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1947/08/02 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第3号
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1947/08/02 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第3号

#1
第001回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第3号
昭和二十二年八月二日(土曜日)
    午後二時五十九分開議
 出席委員
   委員長 淺沼稻次郎君
   理事 井伊 誠一君 理事 工藤 鐵男君
   理事 大原 博夫君
      笹口  晃君    原 彪之助君
      細川 隆元君    正木  清君
      森 三樹二君    矢尾喜三郎君
      安田 幹太君    生方 大吉君
      東  舜英君    馬越  晃君
      山崎 岩男君    岩本 信行君
      角田 幸吉君    周東 英雄君
      花村 四郎君    平井 義一君
      木下  榮君    松原 一彦君
      石原  登君    織田 正信君
      綱島 正興君
 委員外の出席者
        衆議院議員   林  百郎君
        法 制 部 長 諸橋  襄君
        法制部第一部長 三浦 義男君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 委員會運營に關する件
 政黨法及び選擧法に關する意見交換
    ―――――――――――――
#2
○淺沼委員長 これより會議を開きます。
 この際お諮りいたします。政黨及び選擧法の立案にあたつて、條文の整理及び準備等のため、法制部長以下法制部參事を出席させることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○淺沼委員長 御異議なければさよう決定いたします。なお先日要求されました資料のうち、今まで提出された若干のものを配付しておきましたから御了承を願います。
 次に昨日の理事會におきまして決定いたしました事項を御報告申し上げまして、議事進行の上の參考に供したいと思います。昨日理事會を開きました結果、昨日同樣自由討議は續ける。資料の提出を待ちつつ自由討議を行つていく。それから本會議のない日の午後、本日は本會議散會後開きましたが、今後本委員會は本會議のない日の午後一時より開會いたしたい。こういうような申合せをいたしましたから、御了承をお願いいたします。
 昨日に引續きまして自由討議を行います。政黨法について、さらに選擧法について何か御意見のある方は……
#4
○石原(登)委員 どうでしようか。自由討議というのは一應政黨法をつくるにいたしましても、各黨各派で大體こういうような線で政黨法をつくつたらどうか。こういうことを中心とした自由討議にもつていかれた方が、よほど能率的ではないかと思いますが、いかがなものでありましようか。
#5
○淺沼委員長 他に御意見ありませんか。――ちよつとお諮りいたしますが、委員外でありますが、共産黨の林君から發言を求めております。これを許可するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○淺沼委員長 御異議ありませんから許可いたします。林君。
#7
○林百郎君 私は今第一議員倶樂部からの發案がありました通りに、やはり各政黨から大體の試案をもち寄つて、それを參考にこの委員會に發表して、それを基礎にして進めていつた方がいいかと思います。そういう意味で、實は共産黨も共産黨の政黨法の大綱をつくつております。今日實はできましたので、もし各政黨の試案をもち寄つて、建設的に議していこうということでしたら、ひとつ共産黨も加えていただいて、私の方の試案も發表させていただければ非常に幸せだと思います。今の第一議員倶樂部の御發言を支持したいと思います。
#8
○花村委員 私も大體ただいま林君のお述べになりました趣旨に贊同する一人であります。ここにおいてただ目標なしに自由討議をいたしましても、その收穫たるやまことに微々たるものであろうと思うのであります。とにもかくにも政黨法は現在の政黨に對しまして、相當重要な關係をもつておりまするので、從つてここに配付になりました政黨法案なるものがございまするが、この出所はどこかわかりませんが、とにもかくにもこういう案が配付になりましたので、これを各黨がもち歸りまして、おのおのの政黨において調査研究の結果、その腹案を得まして、そしてここに集まつて、いかなる立派な政黨法をつくるべきかという線に沿うて論議を進めることが、最も適當な方法であろうと存じます。ゆえに私も大體林君の言われるような意味において、本委員會の議事を進行されんことを希望いたします。
#9
○淺沼委員長 他に御意見ございませんか。
#10
○東委員 皆さんの御意見にはむろん反對ではありませんが、各黨でそれぞれ案をもち寄ることは、むろん當然結構なことと思います。われわれは實はここで委員に選ばれましたけれども、政黨法というものは何もわからぬ。そこでここにある政黨法案は、どなたが立案されたか知りませんけれども、一遍この案を立案された方面のどなたかにおいで願つて、この案の説明をわれわれに聽かせてもらいたい。そうして政黨法というものに對する概念をわれわれに一應與えていただかぬと、委員になつて自分の黨に歸つて、少しの知識もなしに案をつくろうといつても、自分の黨へ歸ればわれわれがやはり中心になつて、立案のことに當らなければならぬのですから、これはあまり速記録に載せると、はなはだ體裁の惡い話ですけれども、ここで一應先程の政黨法というものに對する概念を説明していただきたいのです。
#11
○工藤委員 今各派からもち寄るということになると、相當時間を要すると思いますからやはり今出ておるだけの案の程度で、あるいは總論的に、あるいは各論的に問題もありましようから、各派からのもち寄りはもちろんもち寄るわけですが、今あるだけでもある時間お進め願うことを私は希望いたします。
#12
○石原(登)委員 今配付になつた政黨法案は、昨日要求されたもので、これは昨年の内務省案だと思うのです。そうじやないですか。私は昨日の委員會の經過から考えて、まだこういうものができ上るはずはないと存じておりますが……。
#13
○淺沼委員長 そうです。
#14
○石原(登)委員 そうすると今のそちらの御意見は全然相違するわけですから、そういうことに了承いたします。
#15
○淺沼委員長 いろいろ御意見があると思うのですが、大體昨日の議事運營をやる上については、自由討議を二、三囘やつてみようということで、一應の決定をみておるわけでありまして、この政黨法及び選擧法について御意見のある人は意見の發表を願つて、なおかつ昨日の議事進行の結果から考えてみれば、大體において政黨法は必要であるというような議論が大勢を制しておつたようでありますし、その内容いかんによつては、憲法の問題も解決づける。しかも内容は政黨の範圍をどうするとか、さらには政黨について民主的な組織をやるにはどうやつたらいいとか、こういうような議論が出ておりましたが、そういう項目をお互に述べ合うことが、やはり前提ではないかと思いますから、何か御意見のある人がありましたら……。それで大體各黨にもち歸つてということにも必然的になろうと思うのであります。それから東君の資料に對する説明というようなこともありましたが、これも後でよく相談したいと思いますがいかがでしようか。御意見はありませんか。
#16
○細川委員 私は東君の意見に贊成します。自由討議の一つの目標を與えるという意味において、前吉田内閣のときの大村内務大臣でありましたか、あるいは植原内務大臣でありましたか知りませんが、内務省においてとにかく立案された草案が、ここに資料として出ておりますから、その資料の説明という意味において、一應何ゆえにこういうものを立案したか、立案の動機・經過及び内容についての説明を聽けば、さらに自由討議の題目がおのずから出て來るのではないかというふうに考えますから、私は東君の説に贊成いたします。
#17
○淺沼委員長 他に御意見ありませんか。議事の運營のことよりかこの問題について意見はございませんか。議事の運營のことは東君から言われた通りですが……。
#18
○石原(登)委員 くどいようですが、この草案をつくることが一番大事なことなのです。ほとんどの法律案が、皆草案がまげられてできておりますから、まず草案をつくるまでの前提として、大體どういう骨子でつくつたらいいか、こういうことを各黨派がもち寄りまして、それによつて草案をつくつていつた方がよりいいのではないか。特に昨年できたのは内務省の案でありまして、少くともわれわれは官僚とは常に對立するわけでありまするが、そういうわれわれの生命である政黨法は、内務省あたりに頼むべきものではなく、われわれ自身がつくるものなのである。こういうような新しい政黨法の制定にあたつて、内務省で昨年つくられたものを參考とすることは非常に危險があると思いますので、ただいまの東委員でしたかの御意見にはにわかに贊成できぬと思います。
#19
○淺沼委員長 今日になつて政黨にもち歸るというような話も出たわけですが、昨日の大體の決定では、自由討議を二、三囘續けるということが大體きまつておるわけです。自由討議がなければおのずから理事會なりまたここで運營の方法を考えることにいたして結構だと思うのでありますが、意見を發表する方はございませんか。
#20
○織田委員 政黨法について私の考えを申さしていただきます。現在ここに配付になつておりまする政黨法案については、全面的に私たち反對するものであります。この内容についてよく檢討いたしました結果、政黨法の最も惡い例として、これを參考にするのであればいいのでありまするが、これを一つのモデルとして、模範的な例としてこれに副つてやるというのならば、全面的にわれわれは反對いたしたいと思つております。その理由はただいまもだれかから申されておりましたように、政黨法そのものをつくる理由がわからない。だから政黨法の概念を説明してもらいたい。そのためにこの政黨法案をつくつた人が來て説明してもらいたいというような話があつたようでありまするが、私自身もどういうわけで政黨法をつくらなければいけないか。これは昨日も質問した點でありまするが、この點について釋然としない點が多々あるのであります。一般に言われております一つの大きなる理由といたしまして、現存の日本の情勢から――現在の日本の情勢というのは、千數百の群小政黨がある。この群小政黨を整理しなければいけない。でき得べくんば二大政黨對立の方向にもつていきたいというふうな意圖があるようにも考えられるのであります。しかし靜かにこの點について考えてみますときに、なるほど千數百の群小政黨を整理するための政黨法であるならば、その政黨法ができることによつて、他の多くの政黨を解散させなければならぬということは、正しく憲法違反である。ゆえにこういうことはできないのではなからうか。憲法の結社の自由を護りぬくためには、政黨法には認められなくても、憲法に認められた政黨という、二重の性格をもつたものが生れて來る。そうなつた場合には、最初の政黨法をつくる意圖である群小政黨の整理ということが、全然實現しない。群小政黨は依然として現存しておるということになるのではなからうかと思います。そうして憲法によつて認められた政黨と、政黨法によつて認められた政黨とでき、そこである一部においては選擧法によつてハンデ・キヤツプをつけられるのではなかろうかというような議論も行われておるようでありまするが、もしこれを政黨法によつて認められた政黨を有利な方向にもつていくとすれば、かつてのあの軍閥政治時代の翼贊選擧が行わけたと同樣な結果を招來するのではなからうかと、私懸念するものであります。そうしたら最後に政黨法で政黨と銘を打てるその基準をどこにおくかということが、大きな問題になつてくるのではなかろうかと思います。昨日松原代議士が政黨は政策をもつて生命とするのであるというようなお話がありましたが、政綱政策をもつて生命とするのであれば、その政綱政策のよし惡しを基準にしなければいけない。しかし政綱政策のよし惡しの判定はしからばだれがするのであるかという問題がまた出てきますし、現在のこの政黨法案によつては、現在の政治勢力の範圍内においてくぎづけしようとする氣分が多分に見られるのであります。現在の政黨の議會人が二十五人以上であるとか、投票數が何パーセントとかいうようなことが規定されておりますが、現在のこの政治勢力において限定しよう、これによつて規定しよう、この考へ方は非常なる誤りである。というのは、第一番に政黨というのは、なるほど現在の大政黨は主義主張、そうしてそこへ集まつておる人物が優秀であり、國民がそれに贊意を表したのかもわかりませんが、この大政黨がいつまでも正しい道を歩むとも限らない。また墮落した場合に、國民から支持を失うということになるので、現在の名もなき群小政黨、この名もなき群小政黨が將來一大政黨にならないとも限らない。現在の社會黨を見ましても、かつてはわずかな小政黨であつたのであります。それが現在第一黨にまでなつてきておる。政黨というのは生き物であり、生成發展し、そうしてまた死滅していくものである。これは特に敗戰後の日本の現状を思い合わすならば、痛切に感ぜられるのではなかろうかと思います。第一囘の選擧におきましても自由黨、進歩黨、社會黨、協同民主黨、共産黨といつたようなものが現われております。現在既に進歩黨という、あの第一囘の選擧で第二黨であつた政黨はなくなつてしまつております。そうして協同民主黨もなくなつてしまつております。それから途中に國民黨という新しいものが生れてきた。また國民協同黨という新しいものが生れております。また民主黨という新しいものが生れてきた。第二囘の選擧には社會黨、民主黨、自由黨、國協黨、農民黨、共産黨というように、このわずかの期間に二囘行われた選擧において、政黨の離合集散が行われておるのが現状であり、そうしてまたその政黨の構成人員の内容を見てみますときには、このはげしく民主化が行われておる今日、人物は變りつつあるというのが僞らざる現状ではなかろうかと思います。ところがこの政黨法案の試案の内容を見てみますときに、むしろ政黨の離合集散、政黨人の新陳代謝を阻害する面が多分に盛り込まれておるように考えられる。そうしてまた今月のこの政治情勢というものは、このままで續くとは考えられないのではなかろうか。將來ここ數年間、日本の政治情勢というのは變つていくものであるし、またその變るのを法をもつてまでこれを阻止しようとするこの考え方は、非常によくない考え方であると私たちは考えるものであります。こういう點を考えてみますときに、なるほど政黨の民主化、二大政黨の正常な状態にもつてこなければいけない。それは私たちの願いでありまするが、これを法をもつてやろうとすることは間違いではなかろうか。むしろ政黨というのは政策と、その政策のもとに集まる人物と、その人たちがいかに熱心に實踐運動を展開するかということによつて國民の支持を得るのであるがゆえに、この政黨はいいか惡いか。價値あるものかないものかを認める基準は、まさに國民が選擧のときに投票する、そこに基準があるのであつて、いたずらに法律をもつてこの基準をきめるべきものではない、このように考えるのであります。
#21
○角田委員 ただいまの御發言によつて、ようやくこれから討論の軌道に入るかの感がいたしますので、私はただいまの御發言に對してこういうことをまず討論の手段としてお考え願えば幸いだ、こう考えますので、一言したいと思うのであります。一方において二大政黨論を理想とする一派、そしてまた一方には二大政黨論の理想を疑う一派があります。こういうことについてまず御議論をしていただきましたならば、政黨法をつくる一つの基準討論になりはしないか。こう思うのであります。ついでながらつけ加えて申し上げますが、從來の日本の政黨――ただいまのを申すのではありませんが、政友會、民政黨等の政黨は、經濟的な基盤關係を見ますると、二大政黨の存在に利があつたかどうかということに疑いをもつのであります。むしろこれは昔の源平藤橘的な考えあるいはもつと近いことで言えば、三井、三菱閥の政黨化のごとき觀がしたのであります。幸いに最近は無産政黨の擡頭がありましたので、今後の政黨のあり方はどうあるべきかということもお聽かせ願えれば、われわれ政黨法を立案するについての參考になると思います。それで考えますることは、現在の政黨、四大政黨でしたか、五大政黨でしたか、私寡聞にして知らないのでありますが、思想的に見ますと、いまだ十分なる政黨の出揃いがしていないのではないかとまで考えるのであります。それは政黨になるかならぬかということになりましようが、支那には孫文の三民主義があり、インドにはガンヂーの無抵抗主義がある。こういうものもやはりいろいろな主義というものにおいて、われわれ研究していつたならば、相當研究の材料になると思うのです。そういうたくさんの政黨があつて、そして互いに思想を掲げ、政綱を掲げて切磋琢磨するところに人類の發達があり、文化の向上があるとも考えられる一面があるのであります。そこで現在の状態におきまして、二大政黨が政治の理想であるならば、小黨分立がなおよろしいものであるかどうか。このくらいのことをまずひとつ先輩各位、同僚各位から御指導を願いたいと思います。
#22
○淺沼委員長 他に御意見はございませんか。
#23
○工藤委員 政黨法は必要がないという前提のもとの御議論を伺いましても、すでにその内容にはいつて議論をしておるところからみますと、問題は内容問題だらうと思うのです。われわれは維新以來日本に現存しておるところの政治團體としてのいわゆる政黨は、いろいろな罪惡もありましようけれども、少くとも日本の政治の進歩の上には相當貢獻したものであるということを確信しております。しかし明治以來のこの政黨は、さまざまなる變遷を經てここに至つたのであるが、ついには種々なる形においてこの國で千有餘の政黨をみた。つまりもとならば治安警察法によつて屆出たところの政黨ができた。今でも屆出るのです。北朝鮮においても、わずかあのくらいのところでも千いくつの政治團體で出て、これを整理することにおいて、アメリカとロシヤとが非常なる激論を戰わしているような例もある。朝鮮の獨立も思うような進まぬというのは、實際われわれが新聞によつて見るところの事實であります。千有餘の日本の政黨は必ずしもこれは排斥すべきものではない。生れるということは生れるだけの理由があつたのであります。しかしながらこの社會に現存するこれら千有餘の團體は、規制せずして、このまま通していいかどうか。またこのままで政黨が發達していけるかという意味から考えますると、私はこの際政治團體に一つの規制を與えて、これを國家の力、あるいは國民の力で適當に指導していつて、判然とした政策を掲げて、國の前途に歩を進めていくということが私は必要だろうと思う。從つてこの點からみれば、私は今日政黨法必要なり、しかしながらこの内容いかんによつては、時代に應じて決定していかなければならぬ問題であるし、また必ずしも今出ているところの草案そのものにこだわる必要はない。われわれは獨自の立場で一つの政黨法をつくる。これをつくるがための一つの自由討議を必要とする。もしこれがさいわいに各自の思うところをこの席上において發表し、互いに相研鑽していくということであれば、得るところ必ず大なるものがあると私は確信いたしております。從つて前提としては私の議論は政黨法はつくるべし、但しこの内容については、憲法その他社會の情勢、世界の情勢に鑑みて、法律として形も内容も備わつたような政黨法を一つつくろうではないか。しかしながら法律というものは、つまり一つの規制であり規範でありまするから、これがために束縛を受けることはこれは免れません。どんなことをしてもわれわれ法律上の制約を免れることはできないのであります。ゆえにこの内容については、私どもは互いに意見を交換し、自由を尊重し、權利を擁護して、どこまでも國家の進運に副うような法律をつくりたいのであります。ただいまお話を伺いましたが、頭から政黨法を否定するかと思うと、もうすでに内容についての議論がある。政黨法を否定する、政黨法をつくることを否定する方々が、つまり内容を論じておるのであつて、しからば内容さえよければいいかということを、われわれは反問せざるを得ないのでありまするから、私は、大體において政黨法をつくろうじやないか。千有餘の政治團體を規制して、これに一つの規制を與え、進むべき路を與え、そうして進もうじやないか。この意味において私は自由討論を希望しておるのであります。この自由討論によつてお互いに交換せられたるところの意見は、おのおの各黨へ持つて行つて御相談なさるもいいし、またこの席上において自由に御發表なされてもいいし、もしこれが各黨に行つて、黨の意見をまとめて、しかしてこの席において議論するということでありますれば、今日のような、政府の力ですらも容易に議案を出せない今日において、われわれの微力なる力でもつて黨の意見を完全にまとめて、この議場に持出すということはよほど困難でありまするから、まず便法としての自由討論をして必要なるところの意見をここに集めて、そして適當にこれを整理して、一つの法律をつくる、すなわち政黨法をつくるということに進めたいのであります。これは私工藤鐵男として、委員の一人としてこれを申し上げる。
#24
○織田委員 ただいま工藤代議士からいろいろ御意見がありましたが、私も昨日お話を伺つておりましたのでは、全然今までの試案は一つの參考にしか過ぎない。新しく今度生み出すのだ、そしてその理由は、民主化を助長するために政黨法をつくるのだというようなことが言われておりましたので、私といたしましては、昨日も申しましたように、何がゆえに政黨法をつくらなければならないかという點について、非常に釋然としないものがあるのです。ところがただいま工藤代議士の言われた中には、政黨法をつくらなければならないという大きなる意見として、やはり群小政黨、たくさんの政黨がある、これを何とかしなければいけないという氣持と、そして新しいものの芽生えを防いではならないというような氣持もおありになる。そうしたらこれを法の上でどういうように現わしたらいいか。政黨の範圍というものはどうきめるべきかというところに――私は實はゆうべ考えたのでありまするが、先ほども申しましたように、徹底的に政黨を整理すれば憲法違反になる。またそれを結社の自由で殘すということにすれば、二重的な性格をもつということと、政黨の基準を何によつてきめるか、その結論として國民によつてきめる以外にし方がない。國民によつてきめるということは、選擧によつてきめるということになり、それでは政黨法が要らなくなる。私は昨日話を聽いておりまして非常に贊成したのでありますが、しからばどういう具體的なる法案をつくるかという點について徹底的に究明していくと、元へ戻つてしまうのではなかろうか。だからただいま工藤代議士が申されましたように、群小政黨を整理しなければいけない、しかし新しいものを芽生えさすといつたような法案の具體的内容を、政黨法に贊成している人から示していただきたいと思う次第であります。
#25
○工藤委員 白毛を生やしてしばしば立つのは申譯ないが、ただいまの發言者の考えも私の考えもそう違わぬと思います。違わないのですから、内容いかんによつては自由討論をする。いろいろな御意見がありましよう。長い間政黨生活をし、あるいは中央及び地方の選擧に携わつて相當體驗をもつておりますから、政治團體というものはどういうぐあいにしたならば國家の進運に貢獻し、國の文化を助長していけるかということは、お互いの討論の間に必ず得るところが多いと思いますから、私は自由討論を主張しているのです。從つてこの内容については、いずれ起草委員をつくるか、あるいは專門家の意見を聽取して、めいめいにやるようなこともありましよう。そうしてこれと思う案ができましたらなば個個に出すもよし、また委員をつくつてやるもよし、いろいろ方法があるでありましようから、私としてはまづもつて、今のうちに群小の政黨を正しくかつ健全に導いていつて、將來の日本を擔當する立派な政黨として、團體の力をもつて國の進運に貢獻するぐあいにしていくというのが、この立法の目的でなければならぬと思うのです。でありますから、この内容は御議論の結果、起草委員によつてきむべきものである。日本にはずいぶん大政治家も法律家もあるが、ここの圖書館にあるものだけで見ても、きわめて貧弱なものである。三、四の參考書を讀んでみても、今日の日本にきつぱりこうしたならばよいというような議論もありませんから、ここでは衆知を集め、四十名の委員もおるのですから、研究してみたならば、私は相當得るところが多いだろうと思います。ただいまの委員から私の名前が出ましたから、この件を繰返して申し上げる次第であります。
#26
○淺沼委員長 他に御意見はありませんか。
#27
○林百郎君 大體この問題は、やはりある中心をもつていかなければ、議論が散漫になるではないかと思います。大體國家としてこの際政黨を規制しなければならぬという要請がかりにありとするならば、やはり今一番問題になる點は、手もとに配付されました政黨法案を參考にして考えてみますと、こういう點が將來非常に心配になるので、新しい政黨法をかりにつくるとしても、こういう點は愼重なる考慮をしなければならないという點が三つ考えられるのであります。第一點としては、政黨の範圍が第一章に規定されておりますが、政黨の範圍をこうした法律できめてしまう必要があるかどうか。たとえば議會内に一定の數をもつものでなければ政黨と言えないとか、あるいは下部組織が、たとえば何十萬なら何十萬の組織をもたなければならない、あるいは選擧の得票數が幾らでなければならない、こういうような規定をつくる必要があるかどうか。すなわち政黨の範圍を法律でもつてわくをきめる必要があるかどうか、やつとわれわれは民主主義を身につけたばかりで、これからほんとうに民主主義が肉となり血となつていく前提が、今もつて暗中模索の最中で、小さい政黨でも將來は伸びる可能性のあるものもあると思います。そういう場合、今から一定の人數とか、あるいはいろいろな法律のわくをきめてしまつて、これでなければ政黨と言えないということをきめてしまうことがいいことかどうか。それから第二點としては組織の問題ですが、政黨の組織について主務大臣に全部屆出をして、その屆出を怠るときは懲役の罰則まで設けている。しかもこれは行政大臣が政黨の監督をするということがいいかどうた。第三點として政黨の會計の點ですが、この手もとにある試案によりますと、會計檢査院、最高裁判所の長が會計檢査員ときめて、これが各政黨の會計を檢査するという點がある。かつ地方支部では地方の裁判官がこれを審査する。結局政黨というものが組織の點を會計の點で、行政官竝びに司法官のような官僚に大きな干渉を許す可能性が非常に多い。われわれ政黨の意義は、結局官僚を政黨が監視するということが大事だ。殊に國會は國權の最高機關である。民主主義的に民衆の支持を得、人民の支持を得た政黨こそ、眞に日本の國の最高權威者にならなければならない。それから長い間の日本の國の弊習であつた官僚の跋扈に對して、にらみをきかせるものは政黨のみしかないという自覺をもつている際に、政黨と組織の點竝びに政黨の會計の點で、官僚に干渉の餘地のあるような法案をつくることがいいかどうか。結局私は以上三つの政黨の範圍を今早速法律でわくをきめなければならないかどうかという點、それから政黨の組織について主務大臣に屆出その他の干渉を許していいかどうかという點、政黨の會計について司法官竝びに行政官僚の干渉を許していいかどうかという點、こういう點が將來非常に由々しい問題になると思う。これによつてわれわれ政黨が官僚に監視され干渉されるということになれば、これは大變な問題でありまして、日本の民主主義の發展がこのために阻害される危險が非常にある。この點について各黨の皆さんによく研究していただきたいと思う。
 なお一つ希望いたしますが、もし外國の政黨法に關する資料がありましたならば、はなはだ煩瑣だとは思いますが、これを各委員に配つていただければ將來の研究の非常にいい材料になると思います。これだけ申し上げておきます。
#28
○淺沼委員長 林君に申し上げますが、外國の政黨に關する資料は、ただいま政府に對して要求中でありますから、近いうちに提出されるかと思います。他に御意見はありませんか。
#29
○工藤委員 今の中心がないために議論が散漫になるというお説はもつともでありますから、われわれは順序として、まず政黨法をつくる必要ありや否やということを御決定願つて、それでよろしいということであれば、まず政黨法の中にもさまざまな包容するものがある。これは一つの參考資料ですから必ずしもこれに左右される必要はありませんが、つまり一つの政黨の性格をどうきめるか。あるいは組織をどうするか。あるいは政黨として一番大事なものは、衆議院議員はすなわち國民の代表者であつて、この人々の集まつたところは國家の最高機關として認められている、いわゆる國會であります。從つてこれについても相當なる考慮を費して、衆議院議員の選擧のし方などについても考えることがやはり必要だろうと思う。それから從來政黨の仕組については弊害が非常に多かつたと言われるが、會計の監督などもむろん必要です、しかしこういうものに至るまで國家の干渉を受ける必要もない。もし純正な政黨ができて立派な政黨になれば何ら干渉を受ける必要はない。何ら法規の必要もない。罰則その他いろいろありましようが、その内容について議論希望があらうが、要するにあらゆる政治團體の發達していたところはでき得るだけこれを認め、これを指導し、そして國民にその政黨を信ぜしめて、そしてこの政黨の政策政綱、宣言というものはあくまでも國民に信用させて、そして國の發展に貢獻させるようにしたいという目的をもつて、私は政黨法は必要だと思うのですから、内容に至つてはまだまだいろいろ御議論もありましようから、まず政黨法をつくる目標のもとに議事を進めてもらうことを私は希望するのであります。
#30
○淺沼委員長 私の意見を申し上げますが、私どもに本會議から政黨法竝びに選擧法に關する調査を依頼したゆえんのものは、各派交渉會竝びに各黨間の議會内における各黨各派の申合せに基いて、現下の諸情勢のもとにおいては、日本の國において政黨の民主化竝びに選擧法の民主化が必要であるということの上に、調査研究が委託せられたわけでありまして、そのことは、必然的に單なる調査研究でなくして、立法ということが約束づけられておることだと私は思うのであります。從いまして本委員會において政黨法の必要がないという議論は、私どもが付託された經過に鑑みて、あり得ないことだと思うのでありまして、私どもは調査研究した結果、立案までいくのが本委員會に與えられたる務めと考えております。從いまして今工藤君の申されました政黨法は必要であるという前提のもとに議論を進めているのではなかろうかと思うのであります。ただ運營の上において、昨日に引續き本日も自由討論をやるということであつたのですが、自由討論についてまだ御意見がなければ、皆さんが御意見をつくり得るまで休會をいたしまして、また會議を開くという方法がよかろうと思うのであります。
 それからもうひとつ申し上げておきたいと思いますことは、ただいま東君から要求がありまして、參考資料として前内閣當時成案をされた政黨法案なるものが出ております。これについて内務省の立案されたその趣旨竝びに内容等について、參考のために内務省の方をお呼びして聽いたらどうかという動議がありまして、内務省の都合を今伺いましたら、ちようど歸られたあとでおらぬようであります。ただ私どもは立法する上において必要なのである、向うから案を聽くというのではなくわれわれが政府を呼んでこれに對するその考え方を聽くということは當然の行爲と思いますから、もし皆さんが許せば、次囘において――私どもはこの案に拘泥されないという各派申合せでやつておるのでありますが、一應内容を聽こうということであれは聽く手續をとつてよいと思いますが、いかがでありますか。
   〔「贊成」と呼ぶ者あり〕

#31
○淺沼委員長 それでは次囘にそういう手續をとつて、政黨法案の内務省起案について意見を聽くことにいたします。
#32
○石原(登)委員 ただいま林君から、三つの點についてぜひ愼重に考慮してほしいという意見がありました。私共まつたく同感であります。同時に林君としては、この點だけは政黨法をつくる上に必要であるという御意見もあると思います。その點は共産黨、われわれ小會派のみでなく、政黨法をつくる必要を考えられた各黨各派においては、こういうことは、絶對必要である、こういう御議論があると思われますから、その御意見を一應私ども聽かしていただいて、それを參考にして草案をつくる。こういうように進めていただければ、草案をつくる上においても民主的であるし、能率的であると思います。そうでないと、どういう方向において法案をつくろうとするのか、にわかに小委員會にもつていかれるということは、――ないとは確信いたしますが、それでは日本再建のためにも、將來日本のあり方のためにも重大なことでありますから、漠然としていくことは非常に苦しいのでありますが故に、今日は各黨各派から大體こういう範圍、概念だけで結構ですから、こういう範圍の政黨法をつくろうじやないかという御意見はある筈だと思いますから、そういう意見を聽かしていただければ、私ども非常にさいわいだと思います。
#33
○森(三)委員 この政黨法に關して、ただいま資料を手もとに配付されたのでありますが、先ほど來皆さんの御意見をいろいろ伺つておりましたが、各委員諸君におかれましても、なお十分に政黨の意義、範圍その他字句等についてもお互いに研究いたしまして、各政黨にはそれぞれの政務調査會その他役員等もありまして、おのおのその政黨の性格から出發いたしまして、これを議題として相當愼重審議をいたしまして、しかる後に各政黨がそれに對する精密な檢討と意見とをまとめてから、さらに委員會を開いて各黨の主張を開陳する。かようにして本法の審議を進められた方がよいのではないかと思います。本日はこれ以上意見の交換をいたしましても、大體出盡したようでもありますし、さらに研究いたしました上で、あらためて日程を組んで審議を進められんことを希望いたします。
#34
○工藤委員 内務省からどういふ方が來るか知らぬが、選擧とかこういう立法に經驗ある方でしようから、私どもは十分質問してみるがよろしい。ただこの案で一番大事な點は、小會派をどういうように認めるか、これは憲法との關係をよほど考慮しなければならぬのでありますから、その點が重點です。政府の干渉云々ということがありましたが、今まで官僚が横暴を極めた代り、政黨もかなり横暴を極めたことは世間から言われているが、今日においては官僚といえども政黨に入ることができるのですから、必ずしもその意味ではなく、政府が考えているところは角度が違うから結論が違つてくると思いますが、内務省の方から十分權威ある人を呼んで、存分に質問をして議事を進めていくことを希望いたします。
#35
○淺沼委員長 森君の議事進行の發言について一言申し上げますが、各黨派の政務調査會で立案ができてからといふうことでなく、兩建でいくことが妥當だと思います。自然黨人としての發言、議員としての發言をどう調整するかということが、重大な問題だと思います。議員みずからの發言、またわれわれがもつております立法權をどう行使するかということも、この委員會の運用の上からも私はよりよく發揮していきたいと思いまして、兩建でいきたいと思います。
#36
○森(三)委員 もちろん委員長の御説明になつたように、兩建で交互にわれわれの意見を述べ、また政黨の意見も述べ、交互に兩建でいくようにお願いいたします。
#37
○淺沼委員長 それから次囘は公報をもつて御報告いたすことにいたしますが、先ほど申しました通り、本會議のない日の午後に開會するということになつておりますから、次囘は月曜日の午後の一時ということになるわけであります。その日に自由討論をなさる方があればやつていただきたい。なければ單に内務省の意見を聽くということに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○石原(登)委員 私は決して理窟を言うわけではありませんが、各黨で政黨法の必要を認めるというのは、どういう種類のどういう意味の政黨を認めるかということがなければならぬ。でありますから大會派からたくさんの委員が出ておるが、何のために出ておるのか疑いたくなります。大體どういうような範圍の政黨をつくるか、このことを明らかにしてもらわないと、内務省の試案がもし中心として考えられるということになりますと、私ども非常に迷惑する點が多々あるわけであります。
#39
○淺沼委員長 その點は、聲明書を參考のために皆さんの手もとにまわしたのでありまして、われわれの委員會を何ら拘束するものでなく、ただわれわれの委員會の討論の資料になつたものにすぎない。各派の打合會においてこういう聲明を出しておるのでありますが、同樣のことが本委員會においても適用されることと私は思います。決してこれを中心として議論するというのではなくして單なる參考として討論の資料になつたにすぎない、私はそういう理解の上に議事を進めていきたいと思います。
 それでは本日はこの程度で散會いたします。
   午後三時五十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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