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1947/08/20 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第9号
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1947/08/20 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第9号

#1
第001回国会 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第9号
昭和二十二年八月二十日(水曜日)
    午後一時四十五分開議
 出席委員
   委員長 淺沼稻次郎君
   理事 細野三千雄君 理事 工藤 鐵男君
   理事 中村 又一君 理事 小澤佐重喜君
   理事 大原 博夫君
      笹口  晃君    原 彪之助君
      細川 隆元君    森 三樹二君
      矢尾喜三郎君    山崎 道子君
      東  舜英君    生方 大吉君
      高橋 長治君    橘  直治君
     長野重右ヱ門君    八並 達雄君
      木村 公平君    周東 英雄君
      花村 四郎君    淵上房太郎君
      木下  榮君    松原 一彦君
      石原  登君    織田 正信君
      綱島 正興君
 委員外の出席者
        衆議院法制部
        第一部長    三浦 義男君
        内務事務官   小林與三次君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 政黨と立候補の關係に關する事件
 政黨法及び選擧法案起草小委員選定の件
    ―――――――――――――
#2
○淺沼委員長 これより會議を開きます。
 本日は政黨と立候補の關係、政黨と官廳の關係、政黨管理のために特別機關を設置してはどうかという意見もありましたので、これらの問題について、さらには政黨の合同、解散、政策、綱領、その他政黨の定める重要事項の決定または變更する場合の取扱い、こういうようなものについて議論を進めていただきたいと思います。大體これらについてそれぞれの意見が出てまいりますれば、政黨法竝びに選擧法に關する意見の開陳が一應終つたという形になるのでありまして、その意見のあつたものを要綱化し、さらに法文化するために小委員を選ぶということが、この前の委員會竝びに理事會の申合せでありまして、そういう方向に進めていきたいと思うのであります。御意見のあります人はどうぞ……。
#3
○細川(隆)委員 少し用事がありますから、この政黨と立候補の關係の點だけについて意見を述べておきます。
 政黨法ができましても、政黨法によつて規律せられる法定の政黨はもちろんのこと、政黨法によつて除外せられる政黨も、選擧において公認候補を立てられるような法律にしなければならないと思います。但し政黨法によつて法定せられたる政黨は、一切の非公認の候補は出し得ないことにいなければならないというのが私の意見であります。いやしくも政黨法によつて政黨が公黨的性質をもつとしますならば、公認、非公認という區別があるはずはないのでありますから、政黨法によつて規律せられる政黨の候補者は、全部公認候補者ということにならなければなりません。政黨法の適用を受けない政黨は、非公認であろうが、公認であろうが、これは自由なことになるのが當然であります。そこで政黨法によつて規律せられた法定の政黨の衆參兩議院選擧における候補者は、私は一府縣を單位として、その府縣支部の黨員による公選制度によつて候補者はきめられるべきであると思います。現在の選擧法はいわゆる中選擧區でありまして、大體の府縣においては二つあるいはそれ以上の選擧區から成つておりますが、これを各選擧區ごとに候補者を公選することにすると、非常に立候補者の選定において、公選において視野が狹くなつて、現在におきましても政黨の状態は、縣單位をにらんで各選擧區の候補者を選んでおります。ですから區ごとの公選制度をやめて、府縣單位による候補者の公選制度をつくらなければならないと思います。
 次に無所屬候補者でありますが、これは私が最初申し上げることを落しておりましたが、中立候補者、いずれの政黨にも屬しないところの候補者は、これは自由に立候補を許したいと思います。この研究項目の中及び内務省の原案を見ますと、無所屬候補は前囘の選擧において全國投票數の一定のパーセンテージの得票をもつておつたもの、及び新しく立候補せんとする中立候補は、いわゆる請願、ペテイシヨンによつて、そのペテイシヨンの條件が充足されるならば立候補を許すということになつておりますが、もしもこういうことになりますと、現在の日本の政治水準におきましては、中立候補だけに限つて明瞭に戸別訪問と事前運動を許すことになるのでありまして、これは非常な弊害が伴うのであります。この弊害を除去するために各種の罰則を設けても、とてもこれは防ぎ得ないことでありまして、中立候補は從つて制限なし、自由ということにいたしたいと私は考えるのであります。でありますから政黨の立候補問題に關しましては、結局のところ結論としては、政黨法の適用を受ける政黨のみが義務を負うことになり、中立候補及び政黨法の適用を受けない政黨は、何らの立候補に關する制限を受けないことになる。でありますからそのバランスをとるために、これは選擧法の問題とからむのでありますが、そこに記號式の選擧樣式――投票用紙の樣式をとりたいと私が主張する所以であります。以上簡單でありますが、立候補問題に關する點だけを申し述べておきます。
#4
○淺沼委員長 他に御意見ございませんか。
#5
○石原(登)委員 われわれもこの點は意見があり過ぎるくらいでありますが、われわれはたびたび繰返しますけれども、今細川君の御意見の中立無所屬議員に對する自由立候補の保障、これはわれわれ非常に同感であります。しかしながらその保障はあつても、實際の選擧にあたつての投票方法が記號式を用いられるということは、事實的に自由立候補を非常に阻害することになります。今日の國民のこれまでに現われました投票の結果から見ましても、まだ自分の投票權を十二分に行使できない面が非常に多いので、言いかえれば候補者の名前をはつきり書き得ない人が多い。これは特に婦人に參政權が與えられてからその感が深いのでありますが、そういう状況においてこの記號式の選擧を行うということは、これは大變な選擧干渉といいますか、大變なハンデイキヤツプでありまして、この選擧はとうてい公正なる選擧とはわれわれは思われないのであります。ゆえにぜひともこの記號式の選擧は行われない。いつも自由な、しかも不公平のない公正な立場における投票が行われる、これがわれわれが一番主張する前提であります。そういうことで私どもは立候補については、政黨員である、いわゆる政黨法で認めないところの政黨の候補者であつても、一切自由だ、その間に何らの拘束があつてはならないということを強く希望するものであります。
#6
○木村(公)委員 政黨と立候補の關係でありますが、私はいわゆる公認推薦制度というものに對しましては、前囘もいささか申し述べたのでありますが、どうしても承服し難いのであります。殊に現在のわが國民の知識水準は遺憾ながら低い、從つてそのことは政黨内部においても御多聞に漏れないものがありまして、愚劣蒙昧とでも申します幹部等がおつて、その手によつて公認推薦ということが獨斷的に專行されましたならば、その陷る弊害というものははかり知るべからざるものがあろうかと思う。從つて立候補に對しては、公認推薦制度というものだけは斷じて私はとつては相ならないものと考えるのであります。今までのわれわれの自らの體驗によりましても、公認を受けるために金錢をもつて來るものも實際ある。あるいはまたあらゆる方面に公認運動を試みるような例がありますことは、ここには政黨の幹部諸君が多いのでありますから、おそらく御承知かと思いますが、その誘惑に負けるがごとき幹部がおりまして、その幹部の獨斷專行によつて公認推薦が行われる。しこうして公認推薦を受けないものは立候補できないということになりましたならば、實にその結果は恐るべきものがあると思いますので、立候補に際しましては斷然公認推薦ということはいたさないことにいたさなければならぬと私は考えておるわけであります。
#7
○淺沼委員長 他に御意見ございませんか。
#8
○笹口委員 ただいま御意見を伺つておると、石原君の御意見はわれわれも一應了解しますが、木村委員から今のような公認はどうかというような御意見が出て、ちよつと意外に感じたのであります。現實は各政黨とも公認立候補ということをいたしております。どこの政黨でも何らかの手續によつて公認という手續をとる。公認というレツテルを打つて、その議員候補者に對する身分保障をしておるのだと私どもは考えております。ところがその公認のやり方について、從來いろいろ疑惑がある。あるいは手續上好ましからざる點があるから、そこで政黨法において公認の手續、あるいは言葉をかえれば候補者の豫選手續を採用したいというのが、細川委員の御意見であつたと考えるのであります。今までこうであつたから今後それをきわめて明朗にしかも民主的にやつていきたいというのが、この政黨法の狙いどころではないかと考えるのであります。
 もう一つは石原委員の説は、最初から終始一貫されておりまして、石原委員の立場として、私どもはよく了解できると思いますが、これもお考え願いたいことは、とにかく政黨の範圍というものがどうきまるかということによりまして、石原委員のお考えなども十分活かしていけるのではなかろうかと考えるのであります。それで自由立候補者というものがそのときの政見、政策について、國民に對してどの程度の保障ができるか、信用を得ることができるかということは、なかなか大きな疑問なのであります。一旦政黨の公認、あるいは政黨の嚴密な豫選を經てきた候補者に對して、一應ここに政黨自身も、その候補者とともに連帶の責任を負うという建前を明確にする以上におきましては、手續上あるいは投票上多少の差違があつてしかるべきではなかろうか。もしその際あることに不利をお感じになる方があるならば、その方はみずからこの政黨法に企畫された政黨をおつくりになるように努力すべきである。あるいは既成の政黨で、御自分の政見に最も近い政黨の所屬されることがよろしいのではなかろうかと考えるのであります。こういう意味で先ほど細川委員の述べられましたあの説によつてやつていただくことが最もよろしいと考えます。
#9
○木村(公)委員 私は公認推薦制度の否認の立場を申し上げておるのでありますが、その弊害の點について、もう一遍御一考願つておきたいと思うのは、私は長らくみずから縣會議員等において、公認候補者を選ばなければならない立場におかれたことも再三あるのでありますが、大體公認候補者をきめる場合には、多くまず比較的當選する可能性の多い者ということを考慮に入れる。さらに勝手元のことを考えれば、なるべく金のかからない候補者ということも一應考慮に入れる。また當選が可能であるということは、人格識見その他において秀でておることを意味するでありましようけれども、とにかく地盤のいい者ということも考慮の中にはいらなければならぬ。いろいろありますが、結局は從來の政黨が考えたことは、一人でも縣會議員の數、代議士の數が多ければいいのでありますが、まず當選の比較的可能性の多い者に最も著眼されたのではなかろうかと思うのでありますが、この觀點からいきますれば、おそらく今後においては、新人候補の公認ということは絶望ではないかとわれわれは考えるのであります。さつきどなたでありましたか、いろいろ議論がありまして、既存の考えにとらわれないで、今後は民主的に改善していけばよろしいではないかと言われますが、さようなことは一種の書生論であつて、改善というようなことをおつしやいますが、事實なかなか改善できるものではない。それと同時に、今の政黨の領袖、幹部諸君のイデオロギーを根本的にかえることもなかなか至難のことでありまして、改善ということは言うべくして行いがたいことでありますので、やはり既存のいろいろの事例を考慮に入れて勘案することが必要ではなかろうか。しかして私は既往のみずからの體驗によりましても、またみずからの見聞によりましても、推薦の標準というものが非常に不明瞭である。たとえば人格識見がどの候補者よりもすぐれているということをかりに標準にしようとしても、遠い地方黨員の人格識見というようなものがわかるものでもないし、また支部におきましてもなかなかそういうことはわからない。わからないところに來るべきものが、壓力による誘惑であるとか、あるいは情實による誘惑であるかという弊害がすぐ擡頭してくる。從つて公認推薦制度を墨守しなければならないとすれば、なぜ墨守しなければならないかという理由を、もう少し鮮明になさらなければならぬ。私どもは公認推薦制度を撤去することによつて、何ら弊害はないものと考えておるのでありますが、新しく公認推薦制度を確立しなければかくのごとき弊害があるという、的確なる資料の提出を願つておきたいのであります。
#10
○石原(登)委員 新しい法律の立案制定に當つては、法律をつくろうという目的に從つて、かつ事例を十二分に勘案して立案制定されなければいけない、かように思います。こういうような考え方から、政黨と立候補の關係を考えてみますときに、私はただいま木村君が注意された點は十二分に考慮すべきだと考えます。これまで事實立候補するに當りましては、多くの候補者たらんとする者が、暮夜ひそかに黨の幹部を訪れ、あるいは黄白を獻ずるとかして、公認候補獲得のために非常に努力をいたしたということは、今申すまでもない明かな事實であります。そしてまた公認候補にされたということの選擧民に及ぼす影響は、公認された者が容易に當選して出てくる事實を見ましても明らかであります。私どもが過去の政黨のあり方を考えまして、最も遺憾に思いましたことは、政黨内のデモクラシーができていないということ、言いかえれば專制政治を政黨内でやつているということであります。このことがずつと引續いて、國の政治を二、三の者が壟斷するようなことになりまして、今日の日本の悲境の原因はここに存する。これがそもそも今日までの日本の政治のがんであり、日本の政黨をかくも國民と游離せしめた大きな根本的原因であると私は思うのであります。こういうことから考えますときに、私どもはまず今後の政黨のあり方については、一人のいわゆる政黨幹部に大いなる權力を集中せしめる、保有せしめるということの危險を最も痛感いたします。こういう見地から考えまして、この公認制度というものは、木村君のお説のように考うべきではないか。ここに政黨腐敗の大きな根原があるのではないかと考えます。また一方笹口君の御意見の通り、少くとも國會議員の候補者として立候補した者が、責任のないでたらめなことを言うことは實は許されないことである。その意味において、政黨が公認した者の言動に對して嚴重に責任をもつということは、公黨の面目として當然とるべき處置ではありましよう。しかしながらその間の國民の選擇は自由でありまして、その候補者がいい加減なことを言つているかどうかということは、おのずから選ぶところの國民の見識の問題である。その程度にまでわれわれがこの法律をもつて規制することはどうか。われわれは國民の選擇權に對しては一歩も侵害することなく、十二分に自由闊達な選擇ができるような保障と立場を與えてやらなければならない。かように考えますときに、今日の現状においてはむしろいわゆる公認候補というものは、無知な選擧民に大きな方向を指示するようなもので、かえつて弊害を伴うのではないか。そのために選擧に對する關心を薄らがせるような結果になるのではないか。かように考えまして、本立法に當つてはもちろん堂々たる理想も必要ではありますが、現實に即して、國民の世論がそれに容易に協力できるという立法の精神に基いていかなければならぬ。いたずらに理想を追いまして、これに國民の協力を得られずに、國民の手がはるかに及ばさるようなものとなるとすれば、むしろその立法がほんとうに國民生活に基かないものである、かようなことも考えるのであります。私は政黨の公認制度に對して、全面的否定を主張するものではありませんが、ただいまの木村君の御意見は、愼重に御審議いただいて、今後の政黨の幹部に專制を排除するという建前にぜひ貢獻せしめたい、かように考えているのであります。
#11
○笹口委員 政黨法を立案いたしますその根本の目標が、健全なる政黨の發達にあることは言うまでもないのであります。今お話を承つておりますと、いずれも過去の惡い事例にとらわれておいでになる。たしかに過去にそういうことがあつたであろうということは、容易に推測がつくのであります、だからこそそういうことのないような規制を法律で行きたい。それが書生論を言われればそれまででございますが、しかしながらここでお互い各議員が協力いたしまして、その方向に導いていうことは思えばいけるのであります。アメリカにおける政黨政治の發達の一番大きな根原はどこにあるかと考えますならば、候補者の豫選制度、これにあると私どもは考えておるのであります。こういう意味から申しまして、各政黨における立候補者の豫選ということは、ぜひともこの政黨法によつて立派なものを規定していただかなくてはならない。今までのようにある幹部の獨斷によつて行われましたり、あるいはボス連中の暗躍によつて公認候補が決定するという事實は、この際斷乎として一掃せねばならないと思うのであります。しからばどうするか。これには結局全黨員の意思というものが正しく公認候補者の決定という事實に反映してくるような方法をとられる必要があるであろうと思うのであります。この點につきましては、相當詳細な規定をつくりまするとでき得ることでございまして、單なる書生論ではなく、事實上政黨に所屬しております者の協力によりまして、これが完全にでき得、しかもこのことによつて政黨政治というものが、非常な發展を見るのではなかろうかと考えておるのであります。公認の弊とか、あるいは公認制度の利害得失ということについて、先ほど木村委員からもお話がございましたけれども、しかしながら現實の問題として、各政黨が公認制度を採用いたしておるのであります。公認制度無用論ならばこれは別問題といたしまして、現實において公認制度を採用しております以上は、公認制度の妙、及び天下の選擧民に對しますところの政黨の責任という建前を非常に重くおとりになつて、各政黨がおやりになつておることと私どもは考おております。どうかそういうような意味におきまして、この點はなお各委員の十分な御檢討をお願いしたいと思います。
#12
○木村(公)委員 私は、いわゆる政黨の責任というような言葉が出ておりますが、政黨が立候補者に對して全部の責任を負わなければならぬ、これに對しては、必ずしも反對ではない。しかしながら負わしむるとするならば、公認推薦制度をとらないでも、この政黨に所屬しておる候補者は公認であると否とを問わず、一切の責任を政黨が負えばよろしい。しかして今公認の問題について、全黨員によつて豫選すればいいということを承つたのでありますが、さようなことが事實問題として行われ得るか。社會黨においても、民主黨においても、わが黨においても、全黨員の間から、適當な人を、代議士であれば四百六十六名、府縣會議員ならば數千名の適當な候補者を豫選するということは、事實問題として行われるものではないのであります。現實の問題として、おそらく縣會議員等の候補者を公認推薦せんとするならば、政黨の地方支部の幹部たちがこれを推薦するより途がない。代議士候補を公認に推薦せんとするならば、本部の幹部が公認するより方法がなかろう。民主的の意味において全黨員から豫選をすればいいというようなことは、これはどういう方法をもつてやるかわからないが、これを要するに私がお尋ねをし、皆樣方の御協力を得たいのは、公認制度を設けることによつて、どんな利益があるか。今までの經過を見ますと、いわゆる既成政黨は公認制度をとつておるようでありますが、これは濫立の弊を防ぐとか、いろいろな理由から生れたものと思いますが、結局數十年來行われた結果から見ても、公認制度から得た結果は何があるか、濫立ということをおそれるのは、既存のすでに當選しておる諸君がおそれるのである。いかに濫立しようとも、國民大衆が見て、その人が識見において最もすぐれ、代議士として、また縣會議員として適當であると思う者ならば、多々ますます辯ずである。この意味から萬一どこまでも公認制度を固執するというならば、それによつてどれほどの利益があるかということを、この際はつきりとお示しを願いたい。そうしなければ私は議論にならないと思う。
#13
○東委員 ただいま政黨の公認についてのお話でありますが、私どももやはり政黨の公認ということは、これはむろんいろいろな弊害が伴うことは認めるのでありますけれども、しかし大局的には、やはりこれは公認をしなければならぬものと思うのであります。いろいろ今御議論がありまして、希望する者、われと思わん者は誰でも立候補すればいいじやないかというお話でありますけれども、しかしこれは實際問題としては、たとえば一選擧區において、社會黨なら社會黨候補者が、五人も八人も立つた。それがためにお互いに食い合つて、社會黨には壓倒的な票が集つたにかかわらず、社會黨の候補者が一人も出なかつたというような現實の問題がやはりあるのでありまして、これはほんとうに政黨に對する國民的意思を議會に反映させようとするならば、何としてもそこに政黨がほんとうに代表し得る人物を公認して出すということが私は正しいことであると思う。またそうしなければならぬと思うのであります。幹部の獨善ということもおつしやいますが、今日は相當地方においても政黨意識が發達しておりますし、また政黨法においてその機構を完全にすれば、もつと前進するものと思うのでありまして、もとよりそれでもなお全黨員の意思を完全に反映することができるや否やということについては、むろん多分の疑問がありますけれども、おそらく選擧の上においては、絶對ということは望めないのでありますから、はたしてどちらがいいかということになると、私はやはり公認を認めなければ、實際に國民の意思を議會に反映せしむることが、ややもすれば妨げらるおそれがあると思うのであります。
#14
○木村(公)委員 公認制度をとるとすれば、一體何を基準に公認するか、この人物は人格が高潔であるとか、あるいは識見が高邁であるとかいう、何か標準がなければならぬのでありますが、何を標準にきめるかということを聽きたい、それからこの人格識見ともに高いということを公に認めるとするならば、たれがそれを認めるか、またいかなる方法によつてそれを認めるか、そのことも考えなければならぬ。いやしくも政黨が公認をするという場合には、これは重大なる責任をもたなければならぬわけでありますが、單に今までの行き方であれば、一人々々個個にあたつて人物を調べ上げ、素行を調査し、學識をいろいろ調査するというようなことはある得なかつたのでありましようが、今後においてもそういうことが實際問題として、政黨において個々の人物を調べて、人物もよろしい、識見もあるということを公に認めるというようなことが一體でき得るかどうか。公認というのは一體何を標準にするのか。わが黨の候補者として適當であるという漠然としたことでは、立法にあてはまつてはいないのでありまして、もう少し深く、一體何を公認にするのか、どの點を公認するかということをここで明らかにいたさなければならぬ。何を一體公に認めるのであるか、わが黨の候補者として適黨であるというのは、頭腦がすぐれており、政治的手腕があり、人格がりつぱであるというようなことを公に認めるのか、それとも選擧に勝てそうだということを公に認めるのか、それとも財力があるということを認めるのか、その標準というものを一應參考までに承つておきたいのであります。
#15
○東委員 議論をするわけではありませんけれども、候補者の公認の基準ということになりますと、これは各政黨によつておのおの立場を異にし、またそのときの事情によつて違うのであろうと思いますが、いやしくも國會議員というものには、そこらあたりにいるだれでもひつばつてくるわけのものではありませんで、おのずからその地方ににおけるやはり相當の知名の士なり、相當の識見あり、相當の人物であるに相違ないのであります。まして黨が自分らの仲間において選ぶというときには、十分にその人間というものを知り拔いておるに相違ないのでありまして、黨自身が人間がおらなければ公認しようにもできないのであります。何を標準にするかとおつしやるけれども、むろん黨である限りは、おのれの主義主張に合致するものであり、同時に人物、識見、手腕において秀でた者でなければならないのでありまして、それは黨が認めて、これなら間違いないという人間を認定して出すわけであらうと思います。それ以上のことを何を標準にするかと言われても、これはなかなか分折するわけにはいきませんので、困難なことだろうと思います。
#16
○淺沼委員長 他に御意見はありませんか。――御意見がなければ大體政黨の範圍、政黨の組織、政黨の會計、政黨法と選擧法、これらの問題について一應議論が出盡したようであります。ただ選擧法については選擧法と政黨法の關連についての意見が述べられております。また政黨法獨自のものとして取締規定その他の點について改正すべき點もなきにしもあらずと私は思うのでありますが、これらについてはまだ意見が出ておりません。しかしこの問題はあとに殘すことにいたしまして、大體政黨法を中心とした選擧法の改正というところで、議論を止めておきまして、政黨法の要綱竝びに案文の作成にとりかかりたいと考えます。それでは暫時休憩をして、小委員の選考を行うことにいたします。
    午後二時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十八分開議
#17
○淺沼委員長 休憩前に引續き會議を開きます。
 先ほどの申合せに從いまして、小委員を御指名申し上げます。
      細野三千雄君    井伊 誠一君
      細川 隆元君    笹口  晃君
      森 三樹二君    工藤 鐵男君
      中村 又一君    東  舜英君
     長野重右ヱ門君    栗山長次郎君
      小澤佐重喜君    岩本 信行君
      周東 英雄君    大原 博夫君
      石原  登君    綱島 正興君
      林  百郎君
以上十七名であります。御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○淺沼委員長 御異議がなければさよう決定いたします。つきましては小委員の方々は、なるべく早い機會におきまして御集會の上、委員長の互選を行いまして、要綱竝びに案文の作成を始められんことを切望いたします。
 それでは本日はこの程度で散會いたします。
   午後二時二十九分散會
ソース: 国立国会図書館
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