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1947/07/30 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第3号
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1947/07/30 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第3号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第3号
昭和二十二年七月三十日(火曜日)
    午後一時三十五分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 武藤運十郎君 理事 吉田  安君
   理事 本多 市郎君
      足立 梅市君    清澤 俊英君
      田中 健吉君    荊木 一久君
      川崎 秀二君    小島 徹三君
      福田 繁芳君    鍛冶 良作君
      北浦圭太郎君    辻  寛一君
      水田三喜男君    野本 品吉君
      小西 寅松君    中野 四郎君
      徳田 球一君
 出席國務大臣
        内閣總理大臣  片山  哲君
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
        國 務 大 臣 西尾 末廣君
 委員外の出席者
        議     員 世耕 弘一君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 會議を開きます。
 先日の石田君竝びに本多君の質問によつていわゆる東洋醸造の砂糖問題に關連して詳細な資料を要求されこおりましたので、その點に對して司法大臣から發言を求められております。發言を許します。司法大臣鈴木義男君。
#3
○鈴木國務大臣 前囘この委員会におきまして本多委員から砂糖の行方について詳細な數字的説明を求められましたので、直ちに靜岡地方檢察廳檢事正井上馨に命じまして取寄せましたから、ここに御報告を申し上げます。この砂糖は靜岡の檢察廳において取調べましたところによりますと、戰時中東洋醸造株式會社は原料砂糖を會社の二號、三號、四號、河野、石藏の五つの倉庫を使用保管していたものでありまして、昭和二十年八月終戰の時に約千五、六百トンの原料殘があつたと推定されるのでありますが、終戰直後海軍工作隊等海軍關係の者が二、三百トンを持つていたのであります。また千トンは靜岡縣内の一般家庭配給用として縣農務課の指令により日本砂糖統制株式會社(略稱全糖)を經て靜岡縣砂糖統制組合(略稱縣糖)に昭和二十年八月下旬引渡しを了したのであつて、一千トンその時渡したことは間違がないそうであります。なお同社に在庫砂糖が相當多量にありましたので農林省、商工省、第二復員省、縣の田方地方事務所同縣農務課等の關係官がこの會社に集合いたしまして調査の結果、倉庫の殘存數量を約三百五十トンと見積つたものでありまして、その三百五十トンをいかに處理するかということで前囘御報告をいたしたようなことに相なつたわけであります。二百五十トンはまた再び一般配給にまわすことになりまして、これも一般配給に當てられたことが明確に證明ができるそうであります。そこでさらに百トンの處分の方法でありますが、その後靜岡縣農務課から米穀等主要食糧品の供出に對する報奬用物資としてこの砂糖を讓受けたいという交渉があつて殘り百トンのうち二十三トンを縣糖に讓渡することになつて、二十一年の七月十五日これを引渡したのであります。そうすると殘が七十七トンとなる。この七十七トンについてはシロップを製造して、靜岡縣内に配給することに決定して、縣農務課にこれが製造價格の例外許可の申請をし、同年七月から十月までにシロツプ製造一萬四千五百三十六貫ぶどう糖製造に三千四百七十四貫、ペニシリン製造試驗用として千七百五貫これをトンに直しますと計約七十四トンを使つたのであります。これらは三福商事株式會社というものの一手販賣としてそこにだけ引渡したのでありますから、製造高も販賣高もすべて明かになつておるのであります。そのほかに流れたということは見ることができないのであります。それでいよいよ殘が約三トンほどになるわけでありまするが、そのほか前からあつたところの約六トンの砂糖とともに檢事が檢擧にまいりましたときに九トンの砂糖が倉庫に殘つておつたのであります。これは直ちに押收して、ただいまもそのまま在存しており、數字はこれできつちり合うのでありまして、その砂糖の行方というものは明確に相なつておるわけであります。そのことを御報告いたします。
#4
○本多委員 私は詳細な資料を要求したのでございましたが、御丁寧なる答辯、一應承つておきます。私のお願いいたしました資料の内容は、ただいまの一千トンと二百五十トンが、いつごろの時期に靜岡縣内の世帶當りなり、人口當りなり、どれくらいずつ確實に配給されておるかということを確かめられたものがあると思いますから、それを資料としてお願い申し上げておいたのであります。ただいま一千トンの砂糖は、現物を確實に全糖連に引渡されたというお話がありましたが、引渡されたその上で計畫的に配給されたものでありますか、その點をもう一度確かめておきたいと思います。どうも當時の事情でありますから、いろいろ行き違いのあつたことは、やむを得ないかとも思いますけれども、私の知るところでは現物一千トンを引渡したときに、官憲が立ち會つてやつたのであるかどうかということに多少の疑問がありますので、その點重ねてお伺いいたしておきたいと思います。
#5
○鈴木國務大臣 これは本件を調べますときに、檢事が一千トンははたして全糖連に引渡されたのであるかどうかということを取調べまして、全糖連靜岡縣廳等に照會をした結果確かにそういうことがあつたといふ囘答を得て、その點は解決しておるわけであります。これから先き犯罪の檢擧ならば司法省としていかようにもいたしますが、これは合法的に配給されたというのでありますから、靜岡縣廳、全糖連等について委員會から直接に資料を提出するようにお命じになることが適當ではないかと存ずるのであります。さよう御了承願ひます。
#6
○加藤委員長 本多君に申上げますが、先日御要求になりました資料は、農林省の方からきようの委員會に間に合わすような段取りにしましたけれども、時間的に間に合わなかつたそうで、きようか、あしたくらいにはできるそうでありますから、この次の委員會までには間違いなく資料は渡されるそうです。お含みを願います。
#7
○本多委員 それではその上で……。
#8
○加藤委員長 中野四郎君から、隱退藏物資等に關する、及び世耕問題等に關する内閣の所見を求めておられまするので、中野君に発言を許すことにいたします。
#9
○中野(四)委員 私はこの際片山總理に二、三所信を伺いたいと思うのでありますが、三項目にわけて逐次お尋ねを申し上げます。簡單に、きわて自信ある御答辯を願いたいのであります。去る七日の治安委員會におきまして西尾長官は、世耕君がもしほんとうに隱匿物資にかかわるスキヤンダルに現内閣の一、二の閣僚が關係していると言い張るなれば、内閣の名譽を傷つけるものとして、全閣僚の連名をもつてしても訴えるとたいへんいきまかれておりました。私はその清廉潔白な、自信たつぷりな態度がたいへん偲ばれて頼もしい限りでありました。また去る二十八日の本委員會におきましても鈴木司法大臣は、靜岡の砂糖事件に關する限り、現閣僚は何人といえども絶對に關係なしと斷言をせられました。私はこの言明を信じて、國家のため深く喜ぶものでありますが、ただしかしながら本委員會の性格は、單に世耕君の情報や靜岡の糖蜜事件をきわめるためにできたものでないことは明白であります。終戰當時の軍の放出の物資や、その後の特殊物件のみでなく、一般の重要統制物資の處分方法まで掘り下げて、全面的に穏退藏物資處理の適否を調査せんとするものであることは、開會劈頭政府に要求した十四項目の資料の性質をごらんになれば一目瞭然であります。私はもちろん片山内閣の諸公の人格の高潔を信じて疑いませんが、この際世間の疑惑を根本的に一掃して、かつ講和會議を目の前にして、日本政府の國際的信用と、日本の民主政治の名譽を守るために、あえて片山總理の斷固たる所信をこの機會に表明してもらいたいのであります。すなわち本委員會の進行途上において、萬々が一、閣僚中に穏退藏物資の処理をめぐる醜聞に關係のある者が現われた場合におきましては、片山總理はいかにして内閣の名譽を保全し、國民に對していかなる責任を負われる覺悟なりや、この點御明答を承りたいと思うのであります。
#10
○片山國務大臣 ただいま中野君から、現閣僚中に萬々が一、調査進行の過程中犯罪者が現われるような場合においては、いかなる處置をとるかという點について明快なる答辯を求むという御質問でありました。さきに鈴木司法大臣及び西尾國務大臣がお答えいたしました通り、砂糖事件におきましても、現在嫌疑を受くべき者は一人もいないのであります。しかし本委員會が愼重なる調査を進められまして、進行の過程において、萬々が一嫌疑を受けるだけではなしに、ほんとうに犯罪の事實明らかである、こういうような問題が起りました場合におきましては、もちろん私はその犯罪の事實顯著なる者に責任を負わせることに決して躊躇するものではないのであります。この點を明らかにお答えいたします。
#11
○中野(四)委員 キリスト教信者であり、人格高潔自他ともに許す片山總理大臣の明確なる答辯を承つて滿足する者ではありますが、私のお問い申し上げた點に、もしお聽き漏らしがあり、私が言い損つたなれば、さらに訂正をいたしますが、西尾君の言われましたのは、場合によれば内閣侮辱というような建前において、内閣連署連名をもつてこれを訴えるつもりがあるということを言われたのでありまして、ただいまのお答えによりますれば、もしそういう犯罪が的確に現われたる場合においては、斷固として責任をとる、當然のことだろうと思うのです。内閣の首班、しかも内閣の閣僚の中に、犯罪の顯著なる者がのうのうとして一日もおれるわけはないのです。私はむしろ内閣全體の名においてこの責任をとられることを希望して、片山總理にお伺いをしたのであります。しかしながら私はさらに次の答辯の機會に總理よりその所信についてお答えを願うことといたしまして、次にこの委員會はまだ開いたばかりでありますにもかかわらず、世間では早くも、この委員會はもみ消しのための委員會ではないかというような疑いが大分各方面に流れております、院の内外を問わず、全國の國民も寄るとさわると、あの委員會はどうもおかしい、何かぼやけたような委員會だというふうな感が深いのであります。それはこの委員會の中に調査の範圍を局限しようという意味から、調査の區分を短縮しようとするような微妙な空氣があるのが誤まられて反映し邪推視されたのではないかと思います。私はたとえ議會の會期が終つてもかまわない、廣く資料を集めて積極的に追究してこそ、この委員會は成功を期し得るのだと固く信じておるのであります。そこで片山首相にお尋ねするのですが、總理はこの委員會をいわゆる世耕事件を中心とする調査に止めて、短期間に結論に達することを希望せられるのか、あるいは多少日時を延長せられましても終戰後の穏退藏物資の處理を徹底的に追究することを希望せられるのか、私がこんなことをお尋ねするのは、もし總理が前者を希望せられるならば、おそらく言を左右にして調査に必要な資料もろくに出さないだろうし、從つてこの委員會を龍頭蛇尾に終らせるのではないかということを大變心配いたしますのあまり、開會劈頭にあたりましても、この委員會は資料等を提出せず、證人が出頭せざる場合には斷固とした処分をする權能をもつ必要があるということを主張したゆえんであります。特に社會黨は四月の選擧にやみの成金に重税を課し正直者が馬鹿を見る世相を改革しようと大いに絶叫せられたはずであります。社會黨の言ういわゆるやみ成金とは何でありましようか。まさかリユツクサツクで食糧品を運ぶくらいのやみではないと私は思す。大量の穏退藏物資のあるところでなければ、大きなやみ成金などがいるはずは絶對にないのでありますから、もし時間を縮めようとしたり、資料を出ししぶつて、この大やみ成金の追究をゆるがせにするような結果になるならば、社會黨の選擧の際の公約がまた、一つ裏切られることになるのであります。片山總理がこの選擧の公約を忠實に實行するつもりならば、總理は當然このやみ成金の温床を徹底的に追究し暴露することに御同感であろうと思うが。總理の所感はいかがですか、お伺いいたします。
#12
○加藤委員長 總理の答辯に先立つて委員長から中野君に申し上げます。一體今中野君の言われたように、この委員會についてもみ消しとか、やみ屋とか、そういう風説を流布している者があるということで、この委員會の性格について内閣にお尋ねになりましたが、内閣がどういうことを希望しようとも、内閣とは全然別箇な立法府における機關であります。みずから委員として最高の權能をもつている中野君が、一々政府の意見を聽かなければその可否を決定することができぬということは、私は委員としてむしろ自分自身を侮辱するものだと思います。この委員會は斷じて他の權勢に屈したり、他の干渉に負けたりする、そんな生やさしいものではありません。そのことを私ははつきり委員長の責任において申し上げておきます。
#13
○中野(四)委員 このことあるかと考えて、わざわざ原稿をつくつてこの誤解なからしめんために用意してまいりました。私がただいま申し上げましたのは、速記を御覽になればわかるが、あえてこのことをお尋ねするゆえんは、もし首相が希望する、しないによつてはこの委員會に資料を提出し、證人を出頭せしめる上に重大なる支障があるゆえに私はお尋ね申し上げたのであります。またもちろん國會の最高の權威をもつてわれわれがそれを要求することは當然でありますが、一應私は委員として總理の所感を聽くことは決して愚ではないと思うのであります。それを委員長より横やりを入れられることは滿足いたしません。總理より當然お答えがあつてしかるべきだと思います。
#14
○加藤委員長 もちろん總理がどのように所信を述べられることも自由であるが、私は中野君自身の言葉に、委員會そのものを輕んずるがごとき言葉があるがゆえに、私は委員長の責任においてそういうことは斷じてないということを申し上げたのである。
#15
○中野(四)委員 どこに委員會を輕んずるとか、侮辱するとかいうことがあつたか。もし私にそういうところがあつたならば御指摘願いたい。
#16
○加藤委員長 指摘します。今あなたが言つたことは全部そうではないか。いやしくも國家の最高の權能をもつたこの委員會において、世間でこういう噂をしておるからといつて、それを一一政府の所信を聽かなければ判斷ができぬということはみずからを侮辱することじやないか。
#17
○中野(四)委員 これは委員長を懲罰に付さなければならぬと思う。私が總理に質問しているのに、委員長が横やりを入れるのはけしからぬ。
#18
○加藤委員長 委員長はその權限をもつております。
#19
○中野(四)委員 全部その通りだとは何ごとですか。どこに一體根據があるか。
#20
○加藤委員長 今の速記を見ればそのことは明白です。
#21
○中野(四)委員 いやしくも委員が委員としての權能をもつて發言するのを全面的に否定するとは何ですか。
#22
○加藤委員長 否定ぢやなくて、あなたは委員會を侮辱している。
#23
○中野(四)委員 侮辱とは何です。
#24
○加藤委員長 侮辱といつて、君自身が侮辱しておる。
#25
○中野(四)委員 そういう噂があるということを……。
#26
○加藤委員長 しからば、そういう噂があるならば、いかにしてこの委員會の權威においてそれを取消すか。委員會の機能がほんとうに發揮されるならばそんなものは煙のごとく消え去つてしまう。それを一々内閣の意見を聽かなければ最後の權能が與えられぬということは、委員會を輕んずるものです。
#27
○中野(四)委員 私はこの問題に關して、もし私の申し上げることが委員會を侮辱するならば、委員會の名において私を適當に處置されたらいいでしよう。私の申し上げたことがまことに愚かなことであるならば、天下の輿論に訴えたらいいだろう。あえて委員長から御叱責や譴責を受けることはない。
#28
○加藤委員長 私は叱責もしなければ、譴責もしていません。私は委員會の面目にかけて、委員長の責任において、みずから委員の權限を輕んじ、委員會そのものの機能をみずから弱めるがごとき言葉に對しては、委員長の責任においてこの委員會は斷じてそういうことはないと言うのです。
#29
○中野(四)委員 私は、そういう場合には、過去長い間の經驗からいきましても、委員會には立派な理事がいらつしやるから、この點はやめさせよう、この點は中野をして取消させようというのならばわかるけれども、委員長が大聲叱呼して、私の言うこと、やること全部がいけないと抑えることは、かつてどこの委員會でも聞いたことがない。あなたは東京市會議員をしておられて御承知でありましよう。私も長い議員生活をしているが、かつてないことです。私の質問に對して御發言を願います。
#30
○吉田(安)委員 議事進行について……。ただいま端なくも委員長と中野君の間に議論が出て來ました。委員長の御意見も一應私理窟があると思う。のみならず中野君の總理に對する質問の理由も相當に認めてやつてよろしいと思う。どうでしよう一應中野君の説を入れられて、總理から一通りの御答辯があつてしかるべきじやないかと思います。
#31
○加藤委員長 もちろん私は總理の答辯を阻止するというのじやない。中野君がみずから委員會の權能を輕んずることがあつたから、委員長の責任においてやつたので、總理は總理として立派に所信を述べられるに相違ない。
#32
○徳田委員 委員長は少々考え違いをしていると思います。というのは、中野君の聽いたのは、これを引延ばしてはだめだ。これをなるべく早く處理しなければいかぬ。そういうふうに引延ばすように見えるようであつては、いろいろの風聞も出るのだから、引延ばさないためには、これは何としても資料を早くもらわなければいかぬし、同時に證人その他の者に對しても、喚問するときにどうしても政府の協力をまたなければならないので、政府が資料の提出、證人その他の者の喚問に對していかなる所信を有せられるかということがこの質問の趣旨である。しからばこれは何も委員の權限を輕んじたわけでなく、またこの委員會を侮辱しておるわけでないと思う。政府の所信を聽くことはあたりまえであります。私は委員長が少々この發言に對して考え違いをしておるのではないかと思う。だけれどもこういう問題は後に論じてもいいのである。今吉田君も發言せられた通り、答辯を先に許していただいて、そうしてこの問題は後にわれわれが論じてもいい思う。
#33
○加藤委員長 わかりました。では片山總理大臣。
#34
○片山國務大臣 政府といたしましては、自分の知つておることを隱したり、あるいは諸君の方から御請求になつた資料を出すのを遲らしたり、出ししぶつたり、そういうことはいたさないつもりであります。わかつておることは全部さらけ出して諸君の御檢討、御批判を仰ぎたいと思うのであります。特に新國會法によりまする諸君の權能は十分に承認いたしまして、諸君がこの權能を活用され、活溌なる御審議を願いたいのであります。そういう意味から申しまして、一部に局限される御意思ならば諸君の御意思通りでもよろしいが、大多數の御意見がそうではなくして、廣く審議をいたしたい、こういう御意思でありますならば、政府はそれを尊重いたします。そうして政府でわかつておりますことは、諸君の要求に應じまして十分に提供いたすつもりでありますから、その點御了承願いたいと思います。
#35
○中野(四)委員 きわめて事は簡單に濟む。總理大臣がその率直な所信を述べられれば、何も横槍をがんがん入れられなくても濟む。スムースに進むべき委員會を阻まれたことに對して私は遺憾の意を表します。
 片山總理が率直に、積極的にこの委員會に協力するという意思表示をされたことは滿足するところであります。その方法としてすなわち迅速なる資料の提出であります。これはきわめて急いでもらわなければならぬのであります。物には足があつて、ここで論議しているうちにだんだんその物がどこかへ行つてしまうという傾向が強いのでありますから、資料はきわめて迅速に提出していただきたい。それから資料は必ずしも全部そろわなくても、できたものから出していただきたい。出せないものはそのわけを明らかにしていただきたい。こういう點を第一にお願いしておきたい。
 ただこの機會に私は新たに次の資料を要求したいと思うのであります。政府に誠意があれば即刻でもできるものでありますから、特に急いで提出していただきたいと思うのであります。すなわちその追加資料の一つは、日本から連合軍に引渡した物資の目録であります。それから二つは、連合國が日本再建に役立つ民需物資として日本政府に返還した特殊物件の品目、數量、所在場所。それから三つには、昭和二十一年二月に隱匿物資等緊急措置令によつて報告せられました物資の品目、數量。この三點はぜひ急いで出していただきたいと思うのであります。
 さらにいま一つ、總理に伺いたいのは、どうも見ておりますと、同一の目標をもつて進むものが各方面に雨後のたけのこのようにと言つては語弊があるかもしれませんが、できてくる傾向があります。特に國會が國權の最高機關であるという新憲法の精神に則つても、内閣の中の遊休物資の活用委員會、あるいは安本の隱退藏物資處理委員會または他にも二、三あるようですが、こういうものを一切解消して、本委員會を一本建として進めていかれることがたいへん適當ではないかと思うのでありますが、その點についてお伺いを申し上げたい。そうすることが隱退藏物資を活用して日本再建の素材たらしめる最も合理的な公明正大な方途であると思うから、首相に特にこの點を伺いたいと思うのであります。
#36
○片山國務大臣 隱退藏物を摘發してこれを國民のために供給いたしまして、國民の窮乏を救う資料に役立たしめたいという點においては、諸君と同樣に考えておるのであります。しかしなかなかこれは困難なようでありまして。各方面よりいろいろの對策によりましてその摘發をしなければならない状態になつておるのではなかろうかと思うのであります。それでその間犯罪嫌疑がありますならば司法部の活動ともなるでしようし、また諸君によつて組織されておりまするこの委員會の活動によつて最もその效果をあげ得る場合もあるでしようし、また政府において考えておりまする隱退藏物の摘發問題につきましての處置が功を奏する場合もあるであろうと思います。今の政府の考えといたしましては、それぞれその職能と特徴を發揮して、できるだけ多く隱退藏物を國民に提供する方法を講ずることがよかろうと考えておるのでありまして、どうか諸君は十分にこの委員會を活用していただきたい。政府におきましてもこれに對しまして適當なる方策を最も機敏に活用いたしたいと考えて目下對策を檢討しつつありまして、追つて發表する段取に至るかと思つております。ただいまの考えは一本にするよりも、それぞれ活用いたしまして、その連絡をよくすることが適當ではなかろうかと政府は考えておる次第であります。
#37
○辻委員 西尾官房長官にちよつとお尋ねを申し上げたいと思います。いわゆる世耕事件といつたこういう種類の問題は、えてしてうわさにうわさを生みまして、はてしなく疑惑が擴まつていくものでありまして、ひようたんから駒が出たり、うそからまことが出たり、まことに複雜怪奇な相を呈するのでありますから、當局者といたしましては時を移さず、その眞相を調査し發表して、世の疑惑を解くというのがほんとであろうと思います。しかるに西尾官房長官の語られたと新聞の報ずるところによりますと、この問題は自由黨に何か關係があるといううわさがあるから、政府が直接手を下すことはどうも政治的の意味にとられる懸念があるからして、差控えておつたというような意味のことを申されたように新聞は傳えております。もしそれが事實といたしますならば、はなはだ私は心得ぬ言葉であると存じます。靜岡の砂糖事件に現内閣の閣僚が二三關係しておるというようなうわさがあるかどうかといつた質問に對しまして、世耕氏がそれなしとは斷言いたしかねるといつた自由黨におけるその發言が問題となりまして、内閣を傷けるものである、事と次第によつては告訴するとまでいきまかれた西尾官房長官の態度といたしましてはもしこのお言葉がほんとうとするなら私は非常に奇怪千萬であると思う。もし世耕氏の言葉が内閣を傷けるものであるといたしますれば、この官房長官の言葉はとりも直さず自由黨を傷けるものである。自由黨ではありません。政黨政治の權威そのものを損うものであると申しても私は過言でないと思う。その本筋におきましてはその性質におきましては私は同等であると思ひます。もし新聞に傳うるがごときことが言われたといたしますならば、これはまことに要らざる御遠慮をなさつたものであると思う。宋襄の仁ということである。それでありますからただいまも中野君から言われましたように、いろいろともみ消し運動などが起りやしないかといううわさなども廣まつていくのであります。自由黨はかえつて迷惑をいたしております。情があだになるのであります。また現内閣におきましても、閣僚がどうとかこうとかいううわさにうわさが飛んでいくわけなのであります。これはすなわち不用意なる言葉を發せられたことに一つの原因があるのだと思いますが、新聞の傳えるところでありますから時時誤りもございます。これが誤りであるかどうか、誤りにいたしますならばどういう言葉、どういう態度がこういうふうに誤り傳えられたのであるか。なおかつ現在この問題に對する官長の御心境はどうであるか。それを伺いたい。本委員會は超黨派的の立場に立ちまして、大所高所からこの隱退藏物資の本質を究めようと各委員とも熱心になられておるのでありまして、加藤委員長が言われております通り、たとえ政府といえども調査の相手方になるのであるから、政府にいろいろ打合せをするなどということは、委員會の權威に關するものである。なおまた今の中野君とのやり取りにおきましても、あくまでもこの委員會の權威を保たんとする委員長の態度であります。私どもはその態度で進んでおるのでありますが、官房長官は新聞に報ぜられましたごとき心境をもつてこうした問題にお臨みになるのであるか。總理の御心境ははつきりわかりました。虚心旦壞にあくまでも國家のためにこの問題を剔抉せずんばやまん。そうしたことを諸君に望むと言われたのでありますが、官房長官の御心境はいかがでありますか。なおこの新聞の報じたところが誤りであるならば、どういう氣持で申したのか。そう點をはつきりここで伺つておきたいと存じます。
#38
○西尾國務大臣 私の當時竝びに今日の心境を尋ねられたのでありますから、率直に申し上げます。しかしこの問題に私が最初に注意を拂いましたのは、自由黨の代議士會において、一議員の質疑、すなわちこの問題について現内閣の閣僚に關係者があるかどうかという質問に對して、ないとは言えない。つまり印象的にはむしろあるらしいというような印象を與える新聞記事を見たのであります。しかし私はその時はなおこれを取り上げる考えはなかつたのであります。看過しておつたのであります。ところがその後この記事竝びにこれを動機といたしまして、現内閣の閣僚にこのやみ取引あるいはやみ物資の拂下げ等に關連した閣僚がいるらしいということが、いろいろな方面に波紋を及ぼしまして、ついには國際的にもこれが傳えられ、國際的な各國の新聞の報道等がまた國内に打ちかえされるというような状態になりましたので、これは捨ておきがたい、今わが日本は、新憲法のもとにおいてまた新しい民主選擧のもとにおいて成立した第一囘の政府、その閣僚の中にさような忌まわしい問題に關係者があるがごとき印象を國際的に與えましては、今日の日本の立場から申しますると、眞に立ち上つて民主主議的な方法によつて、日本を建直そうとする、眞劍な眞面目に姿をできるだけ國際的に理解していただき、それから來る同情に訴えて一日も早く日本の復興に邁進いたしたい。こう考えているときに、かようなうわさが傳わることは國家のためにまことに悲しむべきことである。とかく外國の人々に比べまして、わが國の人々はかような新聞記事あるいはうわさ等に對してはきわめて無雜作に、またデマが飛んでおるかという程度にこれを看過するきらいがあつたけれども、この從來の態度はよろしくないと私は考えておりましたので、そこで一には國際的に日本の信用を囘復するということと、一には從來の無責任なる放言もしくは誤れる新聞記事等に對して看過するという態度を今後は改めていくこれを一つのスタートにしたい。こういう考え方からこの問題を取上げることになつたのであります。すなわち當時の私の心境は、現内閣の閣僚のうちには絶對にさような疑われるような者はいないということを國の内外に理解していただくことと、また世耕氏が言つておることが動機となつて、單にその新聞記事のみならずいろいろな方面から――もちろんそれは不確定な情報でありまするけれども、これが相當擴がつておるという問題に對しましては、徹底的に問題の出所を明らかにして、これを徹底的に解決するという決意を示す、こういうことが私の心境であつたのであります。ただ私といたしましては、法律的な手續上において不案内の點がありましたので、鈴木司法大臣にその手續等につきまして相談いたしたのでありますが、司法大臣の考えといたしましては、なお事實をよく調査した上で、もしそれが告訴するに値いするならば、そのときにはあるいは總理大臣の名前でやるべきか、あるいは全閣僚の名前でやるべきか、否そうしておるうちに事實の調査の結果、全體の閣僚という意味ではない、閣僚中二三の者が關係があるというのでありまするから、その二三の者という者が明らかになつて來まするならば、三つの閣僚の名においてこれを取扱うことも必要であろう、いずれにいたしましてもそういうことについて調査をしてみよう、研究してみよう、こういうことで、それではよろしく頼むということにしたのが當時の私の心境であり、大ずかみであるが私のやり方であつたのであります。現在どういう心境でおるかと申しますると、かような問題がいつまでも政界にうわさされておるということは、前段に申しましたように國際的な印象においても、國内的な印象においてもはなはだ望しくないことでありまするから、できるだけ早く、できるだけ正確にこの問題を解決いたしたい。かように考えておるのであります。
#39
○辻委員 私がお尋ねいたしました核心は、早く調査に著手をせよというすすめがあつたけれども、何しろことが自由黨に關係しておるといううわさがあるからして、政治的意味に取られてはいけないと思つて遠慮をしたという意味のことを言われた。その眞意をお伺いいたしておるのでありまして、うわさによつて波紋が大きくなる。波紋の對象はいろいろございましよう、しかしながら官房長官のお口からこういうことを言われたということが傳わりますれば、そうするといろいろ新聞が傳えているごとく、やはり自由黨に何かあるんじやなかろうか、それに關係をして遠慮をして官房長官も手をつけなかつた。いよいよもつて世論沸騰せざるを得んことになつて、國會等の要求により、ここに委員會ができることになつたけれども、何かそこにおかしいものがあるのではなかろうか、やはり政黨というものはどこも同じ穴のむじなであるというような印象を一般に與えるのではなかろうか、これが不用意の言葉から終始國内的に――これは國際的にはなつておりませんけれども、少くとも國内的に終始疑惑をまいておる點は言い得られると思うのであります。それにつきましてどういうお考えからさようなことを仰せになつたのであるか、たとい自由黨であらうが何黨であらうが、とにかく政界に暗雲がかかつたというならば、即刻メスをふるいまして、この暗雲を一掃することがほんとうに國民の信頼にこたえるところの政治である。またそれが當局者のとるべき態度であると信ずる。しかるにかかわらず、かような言が報ぜられたことに對してははなはだ私は遺憾と存じましてその眞意をお伺いいたす次第であります。
#40
○西尾國務大臣 仰せのごとく問題を正確に處理するという點におきまして、政黨の關係を考慮すべきでないことは當然でありますが、しかしその取上げ方あるいは取扱い方につきましては、できるだけ誤解のないような考慮を拂うということは必要だと思うのであります。そう私は感じてきたのであります。たとえば組閣早々にいろいろな情報がわれわれの方にはいつてきたのでありますが、なお情報の程度でありまして、不確定でありますから、單に情報があつたからといつて、すぐ司直の手を煩わすようなことは、誤解を招くおそれがあるというので、愼重な態度をその當時とるべきであつたと考え、その心境を何かの機會に語つたことがありますが、現在におきましては、言うまでもなくそういういろいろな事情にこだわりなく、良心的に嚴正中正の立場に立つてこの問題を取上げるべきである。その點におきましてはあなたのお考えと全く同感であります。
#41
○辻委員 そういたしますると、新聞に出ておりました記事は、これは誤り傳えられたのでございましようか。私がお尋ねしておりますのは、自由黨に關係があるから遠慮をいたしておつた、差控えておつたということが出ておりますが、これは七月十五日の中京新聞と申しまして、加藤委員長が社長の新聞であります。當時私は郷里におりましたので、中央の新聞は見ておりませんが、おそらくこれは共同通信から出ていると思いますから、ほかの地方新聞にも出ておると思います。はつきりここで言つておるのでありますが、これは誤報でありますか。
#42
○西尾國務大臣 お答えいたします。その新聞記事を私は拜見しておりませんので、正確にお答えいたしかねるのでありますが、さきに申しまするように、世耕事件以後にあつたことでなくして、組閣當初においていろいろ聞込みがあつたということに對して、私はそういう配慮をしておつたのでありまするから、そういう意味の言葉があつたかもしれんと思うのであります。その新聞記事全體について責任をもつかどうかということは別でありますが、私がさつき申し上げましたように、そういう心境にあつたことは事實であります。
#43
○辻委員 わき道に入りまして、いろいろ押問答してもきりがないから差控えますが、とにかくはつきり出ておるのでありますから、いやしくも官房長官であります方が、そういう誤り傳えられるがごとき印象を與えるような言葉はあくまでもお愼みいただきたいということを特にお願い申し上げます。
#44
○徳田委員 西尾國務大臣にお尋ねいたしたい。この隱退藏物資に特別委員會に關連いたしまして、ぜひとも聽いておかなければならぬのは、遊休物資に關する政府のお考えであります。さつきの片山さんのお話では、いろいろの方面でいろいろこの隱退藏物資の摘發及びこれらの運用についてなされるというお話でありますが、こうなりますと、いろいろ方々でこの問題にちよつかいを出したがるのでありまして、いろいろの機關ができると思うのであります。ところで政府といたしましては、今度特にやみとインフレとを防止するために、やみを撲滅するいろいろの政策を發表されておる。ところでこのやみのもとというのは、いろいろのことがありますけれども、これから生産されてきておるものもあるし、またこの隱退蔵物資とは直接關係のないものもありますけれども、この隱退藏資がやみの對象となつておることは明かな事實でありまして、これが非常に大きいものであることも、すでに西尾君のよく知つておられるところであろうと思うのであります。從つて、この隱退藏物資の調査委員會の目標としておりますのと、やみを撲滅するということの對象としておりますのとは同一でありまして、この遊休物資に關しまして特に西尾案と和田案と兩方あつて、この問題に關してまだ一致せられておらぬようでありますが、政府に提出せられておる西尾案竝びに和田案の内容をここに明かにされまして、われわれのこの委員會の仕事といかなる關連をもつかということをはつきりさせていただきたいと思うのであります。
#45
○西尾國務大臣 お答えいたします。かりに西尾案、和田案と言つていいのでありますが、そういうのがあることは事實であります。しかしこれは政府におきまして、諸般の情勢を判斷いたしまして一本にしたいという考え方で、目下研究中であります。適當な時期には皆さんに發表して御審議を願う機會があろうかと思いますが、これの發表につきましては、いろいろな事情がありまして、今すぐというわけにいかないことをはなはだ遺憾に思つておるのでありますから、この點は御了承願いたいと思うのであります。
#46
○加藤委員長 ちよつと徳田君、總理が所用で他に出かけられるそうでありますがもし總理に對する御質疑がありませんければ、總理は退席されてよろしうございましようか。
#47
○徳田委員 私はありません。
#48
○加藤委員長 それでは途中ですけれども先に北浦君。
#49
○北浦委員 簡單ですから片山首相にお伺いいたします。現内閣は隱退蔵物資というものについてどういう解釋をもつておるか、隱退蔵物資とは何か、この點ひとつお答え願いたい。
#50
○片山國務大臣 北浦君の御質問はなかなかむずかしい問題で、何か試驗問題のようで、政府としてどうお答えしていいか……。國民の必要なる品物でありまして、配給のルートにのらないもの、しかも各所に貯藏され、隱され、曖昧のうちに存在しておるものを總括して言うのではかろうかと思いまするが、そういう學問的の定義を下すことは非常に困難だと思います。
#51
○北浦委員 實はこれを根本的に明かにしませんと、正當にもつている人、それから不正にもつている人――私は誰とは申しません、世耕さんとは決して申しませんが、これを從來盛んにやつておる。そこでただいま片山首相の現内閣では、正式のルートにのつておらないものと言われる。これで結構です。私もさように思つておる。そこでさようなものについて、われわれ委員會においてもどしどし調査いたしまするが、現内閣においても、これは盛んにやつておらるるかどうか、この點ひとつお伺いいたしたい。
#52
○片山國務大臣 現内閣は組閣まだ日が淺いのでありまするが、これに對しましては極力國民の窮乏を救うに役立たしめたいというわけで、經濟安定本部と官房長におきまして對策を講じておるのであります。できるだけ早くこれを出したいということについては、決して怠つてはいないつもりであります。
#53
○北浦委員 片山首相は今囘の選擧以前に、所有權には義務があるのだ、昔のごとく不可侵ではないのだ、かようなことを選權スローガンとして、書物にも出され演説もなさつたのでありまするが、正式のルートに乘つていないものであるならば、所有權というものは非常に疑問がある。片山首相みずからの信念によると、所有權にさえ義務があり、社會公共のためにはどしどしこれを集めて憐れな人々に分けるのだと言うておられ、現に書物にも書いてある。そういうあなたの信念からいつて、早く少々の所有權があつても、あなたの信念によればこれを侵害することさえできる。それをやつて、いわゆる救民のことにあたらるることが最も肝腎だと思うのだが、ただいままだ組閣二箇月といいまするが、こんなものは十日の間に散亂してしまう。あなたのそういう信念からして、今後至急にやる。それを私はあなたに希望いたしておきます。
#54
○加藤委員長 ほかに片山總理に對する御質疑はございませんか。
#55
○加藤委員長 ございませんければ、片山總理は退席しますから御了承願います。徳田君。
#56
○徳田委員 西尾案及び和田案は今發表の限りでないと言われておるのでありまするが、ところで現在安定本部におきまして、檢察官制度というのをすでに始めておりまして、何でもこの前安定本部の田中副長官に聽きましたらば、安定本部でも何百人と使う。そのほかに地方においても使うので、これが七千人以上に上るというわけである。この査察員制度とは、一體どういうことをするものであるか、それがこの隱退藏物資と關係があるものか、ないものか、關係があればどういう職務をするものか、この點はこの委員會において必要と思います。それで特にこの點を御答辯願いたいと思うのであります。
#57
○西尾國務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問に對しては、安定本部の長官もしくは政府委員が答辯するのが適當かと思いますが、私の知つている限りを申し上げますと、安定本部の機構の中の監査局の中に、在庫品課というのがありまして、主としてこの在庫品課が隱退藏物資の摘發に當つておるのでありますが、五月上旬に發足いたしまして、現在まだ人員の充足中であり、十分な活動をしていないのであります。それで現在の状態では、すなわち安定本部の在庫品課の構想において、隱退藏物資を摘発するということは適當でないと考えまして、私の方でいろいろ發案中であつたのでありますが、安定本部におきましても、現在の状態に滿足せず、いろいろ考え中のものがある。それが大體似たようなものでありますけれども、それを一つにしようというのでありまして、現在の安定本部の機構は、きわめて不十分なものであるというふうに考えております。
#58
○徳田委員 そうするとこの監察官というか、檢察官というか、この制度は不適當であるからやめるというのですか。それとも不十分であるから、さらにこれを補充してやられるというのでありますか。いずれでありましよう。
#59
○西尾國務大臣 その點今私と和田君との間に相談中であります。
#60
○徳田委員 實を申しますと、この制度はすでに弊害を生じておるのであります。すなわちこれがまた恐喝したり、どろぼうをしたり、かえつてこの制度があるために、遊休物資というか、隱退藏物資を惡用する制度になつておるのであります。すでにこの一端は群馬縣におきまして、問題になつて、刑事事件になつておるのであります。すなわち私の言わんとするところは、現在の官僚制度をもつてすれば、官僚にひとつの特權を與えれば、これがみんなどろぼうの種になつてしまい。現在彼らはやつておる。この官吏制度に對して監督するものができる。これがまたぞろかさにかかつて惡いことをする。より大きな特權をもち、これへまたぞろこれを加えれば、さらにまたまた種ができる。そうするとこのどろぼうがだんだん殖えて、このどろぼうが大きな特權をもつ。厖大なものになる。そうしてこれが隱退藏物資をみんな食いつぶすことになるのであります。こういう制度ならばこれはすぐさま撤廢しなければならぬ。そこで西尾君に特にお尋ねしたいのでありますが、西尾君の構想によると、勞働組合その他にもこれを關與させる。そうして民間の手によつてなすというようなことがあり、そういう傳聞を承つておるのであります。特にこれは林國務大臣が主管になりまして、この遊休物資の處理に對して特別の機關を設けられるということは、特に本委員會におきまして鈴木司法大臣が答えられたところであります。從つてこの問題に對しては、まだまだ深く西尾國務大臣が答えらるべき義務をもつておると思うのであります。すでに時期は過ぎておるのである。いかなる根本的な態度をもつて、すなわち官僚統制をさらに強化し、官僚によつてこの隱退藏物資の處置をしようとするのか、それとも新しい構想で、すなわち人民的性格をもつてこの隱退藏物資の摘發その他をやられるというのであるか。これらの點につきましては、根本的なものでありますから、特に本委員會に必要であると思いますので、御囘答を願いたいのであります。
#61
○西尾國務大臣 お答えいたします。もちろん私の立案しておりました構想の中には、單に官吏にこの問題を任せることなく、國民的な規模において、國民の協力の上においてこれを實行したい。こういうことを考えておつたのであります。そしてなお先ほど申しまするように、安本長官と私との間に折衝中でありますが、徳田君の憂えられるがごとく、單に官吏にこれを任せるというようなことなく、勞働組合の代表者にも參加してもらう、最高の委員會が中央にでき、また地方にも勞働組合の代表者をも參加していただくところの、地方の委員會におきまして、その委員會が責任の中心となつて摘發するということにいたしたいと考えております。
#62
○徳田委員 官吏のみでなくということになりますと、やはり官吏もはいるということになりますか。そうすると勞働組合の代表者をも加えるというならば、勞働組合の代表者がさしみのつまみたようになる危險が非常に多いのでありまして、これらの點に關しましてはすでに勞働組合の代表者諸君は、これを斷つておるのである。こういうことはわれわれが單に利用されるに過ぎない。われわれ勞働組合もこれに加わつておる。ただそういうことによりまして、勞働組合がすべてこの責任までも負擔する。そういうことになりますると、勞働組合としてはかかる委員會には反對である。かかる委員會にははいるべきでないという強硬な意見があるのであります。また實際これはそうあるべきである。むしろ官吏は實際上この隱退藏物資の關係におきましては、被告の地位にある。いわゆる官僚統制が腐つたために、この隱退藏物資の問題が起きておるのでありまして、官僚統制が腐つてなければ、かかる不祥の事件は起らないはずである。その腐つている官僚統制、これは被告的立場にあるのにかかわらず、これが中心となつて、そうして民間の人々、殊に私たちの最も關心を有するのは、勞働組合をも加える。こういう「をも加えて」というのでは、とうていこれは問題にならないのでありまして、特にその點では、私はもつとはきつりさしたい。すなわち官僚が中心である。ほかの民間とか何とかいうものは、ただつけたりである。從來委員會というものはみんなそうである。すべて官僚がすえぜんをして、この官僚のすえぜんをこつちはにおいをかいだだけで、ふんふんと言つて、そこでああそうかというだけのことになるのである。これでは何ら權威のあるものでないのでありますが、はたしてそういうものであるかどうか。この點をもう少しはつきりさせていただきたいと思うのであります。
#63
○小島委員 議事進行について……。ただいま徳田委員の言われたことは、この委員會において調査してすべて研究濟の上で、はたしていかなる制度でいつた方がよいかということを進めるのが妥當であつて、今政府がどういうことをしているか、いないかということは、聽く必要はないと思います。そういうことで肝腎の調査の方が遲れて、時間をとるばかりだと私は思いますから……。
#64
○中野(四)委員 發言を止めるのはどういうわけだ。
#65
○小島委員 發言を止めるのではありません。委員會は實際の調査をしようというのであつて、その結果政府に注意をすればいいのである。現在政府がいかなることをするかということを聽くのは、時間をとるばかりだと思います。
#66
○西尾國務大臣 徳田君のお説のように、決してさしみのつまにする考えはないのであります。やはり國民的な協力がなければ、この目的は達せられない。しかしながら官僚は腐敗していると言いまするけれども、官僚の中には腐敗している者もありましようが、みずから反省する者もありましようし、また現在の實情から申しますならば、官僚の協力また必要であると私は考えますので、官民協力した形において、この目的に邁進いたしたい。かように考えておる次第であります。
#67
○徳田委員 その官僚のうち、反省している者もあると言われますが、現在官僚のうちで最も腐敗しているものは、いわゆる職員勞働組合などの言いますところの特權的官僚、すなわち課長以上の、主として責任をもつて行政を處理していくところの特權的官僚が、腐敗しているのでありますから、もし官僚をどうしても加えなければならぬというならば、官僚は要するに事務的の處理をすればいいのであつて、こういう委員會自體、すなわち權能をもつ委員會には、參加すべきものではないと思うのである。そうでない限り、今度この問題について官僚が出てくるとすれば、官僚の下の方の者である。すなわちこの隱退藏物資に對しては、むしろこれは原告的態度をもち得る、すなわちこれを徹底的に摘發しようという意圖をもつておる人でなければならぬ。從つてこれは下の方でなければならないのであつて、この下の方もむしろ事務的な方面にこれを使うべきものだ。決してこれは摘發委員會の權力に參加すべきものではないと思いますが、その點をもう少しはつきりさせていただきたいと思います。
#68
○西尾國務大臣 これはまだ先ほど申しまするように、決定的にはなつていないのでありまして、私の考えておるものでありますから、そういうふうに御了解願いたいのであります。官民協力と言いましたが、官より民の方を數を多くしたい。そういう委員會をつくりたいと考えておりまするし、そうしてその委員會の下にいろいろ事務的な仕事をする者が相當いるのでありまして、その事務機關は官僚でやりたい。こういうふうに考えております。
#69
○徳田委員 それならばその點は今のところまだ未熟であるそうでありますから、いずれ熟した後に論議するといたしまして、今度は問題をかえます。この隱退藏物資の最も大きな所有者は、何と言いましても、戰時中及び戰後、軍需品及び統制品に關係いたしておりますところの財閥的存在、あるいは財閥を中心とした統制會社に關係が非常に強いのであります。すでに政府でもこの問題のためかどうかしりませんが、三井物産、三菱商事に對しまして解體を命じ、これの處理中であると思うのでありますが、この三井物産及び三菱商事というものは、この隱退藏物資の關係におきましては最も大怪物であつて、これが多くのみこんでおる。この腹の中には莫大な物があるということは、すでに世論になつているのでありまして、これを取押えない限り、とうてい隱退藏物資は摘發できないと言われておるのであります。しかるに政府はこれをあらかじめ解體しておいて、その責任を明らかにしないところに、非常に大きな問題が存する。むしろこの際におきましては、これを解體する前に全部押えて、これに關係しておる一切の倉庫、書類、その他一切の人的な方面におきましても、この隱退藏物資に關係あるものは、これを處理するためにすべて拘束しておくべきものである。そうしないとこの問題は解決しないのであります。また統制會社におきましても、これは續々解體しなければならぬ運命にある。すなわち公團方式によりまして、これは公團にならなければならぬのでありますから、すべてこれは解體しなければならぬのでありますが、解體する前にこれを押えておいて處理しないと、すべて物はわからなくなつてしもう。そういう點に對しまして、これまで政府が隱退藏物資に對しますやり方は、きわめて逆な方向に行つておると感ぜられるのでありますが、どうしてこの財閥及び統制會社に對して特別の措置をとられずに、特に隱れてぼやつとしておるものを、特別人を遣わして、そうしてうの目たかの目で小さいものを吹いて見ておるという態度を、なぜとらなければならぬか。この點について特に明敏なる西尾君の答辯を要求したいのであります。
#70
○西尾國務大臣 お説のように單に財界人の持つておるものばかりでなく、統制團體あるいは官有物等についても、適當の措置をとりたいと考えております。
#71
○徳田委員 それではすでにこういう三井物産、三菱商事その他の統制會社あるいは官廳に對しましては、倉庫その他に特別の措置をもうとられておるはずでありますね。もしとられておるとすれば、これらの在庫品、これらの所有物に關しては、なるべく早くこの委員會に報告せられることが望ましいと思いますが、報告はできましようか。
#72
○西尾國務大臣 また報告することはできません。
#73
○徳田委員 それからもう一つだけ最後にお聽きしたい。昨年の九月の豫算委員會におきまして、自由黨出身の商工大臣星島二郎さんの委員會における答辯でありましたが、それは多分四月であつたろうと思う。四月を現在として隱退藏物資の在庫調べをいたしまして、そのうち纖維品に關して特別の資料を提供されました。それは多分三十九億何千萬圓、約四十億あつたと思いますが、これをただちに農民に配るというので、これは在庫の箇所もすつかりわかつておつたのであります。それらの調べは多分纖維品ばかりでなく、ほかの方面もすでにそのときにやつておつたと思いますが、そのときにやつておつた調査の資料があると思うので、それをただちに提出されまして、その後この隱退藏物資に對して、いかなる處置をやられたかという調査表を、ただちに本委員會に提出せられてしかるべきと思いますが、できますかどうですか。
#74
○西尾國務大臣 ただいま御指摘になりました點は私不案内であります。しかしそういう御發言があつたのでありますから、これはよく調べまして、適當な機會にここでまたお答えすることにいたします。
#75
○加藤委員長 徳田君、今の資料は文書に書いてこちらにまわしていただけば、委員會の名で正式に政府に要求いたします。
#76
○鍛冶委員 西尾長官に承りたいと思います。けさほどの司法委員會竝びに先ほどのお答えによつて、私の感じましたところは、今月十九日の新聞に西尾官房長談として發表さたましたその意圖は、この問題が國際的に相當大きな波紋を描いておるから、これを明確にせなければならぬという意圖のもとに發表されると言われた、さよう承つておいて間違いはありませんか。
#77
○西尾國務大臣 この點は先ほども申したのでありますが、その點に一番大きな關心をもつことは事實であります。
#78
○鍛冶委員 しからば承りたいが、國際的の疑惑を解く一番いい方法はいかなることであると考えておられるか、それを聽きたいと思います。
#79
○西尾國務大臣 この點につきましても、先ほど申しましたように、できるだけこの問題を良心的に公正に早く解決する、しかも徹底的に解決するということが一番いいと思うのでありますが、その前に政府閣僚の中には事實關係がないということを確信いたしておるのでありますから、その確信をまず發表するということも適當であつたと考えておるのであります。
#80
○鍛冶委員 要するに事實を明白にし、かつ政府に關係のないことを公表すればよいということでしたが、しからば承りますが、ここに新聞に書いてあるところによれば、「鈴木法相の手もとで資料を集めてはいるが、きよう鈴木君とあつたときの話では、閣僚がこの問題に關係があるという世耕君の話はまつたく事實無根で、ああいうことが世間に報導されるということはまことに遺憾なことだ。そして最後には告訴するこう書いてあります。内閣全體の名譽を毀損したものとして私の名前で手續をとることになろう、」こう書いてありますが、このように世耕君を告訴することによつて國際的に明白になると思つておいでですか。
#81
○西尾國務大臣 國際的にこの問題を明白にして、日本にかけられた、ことに日本政府にかけられた疑いの雲を晴らすことは、いち早くそういう事實なしということを責任をもつて言明することである。そしてそれに引續いて先ほど繰返して申しましたように、できるだけ早く事實を明らかにすることが損われた國際信用を是正することになるのでありまして、世耕問題は國際問題に關する限り附随的な問題であります。
#82
○鍛冶委員 それじや告訴するという意思は何の意圖で言われたかわかりませんが。
#83
○西尾國務大臣 その點はさつきここでも申し上げたと思いますが、とかく外國に比較しますとわが國におきましては、名譽毀損、つまり人の名譽を傷つけるということについて、これをおろそかに考える慣習がある。また傷つけられた者も大して氣にしないで、またやられたというくらいで、輕く取扱うということが比較的考えられる。こういう點は言論の自由が尊重され、批判の自由が認められた今日におきましては、そういう行過ぎを是正する意味においてもおのおのの言動については十分なる責任をもつようにしなければならぬという私の日ごろの考え方が、このいはゆる世耕君が言われたことについて、これをただうやむやにしないで、これはこれとし明白に解決しよう、つまり私の考えはそういう國際的の信用という問題ではなくして、むしろ言論の自由ということについてお互いが責任をもつようにしたい、これだけではいかぬのでありますがこの機會に、その一つとしてこの問題の黒白を明らかにするとうことに動機があつたのであります。
#84
○鍛冶委員 今官房長官の言われたことは私も同感でありまするが、明確にする責任をもつということと、相手方を被告人として告訴するということはたいへんな違いがあるものであるが、官房長官はこれを同一視しておるのでありますか、もし違つておるということになれば、さような目的以外の重大なる結果が世間に發表せられますのを何とか心得ておられるか承りたい。
#85
○西尾國務大臣 すでに内閣の閣僚の中にこの關係者があるかもしれないという一つの疑いができたという事實があります。その事實は世耕氏の發言から出發しているのでありますから、世耕氏の發言あるいは世耕氏の言われたという問題について十分調査した上で、必要とあればあえて告訴することもいとわぬ。こういう趣旨で語つたのであります。
#86
○鍛冶委員 調査した上でしよう。未だ調査もしておらないし明白にするということと違つて、告訴するということになると、しかも政府の大黒柱である官房長官が告訴するということになれば、これが國民全體に對していかなる影響を及ぼすかは、言わずと知れていると思う。調査した上でと言うならば、かようなことはまだ確定しておらぬことである。その確定せぬことを事實としてさらにそれを告訴するということを明言せられたということは、された者ははなはだ迷惑だと思うが……。
#87
○加藤委員長 靜粛に願います。
#88
○鍛冶委員 何を君ら制限するんだ。現に世耕君がそこにおられます。私は世耕君のために言うのではありません。われわれ議員として、かかる未調査の問題を、告訴しようと斷言することは、彼を刑事被告人なりと斷言するのと一つも變らぬ。これがいかなる影響を及ぼすか、明確に答えてもらいたい。私は官房長官として、國務大臣として答えてもらいたいと言うので、ただ一個人として言うのではありません。
#89
○西尾國務大臣 世耕君の名前を出しましたことにつきましては、問題の出發點が世耕君の發言から來ているということでありますので、そこで事實を調査した結果、また手續等についても考慮した結果、必要があればやりましようということを、記者諸君の質問に對して答えたということは、さして行過ぎではないと私は考えているのであります。
#90
○徳田委員 きようの西尾國務大臣の御答辯は非常にあいまいでありまして、そして、この隱退藏物資のことに關してはあまり知らないようでありますから、不案内だということをたびたび言われているが、これでははなはだ委員會が迷惑しますから、この次の委員會には特に和田安本長官の出席を願いまして、この問題をもつと明らかにしたいと思うのでありますが、どうか委員諸君にお諮りを願いたいと思います。
#91
○加藤委員長 ただいま徳田君から、きようの西尾官房長官の答辯は、問題の眞相をとらえる上から不案内で、あいまいな點があるから、次には和田經濟安定本部長官を呼んで聽きたい。こういう御發議がありましたが、これに御異議ございませんか。
#92
○武藤(運)委員 異議はありませんが、西尾長官が不案内だからという前提には反對です。和田安本長官を呼ぶことについては異議はありません。そういう條件をつけないことにして呼ぶことに贊成します。
#93
○徳田委員 不案内だと言うたじやないか、元來これは去年の九月にも問題になつたことだ。この問題が不案内だと言われる。だからとにかくこの政治問題について不案内であれば、私はこれ以上もつと聽きたい。またいろいろの隱退藏物資の調べはすでにあるんだから、それについてもつと聽きたい。それから監察制度についてもつと聽きたい。聽かなければこれはどうしても問題にならない。現に隱退藏物資に關しては安本ですでにやつているのであるから、これはやはり究明する必要がある。今後この委員會で調査するにしても、どうしても和田安本長官の答辯を要求すべき必要があると思う。ただ不案内、々々々でない、そういうことを何も言葉の末をつかまえなくとも、現に言うている次第であるから、委員會で取上げてやつてもらいたい。
#94
○加藤委員長 それでは次の會合の際に、和田經濟安定本部長官に出席を求めることにいたします、御異議ございませんか。
#95
○中野(四)委員 先ほどから委員長の熱意ある態度には敬意を表しているのですけれども、二十七日からこの委員會が始まつて今日三十日になりましても、何ら一つの資料も提出されないということは、非常に私はおだやかならぬと思う。速やかにこの點は資料提出をすると明言しているのでありますから、委員長からさらにそれぞれの關係者に向つて、即刻この資料を出せるものをば出すように御要求願いたいと思う。
#96
○加藤委員長 承知いたしました。
 それではこの際いわゆる世耕事件と稱せられております問題について、世耕弘一君より御意見をお伺いすることにいたします。世耕弘一君
#97
○世耕弘一君 最近私の名前をめぐつて大きな社會問題が發生したがごとく取沙汰されているのであります。今日隱退藏をめぐつたブローカーの活躍、しかもブローカーと組んで、私が多額の金を著服したがごとく、あるいは、黨に献金したがごとく、あるいはまた手引きしたがごとく、きわめてうがつた言葉をもつて宣傳されておりますことは、率直に申し上げますならば、官僚の私に對する挑戰であります。言葉をかえて申しますれば、官僚の隱謀と私は申し上げたい。それはどういうことからさようなことが言えるかと申しますと、選擧の當落を決定するいわゆる選擧期日の二、三日前を卜して、私がやみ屋と結託して金もうけをやり、あるいは不正行為をした記事を大々的に發表せしめたことであります。殊に隱退藏物資は單なる情報にすぎぬことである。一般やみ屋の惡事は世耕が一切操つているんだという記事、しかも醇朴な農民の金を私が機關によつてまきあげたがごとく、一般にさように信ぜしめるために、あらゆる風説あるいは宣傳記事をさせたというこの事實は、惡意がなければできないことであります。私は選擧中ではありましたが、事自分に關する限り、一身上の辯明をすることは卑怯であると思いましたから、あえて新聞の取消しを要求しなかつたのであります。選擧區民有志諸君があまり心配をされて、かえつて私が取消しの行為に出ないことが、不正行為があるがごとく信ぜしめるきらいが起つてまいりましたので、やむを得ず、當該新聞社に對して、事實無根の記事を掲載することは名譽毀損であると同時に選擧妨害なり、直ちに取消しを要求す、という長文の電報を打ちまして、その新聞社は取消してくれたのであります。これがそもそも、最初に世耕情報、次に世耕機關、さらに世耕事件、世耕旋風という言葉で一般に傳えられる發端であります。何ゆえに官僚が私に矛を向けてきたか。詳しいことを申し上げると時間をとりますから、簡潔にいたしまして、適當な機會にまた發言を許していただくことにいたしますが、私の隱匿退物資を摘發することを官僚を多く好まなかつたのであります。これが一つの原因。もう一つは、私の推測でありますが、隱匿物資摘發を進めていくうちに、必ず官吏がひかかつてくる。いわゆる自己擁護の建前から隱退藏物資の摘發を阻害したといふことに私は推斷いたしております。これがすなわち官僚と私との隱退藏物資をめぐつての對立が發生したと、かように私は考えておるのであります。ある事件に對しては、強引に官僚の反對を押切つて私は摘發いたしました。その間に大きな軋轢を生じてきたのであります。
 なおさらに申し上げたいことは、私の摘發を阻止する一つの方法として、私の出しておる指令書は憲法違反である、あるいは法律違反である、あるいは私文書である、あらゆる文句をつけて妨害すると同時に、全國から隱退藏物資のあることを熱心に情報を提供してくれ、私のこの隱退藏物資摘發によつて、いささかでも國家に貢献しようとする氣持に協力してくれた者を、ある場合は警察に一週間も放りこみ、あるいは威壓を加え、威喝をもつて妨害するばかりでなく、むしろこれにいささか関係あるところの問題を捉えて拘引して、何か世耕に落度があるじやないか、この機會にその落度をつかまえて一擧に世耕を葬ろう、八方に手がまわされたのであります。その間約三箇月であります。まことに私は感慨無量なものがありますが、もし新憲法が發布されず、昔のままの日本であつたならば、私は今ごろ大きな嫌疑を受けて巣鴨にはいつておつたでしよう。さいわいにも新しい憲法治下に、この事實を皆樣の前に報告し得る機會を得たということも、私は時代に惠まれたことのありがたさを感ずる一人であります。かようなわけで私に何百萬圓金を出した、十萬圓やつた、もつていく途中にある、いろいろなことがうわさされておりましたが、一向に受取つても、またもらう約束もいたしておりません。私には今なお痛痒を感ぜぬ次第でありますが、かように官僚が私の周圍をとりまいて、私の隱退藏物資摘發を妨害していたということは、幾多の隱すべからざる事實があるのであります。私はこの機會においてただ單純に感情をもつて官僚を攻撃するものではありません。なおまた私の友人にはりつぱな官僚がたくさんあります。官僚全體が惡いと私は叫ぶのではない。優良な官僚が一部不良官僚によつて毒されておるというこの事實、これを葬るのが私の使命であります。ゆえに隱退藏物資摘發にあたりましても、非常にまじめな署長、警察部長、當該責任者のおるところでは、摘發に行きました出先においては百パーセントの成功をいたしております。ところが不良官僚のかたまりとも言うような感を呈するところの某府縣のごときは、足一歩入れることができないというような状態であります。これはやがて委員長の許可を得まして生々しい證人をここに出席を求めて、皆さんの御質問に答える機會があらうと思います。細かいことは省略させていただきます。なお隱退藏物資の處理、殊に私の指令書の問題をめぐつて詐欺事件が起つたということに對しまして、多くの疑惑を生んでおりますから、時間を省略する意味において私はここに簡潔な文書を書いてまいりましたから、これを御紹介申し上げます。隱退藏物資の摘發に關しては、隱退藏物資等處理委員長代理副委員長世耕弘一の名前で摘發指令を發行する以前の摘發方法は、各所より集まつてくる情報網を一々愼重に檢討して、信をおけるものと認められたるものに對しては文書を提出せしめ、そこで文書を提出してきた者は本人を呼び出し、さらに口頭をもつてする情報提供者には、文書をもつて情報を提供せしむることにいたしました。一應情報の内容を聽取し、こういうようにしたのであります。かくのごとき取扱いは委員會成立後も同樣、愼重に、嚴重に取扱つたのであります。そうして見込みのあるものに對しては本人に書類をもたしめて、さらに警保局の防犯課において事情聽取の上、摘發の協力方を内務省防犯課長より關係各府縣の警察部長あての書類を作成し、嚴封のまま情報提供者に持參せしめ、警察部に出頭せしめたのであります。その數は五十通くらい出したかと思います。二月十四日の閣議の決定に基いて、經濟安定本部内に處理委員會が設置せらるることになつたので、防犯課より今後委員會もできたのであるから、そちらの方でやつてもらいたいとの話があつたので、世耕副委員長が二月二十四日附にて副委員長として發令されたので、爾來副委員長は石橋委員長と協議の結果、委員長代理副委員長世耕弘一として假隱退藏物資摘發指令書を發行することになつたのであります。右の世耕氏名儀の指令書は情報提供者よりの報告を基礎に嚴重調査の結果指令書を發行したのであります。なお弊害の生ずることをおそれまして、指令書には名儀人以外使用することを禁じ、さらに、有效期間を限定したのであります。なおまた現場においての摘發確認は必ず警察官吏の證明を受けなければ摘發の效力なき旨を嚴重に言い渡したのであります。ゆえに指令書の賣買などは行われなかつたと思います。
 次に情報提供者は相當嚴選、細心の注意をもつて取扱つたがゆえに、わずか數名の不正者を出したものと思われるが、新聞に傳うるがごときことは起り得なかつたと思うのであります。なお隱退藏物資の摘發情報提供者は大體警保局時代に使用したものを用いたのであります。特別地方から新らしい情報提供がある場合も、おおむね前記の關係者が指導的立場に立つて摘發の效果を上らせるようにしたのであります。さらに大きな物資の摘發に關しましては、辯護士の協力を求めまして越權不法行為等の發生防止に努めました次第であります。終りごろは官公吏の隱退藏物資摘發に對し反抗的態度、妨害的行為がろこつとなつてきたのでやむなく警察官の協力を求むることを斷念いたしまして、檢事局の協力を求むるようにいたしたのであります。四月初めころになりましては、おおむね日本の官權を信ぜず、摘發協力者を進駐軍側に求むる陳情が次第に多くなつたのであります。副委員長として解職されるまでの假指令書の發行數は百四十七通であります。うち二通は指令書の受領者が指令書を紛失したと申出があつたので、前に發行した指令書を破棄處分し、あらためて發行したもので、實際使用されたのは百四十五通になつておるのであります。何ゆえ摘發指令書に假の名前を附したかということであります。假という名稱を附したのは、當時、現在でもそうでありますが、退藏物資の移動が非常に激しかつたのであります。すなわちやみ取引のため、または摘發をおそれて大倉庫より中小倉庫に次第に分散が行われ、移動が多かつたのであります。初めはトラツクで移動したのが馬車、牛車、手車、リヤカーと、次第に分散移動が小規模に行われるようになつたのであります。この報告が情報提供者より續々はいつてきましたので、一つでも多くの物資を押えなくてはと思いましたので、本指令書、すなわち假摘發指令書でないものの樣式が決定するまでの暫定的處置として使用したのであります。使用することにつきましては世耕副委員長と石橋委員長との間で協議ができておつたのであります。この假指令書を發行している間において、委員會の係官へは一日も早く本指令書の作成に關し再三督促もいたしましたが世耕副委員長が四月十一日附をもつて解職されるまでは、遂に決定されなかつたと、かように申し上げる次第であります。よく世間でやかましく言う何ゆえに役所式の角判を使用しなかつたかということであります。委員會の角判を注文いたしましても、一箇月以上かかるという状況であります。そこでさしあたり世耕が役所で使用しておりました世耕という名稱入りの丸判を便宜使用したのであります。なお委員會は、閣議において決定されたが豫算もまだ決定されず、どこにおいて事務をとるか、その事務室すらきまらないようなありさまで、やつと内務省の三階の一隅に部屋をきめたが、いす、机はなく、筆。墨すら個人が立替えて買入れて始末した。かような次第であつたのであります。事務は整わず、人員また整備なく、不ぞろいの状態であつたのであります。三月危機突破のため一刻も早く、少數でも隱匿物資の摘發集荷を急ぐことでせい一ぱいであつたのであります。情報と摘發は緊急を要する次第であります。かつ秘密を要する。しからざれば摘發の效果は得られないことは、過去半箇年以上の經驗において明らかなるがゆえに、副委員長は委員長と相談の結果、便宜副委員長の名義をもつて指令書を取扱うこととしたのであります。すなわち從來の役所式文書手續を經て發行するとせば、早くて三日間、遲ければ二週間に及びことがあるのであります。すなわちこれが弊害を除去し、摘發の效果を有效ならしむるため、この處置をとつた次第であります。なおこの關係については前議會において社會黨の代議士諸君から質問があつたとき、石橋藏相から答辯した點もあろうと思いますから、御參考に供してもらひたいと思います。石橋委員長が第一囘の委員會において隱退藏物資摘發處理の方針を述べ續いて實際の責任は世耕君が負つてやつてもろうことにした。よつてこの際諸君の協力を求むと述べ、なほ危機突破の必要上、場合によつては少しくらいの無理はやむを得ない。要は一日も早く民生安定の線に沿うよう望む。かように述べられたのであります。また世耕も本件の處理は非常に困難である、摘廢處理の進行上においては隱匿物資と絡み、官公吏の不正が發生暴露するかもわからない。しかし自分は遠慮なく處理手續を進めるつもりである。なほ摘發に伴いいろいろの困難、手續上のいき違いの發生することも豫想されるが、かくのごとき事務に對しては細心の注意を拂ふとともに、場合によつては應急の處理を大乘的見地より處理することもあると思うが、御了解が願いたいと、以上のような委員長と副委員長の私とが委員會であいさつをしたのであります。なほ委員會の委員の顔觸れは各省の關係局課長であります。
 最後に指令書の宛名人に關する事情でありますが、指令書に情報提供者の宛名のみを記入し警察の名宛を記入せざるのはどういうわけだつたかということであります。隱退藏物資所有者が警察の手を借りるまでもなく、時局を再認識して、進んで供出する機會をつくらせるためには、情報提供者とその隱退藏者と協議する機會をつくらせることを考えましたので、すなはちかくのごとき一應處置をとつたのであります。もちろん自發的供出の成功せる場合といえども、該物件の確認は必ず警察の立會を求め。證明を得ざる限り摘發確認の確證として採用しなかつたのであります。この指令書によつて家宅侵入あるいはその他のこれに伴う犯罪ありということは、未だ一囘もありません。以上指令書發行の根本精神は、摘發を目的とせず、もつぱら自發的に隱退藏物資の供出をなさしめる方法が、かえつて所期の目的を達成せしむるように信じたからであります。世耕副委員長がやむを得ざる場合のほかは檢事、警察のような態度を示して、威壓的に摘發するのを好まず、極力右の隱退藏の摘發處理により罪人を出さぬ方針を堅持し、かつ隱退藏物資所有者の時局認識を深めることに努力し、進んで日本再建のために自發的協力を促し、乏しきをわかち、眞の日本人のあり方を要求するに熱心であつたことは御了解が願いたいのであります。摘發業績の上らなかつたことは關係官公吏の時局認識の不足に伴う結果であり、その證據には眞面目に摘發に協力してくれた官公吏のある場所は百パーセントの成功であつたという事實を證明することができるわけであります。ごく概要でありますが、私が指令書を出した前後の事情を御了解願うために、これが右申し上げた内容であります。
 次に御了解を願うために、二、三點説明を申し述べ、また希望も申し述べたいと思うのであります。それは私が隱退藏物資摘發に關する根本的理念、摘發しなくちやならぬという氣持の起つた動機について一應説明する時間をお許し願いたいと思います。昨年十一月十二月ごろから學者グループといふ團體が、日本は三月が危機である。三月危機をしきりに宣傳されたことは皆さん御承知だと思います。當時私はまだ内務政務次官任官の前でありましたが、非常にこの點を皆さまと御同樣憂えまして、なんとか三月危機を切抜ける方法はないかといろいろ苦心研究調査を進めておつたのであります。たまたま内務政務次官として二十一年六月に就任して、内務省において特殊物件の處理の經過報告を聽いているうちに、私の頭を打つものがあつたのであります。それは何かというと軍放出物資、特殊物件、隱退藏物資ということが私の頭を異樣な感じをもつて打たしめたのであります。次に私がこの書類に基いてこまかく調査を進めたのでありますが、もう一つ私の頭をかすめたことは、第一、日本の陸軍が本土決戰は八箇年もちこたえるという計畫があつたということである。昭和二十年八月十四日閣議で決定いたしました十五日に次官申進、陸海軍の軍需物資を無償保轉せよとの無電發送の事實を私はその後つきとめたのであります。地方機關または民間に無償保轉、いわゆる拂下げです。ところが右無電は八月二十四、五日頃に今度は修正電命された事實があります。私の手もとにある資料によつてそれが明瞭であります。當時の陸軍は、わが海軍は敗れたりといえども陸軍は未だ健在である。物資また十分である。何ゆえに降服するの要ある、と内閣當路に攻めたてたことは、周知の事實であります。そこで政府は軍隊と軍需物資との分離を考え、急遽無償保轉の緊急處置に出たと私はかように考えます。以上の點より見まして、日本の戰爭中止の事柄は、ドイツのごとく弓折れ矢盡きて後戰爭を中止したのでないということがおよそ證明ができると思うのであります。すなわちこの推論から見ましても、軍需物資の當時巨額に上ることが認定できるのであります。さらに進んで私が考えさせられたことは、日本人は世界に好戰國民なりとの印象をつけられておる。しかし莫大な軍需物資と健全なる陸軍をもち、なお決戰に十分たえ得るにもかかわらず終戰に至らしめたということは、日本の天皇がこの上彼我の戰闘による尊い人命を傷けることを望まなかつたがゆえに、終戰の御詔勅を下されたものと御推察申し上げられる。國民もまた同樣の感情を有するがため、一部軍人の猛烈な反對を押し切つて強引に終戰に導けること、すなわち軍需物資の莫大にあることを證明して、日本民族が好戰國民にあらざることを世界の人に知つてもらうところの、一つの資料にわれわれは求めることができるということを私は考えたのであります。
 次に米國大統領を初め米國民衆の、日本敗戰の痛手と食糧の不足に惱む實情を傳え聞いて、日常の食を減じてすら日本の國民に物資を送られた事實、また進駐軍が、米軍が自分たちの日常の日用品を節約してまで、日本國民の不自由な生活を援護されておることをわれわれは見受けたとき、日本人がお互に助け合うことなくして、勝手に物を隱し合い、相互護助の美徳を缺くような状況を現はすことは、何とかして是正したいということが私の氣持を強く打つたのであります。これはどうしても隱匿物資を速かに處理することが必要であると考えたこと、
 次に他國から物を持ち歸つた者も相當あろうと思います。かくのごとき物資はその國から要求されるまでもなく、日本人の手で探し出して幾分でも返還せねばならぬ。そうして日本人は正直な國民であるということを世界の人に知つてもらいたいということ。
 軍需物資等をめぐる不正と、これに絡む官公吏の涜職、これが肅正を期し眞に國民から信頼し得べき官公吏の規範を確立したいということを考えている。
 次に隱退藏物資――今日では遊休物資と言うた方が適當かもわかりませんが、遊休物資を速かに摘發あるいは進んで供出に導き、一日も早く救國安民の實をあげたいこと。
 さしあたつて米と隱退藏物資の物交により食糧危機を突破したい。石炭も同樣である。また金、銀、ダイヤ等の供出摘發により金券貨幣すなわちこれによる裏づけられた新圓發行によりまして、インフレに惱むこの状態を救い出し、海外貿易再開の機會を速かにその態勢を整えること、かつ國民の生活基準を確立せしむるために便ならしめようと考えたのであります。
 要は軍需物資とはすなわち國民のものである。速かに國民に返すべきではないかとかように考えた。日本を戰爭にかり立て、かつ戰爭に追いこみ、さらに敗戰後やみに躍る日本人は全人口の一割にも足らなかろうと思います。眞の日本人は敗戰後といえどもなお健全なりとの意氣を私は世界に示したいと思つたのであります。
 最後に私のこの間まで主張してまいりましたマル公で五百億圓隱退藏物資すなわち遊休物資があるという説は、軍需品放出當時の關係各廳の書類、もし書類が燒失してないというのならばその關係係官すでに死んでなければ、その殘留者の報告書類を調査せば、私の言うところの數額の是非が明瞭になると思うのであります。ぜひ御調査を進めていただきたい。
 最後に國會の調査會はさらに補助機關を設けて、國會の調査會の進行に協力せしむるように願いたい。隱退藏物資摘發は次第に困難となつてまいります。組織的妨害一府縣に及ぶことがある。資本家と官公吏、主として警察の場合は經濟防犯課がこの役割を演じております。あるいは摘發官同志の馴合い等でありますが、かくのごとき禍根を一擧に解決していただきたい。そうして新圓階級あるいは巨額の富をなせる者の根本調査を要求してやまないのであります。これは委員長に特にお願いいたしたいと思いますが、軍需物資の處理とポツダム宣言との解釋がどういうふうに取扱われておるかということを御研究が願いたい。この解釋がもし誤つておつたとしたならば、あるいはそれを知つて惡意にこの隱退藏物資を處理しておつたところがあつたとするならば、大きな問題が發生するのではないかと考えておるのであります。特に地方廳の越權的な處理とやみ流しの關係は嚴重に御調査を願わなくてはならないと思うのであります。官公吏が眞に時局を認識して、積極的に隱退藏物資の摘發に協力する場合は、一箇月を出でずして五百億以上の遊休物資が摘發供出可能であるという確信をもつております。ゆえに積極的に協力せず、あるいは故意に妨害の擧にでる官公吏が今後ある場合は、これらを摘發して嚴罰に處する方針を決定していただきたい。今日の隱退藏物資の摘發處理に當つては、あまりに巧妙なトリツクが行われておる。ゆえに摘發もなかなか困難であります。はなはだ卑近な例でありますが、どじようをすくうにざるを用いないで、たんぼで手でどじようをすくうような苦心がある。あたかもうなぎを素手でつかもうとするほどの困難さがあるということをこの機會に申し述べたいのであります。以上大體私の隱退藏物資摘發に關する氣持がこういう理念から出發したということは、あらゆる角度から御調査願つておわかりくださることと思うのであります。なお今後といえどもこの理念に基いて、一代議士として御奉公申し上げ、一日も早く救國安民の實をあげたいと考えておる次第であります。
 なおもう一點簡單に申し上げさせていただきたいと思いますことは、委員會へのお願いであります。それは先ほども委員諸君の間に御論議があつたように思いますが、本件の隱退藏物資等の處理――最近では一般に遊休物資と稱する方が適當であろうと思いますが、この問題を實際取扱われる本委員會の性格竝びにこれがあり方について、一言委員長にお尋ねしたいことや、お願いしたいことがあるのであります。その第一に、これは私の希望だから氣にされないようにしていただかなくてはならないのですが、この委員會はあくまでも嚴肅な態度で御進行願いたいという希望であります。ちようど子供が盜みをした、その盜みをした子供に親が繩を打つて警察へ連れていく。かような親の態度、これだけの心構えと覺悟がぜひあつてほしいということをお願いしてやまないのであります。しからざれば多くの疑惑が世間に起り、かえつて私自身の委員會での發言がいたずらに無益な世間騷がせになると思いますから、どうぞ委員會の諸君におかせられては嚴肅に、しかも迅速にこの問題をお取扱い願いたいということをくれぐれも僭越ながらお願いする次第であります。
 次に私の見込みでありますが、この委員會が一箇月や二箇月では仕上げはとてもむつかしいのでなかろうかと私は考えております。なぜなれば本委員會の調査こそ、日本再建のあらゆる面の根幹をなすものと私は大きな期待をもつておるのであります。ゆえに、あらかじめ期限などを定めないで調査を進めていただきたいこと。事を運ぶになるべく急いでいただいて、實際の實相をつかむことに御努力を願いたいということをお願いしてやまないのであります。要するに、本委員會においては問題の核心に觸れ、急所を衝いていただくように御努力を願いたい。國民大衆が本調査會に何を求めておるかということを十分この上とも御考慮を拂つていただきたい。
 なお最後に過日新聞に御發表になりました本委員會から要求されました十四項目にわたる資料要求は、まことに當を得たる資料提出要求であつたかのように私は委員會に深い敬意を拂います。しかし私はこの點について一抹の不安を感ずるものであります。それはかくのごとき資料の提出方法は、國會としては立派な御手續かと思いますが、私にとつては少々なまぬるいやり方ではないかと思うのであります。それはなぜかと申しますと、はたしてこの資料が滿足に委員會に提出されるであろうかどうか。またその資料自體がほんとうに皆樣の要求なさる資料がこの委員會に提出されるであろうかということを私は不安に思います。そこでわれわれが多年の經驗から見まして、政府立案の法律案等を審議する場合なれば、審議の進行上從來の通り資料要求はこの形式を採用されて差支えないのでありますが、どうも多くの場合、この資料の中には政府特に官僚の都合の惡い資料がたくさん要求されておるように私は察するのであります。自分たちに都合の惡い資料をば虚心坦懷に出すような官僚があることを私は希望いたしますが、私には過去の經驗においてはなはだそこに不安を生ずる。しからばさような――言葉が過ぎるかもしれませんが、あまい資料をもつて御審議なさるということはどうかという不安が一つそこに私は出てくるのであります。先ほども委員諸君の中で御論議なさつておられたように、時間を延ばすこと、興味をそぐためになるべく提出を遲らせるということも從來官僚の惡い手口であります。これを阻止することが必要じやないか。ゆえに場合によつては一部を報告して大部分のものをばねこばばにするきらいがありはせぬかということを過去の官僚のやり口を考えましてさように私は不安に思うのであります。これは私一人の考えかもわかりませんが、お聞捨てを願いたいと思います。ゆえにもう一つ委員會は奮發していただきまして、原簿を提出せしむるようにおとりはからいを委員長にしていただけば非常に結構であります。また場合によつたらみずからその關係官聽に出頭をしていただいて、資料をもとに檢討されることもこの危機突破資料の重大なる場合に應急の處置ではないかとかように考えるのであります。これは、憲法上あるいは行政規則の上からどういうふうに取扱われるか。これは委員長の方で御研究くださいまして、なるべく國民の滿足のいくような調査方法をお進めくださらんことを切望してやまない次第であります。官廳の手盛り資料で滿足する程度でございましたら、私の手もとに相當資料がありますから、それだけ提供して御滿足願えれば結構ではないかと、かように思うわけであります。どうぞ貴重な御時間を費されることでありますから、細心の御注意をお拂いくださることをば國民の一人としてお願いすると同時に、まだ國會の權威といたしまして、この機會に國民の信頼をつなぐよう、この上とも御努力を切願して、聲涙をもつて皆さんにお願いする次第であります。
 以上はなはだ時間をとつて申譯ございませんが、なお不備の點、疑問の點等がございましたら、何時でも御要求に應じて出て參りまして、皆樣の御滿足のいくように説明いたしたいと、かように考えております。
#98
○加藤委員長 ちよつとこの際お諮りいたします。世耕弘一君には暑いところわれわれ委員會の進行の上に貴重なる參考意見を開陳していただきまして、これは本委員會の厚く感謝するところであります。ただいま委員會の進行竝びに運營の方法に關してこまかい御注意をいただきましたこと、これまた本委員會の深く了とするところであります。つきましては資料の點その他さまざまな點において多くの困難があるであろうということも豫想されまするが、何を申しましても、新しき國會において過去に前例のないこういう性質の委員會ができたことでありまするから、この委員會の權威が最後まで保持されるかどうかということは、ひとりこの委員會のみならず、全國會の權威に關する問題と思いまするから、私はその確信とその信念をもつて、この委員會の權威を保持することに最後まで努めていきたいと思います。從つてもし今世耕君から御注意を受けましたような、政府當局に對する資料請求に對し、もしあいまいな、われわれが納得し得られないような資料しか提供されぬとするならば、その理由を明白に求めます。同時にまたあいまいなデータによつてつくられた資料であるとするならば、そのデータをあくまでも追究していく方針であります。この點については世耕君もどすか御安心くださると同時に、御協力を願いたいのであります。
 もう一つ申し上げたいことは、何と申しましても政府に對する資料は一應形式的なものになるし思います。われわれはまた民間からも相當程度の資料を求めなければなりませんし、今後この委員會の進展の模樣によりまして、順次民間からも私は證人をここに出頭してもらつて、意見の開陳を求める豫定であります。こういう點につきまして、委員の皆さんも暑いところ非常に御苦勞さんでありますが、どうか國會の權威のためにぜひ最善を盡して、この委員會をして有終の美あらしめるように御協力を願いたいと思うのであります。先ほどの中野君の御發言に對し、委員長として申しました言葉にあるいは度を過したことも一言、二言あるかもしれませんが、これひとえに委員會の權威を保持したいというこの信念から發したものでありまして、他意はありません。この點御了承おきを願いたいと思います。つきましてはただいまの世耕弘一君の御意見に對しましては、おそらく多くの方々がたくさんの御質疑をおもちになつておるだろうと思います。時間は四時でありますが、いかがいたしましようか。若干の疑問を質しまして、一定の時間が來たらば次に繼續して、世耕君にもう一遍御苦勞願つて、次の質疑に答えていただくようにしますか。それともこのまま一應打切つて、次に初めから質疑をやりますか。この點お諮りいたします。
#99
○本多委員 世耕君の御決意と竝びに御意見には敬意を表する次第であります。つきましてはわれわれの調査の參考に供するために、實は世耕君の手もとに集まつている情報の全貌についてもお伺いいたしたいと思つております。これは機會をあらためて、委員長でおはかりの上實現すればまことにありがたいと存じております。なおその情報の全貌のほかに、その情報の中で、特に確實なものと認めて世耕君の方から指令を出されたのが二百通ばかりあるようにお伺いたしました。五十通と百四十何通でありますが、これはその情報の中で特に調査されて、正確なものと認められて出されたものでありますから、やや確實性――ややよりは確實珍の多いものと思います。そこでその出された根據になつた隱匿物質の品名、所在地、量というようなものが、その指令のもとになつておるのでありますから、その寫をわかるように世耕君につくつていただくということはたいへんでありますが、委員長において適當に寫をつくつて、われわれの參考に供していただきたい。さらにまた世耕君が次にもし説明してくださる機會がありましたならば、世耕君自體が情報の全貌を通じて考えておられる隱匿物質の推定についても、各種物質がどういう方面に、どういうふうに分散しているという推定についてもお聽かせを願いたい。これはやはり資料として書面でお出しを願えればなお結構だと思います。これをお願いいたしておきます。
#100
○中野(四)委員 時間をどうかという相談をされたのに、話がどこかへいつてしまつたようですが、時間はひとつ五時まで御延長願つて、さらに引續き必要があるならば明日あるいは明後日世耕さんに來てもらつて、ひとつこの委員會のあり方をきめていきたいということを一應御決定願つて、それから私の發言をお許し願いたいと思います。
#101
○加藤委員長 五時まで繼續することに御異議ございませんか。
#102
○加藤委員長 それでは五時まで繼續することにいたします。中野君。
#103
○中野(四)委員 世耕さんによつて驚くべき官僚の惡態ぶりと申しまするか、まことに深刻なお話があつたのであります。しかしながら時間を五時と限定しましたからにはいろいろと一人でお尋ねを申し上げることは他の方の不便もあると存じまするから、率直に二つ三つ世耕さんから御報告を願いたいと思うことがあるのであります。それは先ほどある大事件に際して官僚の猛烈な反對を強引に押切つた、こういうことを言われましたが、この事件の全貌をまず今日明らかにしていただきたい。その妨害をした者の氏名ないしはその事件の内容等について御報告を願いたいと思います。
 いま一つは、これは容易ならぬ問題でありまするが、自分の知つておる官僚はたいへんよい官僚が多いけれども、場合によると非常に不良の塊りのような縣がある、まあ世耕さんの御存じの縣はたいへん結構だが、不幸にして不良の塊りの縣から選出された代議士はたまつたものではない。またその縣民の受ける被害は甚大なものだと私は思うのであります。この府縣におけるところの行為に對してはなまなましい證人を出頭せしめる用意があるというお言葉でありましたが、それは何縣であつて、どういう點が不良の塊りのような點であるか、同時にそのなまなましい證人の性格はいかなるものであるかということを一應明らかにしていただきたいと思います。
#104
○世耕弘一君 ただいま申し上げた縣というのは栃木縣であります。
 なおその摘發に際して非常なトラブルが起つたという事柄については、同時に關係した本人にこの委員會に出頭を求めて、その本人から直接お聽きくださることが最も早道ではないかと考えます。
#105
○中野(四)委員 大變御迷惑なことだと思いますけれども、その不良の塊りのような縣が栃木縣だということはよくわかりました。しかしながらなまなましい證人を出頭せしめると言つても、事實上において當特別委員會と非常に深い關係をもつ方以外は證人として喚ぶことはでき得ないのでありますから、大體におけるそのあり方がわかればこの方の御出頭を願い、さらに御報告、御釋明を願うということすらできない状態にあるから、もし差支えなければ證人を喚び得る程度の内容を述べていただきたいことと、私が第一段に申し上げましたある大事件に對して、官僚の猛烈な反對を強引に押し切つたと申されたこの事件たるや、實に官僚の惡質がどういうものかを徹底的に糺明する最もよい材料だと思いますので、これに對するその事件の全貌を明らかにしてほしいと申し上げたのでありますから、後段にお尋ね申し上げた點は簡單に、前段にお尋ね申し上げた點は詳しく明白にひとつ御報告願いたいと思うのであります。
#106
○世耕弘一君 不良の縣という言葉を私がもし使つておつたとすれば、結果において調査した上でないとあるいは言い過ぎかもしれません。あるいは適當でない言葉を使つたかもしれません。それは速記録を見た上で、もし言い過ぎであつたら私は取消します。私はそういふ意味で申し上げた覺えはないのであります。
 なお栃木縣の實情について申し上げたいと思うことは、實は最初栃木縣に多數の物資があるということの報告を受けましたので、縣廳に照會いたしました。はたして情報のごとく物資が退藏されておるかどうかということを聽いてみたところ、さようなものはありませんという返事であります。そこで情報を提供してまいりました船岡、關山の兩名を喚び出しまして、君は不眞面目ではないか、かくのごとき重大な問題をただ單純な聞込みくらいで報告して、官廳に手數を煩わすということは不都合だ。今後かようなことは受つけぬからさよう心得ろという言葉で實はやかましく言い渡したのであります。ところが絶對にさようなことはない。神明に誓つてさような不都合な報告をしたわけぢやないという向うの言葉でありましたから、當日はそのまま物別れで歸つたのであります。翌日船岡は血書、血判をもつて私のところにまいりまして、昨日繰返して申し上げたごとく、われわれは單純な情報を提供したものではありません。果して縣にこのような物資がないということになれば現場調査をしてくれ。かような話でありまするから、私は辯護士二人をつけました。そして船岡に案内せしめて栃木縣廳に行つてもらつた。縣廳にまいりましたところ、係官は前私の照會に返事をよこしたごとく、ないという返事であつた。劍もほろろの挨拶であつたという報告を受けました。およそそういうことを豫想して行つた兩辯護士は、東京から檢事の紹介をもらつておりましたから、その紹介をもつて檢事局に連絡をとつた。そして捜査を開始したのであります。はつきりした數字竝びに品目は申上げるのには面倒でありますが、當時の公定價格にして約三億圓ばかりの物資がとにかく出て來た事實が報告されて來たのであります。ところがその報告を受けると同時に、私は係りの檢事には感謝の電報を打ち、同時に縣廳にはその物資がどういうふうに處理されるか十分調査するまで移動するなという電報を入れておいたのであります。そのうち隠退藏物資の委員會が開始されまして、いよいよ品物に手をつけようと思つて再調査に行つたときには、當時封印をして來たその品は皆開封されて移動されておつたという報告が來たのであります。二度目の報告には、あれは縣廳は特殊物件であつたからやつたのだというふうに係りの者から報告しております。私は檢事局の手によつて一應封鎖取扱をしたものに、私に一言の挨拶もなく縣が勝手に處理するということは不都合千萬であるということを責めておいたのだが、そのまま私は副委員長をやめたから、その後の追究はいたしませんでした。しかしながら檢事局にはなおこの眞相を調査すべく依頼もいたしました。また他の關係筋にも嚴重調査を進めていただくように願つたのであります。しかし栃木縣は一つの例であります。なお他の縣にもややこれに類することがあるという情報を私はもつてまいつておる。しかしこれはその實情報告書がありますから、報告書によつて御承知おきを願いたいと思うのでありますが、一例を示せばかようなものであります。これは私が現場に立會つたのではないのでありますが、兩辯護士が行つて實情を調べた報告に基いて、私はかような判斷をしている次第であります。
 それからもう一つ、お尋ねの官廳が干渉したという事柄であります。これは昨年の十二月に私は水飴を警視廳管内で、水飴の量にいたしまして約十四萬貫ばかり摘發いたしました。時價にいたしまして六千萬圓と踏みました。警保局を通じまして、警視廳生活課にその摘發を要求したのでありますが、正規のルートなりと稱して採用しなかつた。やむを得ず私は目白の署長に命じて摘發開始をいたしました。「ところが、途中で政務次官はあんなことを言うが、それをやるのはやめろと命令が出たために、署長は遂にその摘發を途中で放棄するに至つたのであります。」ゆえに私は街の顏役を使つて強引に摘發をいたしました。摘發を終ると同時に關係者が參りまして、あれは正規のルートに乘つたので、摘發されては困るという注文でありましたから、私はその答えに對し、正規のルートによつて退藏しているという一應のあなたの言葉は受け入れるが、水飴およそ十四萬貫にもあたるような莫大な量を今日退藏しているということが、あなたは道徳的犯罪とは思わないか、戰災者、引揚同胞の多くの子供が一かけらの飴すらなめられず、困つていやせぬか、あなたはそういうものを退藏し温存することは、すなわち公定價格の値上げを待つのではないか、しからざればやみに流す道だけしかないと思う。殊にあなたは正規のルートによつて購入したと言われるが、はたして正規のルートによつて入手したのかどうか、その原料購入の筋をあなたは説明できるかと私はつつこんだ。結局あなたが正しいか正しくないかということは、私はこの機會に爭いたくない。また私はあなたの持つているものをほじくつて犯罪の捜査をしようと思うのではない。あなたの良心に訴えて、あなた自身の氣持において處理したらよいだろうといつて、私は別れたのでありますが、やがてその結果報告があると思つておつたのでありますが、これも私の存任中に私の許可を得ずしてやみからやみへ處理されたということを、あとで報告されてきたのであります。それ以來警視廳とは私は正面衝突をした、私はかように考えております。なお警視廳管内において、よからざる官吏のあることを私は某方面から存任中に資料を得ましたので、特にその資料をもとに、警視廳の當時の官房主事に嚴重な調査竝びに不都合なかどがあれば處分するよう要求したことが數囘に及んでおります。先ほど申しました強引に反對を押し切つてやつたというのは、かくのごとき事實を指したのであると御諒承をお願いいたします。
#107
○中野(四)委員 さすがは狸御殿の本場の栃木縣だけあつて、その内容に、先ほど世耕さんの語氣の中からお伺いしたような點と、ちよつと私は符合せぬ點があります。よつて私はこのなまなましい證人の出頭をあえて要求いたしません。私の質問はこれで終ります。
#108
○小島委員 私は二、三點世耕先輩にお聽きしたいのであります。世耕さんが、かりに隱退藏物資摘發書としてお出しになつたのが百四十五通ということでありますが、この百四十五通は世耕さんが副委員長になられた二月二十四日から、退職の四月十一日までの間にお受けになつた報告に基いたものでしようか。
#109
○世耕弘一君 委員會ができましてから後のものであります。
#110
○小島委員 この百四十五通のほかに五十通正式に出ておるといいますが、そうすると、この五十通ももちろんこれは假摘發書じやないのでありますが、全部含めて就任中四月十一日までにお受けになつた情報ということになりますね。
#111
○世耕弘一君 最初の防犯課を通じてやりましたのは五十通、これは一應私の方に來た情報で、これなら確かだと思うものに、さらに檢討して私の名刺をつけた紹介者を案内せしめて、防犯課がさらにそれを檢討して出したのが五十通あります。
#112
○小島委員 この百四十五通の中には、この間問題になりました東洋釀造株式會社の情報というものはいつておるのでございますか。
#113
○世耕弘一君 はいつておりません。
#114
○小島委員 そういたしますと、東洋釀造會社のことについてお尋ねしたいのでありますが、あの情報について、世耕さんはみずからお調べになつたことがあるでしようか。現地に行つてお調べになつたのでしようか。
#115
○世耕弘一君 ありません
#116
○小島委員 そういたしますと、あの五日ばかり前の朝日新聞に、寫眞入りで出ておりました世耕さんのお話の根擔というものは、あの朝日新聞に書いてある通りでありますか、それともまた別個の情報があるのでありましようか。
#117
○世耕弘一君 似たところと似ないところがありますが、大體似よつておると申上げてよいと思います。
#118
○小島委員 もお一點ちよつとお聽きしたいのであります。しからば世耕さんがあの東洋釀造會社のことについてお聽きになりましたことは、あの情報に基くものであつて、それ以外にみずから現地に行つて調査したこともなく、またあの有村ですか、あの二三人の情報以外にだれかまた別な情報を提供した者があつたでありましようか、あるいはなかつたでありましようか。
#119
○世耕弘一君 丁寧なお尋でありますが、實はあれはこういうふうないきさつがあつたのであります。東洋釀造の砂糖が二百五十トンある。そのうちの百五十トンを拂い下げてもらうべく運動を繼續しておる人がある、すでに十萬圓使つて、もうあとどうしても二十萬圓使わなければ成功せぬのだということを、ぼくの友人のところへ相談に來た。この相談に來たことをば有村君がそばで聞いておつた。あとでその話は進駐軍の名前が二、三はいつておるじやないか。こんな話から萬一いろいろな手違いが起つてとんでもないことが起りはせぬか。それよりもまともに處理してもらつて、拂下げてもらつた方が安全じやないか、こういこうとをば注意してやつたところ、そんなこわい仕事なら中止して、せめてこれまでに入れた運動費だけでも何とか返る方法があれば返るような方法を考えてもらえぬだろうか、こんな話です。そこで、それなら一遍世耕政務次官に聽いてみてやる、こういう話で別れたのだそうであります。それで役所の方へ參りまして、實はこれこれしかじかの問題があるのだが、扱つてやつてくれぬかという。私も一遍考えてみまして、どういういきさつになつておるのか、私は忙しいから口だけの話じや困る、一遍そのいきさつを詳しく書き取つて書類にしてくれ、かように私は申してやりましたところ、數日經つて持つて來たのが詳しくいきさつを書いた書類であります。なるほどその書類はじつとひもといてみますと、なかなかこみいつた運動方法であり、私は單なる情報というようにとれなかつた。しかも私にその問題を解決してもらいたいという希望から書いていた書類であるために、私は偽りがないと判斷した。だから一應それを受取つて、さらに檢討いたしてみましたところ、ただ單純に情報として握りつぶし得べき筋合のものでない、時の内閣の閣僚の顔ぶれも出ておりますから、念のために復寫いたしまして、重要な點を抜き書きいたしました、そうして閣僚に注意を喚起し得るように適當の人を通じてその書類を上げた。それが問題の書類であります。この間自由黨の代議士會におきまして、同僚の代議士から静岡の砂糖の問題について、現閣僚が二、三關係していると聞くが君の方に資料があるか、こう聽かれたものだから、ないとは申しません。しかしその資料をここで公開するわけにはいきません。なぜならば一應資料提供者に了解を求めなくてはなりません。なおこの問題について國會が調査會を開く場合に出せというならばいつでもお出しいたします。それだけ答えたのであります。それが今日の大きな波紋を描いたということになるわけでありますが、私としてはむしろ意外に考えておることでありますと同時に、私がそのために國會議員として名譽毀損で訴えられるということは、夢想にも考えておらない次第であります。
#120
○小島委員 それでは恐れ入りますが、その世耕さんの發言の根本になつた情報というのは、そうしてまた本人が提出を許可するならば提出するとおつしやるのは、要するにこの間新聞に出ておつた有村という人がまとめてあなたのところに書いて來たという、その書類でありますか。
#121
○世耕弘一君 實は原文と申しますか、原本は今司令部の方に持つて行かれておりますから今ここに持つておりません。それからあの書類は私の手もとから出たのではありません。それは前に關係閣僚の注意を喚起すべく人を通じて出したその書類が出たわけでありまして、私の手もとから出たわけでもなし、また出されるときに新聞社から了解を求めたわけではありません。
#122
○小島委員 とにかくあの文書は世耕さんのお寫しになつたものですか。
#123
○世耕弘一君 そうです。
#124
○小島委員 それからもう一點お聽さしたいのは、世耕さんが出された假摘發書百四十五通というもの、その情報が正しいものであると認定なさつた根擔はどういうことにあつたのですか。世耕さん自身が何かの機關をもつてその情報についてお取調べになつたものか、あるいは情報提供者の言を信じてなさつたものでありましようか。その調査の假摘發書をお出しになるまでの經過と申しますか、眞なりとしてお考えになつた基礎はどういうところにあつたのでありましようか、それをお聽かせ願いたい。
#125
○世耕弘一君 その點は先ほど申し上げたように、假指令書を出した關係者は、その前に警保局の防犯課を通じて出した關係者が大部分であります。新しい關係者でありません。たまたま新しい關係者で情報を提供するような場合がある場合は、必ず相當の人の紹介がなければ私は出しておりません。
#126
○小島委員 そういたしますと、世耕さんは、その假摘發書をお出しになる前には何も自分で調査したというのではなくて、紹介者があつたとか、あるいは以前關係しておつたところの―防犯課を通じて關係しておつた人々だからして、その情報提供者その人によつて判斷して、すぐ摘發書をお出しになつたということになるのでありますか。
#127
○世耕弘一君 先ほど申しましたように、隱退藏物資の摘發の關係者は最初五十通出した當時に關係したものを主として使つたのであつて、新しいというのはそう多數ないということを申し上げたいのであります。なおこれに關連して申し上げたいのだが、私が全然知らぬ摘發指令書とか、あるいは拂下指令書とかいうものが出ておると聞きますが、これは全然偽造されたものであります。それ以外には私は關係しておりません。なお指令書發行について杜撰がなかつたか、輕率がなかつたかとお言いになるかもわかりませんが、大體摘發に關係のあるものはそれぞれの經歴をもつたものであります。繊維なら繊維、鐵なら鐵、あるいはそれに關連をもつた商賣をしている人、あるいはまたそれを調査してくる者は非常な費用をかけておる。單なる聞込みニユースではない。多額の金額を投じる人は百萬圓以上もかけたものがあり、その摘發するにいたるまであるいは少くて三萬、五萬、血のにじむような苦心をして摘發をして來るやつを、さらに私は輪をかけて嚴選して、これなら間違いはなかろうというところで指令書を出したようなわけで、私自身といたしましては決して輕率な氣持でやつたものではないということを申し上げることができると思います。
#128
○小島委員 私の世耕さんに對する質問はこれをもつて終らせていただきます。百四十五通の世耕さんの假摘發書というものは、できれば世耕さんから寫しでも御提出願いたいと思います。
#129
○武藤(運)委員 議事進行について、大分長い間世耕さんからも御説明がありましたし、質問もあつたようでありますけれども、いろいろ資料も御提出になるようなお話でありますから、私どもはその資料を頂戴いたしまして、十分に調査した上で質問を續行いたしたいと思います。本日はこの程度で打切つていただきたいと思います。
#130
○加藤委員長 ただいま武藤君から御意見がありましたように、先ほど世耕君も言われましたし、本多君からも御要求がありましたが、委員會としましては世耕君に資料を提供していただいて、その資料に基いてさらに質問を續行する。こういうことにして御異議ございませんか。
#131
○加藤委員長 御異議がなければ一つ世耕さん、委員會の決議としましてあなたの持つておいでになる資料をできるだけ詳細なものを出していただきたいと思います。
#132
○世耕弘一君 それについてお斷りしておきたいことがありのです。實は私の手もとにあつた大きい風呂敷包は今司令部へ提出してありますのでそういう事情にあることを御了承願います。
#133
○加藤委員長 わかりました。それでは世耕君からの資料の提供はただいまお聞きの通り全部司令部に囘つておるそうでありまするから、委員會からこの機會に渉外部を通じて交渉して、渡してもらうようになるべくいたしたいと存じます。もし全部もらい下げさしてもらうことができなければ、指令書百四十五通と前の五十通と百九十何通、約二百通ばかりの指令書とその他…。
#134
○世耕弘一君 途中ですが、もしそれだけなら、安本と内務省へ行けば原本があります。私の方は控えしてありません。政府から提出していただけばかえつて確實なものがあります。
#135
○加藤委員長 その點は政府に請求することにします。
 次囘は豫定としましては來月二日の午後一時から開會いたしたいと思いまするが、本會議と衝突するのではないかという多少心配もありますけれども、もし衝突するようなことがあれば、議長にお願いしてこの委員會をできるだけ開きたいと思います。これもあらかじめお含めおき願います。
#136
○中野(四)委員 來月二日は異議ありません。それまでにこちらから要求した資料ができ得ましたならば、各委員の手もとに速急に送つていただきたいと思います。その委員會の當日それを資料にしていろいろお尋ね申し上げ、またそれぞれの方法を議していきたいと思いますから、この點は特に御注意を願いたい。
#137
○加藤委員長 明日早速政府の方に督促します。
 今日はこの程度で散會いたします。
   午後四時三十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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