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1947/08/04 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第4号
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1947/08/04 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第4号

#1
第001回国会 外務委員会 第4号
昭和二十二年八月四日(月曜日)
    午後一時二十八分開議
 出席委員
   委員長 安東 義良君
   理事 加藤シヅエ君 理事 細川 隆元君
   理事 栗山長次郎君 理事 亘  四郎君
      田中  齊君    竹内 克巳君
      和田 敏明君    竹田 儀一君
      中山 マサ君    竹尾  弌君
      佐々木盛雄君    仲内 憲治君
      若松 虎雄君    多賀 安郎君
      綱島 正興君
 出席政府委員
        復員事務官   森田 俊介君
        復員事務官   荒尾 興功君
        復員事務官   山本 善雄君
        外務事務官   大野 勝巳君
 委員外の出席者
        議     員 坂東幸太郎君
        議     員 小川原政信君
七月二十日
 委員北れい吉君辭任につき、その補闕として八
 月二日竹尾弌君が議長の指名で委員に選任され
 た。
    ―――――――――――――
七月二十八日
 北洋漁場支那東海、黄河南支那海等の漁場開放
 に關する陳情書(全國漁村青年同盟第二囘全國
 大会提出)
 沖縄の日本國へ復歸に關する陳情書(在京沖繩
 縣人有志伊江朝助外六十三名提出)
が本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 ソ連領からの復員促進に關する請願(坂東幸太
 郎君紹介)(第九号)
 ソ連軍占領地よりの復員促進に關する請願(小
 川原政信君紹介)(第五六号)
    ―――――――――――――
#2
○安東委員長 ただいまより會議を開きます。
 ソ連軍占領地よりの復員促進に關する請願、文書表第五六號及び第九號につきまして、紹介議員小川原政信君及び坂東幸太郎君の御説明を伺いたいと思います。
#3
○和田委員 この今日の議案は、外務委員會の所管であるよりも、むしろ海外同胞引揚に關する特別委員會の所管事項だと思います。こういう請願を一一外務委員會で取上げていることは、せつかく成立した海外同胞引揚に關する特別委員會の使命が全然なくなるという見地からも、議會運營の建前上からもよろしくないと思います。本日のこの議題は直ちに海外同胞引揚に關する特別委員會に移されんことを緊急動議として提出する次第であります。
#4
○安東委員長 ただいまの和田委員の御發議に對しまして委員長より一言御返答申し上げます。この議案は海外同胞引揚に關する特別委員會ができる前にわれわれの方に付託せられたのであります。この點の處理につきましては、ただいまのような疑點を生じましたので、實は委員部とも打合せたのであります。しかしながら委員部といたしましては、すでに外務委員會に付託した以上は、その分については外務委員でやつてもらいたい、こういうお話であります。同時に海外同胞引揚に關する特別委員會の委員長とも昨日話をいたしまして、われわれに付託せられたものはこちらで一應處理するからということを打合せ濟みであります。
#5
○和田委員 それならしようがないが、しかしそれでは事務の運行上あまり適當でないので、實は緊急動議として提出すれば、今日は定足數が足りないので流會になるのですが、そういう横車を特に押すつもりで緊急動議を出したわけでも何でもないが…。
#6
○安東委員長 なおこの次から、こういう種類のものは、この委員會に來るかどうかということはまだわかりませんが、もし來るようなことがあるならば、ただいまの和田委員の御説ももつともなところがありますから、十分協議をした上で全處致したいと思います。
#7
○和田委員 それでは動議を撤囘いたします。
#8
○小川原委員 五十六號に對しまして、内容を御説明申し上げたいと思います。本請願は、ソ連からの復員引揚に關する請願でございまして、この請願は、昨年議會が開かれましてからも、はや三囘御採擇になつておりますが、本年またこれを提出いたしましたので、その理由の趣意とするところは、ソ連につれられていつております者は一家の柱石をなす經濟上の最も重大なひとであり、今日のように社會不安が非常に増大してまいりましては、家族の手ではとうてい一家を支えていくことができない、生活の方法がないのであるから、こういう際に、夫であり、あるいは自分の家の立派な働き盛りの子供である者を一日も早く歸してもらいまして、そうしてこの家庭不安を除去していただきたい、こういうことを涙とともに書きまして請願をいたしたのでありますので、まことにごもつとものことと存じまして、私取次いだわけでありますが、委員長を初めといたしまして、各委員の方々にも、ぜひ一日も早く本國に歸還せられますように、特段のお取計らいを願いたいと考えるものであります。なお委員長のお取計らいによりまして、今日のソ連に抑留されておりますところの人間及び引揚けてまいります人たち、これらに對して、政府よりこの議會を通じまして、安心されますように御説明を賜りますならば、私ども紹介議員といたしましても最も喜びにたえない次第であります。何とぞ委員長においてお取計らいをお願いいたしたいと存じます。
#9
○坂東幸太郎君 ただいま小川原君の説明の通りで、趣旨は同様であります。われわれは、政府がこの點に關して十分に盡力し、また連合軍司令部の方でも十分心配し、またソ連におきましても相當重大なる關心をもつてこの問題を取扱つているはずでありますから、遠からず歸環を信じておりますけれども、何と申しましても、もはや向うでは八月末には冬が來るというような土地でありますから、われわれは何とかして早く歸るように特段の御努力をお願いしたいのであります。何とぞよろしくお願いします。
#10
○安東委員長 政府委員より、本件に關する政府側の努力につきまして、御説明を承りたいと思います。
#11
○大野(勝)政府委員 終戰の際に海外におりました六百四十五萬人の軍人竝びに一般の邦人の方々は、最近に至りましてほとんど大半が引揚げを完了いたしまして、五百五十萬以上が歸環しておる次第でございますが、ただいまの二つの請願の中にあげてありますように、ソ連地區に殘つておられる方々と、それから南方、特にシンガポール、マレー、ビルマ方面に殘留しておられる若干の方々とが、未だ歸つてこられないという状況にある次第でございます。日本におられます家族の方々の御心中は、政府といたしましては、心から御同情申し上げておる次第でございまして、政府は昨年竝びに今年にかけまして最大の努力をもちましてこれが歸環の一日も速かならんことを、連合軍側に對してしばしば懇請いたしておる次第でございます。その結果といたしまして、昨年の暮れになりまして、ソ連地區から最高月五萬というめどで歸環を取計らうという米ソ間の協定が成立いたしまして、その協定に基きまして著々と引揚が實行せられておりますことは御承じの通りでございます。御参考までに昨年の暮から本年六月までのソ連地區からの引揚げ實數をここに申上げたいと存じますが、昨年の十二月には、端數を切捨てまして七萬四千、二月に六萬六千、三月に九萬六千、四月に五萬七千、六月に四萬九千、こういうふうな大體五萬というめどを越ゆる數字もつて歸環が實現されつつある次第でございます。現在なおソ連地區におります數はどのくらいかと申しますると、はなはだ遺憾ではございまするが、正確なる數字をここで申し上げる資料を實は政府はもつておらないのであります。しばしばこの正確なる資料の入手のための措置を講じたのでございまするが、遺憾ながら政府はこれを入手することができなくて今日に及んでおります。ただ私どもが今日まで仕事をしてきておりまする關係から推定いたしますると、シベリア、樺太、北鮮。大連方面に殘留いたしておりまする總數は大體八十五萬というふうに推算されるのでございます。そしてその八十五萬の中の大部分がシベリア地區にあるということだけしか、申上げ得ないことをはなはだ遺憾に存ずるのでございます。政府はもちろんただいまの請願の趣旨の達成に對しまして、今後とも關係方面に對しましてもあらゆる努力を試みまして、歸環の一日も早く實施されんことを努力する考えでございますが、私は連合軍側の好意と誠意に信頼して差支えないということをここで申し上げまして、私の説明を終わりたいと存じます。
#12
○小川原政信君 この際附加してお願いいたしておきたいと思います。大變詳細な御説明によりまして大體をしることができたのでありますが、一例を申し上げますと、ウラジオに抑留されておる者が、本年の一月手紙を出しまして、本年の四月にようやく著いておる。その返事をいたしましたがまだ何ともわからない、こういうようなことであるし、また歸つてくる人からみますと相當どうかと懸念される點もあるのであります。そこで政府では非常にこの點については御心勞を煩わしておりますが、また家庭におる者も非常に心痛いたしておりますので、何とか文章でもすらすらといけるようにしてこの安否を知りたいとか、まだいろいろの實情を聽きたいというようなことは肉親關係のものから毎日毎晩のようにわれわれが訴えられますが、難とかこういう點におきまして一つラジオもございますから通信を得させしめるように、特段のお骨折を願つたらどうか、あるいはウラジオ方面から歸環するところの船の數は、一體何隻くらいでこれが往復しておるものであるか、考えてみますれば愚痴のようではありますけれども、その愚痴をこぼすところに国民性のゆたかさがあるのでありまして、あながちこれは無理とも押し切ることができぬのでありまして、こういう點も一つ涙を流す人の氣持になつて何とかその邊のところを政府の方でもお骨折にあずかりたい、かように考えるのでありますが、まことにこまかいことを申し上げて恐縮でありますが、委員長から一つお取計らいになりまして、政府の方にその方面のお話も簡單でよろしうございますから、お話しを願いたい、かように考えて降ります。
#13
○安東委員長 ただいまの小川原さんのお言葉に對して政府委員の御答辯をお願いします。
#14
○大野(勝)政府委員 ただいまの御質問に對しまして、ごく簡單に御報告を申し述べさしていただきたいと思います。ソ連地區におられる方々との通信の問題でございまするが、これは正規の手續によりまして、往復葉書を出します場合におきましては届くものもあるというふうに聞いておりますので、これらにつきましてはさらにその當時者の方々がその事情をよく御承知になつて十分よく届くような手續をとれるようにわれわれの方で一つ措置いたしたいと存じます。なお、日本において内地向けの放送をいたしておりますが、その中に引揚者に關する時間を特に設けていただいております。この引揚者の時間中に放送されますことにつきましては、特に海外におられる方が特段の關心をもつて聽いておられるということを私は確信するのでございます。從つて、日本における状況等は一般の問題につきましては、そういう機會を通じましてシベリアにおられる日本人の方々もこれを聽き得るチヤンスがあるというふうに實は考えている聲次第でございます。しかしながら、ただいまの御希望もございますので、政府といたしましては通信その他の件につきまして、でき得る限りの措置をとりまして、當時者の方々に、どういう手續でいたしましたならば届くかということを周知させるような措置を講じたいと、かように考えている次第でございます。それからもう一つ、どのくらいの船で、今シベリヤ方面から引揚げてきつつあるかという御質問でございましたが、これは現在舞鶴と函館におきまして、シベリヤ竝びに樺太、千島方面からの引揚者を受入れているのでございますが、一番多いのはやはり函館でございます。函館におきましては大體一個月十五隻ないし二十隻くらいずつ船がはいつております。いずれも二、三千人ずつ運んできておりますので、連日連夜現場におきましては非常に忙しい仕事になつております。援護局の方々が日本この事務に鞅掌しているのでありまして、この點につきましてはただいまのところは圓滑に進んでいるということを御報告申し上げたいと存じます。
#15
○坂東幸太郎君 私は人道主義を標榜するソ連のことでありますから、まさかわが同胞に對して冷遇しているとは考えておりません。シベリア方面の兵隊からの國の方への手紙より察しまして、ソ連は決して日本人を冷遇しているとは思いません。しかしながら他の支那あるいは南方方面はほとんど全部歸つております關係上、どうかして早く歸してもらいたいものだと思うのであります。決してわれわれ日本の國民がソ連を恨むとか、あるいはソ連をなじるとかいうのではないということをよく御了解を願いまして、とにかくわれわれ日本の國民は、ソ連は最も人道主義を標榜している國でありますから、日本人に對しては必ず優遇しているものであるという信念に立つております。でありますから、その人道主義に訴えて速やかにその人々をソ連から歸してもらうようにお取計いあらんことを切にお願いいたします。
#16
○安東委員長 他に御意見はございませんか。
#17
○加藤(シ)委員 別に意見じやございませんが、御参考までに申し上げておきます。この前海外復員の引揚状況について、政府委員の方々からいろいろ御報告をいただきましてけれども、第一復員省の方から、これはいわば個人的ではございますけれども、アメリカのこういうようなことに理解のある國體を通じて、われわれの聲を取上げてもらうということが、今われわれに殘された唯一の促進のためのよいことではないかというようなお言葉がございましたので、私はさいわい先ごろ日本に來朝されましたロージヤー・ボールドウインという方が、人權擁護連盟の會長でおられますし、特に日本の立場にも非常に御理解と御同情のある方でございますから、われわれの今日の海外同胞引揚促進運動の状況及び嘆願の心持を、あちらの人道主義の方々の氣持に訴えてぜひ一日も早くしていただきたいという手紙を、外務委員の私から個人として―ただいま公でそういうことはおそらく許されないと存じますので、個人としてそういうことをする手配をいたしておりますので、この際ちよつと御参考までに御報告申し上げて起きます。
#18
○亘委員 ただいま議題となつております請願は二件ともいずれも採擇せられんことを望みます。
#19
○安東委員長 本請願につきましては、ただいま亘委員から動議を提出せられましたが、本委員會といたしましては、この請願を採擇するにあたりまして、特に政府に對しこの上とも御盡力をくださることを要望すると同時に、この請願の趣旨を達成するために、新たにできました海外同胞引揚に關する特別委員會とも連絡協力して、最善を盡すことにいたしたいと存じます。本請願を採擇するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○安東委員長 それでは採擇に決定いたしました。
 これをもつて散會いたします。
    午後一時五二分散會
ソース: 国立国会図書館
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