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1947/08/06 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第6号
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1947/08/06 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第6号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第6号
昭和二十二年八月六日(水曜日)
    午後一時四十七分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 武藤運十郎君 理事 吉田  安君
   理事 本多 市郎君 理事 石田 一松君
      足立 梅市君    清澤 俊英君
      荊木 一久君    小島 徹三君
      鍛冶 良作君    北浦圭太郎君
      辻  寛一君    水田三喜男君
      野本 品吉君    中野 四郎君
      徳田 球一君
 出席政府委員
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
 委員外の出席者
        議     員 世耕 弘一君
  證人
   都内葛飾區小谷野町三八番地、岩崎澱粉化
   學工業所の所藏する水飴の事實調査につき、
   世耕内務政務次官に對する昭和二十一年十
   月十七日附報告書に關する件について、左
   の證人が出頭した。
        前警視廳生活課
        長       小杉 平一君
          (住所) 前橋市群馬縣廳
        前目白警察署長 有田 一貞君
          (住所) 東京都豐島區高
               田本町二ノ五三
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 前會に引續いて會議を開きます。
 この際一言御報告をいたしたいことがございます。それは先日の委員会で決議いたしました證人出頭に件についてでありますが、世耕君が隱退藏物資等處理委員會の副委員長を退職するに至つた經緯についての證言のために、石橋湛山君、いわゆる目白における水あめ事件の證言のために當時の警視廳生活課長、現群馬縣警察部長小杉平一及び前目白警察署長有田一貞の兩君、栃木縣における隱退藏物資摘發に關する事件の證言のため、世耕君の指示を受けて摘發に當つた船岡壽信、辯護士の濱田三平、當時の宇都宮檢事局檢事花岡學、栃木縣經濟防犯課長森敬の四君に對してそれぞれ議長より出頭要求の手續をとりました。石橋君は六日及び八日の兩日は東京裁判の證人として出頭することになつております關係で、この兩日は出頭が不可能でありますから、十日以後にしてほしいという電報がまいつておりますから、十日以後の委員會に出頭してもらうことにいたします。本日は以上のうち小杉平一、有田一貞の兩氏が出頭され、他の證人は次の委員會に出頭されることになつております。なお司法大臣は東北行幸に扈從のため東北地方に出張しておりますし、和田長官は勞働關係閣僚の緊急會議に出席しておりまして出席がむつかしゆうございます。それから内閣に要求いたしました資料の提出が遅れておりますので、これは至急に提出は要求するとともに、提出豫定の期日を明示するように申し入れておきます。御了承願います。つきましてはここに小杉、有田兩氏が出頭されておりますので、兩氏の出席を要求されました石田君からまず御質疑を願います。
#3
○中野(四)委員 石田君がおられなければ私から伺つてよろしゆうございますか。
#4
○加藤委員長 よろしゆうございます。
#5
○中野(四)委員 小杉さんと有田さんに率直に伺います。元來が粗暴な人間ですから、言葉に失禮がある點はお許しを願いたいと思います。
 俗にいう世耕情報とでも言いますか、世耕君の證言によりますれば、有田さんが目白警察署長當時に、十六萬貫になんなんとする水あめの退藏物資があつた。これを摘發するにあたつて目白署長はこの摘發に力を注ごうとしたときに、響視廳の方から何らかの形においてこれを止められた。つまり彈壓された。その結果思うようにならなかつたという重大な發言があつたのであります。從つて當時の摘發の動機、または摘發人の名前、住所、職業、摘發當時の眞相状況、さらに水あめの性格、水あめが退藏物資としてのいかなる性格をもつておるものかということ、それから摘發當時は何貫あつて實際上いかなる方面へ何貫渡したかという點について、明確に御答辯を願いたいと思うのであります。そこでただいま申し上げました五點のうち第一番に伺いたいのは、摘發の動機であります。同時に摘發人の氏名、住所、職業、摘發當時の眞相状況を兩君より適當に御報告を願いたいと思います。
#6
○有田證人 これは私が一切取扱つておりまして、小杉生活課長はあまり詳しく知られておりません。從いまして私からその當時の状況を概略説明申し上げます。なおこれに御質疑がありましたらさらにお答えいたします。
 私の管内に目白露店商支部というのがございます。その支部の副組合長をいたしております清水清という者が九月十五、六日ごろ署長室にまいりまして、私の友人に竹中という者がおるが、堀切にたくさん水あめを退藏しているところがある、それは退藏物資と見られるから、取調べの上供出手段をとつてもらえないか、こういうふうの申告があつたわけであります。そこで御承知の通り警察というものはそれぞれ管轄がありまして、自署管内のことであるならば直ちに出頭して詳細取調べをいたしますが、本田署管内葛飾區堀切でありますから、直ちにこれを引受けるわけにはいかなかつたのであります。從いまして本人に、本田警察に申告せられて、本田署の取扱いを受けられたらよかろうと申し上げた。なおあなたの方でできなかつたならば、私の方から電話連絡をとろう、あるいは警視廳生活課にもとつてあげよう、こういうふうに本人に話をいたしたわけであります。ところが本人は自分が目白署管内に住まつておるのであるから、ぜひ目白署でやつてもらいたい、こういう申し入れがあつたわけであります。そこで他署管内のことでもあるし、ざつくばらんに申し上げますと、本田署長に對する仁義の關係もありますので、ただちに私が出動するわけにいかない。從つて生活課の指揮を受けることが最も正しいことである。かように考えまして、係をして生活課に連絡をとらせたのであります。ところが生活課にありましては、せつかく申告者からそういうふうに言われるならば、あなたの署でとり上げておやりなさいというような囘答でありました。そこで私の方から、それでは私の方の署員もやりましようが、生活課からも共同調査というようなことでやつてもらいたい。こういうことで生活課からも出していただくようにいたしまして、九月の二十日巡査部長を首班といたしますものが、その申告者を道案内にさせまして小谷野町三十八番地の退藏物資の水あめの所在しておると認められる工場に出向いたわけであります。工場に參りますと、申告通りと思われるような數量の水あめと澱粉が若干あつたのであります。これは十月七日附世耕内務政務次官に通知いたしておりますうちに一切記載してありますが、その中には水あめが七千七百八十カン、しかしこの當時の一カンの目方は六貫八百刄ですから七千からの數を算えると、内容を調べることは非常に困難であります。しかもまだ退藏物資なりや否やという點の疑念がありますので、一應カンを算えて内容は調べておりません。さらに澱粉が九百六十袋ばかりあつたわけであります。そこで本人――申告者のいわゆる隱退藏物資、こういう觀點から一應取調べをすることになつたわけであります。隱退藏物資の觀點から調べると同時に、やはり警察官は警察官らしい考え方をもちますので、價格違反その他の違反なきや、これを附け足して調べたのであります。調べておりますと、どうも法令に示すところの隱退藏物資の指定物資にあらざる疑念が生じた。係がそういう疑念を私のところにもつてきましたので、詳細私もその當時の通報を見たのですが、當時の通報のうち、特に隱退藏物資等緊急措置令第三條によつて農林大臣が指定したところの指定物資というのがあります。これは二十一年四月二十七日農林省告示第八十六號であります。この緊急措置令によつて隱退藏物資として指定されたものは十六の種目があるのでありますが、これには主食というようなものがありません。この農林大臣の指定したる指定物資の中には米穀、だいず、裸麥、小麥、雜穀、穀粉、甘藷及び馬鈴薯竝びにその加工品たる食料、麺類、パン、澱粉食料品、カン詰、砂糖、こういうものが指定してあるのでありますが、あいにく私のところには當時官報の配達が非常にうまくいきませんので、當時の官報がありません。そこで係官をして生活課で官報を閲覽させてもらうようにしておつたのであります。ところが、それがまだ隱退藏物資に該當するにあらずと決定しない、疑義を生じたときにちようど申告者たる清水清君がまいりましたので、どうもあれは隱退藏物資に該當しそうもない、今取調べをしておるけれども、どうも警察署にある通牒から見れば當らないように思うというような話を漏らしたのであります。ところが二三日いたしまして、やはりその露店商支部長關口愛治君がまいりました。世耕政務次官にちよつと會つてもらいたいという、そこで内務省というとわれわれの直上官廳でありますが、なにかお話もあることであろうと考えて同道してまいつた、政務次官室でさまざまな話をいたしておりました際に、隱退藏物資の摘發こそ現下國家の急務である。當時五百億という數字を聞いておりますが、まあせつかくあなたが努力してくれておるから大いにやつて欲しいというようなお話がありました、もちろんわれわれが最善を盡してやつておる際でありますから、この督勵結構でありますので、お言葉を拜聽しまして歸りましたが、しかしその後調べてみますと、今申し上げたような緊急措置令あるいは農林大臣の指定に該當していない、そこでこの調べは間違つておる、隱退藏物資にあらず、こういうふうに考えて私の方できめざるを得なくなつた。しかしまたその當時價格違反の取調べが並行してあつたのでありますが、それは他府縣約十數箇所に向いまして、警察署を通じ内容を調査中でありましたので打切ることができなかつた。しかし愛知、靜岡方面よりそれぞれの調査がまいりまして、その價格違反でないということがわかりましたのでこれをやめることにしたのであります、それから隱退藏物資にも該當しないということもありましたし、價格違反ということもできない。
 もとより警察がこういう取調べをするときにこの物資をいかなることによつて強制供出なさしめるか、これは今の隱匿物資等緊急措置令によること、あるいは價格違反によつて公安を害するのおそれはなはだしきもの、任意供出によるもの、こういうような手段によつてくるのでありますが、今申し上げましたように隱匿物資等緊急措置令には決定したる品目、別表に示されたるもの、後の農林大臣の指定したる指定物資にも入つていない、ただ澱粉というのが入つております。しかし澱粉及びその製品という文字がない。水あめは澱粉からつくつたに違いないが、すでに品目が違つていて取調べの對象とならない。從つて人の財産、人の權利を國家の權力をもつて取りあげるには該當法令がない。そこで取締りをしてもむだである。調べをしても役に立たない。そういうわけでこれをやめたわけであります。そうしますと、たしか十月七日に報告しましたから前の日の十月六日か十月五日ですか、政務官の祕書から電話がかかりまして、明日午前十時に政務官室に來てくれ、こういう話であります。むろんこのことであることは直感いたしましたから、承知いたしましたというので、六日の午前九時半ごろ出發しようとするときに關口愛治君が、やはり警察署長に呼ばれたので一緒にまいりましようと言う、私にもきてくれという話でありましたからともどもに政務次官室にまいりまして、今までの經過を、政務次官に通知をいたしました内容を全部申し上げた。そうしますと、澱粉が取締られて、それからできた水あめが取締該當にならぬということがあるか、むろんこれは澱粉から取つたであろうけれども、この法令は澱粉からつくりあげた製品まで追究していない。法令によつて一切の處理をする警察署としてはこれ以上にさまざまな解釋を加えられたり、さまざまな説明を與えられてみたところで、法にそれだけの根據がない。從つてこれはやめなければならぬからやめたのであります。
 そうしますと、それでは今までの状態を報告してくれと言う、しかし私は世耕さんから指揮命令を受けているので報告する義務はない。ただ私が取調中の事件をどうなつたかと安否を伺つただけに過ぎない。從つてこの文面の中には御通知と書いてあつて、復命または報告という文字は使つてない。そういうふうの扱いでこの問題はけりをつけました。それで歸りまして起案をいたしておりましたところが、小杉生活課長さんがおいでになりまして、水あめのことで樣々な文句を言つてくる者が大分ある。うるさいようだが、署長どうなつているかというような話でしたから、ちようどいいところへおいでになりました、世耕さんにこういう報告を出すつもりで今起案いたしました。しかしこれは監督官廳であるあなたの方にも出さなければならぬので、一部あなたの方に差上げるつもりで今三通書いております。しばらくお待ち願いますというので、私は水あめに關する事實調査方の件は小杉生活課長さんにも一部差上げましたので、ここに生活課長さんと課長との間にこの水あめ事件の關係がはじめて發生した。それまでは各係の者が庶務係と連絡をとつていた。以上が眞相でありますから御承知おきを願いたと思います。
#7
○中野(四)委員 さらに有田君にお尋ね申し上げます。目白署の管内にいる清水清という者が摘發の本人であるといたしますれば、この清水君がなぜ本田警察へ直接行つて、あなたの紹介なり乃至は生活課長の紹介なりをもつて、それぞれの所轄においてやられなかつたかということにちよつと疑いをもたざるを得ないと思うのです。私はここに住んでいるから目白署でやつてもらいたい、こういうような行き方はちよつと公式の場合において受取りがたい點がありますので、この點をお答え願いたいと思います。
 それから水あめ十六萬貫と世耕君は言うておりますが、約十六萬貫のものはどういう經路を經て退藏の場所にあつたかという點が明確でないのであります。それから世耕君の指令書というものを見たことがおありになるかどうか、またごらんになつたとするなれば、その指令書をどういうふうな見解をもつてあなたは見られたかという四點についてお答え願いたいと思うのであります。
#8
○有田證人 お答えいたします。これは私にもはつきりわからないのですが、清水清君が私に言うには、住所の關係があるからそれで目白署でやつてもらいたい。われわれは目白警察署を信頼しているからとお世辭を使つて來ましたが、しかし私の方としてはお世辭を使われて動くわけにはいかないから、なるべく本田警察に行くように慫慂したのですが、本人はぜひやつてもらいたいというようなことで、しようがなくしてお受けしたようなわけであります。またお受けするのにはそれぞれ警視廳生活課と連絡をとつていたしたわけであります。
 それから水あめがどこにあつたかということは、これは工場所在地の倉庫の中にありました。これは葛飾區小谷野町三十八番地岩崎澱粉化學工業所、こういうように御承知願いたいと思います。
 それから世耕指令書というのは新聞で聞きましたけれども、私どもは一向存じません。またこの事件は世耕指令によるものにあらずして、申告によつて私の方が先に調べているのでありますから、その指令書によらざることを申し上げておきます。
#9
○中野(四)委員 お尋ねの要點は、私が言い足りないかも知れませんが、どういう經路を踏んでその工場にこれだけたくさんの水あめが退藏されておつたかということをお尋ね申し上げたのであります。その點について明確なお答えを願いたいと思うのであります。
#10
○有田證人 そうしますと十月七日附世耕内務次官殿宛の通知書の複寫は皆さんありませんですか。――大體その概要を申し上げておきましよう。岩崎新太郎という人は大體二十年ほど前からこの小谷野町で工場を經營しまして、水あめ製造に從事いたしておつたのであります。戰爭中は軍も注文等が非常に多くありまして、一時その月額生産能力は二萬カンくらいに達したのであります。かなり大きい水あめ工場でありまして、約七、八十名の工員を使用して盛大に操業いたしておつたのであります。しかし終戰後は原料の割當が非常に少くなり、その年額能力が月額能力にも及ばないというふうな高でありまして、當時の年度における生産高は千七百六十二カンしかつくつておらないというような状態であります。そこで同工場が配給會社から割當を受けた澱粉が十九年度から昨年の十月に至るまでにどのくらいあるかと申しますと、二十六萬七千十五貫あるのであります。終戰後入荷したものが九萬四千七百八十貫あるわけであります。こういうふうのことで製造いたしておりましたが、私どもの調べで初めて知り得たのは、あめをつくるのにやはり澱粉一貫目に對してなんぼの割というような割合があるらしいのでありますが、工場擔任者の話では六掛だということを申しておつたそうです。ところが實際はよい澱粉であれば八掛くらいになるものだそうであります。私は實際にその點は知りませんけれども、こういうふうのことで製品中に餘剰が出てくるらしいのです。そこでその餘剰をだんだん蓄積したのが理由の一つ。それから終戰前軍が勝手に各部隊から澱粉を持つて行つてさまざまに加工を委託したものが、終戰と同時にお流れになつてしまつたものがあるらしい。この數量ははつきりいたしません。そういうふうの關係から、約七千七百八十カンというものがそこに殘つておるわけであります。しかしそのうち四千カンは日本水飴配給統制組合に供出するものですから、實際に岩崎という人の手もとに殘つている水あめは三千七百八十カンだけしかない。その後さまざまにこれが調べられたことがあるそうでありまして、本田警察からもしばしば調べられ、あるいは警視廳生活課からも調べられたことがありまして、この品物をさばくことができなかつた。そのままに殘つているのを命令書か申告書を受けて取調べられておつたというのです。この間に移動というものがなかつたので、總數におきまして七千七百八十カンというものがあつたわけであります。しかしこれを實際にいよいよ供出せしめるという場合に精密に調べますと、まだ數量がふえることもありますし、減ることもありますが、これは概算だけでありますから、この點は御承知おきを願いたいと思います。それからさらに澱粉がそこにあつた。この澱粉は、昭和二十一年度の政府割當があるものだという見越しから當時やみという言葉はなかつたでしようけれども、少し餘分に生産者から直接に仕入れて、あとで割當をもらつて清算するという手をこの工場は用いておつたようです。ところが割當が九千二百八十貫ということになりましたために、約一万五千貫ばかりの澱粉が餘分にはいつてきた。そこでこれは日本澱粉統制組合關東支社に連絡しまして、遂に關東支社に引渡すことになりました。そうして關東支社に保管證書を提出いたしました。從つてこの澱粉は岩崎所有の澱粉にあらずして、いわゆる正式ルートである日本澱粉統制組合のものでありましたので、これまた先ほど申し上げましたように隱匿物資の指定物資たる澱粉でありますけれども、警察としては強制供出させることはできなくて、そのままになつておりました。
#11
○中野(四)委員 この退藏であるかないかという問題については、後刻また有田さんから承ることといたしまして、この際重大な問題として小杉群馬縣警察部長に伺いたいのでありますが、前警視廳の生活課長當時に、ただいま有田前目白署長が言われたような状況に基いて、世耕君のいわゆる依命によつてこれを摘發しようという場合にあたつて、世耕君は去る三十日の本委員會の席上警視廳の彈壓によつてこれが阻害された、まことに遺憾のきわみだ、今日の段階において隱退藏物資は相當數あるけれども、これを摘發しようとする場合においては、官僚とやみ屋が結託してこれらの妨害を往々なす結果、摘發ができないということを言明されているのであります。これは日本のよき官吏として、日本國民の一公僕としての官吏の面目としても、重大な發言であると私は思うのであります。もしこのようなことが事實あつたといたしまするならば、由々しき大事としてわが國會はそれぞれの機關を發動して、これが嚴重なる處置に出なければならぬと思うのであります。しかしながらもし不幸にして證人世耕君の言葉が全然間違つておつたとしたならば、われわれはさらに國會の權威にかけてこれを追究しなければならぬと思うのであります。すなわち小杉課長の證言は重大なる岐路に立つているものでありまするが、はたしてあなたはこの水あめ摘發にあたつて警視廳の權力をもつてこれを、妨害した事實があるかないかという點について明確に御答辯を願いたいのであります。
#12
○小杉證人 ただいまの御質問に對しまして當時の眞相を申し上げます。昨年の九月ころであつと思いますが、目白の露天商組合の関口愛治さんが私のところにお見えになりまして、近ごろ隱退藏物資が非常にたくさん都内にある。そしてあるところに水あめが相當退藏されておる。それを警視廳は何がゆえに摘發をしないのか。こういうお話があつたのであります。そこで私はそういうような物資が今もつて大量に退藏されておるというようなことは重大な問題でありますので、どこにその水あめがありますかとお尋ねをいたしましたところ、そのときには明確なお返事を承ることができなかつたのであります。それから十月の十日前後と思いました。ある朝私は内務省警保局の溝淵防犯課長に呼ばれまして、出頭いたしましたところが、實は世耕内務政務次官から話があつたのだが、警視廳管下に水あめが相當退藏されておるらしい。それで目白の警察はこれを摘發しておらぬ。これははなはだ不都合であるというような意味のお話を承りまして、そのときに私は全然目白署でそういう事件をやつておることも知りませんし、それでは早速に調べましよう。ましてわれわれの監督官廳である内務省の、しかも政務次官がそう言つておられるのでありまするから、事はきわめて重大な問題である。またこれを愼重に調査をし、報告をしなければならぬ。こう考えたのでありまして、内務省から引上げましてただちに私は目白署に出かけたのであります。それが先ほど有田證人から話のありました私が目白署に出かけた理由であります。そこで先ほどのような經過を署長から承りまして考えたのでありますが、この現物が存在しておりますのは葛師でありまして、警察は本田警察署管内であります。從つて目白署からは非常に遠いところに物資が存在をしておる。そして當時の情勢といたしまして、いわゆる八・一肅正の直後でありまして、相當警察署においてもこの取締りに力を注いでおりまするから、このような重要な問題で目白署にさらに人手をかけることも氣の毒なように感じたのであります。從いまして本田署も監督をし、目白署も監督をしておるところの警視廳がこれを直接に取扱つたならば、事務的にみましても能率的ではないかということをまず考えたのであります。
 次に話は前後いたしますが、たしか夏であつたと思います。やはり本田署管内に水あめが退藏されておるという意味の投書が軍政部にまいりまして、軍政部から生活課の方に指示があり、これを調査をするようにという命令を受けまして、本田署をして調査をせしめておる最中であつたのであります。從いまして目白署でも同じ調査をする。本田署でも同じ調査をするというようなことはむだなことであると感じまして、私は警視廳生活課がこれを扱うのが適當ではないかという判斷をしたのであります。さらに第三といたしまして、先ほども話がありましたが、隱退藏物資緊急措置令には水あめというものの物資の指定がない。從つてたとい隱退藏物資でありましても、法的には強制的にこれを供出せしむる根據がない。しかしながら内務政務次官の御意向といたしまして、こういうようなものが退藏されておるということは非常に重大な問題であるから、これを正規のルートに載せるなり、あるいは引揚者、戰災者等に、甘味の不足しておるときでありますからして配給ができたらというような意味のお話があつたということを聞いておりましたので、これはなるほど強制的に供出をさせることはできないかもしれないが、任意的にそういう方面に振向けることは、できないことはないであろうというふうに考えました。といたしますと、警視廳といたしましては物資を摘發する權限はありますけれども、この摘發せられた物資を配給する權限はもつておりません。これは主務官廳、内務省なりあるいは東京都廳に移管しなければできないことであります。そういう點からいたしましても、關係各省あるいは東京都廳に相當折衝しなければならぬ。從つてこれを目白警察署でやるよりも、平素から都廳と折衝しておる警視廳の生活課でやつた方が適當であろうと私は判斷をいたしたのであります。從いまして私は内務政務次官の御意向を體して、これを警視廳の生活課で責任をもつて處理しようという決心をいたしまして、その場で署長と相談いたし、目白署の調査をもらいまして警視廳に歸つたのであります。從いまして目白署の摘發をしておる仕事に對して、これを中止せしめたとか、あるいはまた妨害を加えるとかいうような意見は毛頭ないのでありまして、また事實ないのであります。私は次官の意を體して責任をもつて私自身が處理しようということで、私自身が目白署にもでかけ、自分自身が部下を指揮して處理をすることになつたのであります。そこで私どもの方でも本田署、それから目白署の調査を參考にいたしまして調査をいたしました。その結果は大體目白署長が先ほど申したのと變りません。水あめが七千七百八十カン、カンと申しますのは石油カンのカンでございまして、一カンに六貫八百匁はいつております。甘藷澱粉が九百六十袋、一萬九千八十貫目ありました。私は所有者であります岩崎澱粉の社長岩崎新太郎さんを喚びました。そこで調査の結果と内務省の意向を話しまして、法的には供出命令を出すことができないけれども、こういうような不幸な人がたくさんおるときに、これが横流しになつて消えてしまうことはおもしろくない。これを任意に供出させてはいかがですかと勸誘をいたしたのであります。またそれと前後いたしまして、關口愛治さんがたびたび見えまして、世耕内務政務次官の御意向として、やはり單に統制機關に引渡すとか、あるいはそのまま放つておくとかいうことにいたしますと、横流れをするおそれがあるという御意向であることも承りました。私も考えましたが、いわゆる機械的にこれを處理するといたしますれば、任意に供出されました水あめ、水あめと申しましても澱粉あめでありまして、精製された水あめではないのでありますが、それを統制機關にそのまま渡してしまつたならば、あるいはまた横流れをするおそれがないとも限らぬ。從つてむしろこの水あめを、どこのたれに配給するという配給計畫まで豫想に入れて計畫を立てて、その上でこれをどこに引取らせるかということを考えた方がいいのではないかというふうに考えまして、東京都の經濟部竝びに教育局の人にも相談をいたしたのであります。と同時に岩崎工場に對しましては、この物資の中で、それぞれよそから預つておるものもあるであろうし、また厚生省その他からの發注品もあるようでありましたから、それらの明細書を私の手もとに提出するように話しまして、提出された書類に基きまして一つ一つ檢討をいたしまして、あるいは同胞援護會、あいは都の教育關係、そういつたところに割振りの會議を招集をいたしたのであります。そのときに集りましたものは、東京都の經濟部、教育局、同胞援護會、それから岩崎さん、警視廳でありまして、そこで水あめ四千五百カンを東京都廳に引渡をすることに決定をみたわけであります。從いましてその後は東京都廳におきまして、この四千五百カンは計畫配給されたことと確信をいたしております。私は十一月七日に高知縣警察部長として轉任を命ぜられ警視廳を去りましたので、その後のことについては詳しいことは存じませんが、かねての計畫に從つて正確に配給されたと確信をいたします。
#13
○加藤委員長 中野君
#14
○中野(四)委員 さらに伺いますが、關口愛治君とあなたは舊知の間ですか、それとも未知の間ですか、伺いたい。それからあなたが生活課長當時に、世耕指令なるものを見たことがあるか。もし見たならばその世耕指令はどういう感覺で見られたか。あるいはどういう感情で見られたか。あるいはどう取扱つたか。いま一つ重大な問題で伺いたい。特にこれは小杉さんから御返事ができなければ、有田さんで結構ですが、何ゆえこの密告をする人間がこんなにしつこくしなければならぬか。清水清初め關口愛治が目白署長、警視廳、世耕君を訪ねて、世耕君をしてかくのごとき摘發の段階、あるいは指令書を出させるところまでしつこく密告しなければならぬか。密告しようとした當時の状況。これは今後私どもがお尋ねする上に重大な點でありますので、特にこの點お答えおきを願いたいと思う。前に小杉さんから伺つて、さらに小杉さんがこの所管についておわかりにならなければ有田さんから伺いたいと思います。
#15
○小杉證人 關口愛治さんは、私が生活課長をしておりまするときに、東京露店商組合のやはり役員をしておられました關係で露店問題につきましていつも折衝をしておつた方であります、そういう意味において面識のある方でありました。それから世耕指令は、當時私は見たこともありません。また世耕指令の内容も全然存じません。それから非常にしつこくやつてきたというような點でありますが、これは私が在任中しつこく來る者は決して關口愛治さんに止まりません。たくさんの方が毎日私の部屋に押しかけておつたような状況でありまして、特に關口さんがしつこいというふうに私は感じたことはありません。
#16
○加藤委員長 有田君
#17
○有田證人 最後の申告者がなぜしつこくこういうことを迫つて來たか。それについて私が感じ、また私がそうであろうと想像する點を申上げたいと思います。
 第一の觀點は、露店商の肅正という觀點であつたのであります。當時先生たちの言質を聽きますと、あめは一本一圓になつた。しかもそれが正式のルートに出ておるわけではありません。皆やみからやみに買あさつておるのであります。今でもそうですが、目白管内の露店商は、東京都内でも模範的な露店と言つてもいいと思うくらいまで警察が熱心に盛り上げて來たのであります。ところがそういう點から見て、あめのやみ値段これは第三國人が先に始めたという評判ですが、それがだんだん擴がつてそういうふうになつた。どうにかしてこれを肅正しなければならぬという考え方をもつておつた。しかるにこのあめがたくさんある。從つてこれが横流しになればますますあめのやみがひどくなる。これは業界肅正の見地からしても斷固やらなければならぬという考え方をもつておつた。それから第二にはこれは私の想像でありますが、私の手もとにこの退藏物資を申告してくれたのが四件ばかりあります。かなりなもので、千葉縣においては小麥粉等も約九千袋ばかり摘發したこともありますし、あるいは日本橋の國分商店において、一萬七、八千カンのカン詰をあげたこともありますが、いずれもよき成績をあげております。本人らは報酬金をもらうとか、あるいは裏にまわつてものをせしめようというような非人格的な意圖は一つももつておらなかつたようであります。從いまして前に申告したるものはことごとくよき成功を納めたと思いますが、これだけが不成功になつた。これはやはり先生たちの人格が反映して殘念だという觀念がいたしました。
 それから三番目には彼等の言動が誤解を生じたのではないかと思つております。それは先ほど私が説明した中に隱匿物資に該當するかしないかを本廳に聽き合せた。本廳の囘答がありましたので、該當しないということがはつきりわかつたから、それでおれの方としては法的取調べ、警察取調べは取止めにする。あとは政治的解決しかないのだと言つたのが、本廳が何か差金をしてやらしたのではないか。それでは本廳に追つていけというような考え方が生れたのではないか、この二點を、想像でありますけれども、そういうことが執拗さを増したのではないかと考えております。
#18
○中野(四)委員 そこで私は世耕さんに伺いたい。去る三十日の本委員會の私の質問に對する御答辯の中で、特にあなたは目白署管轄にあつた水あめの點に對しまして、不良の巣のようないわゆる官僚が相當いろいろな形において妨害をした。それをわれわれは斷固押し切つてこれを行つたのだという言明をしておられるのでありまするが、この點に關してただいま小杉群馬縣警察部長の證言によりますれば、まつたくあなたの誠意を買つて、あなたの地位を十分に斟酌して、しかもあなたの意思を十分に尊重してこの問題を取扱つたという見解と、あなたの言ういわゆる惡質官僚の妨害によつて思うようにいかなかつたという點については、天地雲泥、まつたく右と左の見解の相違があると思うのでありまするが、本國會の委員會の名譽にかけても、これだけは黒白を明らかにしなければならぬと私は思いまするので、まず小杉證人の言葉と世耕氏のこの言葉の差はいかなる觀點から生れ、今日なお世耕さんは當時の心境と變りはないかということを明確にお答え願いたいと思うのであります。
#19
○世耕弘一君 中野君にお答えいたしますが、あなたの言葉ははなはだ熱が含まれておるお言葉であるから、ときどき私の口調よりもよほど擴がつた意味の口調で御發言なさつておるように思われるのであります。この點は食違いのないように、冷靜に私の速記録を見ていただいた上で追究していただきたい。かようにお願いする次第であります。
 なお今の目白署長竝びに小杉さんからお話になることを後ろの方で聽かしていただきました。一應筋だけは了承いたしました、しかしながらこの水あめを摘發するにあたりまして、最初に私が陳情を受けたのは今問題になつておりまする關口君から話があつたのであります。關口君は事をわけてこの隱退藏物資のあることを警視廳に陳情したのだが取上げなかつた。さらに警保局に來て警保局長にもこのことは陳情したはずである。なおさらに警保局長の了解を得たと思いますが、溝淵防犯課長に對して陳情いたしたそうであります。その結果依然として解決がつかないから、最後に私の部屋にやつてきたのであります。さようの經過を經てまいつたのであります。ゆえに眞相の内容について説明を承つておりますると、ただ單純な感情や、あるいはブローカー的見識をもつて言つてきておるものではないと私は率直に感じました、ゆえに私の名前であらためて防犯課長に再調査を命じたのであります。その返事の結果として、あれは正式なルートにはいつておるのだから調査する必要なしとの警視廳の答辯があつた、さよう御承知願いたいという意味の防犯課長からの報告を受けたのであります。ゆえにその旨を關口君の代理、關口君自身にその意味を傳えたところ、それは間違いだ正式のルートに乘つておるあめだということが間違いなんだ。それならもつと掘り下げて調べてみましようというので、その水あめの出どころ、水あめになるまでの澱粉の原料を受けた所、竝びに農林省に出ていつて、農林省がどれだけ岩崎あめ屋に原料を配給したかということも調べ上げて、結果を私の所に報告をもたらしてきた。なるほど警視廳の言うごとく正式ルートでその水あめが保管されておるといたしましても、原料の購入にもうすでに不正があると私はにらんだのであります。もう一つは報告を檢討いたしてみますと、莫大な數量の水あめを温存しておる一方、社會を見れば戰災者、引揚同胞小さい子供が糖分に不足して死亡する者すらある。これをこのまま放つておいては社會惡のたねになるであろう、私はかように考えて、もう警視廳にこの上頼んでもこの摘發は不成功に終るであろう、だれに頼んでこの處置をしたらよかろうかと、申告してきた者に聽きましたところ、露骨に申しますが地元の警察ではだめですよ、それではどういう警察へもつていくかといつたら、目白の署長は案外硬骨漢だから目白の署長がいいでしようというわけで、實は目白の署長へ依頼することに私は腹をきめた。役所の例から言えば順々にいくのでありますが、順々にいつたのではこの目的は達しないものだから、私は直接目白の署長の出頭を願つてこの意味を傳えて、眞相究明に當つてもらつたのであります。さいわいに私のこの氣持を容れてくれて、とにかく正規のルートであるかないかは別として、一應眞相をきわめましようという態度で進めてくれたのであります。ただいま記憶を辿つてみますと、約半数くらいはその物資の所在と内容をつき止めてきた時分に、これ以上はどうも私の權限でやることはまずい、本廳からはこれ以上追究することをやめいという意味の話がありましたから、私はこれ以上やれません。どうぞ御了解が願いたいという意味の言葉がありました。だから私は本廳との對立ではあなたの仕事は無理であろうから、これ以上あなたに頼むのはさし控えませう。しかしこれまでの取調べた經過報告書だけは書いてきて下さいというので、その時の經過報告書を書いていただいたのが、ただいま加藤委員長の手許にある報告書となつてゐる次第であります。
 その以後目白署長もいよいよ手を引かなくてはならぬような實情になりましたから、私はその最初の摘發者であつた關口一家の人たちにどうするということを相談したところ、ここまできたのだから徹底的にやりましようかという話がありました。ところが、警視廳を相手では後のたたりがありますからというので躊躇しているような傾向があつかから、それなら僕が引受ける。僕が一切責任を負う。國家のために、時局を救うためにひとつあなな方やつていただきたい。次官その方の責任を負いますか、度胸がありますか。よろしい、というので引受けて、最後のかれこれ十四萬貫に値する水あめを摘發報告を受けるに至つたのであります。なお私がその摘發をいよいよ進行する最中に、岩崎社長自身が私のところへこられまして、あの水あめは正式のルートによつて保存しているのであるから、摘發されることは困るという抗議的態度で、私のところへねじこんでまいりました。そこで私はそれに答えて曰く、莫大な水あめが正當なルートによつて保存されているかどうかというその眞偽を知る前に、あの莫大な水あめをあなた自身が保存していることは既に疑問の種となりはせんか、今目を開けばよくわかるように、幼少な子供たちが糖分に不足していることがあなたの目には映じないか、ほんとうの日本人であつたら少しは考えてくれなくてはならぬはずだ、なおまたもうひとつ突込んであなたに聽かなくてはならぬことは、この莫大な水あめを温存するあなたの商業目的はどこにある、公定價格の値上りをまつて利益を得ようとするか、ただしはやみに流そうか、この二途よりほかに目的はありますまい。こう考えてみると、あなたの計畫は暗い影をもつて見なくてはならぬ。しかし私は警察でもなく、檢事でもない。あなたに時局の認識をしてもらつて正しい商人として立つてもらうことを私は要求する。殊に今日あなたとここで會うということは、世間の疑惑を求めることになるから、これ以上のことはあなたと言葉を交すことは望みません。あなたに潔白なところがあるならば目白署まで行つて署長によくその心境を話されたがよい。また私の言うことがなるほど正しいということがおわかりでしたならば、この問題についてあなたは良心的に善處なさい。おわかりくださるならばお引取りくださいというので歸つて行かれたのであります。なお當時の社會面の一端といたしまして、私がその水あめ摘發を強引にやらなくてはならぬということは、當時の新聞記事を讀んでいただけばおわかりになろうと思う。新橋特に上野を中心に一カン七貫匁入りのあの水あめが五千圓、六千圓で取引され、毎日四、五十人右往左往しておるという新聞記事が出ておつたのであります。私が特にこの水あめを指摘して摘發を強引にやつたのは、この小さいやみ屋のうしろに必ず大きなやみ屋の問屋が動いておるということを感じたからであります。私がつついたそれ以來、上野でこまかいやみ取引が現れてなかつたということも、この機會に私は指摘して申し上げておきたいと思うのであります。
 以上のような實情であります。なお中野君にもう一點聽いていただかねばならぬことは簡單でよかつたらこの程度に止めておきますが、眞相がわかりませんよ。よろしゆうございますか。
#20
○加藤委員長 どうぞ。
#21
○世耕弘一君 それはそれほど私が強引にやつた水あめ摘發事件が、私に一言半句の報告も斷りもなくして勝手に處分されたということははなはだ遺憾であります。今日初めてそれが東京都の關係において配給されたということを聞いたのでありますが、私はこの配給にあたつてどういう人が立合い、場所がどこで、どういう取引をしたであろうということの内幕までも實は後で報告を受けたのであります。疑惑は一層深まるばかりでありました。その點に對しての中間的報告も加藤委員長の手許に當時の經過として私は關係者から記録をとどめて持つておりますから、適當な機會にごらん願えばよかろうと思います。
#22
○中野(四)委員 まず第一に世耕君から、中野君は非常に誇張した言葉があるというお話です。國を思う熱情を吐露する上において元氣があつて、つい言葉の上に蕪雜なところがあるならば、平にお許し願いたいということは私は前もつてお斷り申上げております。しかしながら私の申上げた誇張よりも、むしろただいまと前囘以來の世耕さんの話を聞いておりますならば、私の言葉の誇張よりも、むしろ私はあなたの言葉の方に相當裝飾的な傾向があるのではないかと恐れを抱いておるものであります。特に私が伺いました點は、警視廳が非常なる干渉をしたという點について伺つておるのでありますが、先刻來小杉證人、有田證人の證言によりますれば、むしろ干渉どころか、政務次官の意思を尊重して、十分に丁寧にこれを實行したと言うておりますのと、あなたの先日の證言によりますれば、警視廳が非常な強力な干渉をしたものをあなたが強引にこれをやつたという事實との食違いを私は質しておるのでありまして、御答辯とは相當差があると私は思うのであります。この觀點について、あなたは先月三十日におけるその證言はもちろん速記録によつて明確にされまするから、これは斷じて間違いないと仰せられますか、どうですか、その御答辯によれば私は直ちにその證人にその速記録を示して、證人より明確なる答辯を得るということは、先ほど申しましたように國會の權威を保つ上において重大な點でありますので、今後のいろいろな問題を取上げてまいりまするにも、世耕證言、世耕情報というもののそのあり方をば、この兩方の證人のおる前において明確にしておきたいという私の心情にほかならないのであります。感情は毫もありません。どうぞ先輩の世耕君として、後輩の中野おば十分教育するつもりで、この點を明確にせられたいと思うのであります。
#23
○世耕弘一君 速記録に載つておりますることは、私の言つたことに間違いございません。
#24
○中野(四)委員 それならば、三十日の速記録の世耕さんの言辭を後ほど飜譯をして證人に提供願いたいと思います。さらに私はこの際、自分ばかりがおしやべりしておつて、石田君、鍛冶君の場面をとつてはいけませんから、二、三の點を伺つてやめたいと思いますが、地元の警察は全然だめだ、こういうことは現在敗戰後の日本の治安状態は、戰爭放棄後警官をもつて治安を維持しようという全警察官に對して、その志氣に及ぼすこと實に重大であります。この點について地元の警察官が實際上だめであつたかどうかという點を明確にする必要がありますので、次の機會には本田署長の出頭を願いたいと思うのであります。
 さらに警視廳の資料といたしまして、先ほどの水あめをその後どうしたかという點について、資料を證人側から出していただきたい。この點小杉さんと有田さんにお願いしておきます。つまり先ほどの水あめを何貫目どこでどういうようにして、それを東京都でどういうようにしたという資料を出していただきたい、これだけを要求しておきます。
#25
○有田證人 私の方では調べを打切つたのですから、その後のことはわかりませんので、私の方は必要ではないと思うのです。
#26
○小杉證人 どう處理したかという問題でありますが、先ほども申しましたように、東京都廳に四千五百カンを引渡したのであつて、その後の處理は東京都から提出した方がよいのではないかと思います。
#27
○石田(一)委員 今日はせんだつて前警視廳の小杉生活課長竝に前目白署長の有田君を證人として呼び出した關係上早く來なければなりませんでしたが、ちよつと惡感を催しておりまして遲くなりました。私が尋ねようとしたところの大半は、同僚中野君が相當鋭く質問してくれまして、だんだんと事件が明瞭になつたような感がありますが、この際私は警視廳が全力をもつて摘發を中止させたかどうかというこの問題は、中野君の質問により、その方に任せたいと思います。ただ私がここで一言特にお尋ねしたいことは、警視廳の生活課長と有田警察署長とがいろいろ管轄問題などで協議の結果、それでは警視廳がやつた方がよいときまつて、目白署がこれに協力することになつて摘發にいらしたという事實がただいま證人から明らかにされました。にもかかわらず、世耕氏の證言によりますと、相當の食い違いがあるようであります。しかしこの水あめがいわゆる隱匿物資の緊急措置令の物資に該當しないとわかつたから摘發をとりやめた、まことに法律的な明快な御答辯でございましたが、これほど法律の法の字でも少しやつておればすぐ解釋のつくようなこんな簡單な問題を、初めから全然研究をなさらないで、まず摘發に行つてあめがあるということを見て、問題がやかましくなつてこの措置令を引用して、これは統制外の品物だと決定なすつた。これはどうでもよろしうございますが、相當の手落ちではないかと思います。私は決して警視廳の方を責めておるのではありません。ただお伺いしたいのは、警視廳の生活課長は世耕氏の祕書が訪ねてきて、世耕氏の意向を傳えた。そういうことのみがここに證言されておりますが、私は相當政治的な政黨の大物があなた自身を訪問して、あなたに相當強い相談というか、協議というか、この點について發言をしたことがあるのではないかどうか、非常におそれております。ただ世耕氏がただいま申されましたが、このあめが教育局と經濟局、あるいは商工省關係三者が集つていろいろと處分について協議をした、その協議をあそばした場所が今世耕氏は問題であると言はれておりますが、これは相當重大な問題で、ただこれだけの人が協議にあづかつたか、この水あめの處分に政黨關係の有力なるボスが關係をしていないか、これが重大な問題であります。これを協議した場所と日にち、いわゆるその家の名前をはつきり言えば、神田あたりの料理屋さんとか、何とかと私は承つておりますが、ぜひそれをここでお教え願いたいと思います。
#28
○有田證人 有田からちよつとお答えいたします。申告の中の隱退藏物資というのは、仰せの通りに理解されてもよろしい、しかし私どもはこの申告を受つけたときに隱退藏物資ではないかという疑點をもつことが一つ、次にはその申告の中にはさきにあめの例を引きましたように、非常に横流れが多い。從つて價格違反という經濟違反の面の取調べもなさなければならぬ。從つて隱退藏物資の取調べと價格違反の面の取調べとが並行しして行われましたので、そういうふうにいたしました。御了承ください。
#29
○小杉證人 ただいまのこの問題に關しまして政治家の來訪を受けたことは私は全然ありません。それから協議いたしました日にちは忘れましたが、場所は警視廳保安部長別室であります。
#30
○石田(一)委員 ただいま前生活課長殿の御答辯が非常に明瞭でございますので、私もこれで釋然としたいのでありますが、事實この協議であるとか、あのあめの處分に掛り合つた者が他に私は必ずあると確信するのであります。そこでその確信をより以上はつきりさせるために、このあめを處分したいわゆる岩崎化學工業所が何千萬圓という金でこれを處分して、あるいは相當の價格で處分をして、そのうちにいろいろ處分した利得の行先の不明のものが正當あると私は確信しております。その點で先ほど摘發の申請者であつた清水君であるとか、あるいは岩崎工場の幹部の者たちを證人として喚んでこれを追究するならば、先づ私が申し上げましたように世耕事件のために各政黨が世間から疑惑の眼をもつて見られておるのが、全然單なる疑惑であつたか。事實これらの物資を中に挾んで、物資の所有者と政黨との間に取引があつたかなかつたかということがはつきりわかつてくると考えるのであります。私はこれ以上具體的な事實をあげて申し上げたいのでありますが、しかしまだ事實としてはつきりここで言明することを避けて、まず先ほどの清水清か會社の責任者あたりを次の會あたりで證人としてお喚びくださいまして、その賣上げた莫大する不當利得の處分方法の概算的なもの、また東京都の經濟局あたりがこれをどういうふうに處分したか。しかも正當な配給ルートの委託品であるといつて殘された量が七千六百罐とかいう厖大なもののうちの、わずかに一部分が東京都に委託されて、あとは厚生省あたりからの委託品であるというのでこれが處分されましたが、それならばその處分された關係の帳簿を調べるならば、厚生省へ岩崎からどれだけの物がいつたか、あるいは配給ルートに乘つていつたかということがはつきり帳簿に乘つておるわけであります。これらのことをぜひ調べていただきたい。事實厚生省へいつたか、殘餘のものが事實正當なルートに乘つたかどうか、これを追究する必要があると信じますから、ぜひその方法をとられんことを要求いたします。
#31
○本多委員 ちよつと數字の食い違いの點について質しておきたいのですが、御兩人のお述べになつたうち在庫品の數量は七千餘カンで、これは一致しておるようですが、その七千餘カンのうち四千カンは供出することに決定しているものであつたと思うが、所有者が最後に處分できるのは三千何カンに過ぎなかつたという御一名の説明に對して、一方は四千何カンを東京都廳へ引渡して任意處分をさせたという點が食い違つておりますが、その事情はどうであるか。さらに最前より警察と警視廳の調べまでもあてにならぬという話がしばしば出ておりましたが、警視廳と警察の調べは言い合わしたように一カンも違わぬ、一致しておるが、そのあと世耕氏が手をくだして調査したところによると、十四萬貫とか十六萬貫とか、とにかく七千カンあたりとはまるつきりけたのはずれた數字のものが出ておる。一貫匁、二貫匁の貫匁にしても、世耕氏の言うのと莫大な違いがある。これだけの違いを生じてきたということは、どういう事情で生じたものであるか、それが事實であるとすればまつたく警察の調べ、警視廳の調べに對して信がおけず、疑惑を生ずるのはやむを得ないことと思いますが、これらの點についてどう考えておられるかお話を願いたい。
#32
○小杉證人 先ほど申しました七千七百八十カンのうちから農林省のリストにあるもの、それから委託加工によつて他人の權利に屬し、正當に出荷すべきもの等を除いたものが四千五百カンであります。それから具體的に、最後の處分になりました場合には、なるほど六貫八百匁入りのガンでありましても、風化したりあるいは目減りしたりしておつて、必ずしも六貫八百匁かけるいくらという數字は出てこないのでありまして、そういう點で數字に多少の食い違いが出ておるのは私の方でもやむを得ないところであると思います。
#33
○本多委員 いや、その點ではありません。有田さんの言われたのとの違いですが、有田さん、その點についていかがですか。
#34
○有田證人 私の方は當時工場について調べたのですが、前にお斷りしておきましたように、正確ではないが、大體一つ一つ當つてはおりませんけれども、見たのでは總數七千七百八十カン、ところがそのうち四千カンは日本水飴配給統制組合の出す正式ルートのものである。これは申告者をつれまして調べたのですが、大體水飴統制會ではつきりした問題ですが、四千カンは水飴配給統制組合の方にいつておる。殘りは三千七百八十カンとなつております。これがやはり二三百出入りがあることは、あるいは間違いがあるかもしれませんが、これは最後に強制供出させることになりまして、取調べ中の概算調べですから百、二百の違いはあるかもしれません。
#35
○本多委員 今の點は承つておきますが、あとで世耕民の方から直接取調べて、貫數にして十六萬貫というものが出てきておるという話ですが、そういうことであるとすると、非常に正確な數字をあげておられるけれども、まるであてにならぬ調べであつたという感がいたします。それから今大體に調べたのだからよくはわからぬと言われるが、大體に調べたものが、あとから東京都廳へ引渡すときにきちんとその數量が合つておるのですから、これはむしろ不思議と言わなければならぬ。その調べに手落ちがあつたと私らは思うのですが、その點どう思われますか。そのあとから十六萬貫出てきたというのは、どういう事情で調べが落ちていたかということにお氣づきになつた點はありませんか。
#36
○有田證人 これは申告者が直接調べたところで、聞いてはおりませんが、想像じやありますまい。當時またそういうことを直接やらしておりません。大體私どもが初めに申告者を道案内者としてつれていつたのですが、工場の入口まで案内さして、あとは立會わないのが本則ですけれども、一緒に調べたらしいのですから、そのときの數字に幾分か誤りがあるのではないかと思います。あとではそんな話は聞きません。私の方が調べをやめた後に、町の顔役が行つて直接摘發したとか、あるいは調べたとかいうようなことは、これはおそらく何かの問違いではないかと思います。その點確かめていただけばはつきりすると思います。
#37
○本多委員 今の點について世耕氏の受けた報告によれば十六萬貫か十四萬貫があつたということでありますが、それはどういう方法で調べて報告したものであるか。さらにまつたく正確なものであるかということについて御説明を願いたい。
#38
○世耕弘一君 申し上げます。この點については摘發者から文書竝びに口頭で報告を受けたのであります。純然たる水あめと、もう一つは澱粉、この二通りの報告がありました。それを合算して計數を出しますと目方にして大體十四萬貫、それを石油カンに入れて二萬箱、こういうふうに記憶いたしております。
#39
○本多委員 そうすると警察で調べられたときの調べ落しが一棟くらいあつたということになるのではないかと思いますが、どういうわけで警察とそれほどの違いを生じてきたかということについて、あなたの方へ調べた方からの申出はなかつたでしようか。
#40
○世耕弘一君 警察が途中で調査をやめましたので、あのときから見て半分くらいしか調査しなかつたと思います。そのあとは街の有志が出て徹底的に調査して、最後に計數を出してきた。
#41
○本多委員 その街の有志に調べることを工場主が認めたのでしようか。つまり正確な數量を知る途がその人たちに與えられておつたでしようか。
#42
○世耕弘一君 私の次官室を訪問されたときに、私は時局認識を深めてもらいたい。りつぱな實業家として今後立つてもらわなくてはならぬ人たちが、この時局をはき違えていかれると日本の再建はむずかしいから、もう少し良心的にあつてくれぬかということを附加えて、なおあなた方がどこまでも今自分の考えていることが正しいと言うなら、その信念を目白署に行つて訴えられたらよい。また私の言うたことをなるほどと思うならば、この水あめの處置に對して善處されたらよいだろう。こういうふうに言つてやりましたから、おそらく摘發した人たちはよく所有主と合議の上でその數字を出したのだ。私はかように考えております。
#43
○有田證人 失禮ですが、今の間違いは私こう考えます。私の方のあげた數字は澱粉あめ、いわゆる水あめと稱するものです。さらに甘藷澱粉九百六十袋は別にしてあります。澱粉とは別に計算して一萬九千七百八十貫、これはこの計算の中にはいつておりませんから、この開きのあることを御了承願います。世耕さんのお話はそれもはいつておるわけであります。
#44
○小島委員 私は先ほどの石田君の御質問の點も非常に重大な點だと思いますが、同時にもつと重大なことは、先ほど中野君が聽いておりましたように、はたしてこの水あめの摘發につきまして警視廳の幹部がこの捜査を妨げたかどうか、官僚は腐敗して、ブローカーと結託してこれを妨げた、これが一番根本の問題だと思います。これによつて私たちの世耕情報の取調方針につきましても重大な影響がありますし、今後の隱退藏物資の調査についても餘ほど考えなければならぬと思うのであります。この點についてもう少しつつこんでお聽きしたいと思います。
 私はまず世耕さんにお聽きしたいのであります。世耕さんは「自由國民」という本の第七號に「隱退藏物資と敗戰官僚」という原稿をお出しになつたことがありますか、ちよつとお聽きしたい。
#45
○加藤委員長 ただいま小島委員より「隱退藏物資と敗戰官僚」と題するパンフレツトに「世耕弘一述」とありますが、これを尋ねておられます。
#46
○世耕弘一君 隱退藏物資のことについて一應實相を説明してほしいという有志の希望がありまして、交詢社のある場所で一囘、それから商工會館で數十名の者が會合した場合で一囘いたしました覺えがあります。しかし「述」とありますが、それは速記録からの拔萃だと思います。
 なお「敗戰官僚」という用語は私は用いておりません。
#47
○小島委員 この中に書いてあるところを見ますると、この水あめ、事件につきまして世耕さんのおつしやつた言葉として「だが私は引きこめない。引揚同胞の子女、あるいは、戰災者の子供達が一かけらのあめすら得られないで糖分に不足しておるのに、この莫大な水あめが理由のいかんにかかわらず温存されておるということは道徳的に見ても許さるべきでないので再三督促したが、どうしても警視廳が動かない。そこで目白署の警察署長を直接に呼んで摘發を實行せしめようとすると、警視廳の某幹部のものが途中で壓迫してその捜査をやめさせた」こういう言葉があるのでございますが。これは事實でございましようか。そうでないのでございましようか。
#48
○加藤委員長 ちよつと小島君、ただいまの御質問に對して先ほど中野君からも御發言がありましたが、去る三十日の委員會における世耕君の公式の發言の速記録を今取寄せました。これを朗讀してその上で質問していただけば結構だと思います。朗讀いたします。それに關係ある要點としまして「それからもう一つ、お尋ねの官廳が干渉したという事柄であります。これは昨年の十二月に私は水あめを警視廳管内で、水あめの量にいたしまして約十四萬貫ばかり摘發いたしました。時價にいたしまして六千萬圓と踏みました。警保局を通じまして、警視廳生活課にその摘發を要求したのでありますが、正規のルートなりと稱して採用しなかつた。やむを得ず私は目白署長に命じて摘發開始をいたしました。ところが途中で政務次官はあんなことを言うが、それをやるのはやめろと命令が出たために、署長は遂にその摘發を途中で放棄するに至つたのであります。ゆえに私は街の顔役を使つて強引に摘發をいたしました。摘發を終ると同時に關係者がまいりまして、あれは正規のルートに乘つたので、摘發されては困るという注文がありましたから、私はその答えに對し、正規のルートによつて退藏しているという一應のあなたの言葉は受け入れるが、水あめおよそ十四萬貫にもあたるような莫大な量を今日退藏しているということが、あなたは道徳的犯罪とは思わないか、戰災者、引揚同胞の多くの子供が一かけらのあめすらなめられず、困つていやせぬか、あなたはそういうものを退藏し温存することは、すなわち公定價格の値上げを待つのではないか、しからざればやみに流す道だけしかないと思う。殊にあなたは正規のルートに購入したと言われるが、はたして正規のルートによつて入手したのかどうか、その原料購入の筋をあなたは説明できるかと私はつつこんだ。結局あなたが正しいか正しくないかということは私はこの機會に爭いたくない。また私はあなたの持つているものをほじくつて犯罪の捜査をしようと思うのではない。あなたの良心に訴えて、あなた自身の氣持において處理したらよいだろうといつて、私は別れたのでありますが、やがてその結果報告があると思つておつたのでありますが、これも私の在任中に私の許可を得ずしてやみからやみへ處理されたということをあとで報告されてきたのであります。それ以來警視廳とは私は正面衝突をした、私はかように考えております。なお警視廳管内においてよからざる官吏のあることを私は某方面から在任中に資料を得ましたので、特にその資料をもとに、警視廳の當時の官房主事に嚴重な調査竝びに不都合なかどがあれば處分するよう要求したことが數囘に及んでおります。先ほど申しました強引に反對を押し切つてやつたというのはかくのごとき事實を指したのであると御諒承をお願いいたします。」これが當時の世耕君の發言の趣旨であります。
#49
○小島委員 それを拜見いたしましても、またこの本の最後の末尾にはこれは世耕君の校閲を經たものであると斷つてあるのでありますが、三十日の言明からみても、命令によつて署長は隱退藏物資の摘發の捜査を中止したということになつておりますし、またこの文書を讀んでみましても、警視廳の某幹部の者が途中で壓迫して捜査をやめさせたということになつておりますが、この點は非常に重大な點であるのみならず、先ほど聽きますと、世耕君が最初に警視廳に談判したときに、これは隱退藏物資ではない、正規のルートに乘つておるものだから、と言つて、相手にしなかつた。そこでやむなく目白の警察署長を直接呼び出してこれを頼んだということになつております。先ほどの小杉、有田兩證人の話を聽きますと、まるきり話が逆になつておるようであります。先ほどの世耕君の言によりますと、署長が世耕氏にいろいろなことを頼まれて、警視廳に相談に行つた。それまで警視廳は知らなかつたようなことになつておりますが、その點についてもう一度はつきりと小杉證人の證言を伺いたいのであります。
#50
○小杉證人 先ほど有田證人から話がありましたように、目白署が摘發をしておるときに、生活課の係に連絡があつたようであります。しかし私が知りましたのは先ほど申した通り、内務省を通じて知つたのでありまして、それから目白署にかけつけて警視廳で引取つてやつたことには間違いありません。
#51
○小島委員 小杉さんの話によりますと、それは有田警察署長が捜査を始めた後のことじやないでしようか、捜査を始めた後に有田さんが十分調べれば隱退藏物資でないと、こう言つたから、内務省の方からあなたの方に直接話があつたと先ほどおつしやつたと思いますが、そうじやないでしようか。
#52
○小杉證人 そうであります。
#53
○小島委員 そういたしますと、先ほど世耕君に聽きますと、まず警視廳に摘發するように話をした。ところが警視廳の方では隱退藏物資でなかつたと言つて相手にしなかつたから、直接に有田警察署長を呼んだ。こういうことになつておるのでありまして、その間に非常に食い違いがあるのでありますが、その點は世耕さんいかがでございましようか。
#54
○世耕弘一君 先ほど申した通りでありますから重ねて申し上げる必要はないと思いますが、なお念のために申し上げますれば、私が次官當時の隱退藏物資の處理は常に警保局を通じてやつておつたのであります。だからそういうような厖大な物資があるということを聞いて再三來られたものだから、まず防犯課を通じて警視廳に呼びかけて、その結果、さらに私のところに、あれは正規のルートから出たんだから摘發する必要なしという警視廳からの返事がありましたからと、こういう報告を受けたのであります。これは私が經驗したありのままを申し上げるのであります。その前にどういういきさつであつたかは私は知りません。
#55
○小島委員 それではどうも水掛論になつているようでありまして、世耕さんの言われることと、小杉さんの言われることはどうもそこに食い違いがあるのであります。ただもう一點お聽きしたいのは、先ほど小杉證人は、有田署長に對して、水あめの件は何だか非常にもめているようだが、どうなつているのだといつて來たというお言葉があつたのでありますが、その非常にもめているようだ、紛糺をしているようだということはどういうことを意味しておつたのでありましようか。先ほど證言にそうあつたのでありますが。
#56
○世耕弘一君 ちよつと中途でさつきのお話にお答えいたしますが、小島君からの今の話では前目白署長と私とか水掛論をしているようなことをおつしやいましたが、少しも水掛論ではございません。私は途中からはいつていつて處理したのだから、その途中の經過を申し上げたのですから、水掛論では少しもないと思います。
#57
○徳田委員 委員長。
#58
○加藤委員長 今の答えを。
#59
○小杉證人 それは内務省から聞きました通り、目白署で摘發をやらないというのはおかしいじやないかというような意味のことを内務省から聞きましたので、署長にどうなつているのだということを聞いたのでありまして、別にもめている――もめているという意味は、摘發をやらぬがどうなつているのか、とにかく全然私は知らなかつたのでありますから、初めに説明を求めたのであります。
#60
○徳田委員 私はちよつと變つた方面を聽きたいのであります。有田証人の證言によりますれば、この澱粉を得た、材料を得た本を言つておりますが、これは戰時中軍部から委託されたものが何でも二十七萬カンと聞いている。そのあとに足したのが、終戰後のものが九萬カン、これらに對しましては、戰時中某々の部隊から特に委託されてやつたのもある。これが正當であるかどうかは非常に疑問でありますが、これら二十七萬カンと九萬カンを加えますと三十六萬カンになりますが、この厖大なものが殘つたわけであります。これは終戰後に殘つたのでありますから、これは軍部から放出したものである。從つてこのあめ會社の所有ではないはずだ。これは政府が囘收すべき性質のものであると思うのであります。これに對して有田證人は何ら不思議がないように思つておりますが、これは一體どういうわけでありますか。これを一つお答え願いたいのであります。
#61
○有田證人 原料關係は先ほど説明いたしておきましたが、昭和十九年から二十一年十月までの配給物資は二十六萬七千十五カン、それが終戰後割當てられた、つまり二十一年度の物資割當が九千二百八十カン。それから終戰後入荷したもの九萬四千七百八十カン、こういうものからだんだん物が退藏してきたのでしようが、その退藏の原因が、私の方で見た目はまず製品の基準の狂いがある。まづ第一に一貫目に對して六割の割方で水あめができるという會社の主張であるけれども、實際は八割くらいできるのだろう。これは專門家に聽いておりませんから實際の點は杜撰な點があるかもしれぬが、大體一般の通念はそのくらいできるのじやないか。それからその他餘剰と、それから戰爭中に兵隊さんから注文したものがそのままになつておるものもあります。この點を詳細に想像して調べたのであります。しかしこれは明確な數字が出ません。會社にそれだけの帳簿がないのであります。それでつまり國家のものである、あるいは軍放出物資であるというような斷定が下されなかつたので、そのままにしてあります。
#62
○徳田委員 これはきわめて不明瞭な囘答でありまして、軍放出物資であることは明かである。これがさらに八掛であるべきものを六掛として報告しておるならば、いよいよますますこれは虚偽の報告である。軍部のものを、國のものをごまかして盗んでおるものである。これは盗品である。これが軍部のものであるということはこれだけで明確だ、こういうものに對して何らの調査をしないということは、これは警察官としても惡い警察官でなければならない。官僚の腐敗云々ということがもしあるならば、ここに巣がなければならないのである。この點をなぜ調べなかつたのか、この點は非常に重大でありますが、もしお答えができないというならばこれでよろしい。われわれはこれを明確に腐敗、墜落の原因と認めるのである。
 さらにお問いをしますが、大體政府が七千七百八十カン、これから四千五百カンだけ引いたもの、殘り三千二百八十カンでありますか、これは農林省その他の委託品ということにここでは小杉さんは述べておりますが、この三千いくらは農林省その他の委託ということだけでいいのですか、それともそれ以外に何かありますか。これをひとつ答えていただきたい。
#63
○小杉證人 農林省のリストにあるものを委託加工品と名づけておることは、こまかい數字を現在私はもつておりませんが、私の覺えております範圍では委託を受けてやつておるもの、たとえば明治産業とか、その他製菓會社から委託を受けて持つておる。こういつたものが農林省以外にありました。そういつたものを引いたのであります。
#64
○加藤委員長 有田證人は先ほどの徳田君の質問に對してお答えになりませんか。
#65
○有田證人 徳田さんのお話のように全部軍部のものとは認定ができません。軍部のものはごく一部のものであります。これは各會社から委託された品物が多いのです。從つて軍部はただ部隊から内緒につくらしたものですから、實際に言いますと百分の一か二くらいのものです。從つて認定されるような状態に至つておりませんことを御承知願いたいと思います。
#66
○徳田委員 これは最初の證人の言葉と現在の證人の言葉と違います。最初にはこの委託されたものに對しては、どれだけの數量ということはちつとも話しておりません。これは皆軍部からの殘りであるということが大體話されておるのであります。それから兵隊さんから委託されたと言いますが、兵隊さんが委託したものはこれは軍部のものです。何も兵隊さんが個人で戰爭中持つておるわけのものではない。だからこれは軍部のものであることは明確です。そのほかに會社から委託されたということに對しては一言も證人はこの前に言つておりません。ですからこれはあとから附け加えて會社云々と言つたのである。それは前の證言と大部違いますから、本委員はこういうような答辯の仕方はきわめて曖昧のものとして信用するに足りないと認めたいのであります。
 ところでこれは小杉さんに御囘答を求めたいのでありますが、農林省その他から委託云々ということになつておりますが、これも材料の元手のはいり方は農林省、厚生省云々のものは一つもはいつておらぬ。皆これは軍部のものになつておる。そうするとこの委託云々と、この製品云々とは非常に違う。材料をもつて、殊にただ委託したということになつておりますが、一體農林省がどれだけの澱粉を持つてきてどれだけの委託をしたか。また厚生省がどれだけの澱粉を持つてきてどれだけの委託をしたか。何々會社がどれだけ持つてきてどれだけ委託したか。これらはやはり明確にしなければならないのであります。そうしないと今の數量の食違いが皆わからなくなつてしまう。そうすると全體といたしまして、この問題は隱退藏物資なりや否やということに對して、その囘答はすべて不明確ということになるのであります。でありますから、次會におきましてはこれらのすべての材料の出所、それからその製品がどこにどう行つたかということを小杉證人から提出せられんことを求めていただきたいと思うのであります。
 それからもう一つ願いたいのでありますが、有田證人のお話によりますと、三千七百八十カンは手もとに殘るが、この手もとに殘るのは自由處分をすべきものであるのかどうか。すなわち四千何百カンを引いてこれだけ殘る。そのときには有田さんは、これは自由處分をすべきものだというふうに證言されております。しかるに小杉證人の言われるところによりますと、これは農林省その他からの委託ということになつている。そうするとここに非常に間違いがある。これは有田證人にお願いしたいのでありますが、一體どういうとこらからこういう間違いが生じておるか、これをひとつお願いしたい。それから價格違反でないという認定をしたというのでありますが、一體どうして價格違反でないという認定をしたか。すなわちやみに賣つていれば、これは明かに價格違反だ。どのルートにどれだけの値段でどれだけ賣つたかということがわからなければ、これは價格違反であるかどうかということはちつともわからない。ただ價格違反でないと認定したというだけでは何等の證言の味はない。それを何ゆえに價格違反でないという認定をせられたか、聽きたいのであります。
 それからあとに澱粉が大分殘つている。九百七十袋というのでありますが、この九百七十袋の澱粉は一體どういうふうに處置されたか。水あめの方は小杉證人のお話で大體合つておりますが、この澱粉は莫大なものである。この澱粉の處置に對してはちつとも證言はしておられぬ。これは一體どういうものであるか。これは隱退藏物資の一つと認められるべき性質のものと私は考える。これが一つも答辯はされておらぬ。
 さらにもう一つお聽きしたのでありますが、有田證人のお話では大體澱粉を入手するのに、あらかじめの生産者から買いつけておいて、そうして割當ててきたらば、それを相殺して處置すると言われたのであるが、一體そういう場合に、生産者から直接あらかじめ買つておく、これは統制法違反じやないか。そういうばかげたことはないはずだ。割當てられたら、これはとるべきところからとる、統制會社からとるべきである。何も生産者から勝手に買うわけはないのである。しからばこれは統制法違反だ。この統制法違反は犯罪である。これを調べるのが警察官のそもそもの任務であると思うのでありますが、これが莫大な數に上つているようである。これらの數量及び何ゆえにこれを調べなかつたか、この點をひとつ囘答していただきたいのであります。
#67
○有田證人 一番初めの數量の相違、殘品の七千七百八十カン、そのうちの四千カンは配給統制會社に供出すべく正式ルートに注文があつた。殘りの三千七百八十カンがつまり退藏された物資と認められるものであります。それから次に甘藷澱粉九百六十貫これの處分はちよつとお話しておいたのですけれども、もう一遍詳しく申し上げますと、當時農林省の割當が九千二百八十カンきた。從つて、これはあとの答辯にかかりますが、それから超過したものを直接取引しておる。その取引をしておるものだけが超過したので、これを統制會社に返したけれども、當時統制會社には倉庫がなかつた。そこで保管書を提出して本人がもつておつた。こういうことが當時行われていた。この點はやはり認めてやらなければならぬことと思います。それから價格違反がないと認めた理由は、當事調査いたしましたが、申告者にも特に話しまして、その取引の事情、これを全部調べたのであります。一件も出ていません。それからこれを調べに行つた當時、小包にして一カンずつ發送するような状態におかれてあるところの荷札のついたものがあります。これを愛知縣と思いましたが、愛知縣方面に照會した。ところが親戚關係だけに送つておるものであります。取引の事實はない。從つて警察でこの關係を調べたのは十數名に達しますが、買つたという事實は確信が上りませんので、價格違反の事實はない。從つてないものとみなければならぬ。これは調査の時日の關係もありましようし、さまざまの點もありましようが、調べの順序として何らの證據のないものは、どうもそういうふうに處理するほかはありません。
#68
○徳田委員 これは大分われわれの耳には怪しく聞えますが、まあ怪しいところはあとにいたしまして、農林省から割當がきた。そうして餘つたものは統制會社に返して、それから依託を受けて倉庫にしまつてあつたからいいのだと言われますが、これはそもそも間違いじやないか。割當があつてから買うべきものである。割當がないのにあらかじめ生産者から買うという、これが統制違反なのである。餘ればそれを統制會社に戻せばいいというならば、餘つたものをどんどんよそに流してもわかりはしない。割當がきた。割當の證書がきてから、この割當分だけしか買えないことになつておる。統制令ではちやんとそうなつておる。そこに大きな食違いがある。これを有田署長は認めなければならぬと言う。なぜ認めなければならぬか。法律上間違つておるものをなぜ認めなければならぬか。おかしいじやないか。そういうことを認めなければならぬというならば、やみの機會はうんとある。こういうことにこそやみを發生せしめる重大の原因があるのであります。ここに腐敗の事實がありということを、本員は主張したいのであります。これ以上には追究したくはないのでありますが、しかし第三に退藏物資である三千七百五十カンは、退藏物資であると有田署長は認めておる。有田署長はこれが退藏物資でありと認めているのに、何ゆえこれについて見逃しているか。退藏物資であるならば退藏物資であるように處置すべきである。いわゆる正當のルートに流すべきである。何ら退藏すべき理由はない。これを逃しておけば、やみに流れるにきまつておるので、こういうところに一大缺陷がある。さらにこの價格違反を認めなかつたというのに對しまして、二、三の事實をあげて證據がなかつたと言いますが、一體こういう水あめというものは、それぞれ統制會社から材料をもらつて、すべて統制會社のルートに製品はまわすべき性質のものである。しかるにこれを親戚に送つたとか、何に送つたとか言つております。そうなればみんな新戚に送つてしまつて、これがみんないいということになれば、それがやみにいくことなのである。この新戚なるものが、何かわかるものじやない。新戚からやみに流せば、それでおしまいである。ただ新戚へ送つたというだけで、これが價格違反でないとか、またこれが統制違反ということに對して、ちつとも警察官の感覺が働いてない。すなわちこういう事態に關しまして、警察官の感覺が非常に鈍つておる。やみに流れることに對して、嚴重に感覺が働いておらぬ。ここに腐敗の事實があり得る可能性が十分にあるということを、本員は委員長に述べておきまして、將來これらの事實は、本委員會が遊休物資活用委員會や、その他の活動について、またこの隱退藏物資に關連しているいろいろの活動について、非常に有利な、非常に必要な資料だと思いますから、特に私はこれだけ發言しておきたいと思うのであります。
#69
○清澤委員 先ほど本多さんが、小杉さんと有田さんの數字の食違いを質しておられましたが、今徳田さんがいろいろ聽いておられる中に、何だかそういう点が出てまいりますので、あらためてお尋ねしますが、七千七百八十カンという數量のカンがこの工場にあつた。その處理として小杉さんはいろいろ調べた結果、四千五百カンを東京都に引き渡した。こうおつしやるのでありまして、あとの殘額は會社に自由處分さしたようなお話しになつておりますが、今有田さんのお話によりますると、四千五百カンは正式ルートに乘つた品物であつて、會社が自由に處理できると思うのは、三千三百七十カンだ。こういうお話になりますると、これは兩方のお話が非常に食い違つておるのでありまして、有田さんに言わせまするならば、すでに四千五百カンは行き場がわかつておるはずでありまして、行き場がなくて殘つたもの三千三百七十カンは、會社の方で自由處分さした。それがいいか惡いか。これが問題になつておるのであります。ところが小杉さんの方では、全體が不明確なものであるから、それをいろいろ調べた結果、四千五百カンを正式ルートじやなく、あらためての建前をとつて、そつちの方へまわした。こうおつしやるのでありまして、この間がほとんどあとでつくつたという感じを與えますので、有田さんのお調べの經過において、こういうものが出たのじやない。あとで何か考え出したというように私は考えるのでありますが、ここはどういうようになるのか、はつきりさしていただきたいのであります。
 今一つお伺いしておきたいのは、會社の方からいろいろ委託を受けたというその委託は芋の原料それ自身でありますか。澱粉でありますか。これをさきにお伺いしておきたいと思います。
#70
○有田證人 私の方の調べでは甘蔗澱粉であります。
#71
○清澤委員 そうするとさつま芋で受けますならば、その工場は澱粉工場でありますか。
#72
○有田證人 私はその工場にまだ行かなかつたのですが、これはさつま芋じやない。甘蔗澱粉になつたものです。
#73
○清澤委員 そこらがどうも明確でない。材料を受けた受けたと言われるが、澱粉を受けたと言われるのと、芋を受けたということでは大分行き方が違うのであります。おわかりがなければそれでよいが、いま一つさつきの御囘答をお聽きする前にお伺いしたいことは、會社から委託したという澱粉があつた、菓子の會社だということですが、あるいは相當飛び離れた會社からそういう委託があつたということに對して、何か疑問を抱かれなかつたかどうか、そういうものをもつておる性質でない會社が澱粉をもつてきたということに對して、疑問を抱かれなかつたかどうかということであります。
#74
○有田證人 當時十數會社からそういうものを委託したということが調べの結果現われてきております。今その會社の名稱ははつきり記憶がありませんが、東京都内の軍需會社であつた。當時はそういうことが往々にして許されておつたのでありまして、そういう常識的な考え方から差支えないものと考えました。
#75
○小杉證人 先ほどの總數量から正規なものを差引いた數量につきまして、有田證人と私の間に證言の食違いがあるというお話でありますが、警視廳といたしましては目白署は目白署として調査をいたし、私の方はさらにそれを調査したので食違いができておるのでありまして、從つて供出さした數量は警視廳の方が多くなつておるかつこうになります。
#76
○中野(四)委員 大變御熱心のあまりだろうと思うけれども、御質問の筋が、證人に委員會においでを願つてお尋ねする範圍を少し出ておる感があります。むしろ微細な點、數量の違い等は檢事局とか、あるいは警視廳の方で調べられる方が私は便宜上よろしいと思います。むしろこの委員會に、證人に來ていただいた本筋だけをおのおのにおいて聽いてゆく形においてこの大体の本筋はもう問い質されたと思います。この程度でいろいろ證人にお尋ねすることは一應打切つて、端的に大事な問題だけをここで一つお尋ねしてみたい。それは世耕さんに對して特に伺いたいのでありますが、二、三の閣僚は關係なしとしないというようなことを言うておられる。このことが大分大きく問題になりました。その後片山總理大臣あるいは西尾官房長官、特に鈴木司法大臣は靜岡の砂糖事件に關しては斷じて關係がないというような言明をされておるのでありますが、現在世耕さんはなお當時言明されたときと變りない氣持でおられるかどうか、あるいはその當時の證據をばすつかり調べた結果において、もう關係がないのだということが明確になつたかどうかということだけを一つ伺つておきたいと思うのであります。
#77
○世耕弘一君 私は毎日こちらに差支えない限り出かけてまいりますが、他の證人の方はいろいろな關係で私のように出られないと思いますから、できるならばその方を先にまわしていただいて、あとでゆつくりお答えすることにいたしたいと思います。
#78
○中野(四)委員 私の申し上げたのはもう小杉證人、有田證人に對して數字的な点や、あるいはあまり微細にわたつた點について、もう委員會の證人を求めた本質からいささかそれておる傾向なきにしもあらずと考えるので、むしろ質問の焦點を本筋に乘せたい、こういう建前から私は世耕さんにお尋ねを申し上げたのです。でありますからこの次でも結構でありますが、これはおそらく本委員會成立當時からの重大な關係をもつところの事件でありまして、世耕さんから現在の心境を聽いておくという點について私は特にそれを求めたのでありますが、次の機會でも結構です。しかしながらきわめて簡單な問題でありますから、言明していただければこれに越したことはないのでありますが、他の人々がそれは妨害だとおつしやればこれもまた多數に逆ろう意思はないことを御了承を願います。
#79
○世耕弘一君 せつかくの御希望でありますから、簡單にお答え申し上げます。片山内閣に對する私の發言がいろいろの話題を生んだということは私承知いたしております。けれども七月十二日の自由黨の代議士會における私の發言は、同僚代議士から靜岡縣の砂糖問題について現閣僚二三に關係あるやに聞いているが、お前の所に資料があるかということが、そもそもの發端であります。そこで私はないとは申しません。なおその資料はこの機會にここで發表することは、この資料提供者の承諾を得ることが前提となりますから、いたしません。しかし國會が必要とすれば何時でもその資料を提供いたします。その用意がありますということを申し上げただけてあります。それ以外に私は申し上げたことはございません。どうぞその點は御了解を願いたいと思います。
 なお引續き新聞では、刑務所にはいつている矢島某という者を引合いに出して、これが作文を書いたんだ。あるいはそれを土臺にして世耕がさらに作文を書いたんだというようないろいろの説が述べられております。また私の所へ、矢島松朗という人は信州諏訪の生れだそうでありますが、その信州諏訪の生れである關係からでもありますか、あの地方の新聞にそういうことが載つているのを切り拔いて、その新聞記事の下に世耕先生は御存じなかろうが、あの矢島松朗のうしろにさらに大物がいて、いろいろからくりをしているのは御存じありませんでしよう。こういうような意味深長なことを私の所へ新聞の切り拔きと一緒に書いてまいりました。なほまた私の手もとに靜岡の砂糖事件に關してさらに意味深長な文書が屆いております。これは必要があれば出る場所へ出てもいいということと、私が一讀したら適當な機會に委員長に手渡してくれという文書がついております。それで私といたしましては先般他の會合でも申し上げましたごとく、この砂糖事件をほじくつて内閣の泥仕合とか、あるいは倒閣の資にしたいというような考えは毛頭もつておりません。強いて言えば私を告訴するというような宣傳も新聞で伺つております。氣の小さい私は非常に氣を腐らしているのでありますが、特に取上げてこの問題をかれこれ言いたくないのが私の本心であります。しかしどこまでも掘り下げてやれという中野さんの御熱意なら、また人を派し、それぞれの機關を通じていたしたいのと、この東洋釀造の問題を通じて、靜岡縣では近く縣民大會を開くということをある青年が言つてまいりました。それで私に十七八日ごろにはぜひ出てくれ、出られるかというような話もありますが、まだはつきりしたお答えをいたしません。私はこの砂糖問題をきつかけに内閣とかれこれ爭いをするよりも、できれば一刻も早く皆さんの御盡力によつて、隱退藏物資の眞相をつき止めていただいて、一日も早く國民に安心のいくようにお願いしたいというのが私の眞意であります。
 なおこの機會に委員長初め各委員のお方にお願いしたいことは、私は議會に慣れておりますから、どういうような猛烈な質問を受けましても、經驗があります關係からあまり驚きはいたしません。やがて官吏以外の民間人が出ていろいろの證言をしたいときに、できれば法廷で尋問するような態度でなく、むしろ深切に聽いていただきたいということを私からお願いする次第であります。
#80
○鍛冶委員 大體いろいろ聽きましたので、私そうたくさんは聽かぬでもよいと思うが、ただ前後食違つている點だけ一、二點お聽きします。有田證人は、調べたところ隱退藏物資として認めるものはなかつたと書初のときに言われた。後になつて徳田君の質問に對して、七千七百八十カンのうち四千カンだけは水飴統制配給會社の委託品で、その餘は隱退藏物資である。こう言われたのですが、これは前の證言とあとの證言と全然違うと心得ますが、違わないのでしようか。その點をまず承りたい。
#81
○有田證人 前に申し上げました隱退藏物資という言葉は、これは法規的な立場からいつた隱退藏物資であります。これは隱匿物資等緊急措置令に該當したる物資だという意味であります。後の徳田さんのお尋ねになつた場合の隱匿物資というのは、社會常識的な言葉であります。それをお聽き分け願います。
#82
○鍛冶委員 まあよろしうございます。それからさきには取調べた結果、隱退藏物資と證められぬし、價格統制違反もなかつたと認めたので打切つた。ところが小杉さんの先ほどのお話を聽きますると、これを警視廳として眺めたときには、本田警察でも取調べておるし、目白警察でも調べておるから、兩方で調べさせてはおもしろくない。本廳において取扱うことが最もよろしいと思つて本廳で取扱つた。こういうことを申された。あなたの言われることと、小杉さんの言われることとは、大分違うように思いますが、違わないのですか。
#83
○有田證人 これは私の調べの後が小杉さんです。打切つた後の話であります。ちようどこれを打切りまして、世耕政務次官に通知を出した。手紙を出したときには、調査を打切つたときであります。その結果を世耕政務次官に會いましてお話をして、それでは一つ今までの經過を書いてくれというので案をつくつた。書上げたときに小杉さんが初めて警察署においでになりまして、その事情を聽きまして、いわゆる政治的解決として任意供出の問題を取上げられた。私の警察署として打切つた後の問題が小杉さんの問題であります。違いでなくして、繋がりがそういうふうになつております。
#84
○鍛冶委員 さようには聽きませんでした。兩方の警察で調べておるから、本廳でこれを取扱うことが最もよろしいといつて打切つた。後でやつたとは聽きません。それは小杉さんからあらためて聽きたいと思います。
#85
○小杉證人 警視廳で引取つてやりましたけれども、その後におきましても、部分的な調査その他は本田あるいは目白署に調査を命じてやらしたこともあります。從いまして全部警視廳の生活課員だけでやつたという意味ではありません。責任を私の方でとりまして、必要な調査事項は兩警察署その他の警察署にも命じたことはあります。
#86
○鍛冶委員 私の聽かんとするのは、警視廳が引取つたというその點を聽いておるのであります。引取つたと言われるならばそれでよろしうございます。その次に先ほど世耕氏から、私の方から署長に對して言うたにもかかわらず、何ら話もなくて打切られたのは遺憾であつた。それでさらに警察署長に聽いたら打切つたという。しからばせめてその報告だけでも出してくれといつて出さした。こう言われましたが、この事實は間違いがありませんか。
#87
○有田證人 この取調べは世耕さんのお話と違うところがあります。私は世耕さんから指示を受けてやつたのでありません。しかし世耕さんの御證言は、私に指示をくだされたようになつておりますが、私の方がこの取調べをし、さきに工場を調査したのは九月二十日であります。世耕さんに來てくれと言われて行つたのは九月二十五、六日であります。一週間食い違つております。すでにこのときに隱退藏物資でないという研究が警察署ではついた。ところがその當時の官報その他がなくて、本廳に照會して調べてもらつているうちに、それを申告者たる清水に漏らした。これはどうも警察署では隱退藏物資として取調べようがない。該當していないようであると言つた。それから二、三日して關口愛治君が來まして、世耕さんと曾つてくれ。こういうわけで私は世耕さんに會つた。世耕さんは私が調べておよそ黒白がつきそうになつたころ關口君からお話を聽かれて、それでは有田署長に會おうということでなさつたのではないか。こういうように私は聞いておりますが、この點はどうも私は腑に落ちません。私の取扱つたのはそれだけであります。
#88
○鍛冶委員 私の聽いておるのはその點ではないのです。世耕氏からせつかく言つたにもかかわらず、こちらに一言の挨拶もなくて――挨拶といつては言葉が惡いが、何の報告もなくて打切つた。それでその點を聽いたら、それでは仕事がないからせめて報告だけでも出してくれといつて出させた。それに違いありませんかと聽いております。
#89
○有田證人 その點は私は世耕さんの部屋まで行きまして口頭で報告した。この書類を書いたのは十月七日です。五日の日に午後世耕政務次官の祕書が電話をかけて、明日午前十時までに出てくれという、それで出頭いたしまして、取調べの結果どうしても警察が供出させるような状態下にない。それで取調べを打切るからと言つた。その時に世耕さんは、澱粉から取つた水あめであるから、澱粉が該當物資であるなら、これもそうでなければならぬということを非常に強調されたことを記憶しております。さまざまの話をした後に、それではその經過を書いてくれ、こういうお話でありましたから、十月七日附で報告を書いて世耕さんに渡したのであります。
#90
○鍛冶委員 それでは打切つた後に世耕さんから要求したのですね。
#91
○有田證人 そうであります。
#92
○鍛冶委員 それでよろしうございます。
 小杉さんにもう一點聽きたいのは、先ほどお話の中に、今日白のことで一應あなたがお話されて、その前にこの關係者から水あめのことで言われたことがある。こう前に言われた。これは間違いなかつたでしようか。こちらの取調べの前に、何かほかから聽いたことがあつたといわれた。こう聽きましたが、これは間違いありませんか。
#93
○小杉證人 先ほど申した通りで間違いありません。
#94
○鍛冶委員 それじやさつき小島氏から聽いたときに、その前にも何も聞いたことがありません。目白でそういうことを私は聞いたので、目白へ行つて調べて初めてこの事件を知りましたというのはどういうわけです。これは違うと思います。
#95
○小杉證人 先ほど申しました通り、關口愛治さんから水あめがあるといううわさがあるということは聽きました。それはどこにありますかと言つたときに、御返事がありませんでした。それですから目白の水あめ事件は内務省を通じたときに初めて私は知りました。
#96
○本多委員 私は最前中野君の質問に續いて質問したかつたのでありますが、この際世耕氏に御説明というか御發表願いたい點がございます。それは毎日新聞に出ておる一問一答でありますが、静岡縣下の砂糖事件につきまして、「糖みつとしてなら拂い下げを受けられると入れ知惠したのが現某閣僚で、このために二千萬圓を獻金したほか、まだいろいろ運動したので、他の一、二の閣僚にも獻金したという情報で、今は名前は言われないが、國會に調査會ができれば調査資料として出すつもりだ、」こう言つておられる。こういう問題が相當政界の疑惑を深めていることでありますから、その資料はおそらくお出し願つておることと思いますが、この際その資料の内容について、御發表願いたいと思います。
#97
○世耕弘一君 新聞の記事はときどき誤まり傳えられるから、新聞の記事には私は責任を負いません。先ほど申し上げたのが私の責任でお答えする範圍であります。
#98
○野本委員 世耕さんにお尋ねいたします。先ほど小島君が指摘せられました「自由國民」の記事でございますが、その附記といたしまして、はつきりと「この記事は講演を速記したものであり、その後二、三の事實を加えた世耕氏の校閲を經たものである。」こう明記してあります。この記事に對して世耕さんは責任を全面的におとりになることはぜきませんか。
#99
○世耕弘一君 最前も申し上げましたごとく、私は二箇所ほど講演をいたしました。その速記の抜萃だと思います。それで一應最初の原稿は私は見ました。あとは編集者が一、二の事實を加えましたということはあるでしようけれども、それは私は知りません。
#100
○野本委員 この記事はいろいろな意味において有力な參考資料になると私は思います。從いまして、一應世耕さんは至急この記事にお目を通されて、ここが違つておるという點がありましたならば、なるべく早くわれわれに、違つておる點をお示し願いたい。
#101
○世耕弘一君 なおその本に「隱退藏物資と敗戰官僚」という題目がついておりますが、それはおそらくしまいの方の文章の中に官僚に關したことを書いておるので、それを前の方にくつつけて、いわゆる雜誌社の編集の巧妙さを現わしたものでありまして、私の講演の中にはそういう言葉がはいつておりません。
#102
○辻委員 有田證人にお尋ね申し上げます。九月二十日に水あめ事件の調査に取掛つた、そうして世耕さんに會われたのは二十四、五日ころだと仰せになりますが、すべて法に基いて、最も愼重なる態度をもつて、權限等の問題もよく考えておやりになつておるようにお話を承つておるのでありますが、そうすると、水あめが某所にあるから、これを摘發せようということを聞かれても、水あめというものは法には載つておらぬ、法規にないものであつて自分の權限でないということをすぐにお感じになるはずであります。しかるにもかかわらず、なおこれの調査を進められたということは、先ほど來申されておりますように、いわゆる社會常識の意味における隱退藏物資でもなおかつこれはやらなければならぬというお考えのもとに、この調査をお進めになつたのであろうと思いますが、その點はいかがでございましようか。法に基く隱退藏物資にあらざる限りはこちらはその限りでないとお考えなら、あなたのようにすぐ法文に照らされる方は即座におわかりになるはずです。にもかかわらず調査をお進めになつて、四、五日經つてどうやら隱退藏物資でないという見當がついたというお話でありますが、それはやはり、社會的常識においても、そうした隱退藏物資ならとことんまで摘發しなければならぬ、こういうふうにお考えになつておられたように考えますが、その點はいかかでしようか。
#103
○有田證人 この取調は、九月二十日にかりに參りましても、その日に大體工場を一通り見てしまつて、それから次の日に關係者を呼んで詳細今までの經過を聽く、こういうふうな關係で、隱退藏物資であるかどうかという問題を研究するのに三、四日を要します。というのはたとえば同じあめでありましても、五月農林大臣が指定した後にできたあめは、これは強制供出させる對象になる得ると私は考えます。ところが五月の農林大臣の指定前につくられたあめは、法規的に見て隱退藏物資でない。こういうふうな區別も研究しなければならない。それには關係者全部呼んで調べる。それから、石田さんから質問のありましたときに、この申告をいたした者のその用語の内容について研究してみますと、隱退藏物資の摘發という言葉と、それから、やみ撲滅というのがありまして、同時に價格違反というようなものも調べてかかりましたので、自然打切りというような關係が少し遲れてまいつております。先ほど申しましたように、農林大臣の指定したる期日前につくられたかどうかということを調べるのに、相當時日を要したということも先ほど説明を落しておりましたから。
#104
○辻委員 五月五日農林大臣の指令が出ます前にできたやつならばこれはこの法に觸れるところの隱退藏物資でないと言われるが、そうしますと、七千七百八十カンで、その中の四千カンは組合へ供出をしなければならぬものである、あとの殘りの三千七百八十カンは五月以前につくつたものであるというその御認定はどうしてできますか。
#105
○有田證人 これは直接私は取調べをいたしておりませんのでその状況を詳しくはお話できませんが、係りが相當熱心に調べたわけです。ところが、いずれも昨年の四月ころにつくられておるということが工場の帳簿その他を調べてはつきりいたしましたので、それでそういうふうに認定いたしたのであります。
#106
○辻委員 本日お二人の證人においでを願いましたのは、いろいろこの隱退藏物資の摘發について一部不良の官僚が妨害をする、こういうようなこともあるので、そうした事實があるか、ないかということについて實はおいでを願つたわけであります。それ以上のことをお尋ねするのはどうかと思いますが、いろいろお話を承つておりますと、第一隱退藏物資であるかないかの認定をすることについて、先ほど來徳田さんが言われましたように、非常に開きがあるような感じがするのであります。隱退藏物資と思つて行きましたところが、正規のルートにのつている。これはこういうふうであるというようなことで、空しく引下つてきたようなことがずいぶんあるようですが、その見解につきまして、立會われる官憲と一般の常識とは大分開きがあるように考えられますので、派生的な問題であるかもしれませんが、この點を根間的にはつきりさせる意味におきまして、その會社が軍の委託工場になりましてから割當を受けた澱粉の數量、それから供出をいたしました數量、殘餘の量、こうしたものを、よくわかるように、この場合御提出をさらに私からもお願いいたしておきます。同時に、こうしていろいろ問題が起つておりまする矢先におきまして、最も生々しい事件でありまして、しかもこれは商工局の役人が正式に摘發に出向いたにもかかわらず、その土地の警察が武装をいたしまして、臨檢を拒んだといふ事件がある。これは前々囘の委員會において、その眞相を調査していただくように監査局長にお願いをいたしておいたのでありますが、こうした問題が起つております。過去にさかのぼつていろいろ論議されております目前において、現にこうした事件が新聞に報ぜられまして、いろいろ世間の疑惑を招いております。なるほど官憲がいろいろ結託しておるということもありそうなことであるというような風評がもつぱら立つておりますので、この場合、この眞相を一つはつきり御報告いただきたいと存じます。
#107
○國鹽政府委員 ただいま調査中でありまして、まだ囘答を得ておりませんが、囘答を得次第御報告を申し上げます。
#108
○石田(一)委員 私は最後に一言證人の方にお尋ねしたいと思います。特に小杉さんにお尋ねしたいのでございますが、この水あめが隱退藏物資であるかどうかということを研究なさるときには、いわゆる隱匿物資等に關する緊急措置令によつて、これを法律的に解釋をして、それはこれに該當するものでないと斷定してその處置を一應打切つた。打切つて、次に先ほど申し述べられましたこの處置を考え合わせたときに、相當困つた。われわれ同胞の子供たちにも甘いものをなめさしてやりたいという、まことに思いやりある考えと、相當政治的觀點から善處されたように私は聽きました。すなわち統制機關へ渡すとは危いと思つたので、東京都の經濟部、あるいは教育局というようなものが、警視廳の會議室へ集まつて相談して、これを東京都に渡すことにした。こうして先ほどの有田證人のお言葉では、政治的に解決せられた、こういうお話でありました。政治的解決ということになりますと、結局今後の問題でもありますし、あらゆる隱匿物資は、該當物資でないという場合に、單に警視廳の一生活課長が、その權限をもつていろいろ製造會社や隱匿者と相談をして、世の中のためになるものだからこれに出してくれと言つて、いろいろ數量を――これはどこから注文されたものであり、これはどこから預つておるものであるということを都の經濟部、教育局及び隱匿物資退藏者も相談されて、しかも一番最初にこの物を發見した申告者は全然除外してしまつて――これがこういうふうに委員會ができればわかるのでありますが、もしこの委員會でもなかつたら、結局どういうことになつたのか全然公表されていないことであります。こういうことが今後警視廳において行われるのかどうか。あらゆる統制によらないものについてはそれだけの權限がおありであるかどうか、またそういう考えでおやりになつたかどうか。これを小杉さんにお願いをし、經濟安定本部の方からは、遊休物資の處理に關して、そうしたことが行われるものであるかどうか、もう少し民主的な明朗な方法でやらるべきでないかということを私は特にお尋ねいたしまして、先ほど申し上げました暗々裡になされたこれらの處置が、ただ單に政黨關係なしにやられたかどうか。これを私は追究するために、先ほどの會合をなすつた場合については相當の根據がありますから、後日文書をもつて委員長まで提出をしたいと思います。
#109
○加藤委員長 この際私から有田證人に一言お尋ねしたいと思います。事は非常に小さいようですけれども、あなた方の證言全體をわれわれが認證する上において相當重大性をもつていると思いますので、伺つておきます。それは先ほど清澤委員から、この委託されたものが芋であるか、澱粉であるか、その工場が澱粉工場であるかという質問をされたときに、自分は工場を見ておらぬからわからないという答えをされた。ところが今辻委員の質問に對しては、工場を一覧して容易に想像できたと言つている。前には工場を見ておらぬ。次には工場を一覧してほぼ見當ができたという御答辯があつたがその點はどちらがほんとうか。あたたは工場を見ておるのですか、それとも部下が見て、部下の報告だけ聽いておられるのですかそこをはつきりしておいていただきたいと思います。
#110
○有田證人 初めにこれも御説明しましたが、九月二十日に工場に參りまして調べたのは、矢野部長その他で、私は行つておりません。すべてこういうことに一々署長が出ることはありません。それから甘藷澱粉か、あるいは澱粉工場であるかどうか、當時私は失念いたしておりました。係の者からも復命を受けておりませんから、よく存じませんので、私よく存じませんと言いましたが、私の答辯は私の部下の係の者が行つて調べたのです。
#111
○加藤委員長 私の尋ねているのはそんなことでなく、あなたが實際工場に行かれたのか、未だ一遍も行かれないのか。この點をはつきりさしていただきたい。
#112
○有田證人 一遍も行つていません。
#113
○加藤委員長 そうすると次に言われたのは、やはり部下が行つたのですね。
#114
○有田證人 さようであります。
#115
○小杉證人 ただいまの石田さんのお話でありますが、今後の警視廳の問題等については私は答辯できません。御了承願いたいと思います。
#116
○石田(一)委員 今後の問題については、私は經濟安定本部の方にお聽きしているのでありまして、遊休物資の處理については、そういうことが行われるかどうかということをお尋ねしているのであつて、小杉氏に對する質問は、要するにこれらの水あめの處分については、警視廳の一會議室に關係各省の人たちが集つて、警視廳の生活課長が指導權をもつて、これを取りまとめて、實際物を隱退藏していた人たちと協議して、こうした處分をすることができるのかどうか。今後ともこういうことがあり得るかということは經濟安定本部の方にお聽きしたいので、今おやりなつたことは、權限をもつておやりになつたのか。いわゆる政治性をもたして個人として大きな觀點からおやりになつたのか。それをお尋ねいたしたのであります。
#117
○小杉證人 私が先ほど申し上げましたように、政務次官の意を體したつもりで、社會保安的な觀點から、そういうことをやつても妥當であると考えて、保安部長とも相談してやつたのであります。
#118
○石田(一)委員 ただいま小杉前生活課長は世耕前内務政務次官の意を體してかくすることが正しいと信じておやりになつたと言われる。私はこれをあくまでも追究するものでは決してありませんが、内務政務次官の意を體してかかる處置を、しかもかかる重大なる處置を政治的に處理されたのに、その意を體したと言われる世耕君の先ほどの證言では、その處理がどういうふうになされたのか、一切報告は受けておらぬ。誠心誠意世耕氏の意を受けておやりになつたのだが、なんだかその結果は全然通知していない、報告していない。こういうことにもなるわけでありますが、この點はどうお考えになつているのでございましよう。
#119
○小杉證人 私はこの處理につきましては、最初内務省の防犯課長を通じての話でありますので、書面にはいたしませんが、口頭でただいまはこういう程度までいつている、ただいまはこういう程度までいつているというふうに、記憶では三囘くらい報告してあります。
#120
○石田(一)委員 今のお言葉諒承いたしました。防犯課の方の責任でございましよう。經濟安定本部の方におかれましては、今後こういうことが警視廳の生活課長を中心に行われることが今後とも豫想され得るかどうか。非常に重大な問題でありますので、ぜひ責任ある御答辯を得たいと思つておりまます。
#121
○加藤委員長 石田君の質問は先ほど來述べられた通り、今後も警視廳の生活課長を中心としてこのようなことが行われることがありはせぬかどうか、その點に對してどういうようにみているか、まとめていえばそういう要點であります。
#122
○國鹽政府委員 今後隱退藏物資の摘發されたものに對する措置に關しましては、それが隱退藏物資とはつきり認め得べきものに對してのみ處置いたす方針であります。しかして、それの處理に當りましては、將來委員會ができれば、委員會において相談の上それぞれの所管省に渡して、その所管省の責任において處理する。現在委員會の機能が停止しておりますので、安定本部において物資別にそれを所管省に引渡す、所管者が配給計畫に從つて處分するのであります。
#123
○石田(一)委員 そうすると、ただいまの御答辯は今後遊休物資の處理は、公的にみて完全に法文化された物資のみをやるのであつて、その他のただいまの水あめのような、澱粉という統制物資によつてつくられるようなものでも、法律にそれと書いてなかつたなかつたならば、それは警視廳で生活課長が中心となつて各省と相談してやろう、そういうことに對しては考えていないというふうに御答辯なすつたと諒解して構いませんか。
#124
○辻委員 今度できまするこの遊休物資活用委員會の調査に關する措置といたしましては、隱匿物資等緊急措置令、指定生産資材在庫調整規則及び不急物資生産販賣制限規則に反して、とありますが、水あめとかこういうものはこれにはいりはしませんか。今までの隱匿物資等緊急措置令、これに指定されていないものはやらないという話でありますが、それでは、この遊休物資の意味をなさぬわけでありまして、先日も安定本部長官にお尋ねいたしたのでありますが、大體今まで隱匿物資の摘發はもちろん、さらに廣く遊休物資をやるんだ、この二本立てでいくんだというわけでありまして、この品目は一々存じませんけれども、今までの隱匿物資緊急措置令、これに關する以外のものもやるように書いてありますが、今の局長の御答辯と根本的に食い違つておりますが、これをはつきりしていただきたい。と同時についでにもう一つ小杉さんにお伺いしたいと思いますが、三囘ばかりに亙つてその進行の状態を防犯課長を通じて報告したと申しておられますが、肝腎の最後の結末につきましてその意を體しておつたといわれまする御本尊の世耕さんにお告げにならぬでは尻ぎれとんぼでありまして。世耕さんからのお話を承つておりますと、結末の御報告がいつておらぬようでありまするが、この點もはつきりと承つておきたい。
#125
○國鹽政府委員 ただいままでの法令におきましては、水あめは取締りを受ける物資の範圍以外であると私は思つております。將來遊休物資の總活用をはかるという場合におきましては、もちろんその範圍を擴大することを現在考えております。從つて、それがどの範圍になるかということは今後決定をまたなければわからないのでありますが、その中に水あめが含まれるかどうかということにつきましても現在のところ定まつておりません。
#126
○小杉證人 私は十一月七日までには報告をいたしました。そして十一月七日に轉任になりましたので、その直前に東京都の方に移管になつておりますのでその後は多分、これは私の想像でございますが、報告はいつておるのだろうと思います。私の在任中は三囘くらい報告しております。
#127
○水田委員 小杉さんにお伺いしたいと思うのですが、今までの證人のお話を聞いておりますと、政務次官の意を體してやられたということになつておりますし、世耕さんの話を聞くと、世耕さんの言う通りにならなかつたというようなことで、この點の食い違いは依然として今日ははつきりわからない。私が内務省に行つたのはこの三月でしたが、當時の空氣を見ますると、役所中は全部反世耕的の氣分が漲つておつて、世耕さんが何かしたのだ、こういうように私は直觀で世耕さんが惡いことをしたのでないかという印象を、眞相を知らないためにもつておつたので、從つて警視廳の中にも警保局の中にも世耕の言うことは聞くまいという空氣があつたということが言えると思う。なぜかと言いますと、世耕さんの指令というものは、法規の根據がない。こういうものをやたらに出されたのではわれわれとして協力できんということで、今小杉さんは世耕さんの意を體してと言われておりますが、その當時役人の中では非常な問題になつておつたのですから、世耕さんの意を體さない方が役人としてほんとうの行き方であるように思うのです。意を體してやつたというようには受取れないので、これは何か問題が起るとわれわれが見ておつたときに世耕さんが最近のような聲明を出されたので、官僚の世耕いじめに對する世耕さんの反撃だと私は今度の事件を見ておるのですが、あなたが警視廳におられるときも當然そういう空氣はあなたにどつかから反映しておつたと思うのですが、そういう空氣の全然そとにおつたのですか、それともその空氣のひびく地位におられたのですか、この點一つお尋ねしたいと思います。
#128
○小杉證人 私がおりました當時は、まだ世耕指令というものはなかつたと思います。私が轉任をしましてからあと一般的にそういうことが言われたと思います。私が警視廳におりましたときは、まだ世耕さんもそこまで御活躍になつていなかつたのでなかろうかと思います。
#129
○本多委員 證人をお願いいたしたいと思います。それは關係官廳におかれた側の證言では、石油カンにして七千餘カン、目方にしても四、五萬貫だろうと思います。世耕君の町の顏役を動員して摘發したところによれば、十六萬貫ここに非常に大きな開きがありまして、この眞偽を確めておくことはいろいろの資料を見る上において、私どもの參考になることと思いますから、ぜひこの食い違いは確めておきたいと思いますので、水アメの工場竝びに世耕君が動かして數量の點檢をした摘發者というべき顏役の人、その二人委員長において證人としてお願いいたします。
#130
○加藤委員長 それでは大體兩證人に對する御質疑も一通り終つたようでありますので、この際皆さんにお諮りいたします。先ほど來、石田君からも、ただいま本田君からも請求のありました岩崎工場の責任者岩崎新太郎君、當時世耕君のいわゆる町の顏役と言つておられる清水清君、この二名と、中野君から御請求のありました當時の本田署長、この三名を證人として出頭してもらうことに御異議ございませんか。
#131
○北浦委員 異議はありませんが、もう一人石田君の言われた關口、この人を特に強く申請します。理由は石田君は再々この水あめ事件と各政黨という言葉を使われました。民主政治はどうしても政黨政治でなければならぬ場合に、こういうことを積んでおくことはよろしくない。そこではたしてそういう關係があるか否かということを石田君の御主張通りによく調べてみたい。そこで關口某という人もその中に加えていただきたい。
#132
○加藤委員長 北浦君から御意見のありました關口愛治君を加えて四名の證人を出頭してもらうことに御異議ございませんか。
#133
○中野(四)委員 關口君と清水君と一緒に喚ぶということは感心しないと思います。ここに有田署長もおられるが、ぼくはあまり感心しないと思う。清水君だけを先に喚んで、關口君は後の機會にされた方がよいと思う。ただそう思うので申し上げるのです。清水君と關口君は同業でしかも親分子分ですから、證言を求めるのに、まず清水君に一應承つて、次の機會に關口君にお話を願うという方が私は順序が立つように思うのです。北浦さんそういうふうに御了承願えませんか。
#134
○北浦委員 そういう關係があるならばどうでもよろしゆうございます。
#135
○加藤委員長 それではただいま北浦君の御意見もありましたので、とりあえず岩崎工場の責任者、岩崎新太郎君と、清水清君と當時の本田警察署長と、この三名を證人として出頭してもらうことに決定いたしたいと思います。御異議ございませんか。
#136
○加藤委員長 それではそのように取計らいます。
 次に資料の點でありまするが、岩崎澱粉化學工場がもつておつた水飴七千七百八十カンのうち、四千五百カンは東京都に引渡したとのことであるが、しからばその殘量たる三千二百八十カンについて、左の二點の資料を要求する。これが資料要求の理由であります。徳田君からの請求であります。一、農林、厚生省等そのほかの統制會社、さらに他のたくさんの會社があつたようでありますが、そういう一切の委託された會社なり、統制團體なりの名前、數字の明確なる内譯、二番目にはその原料がどこからどうしてもつて來られたものであるか、委託されたものであるか、配給されたものであるか、こういう點であります。
#137
○鍛冶委員 四千カンが配給會社の預り品であるという根據は……。
#138
○加藤委員長 それでは三番目に、四千カンが統制會から委嘱されたものであるということであるが、それを證するすべての詳細なる資料、これでいいですね。そこで、以上三點の資料は一體どこにこれを求めるかということでありますが、少杉證人は現在群馬縣の警察部長で東京には關係ありません。有田證人はもはや今日では在官者ではないのであります。從つてこれはどこをして調査せしめるかということになるのでありますが、結局警視廳に向つてこれを要求する以外になかろうと思います。私は議長を通じて警視廳にこの資料の提出を求めます。よろしうございますか。
#139
○中野(四)委員 それをお出しになるとき目白警察の當時の調書、それは有田署長は當時の係りの者をして徹底的に調べさせたということでありますが、こういう調書は檢事局に送るにしても意見書を付しておる。當時の調書は必ずそれぞれの帳簿に殘つておりますから、これを目白署から警視廳に取りよせ、警視廳から資料として出していただきたい。
#140
○加藤委員長 そうすると、この問題に關して目白警察の署で取り調べた結果、警視廳に報告された報告書ですね。
#141
○中野(四)委員 いや目白警察署の調書あるいは記録というものがあるはずですから、それに基いて警視廳は目白署からそれを取りよせて、資料として出していただけば、當時何千カンがどこにどうなつたということは、當時の係官が調べた證據は全部出てきますから、一目瞭然です。
#142
○加藤委員長 そうすると報告書ではなく、調査全部を警視廳が目白警察署から販りよせて、資料として提供してもらう、こういうことですね。
#143
○辻委員 その材料の割當、製品の納入は水飴統制會社というか、全國連合會というか、それを通じて行われていると思いますから、統制會社について當工場に對する割當、製品の納入、それを帳簿について御報告願いたい。
#144
○加藤委員長 さらに追加して第五の資料として、水飴統制會社に對して、この工場に對する割當數量の詳細を知り得る資料、これは内務省に請求しまして、内務省から適宜警察廳その他に通じて資料を集めてもらうことにいたします。
#145
○清澤委員 内務省や警視廳では私はだめではないかと思います正式ルートの統制會社以外がやつたものはやみで買つたものですから、統制會社からどれだけ買つたかということがわかればいいのです。
#146
○加藤委員長 それは内務省を通じて全部やるのです。それをやればあめの統制會社に行きますから、あめの統制會社から資料が來ます。
#147
○清澤委員 それから原料を買つたというのは芋で買つたのか澱粉で買つたのかということを明確に調べてもらはなければならぬと思います。
#148
○加藤委員長 それではさように決定いたします。散會に先だちまして證人の方に申し上げまするが、國會法第百條竝びに議院に出頭する證人の旅費及び日當に關する法律第一條によりまして、證人の方には旅費と日當が支給されることになつております。但し官職にある人が官職のために證人として出頭する場合には旅費、日當は支給されません。從つて小杉さんの場合はないものと御承知願います。但しまだ今日參議院の方との打合せができておりませんで支給の額が決定しませんから、決定次第これは有田さんの方にお届けすることにいたしますからこの點お含みおきを願います。
 本日はこれをもつて散會いたします。
    午後五時散會
ソース: 国立国会図書館
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