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1947/08/08 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第7号
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1947/08/08 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第7号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第7号
昭和二十二年八月八日(金曜日)
    午後一時二十六分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 武藤運十郎君 理事 吉田  安君
   理事 本多 市郎君 理事 石田 一松君
      足立 梅市君    清澤 俊英君
      荊木 一久君    小島 徹三君
      鍛冶 良作君    北浦圭太郎君
      辻  寛一君    水田三喜男君
      野本 品吉君    小西 寅松君
      中野 四郎君
 出席政府委員
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
 委員外の出席者
        議     員 世耕 弘一君
 證人
  昭和二十二年二月當時隱退藏物資等處理委員
  會副委員長世耕弘一氏の指示による栃木縣内
  の隱退藏物資の摘發に關し宇都宮檢事局の封
  印した物資を封印を無視して移動せる事件。
        當時宇都宮檢事
        局檢事     花岡  學君
        栃木縣經濟防犯
        課長      森   敬君
        辯  護  士 濱田 三平君
                船岡 壽信君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 ただいまより會議を開きます。
 先日の委員會で新たに決議しました日白の水あめ問題についての證人出頭の手續は、議長からすでにとられました。なお本日は、栃木縣内における隱退藏物資の摘發に關して、船岡壽信君、辯護士の濱田三平君、當時の宇都宮檢事局の檢事であつた花岡學君、現在の栃木県經濟防犯課長である森敬君の四名が出頭されております。順次これらの證人の對して御質疑がありましたならば、質疑を行うことにいたします。鍛冶君。
#3
○鍛冶委員 船岡證人を第一として質問し、濱田辯護士、花岡檢事竝びに森經濟防犯課長の順序でお聽きしたいと思います。船岡證人に對する尋問の概要を私から申し述べたらよいと思いますが……。
#4
○加藤委員長 この際委員諸君に御注意申し上げておきますが、本委員會に出頭されております證人諸君は、これは裁判廷における證人とも違いますし、眞に國民を代表する議會の權威において喚んだものであつて、事實の眞相を知ろうということ以外に出るものでありませんから、用語等はきわめて妥當な言葉を使つていただくように御注意申し上げておきます。
#5
○鍛冶委員 承知しました。まず花岡證人に對して、栃木縣において著手せられたる隱退藏物資に對しては、隱退藏物資なりと確認せられたる經路及び隱退藏物資があるということを確認されたる根據を承りたいと思います。ついでこれを摘發すべくいかなる手段方法をとられたかを第二に承りたい。第三には隱退藏物資摘發委員會の副委員長である世耕氏に申告せられた事實竝にその後にいかなる方法をとられたかということ、それから直接摘發に當りまして、關係せられたる事實、その物資がどういうふうになつたかということを詳しくお聽きしたいと思います。さらにこれに對して證人としていろいろ感想なり事實なりがあるだろうと思いますから、それをつけ加えて述べていただけば結構であると考えております。
#6
○加藤委員長 それでは船岡證人に對して今の鍛冶委員の質問に對する證言を求めたいと思います。
#7
○船岡證人 ただいまの質問に對しまして私が栃木縣の隱退藏物資に乘出した原因について最初申しますと、昭和二十一年の十月ころだつたと思いますが、私が商賣の取引上セメントの詐欺にひつかかつた。これの金を返還してもらうために追究したところが、金を取つた會社では宇都宮に終戰後金にして大體六十萬圓の費用を注ぎ込んだ。栃木縣に品物があることについて、これを隱退藏であるかどうか、これを政府の正規のルートに乘せたいために活動しているから、この品物を出した上で初め拂う、こういうふうな私に對しての囘答だつたものですから、じやその方に私も援助しようということになりましたけれど事實品物が隱退藏であるかどうかということは、私が實地に行つてみなければわからない。いろいろな情報をその人からいただいた結果、栃木縣に私自身が行きまして調査した結果、どうも隱退蔵らしくない。こういうふうな最初の考えでありましたが、芳賀郡の關利明、この人の所へ行けば品物が必ずあるというふうな情報の根據に基いて調査したところが、事實畑の中に品物が埋めてある。こういうふうな關係で埋没のドラムカンを發見し、この調子でいけばその情報は全く隱匿物資であろう、最初私が隱匿ではないだろうという觀念はそこですつかりぬぐい去られまして、初めてこれが隱匿である、こういう確固たる信念をもつて當時の政務次官世耕さんにお話申し上げ溝淵經濟防犯課長の紹介状を持ちまして、栃木縣の警察部長、經濟防犯課長に面會したのであります。しかしながら栃木縣において私が調査した時に、この品物をめぐつて犯罪、詐欺、闘爭等醜い社會の状態を見まして、ただ一つの私の詐欺せられた金を取返す目的でなく、經濟安定の一補助となざしめんとした、あるいはこの情報をいろいろ調査した結果、惡徳の官僚が介在しているということを私が握りましたものですから、初めてただいま申し上げましたように政務次官を通じ溝淵防犯課長の紹介状を持つて警察部長に會つた次第であります。これが私が栃木縣の隱退藏摘發に乘出した原因となつております。
 次に昭和二十一年の十二月二十七日經濟部長と經濟防犯課長にお會いして、その節私の情報を提示したところが、この情報であるならば全部調査濟みである。品物はない。こういうふうなお話があつたものですから私は斷じてある。その際警察部長、經濟防犯課長から品物が萬一なかつた場合には腹を切れ、こういうふうなおどし文句でかかつてこられた。私はなかつたならば腹を切りましよう、但しあつた場合にはどうするか、こういう問答をしたけれども、とにかくないと言う。私はあると言う。こういう腹切り問答でその日は終始しまして、私は憤慨して歸つたような次第であります。この警察部長にお會いした時のまず最初の感じは、そういうふうな官憲の力によつて腹を切れと、おどし文句で引かかつてきてこの隱退藏物資の摘發を中止させんとした。ここにまず最初に官僚の腐敗というやつを發見したのであります。次いで翌年一月八日に私が經濟防犯係長の稻見警部に面會した時、いろいろな都合があつて一月十三日になれば摘發に協力しよう、こういうふうな話がありましたけれども最初の十二月の二十七日に會つたときにはないという話で、一月八日に會つたときには十三日から摘發に協力しようという話でありました。ここにおいてすでに品物が最初はないと言つたけれども、ここにあるならば協力しよう、こういうふうな問題となつてきましたけれども、私は日がだんだん延びるにつれて品物が動く。こういうふうな觀念をもちまして、ついにその報告を當時の政務次官の世耕さんのお話して、これではいけない。實際に品物は出ない。こういうことで檢事局の方へ紹介状をもつていきまして、ついに檢事局と摘發をやることになつたのでありますけれども、檢事局といたしましても品物が事實あるかどうかということについて疑問をもつておられましたから、その第一著手として心證を握るために、二十二年の一月十五日に宇都宮次席檢事の眞子檢事、高橋檢事、あるいは本日ここに證人としておられます濱田辯護士、それと私が城山村の石下商店、ここにトラツクを乘りつけて行きました。そのとき檢事の名前も言わず、ただ品物を見せていただきたい、こういう話でもつていつたけれども絶對に見せない。こういうわけで歸つてきたのでありますが、その歸りがけにトラツクが宇都宮の市中にはいると非常警戒にあつてトラツクは止められて、われわれも一緒に警察にぶちこまれんとしたけれども、ちようど運よく眞子、高橋兩檢事が乘つておられたために事なきを得て、その刑事をトラツクの中につれこみ、また進んで行くうちに交番の前に行くと、またわれわれの乘つたトラツクは止められた。こういうふうなことは石下商店の主人とその地方の派出所に何らか緊密な連絡があつて、品物を略奪したのではないけれども、調査に行つて歸りがけにはかくのごときすでに非常警戒を張られてトラツクは止められ、非常な妨害を受けたのであります。なおこのトラツクは日本鋼管の宇都宮作業場支部から私がむりに拜借したのですけれども、その後その作業場支部長の方にお會いしたときに、私は君方にトラツクを貸したばかりに縣から抗議を申込まれた。こういう話を聽きましたから、なぜ縣からそんな抗議がはいつて來たかというと、君のところは摘發に協力しているのだからという問題があつて、今後はガソリンもトラツクも貸すことは相ならぬ。こういう話があつたのです。これは警察官が陰になつて妨害している證據の一つです。そのとき高橋檢事、溝淵檢事は事實ここの家には品物があるという確固たる心證を得て歸つて來た。なおそのほかの方面も調査した結果、間違いなく隱退藏物資がある。そういう信念をもつて宇都宮檢事局では一月の二十日から一齊に調査に乘り出したのであります。そして四日間にわたり檢事局と一緒に調査をやりました。所轄の官憲もこれに協力してくれた。品物の明細表がここにありますが、これは宇都宮檢事局が私にくれた封印した品物の明細表であります。この明細表もわれわれが檢事と一緒に摘發した當時の品物の數よりはうんと落ちている。この明細表について一つずつ事實を證明していけば、おそらく一時間も二時間もかかることであると思いますが、後ほど簡單に申し上げることにいたします。
 なお私は封印した結果を東京の方に連絡せられた濱田辯護士にお願いして、一日も早く品物を處理するように依頼したのであります。また宇都宮の次席眞子檢事も一日も早く品物を處理するようにとのお話であつたのですが、どうしたことか中央の方では處理に來ない。このために封印したところの品物はなくなつたのであります。
 今の宇都宮檢事局から封印してもらつたところの數量を申し上げますと、上都賀郡今市町大字平ケ崎二一の今市貨物合同株式會社の倉庫、保管者は山口武信という人ですが、數量はモビール、ドラムカン八十一本、モビール廢油十七本、輕油ドラムカン一本、機械油二本、ガソリン二本、名稱不明のものが一本、モビールが二十二本、同じく二十六本、こういう數字になつておるのですが、檢事局がくれたところの今市貨物の書類によれば合計百五十三本になつております。事實品物があつたことには間違いはありませんが、その品物は昭和二十一年の八月十八日にはドラムカンは三百五十三本あつたはずです。なお一斗カングリスが三百四十本あつたはずです。それが九月二十一日の調査のときにはドラムカン二百五十七本でした。その内譯はガソリン百六十七本、モビールが八十本。その次の調査のときは十二月二十九日で百二十七本、昭和二十二年の一月十六日には四十一本、この一月十六日には私と高橋檢事が今市合同に行きまして、地上に現われておるものと地下に埋藏されておるものとで四十一本あつた。それが一月二十日檢事局と一緒に摘發に乘り出したときには百四十一本になつております。かくのごとく數量がだんだん違つて來ております。そこで私は拂下指定書第一號という世耕さんの山形縣に出したところの書類を持つて栃木縣の特殊物件課長の瀧田課長にお會いたしたときに、今市合同の品物は九月二十一日にリストに載つておりますが、そのときの品物はガソリンが百六十七本、モビールが八十本、グリスが十本、こういうふうな明細になつておりますけれども、檢事局がくれた百五十三本と内譯を比較してみますと、ガソリンはこれには全然なくなつておる。二本しかない。モビールが六十何本殖えておる。こういうふうな状態であります。現に特殊物件課長の瀧田という人も、ここの品物についてはいかに警視廳でもあるいは縣で手をつくしてもさつぱりわからない。こういう言を私たちは得ておりますが、こういうふうに今市合同の隱匿物資はなつております、なお八月十八日に三百五十三本ドラムカンが最初にあつたときに、現在刑に服しております大須賀健次郎がにせ摘發官となつて摘發をやつたとき行動をともにした井上何某に、當の今市合同の保管者である山口專務は無償で七十本を提供するからこのままにしてくれと言つた事實もあります。
 次に今のは單に今市合同株式會社の品物でありますけれども、その他モビールが一本、石油が一本、モビールカン入一本、原革十八束で皮革倉庫二棟、トラツク約一臺分。革が一尺五寸平方十八枚、秩父織物三十メートルのものが三本、ガソリン、ドラムカン入一本。モビールが一本。ドラムカン空カン八本、モビール空カン一本、ガソリン、ドラムカン入一本、オイル三十二本。麻三千貫、ロープ四千貫、菊版紙七十四連、四十版六十一連、ガソリン七本。被服、布地、シートがトラツクで約二十三臺分、皮、布地がトラツク約六、七臺分、一號アルコールが二十一本、空カン七本小カン三十九本、藥品がトラツク約二臺分、毛布端切れ三萬枚でトラツク約一臺分、アルコール一斗カン九本、植物油一斗カン四百十八カン、落下傘サツクシートがトラツク約一臺分、ただいま申し上げましたのは栃木縣檢事局と經濟防犯課で作成したところの書類による封印した品物でありますけれども、この封印した以外にわれわれが檢事局と行動したときに事實あつた品物で、栃木縣のくれたこの書類に記載してない品物の數量がどこに行つたか、われわれが調査した當時には砂糖が四百五十俵、米が九十俵、アルコールが二本、モビールが二十一本、輕油が十五本、その他三十五本、原油が二十三本、モビールが二本、アルコールが三百八十本、マグネシヤが二百四十六俵、白糖が百二十三俵、ガソリンが十九本、重油が三十一本、酢酸が百五十四びん、こういうふうに今お話したのは檢事局がわれわれにくれた書類以外に、檢事局と一緒に行動したときに、事實私たちが目に見た品物が今言つたような内譯でございます。なおそのほかに檢事局とわれわれが三百ないし四日間一緒に行動したのですけれども、そのほかに相當隱匿してある、あるいは見て來た、こういうふうな物がたくさんありましたけれども、檢事局でも今後は警察の經濟防犯課と一緒に協力するように、檢事局の方ではこれで打切る。こういうふうな話がありましたものですから、そのほか相當二百何箇所も品物があると私たちが確認しておつたものは、遂に摘發をやることができませんでしたけれども、その後新聞紙上で見ましたところによれば、われわれが言つたところ以外に、食物とか、あるいは鐵鋼とかいうものがたくさん出て來ております。これではたして最初に私が十二月二十七日に警察部長とお會いしたときに、品物はないと言われた言はここにおいてくつがえされた。こういうふうに私は自信をもつております、事實品物は今申し上げたようにありましたけれども、いかに處分せられたということは、これは栃木縣自體でやられましたことで、われわれの關知するところではございません。以上であります。
#8
○鍛冶委員 先ほど品物について八月調べたとき、九月調べたとき、十二月調べたとき、一月調べたとき、おのおの違つていると言われました。八月、九月はどういうことでお調べになつたのですか。
#9
○船岡證人 これは現に刑に服しておるところの大塚健次郎、これと摘發に一緒に乘り出した井上登、こういうものが今市倉庫にいつて現物をあたつてきた數量です。
#10
○鍛冶委員 それはあとであなたに何か書類でもくれたのですか。ただお聽きになつたのですか。
#11
○船岡證人 私が摘發をやつていたときに使つていた本人であります。
#12
○鍛冶委員 檢事と一緒に行かれたときには、警察官も一緒でありましたか、檢事とあなた方だけですか。
#13
○船岡證人 最初にこの品物が隱匿であるかどうかという疑問をもたれて、實際にこの摘發をやつてよろしいかどうか、こういうふうな確信を得るために、一月十五日と十六日と品物が實際隱匿であるかどうかの心證を得るために行きましたときには、眞子檢事と高橋檢事、檢察官ではこのお二人の方だけだつたのであります。その後栃木縣に隱匿物資がある。こういうふうに信ぜられて、私たちに協力せられたとき、一月十九日から一齊に行動せられたのでありますが、そのときには判事も地方の警察官も全部立會つた上であります。
#14
○鍛冶委員 そして摘發して品物があると見きわめたわけでありますね。見きわめたらどういう手段を講じたのですか。
#15
○船岡證人 それはそのまま封印をしたわけであります。
#16
○鍛冶委員 封印というのは檢事がせられたのですか、それとも警察官でありますか。
#17
○船岡證人 檢事であります。多く倉庫なんかにある品物は數重を見ずに、そのまま倉庫の扉を封印してしまつたわけで、事實の數量というものははつきりとわからないのでございます。
#18
○鍛冶委員 それでは、そこに出ている數量は、あなた方立會いでないときに、警察官と檢察官とでつくつたものなんですか。その數量は、今檢事局から、警察からもらつたと言われる數量は、あなた方立會いでなくて、警察と檢事局だけで認定されたものですか。
#19
○船岡證人 この書類は、われわれが檢事、警察官と一緒に調査したときのその結果をこの書類で報告してもらつたわけであります。だからわれわれが一緒に行つて調査したところの品物であります。
#20
○鍛冶委員 あなたが行つたときにはよく調べずに、ここに物があるということを見究めて、倉庫のごときは中にはいらずに外を封印したと、こう言われるのでしよう。そうすると物を一つ一つ見ないわけですね。その調書をつくるときに、さらにあなた方が改めてそれを見てつくつたのか、あるいはあとで警察官、檢事局に任せてつくつてもらつたのか、こういうことです。
#21
○船岡證人 それはわかつておりません。
#22
○鍛冶委員 立會いしておらぬのですね。
#23
○船岡證人 そうです。
#24
○鍛冶委員 その後あなたとしてどういうことをせられて、そのものがどうなつたか、それをもつと明確に言つてもらいたい。
#25
○船岡證人 それは檢事局の眞子檢事から、一日も早く中央からの指令をまつて處理するように、速やかに連絡するようにと、こういうふうに私に申されました。私も中央の方に對する連絡をしばしばとつたのですけれども、全然連絡がなくて、大體二十日間ぐらいにおいてその封印は解けたものと思つております。全然われわれはその品物についてどんなふうになつたかわかりません。
#26
○鍛冶委員 昭和二十二年三月二十一日に隱退藏物資處理委員會副委員長世耕弘一氏から、この物に對しての處理の指令が出ているのですが、それはあなたは御承知もなく、またこれに關係はせられなかつたのですか。
#27
○船岡證人 私もこの拂下指令書を見ましたときに非常に憤慨したわけであります。なぜというならば、われわれがこういうふうに品物を持つてきて、一日も早く中央からの指令によつて一旦中央に引き上げるなり、あるいは正規のルートに處理していただきたいとわれわれは思つていたのですけれども、こちらに歸つてみたところが、山形縣の農業會に拂下指令書が出ている。これは私たちが何かここにあるのではないかという疑惑がもちまして、私は拂下指令書と、栃木縣に行くようにと言われましたけれども、この薄暗い點をちよつと感じたので、どんなふうなことがあるかもわかりませんので、私は行きませんでした。その私の代行として今も傍證人にいますけれども、藤井というものに、この拂下指令書と山形縣農業會の方々と一緒に行つてもらつたような次第であります。
#28
○鍛冶委員 先ほどの言葉では二十日ほどのうちに物がなくなつたと、こう言われましたが、それはあなたどうして知つておられるか。そしてこの指令書が出た時分にはなくなつておつただろうと思うが、どういうふうにあなたが知つておつて、どの程度になくなつたか。
#29
○船岡證人 大體二十日間ぐらいのうちになくなつた、ということは、この封印をしてから拂下指令書が出るまでの期間を調べてみれば大體二十日間、あるいは一月くらいになつておりますけれども、私が拂下指令書が出たときに、品物は書類上の手續には拂下げになつておるけれども、事實は動いていない。こういうふうな確信をもつておりました。だからまだ品物はあるのではないか、どこかにある。こういうふうに信じて疑わなかつたわけであります。
#30
○鍛冶委員 先ほどあなたが言われるのは、二十日ほどの間に物がみななくなつてしまつた。こう言われたからそれを聽いておるのです。どうしてなくなつたことがわかつたのですか。この指令書は三月ですから、あなた方がやられてからちようど二箇月以上になりますが、そのずつと前に、あなたのさつきの言葉で言うと、なくなつたと言われるが、それをどうして知られたか。そうしてどういう經路でなくなつたかということを知つておるか。
#31
○船岡證人 それは戸ノ池惣五郎方のアルコール、あるいはマグネシヤ、木蝋、白蝋、そういうふうな品物が逐次動いておるというわれわれが使つている人々の證言を得まして、品物は逐次動いておる。こういうふうに感知しただけであります。
#32
○小島委員 少し深く眞相を聽きたいと思いますから、くどくなるかもしれませんが、お許し願います。今船岡さんのお話について聽きたいのですが、まず船岡さんはセメント詐欺にかかつてから、栃木縣の隱退藏物資を正常のルートに載せようとしておるものがある、それを出せば詐欺にかけた金を拂うと言つたから自分も協力するようになつたとおつしやいましたが、あなたの詐欺にかかつたという相手方の名前は何とおつしやいますか。
#33
○船岡證人 これは丸の内の中和實業株式會社、社長志村四巧一、社員の大森明齊、これであります。
#34
○小島委員 あなたはセメント詐欺にかかつたと言われますが、セメントは當時は統制になつておるはずだと思いますけれども、どういう經路でセメントの詐欺にかかつたのですか。
#35
○船岡證人 これは東京府下に淺野の大久保工場というのがあるそうであります。そこから正規に代用セメントが出る。それからオーダーも出ておる。こういうふうな話で、私の方が金額にして四萬か五萬だつたと思いますけれども、出したのであります。
#36
○小島委員 船岡さんに關連してお聽きしたいのですが、船岡さんが檢事とともにこの隱退藏資物を摘發にいらしたときに、檢事局にお頼みになつて一諸に行かれた。それはどういう資格でいらしたのでしようか。何かあなたは檢事を頼んで摘發するだけの證明書か何かをおもちになつておつたのでしようか。
#37
○船岡證人 何らの資格もありませんけれども警察の方の援助というものはおぼつかない。こういうふうに思いまして、當時の政務次官世耕氏を通じて、あるいは濱田辯護士等の紹介をもつて、檢事局にともにこの仕事に協力していただいたわけであります。
#38
○小島委員 私はただいま當時の檢事の方がおみえはなつておると思いますから、お聽きしたいと思います。
#39
○鍛冶委員 話中ですが、順序を追つていつてはどうですか。
#40
○小島委員 ちよつと……、關連して聽かないとわかりませんから。――あなたはその當時ここの檢事局にいらした方ですか。ちよつとそれに關連してお聽きしたいのですが、檢事局が何らの指令なしに、一箇人が隱退藏物資を摘發に行つたときに、これに協力なさつたというのはどういう理由で協力なさつたのでしようか。刑事上の犯罪があるわけでなく、法的根據はどこにあつたのですか。
#41
○花岡證人 私は現在長野の檢事局におるのですが、當時宇都宮におりました。四班にわかれて、四人の檢事が班を編成いたしまして、上司の命令によつて出て行つたのであります。それまでに至る經過につきましては、私らは何ら知るところがなかつたのであります。
#42
○小島委員 檢事の方にお聽きいたしますが、上司の命令で摘發に行けということでいらしただけであつて、あなた方はこの摘發に際して、あなたに正當の權限があつたかなかつたか。あるいは檢事局として取扱うべきものであるかどうかということについては、お考えになつたことはあるでしようか。
#43
○花岡證人 私らは隱匿物資等緊急措置令違反の容疑事實があるかどうかということで、判事の強制處分を求めまして、現場に臨みまして、そういう容疑があれば一應封印して歸つてくるという方針で出て行つたのであります。後になつて伺つたのでありますが、いろいろその情報を提供をしてきたものを參考にして出動したのであるということを、これは後になつて聽いたのであります。最初出動する際は、隱匿物資等緊急措置令違反の容疑があるかどうかという事件で出て行つたわけであります。
#44
○小島委員 そういたしますると、これを封印なすつたときには、正式に判事の令状か何かをおもちになつて封印なさつたのでしようか。
#45
○花岡證人 さようであります。さような場合があれば、ただちに封印できるように準備して行きまして、裁判所へ連絡しまして、判事一名、檢事一名で班を編成して行つたのであります。それでただちにさような場合があれば、判事の強制処分を求める。判事の命令によつて封印したのであります。この封印は檢事がやるのではないのでありまして、裁判所の判事によつて封印はなされたのであります。
#46
○小島委員 その封印が後日に至つて破れたということを花岡君は言つておられるのですけれども、檢事局はその事實を御承知でしようか。
#47
○花岡證人 破れたということは私は全然關知しておりません。私の方で封印して、警察に命じまして、隱匿物資であるかどうかということを調査させまして、ないということを認めまして、警察を通じて封印を解除したのであります。その前に封印を破棄したということは私は全然關知しておりません。もし封印を破棄したような事實が私の方の耳にはいりますれば、これは刑法上の封印破棄罪として、警察官であろうが、何であろうが、斷固檢擧するはずであります。
#48
○小島委員 そのことは私も辯護士をいたしておりますから存じておりまするが、そういたしますると、檢事局の方の書類の上におきましては、警察を通じて隱退藏物資であるかどうかを調査せしめて、その上で警察から隱退藏物資でないという報告が來たために、封印を正式に解くことの命令をお出しになつておるわけですね。さよう了解してよろしいでしようか。
#49
○花岡證人 さようであります。
#50
○小島委員 船岡君にちよつとお聽きしたいのですが、この三月二十一日の世耕さんの指令書というものを持つておつたのはだれでしようか。そしてあなたはまたその指令書をどこでごらんになつたのでありましようか。
#51
○船岡證人 二月の二十五日だつたと思いますが、安定本部の隱退藏物資處理委員會の中でそれを拜見いたしました。それを持つておられたのは、委員會の中でそういうふうな拂下指令書をつくつていたと思います。
#52
○小島委員 二月二十五日とおつしやいますけれども、それはあなたの何か間違いでありませんか。その指令書は三月二十一日附になつておりますけれども、その點をもう一度よく考えて御返事願いたい。
#53
○船岡證人 日にちの點は私も今はつきりと申し上げられませんけれども、間違いだつた、三月二十一日にできたのだ。こう言われれば、私もそうだ。こういうふうに思います。
#54
○小島委員 そうするとこの拂下指令書というのは、あなたがもらつたわけじやないのでしようね。
#55
○船岡證人 そうです。
#56
○小島委員 確かにあなたはこの指令書を安定本部の役所の中でごらんになりましたでしようか。というのは少くともこの指令書が外部に出る前にあなたはその役所でごらんになつたでありましようか。
#57
○船岡證人 この指令書が外部に出るときに、私がちようど運よくそこでお會いしてそれを拜見したわけであります。
#58
○小島委員 その指令書を外部に出すときに、あなたはその役人から見せてもらつたか、それともたれかの手に渡つてからごらんになりましたか。
#59
○船岡證人 これは濱田辯護士、この人が書類をいただいて、いよいよ栃木縣に行く、こういうふうなことで委員會から出て來られたときに拜見したのであります。
#60
○小島委員 あなたは先ほど栃木縣に行つたら、警察があまり自分に協力してくれない。だから世耕さんのところに話をして、いろいろとその後のことをやつたということでありますが、世耕さんとあなたとのお近ずきというものは、どういうところにはじまつておるのでしようか。
#61
○船岡證人 私と世耕氏とは何らの關係もありません。ただこういう品物について栃木縣の摘發をやつた。そういうふうなわれわれの趣旨を、どこにもつていけばこれを正規なルートで處分してもらえるか。こういうことをいろいろ調査したところが、當時の政務次官がこれをやつておるのだ、こういうことで、私ぢきぢきに面會を求めて協力して、その後の報告をしたわけであります。
#62
○小島委員 あなたは先ほど詐欺にかかつた金を取戻すために、この隱退藏物資の摘發に關係したとおつしやつたのですが、あなたはこの隱退藏物資を正規のルートに乘せれば報奬金を出るということをだれからお聽きになりましたか。
#63
○船岡證人 その當時私は報奬金が出るとかそういうことは全然關知せず、この品物の摘發がわれわれの手ででき上つた場合に幾分か拂下げてもらつて、それを私に返濟する。こういうような言を信じて、それがこの行動を開始したところの一つの根據となつておるわけであります。
#64
○小島委員 まことに變なことをお聽きするようでありますが、正規のルートに乘つた品物を正規の手續で拂下を受けて、それを公定價格で賣つた場合に、何らそこに利益が出るはずはないのでありますが、それをあなたは拂下げてもらつたら利益があるとお考えになつたのはどこに根據があるのですか。
#65
○船岡證人 私が拂下げてもらうのじやないのです。先ほど申し上げましたように丸の内の中和實業社、これたちが拂下げてもらつて、どういうふうな手でやるのか知らないけれども、拂下げてもらえば利潤が出る。それを私に渡す。こういうふうな意味合いのものであります。
#66
○小島委員 それではもう一つお聽きしたいのでありまするが、あなたが安定本部にいらつして濱田三平さんにこうするようにしてもらつた。こうおつしやいましたが濱田さん、さようでありましようか。
#67
○濱田證人 その指令を出されるまでの經緯につきましては、私も責任ある辯護士として相當法律的に研究して、ときの復員廳に申し上げて、指令をいただいたわけであります。それからこの指令書をつくられるときの状態として、たまたま數量等は私どもは實際いくらあるかということはわからぬのですが、ここに來ております船岡君が安定本部に來合わしておりましたので、その數量をお尋ねました。そしてたしかこの數量があるかないかわからぬけれども、一應數量を記載してもらつたというふうに記憶いたしております。私がこの指令書を安定本部でもらいまして、船岡君もとにかくこの指令書の内容は、ごらんの通りに供米宗遂という大きな國家的な目的のためにされておることであつてそこに私心も何にもない指令書であり、船岡君たちも、これは根本的に遡ればこの國家非常時を救濟するためにやつておるのだと私は確信しておりまするがゆえに、この事柄の遂行についても、法律上正しいものである限りにおいては私は協力するものであるということを考えましたがゆえに、船岡君にも、ぜひ君も當然の責任として私について宇都宮に來いと申して別れたことを記憶しております。
#68
○小島委員 濱田さんはこの指令書を受ける前に、栃木縣にこれだけの品物があるということは自分でお探しになつたのですか。それとも船岡君あたりからお聽きになつたのでありますか。
#69
○濱田證人 ただいまの御質問にお答いたします。これに私竝びに塚崎直義先生と兩人がこの事件に關係しましたが、まず最初の動機から一應申し上げないと判明しないと思います。たまたま私も塚崎氏も熱海に居を構えておるのでありますが、今年の春頃でありました、たまたま世耕氏が熱海に來られたときであつたが、東京であつたか、それもちよつと記憶もしていないのですが、とにかくお目にかかる機會があつた。そのときにこの隱退藏物資の數量というものは、日本全國に厖大なものがある。そうして日本のいわゆる二月、三月の經濟危機を救濟するためには、適正にこれをやらなくてはいけない。しかるに自分はその熱意をもつてやつておるけれども、これに協力すべきいわゆる警察部なり、それぞれのものがその熱意をもたぬのみならず、自分の隱匿物資の摘發についての仕事にかえつて妨げをするような傾向がある。だからひとつ兩人でこれに關係して、場合によつては檢事局の發動を得られるということによつて、適法に行われる方法があるから、援助してもらいたい。また摘發者のそれぞれについても往々にして摘發をするような人間は必ずしも正しい人間ばかりではない。新聞にも傳えられますごとく、どつちかといえば世の中から指揮を受けておるような人が多いということなのでありますから、これらを監督して、摘發についてもいわゆる良民を害したり、不都合なことのないように、その事情についても監督をしてもらいたい。そういう意味で私から申してはおかしいけれども、塚崎先生は自他ともに許される辯護士で、二人に委任するからこれを適正にやつてもらいたいということで、私どもが關係したのがそもそもの動機なのであります。で宇都宮にまず第一著手として、今船岡君が申しましたように世耕次官のところに來て、栃木縣の實情を上申するところがあつた。同時にいわゆる數量において、先生らの言うところによると三億なり四億なりという多量の物量があるという情報であり、またその摘發の遂行についても、官憲が協力しないということをるる訴えて來たので、私どもは檢事局に參つて、先ほど來檢事のお話のような事情から、これは法律的に相當に協力してもらうよりか、むしろこういう隱退藏がないように、やみの温床をなくする。檢事局の活動の分野というものは、犯罪人を縛るだけが能じやない。むしろやみの温床をなくするとか、犯罪人を少くするゆえんだから、そういう意味合いにおいて、檢事局が今後の民主國家を建設し、日本の再建のために大いにやつてもらいたいのだと言いまして、檢事局の方でも私どもの言うことを了承してやつてくれたのですが、さような關係からこの指令書についての數量等も、私は事實一々の所には行つておりません。今言います二三箇所については現場に臨みまして、そういう場所を見たのですが、それから船岡君をとりまく摘發に關係しておるという、先生が使つておる人間というものは十數人であつたのでありましよう。それらがいろいろ情報をもつて來たようでありますが、そういう事情から私は相當な數量があるという前提の下に、こういうことを狙つたわけであります。
#70
○加藤委員長 なおこの際一つ申しておきますが、濱田證人は午後法廷に出られることになつておるそうでありますから、諸君の中で濱田證人に御質疑の方はなるべく早く濱田證人の分をお聽き願いたいと思います。
#71
○小島委員 濱田さんにちよつとお伺いしますが、あなたは三月二十一日に指令書をもらつてからあちらに行つて封印に立合われたのですか。
#72
○濱田證人 そうではありません。今申し上げたように第一囘の檢事局をわずらわした際には、私と塚崎先生と參りまして檢事局に話をいたしたのです。それで私どもはただ檢事の了解されるまでの道ゆきとして、先ほども申しましたある一箇所、二箇所くらいに檢事を同道して行つたのでありますが、なるほど申告されておる物があるという實情を見て、檢察當局では陣容を整えて、それでやつてやろうという言質を得ましたから、そのまま私どもは歸つて來たのであります。それが第一囘であります。それは正月早々であります。それから檢事局で大いに熱意をもつてやつてくれたのですが、先ほど封印をされたということが出たのですが、その後實は檢事局の方では、あなたが質疑をされたように法的な理窟から言うと、なかなか面倒な問題であるので、檢事局の方でも長く封印しておくわけにいかない。それから犯罪の關係をほんとうに明瞭にしていくということになると、宇都宮檢事局だけの人員ではとうてい手が足りない。遺憾ながら搜査の面においても非常に不便を感じておるというようなことがありまして、それで趣旨においてもし早く片づけるというならば、安本、當時はまだ内務省所管でしようが、その方へも言つて、それを早く正常のルートに乘せるようにしてもらうようにしていただきたい、そうして檢事局の搜査に呼應して協力してもらいたいということであつたのですが、遺憾ながら最初私どもが御相談を受けた當時から見ると、直ちに機構も整えられてくると思つておつたのですが、世耕氏の手もとにおいて陣容が整わないので、私どもは世耕次官のところに行つて、それでは困る、檢事局はわれわれに言質を與えておるのであるから、これでは檢事局に濟まんから早くやつてもらいたいということをしばしば請求したのですけれども、そのことがなくしてこの封印の解かれたという實情にあるらしいのです。
 それからなおついでですから申し上げておきたいのですが、指令書についてはこういう經過があります。指令書についての所管大臣の了解ということについては、私は次官に申し上げたのですが、これが不正に考えられたり、やみの方に流れるというようなことはもちろんいかんことでありますので、いわゆる拂下指令書については大臣の了解を得ておいてもらわなければ困るから、權限ある所管大臣の了解を得てもらいたいということを私は申し上げたのであります。その結果指令書には直ちに經濟安定本部長官はもちろん、内務大臣とか、あるいは農林大臣、商工大臣が了解されたということの確言を得まして、この指令書はいただいたのであります。私はこれでまずむづかしい理屈はさておいて、法律家として形式が整つたということを確信しましたから、それで宇都宮に參りまして警察部長に會つたのであります。警察部長に會いましたゆえんは、これによつて何も強盗のように白晝これを利用して物をもつて來るのではありませんから、まず警察部長に會つたのです。ところが私が代理になつていてこの指令書が出たことについて非常に不審であつたか何かでしよう、こちらから無電か何かで警察部長に言つてあつたらしいのです。それから實はこういうわけだと一應事情を話したのです。そうして警察部長にはそのことを傳えただけでした。それから今申しました物の最も多くあるのは宇都宮市中にある戸ノ池という個人の倉庫ですが、そこに毛布なんかたくさんあるということを聞いて行つたのです。それから具體的な問題となつて、縣の商工課の係の者に會いまして、その品物があるかと言つたところが、その係の者はもう今は一物もありません、これはもう正常なルートに乘せて配給してしまつたということでした。それから今おぼろげに記憶するのですが、その一件記録をちよつと見ましたら、このくらいの厚さの書類ができておつたようでありますが、船岡君たちが檢事を伴つて行つたのは一月初旬であつたのですが、その當時は書類は何もできていなかつたのです。戸ノ池倉庫の目標の物の書類は二月の十四日か十五日ごろにつくられて、結局摘發をやられたときには調査の途中にあつたということを商工課長が何か言つておりました。そういう事情でして、物があるということは、結局先生たちの言つたことを聞いて行つたのですが、品物はなかつたのです。なおくどいようですが中村とか何とかいう家にあるとのことでした。それは進駐軍が品物を抑えているので、それはどうも手がつかん、進駐軍の了解を得なければ困るというようなことを言つておりました。それでは仕方がないというので私はそのまま引下つて、山形縣の連中にはあるように思つたが、實際は來て見るとなかつた。もちろん私はこれによつて引きあげて來るという考えでもなかつた。この指令書によつて現實に物があるかないかということをさらに確かめて、さいわいあれば山形縣の連中には縣に歸つて、また手續を經て引取りに來るという順序にする。これは決して暗いものでも何でもない。堂々たる仕事であると思つたのですが、肝心の物がありませんから問題にならなかつたという實情なのであります。御了承願います。
#73
○小島委員 あなたはそうすると、この指令書をもつていらつしやつた時に、檢事局によつて封印が解かれていたことについては何ら不思議をお感じになりませんでしたか。
#74
○濱田證人 それは解いたということはそのときには聞いて行つたのです。けれども檢事局で封印を解かれておつたとかりにいたしましても、これは現地におる人たちの情報を私は信じておつたのです。この指令書に書いてあるような物はありますよというようなことを言つておりましたから、この指令書に書いてあることを信用して指令書はいただいたのであります。私は代理で頼まれたので、もらつたわけでありません。
#75
○小島委員 濱田さんも辯護士ですが、裁判所で隱退藏物資處理令に違反する疑いがあるということで封印しておいて、それを檢事局が封印を解いたということになれば、品物はもう正規のルートに乘つたものか、隱退藏物資でなかつたということになるですが、濱田さんは封印後いつごろこの封印が解かれたかということを御承知ありませんか。封印した後に何日くらい經つて封印が解かれたかということ。
#76
○濱田證人 それは今もおつしやつたように二十日くらいして解いたわけであつて、そこで解かれたということは即隱退藏物資物たる物の性格をなくするという結論には到達しない。なぜであるかと申しますと、檢事局の側はそれに牽連する犯罪面の疑いによつて封印されたのであつて、隱退藏物資を封印されておる結論ではないのであります。隱退藏物資なりやという物の性格についてはおのずから別個のものであります。
#77
○小島委員 私の質問はこれで終ります。
#78
○中野(四)委員 ちよつと辯護士の濱田さんに尋ねますが、一體あなたたちは犯罪摘發にお行きになつたのか、あるいは隱退藏物資摘發にお行きになつたのか、この限界をはつきりしなければならぬと思います。ただいままでのやりとりを聞いておりますと、隱退藏物資でないから解除したのでないというようなお言葉がありましたが、私はこれはちよつと見解の相違ではないかと思います。一體本日證人においで願つたねらいは、封印をほんとうに破壞したかどうかということが問題であります。先ほど檢事の方のお話を聞けば、これは當然正規の手續を經て解除したものというようなお話がありました。そこで濱田さんから伺いたいのは、これは一體封印を解封したことがはたして違法であるかどうかという點についてあなたの見解を一つ伺いたいと思うのです。もしこれが違法であるならばいかなる點が違法であるか、その點が明確になりば本日の證人として御出頭願つたねらいがはつきりするのです。この點をひとつ濱田さんから伺いたいと思うのです。
#79
○濱田證人 今の私の趣旨はちよつと解釋が違うのです。先ほど來申し上げましたように、檢事局が活動したということについては、もちろん措置令あるいは在庫資材調査表に基く申告についてはまだできていなかつたかもわかりませんが、いろいろな面からおやりになつたことであつて、そしてそのものを封印された。結局犯罪ということだけでなく、檢察當局の事務の都合や手が足りない、あるいは疑いがあつてもとうていやりきれないというような事情も聞いたのですが、そういうような意味合においてそれを中止された。これは非公式であつたかもわかりませんが、とにかく最初のときには相當な信念によつてやられておつたでしようが、それがそういうふうになつたということは、いろいろな事情が加味されていると私は思うのであります。私は今のお尋ねの趣旨に對してはどうも明答するのに返答に苦しむのであります。
#80
○中野(四)委員 きようお尋ねしたいと思うねらいを今申し上げたのですが、大體封印を破つたことが違法であるかどうかということに集中しておるのであります。でありますから、檢事局で縣側と打合せの結果初めて解封を許したということがいけないのか、あるいはいけないならばどういうことがいけないのかというようなことを御指摘願いたいと思うのです。それは去る三十日の委員會で、ここに速記録がとつてありまするが、世耕さんのいわゆる證言に基いて皆さまにおいでを願つたのでありますから、この封印を解除したことがよいのか惡いのかということをひとつお聽かせを願いたいと思うのです。あなたの御答辯の後にまた檢事局あるこは縣側からそれぞれの所見を伺いたいと思うのです。
#81
○濱田證人 何遍お尋ねを受けましても、理屈の上からいき私らの立場からいけば、最初に手をつけられた當時の意氣が終局までおやり願いたいという熱意をもつておりました。そこにやや不滿がないわけではないのです。實際問題といたしまして、今申し上げましたように、手が足りないとか、あるいはなかなか困難だとか、帳面の上からもいろいろな面からというような事情を言われても、これは辯護士として理屈を言うわけにいかないので引さがつたという事態を御了承願いたいのです。だから不當なりやいなやという非難は、ここで申し上げることはちつと差控えたいと思います。
#82
○中野(四)委員 さらば檢事の方に伺いたいと思います。一體封印をなすつてさらに解封をなさつた經過は、どういう觀點に立つて許したかという點を明確にしていただきたいと思うのであります。
#83
○花岡證人 最初判事の手によりまして封印され、その後解除する場合に、檢事の手だけで解除しても差支えないのでありますが、私の方では一旦判事の手によつて封印して、警察に命じまして調査させた結果、隱匿物資等緊急措置令のいわゆる隱匿物資ではないということを信じまして解封したわけであります。
#84
○中野(四)委員 そうしますと、原因はどういうわけで封印したのでしようか、それを伺いたい。
#85
○花岡證人 封印の原因は、現場に臨みまして品物を見て、隱匿物資等緊急提置令のいわゆる調査物資あるいは指定物資であるかどうかということをこの場では調査できませんから――一々たくさんの場所をまわつて歩いてたくさんの數量に品物を一々その場所では調査確認することができませんから、一應隱匿物資等緊急措置令違反の品物であると認定して封印したのでありますが、後になつて調査した結果、そうでないと認定して解除したわけであります。
#86
○北浦委員 濱田さんは世耕君から假摘發書八通を塚崎氏とともにもらつておられるが、濱田さんはこの八通の摘發書を實際どういうふうに活用なさつたか。そして活用の結果はたして世耕君の指令のように物があつたか。もう一つは、それから判斷いたしまして、あなたの主觀的判斷で結構ですから、世耕君が言うごとく五百億という莫大な物が今でもあり得ると信用なさるかどうか。これだけお伺いいたします。
#87
○濱田證人 實は昨日でしたか、新聞に摘發人と載つているのですが、この摘發について私らのほんとうの主觀的な考えでは、これは一體名儀はそうなつておりますけれども、先ほど一言申しましたごとく、そういうことをやる人を監視する、正しく導く、それがまた一面において國家のために裨益するところがあればという意味において出發したのであります。そうして私のいただいた指令書がただいまお尋ねのよすに八通あるというのでありますが、それについて今申し上げておきますと、宇都宮の方は私は摘發ということは表面關係しておりません。實質的にさような關係をもつたのでありますが、ただいまのお尋ねの名儀の出ている分につきましては、私も塚崎先生も事重大でありますから、必ずその指令に基いて現場に臨みました。これもお尋ねですから一々申し上げなければならぬと思うのですが、そのうちで埼玉縣の白子というところにまいりました分があります。一々書類を見ていると大變ですから簡單にいたしますが、そこのある製造工場の倉庫内に大きな箱が置いてある。直徑四尺ぐらい、幅三尺ぐらいの相當大きな箱であります。その箱の一つの中をあけてみると、純毛のラクダのシヤツが一ぱい詰めてある、あるいは綿類が詰めてあるという箱が、たしか白子の分については約二百いくらかあつたと思います。やみのことを申し上げてはなはだ恐縮ですが、これをやみ値でどのくらいするかと私らが聞きますと、やみ値で一枚千五百圓も二千圓もするという、到底われわれの著ないような上等な純毛のシヤツだつたと思いますが、一箱だけで十萬圓以上のものと言われました。それがたしかに二百以上ある。そうしてそれがたしか織統ですか、日本橋の統制會社に勤めている戸内という人間に對して千二百圓で一箱讓つた。それを埼玉の邊鄙なところにもつて行つて入れて、一週間のうちに一遍か二遍かやつてきて、相當のものをかついで持出して賣るという情報であつた。なぜそういう者を放つておくかと言いますと、なかなかやり方が巧妙であつて、進駐車に對して賣るためにそういう特別な方法で戸内という人間に賣つたのだ。だから戸内という者の所有であるけれども、實際の販賣先は進駐車であるがゆえに一般の人間に關與できないのだということでしたが、結局私どもが封印して、戸内という人間がもつていく限りにおいては何と理屈を言つたつてそれは個人のものだし、況んやこれが隱匿物資だということは明瞭じやないかということで、當時私どもはその報告書を次官の所まで正式に文書を書いて出した。ところが向うから、埼玉縣の縣廳とかに進駐車を連れてきて、これは進駐軍が買うために賣出しておるのだからというようなことをやかましく言つて、うやむやに終つたという結果になつておるので、非常に心外に思つておりますが、それなんかは少くとも非常な非合法なやり方をしておる。これは政府の強力なる力をもつてするならば、隱退藏物資であることは明瞭であるとともに、相當な價格のものであるということを申し上げていいと思うのであります。それが白子の話であります。
 それから寄居銀行の倉庫、寄居という所の、何とかいうワイシヤツやなにかの裁縫店ですが、それが持つておるということで、まさに隱匿物資であろうというので、寄居の警察の協力を得て見たのですが、それは銀行の相當大きな倉庫の半分くらいの中に、キヤラコとか木綿とかいう莫大なものがはいつておりました。どういう經過を辿つてその者が得たかということを聽きましたら、それは、結局、終戰のどさくさ當時に、軍の出先がどこかで買集めて持つていたものをまた買集めたのだろうと思いますが、それも結局やはり織統等が關係しておるんだということで逃げられたという形になつておるのですが、しかしそれなんかも、私どももう少し、先ほど申したように、強力な力でやられたならば、やはり隱退藏になるのだということを確信しております。
 それから、横須賀にこういうような例があります。横須賀に阿部倉吉という裁縫店がある。授産所と稱しております。ここへ縣の經濟部の瀧澤という警部と私は一緒に參りました。最初帳面を調べた時に、これは縣の警察部のものであると言つておりました。ところがその瀧澤警部が熱心に調べた結果は、やはり、一部分は阿部個人のものである、その他が縣から委託されておるのであるというような事情のものが出てきたのです。ところがその後になつて、阿部個人のものであるということがちやんと帳簿上はつきりしておるのに、縣の警察部から、それは縣のものだという強硬な交渉があつたということを耳にしたので、私は見に行つたのです。それから、それは斷じてならぬ、これは縣の經濟部が來てこれは個人のものだということを認定しているのだ、ほかの課からそういうことを言つて來たつていかぬということを強硬に申しました結果、それは隱退藏の性格をもつておるということにまではつきりしたのであります。ところがその後縣にその品物はどうしたかと言いましたところが、公定價格にして約十五、六萬圓であつたが、それは正常なルートへ乘せたということであつた。ところがその後日ならずしてその本人がひつぱられたということを聞いた。なぜひつぱられたかというと、その品物は、何ぞはからんや、終戰直前か直後に、上海にあつたものを海軍が強奪してきた品物であるということで、進駐車が來て全部かつさらつて行つてしまつたというようなことから、結局今檢事局の調べを受けて、何か進駐軍に關係してひつぱられているというような實情でありますが、それらも、私どもの觀點から見れば、進駐軍が全部持つて行つたという問題は別問題でありますが、やはり基礎的に言えば、その事情の發生せざる前においては、一應これは隱退藏物資として、そうでない限りは供出配給すべき品物であつたと思うのですが、そういうようなことで、七、八箇所の中で半分くらいは相當に物のあつたことは私は申し上げていいと思います。しかしむだ足を踏んだのももちろんありました。そういう實情であります。しかし折角そういうふうに私の所でやりましても、最後の結論に行きますと、何かとにかく因緑がついておる。織統の帳面に載つているとか、何とか因緑がついて、結局うやむやに終るということが多い。おそらくこの仕事は、われわれ法律家にしてすらなかなか困難な事業ですから、一般の者がいかに苦勞してもなかなか困難な事業であるということを申し上げたのであります。大體申し上げるならばさよう申し上げていいと思います。なお詳しいことを申し上げることはありますけれども、時間を節約する意味で、御諒承願いたいと思います。
#88
○北浦委員 よくわかりました。そこで、はなはだお手數で恐縮でありますが、これもまた國家のためでありますから、あなたのそういう詳細の報告書を――世耕君の手許に行つておるものは世耕君が提出いたしましようから、それ以外のものを、はなはでお手數で恐縮でありますが、當委員會の委員長の手許へお出し願えれば結構であると思います。
#89
○濱田證人 それは、世耕委員長に必ずコツピーを取つて提出しました。それから控えの分も、その後委員長がやめられて、その仕事についての關係が、別に書類の承繼が後の人にないというところから、つい私どもは交渉の必要に應じて控えをそれぞれ出してしまいまして、今報告いたしまするについても文書はほとんど殘つていないのであります。ですから、もし何でしたら、世耕元副委員長に出してあるので御了承願つて、なお御滿足のいかないところはどうぞお聽きくださればいつでもお答えいたしたいと思います。
#90
○加藤委員長 ちよつとその點は私から申し上げておきますが、世耕君の手許に集められた書類は、今全部私の方に提出されておりますので、後ほどこれを一切整理するつもりであります。あなたの報告書もまだ全部目を通しておりませんので、もしその時にその書類を見て何かお尋ねしたいということがあれば、あるいはいま一度御足勞願うことがあるかもしれませんから、あらかじめ御承知おきを願いたいと思います。
#91
○武藤(運)委員 濱田君に伺いますが、今濱田君が言うことと檢事の言はれることが食違つておるように感ずるのですが、濱田君は、この隱匿物資が解除されたことにつきましては、檢事の方で最初のような熱意を失つたことが殘念である。それからまた手間も足りないし、いろいろの事情で解除したものと思うが、非常に遺憾だというようなお言葉であります。ところが檢事の言うことを聽いておりますと、まことに明瞭であつて、最初封印をしたときには隱匿物資と考えて封印をした、しかし調査の結果隱匿物資ではないということがはつきりしたから解除したのだ。こういうふうに言つておられる。そうすると、この解除した側と解除された側との言い分が非常に食違つております。きよう解除した側と解除された側と兩方おいでを願つて陳述をしてもらう目的は、先ほど中野君も言いました通り、世耕さんの、隱匿物資はあるんだけれども、折角押えても官僚が邪魔をするというような趣旨のお話に基きまして、抽象的には隱匿物資の摘發について官僚が邪魔をする事實があるかないかということを、一つの具體的の例としておいでを願つたわけなんでありますけれども、塚崎さんは勿論、濱田さんも尊敬すべき法律家でありますが、その點について、もう少し、われわれ辯護士としてはどうもしかたがないんだから御了承願いたいというふうな御答辯でなくて、もつと明瞭に、あるいはその時檢事に、なぜ、隱匿物資であり、言換えますならば隱匿物資等緊急措置令に該當する物資である、こういうふうにお考えになり、確信をもつており、熱意をもつておつたら、檢事や檢察當局と論爭いたしましても、その解除の不當であることを攻撃しなかつたか、いかなる態度をとつておられたか、どういうふうにお考えになつておるか、また實際は檢事の言われることとは反對なんだけれども御意見が率直に今申上げられない立場におるというのか、繰返えしてもう一度その點を明確に濱田君から御答辯いただきたい。
#92
○濱田證人 なるほど今お話のように食違つておりますが、私はこの點は遺憾ながら當時の眞子檢事の御意見は、今の花岡檢事の御意思と違つておるからそこに食違いを生じておると思う。大體において露骨な話が、宇都宮方面において相當にいろいろな刑事事犯に該當するようなものもあるということの信念でおやりになつたと思う。隱匿物資を隱匿する、また隱匿物資にかこつけていろいろなことが出てくるだろうという一部の疑いをもたれて檢察當局はおやりになつた。花岡檢事が言われるように、隱匿物資だという前提のもとに活躍されたと思つていない。しかし結局言いまわし方においていろいろ申上げることは遺憾ですが、そういうことというものはなかなかむつかしいことで、結局明るみに出してそれを捕えて起訴するということはなかなか困難なことだという實情上諦められた。もちろんわれわれが隱匿物資、これをどうしてもやることが國家的に必要だ。檢事局も大いにおやりにならなければならぬという面においても了承された結果であるということも問題ない。その點はそういう意味で多少の食違いがありますが、どうぞ皆さんで然るべき御判斷を願いたい。
#93
○鍛冶委員 今の點ですが、實は先ほど武藤君が言われた通りに、せつかくあなた方がこれに關係してその目的を達することができなかつたということの結論を得たので、なぜ目的を達せられなかつたかということを明確にするために來ていただいた。だからお察しを願いたいでは實は困る。こういうふうに聽きましよう。あなたが最初に捜査と言いますか、檢事局へ行かれた時に立會われたと、その後封印した時にも立會われたのでしよう。最初の時に立會われた時から、その後においてあなたの考えでこの物は隱匿物資なりと認定されたかどうかということをこの際まず承りたい。
#94
○濱田證人 宇都宮に關する限りにおいては、私は要は今のような檢察當局の御協力を得るために參りましたことでありまして、具體的に個々的に封印に立會つたりなどはいたしません。最初の時に一、二箇所參りましたけれども、私どもはむしろ外におりまして、そういう人さまの家をあまり多勢行つて騒がすということは意味がどうありましてもなるべく避けたいという趣旨から、具體的に立會つておりません。宇都宮に關する限りにおいては個々には立曾つてないということをはつきり申上げていい。ただ最初の時に檢事の心證を得る場合に一、二件行きましたが、外廓からその樣子をうかがつたという事情であります。
#95
○鍛冶委員 なんだか物足らぬところがあるのですが、あなたさつき最初のように熱意をもつてやられればできるはずであつたが、まことに遺憾に感じておると言われた。その遺憾に感じておられることは、先ほど述べられたように檢事局が手がまわらないので取調べが不十分だつたというのか、先ほど檢事の御言葉を聽けば、檢事局だけの手ではいかんので、縣經濟部に取調べを任せた。その結果經濟部から隱匿物資にあらずという報告であつたから解除させたと言つておる。その遺憾であつたというのは、檢事局みずからが調べられなかつたのが遺憾であつたのか、縣經濟部において取調べが不十分であつたことが遺憾であつたのか、二つのうち一つでありますが、そのいずれでありますか。
#96
○濱田證人 私の遺憾ということは非常な廣い意味があるのであります。最初に檢事局へ參りまして、そういうことの御活動を願うという意味においては、これは隱退藏物資の處理委員會というものが、すなわち副委員長の手許において早速機構ができて、立派な國家機關によつてこれに協力されるのだということを私は確信しておつた。にもかかわらず一向機構の上においてはできない。これは世耕氏個人をどうということはありません。私どもにとつてはとにかく世耕さんは次官だ。そうして權限を持つておられる。それに全幅の信頼をもつておつた、そのことを前提として私は檢事局へ行つた。ところが何ぞはからん、機構も何もできていない。ただ世耕氏一人が走りまわつておられるという状態であつた。だから檢察當局もおそらく二十日間封印したということで、これは非常な處置だと思う。ほんとうの話がそういうことであつたから、私ども二度目に行つて案外に思つた。こういう状態であります。御了承願いたい。
#97
○小島委員 その點は聞き捨てならぬ話だと思います。濱田辯護士は初めは世耕指令書というものは世耕君が全然權限をお持になつておると考えておつたが、實際は機構も何もできていなかつたということをお聞きになつて驚ろかれたというわけですか。
#98
○濱田證人 私は今日の信念においても世耕氏個人でありません。私は次官、副委員長である世耕氏の信用を指しておる。だから私は指令書がその後に世耕氏と安本の役人どもの間にいろいろなごたごたが起きて、この指令書が假指令書だとかどうとかいうことが起きたということは、私は不都合千萬だと思う。私どもの眼から見れば、かりそめにも國家の役人、時の大臣も世耕氏に委任されたと言つておるが、われわれはそれを假指令書なぞと考えません。立派な公文書と考えてやつてきておる。だから今日考えましても私どもは約半歳を通じて努力したことに對して、なんら意味がなかつたということを非常に遺憾に思つておる。これは御了承願いたいと思います。
#99
○鍛冶委員 宇都宮のはしかたがないとして、先ほど横須賀のことを言われたが、横須賀のごときはたしかに隱退藏物資であるのを、警察官は警察のものだと言つたことには間違いありませんな。
#100
○濱田證人 そうです。それは間違いありません。
#101
○鍛冶委員 それらの點でやはり警察方面においてあなた方の調べというか、それに對して非協力というか、かえつて隱退藏物資であるものを隱退藏物資にあらずと曲論せられた事實はお認めになりますね。
#102
○濱田證人 それは申上げてもいいが、内務省の上田事務官のところへそういうことを言つてきたということであつた。はつきりリストを貰つて立會つて、それは警察のものじやないのだ、阿部倉吉という個人のものだということでもつて歸つて、それを安本の方に私は報告した。ところが、その品物についてもそれは警察のものだということで解除しろということを神奈川縣の警察から内務省へ言つてきた。抗議を申込んだ。斷じてさようなことはない。現に經濟部の瀧澤という警部補が行つて持つてきている。そんなばかな話があるかといつて私はこちらでも非常に文句を言いました。そうしたらそのことは消えてしまつて、隱退藏だということまではつきりした。そうしてその後警察に行けば、それはもう正式のルートに乘つて配當したから、本人に對しても報奬金を、……きたない話だけれども徹底的に申上げますが、私どもの事務所に本人がおる。それを差上げますからと言う。その總額は幾らかといつたら二十五、六萬圓だということで、私の方の事務所の辯護士をやりましたら、その報奬金はどうか本人からもらつてくれ、それからそれは本人からもらう筋のものじやないじやないか、一體政府からもらうべきものだ、そんなばかな話があるかと言つたところが、警察部長であつたか、私は會いに行かないので、報告なんですが、いや本人に交渉して、それで受渡しをするときは自分で立會いますからという話だつたというのです。それではあなたの方でそう了解するなら何らか恐喝でもして金でも取つたなんと言われると非常に困る。だから本人と交渉するのはいやだと言つたところ、そう言われるならばひとつ話をしましようと言つて、私の事務所の辯護士が話に行つたところが、その間に先生ひつぱられてしまつて――進駐軍か何かに物ももつていかれたりひつぱられてしまつたという状態です。
#103
○鍛冶委員 もう一つお聽きしたいのは、先ほどからあなたは指令書に基いて摘發に行つたと言われる、ところが行かれるときにはまず警察その他の摘發する權限のあるもののところへ行かれるのでしよう。
#104
○濱田證人 もちろんそうです。
#105
○鍛冶委員 そうすればあなたが摘發するのではなくて、權限のある者に摘發することをあなたが申告に行つたと解釋すべきじやないでしようか。
#106
○濱田證人 お答えいたします。實際の問題といたしますれば、指令をもらいまして、その指令を警察なり縣の防犯課なりにもつて行つて、それを提示して現状を示し、そうして隱退藏の存在しておることを話をするのです。そういたしまして、所轄の警察の人間か、あるいは縣の防犯課の連中かだれかが、一緒に行つて、そうして現場に臨むということが實際問題なんです。だから私どもの立場はそういうことに關係しますが、人の惡いのになりますと、そういう現場に臨んでいい加減なことをして、要するに向うから何がしかをせしめるということがあり得ると聞くのです。そこで私どもの關係しておる者に對しては、斷じてさようなことはならぬと申し渡して嚴格にその點を遂行してきておることを御了承願いたい。それは現に花岡君がここにおりますが、先ほどの七十本のガソリンを提供するからうやむやにしてくれということを宇都宮で私塚崎先生と宿におるときに話があつた。われわれが關係しておる限りにおいて斷じてさようなことはならぬぞ、不正なる金を取るならばわれわれは手を引く。だから斷じてならぬぞということを言うて、もちろん先生もそのことを了解しておりますから、かりにもそういうことはないと思いますが、しかし往々にしてそういう疑いをもたれたり、そういうことがありがちだということですから、私はそういう點について極力嚴重にやつてきたということを御了承願いたい。
#107
○鍛冶委員 それで事實はわかりましたが、私の聽くのはあなた自身が摘發するのではなくて、摘發すべき權限をもつておる警察官の活動を促しに行くのだ。從つて世耕指令というものも、世耕指令に基いてあなたが摘發するのではなくて、世耕指令をもつて行つて摘發する權限のある者に摘發の活動を促す。こういう役目であろう。このことをお聽きしたい。
#108
○濱田證人 その意味は法律的に今鍛冶君のお話のような理論構成になりますか、事實によつてそれはしかるべく御判斷願いたいと思います。私は法律家ですが、その點いわゆる摘發權というものがどういうものであるということと、だれが一體摘發するということになると、實際問題としては警察官が行つてやるわけではありません。安本からだれかが一人行きまして、それに警察官が隨行して、そうしてただいまその書類は安本の役人が書き、その目録をつくり、保管書をとるという經過になつております。
#109
○鍛冶委員 そうするとその摘發の主體は、その權限をもつておる者は安本から行つた者ですか。
#110
○濱田證人 最初のときは安本ではありませんが、今年の二月ごろからは安本にそういうふうな委員がおりまして、安本に隱退藏物資處理委員會というものができてからは、安本にそういう委員がおるのです。それとわれわれと縣の警察なら警察に行つて警察部の連中を二人なら二人、三人なら三人隨行してやるのでございます。
#111
○鍛冶委員 しからばあなたはだれが摘發する權限者だと思つておりますかその場合に……。
#112
○濱田證人 だから情報報告者というものがあつて、私どもは情報報告者に要するに加勢してやつたということになる。理論構成からいけば、その情報によつて摘發をする人間は安本なら安本の人間がやつておるということになる。
#113
○本多委員 最前本日證人の方にお話を承る目的について他の委員の方からお話がありましたが、これは封印の問題という狭い意味でなく、一般的に私どもは調査していく上において、いろいろな心證を得る必要があつてお願いした。こう解してよかろうと思います。證人の方々のお話を聽いておりますと、聽く人の感じによつてやはりいろいろ違うもので、私はむしろ當時の檢事、警視であられた方々に對して、こういう疑問は起らないかというようなことに深い關心を起しておるものであります。それは當時御承知の通り軍の保有していた物資が無責任に非合法的に非常に亂脈に分散したという事實、それから軍が委託していた委託物資の殘品があらゆるところに殘つていたはず。こういう事實は國民ひとしく認めるところである。特に栃木縣においては軍需物資は多かつたはずである。それら無責任に非合法的に分散したものは、ことごとくルートに乘らない隱匿物資であるはずであり、かつそれほどの評判になつていた栃木において、警察でなく檢事局まで大活動をして物資を封印されて、調べた結果が一つも隱匿物資はなかつたということで、封印は合法的にこれを解除したのであるというようなことで、はたして今日の國民の常識として、警察の調べも、檢事局の調べも信頼すべきものであるという感じを與え得るか否かという點であります。この點について私どもはむしろ今日その封印が合法的解除されていようと、非合法的に破棄されていようと、その點よりも一遍押えた物資――押えない物資はより多いと思いますが、押えた物資が一つも隱匿物資にあたるものはなかつたというその結果が、これがその適正な調査の結果であると言うことができるかどうか。聞くところによるとまつたくの隱匿物資あるいはひどいのになると窃盗による物資であつても、あとで帳簿に登録してもらう。そういうようなところに官吏とその隱匿者との間にいろいろ忌まわしいことも起りわせぬかというようなことに非常な疑問を壞かれておる際に、もう少しその中に何か現われてこないはずはないという氣持がいたします。むしろこの點がこの委員會において私は究明せらるべきところであると思いますので、その當時の警視さん竝びに檢事さんに、栃木縣においてそれだけの大量の物資を押えながら一つも隱匿物資――ルートに乘らない物資に該當するものはなかつたというので、全部解放されたということが適正な調べの結果であるとお感じになつておるかどうか。辯護士さんの話を聞いておると、手がまわらないので、やむを得ず疑いをもつて長く封印しておくことはできないので、解除されたという。私はむしろ諒とすべき點があるけれども、この點について大きな疑問を國民が起しわせぬかと思います。この點に對する御兩君の御判斷なり、お氣持なりを御説明願いたいと思います。
#114
○加藤委員長 その前に濱田證人は先ほど申しましたように……。
#115
○濱田證人 私もう時間が遲れましたし、また出直して參りますことは非常に苦痛でございますから、結構でございます。
#116
○加藤委員長 わかりました。それではただいまの本多君の質問に對してどちらから先へお答えくださいますか。森さん。
#117
○森證人 今のに關連いたしまして警察に對するいろいろ非難等もありますから、當時の實情と併せて經過とを話させていただきます。その前に一應おことわりいたしておきたいと思いますことは、實は私栃木縣に轉任を命ぜられましたのが昨年の十二月二十六日であります。二十八日に事務引繼ぎに行きまして實際に向うに著任したのは本年の一月六日であります。その點をあらかじめ御諒承願いたいと思います。それで實は栃木縣の隱匿物資の問題については參る前から伺つておりましたが、栃木縣に參りましていろいろ實際の状況を調べてみますと、昨年の三月ごろから栃木縣の隱匿物資というものが非常に世間に大きく取上げられまして、それに從いまして栃木縣に對する隱匿物資摘發隊と申しますか、そういうふうな人々も非常に多くはいつてまいつたのであります。それと一緒に附隨して起りました問題は、隱匿物資の摘發が非常に不合法にいろいろ調査された。これが非常に民心に惡い影響を與えたというようなことと、もう一つは隱匿物資の摘發に參つたあとは、必ず集團窃盗とか、あるいは強喝事件とか、あるいは詐偽事件が起るというような實情であつたわけであります。これらの問題につきまして、これは主として刑事課が扱う問題でありますが、隱匿摘發に名をかりまして、そういうふうな在庫を調査いたしまして、その品物を集團で取りにいくんじやないか。こういうふうな考え方で警察としては一應捜査していたわけであります。ただし隱匿物資の摘發につきましては、御承知の通り隱匿物資等緊急措置令が出ましてから、内務省の指令によりまして、全面的な取締りをいたしております。從つてそれまでに警察で單獨に摘發をした隱匿物資も相當にあがつておるわけであります。ただ一應警察としての考え方といたしましてはいろいろありますが、われわれ結局違反を摘發することが眼目でありまして、必ずしも物資の摘發をするというふうなことを前提にしては考えないわけであります。ただし隱匿物資等緊急措置令違反あるいはその他の違反に關連いたしまして、物が出ました場合には、これは隱匿物資として扱つておるわけでありますが、前提としてはどこまでも違反を檢擧するというような考え方でいつておるわけであります。なお最近のように非常に物が不足して國民が困つておる場合に、隱匿物資を摘發して、國民がそれによつて利便を與えられるということであれぎ、警察といたしましてももちろん希望するところでありまして、最近におきましてはかえつて積極的にこの面についてもやつておるわけであります。また機構につきましても、栃木縣といたしましても、いろいろ今考え方について質問があつたのでございますが、もちろんわれわれとしても敗戰によつて一部の國民が儲けるということは絶對に許されない。またそういうふうな隱匿されておる物資を摘發いたしまして國家的に面に使うということは當然なことと考えまして、現在栃木縣におきましても著々これが實施中であります。ただ從來は御承知の通り警察は經濟警察そのものが非常に忙しいのであります。今年の二月以降を考えてみましても、相次ぐ一齊取締りを繼續いたしております。また豫算の面におきましても、いわゆる警察は人件費だけでありまして、旅費というものがほとんどない。そのために身動きができなかつたという場合もありますが、警察としてはできるだけの努力はしているはずであります。現在でも隱匿物資專門に扱つております警察官が栃木縣で先月から二十六名從事してやつております。警察としての考え方といたしましては、いわゆる從來やつておりましたような情報の提供を受けまして、これによつて隱匿物資を出していくというようなことは、おそらく困難であります。かえつてその間にいろいろな不正が行われて、現在起つておるような問題が出て來るのじやないか。そういう不正を除くためにも、また隱匿物資をほんように總ざらいに摘發するためにもやはり安本なり、あるいは警察というものが中心になりまして、いわゆる情報提供者の言に基く調査というものをよしまして、根本的に當時の物資の流れ方から系統的にこれを調査することが一番必要であります。現在實施いたしておりますいろいろな事件につきましても、著々そういうふうな面が功を秦しておるのであります。ただ違反を中心としてまずはいつておりますために、必ずしも物がそれに伴わない場合もあります。終戰後すでに相當の日數が經つておりますので、その間に物資はほとんど流れてしまつておりまして、現在隱匿されておる物資はあるいは少いかもしれませんが、しかし今申し上げましたように、違反を摘發するというふうな意味合と不正な所得は許されないという考え方から、もし違反としての摘發ができない場合におきましても、不當利得がでました場合には、これらにつきまして税務署と連絡をとつて、これを根こそぎ取つてしまうというふうなやり方を現在とつております。それから今までいろいろ問題が出ているようでありますが、昨年以來いろいろ情報提供者が參りまして、警察官もこれにつけますし、あるいは自動車まで、燃料不足の場合にもかかわらず、これを出して一諸にまわつているというふうな實情であります。ただ從來の栃木縣における情報提供者の情報について考えてみますと、ほとんど倉庫に關する情報でありまして、中味についての情報というものは一つもないのであります。それからほとんど同一人また同一系統から出ている情報でありまして、ある特定の人に情報を賣り込みまして、摘發に參つてそれがないと、また次の人に賣る。次ぎ次ぎに同一情報が相當多數の人に賣りこまれる。從つて摘發を受ける箇所はいつも同一箇所であります。同じ場所が十囘あるいは十二囘というふうに受けているのであります。從つてやる方は幾囘でありましても、受ける方は一人でありまして、一人の人間が何囘も同じものを摘發隊のために見られるというので非常に困つたわけであります。また摘發の對象になつている物件がほとんど縣がもつておる特殊物件あるいは保管轄換物資であります。特殊物件は、栃木縣の配給方法はいくらか違つて、縣がこれを把握しておりまして所有權をもつている。そしてこれを各團體に割當てまして、順次流していくというふうなやり方をとつております。それから保管轉換物資は、一應軍政部の方からリストをつくつて出すようにというので、リストを提出いたしております。ところがリストを出した保管轉換物資は全部ほとんどがまだ未返還になつている。軍政部から返還もされませんし、もちろん處分の許可も受けていないのが相當あるわけであります。主としてこれらの保管轉換物資が隱匿物資としての對象になつている場合が非常に多いのであります。それから先ほどの船岡さんからのお話に關連して一言申し上げたいのであります。先ほど十二月二十七日の參つたというふうなお話がありましたが、これは一月二十八日の間違いではないかと思います。實は私が一月二十八日に栃木縣に一應事務引繼ぎに參りました際に、船岡さんは私の方の部屋におられた。ただ私はあとで聞きましたので、その當時は摘發に來られたということはもちろん、船岡さんであるということも知らなかつた。私には會いませんで、あとで警察部長と前經濟防犯課長に警察部長室で會われました。その前に、一應私の方の南警部――これは當時物資係長をやつていたのでありますが、南警部と會われまして、摘發についての相談といいますか、協力してもらいたいというふうな趣旨の相談を受けたわけであります。この場合に南警部は、課長がとにかくきよう轉任してまいつたばかりでもあるし、また警察としては年末年始の警戒をやらなければいけない。そういうふうな意味合で非常に忙がしいから、一つ來年の一月八日以後にしてもらいたいというふうなことを言つております。その場合にどういう場所を摘發するか、物資はどういうものであるというふうなことを一應聽いたようでありますが、船岡さんの方では、一切それは言うことはできない。これは一應警察を不信用というふうな形で初めから考えておられたようであります。しかし警察としても、聞くところによると相當大量の物資でもあり、そのために相當な立會警察官を必要といたします。また車等の用意もしなければいけないというようなことで、いろいろ話合いました結果、大體の地區だけは示しております。この地區は大體被服廠であるとか、あるいは燃料廠であるとか、あるいは軍需物資の集積場所であるとか、そういうようなところを一應示しただけであります。そこにどのようなものがあるか、どの倉庫にはいつておるかというような情報は、全然提供せられなかつたわけであります。一應年が明けてから來るというので、警察部長室に挨拶に行かれ、警察部長と前課長と會つたわけであります。
 以上の話をしまして、それでは來年の一月八日から十日ごろまでの間に、摘發に來るからということで別れたのであります。その際警察部長との間に、議論があつたように聞いております。議論になつたのは、船岡さんが、今度の摘發は私利私慾のためにするのではない。國家的見地から遊休物資を活用するという趣旨のお話があつたようであります。そのあとで今度の摘發をした場合に、その幾割かを現物で縣からもらいたいという話がありまして、警察部長から拒否されております。これは當然われわれとしてはできませんし、また隱匿物資摘發の報奬として、物資は與えないということが大原則になつておりますので、當然拒否したわけであります、その場合に感情的になつて發展したのであります。想像だけでありますが、要するに國家本位にやるというように、非常にきれいなことけ言われておるのに反して、やはり物を欲しがる。これは一般隱匿者と同じやり方ではないかというふうなことを、警察部長が言つたということをあとで聞いております。しかしこの問題は直接私が聞いたのではありませんから、はつきりしたことは存じません。
 私が赴任いたしましてから、早速その話を聞きまして、船岡さんの見えることを待つていたわけであります。ところが見えませんので、一日十九日に宇都宮檢事局から主席檢事、その他の方が見えまして、特殊物件その他につき協議をなさつたのであります。その場合に明日隱匿物資の摘發をするから、經濟防犯課からも人と車を出してもらいたいというふうな話で、私の方からそれに應じまして人と車を出しております。もちろん車は一部でありますが、出しているわけであります。摘發は三、四日にわたつて行われたのではなく、二十日と二十一日と二日間にわたつて、三十二箇所について行われたのであります。地區は四地區にわけまして宇都宮地區、鹿沼地區、今市地區、芳賀地區と四つにわかれております。構成は今お話があつたようでありますが、鹿沼地區につきましては、ここに見えております花岡檢事、裁判所から原檢事、書記の方が二名、情報提供者が一名、鹿沼警察署から三名、私の方の課員が一名参つております。芳賀地區には檢事局からは稻葉檢事、裁判所から瀬下判事、私の方から課員が一名、情報提供者というようになつております。それから宇都宮地區は裁判所の淺野判事、檢事局側から菊地檢事ほか書記二名、私の方の課員、宇都宮警察署の經濟係が一名、それから情報提供者二名、今市地區には裁判所から渡邊判事、檢事局から高橋檢事ほか書記二名、私の方の課員が一名、警察署から經濟主任が一名、情報提供者一名、こういうふうな四班にわかれて行つたわけであります。實際の摘發の状況は、先ほど花岡檢事さんから話がありました通り、檢事から隱匿物資の疑いがあるということで、判事に請求いたしまして、摘發をしたというような實證になつております。その後順次檢事局において直接に調べ、あるいは檢事局の命によつて各警察署で調べまして、違反の有無、あるいは物資が隱匿物資であるかどうか。もつとも隱匿物資の考え方にもいろいろありますが、必ずしも隱匿物資緊急措置令にいう最狭義の隱匿物資というふうに限定せずに考えております。從つて隱匿物資緊急措置令に反しなくても、その所持のしかたが不當である、不正であるという場合には、もちろん摘發するという態度を從來からもとつておるのであります。そういう見地から調べまして、これらのものは違反の關係もない。また隱匿物資でもないというふうなことになりまして、それぞれ檢事局において直接にこれを解除したものであります。それから檢事局のそれぞれの檢事さんの命によつて、警察署でこれを解除したもの、この二通りになつておるのであります。先ほどちよつと問題になりました、たとえば今市地區にありました山口武信、これは今市貨物自動車株式會社の專務でありますが、ここにありました油がどうして移動していたかという問題を、一つ例にあげてとりましても、この今市貨物には一番初めに申しましたような時期に、要するに四、五月ごろまでの間、あるいはその後におきましても、ここにモビールその他で百二十三本あつたのであります。百二十三本あつたのが、その後どうして移動しておるかということについて考えてみますと、隱匿物資等緊急措置令が出まして、五月に縣下一齊に隱匿物資の取締りをやつたのであります。その場合に、この百二十三本の所持のしかたが、燃料廠の方から、もつともこれは運賃の代りとしてもらつたのでありますが、そういうふうな形でもらつておる。また隱匿物資緊急措置令の屆出もしてないということで檢擧しまして、これは一件記録を檢事局へ送附しておるわけであります。それと一緒にその油につきましてはこれを押えまして、それぞれ主務課の方へまわしまして、主務課からさらに買上手續をとつたのであります。その後これが適當の處置によつて、買上げをせられておるわけであります。これでなくなつたということも、一つの見方ではないかと思います。その後、なぜまた殖えたり減つたりしておるかということになると、これは鹿沼地區の貨車の中に、やはり元鹿沼の陸軍燃料廠にあつたモビールその他が積みこまれていたわけであります。これはやはり今市貨物が、その當時陸軍の燃料廠からもらつたのであります。もらつたと言いましても、運賃の代償としてもらつたという性質のものでありますが、これを貨車の中で押えたのであります。それがいつの間にか今市まで、警察の目をのがれて運ばれていた。その運ばれていたのを、十二月に日光署において隱匿物資として發見した。それが地下場と倉庫の中にはいつていた。そういうふうな形で昨年の十二月、再びその物資を警察において隱匿物資として押え、買上げの措置をとつていたのが、たまたま手續きが遲れて、引取が未了になつていたという性質のものであります。ただ増減がありましたのは、井上登がこれについて確認した場合に、増減があつたと言いますが、井上なるものがどういうふうな人間かということについて申し上げますと、井上は窃盗の前科のある人間であります。また當時頻々として起りましたいわゆる娘師事件、土藏破りでありますが、これが井上登によつて行われていたのじやないかというふうな疑いをもつていたのであります。また今市地區の事件についても、井上が盗んでいたのじやないかという疑いをわれわれはもつていたのであります。實際この井上登がほとんど各署へ情報を出しておる張本人であります。井上登あるいはこれの部下が各署に出しておるわけであります。また船岡さんの情報提供者も井上登であります。先般安定本部から摘發に參りましたときの情報提供者も井上登であります。たまたまそういうふうに目をつけていたために、たとえば一月十五日ですか、船岡さんたちが行つたときにとがめられたということも、そういうふうな容疑者であるために、あるいは刑事課から警察の方に手配したというようなことで、途中で調べられたというような問題が起つたのじやないかというふうに考えるのであります。また實際に安本へ今年の六月に摘發にまいりましたときでも、實際に倉庫だけの情報を出しまして、警察官あるいは安本の査察官、これと一緒にまわつたのでありますが、そのときに倉庫にどういうものがはいつているかということだけ見て、七月には、二囘にわたつて自動車で集團窃盗にはいつて土藏を破つて、特殊物件が大量に盗まれている。現在警察で檢擧して、檢事局で取調中であります。そういう者から出ております情報がどういうものかということは察するに難くないのであります。以上のような見地からわれわれの方としてはこれが隱匿物資じやないというように一應警察としては斷定いたしまして、檢事局の方に報告したのであります。また檢事局の方におかれても直接調べたものもありまして、それらのものは隱匿物資じやない、あるいは事件にも關係ない、というように斷定をくだして、それぞれ解除したのであります。二十日間を要したというのはその間の調査期間でありまして、調査完了後それぞれ正規のものは順次これが處分を解除したのであります。解除した時期は大體二月十日前後であります。なおこの情報がどういう形で世耕副委員長のところまで行つたのか、よくその間のいきさつは私たち知らないのでありますが、われわれとしては當初からこれは隱匿物資じやないと考えていたのであります。また檢事局におかれてもその翌日二十二日に眞子檢事さんや、ほかの方に會つて、いろいろ話を聽きました。またここにおられます濱田辯護士さんとお二人見えたのでありますが、この方々を信用したのであつて、決して情報提供者の言を信用したのでない。せつかく辯護士として有名なお二人の方が見えたのであります。それを信用してやつたのでありますが、全然隱匿物資でなかつたというような大體お話であつたようであります。しかしその當時の状況を聞きますると、これは隱匿物資は檢事局側で發表したのでなく、おそらく在庫品にこういう物があつたという程度の報告をしたのでないかというように考えるのであります。それが世耕副委員長に隱匿物資というような形で報告されたのでないかと思うのであります。たまたま三月二十二日に經濟安定本部から隱退藏物資處理委員會の世耕副委員長から指令第一號として栃木縣にまいつたのであります。その場合にお會いいたしましたのは、警察部長のところに代理の方が見えまして、その席上私も出席いたしたわけであります。そうして大體その隱匿物資と稱する物の性質を一應お話申し上げました。その當時のことは大體おわかりのことと思うのでありますが、それは一應どちらといたしましても、私どもの方といたしましては、物の内容が隱匿物資でないということを申し上げる以外に、これの處理權は警察部としてないわけでありまして、それぞれの關係の部へ行つて御報告を願いたいということでお歸り願つたわけであります。それがいろいろ疑惑を生みまして、警察が勝手に處理したのである、あるいは物を出してしまつたというような話になつておるようでありますが、實際はそうでないのでありまして、今申し上げました通り、物が順次動くということはこれは當然でありまして、たとえば配給物資が纖維會社の物が入つておる倉庫がある、それが保管轉換物資の既定の計畫に基いて入つており、またその規則によつて出すことがあるのは當然なわけであります。また砂糖等においては、當時六十歳以上の老人あるいは乳幼兒用の配給のために、北海道の甜菜糖等が出庫しておるわけであります。そういう物の處理については非常にはつきりしておるわけであります。なお世耕情報につきまして、いろいろ新聞がどり上げられまして、またこの山形縣の農業會に對して出した指令第一號につきましても、私たちは當時も非常に疑問に存じたのでありますが、一體安本の隱退藏物資處理委員會にさういうような物資の處理權があるかどうかということは、われわれはどうも素直に納得することはできなかつた。もつともそれは當時機構ができたばかりであります。その後の動きがわからないといたしましても、當時としては處理委員會には一應そういう物資の處分權がないと考えていたのであります。もし報奬用として山形縣にやるものであれば、これは農林省が當然實施すべきものであつて、山形縣の農業會に對してそれだけの物資が特別に行くということはちよつと考えられない。やるのであれば全國に同じように報奬物資のわくに乘つていくべきが當然であるという考えをもつておる。さような意味合いにおいて一應警察の考え方としても差上げることはできない。當時處理權はこちらにないから、經濟部あろいは内務部である、そういうところへ話していただきたいということにお願いした。ただ私たち非常にこの問題について疑惑をもつておつたわけでありまして、ここに濱田さんもいらつしやるわけでありますが、たとえば私この問題が非常に新聞にとり上げられましたので、一應いろいろこの問題については特に關心をもつていたわけでありますが、たまたまこういうふうな一つの手紙を入手しております。この手紙の内容を一應讀ましていただきたいと思いますが、これはもちろんこの事件に直接關連しているところもしていないところもありますが、いわゆる情報に賣買したような手段による摘發が、國民にいかに迷惑をかけているかということの御參考にもなるかと思います。またこれは私の想像ですが、世耕氏は當時内務政務次官をやられ、その後處理副委員長になられて以後も、私は直接上官として御指導を受けているのでありますが、非常にあやまらしているのではないかということを常に心配していたわけであります。この手紙は山形縣の農業會の代行人であります。間島という方から世耕代議士に送られた手紙であります。一應讀ましていただきます。
 拜啓
 連日紀南の地に政戰の為御奮進の事と遥かに拜察仕候陳者先生選擧に御出發迄御骨折下され候農業會關係拂下物資も誠に乍殘念先生の御公約とは全然違ひ一應頓挫の結果と相成甲候
 本件は昨日九日電報せる通りに御座候共頓挫の理由は全國農業會城石氏も言明の通り二宮、山口兩氏共其の處置眞意か故意か測り難く剰へ本件に全然關係無きブローカー等數名と共に本件處理に乘り込み、或は自身の仕事の為めの事務所借用の處置を前提として要求し到底先生確言の公約せられたるが如き困窮せる眞面目なる農民の理解者として或は更に現下空前の食糧不安の緊急打開措置を講ずる者として常識ある事とは思はれず候
 農業會關係者は今日に至る迄未だにGHQ及第八軍司令部將校に面會さへ得られず候
 事既に茲に到る、農業會の面目は全く失はれ、殊に東北純朴の農民を鞭ちて供米を促進せしめ以て今日に到りたるに、先生御公約なされし物資は全く嘘となり、當方として愈々最後の窮地の立到りたる次第に御座候
 願みるに昨年十一月以降今日迄陳情書申請書を始め度々の公文書の提出や或は「速やかに供米を促進せよ」「拂下品のヤミ流しをする勿れ」「ヤミ賣する勿れ」とかの誓約書許りとられ農民は忠實に之を實行して誠意を示したるに政府の側に於ては更に誠意無きのみならず、宇都宮以來の度重なる空手形にはも早や全農民としても我慢出來ぬ次第に御座候
 先生があれ程迄に度重ねて隱退藏物資として存在する事及之が非常措置としての放出拂下方に就て我々一同の面前に於て責任を以て斷言せられし京都檢事局關係の物資も同檢事局よりの直接囘答に依れば隱退藏物資には全然無之旨判明し農業會側は只只唖然たらざるを得ず候
 即ち今日迄實に六ケ月の長きに亙り先生屡次の言明竝に先生が政府當局の衝に當られある公人として全責任を以て四大臣の名をさへも連ねられたる拂下指令書第一號(宇都宮)を信じ山形縣七十萬の農民を督勵鞭撻し本年こそは眞に責任ある政府高官の非常措置なる事を知らしめ凡有の惡條件を克服して供米を促進せしめたるに、結局政府の公約は再び虚偽にして欺瞞なりし事と相成申候。
 抑々供米の事たる農村出身の故に事情通を以て自ら任じあられる先生は東北單作地方及從來政府の公約不履行等については熟知せられある筈に候。
 殊に屡々申上げたる通り嚴寒積雪丈餘の僻村に於ける供米の搬出費(橇に依る)(市街地の雖も)勞賃は政府が實情を無視して定めたる費用の數倍に要し居候。
 以上縷々述べたる事にして、先生一介の市井の商買人なればいざ知らず苟も政府要路の大官にして斯くの如き始末を為さるに於ては正に罪萬死に値すると斷ぜざるを得す候。殊に私儀山形縣農業會長より本件に關し全面的委任を受け過去六ケ月凡有周圍の誘惑と妨害を種々なる手段を以て克服し來りたるに今日の事態は面目失墜は固より、先生始め政府の欺瞞行為に對する非難等誠に由々數問題に有之候。
 更に又宇都宮に關する拂下指令書交付に際しては塚崎、濱田兩辯護士より辯護手數料として百萬圓也(本件は先生と兩辯護士協議濟と稱し半額前渡を要求せらる)を要求せられ其の支拂の準備迄致したる事、既に私より先生に報告せる通りにて山形縣農業會も承知せる處に候。
 斯の如き窮地に陷らしめ猶先生にして恬として恥無き態度に出らるるに於ては農業會としては直ちに天下に一切の事實を公表し以て一部人士の今日迄農民を斯き且苦しめたるを知らしめ滿天下の公平なる裁きを受けて罪を謝す覺悟に御座候。
 願くは先生選擧御成功の上速かに御歸京なされ今一度最後の御善處御勞力を御願申上候。
 從來の如き無責任極る御仕事では全然無駄なるのみならず、罪を倍加するものと謂ふ可く眞に責任ある御善處を御願申上候。
 先は右御願迄如斯御座候
  四月十日        敬具
           間島 三好
    世耕弘一先生
         侍史
 以上であります。
#118
○本多委員 ただいまのお手紙については、私も質問したいと思いますが他の委員も質問されることと思いますから、その方に讓りますが、私がお尋ねしたいのはそういう手紙のような結果に陷つたのも、結局國民が大きな疑惑をもつておる。期待する隱匿物資が出ないからである。それほどの努力をされても、あれほどあらねばならぬと思われる隱匿物資がひとつも出ない。それが出ない理由はいろいろ言われておりますが、隱匿物資であつても、あるのかないのかまごまごしているうちに、結局正式ルートに乘るように官公署に運動をして、遡つて帳簿に登録されてしまう。そのために、隱匿物資が隱匿物資でなくなつて出なくなつてしまうのだということを國民は疑つております。でありますからそういう結果になつたことにつきまして、警察竝びに檢事局あたりの仕事には遺憾なしと考えておられるかどうか。國民の疑惑を解き得る程度のことができておるように思つておられるかどうかということを私は聽いたわけであります。それに對するあなたの心境をひとつ御説明願つてその後で今のあなたの御證言に對する關連質問が他の方からあることと思います。
#119
○森證人 先ほど一番はじめにちよつと申し上げたつもりでおつたのでありますが、もちろん當時非常に厖大なる物資が流れまして、それが不當に利得されたり、あるいは現在でも隱匿されておるものが相當にあるのじやないかと確信しております。ただ終戰以來責任を當時私がもつていたかと申しますと、當初お斷りいたしましたように、私は當時も司法の責任者ではありませんし、警察にもいなかつたわけであります。その點についてはお答えできない。ただ結果といたしまして先ほど申し上げましたように、單にみなの目のつくような所にそういうふうな隱匿物資が現在でもありますのでただ隱匿物資としてあり得るのは先ほどちよつとお尋ねがありましたように、相當の大きな事業者等におきましては、正規の物資の間に一緒にはいりまして、隱匿物資が正規の名をかりてはいつておるというふうなのが相當あるように思います。それ以外の物は大體においてもうすでに消費されたとか、あるいは全國の散らばつておるといふうな實情じやないかと思つております。しかし先ほど申し上げまたように、これらにつきましても、かりに物資があつてもなくてもとにかく全面的に取調べまして、御期待に副うようにできるだけの努力はいたしたい。また實際に警察といたしましては努力している状態なのであります。現在栃木縣で取調べ中のものは、當時たくさんありましたタンニン劑、繊維、皮革というようなものにつきまして徹底的な捜査をいたしております。計畫的にこれを調べまして、順次全般に及ぼしたいと考えておるわけであります。なお今まで隱匿物資が全然出ないということは、まことに申譯ない次第であります。相當の量はわれわれとしても出しておるつもりであります。全般的に集計したのを見ますと、必ずしも多い數字ではありませんが、警察だけで檢擧し、摘發いたした數は栃木縣だけでも相當の數に上つております。全國的に見ますと相當莫大な量に上つておるのではないかと考えております。今後も引續いて一層努力いたしたいというふうに考えております。
#120
○加藤委員長 本多君の質問に對する花岡檢事の答辯を求めます。
#121
○花岡證人 私どもは一月二十日、二十一日の二日間にわたりまして出まして、一應封印した數量を全部隱匿物資であるというように報告されたのではないかと想像するのでありますが、これはまことにどうかと思うのであります。私どもが行きまして、あそこにはドラムカンが三十本あるとか、六十本あるとか言われたのが全然なかつた所があります。またあそこは砂糖が何十俵あるかと言われておる所へ行つてみると、全然ない所があります。また米が百俵ぐらいあるという所に行つてみると、一俵もなかつた。この米百俵と言われた所は、私どもははじめ裁判所、檢事局から來たのかと疑われまして、非常に閉口したことがありました。それは前にもさようなことを言つて來た人がある。それであなた方をただちに信用することはできません、と言つて、一應疑つたこともありました。そこで米百俵があるからというので、くまなく探したのでありますが、一俵もなかつたかという所がありました。またドラムカンが二百カンぐらい埋藏してあるという情報に基きまして、そこへ行つて探してみましたところが、空カンは相當たくさんあるが、中に配給のドラムカンが二十數本あつただけである。土をちよいちよいあつちこつち掘つて見たが、埋没してあるような形跡は全然なかつたというような事實が相當たくさんありまして、一緒に行きました判事とともに、何か狐につままれたような非常に奇異なる感じを抱きまして、苦笑したような事實さえあつたのであります。從つて一應封印した品物を全部隱匿物資であるというふうに報告されたとすれば、まことにこれはどうかと思いまして私どもは何ら職務上遺憾な點はないと考えております。また終戰後すでに一年半を經過し、あるいは隱匿物資等緊急措置令が發布されまして一年を經過した本年の一月ごろ、すでにそんな品物がたくさんあるはずはないであろうということを一應想像されたのでありますが、行つてみましてくまなく捜索しました結果、ただいま申したような結果に至りまして、當初の豫想通り、ははあなるほどというような感じがしたのであります。從つて私どもは職務上何ら遺憾の點はないと考えております。
#122
○本多委員 職務上遺憾の點がないと考えておられるかどうかということを私は聽いたのではなく、國民一般の常識を納得させることが、今日までの結果ではできないと思うがどうかということをお伺いしたのでありますが、期待するような御證言は得られないと思いますから、私のこの點に對する質問は打切ります。
#123
○加藤委員長 さつきの中野君の繼續がまだ殘つておりますから中野君。
#124
○中野(四)委員 私が伺おうと思つた點いささか本田君が觸れておられますから、續いて今のお話に關連して伺いたい。經濟防犯課長の手もとにありまする今のお手紙ですが、これは信頼のできる人からよこした手紙であるかどうかということと、その手紙を入手した經路をひとつ御説明願いたいと思うのです。
#125
○森證人 その手紙は本人から私直接見せていただいたわけではないのでありまして、たまたま内務省で本人から見せられたものをタイプにいたしまして、それを私の方で見せていただいたに過ぎないのであります。
#126
○中野(四)委員 世耕さんあての手紙を本人があなたに示すというのは少し變に感じるのですが、それはどういうわけですか。内務省から聽いたのですか。
#127
○森證人 そうです。
#128
○中野(四)委員 そこで私は伺いたい。最高裁判所の判事までしていらつしやる塚崎さんが隱匿物資に關して五十萬圓の辯護料を要求するというのは穏やかならぬことですが、これは事實上信頼ができるとあなたはお思いになるのですかどうですか、聽かしていただきたいと思います。
#129
○森證人 信頼ができるかどうかは別問題といたしまして、ただ本人から出たというような程度で、もちろん濱田先生がそういうようなことをなさる御人口でもないと思いますが、そういうようなことがあつた。それはいろいろ核心に觸れておりますから、一應參考までに……。
#130
○中野(四)委員 この點に關して世耕さんあるいは濱田さんから何か適當な御釋明があるはずだと思いますが……。
#131
○濱田證人 私は聲を大にして、私のためのみならず塚崎先生のために申し止げなければならぬ。私から率直に言えば、この手紙をただいま御質問のごとくこういう席で讀まれること自體がまつたく荒唐無稽な事實を針小棒大に書いて言つていることは間違いないと思います。その事由は彼は大詐欺師なんです。一例を申しますならば私がちようどこの指令書をもらいました晩に、私は間島という人を知つたのは指令書をもらつた前日なんです。そうして宇都宮に參りますについていろいろ打合せをいたしました。當時塚崎先生は會長の選擧で打合せがつかなかつた。そこで夕方私の知り合いのところに行きまして三人で食事をした。その食事の金額が二千三百圓かかつた。ところが彼は私らと一緒に飯を食つたということにかこつけて、山形縣の農會から一萬八千圓でいつたか、とにかく厖大な金をせしめたということを山形縣の一緒に來た人から聽いた、彼は容易ならぬ人物で、世耕氏の惡口を言う。しかも安本なんかへ行つて意見を言いまくつているということを聽いたものですから、安本に彼を呼びつけて、君いいかげんなことを言つちやいかん。われわれが君に對して報酬を五十萬圓要求するなんて何事だ。君は第一飯を食つた金も拂つていないじやないか、にもかかわらず君は一萬何千圓山形縣からとつたということは不都合じやないか、拂えというので、私は彼から飯の代金を七百圓ばかり、三人の分擔ですが、私がとつたのではなく小林という料理屋の名前でとつて拂つた。そうして將來、彼は人の信用を傷つけることをやるやつだということを看取したものですから、念のためにわけ前をとつている。その一事によつても御承知願いたい。のみならず世耕氏の私は辯明をする必要はないのですが、おのずから事實が證明するのですが、世耕氏とも飯を食つたということで莫大な金を山形縣からとつているということを聽いた。私は永年私のところに來ている老人がありまして、その老人が間島と一緒に來た。その老人の名は失念しましたが、その人もあれは不都合なやつだというので後に非常に憤慨している事實がある。私はこの件がここに皆さんの前で公開されるというに至つて、むしろ何のためにされるか、私はその理由が那邊にあるかを解するに苦しむ。斷じて私どもや塚崎先生にして、そういうふうな皆さんのお聽きになるような不當なる報酬をよこせと要求した事實はない。塚崎先生は當時會長選擧に立つておられた。しかしあの人は金持なんで、間島などに金を出せと言う人では斷じてありません。それは私ら兩人をよく皆さんが御調査くださればおのずから分るわけであります。ここに間島などと比較されること自體が汚らわしいと申して差支えないと思います。
#132
○中野(四)委員 權威ある國會での證言でありますから、もしこれが最高裁判所の判事であり、しかも熱情をもつて國家のためにお働きになつた塚崎氏や、濱田證人の體面あるいは信用を汚す場面があれば當然これはただいまの御證言に基いても告訴等をなさるのが私はあたりまえだと思う。そうされることによつてすべてのものが明朗化されていくと私は考えるのであります。
 さらにもう一點伺いたいことは、船岡君は世耕さんのところへ行かれたときに世耕さんから大變叱責されて、もし君は品物がないようなことがあつたらどうするかと言つたときに、神明に誓つてもさような不都合なことはしませんと血書血判をされていかれたということでありまするが、その事實がありまするか、もしありとすれば血書血判の内容はいかなる内容であつたか御説明が願いたいと思うのであります。
#133
○花岡證人 まつたく今お話のあつたように、私は品物がなければ云々と、こういうふうな血書までして世耕政務次官の手もとまで出したような次第であります。それに關して今一度お話し申し上げたいのは、檢事局が封印を取除いた。それについてわれわれはどんなふうに感ずるか、このことについて私が少し申し上げれば、檢事管が大體この摘發に乘出したそもそもの原因を考えていくならば、一月の十八日宇都宮檢事局では栃木縣商工課特殊物件課の人たちを呼び集めていろいろ調査したところが、特殊物件においてではすでに處理濟みである。しかしながらまだ處理濟みでないものが三割程度殘つている。ほとんど處理濟みであるから、あるならばほとんど隱匿物資である。こういうふうな物件課の人々の言が檢事局で調査に乘出した一つの原因ともなつており、また品物があるならば、ほとんど隱匿だと封印してしまう。こういうふうな檢事局の意向でありましたが、ここまで來るのにも、寒い日に寒風の中を三日間心證を得るために、事實品物があるかどうか。摘發に使用しておる人間たちが非常に惡人だということがはたして眞實であるかどうかということを確めるために、三日間も檢事局の名前も出さずにおいて、心證を得て初めていよいよ間違いなく品物がある、こういう確信を抱いて、さらに檢事局の調べ室において全員を呼び集められて、一人ずつ調書をとられた。その中において先ほど森經濟防犯課長からお話のあつたように、井上登、これは非常な惡人で、今も刑に服しておりますが、お前たちは眞實にこれを見たのか、あるいはどこから聞いてきたのかどうだ、こういうふうに非常に追究せられたところ、われわれは事實どろぼうにもはいつてその品物を見ておるのである。倉庫まで破つてその品物があることを見ておるのだ。私たちは非常に申譯ない。今までしておる罪には服するけれども、品物は絶對にある。こういうふうな言で、檢事局は、お前たちがそれほどはだかになつてやるのならばこの言け間違いないだろう。こういうことで再三再四の調査を終つてからこの行動を起して、檢事局は調査せられたのであります。だから封印せられた後に私は首席檢事と再三折衝をして、なお次席檢事は、お前たち中央から來る處理はいつ來るのか、早くやつてもらわなければわれわれの方は困る。一日も早く中央から來て處理をしてくれ。こういうふうな言を何囘となく私に吐かれた。だから私は中央の方に對して、再三再四早く處理してもらうように連絡をしたのですけれども、どこに連絡の不備があつたか、とにかく來られなかつた。あの當時中央から正式な書類をもつて、あるいは處理の方法をもつてこられておつたならば、中央からの拂下指令書の通りに品物はあつただろうと、私たちは濱田辯護士を恨みもし、また世耕氏に對しても私はその手ぬるいやり方を恨みます。なぜならばわれわれは相當國家的な見地に立つてやりましたけれども、その間において相當に身命を賭して、あるいは苦しい思いをしてやつたことについて、濱田辯護士その他の人たちの熱意が足りないがために、こうなふうになつておるのだと私たちは今思つております。なお濱田辯護士たちが指令書をもつていかれたときに、中村達三郎氏の家の品物はまだ進駐軍の方のものである。だからそのままになつておる。こういうふうな特殊物件課のお話でありましたけれども、そのことはすでに一月二十三日の十一時、中村達三郎の家からトラツクど半革製品が搬出されておる。これはだれが見たかというと、匹田というものが見ております。前日拂下指令書をもつていつて、中村達三郎の家の品物は……。
#134
○中野(四)委員 委員長、質問の趣意と違うから御注意願いたい。質問の趣意だけで結構です。
#135
○加藤委員長 御發言中でありますが、質問された趣旨に沿つてお答えを願いたいと思います。
#136
○中野(四)委員 血書の内容だけでよい。
#137
○船岡證人 血書の内容については今私は忘れておりますけれども、その書類は必ずどこかにあると私は信じております。
#138
○清澤委員 今のところを繼續してやつてもらいたいと思います。重要なところだから切らないで續けてもらいたい。
#139
○加藤委員長 それでは中野委員の發言は發言として、それに關連して今の匹田某が見たというその繼續をやつていただきます。
#140
○船岡證人 このようにトラツク一臺で半革製品が出たということを私は高橋檢事に申し上げた。そんなはずはない、ひも類は出してあるけれども半革製品は出した覺えはない。ひも類をなぜ出したか。拂下指令書を持つていつたときに、特殊物件課では、この品物はまだ連合軍のものである、こういうふうに言明しておるのに、檢事局の方ではひも類をもう出さしてある。どこかに不正があるからこういうふうなひも類を出してある。また最近に行けば、連合軍の品物であるからまだそのままになつておる、こういうふうな縣の言い分である。ひも類ならばともかくも、半革製品まで出してある。私はそれを追究しましたけれども、よく調べてみる、こういうふうなお話でそのままに終りました。
#141
○中野(四)委員 私のお尋ねしたところをちよつと横にそれておるようですが……。
#142
○加藤委員長 ただいま血書はここへ出ておるそうです。今探しておりますからどうぞ。
#143
○中野(四)委員 そこで私は森經濟防犯課長に伺いたいのですが、これほど事態がはつきりしておつて、あなたの方で勝手に解封されたのですか。あなたの方から御説明を聽けば、檢事局の方の依命でやつたのがあり、檢事局のやつたのもある。ただここに世耕さんの證言としてあなたにおいで願つた目的は、解封されてからすぐ移動されてしまつた。こういうことは驚くべきことである。しかも世耕さんには全然斷つてないのはけしからんというのが世耕さんの説明の要旨であつたのです。そこで一體何がゆえに解封されると同時に移動してしまつたのか。この點を一つ御説明願いたいと思います。
#144
○森證人 今の御質問にお答えいたします。先ほど申し上げましたように、封印いたしましたのは判事がやつたのです。われわれは當初お話いたしましたようにただ立會つただけでありまして、實際の内容の檢査であるとか、取調べとか、そういうものは全部檢事局がやつたのです。ただ物の性質等につきましては、先ほどもちよつとお答えいたしましたように警察が檢事局の命によつてやつたものもあります。封印の解除も警察が單獨でやつたのでなく、檢事局が直接やつたもの、あるいは檢事局の命によつてやつたのもあるわけであります。從つてわれわれは世耕副委員長からの指令は一切受けておりません。單に檢事局の命によつてやつておるわけでありまして、それ以外にその當時われわれの方に世耕副委員長の方から書面も參つておりませんし、また口頭の、あるいは電話等の指令も全然參つてないわけであります。單に檢事局の指令によつて檢事局の命のままに動いた。從つて物資についても私たちの方で單獨に警察側が解除したのでなく、檢事局の方でこれを解除いたしまして、隱匿物資でもなければ、また隱匿物資に絡むいろいろな違反物資でもないということがはつきりいたしまして解除したということで、移動も許されたというふうに解釋いたしております。したがつて、縣のそれぞれの配給計畫によりまして當然出すべきものは出したというふうに考えております。
#145
○中野(四)委員 もう一點だけ、先ほどあなたのお讀みになつた手紙の中から、塚崎さんあるいは濱田さんの方からこれに對しては相當な處置があると思いますが、ここにゆるがせにしてはならぬ問題が一つありますのは、同じく三十日の世耕さんの發言の中で、内容は新聞等によつてごらんになつたかどうか知れませんが、ごらんになつてないといけませんから、一應ここでお讀みいたします。「ところが不良官僚のかたまりとも言うような感を呈するところの(この點は後に取消されておりますが)某府縣のごときは、足一歩入れることができないというような状態であります。」こういうのであります。いわゆる惡質な官僚、不良官僚のかたまりがあつて、そうして栃木縣というところは足一歩も入れることができないというような状態にあつて、これに對しては非常に困つた。この點については「やがて委員長の許可を得まして生々しい證人をここに出席を求めて、皆さんの御質問に答える機會があろう」というふうに證言しておられるのであります。先ほど來あなたの方の御證言を聽き、あるいは濱田證人、あるいは船岡證人の證言を聽きますと、結論といたしましては何となく私どもには水掛論的に聞えるのであります。しかしながら先刻來の手紙のような事實がもし私の方にあつたとすれば、これはゆゆしき重大な問題であります。同時に世耕ざんをして國會の委員會においてこのような發言をせしめるというようなこともまた容易ならぬことでありますから、もしあなた方がほんとうにこれをお認めになるならばとにかく、お認めにならぬというならば、世耕委員をあなた方の方で適當に處置する意思があるかどうか、この點を聽いておきたいのであります。
#146
○森證人 質問がたいへんむずかしくなりました。先ほどの手紙の問題につきましては、一應その手紙は本人から出したものでありますので……ただ氣持といたしましては、結局栃木縣に對する指令第一號というものが非常に全國的に大きな影響をもつております。この指令が出ましたためにいろいろな拂下運動が――もちろん直接そのためではないて思いますが、全國的に行われた。またこれによつて非常に向うの人がひどい目に會つたという事實だけは爭えないのでありまして、そういうような意味から一應農業會であるとか、被害の對象になつておるものがそのために迷惑したというような一例で、私が申し上げる氣持、あるいは私の申し上げようとしましたところは、いわゆる情報者の言を餘りに信じ過ぎて警察をいたずらに不信な態度で扱われたために、いろいろな問題がかえつて反對的な結果を來した。警察といたしましてはもちろん力が足らなかつたといいますか、そういうような點で拔本的な取締ができていないうらみはあるのでありますが、警察は警察としてできるだけの努力はいたしております。決して巷間言われておりますように、それを邪魔しておるようなことはないのであります。たとえば栃木縣に例をとつてみましても、私が栃木縣の經濟防犯課長に就任して以來、そういうような事件は一度もない――一囘だけあります。というのはこれは一月二十日、二十一日に船岡さんの方の關係で檢事局が調査いたしましたその翌日であつたか、あるいは翌々日であつたかわかりませんが、市川市の喜正商會の神崎正といふうな名前であつたと記憶しておりますが、同じ場所についてさらに摘發の申入れをいたしまして、警察がこれに協力してくれというようなお話があつたわけであります。その場合には二十日、二十一日にわたつて檢事局が中心になつてこの通り摘發してまわつた。ここにはもうすでに判事も行つておるし、疑いはあるかないか後日の問題といたしまして摘發する必要はない。從つて一緒に摘發にまわるというような御協力をすることはできませんといつて斷つたことはあります。先ほど船岡さんからお話がありました途中でトラツクを止められたというようなことが、實は今初めて聞いたのでありますが、おそらくこれは刑事が關係して、非常に敏感になつておりまして、特に井上關係になりますと、豫想以上に刑事關係としては敏感な動きをいつも注意しておつたわけであります。そういうために自動車を止めたようなことがあつたかもしれません。ただ私が參ります前にいろいろの事件について聽いてみますと、たとえば摘發に來た人を檢擧した事例まあります。しかしこれは情報を提供しに來たために檢擧したのではなくて、單獨に警察に出てこずに、商工事務官というような名刺をつくりまして、商工課を調べ、あるいは宇都宮周邊の各會社を歩きまして、隱匿物資を調査すると稱して調べてまわりまして、しかも詐欺をやろうとする、あるいは無料宿泊をしたり、無料飲食をしたというような關係で、宇都宮署で檢擧した例はございます。それ以外にはほとんどないのでありますが、今申し上げましたように同じ場所を六囘も七囘も、あるいは十何囘もやるというような場合には、その間の事情をよく説明いたしまして斷つた場合もあります。また情報提供者には非常にいい人もありますが、惡い人もたくさんあるわけであります。栃木縣だけの事例を見ましても、あるいはばくちうちの子分であるとか、あるいは詐欺常習犯であるとか、警察のいつも監視していなければならないような情報提供者が非常に多いのであります。そういうような者が來ました場合は、もちろん拒否しておる場合も中にはあるわけであります。ただ警察といたしましては情報の提供をほんとうに正しい氣持でやつてくれた場合には、これは非常に感激をいたしまして、内務省におきましても、先ほどもお話がありましたように、とにかく間違いを起さない、ほんとうに正規の、正しい氣持で摘發に行くんだというような證明のしるしとしまして、内務省の防犯課長あるいは係員から紹介状も來ました。そうして各府縣の經濟防犯課に、あるいは警察署に持つて行つて協力を求めたいというようなことになつておるのであります。そういうものを持つて來た場合にはもちろん全面的にいたしているのであります。非常にいそがしい場合は別でありますが、そういうようなことをしておるわけであります。ただ巷間いろいろなことが傳わるのでありますが、それが針小棒大に傳わる場合があります。最近の事例を申しますならば、經濟安定本部から摘發隊が隱匿物資の調査に參られました時分に、氏家で武装警察官に包圍された事件があります。それも栃木縣の一つの妨害行為だというようなことを報告せられておるようであります。それで内務省からそういう事實があつたかどうかというような調査の電話を受けたのであります、實際の實情を調べてみますと、その家だつたか、あるいはその近所だつたかわかりませんが、強盗傷人事件が起りました。實際に怪我をしておる。また實際物を盗まれておる。そのときの状況を見ますと、こう言つては失禮でありますが、そのときの安本の方の服装が比較的惡かつたということと、そういう事件のあつた直後でもあり、安本といいましても地方ではよくわかつておりません。それでただそこにありました巡査部長派出所にそこの息子さんが訴えて出た。たまたまその強盗傷人事件の捜査に來ておりましたその所轄署の司法主任と刑事が強盗だというような話で、武装をして行きましたら、安本の方だということがわかつたので當然ただちにお歸ししたのであります。
#147
○中野(四)委員 お尋ねの趣旨が違う。私が聽き方が惡かつたかもしれぬ。あなたの方のお話を聽いておりますと一向惡いところはない。職務を滿足に遂行したのだ、こう御證言になつていらつしやる、國會の委員會で世耕さんが強い意思表示をしておられるところでは、某府縣というのですから、それは栃木縣のことです。足一本もいれることができないというような状態である。こういうことについての證據は生ま生ましい證人を出席させるということを言つておられる。あなたの方にそういう事實がないというならば、國會でそういうふうなことをば國會の代議士たる世耕さんが天下に聲明することはけしからぬ。こういうことに對してあなたの方は告訴するだけの自信があるかどうかということをお尋ねしたのであります。
#148
○加藤委員長 その點について中野君に申し上げます。憲法五十一條には、「兩議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はせない。」という規定がありますので、院内における議員の發言はすべて院内において懲罰事犯を構成することはありましても、院外において責任を問われることはありませんから、この點お含みおきを願います。
 それから先程船岡君の血書血判というのはこういう文句であります。
 「降霜凛烈、下野ヲ覆フ秋、隱退藏物資ヲ囘リ世人躍リ官憲之ニ從ツテ走ル
  斯クスルハ徒ニ罪状ヲ重積スルニ過ギズ、宜シク白日ノ下ニ晒シ瞬刻モ早ク物資ヲ活用サルハ、國家ノ恩惠ニ浴スルモノト確信ス、何率之ガ調査ヲ與へラレンコトヲ願望シマス
  先生及先輩方々ニ迷惑及バンカ、不肖、私ガ生命ヲ捧ゲテ萬全ヲ期スコトヲ誓約シマス
   昭和二十一年十二月二十一日
          船岡 壽信」
というのが血書で、これに血判がしてあります。宛名は三浦先生となつております。三浦先生というのは船岡君の先輩で、この三浦という人が世耕君に船岡君を紹介したのだそうであります。
#149
○中野(四)委員 私の尋ねしたのは、あなたがこれほど言われても、實際上においてあなたの方で疑われて、これを反撥し得るだけの自信があるかどうかということを伺かつたのであります。それくらいの決意があるかということを森さんに聽いたのであります。それから先ほどの三浦さんというのは三浦どなたですか。
#150
○森證人 三浦義一という人です。今の點についてお答えいたします。昨年の事實につきまして私の聞いた範圍内においては、そういうようなことはなかつたように聞いております。しかし在任中のことでありませんので、責任を負つてどうこうということは申し上げられませんが、恐らくそういうようなことはないと確信しております、ただ私が栃木縣へ參りまして以後は絶對にないと確信いたしております。
#151
○加藤委員長 中野君よろしゆうございますか。世耕君。
#152
○世耕弘一君 本日は私發言しないつもりでありましたが、一身上にかかわることだから發言のお許しを願いたいと思います。私に宛てた手紙を長々と、今課長さんがお讀みになりましたが、實はまつたく意外に感ずるのであります。私はさような手紙を受取つた覺えはないのであります。なおまたこれは何かの考え違いじやないかと思うことは、もし私にそういう手紙を書かれているとするならば、それを發表する前に、親書であるから私なり、委員長に一應お諮りの上なされるが道だと私は思うのであります。しからざる限り私の研究した範圍では、親書の祕密をあなたが破つた結果になると思います。その責任をあなたが負わなければならぬのではないか。しかしせつかく隱退藏物資の眞相をこの委員會に發表していただくために出てきてくださつたあなた方に、もし告訴問題が起るのどうのということになると、次に出てくださる證人の方が恐れをなして、ほんとうの眞相を衝いてくださる方がなかろうと思いますので、これは一應取下げられたらどうですか、こう私はお願いする。しかしその直相については私はあらためて詳しく説明いたします。――今簡單にというお話があつたから詳しいことは申しません。
 なぜ山形縣の拂下げを先にしたのかというと、御承知の通りよその縣は一一〇%米を供出したのにもかかわらず、山形縣は私のタツチいたしましたときは五〇%しか出ていなかつた。そこで關係廳と相談して、どうしたらよいか、こういう問題が起つた。農林大臣及び内務大臣等は、もう強權を發動するよりしかたがない、強引にやるということが議場で話された。私はその話を聽くと同時に閣僚の部屋にはいりました。強權發動はきわめて簡單だ、簡單であるけれども、百姓は怒つて來年米をつくりませんぞ、そのことを考慮に入れてなさるのか。場合によつては軍隊を出動して百姓をしばり上げるというような向きのことを論ぜられた方があつたようであります。私はそれを憂えました。純朴な農民にさようなできごとか起ることは農家にとつて非常に不詳事である。ゆえに私はそれを待つてください、とにかく栃木縣に隱匿退藏物資があると私は確信する。すでに檢事局の出動を仰いで押えてもらつたのがある。一應それを引充てて出せば今差當つて、二、三百萬石が間に合うじやないかと言うと、そういういいことがあればそれは差支えない。かような話で商工大臣、内務大臣、大藏大臣、また農林大臣にも連絡をとつていわゆる指令第一號というものを至急こしらえた。それは關係閣僚全部承諾の上でやつたのであります。なぜ事務的の手續をとらぬかという御非難があるかもしれぬ。しかし事務的の手續をとれは一週間も二週間もかかるのである。その間すでに東京は當時二十日の缺配でありました。まさに三月危機が叫ばれゼネラル・ストライキが起らんとする状態であつた。私は數囘にわたつて政府に建白書を出した。今日の缺配は斷食じやないか、一大不詳事が必ず起るということが豫想できる。この際の食糧對策は何かと叫んだその後であります。さつそく關東十縣の農業會關係の方々を呼んでいただいて、何とかひとつみんなやつてくれと言うたところ、それではその隱退藏物資の一部を報奬物資でくれるなら出しましようという話であつた。それなら君らはこれまでの實績をひとつ見せてくれと言いましたところ、山形縣は當時五〇%しか出ていなかつた。それで私は怒つた。よその縣では一一〇%出るのに山形縣に五〇%で報奬物資をくれては蟲が少しよすぎるじやないか、こういう話だつた。それから司令部に相談に行きましたところ、先ほどどなたがおつしやつたごとくに、よその方は一一〇%出している。しかるに出していない山形縣に報奬物資を先にやることは不都合ではないかという非難を私は受けました。これはもつともだと思う。けれども不都合の埋合せはやがて次の物資でする。とにかく出してない殘りの五〇%を出させるには理窟や文句ではない。米をどういうふうにして早く缺配の都市に送るかというのが私の政治家としての強い感じでありました。それでやつたことなのであります。それがために、あの栃木縣にある品物がはたして現在あるかどうかということをまず君らが行つて調べてくれ、品物があつたらそれを買付け得るようにしておいてくれ、値段は政府に相談してあとで勘定してもらうようにしたらいいじやないか、なお間違いの起らぬように塚崎、濱田兩辯護士について行つていただく、なおこの書類については宇都宮檢事局の立會のもとにしてくれということまでちやんと指令書に書き加えてやつたような次第であります。さようなわけで私は今のような手紙をもらう筋合のものがなかつた。しかも私が選擧に立ちまするときが七日の晩だつたが、先生にいろいろお世話になつた、何とか陳中お見舞をしたいか、ということを十名ありまの人が私に言われたが、僕の微力にかかわらず君らが好意を示してくださつたということはありがたい、しかし僕は金をいただくよりも、君らにその感激があつたら、僕に報いると思つて一升でも餘計親身に米を出してやつてくれぬかということをはつきり私は申し上げたつもりである。さようなことで今のような手紙を私の了解を得ずしてあなた自身がこの席上げ出されるということは、紳士としてとるべき態度じやなかつたと私は思う。けれどもこの慣れない場所に來ていろいろな質問をされると、往々にして興奮なさることがあるだろうと思うから、私はあえてあなたを責めようとはしませんが、このところは少し手落があつたのじやないか、かように私は遺憾に思うのであります。
 ほかのことは長くなるから申しませんが、さようなわけでなお各地の隱退蔵物資の問題でかれこれ言われておりますが、これも委員長のところに證據がみな出ております。倉庫會社竝びに檢事正を通じて公文書がはいつているのでございます。私がうそを言うているか言うていないかということは、この公文書を御一覽くださればわかることであります。故意に私はからくりをやつたり金もうけをしたり、あるいは周圍から非難されるようなことは、失禮な言分でありますけれども爪の垢ほどもいたしておりません。どうぞ御了解願います。
#153
○武藤(運)委員 本日の問題も大分微に入り細をうがつてまいりましたが、當委員會における隱退藏物資に關しての世耕さんの陳述を一貫するテーマは、隱退藏物資はまだある、しかし官僚がその摘發のじやまをしているから出ないのだというところにあるように考えます。しかるにその例としまして世耕さんは目白の水あめの問題、きようの栃木縣の問題、いずれも官僚がじやまをして出なくなつたのだということであります。それからまた世耕さんが知らないうちに首を切られてしまつたということも、やはりその一つの例證としてあげられております。そこで前會以來水あめの問題や、きようの問題を取調べることになつてまいつたのでありますが、私どもが聞いておりますと、前會の水あめの問題につきましても目白署の有田前署長、それから警視廳の小杉前生活課長、そういう人たちの辯明がいかにも理路整然としておる。またきようの檢事さんや森課長の話も形式上論理的に筋が通つておる。そこで世耕さんの言われることの方が何か證據の上では言過ぎておるのではないか。世耕さんは今までのテーマを變更しなければならない、あるいはまたさらに立證しなければならないような立場に立つておられるのではないかということを感ずるのであります。しかしそうかといつて、私どもは花岡檢事や森課長兩氏が言われる通り、それほど官僚が隱退藏物資の摘發に協力しているというような印象を受けない。今中野君の言われました通り水かけ論のような感じをもつておる。ここで私はひとつあらためて世耕さんに、今まで當委員會で述べられた世耕さんの陳述は從來通り何ら變更をすべきものはないのであるかどうか、ないとすればさらに辯明または立證を必要とするのではないかということを結論として伺いたいと思います。
#154
○世耕弘一君 隱退藏物資等處理委員會ということが、私の仕事をしていた委員會であります。隱退藏物資等ということは遊休物資がはいつておるのであります。隱退藏物資がだんだん手がこんで、判一つでそれが遊休物資にかわりつつある。そこに脱法行為があるのであります。私の言う官僚がここに誠意をもつて當つてくれたら五百億のいわゆる今日で言えば遊休物資は、一箇月を出でずして出るという確信を今もつてもつております。なおその五百億の遊休物資の根據というものは、皆さんのお手もとから政府に要求された書類が全部ここに出されて、それをごらんくださつたならば明瞭になるのです。私はそのとき初めて發言を求めても少しも遅くないと、かような思います。重ねて申しますが、官僚が眞に時局を認識してこの隱退藏物資、遊休物資等の處理に誠意を傾けるならば、一箇月で五百億は出るものなりという確信はいまなおもつております。かようにお答えいたします。
#155
○吉田(安)委員 私はごく簡單ですが、森證人に一言お尋ねいたします。さつきお讀上げになりました例の世耕さんに關する手紙がはしなくも問題になつたようですが、この手紙は内務省にあつたものを防犯課長が見せてもらつた、こういうことであつたようですが、一體誰から内務省にあつたものを見せていただかれたか。その點をお尋ねいたします。
#156
○森證人 大分いろいろ問題になりまして申譯ございません。一應お斷りいたしますが、實はそういうふうな深い意味で言つたわけではありませんで、たまたまあの手紙が手にはいりましたので、特に山形縣に、隱匿物資がないにかかわらず出すというふうな問題で、私たちも非常にそういうような副委員長を欺瞞しているというようなやり方に對して憤慨していたわけです。それでたまたま本人から出たというようなことから一應出したのでありますが、少し輕率であつたと思います。一應お謝まりいたします。なお今の問題は、内務省の隱匿物資の係をやつております上田事務官から受取つたのであります。
#157
○吉田(安)委員 そうすると、それをあなたはタイプされたというわけですね。現物じやないでしよう。
#158
○森證人 ちようどありましたタイプされたものをもらつたわけです。
#159
○吉田(安)委員 そうするとたくさんそれがタイプしてあつたのですか。
#160
○森證人 そうではありません。
#161
○加藤委員長 私語を禁じます。
#162
○吉田(安)委員 一枚あつたものをもらつてこられた。それはどういう必要があつてもらつてこられたのですか。たつた一枚しかなかつたのですか、もらつてこられた眞意をお尋ねいたします。
#163
○森證人 私が見ましたのは一部だけでありまして、その以外にタイプでありますからあるいは二、三枚あつたかもしれません。その點はわかりません。ただしかしもつてきました眞意は別にありませんが、非常にこの問題をめぐつて、私たち警察として不正が行われているのじないかというような考え方のもとに、本人の提出したものだというような話だつたものですから、一應參考として讀上げたわけであります。
#164
○石田(一)委員 私は何だかこの會の目的が、だんだん横へそれてきているような氣持がいたします。官僚を衝こうとする人があるし、そうかと思うと先だつてあたりは今後の摘發物資の管理を人民管理に移そうとする人があるし、かと思うと官僚とともに政界の肅正をしようという人もあるし、目的が違つてだんだん離れていくようであります。ただいま世耕氏が自分のことに關してでありながら、これは一應御考慮になつてはいかがと、手紙の件について森證人に申出があつたようであります。まことに私は感激しております。森證人は先ほど井上登なるものが前科者であり、窃盗の前科がある。集團強盗などやつた者であつて、そういう者の情報には何ら信がおけないことは當識でもわかるとみずからおつしやつておるその口で、濱田證人の答辯を聞くと、ただいまの手紙の差出人の間島なるものは、手のつけられない詐欺漢だそうである。そんな手紙が信をおけないことも事實であります。そんなことでありますと、先ほど世耕氏がおつしやつたように、こういう場におなれにならない森氏がまず世耕氏に關係した手紙をどういう目的でお讀みになつたか。また今すでに最高裁判所の判事になつていらつしやる方に關するこういう重大な文書を御發表になつたということは、まことに重大な問題が惹起されるのではないかと思います。この點委員長は善處されまして、ぜひ當委員會の名譽のためにも、こうしたことに拘泥することなく、議事を進めるために委員長から森證人にお取計らいの上、ただいまの手紙を一應撤囘されるとか何とか方法があるならば、非常に議事も進行するのではないかと私は考えますが、いかがでございましようか。
#165
○加藤委員長 今の石田君の御發言に對して委員長としてお答えします。本委員會の目的はしばしば繰返されておる通りでありまして、みじんも間違つておりません。どんなに枝葉をさして言つても、必ず遊休物資、終戰當時以來の物の行方を追究して、ある物を白日にさらす。これがこの委員會の使命であります。この使命を達する上にどんな枝葉、どんな事件が起つても、それをでき御る限り追究して、これもまた明白にする。こういう趣旨でありますから、この點はみじんも間違つておりません。横迫にもそれておりません。はつきり申し上げます。
 さらにただいまの森證人から朗讀されました間島某から世耕君にあてたと稱する手紙は、議員の發言でありますれば、これは取消することもできますが、證人として證言の中に述べられたものでありまするから、これを抹殺することはできないのであります。
#166
○石田(一)委員長 その證人の發言は、速記録から取消すことができないというのは、國會法の何條にあるか、衆議院規則の何條にあるか、その根據を明示されたい。
#167
○加藤委員長 そうでありません。そういうことに對して何のために證言を求めるか。證人が一たび證言として述べたことが、途中で間違つておつたから、それは都合が惡いからやめるというようなことは、本委員會としては認めません。それでは石田君の提言を採擇するかどうかを採決に諮います。
#168
○石田(一)委員 そうしますと、前會の有田證人の證言の中に、最初の方は現場を見た結果の數を言つたと言い、その次には人に聞いたという二つの證言があるが、あなたは事實見たのがほんとうなのか、それとも見ないのがほんとうなのか、ここであなたの證言は議會における證言であるから、どちらにか意見を一致させなければ、重大な問題か起きますと、委員長は證人にわざわざ注意を促しておられる。それならば森證人が不用意にやつたというところに、こういう問題が起きるおそれがあるから、今後の證人のためにも、その機會を與えてやることは、われわれ議員が正當に審議を進める上においても、證人がまず心おきなくやる。こわがらずに言うことを一應言つて、これがいかんということがわかつたならば、それを削除する。そういう餘裕を與えておかなければ、證人は自由に發言することができなくなります。その點を善處されんことを望みます。
#169
○加藤委員長 今の石田君の御發言にお答えいたします。先般の有田證人の證言に對しては、水あめ問題に對する本委員會の報告を起草する場合に、あの言葉がそのまま出てくるのです。今日の森證人の證言も、そのまま報告書に出てくるのです。證人の證言がこの同じ議場において取消されるというようなことは、これは許さるべきものでありません。
#170
○清澤委員 昨日も、私の發言中から發言を求められて、そのあとでただちにいろいろ數字のことについて、檢事のようなことを問うがごときことは、はなはだけしからないというようなお話もあり、その語彙の使い方も非常に不穩當のところがあるから、そういうものをやつてはいけないと、同じ委員からある發言の範圍を制約するような提議があるのでありまして、きようもまた吉田議員のたまたま森證人に對する手紙の問題に質問に對しまして、取消すとか取消さぬとかいう、人の自由意思までも強制するがごとき言がたまたま出ます。私は本委員會に臨んでおる限りにおいては、あらゆる角度からおのおのが見た範圍で、あるいは數字でものを問おうと、あるいはとてつもない、隱匿物資に對しましてははなはだ縁遠いことをお問いたしているが、これはその人の感じであつて、それがどういうところへ落著くかは、必要があつて問うておるに違いないから、そういう人の意見をばかれこれと制壓することは、將來やめてもらいたい。こういうわけであります。もしそういうことが必要であるとすれば、委員長がこれを注意するか、もしくは委員長が氣がつかぬ場合には、動議にかけて、こけを決裁する。そういう方法をとつていただかなければ、われわれは將来發言するのに困ります。
#171
○加藤委員長 委員長はでき得る限り、皆さんの發言は最大漏らさず述べてもらう方針であります。ただ一時に數人の方が発言を求められたような場合は、だれが先であつたか、後であつたかということは、委員長の認定によつて決しまするから、もし萬一瞬間の爭いで、おれが先だとか、おれが後であつたとかいうようなことがあつた場合には、委員長の決定に從つていただきたい。今清澤君から言われましたような、あるいは形式的には多少問題の核心と縁遠いように思われても、結論がそこに行くと思われるような質疑に對しては、もちろん繼續してもらいます。ただ證人が證言を述べられる場合に、問題の筋から設然違つた發言をなされる場合には、これは委員長においてその發言を停止することがあります。なおそれが聽かれない場合には、退席を求めることもできまするが、しかしながら問題はできるだけ廣い角度から知らなければならぬのでありまして、そういう廣い範圍から知り得た結論を生み出すのが、本委員會の使命でありますから、從つて問題に關連する限りは、多少迂遠と思われる言葉であつても、全部これは聽くという雅量をもつてこの委員會は臨んでおります。この點御了承を願います。
#172
○野本委員 森さんにお伺いいたします。先ほどのお話を伺つておりますと、中央から出された指令に對して、縣において疑義が生じ、なおいろいろ考えた結果、それをほとんど握りつぶされたかのごときことに聽きとつたのでありますが、かような場合に中央に對して、この疑問とする點、納得のできないところを、ただちに打合せるような手續きをおとりになりましたか。
#173
○森證人 はつきりわかりませんので、もう一遍願います。
#174
○野本委員 先ほどのお話を聞いておると、中央からの指令に對して素直にそれを受取らなかつた。その疑問を生じた場合に、折返して照會するなり、打合せ協議をするような手順をおとりになりましたか。
#175
○森證人 あの指令に書いてありますように、縣と打合せして受取れというような筋合のものではないのでありまして、あの指令の内容にも、檢事局に打合せしてとなつております。たまたまと言いますが、縣にもそういう關係がありますからまわしたのであります。物資として縣が持つておるという形になつておりますので、縣が持つておるのであります。警察部といたしましては、その處理權はもちろんありませんから、これについて照會する必要もなかつたから照會しなかつた。ただ從來の解釋といたしましては、處理委員會には摘發についての權限はありますが、處理權はないというふうに確信いたしております。
#176
○野本委員 世耕さんにお伺いします。先ほど濱田さんや船岡さんのお話を伺つておりますると、首を長くして待つておりましたが、中央の機關がなかなか整備されないという點、むしろ憤慨されておるようでありますが、その機關の整備が荏苒として長い日子を要しました事情につきましてお伺いします。
#177
○世耕弘一君 お答えいたします。實は船岡君や濱田君から、早くあれを處理しないと、また盗まれたり、持出されて困る。摘發の目的を達しないからということを何囘も言うて來られたのと、それから檢事局からなるべく早く處理するように、本省の方で急いでくれということずけを數囘受けたということを承知しております。ところがあれを處理するのには、ちようど委員會ができて間もないことでありましたが、その細則を拵えるのになかなかめんどうであります。安本に持ちまわり、商工省に持ちまわり、内務省に持ちまわり、關係によつては農林省の方まで持ちまわる。あつちこつちひねくりまわしてやつと隱退藏の処理手續案というものができたのであります。それでかれこれ一箇月半か二箇月かかつたかと思ひますが、その處理ができないうちに、今のいわゆる強權發動で米を出すという問題が出てきたのであります。それでその手續をまつておつたんでは、二十日以上の都會の缺配がとても補えないものでありますから、そこで差當り山形には近い栃木の物資をまわそうではないか。まだあるだろうから一つ行つて調べてきてくれ。あつたら非常處置をやろう。こういうことをば閣僚に相談して、四閣僚の了解を得て實は非常處置をとつたのであります。このときにやはり事務的にいろいろの問題がありました。一々各省の判をとつてやらなければならぬという。君そんなことをしたら國民は餓死する。政務次官責任を負ひますか。よし問題があつたらおれが責任を負うということで、井上、川鍋兩事務官と大喧嘩をして實行したようなわけです。いかにも世相がそういうような状態であつたので、私としてはいらだつた氣持であつたことは事實であります。なおその時に山形の代表、その他全國農業會の代表が出てきました。結局山形は五〇%しか出てない。それでは困る。君らいわゆる報奬物資を請求するということはむしろ蟲がよすぎるではないか、こういうように言つたら、それじや一つ次官の顔を立てましようという。それじや顔を立ててくれ。そのかわり僕も君らの顔を立てるように努力するからというので、電報を地元へ打つてくれたはずです。地元へ電報を打つと同時に、人が行つて歸つてきたら、顔を立てて三百萬石出すことにきめておりますと言つたので、私はこれを聽いて喜びました。それじや君の顔を立てなければならぬ。商工省、農林省は報奬物資を約束しても、その十分の一もやつていない。そのときの表は委員長のところへきております。そういうふうに報奬物資がきておらないようなわけで、農村が怒つてやるのもむりもない。ぼくの方でもやろう。栃木は今のようにすかをくつた。それじや仕方がないから京都の方をやろうというので、京都の手配をしたのであります。ところが私はその報奬物資と供出米との關係で選擧區へ歸るのが一週間遲れた。實は尻がうずうずしている。けれども一事な食糧だから、何とかして微力ながら解決したいという私の氣持からかけ歩いた。そうして京都の分はたしかにある。しかもそれは隱匿物資という銘をうつて公文書でもらつた。間違いがない。これでまずいこう。しかしまた積出しに對しても官廳の人が協力しない。やあ手續だなんだといつて供米に支障をきたすかもわからぬから、甚だ殘念ではあるが、實は農業會の代表者を全部連れて、横濱の第八軍司令部へ行つて係の人に、實はこれこれこういうわけで供出米にあてたい。ついてはこの物資をあてるが、これは隱匿物資であるから、一應これを報奬物資として出す、御承認をしていただきたい。なお積出しに對しては障害の起らないように、M・Pの立會いを要求するということを陳情して、大體筋に乘りまして、これならいけるという見込がついたから、七日の日に横濱へ行つて、その晩に東京を立つて選擧區へ歸つた。こういうようないきさつであります。
#178
○野本委員 いろいろお話を伺つてみますると、事きわめて重大であり、しかも緊急を要する事柄に對しまして、最初からその官廳の内部に非協力的な動きがあつたのではないかと感じられる向きもあるのでありますが、この點についての御感想はいかがですか。
#179
○世耕弘一君 隱退藏物資の摘發については、官廳は協力的でありません。露骨に申しますと、隱退藏物資はないということが前提だ。私はあるという前提で出發した。今の栃木縣の問題でもそうでありますが、泰山鳴動してねずみ一匹いないと新聞に發表し、内務省に來て報告しております。その泰山鳴動してねずみ一匹おらなかつたところに、進駐軍が行つて品物を摘發させたことがあるはずであります。なお集團強盗が栃木縣に多いが、その集團強盗はどこをねらつて働いておるかというと、この機會に統計を見ていただけばその内容がわかると思います。なお私ははなはだ遺憾でありますが、聽き違いかもしれませんが、耳を疑うくらいであります。經濟防犯課の係長かあるいは主任が四人の集團強盗の大將となつて民家に押入つて、そのために現職の者が馘になつたという新聞を私は見ました。これは一端を現わすものである。なおまた最近においては、これは檢事の方も御承知だろうと思いますが、終戰當時革類約二千臺を東京に送つております。殘りの二千臺は栃木縣下のどこかに潛つてしまつた。そのときの輸送運賃が私の聽いておるところで二十五萬圓、これは特殊物件であります。東京方面へ皮革を二千臺、地元へ二千臺運んだことになつております。しかもこの運賃の代金二十五、六萬圓といつております。ところがこの運賃の代りにタンニン、鞣革に使う藥品であります。これを百七十トン、無償で縣の商工課が業者に拂下げております。これは時價にいたしまして少くとも百七十萬圓か二百萬圓する。目下これは宇都宮において訴訟中だということを七月十九日に宇都宮の某所から私の手もとへ情報がきております。なおまた縣の警察官の一部には、これに協力するということの助言をもちまして上京してきた者もあります。縣のいわゆる正義派の警察官、官吏が近く奮起するであろうということを私は期待しております。かような状況であります。
#180
○鍛冶委員 私もお聽きしたいのですが、今世耕さんの言われたそのことついて、そういう事實がありましようかどうか。森さん竝びに花岡さんからお聽きしたいと思います。
#181
○花岡證人 ちよつと今の點はどういう御趣旨だか、よく聽取りませんので……。
#182
○世耕弘一君 終戰當時皮革類が地元にトラツクで二千臺、東京方面に二千臺送つておる。この運賃の代金が二十五、六萬圓かかつておりますが、その運賃代金の代りとして、タンニンという鞣し藥品を百七十トン無償にて縣商工課より拂下げております。時價百七、八十萬圓のものであります。目下宇都宮で訴訟中ということを、七月十九日宇都宮の某所から報告を受けました。
#183
○森證人 今の問題は事實であります。内容について説明いたしますると――まずその前提として申し上げるますが、先ほど來申しますように、戰時中にそういうふうな不當處分をしたとか、横流しをしたとか、不法な拂下げをしたというものを徹底的なメスを入れるという考えでやつておるのでありますが、先般來そのメスを入れておるという事件が今の事件であります。現在私の課において取調べ中であります。内容を簡單に申しますと、當時タンニン劑が七百トン豐岡の被服廠にあつたわけです。これを引取ります際に、日本鞣材――これは統制機關でありますが、これに引取らすことが至當なのです。それで縣といたしましても、この當時の状況を調べてみますと、日本鞣材に對しまして、直ちに引取りするようにと言つたのでありますが、引取りに來なかつた。これはちようど終戰直後物資をむちやくちやに放出している時期でありましたので、あるいはいろいろ忙しいために、人手不足等のために來なかつたのだろうと思います。その場合に、いろいろ中央の方から通牒がありまして、もし統制機關が引取らなかつた場合には、縣内のそれぞれの機關に對して引取りを命ずることができるというような通牒があつたわけです。それに從いまして、縣に適當なものがなかつたために、製靴組合の連合會に對して引取りを命じた。ところが引取りにつきまして相當莫大な金がかかる。またタンニンは製靴組合では直接必要のないものであります。そういうような關係のために、引取りを斷つた。それをやむを得ず個人にこれを引取らした。これは二人でありますが、個人がこれを引取りまして、今市まで豐岡からもらつてまいりましたときに、日本鞣材からこれを日本鞣材に引渡してもらいたいということで、結局日本鞣材に結果としては引渡したのであります。ところが、その場合に、日本鞣材が、それに對する運搬賃とか保管賃とか、そういうものを金で支拂えばよかつたが、靴屋に対して現品で支給した。これを一割當初支給いたしまして、あとから百トンさらに代價として與えております。合計百七十二トンだつたと思いますが、これだけのものを靴屋にわたしているわけです。これは當時の引取料として二十五萬圓くらいであります。いろいろな費用を入れますと、約四十萬近くになつておると聞いております。調べた場合にはそういうふうになつております。それがあとで問題になりまして、隱匿物資等特別措置令が出て問題になるというので、日本鞣材からその靴屋へやつてまいりまして、前のものを返してもらいたいということを言つてきたらしい。それが、處理したのは昨年の二、三月ころであります。現在事件を調べて、初めてこういうことがわかつてきた。その當時もう横流ししておりまして、五十トンだけ返しまして、結局百二十二トンは全部横流ししてしまつたという事件であります。これを調べてみますと、その間に不當利得が約百萬圓近くあるわけであります。これを違反として立てるべくいろいろ調べました。ところが當時終戰後タンニンについての配給統制がなくなつつております。それから價格は、日本鞣材の價格しかない。あれは御承知の通り輸入品でありますので、交易營團が買う價格と、日本鞣材が買う價格と二つしかないために、價格も適用できない。やむを得ず私の方では暴利行為ということにいたしまして、現在この事件は大體終結をみているわけです。それと一緒に、この問題につきましては、これだけのものが不法利得されたということは許されないということで、税務署と連絡をとりまして、そのほとんど全部を税金として取立てることを税務署が今計畫實施することに大體なつておるわけであります。なほこの靴屋については、さらにそれに關連いたしまして、引取りする時分に、當然引取る權限もなく委託もされてない纖維品等も一緒にとつていることがわかつて、現在さらにそれを調査しております。なおそれに關連して、皮革の相當の違反がある。當時縣から割當てられた以外の皮を持つているというようなことも大體わかりまして、現物を調査すると一緒に、その面につきましても現在取調べ中でありますから、われわれはさういふものを隱蔽するということでなく、できるだけ摘發すべく現在努力中でございます。
#184
○鍛冶委員 いま一つの、防犯課に勤めておつた者が集團強盗に加つてひつぱられておるということは……。
#185
○森證人 それは事實無限でありまして、一切そういうふうなことはありません。
#186
○鍛冶委員 それはそれとして、なお聽きたいのは、先ほど船岡と警察部長との會見について、あなたは、船岡が報酬として現物を要求したと言われましたが、船岡君は、先には、警察部長はさようなことはない。隱匿物資はないのだ。お前はあると言う。もしなかつたならば腹を切るかと言われて、私は腹を切ります、そのかわれもしあつたら警察ではどうしますと言つた。それに對してあなたは現物をよこせと言つたことだけを言われたが、そのほかに何か言つたことがあつたかなかつたか、それをお聽きしたい。
#187
○森證人 そのことは、先ほどお話いたしましたように、ちようど私赴任當日で、その席に立會つておりませんので、私は全然そのようなことは聞いておりません。ただ私は現物を要求したということだけを聞いておるわけです。腹を切れとか、そういう問題はあつたかどうか知りません。ただ隱匿物資があるかないかについては、これは全然ないということはおそらく言えないし、全國どこもあります。栃木縣についてもやはりある程度の隱匿物資はあるということは確信しておりますから、警察としても現在調査しております。
#188
○鍛冶委員 その點について、船岡君から、はたしてそういう現物の要求をされたか、また、腹を切るとかいうことを言われたかどうか、もう一遍はつきりさせていただきたい。
#189
○船岡證人 警察部長、前の經濟防犯課長、それから稻見經濟防犯係長、そのほかもう一人おられたと思いますけれども、この書類を提出したときに、この物はもうすでにない、全然無根だ、お前たちは何を言つてきておるか、と、これは前の經清防犯課長の非常な罵倒を浴びたわけですが、そのときにおいて腹切りが問題になつた。それならばあつた場合にどうするかと言つた、その返答は私は今覺えておりませんけれども、品物はやる。けれども、お前の方から栃木縣に對して何か物資をもつてきてくれぬか、こういうふうな言がありました。そのほかに私が二割現物でくれとか、そういうことを言つた覺えもありません。
#190
○鍛冶委員 先ほど森さんのお言葉の中に、警察においては違反の檢事に主力をおいておるが、物を出させるという目的ではやつておらぬ、こういうことを聽きました。これはよほど重大なことだと思いますが、隱匿物資等緊急措置令は、違反者を縛る目的をもつて出ておるものか、隱匿物資その他遊休物資等をできるだけ正常のルートにまわして、國民の需要を充たすために出ておるのか。どの點だとあなたは考えておられるか。その點を一つ承りたい。
#191
○森證人 今のお尋ねに對してお答えいたします。要するに私が先ほど申し上げました違反の摘發を先にするということは、警察の建前であります。もちろん隱匿物資等緊急措置令の出しまたことは、隱匿物資あるいは遊休物資を出すことが根本的な精神であるわけはよくわかります。しかしその物が出るということはすなわち違反がなければ出てこない。調査は警察側でなくて、それぞれこの申告にいたしましても、經濟部がやるのであります。申告をしない場合に、初めて隱匿物資緊急措置令違反としての問題が出てくるわけでありまして、警察としては物を初めから出すとか、あるいは調査するというような權限はないのであります。違反があつてこれを摘發して、初めてそれに關連して物を出すという意味合いでありまして、結果といたしまして兩方一緒に出る場合もあります。しかし物を流してしまつているときは違反だけの處分に止まるような場合もあり得るわけです。氣持だけを申上げます。
#192
○鍛冶委員 ごもつともですが、建前が違反になるものだけという狹し意味でいくのと、隱退藏物資、遊休物資があるかという眼でいくのと大變な違いだと思う。今のようなお考えでいくと大體狹い意味のものだけやろうという考になつてくるから、そこに大變な食違いが出てくるのだと思う。その點お認めになりませんか。
#193
○森證人 警察取締の全般的な問題になりますが、おそらく私の考えも他の府縣の經濟警察に從事している者の考えも同じと思います。しかしこれは私の考え方だけであつて、隱匿物資についとは先ほどもちよつと申上げましたように、隱匿物資緊急措置令によりまして申告義務を負わされまして、その申告しなかつた物件だけが對象になるというようには考えておりません。もう少く廣く考えまして、各種の經濟違反に關連した物資であるとか、あるいは軍需物資の不當に流れているものを入手したものであるとか、あるいは事業者が不必要にもつているもの等は、やはり一應隱匿物資として摘發いたしております。やり方につきましては、もちろんこれは警察のいき方に問題があるわけでありますが、根本的な趣旨といたしましては、計畫的に、しかも系統的にやつていかなければ、徹底的な取締りはできないというような意味合で、終戰當時まで遡りまして、物資がどこにどれだけあつて、どういうように處分をされたかというような點からまず入りまして、系統的にやつているようなわけで、現在たとえば今申上げたタンニンであるとか、纖維、皮革は今取調べ中の事犯であります。しかし、これだけでは目的はもちろん達せられないのでありまして、それと合せて現在各倉庫その他に在庫いたしております物件の性格を今度逆に下から捜査いたしまして、これを發見する。それなら違反があれば違反としてその取調べをやるというようなやり方も兩面からやつているわけであります。現在の栃木縣の實情は上からいくようなやり方で、今のタンニンとか纖維、皮革等はやつております。反對に下側から現在捜査いたしているのは、大體佐野、足利地區を中心といたしまして、當時軍から委託されておりました物資をそのまま、俗にいわゆる猫ババをきめているというようなものが相當あるように聞いておりますので、それを物の面から今調べております。またいろいろな一般情報等も入手いたしまして、情報があつた場合には物の面からただちにこれを調査するというようなことをやつております。その兩面から一應栃木縣としてはやつていく考えであります。
#194
○鍛冶委員 さような考えからやられるならば、こういう問題は起らぬのだが、先ほどお話を聞きますと調べてみると隱退藏物資でなかつた、だから檢事局竝びに私の方で封印を解いたと言われる。なんでもこまかく隱退藏物資だけやればいいんだ。ここに先ほど本多君のいわれた國民の疑惑を生ずる根本があると思う。私はその點非常に遺憾に思います。それと同時に聽きたいのは、先ほどせつかく押えた品物も調べてみたら隱退藏物資ではなかつた、その理由としてこれを摘發してきた者は井上昇というはなはだ無頼の者であつた。かくのごとき者から言うてきたことであるから推して知るべしだ。これだけの理由にしか聞えなかつたが、それだけの理由で隱退藏物資でなくしたというのですが、それともはつきりと隱退藏物資でないという證據を止めたものがありますか。あるならば、そういう書類をもつておられるか。
#195
○森證人 單に井上個人が窃盗容疑者であるとか、あるいは窃盗の前科者であるから、そういうような者の情報は全然信用しないというような意味合ではありません。ただ同じ場所を井上が何囘も情報として出しているからそれを信用しないというような意味合で申上げたわけであります。それから三十二箇所の場所にありました隱匿物資が隱匿物資であるかどうかということは、私の方の責任でない。檢事局で調べて、檢事局で隱匿物資でないということでやつたのでありまして、これについては私の方で單に立會をしたことと、檢事の命によつて個々の物資なり、あるいは事犯について捜査したというだけでありまして、その問題については私の方の責任といいますか、關係ではないというふうに考えております。ただこの中のものを、――時間があれば個々について御説明申し上げてもよろしいのでありますが、私の考え方としては隱匿物資ではない。またかりに隱匿物資といたしましても、その内容について考えて見ますと、ごく少量のものについては、もちいん隱匿物資等緊急措置令には一定の數量がきまつておりますから、その範圍外であるということで大體解除しているように調査の結果うかがえるわけであります。
#196
○加藤委員長 森證人にお尋ねしますが、三十二箇所のその書類は證據、參考資料として本委員會に提出していただけますか。
#197
○森證人 書類はいつでもお出しいたします。これはしかし先ほど申し上げますように檢事局の方のことで、私の方でやいているのではない。
#198
○加藤委員長 いや、あなたの持つておられる書類を參考書類として……。
#199
○森證人 提出いたします。これはしかしその當時について行きました警察官がその横で大體の數量を見てそれを摘録したものでありますので、數量の點で一本とか二本とか違つている點があるかもしれません。
#200
○鍛冶委員 たいへん重大なことですが、先ほど檢事は警察で調べさせた結果隱退藏物資にあらずという報告であつたから解除したということであつたが、今あなたの話では私の方で調べたのでなく、檢事局の方で調べたと言われるけれども、どつちがほんどうですか。
#201
○森證人 警察は御承知の通り、たとえば警察としてのいろいろな勤務は警察署長が直接指揮する建前になつておりますが、司法事件については檢事局が指揮する。司法警察官としての行動をとる時にはあくまでも檢事局の指揮であります。從つて隱匿物資の違反の有無について調べたのでありまして、これは司法警察官として調ベております。從つて全部私の方の命令で出ているのではなく、檢事局からの命令で出ているわけであります。調べた場合におきましても檢事局の命令によつて司法警察官として調べたものであります。從つて直接のわれわれの指揮はこれはいたしてないわけであります。
#202
○鍛冶委員 それでは司法警察官という意味ですか、檢事にそのことをお伺いいたします。私はさよう聽きません。先ほどのお話の警察において調べさせたというのは、警察にどういう調べをさせられたのか、それを伺います。
#203
○花岡證人 私は自分の關係した部分だけを大體中心にして申し上げました。ほかの人も同樣であつたのですが、それは所轄警察署の經濟係に命じて調べさせたのであります。
#204
○鍛冶委員 經濟係というのは防犯課――警察部とは關係ないのですか。全然別ですか。
#205
○花岡證人 所轄の警察の經濟係であります。現場の警察の經濟係です。
#206
○鍛冶委員 それで最後にはあなたの方でやはり隱匿物資にあらずと決定されたのですか。警察から隱退藏物資にあらずと言つてきたからあなた方でそれじや解除してやれと言われたのですか、いずれですか。
#207
○花岡證人 警察の報告を資料として、私の方で認定したのであります。
#208
○鍛冶委員 ますますもつて疑念を深めるばかりでありますが、なお森さんに伺いたいことは、先ほど本多氏から質問いたしましたのもこの點であります。かくのごとき大量の物資があつて、それを隱退藏物資でなかつたというだけでみな解放したということになれば、國民はたいへん疑惑をもつ。隱退藏物資でなく遊休物資でも正常ルートにまわすべき物があるはずだ。その疑問がとけぬ。それを本多君があなたに質問した。そうしたらそれに答えるのにあの手紙を出されたのだが、この答えに對してあの手紙はいかなる效果があるものとして出されたか。それを伺いたい。
#209
○森證人 いろいろ手紙が不用意の間に問題になりました申譯ありません。これは削除ということは不可能かもしれませんが、一應撤囘されていただきたい。
#210
○加藤委員長 それはできないのです。そういう規則はありません。
#211
○森證人 次に今の問題でございますが、こういうふうなたくさんあるものを、隱匿物資緊急措置令の適用がないから、これを除外してよいかというふうなお問いのように解釋してよろしゆうございますか。
#212
○鍛冶委員 あなたがそう言われるから、そういうことでは國民は納得せぬ、こういうのです。
#213
○森證人 わかりました。處理の問題については、これは警察部の權限はありませんので、ほんとうに警察的に見て隱匿物資と斷定できるものでなければ取上げることはできないのであります。ただこの状況を見ますと、たとえば特殊物件にいたしましても、一應この處理状況をもつて後で本委員會に出しておいても結構なんでありますが、必ずしも單に縣だけにこれは配分されているのではないのでありまして、全國的に配分されるものがありますし、それぞれ縣としてのわくをいただいているわけです。たとえば縣としてわくをいただいている物資につきまして處分を任されている物件でありますが、こういうふうなものをかりに處分いたすといたしましても、たとえば引揚者に對しての配給として一應わくをとつた、あるいは品物をとつたというふうな物件について考えてみますと、現在までに歸つているものが引揚者全部ではないのでありまして、今後も相當たくさんの引揚者が歸つてくるわけです。そういう人たちに渡す衣料品等も當然これは確保しておかなければいけない。そういうものが殘つているわけであります。
#214
○鍛冶委員 私の質問が逸れてしまつたが、さようなことを聽くことははなはだ困ると思います。私の聽いているのは、あなたが先ほど手紙を取消すと言われたが、そういうことではない。あなたが答辯してあの手紙を出されたが、一本あの手紙で立證しようとされたのか、どこに立證の趣旨があるのか、それを聽いているのです。
#215
○森證人 どうも御趣旨がよく呑みこめないのですが、初めに申し上げましたのは、全般的な經過を一應申し上げたはずみにああいうふうになつたのでありますが、要するに今までの全般的な摘發經過と申しますか、さういうものを一應申し上げたのであります。それで今の御質問の趣旨が私の方にはよく呑みこめないのですが、要するに警察が公明正大であるかどうかというような點でございましようか、それともそれ以外の點でございましようか。
#216
○鍛冶委員 國民は、そういうやり方をされたのでは、隱退藏物資でないからもうそれは手がつけられぬものとは思わぬ、こういうのです。それをあなた方はそういうことで處分したと言われても、國民は納得できぬが、あなた方はそれで明白にできるといわれるか、こういう質問だつたのです。その質問に對してあなたは答えるべく立つて、あの手紙を出された。その答えにあの手紙がなると思われたかどうか。思われたなら、どこがなるとあなたは思われたのか、それを聽きたい。
#217
○森證人 必ずしもそういうふうには思つておりません。先ほど申し上げますように、要するにその當時の摘發の實情を申し上げまして、そしてこの一月二十日、二十一日に問題になつておりました摘發した物件の處置、――ここに喚び出された一番の大きな重點が、これを警察が無斷で移動したということにあつたようでありますから、決してそういうようなものでないということと、それに一應關連いたしますので、栃木縣が今までどういうふうな摘發の經過をとつてきたか、また當時新聞でも警察が不信呼ばわりをされましたが、そういうような場合に警察としての一つの行き方を説明申し上げまして、新聞等で喧傳されているような事犯を、警察として摘發の妨害をするとか、そういうようなことをやつたことがないというような一連の經過を先ほどから申し上げました。
#218
○鍛冶委員 はなはだ困りますね。手紙を出されたのはどういう目的かと言つているのに、なぜ手紙のことを答えられないのですか。
#219
○森證人 ただいま申し上げましたように手紙は――結局この處理の問題が一番問題になりましたのは、山形縣の農業會に行つたということが問題になつていたわけです。それでそういう手紙が一應手にあつたものでございますから、參考までにと前置きして一應讀みましたので、核心に觸れているものというようには考えておりません。
#220
○鍛冶委員 問題は山形縣に行つたことではありません。あなた方の方でこれだけ大きな物を押えて隱匿物資にあらずと認定してやられたことにあるのです。それ以上言つてもしようがありませんから、もう一つ聽きますが、あなたはここに來るときに手紙を何と思うてだれからどういう經路でとつたのか、あなたに出したものはどういうつもりで出したのか、それを聽きましよう。
#221
○森證人 これは先ほども申しましたように内務省の警保局防犯課の經濟係の上田事務官から、ちよつと行きました時分に山形縣の農業會の問題でいろいろ話が出まして、山形縣の農業會の代表者からこういう手紙が實は出されておるんだと言われましたから、參考としてそれをいただいてきたわけであります。
#222
○鍛冶委員 參考と言うし、先ほども世耕氏がいろいろなものに誤らされておると思うからこの手紙を續むと言われたが、さようなことはあの手紙にはありません。世耕氏がどこまでも間違つたことをしておる。いわんやそれに協力したる塚崎、濱田の兩辯護士がこれを種に大金を要求しておるという事實の摘出であります。この事件の核心の觸れるということはわれわれはどこからも出てこぬと思いますが、あなたはそういうことを思つて、警保局の防犯課のものと相談してとつてこられたのでありますか。
#223
○森證人 そういうふうな意味合いではないのでありまして、私の申し上げようとしましたことは、結局いわゆる情報屋から出します情報が、中間で世耕副委員長にいく間に非常に違つた性質のものになつておるというふうにわれわれ從來考えておつた。これは戰時中にもあつたことでありますが、戰時中にもブローカーなんかが一のものを十くらいに見まして――一つのものを十人が見た場合には十になるわけでありますが、そういうふうに非常に數的に誤らした場合があるわけであります。今度の場合にもそういうふうな感じがするのであります。それともう一つひどいことは、現在の隱匿物資をめぐりましていわゆる手付金詐欺とか、そういうものが非常に行われておる。その反面に隱匿物資でないにかかわらず、隱匿物資として報奬金稼ぎをしておるものも相當あるのであります。そういうふうな意味で、ほんとうに中央でまじめな、正しい、國家を思つてやつておる方々がそれがために非常に誤られておるということを參考として申し上げたのであります。
#224
○鍛冶委員 さようなことはあの手紙には出ておりません。報奬物資をよこすと言つていながらよこさぬとは何事だという詰責です。あなたはそういうつもりでやろうと言うなら、それ以上は追究いたしませんが、そういうことでは通りません。斷言しております。しかのみならず世耕氏に聽いてみると、世耕氏にきておらぬ手紙だと言う。世耕氏にきておらぬ手紙をこの通りの手紙が世耕氏にきておるということで出しておられる。そのほかに世耕氏の言われるように信書の祕密ということがある。それ以上に世耕氏にきておらぬ手紙である。これこそ文字通りの怪文書である、さようなものを内務省の官吏ともあろうものが、しかも警保局の何とかいうものが出す氣持もわれわれは了解できないが、それを受取つてきて何か虎の子でもとつたようにここで讀み上げられるあなたの氣持も了解に苦しむ。その點はどのように今考えておられるか。それを聽きます。
#225
○森證人 私も粗怱だつたことを明瞭に感じております。しかしこれは他意はないのでありまして、要するにこちらへまいりましても、ここはほんとうのことを論議し合うところだ、何でも一つ思い切つて知つてる範圍内のことを申してくれということであつたわけです。もちろん私はこれに對していろいろな批判があるということはわかつておりますが、そういうことによつてほんとうのことが究明されるんだというような意味合いで申し上げたのであります。それともう一つはあれに全然關係がないというふうにお話でございましたが、私の言つておりますことは、結局中央におきまして、たよえば隱匿物資處理委員會がいろいろ計畫いたしまして、そうしてたとえば山形縣の農業會の問題でもそうでありますが、ありと信じたからこそああいう指令が出たのであります。ところが實際においては、今まで三十二箇所の物件がいろいろ問題になつておりますが、これは檢事局においても一應隱匿物資でないと斷定している。それをほんとうに正確な調査もせずに、隱匿物資として安本に出して、安本もまたほんとうに調査せずしてこれを出すということになると、山形縣の場合にように非常に困つたことになる。だから情報をそのまま取上げて、よく調査もせずにやると、こういう問題が起るという一つの參考資料という氣持で申し上げたのであります。
#226
○鍛冶委員 これ以上申し上げませんが、事實をさらけ出すと言いましても、ここの調査に便利のあることならいいが、世耕氏が誤つたことをしているという世耕氏に對する一種の名譽毀捐になる。その次にもう一つ大事なことは、先ほど、もとより塚崎、濱田という立派な辯護士は、こういうことはせられぬと思いますと言いながら、あなたはそれこそ當然事實と逆と知りながら摘發したことになりますが、それをどう思いますか。
#227
○濱田證人 ちよつとこの機會に一言申し述べさしていただきたいと思います。この間島という男を、ちようど總選擧の際でありましたが、内務省の上田事務官なり安本にいる井上、川鍋が呼んで、さんざん世耕氏の惡口を新聞に書かした。それに始まつて、私は選擧當時世耕氏の惡口の出たそういう新聞を見たもんですから、間島という人間に對していろいろ追究し、そうして先ほど申し上げましたように、これは度しがたい奴だと思つたので、彼と一遍飯を食つたときも、これはゆるがせにならぬというので、彼から割前をとつてわざわざ寫眞をとつておいた。ところがそのことについて山形縣の森という一緒に來た老人が、私らをだまして栃木縣に連れて行くのに、間島は八千なんぼか、一萬なんぼとつている。あれは農業會を種にたくさんの金をとつている。世耕さんについてもそういうことで金をとつているということであつたのであります。
 ここで元へ戻りますが、さような間島をわざわざ安本に呼んで、世耕氏の惡口を書かした。そうして今日森課長がわざわざそういう手紙を持つてこられることは、別に他意ない、警察部の連中はそういう書類を配つて、人の名譽を毀損している。こういう不都合千萬な官僚がいる。こういうところを皆樣のお力で究明していただかぬと、われわれにしても、塚崎氏にしても、こういうふうに百萬圓要求した、あるいは詐欺したというようなことが一たび新聞に出れば、それによつて非常に迷惑をする。これは皆樣のお力によつて必ずこういうことのないように御盡力願いたい。おそらく不用意だと思いますが、こういうふうに人のあげ足をとつてやるところに、彼らの不都合さがあるのですから、この機會に聲を大にして申し上げておきます。
#228
○加藤委員長 水田君。
#229
○水田委員 今の證人の發言の通り、この文書は性文書であつて、世耕さんに届いていない文書である。それを内務省がタイプに打つて、どういう方面に配つているか。こういう文書を出していること自身非常に問題だと思います。しかも聞くところによると、本人は文書が下手で、字が書けない人だというが、今見ればなかなかの名文で、何の意圖をもつて誰が書かしてタイプに打つたか。これは内務省の警保局に來てもらつて、責任ある囘答を得る必要があると思う。こういう怪文書を證人が内務省と連絡をとつてもつてくることは不都合であつて、この點は簡單に見逃せないと思つておりますので、次會において、この點をはつきり答辯され得る證人の出頭を求めたいと思います。
#230
○加藤委員長 出頭を求められますその證人は、誰をお指しになりますか。
#231
○水田委員 上田事務官です。
#232
○加藤委員長 武藤君。
#233
○武藤(運)委員 それと關連して、その手紙を出した本人間島という人も併せて上田事務官と一緒においでを願つて調べることが必要だと思いますから、この間島を召喚願いたいと思います。
 最後に花岡檢事さんに伺いたいですが、きよう問題になりました問題についての檢事局の主任檢事と言いますか、擔任者と言いますか、これは花岡さんが初めから終りまでやつておられたものですか。それとも眞子檢事、高橋檢事が主任としておやりになつたものか。この點をはつきりお伺いいたしまして、場合によりましたら他の證人を喚ぶようにいたしたいと思います。
#234
○花岡證人 當時次席檢事でありました眞子氏が總指揮になりまして、私らはその指揮のもとに、四班にわかれてやりました。私はその中の一班を受持つてやつたわけであります。端的に指揮したのは眞子君であります。
#235
○武藤(運)委員 實は二十二年二月五日の東京新聞によりますと、本件に關する記事で、「でたらめな保管、正規リスト物資にも謎」という表題をつけて、今花岡檢事の言われます眞子主任檢事の談として、
 「眞子檢事は左のごとく語る。正規リストに載つていないいわゆる隱匿物資も確かにある。しかしそれよりも、正規リストに載つている物資の保管を委託されている統制組合のでたらめにもあきれている。ある統制組合は倉敷料を五十萬圓も出しているところがあり、いかにいい加減なものかがわかる。保管數量などもほとんどめちやくちやで、何が何ほどあるのか、帳簿と現品の一致しないのが相當多くある。これらはいずれ封印した倉庫を調べればすべて白日下にさらされると思う。檢事局としては實探しの動きも重視するとともに、隱匿物資をめぐる不正事實の摘發にも努力し、この際一切の疑問を解決していくつもりである」
 と書いておる。この新聞が果して正確に眞子檢事の談を傳えているかどうか存じませんが、この眞子檢事の言つたことが事實であるとすれば、こういう線に沿つてこそ、ほんとうに遊休物資が出てくるものだと思いますし、先ほど濱田君が最初の熱意がなくなつたという熱意がここに盛られていると思うのであります。そこで私は今四班の中の一班を受持たれたにすぎないという花岡檢事の證言もさることながら、總師として總采配を揮つた眞子檢事、殊にこういうふうに抱負を述べられている眞子檢事をもう一度重ねて喚び出しまして、そうして花岡檢事によつて言い足りなかつた分を補足してもらいたい。そういうふうに考えまして、眞子檢事を申請いたします。
#236
○加藤委員長 古田君。
#237
○吉田(安)委員 證人の御採擇がありますなら、私からも一人附加して申請いたしたいと思います。それははしなくも問題になりました手紙の主であります。この間島さんをお喚び出しになるとすれば、この間島としう人がどんな人物であるか、本日の委員會で非常に問題になつたが、この間島という人物をよく知つておる人に森淳という人がおるそうです。この人がたとえば間島という人が農業會から運動資金として金をとつたとか、あるいは御馳走して金をとり上げた、こういう事實をよく知つておるそうであります。一例を申し上げますならば、濱田君が行つたときに、飯を食つて、ただちに農業會あたりに行つてこうやつたら金をいくらとられるというようなことを言い、その反面に割りこんで金をとつておる人物らしいのであります。そのことをよく森淳という人が知つておるそうであります。御面倒でありますが、併せてこの人もお呼び出しを願います。
#238
○武藤委員 先ほどの證人と一緒にもう一度濱田君にも出て貰つたらよいと思います。
#239
○鍛冶委員 それから濱田君にも世耕さんにも出て貰いたい。
#240
○船岡證人 最後に一言議員の皆さんにお話しておきたい。というのは、ただいま封印したところの品物は全然隱匿でなかつた。こういうような言明でありますが、こういうことは今お話によれば所轄の警察官によつてやられた、これがために隱匿でなくなつたのです。それは今までの私たちの三箇月間の經驗によつて、所轄の各地方の警察官がやるからこそ隱匿でなくなつた。もう一度やつていただきたい、こう思いたいのです。私はその一例として申上げるならば、栃木縣の特殊物件課長の竹田さんとお會いしまして、この檢事局からくれたところの書類とわれわれが同行して調べたところの書類とつき合せて、記載洩れのところを特殊物件課長に追究したところが、何しろ終戰後のどさくさでいろいろなこまかいことはわかりませんとか、あるいは係が送つておつてはつきりわからない、はなはだしきに至つては品物は盗まれたのだらう、役人がこんなことをいつて追究を逃れる。その具體的な一例をあげれば、今市にモビール百四十七本、ガソリン二本の摘發物資がありましたけれども、縣の保管物資のリストにはガソリンが百六十七本、モビールが八十本、グリス十本と記載されている。そうするとガソリン百六十五本はなくなり、モビールが六十七本多くなつている。そのなくなつたガソリンは今市貨物合同株式會社が無斷で使用したというので、縣では辨償を要求している。ただなくなつたからといつて今ごろ辨償を要求しておるというのは、縣の役人は何をしておつたか、こうわれわれは追及したいのです。その以前から今市貨物合同のいろいろな數量が變化したことも特にしかり、また地下に埋藏されたところの状況をみなさんが見られるならば、初めは防空壕に隱してある。それが一度行つたときにそこから現われたけれども、二囘目はそこにない。既に適當に配給したと言明した後に、ほかの土地を探したらば、出てくる、出てくるものすごい數量が出てくる。次に行つたときは別の輸送されたところから出てくる。それまでにやつて隱さなければならなかつたのです、これが今市合同の状態であつて、それが普通の隱匿でなかつた、正規のルートであつたというならば、縣の經濟部は現在ここに證人として出頭して來ておられるところの森經濟係長でなくて、特殊物件課長の竹田さんを喚んでもらいたい、こう私は信じます。そのほかにまだいろいろありますけれども、この封印した品物について、眞子檢事が話された言を私は今ちよつと忘れましたけれども、ちようど拂下指令書と一緒にいつて眞子檢事と會つて、その品物がどういうものであるかということを確かに耳に聽いた人間が傍聽席にいますから、その眞子檢事の言を――隱匿物資について――封印したところの品物についての言を説明していただきたいと思いますがどうですか。
#241
○加藤委員長 わかりました。本日四名の證人の方に御出頭を願いまして、それぞれの角度から質疑がなされて、これに對してそれぞれの立場から證言がなされたのであります。しかしながら本日の各證人の證言だけでは、本件の眞相を把握するになお不十分であると存じます。殊に證人の證言の中に相當重要な性質をもつた發言もありましたので、これらの事態を一層明白にするために、先ほど委員各位から御請求のありました眞子檢事、警保局の上田事務官、世耕君に手紙を出したと言われる間島三好、さらに本日證人として出頭していただきました濱田辯護士、この四名を委員長は次會に證人として出頭してもらいたいと思いますが、まずこの點をお諮り申し上げます。
#242
○加藤委員長 それではこの四名は決定いたします。ただ森淳君なる人を御請求になりましたが、もしこれが裁判所の證人でありすれば適當であるかもしれませんが、これはたまたま間島という人物を證明するきわめて間接的な者でありますがゆえに、本委員會としてはどうかと思います。從つて森淳君を證人に喚ぶことについては、もし本件に必要がありとするならば、以上申し上げました四名の證人から證言を求めたあとに、なお必要な場合初めと考慮さるべき問題で、一まず委員長としては右四名の證人を出頭願うことにして、森君は留保いたしたいと思います。
#243
○加藤委員長 それではそのように取計らいます。それからただいま船岡證人から御發言がありましたが、これらの特殊物資課長ですが、これを證人から發言されたからといつて直ちに採擇するというわけにはまいりません。もし委員各位の中でその物資課長を證人とつて出頭を求めることが適當てあるということについで御請求がありますれば、これを本委員會にかけます。
#244
○鍛冶委員 私は先ほどの證言で眞子檢事が出られるならば、その事實取調べをさせられた警察から調書が出ておるに違いないと思う。その調書をくまなくもつてきてもらうことを附言して出頭せしめてもらいたい。そうすれば今言つたことは要らぬのではないかと思う。
#245
○加藤委員長 ただいま鍛冶君から御提議になりました通り眞子檢事が證人として出頭せられます場合に、當時警察もしくは檢事局において取調らべた調書があると思いますので、その調書を持參してもらうということを附言して證人の出頭を請求することにいたします。從つて特殊物資課長の證人としての出廷は求めないことにいたします。さらにまた傍聽の方から發言を求めて證言してもらいたいということでありましたが、これは本委員會としてはなすべき權限ではありませんから、お斷りいたします。先ほど石田委員から森證人の手紙云々のことについて御發議がありましたが、この點は先ほども委員長から申し上げました通り國會法第百十六條、衆議院規則第七十一條、これらはいずれも議員あるいは委員としての發言の取消しを規定しておるものでありまして、證人については議院規則五十四條によりまして證言の範圍を超えて不穩當な發言のあつた場合にこれを禁止することができるとありまするが、證言の取消しを規定しておる條項はありません。從つて一たび證言として述べられたことはこれを取消すことは不可能でありますから御了承を願います。
 それから石田委員から次のような申出がありました。それは前囘の當委員會においていわゆる目白の水あめ事件に關する資料の提出を約束したが、聞くところによると私の提出せんとした資料の所有者、武永、柴田の兩名が今日ついに新聞に發表したとのことを聞きました。もし發表されたとすれば前囘での私の發言を取消しておきたいと思います。こういう申出がありましたから委員長においてこれは了承いたします。
 本日はこれをもつて散會いたしたいと思いますが、散會に先だちまして證人の方に一言申し上げます。官職として證人においでくだすつた方は、旅費日當の支給の規定はありませんが、それ以外の方については旅費日當を支給されることになつておりまするけれども、なお參議院の方との打合わせが完了しておりませんので、後日早い時期に規定の旅費日當をお送りすることにいたしますから、この點御了承おきを願いたいと存じます。長い時間御苦勞さんでございました。さらに世耕君には御苦勞でもこの次の委員會にぜひ御出頭を願いたいと思います。
 さらに一言申し上げておきますが、次會は來る十三日、この日には先に水あめ事件の證人が三名と、石橋前經濟安定本部長官を證人として喚問してありまするので、本日定められた證人の御出頭を願うのはその次になると思います。これで散會いたします。
   午後六時二十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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