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1947/08/13 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第8号
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1947/08/13 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第8号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第8号
昭和二十二年八月十三日(水曜日)
    午後一時四十二分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 武藤運十郎君 理事 吉田  安君
   理事 本多 市郎君 理事 石田 一松君
      足立 梅市君    清澤 俊英君
      川崎 秀二君    小島 徹三君
      鍛冶 良作君    北浦圭太郎君
      辻  寛一君    野本 品吉君
      徳田 球一君
 出席政府委員
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
 委員外の出席者
        議     員 世耕 弘一君
 證人
  議員世耕弘一君が隱退藏物資等處理委員會副
  委員長を退職した經緯に關する件について左
  の證人が出頭した。
                石橋 湛山君
               東京都江戸川區
               平井町三ノ八一
               〇番地
  都内葛飾區小谷野町三八番地岩崎澱粉化學工
  業所の所藏する水飴の事實調査につき世耕内
  務政務次官に對する昭和二十一年十月七日附
  報告書に關する件について左の證人が出頭し
  た。
        本田警察署長  田中 正一君
               東京都葛飾區本
               田篠原一六一番
               地
        岩崎澱粉化學工
        業所取締役   岩崎新一郎君
               東京都葛飾區小
               谷野町三八番地
        岩崎澱粉化學工
        業所取締役   川端 佳夫君
               東京都世田谷區
               弦巻町一ノ二七
               (電世田谷二一
               七八)
                清水  清君
               東京都豐島區椎
               名町二ノ一九四
               六番地
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 前會に引續き會議を開きます。
 本日はさきの決議に基きまして、世耕君が隱退藏等處理委員會の副委員長をやめた經緯についての證言を求めるために石橋湛山君、目白水あめ摘發事件に關する證書を求めるために當時の田中本田警察署長、岩崎澱粉工場主の岩崎新太郎君、情報提供者の清水清君の四名の出頭を求めたのであります。ところが岩崎新太郎君は膽嚢炎のために絶對安静を要する旨でありまして、醫師の診斷書を添えて、代人として同工場の重役で、本人の女婿である川端佳夫君、子息の岩崎新一郎君の兩君を代理出頭させたい旨の申出がありました。これを御諒承願えれば岩崎新太郎君に代つて右兩名の證人としての證言を求めることにいたしますが、この點はいかがいたしましようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○加藤委員長 御異議なければ兩君に、岩崎新太郎君の代りに證人として證言を求めることといたします。
 なおこの際證人の皆さんに一言申し上げておきたい。證人の發言は委員長の發言の許可を得てから御發言くださるようにお願いしたいと思います。それから證人の發言は求められた證言の範圍内に限るのでありまして、範圍外にわたることはできるだけ避けていただきたいと思います。
 ではこれから順次證人に對する證言を求めることにいたします。最初に世耕君の副委員長をやめた經緯についての證言を求めるために、石橋湛山君にお願いします。
#4
○石田(一)委員 私は石橋湛山氏にちよつとお尋ねしたいと思うのですが、世耕氏の資料によりますと、世耕氏がこの隱退藏物資等の摘發をするための情報を集め、またその當時これをやることが國家的に重要な問題だとお考えになつて、石橋前大藏大臣であるとか、あるいはまた内務大臣、商工大臣等とたびたび會つて、種々協議の末、それはまことにいいことだから大いにやれと激勵をうけて、非公式ではあつたがまずこれに手をおつけになつた。この後この世耕機關なるものの活動が非常に活溌になり、中には世耕氏のお出しになつた指令書によつていろいろと不祥事が惹起されました。こういうことは認めるのでありますが、少くとも隱退藏物資等の處理委員會の副委員長である世耕氏議士、當時の内務政務次官が、この副委員長の職を免ぜられたときに、何ら本人に一言の挨拶もなく、本人が四月七日選擧運動のために自分の選擧區である和歌山へ歸つた、その後十一日でしたか、突如世耕氏のもとに内閣の方から手紙が届いて、中を開いてみると、副委員長の職を免ぜられていた、こういうことが世耕氏の手記といいますか、資料の中に見受けられるのであります。私たちはこの問題に關していろいろの考え方があると思うのでありますが、もしこう考えたときに非常にこれは問題が大きくなると思います。それというのは、世耕氏のやり方が實の正々堂々として、あまりに正直一本にやり、官僚や警察が摘發を妨害しているというふうな考えをもつている。一時警視廳、警保局あたりと相當對立關係にあつた。こういうことでは今後世耕氏がますますこれを徹底的にやり始めたならば、むしろこの裏の關係が暴露されるようなことがあつてはいかん、それならば今のうちにまず世耕をやめさせた方がいいというような一方的な意思によつて、私はやめさせられたのではないか、こういう不審を相當に抱きましたので、世耕氏が一通の手紙によつて委員會の副委員長を免ぜられた、この當時の内閣の事情等、またどういう手續によつてこれがなされたかということを、その當時の責任者でありました石橋氏からお伺いしたならば釋然とするのではないか、こういう氣持で石橋湛山氏の證人としての出席をお求めしたわけであります。ぜひその當時の事情を御説明願いたいと思います。
#5
○石橋證人 これはいろいろ始まりから問題がありますが。それは今日の質問の中にはいつておりませんから、その點は申しません。やめるときの事情を簡單に申し上げます。一言にしていえば、私も知らなかつた。私も世耕君が選擧區に歸られるときに、世耕君の訪問を受けて會いました。その時分にはすでにいろいろなスキヤンダルがあるという噂もあつて、世耕君も心配しておつた。けれども自分にはそういうことは絶對にないから安心してくれ、と言つて地耕君は別れて歸つた。私も選擧區に行きました。そうして歸つてきてみたところが、誰からか間接に世耕君がやめられたということを聞いた。いつの間にやめたかわからない。それで閣議の席で、一體どうして世耕君がやめたのだということを、當時の安本長官の高瀬君に質問しましたが、その答えは、どうもいろいろのスキヤンダルが起つて困つたからということで、それ以上の返答は得られませんでした。やめたときのいきさつというと、私からお答えできるのは、結論を言えばそれだけであります。
#6
○石田(一)委員 閣議で、その當時の安本長官であつた高瀬氏が、ただスキンダルがあつたからというふうな簡單な答辯をしただけで、その當時の大藏大臣であり、その前の安本長官であつた石橋氏もただそれだけでそれを不問に付したのでありますか。そのままで了承をなさつたのでありますか。
#7
○石橋證人 了承をしたのかと言われるとちよつと困るのですが、とにかく過ぎてしまつたことです。私がそれを知つて閣議で話をしたのは内閣もすでにやめるというときです。ぼくの記憶によると植原内務大臣のごときもそのときに驚いて、とんでもないことだと言つておりましたけれども、何しろほかの問題で既に内閣がやめることになつているときだから、それ以上の追究をする時間もなかつたといいますか、場合でなかつたということです。
#8
○石田(一)委員 そうすると、その當時の内務大臣の植原氏も、大藏大臣の石橋氏も、世耕氏が選擧區に歸つているときに、一通の手紙で職を免ぜられたということはわれわれも全然知らなかつた。そうすると、この内閣に直屬していたのか、それとも經濟安定本部に屬していたのかは知りませんが、いやしくもときの内務政務次官であつて、しかも隱退藏物資等の處理委員會の副委員長であつた、これだけの者をやめさせるのに閣僚が全然知らないうちに手紙一つでやめさせられた。しかもそれは高瀬君というその當時の安本長官が、實はこういうスキヤンダルがあつたからという爾後の閣議における説明で、内閣はやめる直前であつたから、これ以上追究しなかつたというのでありますが、そうすると、これは高瀬安本長官が自分の權限において、何ら内閣に諮ることなく、要するに一個人として世耕氏を免じた、かように了解してかまわないでございましようか。
#9
○石橋證人 それはあの隱退藏物資等の委員會というものは經濟安定本部總務長官が委員長で、それから副委員長があり、その副委員長に世耕君を任命した。實際の起りから言えば、皆さん御承知のように、世耕君が非常にこの問題に熱心であつたから、あの委員會ができたわけです。私どもとしてはもちろんあの委員會だけでは機構が足りないということは初めからよく知つておつた。しかしながらほんとうの機構をつくるのには官制その他の問題があつてひまがかかるから、とりあえず委員會をつくつてやる。これは隱退藏といつたところで表面的には正當のルートに乘つておつても、事實においては死藏されておつて、あるいは横流し等の危險のあるものがあるのではないかという疑いがあるから、隱退藏物資等の摘發については、これは必ずトラブルが起る。トラブルが起つてもよいからかまわずにやれといつて、世耕君に私は全權を委任してやつてもらつた。その結果の實績についてまだ深い報告を受ける段取りになつておらない。高瀬君と私とが送るときには特にこの問題についてはなかなかめんどうだ。しかしてこの委員會では機構が足りないから、これはあらためてつくらんならぬ。それは僕は準備しておる。木村司法大臣に相談して、人も得た。その手續はいずれ書面にしてまわすからということで、事務引繼をして、特にこの委員會の重要性は引繼事項として申し述べておいたつもりです。ですから、むろんこれは引繼いでやつてもらえるものと思い、それから、その機構についてのこと、及び木村司法大臣から推薦を受けた人の名前なども、これは高瀬君に直接ではありませんが、安定本部の部長に渡しました。ですから、やつてくれるものだと思つておつたが選擧區から歸つて來たらいつの間にかやめておるのだということを噂に聞きました。これは世耕君からも私は報告を受けておらなかつたし、たれからもこの報告は受けておらなかつた。たれかほかの方から聞きましたので、驚いて質問をした。ほかの閣僚も意外の顔をしておつたと思いますけれども、さつき申すように、とにかくごたごたしておるときだから、この問題はそのまま追究せずに尻切れとんぼになつたという點はあります。しかし權限から申しますれば、さつき申すように、安定本部總務長官が委員長で、副委員長がそのもとにある一委員會であるから、總務長官が、副委員長をやめさせようと思えばいつでもやめさせ得るので、内閣に屬しておるものじやない。安定本部總務長官のもとにある安定本部内の一つの委員會に過ぎない。それは官制によつてできておるものではないから、權限から申せば、高瀬長官のやつたことは、少しも違法じやないでしよう。ただ事柄が事柄だけに異樣な感を懷いておつた、こういうことです。
#10
○石田(一)委員 いろいろ聽けば聽くほど奇々怪々な世耕免職事件でありまして、これは權限といえば、もちろん經濟安定本部總務長官のもとの委員會で、自由でございましようが、そもそもの起りはその當時の閣僚でいらした石橋氏や、またその他三、四の閣僚と協議の上に經濟安定本部長官のもとにこの委員會が結成されたのであります。そしてそれらの合議の結果、まことに熱心な方であるというので、世耕氏を副委員長に任命して、石橋氏もひとつこれをやつてくれと全權をお任かせになつた。しかもその石橋氏が次の長官であるところの高瀬氏に、これは重要な問題だからと言つて、事務引繼があつたのにもかかわらず、その閣僚に一言も相談しないでやつた。なるほど權限ではそうかもしれませんが、まことに安本の中の人事異動と言いますが、實に不明朗な、自分たちに都合のいいような、勝手な人事をやつておるとしか解釋できません。この際私たちが非常に心配しますことは、こうした人事によつてあの人事がもし行われなかつたならば、もう少しこれらの隱退藏物資等に關する處理委員會の副委員長の働きが徹底的に上つて、今問題になつておる官僚の妨害というようなものが事實として現われたと思います。これが途中において副委員長が免ぜられた。その免ぜられた後の處理委員會の動き、それから後の官憲あたりとの連絡等が非常に不明朗なものにしておるものと私は思います。この點につい今石橋氏は、高瀬氏は違法ではなかつたけれども、ちよつとわれわれも不審なところがあると、言葉を濁しておつしやいますが、何かこの問題について閣議で問題があつて、また世耕氏がこれに相當強硬なる意見をお吐きになつて、その當時問題になつたことがあるのではないか。こういうことを私たちは非常に考えておるのでございますが、そのまま世耕氏も泣き寝入りになつたのか、それとも元の自分の委員長である石橋氏に、こういう事情だけれども、これはどうしたのかという問題が起きたのではないか。これが閣議でもう總辭職寸前のことではあるけれども、問題として取上げられてはいないか。しかもこれに對して高瀬氏あたりから相當強力なる運動が展開されたのじやないか、こういうことまでひとつお聽きできるならば、突込んでお聽きしたい、こういう氣持でおるのでございますが、そういう事實はいかがでございましようか。
#11
○石橋證人 今お尋ねのような事實はありません。實は私もいろいろ不思議なんですけれども、事前に何も御相談を受けなかつたということ、それから私から質問して初めて世耕君もやめたのだと答えられた。閣僚もおそらくたれも知らなかつたろうと思います。あるいは知つておつたとすれば總理が知つておつたかもしれませんが、他の閣僚は多分たれも知らなかつた。世耕君がやめられた問題はやみのうちにやめられたのであつて、その後世耕君から私には何も言つてまいりません。從つてこの問題について閣議なり、あるいは閣内なりでさらに議論が出たという事實はありません。
#12
○石田(一)委員 私は以上の石橋氏の證言を承りまして、そうしたことが世耕氏が副委員長を手紙一本でやめさせられた當時の事實であると考えます。この委員會の委員が石橋氏の證言によつてどういうことを認められるか、それは自由でありますが、少くとも高瀬安本長官あたりが世耕氏を罷免した。その間には實に許すべからざる相當の官僚陣營の策謀があつたと私は認定していいと思います。何となれば閣僚に何ら相談もなく、閣僚が選擧のために選擧區に行つておる最中に、その留守を狙つて、しかも一片の手紙によつてこの隱退藏物資處理委員會の副委員長を罷免したということはゆゆしき問題であると私は考えます。私の石橋氏に對する質問はこれをもつて終ります。
#13
○本多委員 この機會に證言を求める順序としては少しく後になつたような感がいたしますが、しばしばこの委員會で世耕君の職務權限について論議せられておつた際でもありますので、この際石橋證人より隱退藏物資處理委員會ができた經緯と、それから副委員長として世耕君が隱退藏物資摘發に乘出していろいろな活動をしたその職務權限について御説明をいただきたいと思います。何らの職務權限なしにやり放題なことをやつたように言われておる點もありますので、その邊の誤解を解くために、ひとつただいまの點を御説明願いたいと思います。
#14
○石橋證人 この委員會ができた經過につきましては、さつきもお話が出ましたように世耕君が内務政務次官であるときから、非常に熱心にこの問題を檢討しておりまして、ある程度の調査の書類などを持つておりました。いつのことか日は忘れましたが、まだ經濟安定本部ができる前に、世耕君が私のところにやつて參りまして、いろいろ意見を述べられておりますが、その意見は省略します。とにかく隱退藏物資があると自分は認める。現に自分の手にはいつた書類によつても、これこれのものがあるという情報を得ておる。ぜひこれを至急にやつてほしい。それについては私に盡力してくれというお話でありました。私はこれは大藏大臣としてやるべきでありませんから、ただ閣内でぽつぽつ話はしておりましたし、まれ吉田總理がこの問題について非常に熱心でありまして、ぜひこの問題は解決すると言つておりました。世耕君から言われたのかどうかしりませんが、とにかく總理としてはかような物資を早くとり出して、國民經濟のルートに乘せたいということを熱心に主張されまして、そこに安定本部ができた。そこで安定本部長官もきまつたものですから、私は世耕君から預つておつた書類も渡し、そうしてこういう問題があるから、ぜひ安定本部が中心になつてこの問題を早く處理してもらいたいという希望を述べて書類を出しました。しかしどういう關係ですか、忙しくあつたからでありましようが、膳君が長官である間はついにこの問題に手がつけられなかつた。膳君がやめられまして、私が安定本部の總務長官をお預りしましたからすぐに手をつけた、つけたがさき申しましたように、官制をつくつてからといえば、なかなか時日を經過しますから、それは後の問題として、とりあえずどうしたらいいかということを研究しました。世耕君は代議士ですから官吏にするわけにまいりません。そこで世耕君が代議士であるままでこの仕事をやつてもらいたい。そういうことから種々考慮した結果、むりではありましたけれども委員會という形で一應の組織をつくつて、この委員會にとりあえず調査をさせ、そうして出たものは押える、押えるのにはむろん素人がむやみにやれば危險ですから、そのときには必ず官憲が立會う。殊に各地方の司法官あるいは警察官に立會つてもらうということで、あの委員會をつくりました。官制でありませんから完全なものはつくれませんが、事柄が事柄でありますからさつき申し上げたように、どうせ問題は起るであろう。しかしそういうことを言つてはおられない、構わない、問題が起つたら私が引受けるから、思切つてやつてくれ。こういうことでやつてもらいました。ですから法律的に、官制的に言つたらどうかしりませんが、世耕君としては委員長から全權を託されて、思切つてやれ、トラブルが在つたなら僕が引受けるというたのですから、世耕君としてはすべての權限をもつたものとして行動したことは當然であると思います。そこでさつき申したようにそのままではいかぬから、一方において正式な機構をつくることに準備をし、手をつけておつたということが經過であります。
#15
○徳田委員 石橋湛山氏の證言を求めたいのでありますが、この隱退藏物資處理委員會については閣議の決定がありますが、この閣議決定によりますと、委員及び專門委員若干人をもつて組織する。こういうことになつておりますが、この專門委員というのはそれぞれ任命されたでありましようか、どうですか。
#16
○石橋證人 ちよつとそれははつきりしませんが、その意味は、これは役人や、また全然の素人でもだめなので、相當危險があつても今までの種々のルートを知つておるブローカーみたいな人たちも活用しなければならぬという意味で、專門の知識をもつておる者を委員にするという建前から若干はできたと思います。
#17
○徳田委員 できておりますね。
#18
○石橋證人 ではないかと思います。しかしこれはちよつとはつきりしませんので確言できません。
#19
○徳田委員 副委員長及び委員は關係各官廳官吏及び學識經驗者中より、專門委員は當該事項に關し特別の知識經驗を有する者の中より經濟安定本部總裁がこれを委囑するとなつておりますから、これは總裁は總理大臣でありますね。――そうするとこの特別の經驗を有する者というのは、結局ブローカーということになる。そのブローカーを總理大臣が委囑するわけでありますから、委囑した辭令があるはずでありますが、こういうことがなくてただ委囑したというふうにやつておるわけでありますか、どういうことになつておりますか。
#20
○石橋證人 それは私今ちよつとわかりません。何しろ混純たるものであるから、そういうふうに言われると實ははつきりしません。はたして總裁から一々辭令が出ておるかどうか、私は記憶がありません。
#21
○徳田委員 もう一つこの機構についてでありますが、「委員會は必要に應じ隱退藏物資調査班を組織し隱退藏物資等の實地調査及摘發を行う。」という、これが實行機關として最も有用のものでありまして、實は世耕さんがいろいろ指令を出されまして使をやつた人々はこの調査班の班員であるべきであると思うのでありますが、この調査班はできたでありましようか。
#22
○石橋證人 これは全部世耕君がやつておつたので、こまかいことは知りませんが、その調査班はできたはずです。
#23
○徳田委員 ところで、ここではこの資料を報告いたしております安定本部監査局からの報告によりますと、實行機關である隱退藏物資調査班はいまだ設置されなかつた。それゆえにこの隱退藏物資のことに關しましてはすべて法的根據はないと言うておる。これはその當時の委員長であられた石橋さんの今の證言とは大分違うようでありますが、いかがでございましようか。
#24
○石橋證人 それは法制上か何かの屁理屈を言えばそういう抗辯にもなるかもしれませんが、實際においては調査班はできて現にやつておつたのですから、それは全權をその委員長たる私が世耕副委員長に託し、世耕副委員長が全權をもつて調査班を組織してやつたのですから、少しも違法ではあるまいと思います。
#25
○徳田委員 そういたしますと、安定本部監査局のこの報告というものは、法律上、形式上はとにかく、實質上におきましてはこれは虚偽の報告と認めらるるのであつて、これによつて、現在安定本部に巣食つておる官僚諸君が世耕君に對して特別惡意をもつて誹謗せられたものであると認められるべきであると思いますが、石橋さんはこれをどう思われますか。
#26
○石橋證人 そういう私の主觀的判斷を質問されては少し迷惑なのですが、しかし全體の經過を申せば、世耕君にまつわつて何かスキヤンダルがあるということも種々調査して――むろんこれは結構な調査でありましようけれども、安定本部の中で、私にもそういう調査をくれた者もあります。そういう全體から見ると、安定本部の内部は世耕副委員長が活動することを必ずしも好んでいなかつたろう、こういう推定はできます。これは推定ですから、推定と御承知願いたいのですが、その逆の推定はできません。
#27
○徳田委員 承知しました。そこで、これは閣議の決定でありますが、閣議の決定によりますと、この摘發された隱退藏物資は、産業復興營團その他の機關に買上げ、これを接收せしめ買上機關は安定本部竝びに主務官廳の割當趣旨によつてこれを配給するということになつておりますが、この産業復興營團はその當時すでにできておつたものと思いますが、これらの主務官廳竝びに安定本部からこれらの機關に對しまして配給の指令を與えることに對しまして、政府はこれを認め、そしてこの指示を與えることになつておつたでありましようか、どうでありましようか。
#28
○石橋證人 押えた物資を、どうして、どこで、どういう機關が買取なり何なりをしたらいいかということはむずかしい問題であつて、いろいろ研究した結果、産業設備營園にやらせるのが、事務的にも敏捷にいくだろうし、また一言に穏退藏物資といつてもいろいろな物がありますから、それの處理にも都合がよかろうというので、あそこを中心にして引取らせることにしたわけです。しかしながら私の知つている限りでは、産業復興營團にまだ手にはいつた物はいくばくもなかつたと思います。最初二貨車くらい繊維品か何か來たことは私記憶しておりますが、これは世耕委員會ができないうちにもそういう物が來たことがあります。これも何か問題を起しておりましたが、そんなもので、産業復興營團でほんとうに買入れたとか、手に入れたとかいうものがどれほどあつたか。ほとんどなかつたのじやないかと思います。從つてそのあとの配給につきましては、これまた必ず問題が起きるので、これは實は安定本部が握つて、ほんとうにいい所に流してやろう、こう思つて意氣込んでいたわけでありました。しかしながらいまだこれを配給するまでの段取りには私の時代にはなりませんでした。
#29
○徳田委員 そこで問題になるのでありますが、この隠退藏物資につきましては、民間の情報提供者に對しては、假摘發指令書を發したり、物價の調査、集荷、輸送を委任したり、また摘發物資に關する拂下の指令書を發したりすることのできる何等の法的根據も有權的な取極めもない。こういうことになつております。これは安定本部監査局からの報告にこう言つておりますが、そういたしますと、世耕さんが今言われたようなことをやるだけの根據は、あなたが安定本部長官であられた時代にはこんなものは全然なかつたのでありますな。
#30
○石橋證人 ちよつと御質問の要點がはつきりしませんが、私の理解するところでは、今讀み上げられました中で、つまり調査摘發する權限はむろんもつていると私は理解しております。私が委員會をもつておるので、委員長である安定本部總務長官が副委員長にそれをやらせたのですから、これはむろん世耕君がもつておると私は理解しております。その摘發するときに書面が要るならば書面を出すことも、むろん世耕副委員長の權限内にあることと私は理解しております。ですから、以前の議會でその摘發書の問題が起つたときには私はそういう態度で答辯しております。ただ手にはいつた物を配給する權限はない。それは別に安定本部で考える。
#31
○徳田委員 それはわかりました。そうしますと、世耕さんがこの摘發をやつたことに對して、安定本部の今の官僚諸君はこれを違法と認める。しかるにその當時の委員長はこれを適法と認めておられるのでありますが、この處分だけは委員長も不適法と認められる。たとえば栃木縣の問題に關しましては、これをほかに處分しようとして、割當をして送ろうと思つて行つてみたところが、ないということになつておりますので、そうするとこの栃木縣における物資を處分しようとしたことに對しては、これは違法の處置と認むべきだと思いますが、石橋さんはやはりこれは違法だと認めますか。
#32
○石橋證人 ちよつと記憶がはつきりしませんが、栃木縣の問題の場合は、何かそのときにその物資をまた農村だか鑛山へ至急にまわさなければならぬという問題があつたときじやないのですか。そうするとそれは正式の手續を踏んでおるかどうかしりませんが、われわれとしてはそのものを目がけて、それをどこかの農村へまわしたいという目的をもつておつたことは事實です。ですから委員會に總括的に物を取押える權限はあるがそれを今度自分の勝手にどこへやる、あそこへやるという權限はないと私は理解しておるし、またそんなことはやつたことはありません。栃木縣の場合はその前に一つの問題があつたから、そういう含みをもつて行つたということはあるかもしれません。
#33
○徳田委員 そうすると、ここで大分いろいろの問題が起つておりますが、世耕さんのやられたことに對していろいろの問題が起つておる。この問題に對しては、石橋湛山氏もやはりその全責任を負われるということになりますか、これを一つ伺いたい。
#34
○石橋證人 むろん私は全責任を負います。
#35
○徳田委員 それでは私はこれで終ります。
#36
○加藤委員長 小島君。
#37
○小島委員 ちよつとお伺いいたします。先ほどこの委員會における調査班ができておつたはずだ、ただし法規ができておつたか、事實上できておつたはずだというふうに石橋先生はおつしやいましたが、その調査員というのは隨時任命されることになつておるのでしようか。あるいは常に一定の人が任命されておつたのでしようか。または臨時にそのときどき、その場所々々によつてその調査員というものが任命されておつたのでありましようか。その點を一つ……。
#38
○石橋證人 これは事柄が事柄ですから、一定の人をずつと常時委員にしておく、調査班にするということだけではむずかしいということは、初めからよく考えております。ですからそのところ、たとえば栃木縣なら栃木縣の事情に通じた人も調査班の中に入れる、こういう考えで調査班をつくるという考えでありました。
#39
○小島委員 そういたしますると、調査班の人員にも制限がなければ、その人はその一つの摘發が濟めばすぐその職務を終つてしまうという任命のしかたになつておつたのでありましようか。あるいは栃木縣は栃木県なりにずつと調査員として置いておくということになつておつたのでありましようか。
#40
○石橋證人 これはまだ官制ができておつたわけではありませんで、まつたく委員會のそのときの即座のいろいろの事情がやつたから、こうなつておつた、ああなつておつたとか言うと差支えが起るかもしれませんが、しかし事實は大體あの時分は何しろまだ初めた早々ですから、その事柄々々で調査班が別にできたというのが事實と思います。
#41
○小島委員 先ほど委員長は、この隱退藏物資摘發處理委員會の委員長として、これを摘發する權限をおもちになつておつたということであり、また同時にこれを處理する權限はなかつた、こうおつしやるのでございまするが、摘發された物資を處理する權限はだれがもつておつたのでありますか。
#42
○石橋證人 それはどこか委員會か何かがあつたと思いますが、經濟安定本部總務長官が主としてその權限をもつておつた。しかしながらそれだけでなく、ほかの省と連絡をしてやる、こういうことになつておつたと思います。ですから處理するときには一々安定本部總務長官なり、あるいは商工大臣なり、そういうところと相談してやる、こういうことです。
#43
○小島委員 そういたしますると、この摘發された物資は必ずしもこれを處理する一定の機關に移すことなくして、單に大臣とか、長官というようなものの權限において、勝手にこれを處理することができたのでありましようか。それとも一たん一つの何らかの機關、たとえばここに書いてありまする産業設備營團とか、そういうものの手を經なければでないことになつておつたのでありましようか、それをお伺いいたします。
#44
○石橋證人 これは産業設備営團を通さなければできません。というのは、買上げるのはここにあつたものをほかの民間の機關、農業會なら農業會へ移すというわけにはいけない。どうしても政府に一たん引取つて、政府の勘定にして、それを農業會なり鑛山なりにまわすのですから、それを買取る場合にはどうしても産業設備營團で買取らなければ買取る方法がない。しかしながら産業設備營團で買取つた物をどこへ流すかということは安定本部で研究して、安定本部總務長官の權限でやる、こういうことです。
#45
○小島委員 そうすると一たん産業設備營團で買上げなければ、いかなる大臣といえども、たとえば安定本部長官といえども、産業設備營團が買上げざる前に勝手にこれを處理する權限はない。かように了解して差支えないですか。
#46
○石橋證人 その通りであります。その通りですが、ただこういうことはあり得ると思います。事實はあつたかどうかしりませんが、さつき栃木縣の問題が出ましたから御參考までに申し上げますが、とにかく農村とか鑛山へ衣料その他をまわしたいということは、火がつくように一日でも一刻でも早くという事情にあつたことを御了承願います。從つてもしここに物があるとすれば、帳簿上ではやがて産業設備營團を經てそこで計算しなければなりませんが、現物がもしそこにあれば、すぐに適當の農村にまわすということはあり得ることであります。そういうことは私實際違法であるかどうかしりませんが、やる段取になつておりませんでしたので、やろうと思つておりましたが、實際はやりませんでした。
#47
○小島委員 私の質問はこれで終りますが、違法であるかどうかしらぬと言われたのでは、ちよつとどうも大臣として違法のものをやられるのは困りますから、その違法かどうかしらぬということを大臣は何とお考えになつておるか。違法とお考えになつておるか、違法でないとお考えになつておるか。違法でもかまわない、やるのだというのは大臣としてちよつと困りますが……。
#48
○石橋證人 それは違法ではありません。言葉のあやとでもいうか、そういうふうに即座の行動は事實としてとる。計算はどこまでも産業設備營團を通して政府資金で買取り、また向うへやる。こういう手續はとるのでありますが、急いでおる場合で物を向うからこつちへやるということはあり得たのでありますが、私の在任中はやるまでには至りませんでした。そういうことは起りませんでした。
#49
○加藤委員長 辻君。
#50
○辻委員 證言を求めるためにおいでいただきました問題の筋からはちよつとはずれるかと思いますが、世人に與える影響は非常に大きいと思いますので、この場合石橋さんの御所見を承つておきたいと思います。それは先日のある新聞にいろいろこの處理委員會のいきさつについて話をされて、そのあげく世耕事件なるものは、いわゆる泰山鳴動してねずみ一匹というのが落ちであるというふうに語つておられますが、これはどういうことを意味されておるのでありましようか。今までだんだんお話を承りますと、世耕氏の進言に共鳴させて、とにかく一千億からの物がある。少くとも自分の調査したところによると五百億くらいある。こういう世耕氏の進言を信じておやりになつたように聞いておつたのでありますが、その當時としては少くともそうした隱退藏物資というか、あるいは遊休物資があつたということは確かにお認めになつて、積極的におやりになつたわけでありますが、それは事實あつただけで、今日になつてはすでになくなつておる。こういう意味のことを仰せられたのか、あるいはいわゆる世耕事件なるものは世耕指令を中心とし、あるいは偽造によつていろいろ詐欺事件が起つたのか、そうした詐欺事件というものは結局大した問題ではない。こういうことを仰せられたのか、その邊のことを承りたいと思います。ともすれば五百億もあると言つて世耕氏はたいへん人騒がせをしておりますが、結局ふたを開けたら何もないではないか。泰山鳴動してねずみ一匹だ。特別委員會を設けていろいろやつておるが、結局最後はそんなところが落ちだというようなことを世間の一部で言つておる人もあります。これは非常に重要な問題だと思いますが、この點について現在どういうふうにお考えになつておるか。あのお言葉の意味を誤りなく傳えなければいかんと思いますので、この點をお伺いいたします。
#51
○石橋證人 新聞に書かれたように私が泰山鳴動してねずみ一匹と言つたとすれば、それはこういう意味です。あとの方の意味で、何かいろいろスキヤングルがあつて、それが政治資金云々、それが政界の相當のところに波及するようなうわさがあるがそんなことはおそらくないであらう。洗つてみれば小さな詐欺事件とか何とか、そんなものである。こういう意味であります。品物の方はあると信じております。というのはいわゆる隱退藏物資というものもあり、一應手續の上から言えば正當のルートに乘つておることになつておりましても、事實上は隱退藏物資と違わないものもあると思います。現にこの春、これは今の終戰處理費の問題でいろいろ司令部と話し合つておる間に、昨年十一月十五日の計算と思いますが、これは私今書類をもつておりませんから數字には少し間違いがあるかもしれませんが、これは確かめればすぐわかります。たしか昨年十一月十五日の計算で千數百億圓の物資を司令部は日本政府に引渡しておる。それはむろん舊陸海軍等が持つておつたものを司令部が差押えて、さらに日本政府に渡したものなんですが、その中に建築材料とか機械とをいうものも數百億圓ある。これはそういう書面がきております。その行方を突きとめたい。一體千數百億圓の物資が日本の政府に引渡されたとするならば、一體どこに引渡されたのか。私は閣議にもち出して調べてみました。内務省その他の諸君に來てもらつて調べたのでありますが、役所にある資料は、とてもそんなものはありません。わずか二、三千萬圓くらいのものが内務省あたりの手を經たようでありますが、千數百億圓のものは、どこへどう行つておるかわからない。これはどうしても行方を突きとめなければいかんというので、司令部の書類を見せてもらつて、これを寫すように復興院の總裁に依頼しておきました。その數字等については阿部復興院總裁に聽いてくださればわかる。その書類を寫したか寫さないか、そのうちに内閣が辭めましたからそのままになつておりますが、そういう經緯もあるくらいで、相當なものがまだあるということは私も信じておるのであります。ですからその方は決して泰山鳴動ではなくて、世耕君がやめたということはその點において非常に遺憾であると、私は遺憾の意を表したのであります。スキヤンダル事件はスキヤンダル事件。物を摘發し正規のルートに乘せるというのは、これはまた別な大きな問題。スキヤンダルがあつたからといつて世耕君がやめて、この仕事をやめるということは遺憾だということを申し上げたのであります。
#52
○加藤委員長 辻君よろしうございますか。
#53
○辻委員 わかりました。
#54
○加藤委員長 それでは鍛冶君。
#55
○鍛冶委員 お伺いします。今もおつしやつたのですが、この委員會のできた眞の目的は、いわゆる法律上の隱退藏物資でないかは知らぬが、退藏もしくは死藏しておるものをなるべく摘發して正常ルートにのぼそうということがほんとうの目的であつたように先ほどちよつと聽えたのですが、それに間違いございませんでしようか。
#56
○加藤委員長 本委員會というのは處理委員會のことですね。
#57
○鍛冶委員 そうです。
#58
○石橋證人 その通りです。
#59
○鍛冶委員 私はそれが一番問題だと思うのです。ところがいろいろ證人等に聽いてみますると、警察などで調べまするところによれば、昭和二十一年二月十七日、書類第八十號の隱匿物資等緊急措置令、これにはまつたもの、これ以外のものでなかつたら隱退藏物資と言われないから、ここに書いてあるものは手をつけられない。こういう頭ですべてやつておるのだと思いますが、そういう頭でやりますることは、この隱退藏物資摘發委員會のできた趣旨とは違つて餘ほど狹いものであつて、實はもつと廣いものであろうと考えておるのであります。従つて世耕さんのやられたことはもちろんその方針でやつておられるのでしようが、關係官廳に對しても、何かそういうやり方について通牒なりその他のことをやつてておられたのでしようか。それともなかつたのでしようか。
#60
○石橋證人 むろんさつきから繰返して申すように、制度の上で一應隱退藏物資でなくても事實上隱退藏物資と見なされるようなものか多々ある。それをやらなければ意味をなさない。でありますから初めからそういう豫想でありまして、閣議でも決まつております。從つて委員會でも隱退藏物資等となつたと思います。で、あれはどうも問違いやすいから今度あらためて官制でもできるときには別の名前にしようという考えももつておつたようなわけであります。ですから警察などがこれは正式なものだというふうなことを言つてきたことは――それは一應言つても差支えありませんが、われわれとしては問題にしていなかつた。一笑に附しておつた。そんなことには構わぬからやれ、これは各省にそういう通達が書類でいつているかどうか、私としては記憶はありませんが、隱退藏物資等のあの委員會は、各省の役人が委員になつておりまして、その最初の第一囘の會合は安定本部でやつた。そのときに委員長として私ははつきりそのことを申した。必ずさつきも言うたように、これはいわゆる正確なる意味の隱退藏物資だけをやるのじやない。ぐずぐずしておれば散つてしまうんだから、多少の疑惑があつても押えてしまえ、場合によつてはもつてきてしまえ、苦情も出てくるだろう。あとで問題でも起ればそれは別に處理しよう。そこまでやらなければこれはとてもやれることじやないからということを第一囘に委員長としてはつきり言明をしております。
#61
○鍛冶委員 よくわかりました。私は特に安定本部のことは長官としておつしやつたかしらんが、その點も安定本部では御趣旨に副うようにやつておらんことは明らかであります。特にえらいのは、内務省警保局關係の一般の各警察でありまするが、それに對しては特にそういうような御指令なり何かありませんでしたか。
#62
○石橋證人 私のやつていますときには、それはいろいろの苦情はあつたかもしれませんが、とにかくそれによつて少しも仕事に支障を起しておりません。ですからぐんぐんやつておつたのであります。別段あらためて指令をする必要も私は考えていなかつた。ですから故障はなかつたと思います。
#63
○鍛冶委員 その點聽きたいのですが、石橋さんさようおつしやるが事實上の成績があがらなかつたのはその點でないかと思う。先ごろ栃木縣の保安課長が出ましたときの言葉の中にも、取調べたるところ隱匿物資と認める――これは先ほどちよつとおつしやいました昭和二十一年二月十七日勅令第八十八號は隱匿物資となつている。この方は隱退藏物資等となつておりますから範圍は違うのですが、さようなことを言つて――私はそういうものでなかろう、隱退藏物資というものは、これ以外のものでも調べれば退藏もしくは死藏しているものも正常ルートへまわすのが目的ではないかと言つたのですが、さように言つてはおりません。なおまたいろいろ問題があつたという、感情の上ではいろいろなことはありましようが、現われてきているところはここいらのことで、世耕氏からのせつかくの摘發もこの理窟をもつて妨げておつたのではなかろうか、延いてはそれがもとで世耕氏の罷免というところまでいつたのではないかと私は考えられるのですが、そういうようなお感じはありませんか。
#64
○石橋證人 世耕副委員長を罷免した内部の事情は私は聞いておらないが、察すればお話のような點からきたのではないかと思います。しかしながら私が安定本部總務長官をやつておつた間においては、世耕君から折々報告がありまして、どこの府縣へ行つたところが警察部が一向協力してくれなかつたとか、あるいは先まわりしてかえつて向うの方に知らしたというようなことも聞かぬでもありません。しかし結局世耕君は相當やつてのけて、その場合には檢事局を頼むとか、あるいはいろいろの方法で、大體において妨げを受けたために仕事ができなくて因つたというような、手を上げた状況はありません。ですから私はやつておつたと思います。
#65
○鍛冶委員 大體よろしうございます。
 ついでに先ほど徳田君から質問せられた點でありますが、前の長官である石橋さんからそのような指令が出ておるとすれば、現在安定本部においても同樣の精神をもつてやらるべきものとわれわれは考えるのですが、現に安定本部の監査局から先ほど徳田君が讀まれたような書類が出ております。この書類が出たとき私は安定本部長官に質問したのですが、大體こちらは資料を出してもらうことを要求した。これは意見書なんです。これはまつたく資料を要求した者からみれば、はなはだわれわれ委員をばかにしておる。これこれの資料があるかといつて要求したけれども、これは適法であるとかどうかとか、そういうような説明だの意見だのを求めた覺えはないはずであります。しかるにかようなものが出ておる。前長官である石橋さんの今のお言葉がそのままに行わるるものならば、なおさらこういうものが出るわけはない。しかるにこんな要求もしない意見書を出して、これが不法ではない、何の根據もないと言われては、まつたくわれわれは現在の安定本部そのものの精神が了解できない。不都合極まるものである。そこに監査局長がおられるが、監査局長にその點の御答辯を願います。
#66
○國鹽政府委員 その點に關しましては、先般の御質問のときに安本の長官からもお答えがありましたように、單なる參考資料という輕い意味で出したので、さよう御了解願います。ただいま御發言のような深い意味で出したものではないのであります。
#67
○鍛冶委員 それは長官からも言われたのですが、われわれはさようには受けとれません。何もこちらから要求もしないのに意見書を出されておりますので、そのように言われてもわれわれはさようには考えません。
#68
○加藤委員長 他に石橋證人に對する御質問はございませんか。
    〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
#69
○加藤委員長 それでは石橋證人に退席していただいてよろしゆうございますね。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○加藤委員長 それではどうも御苦勞さまでございました。
    〔石橋證人退席〕
#71
○加藤委員長 それでは目白警察署における前囘の水あめ事件に關連しての證人として、先ほど申し上げました人人が出頭しておられますから、順次御質疑を願いたいと思います。ただできるだけ重複しませんように、他の委員が質問されておりますときにはよくお聽取りを願いまして、時間を有效に使つていただきたいと思います。辻君。
#72
○辻委員 昨年八月中旬と聞きますから、先日證人においでになりました有田前目白署長が仰せになりましたように、岩崎工場へ目白署で初めて臨檢に行かれたのが八月二十日でありますれば、おそらくそのときだろうと思いますが、そのとき臨檢に行かれたのは、私の聞いておりますのは目白署の矢野部長、警視廳生活課物資係の阿部巡査、それから清水さんよりも初めに情報を提供したと言われております武永利三郎さん、この三名であつたように思います。その節七千八百八十カンの水あめが發見された。これも一々數をあたつたのではなくて會社からそう言われたのですが、素人の眼で見ても一萬カン以上あつたということを情報提供者は言われておりますが、この退藏の水あめと澱粉が發見されたのであります。そのとき應待されましたのが本日おいでになつております岩崎新一郎さんと承つておりますが、そのときの模樣についてお伺いしたいと思います。
#73
○加藤委員長 ただいま御質問の日にちの點ですが、この前の證言では九月二十日ということになつております。
#74
○岩崎證人 日にちの點につきましては、たしか九月の月末と私は考えておるのでありまして、はつきりした日どりについては存じておりません。初めにおいでになりましたのは、ただいま御質問のありました目白署の矢野巡査部長竝びに警視廳の阿部巡査、もう一人の方につきましては、私は名前を再三お尋ねしたのでありますが、お漏らしになりませんでした。そして工場を案内しまして事務所にもどりまして帳簿を全部お見せいたしました。また數量の點におきましても、私は倉庫を開放いたしまして數の計算ができるような状態になつておりましたので、私といたしましてはお調べになつたことと考えております。そのときに先ほど武永さんとかいうお話がありましたが、私名前を存じませんで今初めて伺いましたので、かりに武永さんといたしますが、その方が私に對して目白署管内に三百本ばかり出してもらいたいというお話がありました。私は一體目白のどちらにお出しになりますかとお尋ねしますと、管内の子供に分けてやりたいということでありました。そういういいお話ならば配給組合に理由書を出して、配給組合が認めれば私の方としては喜んでお出しいたしましようと申したのであります。ところが配給組合を通じないで直接目白へ出してくれというお話なので、私はその點につきましてはお斷りしたのであります。それでその日はそのままお歸りになりました。今御質問の點につきましては大體そんなところであります。
#75
○辻委員 私がほのかに聞くところによりますと、その節三人を相手にあなたはお話なさいまして、本田署にどれだけいつておる、あるいは坂本署にどれだけいつておる。――私は坂本署というのは存じませんが、上野方面を管轄しておる署だそうでありまして、あの邊はいろいろなやみの物が流れておる所だそうでありますが、ここにどれだけいつておる。なお警視廳に何百カンとかいつておる。そう再々あちらからもこちらからもつつかれては困る。しかしせつかくおいでになつたのだから三百カンだけは御都合いたしましよう。その代りこれは正式のルートに乘つているもので、不正なものではないという證據を一札入れておいてほしい、こういうお話があつたように承つておるのでありますが、そういうふうなことについては全然お觸れになつておりませんでしたか。
#76
○岩崎證人 ただいまのお話ですが、私はそういつたことをお話した覺えは絶對にありません。私が配給組合に書類を提出していただきたいと言つたことを何か感違いになつたかして、そういうふうに述べられておるのではないかと思いますが、私はさようなことは絶對に申しておりません。
#77
○辻委員 その場でそういうお言葉がなかつたといたしますれば、本田署とかあるいは坂本署、あるいは警視廳なんかへもちろんしかるべき手續をとつてでございましようけれども、それぞれの管内に何かの方法によつて配給をされておつたという事實はございましようか。
#78
○岩崎證人 私のところはそういつたことは今までに一度もやつたことはありません。
#79
○辻委員 そのときに發見されました水あめのほかに、九百六十袋の澱粉があつたそうでございますが、これは澱粉統制會社から預かつてあつたというようなお話を聞いたように思いますが、これはどういう代物でございましようか。
#80
○岩崎證人 九百六十袋保管預りとしてお預りしておりましたのは事實でありまして、それは後に返還いたしましたが、それにつきまして何ゆえ保管預りになつたかということをちよつとお報告しておきます。われわれの工場で使用しておりますいわゆる甘藷澱粉、これは冬場において生産されるものでありまして、冬場におきましてはすりぱなしのいわゆる生澱粉、これが腐敗のおそれがありますので、統制會社では正式の割當のきまります前にカン割當をして、私の方に昨年は最初一萬なにがし、次に二萬なにがし、約三萬なにがしという生澱粉の割當があつたのであります。そこで私どもは配給券を産地へまわしまして引取つたのでありますが、たまたま二月にいろいろ食糧危機の問題がありましたので、配給數量が正式に割當になつたのが九千二百八十カンに減らされたのであります。そのためにあと殘量は私の方で生澱粉を干澱粉に切りかえまして保管しておつたのであります。
#81
○辻委員 それは澱粉統制會社の本社でございましようか。それとも關東支社の方でございましようか。もちろん向うの帳簿にはつきり載つて、あなたの方に保管預りになつておる品物だと思いますが、本社扱いでございましようか、支社扱いになつたのでございましようか。
#82
○岩崎證人 それは關東支社の方がわれわれの方の扱いになつております。
#83
○辻委員 水あめの原料の澱粉でございますが、昨年の入手の經過をさかのぼるようでございますが、私豫備知識がございませんので、この場合ちよつとお教えいただきたいと思います。
#84
○岩崎證人 入手經過と申しますと、本日問題になつておる七千なにがしの製品に使用した澱粉という意味でございましようか。
#85
○辻委員 殘つておりました七千七百八十カンはもとよりのこと、それ以外の製品にしてすでに水飴統制會社の方へお納めになつたもの一切に關するものであります。その數量につきましては實は先日資料をお願いいたしてあるのですが、まだ出てまいりませんが、澱粉を入手されて製品にして納められたその數量など、概略でよろしいのですが、もしおわかりになつておれば、今承ることができたら結構だと思います。
#86
○岩崎證人 そうしますと、まず最初に私の工場において、隠退藏であるや否やという使用した原料について御説明申し上げたいと思います。私の工場では自由經濟時代におきましては、毎月二萬ないし三萬本の生産能力を有し、また常にそのくらいずつ生産を續けておつたのであります。たまたま昭和十六年に水あめの配給機構が自治統制となりまして、それから原料が割當になり、そうして製品は原料に比例して配給されておつた。ところが先ほども御説明申し上げましたが、澱粉の生産される時期は大體において十月以降であります。また私どもの製品を使用するものは、簡單に申しますと菓子でございます。こういつたものは冬場において最大にお使いになつたものであります。その關係で昭和十六年に最初に原料の割當券が參りましたときに、私の方としては最大生産時期であるところの冬場にぶつかつておつたために、われわれの方は自由經濟時代のランニング・ストツクを出しまして、そうして割當の券に對する原料にその後とるというふうな方法を毎年繼續しておつたわけであります。もちろんその間には石炭事情とか、輸送の事情によつて原料の工場にはいつてくるのも遲れるし、また製品に加工する上におきまして石炭事情などがありましたので、遲れ遲れてそういうふうになつておりました。それが昭和二十年八月に終戰となりましたときには、私の方の工場はすべてその年の配給すべき製品は全部完納しておつたのでありますが、割當てられた原料は繰越し繰越しで未入荷になつておつたのであります。それを私の方で統制會社に對しまして清算していただいた材料をもつて製造しましたのがこの製品であります。元をただしますと昭和十六年以前の常に二萬ないし三萬もつておつた材料とまた製品、それといわめる操業上における歩留りの殘、そういうものがそこに浮び出たことになるのであります。
#87
○辻委員 先だつて前目白署長さんが御調査になつたその結果についての御報告によりますと、終戰當時まで二十六萬七千なにがしの澱粉の配給、それから終戰後九萬四千七百なにがしというようにも承りまして、歩留りは大體四割はない、三割くらいじやないかというお話でしたが、そうしてそれをずつとお納めになりまして、それだけの餘剩が出てきたということでありますが、七千六百八十カンというのはそれだけの餘剩が出てきたというのですか、それから委託加工を扱つたから、その量も殘つておつたということになりますか。
#88
○岩崎證人 いや、歩留りの餘りというものはそんな厖大なものではないのです。最初のお話いたしました昭和十六年に統制になる前、その當時すでに二萬本ないし三萬本はランニング・ストツクとしてわれわれの工場で持つていなければ仕事が繼續していけなかつたのであります。これはわれわれの生産だけに限らず、すべて手持というものはあるのでありまして、それが十六年に配給になりましたけれども、それ以前のものにつきましては、自己のものとして何ら規定はなかつたわけであります。そういう關係で、その品物は最後にいつて浮び上つてきたわけであります。
#89
○辻委員 その二萬本というのは、カンのことなんですか、石油カンのカンのことを本と言つておられるのですか。
#90
○岩崎證人 私は便宜上貫というのは目方にしまして、本というのを石油カンというふうにお答えしたいと思います。
#91
○辻委員 そうしますと、その二萬本というのが殘り殘つてこの七千七百八十本ということになつておつたわけでありますね。
#92
○岩崎證人 まずそう考えていただけばいいと思います。
#93
○辻委員 しかしその中で四千本ですか。これはやはりあめ會社の方にお出しにならなければならないというふうに聽きましたが、全部餘剰ということではないのでありましようか。全部餘剰ということになると、この間のお話とちよつと變つてきますが……。
#94
○岩崎證人 もちろんその問題になりました七千七百なにがしのときは、委託加工の預り物も多少含まれておりましたし、また私の方がその年において配給組合に責任供出すべき數量も多少殘されておりました。
#95
○辻委員 先ほど最初矢野部長と、警視廳の巡査と、もう一人武永というこの三人との應待の場面ですが、今お話を承りますと、全然そうしたことを話した覺えがないというお話でありましたが、武永氏は面と向つてそういうお話を申し上げておるということを申しておりますので、委員長にお願いいたしまして、次會に證人として武永氏のお呼出しをいただきたいと思います。
#96
○加藤委員長 何という人ですか。
#97
○辻委員 武永利三郎と申します。ところは追つてお知らせいたしますが、でき得るならば、岩崎さんと對決をしていただく機會をもちたいと思います。
 それから本田署長にお尋ねをいたします。先日の小杉前生活課長さんのお話によりますと、目白署がこの活動を開始する前に、すでに進駐軍の方へ投書があつて、本田署管内に相當の水あめが隱匿されておるらしいから、これを摘發せよ。これを調べてみよという指令があつて、それに基いて本田署の方へこうした通知があつて、當時すでに調査を開始されておつたそうでありますが、目白署が活動を開始されるまでには、一體どこまで御調査が進んでおられたのでありますか。その點を一つ伺いたい。
#98
○田中證人 一應それでは取調べた概要を申し上げたいと思います。昨年の八月十四日ごろであつたと思います。警視廳の生活課を通じて、内務省から管内の小谷野町三十八番地、岩崎澱粉化學工業所に次のような違反の疑いある事實に關する投書が進駐軍にあつたから、特に愼重を期して調査をし、そうして十日以内の期限付きでその結果を報告しろとの指示を受けたのであります。その違反の疑いある事實の第一點は、多量の水あめ及び澱粉が隱退藏してある。第二點は、多量の砂糖が隱匿してある。第三點は水あめがやみで賣られているという以上の三點であつたのであります。この調査の指示を受けた當署といたしましては、その指示の趣旨を體しまして、ただちに當署の生活主任と生活係の巡査部長をして同工場について調査せしめたのであります。當時水あめは八千三百二十五本在庫しておりました。また澱粉は一萬九千七百八十貫在庫していたのであります。砂糖は全然ありませんでした。水あめは相當在庫數量が多いのでありまして、その水あめはいろいろ法規に違反するのではないかということで檢討を加えたのであります。これは隱匿物資等緊急措置令の調査物資でもなく、また指定物資でもなくして、違反は全然なかつたのであります。さらに今までに流した水あめが價格違反ではないかという點についても取調べたのでありますが、その違反事實もなかつたということになつております。さらに在庫しておつた澱粉は、先ほどお話があつたようですが、私の方で調べたときも日本澱粉統制會社の關東支社から保管指示を受けて保管中のものであり、これまた違反事實はなかつたということになつております。なお製品化して在庫しておつた水あめの原料である澱粉についてもいろいろ調査したのでありますが、これも違反はなかつたのであります。以上の調査の結果は、先ほども申し上げましたように、十日以内の期限付きで内務省に報告せよということでありましたので、八月の二十三日附をもつて警視廳を通じて内務省に報告してあるのであります。以上であります。
#99
○辻委員 ではお尋ねをいたしますが、目白署で臨檢に最初動きましたのは九月二十日でございました。先日の御證言によりまして、私は八月二十日だと覺えておりましたが、九月二十日です。約一箇月經ちません。その間に二十三日附で警視廳へ御報告になつたときは八千三百二十五本というのが、目白署で調べましたときは七千七百八十本。約五百本ここで動いておるわけであります。それから澱粉の方は最初に私の方は九百六十袋と聽きましたが、今度は貫でありますので、これは私はつきりわかりませんが、一萬九千七百八十貫というのは大體何袋に相當するものでありますか。これがもし九百六十袋と相當の異同がありますれば、その間どういうふうなことがありましたか、これを岩崎さんにお尋ねいたします。
#100
○岩崎證人 ただいま最初に御質問のありました八月二十日から九月二十日ですが、この間に大分數量が減つておるということでありますが、その間において配給組合に私の方は供出しております。その點の御質問はそれでよろしうございますか。
#101
○加藤委員長 一々尋ねなくてもよろしい。あなたの言うことだけ言うてください。また次に質問が續きますから。なお注意いたしますが、配給組合に供出されたならば、供出量はできるだけ記憶に基いて述べていただきたいと思います。
#102
○岩崎證人 それから澱粉が九百六十袋、一萬九千七百八十貫というのは目方におきましてその通りでありまして、當時袋が破けましたので、それを一緒にして一萬九千七百八十貫を九百六十袋に詰めております。
#103
○本多委員 岩崎さんにお尋ねいたしますが、工場に數量の調査に警察から來たことは何囘ありますか。
 それから今本田署のお話がありましたが、それ以外に同じ目白署からでも重ねて來たことはありませんか。それから勘定すれば勘定できるような状態になつていたから、數量も調べたはずであろうという程度のことですか。立ち會つて調べてみて、確實にいくらいくらあるなということをお互いに確かめあつた數というものはないでしようか。特に調べに來た者の中で、警察以外の隱退藏物資處理委員會等の話によつて、民間の人たちが數量を確かめに來たことはありませんか。それを先に伺います。
#104
○岩崎證人 ただいまの數量を確かめられたかどうかという問題は、私の方では倉庫を開けまして、全部中にはいつていただいて調べられたのであります。そのことは二囘くらいあつたと記憶するのでありますが、私も一年も前のことでありますし、何囘おいでになつて、何囘お調べになつたということまでは記憶しておりません。
#105
○本多委員 二囘あつたと言われましたが、二囘調べに來たのはだれであつたか、名前は要りませんから、警察ならば警視廳とか本田署とかいうことを一つお伺いいたしたい。
#106
○岩崎證人 最初は本田署、その次は目白署でございました。
#107
○本多委員 それでは目白署から一囘、本田署から一囘來た以外に數量を聽き合せに來るとか、調べに來るということはなかつたのですか。
#108
○岩崎證人 本田は一囘ということは覺えておりますが、目白は一囘であつたか、二囘であつたかという點ははつきり記憶がないのです。
#109
○本多委員 それ以外はどうなのですか。
#110
○岩崎證人 それ以外はありません。
#111
○本多委員 それから殘つておつた水あめ四千何貫というものが、責任供出量以外で自由供出になる分だというので、警視廳の指圖によつて東京都その他にもつていかれたということでありますが、それはいつごろで何貫はどこへ、何貫はどこへ分配されたかということを一つお話願いたいと思います。
#112
○岩崎證人 四千五百貫につきましては、日本水飴配給組合の方に任意供出をしております。そのあとのものにつきましては、厚生省の醫療局、衞生局その他委託加工等で明治産業等にやつております。
#113
○本多委員 それを運搬された所、日と數量と、工場はお宅のでしようが、どこどこのどの倉庫に持つて行つたとか、どこの役所に持つて行つたということを一つお示しを願いたい。もしおわかりにならなければ、後ほど書面で結構ですから出していただきたいと思います。
#114
○岩崎證人 日本水飴配給組合を經由しまして東京菓子組合に四千五百本、それから兒童菓子組合に三百本、同胞援護會に二百五十本、厚生省醫療局に四百本、厚生省衞生局に三百二十本、自家保有に百八十五本、内漏れ三十一本、日本水飴配給組合または工業組合に四百二十本、それから委託加工として明治製菓に八百四十六本、厚生省醫療局に三百二十本、明治乳業に二十一本、全國農業會に十八本、地球製菓に百本、交通營團に七十本、大體以上であります。
#115
○武藤(運)委員 先ほども辻君から述べられた問題でございますが、警視廳の巡査と目白署の巡査が行つたときに立ち會われた岩崎新一郎さんですが、新報知という新聞の八月九日附によりますと、武水はこういうことを言つているのであります。調べに行くと「水アメは毎月本田署に百數十貫納めているし、警視廳にも數百貫差上げています」云々、それから續けて、「私たちは毎月五〇カンずつ隣組に配給し、日通の人夫たちも相當アメをやらないと、動かない。こんなわけで常に五、六十カンくらいアメを餘分に持つていないと困る」云々、それから、「この間本田署にアメをやり、坂本署に三百カンやり、こんどまたあなたの方に三百カンやる」、これは子供に少し分けてやるのはどうかという話が出たときでしよう。「これではいくら何でもかないません、これからこのようなことのないように一本書きものを入れて下さい」、こういう趣旨のことを言われましたか。この點を岩崎新一郎氏に伺いたい。
#116
○岩崎證人 先ほども御説明いたしましたように、今の一本書き物を入れてくれというような話がありましたが、私は配給組合に理由書を書いて出した上、配給組合が承認すれば私の方は出すということを言つたわけであります。また本田署に何カンとか、また警視廳に何カンとかというようなお話がありましたが、そういつたことは、やつた事實もございませんし、言つた事實も全然ございません。
#117
○武藤(運)委員 そうしますと、ここで田中署長に伺いたい。買つたか、もらつたか知りませんが、岩崎工場から水あめを本田署へ持つて來たことはないでしようか。
#118
○田中證人 絶對にありません。
#119
○武藤(運)委員 田中署長に伺いたいのですが、あなたの署に現職の警官で土屋明治という巡査がいるでしようか。その當時です。
#120
○田中證人 ちよつと記憶がありません
#121
○武藤(運)委員 記憶がなければ續けて伺いたいのですが、多分いると思います。これは隱退藏物資の加藤委員長に宛てたものですが、本田警察署の現職の巡査がこういう手紙をよこしております、全文讀んでみます。
 謹啓暑中の折ますます御健勝にて奮鬪の皆樣に深く感謝申し上げる次第であります。今日新聞紙上にて拜見いたしました堀切町の岩崎澱粉工場に對する水あめ事件に對しまして小生現職警官として證言申し上げます。事件の當時關係せる田中署長の命により岩崎澱粉工場より水あめ小罐、約三百匁ぐらい入りの罐、全署員に一個配給したのであります。代金未納で、當時の幹部はわれわれ巡査の倍くらいずつとり、署員の非難の的になつたのであります。水あめの配給は本田署ばかりでなく本廳あたりは一人三百匁くらい、龜有署も一人二百匁くらい配給したのであります。配給も公平にすればだれも文句を申しませんが、幹部なるがゆえに多くとるとはまことにけしからぬのであります。私はここに水あめを會社から取上げて、全署員に配給した事實を證言するものであります。」
 こういうことを申してきておるのですが、この點について事實はないでしようか。
#122
○田中證人 その點は、署長が命令したとか何とか、全然私は記憶がありませんが、もしそういうことであつたならば、調査して調べたいと思います。
#123
○武藤(運)委員 岩崎氏にもひとつ答辯してもらいたい。
#124
○岩崎證人 私はそういうことにつきまして、全然知りません。
#125
○武藤(運)委員 非常にこれは重大な問題でありまして、ただいま署長さんのお返事は實に無責任、無誠意極まると思います。これから調査をする。こういうことは非常にわかりきつたことであつて、これから調査をするとか何とか言わなくても、すぐ返答ができると思うのですが、もう少し誠意をもつてあつたかないか。あなたが命令したとかしないとかということは別問題として、ないと言われるのですが、まだそれほど古いことでもないし、もつとはつきり答辯してもらいたいと思います。
#126
○田中證人 その點は、全然署長として記憶がないものですから、そう申し上げたのでありまして、その點御了承をお願いいたしたいと思います。
#127
○武藤(運)委員 そうしますと、もしあつた場合にはどういうことになりますか。
#128
○田中證人 それは調べた結果でないと、お答えできないと思います。
#129
○武藤(運)委員 もう少しつつこんでみたい。もう少し誠意をもつて答辯してもらいたい。まじめに答辯してもらいたい全然あなたは知らないのですか。
#130
○田中證人 全然記憶はありません。
#131
○武藤(運)委員 その點は知らないと言いますが、あとで立證することにいたします。岩崎さんにお答えを願いたいのですが、目白署と警視廳で行つたときに、それではこれは正規のルートに乘せて配給をしたらよかろうというような話があつて、二十一日に新太郎さんに目白署に出頭をするように話をして歸つた。ところが、その翌日新太郎さんが來ないで、もと内務省の調査課長で大島弘夫という人が目白署に出頭し、話をして歸つたあとで、岩崎さんのところの使いの者というのが參りまして、有田署長に會つて、もうあれは供出をしなくてもいいという話を引受けて歸つたという事實がありますかどうか。また大島という人を知つておりますか、おりませんか。
#132
○岩崎證人 ただいまお話になりました出頭しろというお話はありました。そこで私の所で支配人を、最初おいでになつた翌日の日にたしかやつたと思うのであります。そのときも私の方は、私が先ほど述べましたようなことを言つただけであります。それで歸つてきたのであります。大島は知つております。
#133
○武藤(運)委員 大島というのは、どういう關係ででつておるか。これは何かの意味で頼んだことがあるかどうか。
#134
○川端證人 私からお答えいたします。大島さんは國民生活連盟で岩崎新太郎と一緒に團體をもつておる關係上、交際があるということでありまして、別に頼んで――何か畫策をしたようなお話のように考えられますが、そういうことはわれわれは存じません。
#135
○武藤(運)委員 そうしますと、頼んで畫策をしたことはないかもしれませんが、大島氏からこういう話を目白署長にしておいたというような話を聞かないのでしようか。
#136
○川端證人 そういう話もよく聞いておりません。
#137
○武藤(運)委員 もう一點清水さんにお伺いしたいのですが、清水さんの兄貴分というのか、兄弟分といいますか、椎名町に極東という人はありますか。
#138
○清水證人 あります。
#139
○武藤(運)委員 この極東という人がこの水あめ事件のしまいの方で介在をして、大久保留次郎と相談をして、農林省や東京都やそのほかに折衝をし、運動をしたいといいますか、そういうような事實があるかどうか。それは清水さん、どういう關係にあつたかお伺いしたい。
#140
○清水證人 ただいま大久保留次郎というお話がございました。私は大久保留次郎という人を存じてはおりませんが、極東――關口は從來から面織があつたように聞いております。そうしてこの事件に關しては、大久保氏が岩崎から依頼されて策動されておつて、この事件は私が最初の情報提供者であるために、關口氏を動かしてこれの緩和策を講じたようなことはたびたびあります。
#141
○武藤(運)委員 その緩和策の結果、どういう經過を經てこういうふうになつたか、もう少し詳しく説明してもらいたい。またその間に緩和策について、その後相當の金額が授受されておるかどうか。
#142
○清水證人 それに關しては、情報の提供者武永利三郎また柴田富治という人が私のもとまでこの情報を持つてまいりまして、これに對しては寢食を忘れて努力しております。その關係から大變に費用も使つたということを聞き、生活上にもその人が困つておるというので、關口氏から自分の手許金を三萬圓やつたという事實はあります。ところがそれをとりましたけれども、これは多分大久保氏の手もとから出たのであろう。こういうので、大久保氏の自宅まで竹中と柴田の兩人はつつ返しに參りました。ところがこれは大久保のふところから出たのではない、知らない、こう言つてことわつた。それがために今なおその三萬圓はある所に供託してあるそうであります。
#143
○武藤(運)委員 そうすると、その金はどこからどういう意味で出てきたものでありますか。
#144
○清水證人 その點は私は關口氏から詳しいことは聞いておりませんが、關口氏の所へ――この兩人が非常にこれに對して寢食を忘れて費用も大變使つておる。それがために、最初この隱退藏物資を摘發したときには世耕氏の方から一割ぐらいの報奨費はとれる。こういう話でございましたので、兩人はそれによつて多少は費用を使つておつたようです。それがためにまず車錢とかいろいろ使つておるから、その意味で關口氏が自分のふところ錢から出したということは聞いております。
#145
○武藤(運)委員 關口氏がふところ錢を三萬圓出すということも解せない話でありますけれども、岩崎氏に伺うのですが、こういう種類の金が岩崎さんの方からどれくらい出ておりますか。
#146
○岩崎證人 そういうことは全然ありません。
#147
○武藤(運)委員 そうすると岩崎さんにもう一遍伺いますが、昨年の十月三十一日に岩崎新太郎氏が警視廳統制課の課員を約三名、經濟局の食品課の人を約二名、東京菓子工業組合の役員約二名を神田寳亭に招待して、いろいろこのことについては御厄介になつたからというので協議をしたり、御馳走をしたりした事實があるかどうか。
#148
○岩崎證人 その點につきましてお話いたします。實は私の方が四千五百本を任意供出いたしましたので、東京菓子工業組合から、非常に感謝してくださいまして、その意味で私どもの方がお招きにあずかつたことはありますが、私の方が招待したようなことは絶對にありません。
#149
○武藤(運)委員 よろしい。その解釋は別として、それではそのときに行つた人の名前をわかるだけあげていただきたい。
#150
○岩崎證人 私は父がお招きを受けて行つたということは知つておりますが、どなたが行つたかということは、私は當事者ではありませんから聞いておりません。
#151
○武藤(運)委員 きようは實は新太郎氏がぐあいが惡いというので、やむを得ず御出頭になつた御子息にお聽きしたのでありますけれども、大體新太郎氏に出頭してもらつて直接お調べするのが私ども委員會の趣旨だと考えるのです。ですからただ知りませんというだけで言い放しにすることはできぬと思うのですが、至急行つた人をお調べの上、當委員會まで名前を出していただくように委員長からお話を願いたい。
#152
○石田(一)委員 ただいまのことに關連して、まず岩崎氏にお尋ねしたいのですが、岩崎さんの息子さんが、今の寳亭に出た人が、父が行つたので私は知りませんなどとおつしやることは、何だかこの委員會を盲扱いにしているようで、すでにそのときにいらしやつたのは警視廳の猪亦警部補ほか二名、東京都からは榎本事務官ほか二名、あんたのお父さん、行つた方がほとんどわかつておる。わかつておるのをここでしらばくれて何だか知らぬ知らぬと言えば濟むように、ちようど先日あたりの警視廳の元の生活課長の小杉君ですか、あの證人が言つたことも、この水あめ事件は知らなかつた、關口某が來て話をしたからわかつたということを證言しておきなから、今日ここで聽くと、すでに昨年の八月の中旬に本田署に警視廳が命令をして調べさせている。そのことをこの前の委員會では一つも證言しておりません。實に彼らの證言は言語道斷であります。この委員會を侮辱するもはなはだしい。私は義憤を感じております。そこで岩崎氏に一つお尋ねしたいと思いますが、目白署でいろいろあなたのお父さんやまた關係の支配人や何かが調べられたはずでありますが、第一、澱粉がいくらあつたら一本の水あめができるのか、これは御商賣柄御存じでありましようから、ひとつお話願いたいと思います。
#153
○岩崎證人 原料の品質竝びに種類によりまして、どのくらいできるかということは――大體通常の場合におきましては八割から八割五分ぐらい、これが年間平均した數量ではないかと思います。しかしながらそれはいわゆる平均のことでありまして、そのときの原料が相當品いたみがあつたり、また古いものは一定になつておりませんから、その點につきましては私もよく存じておりません。
#154
○石田(一)委員 そうしますと、あなたの會社へ昭和二十年の十一月から二十一年の十月までに民需用として九千二百八十貫の澱粉が日本澱粉統制會か何かから割當てられております。それに對して六百八本の水あめができて、これを納入されております。この計算によりますと、まず澱粉十五貫で一カンの水あめができて、百六十貫ばかり澱粉があまる。こういうことになります。さて昭和二十一年一月から八月までにやはり日本澱粉統制會か何かから乾粉といいますか、生でない分が五萬四千三百七十貫、生の分が七千八百貫、前年度の繰越が三萬六千八百十四貫、合計九萬八千九百八十四貫の澱粉があつたわけです。それを水あめにおつくりになつたときに、一萬九百六十二本の水あめを製造されております。これによつて計算してみますと、澱粉が九貫目でまず水あめが一本できて、三百二十六貫目の澱粉があまつております。さつきの計算によると、十五貫ででき、あとの計算によると九貫目で水あめが一本できる。なんだか計算が全然合つておりませんが、そういうことはあり得ることでしようかどうか、これをお答え願いたいと思います。
#155
○岩崎證人 ただいま御質問のありました九千二百八十貫で六百八本できたというのは、その目白のお取調べのあつたときに、その割當の中からそれだけの數量を出したということであります。その後におきまして配給組合の數字を出しております。大體千本ぐらいであります。
#156
○石田(一)委員 それでお尋ねいたしますが、昨年の一月ごろからこの澱粉類は日本の食糧危機に直面して、まず主食に準ぜられて、これに加工することなどはたしか禁ぜられたはずでありますが、これは御存じでございますか。
#157
○岩崎證人 私は禁止されたという事實は聽いておりません。
#158
○石田(一)委員 たしかこれには今強力なる統制竝びに監視が施されて、これを食糧方面に主としてまわすような政令または勅令手續が講ぜられたと私は記憶する。それにいたしましても、あなたが御存じないとおつしやればそれまでのことでありますが、そういう重要な澱粉が一月から二月、三月、四月、五月、六月、七月にかけて相當量入荷しているのですが、これは先ほどの自由經濟時代からの繰越し繰越しで、自分の持つておつたものを使つた。また澱粉會社からもらつたというふうな御答辯でございますが、どうも私たちはそれが納得できないのでございます。なぜかと申しますと、一月には繰越しが三萬六千八百十四貫目あり、入荷が一萬一千八百八十八貫目あつた。それが二月には入荷が三萬八千七百八十二貫目に殖え、また三月には今度は三萬九千六百貫目と、さらに約一千貫以上殖えておるのであります。こういうことをずつと計算してまいりますと、何だかこの間私たちは不明朗なものを感じます。しかもこれによつてつくられたあめは絶對に水飴統制會社から委託されたものでありませんので、このできたあめの數量全部を計算してみますと、昭和二十一年一月から六月までを調べてみますと、水あめのでき高は六月が五千六百三十七本、五月が四千二百六十本、四月が四千百八十一本、三月はなし、二月が二千八百二十一本、一月が千六十九本、これだけの水あめができておるのであります。その水あめのできた總計が一萬七千九百六十二本であります。しかもその出荷状況を調べてみると一萬一千九百四十二本出荷されております。それで帳面づらでは七千七百八十本の水あめが殘つたことになつておりますが、ではこの事件になる前の、要するに一月から六月までにおつくりになつた水あめで殘つていた七千七百八十本以外の殘餘の水あめはどこえお配りになり、またどういうふうにお賣りになつたか、四月に岩崎工業だけで二千五百八十六本の水あめを處分しているが、二千五百八十六本はどういう方法でどういう方面にどういう價格でお賣りになつたか、こまかくこれを御説明を願いたい。
#159
○岩崎證人 ただいま御質問がありましたこまかい數字につきましては現在ちよつとわかりません。
#160
○石田(一)委員 岩崎新太郎氏を證人に喚んで、御病氣のため御子息がおいでになつて、こまかい數字がわからんと言われる。が、これからもう少し進んで質問してみたいと思うのですが、それではのれんに腕おしで何ともなりませんから、この點は後日御本人が證人として御出頭がありましたときにあらためて質問するとしまして、次に清水君にお尋ねしたい。今同僚の武藤委員から大久保留次郎氏が何かこれに介在しておるということでありましたが、過日小杉前警視廳生活課長がこの事件に對して政黨方面の有力者、政治家が介在したことはないかと言つたら、一切こういうことに關係したことはありませんとはつきり色をなして言明あそばしたのですが、清水證人が事實大久保留次郎氏が水あめに關してかどうかしらんが、小杉生活課長あたりと實際的に大久保氏と何か折衡しておるところを見た事實があるとか、またはつきりした證據があるとかいうことで御答辯ができるならば、ぜひこの際はつきりこれを證言していただきたいと思います。
#161
○清水證人 お尋ねの件に關しては、當時千葉縣の農業會に約一萬二千袋の隱退藏物資があるのを當時の西村公安課長、小杉生活課長に一應その話をしたところが、さいわいに近縣大縣の經濟課長の協議場で他縣の物も摘發でき得るから一つやつてみようというお話でございまして、昨年の六月十八日、千葉縣の農業會を襄つて、約一萬二千袋の小麥粉を隱退藏物資として押えてきたのがあります。その結果が、警視廳として取扱われたときに最初は非常に乘氣でありましたが、だんだん日は進むに從つてこの件に關してはうやむやに葬られた。こういうような形になりましたので、當時の小杉生活課長に私が用件があつて行つて、千葉縣の農業會の成島會長にぜひ會つて一應この眞偽を確めてみたいから紹介状を下さいと言つて、小杉生活課長から、清水清は警視廳の協力者であるから紹介するという紹介状をもらつて、千葉縣の農業會に再三行つたことがあります。そのときに千葉縣の成島氏は病氣あるいは不在で會うことができませんで、その事件はうやむやに葬られた。こういう形になりました。そのときにちようど小杉生活課長に會うべく私が課長室に入ると、大久保氏の姿――私は面識はありませんが、大久保氏の姿はよく知つております。小杉生活課長と何を話しておられたかちようどそのときは水あめ事件の勃發當時でありましたが、姿を見たことははつきりとあります。うしろ姿を見ております。
#162
○石田(一)委員 この件について私は小杉前警視廳生活課長が大變色をなして私の質問に對して斷言あそばしたのですが、なるべく早い機會にいま一度前警視廳の生活課長、現在群馬県の警察部長やつてをいる小杉氏を證人として喚んでいただきたい。しかも私はなおなおこの件については相當追究したいことがあるのでありますが、事實證人が眞に國を憂え、眞にこういう不明朗なる事件の眞相をぶちまけて、本當に憂國の熱情をもつておやり下さるならば、相当はつきりした證言も得られると思うのですが、先ほど來、また先日來の各證人の證言を聽いておりますと、何ら一つも信ずるに足りません。ここに證人として出頭する前に、事前に内務省あたりで相談をしてみたり、實に言語道斷であります。これは本委員會の證人が虚偽の證言をしても、何らそれに對する罰則もなければ拘束力もないがために、法律に詳しい方々が計畫的にこういうことをやつていると斷ずるよりほかにありません。この點に關して私たちはより以上眞實をうがつて追究したいと思うのでありますが、私はただいま申し上げました小杉生活課長が後日證人として出頭なさつたときに、その證言によつてなお追究したい、こう考えまして私の質問を後日に讓りたいと思います。
#163
○清澤委員 岩崎さんに少しばかりお伺いしてみたいと思うのでありますが、岩崎さんの工場は澱粉もおつくりになり、あめもおつくりになるのでありますか。それとも澱粉の支給を受けてあめだけをおつくりになつておるか、この點がわからないので困つております。
#164
○岩崎證人 私のところでは澱粉をつくつておるのではないのでありまして、澱粉を藥品によつて水あめにしますので、澱粉化學工業であります。
#165
○清澤委員 それでは芋から澱粉にし、それからあめになさる工場なんでしようか。
#166
○岩崎證人 私どものは澱粉を配給受けまして製品をつくる工場であります。
#167
○清澤委員 それではお伺いしますが、この間目白署の署長さんのお話では、十六軍需工場からあめを製造するために澱粉の委託を受けたこう言われておるのでありますが、それは事實でしようか。
#168
○岩崎證人 軍需工場からでございますか。
#169
○清澤委員 十六軍需工場だかあるいは食品工場だか知らないが、それらの工場から原料の委託を受けてあめをおつくりになつた、こういうことを言うておられるのですが、それは事實かどうか。
#170
○岩崎證人 私の方では戰爭中におきましては、大體明治産業株式會社地球製菓等の製菓會社から委託を受けております。
#171
○清澤委員 それでは目白署長の言われました十六の軍需工場から澱粉の委託を受けてあめをつくつた事實はないとおつしやるのですか。
#172
○岩崎證人 いわゆる軍から直接頼まれたことがあるかないかというのですか。
#173
○清澤委員 たくさんの會社からあなたの方へ澱粉をもつてきてこれであめをつくつてくれといつて委託を受けてあめをおつくりになつたかどうかというのです。
#174
○岩崎證人 いわゆめ軍需工場というのは澱粉の配給がないわけだと思いますが……。
#175
○清澤委員 私のお伺いするのは、この間の目白署長の證言では、どこか知らないが、たくさんの工場からあなたの方の工場へ澱粉を委託してあめをおつくりになつた。こういう證言でありましたから、私もあなたと御同感なんです。そういう會社が澱粉を持ち得ないものをどうして委託したかをお伺いしたい、そういう事實があつたのかないのか。
#176
○岩崎證人 私の方は製菓會社等におきましては澱粉の割當を受けておりましたが、ただ軍需工場というのはなかつたと思います。
#177
○加藤委員長 證人もつと明確に答辯してください。
#178
○清澤委員 それでは軍需工場でなくてもよろしゆうございます。なんとか會社からでも、會社から直接あなたのところへ澱粉をもつてくるこれが委託でしよう。
#179
○岩崎證人 そうです。
#180
○清澤委員 それで一つあめをつくつてくれといつて持つてきたかこないか。
#181
○岩崎證人 戰爭中におきまして中島飛行機ありでは多少あつたと思いますが、そのほかにはありません。
#182
○清澤委員 この事件に關係しまして殘額の七千七百八十本というあめの殘量が出ますためには、委託加工をしたから、そういうものも出たのだという目白署長の御證言でありますので、先ほどから言われる會社が澱粉をあなたのところへ持つてきて委託したかしないか、この事件に關してそれだけでよろしゆうございます。
#183
○川端證人 先ほどから御質問の要旨を受取れなくて答辯が非常に曖昧な點があつたように思いますが、御質問の軍需工場から委託を受けた分量があの中に入つていたかどうかという御質問につきましては、ありません。そうして岩崎澱粉工業所においては澱粉の配給を受けておる所から委託を受けて仕事をやつております。
#184
○清澤委員 それはそれでよろしゆうございます。その次に、この間目白署長は、割當前に大體これくらいの決定がくるであろうというので澱粉を買集めた、こういうことを言つておられますが、その事實がありますかどうか。
#185
○岩崎證人 それは先ほど御説明申し上げましたが、澱粉の性質上腐敗しやすきものでありますので、例年われわれ製造業者におきましては、そういう習慣もあり、かつまた假割當として一昨年の暮に最初一萬いくら、その次に約二萬貫、合計三萬貫の假割當があつた、それがたまたま昨年度は正式割當のときに九千いくらに減らされましたので、私の方の超過してはいつてきたものを全部まとめてお返ししたわけであります。そういつた習慣が、これは統制會社時代においてございました。
#186
○清澤委員 どうも話がはつきりしないで弱りますが、割當のこない前にあんたの方で事前買付をしておつた、その後割當がきました際に、それと相殺した、こういうお話をこの間目白の署長さんは言われたが、事前買付というものをなさつたのかどうか、こういうことです。
#187
○岩崎證人 それは假割當が最初あつたのであります。假割當があつたから、われわれの方は引取つておつたのでありまして、その後正式割當がきまつたときに、假割當の數量よりは減らされたために、さういつたことをやつたのであります。
#188
○川端證人 補足的に説明いたします。澱粉の製品の性質上、假割當によつて急速に集荷しておく必要がございます。そしてあらためて正式に實際の割當をいただきまして、それで決濟をいたしまして、集荷を多くしている場合にはその分量を統制會にちやんと引取つてもらつております。
#189
○清澤委員 そうしますと、澱粉をお引取になるときは大體生澱粉でございますか。
#190
○岩崎證人 それは最初生産されるときにおきましては、生澱粉がはいつてくるときが多いのでございますが、生産工場によりましては、生澱粉の割當を乾澱粉に直して送るところもあります。それはその工場の能力に應じて、つまり乾すわくがないものは生で送り、また乾す能力があるものは生粉の割當を乾粉にして送る場合もあります。
#191
○清澤委員 その次にお伺いしますが、それは先ほども石田さんからちよとお伺いしておられましたが、この割當のありました澱粉から得ますあめは、供出の際には大體何割ぐらいと査定せられて供出しておられますか、その點をお伺いします。
#192
○岩崎證人 大體八割ないし八割五分くらいを、新しいその年の原料におきましてはすべてそういう方法でやつておりました。
#193
○清澤委員 八割ないし八割五分にやつておると言われますが、しからば材料一つ一つを檢査して、この材料は八割だ、この材料は七割だ、この材料は六割だというふうにおきめになるのかどうでしようか。
#194
○岩崎證人 それは原料によつて、一つの工場からはいりませんで、各所からはいつてまいりますので、その原料を製品にした場合の歩留りというものは絶對に決定できないものなのであります。
#195
○清澤委員 できないものを供出の際に決定しまするには、何か機關がありますか。
#196
○岩崎證人 あります。
#197
○清澤委員 そういうもはどういうふうにしてきめられておりますか。
#198
○岩崎證人 現在におきましては、その工場の設備とか、そういうものによりまして各所で歩留りは違いますが、大體の規定の供出歩留りは七割五分になつております。
#199
○清澤委員 そうしますと、さつきからのお話と大分食違いができましたが、大體さつきからのお話では、原料のいろいろな條件によつて八割から八割五分くらいの歩留りのあめができる。こういうふうにお伺いしておりましたのが供出の際には七割五分くらいに大體仕切られて供出しておられた。こういうことになりますね。
#200
○川端證人 それは正規の歩留は七割五分であります。但し工揚の設備のぐあいとか原料のぐあいで、委託してきた際はできるだけその會社としてはサービスしようという方針でやつております關係上、正規の七割五分ということで杓子定規にはやりません、サービスをやつております。
#201
○清澤委員 そうしますとあなたの工場は、委託加工以外の供出のあめはおつくりになつていないのですか。
#202
○岩崎證人 いややつております。供出も委託加工も兩方やつております。
#203
○清澤委員 そうしますと、かりにサービスが非常にいいものでありますから、それをおやりになつたとしましても、供出のものもやはりサービスをおやりになつたかどうか。
#204
○岩崎證人 もちろん私のところとしましては製品がかりに規定が七割五分であつてもなくべく餘計に、それ以上に、これは任意供出でありますが出すことをやつております。
#205
○清澤委員 どうもはつきりしませんですが、あなた方は供出の際にもやはり委託と同じように全部任意供出なり何なりによらず、できただけのものをみな返してやつておるのだ。こういうことになりますならば、七千七百八十本という問題のものは出てこないわけです。だからこの問題のものが、その食違いでできたのだというこの間目白署長のお話がありましたから、私は深切にお聽きしている。これはどうなりますか。
#206
○岩崎證人 私は先ほど申し上げましたのと同じ説明になりますが、もう一度お聽き願います。私の工場におきましては自由經濟の當時におきまして月産約三萬本の製造能力を有し、かつ製造しておりました。常にその三萬本ないし二萬本くらいの製品またはそれに要する原料は所有しておつたのであります。それがたまたま十六年に自治統制となりまして、それから以後が原料の配給、製品の任意配給になつたのでありまして、結局それ以前に持つておつた手持は私どもが任意に供出をするということであつたので、それがまわりまわつて最後に七千いくらに減つたというわけなのであります。
#207
○清澤委員 このあめの統制のことをよくお伺いしたいために芋類關係の課長か、もしくは食糧管理局長にひとつ次會に出ていただきたいと思います。あるいは昭和十六年當時の食品課長ですか……
 次に繼續的にお伺いしますが、そうしますと、こういう結果が一つ殘るのであります。七千七百八十本のあめが目白署長のお話によれば、そのうち四千五百本は正規ルートによつて配給せらるべき品物であつたと言うておられるのであります。ところが生活課長の小杉さんによりますれば、そうじやないのだ。私の調べではそうではないのだから、任意供出の形で四千五百本というものを東京都のいろいろの係の方へ渡したのだ。こう言うておられるのです。あとの三千三百七十本ですか、この分はあなた方が自由の處置をとられたのだ。こういう御證言をされております。そこであなた方にお伺いしたいことは、その目白の署長さんと小杉さんとの話の食違いを大體あなた方は感じとしてどちらを正しいと認識されるか、あなた方の感じを伺います。
#208
○川端證人 ただいまの御質問でございますが、同じようなことを考え方をかえて説明したのだと思います。四千五百本のものについては扱いとしては任意扱いを受けるべき性質のものであります。ところが岩崎澱粉化學工業でもこの方の兒童配給用にしたいと當初から考えておりました。それを當時警察の方でそういうことの御意見もございまして、それでたまたまこちらの方と警察の方との意見が合つて、そのあめは任意供出の扱いを受けるべきものであつということで御了解がいただけるだろうと思います。
#209
○清澤委員 それはあなた方の方ではそう考えておられるでしよう。そうすると目白署で取調べましたときのあなた方の答辯は、正規のルートにあるという取調べになつておりますが、そういう御供述はなかつたというわけですね。この四千五百本というものは正規の供出ルートに乘つておるのだから、その方にまわさなければならぬ。こういう供述はなかつた。こういうことになりますか。
#210
○川端證人 正規ということをどういうふうにお考えになつておるのかよくわかりませんが、實は水あめの製品は工業組合がございまして、これに一應手持の製品なども報告しまして、それをどういう方向にもつていきたいということも報告してやつております。だからそういう考えで、この原料が正規のルートではいつて、從つて正規の製品である。こういうふうにわれわれも考えておるし、そのときもたれかが申し上げたとすれば、そういう話をしたのだと思います。
#211
○清澤委員 そうすると最後の結論でございますが七千七百八十本というあめは、この生産量の食い違いですね。實際生産量が八割五分である。ところが表から言えば七割五分の委託品でも渡してよろしいし、供出の場合もそれでよろしいというものが大體手持としてここに殘つたのだ。こう解釋して差支えありませんね。
#212
○川端證人 歩留りのお話を伺つておりますと、なんだか歩留りをごまかしてためたように、――これは私の邪推かもしれませんが、そういうふうな感じに取られては困りますので申し上げますが、歩留りだけをためて出していつたものではございません。それは明治の初めからやつております古い業者でございますから、最初の方からずつとランニング・ストツクとして業者としてはたれでもそうする。内情をご存じの方はよくおわかりだと思いますが、業者は必ずランニング・ストツクは持つております。そういうものがたまたま何かの事情でそれを横斷的に發見なさつた、ごらんになつた數量でございます。それはランニング・ストツクとして續いてきたものであり、その間に證人、――私もそうでございますが、こういう所では非常になれません。それで十分の考えを申し上げることができません。そこでいろいろどじを踏みまして、なんだか歩留りだけがそれを生んだかのような印象を與えたのではないかと思います。その點御諒承を願いたいと思います。
#213
○武藤(運)委員 この際先刻の本田署の土屋明治巡査を證人として今日ただちに出頭を求められんことを望みます。
#214
○加藤委員長 ただいま武藤君から、先ほど問題になりました本田署巡査土屋明治君を證人として出頭せしめるようにという動議が出ましたが、御異議ありませんか。
#215
○加藤委員長 御異議がなければそのように取計います。
#216
○徳田委員 最初に田中署長にお尋ねいたします。この事件をG・H・Qから指令がありまして、警視廳の指揮に基いてあなたの方がお調べになつた。お調べになつたところが何ら違反すべき事實がないからこれで打切つたと言われるのでありますが、この違反すべき事實がないという。それは何ゆえに違反すべき事實がなかつたと認めたか。その理由をはつきりここで明示せられんことを希望いたします。
#217
○田中證人 それは署長が直接調査にあたつたのではないのでありまして、生活係の巡査部長がいろいろ在庫數量を調べ、さらに岩崎新太郎氏についてもいろいろ事情を調べ、さらに岩崎氏から水あめを買つておる者、關係者を調べた結果そういう確信を得たものであります。
#218
○徳田委員 そうするとこれを違反と認めないという理由は、警察では明らかに具體的に調べて、そういう結論を引出すべきものである。單に巡査が調べたからその心證でもつて結論だけ違反でないと認めた。こういうのではないと思う。それゆえに報告書にはちやんと何ゆえにこれが正當である。何ゆえにこれが違反でないと認めるという具體的な事實と理由を付して報告すべきものであると思うのでありますが、署長はそういうものは全然關知しないものでありますか。
#219
○田中證人 それは一應細かい表ができておりまして、概括的な報告はもちろん聽いておりますけれども、こまかい點についてはそこまで存じておりません。
#220
○徳田委員 それならば概括的な數字及びこれが正當であるという理由、これらについてはみな報告書があるはずでありますから、その報告書の提出を委員長に求めたい。ここで問題になりますのは、どうも田中署長はこういう事實を明らかにすると、この前に有田署長が調べられている。これと衝突すると、またまた追究されるというので、できるかぎり證言を避けておるとわれわれは見なければならん。いずれの署長であつてもこれは綿密に調べておるはずであつて、ここに證人として出頭する以上、それらの書類をすべて持參し、詳しい説明をすべき義務ありと信ずるのである。しかるにかかわらずここでは何らこういうことに關する書類を持たず、かつ何らの説明をしないことは極めて不誠實であると私は認めなければならないと思うのである。ここに有田署長のいろいろの證言によりますと、これは正當なるものと認むべき理由はない。不正當を認むべき理由は十分にある。しかるに田中署長はこういうことに關してはなんら關知せざるもののごとく、ただ結論的にこれが正當の理由ありと認められただけでこれを打ち切つておる。こういうことはこの國會に對して極めて不誠實であると私は認める。そうして何ら證人たるの價値はないと私は認めざるを得ない。でありますからこれ以上の證言を私は認めない、求めない。しかしながら當委員會は、かかる證人は、すなわち官僚はこの事案に對して極力隱藏すべき態度をもつてここに臨んでおるという、この事實に對して鋭くこれを判定する必要がある。それゆえに今後のこの委員會の調査に對しては、特にこの點をわれわれは留意し、これらの證人に對しては證言の内容を十分誠實に陳述するように豫め委員長から内意を傳えてもらいたいと思う。そうしなければ何ら問題にならないことになる。委員長にお願いする。
 次に岩崎會社の兩人のうちどなたからお答え願つてもよろしいが、次のことに對して御答辯を願いたい。目白署長の調査した報告によりますと、ここでの證言によりますと、目白署長が調べた當時の在庫品は終戰當時からのものがある。これから引續いだものである。戰爭當時は全部軍から委託されて、この工場は水あめを製造しておつたのである。ただに軍から直接依頼されたもの以外に、兵士緒君から委託されたものも相當ある。終戰と同時に、軍は潰れ兵士もそれぞれ行方知れなくなつておるから、これらが滯貨として殘つておる。むろんこのほかに統制會社からもらつたものもあるし、あるいは買付けたものもある。こう言われておるのでありますが、あなた方の本日の證言によりますと、軍との關係は全然ないように言われておるのでありますが、これがはたして事實であるかどうか。その點も確かめたいのであります。
#221
○川端證人 ただいまの御質問にお答えいたします。不幸にして軍からそれほど頼りにされませんでした。他の業者仲間に聽いていただけばよくわかると思います。私の方では軍からそれほどにかわいがられなかつたものでありますから、そういう事實はございません。
#222
○徳田委員 それならば目白署長の報告は、すべて事實をまげてやつたものと思わざるを得ないのであります。いやしくも目白署長からこの隱退藏物資に對しておなた方が取調べを受けたはずでありますが、それの證言によつてこれは成立つておるものである。あなた方が何ら言わないのに、目白署長がただ推察をもつて、これは軍がこういうふうにしてやつたために、その殘りであるだろうという推定をもつてかかる調査をしておるものとは私は認めがたい。そうしますと、あなた方は全然そうした事實に對して、目白署長にも、目白署の調べに對しても、何らかかる證言をした覺えはない、かかる答えをした覺えはないという確言をここにせられるのであるかどうか。この點を伺いたい。
#223
○川端證人 それでは私から失禮ながら徳田委員にちよつと確かめて、聽かせていただきたいのでありますが、有田署長が軍からそういうものを委託してやつておつたものが解約になつたと斷言されましたかどうか。
#224
○徳田委員 斷言されましたかどうかでない。これはちやんと速記録にあるのでありまして、あなたは私が單なる想像によつて言つておると思つては間違いである。これはちやんと速記録というものにとつてある。一々速記があるのでありまして、うそを言うはずはない。うそは言えないのであります。これは委員諸君全部聽いておるのでありまして、この問題はこの前にも問題になりました。かかる問題は、軍が委託した以上はこれは政府のものであつて、政府が受理すべきものであるということを質しまして、さんざんに質して、これがどうして隱退藏物資でないと認めるか。これは特殊物件であり、もちろんこれは政府が受理すべきものを、このまま受理せずにおるものであるならば、これは隱退藏物資であることは明らかでないかということを念を押しておるのでありますから、斷じて間違いない。あなたがそう言うなら速記録を出して十分證言したいと思います。
#225
○川端證人 徳田委員の御説ごもつともだと思います。ただし速記録にそういうものでないかと思われると書いてある點を斷言とお考えになりますかどうか。
#226
○徳田委員 そういうものが斷言であるとかないとかいう問題でない。そういう證言をしておるのであるから、そういうふうな問題であるかないかという問題ではない。向うではそういうように證言をしておるのである。これは委員がみな聽いておる次第でありまして、そういうふうに疑いがあるならば、速記録を調べてみます。
#227
○加藤委員長 前會の有田證人の證言を確かめるために、今速記録を取寄せます。
#228
○石田(一)委員 ただいま岩崎氏の方の川端君ですか、軍からの問題は全然關係がないというようなことをおつしやいましたが、よく御考慮にならないと、これに大きな問題になると思います。なぜかと申しますと、岩崎側は目白警察署に調べられたときに、前年度前年度の澱粉の配給を受けておる。たとえば二十年度のものは十九年度に受けておる。そこで十九年度分として十八年の十一月から十九年の十月に軍の方から五萬四千五百七十二貫の澱粉の配給を受けておるはずだ。それから昭和二十年度分は、昭和十九年の十一月から二十年の十月までに、軍の方から軍需として三萬四千四百六十三貫の澱粉の配給を受けておるはずであります。ただし今度二十一年度分としては、敗戰したから民需だけであつて軍需はないが、少くとも十九年度分、二十年度分として五萬四千五百七十二貫と三萬四千四百六十三貫、これだけは軍の方の澱粉が配給されておるはずであります。
#229
○川端證人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。今の量はわれわれの考えによりますと、明治製菓を通じてきた量のことではないかと考えられる數字のように思われますけれども、これを直接軍から委託を受けたことはございません。
#230
○徳田委員 それならばもはや明かでありまして、有田署長の證言とはまつたく違うのであります。從つて有田署長に對しては、かかる事實を陳述したことがないと認めざるを得ませんが、そうするとこの事實はないかどうか。これを證人から明らかにしたいと思います。私が言うた事實に對して、あなたの方は一言も目白署の取調べに對して言うた覺えがない。こういうことだけ明かになればよろしい。
#231
○川端證人 お答えいたします。軍から直接そういう委託を受けたということを、陳述したことはございません。
#232
○徳田委員 それについてはよくわかつた。そこで次に澱粉の配給のことでありますが、あなたの方では假割當をもらつてこれを集荷したといわれる。この集荷は直接生産者から集荷するのであるか。それとも澱粉統制會社からこの割當切符をもろうのであるか。いずれか一つ判明さしてもらいたい。
#233
○岩崎證人 割當は日澱から出まして、集荷する場合には、われわれが直接は生産工場に對してその割當券を出す。直接いただくということは長年例としてやつておりました。
#234
○徳田委員 そういたしますと、これは統制上重大な問題であると思います。これは證人には直接關係はありませんが、もしそういうことをするとすれば直接澱粉の統制會社から引受けるのではなく、割當證をもらつていつてとるというならば、その間の關係にはずいぶんくさい關係の生ずる可能性がある。これは統制問題のところへいつてわれわれは十分考えなければならないことがあるのであります。しかるにここでお伺ひしたいのは、本割當になるまでの假割當でこれを集荷する。こういう場合におきましては、本割當になつた場合にこれが餘つたり少くなつたりする。そういうときにはこれを一遍あなた方から澱粉會社に返すのか。それとも假保管をして、次の假割當で集荷するときにこれを差引くのであるか、いずれか。
#235
○川端證人 そういうやり方については、去年始まつたものでありまして、私の方では返しております。
#236
○徳田委員 そうすると昨年以前、すなわち戰爭中はどういうふうな處置をとられておつたか。この點はつきりさしていただきたいのであります。
#237
○岩崎證人 戰爭中よけいにはいつた場合でありますか。
#238
○徳田委員 いや返したのは昨年からだ。假割當をとつてあとで清算するということは、昨年からだと今岩崎證人は言われておるのでありますが。戰爭中にはどういうふうな割當をされて、どういうふうにこれを集荷したかということをお尋ねするのであります。
#239
○岩崎證人 割當は、昨年以前におきましては、第一囘、第二囘、第三囘というように期間をわけて割當が來ておつたのであります。それですからわれわれは當にそれを豫思いたしまして、第一囘の割當が來れば、多少それに集荷がよけいになつた場合においても、例年第二囘の割當が來、また第三囘の割當が來ておつたのでありまして、これは習慣として生産者が長年行つていた方法であります。
#240
○徳田委員 そうするとこれは、割當から餘ると次の割當にこれを繰趣していく、さらにこれが次の割當に繰越すということになりますが、昨年から特にこれを澱粉統制會社に返すということに變更になつたのは一體どういう理由でありますか。
#241
○岩崎證人 それは役所の御方針でありまして、先ほども御説明いたしましたように、われわれが何ゆえに第一囘の割當のときに超過してとるかということは、われわれが、強いてそれをとるのではなくて、生産者が、澱粉が生産される時期におきましては、生であり、腐敗のおそれがあり、かつそれを干して長い間貯藏する、製品にしまするには相當期間がかかるのであります。いわゆる芋の集荷をどんどんして生産する時期におきましては、むしろわれわれの工場に割當より超しても、どうせ第二囘、第三囘の割當があるということが例年でありますから、それを見越して製造業者が送つて來たのであります。これにつきましてはわれわれの方は逐一日本澱粉の方に報告をしておるわけであります。
#242
○徳田委員 目白署長の證言によりますと、彼らの調べた當時九百六十袋ありまして、この九百六十袋のうち幾部分かが統制會社のものだというので、この分だけはあなたの方にかりに委託されておる。すなわち向うの所有であるけれども、あなた方の方がこれを保管されておつたという事實を陳述しておりますが、これは相違ありませんか。
#243
○岩崎證人 それは九百六十袋全部が委託者のものでありまして、一部分ではありません。
#244
○徳田委員 全部統制會社のものですか。
#245
○岩崎證人 そうでございます。それははつきりと目白のときにも私はお話もし、また統制會社の方のお問合せもしていただいたのであります。
#246
○徳田委員 そういたしますと、この當時におきましては、すべて統制會社の委託品であるとすれば、あなた方の方においては材料がないはずでありますが、そうすると當時はあめ製造はすでに停止されておつたことになりますか。
#247
○岩崎證人 工場の修理改善のために、七月から十二月ころまで製造は全然やつておりませんでした。
#248
○徳田委員 よくわかりました。さらに有田署長の言うのには、當時持つておつたのは七千七百八十カンであつたが、そのうち四千五百カン――これは後に小杉證人の答辯によりまして變更されたのあでりますが、最初は四千カンと言つておつた、四千カンを差引いた三千七百八十カンというものが手もとの殘品である、この四千カンだけは統制會社になるべきものである、こういうのであります。そうすると、三千七百八十カンはこれは退藏された物資ではないかと突きましたところ、彼は、そうだ、これは退藏されておる物資だと自分は認めると言つておる。はたしてこれが退藏であつたかどうか。
#249
○岩崎證人 私の所におきましては、七、八千本という數重は大體一週間ないし十日くらいの間に製造されるのでありまして、先ほど申し上げましたように、工場の修理、改築のためにやむを得ず七月までに生産を了えまして、それを十二月までに大體配給する豫定で、日本水飴配給組合に對しましても、七千百三十本配給すると報告もしております。またこれに對しまして私も直接お話したことがあるのであります。ですから自分としては退藏する意思は毛頭ありません。いわゆる水あめの最大需要期である十、十一、十二と、それまでにこれを供出する豫定であつたのであります。
#250
○徳田委員 そうすると、ここは非常におかしいのでありまして、實を申しますと、小杉證人の證言によれば、四千カンが統制會社のものではなくして、實は四千五百カン統制會社のものであつた。その殘りは農林省、厚生省明治製菓その他あらゆる會社の委託品であつたと言われておるのであります。あなたの證言によると、七千七百何カンがすべて供出されるべきものである、配給されるべきものだと言われるのでありますが、ここに一大相違を生ずるのであります。これは非常に奇怪なことだと思いますが、どういうことでこうなつておるのでありますか。
#251
○岩崎證人 今の七千七百八十本の中には、委託加工もはいつておりました。
#252
○徳田委員 極めて證言は不明確でありまして、かかる事態に關して時々刻刻證言が變るようでは、これはまつたく信用ができないのでありまして、すでに同僚諸君からも信用ができないということをたびたび申されたのでありますから、折角ここまで足を運んで來られたのであるけれども、こういうような状態ではとうていだめでありますから、これはぜひとも責任ある本人岩崎社長をここへ證人として喚ばれたいのであります。この證言はまつたくわれわれ了解に苦しむことばかりでありますから、この點を特にお願する次第であります。
 それから最後に清水さんにお願いしたいのであります。この事件の發端におきまして、すでにこれはG・H・Qからも、こういう隱退藏物資の疑いがあつて本田署の方へ調べるようにという事があつたそうでありますが、この事實を御存じの方でこの情報があつたのでありますか。あなたの方ではこういう事實を御存じであつたでありましようかどうかということをお問い申したいのであります。
#253
○清水證人 實はこれは目白署で大體依頼いたしましたのは、最初私がちようど當時の隱退藏物資緊急勅令が出ましたときに、東京都の第一號の調査員證を目白署から受け取つておりました。何かまた隱退藏物資があつたならば知せてくれないかと言つておつたときに、たまたま武永利三郎、それからもう一人友人の方と二人が、實はこうこうこういう隱退藏物資があるのだ。これを前に何でも話に聞くと本田署で調べたことがあるそうだが、これは岩崎の背後に相當有力な方がおるので、ただちにもみ消される。何とかして警視廳か目白署で一つやつてくれないか、こういう話でした。ところが先ほど申し上げた通りに警視廳でも、前に私が隱退藏物資を摘發したときに、一つうやむやに葬られておるために、警視廳では頼むに足らず、そういう關係から目白署に依頼したのであります。これは本田署でも一應調べたがうやむやに葬られた。そのときに話を聞いておりましたが、本田署にもあめをやり、警視廳にもあめをやつた、こういう事實があつたということがつけ加えられておつたのであります。
#254
○徳田委員 清水さんの御證言はなかなか明瞭でありまして、私を裨益するところ非常に多大であります。さらに國を思われる憂國の誠意によりまして一層この證言を明確にされたいのであります。目白署におきましても諸君がせつかく御盡力くださいまして、目白署がいよいよ調べるようになりましたのがなぜ打切るようになつたか、打切るようになつた事情につきまして何かお聞き及びのところはありませんでしようか、その點もお願いいたします。
#255
○清水證人 この件に對しましては毎日私が警察の方へ出向きまして、この情報を毎日聽取りにまいりましたところが、三四日したあとで目白署の取調べておる下級の者がこれは非常に大きな事件である、まず本式にかかれば半年ないし一年はかかります。ところが上司の方から、警視廳の方と言いましたが、捜査打切りの命令がきたから、遺憾ながらここで打切ることになる。そこで私はすぐに有田署長のところに行つて、どういう理由でこれを打切ることになつたか、警視廳の命令だと下級のものが言つておるが、事實を聽かせてもらいたいと言うと、有田署長は、實は警視廳から中止命令が出たのではない、これは本廳の方へ一應の報告をした。報告するとその緊急命令に對する該當物資に當らないからそれがために捜査を打切つた。しかし社會道徳の觀念から見たときに隠退藏物資であるから、これは何とか政治的に解決をつけた方がよからう、こういう話でありましたので、たまたま私の先輩である關口愛治氏を通じて、關口氏が世耕氏と面識がありました關係上世耕氏に話をしたのであります。そうすると世耕氏が一遍有田署長に内務省に來てもらいたいというので、翌日關口氏と有田署長が行かれて報告をしたが、その歸つてきたときの有田署長の意向を聽くと、われわれは政務官の命令系統ではない、警視廳の命令系統なら動くが政務官の命令では動かないのだ、われわれ警察官は法令によつて動くが、法令以外のことには動くことができないのだ、こういうことを言つておりました。それでたまたま私がその後、現査本田署の管轄内に、これは世耕氏の手もとまで報告してありますが、まだもう一つ大きな事件があるのであります。これはドラムカンにはいつた潤滑油、あるいは菜種油が本田署管轄の地下に埋つておる、本田署管轄の小泉正吉という石鹸工場であります。これもその後事件がうやむやに葬られた。これも本田署が多少介在しておられるというので、私は國民として實際官僚のやられることに信がおけない、これに對してはもつといくらもありますが、眞實を申し上げます。
#256
○徳田委員 清水さんの御答辯は非常に明答でありまして、私をして感動せしめることはなはだしいものがあるのであります。さてこれで清水さんは打切りますが、決しておだてるわけではないのでありまして非常に感激しているから、こういう言葉が出たわけであります。ここで本田署長の田中さんと、それから岩崎の御兩入樣に、もう一遍お三人ともそれぞれ御答辯を願いたいのであります。この事實に關しましては新聞紙上その他におきましても非常に明確にあなた方の不當の行為、これはもつと追究いたしますれば犯罪行為と認められるべき事實がすべて、摘發せられているのであります。しかして證人は、これに對して自分らの現在の證言がここで明確に否定されている。しからば國家に對し諸君が忠誠であられるだろうと思いますから、國會を欺くような答辯はなさらないとしたら、ここに諸君は十分に名譽を毀損されているのであります。この名譽毀損に對しては諸君は國民として、またこの國會に信頼をもたらすためにも、諸君はこの名譽毀損に對して堂々法律上爭わるることができると思うのでありますが、この點に對しては私が特に何も教唆するわけではありませんけれども、これだけの御自信があるかどうか、そうすればこれが明確になります。今のこの國會における證言は非常に相違をしている。非常に大紛亂を來すほど相違をしているのでありますが、これに對してわれわれは明確なる認織を得ることができるのであります。その點を諸君はどう思われますか、ひとつ御決心のほどをお尋ねしたいと思うのであります。
#257
○川端證人 ただいまの御進言でございますが、まつたく同感に存じます。われわれもこうしてここにまいりましたのは社長が病氣で動けない。だからお斷りしたら延ばしていただけるのではないかとも考えましたけれども、こういう問題はいちはやく皆樣に申し上げて、正しいものは正しい、惡いものは惡いのだという點をこの國會の權威にかけて判斷していただきたい。われわれは名譽毀損を他の部門、どういう機關へ訴えたいなどというようなことも考えておりません。最も權威あるものは國會である。國會の皆樣方に訴えて判斷を請うことが一番大きな方法である。こういうふうに考えまして私たちはここへまいつて、皆樣に十分の御批判をお願いしているわけであります。
 さて先ほどからいろいろ私たちの言うことが曖昧であるというようなお話もございますけれども、私たちは國家に忠實である。國民としてこの危局を乘り切るために何とかしたい。憂國の至情においてはたれにも負けません。そういう意味におきましてわれわれはここへ出て來たのであります。けれども慣れませんために十分皆樣に抱懷しているところを申し上げられないで、こういうような結果に陷つてはなはだ御迷惑をかけたのではないかと思いますけれども、何分にも素人でございますから、素人にものを聽くというように、手數でございましようけれども、十分に繰返して聽いていただきたい。それから岩崎澱粉化學工業というものは、社長の意圖によりましてガラス張りの營業であります。こういうような考え方でやつております。從つて社長がまいりましても、われわれがまいりましても、申し上げるところは同じでございます。從つて先ほど武藤委員から何何の席上へ行つたのはだれだれか、こういうような問題については多少御答辯申し上げかねる問題がございまするけれども、これは先ほど石田委員から、こつちでわかつているのだというようなお話もございましたから、これは解消したものと思いますが、素人にものを聽くのだ、こういう場面に慣れない者に聽くのだという態度で一つお手數でもお願いいたしたいと思います。私の方でも知つておること、皆さんの參考になることは精一ぱいのことはお答え申し上げたいと思います。
#258
○徳田委員 岩崎さん、田中さんにもちよつと御答辯願いたいと思います。
#259
○岩崎證人 私もただいま川端さんのお話がありましたのと同じ考えであります。
#260
○田中證人 御親切な御忠告をいただきましたのですが、よく檢討をいたしまして善處したいと思います。
#261
○徳田委員 ここで大體はつきりしたと思いますが、これは素人に對しましてわれわれがあまりに苛斂誅求をしているわけではないのでありまして、事はわかりやすいことであつて、かつ御當人樣たちはこのことに關しましては自己の事務でありまして、われわれ以上に十分内情を御承知のことと思うのでありますから、何ら答えるのに特別むつかしいことはないのであります。ただ事實を事實として述べられるだけのことでありますから、何ら私たちは追究をしておらぬと思うのであります。決して同僚も全部特別專門の人でなければできないようなことはしておらぬと思いますから、その點は一つ御了解をくだされたい。しかしわれわれの心證をここに明らかにするためにわれわれは聽いておるのであります。本日の證言によりますれば、どうしても岩崎御當人樣をお喚びして、そしてこれをはつきりさせなければいけない。この證言は私たちにはどうしても腑に落ちない點があるのでありますから、ぜひとも岩崎さんを喚んでいただきたいのであります。
 次に別の面でお尋ねしたいのであります。先ほど石橋さんに對するわれわれの質問……。
#262
○加藤委員長 ちよつと徳田君、こちらの水あめ事件についての證言をほかの委員の方から先に濟ませたいと思います。本多君。
#263
○本多委員 清水さんにお伺いしたいと思いますが、清水さんは武永、柴田兩君あたりと岩崎工場の水あめ、澱粉の量について調査されたことはありますかどうか。また自分で參加して調査されないでも、柴田、武永兩君あたりで調査したということをお聽きになつたことがあるかどうか。そして調査したものがどの程度正確なものと認められるかどうかということを一つお伺いいたしたいのであります。
#264
○清水證人 常時目白署で、本來は警察の規則として管轄外の仕事を扱うわけにいかないが、しかし一應本廳に具申してみようというわけで電話をかけましたところが、本廳の生活潰から阿部巡査というのをよこしたわけであります。そこで武永が道案内をいたしまして矢部巡査部長、塚越巡査が參つたのであります。それ以外には行つておりません。
#265
○本多委員 そのときに調査されたとすれば、警察官の調査された數量と、柴田、武永兩君とも立會つておつたのですから數量は一致しなければならぬはずだと思いますが、その數量のことについて違いがあるような話をお聽きになりませんでしたか。
#266
○清水證人 私の知つている範圍では、その當時の澱粉が一萬九千八百貫餘であつて、水あめは約一萬貫弱ほどあつた。こういう數字であります。そのほかにあつたのは大麥百俵、粟が五十俵あつたという報告で、大麥と粟とは從業員用に保有しているというので、警察官は手をつけなかつたという話を聞いております。
#267
○本多委員 一萬九千袋ですか。貫ですか。
#268
○清水證人 目方です。
#269
○本多委員 それからあめは七千八百貫くらい、目方にして全部で十六萬貫はあるのだという話をお聽きになつたことはありませんか。
#270
○清水證人 そういう數字は聽いておりません。
#271
○本多委員 そうすると、これに關連して、私は十六萬貫の數量があつたということを立證し得られるのじやないかと思いますので、武永、柴田という人を次に證人としておいで願いたいと思います。
 もう一つ清水さんにお伺いいたしますが、關口という人から武永、柴田兩君に三萬圓の金を渡した。親分が子分に渡した金でありますから、そのときは納得してもらつて歸つただろうと思いますが、それを後で突き返えすという氣になつた經緯について、御承知の範圍内でお話し願いたい。
#272
○清水證人 武永、柴田氏は關口氏の子分ではございません。はつきり申し上げます。私も關口愛治の子分ではございません。家業柄、關口愛治と連絡はありましたし、兄、弟の縁は結んでおりますが、子分ではございません。それでこの發端は關口氏と世耕氏は面識の間柄でありまして、當時世耕氏が非常にこの隱退藏物資に御熱心にやつておられる。そういう關係から私がたまたま調査員の名をもつておつたために、清水、何か材料があつたら世耕氏の方に報告してやつてくれ、情報提供者には一割くらいの報奬をもらつてやるから、何とかして協力しろ、國家のためだ、こういう關口氏の命令で、實は方々に私は口をかけたのであります、たまたま御承知の通り露店で一つ一圓くらいで賣つているあめ商人が、警察に引張られたり、留置場に入れられたりしている現状を見て氣の毒に感じ、その先の大本を追究するということをわれわれ願つておつた。たまたま水あめの事件が起つて、こういう大きな問題を官僚の方がどういうようにされたか。これをうやむやに葬るということについては、われわれ最も心外に思つている一人でございます。そういう關係で關口氏にも、私の方では武永、柴田兩人が毎日警察に情報を聞きに來ておりました。だんだん正月も迫つておりましたので、これがはつきりすれば報奬がもらえるのだから、もらつた時には君等に與えるからということを約束しておりました。關口氏がたまたま、日にちは忘れましたが、これは兩人にはやらないで、いろいろ使つているだろうからやつてくれといつて私の手もとに届けましたから、これを御兩氏に渡した。これはどこから出ただろうという話でございましたから、どこかわらぬが關口氏の懷ろ金であると言つているが、これには大久保氏が介在しておられるのだからという想像のもとに武永、柴田兩氏は大久保氏のもとに突き返えしに行かれた。ところが大久保氏も、この金はおれは知らぬ。おれが出した金ぢやない、知らないから受取ることはできない、こう言つてこられたそうであります。それからその三萬圓を私の方へもつてきたけれども、私の方でも受取らぬために、それは現在供託しておるということを武永氏は最近言うておりました。
#273
○本多委員 關口という人が個人的な情誼からふところ金を出してくれたのであれば結構でありますが、そういう意味のある場合に三萬圓という金を――今私が子分と申し上げたのはまつたくそういうことをちよつと私が思い込んでおつたものですから申し上げたのでありまして、この子分ということは取消しておきます、どうしてもこの點は一應、まつたくそれだけのつもりでやられたのであるかどうかということを明らかにしておかなければならぬと思つておりますので、これはあとの問題にしたいと思います。
 清水さんに重ねてお伺いいたします。目白警察署で調べられた數量と、工場の方で言われることと一致しておりますが、この數量には間違いないとお考えになりますか。
#274
○清水證人 數量においては私は警察の取調べのときに連日行つておりまして聞いております。おそらく岩崎氏の方から報告された數量でございましよう。また當時取調べに行つたときの數量も概略でありますがほぼ一致いたしております。取調べたときの數量、それから現場へ案内して見てきたときの數量と一致しております。それは私今ここにおられる岩崎新一郎氏の顔も知つておりますが、取調べのときにお父さんが來られなくて、この方が再三來ておつた姿も見ております。この方が取調べの際におつしやつた數量でございましよう、數量には變りありません。正確の數量にはよしんば變りがありましても、概略においてはほとんど變りがないと思つております。もう一言申し上げますのは關口氏の辯護ではありませんが、一萬人という子分をもつておる親分であります。任侠の人であります。困つたときには一萬や二萬の金をいつでも出しておる人でありますから、私はあえて不思議に思つておりません。
#275
○本多委員 實は警察へ同行したり、警察の手を通じたりして調べる以外に、その柴田、武永兩君、あるいは世耕氏の命を帶したような人たちが別な方法で調べたいということがありはせんかと思つて聽いておるのでございますが、その別な方法で調べたという事實については御存じありませんか。
#276
○清水證人 當時武永という人は目白署へ私が紹介をいたしたのでありますから、たまたま取調べておるときに調室が狹いために、ちようどタツチするわけではありませんが、そばにおつて聽いたようなこともありまするが、その後目白署の矢野部長はどうぞ取調べのときには表に出てもらいたい、こう言われてその後取調べの席には參りませんでした。そういうようなことはあつたのでございます。けれども直接岩崎氏を調べたとか何かしたとか、そういう行為は全然なかつたと私は申し上げます。
#277
○本多委員 それからもう一つの點ですが、關口氏の人格について、それくらいの金は常に出すような人だからその金は怪しくないのだという意味の御證言がございましたが、實はその金をやつた覺えがないと言う大久保氏のところへ返しに行つたところに非常に大きな疑惑を生じてくるわけでありまして、清水さんがその金を取次がれたとすれば、もう少しくその金の性格というものを御承知になつておるのではないかと思われる。あなたが取次がれたときの感じでその金を大久保氏へ突き返すということがありそうなことだと思われるのか、まつたく見當違いだというふうに思われるのか、その邊を一つお伺いしたいと思うのであります。
#278
○清水證人 そういうような疑念を抱かれることはごもつともでございまするが、當時武永氏も非常に生活上困つておられた。何とかしてやらなくちやならないということは關口さんも、おれも責任がある。そこで世耕氏の一割の報奬を出す、何とか引張り出してこい、こういつた氣があるのだが、それがうやむやに報告せられた以上は、兩氏は非常に骨折をられて、これについてはほとんど四月位の間はこれのみに没頭されて非常にお氣の毒だ。殊に生活にも困つておるということを言つたために、關口氏がああいう任侠の人だから出したものと思う。その後大久保氏に返しに來たときも、兩氏はこれは大久保氏が介在しているということを耳にした。だから大久保から確かに何したのじやないかという想像もせられるでしよう。それで大久保の所に返しに行かれたということは後日聞いております。事實大久保から金が出てそういうようにまわつてきたものであるかどうかというのは、これは當の岩崎さんの良心に訴えればはつきりすると思います。
#279
○本多委員 清水さんは關口さんが同情をしてそれについて金をあげようとしたことについても非常に筋道の通つたようにお話がありますが、最後には岩崎工場の人が考えてみればよくわかるというようなことを言われるので、ますますこれは疑惑を深くするような感があります。それからもう一つこの際お伺いしておきたいことは、この金を供託をしておられるということでございますが、だれあてに供託をしておられるのでございましようか。
#280
○清水證人 この點は私は聞いておりません。どこに供託されておるか、それはいずれ武永證人をお喚びになるとわかります。
#281
○本多委員 それでは私の清水さんに對する質問はこの程度にいたしますが、やはりこういう問題について非常に疑惑を殘すということは遺憾でありますから、武永、柴田御兩氏を水あめの調査その他今のいきさつについての證言を求めるためにお願いいたします。
#282
○鍛冶委員 私も簡單でよいのですが、清水さんにもう一言伺います。取調べに行くときに武永が一諸に行つたのですか。武永が行つてきた事情は聞いておりますが、聞いておられたならば詳しく伺いたいと思います。
#283
○清水證人 むろん報告は聽いております。それは先ほどどなたか委員の方からお話がございましたように、相當警察の者との應答があつたそうでございます。そのときに實は約三百貫という供出問題でございますが、やはり新聞に出ておりました通りのことはそのとき情報は得ておるのでございます。これはその當時に聞いております。その後翌日三百貫供出を、目白署へ出てきたときに、これは有田署長からも聞いております。持つてきたけれども、この事件がはつきりしない以上は無理に供出させる必要がないから斷わつたということは有田君から聞いております。
#284
○鍛冶委員 柴田というのは行かなかつたのですか。またどういう關係ですか。
#285
○清水證人 情報の最初のあれが柴田氏と武永氏でございます。それが私の方に情報をもちこんだのであります。それだから道案内としては武永が同道しております。
#286
○鍛冶委員 柴田は行かれなかつたのですね。もう一つ本多委員が聽かれたのですが、あなたは關口から預つて金を渡したのだから、もどすならば預けた者へもどすのがほんとうだと思うのですが、それがなぜそういうおかしな筋途になつたのですか。
#287
○清水證人 それは柴田、武永兩氏の心境にあることでありまして、その當時大久保氏が相當活躍をしておられるということはわれわれも實は耳にしておつたのでございます。岩崎の方に頼まれておやりになつたか、また大久保氏の任意でおやりになつたか、その點は不明でありますが、いずれにしても大久保氏がこの水あめ事件に關連して相當警視廳へも出入りしておられるということを聞きました。それで議會でたまたま關口さんと大久保さんと會われたということも聞いておりますから、そういうような點から、これに介在しておるのじやないかという武永氏あたりの疑惑はたしかにありました。それで武永氏は大久保氏にも、また柴田氏は大久保氏とも面識のある間柄だそうですから、そういう觀點からいつて、御一身の想像によつて大久保氏が介在しておるものではないか。むろんそれにはその三萬圓を返してくれというお話があつたが、それは關口さんの方は云々と言われておつたから、その要旨を傳えたのであります。だから確かに今本多さんのおつしやるようにそこに疑惑があり、あなた方から關口へ返すのは本來でないとおつしやるのは當然ですが、その當時多少疑惑の點はわれわれもその當時關口を怪しんでおるわけではないが、あるいはそういうところから出たものではないかしらという疑惑はたしかにもつておつたのであります。だから大久保氏のところへまず當りかたがた柴田、武永兩氏も行つたのではないかと思つております。
#288
○鍛冶委員 先ほど田中さんですか、あなたの方で調べたときに八千何百カンがあつた。その八千何百カンが目白署で調べたときには七千七百八十カンその數量の差を明白にしていただきたい。その五百何十カンをどうせられたか。それをあなた方お二人で明白にどこそこへ渡したということをお聽きしたいのであります。
#289
○田中證人 私の方はその後の處理の状況は目白でやられたかどうか存じません。
#290
○鍛冶委員 前にあつたのは……。
#291
○田中證人 八千三百二十五カン、その當時の在庫はそれだけあつたのでありますが、その後目白で調べたときに七千、それだけ減つておるのは結局岩崎さんから御答辯を願いたいと思います。
#292
○岩崎證人 こまかい數字につきましては、この次までに調べてまいります。大體におきまして日本水飴配給組合と工業組合を經由して出しておるのであります。もし個別的に御入用ならばお持ちいたします。
#293
○鍛冶委員 それでは次會までにその數量及び行先を明白にしていただきたいと思います。
#294
○川端證人 ただいまの御質問でございますが、水飴統制組合を通じて出してございますから、そちらに行つて調べてまいります。こちらの方から直接に出してございませんから、調べてまいります。
#295
○鍛冶委員 あなたの方から出されて、どこそこにどれだけが行つたかということを……。
#296
○加藤委員長 その點は水飴統制會社で出されたというのであるから、水飴統制會社について調べて數字を……。
#297
○川端證人 御必要があれば調べてまいります。
#298
○石田(一)委員 これは關連して、先ほど私は言い殘したのでありますが、田中證人の言葉によりますと、すでにこれは内務省を通じて警保局長あたりから警視廳に命令があり、警視廳から十日間以内にこれを取調べろという命令があつたので、これを調べたという御所見でございました。そうすると先ほど私は證人として、前に出られたことのある小杉氏を、もう一度ここに證人として喚んでもらいたい。なぜかというと小杉氏は全然こういうことを申しておりません。何だか曖昧で、ただその處分にあたつては、世耕氏の意を體して私の責任においてこれを處分した。ただ經過を上に報告したというだけであります。そこで私はその當時の警保局長竝びに内務省、それと關連して關係當局から至急取調べろと言われた人たち、こういう人たちが出て、はつきりこの問題の解決した結末を、その人たちから聽かなければ全然わからないと思います。第一ただいまこの岩崎君からの處分の問題について、引揚同胞連盟とかいうものに三百カンとか、どこそこへ二百五十本とか配給した。帳面づらではそうなつておりますが、引揚同胞連盟か何かにその配給されたというところの證人を喚んでみなければ、事實どれだけのものが配給されたかどうか。全然これは不明であります。私が聞くところによると、引揚同胞連盟に三百本のあめが配給されたとか、菓子の組合を通じて兒童にあめが配給されたということは、事實無根であるというようなことも私は耳にしておるのでございます。でありますから、でき得るならばまことにめんどうなことでございますが、こうした末端配給を受けたというところをひとつはつきり證人なり、帳薄なり提出を願いたい。私はこれを委員長の御判斷によつておきめ思いたいと思います。
#299
○徳田委員 さつきの有田證人の證言ですが、これは速記録を向うの方に示してください。
#300
○加藤委員長 それはやります。
#301
○清澤委員 清水さんにちよつと伺いますが、ただいま露店商の取締りとして、現實にあめの問題等で留置場等に留置せられるような者に非常に氣の毒さを感じておる。そういうような觀念からこの問題に手をつけられたと言われまするけれども、大體私らが想像してみましても、このあめは大體どこから出てくるかというくらいのことは、ああいうところで始終取締りの任にあたつておる清水さんとしては、大體の見當が常についておられるだろうと思う。それと同時に今問題になつております水あめだが、市場に出ておりますのはさらしあめだと思うのでありますが、そのさらしあめが、この水あめと何か關係をもつておつたというようなお考えのもとに、尋ね尋ねて岩崎さんの水あめの問題に突き當つた。こういう關係が考えられますが、その點はどんなふうになつていたのですか、あなたの御想像なり、そういう經路をひとつできましたらお知らせいただきたいと思います。
#302
○清水證人 いくらか私の言葉をはき違えておられるように思いますので、はつきり申し上げておきます。露店であめを賣つております人、その當時は主食の加工品は販賣してはまかりならぬというきついお達しだつたので、もちろん露店でも賣らしてなかつたのですが、たまたま隱れて賣る者があつた。日暮里に朝早く五時頃行くとあめ市場というものがあつて、問屋、ブローカーなどがそこに出張してきて、そこへ露店商は買いにやつて來るのであります。そこでこの露店のあめからこの原因がわかつたのではありませんが、そういうような關係であめに限らず、いろいろ最近商いがしにくくなつてきたために、いろいろな問題で始終警察にあげられるのであります。そういうときにたいがい小さい問題のみ解決して、その先の大きい本まで衝くということを今まで警察ではやらないのであります。そういうことを感じていたときに、たまたま私が隱退藏物資の調査員ということで、目白署から東京都發行の第一號という證書をいただいて、緊急措置令で活躍していたときです。そのときに私は五つの隱退藏物資、警視廳が一つ、目白署で四つ調査員をやつておつた。そのうちで滿足に行つたのは、日本橋の繊維品と、それからさけカン商とこの二つは滿足に行つておりますが、そのほかは不滿足で、最後にはわからぬような状態にはいつております。そういう状態でこの水あめ事件がたまたま業者からもち込まれたが、これはよい問題だからひとつ警視廳でやつてみようと思つたところが、先ほど申し上げた通り露店商が手をつけ、またすでに相當の有力者がはいつてもみ消そうとしておるから、これは警視廳頼むに足らず、本田署頼むに足らず、ひとつ目白署でやつてみたらどうか。私の立場としても自分の管轄内だから目白署にひとつ手柄を立てさしたらどうかというようなことで頼んだのであります。あめの違反が起つたために、この水あめの問題を探したという意味ではありません。そして水あめをまた加工してさらしあめにするということは、私素人で何もわかりませんが、水あめを原料に買つて、それをさらしあめにしたり、いろいろに加工するのだそうです。そういうことを聞いております。
#303
○清澤委員 その問題に關連して、世耕さんにちよつとお聽きしたいのですが、今いろいろお話しておられますところによると、七千二百八十カンの目白署の調査のあめのことが問題になつておりますが、この間世耕さんの方では、その後人をやつて調べたときにはなお多數の、十四萬貫でしたかのあめがあつて、それを押えたとかいうようなお話があつたと思うが、私の記憶違いでしようか。その點をひとつお伺いしたいのであります。
#304
○世耕弘一君 お答えいたします。私の記憶いたしますのは大體十四萬貫であります。金高にして六千萬圓、こう踏んでおります。なぜ六千萬圓と踏んだかと申しますと、それは時價ということを附け加えておるはずです。當時上野竝びに日暮里方面で石油カン一カン四千圓ないし五千圓で朝早く賣り買いしておるということを實は報告を受けました。これは警視廳管内からの情報を受けまして、きつと何か後ろに大きなあめ問屋がいなくちやならぬ、それでこういうことになるのではないか、こう思うておる矢先、實は新たな目白署の例の問題が耳に及眼んできた、關口君との最初の話は――關口君は警視廳に行つたように私は聞いております。それで警視廳で話をしたのですが、警視廳はらちが明かぬ、たまたま知合いの内務省の警保局長にこの摘發について相談した。警保局長に相談したけれども、どうもピンとこない。なお警保局長から紹介を受けて防犯課長に話した、その防犯課長から警視廳にあらためて交渉を開始した。けれどもそのときもおもわしくなかつた。最後に私に腹を割つて相談にきた。こういう經路というように私は記憶しております。貫數の十四萬貫ということは、あるいは一萬貫、二萬貫は食違いがあるかもしれません。大ざつぱな計數を私出しました。ただ時價で六千萬圓という金は、その當時のやみ相場を標準にして見積つたということを申し上げさしていただきたい。なおこまかい数字が當時説明されておりましたけれども、全部それを水あめに直した貫數で私は記憶をとめております。十六萬貫ということは言うた覺えがないようです。大體の數字はそういう見當で私は調査を進めていつた。なおこの機會に申し上げますが、その目方がはたして完全に摘發されたかどうかということについては、幾分の疑惑が殘つております。それはなぜかと言うと、小杉生活課長が私に報告するように適當なる機關を通じたという報告でありましたけれども、實際報告はなかつた、というのは私の記憶は十四萬四千貫、こういうように大體記憶いたしております。正確な數字ということは申し上げかねます。
#305
○清澤委員 そうしますと世耕さん、大體あなたの方で七貫目で今約八千カンと仕切りましても、五萬六千貫という大體見當になりますが、あとの十四萬貫との差額の貫數は世耕さんの手もとでは立證する何ものも今おもちがない、こう解釋してよろしうございますか。
#306
○世耕弘一君 當時の報告によりますと澱粉が多量にありました。それもつつこんで、あめにして十四萬貫という計數を私は立てたのであります。
#307
○清澤委員 わかりました。
#308
○野本委員 世耕さんの御講演の速記によりますと、「こうやつてやつと出てきた水あめが、今度はいわゆる正規のルートを通つて處分されたかと言えば、これはさらにおもしろからざる話が多く出るので、私はここまで觸れたくない」、こうおつしやつておりますが、このおもしろからざる話というのが、實は私が聽きたいところであります。
#309
○世耕弘一君 この機會にはつきり申し上げますが、それは先ほど新聞をお讀みになつた材料に一致するような問題が私のところに報告されてきた。それは本田署にあめが出されておつた。警視廳には一千カン、こう言つておるが、その一千カンは目方であるか石油カンであるかははつきりいたしませんが、一千カンということを記憶しております。目白署にやつたということは私は初耳であります。だから結局警視廳が水あめをなめ、地元の警察があめをなめておるようでは、世の中に出ないのは當り前だ、私はそのときにこういうように實は直感いたしました。そのくらいであります。
#310
○野本委員 なおこの際委員長にお願いしておきますが、われわれがこうやつて熱心にこの問題について研究しておりますこの一刻々々に、私どもがねらつております大事な物資が、きわめて活發に移動分散しつつあるということを頻々として耳にいたすのであります。委員會といたしましても、政府といたしましても、この點に關しまして最も迅速に適切な方策について御考慮を願いたい。以上であります。
#311
○武藤委員 ちよつとそれに關言して……。清水さんにお伺いしたいのですけれども、今本多委員の問題の三萬圓の性質、出所について質問がありました最後のお答えに、それは岩崎氏の良心に聞けばわかるというような趣旨のことを言われたようですけれども、まことにどうも聞捨てならぬ言葉だと思うのですが、どういう意味でしようか。つまりそれは、多分岩崎氏の方からもみ消しのために出たのだと思うけれども、自分ははつきりそれが證據を立てることができないから、よくわからない。それは岩崎氏の良心に訴えるほかはないという趣旨に伺つていいのですか。
#312
○清水證人 あなたの考えていらつしやるような考えがいいと思うのであります。
#313
○武藤(運)委員 それから川端さんと岩崎さんに伺いますが、先ほど岩崎會社の營業はガラス張りの營業であるし、國會に對する尊敬と誠意を失わないというような、まことにりつぱなお話がありまして、最後に神田の寳亭でしたか、そこに會合したときの人名についてはいささか遠慮をしなければならないので申し上げかねた事情があるというような趣旨のことを申されたと記憶いたしておりますけれども、名前がわかつておるのでしようか。また行つた人は、だれとだれが岩崎から行かれたのですか。
#314
○川端證人 私は遠慮をしなければならないからこれを申し上げない。そういうことを申し上げませんでした。こういうような特殊な問題については知らない問題もありますけれども、大體營業の状況はこれは正しくやろう。人のために盡くそう。こういうようなつもりでやつておりますから、これはだれに見せてもはずかしいものはない。かつわれわれも、だれもよく知つておるのだ。社長だけが秘密でこそこそやつておるのではない。こういうことを申し上げまして、最後の問題、先ほど恐縮ですけれども武藤委員がおつしやつたことを例にいたしましたわけで、宴會に寶亭へ買收のためか何か知らないけれども呼んだのではないか。その名前を言えというようなお話であつたけれども、そういうことは、われわれはないのだ。そういう買收等の行為は絶對に會社としてやらぬ。しかもその場合に、向うからそれに似たような事件は四千五百カンの供出をしたために感謝の意味で、一度その關係者がわれわれの會社の社長を招待したことがあると思う。そのことではないか。話は逆ではないでしようかということを岩崎氏から申し上げまして、私はそれを例にこういう問題でだれが出ておつたかということは、私たちには十分に即答できないことがあるかもわからないけれども、營業の内容については大體ガラス張りでやつておりますから、われわれに質問をして、素人にうまく――うまくと言うと失禮でありますけれども、私たち素人がここに立つて、心臓の弱いところでやつておるのを助けていただいて、そうしてひつぱり出していただくという方法をお手數ながらやつていただければ、私たちは金剛力、知つておるところをお答え申し上げましようと申し上げたのでありまして、遠慮しなければならないから、これを差控える。そういうくもつたことは言いません。
#315
○武藤(運)委員 その點は速記録を見ればわかると思いますけれども、買收のために呼んだとか感謝のために逆に招待したとかいうことは別といたしまして、とにかく神田の寳亭でそういう會合があつて、警視廳の生活課の人と東京都の經濟局の人が參りまして、會食をしたという事實があつたこと、そこへはだれが岩崎の方から參つたでしようか。また警視廳及び經濟局から參つた人の名前が一人でも、石田委員からあげられておりますが、岩崎、川端の御兩名からおわかりになつたら、お話を願いたい。
#316
○川端證人 はなはだ遺憾に考えますけれども、どうもそれは私たちではわかりません。後ほど調べまして、お返事申し上げます。調べましたらよくわかります。岩崎からは社長が出ております。
#317
○小島委員 あめを四千百本、これを正當のルートで配給なさることになつたということを承つておりますが、それにつきまして、どこにどうして配給したらよいのだということについて御相談なさつたことがありますか。
#318
○川端證人 こういう水あめの製品は自治統制という方法を用いておりまして、水あめの統制組合、工業組合、そういう所が斡旋して扱つてくれるものでありますから、手持のものは、そこを通じて出します。
#319
○小島委員 その統制組合を通じてお出しになることはよくわかつておりますが、その前に大體どういう所に配給したらどうだというようなことについて、だれからか話を聞いて相談の上で――とにかく配給する先は、もちろん統制組合を通すのですから、そこにお渡しすればいいのですが、その前に一體どういう所に渡していいかということについて、だれかと御相談なさつたことがあるでしようか。
#320
○川端證人 この四千五百カンの問題につきましては、岩崎の方でも、これは都内の兒童の配給用に出したいという豫定でございました。たまたまこういう問題がございましたときに、警視廳の方がこういう方面へ出せばいいのじやないかと思う、そういう方面に最も有効に用いられるからというようなお話があつたそうです。こちらの方でそういう豫定をしておりましたものでしたから、私の方ではそれを遂行したということに重點があると考えます。
#321
○小島委員 そういたしますと、先ほどの海外同胞引揚者とか、そういうものに渡したのはまた個別のあめなのですね。
#322
○岩崎證人 それはやはり七千七百八十本のうちから出ております。
#323
○小島委員 七千七百八十本の中から出ておることは確かでございますが、四千五百カンとは別なものでございますね。
#324
○岩崎證人 そうでございます。
#325
○小島委員 そういたしますると、四千五百本というものは委託加工したものかどうか。それは別といたしまして、とにかく正式ルートに載せるべきものであるということで載せられたものと私は了解しておるのでありますが、そのほかの海外引揚同胞援護會その他のものにお出しになつたのは、何ら出す必要はないけれどもお出しになつた。こういうことでありますか。
#326
○川端證人 そういうことではございません。業者の組合でこちらの意思も申し上げ、そうしてこちらの方へ出させてもらいたい、こちらの方へ出したらどうだ、こういうような自治統制でございまして、行先がきまつて行くわけであります。從つて四千五百本は東京都の方にやる、そのあとの方は、工業組合とも御相談の上でこちらへときめていつたもので、全部正規のルートで出しております。
#327
○小島委員 わかりました。正規ルートでお出しになるということはわかつておりますが、その品物をお出しになる先というものは、自治統制だから、大體においてあなたの方の御意思で配給先はきまるわけでございますか。
#328
○岩崎證人 ただいまお話のありましたように、われわれの意思も尊重し、また配給組合の意思も尊重いたしまして出したのであります。
#329
○川端證人 補足して申し上げておきまするけれどもこれはただ一人岩崎澱粉化學工業のやり方ではございません。長い間の業界の慣習でもございますし、特にこれはいわば公認されたやり方として業界においてとられておる方式でございます。
#330
○小島委員 ではもう一點でけ聽いておきます。この七千七百八十本ですが、そのときにその中で配給なさつた配給先でございますが、それについて配給したことのないところに配給なさつた――たとえば海外同胞援護會に以前配給なさつたことがありますか、それともあなたのお店としては初めて配給された配給先はありませんでしようか、それを一つお聽きしたい。
#331
○岩崎證人 海外同胞援護會等につきましては、前に委託を受けまして、われわれの方としては取引があつたのであります。
#332
○小島委員 ほかに新しいものはありませんか。
#333
○岩崎證人 新しいものとしては厚生省などの例があります。
#334
○小島委員 そういたしますと、そのときに配給なさつた配給先は、全部前から配給したことのあるところばかりなのですか。それとも全然新しいところはありませんでしたか。
#335
○岩崎證人 その中で新しいところもあつたと思いますが、大體において過去において出ておるところえ續いて出荷したような次第であります。
#336
○加藤委員長 それはあとから資料をとることになつております。
#337
○本多委員 ただいまの七千七百餘本の水あめの配給先は大體わかりましたが、自治統制で協議して配給されたと言われますが、その協議した相手方は、その委員會みたようなものができておるのではないかと思いますが、會社はどこと協議されましたか。
#338
○岩崎證人 それは日本水飴配給組合に御相談を申し上げたわけであります。
#339
○本多委員 日本水飴配給組合に相談されて、それだけで直接配給されたわけですか。
#340
○岩崎證人 これは先ほども御説明いたしましたように、自己の保有量でありましたから、御相談いたしまして出したのであります。
#341
○本多委員 保有量であれば、統制會社を通さないで出しても違法になりませんか。
#342
○岩崎證人 それは統制會社を通さなくても違法になりません。
#343
○川端證人 ここで一言お願い申し上げますが、先ほどからお話を承つておりまして、私たちの答辯では不十分だというお話もございますけれども、社長は、先ほども事情を委員長、議長まで申し上げまして御了解を得たのでございますが、膽石でございまして、當分の間はまつたく動けないと思います。從つて私たちは徹宵しても結構です、是々非々、正しいことは正しいとしてやつていただきたい。私たちは差支えなければ徹宵しても一向構いませんから十分審議をしていただきたいと思います。
#344
○加藤委員長 私語を禁じます――靜肅に。
#345
○清澤委員 さつきの岩崎さんお二方にお伺いいたします。
 そう興奮しないようにお願いします。委託というのが私にはわかりませんのですが、委託加工だとおつしやれば、原料を會社があなた方の工場へ持つてきて、これをあめにしてください、こういうことを私どもは委託だと了解しておる。ところが先ほどのお話ではそうではないのだ、そういう割當があつて、それは澱粉統制の方からこの分は引揚同胞會なら同胞會、あるいは何々會社なら何々會社、水飴統制會社なら水飴統制會社の方へこれだけのあめをやるためにその材料としてこれだけの澱粉をこれこれの工場からとれ、こういうわくがあなた方のところにくるのではないかと思うのであります。ところがそれが委託だとさつきおつしやつたように聽いておるのでありますが、私の解釋としましては、委託というならば、海外引揚同胞が澱粉をもつてきて、これをつくつてくださいと委託する。こう解釋してよろしいのか、どちらになるのか、いま少しはつきりと……。
#346
○岩崎證人 ただいま御質問のありました後者の場合でありまして、つまり委託加工と申しますのは、いわゆる澱粉をお持ちになつておりますところが私の會社に對して直接加工を依頼するのであります。ですからただいまのお話は後者の方であります。
#347
○清澤委員 そうすると、あなた方は長い間業者として澱粉統制等のことは御存じだろうと思うが、私にはよくわかりませんが、大體あなた方が水飴統制會社の方につくつて出すものはこれは正式のルートということになれば一つの机上割當でずつとくるのではないかと思いますので、それがかりに海外同胞という、あめを製造することもできない一つの團體が、もしくは工場が、澱粉をもらつて、それをあなた方のところに自由契約によつて委託するということはどうもこれは正當の手續ではないと思いますが、その點はどういうふうにお考えになつておりますか。
#348
○岩崎證人 ただいま同胞援護會の例がございましたから、これを例にとつて申し上げますと、私の方は、同胞援護會の仕事はわれわれの同業で燒けました工場がありまして、その工場が同胞援護會とは取引もあり、私の方としてはそれを通じて委託加工を前に受けたことがあるのであります。これは七千七百八十本の中の同胞援護會へ出た分は委託ではございません。委託というものはそういう形で同胞援護會においてはやりました。
#349
○清澤委員 ちよつとそこが私には勘が惡くてわかりませんが、というものなら、當然この一つのわくとしてこれだけの水あめがあなたの方からまわつてくる、もしくは他の工場からまわつてくるとしての水あめのわくはもつが、澱粉のわくをみづからもつということはあり得ないのではないかと考えるのであります。かりにつくだ煮工場があるとすると、これはつくだ煮をつくるためにこれだけのあめが割當になるとするならば、それはあなたの方からわくとしていくのであつて、逆の方法で澱粉がその食品工場へ割當になつて、それをあなたの方へ自由契約するというわくのとり方がとられておるかどうか、こういうことなのであります。それはないだろうと私は想像する、素人ですからその點をお伺いするのであります。ここはどうなつておるのか、あなたの委託々々とおつしやるその委託加工は後の場合か、前のようにあなたのところからこの澱粉ほ何々食品工場へいく水あめとしての澱粉としてお扱いになつておつくりになることを委託と言われるかと、こう聽いたので、そうではないのだ、食品工場から直接來るのだ、例は今海外同胞でおつしやいましたが、食品工場であつた場合にはどうなるか、その委託をした場合には澱粉というものは正當のいき方になつて、逆の何か間違つたところから澱粉が來ておる。こういうことになりますか、その點の委託はどうなるか。
#350
○岩崎證人 ただいま食品工場のお話がありましたから例をとつて申しますと、明治産業株式會社は長年私のところで委託をやつておりましたが、明治産業が直接海運總局なら海運總局、どこならどこからとわくをとりまして、その原料を私の方に委託されるのでありますから、はつきりしておるわけでございます。
#351
○清澤委員 その澱粉のわくをとつてですな。
#352
○岩崎證人 そうです。
#353
○清澤委員 わかりました。
#354
○本多委員 さつき續いてちよつとお伺いすればよかつたのですが、こういうことをお伺いしては恐縮ですけれども、七千七百餘本でしたか、これを目方にすれば四、五萬貫に當る水飴だと思いますが、そういうものを、責任供出をした殘りであれば全然自治統制という自由販賣で、統制會社を通さないで勝手なところへ出せるということはまことに大きな缺陷のように思いますが、その責任供出を統制會社にしたのであれば、そういうことをしてもよろしいようになつておるのでありますか。
#355
○岩崎證人 昨年までにおきまして、いわゆる配給組合を通じても配給組合を通じなくてもいいという規定がありまして、私の方はその當時日本水飴工業組合というものにはいつておりましたのです。組合が二つありますけれども、私はその方にはいつておりました關係で、いわゆる責任供出量は配給組合を通じ、また任意供出のものもできるだけ多く配給組合を通じて出したのでありますが、もう一つの組合においては、直接配給組合を通さずに、組合自體で配給をするというようなものもあつたのでございます。
#356
○本多委員 私のお伺いしているのは、そういう大量な水あめを統制組合を通さないでも違法でないという、これが非常に大きな缺陷であつたように私は考える。これは思うに責任供出量さえ統制會社に納めれば、あとは自由販賣が認められておつたのだというように聞えるのですが、そうですか。
#357
○岩崎證人 ただいまお話になりました自由販賣というのはどこへでも勝手に出していいという意味ではなく、いわゆる配給組合とも、または工業組合とも御相談して、われわれの方の希望を容れていただいて配給しておつた、そういう意味なのであります。
#358
○本多委員 それはもちろん公定價格でやられるのですからその點は間違なかろうと思いますが、どうも四、五萬貫に上る水あめが會社の意向、配給組合の意向だけで法律上の拘束を受けないルートに流れたというところに非常な缺陷があるように思われるし、そういうことがあるためにだんだん手持は――つまり自由處分のできる、自治統制で配給のできる分量が殘されるように運營していく弊害を生ずるのではなかろうかというふうにも感じられる。これは委託製造にしても、ある程度渡して行けばだんだん殘つたのは終いには自治統制のルートで流すことができるからというようなことにはまあなるわけでありますね。
#359
○鍛冶委員 くどいようだがお伺いいたします。さつき同胞援護會へ警視廳が中にはいつて出した以外の四千五百カン以外に配給會社に納めた、渡したとこう言われましたね。四千五百カン以外のものを同胞援護會に出されたと言われましたが、それは同胞援護會から委託を受けてやつたのですか、どういうのですか、もう一遍伺います。
#360
○岩崎證人 四千五百本は日本水飴配給組合を經由いたしまして東京菓子に出したのでありまして、お話の同胞援護會は、そのときの數量は私の方が同胞易護會に配給をいたしたのであります。
#361
○鍛冶委員 いくら配給されたのですか。
#362
○岩崎證人 二百五十本であります。
#363
○鍛冶委員 それは委託を受けておつたので出されたのですか。委託じやなくて出したのですか。
#364
○岩崎證人 この分は任意で出したのであります。
#365
○鍛冶委員 それじやもう一つ聽きましよう。そのほかにも任意なり、委託なりで出されたものはありましたか。
#366
○岩崎證人 兒童菓子工業組合へ三百本、厚生省醫療局に四百本、厚生省衞生局に三百五十本、日本水飴配給組合に四百二十本、自家保有として百八十五本、うちに漏れが三十一本ございます。次は委託加工の方でございますが、委託加工といたしまして私の方が原料をいただきましてお出しましたのは明治製菓へ八百四十六本、厚生省の醫療局が三百二十本、明治乳業へ二十一本、全國農業會へ十八本、地球製菓へ百本、交通營團へ七十本、こういうふうになつております。
#367
○鍛冶委員 そうすると委託でないのは合計していくらでありますか、わかりますか、委託でなくあなたの方で任意に供出されたのは……。
#368
○岩崎證人 今計算いたしましたら概數でありますが六千五、六百本だと思います。
#369
○鍛冶委員 四千五百を加えてですね、そうすると二千百本になるわけですね。これは何で聽くかというと、この間目白の署長が出たときに三千何百本かは全部委託であつた。そのほかのものが四千五百本あつたので、それで出さしたと言われた。そうするとあなた方の言われるのと違う。今言われたことは間違いないのですか。
#370
○岩崎證人 私はこの事件の起きる大分前に、水飴配給組合に對しまして、厚生省の醫療局と同胞援護會、兒童菓子等へ出す概算の豫算でありますが、出すと言われましたのでその當時に私どもやりましたので、今のお話の四千五百本以外すべてのものが委託加工であるということではございません。
#371
○鍛冶委員 四千五百本について配給をするかどうするかと、いうことは警視廳であなた方と相談してやられたのではないですか、もし相談があつたならばどこでどういう相談をしてそういうことになつたかちよつと聽かしてください。
#372
○川端證人 先ほどちよつと申し上げましたが、四千五百本の問題につきましては、大體私の方で當初から都の兒童用の配給にまわしたい、こういうように考えておりました。たまたまこういう問題がありまして、警視廳の小杉課長のところで、こういう水あめは東京都内の兒童配給用にまわしたらいいと思つておるというお話がございました。それを出したのであります。
#373
○鍛冶委員 小杉課長の部屋で、どこどこということはそのときに指定されなかつたのですか。ただ四千五百本出すというだけですか。
#374
○川端證人 東京都でございます。水飴工業組合を通じてであります。
#375
○加藤委員長 大體田中、岩崎、川端、清水四證人に對する御質疑は今日は一應終つたと思いますので、なお多大の疑義が殘された點については、岩崎、川端の兩證人には再出頭を求めることにいたします。ついては先はど徳田委員から岩崎、川端兩證人に對していろいろ質疑をなさつた場合に、前囘における有田證人の言葉を引用されましたが、有田證人の證言は念のために速記を朗讀いたします。「岩崎新太郎という人は大體二十年ほど前からこの小谷野町で工場を經營しまして、水あめの製造に從事いたしておつたのであります。戰爭中は軍の註文等が非常に多くありまして、一時その月額生産能力は二萬カンくらいに達したのであります。かなり大きい水あめ工場でありまして、約七、八十名の工員を使用して盛大に操業いたしておつたのであります。しかし終戰後は原料の割當が非常に少くなり、その年額能力が月額能力にも及ばないというような高でありまして、當時の年度における生産高は千七百六十二カンしかつくつておらないというような状態であります。」それから「終戰前軍が勝手に各部隊から澱粉を持つて行つてさまざまに加工を委託したものが、終戰と同時にお流れになつてしまつたものがあるらしい。この數量ははつきりいたしません。そういうふうの關係から約七千七百八十カンというものがそこに殘つておるわけであります。しかしその中で四千カンは日本水飴配給統制組合に供出するものですから、實際に岩崎という人の手もとに殘つている水あめは三千七百八十カンだけしかない。その後さまざまにこれが調べられたことがあるそうでありまして、本田警察からもしばしば調べられ、あるいは警視廳生活課からも調べられたということがありまして、この品物をさばくことができなかつた。」こういうふうに證言しております。だから軍の關係ということは今日あなた方が證言なすつたところと、前會における有田證人の證言とは明確に食い違つたものであることをはつきり御承知おき願たいと思います。
#376
○徳田委員 監査局長にお尋ねしますが、本日あなたもお聽きの通りであります。石橋前安本長官の證言とあなたの方の出された資料とには非常に大きな違いがあるのであります。あなたの方は調査班というものは全然できなかつたということを出しております。全然隱退藏物資調査班は未だ設置できなかつたというのであります。ところが石橋さんの證言によると、これはできておつた。これは適法である、何ら差支えないものであると言われております。さらに本日清水證人からの御證言によりますと、目白署から第一號の調査員の證書を貰つた、これは東京都發行であると言われておるのであります。そうすると、あなたの方から出されたこの資料と、石橋さん及び清水さんの證言とはまつたく相違するのでありますが、これは一體どれが事實であるか、このことをひとつお答え願いたいのであります。
#377
○國鹽政府委員 調査班ができておつたか、できておらなかつたかという問題でありますが、閣議決定によりますと、調査班は關係の責任ある官吏及び民間の專門家、學識經驗ある者、その他若干の者がありますが、そういう者をもつて班を構成してやる、こういうことになつておるのであります。そういうふうな班編成で調査をされたということは、調査の結果ないというのであります。世耕氏の方でおやりになつたのは、恐らく世耕副委員長の手もとにおいて適當な人を選んで、民間の專門家だけでおやりになつた、事實上はそれは調査班であるというふうに石橋さんはおつしやるだろうと思いますが、われわれの方では閣議決定にあります通り、役人も一緒になつたものが一緒にやつていく、こういうふうに考えているので、そこに見解の相違があるのだと思います。
#378
○徳田委員 これは調査班は適法には存在しなかつたという意味でありますね。
#379
○國鹽政府委員 その委員會規定の通りの調査班はなかつた、こういう意味であります。
#380
○徳田委員 そうすると、石橋さんの言われるのは私設調査班というわけになりますね。
#381
○國鹽政府委員 それが私設であるのか、公設であるのか、法律上デリケートな問題がありますから、そこはしかるべく御判斷願いたいと思います。
#382
○徳田委員 これによりますと、委員及び專門委員というものに對しましては特に掲げてあるのでありまして、副委員長及び委員は關係各廳官吏及び學識經驗者の中より、專門委員は當該事項に關し特別の知識經驗を有する者より經濟安定本部總裁がこれを委嘱する、こういうことになつておりまして、これを委嘱したかどうかはわからぬが、とにかく數人の者ができたという話であります。さらに石橋さんの言われるのは、各官廳から選ばれた委員が集まつて、その席上において石橋さんは一定の訓示といいますか、指令みたいなものを與えたと言われております。この内容は別にまた言いますが、こういうことをしているのである。そうすると、これは適法の存在と認めざるを得ないのであります。これも安定本部では適法でない、私設的のものである、こういうふうにお認めになりますか。
#383
○國鹽政府委員 隠退藏物資等處理委員會そのものは適法であると認めておるのであります。しかしてその第一囘の會合において石橋氏が當時安本の長官として御挨拶になつた。これもその通りであります。その内容は私は詳しいことは聽いておりませんが、御挨拶になつたということは記録に載つておるのであります。從つてその委員會の行動はお説の通り適法と考えるべきだと思うのであります。適法でないとそこに書いてある意味は、その後の個個の摘發行動、調査指令とかいろいろ出ておりますが、かようなものが委員會の行動として認むべきものか、どうかという點に疑義があるので、さように書いてあると思うのであります。
#384
○徳田委員 そういたしますところの次に、委員會は必要に應じ隠退藏物資調査班を組織し、云々と書いてありまして、官吏を入れる入れぬは、この次に、「專門委員及び關係官吏をもつて組織し」となつております。この調査班というものは明確にできなかつたということを安定本部は言われておりますが、これに相違ありませんね。
#385
○國鹽政府委員 さように存じております。
#386
○世耕弘一君 先ほど石橋さんからそれについてお話がありました。今また國鹽局長から御囘答があつたようでありますが、おそらく國鹽局長は事情を御存じないだろうと思います。それはなぜかと申しますと、すでにそのときに私は内規的には安本の參與として就任しておつた。私の部下には、今なお現在やつております井上、川鍋その他數名の者がその事務に當つておつた。そうしてそれらの指揮によつて外の情報者が活動しておつたのであつて、それが今とやかく言うべき筋のものではない。ただそれがかたまつて調査したかどうかということは別問題ですが、そういう形式は別として、實際的には活動しておつた。私自身は副委員長ということでなく、安本の參與としてその衝に特に當つておつたのですから、そこは明確なんです。なおまた隠退藏物資委員會の組織については大藏大臣の石橋さんもあまり詳しく知らないのです。むろん國鹽局長はなお知らない。私がつくつた。私が親なんです。そういう關係でありまして、その法律上の食い違いとか、あるいは實際上の行き違いとかいうようなことは、外のブローカーがいたずらした以外のことはございまん。筋の通つた行き方をしておるということを申し上げておきます。なお附け加えて申し上げたいのは、私が使つたブローカーがいたずらしたことはありますけれども、私が就任中には私の使つておる部下が惡徳行為をしておらぬということだけははつきり申し上げておきます。
#387
○加藤委員長 ちよつと徳田君に相談しますが、あなたの質問は相當長くかかりますか。
#388
○徳田委員 いやもうすぐ終ります。五分かそこらです。そういたしますと、安本の現在の責任者諸君と、石橋前安本長官竝びに世耕副委員長の意見とはまつたく相違しておるのでありますが、これは法律上の責任を十分負うべき意味合いにおいて、安本長官のこれは責任のある資料でありますが、そういう意味において言われておるのであるか。單にこれは見解の相違という意味で言われておるのであるか。いずれか一つはつきりしてもらいたいと思うのであります。もしこの書類が安本長官の責任ある資料として、そうしてこれに相違しておるものは法律上責任を負うべきものという確信のもとにやられておるならば、これは一大事であると思うのでありますが、この點はどういう見解でありますか。
#389
○國鹽政府委員 その資料は該當係官の作成したものでありまして、端的に申し上げると、大臣がごらんになつたものではないのであります。從いまして安本長官としての責任ある御囘答をお求めになる場合におきましては、もう一度相談いたしまして、はつきりした見解を申し上げることにいたします。
#390
○徳田委員 それならこれは重大なことでありますから、きようは質問をこれくらいに止めておきまして、この次に和田安本長官にぜひとも御出席願つて、この重大なる事件に關して特別の證言を求めたいと思うのであります。
#391
○辻委員 委員長に特にお尋ねを申し上げたいと思います。當委員会の劈頭に當りまして、委員長から苦心をしておつくりをいただきました資料十四項目にわたつて、當局にその提出方を御要求願つておるのでありまするが、まだ一向に手もとにはいりません。實はこの委員會の目的は、申し上ぐるまでもなく、實際において隠退藏物資がどれだけあるかないか。とにかく隠匿物資でなくとも、いわゆる遊休物資でもこの際このときお役に立てる物があるならば、この際總ざらいして出さなければならぬじやないか。その眞相を突き止めるための委員會でありまして、こうして證人のおいでを願つておるのも、これももちろん大切なことでありまして、隠匿物資の摘發に當つて、業者と官廳がいろいろな因縁情實があり、あるいは結託をしておる。從つて摘發の妨害をしたとか、また積極的にやらないまでも非協力的な態度であつたかどうかということの眞相もこれは突き止めなければならぬわけでありますが、本格的のこの方面の隠退藏物資がどれだけあるかということを系統的に調べる、これが一番大切だと思いますが、すでに二十日余になりますけれども一向にこの資料が出てまいりません。もちろん委員長におかれましては御如才なく御請求は願つていることと思いますが、少しも早くひとつお出しをいただきたい。いろいろと初めからつぢつまを合わせて捜索しようとなされば、これは時日がかかると思いますが、ある程度の材料はあるはずでありますから、まとめて出していただきたい。もう二十日になるのですから、出ないというはずはないと思います。同時にこうして委員會を開いておりますうちにも、先ほど野本君から仰せになりましたように、盛んに物資が動きはじめているというような噂も聞くのであります。天をかけるか、地に潜るか、とにかくいろいろの方面へ見え隱れするおそれが相當あると思いますので、この際ひとつこれを足止めするような方法をお考えいただいたらどうかと思います。このごろの新聞によりますと、社會黨あたりでもさういうような御決議をお出しいただけるようなことも出ておつたわけでありまして、喜んでおつたのでありますが、まだ一向出てこないようであります。當委員會の決議なりあるいは國會の決議なりによりまして、當局の方にその旨御進言をいただきたいと思います。なお當局におかれてはこれに對してどういうお考えをもつておりますか。なお先般來國鹽局長に眞相の調査方をお願いしてありますが、これまた十日餘になります笠原の警官の摘發妨害事件であります。これは生々しい事件でありまして、すぐお調べができるはずだと思うのでありますが、まだ御報告に接することのできぬのは遺憾と存じます。
#392
○徳田委員 最後に、大體におきまして、この隱退藏物資に關係いたしましてどういう弊害がある、すなわちこれがいくらあるかどうかはわかりませんが、これまでに非常に弊害を生じたのはどこにあるかということははつきりしたと思うのであります。すなはちこれら官僚統制が完全に腐敗しまして、その結果生じたことは明々白々なる事實であります。從つてこれら遊休物資を全面的に押えなければどうしてもいけない。これには官僚をタツチさせては一大事でありまして、再びまた穴をほがしまして、いわゆる白鼠が穴をあけるようなものでありまして、これからどんどん漏れましては一大事であります。もうすでに大體この域に達しておると思いますから、この次あたりには、全委員の決議をもちまして一定の中間的な決議をいたしまして、直ちに本會議にこの問題を提出して、至急遊休物資活用委員會に對する國會の一つの希望條件を決議いたしまして直ちにこれを執行せしめ、至急にこの活用をさせたいと思うのであります。これにつきまして次會に全委員の御贊成を得ましてここで決議をこしらえてはどうかと思うのであります。これを進言いたします。
#393
○加藤委員長 ただいま辻君なり徳田君から御意見が述惜られましたが、きようの委員會の整理を一通りいたします。先ほど武藤君から提唱されました本田警察の土屋巡査に關しましては、電話で連絡をとりましたが、十分に連絡がとれません。從つてこれはいま少し調査を要しますから、調査してからにしたいと思います。
 それから本日皆さんから證人の喚問の御要求員ありましたが……。
#394
○武藤委員 證人のことに關して……、川端氏から徹夜をしてもやりたいというような、たいへん御熱心なお説がありましたが、われわれが求めておりましたのは、そういう熱心ももちろんですが、事實の眞相を直接經驗者なり最高責任者から聽くことにあるのでありまして、病氣であるから出てこられない、代りの者でいいというのはやむを得ざる次善の處置としてわれわれ了承したのであつて、必ずしもこれによつて最高の責任者であり、かつ直接問題の經驗者である岩崎新太郎氏の證言を免除したという形ではないのであります。瀕死の重態であるというならば別でありますが、もし言葉が發せられ、また身體の自由がきき、自動車でおいで願えるとすればおいで願いたい。かように考えます。もしそれがだめならば臨床といいますか、參りまして、じかに聽きたいと考える。われわれが代りの者を調べる場合に常にぶつかりますことは、これは岩崎關係に限りませんけれども、代りの者が出て來た場合には、自分の都合のいいことはわかつておつて答辯をしますけれども、都合の惡いところになると本人でなければわからないと言われる場合にぶつかるのであります。たとえばきようの例でも、神田の寳亭で會食した場合のことを、尋ねますと、そこでやつたことは事實だと思う、それは向うから招待を受けたのでこちらから招んだのではないというくらいに、御都合のよろしい御答辯はできるのでありますけれども、それではだれが行つたんだという問に對しましては全然わからない。都合の惡いと思われることは何ら御囘答がない。また水あめを本田警察あるいは警視廳へ屆けたことがあるかないかということにつきましては、田中署長初め岩崎氏、川端氏、口をそろえて、そういう事實はないと否定しておられます。私はそれが必ずしもうそだというわけじやありませんけれども、一方においては確かに屆けておると申しておる事實も私どもの手もとに來ておる。そこでこういうことはやはり岩崎社長本人にじかに聽くことが一番眞實に觸れることになる。そういう意味で私どもはどうしても岩崎新太郎社長本人のおいでを願うなり、こちらから行くなりして、ぜひ調べるようにお取計らいを委員長にお願いしたいと思います。
#395
○加藤委員長 わかりました。ただいま武藤君から岩崎新太郎氏を直接というお話でありましたが、醫師の診斷書によれば相當重態で安靜を要する状態にあるようであります。從つてここに同人の出頭を求めることはいかがかと思いますので、この點はきよう出頭されました岩崎、川端兩君において十分に新太郎氏の意思を受けて、もし尋問があつた場合には岩崎新太郎氏本人と同等の責任において述べられるということの上で、次會はきよう出頭された岩崎、川端兩君をもつて新太郎氏の代理をせしめたいと思います。これは委委長の計らいでそうすることが妥當だと思いますので、その點は委員諸君においても了承されたいと思います。
 それから他に武永、柴田兩氏、前會の證人として出頭された前群馬縣警察部長の小杉平一、この五名の諸君を證人として出頭してもらうことにいたします。
 この場合附け加えておきますが、岩崎、川端兩君において新太郎氏に代つて答えることができない事情がある場合には、委員が出張して現地調査をやる場合もありますが、できればそういう手數をなくしたいと思いますので、その點は十分に事實をつきとめて御出頭願たいと思います。
 それから期日であります。先ほど徳田君からも御意見が出ましたが、栃木縣における摘發事件にしましても、東洋釀造の問題にしましても、この水あめ事件にしましても、調査の中途であります。一應この三つの問題について今後一、二囘のうちに調査を終了して中間報告を出すと同時に、今徳田君の言われたような方向に向けていきたい。それがために皆さんにお諮りいたしたいと思いますが、先般の理事會でも委員の増員をきめたのであります。それは先ほど辻君から御意見のありました參考資料が大體十五日の豫定で作成されつつあります。これは實際問題としまして全國各府縣における特殊物件處理委員會の内容を報告させることになつておるわけでありまして、なおちよつと簡單にはできぬことも了承できますので、十五日までにできるものだけを集めるということになつて、どれだけのものが出てくるかまだわかりませんが、安本においては各省間に食い違いがありはせぬかどうか調べたいから、五日なり一週間なり時間をくれないかという申出もあります。この點は、私は食い違つておれば食い違つていてよろしい、資料は意料として出してもらいたいという意向をもつております。從つて今お聽きの通り監査局長においても集まつたものから委員會に提出してもらうことをお含みおき願いたいと思います。
 それから次會は十五日金曜日でありまして、金曜日には前會に決定しました栃木縣における摘發事件の證人が喚問してあります。この摘發事件の證人の喚問を終りまして、引續いて十八日月曜日にこの水あめ事件の證人の出頭を求めることにいたします。從つて十五日、十八日の兩會で――あるいは次にもう一囘ぐらいかかつて、一應この三つの問題の調査を終了して中間報告を出したいと思います。そのうちに本格的な資料がまわつてきますから、資料がまわつてきますれば、できれば三つないし四つの小委員會を設けて資料の整理にあたりたい、こういう豫定をもつております。この點御了承おきを願いたいと思います。さらに委員の増員につきましては運營委員會の淺沼委員長まで私から申し出てありますが、願わくは各黨の委員諸君はそれぞれ各黨における運營委員の諸君にこのことを通じていただいて、次の機會に院議で増員ができるようにひとつ運營委員會を進めていただくようにお取計らいを願いたいと思います。
 それから先ほど辻君の御請求になりました笠松における警官の妨害事件につきましては、また十分の資料がまわつて來ておらぬそうでありますが、一應の中間報告ができる程度に來ておるそうでありますから、國鹽監査局長から中間報告を願うことにいたします。
#396
○國鹽政府委員 先般岐阜縣の笠松のある工場に生絲が隱匿されておる、それの調査に名古屋の商工局の者が行つたところ、所轄の警察署がこれに妨害を加えて調査を妨げた。しかし後刻話がついて調査したけれども相當の隱匿物資を發見した。こういう新聞記事が出まして、それに關して辻議員の方からこの問題が議會において糾明されておる最中に、また警察がかような不祥な事實を起しておることについて徹底的な調査をしてもらいたい、こういう希望があつたのであります。それに基きまして、これは問題警察と商工局との問題でありますので、いずれの言を聞いても直ちに信用し得ないということもありますので、檢察廳に實は調査をお願いしておるのであります。しかしながら檢察廳は愼重に調査しておる關係もありまして、まだ報告が來ておりません。差當り内務省及び商工省の方から知り得た材料につきましてお話を申し上げて、これを中間報告といたしたいと思うのであります。
 内務省の方で取寄せました資料によりますと、商工局の者がいわゆる情報提供者と覺しき者數名を連れて――商工局の者が二名、情報提供者が四、五名でありますが、それを連れて七月三十日の正午ごろに笠松の綜合撚絲有限會社というところに隱匿物資があるというので現われたのであります。それに對してその會社から警察署に届出があつた。そこで警察は從來からときどきにせ摘發隊が現われて來ておる。この前商工局から來たときもやはりにせ摘發隊というようなことで、行つて調べてみると本物であつたからそれはやつたということがある。その後しばしばにせのものがある。それからこの調査に行く前にも投書があつて、近くO・I・C――アメリカの軍の中の御承知の組織の一部でありますが、O・I・Cと數名の者が摘發に行くという投書が警察の方にあつたのです。そこで警察署の方でO・I・Cに連絡してみると、さような事實はないということで、これまたにせの考ではないかというので、そういうのが來たならば取締ろうと思つておつた、そこへ會社から連絡があつたから行つて見た。行つて見ると一應の身分證明書を出した。それは商工局の役人で臨檢檢査の權能を許された證明書を一人だけ持つておる。あとの者は持つておらない。それも大分古いものであるので、はたして商工局の役人かどうか疑わしいというので、派出所の巡査から警察の方へ連絡して警察がまた電話をして名古屋の商工局に問い合せたら、たしかにそういう者がおる。そうしてそれが木會川の方へ行つておるという事實がわかりましたので、それをまた現地の方へ警察部から通知をしてやつて、その間約二時間近くごたごたしておつたわけです。その結果わかつたので、これは差支えないから一つ臨檢をやつてもらいたいと警察の方から當該係官に申し出た。それで會社側では社長が不在だからこういうあやふやな状態ではちよつと應對できない、どうしたものだろうかと司法主任に尋ねたけれども、司法主任は、證票の表示が正規のものであるから、社長が不在であつても、法規上臨檢を拒むわけにいかない。それはやらしたらよかろうというので、二時十分ごろ退去した。その後調査は約三時間にわたつて五時三十分ごろ終つて、結局生絲を四千百二十七貫摘發したということを商工局の方では發表したと新聞記事に出ておりますが、商工局の方から商工省へ來た書面によりますると、この警察から來た書面もそうでありますが、本人はちやんとアメリカ側へも届けてあるし、商工省の方へも届けてある、こう申し立てておる。商工局からも商工省の方へ、さようなことを本人は言つておるけれども、はたして届出が來ておるかどうかという照會が來ておる。私の方からも商工省の關係を確かめてみましたところが、大體それと覺しきものがあるのです。報告が詳細でありませんので、さらにその點もう少し詳しく調べてみなければわかりませんが、これは警察の報告の四千百二十七貫という數字とは少し多くなると思うのでありますが、そういう報告があるのであります。そうしてそれは京都の染物會社の委託であるということを警察が言つておりますし、商工省の報告でもそうなつておる。いざこざがあつたということははなはだ遺憾でありまするが、にせ摘發隊が來てごたごたを起したということが事實であるとすれば、この處置もやむを得ないのではなかろうか。なおこの摘發されたと稱するものが正規のものであるかどうかということについては商工省と連絡しましてもう少し詳しく調べたい。同時に最後に檢察廳側の報告もまいることと思いますから、それについてあらためてまた御報告いたしたいと思います。
#397
○辻委員 ただいまのは内務省の方の報告でございますか。結局商工省の方の御報告と一到いたしておる、綜合してのお話でございますが、先ほどから報告が來ておるというようなお話でしたが……。
#398
○國鹽政府委員 大體内務省の報告に基いたものでありますが、最後の隱匿物資が正規のものなりや否やの點については大體商工省の方へ届出が來ておる。その點は警察署の報告と合つておる。そうして商工局からも、本人はさように申し立てておるが、そういう事實があるかないかということを商工省の方へ調査方依頼して來ておる。こういう點についてこのものが一應は正規らしいけれども、疑わしいから調査する、こういう状況にあります。
#399
○辻委員 檢察廳の方にさらに眞相の調査を御依頼願つておるとのお話でありますが、正規のものであるかどうかということも併せてその場合に御報告をいただくことができると思いますが、重ねて御請求は申し上げませんから、報告が参りましたら一つあなたの方から發言を求めて報告していただきたいと思います。
#400
○徳田委員 先ほど石橋前安本長官のお話によりますと、正規であろうとなかろうと、とにかく物を退藏して持つておるものは、これは摘發すべきであるということでありますが、この正規なりや否やということは事實上物が退藏されておるということとは別個の問題でありますから、この點もはつきりして、安定本部ではいかなる處置をとるかということも一つ明確にしていただきたいと思うのであります。
#401
○國鹽政府委員 現在の法規におきましては、隱匿物資等緊急措置令その他の規則におきまして、正規の届出があり、政府の方で適當の處分命令をしないものについては持つておることが非合法ということにはなつておらない。それで摘發して適當に處理する強制權力をもつためには別個に法規的な手續を必要とするのであります。しかしていわゆる隱匿物資を一掃いたしまして經濟界を明朗にあするということはお説ごもつともでありまして、私どもそれを考えておるのでありまするが、その間の手續をしなければまたいろいろの問題が起りまするので、現在のところでは、觀念としましては非常に結構でり、石橋さんもそういう考えでおつしやつたのだろうと思いまするけれども、法律上の點において疑問があるのであります。從つて違反である、届出がなかつた、隱しておる、あるいは横領したものである、拂下を著服しておる、そういうものを現在やつておるのであります。
#402
○徳田委員 その點におきましては、正規の手續を云々といういわゆる法律上これが正當であつても、事實上物資を退藏しておるものに對しては、石橋前安本長官においてはこれを買上げる。復興營團においてこれを接收していわゆる正當に買上げるだけのことはできるのである。こういう正當に買上げ得るものは、やはりこれを退藏物資と認めて、これに對して沒收するのではなく接收するのであるから、やはりこれは適當の處置であると思う。またこういうものを適當の處置でないとするならば、石橋前安本長官の方針というものはまつたく違法の處置である。すでに數箇月にわたつてこういう違法の措置を政府の責任ある大臣がこれを認めてやつておつたということははなはだけしからぬことになります。そういうことに對しても、あなたに問うのではないけれども、安本長官がひとつ責任をもつて、この次には囘答をしてもらいたいと思います。
#403
○加藤委員長 證人に對する質問がありますか。――證人に對する質問がございませんければ、證人の方にはお引取りを願います。その前に岩崎、川端兩證人にさらに申し上げておきますが、この次御出頭になりますときは、先ほど問題になりましたあめの配給先と數量、價格、できれば年月、全部詳細な一覽表にして持參を願いたい。田中證人に對しましては、先ほど水あめ事件の取調べにあたつた本田警察署の生活主任、さらに係りの巡査部長が取調べてこれは違反にあらずという認定をされたその報告書が出ているわけでありますから、報告書を十八日の委員會までに提出していただきたい、これだけ申し上げまして、今日はどうも御苦勞さまでございました。お引取りを願いたい。さらに證人に對する旅費日當は、職務上の立場にあられる人は別でありますが、さもない方々に對しては旅費、日當が規定によつて支給されることになつておりますから、お歸りのときに委員部の方へお話願いたいと思います。
#404
○川端證人 先ほどの本田署の調査の八千三百餘カンとそれから問題の七千八百餘カンとの差額の問題について……。
#405
○加藤委員長 差額ばかりでなく、全體の配給先と數量と價格と日にちとこれだけの一覽表を……。
#406
○鍛冶委員 安本の監査局長に一言申し上げたい。今徳田君が言われたと同じことですが、この間も、先ほど石橋證人のときも言つたのですが、萬一物資處置令に適合せなくても、退藏及び死藏と認めたら、世耕君も言われたように、できるだけこれを任意供出をさせるとか、または買上げるとかいうことがわれわれは最もいいと思つたのですが、それはあなたの方でそんなことはできないのだ、やれないのた、取調べなんかも常に磨擦を來しておると思うのですが、相變らずその考えを持つておられるのか、それともこの摘發委員會ができたその趣旨に基いてやろうという氣分があるのか、これは最も大切なことだと思いますが、これは徳田委員のお話と同じくやつてもらいたいと思う。
 なお委員長に申し上げますが、資料の點について進駐軍から拂下げになつた部分については、書類を一つこしらえて出していただきたいと思います。
#407
○加藤委員長 それは請求して出してあります。連合軍から日本政府に引渡された品物、數量全部資料として出してもらうことに請求してあります。
#408
○鍛冶委員 それはまだ出しませんが、石橋證人の言われたことを聽きますと、その點について復興院總裁に調べて、寫さしておるということですが、これは手取早くできやせぬかと思うのですが、それをひとつぜひやつてもらいたいと思う。
#409
○加藤委員長 そうしますと、先ほど石橋證人の證言されました昨年十一月十九日、司令部から日本政府に引渡した物資の表が英文であるから、それを借りてきて阿部復興院總裁に飜釋を依頼しておいた。その飜釋されたものを當委員會に提出してもらうということの御意見ですね。
#410
○鍛冶委員 そうです。
#411
○加藤委員長 今お聽きの通りですから、それを至急安定本部で取計らつていただきたい。それではどうも御苦勞さまでした。本日はこれをもつて散會いたします。
   午後六時四十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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