くにさくロゴ
1947/10/31 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 水害地対策特別委員会 第12号
姉妹サイト
 
1947/10/31 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 水害地対策特別委員会 第12号

#1
第001回国会 水害地対策特別委員会 第12号
昭和二十二年十月三十一日(金曜日)
    午後一時四十七分開議
 出席委員
   委員長 本間 俊一君
   理事 大島 義晴君 理事 圖司 安正君
   理事 山崎 岩男君 理事 葉梨新五郎君
   理事 古島 義英君
      石野 久男君    金子益太郎君
      島上善五郎君    鈴木 善幸君
      永井勝次郎君    吉川 兼光君
      青柳 高一君    生方 大吉君
      大澤嘉平治君    鈴木 明良君
      鈴木彌五郎君    原  孝吉君
      平澤 長吉君    山本 猛夫君
      淺利 三朗君    小峯 柳多君
      島村 一郎君    竹尾  弌君
      野本 品吉君    河口 陽一君
      木村  榮君
 出席政府委員
        經濟安定本部建
        設局長     高野 與作君
        農林事務官   平川  守君
 委員外の出席者
        議     員 小林 運美君
        議     員 関根 久藏君
        農林事務官   横山 忠雄君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 水害地對策費關係追加豫算について、當局より
 説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○本間委員長 これより會議を開きます。
#3
○鈴木(彌)委員 この前の委員會に、自分が動議を出しておきながら、肺炎をやつたので今日まで委員會を休んでおりましたが、そのときの動議はどういうふうになりましたでしようか。
#4
○本間委員長 私から御報告をいたしますが、總理の御都合か惡かつたものですから、西尾官房長官が見えられて、東北の方はあの當時交通その他の關係で報告がまだ揃つていなかつたものだから、關東の方をとりあえずやつたのだ。關東と東北を決して差別をして考えるようなことはしないという意味の御答辯がありました。さらに根本君その他から鈴京さんのような御趣旨のお話がありまして、一應それで了承した、こういうことになつております。
#5
○鈴木(彌)委員 よろしゆうございます。
#6
○本間委員長 それで皆さんにいろいろ御心配を願つておつたのですが、大體公共事業費の總額がきまつたようでありますから、この内譯がまだはつきり確定しないようですけれども、どういうことに閣議の方が話合いになつていますか、それを今日は安本の方からよく承つて、そうして今後委員會としてどういうふうな手を打つかということを御相談したい、こういうふうに考えますから、どうかさよう御了承を願いたいと思います。
 それではこれより懇談會にはいります。
     ――――◇―――――
    〔午後一時四十分懇談會に入る〕
    〔午後二時五十四分懇談會を終る〕
     ――――◇―――――
#7
○本間委員長 それでは懇談會を終りまして會議を開きます。質問の通告がありますからこれを許すことにいたします。鈴木明良君。
#8
○鈴木(明)委員 過般の關東、東北地方を襲つた風水害の甚大なることは今さら申すまでもありませんが、本日は特にわが國の蠶絲業界、養蠶業者の問題を取上げまして、政府の緊急對策についてお伺いいたしたいと存じます。被害者に對する各般の應急救援も著々と運ばれておるように承りますが、その實行の點においてはいささか手ぬるさを私は痛感せざるを得ないのであります。特に未だ養蠶の問題については、その被害甚大なるにもかかわらず、政府の災害救濟の對策に關しましては、何ら發表せざることはまことに遺憾と存ずる次第であります。私は本日全國農業會の調査に基いて作成いたしました被害の實相を申述べまして、關係當局の明確なるこれが對策をお伺いいたしたいと存じます。
 養蠶戸數が全國で約二萬二千戸、桑園が約一萬一千町歩、この一萬一千町歩は收穫皆無の状況であります。同時に養蠶用資材の損傷または流出はなはだしく、特に水害當時は晩秋蠶の壯蠶期でありましたため、蠶兒の飼育も不能に陷り、放遣のやむなきに至つた數量は掃立て卵の量が予六十五萬グラムの多きに上りましたことは、唯一の輸出見返り物資といたしましての、わが國の蠶絲の復興途上にある今日、まことに憂慮にたえない次第であります。これをこのままにして放置しおくならば――もちろん政府は最善の措置を講ぜられることと存じますが、その具體的方策について、關係各省の明確なる御答辯を私はお願いしたいと思うのであります。
 同時にかつて政府が樹立いたしましたところの蠶業五箇年計畫、この方針にもとずいて政府は著々とその仕事を實行に移していることと思いますが、その成行きについてもひとつお説明を願いたいと思います。
#9
○横山説明員 ただいま御質問の養蠶方面の被害に對する政府の對策でございますが、蠶絲局といたしましても非常に重大な被害でございまして、極力その對第に腐心している次第であります。まず一番もとになりますのは養蠶の基盤の桑園の復舊でございまして、この水害はよつて流失埋沒された桑園の被害の耕地の復舊につきましては、これは公共事業の方に入れて考えてもらうことになつております。またその復舊した耕地に桑苗を植えいけるのにつきましても、被害農産者獨自の力では非常に困難と考られますので、これに對する豫算を計上いたしまして、ただいま鈴木委員からお話の、一千餘町歩の收穫皆無面積につきましては、これを早急に改植し、また必要な部分には補植をも行うようなことを考えまして、豫算を組み、これを關係方面とただいま折衝中でございます。その他掃き立てた蠶種で收穫不能になつたものあるいは養蠶者にして蠶具その他のものの流失、それらの被害につきましても、一應の對策は考えておりますが、今までこれらのことをやつておりました日本蠶絲業會が生絲の差益金などから財源を求めて、これらの災害の見舞あるいは補償をやつていたのでありますが、今度は日本蠶絲業會が閉鎖機關になつた關係上、これらのことが今までのような状態いきにくくなつたのであります。それで蠶絲局はその差益金の處置その他については、できるだけいまの御質問の御趣旨に副うような方面にもつてきたいという努力を關係方面に對して今續けている次第でございます。はつきりきまつたことと申しますのは、ただいままでのところございませんわけでありますが、ただいままでの經過の大體をお話申し上げた次第でございます。
 なお災害地の復舊に對する農家の資金の融資の額につきましては、先般總務局長の方から地方へ通達が出ている次第でございます。
#10
○鈴木(明)委員 ただいまいろいろ承りましたが、大體それに對する補助額の豫算を關係當局に申請中だそうでありますが、大體どのくらい申請しておるか。それも私伺いたいと思います。同時に桑苗生産業者は蠶業五箇年計畫に基きまして、農林省の指導のものに桑苗の増産をはかりました結果、約二億萬本くらいの生産を現在なしました。今後のその桑苗の處理方針同時に桑の收穫というものは、植付後三、四年過ぎなければできぬことは御承知のことと存じます。同時にその仕立費に相當の經費を要しますことも御承知のことと存じます。その被害桑園は約一萬一千町歩に達するのであります。この被害桑園には大體一億一千萬本くらいの桑園が必要となります。この桑苗を政府におかれましては、もとの方針に則りまして、私は災害地に對して無償で配給されたい、こう思うのでありますが、政府の見解を承りたいと思います。
#11
○横山説明員 私の方で今考えております豫算の額は、桑園の改植費及び補植費を含めまして六千百萬圓ばかりを計上して關係方面と折衝にはいつております。それから桑苗の處理の問題、これは水害對策としての問題でもあり、また先ほど御質問の五箇年計畫に對する一つの處置としての問題でもございますが、昨年の八月閣議決定によりまして蠶絲復興の五箇年計畫が策定せられ、それに從つて桑苗の生産も奬勵され、業者はそれに應じて桑苗を生産し、今年は昨年度に比べて非常に大量な苗ができておる、しかもその苗は今お話の通り何年間か長い間の丹精を續け、殊に昨年からは政府の奬勵があつたために、非常にむりな努力までしてつくつたものであり、この処置がうまくいかないという場合には非常な迷惑をかけ、しかしその原因の大部分は政府が奬勵したことに則つたためであるというような點も考え、水害地と限らず、一般桑苗の消化につきましては、非常に關心をもつて對策を練つていた次第であります。それにつきましては今二つの對策を考えておりまして、一つは桑苗を植えつける養蠶者に對して、ある程度の助成金、これは全國で四千萬円くらいになると思いますが、その程度の補助金を蠶絲業會の差益金の中から出そうということに大體きまると思います。それからもう一つは、その補助金だけでは非常に少額で、不十分でございますから、植付農家に對して何か絹織物のようなものを――今案として考えておりますのは、一千本植えつける者に對して約五ヤールくらいの絹織物でございますが、その程度のものを奬勵のために出して、そうして植付を奬勵していこうということを考えております。ただこれの方は今具體的に折衝にはいりかけておりますが、確定して公表するところまではまだ行つておりません。
 ここまで申し上げまして、政府の五箇年計畫についての先ほどの御質問に對して一言申し上げたいと思います。政府は今まで五箇年計畫の線に沿つて、積極的に蠶絲の復興を奬勵してきたわけでありますが、蠶絲が昨年の四月に初めて輸出されたころは非常な活氣を呈していたのでありますが、その後次第にニユーヨークの生絲の消費状況が惡くなりまして、遂に今年の七月三十一日には、司令部渉外局の發表といたしまして、今後生絲の消費状況が改善される見込みの立つときまでは、桑園の増加あるいは絹の生産は許可しない意向であるというふうなことが發表せられたのであります。しかしその發表文をよく見てみますと、絹の輸出としての性格が失われるというふうな意味のものでなしに、今後生産される絹の相當量、これは月々一萬俵くらいでありますが、それを内地へ放出して、それから製品をつくる。その製品についてはでき得る限りの努力を拂つて、輸出向のものをつくるようにというふうなことが書いてありまして、この司令部の發表に盛られた意思は、われわれの忖度するところによると、非常に滯貨をもつている絹に對する一時的な非常手段であるというふうに考え、絹の輸出重要品としての性格を少しも妨げるものでないというふうに考えている次第であります。それで五箇年計畫を、この渉外局の發表に對してどういうふうに適應させていくかということは、その發表の直後から司令部と話し合つていたわけでありますが、まず第一に考えられますことは、司令部の發表の増反を許可しない意向というのは、日本全體の面積をにらんだ話でありまして、個々の府縣あるいは個々の養蠶家に對しての話ではないのであります。その點を考えながら、昨年一年間の五箇年計畫奬勵のあとを考えてみますと、政府のかなり積極的な奬勵にもかかわらず、一年間約一萬町歩を目標として奬勵した一年間の成果は、ほとんど桑園の増減がない。約六千町歩の新植をみたのでありますが、またそれに近い桑園が拔取られているのであります。これは非常な國内の食糧の不足におもな原因があると考えられるのでありますが、一方奬勵によつて植付けても、一方食糧の逼迫その他によつて桑園が拔取られる。この成績とただいま全國的にみた増反を許可しない意向という文字とを比べてみますと、今後桑園を増段しないのでおくということ、つまり今後輸出と申しますか、絹の消費状況が改善されたときの用意に、桑園を準備する。減段しないで維持するというためにも、相當の程度奬勵しなければいけないのではないか。もしここで手をゆるめるならば、必要以上に桑園は減り、輸出として重要度の減じたとは考えられない絹の生産が妨げられるのではないか、こういうふうに考えまして、司令部の發表の意向には副うようにする。しかし奬勵の強さは、やはり相當強力にやらないと、その程度にもやることが困難ではなかろうかというぐあいで、五箇年計畫につきましては一應今年度の實施計畫を考えている次第でございます。それでその計畫は主として府縣の事情に應じて下から盛り上つたものでありますが、これを中央に集めまして、そうしてそれをとりまとめ、今の司令部の發表にも牴觸しないようにコントロールしながら、しかも重要なる輸出品の絹の生産にも支障ないようにしていきたいというふうに考えておる次第であります。五箇年計畫についてそういうふうに考えます。從つてただいま殘つておる桑園の生産能率の点でございますが、これは戰時中非常に能率が落ちておりまして、その能率を高める方法といたしましては、一つは肥料の増配が考えられ、この方面でも著々と改善されておる次第でありますが、なおもう一つの方法といたしましては、桑園の缺株あるいは古損株のようなものを十分に補植して、桑園の能率を高めたい。これらの點が一方には狹い日本の耕地を十分に利用することにもなり、またさしあたつての問題といたしましては、五箇年計畫に應じて努力してつくつた桑苗の消化にも役に立つというふうに考えておる次第であります。大體御質問に對してお答えいたしました。
#12
○鈴木(明)委員 ただいまの御答辯によりまして、私は大體了承いたしましたが、養蠶業者に對しましては、從來の補償施設というようなものがなかつたのであります。そこで從來養蠶の災害對策といたしましては、先ほどの御説明にもありました通り、政府が第二豫備金等から支出いたしまして、さらに最近は日本蠶絲統制株式會社竝びに日本蠶絲業會、そういうもの等から應分の補助金を支出しておつたということも了承いたしました。しかし兩機關とも解散または閉鎖を命ぜられまして、目下事業の停止状態になつておる。もつとも日本蠶絲業會におきましては、生絲の差益金というようなものがまだ相當殘つておる。こういうふうに思うのであります。この問題についても先ほどの御説明にありましたが、當局におかれましては、ひとつ關係方面にも強力にお願いいたしまして、何とぞこの趣旨をくまれまして、蠶絲業者のために政府の發表せられました蠶絲五箇年計畫の遂行に臨んでいただきたい、こういう希望條件を付しまして私の質問を終りたいと思います。
#13
○古島委員 ちよつと關連して伺います。先ほど桑園をこしらえるに五ヤールの絹を報奬物資として出すということでありますが、これは復興させるつもりですか。新たに新規増植をさせるというどちらをとつておるのでありますか。そこをお伺いいたしたい。
#14
○横山説明員 これはただいま鈴木委員の御質問にお答えいたしましたように、とにかく今年度つくつた苗を植えつける人に對しては、その植付本數千本に對して五ヤール出したいと思うのでありまして、その目的と申しますか、趣旨と申しますか、要するにそれは現在の絹の生産量を必要以上に落さないようにしていきたいというわけであります。
#15
○古島委員 質問を取違えておるようですが、私の質問はこの報奬物資を出して植えつけるのは復興に限るのかあるいは復興でなく新規に植えつける、あるいは今まで桑園でないところに植えつけるということも考えられますが、復興的に植えつける分に對して報奬物を出すか、復興でなくて新たな場所に植えつけるものにもこれを出すのか、兩方含んでおるのか片方だけなのかそこを伺いたい。
#16
○横山説明員 言葉が足りませんでしたが、個々の場合については兩方とも出すつもりであります。と申しますのは、先ほど五箇年計畫のことに觸れて申しましたように、個々の場合につきましては新植のものをも認め、補植あるいはただいまのお言葉の復興のようなものをも認めているわけでありますから、個々の場合につきましては、新植にも、復興用のものにも認めていくつもりでございます。そうして日本全體の桑園面積が司令部の發表に合うように中央において見ていて調節していきたいと考えております。
#17
○古島委員 復興するために桑を植える者に絹の報奬物資を出すよりは、先ほど鈴木さんの御質問のように、これはかえつて桑苗をただで交付するということの方が有效適切ではなかろうか。また新たに植えるということになれば、主食物との關係はどうなつてくるか。そこをさらに承りたいと思う。
#18
○横山説明員 復興のために植えつける場合に、絹を與えるよりも桑苗を無償でやつた方がよろしいということは、私たちも御説の通りに考えております。しかしながら植えつけるべき桑苗は全部無償にするためには、非常に大きな財源がないとできないのであります。今利用できるという考え、しかも纖維の涸渇している時代でありますから、絹も相當奬勵の意味になるという考えで出している次第であります。
 主食物につきましては、桑は御承知の通り植えつけましても、しばらくの間は桑園間作としてはほとんど支障のないように、主食物の生産をあげることができると考えております。植えつけましたときには、御承知のように、ただ一本の細い棒でありまして、その間周圍はすつかりもとの畑のままでありますから、さしあたつての主食物の生産には大した支障なしにやつていけると考えております。
#19
○古島委員 もちろん植えたときには細い苗でしようけれども、新たに桑園をつくるということになれば、どうしても主食物をつくる方と衝突する。主食物の方と衝突を來すことになれば、今年、來年というような問題でなく、新たにつくることを許すか許さぬかという問題までいくと思う。そこで今度新たに桑園をつくることになれば、主食物をつくる場所がなくなることになるが、その點は主食物を監督する方とあなたの方とうまく折合いがとれるかとれぬか、こういうことをお答え願いたいと思います。
#20
○横山説明員 それは關係方面と十分連絡をとりながらやるつもりでありますし、また桑園をつくる場合にも、こちらからつくれというふうにもつていくのではなく、その現地の事情に應じてもつてきた計畫に基礎をおいております。それから國全體のものにつきましては、その方面と現在でも十分連絡をとりながらやつております。
#21
○本間委員長 委員の方で蠶絲關係の御質問はございませんか。ないようですから、委員外の質問を許します。小林運美君。
#22
○小林運美君 先ほど鈴木委員の質問に對しまして蠶絲課長からお答えがありましたが、私は全國農業會の調査によります今囘の風水害の蠶絲業に關する調査を拜見したのでありますが、それによりますと、被害桑園面積が約一萬町歩、桑苗圃が六十七町歩、被害の蠶種が六十七萬グラム、その他養蠶用具の被害、これらを合して被害總額は約二億八千萬圓程度に計上されておりますが、政府におきましては今囘の關東、東北の風水害によります蠶絲關係の被害状況を御調査になつておると思いますが、これと民間で調べました状況とがあまり縣隔があるということもないと思います。從いまして一應政府の御調査があればそれを伺いたいのであります。この農業會の調べました四つの被害のほかに私はまだ相當被害があるのではないかと考えております。實は私は先般の關東の水害に際しまして、國會を代表して水害状況の視察に參つた一人でございますが、特に私は蠶絲業關係の議員といたしまして、蠶絲業方面の被害状況を方々見てまいりましたが、飼育中の四齢、五齢の蠶捨ててしまつたものが非常に多かつたのであります。これらの被害も相當多いと思いますが、そういう方面の被害状況もわかりましたら一應説明を願いたいと思います。
#23
○横山説明員 政府で調べました被害もただいま小林代議士からの御質問と大體似た數字が出ております。私の方で調べましたのは九月の關東水害状況調査、これを收穫單位面積に換算いたしまして一萬五百八十三町六段、それから桑苗圃の被害が七十五町八段、八月水害、これは東北の方でございますが、この八月水害の被害面積が千三百二十二町、同じく八月水害の桑苗圃の被害が一町八段五畝となつております。そうしてこの被害の中に農業會調査以外のもの、たとえばただいま申しました蠶兒が掃き立てられてから捨てられた分、そういうふうなものにつきましては今調査を行いつつありますが、その個々のものでなしに、總體として見て繭の減收がどのくらいになつたかということ、これはただいまの捨てられた蠶兒以外に水害のためにどろ葉などをやり、あるいは桑をやることができなかつたというようなために、繭が非常に小さいものができた。あるいはまた颱風の起るその氣象状態、非常な高温ではありませんが多濕状態というふうなものと關連いたしまして、硬化病が發生した、こういうふうなことのためもございますが、その繭の總減收見積高といたしまして約三十萬貫を見積つてございます。八月のは九月に比べてずつと繭の量は少くなつております。
#24
○小林運美君 ただいまお答えをいただきましたが、なおお答えの中に被害の桑園の面積とか、あるいか蠶兒の棄却いたしましたグラム數とか、それらのほかにそれらを併せました總被害額をあとでお知らせを願いたいと思います。
 次に私は先ほどの鈴木委員の御質問に對する産業課長の御返事の中に、これらの被害に對して政府が日本蠶絲業會の生絲の差益金をもつてこれらの被害の補償に充てるというようなお話がございましたが、蠶絲業會におきましては明十一月一日から閉鎖機關になりまして、閉鎖中にこれらの仕事がいつまで續くかということはまだわかりませんが、そう長い期間ではないと思います。從いまして今までのような政府の仕事、あるいはそういつた團體の仕事を見ますと、こういう災害に對する補償とか、そういつた事業が非常に手間がかかります。私は今囘のような際に一月か二月の間にそういうこともどんどん處理していただくことを望みますが、從來の政府のやり方その他を考えますと、なかなか急速にはいかないのではないか、そういう場合に蠶絲業會が閉鎖機關になりまして、そういう仕事の打切りというようなことも考えられますので、これらに對しまして政府はもし、打切りというような場合にはほかのどんな方法をもつておやりになりますか、それを附加えて御質問を申し上げたいのであります。
#25
○横山説明員 被害の總額につきましては、これは各府縣まだ十分な資料が來ておりませんが、來ておるところだけで申しましても非常に大量なものになる見込みでございます。
 それからただいまの差益金の問題でございますが、今はつきり私たちの計畫に載つておりますのはただいままでのと申しますか、今まで蠶絲業會の豫算にも計上され、軌道に乘つたと申しますか、形のできているものを考えていた次第でありまして、それの金額はただいまの損害の額にすれば少いものでございます。それでなお今まで考えていたのと同じような意味に、これが使えるようにというふうな方向にもつていく努力をしていると、先ほど申しましたわけでありますが、それが萬一閉鎖機關となつた關係上使えない、あるいは適當な時期に間に合わないというふうなときにどうするかということでありますが、これは今續けている努力と申しますか、それをまつしぐらにやつてみまして、その上でなお考えたいと思います。
#26
○小林運美君 ただいまの補償に對する御返事をいただきましたが、蠶絲業會の差益金から出します金額というものはこの二億數千萬圓に上ります被害に對してはほんのわずかなことはわれわれも承知をいたしておりますが、蠶絲業に對する政府の見方というものが非常に甘く見ておりまして、われわれ國民が今まで蠶絲業によりまして非常に恩惠をこうむつておりましたことは、國民が十分承知をいたしておるのでありますが、こういつた災害に對しまして、政府といたしまして相當巨額の金額を重點的に復興のために使つていただくことは當然なことと思いますが、これらに對しまして農林省といたしまして、また特に蠶絲局といたしましては、そういつた方面に十分の努力をしていただきたいと思います。仄聞いたしまするに、蠶絲業のこういつた災害の復興に對する蠶絲局のプツシユが非常に弱いというように聞いております。これはあるいは言い過ぎかもしれませんが、大藏省方面のに對しての、これらの連絡というようなものが非常に少いのではないかというふうに、われわれは考えております。この點今後とも十分に力をいたしていただきたいと思うのであります。
 次に先ほど鈴木委員が蠶絲業の復興五箇年計畫に對して政府はどんなふうに考えておられるかという御質問がありましたのに、蠶業課長からの御答辯は非常にむつかしく、またなかなかデリケートなところもあります關係上、はつきりしたお答えができなかつたんじやないかと私は推測いたしますが、この點ははつきりここでしていただきたいことが一つあります。桑苗の關係も鈴木委員からいろいろ御質問もあり、御答辯もありましたが、先般渉外局の發表といたしまして桑園は海外における生絲の消費のめやすがつくまではあまり殖やしてはいかぬというようなことが傳えられておるのでありますが、この點に關しまして、私は農林委員會におきまして、先般農林大臣竝びに安定本部長官等に對しまして、蠶絲業の復興五箇年計畫は政府はどんなふうに今日やつていかれるかということを全面的に質問をいたしましたに對しまして、農林大臣竝びに安定本部長官は、蠶絲業の復興五箇年計畫に對しては今再檢討中だから明確なる答辯はしばらく留保をしてもらいたいというお話がありまして、以來もう二、三箇月經過いたしておりますが、依然といたして御答辯がないのであります。そこでその當時この渉外局の發表を聞きまして、蠶絲業關係者竝びにわれわれ日本國民は、今まで蠶絲業によつて國の輸出の大宗として、蠶絲業が非常に重要であつた。しかるに最近生絲が賣れないために、もう蠶絲業はだめではないかということを非常に心配しております。その際ただいま申し上げましたような渉外局の發表等もありまして、これらに拍車を加えまして、もう桑園擴張とか、蠶絲業の將來というものはだめだというふうに考えられておるのであります。
 しかしこの内面におきましては、いろいろの關係がありまして、たとえばアメリカの現在の生絲の値段が四ドル五十セント、ところがナイロンは二ドル四十セント、その間に二ドルの差がある。これを現在の二千六百掛の値段から換算いたしまして、為替をかりに二百圓としましても、二千六百掛の生絲の値段は、アメリカに參りまして、一ポンド二ドル四十セントくらいに當るのであります。これが為替が三百圓とかいうようになれば、ナイロンよりずつと生絲の値段が安くなるのであります。生絲の値段が高い、安いということだけで賣行きがいい、惡いということはただちに斷定はできないのでありますが、そのほかに値段の安定ということが相當重要なポイントになつておりますが、とにかく生絲がちよつと高過ぎるということは事實であります。これらもU・S・C・〇が今年の二月に半年の間は生絲の値は下げないということでまいりました。またさらに生絲の消費が惡いので、一箇年間生絲の値段を下げないということを聲明いたしまして、來年の一月までには四ドル五十セントという生絲の値段は一應くぎづけになつておりますが、内外の情勢からいたしまして、アメリカ方面でもあるいは來年の二月には生絲の値段を相當下げて賣り出すのではないか、こういうふうに考えられております。なおさらに最近アメリカ等の情報を聞きますと、アメリカにおきましては、首に巻きます羽二重を使いましたマフラーが非常に流行いたしました。日本に輕目の羽二重の注文が殺倒いたしておる次第であります。これら流行はこれまでのいろいろの過去の經驗から見ますと、流行いたしますと三、四時間は續きます。こういうことから考えまして、生絲は相當賣行きが活發になるのではないかという期待もされております。なお現在アメリカではそういつた輕目の羽二重の生産をやつておりません。從つてそれらの羽二重の注文は全部日本にまいつておりますが、現在は日本の福井であるとか、石川縣方面の羽二重の生産地におきましては、電力あるいは勞務關係等におきまして大量の注文の對しましてそれだけの生産ができないという状態にありまして、先般政府で計畫いたしておりました月々一萬俵の國内生絲の消費ということもそういつたことに妨げられておるのであります。こういう點につきまして政府は國内の問題といたしまして羽二重の生産をどしどし奬勵する。それのために相當の補助も考える。あるいは公定價格も上げるというような施策を至急に立てていただきたいのでありますが、そういうようなことから考えまして、先ほどのお話の桑園の擴張ということは食糧等の關係もありまして、また渉外局の司令部の方の考えもあるでありましようから、この際積極的に桑園をどんどん殖やすということは考えものでありますが、現在あります程度の桑園を擴充いたしまして、改殖その他によりましてどしどし充實していく。こういうことは最も大切な方策ではないかと私は考えるのであります。そういう點につきまして先ほどの御説明では、何だかよいのか惡いのかちよつとわからないようにわれわれには考えられるのであります。私の申上げることがよいか惡いか、その點も附加えて御答辯を願いたいと思うのであります。
#27
○横山説明員 小林代議士のいろいろな情報をもつてのお話は非常に蠶絲業の將來を明るくするものでありまして、私たちもそれをそのようになり、またそれに向つて進んでいきたいと考えておる次第でございます。桑園を擴充していくことがどうかというお話で私の言つたことが非常に不明瞭だつたようなおしかりを受けたのでありますが、私は現在ある桑園を擴充していく、桑園の能率を高めていくということに對してはまつたく御同感なんでありまして、ぜひそのようにやつていきたいと思います。肥料の配給なども昨年に比べますと非常に殖えてまいりまして、その點桑園の能率増進のためには明るい希望をもてるようになつてまいりました。
 それからただいまの製品輸出の問題、これも先ほどの司令部の發表にもありましたように、日本の政府はあらゆる努力を拂つて海外に受入れこれるような製品をつくるべきである。早速その方面に向つて努力を進めております。それからなお今まで考えておらず、あるいは考えていても費用になつていなかつたような絹の信用あるいは絹の品質の改良、そういうものに向つての研究をも進め、それを實行に移すようにして絹の輸出品としての重要をますます高めていくためにあらゆる努力を拂つておる次第でございます。絹の輸出が將來どうなるかという問題については、これは見る人によつていろいろな考えがあるようでありますが、蠶絲局が今まで得た情報によりますと、悲觀すべき材料というものの中にも確定的なものというものはないのじやないかと考えます。努力していつて改善できないことはないと考えておる次第であります。
#28
○小林運美君 ただいま課長のお話を承りましたが、さらにもう一點御質問申し上げたいと思います。桑園の擴張は今のところしないけれども、改植等については十分政府も援助していきたいというようなお話でありましたが、桑園の改植等については桑苗がまず第一に問題になりますので、桑苗に對して政府は今後無償配付をするかどうか、この點をお尋ねしたいのであります。今度の水害だけでも桑苗が相當の被害を受けておりますし、今後改植等によります桑苗の需要も相當ございます。先般五箇年計畫を樹立して、これからどしどしやるということで、桑苗の生産者は非常に力を入れて桑苗をたくさん生産したのでありますが、その桑苗が政府でそんなに補助できないというようなお話も聞いたのでありますが、そういつた蠶絲業の將來の見透しがよければ、この蠶絲業に對して政府は相當の力を入れて、それがためにはまず第一に桑苗の無償配付をするということも考えられますが、この點に關して政府の御見解を承りたいと思います。
#29
○横山説明員 桑苗の植えつけにつきましては政府もできるだけの援助を與え、奬勵をして、桑園の能率を高めるために努力を拂つていきたいと思いますが、これを無償できるかどうかという點については議論がございまして、ただいまの考えでは無償にはしていかないつもりでございます。それはこういう考えに基いているのであります。無償にしていくと取扱いの上に責任感と申しますか、それを受け取つて人の大事にする程度が少し減るのではないかと考えて、奬勵あるいは補助ということで十分やつていきたいと思います。無償にすることは今のところ考えておりません。ただ能率を高めるのはその金の面だけでなしに、同じ桑にいたしましても最もいい桑、最も揃つたもので能率を高めるのに役に立つようなことにしていきたいと思いまして、昨年蠶絲試驗場の豫算でそのようなものを組みまして、努力を拂い、また蠶絲試驗場では根本的にその方面の品種の改良その他をやる。もしでき得るといたしますならば、二十三年度の豫算には府縣の蠶絲試驗場にもそういうふうな施設をし、その土地に適するようなものを育成配付するような施設を講じていきたいという希望をもつております。
#30
○本間委員長 委員外の質問として關根君。
#31
○関根久藏君 今般の風水害によります蠶絲業の災害の問題につきましては、あるいは鈴木委員、古島委員、小林議員等から詳細に質問應答があつたのでありますから、もうくどくどしいことは申し上げませんが、最も現在當業者が要望しております點は、別途委員長の手もとへも書類は差上げてあると思いますが、被害桑園一萬七百四十五町歩に對します植付桑苗一億七百四十五萬本の無償配付。第二は被害桑苗圃に對します補助。第三番目の問題は被害蠶兒に對します蠶種代金の補償。被害蠶室、蠶具の復舊補助。この四つの問題が取上げられておるのでありますが、これに對しまして本間委員長はどういう見解をもつておられますか。率直に御答辯を願いたいと思います。
#32
○本間委員長 お答えをいたしますが、私の承知いたしておりますところを申し上げますと、七、八月の災害の際には蠶絲業に對する補助が多少あつたようでありますが、今度の九月の水害を受けましてから農林省と安本の方の折衝でその豫算が全面的に削減になつたやに承知しておるのであります。從いまして農林省の總務局の方にも先週來お話をいたして、ただいま御要求になりました四項目にわたる要望事項の實現方を、安本に對して折衝をいたさしておるわけであります。先ほど來當局からも御説明がありましたように、豫算關係は、私どもの率直な考えを申し上げますと、きわめて不滿足な状態にありますので、私から確答申し上げることを避けたいと思うのでありますが、何とかしてその四項目の要望事項の具體化について最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。さようどうか御了承願いたいと思います。
#33
○大島(義)委員 蠶絲業の陳情が大分來ているようでありますから、會議を閉じて陳情を聽いてやつていただきたいと思います。
#34
○本間委員長 それでは本日はこの程度で散會いたします。
   午後三時五十八分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト