運輸大臣の認可だけで、かつてにそういう移動ができるということになりますと、かなり影響するところが大きい。從つてこういうようなことは、やはり國会の承認を得て法律によらなければならない。運輸大臣の認可だけではどうもぐあいが惡いというのが、私の考え方であります。この点について、ぜひとも営業線の讓渡は法律によるということに改めなければならないと思いますが、いかがですか。
#22
○加藤政府委員 この四十九條の点でありますが、これは昨日の委員会でも相当問題になりました。今高瀬委員からも言われたように、政府といたしましては、この條文にこうはありますけれども、大体鉄道の営業線とかその他の重要な財産の讓渡とか、交換というものについては、國会に諮つてやつて行くというような方針でありますので、條文のいかんにかかわらず、趣旨としてはそういう方面に持つて行きたい。大体御趣旨と同様であります。
#23
○高瀬委員 ただいま加藤政務次官の御答弁もありましたが、私はその御趣旨のことを條文に表わしておく必要がある。そうでないと、やはり現在でもすでに問題になつておりますように、私鉄から鉄道が買い上げてそれをまた再讓渡するようなことが、相当問題になつておるところもありますので、この際ぜひ條文に明記されんことを希望いたします。
#24
○加藤政府委員 この点は見解の相違といいますか、御心配になる点と存じます。本日もこの点につきまして、省内でも大体幹部の者が相談いたしましたが、條文は大体この程度に御承認願つて、しかし当局の方針としては、営業線の讓渡とか、私鉄の買收問題とか、または財産の讓渡とか交換というようなことは、絶対に國会に諮つて、その承認のもとにやるというような方針でありまして、この四十九條を、今特に修正とかまたは削除とかいうようなことなしにお願いいたしたいのであります。
#25
○高瀬委員 いずれこの点は、われわれとして修正案を出すときに、私がはつきり動議を提出いたしますから、この程度で打切ります。
 その次に第五十三條の点でありますが、「左に掲げる事項は、運輸大臣の許可又は認可を受けなければならない。」という條項がございます。それに大体三つばかりあるわけでありまして、鉄道新線の建設及び他の運輸事業の讓受、日本國有鉄道に関連する連絡船航路または自動車運送事業の開始、第三番目に、営業線の休止及び廃止というのがあります。この三つの條項は私は異議がないのでありますが、実際上今まで鉄道の基本賃率は、國有鉄道の運賃法によつて、これは國会の議決を要することになつているわけであります。大体この運賃の料金の設定及び変更、すなわちこまかく言いますれば、たとえば旅客の定期運賃があるとか、小口扱いの貨物運賃であるとか、そういうものを改正いたしますと、私設鉄道の運賃の決定にも非常に影響いたします。また今までの現行法律によりますと、私設鉄道の運賃の決定というものは、やはり運輸大臣の認可を得なければならぬことになつているわけでありまして、いろいろ賃金とか物價が國民生活に重大な影響があるということを考えたときに、どうしてもこの五十三條の條項の中に、運賃料金の設定及び変更というものの一項を入れる必要があると私は考えるのですが、この点はいかがですか。
#26
○加賀山政府委員 運賃の設定変更中の、つまり運賃法できめておりますような基本の運賃率に関する点は、國会の御承認を要しますので、その点については必要がない。これは当然政府として國会に提出することになろうと考えます。高橋さんの言われるのは、それから抜ける料金、つまり運賃法に言つておりますところの收入、どういう表現をしたか私ちよつと記憶しておりませんが、影響のない料金等については、これは運輸大臣がきめられるということになつておつたと思いますが、その程度のものであれば、今回考えられている監理委員会並びに総裁をもつてするところのこの機関で決定してもいいのではないか。運輸大臣にそれを相談しないでやつてもいいのじやないかという見解でやつたわけであります。つまり、現在の運賃法の趣旨から除いたわけでありまして、その点非常にこまかいものでも運輸大臣の承認を得る、こういう御意見であれば、もちろん考えなければならぬと思いますが、私どもとしてはそういう軽微なものはいいのじやないかという見解で、除いたわけであります。
#27
○高瀬委員 私の考えるのは、たとえば旅客の定期運賃とか小口扱貨物の運賃とか、そういうものはやはり私設鉄道の方の運賃、料金に非常に影響がある。そういう点からやはりちやんと入れておいた方がいい。なぜかというと、私設鉄道の運賃、料金の決定というものは、全部國有鉄道に右へならえする。それが小さな問題だと言えばそれきりでありますが、これもわれわれとしてはぜひ修正したいと思つている点であります。
#28
○加賀山政府委員 今例としてお引きになりました定期の運賃でございますとか、小口扱いの運賃というのは、なるほど基本賃率ということに当らないかもしれませんが、御承知のように旅客運賃の方面では定期運賃は定期外のいわゆる普通運賃の賃率を基礎としてきめられるものであつて、これはとりもなおさず國会においてきめられる。また小口扱いの運賃は、これは車扱い運賃を基準として定めるものでありまして、この車扱いの基本賃率は、これは國会の承認を要する。これはもう明らかに運賃法上はつきりしております。從いまして高瀬さんの御心配になつておる定期や小口は鉄道で勝手にきめられるということにはなつていないのでありまして、その点の御心配はいらないと思うのであります。むしろたとえば貨車の留置料、そういつた料金等は現在運輸大臣がきめる、あるいは賃率の中で、定期の運賃でいえば、基本の賃率は國会の承認を要しますが、それを地帶別にどういうふうにやつて行くかという技術的のことは運輸大臣がきめる。これは総裁、監理委員会をもつてするこの機関が決定しても私はさしつかえないじやないか、かように考えておるわけであります。
#29
○高瀬委員 やはりこれに関連いたしますが、たとえば営業線を貸すとか、借りるとか、営業線を委託経営させるとか、そういうような営業線の委託または営業、もしくは運轉の管理の委託もしくは受託、こういつたようなことは、やはり運輸大臣の認可を得ないと非常に重大な影響があると思うのですが、そういう点はいかがですか。
#30
○加賀山政府委員 運轉の委託あるいは受託というような問題は、確かに相当の問題だと思うのでありますが、ただ現在の状態から申しますと、非常に経費も少うございますし、必ずしもそれを運輸大臣がやるというほどのことでもない。これは最後の修正で出ております六十三條をごらんになつていただくと、「日本國有鉄道を國と、日本國有鉄道総裁を主務大臣とみなす。」というような規定もございますので、その大体のことは、監理委員会もできておりますゆえに、監理委員会、総裁に、これは自治的にそれくらいのことはやらしてもいいのではないか、というような見解をわれわれはとつております。
#31
○高瀬委員 私の條文には六十三條という條文はないのですが、六十二條までしかないのですが……。
#32
○加賀山政府委員 それは正誤で出ておるわけです。
#33
○高瀬委員 それはそれでよろしゆうございます。その次にこの法律がもしできますと、鉄道國有法とか、あるいは鉄道敷設法とか、地方鉄道法とか、こういうものは一体どういうふうになるのですか。こういうものに対するこの法律との関連性、あるいはこういうものを改廃する必要がありはしないか、そういう点について、どういう処置をお考えになつておられますか。
#34
○加賀山政府委員 当然次の通常國会に改正案を提出しなければならぬと考えております。
#35
○高瀬委員 それではこれは次の通常國会に提出されるというふうに了解いたします。なおこれからは國有鉄道の公團ですが、こういつたものができるわけでありますが、將來國有鉄道のあり方というものについては、相当はつきりした角度で当局が考え、またわれわれも考えなければならぬと思うのです。それで將來の國有鉄道のあり方を規制するために、こういうものと別に、大づかみな鉄道の根本法をひとつつくつておく必要があると思うのですが、そういう点についてのお考えは全然お持ちになつておりませんか。
#36
○加賀山政府委員 日本國有鉄道なる公法上の法人ができました場合に、根本的にかわらなければならないと言われるわけでありますが、確かにこういうものができる以上は、対外的、対内的、内部的に切りかわらなければならぬ点が多々あると思うのでありまして、これは將來この運営に当つて行く機関、監理委員会並びに役員、職員の重要な任務になろうかと私は考えるわけであります。前もつてこれを律する法律をつくつておけ、これは私はまことにごもつともなことだと考えますが、問題はそういつた根本的なものをつくるとすれば、どうしても修身的な法律になつてしまいはせぬかと思うのでありまして、問題はやはりそういつた法律で律するものよりは、今申しましたように、経営の任に当る者がいわゆる新しい経営、新しい氣持、方針で運営して行くということが私は最も重要ではないかというふうに考えるわけでありまして、ただいま御注意を受けましたこのほかに、もつと根本法を用意するということは私どもとしてはいたしておらない次第であります。
#37
○高瀬委員 なおいろいろ修正に関する意見がありますけれども、修正意見を公式に提出するときに讓りまして、私の質問はこれで終ります。
#38
○井谷委員 私は第五十三條の、今高瀬さんからお話になりましたことと大体考えが似通つて來るのでありますが、運輸大臣の認可または許可を要する事項に、旅客、貨物運賃の基本賃率を除く旅客定期運賃、小口扱運賃、貨物等の運賃、料金設定に関しては運輸大臣の認可を要することとする必要があることと思つておるのであります。基本賃率は國有鉄道運賃法によつて國会の議決を要すること今の御説明の通りでありますが、運輸大臣の決定にまかされておる旅客定期運賃、小口扱い、貨物運賃等は國有鉄道運賃が私鉄運賃決定の標準となること、及び私鉄運賃がすべて運輸大臣の認可事項となつておる関係から見ましても、総裁の決定にまかせず、また運賃決定の重要性にかんがみましても、運輸大臣の認可事項としておく必要がある、こういうふうに私も思つておるのであります。
 次に運輸大臣の許可または認可を受ければほかの運輸事業を讓り受けができることとなつておるのであります。これは今後すべて合意による讓り受けのみになるのでありまして、公共の福祉を増進するため必要であるときは、地方鉄道法の第三十條以下政府の地方鉄道買收の規定、軌道法第十七條の公共團体の軌道買收に関する規定と同樣に、これは公共の福祉のためでありますならば、場合によつては強制買收をなし得る規定もここに設ける必要がある、私はこういうふうに考えるのであります。
 それから第五十四條の監督上の命令及び報告というところでありますが、公共の福祉を増進するため、運輸大臣は鉄道の新線建設あるいは連絡、自動車の営業開始等を命令し得ることを規定しておくことが必要だと思う。またこの場合、損失のあつたときには、公共性にかんがみまして補償するという規定を設けておく必要がありはしないかと思います。また同條の二項において報告をさせることができるというだけでなくして、これは監督上必要がありと認めましたときには、運輸大臣は業務場あるいは帳簿等を臨檢するということが必要であると思うのでありますが、この点についてお伺いいたします。
#39
○加賀山政府委員 お答えいたします。第一の定期並びに小口扱い運賃につきましては、先ほど高瀬委員にお答え申し上げた通りだと私は考えておるのでありますが、ただいまの運賃法では定期の割引賃率の最小限度が示されておるだけで、その中の定期運賃を定めることは運輸大臣の権限になつておるのであります。その定期が私鉄の運賃等と非常に関係が深く、これではいかんということであれば、これは本法の問題ではなくして、むしろ運賃法自体の問題になろうかと考えるのでありまして、運賃法の修正をして行かなければならないのではないか。つまり運賃の基本賃率が國会にかけられる以上は、定期運賃についてももう少しはつきりしたものが示される必要があるのではないかと考えるのであります。本法でこれを運輸大臣の権限に持つて行くというより、その方が本筋ではないかと考えられるのであります。しかしただいまのところといたしましては、既定の割引率なるものはなかなか急激な変更はできませんので、結局一般普通賃率がきまれば、自然に定期の賃率もきまるというかつこうになつておるので、現在としてはさしあたつて支障がないということは先ほど高瀬委員に申し上げた通りであります。小口の方も同樣でありまして、これは現在車扱いの基本賃率は國会できまる。車扱いの基本賃率がきまれば、小口扱いを全然別個の賃率をきめるということは、実は現在のところ賃率技術上できないことであつて、小口扱いのきめ方が惡ければ、結局せつかく一車にまとまるものがわれて出て小口になるというような関係上、必ずここにコンスタントな比率を保つて行かなければならぬという関係に立つておるのであります。從いまして車扱いの基本賃率がきまれば、自動的に小口の賃率もきまるという性質のものであります。決して車扱いの賃率以上に上つたり下つたりすることはできないということは、御承知願いたいと思います。それから次の強制買收の問題でありますが、これは現在の地方鉄道法の改正、修正をどうするかということにかかるわけでありますけれども、今回の法律によつてパブリツク・コーポレーシヨンになりましても、これは一つの國の機関がやつているというかつこうになつて、やはり公共的な性質が非常に強いという点からいたしまして、井谷さんが言われますように、強制買收というものは残しておいた方がいいのではないかと考えるわけであります。これは人によつていろいろ御見解もあろうかと思いますが、私といたしましてはさように考えております。それから五十四條の問題でございます。「監督上必要なる命令」ということについては多少疑義があるかと存じますが、この第一項によりまして、運輸大臣が日本國有鉄道に対して、公共の福祉を増進するためならば、相当廣汎な命令ができると解してもいいのではないか。これは疑義があるかもしれませんが、考えてもいいのではないかと考えておるわけであります。四十三條の一項において「政府は、日本國有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付することができる。」となつておりますが、この規定の適用によつて、一般会計からの交付を受けることができるというように解釈ができるのではないかと思います。それから五十四條の二項の方を報告だけでなくして、檢査もできるようにしたらいいではないかということでございます。これはまつたくさようと考える次第でありまして、報告まですることができるというならば、檢査もすることができるというようにすべきであると考える次第であります。
#40
○原(彪)委員 大臣がお見えにならないようでありますから、あとで御答弁を承つてもよろしいのでありますが、民主自由党單独内閣でありまする以上、運輸行政に対しても民主自由党の政綱政策が浸透されていなければならないと私は思うのであります。民主自由党の運輸行政政策というものは、自由主義を標榜する関係上、おそらく鉄道の國有國営なんというのは反対ではないかと私は思います。またさような政策を新聞紙上でも拜見したことがあるように記憶しておりまするが、その点をひとつ承りたいのであります。もしそうであるとすれば、この國有鉄道法案の内容は、およそかけ離れたものであると私は思います。公共企業体ということはマ書簡にあつて、せねばならない至上命令ではございまするが、公共企業体の内容に、多少なりとも民主自由党の政策の現われというものがあつていいはずではないかと思うのでありまするが、ほとんどさようなにおいがしていないと思うのであります。この点について大臣はどのようにお考えになつておるか、私は承りたいと思うのであります。
 なお逐條的に二、三点御質問申し上げたいのでありますが、第一條に「日本國有鉄道を設立する。」ということが書いてありますが、日本國有鉄道だけでは主体がないような氣がいたします。日本國有鉄道公社とか、あるいは日本國有鉄道廳とか、何かそこに團体を表わす名称があつてよいのではないかと私は思うのです。これはいきなり日本國有鉄道だけの名称のようでありますが、一体これは日本鉄道公社でありますか、あるいは日本國有鉄道廳になさるお考えであるか、承りたいと思います。あとで一括して御答弁願いたいと思います。それから第一條の條文の中にあります「國が國有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、」とありますが、その他一切の事業という言葉はどういうふうなお氣持であるか、私は経営しておる鉄道事業及びこれに付随する一切の事業という方が妥当ではないかと思いますが、その他という意味を承りたいと思います。
 それからもう一点は、名称が日本國有鉄道ということよりは、あるいは公共企業体というものが至上命令でありますならば、もう少しやわらかな言葉の方がいいのではないか。私はかように思うのです。國民に最も親しみやすいような國民鉄道とか、あるいは何かもつといい名前があるのではないかと私は思つております。それからこの前正木委員が御質問されまして、私の質問も重複するかもしれませんが、この法文を見ますると、命令系統というものが、非常にあいまいであるようであります。運輸大臣は國有鉄道を監督するし、監理委員会は指揮統制する権限と責任を有するとあるし、総裁は業務を総理するということになつておりますし、この言葉が非常にあいまいであつて、どこが運営の指揮命令系統の主体になるかを危ぶまれるように私は感じております。正木委員の質問の中にも、監理委員会は決議機関か諮問機関かという御質問がありました。私もこの前の当局の御答弁は納得が行きかねるのでありますが、大事な点でありますので重複するかもしれませんが、監理委員会の各委員が平等に、共同責任を持つて、指揮統制に対する権限と責任を持つのであると私は思うのでありますけれども、それに対して、その監理委員会が推薦する総裁が、また別個に業務を統理するということは、非常におかしな形になるように思うのであります。この点をひとつはつきり御説明願いたいと思います。
 それから第十二條の監理委員会の委員の職業を限定してあります。運輸業、工業、商業、金融業、これ以外の職業は、逆に言うと監理委員になれぬということにもなると思います。大体この四つの職業は経営には最適なものでありますが、それ以外に経営の適任者もあるのではないかと私は思います。
 その点をひとつ御意見を承りたいと思います。それから第十二條第四項に政党の役員は一年間監理委員になれぬということがあります。そうすると第三項にある國務大臣、國会議員というものは政党の役員を兼ねておる場合が多いのでありますから、結局は第三項の國務大臣、國会議員というものも、それをやめてすぐ監理委員にはなれぬということであると私は思います。どういう理由で一年間の期限を置いたか、その点を承りたいと思います。それから監理委員を名誉職とした理由であります。これはむしろ有給として常時監理委員会に出席せしめるべきである。指揮統制に対する権限と責任ということの職務上の権限からすれば、常勤で俸給をもらう方が妥当じやないかと思いますが、名誉職とした理由を承りたいと思います。
 大体においてこの法案は大臣も言われたように、自信のない法案であるようでありますが、この日本國有鉄道法の根本は「能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進する」というりつぱな目的が掲げてありますが、これではほんとうの独立採算というものは困難であると思います。どういう御自信を持つて独立採算をおやりになろうとするか。損をすれば國庫に負担をしてもらう、もうかれば國庫に金を返すという、今までと同じ條文がこれに上つておるのでありまして、この前の國会におきましても独立採算の問題は、運賃値上げの問題とからんで、やかましく申し上げたつもりでありますが、ほんとうに第一條の條文を生かすために、独立採算をどの程度おやりになるか。この法案によつて、どういう條項によつて、どういうふうに独立採算を積極的におやりになるか、その点を承りたいと思うのであります。大体氣づいた点だけ御質問いたします。
#41
○加賀山政府委員 最後にお話になりました、独立採算の問題でございますが、本法律におきましては確かに内容的に独立採算をとる形には相なつておらないのであります。従いまして独立採算の問題はまた別個の問題として今後考えて行かなければならぬ問題であると考えておるわけであります。いろいろ意見を申し上げることが許されるならば、現在の経済事情のもとに、急に独立採算をとるということが容易であるかどうかという問題はあろうと思いますけれども、今後これがコーポレーシヨンになります以上は、必ずや独立採算の問題が非常に大きな問題になるかと考えられます。これらの問題はあげて今後の運営に当る監理委員会並びに総裁から役員、職員の重大なる関心事となり、努力すべき事柄として引続きやつて行かなければならぬ問題であると考えておる次第でありまして、この法律の中にその意氣込みが必ずしも入つておるということは私は申せないと思います。ただ先ほども高瀬委員の御質問に対してお答え申し上げたのでありますが、能率的な運営によつてこれを発展せしめ、公共の福祉を増進することを目的としてやつて行かなければならぬという、この第一條の精神からいたしまして、今申しました監理委員会並びに役員、職員にしてこの運営に当り、経営に從事する者といたしましては、やはりこの新しい革袋に入るのを機会に、私は必ずや内部的に、そういつた能率的な運営ということは、最大の問題として考えて行かなければならぬ問題だと思います。この問題はもちろんパプリツク・コーポレーシヨンになつたからどうということでなく、ほんとうを申しますれば、過去においても、現在においても、心がけていなければならぬ問題でありまして、ただいまといたしましても、從事いたしております從事員は、できるだけ能率的な運営によつてやつて行こうということを努めておりますけれども、私といたしましては、こういつたつまり新しい革袋に盛られた機会には、切りかえがやりやすくなり、非常にいい契機になるということは、私は言えると思うのでありますが、この点は、独立採算を極度に達成する自信があるかと言われましても、現在といたしましては、この法律自体によつてはそういう自信があるということは、申せないということをお答えいたしたいと思います。
 それから名前といたしまして、日本國有鉄道はしり拔けで何だかえたいが知れず、廳か公社かわからぬというお尋ねでありましたが、これは從來の慣例でございますと、必ず廳とか、公社、あるいは公團という名前が使われるのが例のようであります。当初におきましてわれわれ案を考えますときにも、あるいは総廳、あるいは公團、あるいは公社というような名前を考えておつたことも事実であります。これは必ずしも何も諸外国のまねをするということが能ではございませんが、たとえばカナダの國有鉄道がカナデイアン・ナシヨナル・レールウエーズという名前のもとに、経営体そのものを示すという例から申しまして、かような名前をかりにとつた次第であります。從いまして廳が、公社かと言われましても、問題は廳ならどうだ、公社ならどうだというようにおのずから特徴はございましようが、そのどれに入るかということになりますと、なかなか今度の性質から申しまして、廳で表わす、あるいは公社で表わすという性質ではなくて、まつたく新しい性格を持つたものであるということを、申し上げるよりほかにないと思うのであります。
 それから一切の事業云々でございますが、これは現在いわゆる運輸省鉄道総局といたしましてやつております事業を、そのまま継承するという意味で考えて、一切のと申しました次第で、この第三條にその内容は明らかにされておるわけであります。鉄道事業のみならず、これに連絡船並びに自動車運送事業その他四号、五号等を含めまして、第一條には簡單にこれを「その他一切の事業」というように明らかにしている次第であります。
 それから日本國有鉄道とするならば、國民鉄道の方がいいじやないかという御意見でございますが、私はまことにけつこうな案だと考える次第でございます。日本國有鉄道と申しますのも、考え方はまつたく原さんの言われる氣持を出しているつもりでございまして、言葉をさらに長く言うならば、日本國民有の鉄道である、日本國民が所有している鉄道であるという氣持で言うわけであります。それを日本國有鉄道と言うか、あるいは日本國民鉄道と言うか、私は拘泥する必要はないじやないかと考えます。
 それから命令系統でございますが、運営にあたつてこれを執行する立場に立つのは総裁であることは明らかで、その点を総裁のところで、業務を代表して、総理するというふうに表現しているわけであります。ただこれが非常に公共の福祉に関係あり、先ほど申しました國民の所有する大きな鉄道でございますがゆえに、総裁の一存でこれを執行するということも、パブリツク・コーポレーシヨンになる以上は適当でない。從つてさらに民主的にこれを運営するという立場から、監理委員会を設けて、総裁が業務を執行して行くについて、重要な事柄について仕事のやり方を示す機関を設けた次第であります。從いましてこれはあくまでもコーポレーシヨンの内部的な機関である。運輸大臣は外に立つて、大きな問題については、特に政府としての責任をもつて監督の任に当つて行くという立場に立つているのでありまして、この点から申しまして、運営上一應分限ははつきりしていると考えるのでありますが、実際問題にあたりましては、それらの点について当初といたしては、いろいろ問題もあろうかと考える次第であります。ただ命令系統が明確でないと言われるわけでありますが、この点につきましては、意思決定と、運営にあたつて國有鉄道を代表して執行の任に当る総裁以下に、相当の力を持たせて運営をして行くというところに、このコーポレーシヨンの特質がなければならぬのではないかというふうに考えております。
 それから監理委員の資格のところで、運輸業、工業、商業、金融業の四事業のほかは、監理委員になれないのではないかという考えでありますが、確かにこれは限定的でありまして、日本國有鉄道の経営について最も密接な、関連の深いものの経営に当つていた、しかもその経営について廣い経驗と知識を有する人がぜひともいるのではないか。五人でございますがゆえに、ほかの廣い面からとるよりも、むしろ最も関係の深いところから監理委員会の委員が選任されるのが最も適切ではないかと、いうふうに考える次第であります。
 それから政党の役員をした者は一年以内はいけないではないかということでありますが、この第四号によりまして國務大臣、國会議員、その他政党の役員であつた方は、一年間は監理委員会のメンバーには入れないことになつておるのでありまして、これはこの日本國有鉄道なるものは、できるだけ政党色を避けることを本旨として規定したものであります。
 それから監理委員は常勤にした方がいいのではないかと考えられるわけでありますが、確かにこれは一つの見方だろうと私は考えるのでありまして、これほどの重要な経営について、指導、統制の権限と責任を持つ監理委員でありますから、確かに常勤ということは考えられる。常勤にしなかつた理由の最も主要なるものは、結局この監理委員会の委員としてなつていただく方は、たいていプロパーな業務の経営に当つておられて、そこからなかなかからだを動かせない。それをやめて專任に鉄道の監理委員会に入ることは、なかなか困難ではないかというような考慮から、むしろ経営を本來の仕事にしておられても、その経驗と知識とを、廣く國有鉄道の経営に入れていただく方がいいのではないかということからいたしまして、特に常勤ということにしなかつた次第であります。
#42
○原(彪)委員 そうすると監理委員会は決議機関でありますか。運輸行政の重要な事項を監理委員会で審議して決議したものを、総裁が実行するという決議機関でありますか。
#43
○加賀山政府委員 もちろん議決の方法等も規定しておりますように、議決機関であることは間違いないと思うのでありますが、意思決定をすべて監理委員会がやつて、その監理委員会の意思を、総裁は執行するだけかというと、これはまた当つていないと思うのであります。從いまして総裁は日本國有鉄道を代表し、その業務を総理するという立場上、意思の決定機関は総裁であると見るべきではなかろうかと思うわけであります。ただその指導と統制の権限と職責が監理委員会にあるわけでありますから、重要な事柄については監理委員会に諮つて、それが加わつて総裁の意思決定になる。また総裁が意思決定をして行つたことが、監理委員会の意図と反した場合、その分は総裁が監理委員会に対して責任を負うことになる。かように解釈するのであります。
#44
○原(彪)委員 この條文は平和なときはいいのですが、監理委員会の委員長と総裁の意見が――総裁の選任を一歩誤つた場合には、監理委員会の運輸行政に対する考え方と、総裁の持つておる識見というものが違う場合が必ず起ると思うのであります。そういう場合が起り得る可能性が多いとも考えられます。監理委員会の委員長の権限と総裁の権限、これは今長官のお話ですと、総裁は國鉄を代表して一切の執行機関、意思決定機関であるということになると、監理委員会の全部の議決よりも、一番強いものになつてしまうのであつて、そうすると監理委員会の意義をなさなくなるように思うのですが、もう少しわかりやすく御答弁いただきたいのです。
#45
○加賀山政府委員 この点はたしかにそういう点はあろうと思うのでありまして、それはまたかえつて妙味ではなかろうか。結局非常に強い独裁制も一つの方法であろうかと思いますが、そこに監理委員会というのを設ける、チエツクするという立場をとつている。いわゆる民主的経営をねらおうということになろうかと思うわけであります。從つてこういつた大きな事業経営につきましては、それが内部的にもチエツクアンド・バランスの機構として考えられる。どつちを上にするでもないということがかえつて妙味があるのではないか。総裁だけが非常に強い権限を持つて、監理委員会は單に諮問機関にすぎないという場合も考えられるわけでありますが、これは総裁が強過ぎるということになりましようし、また監理委員会がトツプに立つ機関として――監理委員会は五人でございますから、これが民主的にきめられるということはあるいは言えるかもしれませんが、監理委員会の意思そのままを、また総裁が執行するということでは、総裁はまつたく支配人みたようになつてしますということでありまして、総裁と監理委員会との関係は、私どもの見解としては、從來日本にもあまりないし、あるいは外國のパブリツク・コーポレーシヨン等の制度とも多少違つている点もあろうかと思うのでありますが、そこにチエツク・アンド・バランスということが考えられるので、運用いかんによつては、私は非常に妙味を発揮し得るのではなかろうかというふうに考えております。
#46
○原(彪)委員 運営いかんによつては、よい場合はそうですが、惡い場合が非常に多くあるような氣がします。これを普通の株式会社にたとえれば、重役会の総意によつてできた社長が、陣頭指揮でもつて業示を執行する。陣頭指揮をする社長が、法文にあてはめると総裁のようになると思う丸です。そうすれば、それが執行機関としては円満に行くだろうと思うのです。委員長イコール総裁というようなかつこうで行つた方が、監理委員会は会議制ですから、その方が非改に仕事はやりよく、総裁の力も強くなるのではないかと私は思うのであります。しかがでしようか。
#47
○加賀山政府委員 実はそういう例もあるわけでありまして、総裁が監理委員会の委員長、あるいは理事会の委員の長となつている場合もあるのでありますけれども、その場合は総裁が鉄道の経営について、特殊の人であつて、非常にこれは他に比類を見ない人である。そういう場合にこういう例が外國にもあるようであります。そういうことであるならば、総裁に非常に強い権限を持たして、ほとんど独裁的にできるというようにしてやることは、その能力を生かす意味において、かなり効果があつてよいことであるというように考えますけれども、そういう人ばかりもなかなか得られないのでございます。從つてそこに監理委員会というものを持つて來て、そこに総裁に自主布に腕を振わせる余地を残しつつ、監理委員会がチエツク・アンド・バランスをとつて行くという考え方は、私は必ずしも成立たないのではないというふうに考えるわけであります。惡い場合ばかりを予想いたしますと、原さんが言われるようなことになるわけでありますが、國有鉄道の経営等のごとき非常に技術的な―ョ経営の面におきましては、國家的の利益から考えて、私は非常に大きく開くことはあまり考えられないというような考えるのでありまして、もしそれが相反した場合は、当然総裁は監理委員会に対して責任を負うという規定を設けられておるわけでありますし、その点についても、私は心配はないではないかというような考えを持つております。
#48
○原(彪)委員 これで質問を終ります。
#49
○前田(郁)委員長代理 それではきようはこの程度で散会いたしまして、引続き打合会をいたしたいと思います。なお次会は明二十六日午後一時より開会することにいたしたいと存じます。
 きようはこれで散会いたします。
    午後三時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト