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1947/08/15 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第9号
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1947/08/15 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第9号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第9号
昭和二十二年八月十五日(金曜日)
    午後二時八分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 梶川 靜雄君 理事 武藤運十郎君
   理事 辻  寛一君 理事 石田 一松君
      足立 梅市君    池谷 信一君
      清澤 俊英君    川崎 秀二君
      小島 徹三君    福田 繁芳君
      鍛冶 良作君    木村 公平君
      水田三喜男君    明禮輝三郎君
      村上  勇君    野本 品吉君
      小西 寅松君    中野 四郎君
 出席政府委員
        經濟安定本部副
        長官      田中己代治君
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
 委員外の出席者
        議     員 世耕 弘一君
 證人
  昭和二十二年二月當時隱退藏物資處理委員會
  副會長世耕弘一氏の指示による栃木縣内の隱
  退藏物資の摘發に關し宇都宮檢事局の封印し
  た物資を封印を無視して移動せる事件につい
  て左の證人が出頭した。
        東京地方經濟安
        定局監査部長  眞子 錬次君
         東京都澁谷區緑ケ岡一四番地
  昭和二十二年八月八日衆議院隱退藏物資等に
  關する特別委員會において證人森敬氏の朗讀
  した間島三好氏より世耕弘一氏宛の文書に關
  する件について左の證人が出頭した。
        内務事務官(警
        保局防犯課)  上田 利實君
         横須賀市池上町三六一〇番地
        辯  護  士 濱田 三平君
            熱海市桃山九八一番地
        大同物産株式會
        社取締役社長  間島 三好君
         東京都大田區山王一ノ二八八
         〇番地本間俊一方
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 理事互選の件
 委員派遣の件
 隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 これより會議を開きます。
 先日の本委員會の申入れに基きまして、昨日院議で委員の數を三十名に増員することになり、議長において新たに十名の委員が追加指名されました。ついては委員三十名のときは理事の數は社會黨、民主黨、自由黨各二名、小會派より一名ということになつておりますので、この際新たに三名の理事互選を行いたいと思います。
#3
○福田(繁)委員 理事は委員長において御指名あらんことをお願いいたします。動議を提出します。
#4
○加藤委員長 ただいまの福田君の動議に御異議ございませんか。
#5
○加藤委員長 御異議なきものと認めます。よつて理事に梶川靜雄君、大森玉木君、辻寛一君の三名を指名いたします。
     ――――◇―――――
#6
○加藤委員長 本日はさきの委員會の決議によりまして栃木縣における隱退藏物資の摘發事件に關する證言のため、當時宇都宮檢事局の檢事であつた眞子君、内務事務官上田利寛君、辯護士濱田三平君及び間島三好君の四名が證人として出頭されております。なおさきの委員會において眞子檢事に當時の調査に關する一件書類の携行をお願いすることにいたしたのでありますが、眞子君は現在東京地方經濟安定局におられますので、その書類は別途要求することにいたしたいと存じます。この書類に關しましては、眞子君の説明によりますと、司法省から議會の方にまわされたということでありまするが、ただいまそれを調べております。なお證人の方に一言申し上げます。證言を求められましたときは、委員長の許可を得て發言していただきたいと思います。證言は求められた證言の範圍内で行われることになつておるのでありますから、その點御了承おき願いたいと思います。
 それではこれより栃木縣における摘發事件竝びにこれに關連する問題について各證人から證言を求めることといたします。その前に先般辻君から御請求のありました岐阜縣下における摘發に關する官憲妨害の問題について、正式の報告書が來ておるそうでありますから、安定本部の上からその報告書を朗讀してもらうことにいたします。
#7
○國鹽政府委員 先般の委員會で中間報告をいたしておきましたが、今囘最高檢察廳から名古屋の高等檢察廳に調べを依頼いたしまして、さらに名古屋高等檢察廳から岐阜の檢察廳に調査を命じたその結果の報告が、岐阜地方檢察廳檢事正からこれらに參りましたので、それを御報告いたすことにいたします。一應これを讀むことにいたします。
「七月三十日岐阜縣羽島郡川島村所在總合綿絲有限會社尾關廣方に名古屋商工局商工事務官重見道雄外六名隱匿物資摘發の為臨檢したる際所轄笠松警察署警官が右摘發の執行を阻止妨害したる事實なし眞相は七月二十五日笠松署に對し右會社に「CIO」が摘發の為臨檢する旨投書ありたるを以て「CIO」に連絡したる所、投書の如き事實なき事實判明したるを以て偽摘發隊横行の際警察に於ても警戒し居したる處三十日前記摘發隊員が來た旨尾關方より通報ありたるに依り警察署司法主任以下四名直に出張し確めたる處重見外六名は臨檢書を所持し商工事務官なる事判明したるにより執行せられ度き旨告げ、工揚、倉庫等全般に亙り調査したるも該當物資なく辭去したるものである。其の後重見事務官は岐阜縣防犯課長に對し摘發に當り何等妨害せられたる事實なきこと及臨檢に當り所轄警察署に連絡せざりしことは遺憾なりし旨申しよこしたる事實あり」以上であります。これで大體警察が故意に妨害したという事實はないものと私ども考えております。
#8
○辻委員 摘發に該當する物資なしという御報告でありましたが、先日の商工省からの中間報告によりますれば、その生絲は商工省に屆け濟のものであるか否かということは、まだ判明しないというようなお話であつたのですが、どういうふうになつておりますか。
#9
○國鹽政府委員 その點は現在まだ商工省から正式に私の方に囘答がまいつておりません。調査中であります。現在までに得ましたいろいろの資料から言いますと、大體正式のように思われますが、なお確めて御報告いたします。
#10
○辻委員 そうすると檢察廳の方からの報告は、摘發に該當する物資はないということを言明されておりますが、ただ檢察廳といたしましては、摘發に際してこれを妨害したか否かという點だけを確めるだけの權限でありまして、その物資が摘發に該當する、いわゆる隱匿物資であるかどうかということについて是非を判定する權限はないのでございましようか。
#11
○國鹽政府委員 私どもの方から檢察廳にお願いした趣旨は、妨害した事實ありや否や、その點の調査を實はお願いした。でありますから、檢察廳の囘答はその趣旨のものであります。御了解を願います。
#12
○木村(公)委員 私どもはかねがねいわゆる役所からの報告というものがどの程度まで信憑力があるかということについて疑なきを得なかつたのでありますが、今報告のありました事件は私の選擧區のできごとでありまして、多少その間の事情を知つておるものでありますが、その登場人物であります尾關某というのは――そこまで御調査されたかどうか存じませんが、最近、約半年ほど前のことでありますが、岐阜縣で強盗傷害犯人が刑務所を脱走いたしまして、それに對し非常に警察に對し民衆から不平不滿の聲がありましたので、警察はほとんど全縣下の署員を動員いたしまして、その脱走犯人を探しておつた。たまたまその捜査中に笠松警察署が放火のために燒失をいたしたのであります。今ここでお話になりました當該警察は羽島郡川島村の笠松警察署であります。それが燒けたわけでありますが、その結果署長は責任を負いまして辭職いたし、それからいろいろ事件がありましたが、その後燒失いたしました警察署を速かに新しく建てようではないかという議が起りまして、形式上は町民諸君の贊成もあり、縣廳等の了解許可も得まして、いよいよ新築することになつて、以前より立派なものが建つたのであります。そのときに尾關某というのが、新聞紙の傳うるところによりますれば、あるいは百五十萬圓、あるいは中には五十萬圓と書いてあるものもありますが、警察署に一人で寄附しておる。その前においても尾關というのは世にいうところの新興財閥でありまして、しかも終戰後の新興財閥である。これは岐阜縣でも屈指の新圓成金であろうと言われております。しからばこの新圓はいかにして獲得されたかということがわれわれ疑いなきを得ない。終戰前におきましてはあの邊は單に機業地でありまして、戰爭中ほとんどあの邊の織物業者は今同その他の企業整備によつて影をひそめておつた。しかるに終戰後突然と、巷間傳うるところによりますれば、一億乃至二億の新圓をつかみ得たという。それが警察署新築の資金の一部として百五十萬圓とか百萬圓を、新聞は公然と書いておるが、寄附をしたらしい。あるいはまたその前においても警察署員とは生き死にのつき合いをしておるというような事實が多々あるのでありますが、さようなことは世の疑惑を解くために究明なさるべきと思うのでありますが、これを檢察局の手で究明いたすべきか、他の方法をもつて究明いたすべきか、手段の方法は今しばらく別問題としまして、おそらくわが國の各所において役人といわゆる新興成金の結託ということに對しましては、國民大衆は今なお非常な憤懣をもつておる。あるいは憤懣をもたざるも非常な疑惑をもつておることは事實であります。これは幸いよい機會でありますから、當局におかれては速やかに笠松署に對して尾關某君は一體いくら寄附をしておるのであるか。しこうして新興成金と私は特に申し上げたのでありますが、戰爭前における彼の資産とこれは動産、不動産を含めた資産でありますが、今日の資産とを比較御調査なさることは、決して今囘の特別委員會に課せられた任務を逸脱するものでないと思いますので、あらためて委員長を通じて御要求を申し上げたいと思います。
#13
○加藤委員長 ただいまの木村君の御發議は笠松警察署管内における商工省當局の物資摘發に關して、警官が妨害をしたという事件に對する檢察廳の報告に基づいて、その被摘發者である尾關某という者は、戰後のいわゆる新興成金であるが、どうして新興成金になつたかという徑路を明らかに調査せよと、こういう御發議でございますか。
#14
○木村(公)委員 そうです。それと同時に新聞紙に傳うることは、必ずしも私は全的にこれを是認するものではありませんが、全部の地方新聞が筆をそろえて、尾關某という者が笠松署が放火によつて燃失いたしまして、新しく建築する際に、ある新聞は百五十萬圓尾關君が新築資金として寄付しておるといい、あるものはおよそ百萬圓、あるものは最低といえども五十萬圓を寄附しておるということを書いております。岐阜縣の新聞はことごとく筆をそろえて書いておるのみならず、これに關連いたしまして、實は岐阜の税務署はどうも尾關君の財産に對しては、自分たちもいろいろの疑惑をもつておつたが、今囘笠松署に五十萬、あるいは百五十萬圓寄付したといううわさがある以上は、これは自分たちは立脚して、一應その邊の眞相を調査いたした上、あらためて課税の方法についても考え直さなければならないという當局談を發表いたしたような事實もございますから、警察當局へいくら寄付をしたか。何の目的をもつて寄付をしたかということも併せて御調査を願つておきたいと思うのであります。
#15
○加藤委員長 ただいまの木村君の御發言に對しては、本委員會として、はたしてそういう權限ありやいなやということに委員長としては若干の疑義をもちまするがゆえに、後刻理事會を開きまして、理事會において協議した結果、取上ぐべきものであれば取上げるということに一應聽いておきます。
 先ほど眞子檢事から言われました當時の調査書類は司法省から内閣を經て議會に來ることになつていたそうで、内閣で停滯しておりましたので、ただいまその書類は至急議會の方に取寄せることにいたしてあります。御承知おきを願います。それでは順次各證人に對する御質疑をしていただきたいと思います。鍛冶君。
#16
○鍛冶委員 眞子さんにまず伺いたいと存じますが、栃木縣におけるいわゆる隠退藏物資の摘發、具體的に申しますれば、一月二十日、二十九日と摘發にかかられるまで、隠退藏物資というか、あるいは隠匿物資等緊急措置令違反の嫌疑ありとみられた、これらの物の取調べに著手するまでのあなた方の御心證を得られた事實。その次は摘發にあたつてどれだけのものを摘發せられて、いかなる處置をとられたか。その處置に對し、その後その物件がどうなつたか。その徑路を一通り御説明願つて、あとこまかく質問したいと考えます。
#17
○眞子證人 隠匿物資等緊急措置令違反事件については、檢事局が直接捜査いたす前に、縣側の擔當機關すなわち經濟防犯課及び商工課がそれぞれ摘發の仕事をしておつたのであります。しかしながらそのうちはたしてほんとうにその違反事件が何件あつたかは存じませんが、縣側においては、要するに檢擧ということよりも、隠匿物資あるいは隠匿類似物資を速やかに多數に提出せしめて適正合理的な處置をしたいということが目的であつたもので、それがために私の方へ一々報告されておりませんでした。しかしながらその後におきまして、本年一月十七日にここにおられます濱田先生やそのほかの方方がおいでになられまして、縣下に相當多數の隠匿物資が存在する模樣である。經濟危機に直面してこういう物資が眠つているということは非常によろしくないから、國家的の見地から徹底的に摘發して正規のルートに流して處分するようにいたしたいものだと思うから、檢事局においても全力を盡して協力してもらいたい、こういう御希望であり、そして數々の疑問となるような物資の所在個所等を、御本人の方々あるいは御同件の方々からお話がございました。また控訴院檢事長からも、もしこういう方が行かれたら協力してしつかりやれという趣旨の電話もありましたので、きわめてごもつとものことと思いまして、約二日間にわたつて具體的にどうしてそういう品物があるということを知つたか、どこにどれだけの數量があるか、そういうことを發見したとか聞知したとかいう根據を確めまして、その上さらに二日間ばかりにわたりましたが、非公式に約五箇所内偵いたしまして、そのうち多少なり二、三の箇所には品物があると思われたもので、それがほんとうの隠匿物資等緊急措置令違反物資であるか、あるいは正規の特殊物件となつているものか、つまり無籍物資であるか、籍のあるものであるかわからなかつたけれども、とにかくこれらの方々のおつしやることはまんざらうそではない。事實も含まれているということがわかりましたので、ぐずぐずしておつたのではこれを檢擧できない。とにかく十分そういうような状況で樣子を見、準備を整えて、一月二十日、二十一日であつたと思いますが、判事に強制處分を求めまして、鹿沼方面、日光方面、宇都宮方面、眞岡方面と四隊にわかれて捜査をいたしました。その捜査にあつて現場においてそれらの物資が無籍物資であるか、籍のあるものであるかということを一々調べ上げることはとうてい不可能なことであり、そしてそこらでちよつちよつと當つてみたところで眞相がわかつたものでないから、とにかくあるものは一應違反の嫌疑をもつて差押えるとともに封印して歸つてくるようにという方針を定めてそういうようにいたしたのであります。合計三十箇所内外であつたと思つておりますが、その後摘發のためお出でになつた船岡氏に一應押えたもの、あるいは押えはしなかつたけれども一應調べたものの品名、數量、場所等を書いたものを差上げたのでありますが、これはその當時押えた先ほど申しましたように無籍物資と有籍物資とを問わず、違反の嫌疑をもつて押えたものでありました。その後各箇所について、各物資について一々檢事はそれが有籍物資であるか、無籍物資であるかということを調査したのであります。檢事が主となつて調べ、記録もできる限りつくつております。記録が間もなくまいると思いますからごらんになるとわかりますが、重要箇所については記録をつくつております。そして警察官を指揮して調べさしたものもありますが、一々これは報告書とか記録をつくらなかつたものもあります。調べました結果隠匿物資等緊急措置令第一條に、商工大臣の指定する數量に滿たざるもの、すなわち報告を要しない程度のわずかなものが大多數の箇所でありまして、なおその他の相當數量に達するものにつきましては、それが正規のルートに乗つておるかどうかを調べた結果、一應隠匿物資等築急指置令違反として檢擧起訴するという程度に至らないということになりましたので、その結論を得た上、もしくは調査中にその起訴するに至らない、起訴するだけの確信をもたないものは、逐次差押えるとともに封印を解除してそれぞれ元に引渡したのでありまして、結局全部の品物を還付したのであります。なおこの中に中村辰三郎、宇都宮の倉庫にあるもので非常に多數あるのがあつたのですが、これは當時私が一番最初に捜査にあたるときに、特殊物件課長に縣内の品物で連合軍からまだ引渡しを受けないものはないかということを確めましたら、そういうようなことはない、全部連合軍から引渡しを受けたもので、縣の所管もしくは縣から正規の團體に引渡されたものばかりであるという話であつたから、一應私の方では違反物資の嫌疑をもつて押えたのでありますけれども、そしたらすぐに進駐軍の方から、あれはまだ日本政府に引渡したものでない。自分の保管に屬するものである。封印するというのはけしからぬじやないかという話がありましたので、特殊物件課長にその點を確かめましたところ、ああそれは申し譯ありませんでした。あの品物はまだ完全には引渡しを受けたものではありませんでした、それは申し譯ないということで私の方ではすぐ封印を解いたのであります。その當時封印を解くときには、すでに進駐軍の方でも封印しておりました。大體以上のような始末であります。
#18
○鍛冶委員 先ず承りたいことは、先ほど仰しやつたが、その前の縣警察の方でしよう、いろいろ調査しておつたときに隠匿物資緊急措置令に該當しないものでも、できるだけ正常ルートに廻して供出させる方針でやつておつた。こういうことを仰しやいましたが、あなた方がこれに著手せられるときもそのお積りでやつておいでになりましたか、それとも隠匿物資等緊急措置令違反のものだけをやられるつもりでやられたか、その點をお伺いいたします。
#19
○眞子證人 ただいまのお尋ねの點は、巷説によつたのでありまして、私の方ではもつぱら司法的な見地から隠匿物資等緊急措置令違反事實があるか、違反の犯人があるかどうかということに著目して可及的それに限つてその埓外に出ないように用心いたしつつ捜査に著手したのであります。
#20
○鍛冶委員 これを押えられてから、この間のときに證人から聽いたのですが、押えられたときに、早く隠匿物資處理委員會において處理されないとなくなる虞れがある、早くやれ、こういうことをあなたの方でおつしやつたという事實は間違いないと思いますが……。
#21
○眞子證人 ただいまのお尋ねの趣旨をはつきりさせていただきたい。
#22
○鍛冶委員 折角あなたのところで押えられたにかかわらず、時日が經つとこれが消えていく虞れがある。早く穏退藏物資處理委員会の方でこの品物を處置されることを希望しておるということを、そのとき立ち合つた辯護士の方に、あなた方の方でしきりにおつしやつた。こう聽いたのですが……。
#23
○眞子證人 ただいま仰せのこととほぼ同趣旨のことを、結論において、申し上げたことがあります。と申しますのは當時栃木縣下にありました隠匿物資になるか有籍物資になるかわからないけれども、とにかく軍が緊急放出しあるいは連合軍から日本政府が引渡しを受けましたものについて、非當に窃盗、詐欺、恐喝、強盗といつた、この物資をめぐる犯罪が發生いたし、またこのものについていろいろな疑惑が世間に行われ、流言等もあつたように思いますので、こういうものは速やかに適正に處理して、その處置ができないものは保管方法を確實して各種犯罪の温床とならないようにしてもらいたい。また縣側としてはこれを保管する、あるいはこれに關係する人物に對して十分なる監督方法を講じ、從來十分でなかつたと思う點は改善して、監督を嚴にして、間違いの起らんようにやつてもらいたいということを、この捜査中に縣側の方々に對して何囘となく申した覺えがあります。
#24
○鍛冶委員 いまのお答えでは、私の聽かんとするところにピツタリしないように思いますが、もう一つお聽きしたい。當時の新聞によりますと、あなたの談として、たくさんのものがあることが分つた。實探しという言葉を使つてあるが、これが犯罪になるならぬにかかわらず、でき得るだけ明るみに出して、天下に公平に處分をするようにやつてみたいと考えておる、こういうお言葉がありました。それらの點から考えまして、かりに隠匿物資として緊急措置令にはまらぬでも、一個人に持たしておくべきものでなかつたら、でき得るだけ適正にこれを出させる。そうして國民の需要にあてる。このようなお考えであつたと、この記事からも讀めるし、またこの前の證人の言葉から聽いても、早くやつてもらわなければ因る、何とか處置してもらいたい。これは警察で言われたことではありません。穏退藏物資摘發委員會の方で、何とか早くやつてもらいたいと言つておるから、かりに隠匿物資等の緊急措置令にはまらぬものでも、一つできるだけ國民の需要を充するようにやつてみたい、このお考えであつたと思うのです。そこでそういうお考えがあり、もしくはそのお考えを話しておられたのではないかと思つておるのでありますが、その點明確にお願いいたします。
#25
○眞子證人 先ほど申し上げました通り、本件の捜査は、緊急措置令違反事件が伏在しておるかどうかということの捜査が第一の主眼でありました。しかしながらこの檢擧、あるいは調査をすることによつて、附隨的にはこういつた品物が、とにかく先に申しますように、防犯的に考えまして、適正に速やかに處理されその後の保管、監督が適正に行われることは、きわめて望ましいことでありますからして、副次的にはそういうことも目的といたしておつたのであります。新聞記事のことをただいまお話がございましたが、あの當時の新聞をごらんいただけばわかりますように、各新聞によつていろいろ私がああ言つた、こう言つたということを書いており、あるいは書かないものもありますが、その記事の書きぶり等もいろいろ各新聞によつて違つたところもございます。しかし大體におきましては、御説のようなことも今申しますように、副次的の目的といたしておつたので、そういうことも新聞記者諸君に話したことがあるかと思います。
 それから早く適正に處理せよ、そして保管方法を確實にやれ。關係機關に對する監督方法を完全にしろと言つたことは、いつであつたか今記憶いたしませんが、この物資の調査の目鼻が一應つきましたときに、警察部長室へこれの關係課長、すなわち特殊物件課、食糧課、厚生課、保安課、衞生課、そういつたような關係課長、もしくは關係課員の方に集まつてもらいまして、調査の經緯を話し、適正處理、敏速處理、監督、保管を適切にやれというようなことを慫慂したことがございます。
#26
○鍛冶委員 次いでお聽きしたいことは、われわれの手もとに栃木縣から出ておるのですが、縣から出された物資は、あなたの方で押えられた物資と相一致しておるかどうか。
#27
○眞子證人 今ここで一々對照するのは、時間がかかりますが……。
#28
○鍛冶委員 要するに私の聽かんとするのは、こういう隱退藏物資があるといつて、あなたの方に申告した者と、それから押えられたものとに大變差異があるように聞いているのですが、その關係を承りたいと思つて今聽いたのであります。
#29
○眞子證人 ちよつと見ますと、檢事、判事たちが強制處分した、もしくは強制處分しないでも、そこへ調査に行つたことがここに書いておるように見えますから、その部分は一致するのではないかと思います。數量その他については、品種別に對照して見ないと、今すぐ確實なお答えはできません。
#30
○鍛冶委員 それではその點は、あとでお出しを願う調書とわれわれは當てて見ることにいたします。そこで栃木縣から出ましたこの書類を見ますと、たくさんのものが全部適正なるものであつたということで、結論として解除になつております。そこでまずお聽きしたいことは、先ほどあなたのおつしやるように、かりに隱匿物資に適合せないものでも、できるだけ正當のルートにまわしてやりたいということになれば、このようにことごとくが不法にあらずとして、全部解除されることはあり得ない。もつと何かやり方があつたように思われる。なおまたこれを一一調べて見ますると、こういうものをこれだけのことでやつてよろしいかと疑われるものがずいぶんたくさんあるのです。この間花岡檢事から聽くと、所轄警察にやらしたために、こつちはほとんどわからぬとおつしやつた。もし檢事でお調べになつたのなら、その點間違いなくしかたないと思つたか。また所轄警察にやらしたのなら、あなた方の方で、もつと何かやり方があつたと思われるが、その點お聽きしたいと思います。
#31
○眞子證人 先ほど申しましたように、この捜査はもともと申告者の方々の言によれば、行政機關に十分に信頼をおきかねるから、檢事みずから主體となつてやつてもらいたいという御希望もありましたので、そういう場合も世間にはあり得ることと考えまして、堂々と判事にも強制處分を求めて、檢事が捜査の手をのばしたのでありまして、あくまでも終結に至るまで、檢事が主となつて調べてきたのであります。それで警察側もわれわれの補助機關として捜査に從事せしめた點もありますが、いずれにいたしましても結論としては十分に疑わしいものと思われるけれども、さてこれを的確に緊急措置令違反として起訴できるかどうかということを立ち至ると、當事者のいろいろな辯解を覆えすだけの心證、確證がもてなかつたのであります。そこで全部不起訴處分にいたしたのであります。
#32
○鍛冶委員 その點はわかりますが、私の聽かんとするところは、隱匿物資緊急措置令違反にならぬでも、先ほど言つたような御方針であるならば違反にはならぬがこれは疑わしいから、こうしたらどうか、このような方針でやつたらどうだということを言いそうなものだと思う。それをただ違反でないからといつてみなおつ放されてしまうところに、われわれとして非常に疑いをもち、また國民全體としてこれは納得いたしません。私はこれを斷言しておきます。この點に對してあなたはどうお考えになつているかお聽きしたいのであります。
#33
○眞子證人 お尋ねの點はごもつともと思いますけれども、御承知の通り、物の處分についてまで檢事があまり差出口をすることは非常に越權でありまして、抽象的に私がさきに申しましたような程度のことは、それぞれの機關に向つて助言することができると思いますけれども、それ以上ああしろ、こうしろと具體的に指圖することは、權限もなければ、言うことも妥當でもないと考えまして、そういうことは行政機關に向つて言つていないのであります。
#34
○鍛冶委員 これは一つ一つ聽けば長くなりますから、まとめて申し上げますが、一々おつしやらないでも適當にやれという先ほどの警察その他の話でやられたとすれば、それに從つてやるべきものだと思うが、これに對してはどういう方法でいつておるか書いてございません。ただ正當なる物だから解除した、ただそれの保管と認めたから解除した、こう書いてあるだけであります。これに対してどのような結果になつているか。最もわれわれとして疑わしく感ずるのは、預かつたものであるこういうことで解除した。それを本人が正當に持つているものだと言つておるが、それが正當に處分されておるかどうかということで、あなたの方にその後書類についての報告がありますか。またあなた方でそれをお聽きにならないで、なおわれわれが考えるように、これはどうも疑わしいというお考えをもつておられるか、それらの點をお伺いいたします。
#35
○眞子證人 これらの物資の處置については、あとで話があつたものがあるかもしれませんが、大部分はどういうふうに處理されたかということは聽いておりません。
#36
○鍛冶委員 それではそのあとの處理は一體だれが責任をもつてやつておるのでありましようか。
#37
○眞子證人 縣の特殊物件處理委員會が主體となつて大體の方向をきめ、それ以下は縣の特殊物件課が主となつて世話し、そうして特殊物件課は物資別にこれを食糧課とか、衞生課、厚生課、商工課、保安課等にそれぞれ分擔させてやつたことと思います。
#38
○鍛冶委員 濱田さんにちよつと聽きたいが、この前のときにどうしてこれだけのものが全部解除になつたかということを私から聽いた時に、こちらの方で行くのが遲かつたから、かえつてこちらの方で申譯ないと言つた、こういうお話がありましたが、そのお言葉と今眞子檢事の言われるお言葉と大變違うようにわれわれ感じます。要するにあなたから聽いたこの間の言葉では、早くやれば正常ルートにまわせるのだが、こつちから言うていくのが遲かつたものだから結局うやむやになつてしまつたのだろう、こうわれわれは聽いたのであります。そういうことですか、それともそうじやあれませんか。今眞子さんの言われることが違うと思われる點を率直に、齒に衣を着せずに言つてもらいたい。
#39
○眞子證人 私が濱田さんに代つてというわけではありませんが、補足して申し上げておきたいと思います。この捜査中に濱田さんも何囘かおいでになりましたので、その機會に、一應押えた物は逐次調べて、違反の嫌疑のない物、あるいは見込みのない物、あるいは保管者が急速に處理しなければならないというものは、いつまでも止めておくわけにいかないから、逐次解放しなければならない。縣にはこういうように話しているけれども、中央機關においてもこれと同趣旨に、適正敏活に處理されるように一つはからつていただいた方がよくはありませんかということを濱田さんに申し上げたことがございます。
#40
○濱田證人 皆さんの前で檢事の立場で言う言葉は、結局ただいま眞子檢事の言われる事情報告のようになりますが、私はこの間申し上げましたことと寸分變りがないということを今日も申し上げます。おそらく眞子檢事その他の方が逐一お調べになつたのではないのであつて、少くともその物の性格をつぶさに調査する上においては、どうしても本省の協力がないと、その間に縣の連中、いろいろな人がそれを妨害というほどの積極的な事實はなくても、少くとも檢察官が調査される場合、不便、不自由がある。それだけにかかるわけにはいかないので、やはりほかの事件もおやりにならなければならぬというような關係もあつて、ここに私は不徹底な結論に到達した。でありますが、この最初の行きがかり以來その間の事情からいきましても、これは相當中央から御協力があつてされれば、今日のような疑惑がなくて相當な物資が出ておつたということを私は申し上げてよいと思います。お斷りしておきますが、もちろん私は摘發現場には關與しておりませんが、少くとも檢察當局が著手されるまでの道行きについては私どもが申し上げ、あるいは現場に御同行もしたのでありますが、これは簡單に、嫌疑がないから――みな解いてしまつたと言われる。その結論は簡單であつても、事情は簡單ではないと思つております。
#41
○鍛冶委員 そうすると、やり方によつては相當の物資が出たはずであるが、檢事局の手がまわらないで、警察等に任しておいたから結局こんなことになつたものだと聽いてよろしゆうございますか。
#42
○濱田證人 私は今日なおさように考えております。
#43
○木村(公)委員 眞子證人の摘發物資に對する摘發の態度は、私まことに同感でありまして、今日多くの物が隱退藏されている。これを速やかに摘發して公平な分配をしなければならぬということは國民感情でありまして、まことに崇高なるお考えであると、まず敬意を表したいのであります。それと同時に、先ほどのお言葉の中に、栃木縣の特殊物件課長にお會いになつたとき、もはやこの縣内にはいわゆる連合軍司令部に引渡し未了の物はないかとだめを押され、それに對して、さような物はないとはつきり特殊物件課長が言つておつたにかかわらず、その後の調査によりますと、まだ引渡しを受けておらなかつた物が出てきたというお話は、私はこれは輕率に聽き逃し得ない問題であろうと思う。すなわち行政官はかくのごとき態度をもつてあるいは廉直なる司法官を欺瞞し、あるいは善良なるところの大衆を欺瞞するということは從來往々行われたことであつて、特殊物件課長はあなたが何のために縣廳に來られたかということは知悉をしておるはずであります。それがあなたに對して、すでに全部のものは連合軍から引渡しを受けたのだ、受けざるものは一つもないと言つて、いわゆる故意か過失かは存じませんが、あなたの叡智をおおうがごとき欺瞞をするということは、これは重大なる問題であると思いまして、この際特に行政官の中にかくのごとき不信な行政官があるということをわれわれは記憶いたさざるを得ない。
 さらに第二の點は、あなたのお言葉の中にもありましたが、行政官の中には信を置けざる者があるかのごときお言葉がありましたが、それは私同感であります。證人に向つて、この席上においてそれをはつきり申せと言われることは、まことにあなたとしては迷惑かも存じませんが、あなたの長い間の御體驗において、行政官に對し往々信を置けざるがごとき體驗をなさつたようなことがありますれば、この際お漏し願つておきたいと思うのであります。
#44
○眞子證人 具體的にこうだということは申し上げかねますけれども、私は相當期間檢事をやりまして、その間相當連續して官吏の贈收賄事件も摘發した經驗がございます。そういたしますと、その中には公文書の上において、事實と違つた報告をしたり、事實と違つた文書をつくつたりした例もないではありません。そういう點から考えまして、周圍の人が口を酸つぱくしてこうだという場合には、一應その人たちの言われることも虚心担壊に聽いてやつて、それを他の面からはたしてそういう事實があるかどうかということを證據によつて突き上げていくのでありまして、本件の場合においても、一應そういうことは間違つておるものと、ほんとうに行政官が不正をしておるものということの豫斷をもつわけではございませんが、一應そういうことで、言われる方の言葉もよく耳を傾けて聽く必要があるので、十分その點を用心して聽いたのであります。その上であなたが警察機關に協力させたり、あるいは役人に協力させては十分な調査はできないと申告者の方では言われるのでありますが、しかし一旦私どもが相手方にわからないように、關係機關にもわからないように十分の用意を整えて調査、捜査をやる以上は、その點證據を湮滅されたり、あるいは私どもがごまかされたりする、そういうことはやらせないという確信のもとに捜査を進めたのでありまして、すべての行政官が間違つたことを言うもの、こういうようにきめてかかつたわけではございません。
#45
○鍛冶委員 一々言えば大變長くなりますが、今あなたのお言葉にあつた中村源平の所で差押えられたものは彈藥八八萬、皮帶五萬五千九百七十本、半張皮――字がよくわかりませんが、三千七百五十足、その他雜品二萬點、こういう大きなものがあります。それが先ほどあなたのお言葉によるとそれは軍用品で進駐軍がまだ解除しないものだということをおつしやつたのですが、この調査表によりますと、そうは書いてありません。これは昨年八月縣特殊物件課より栃木縣生活物資活用協會が拂下げたものであつて同協會が中村方の倉庫に保管を依頼したものである、こういうことになつております。先ほどおつしやることと違いますし、誰が考えましても、かようなものが、縣の生活物資活用協會、これはどういうものか知りませんが、その手でこれを持つておるということもわれわれには合點のいかぬことである。そうして協會がこの物資、こういうものを保管を命じたということ、すべてが疑問の種であります。先ほどのお言葉の違つておること、竝びにこれらのものを間違いなく生活物資協會なるものが持つておつたと確認せられたかどうか、確認をしたとしたらいかなるところで確認をしたか。
#46
○眞子證人 進駐軍から、連合軍から引渡しを受けていないものは中村辰三郎方の被服、布、皮、トラツクに三十三臺分であつたと思います。中村源平方は、自分はどうであつたか、今はつきり記憶いたしませんが、記録を見るとわかると思います。それが今お話のように生活物資活用協會から何か託されて、中村源平が保管しておつたかもしれません。私は全般のことを、他の檢事諸君と協議してやつておつたものでありまして、一々の捜査は全然私はやつておりませんので、こまかいことを記憶いたしませんが。しかしながらお疑いのような點はないということを一應確認し、とにかく隱匿物資緊急措置令摘發の犯罪を確認し得なかつたので、封印を解いたものと心得えております。
#47
○鍛冶委員 今中村辰三郎と申されましたが、それは繊維製品類であります。それからふんどうしでありますか、一萬七千、それから暗幕等たいへんなものですが、これをみますと、豐岡被服厰から緊急放出されたもので、特殊物件として約三分の二を栃木縣地方繊維配給統制會社が縣より拂下げを受けた。その約三分の一を中村方の倉庫に保管を依頼したのである。こういうことになつております。これらにいたしましても、三分の二はこれに頂けてあるというのか、あとの三分の一る頂けてあるというのか、わかりませんが、まつたくわれわれとしては疑問をもたざるを得ないのであります。直接お調べにならなかつたならやむを得ませんが、相當確信を得られなかつたら解除の命令は出されないものと思いますから、その點をお聽きします。
#48
○眞子證人 結論はただいま申し上げた通りであります。私の方で一まとめにした檢事報告では中村源平方にあるものは皮、布地等トラツク約六、七臺分のものが倉庫四箇所封印すと、こういうことになつております。何がいくらいくらということはもちろん一日に數箇所まわつたので、そういうことは初めから一々調べ上げることをしないで、疑わしいものは倉庫全部封印してこいと言つてやつたので、大體の見當をつけて檢事は歸つてきて報告したものと思います。それから中村辰三郎の方は被服、切地、革等がトラツク約三臺分倉庫三箇を封印す。こういうことになつておりまして、中のものが何がいくらあつたというようなことは私ども存じません。
#49
○鍛冶委員 それでは先ほど言われた進駐軍の預り物資だというのはどういうことですか。これにはそう書いてありません。
#50
○眞子證人 中村辰三郎方のは間違いありません。進駐軍に、まだ引渡してないからと言つて、檢察廳に對して司政部のだれだつたか思い出せませんが、電話で文句を言つてまいつたことがあるので、これは間違いありません。
#51
○鍛冶委員 そうすると縣が預けた、または中央纖維品配給統制會社が縣から拂下げてもらつて倉庫へ保管を依頼しておいたというのはうそですか。
#52
○眞子證人 それは存じません。その後私どもが調べた後そういう結果になつたかもしれません。私が調べました一月二十日前後、その當時は確かに進駐軍の保管にあつたもので、私どもが押えておいたら先ほど言つたように文句が出まして、自分の方は知らなかつたから封印を解けと言つてやつたときには、すでに進駐軍でもその倉庫を押えて封印してあつたという事實から、向うのまだ管理下にあつたことは間違いないと思うのであります。
#53
○鍛冶委員 その後と言われるけれども、進駐軍で押えてあるものは前もつてこれは拂下げを受けたと書いてある。それは間違いだということは明白ではありませんか。あなたのおつしやることと縣の報告とは違つております。
#54
○辻委員 先日の委員會の證人として御出頭をいただきました森栃木縣經濟防犯課長が證言の折に、端なくも一通の手紙を御披露に相なりました。それは山形縣の農業會に關係がありますが、間島さんから世耕弘一氏にあてられた信書の寫しでありまして、要するに山形縣農業會に對して報奬物資を出そうということを再三言つておられるにもかかわらず二枚舌も三枚舌も使うので農民は激高しておるばかりでなく、困つておる。のみならずこの事件についてはその骨折りに對して、介在しておる塚崎、濱田兩辯議士は百萬圓かの謝禮金の前金を要求しておるというようなこともそのお手紙にあつたのでありますが、これは今申しましたように、間島さんが世耕弘一氏にあてられた手紙をいつごろお出しになつたのでありますか。なお世耕氏はそうした手紙は受取つたたことはないと言つておりますが、間島さんいかがでしようか。
#55
○中野(四)委員 議事進行に關連して……率直に申し上げますと、今鍛冶君と眞子檢事のやりとりはまだ結論がついていない。お互いに質問しようと思つておるところへ突然質問されることは委員會の運營上おもしろくないと思う。一つ一つ結論をつけていつてもらいたい。話の半ばで片方からほかの質問をされることはどうかと思いますので、鍛冶君が十分了承してからやつていただきたいと思います。
#56
○鍛冶委員 それは了承のしようがないじやありませんか。ああいう答辯ですし、私は間違つておると言うのだから、あとがあつたらそちらでやつてもらいたい。
#57
○加藤委員長 中野さんの發議もありますが、すでに辻君が質疑を出しておりますから、一應辻君の第一の質疑に對して答辯があつた後、前に引續いて眞子證人に對する證言を求めることにします。
#58
○間島證人 證言をなしますに先立ちまして委員長にお願いがございます。實は私本日初めて出席を求められて參つたのでございますが、先般の委員會の席上證人の發言の中に、ある新聞によりますと、私個人に關しまして詐欺であるというふうな言葉が見えておりました。つきましては私がただいま證言をいたしますにしても、その信憑性に重大な關係があると考えますがゆえに、當日の速記録につきまして、私に關係のある發言の部分につき委員長よりお示しをお願いいたします。
#59
○加藤委員長 間島證人のお言葉でありますが、議員以外の者はそういうことについて要求する何らの權利ももたれておりません。從つてただいま質疑のありました世耕君にあてての手紙をいつどういう方法によつて出されたか、この點をまずお答え願います。その上で委員の方で必要ありとすればそういう手續をとりますが、證人の要求によつてそういうことをすることはできません。
#60
○間島證人 申し上げます。ただいまの御質問はいつ出したかということと、出したことがあるかというこの二つでございます。出しました日にちは、正確には覺えてはおりませんが、本年の四月十日もしくは十一日の記憶しております。つまり私が世耕氏にあてて電報を打つた翌日であります。出したことがあるかどうかということにつきましては、間違いなく出しております。
#61
○加藤委員長 普通郵便ですか。書留ですか。
#62
○間島證人 速達であります。書留ではありません。
#63
○加藤委員長 その點なお疑議が殘つておるでしようが、あとにして、さつきの鍛冶君の眞子證人に對する疑議を續いて行います。
#64
○明禮委員 先ほどからの質疑應答を聽いておりますと、濱田辯護士が答えられたことを總合いたしまして、私どもはこういう物資がたくさんあつた場合に、この物資についての取調べをなさつた當局として、私どもはどれくらいな物資があつたかということを、詳細に一々探究されることは、それは容易ではありません。けれどもその物資の結果がどうなつたかということは、檢察當局としてはいつも周到に探究せられているものであります。殊に檢事とせられましては、さような場合においては、最も周到に、しかもその結果においてどういうふうになるかということを究めなければ、上司においてもこれを解封することは許さないのであります。そこで今伺うところによると、縣において生活物資活用協會へ任したということでありますが、ただ單に生活物資協會へ任しただけではなく、そのうちで生活物資協會のだれそれがどういう處分をした。どういうふうになつたということの顛末は、必ず知つておると考えます。どうかその點について隱さないで御解答を願いたい。
#65
○眞子證人 ただいまの御質問については、私は何も有じませんので、お答えができません。
#66
○明禮委員 知らぬとおつしやれば、やむを得ません。けれども私どもの法律常識からいきますと、何でも知らない、忘れましたということでは、世の中は濟ませないのであります。私は何でも忘れました、わからない、そういうことでは、被疑者をお調べになつてもまことにお困りであろうと思います。國會においてこういうふうに大きな問題になつておる今日、わかりませんではなく、どなたかがやつたということぐらいは、ここでおつしやることが、あなたの今日の使命ではないでしようか。それでもまだわからないとおつしやいますか。
#67
○眞子證人 先ほど申し上げましたように、犯罪の中心は隱匿物資と緊急措置令違反の犯罪があるかどうかということの捜査に限つたのでありません。もちろんこの處理をめぐつて、横領とか詐欺とかいうものがございますれば、むろんそれは摘發する腹で捜査をしたのでございますが、とにかく捜査中に、起訴するに足る犯罪を發見しなかつたので、封印を解いたのでありまして、その後品物がどういうふうに處理されたかということは、私の方では調べておらないのであります。これは事實間違いございません。さつきも申し上げたと同樣に、とにかくこういつた疑惑の起る物資は、なるべく敏速に適正に處理してもらいたいということは、關係機關に話しておつたのでありまして、その後具體的にどういう品物をどう處分されたかということは、私は知らない。それは間違いありません。さらにそれが犯罪でもあれば調べますけれども、そうでなかつたら、それを一々調べるということは、私の方としては越權でもあり、また檢察というようなものが、政治に從屬しておるような性質からいたしまして、でき得る限り從屬的な仕事もやつていく方がいいかもしれませんけれども、かえつてそういう越權的な疑惑をもたれることもありますし、陣容の上からいたしまして、とてもやりきれることではございません。この捜査で家宅捜索三十箇所ばかり、そのほかなほ判事の強制處分を求めないで調査したところも何箇所かあるのですが、それだけでも當時の全檢事員數をもつて、全能力を發揮してやつたような次第でございまして、その物の處理まで一々縣側に協議してやるというようなことは、能力の上においても絶對に不可能であつた實情でございます。この點を御了承願いたいと思います。
#68
○明禮委員 なるほど正面から言いまするならば、その品物が犯罪を構成しておるかどうかということもありましようけれども、ほんとうの隱退藏物資の摘發というものは、品物をでき得る限りやみから引張り出して、一般の社會にこれを活用するというにあつたと思う。その精神からいたしまするならば、必ずやその品物が犯罪を構成している、いないにかかわらず、この品物の行方がどうなつたというまで探究する一つの責任がある。もしそれをしないとするならば、その人はただ單に役目上の仕事をしただけであつて、本筋の仕事をしていないということに落ちるのであります。私はもう一遍あらためて聽きますが、上司からこの品物をどういうふうに處理されたかということを聞いたか。何人からでもこの品物の行方がどうなつたかということを聞いたこともありませんか。それだけをお尋ねいたします。
#69
○眞子證人 聞いたことはございません。
#70
○清澤委員 ただいまはこの品物の行先がどうなつたかという問題でありましたが、私は檢事さんがこのお調べに當られまするとき、縣が拂下げたというが、その拂下げするときには、常識から言いましても、こういう大量の品物がある統制會社、もしくは個人等に拂下げられるとき、そこにどうもおかしいじやないかという考えをもつのは、だれしもがもつ疑惑でありまして、これはもう一般世間人が全部こういう疑惑をもつて見ておるのであります。その際お調べになるとき、その拂下物件に對しては、何か縣が拂下げと同時に條件を附しておいたようなことがあるかないか。その點をお調べになつて、同時に價格として、なるほど手續は拂下げというようなことで、縣の處理をいたしまする係は、拂下げてはおりまするが、その間において拂下價格で、どうも常識上みて、これははなはだ安いとか何とかいうようなことを、お氣づきになつたものがあるかないか。この二つの點をお伺いしてみたいと思います。
#71
○眞子證人 先ほども申します通り、封印を解除した後、品物がどう處分されたかということは、私の方では關知しておらないので、お尋ねに對して御滿足な御返事はできがたいのでございます。
#72
○清澤委員 私のお伺いしたのは、行先を聽いたのではありませんので、この品物を封印せられたとき、いろいろのお取調べをなさるとき、正當な手續の品物であつた。しかしその正當な品物であるから、拂下げを縣から受けたというが、その拂下げを受けるとき、縣から何か特約というようなものがあつたとか、あるいはそのお調べのときにいくらでどういうふうにして、だれが正當の手續で受けたのだから、これは解除してやつてよいとお考えになつたか。その値段等についても、お取調べの過程において、手續は合法であろうとも、常識として、これはどうもばかに安い値段でなかつたかというようなことをお考えになつたことはあつたか、なかつたか。こういう逆なことをお伺いしているのであります。
#73
○眞子證人 中村源平方の倉庫の分については捜査した事項全部の調書はございませんけれども、檢事の聽取書等がございますので、それを見ればある程度のことはわかるかと思いますが、お尋ねのようなこと全部はおそらくわかりますまい。そういうふうに詳しくは調べておらぬかもしれないと思います。私はそれを記憶いたしません。調べたか、調べないかも記憶いたしません。
#74
○濱田證人 先ほどの、栃木縣下に大量の物があつたかという鍛冶君のお問いに對する補充をいたしておきます。
#75
○加藤委員長 それは求められた證言の範圍内ですね。
#76
○濱田證人 そうです。私の考えでは、栃木縣内に相當の物資があつたということを申し上げるための補足であります。
 大體において特殊物件は、遲くとも昨年中にほとんど正常なルートに乘せて民間に配給されたということを聞いておつたのであります。ところがその後の情報で、隨所にいろいろな物があるということがわかつた。そこで一番目標になりましたのは宇都宮市に戸ノ池という人がある。この人の倉庫が三つありまして、そこに毛布とかいろいろな物が一ぱい詰まつているという情報があつたのであります。これは事實あつたのであります。そこで私は先ほど申しましたように、摘發自體には事實上關與はいたしておりませんけれども、そういううわさを聞き、三月末にいわゆる問題になつておる指令第一號を得まして私が栃木縣に行きましたときには、まさしく戸ノ池の倉庫には毛布なりいろいろな物があり得るという確信をもつて、それを目標に行きました。ところがすでにその倉庫には何物もないので、縣の商工課長さんでしたか、名前は失念したが、その方に會つて聽きましたところ、その人は物品處理の一件記録を私に出しました。内容は相當厚いもので、一々見ませんでしたが、縣の商工課が調査に著手された時日は、私の考えでは、たしかわれわれが檢察官を煩わして摘發に著手する直前であつたか、直後であつたか、とにかく一月半ばごろにその品物の調査に著手し、終つたのは二月半ばごろであつて、結局檢察官が行つたときには、その調査の半ばにあつたと辯明しておつて、結論的には、その處理には係官がそれぞれ判を押しておられたが、われわれの側としては、かような品物をいかにして正當なルートに乘せて配給されたか。その間に多大の疑惑をもつたのであります。かような物資はどこにも實際ない時代でありまして、毛布のごときは遲くとも昨年末までに配給されていなければならぬ。それが相當量あるということは相當疑惑がある。かような一例を申し上げましても、相當物資があり得たということが申し上げられると思いますので、補足いたしておきます。
#77
○加藤委員長 石田君。
#78
○石田(一)委員 眞子さんにちよつとお尋ねしたいのですが、先ほどからの委員の質問、また眞子さんの御答辯、證言等を拜聽いたしておりまして、最後の結論に到達しましたことは、隱匿物資等の緊急措置令による犯罪であるかどうかをお調べになつて、その物資がこの措置令には該當しない。しかも該當しないということを十分には確かめないで、要するにこれはどこからどこに拂下げられ、どういうふうにやられたものであるかを十分に調べたかどうか。ただいま御記憶がないというお話でありましたが、それははつきりした取調べ證據もなく、ただ概括的に取調べて、これは栃木縣の生活物資活用協會の拂下物資だから、それならいいというので全部封印を解除なさつたのか。こういうふうに私たちは解釋し、また意見を求めたいような氣持でありますが、それでかまいませんでしようか。
#79
○眞子證人 先ほども申し上げました通り、緊急措置令一條の、商工大臣の指定する數量に滿たざる數量のものについては、物の性質を一々確かめなかつたものがあるかも知れません。しかしこの數量以上のものは個別的に一々物の性質――性質と申しますのは措置令違反の物資であるかどうかを調べたことは間違いございません。記録で大體わかると思いますが、一々記録に作成していない調書、報告等もあると思います。
#80
○加藤委員長 木村君。
#81
○木村(公)委員 これは委員長から御斡旋願えれば結構ですが、ただいまの世耕氏關係の摘發状況調べの中に、栃木縣の生活物資活用協會が拂下げを受けておるようになつておりますが、これはどういう權限で拂下げを受けておるかを知りたいと思うから、生活物資活用協會とは何であるかということを、次會までにお調べを願つておきたいと思います。
 もう一つこれは眞子さんに伺いたいが、世耕氏關係の摘發状況調べが栃木縣廳からわれわれの手もとにまわつておる。それによりますと、中村辰三郎の分は、終戰當時豐岡被服廠から縣へ緊急放出をされたもので、特殊物件として約三分の一が栃木縣のいわゆる纖維製品配給統制株式會社が縣より拂下げを受け、その品物の約三分の一を中村方に保管を依頼せる事實が判明したので、縣當局は宇都宮檢事局より封印解除を受けておる。これはおそらく眞子檢事も御承知なかつたものと思いますが、そうしますと眞子證人の御記憶と、われわれに參りました申請とは違うので、この二點の相違點、たとえば、實は初めはGHQから未だ拂下げを受けておらなかつたのであるけれども、後に拂下げを受けたものであるか。その點についての相違點をお知らせ願いたいと思います。
#82
○加藤委員長 梶川君。
#83
○梶川委員 それは今の眞子證人の言とはつきり違つてきておりますので、この問題については打切りまして、栃木縣の纖維製品配給會社、及び縣が現在なおそれを持つておるかどうか。あるいは先ほど清澤君も言われましたように、どういう價格で拂下げたものであるかというような點について、次會までにお調べ願う方が適當と思います。
#84
○加藤委員長 そうしますと、木村委員の御請求は栃木縣生活物資活用協會の生必事業竝びに特殊物件拂下に關する權限關係、もし拂下げを受けた者ありとすれば、その數量、價格、その參考資料を求めるわけですね。そうしますと第二の眞子證人の證言による進駐軍から未だ放出されないものであるという點と、縣警察部から報告されている終戰直後にすでに拂下げたという時間的な關係の相違があるが、この相違はどうか。
#85
○木村(公)委員 それは次の中村辰三郎の問題です。
#86
○加藤委員長 その二點ですね。
#87
○木村(公)委員 そうです。その二點です。
#88
○辻委員 中村源平の所に生活協會が保管を命じておつたものだと書いてある。從つて私の物だというので、協會なるものが物を持つて行つたろうと思います。
#89
○加藤委員長 持つて行つたろうと思うのですな。
#90
○辻委員 そこで、その物をいかに處分したか。それも調べておきたい。
#91
○加藤委員長 要するに、中村源平なる者に栃木縣生活物資活用協會なるものによつて保管が依頼されておつた物資は、この生活物資活用協會が持去つたと思われるが、どういう方法によつてこれを持出したか。そうして持出したものをどうしたか。こういうことですね。
#92
○梶川委員 それと同じことになりますが、中村辰三郎の方のこの書類の結果というのが、これでははつきりわからないのですが、三分の二を現在縣が持つているのか、三分の一を配給會社へ渡したのか。そこのところがよくわからぬのです。眞子證人に尋ねたいのですが、眞子證人の方では、進駐軍が保管しておつて、まだ渡していないと言われますし、縣の方では、下に處分が書いてあるのですが、處分の方法というものがこれではさつぱりわからない。その處分をはつきりと調べてもらいたい。
#93
○加藤委員長 そうすると梶川君の提議は、中村辰三郎方にあつた物資が、どのように具體的に處分されたか。そうしてなお現在縣の所有として所有されているのかどうかという實態ですね。それと處分されたとするならば、處分の方法、數量、價格、日にち、そういうものですね。
#94
○梶川委員 そうです。
#95
○清澤委員 先ほど私の質問に對しましてわからぬというので、大體調書で見ればわかるということになつておりますが、調書中にあります縣が拂下當時の價格竝びに料金等が調べてあるかないか。それをひとつ……。
#96
○加藤委員長 それは後ほど檢事が不起訴處分にした聽取書が全部ありますからこれはこの事件の調査の完了するまでは、本委員會に保管をします。
#97
○清澤委員 議員が調べるのですか。
#98
○加藤委員長 そうです。
#99
○水田委員 栃木縣の問題については、いろいろ疑問がありますし、私の聞いた範圍では、正式に運賃としてもらつたものなら倉庫にちやんと置いていいのですが、たとえば今市の會社のごとき摘發されたとき畑の中にはいつておつて、一つ一つ掘出されたガソリンが三百本もあつて、掘出した人が現に最近言つてきております。それが縣の處置になると、隱しておつて地下から掘出したものでも、合法的に前に運賃としてもらつておつたものであるということになるから、土地の人も疑問をもつて投書をよこすということになるのであつて、これは理事會か何かでこういう點だけははつきりさせるという調査項目をきめて、現地出張で二人くらいやつて、現地を調べてきてもらつて、報告してもらつた方が疑問の晴れるような的確な調査ができる。ここに次々證人が來たり、各人がそれぞれの調査項目を研究して調べるよりも、二人くらい現地出張させて調べたら、簡單に、これはうそだつたとか、これは確かだつたとか、一部のやつがわかれば縣の調査は信用していいとか信用できないとかいうわれわれの勘が得られる。だから、この問題だけは、特別に調査委員を二人くらい現地に派遣したらいいのじやないか。こう私は思うのですが、いかがですか。
#100
○加藤委員長 ただいまの水田君の提議は、栃木縣の物資摘發に絡まる警察の妨害事件は、妨害事件そのものが不明確であるばかりでなく、さらに摘發の實體をなす物資の處分状況がきわめて不鮮明である、それゆえにこうした事態を、小委員を選んで現地に出張して、現地における調査を行わしめたい、こういう御提議ですね。
#101
○水田委員 そうです。
#102
○辻委員 私も水田委員の提案に贊成いたします。というのは、私はただ檢事が言われたから一つ二つ指摘しただけですが、全部疑問なんです。まつたくわれわれはどう考えてみても、合點のいかぬ處分をしておられるようになつておるのですから、私はその方法が一番いいと思います。そうしてことごとく調べる。
#103
○加藤委員長 お諮りいたします。ただいま水田君から提議されました、そうして今委員長が申し上げました件に關して御異議ございませんか。
#104
○加藤委員長 御異議なければ、委員を現地に派遣して、現地調査を行うことにいたしますが、委員の數は何名といたしますか。水田君、御意見がありますか。
#105
○水田委員 意見はありません。
#106
○清澤委員 委員の數は四名ないし五名で、委員長指名にお願いします。
#107
○加藤委員長 四名ないし五名という清澤君からの提議があります。
#108
○水田委員 しいて反對はしないが、そんなにたくさんは要りません。
#109
○加藤委員長 どうですか、清澤君、三名くらいで。
#110
○清澤委員 三名でいいでしよう。
#111
○加藤委員長 それでは派遣現地調査委員の數は三名といたします。御異議ありませんか。
#112
○加藤委員長 御異議なければ三名といたしまして、派遣に關する事務的な手續は、委員長においてしかるべく議長の方に取計らいます。さらに、もし御希望の方があれば、この際申し出ていただきたいと思います。御希望の申出はありませんか。それでは後刻その點は委員長において指名して御異議ありませんか。
#113
○加藤委員長 それではそのように取計らいます。中野君。
#114
○中野(四)委員 私は便宜上一括して承りますから、お答えは逐次私のお尋ねをする方からお答えを願いたいと思います。
#115
○加藤委員長 私は中野君に發言を許しております。本來ならば、先ほどの辻君の發言に續いて行うべきでありましたが、今その間にすでに中野君から發言を求められて、委員長は中野君に發言を許しております。
#116
○中野(四)委員 この際間島君にお伺いをいたしますが、この手紙を世耕さんのもとへあなたがお出しになつたという、あて名が世耕さんになつておるそうですが、世耕さんは先日の委員會において、そういう手紙は一切知らぬ、全然この手紙を受取つておらぬとおつしやる。あなたはそれをどこへお出しになつたかということを一點伺いたい。書いておいていただきまして、三點ばかり伺います。
 それから内務省の上田事務官の手もとより森經濟防犯課長が受取つたと言いますが、はたしてこれが内務省にあるのはいかなるわけかということ、さらにあなたの手紙の中に「宇都宮に關する拂下指令書交付に際しては塚崎、濱田兩辯議士より辯議手數料として百萬圓也(本件は先生と兩辯議士協議濟と稱し半額前渡を要求せらる)を要求せられ其の支拂の準備迄致したる事、既に私より先生に報告せり」というのがありますが、その百萬圓を請求されて五十萬圓の手付金をあなたの方で用意なすつた當時の經緯。それから世耕さんにほんとうにこの點をお話になつたかどうかという點を間島さんにお伺いをいたします。
 それから上田さん伺いたいのですが、上田さんはどうしてこの手紙を入手せられたか。なぜ世耕さんのあて名のお手紙を勝手にあなたが、世耕君のもとへ出されずに森經濟防犯課長に渡されたか。この點が私には了解がいかないのであります。
 さらにもう一つ濱田さんに伺いたい。濱田さんは先日の證言の席上において、「私は聲を大にして、私のためのみならず塚崎先生のために申し上げなければならぬ。私から率直に言えば、この手紙をただいま御質問のごとくこういう席で讀まれること自體がまつたく荒唐無稽な事實を針小棒大に書いて言つていることは間違いないと思います。その事由は彼は大詐欺師なんです。一例を申しますならば、私がちようどこの指令書をもらいました晩に、私は間島という人を知つたのは指令書をもらつた前日なんです。そうして宇都宮へ參りますについていろいろ打合せをいたしました。當時塚崎先生は會長の選擧で打合せがつかなかつた。そこで夕方私の知り合いのところに行まして三人で食事をした。その食事の金額が二千三百圓かかつた。ところが彼は私らと一緒に飯を食つたということにかこつけて山形縣の農會から一萬八千圓であつたか、とにかく厖大な金をせしめたということを山形縣の一緒に來た人から聽いた、彼は容易ならぬ人物で、世耕氏の惡口を言う。しかも安本なんかへ行つて意見を言いまくつているということを聽いたものですから、安本に彼を呼びつけて、君はいいかげんなことを言つちやいかぬ。われわれが君に對して報酬を五十萬圓要求するなんて何事だ。君は第一飯を食つた金も拂つていないじやないか。にもかかわらずは君は一萬何千円山形縣からとつたということは不都合じやないか、拂えというので、私は彼から飯の代金を七百圓ばかり、三人の分擔ですが、私がとつたのではなく小林という料理屋の名前でとつた」ということをずつと證言されておりますが、この當日の證言に間違いがないかどうか、さらに確認したいと思いますので、この點を三人の方から逐次お伺いをいたしたいと思います。それに從つてさらにお尋ねをしたいと思います。
#117
○辻委員 私は議事進行の圓滑を期する意味におきまして、質問は證人の方お一人づつ終つて、それからにした方がよかろうという多くの委員の方々の意見でもあり、委員長のお取計らいでもありましたので、間島證人に對する質問を中絶いたしたのでありまして、お聽きの通り、ほんの序の口であつたのでありまして、眞子證人に對する質問が終りましたならば、當然私にお許しいただけることと存じておつたのであまりす。從いまして濟んだことはとにかく申しませんけれども、この委員會の運営上大體どういうふうにしてこの證言を求めるかというような企畫をこの場合一つお立ておき願いませんと、そのときどきによりまして非常な混亂を來す場合があるかと思います。これをおそれまして、委員長まで申し上げます。
#118
○加藤委員長 ただいまの辻君の御發言に對しましては、委員長においても十分考慮しまして、きわめて近い時間のうちに理事會を開きますから、理事會において運營方式を決定したいと思います。
#119
○間島證人 第一番目の件につきましてお答え申し上げます。出しましたあて名は新宮市――和歌山縣の南の方でありますが、世耕弘一選擧事務所あて出しました。この手紙を世耕弘一先生がお受取りになつたかどうかは、五月三日の多分午後の一時から三時ごろであつたと思つておりますが、澁谷のお宅に私が伺いましたときに、先生にじかに伺いました。お受取りになりましたでしようかとお尋ねしましたところ、手紙は見ておらないと私に申されました。電報はお受取りになりましたかと伺いましたときに、電報は見た、こういうふうにお答えになりました。なおその席上、たしかに覺えておりませんが、もう一人別の方がおいでになつて、ただいま申しました私と世耕弘一先生との間答を御記憶になつていると思います。第一番目は終りであります。
 二番目の點についてお答え申し上げます。内務省の上田事務官のところにこの手紙が渡つたという經緯につきまして、私のやつたことと――やらないことは想像で申し上げます。この手紙をなぜ私が人に見せたかということは、正確に日取りを覺えておりませんけれども、まつ先に、たしか讀實であつたと思いますが、新聞が發表いたしました。世耕先生のことについて發表しました。たしか四月の十五、六日ごろでなかつたかと思うております。その直後に私は安定本部の委員會に參りまして、實はこの問題については非常に困つている、三月十九日附の指令第一號をもらつてから、宇都宮から失望して歸つて來たのが三月の二十六日の夜遅くであります。その後世耕先生が和歌山に選擧にお立ちになつた日、たしか四月の七日と覺えておりますが、その日までの間に私どもは、ただいまから申しますれば實に長くなりますけれども、十數件に近いくらいのいろいろなものを、こういうものをやる、こういうものをやるということを申されたのであります。私も比較的しんぼう強く、うぬぼれるわけじやございませんが、待ちました。けれども結局選擧にお立ちになる一番最後にやつていただいたことさえも、まるきり話が違う。私のこの手紙はその直後に書いたものであります。そして新聞發表に關しましては、私は新聞發表の前日、及びもう一つ前の日と、安本本部の委員會で、十名近くおられたと思いますが、ある新聞社の方から、これをぜひ新聞に發表してくれと言われたときに、私は斷りました。明確に斷つた。その新聞社の方では、うちの社會部長に會つて、すぐ話をしてもらいたい、世間の疑惑を解くためにも話をしてもらいたい、こう言われましたけれども、私はお斷りをした。なぜお斷りをしたかと申しますと、私も男である。一遍世耕先生を御信頼申し上げて、しかもこの手紙を出しておる。先生がお歸りになるまで私は待ちたい。こう言うて明確にお斷りしたのであります。ところがその翌日、ある人から、こういう記事が出ておるぞというてびつくりするようなものを見せられた。その記事に私どもの名前が出ておりませんが、山形縣農業會云々の件が出ておる。こういうふうに發表されたならば、私の意思とはまつたく相反にておつたけれども、發表された以上は巳むを得ない、今まではかくかくの事情であつて、世耕先生にはかくのごとき手紙を出したのだ、それだから、これは政府がいやしくも公に出したたつた一つの拂下指令書であるならば、政府が責任をとつてもらわなければならない。世の中には雲をつかむような情報だけで、それに踊らされてたくさんの公金を使つて、詐欺にかかつてとられたものがある。われわれは正式の指令書をもらつて、なおかつ一錢の手金も出したということはないではないか。かくのごとくわれわれが眞劍に、まじめにやつておるものに對して政府はどうしてくれるか、という事情を詳しく説明する意味において、經濟安本部隱退藏物資等摘發處理委員會ですか、そこの井上といふ部員の方にこれを懇請しました。そこで井上部員の方では、これは非常に重要な官行書類であるのでぜひ貸してもらいたい、私の方にその同じものをもらいたい、こう言われました。このときはすでに本物は交換しておる、私がもつておるのは、行間にいろいろ小さく訂正を書いたりしてある原稿だけである、これを渡すのは實は信書の秘密を漏洩することになるので十分考えなければいかんということで、いろいろ問答をしましたが、結局私はこの問題を政府が正式に取上げてもらつて、山形縣農業會へ拂下げをしてもろうという、そのことを達成せんがために、この手紙の原稿を私の使つております女事務員に書かせました。その便箋に書いたものを井上さんのところへ提出したものであります。それから先のことはわかりません。井上さんに渡すときに十分この信書の秘密については守つていただきたいとお願いをして、井上さんはこの手紙は金庫に入れておいて、漏洩するものでないということを申されておりました。
 三番目のことについて申し上げます。百萬圓の請求を受けたが、及びその半額の前渡しをしたことがあるかどうか、もう一つ山形縣農業會において、これらの用意をしたことがあるかどうか、こまかくわければこの三つであろうと思いますが、ことごとくあると斷言をいたします。しかもその證據を用意しております。第一番目の百萬圓の要求を受けたかということにつきましては、まず第一番にここにおいでになる濱田辯護士御自身が證明をしておいでになるものを私どもは用意しております。それは何かとおつしやれば、ただいまここには持つておりませんが、東京上野の驛前の旅館に私が本日出席のために傍聽人として呼びましたる山形縣赤湯町におります森淳、この人間は私とともに山形縣農業會長から本件處理に關する全部の委任を受けておる者であります。私も森淳も委任状をもつております。この男に宛てた濱田辯護人からお出しになつた手紙の内容には、一著につき二圓くらいづつもらいたい、算術をいたしまして百萬圓でございます。その内容がはつきり書いてあります。
 二番目の百萬圓を請求されたことがあるかどうかという事實、また世耕先生が御承知であるという件については、宇都宮から歸つて參りましたのは二十六日夕方でありますが、當時世耕先生は和歌山においでになつておりました。それから二、三日後に東京にお歸りになつたと記憶しております。東京にお歸りになつてから、日にちを正確に覺えておりませんが、確か二囘ばかり他の人々のおる席上において世耕先生に私がじかに兩辯護士からこれだけのものを請求を受けた。しかもそのことは世耕先生が御承知である。こういうことを兩辯護士がおつしやつたが、ほんとうにこういうことをお話になりましたかということを伺いました。そのときに世耕先生のお答えの要旨は、そういうことについては――そういうことと申しますのは、手數料としてもらうというようなことについては大體よかろうと思つたので、山形縣の方に話しておいてくれということは話しておいた。しかし金額を百萬圓と申した覺えはない。多分もらつたとしても五萬圓か六萬圓くらいであつたと考えておつた。こういうふうに申されまして、私と世耕先生とそういう問答をしておりましたときにおりましたものは、私とともにこの仕事をやつておりました森淳と、世耕先生の當時の秘書をやつておられた關根事務官、その他名前を確かに覺えておりませんが、全國農業會の關東信越支部の二、三名の方がその席においでになつたと記憶しております。次に山形縣の農業會の方でこの金を用意したかどうか、これは私は先日の委員會があつた今月の八日だと思いますが、この委員會の記事がある新聞によつて報道されまして、私としてはまことに心外な身に覺えのないことを言われた。つまり私を誹謗するようなことが出ておるので、早速私は山形の農業會に照會をいたしました。つまり私は今度委員會に出席を求められておるので、その證言の必要もあると考えまして、百萬圓の請求を受けてその用意をしたことがあるかどうか、事實について囘答を求めましたところ、本月その囘答を得まして持つて參つております。山形縣農業會におきまして支拂いのために理事會を開いて協議した事實がございます。
#120
○上田證人 私は内務省警保局犯防課の經濟係で、隱退藏物資に關することを擔任いたしております。先ほど間島さんからお話のありますように、たしか四月の二十日前後だつたと思います。私は仕事の關係上隱退藏物資處理委員會に連絡に參りました際に、間島さんほか山形縣關係の方がお見えになつておつたようであります。直接お話は私は承つておらなかつたのでありますが、その後先ほど話が出ました安定本部の井上部員に、どういう内容であつたかということをお聽きいたしたのであります。ところが今お話がありましたように、長い間かかつて供米報奬用物資を山形縣の方に拂下げ願えるようにお願いをした。出してやろうと言う、出していただけることを信じて、供米のために農業會は山形縣で供米の促進をはかつた。それで供米の成績はあがつたけれども、肝腎の物は來ない。すでにその當時世耕副委員長はおやめになつておられたはずであります。これは單に世耕副委員長の責任だけではなく、現在の政府の責任である。政府の責任としてこの問題は取上げてほしいということを山形縣から懇請があつた。それで井上部員といたしましても、山形縣のお説の通りだというふうなお考えをもたれまして、それではその關係書類を自分の方に出してくれ、そして安本長官その他にお話しようということだつたろうと思つております。それでは私がなぜその手紙を入手したかという問題でありますが、當時すでに物資の拂下問題をめぐりまして、いろいろな問題があつたのであります。それのみならず、隱退藏物資の摘発をめぐる不法行為も相當あちらこちらに情報面で出てきておつたのであります。ことにこの問題につきましては、井上部員もお話されたように、單に世耕副委員長の責任だけではない。現在の政府の責任である。しかもその内容には栃木縣の拂下物資の問題が中心になつております。この拂下指令書の中には内務大臣、安定本部長官――大藏大臣ははいつておつたかどうかわかりませんが、内務大臣と協議の上ということも文句の上に載つております。その結果といたしまして、私係といたしまして、結局あの指令書の結果はこういうふうになつておりますということを上司に報告する必要があると私自體考えたのであります。でありますから、井上部員に、それを、貸していただきたい、そして上司の方にもちよつとごらんに入れたい、また警察的な見地からいたしましても、私自身考えましたのに、政府がある施策をする、その施策の結果がどういうふうになつていくか、末端においてはどういうふうな影響を及ぼすかということは、警察は當然常に觀察をいたしておるのであります。そうい見地におきまして、私お借りいたしまして、上司の方にごらんに入れたのでありますが、これは安定本部の問題であるから、こういうことで私はそのまま書類をお返し願いました。參考まで私が寫せばよかつたのでありますが、タイピストにこれをちよつと寫しておいてくれと言つて寫してもらつたのであります。それではなぜそれを栃木縣の經濟防犯課長に渡したかという問題でありますが、五月の五、六日ごろだつたと思います。全國經濟防犯課長會議が開催されまして、その際に栃木縣の經濟防犯課長もお見えになりまして、會議の終了後、栃木縣の物資拂下問題についてお話がありまして、あの後どうなつたろうかというようなお話を承つたのであります。私事務上の連絡といたしまして、實はこういうふうな結果になつておるというので、當時私それを三部打つてありまして、ここに控えもあります。私が係としてその書類を保管しておつたのでありますが、その一部を栃木縣の經濟防犯課長に參考までに渡したのであります。ところがはからずも、さきの本委員會におきまして栃木縣の經濟防犯課長から發表されることになりまして、實は私もびつくりいたしまして、その結果みなさん方にたいへん御迷惑をおかけした。この文書は間島さんが出されたのだから、まず間島さんに許可を受けて出すのが至當だつたと思いますが、私は情報の意味において栃木縣の經濟防犯課長にこの書類を渡した。それを栃木縣の經濟防犯課長が發表されたので、たいへん御迷惑をおかけして、私は關係者の方に申譯ないと思つているのであります。以上であります。
#121
○加藤委員長 ちよつと靜肅に願います。濱田君。
#122
○濱田證人 百萬圓の要求をしたかどうかということにつきましては、斷じてさような事實がないことをここに重ねて申し上げます。おそらく私が以下申し上げることによつて順序をお考えくだされば、およそ常識あるものならば、たちどころにそれは打消されると私は確言できる。そもそも私がこの間島という人と會いましたのは、問題の指令第一號、昭和二十二年三月二十二日ですか、この指令書をもらいます二、三日前に、世耕氏の紹介によつて山形縣の農業會の連中と私を訪ねて來ました。それで私と塚崎先生と會つてはじめて知つたのであります。當時塚崎先生は辯議士會長の選擧で忙しいものですから、その際の話で、先般世耕氏からお話がありました、山形縣に對して供米を完遂する方法をとるについてのまず目標は、栃木縣に物資があるということから考えまして、二、三日後にこの指令書を得たのであります。そうしてこの指令書を得ました當夜、その後における指令書に基く打合せがあるので、そこで夕方、塚崎先生に選擧中忙しいのに暇を割いていただいて、築地の私の知つている料亭で間島君と三人會つたのであります。そのときに森という老人が來るはずでしたが、その人は來ませんでした。その際の話といたしまして、私が辯護士としてたとえば出張する場合の旅費とか何とかいうものをこの事案について一文ももらうわけでも何でもないのであります。そこで最後にこの費用の出所について間島君が言うたことなんです。もし物資がありましたならば、一著について二圓を出すようにしますと言つたのであります。だから物があるということを前提にして、その數字というものは出てくるのであります。その際に塚崎先生も私も、その金額については――こまかく申し上げますが、金額についても、そういうことが農民に非常な費用のかさむことになつて、われわれの信用を失うようになつては困る、またとやかく言われることは困るから、その點は今後においても十分注意してもらわなければならぬと申し上げたことは、間島君はよく御承知だと思うのです。そうして雜談の間に食事をし、なおこの指令書に基いて栃木縣に行くが、いきなり栃木縣から引揚げてくるわけにいかない、まずこの指令書に基くものがあるかどうかということを第一著手として確認して、それからあることを認めた場合において、本省に歸つてその報告をして、そうして拂下金額なりがきまるのであります。そこで間島君は、それがきまれば山形縣に行つて、縣知事を通じ、農業會からすべてのその機構についての了解を得てそうして何しますという段取りなのであります。ところがそういうような話を、かいつまんで言えばしたのでありますが、それから翌日私が栃木縣に行きましたところが、すでに戸ノ池という先ほど申しました倉庫にある物、毛布などをあてにして行つたのでありますけれども、何もないということで、引揚げて歸つて來たのであります。だから結局栃木縣のものは、指令書をせつかく持つてわれわれは出かけましたけれども、物がないということに終つたのであります。そうすると報酬金を請求するという事態は起きてこない。このことは私は十分皆さんに御了解を願いたいと思います。これが三千圓か五千圓のものならともかく、報酬金をもらうとか、手數料をもらうという餘地はちよつとも出てこない。物がないのにどうして五十萬圓、百萬圓という金が請求できるか。また請求したとして拂いますか。その點十分お考えになればわかる。そうして結局歸つてきて、何も出ないということであつたが、しかし事柄が供米完遂に關する事柄でありますから、栃木縣には物はないけれども、ほかに何らかの方法はないかということについて、私どもは相當苦慮して方法を考えてやりましたけれども、ちようどそれにぶつかる方法もなし、物もないということで過しておりました。ところがはからずも四月の終ごろになりまして、ちようど總選擧の途中であります。世耕氏の惡口が非常に新聞に書かれたのであります。そこで私は、どうもこの種は栃木縣に關する限り間島という男から出たに違いないということを感知しましたので、先生に電話をかけて、安定本部まで來てくれということで呼んだのであります。ところがやつて來ました。一體世耕氏の惡口を書いておるが、不都合じやないか――その前にも栃木縣で私ども一緒にまいりました歸り途、世耕氏のことを非常に惡く言つておりました。同行の森という老人なども、そんなに惡口を言つたつてしようがないじやないかと言つて止めたのですが、先生非常に惡口を言つておりました。かようなことがあるので、なお私は新聞を通じて世耕氏のことがいろいろ出ておるということは、まさしく間島の發表によるものだと考えたがゆえに、安定本部に呼んだのでありますが、君は不都合じやないか。あれは一體君が出したのだろうと言つた。私に直接關係のあることではないかもしれませんが、私は非常に遺憾に思つたものですから、追究しました。ところが先ほど言つた山本とか、川鍋、上田氏なんかがその安定本部の部屋におられて、その際新聞記者も出ておつて逐一それを話せということであつたから、自分はお話したのだということを私どもに言うたのであります。それはとんでもないことじやないか。君はけしからぬじやないか。君とはただ一囘一緒に飯を食つたに過ぎない間柄であるから、これは私の勘定なんですが、勘定をとりに來なかつたから、むしろ先生が拂つておると思つておつた。塚崎氏の分もわれわれの分もこの支拂については、割前を拂うからと言いましたところ、先生まだ拂つていないと言う。それならあべこべに君がわれわれに拂えということから、この間お見せしたように小切手を書かして――宛名を私にしておくと、また濱田とか塚崎に小切手をやつたと言われては私はめいわくする。ああいうことを新聞に出したような奸智にたけた男だからと私は露骨に申し上げる。私は宛名を書かして、それを寫眞に寫しておいた。そうしてこの小切手を四月三十日にとつて、私の丸ビルの事務所に塚崎氏と歸つたときに、はからずも今の森淳という老人が私の事務所に來ておつた。そうして先般申し上げましたように、この支拂についてはすでに送つてあるということを言つておつた。だから今日言うこととまるで違う。森淳という人に對して私が一着二圓を要求するなんという手紙を斷じて出したことはありません。そんなものを出したつて兒戯に類すること以上に何ら益のないことです。何ら利益がないにもかかわらずそういうことを言う。私は森という人に對しては非常に氣の毒ですから、その間において斡旋してやり、何か物資はないか、山形縣のためにせつかく貴老等は奔走しておるんだから、何か努力してやるというような手紙は出したかもしれませんが、私は金を要求した覺えはありません。私はきようそんなことを言われるなら、その手紙を出してもらいたい。斷じてさようなことのないことを私は皆さんにお誓いします。かような意味において、私はなるほど暴言を吐いたかも知れぬ。この間島という男は詐欺師のような男だと言つたかもしれぬが、少くとも私が手紙を出して百萬圓を請求するという段取りになれば、私は要するに詐欺を働くということになる。それは聞き捨てにならぬ。かような手紙を朗讀されたことによつて、私は自己の信用を保持するために、防衞として彼の非行なり、彼に對する痛罵を與えることは當然の權利と考えております。だから詐欺師と言つたかも知れません。私だつて多大なる信用を害された。もしそれその手紙が世耕氏に至つておつたならば、おそらく塚崎氏とともに偉大なる信用のもとにやつてきた私の信用は根本的に世耕氏に對して裏切られ、信用を失墜しておる。あるいは安本にその手紙をもつていつたということになれば、安本に對する關係において私らの信用は失墜しておる。私はかような意味において彼がもし、私が彼の名譽を毀損したと言うなら、彼はより以上に私の名譽を毀損しておる。私は言つたことは斷じて飜さぬつもりであります。さよう御了承願います。
 なお附加いたしますが、その手紙は、この間森という經濟防犯課長が、たまたま出來心で偶然にはいつたのだというように言い、また非常に濟まぬということを謝りましたけれども、私は今日なおその手紙の當時をかれこれ考えますと、まさに間島が新聞に世耕氏の惡口を言つたそのときに際しての手紙なんだから、それらがまわりまわつて、突如としてわれわれの知らざる百萬圓を要求したなんという手紙を朗讀されることは、これは計畫的にやられたと斷言してはばからぬのであります。
#123
○中野(四)委員 證言がまつたく左右にわかれておつて、その黒白のほどは各委員諸君の今後の判斷に任せるほかはないと思うのですが、そこで第一番に間島さんにお尋ねを申し上げたうち、この證據書類として、濱田辯護士より百萬圓請求に關する、一着につき二圓ずつの報酬に關する手紙が手もとにあつたら、これを至急委員長より證人に御請求願つて、證據資料として御提出を願いたいと思う。そしてさらに一點伺いたいのは、濱田さん自身があなたにおつしやつたと言われるが、濱田さんお一人でありますか、あるいは塚崎辯護士もともにあなたにお會いになつてお話しなさつたかどうかということを後ほど御證言が願いたい。
 それから上田さんでありまするが、この書類の入手の方法はよくわかります。しかしながらあなたの提出の方法にわれわれは多大の疑問をもたざるを得ない。ややもするとこの委員會のただいままでの動向に對して、挑戰的という言葉を使つては惡いかも知れませが、かりにも世耕君に宛てての信書であるならば、むろん間島君の了解も得る必要がありましようが、世耕君自體の名譽に關する問題が書かれておるのでありますから、當然この信書の性質上、世耕君になぜ一應御相談の上において、この手紙を森經濟防犯課長をして發表なさしめなかつたか。この點は非常に遺憾の點でありまするから、さらに上田さんからこの點についての御説明が願いたい。
 それから濱田さんでありまするが、これは私のお尋ねしたことをあなたは全然拒否して、別な點を御證言なさつていらつしやる。私はこんなことをお尋ねしようとしておりません。あなたのかつての證言に基くことは全面的に確認されるかどうかということをお問い質し申し上げたのです。かつての證言の場合においても、あなたはお尋ねした問題よりも全然別個の點に觸れられている點が八割方であります。これはまことに遺憾だと思うが、特に私は大詐欺師だとか、あるいは一萬八千圓をとつておるというようなことが、證人の間島君からいろいろ承る上においても、先入感となつて非常に惡い場合とよい場合があります。この點について具體的ないわゆる大詐欺師とか、ないしは一萬八千圓を山形縣の農業會から飲食費としてとつておるというような、具體的な事實があるならばお示し願いたいと思うのであります。さらにあなたらが三人で食事をした。間島と塚崎會長とあなたと三人で食事をした。その食事の金額が二千三百圓かかつたと言うが、これは具體的に、どういう場所において、どういうようにしてかかつたかということを伺いたい。以上三人の方から伺いたいと思います。
#124
○間島證人 第一番目の百萬圓の件に關しまして、濱田辯護士より森淳宛の手紙は、上野驛前、電話は下谷の二三二一番、三翠館という旅館に本人がけさほど到著いたしまして、ただいま體が惡くて休んでおりますが、この本人が持つておりますから、大至急御手配をお願いいたします。この件に關しましては森淳が一切のことを申すと思います。
 次に塚崎辯護士と濱田辯護士と私の三人で會つたかどうか、三人立會の上での百萬圓の請求であつたかという御質問であつたと思いますが、三人そろつたときの話であります。先ほど濱田辯護士から常職的に考えてみてこんなものを要求するはずがないじやないか、こうおつしやられましたが、なお請求した覺えはない。それは間島から一着につき二圓ずつ出そうという話であつた。そういう御趣旨でこれは語るに落ちたと思うのでございます。大體私も百姓の子供でございまして、惡知惠は働くかもしれませんが、出さなくてもいい金は一錢も出したくございません。何を好んで百萬円出しましようか。しかも私どもは當時數量だとか、あるいはわいろというふうなものを出さなくてもちやんとした正式のものとして指令書をもらつたのでございます。しかもそれは宇都宮へ行けば品物はもらえると信じておつたものであります。われわれが去年の暮から粒々辛苦しまして約五箇月、そこまでこぎつけてきた間には、森という老人はしばしば吹雪の中を貨物列車の材木の上に乘つて福島縣と山形縣の縣境のトンネルを越えております。まつ黒になつて東京まで何囘となく往き來した。往き來した理由は、世耕氏から何囘も申請書に類するもの、あるいは必ず供米をせよという誓約書も私が勝手にはんこをつくるわけにいかぬ。皆それぞれの百姓ともよく相談をして、出しますよと言われなければ書けるものではない、こういうものがあつたがゆえであります。
 その他私が一萬八千圓をとつたとか何とかおつしやいましたが、そういう運動費、手金一錢も金を出しておらないということは、本年の五月の初め頃であつたと思いますが、この事件が相當大きくなつてきた際に、山形縣警察部で山形縣農業會を十分調べましたときに、山形縣農業會の經濟部長より實際運動費として何も出しておりませんという書類をもつて報告しております。なお私の照會に對しても、そういつたものは出しておらないと囘答をよこしております。この囘答の書類は現在ここに持つております。濱田辯護士はしきりに築地の某料亭におけることを言われますが、しからばたつた一つお尋ねしてみます。宇都宮に參りましたときに、安本の方から職員二名、私どもの方から三名、濱田辯護士と合計六名、これが二日間飲食しました金約五千圓これは私のポケツト・マネーでございます。私は山形縣から一錢もとらないでポケツト・マネーで賄つております。十分苛責なき御調査を司直の手をもつてお願いします。
#125
○加藤委員長 先ほど中野君から御提議のありました濱田氏から山形縣農業會宛に送つたという手紙を、現在森淳という人が持つて東京に來ておられるそうでありますから、これは直ちに電話で手續きをしまして、正式に參考資料として議會に提出してもらうように取計います。電話は下谷の二三二一ですね。
#126
○間島證人 今のお言葉でございますが、濱田辯護士から山形縣農業會にあらずして、山形縣赤湯町七七七番地森淳であります。本人宛であります。訂正いたします。電話は下谷二三二一番、三翠館という旅館であります。
#127
○加藤委員長 訂正いたします。濱田氏から山形縣の赤湯町の森淳という人に宛てた手紙を持つて、森という人が東京に來ておられるそうでありますから、これは直ちに參考資料として議會に提出してもらうように取計らいます。續いて御答辯を願います。濱田君。
#128
○濱田證人 お尋ねの趣旨の、間島君に割前の小切手を書かせたときに、君は山形縣から金をとつているじやないかというふうに中野代議士はお話になりましたが、私はその事實はさようにお話したのではありません。この小切手をとりましたときの状態は、先ほど申した通り、その日に私の事務所に歸りまして、八千圓であつたか一萬八千圓であつたか、その數字は覺えておりませんが、二千圓ばかりの勘定について何倍かの金をとつておつたという事實を、今間島君が言う森老人から塚崎先生と私が聞いた。それで私は、ではわれわれを利用して詐欺を働いたのだなと考えたというように申し上げたのであります。さような御了承願います。しかし八千圓であつたか一萬八千圓であつたかははつきり申し上げられません。それからそのときに森という老人は、世耕氏を御馳走するのに金を出した、それも銀行小切手で送つてあると話しておりました。それから栃木縣の宿屋の拂いでありますが、この點を私が事務所で聞きましたら、これは山形縣の農業會で拂つたからあなたは支拂うには及びませんというので、私は拂つておりません。その點においては私は負擔させておるわけで、間島君の言う通りであります。しかし私の範圍においては、これは間島が拂つているということは考えておりません。森老人は、山形縣でそれを支拂つたのだ、だからそれはもちろんえ拂いになるには及びませんというので、その宿貨は拂つてもらつていると認めますが、爾餘の點においては私は斷じて反對する。なお詐欺云々の點を朗讀されたことは、私の名譽失墜です。今日の世耕情報に關する新聞記事から言えば、その文章はまさに五十萬や百萬詐欺する人間のような書き方であります。だから私は自己防衞上さように申し上げたことをここに重ねて申し上げます。以上で私の答辯はよろしいと思います。
#129
○上田證人 先ほど資料の手紙を森課長に渡して發表させたというような意味のようにとれたのでありますが、提出の方法が惡かつた。とにかく世耕元副委員長に關係があることであるから、世耕元副委員長にあらかじめ了解を受けてやるのが適當ではなかつたかというお尋ねのようでございますが、結果的にはまことに私申譯なく思つております。しかしこれにつきましては私は發表を前提として森課長にお渡ししたのではなく、事務上の連絡によつてお渡ししたのは、先ほども申し上げましたように五月の五・六日だつたと思います。でありますから結果的にはまことに申譯ないと思つておりますが、私が森課長にお渡ししたのは警察の事務連絡上私が必要だと考えたのであります。
#130
○中野(四)委員 濱田さんに一言申し上げますが、こちらが伺いたいと思うのに、證人の方ではもうこれ以上する必要はないと斷言なさることはいささかけしからんと思う。私の方のお尋ね申し上げたのは、その食事を三人でなさつて二千三百圓拂つていらつしやいますが、その具體的な事實、だれとだれとでどういうところでその金を使い、その目的は何であつたか、一萬八千圓が八千圓でも結構ですが、これは農業會から間島證人がとつておるという事實の具體的な點を御説明願いたいと申し上げたのであります。そこであなたがこの一萬八千圓の具體的の事實を知らんとおつしやれば、それまでですが、ただ二千三百圓はどういうわけで三人が食事をし、その場合にどういう目的をもつてどの人とどの人が話をしたか、それをお答え願いたい。
#131
○加藤委員長 ちよつと中野君に申し上げますが、その金額の點は三人會食した場所でとつたというのではなく、事務所に歸つて塚崎辯護士と濱田辯護士とが、森という人から聞いて八千圓か一萬八千圓か知らんがとつたということを聽いたと先ほどからしばしば證言されておりますから、あなたの聽きそこないと思います。
#132
○中野(四)委員 ここに當時の記録をもつて讀んでおるのです。
#133
○加藤委員長 今の答辯です。なお築地の料亭のことは證言がありませんから……。
#134
○濱田證人 私が先般お喚び出しの際申し上げた趣旨は、今日申し上げましたことと變つていないと心得ております。それから場所は、築地の終點のところの「やまきよ」という家であります。それは塚崎氏と三人でありました。三月二十二日に指令をもらつて宇都宮に行く前に塚崎先生は忙しい中をわざわざひまをさいてそこへ寄つて、そうして指令に對する對策を練つたのであります。おわかりになりましたか。
#135
○中野(四)委員 わかりました。一萬八千圓は……。
#136
○濱田證人 それは委員長がお話になつたように一萬八千圓であつたか、八千圓であつたか知らんが、その場で拂つたわけではありません。その後約一箇月經つても割定をとりに來ない。それで私は間島君が拂つたものだと思つておつた。ところが四月三十日に世耕氏に關する新聞が出ておるので、あわてて間島氏を安本に呼んでいろいろ迫究した、その際にとつた小切手だというふうに私は先ほどから申し上げております。あとから拂つたのです。拂つて歸りましたら今言つた森老人が私の事務所に來ておつて、そんなものをお拂いになる必要はなかつたということを言つたというので私は唖然としたということを先ほどから縷々申し上げたと思います。
#137
○中野(四)委員 お尋ねの觀點が違つたらお許し願いたいと思いますが、一萬八千圓を農業會からとつたということをあなたは山形縣の一緒に來た人から聞いたとおつしやつておるのでありますが、その具體的な事實をあなたは述べていただきたい。
#138
○濱田證人 間島君が言つた森という老人は非常な正直な立派な人だと思つている。この人は私は記憶にはなかつたのですが、ずつと前から私を知つておつて、私の銀座の事務所に來た。その老人を私は絶對信用しておる。その老人がこの小切手をもらつた日に私と塚崎氏に縷々間島君の非行を言いましたから、私はそれでそれを確信しておりました。老人の言うことに疑いをもたんということを申し上げておきます。
#139
○木村(公)委員 この栃木縣の問題の根柢をなしますものは、物件の放出に對する根本問題は、山形縣の供出が六十パーセントより當時出ておらなかつた。いかにもこれは國家的にみましても情ない。であるから隱退藏物資というものが幸い摘發されるならば、その隱退藏物資を山形縣へ特に送つて、そうして一〇〇パーセントないじは一一〇パーセント供出完遂をしていただくことが國家的の見地から大事ではないかというところに動機があつたと私は信じて疑わない。しこうしてその後においていろいろ經緯を辿つてみますると、大體隱退藏物資の摘發に對しましては、いろいろの原因を私は心中考えるのでありまするけれども、いろいろのいきさつから官吏がこれを摘發されることを好まないような場合が從來往往あつたのであります。たまたま今囘のことについてもその片鱗がすでに現われておるのでありまして、たとえば安本の井上君が、今の間島君の證言によりますれば、その手紙はきわめて重要參考書類だから、ぜひ見せてくれと懇願された。安本の井上とか申す青年事務官がこれを特に間島氏に懇願するということにつきましては、安本官僚の意圖が那邊にあるか。今なお私は非常な疑いをもつている。それからここに出てまいられた上田という證人でありますが、警察の任務としてさようなことはなるべく眞相を把握しなければならぬようなことを得々と言つておられるが、一體防犯課の任務として世上萬般の裏面を探査しなければならぬ任務があるとするならば、その法的根據をお示し願つておきたい。
 それからさらにこの親書をプリントして流布されたのでありまするが、しかもそれは事務上の連絡という巧みなお言葉をもつて言われておりますが、五月五日あるいは六日ごろ防犯課長會議のあつた後において、食後たまたま栃木縣でありますか、防犯課長とあなたは食後お會いになつて、この問題について興味深くお話になつたものと想像される。しこうしてここにプリントがあるからとお出しになつたことが事實であるとするならば、萬一プリントの内容が違つておるときの責任をいかにおとりになるか。プリントが萬一間違いがあつた場合には、あなたはその責任をおとりになるかどうかということを承つておかなければならぬ。これを要するに、この問題は動機といたしましては、何とか山形縣の六〇パーセントの供米を一〇〇パーセントないしは一一〇パーセント完遂させることにあつたと思われますが、途中いろいろな妨害があつて今日の及んだということを、私ども委員の一人として深い印象をうけたのであります。
 それから特に上田防犯課長にお尋ねしたいのは、先ほども中野委員から、どうもあなたの態度は挑戰的だと言われたが、私どももその印象をうける。一體この特別委員會が設けられたのは、何とかして速かに摘發物資を摘發して、公平なる分配をして人民を救わんとする崇高な任務をもつてこの委員會はつくられたのであります。あなたからとやかくこの委員會が制肘をうける必要はあり得ないと同時に、あなた方から計畫的な妨害があるとするならば、その事實の發見と同時にわれわれは重大な決意をもたなければならぬのでありますが、まずもつてプリントの内容が間違つておつたら、その場合においてその責任をどうおとりになるか。この點についてまず伺つておきたい。
#140
○上田證人 まずプリントの内容が違つておつた場合には責任をどうとるか、こういう御質問でありますが、こういうものを警察がとるということがその前に法的な根據があるかどうかというお話でございます。それにつきましてお答えいたしたいと思いますが、私の方の防犯課は各府縣のいろいろな犯罪情勢、具體的な犯罪事實または物資の需給情勢や取引をめぐつてのいろいろの現象、こういうものが施策の參考として情報として各府縣から出てきておるのであります。これは經濟警察を連營する上において當然必要なことだと私は信じております。それに關連しまして、今の安定本部の井上部員から私が直接お借りしたのが、各府縣からの報告でなくて、私が直接お借りしたということが、ちよつと問題のようでありますが、そういうふうにしていろいろな情勢を集めておつた。その當時隱退藏物資をめぐるいろいろな事犯が、方々において發生しております。拂下げの問題につきましても、現在司直の手で調べておられますように、眞疑のほどは調べてみなければわかりません。はつきりわからないことでありますけれども、一應拂下げをめぐつての犯罪が、あちらこちらに出ておつたのも事實であります。この情報も私の方の手もとに集まつてきております。そういうものと關連いたしまして、實は栃木縣の問題につきましては、物が指令書の通りにあるかないかということも、私たち疑問をもつたのであります。これが檢事局の方でお調べになつたので、わからなかつたのでありますが、物が結果的に出て來なかつた。出て來なかつたために山形縣の方では、いろいろ農民にうそをついたような結果になつて、困つておるというような事實もあり、眞偽のほどはわかりませんけれども、一應警察の情報としてそれを私はお借りしたのであります。それをプリントしまして人に渡した。事務上の連絡ではあるけれども、栃木縣の經濟防犯課長に渡した。そのプリントの内容が發表せられた結果、その發表の内容と事實と相違しておつた場合の責任をお前はどうするか、こういうことだろうと思いますが、私發表を前提として森課長にお渡ししたのでありません。ひとつの警察の情報として差上げたわけであります。挑戰的であるということでありますが、先ほどお話の證言に關連いたしまして、私は事實のままを申し上げたのでありまして、この權威ある委員會に對して、私はむしろ忠實にその實相を、事實をお答えする。誠意をもつてお答えするつもりで私は申し上げたのでありまして、決してさようなおこがましい考えはもつておらないことをここにはつきり申し上げます。
#141
○木村(公)委員 プリントの眞實性については、今後おのずから分明すると考えるのであります。かりにプリントがただいまの證人のおつしやるようにほんとうであろうとも、信書であることはお認め願えると思うのでありますが、信書を流布されたことに對するあなたのお考えも、ついでに伺つておきたいと思います。あなたはこのプリントに個人の資格でおやりなつたのか、それとも防犯課長の資格でおやりになつたかということも、お伺いいたしたい。さらにまたあなたは情報をとるのは、當然であるかのように言われましたけれども、あたかもその情報のとりかたは、かつての軍國時代に行われたところの特高の情報と、さも似ておるように見える。これはあなたが公の席上でおつしやることは、速記録に載るのであります。あくまでも今後ともこういう情報をおとりになるつもりか、それとも過去において一體どんな情報をおとりになつておつたか。このプリントの流布先は、おそらく一人ではあるまいと思うのでありますが、その流布先もあらためて伺つておきたい。それから先ほどこれは上司に御相談なさつたとおつしやいましたが、上司は一體だれとだれとに御相談なさつたか。さらに先ほど濱田證人からお話がありましたが、井上君その他あなたもおられた席で、間島さんに向つて、ぜひその話を聞かせろ聞かせろと、あなた方がおつしやつたという話が出ておりましたが、濱田さんも間島さんに向つて、それはいいねたであるから、ぜひ話してくれとおつしやつたという事實があるかどうか、このことも承つておきたい。さらに防犯課長會議におきまして、食事をなさつたあとに、事務の連絡上、山形縣の防犯課長に渡したとおつしやいましたが、防犯課長會議の席上、そのプリントをお出しになつたような事實があるかどうか。最後にこのプリントが事實であろうとなかろうと、どちらにいたしましてもこれを流布するということは、信書の妨害だと私は考えるのでありますが、その點についても承つておきたい。
#142
○加藤委員長 ただいまの木村委員の發言の中に、山形縣とありましたが、これは栃木縣の誤りでありますから、訂正しておきます。
#143
○上田證人 質問の内容があまりたくさんで、一遍にお答えに當嵌まるかどうかわかりませんが、私は防犯課長でありません。私は最初に申し上げましたように防犯課の經濟係で、隱退藏物資に關する事務を擔任しております三級事務官であります。私は一勞務者であります。しかし私は仕事の點におきましては、あくまでも忠實にやつておるつもりであります。お尋ねのこれを防犯課長會議の席上において、出したか出さないかという問題については、出してはおりません、それから森防犯課長に渡したのは、食事の後ではなく、防犯課長會議が濟んで、事務室に防犯課長がお歸りになつてから、栃木縣のあの拂下げ問題はどうなつたか、こういうことをお話になりましたから、私は個人ではなく係として、係の責任においてお渡しいたしました、それからこれは一人でなく、ほかの方にもまわしておるだろうというお話でありますが、ここに控えがございます。この控えはタイプ刷りというふうにお考えでありましようが、タイプ刷りではなく、カーボンを入れてタイプで打つ複寫であります。でありますからそんなにたくさん部數がとれるはずがありません。最初に申し上げましかように三部、私は一部でよかつたのですけれども、タイプの係が打つてくれましたから、私は三部をそのまま自分で係として保管しておつたのであります。また上司に報告をした上司とはだれを指すかというお尋ねでありますが、當時の經濟防犯課長は、現在京都の警察部長をしておられます溝淵増巳氏であります。中野議員からお尋ねのあつた際にお答えいたしましたように、私はその文書を安定本部の方からお借りいたしまして、そのままこういうことがありますということを申し上げました。ところが防犯課長いわく、これは安定本部に陳情があつたものであるから、安定本部の方で善處されるだろう、こちらの方はそれでよかろうというので、私はそれをそのままお返し願つたのであります。それが溝淵防犯課長から、さらに、局長大臣に御報告があつたかどうかは、私は下僚として全然存じておりません。そのほか御質問があつたと思いますが、ちよつと忘れました。
#144
○木村(公)委員 プリントの内容が事實であろうと、あるいは虚偽であろうと、かようなことを外へお漏らしになることそれ自身が、私はいけないというのでありますが、あなたはそれに對してどんなお考えをもつていらつしやるかということ、それからただいまあなたの資格がよくわかつたわけでありますが、その三級事務官としての御資格において、情報を常におとりになつたり、お出しになつたりするということは、違法であるかどうか。それから自分は個人でなく、係としてこれをやつたんだとおつしやるが、係としておやりになる場合には、おそらく私の常識をもつてすれば、これほど重要な問題をなんら上官に報告することなく、勝手にお渡しになることはないと思いますが、あるいは事前に御諒解を得ておられるかどうか。また栃木縣の防犯課長でありましたか、その方に事務連絡をなさるときに、ちようど折よくプリントを持つておられたか、あるいは前から用意されておつたのか、その點も序でに伺いたいと思います。
#145
○上田證人 最初の質問が分りませんが、あとの質問にお答えいたします。事前に連絡するつもりで持つておつたかどうかということは、ちようど私の席のところに、會議が濟んでから栃木縣の防犯課長がおいでになりました。栃木縣の問題についてお尋ねがありましたから、私は自分の席の附近の箱にそれを入れておきましたから、それをお渡ししたのであります。それから上司に許可を受けてやつたかどうか、これは私上司の許可を受けずにやつております。こういう意味で私やつたのでありますが、それがこういう重大な結果になつたということでありますれば、私の官吏としての、いわゆる三級事務官ではありますけれども、官吏としての責任がありますれば、私ははつきり責任をとらしていただきたいと思います。
#146
○木村(公)委員 これは大事な問題であります。とにかく昔から投書などの信憑力がどの程度あるかどうかということが世上においても非常な論議になつたことがある。何故信書の眞偽を確めないで、これをプンリトにして關係の深い、こともあろうに、防犯課長に情報としてお渡しになるか、これは私から見れば非常に輕率な態度であると言わなければならん。もう一つはそれを受けとつた防犯課長が、これを當席において發表することに至りました。これは餘程このプリントを過大視しておる。しからばこの信書を一層具體的に考えますれば、重要なものでありますが、この信書の虚偽であるか、ほんとうであるかということも考えないでお渡しになつた。これはほんとうと信じてお渡しになつたか、うそと思つてお渡しになつたか、どういう心境であつたかということを伺つておきたい。
#147
○上田證人 お答えいたします。防犯課長にお渡しすることについては、私は、防犯課長はその事件に關連がある問題でありまして、特にまたさんざん栃木縣の防犯課長はその當時叩かれておつたので、防犯課長が關心をもたれるのはこの問題について當然であると思つております。それで私はなんの氣もなく、それはその當時は一つの信書である、結局封緘された信書ではないのですが、信書であると意識してはつきり私は渡したようなつもりはなかつた。一つの情報の意味において渡したのであります。
#148
○梶川委員 問題はもちろん警察が妨害したかどうかという點に關連あるようにも見受けられますけれども、しかしながらいままでの木村君の御意見を聽いておりますと、ただ上田證人との信書の取扱い方についての論だけのように見えますので、いささか本委員會の本筋から逸脱しておるように思います。委員長において適當に計らわれ、次に進められんことを望みます。
#149
○辻委員 ただいま上田さんは、防犯課の一經濟係として隱退藏物資の處理の問題に忠實であつた、こう仰せになりましたが、そういたしますと、世耕氏を中心としてできました隱退藏物資の處理委員會の活動につきまして、もちろんいろいろとトラブルも起りまして、これは職業柄御心配になられたことと思いますが、摘發の本筋そのものに對してあなたは一課員として協力的な態度をおとりになりましたか。その點をお伺いいたします。
#150
○上田證人 ごもつともな御質問だと思います。世耕氏は副委員長になられます前には政務次官でした。私は政務次官からたびたびお招きを受けました。そしていろいろ御指示やまた相談も受けたと思います。私自體隱退藏物資が實在するとすれば、これは徹底的に摘發しなくてはならない。そして早く經濟の再建または國民生活の安定に寄與する必要がある。これは摘發の方法を前もつて十分研究する必要があるということを常に私は御進言申し上げたつもりでおるのであります。その經緯をここで申し上げますと、御承知のように閣議決定になりましたのが二月の十七日だつたかと思います。閣議決定になつてその後委員會が開かれたのは二月の、日は忘れましたが、經濟安定本部長官官邸において開かれたのであります。その席上にお集まりになつた委員は各關係官廳の主務課長、または部長さん方であつたはずであります。私もその末席にお邪魔させていただきました。その委員會か一囘あつたきりでその後何ら特別の發展はなかつたのであります。私はあの閣議決定だけでは、警察が今後いかにあの線に沿つてやるかという問題については、あれをそのままにしておいてはどうにもできないのであります。結局あれを具體的に實行するためには、隱退藏物資の處理要領、具體的な處理手續というものがきめられなくてはできないということを私は信じておるのであります。でありますから安定本部の方にも御催進をいたしたのであります。けれどもそれが一向進まないために、ここにその當時の案をもつておりますが、この案を副委員長の部屋で審議していただきました。ところが副委員長におかれてはこれでよかろうというようなお話もあつたのであります。でありますけれどもそれを一向に正式のものとして處理手續を決定的なものとしてわれわれに示していただかなかつたのであります。それで警察といたしましても、折角一應警察の積極的な意見をお出しいたしたのにかかわらず、それが出ないために警察は具體的に活動することができなかつた。でありますからあの閣議決定の實行については、各府縣警察部に對しては何ら通牒はいつていないわけであります。これは事務上の手遲れということが言われなければならないのでありますが、私どもといたしましては、當面の一三級事務官ではありますけれども、この隱退藏物資を徹底的に摘發する。しかしこれはあくまでも合理的にしかも合法的に間違いの起らないようにしなければならないという氣持からそういう案を提出いたしたのであります。それが今日まで一向具體化されずにそのままになつておるのであります。でありますから、第一線において警察との摩擦の起つたのもやむを得なかつたと思います。
#151
○辻委員 要約いたしますれば、あなたの方のお出しになつた案と相違しておるから、積極的な協力ができなかつた。こういうふうに了承いたしたのでありますが、協力をいたさないばかりでなく、當時のあなたの上司であられました溝淵防犯課長、この方はやはりその摘發の方法におきまして、警察を主とすべきか、あるいは補助とすべきかという點について世耕さんと意見の相違を來しまして、その席には私の友人、これは世耕指令書にも載つております勝間敏雄というのがおりまして、同人から直接聞いたのでありますが、溝淵防犯課長は絶對に協力しないということを言われたと聞いております。とすれば、その部下であられたあなたが、忠實にその職を守るということでありましたならば、この溝淵氏の意向を體してこの問題にあたられたと思います。先日ここにおられる水田委員も申されましたが、水田さんが内務参與官となりましたとき、内務省にはアンチ世耕の空氣が當時漲つていたということを言はれたのでありますが、あなたが保身の術とかそういうようなことは考えませんけれども、この溝淵防犯課長を主軸とするアンチ世耕の旋風に捲きこまれておられなかつたとはどうも想像ができないのであります。その點について、職務を忠實にお守りになつたということは、最も非協力的な態度を示されたのみならず、それによつて起つてくるトラブルについて、特に細心なる注意を拂われたのであろうと思う。從つてそういうことから、そうした文書を特に重要な書類として、あなたが他日の何かのお役に立てようとして殘しておかれたのではないかということが考えられるのみならず、先日ここにおいでになりました森防犯課長は、不用意の間についこれを披露したというようなことを言われましたが、聞くところによりますれば同僚の議員に、人を介して、實はかような手紙を持つておるからこれを委員の方から質問してくれるようにと、誘いの水をおかけになつておる事實がある。そういうところから推測して、何かそこに一連の皆さん方が、アンチ世耕の波に乘つて、何らかの計畫的な行動をためにせんがためになしつつあられるがごとくわれわれには解釋されるのであります。これは私の感想であります。ほかの委員はどうお考えになるか存じませんが、私はそう考えます。それから間島さんにお尋ね申し上げます。このお手紙にもあります通り、あなたは六箇月にわたつて世耕氏と寢食を忘れて、郷里のために、報奬物資として拂下げることについて血みどろの運動をなさつておられますので、その御熱意に對しては敬意を拂いますが、それには世耕氏を御信じになつたことと思いますが、同時になぜ豫定しておつた隱退藏物資が出てこないということも、世耕さんは率直にいつも言われる方ですから、あなたは始終お聞きになつておるだろうと思う。それにはやはり一部官僚が介在しておつてどうも物が出にくいというようなことも、あなたはお聞きになつて知つておると思う。それはあなたがお信じになつておるかどうか知りませんが、そういうこともお信じになつて、そのうちには何とかなるだろうと思つて六箇月間こうしておられたのである、と同時に最後は、先生が選擧に成功のあかつきいま一度善處をお願いするという、こうした文書までお出しになつておる。そのやさきにおきまして、内務省において世耕氏がどういう立場におられたか、アンチ世耕の風潮が漲つておることは、あなたもしばしばおいでになつて御存じだろうと思う。にもかかわらずそうした場所におきましてこうした手紙を出されるということは、これまたアンチ世耕の風潮に乘じて、あなたがせつかく期待しておつたのが出なかつたその腹いせかどうかは存じませんけれども、何かのために世耕氏をこれによつて陷れようというお氣持があつたという風にも推測されるのであります。のみならず、先ほど濱田さんの言われたことが事實でありますれば、讀賣新聞にこの材料を提供された發起人は、あなたのように承つております。川邊さん、井上さんなどのおいでになりますその場所で、新聞記者に御發表になつたということを承つております。こういうことから推測いたしますときには、このごろ遞信省でときどき手紙が届きませんから、これは世耕さんの方にあなたがお出しになつたとは思いますけれども、これだけのものをせつせとお出しになつておるあなたといたしましては、ただ單に輕はずみに、これを他にお漏らしになつたとばかりは私どもには解釋ができないのであります。何かそこに一脉相通じて、陷れるというようなお氣持があつたのではないかと私は解釋いたす次第であります。これにつきまして、私の解釋はまつたく間違つておるというお考えであれば、それをひとつ御指摘を賜わりたいと思います。
#152
○上田證人 推察が、世耕副委員長に對してきわめて反對的だということで協力しなかつた。こういうようなお考えのようであります。實はその當時、内務政務次官として世耕氏がおやりになつておるときは、その當時の秘書官室におられた關根事務官がその事務をとつておりました。關根事務官の方から世耕内務政務次官がおとりになつた情報を私の方に――私の方ではその内内を一應お聽きいたしまして、そうして内務省の防犯課長名をもちまして關係警察部長宛に、こういうような情報の提供があるからその内容を調査してくれという手紙をつけて出しておつたのであります。それが、忘れもしませんが二月の末ころまで出ておるはずであります。たまたま、二月の幾日だつたか記憶しておりませんが、内務省の防犯課長から埼玉縣の防犯課長に宛てた調査方の依頼状を惡用いたしまして、警察部にその依頼状をもつて行かずに、あれは埼玉縣下でありますが、ちよつと記憶がありませんが、綿絲二十梱をそのままトラツクで積出しまして、そうして實は警察の方にこれは連絡しなければならないけれども、警察の方に對しては連絡しなくても、お前の所に綿絲があることははつきりわかつておる、それで警察へわかつてもいいから、とにかくあるなら出せ、と言つてトラツクで積出しまして東京の方へ運び、これをまたどこかに處分してしまつた事件があるのであります。そのことにつきましては世耕内務政務次官に私早速お話いたしましたところ、世耕内務政務次官も大變お怒りになつて、その關係者をすぐ呼出されたのであります。數日ならずして大體そのありかもわかつたように聞いておりますが、結局これは私たちやり方も惡かつたと思います。警察部長宛の調査方の依頼状を政務次官室で書いてそれをお渡ししたわけです。政務次官室ではそれを結局封書にいたしまして情報を提供された方に渡したわけです。でありますから、それをそのまま歸つていつて、向うの方で直接相手方に示して綿絲二十梱をもつてきた。こういうような弊害がありましたから、それじや困る、この方法はぜひやめさせていただきたいというので、關根事務官の方に申し出まして、二月いつぱいでやめたのであります。その後は電話または無電をもつて連絡することにいたしましたが、その後はあまり私の方には情報をもつてこられなかつたのであります。それでその當時はもうすでに假摘發指令書というものが出ておつたかのように私承知いたしておるのであります。決して私たちが非協力であつたということは私たち自身としては考えておらないのであります。私たちは一生懸命にやつたつもりでおりますけれども、結果はこういうふうになつてしまつて、まことに私は殘念に思つておる次第であります。
#153
○間島證人 私の證言につきまして、他の證言と食い違いの點は、先ほどお願いしました上野の驛前にただいま泊つております森淳という老人を、この場に出席さしていただきますれば、はつきり黒白をきめていただけるものと思つて待つております。
 次に先ほどの御質問のポイントであると思いますが、間島は世耕指令の激浪にのまれて、畫策したのではないかというお質問でありましたが、そうではないとお答えいたします。しからばなぜああいう文書を出したかと申しますと、まず第一に宇都宮の指令をいただきますまでは、私は世耕先生が非常な御確信をもつて、相當の反對があつても押切つておやりになつておるのを、非常に頼もしく、かつ信頼をしておりましたけれども、宇都宮失敗の原因を、私ども拂下げを受けるものの立場からつらつら反省し檢討をしてみますのに、これは官吏と申しますか、官廳や縣廳ばかりが惡いのではない。私は役人でもなく、どの政黨にも屬しておる者ではございませんので、惡いものは惡い、いいものはいいと、私の判斷において申し上げます。そういう意味からして、この宇都宮の物は出ないようになつておつたのであります。指令書そのものを出してくだすつた世耕先生も、ほんとうに山形にその品物が渡せるという御確信がなかつたと私は思います。濱田君にしても、これを必ず手に入れることができると確信はされておらなかつたと私は斷言をいたします。私は若冠でございまして、拙い言葉を使うのを愼しみたく存じますがゆえに、今までそういうつもりで申してまいりましたけれども、どうも確信はなかつたように思います。これを具體的に申せば長くなりますが、こういうのがある。宇都宮から歸つて來てから、いろいろ世耕先生に報告しましたところ、その代りにこういうものをやると申されました。先ほど私が證言しましたように、三月二十八、九日ごろだと思いますが、先生が和歌山へ選擧にお立ちになる三月七日まで、猫の目の變るごとく、はなはだしきは、きのう言われたことが、きようはもう違う。それで信頼ができなくなる。だれだつてできなくなると思います。たとえば三月三十一日に三つの方法を示されました。その一つは、私に對して宇都宮が失敗したのは檢事局の失敗である。從つてお前はあす日曜日であるが、すぐ熱海へ行つて塚崎、濱田兩辯議士に會つて、宇都宮檢事局の檢事たちが怪しからぬということを書いた報告書を持つてこい。二十六日の晩宇都宮から歸りましてから、濱田辯議士はこのことについて一囘も委員會へ報告書も何も出していない。私はこれを非常に遺憾に思つておつた。かくのごとき大きなことを政府の代行人としておやりになつて、失敗をしておる。それを隱退藏の委員會へ報告しておらない。私たちだけが失敗したのだといつて、泣き面をして泣きつきに行きました。かくのごとく三十一日は、お前は熱海へ行つて宇都宮の失敗が、實は檢事局の不届きのためであるということを具體的に書いてこいと言われて、私は日曜日の夜遅くまでかかつて、熱海へ行つて歸つてまいりました。そしてその報告を世耕先生にしたら、先生はこう言われた。私が檢事總長に會つて、檢事局がこういうふうに不行届で渡さなかつたから、その代りに伴野物産の倉庫にある物をもらつてやる。それが一つであります。それから同じ日に山形の森と佐藤――これは向うの農業會の農工課長でありますが、この二人に、お前たちは、赤羽に高島屋興業株式會社というのがあり、そこに摘發の對象になつている物があるから、そこへ買付けに行つてこいと言われた。それに對して森、佐藤の兩名は、せつかくでございますけれども、そういうまるで商人のようなやり方で行くのはお斷りする。私どもは政府からもらう物をもらいに來たのだから、といつてお斷りしたが、ぜひ行けと言われて兩名は行つた。ところが高島屋興業株式會社の方では面くらつて、山形縣の農業會の者と稱する二人が買付けに來たがと照會してきた。これは安定本部委員會の記録に殘つています。本人たちはそれで非常に不愉快に思つていた。もう一つは關根事務官に命じておられたが、長野縣下にも隱匿物資がたくさんある。内務次官に話してやるから、この三つのうちどれかを受取つたらいいだろうと言われて、三十一日は朝から夜遅くまで駆けずりまわりましたが、ことごとく失敗でありました。なお三十一日だつたかと思いますが、夜十時ごろ、先ほど申しました山形の森という老人がただいま泊つている上野の旅館に、世耕先生からじかに電話がかかつてきて、今商工大臣から一萬反の許可をもらつてきたから、あすの朝こいと言われた。當時私どもは全國農業會の關東信越支部とともどもに、同じ状況にある農業會が一緒になつて、政府の正式拂下を受けようではないかということで進んでおりました。これは宇都宮から歸つてきてから後の合流であります。そのとき、私どもが半信半疑で世耕氏のところに集まつたら出てきたのは京都のブローカーであります。私は一言二言話すうち、こんなものとはてんで話はできぬと思つて、二三分で話をやめて、世耕先生と二階でじかに話をした。このときは全國農業會關東信越支部の資材課の城石ほか二名も出席しました。そこで私から先生に、あんな取引はやみ取引である。やみ取引なら、今まで何も四箇月も六箇月も苦勞するか。物は上るかもしれぬが、山形は金をもつている。買おうと思えば買える。たびたび金儲けの誘いはあつた。私にしましても、この三月十九日の宇都宮の指令書をもらいますときに、山形縣の方では私に電報を打つてきまして、金を用意しているからいつでも來いというような意味の電報が來ております。そのとき農業會から金をとるつもりなら、自分の金庫から金をとるよりもやさしい。それさえやつておりません。私がこうしてこの席上で斷言する以上、どこを突つかれても何も出てまいりません。しかるに、四月一日の前の晩十時、電話がかかつてきて、商工大臣から一萬反許可されたというので、半信半疑で行つてみたところ、やみブローカーである。私は先生に質問しました。なぜ、そんなことをされるか。いや、あれは自分の後輩の辯議士で目黒の方にいる、あれが紹介したから間違いないと思つてやつたが、それではやめようと簡單におやめになつた。私どもはこれを聞いてもうそれ以上信頼していくことが――私自身一人が迷惑を蒙るならいざ知らず、山形縣には七十三萬いくらの百姓が焚くものもなく、著物もなく苦しんでおります。山形のごときは實際御承知だと思いますが、四月の末まで雪であります。米を運ぶにしても、政府から出してくるところの、いわゆる米の運搬料、そんなものよりずつと高い。それで運びますと、運賃は非常に高い。米しかつくれない、野菜をつくつてぼろ儲けのできる百姓ではありません。そういうふうな意氣ごみで私どもがやつているにかかわらず、これでやれ、いかんのか、それではこの次だ、こういうのであります。その次にどうなつたかというと、それならば日本の役人は相手にできぬ、G・H・Qだ。こういう調子でG・H・Qにおれが話してやる。名前を憶えておりませんが、なんでもダイヤモンド中佐とかいう。それまで、ずいぶんたびたび聞かされましたが、お前たちはやみをやつたらB29に乘せてどこに連れて行く。私たちはやみをやりたい、しかし、やみをひとつもやれないじやありませんか。やみをやるにも、流すにも材料さえもらえない。そればかり言われた。最後に商工大臣一萬反の件が簡單にひつくり返つた。そうして四月二日に今度はG・H・Qに頼んでやる、私が言つたらMPがすぐに應援するとか、いろいろ威勢のいいお言葉を使つた。それは田舎から出てまいりまして、MPというものを見れば……。
#154
○加藤委員長 なるべくその證言の範圍に止めて貰いたい。
#155
○間島證人 そうしまして、四月二日から七日までの間に自費で自分の今までのものを全部タイプに打ちました。G・H・Qにも出しました。また私は四月六日、七日だと思つておりますが、二日間横濱の第八軍の軍政部、日本郵船ビルですか、その申請のためにあそこに行きましたところが、この間の文書の最初の方に書いてありますように、先生がこういうふうにやつておくからと言われたこととまるきり違つております。そういうふうな事情でございまして、私どもが故意に世耕先生を陷れようということを全然考えなくても、この人の言う通りやつておいて何ができるのだろうと、前途暗澹たるものを感ぜざるを得ないのであります。こちらはうんと督勵を受けて供米をした、一〇三%になつたからこうしてくれ、一〇四%になつたからこうしてくれ、こういうことを言つてくる。そこで私は日附の通り四月十日に書いたのであります。それから翌々日だと思いましたがまた安定本部の委員會に行きましたところ、井上部員から、世耕氏は昨十一日附をもつて罷めた、委員會の職を解かれたと聽きました。それから私どもはもう委員會の職におられない世耕氏を頼つてこの仕事を續けていく當てはないと申しますか、それで成功し得るかどうかの見込みはまずない、委員會に聞いても世耕氏はもはやこの委員會の人でないので、この人と話しても何にもなりませんと言うた。新聞發表はそれより三四日後のことだと思つております。それから新聞發表を私がした、これは全然うそであります。私は現にそのときにだれだれがおられたかはつきりしておらぬけれども、私と一緒に行かれた森老人、これはすぐ隣りで聞いておりましたからわかりましようが、讀賣のある新聞記者、名前は知りませんが、私のために紹介状を書いて、これを持つていつてくれと言われたときに斷りました。それでその紹介状の名前を書いた罫紙を破つて捨てられた。それでは何も言うことはないと言つたが、その次の日に新聞に發表したのであります。なぜ發表したか、こういうときに世耕先生がすでに明らかに委員會の方じやない、そうして今まで世耕先生を頼つてやつてきたこと、それから宇都宮の指令、宇都宮から歸つてきて、その失敗は、必ずしも官吏の方ばかりでない、官吏がよいとは申しません、官吏も惡いところはたくさんありましようけれども、指令を出すまで、それを摘發するまで、その間に介在した辯護士、それらに確信がなかつたではないか、私は斷言し得る。それから宇都宮から歸つて來て先ほど申したように、やれ赤羽に行け。
#156
○加藤委員長 重複しないように。
#157
○間島證人 そして最後にこういう状況になつた。それでこの問題は政府はどう考えるか、こう委員會に私が新聞發表に申したときに、これは公式の拂下指令であると考えるがゆえに、政府では責任をとろうと思う、それならどういうようにしてもらえるかというと、われわれは安定本部の第三部である織維をやつておる者と協議して、具體的にこれを何らかの形で出そうと思う、そのためにはこういう事情になつておるということがほしい。それからこの手紙のほかに私は個人の名前で今までの事情をかいつまんだものを安本の長官宛に出しております。そういうような事情からこれを發表したものであります。
#158
○加藤委員長 世耕議員から發言を求められております、これを許します。
#159
○世耕弘一君 間島君から長々と手紙のことについて説明がありました。私がこの機會に一言を加えることは眞相を明らかにする意味において必要であろうと思うから、特に委員長の許可を得て發言するのであります。間島君という人はそういううそを、でたらめを言う人でないと今日まで實は信じておつた。ところが間島君自身の言うことは事實の點もあるが、うその點をつき混ぜてまことしやかに言うておるのとはまことに遺憾である。
 第一この隱退藏物資を私が取扱うのは山形縣だけの問題でない。全國農業會の代表者も來ておりますし、新潟縣の者も來ております。關東十縣の支部が代表して來ておつた。その關東十縣の支部の代表者に一言半句もなくして、問島君一人が私の惡口を言うているところにすでにおかしなところがある。山形縣だけの拂下げの問題でない。ただ山形縣が早く拂下げて欲しいということ、熱心であつたということです。大體私は最近においてこの拂下問題をめぐつて、農業會のインチキ性と申しますか、農業會の行動には多くの疑惑をもつております。眞面目な農業會もありますが、きわめて不良な農業會のあることを私は承知しております。ある農業會のごときは幹部が農業會に穴をあけてしまつて、なんとかその穴埋めをせんがために拂下運動をする者がある。それがために私は非常に警戒しておつた。たまたま山形縣の農業會の代表者である森老人は、聞けば濱田君とはごくもとからの懇意である、こういうふうに私は聞きました。濱田君にそれを聽いたときに、おれはごく懇意だという話から、濱田さんと懇意であればまず間違いはなかろう、また濱田さんは辯護士としていろいろな關係をもつておられるから、この拂下げ問題について間違いが起るようなことはなかろうというので、私は手をつけた。しかも間島君自身は何年もかかつたと言うておるが、そんなものに私は半年もかかつておりません。私のところに言つてきたのはおそらく一箇月前後じやないかと記憶いたしております。
 なお栃木縣の問題については、關東農業會十縣のものが話をもつてきて、ただ關東十縣だけではいかぬからというので、全國農業會の代表者にも來てもらつた。その中には前の千石會長の息子も來てくれたはずである。そうして結局早く拂い下げてほしい。ほかの方に運動しておつたが、うまくいかないから、私の方で仕事を進めてもらいたい、こういうような陳情であつたことを私は記憶いたしております。なぜ栃木縣の方を目をつけたかというと、檢事局の協力を得て栃木縣の方で、私は時價三億と踏んでおりましたが、三億くらいの物資がある。それほど農業會の人たちが必要であるというならばその方を振り向けてやりたい。その振り向けるについては、最近は押えても、すぐすつぽ抜けてしまう。現物を處理する上においては常にその効果をあげていないから、念のためにあなた方が栃木縣に行つて實際にその品物があるかどうか、あれば荷主が素直に渡すかどうか、あるいは同時にまた縣廳がそれに素直に助力してくれるかどうかというようなことを考慮に入れて私はあの指令書を出した。あの指令書を出すについても、わざわざ私は大藏大臣、安本長官――これは兼任いたしておりましたが、それから農林大臣、竝びに内務大臣、商工大臣にも了解を得ました。關係閣僚を追いまわして、私が全部渡りをつけて、あの文書を作成した。しかも念のためにあの文書を讀んでいただけばわかりますが、あの文書の中には栃木縣の檢事局の檢事の方々に立ち會つてもらうということをちやんと明記してあります。しかるに栃木縣の檢事局はでたらめだから、どうのこうのと言うことは少し愼んだらよいと思います。さようなうそは、私はむしろうそと申します。こういうわけであります。なぜ私がそれほどあわてた處置をとつたかと言いますと、先般申し上げましたように、東京はすでに區によつては二十日以上の缺配である。政府はこれに對して強權を發動する。場合によつては軍隊の出動をする。軍隊を發動して不正な農家を發見次第財産を沒收するということは、當時の新聞で御承知の通りである。私はこれを憂えた。なるほど強權の發動をすれば確かに米はでるでしよう。出たあとの農村はどうなるか、私がおそれたのはそこです。憂國の至情が私はそこから湧いた。だから農林大臣に待つていただきたいと言つたのです。閣議でそういうような決定は待つていただきたいと言つた。その代りにぼくの方にはこういう手があるからそれでやつてみたい。そういう手があるのならばそれでやりたまえ。そういうわけでみんなに了解を得てあの手續をした。私はその點について何ら私心がありません。しかもその私心のなかつたことはあとでまた附け加えて申し上げますが、栃木に調べに行つたところが殘念ながらそこには品物はなかつた。移動されてしまつた。この移動の状況もやがてここ數週間を出でずして確實な證據が出てまいりましよう。また栃木縣に特殊物件が何ほどあつたかという證據もおそらく近いうちに皆さんの手もとに出しましよう。私が空虚なでたらめな、農業會の連中をあやまらせるためにやつたのじやないという證據を近く提出いたします。さような次第で、私は實は栃木縣になくちやならぬと思う、そのなくちやならぬ物がなくなつていた。この點は申譯ないと思う。そこで第二段の策としてどうしようかと言つたら、私の友人が、實は名古屋に任意供出の形でキヤラコが一萬反ある、かようなことを言つてきた。それは確實かと言つたら、確實だと言う。商工省のわくがもらえるかと言つたら、石井商工大臣は、農村の供出のためにその品物が任意供出で得られるというなら承諾しよう。これはこの議會の議場で私は承諾を得た。よろしい。その承諾を得たならば、これだけでも農業會の連中を喜ばしてやろうというので、夜私は電話をかけた。ところが後で聞いてみたところが、その任意供出を言うてきた人はむしろブローカーであつて、正式のものではなかつたという。そこで私はこれはいかぬというので、即座に解消したことは、これはあなたの言う通り、ほんとうのことです。それから、さてどういうことにしようかと言うたところが、京都に隱退藏物資を押えたのが、特に隱匿物資という檢事局からの報告が來ておつたから、これはまさか間違うことはあるまい。これを一つやろう。しかし全部やるわけにいかないから、一部分でも一應顏を立てるようにしよう。それではどういうふうにしようかということになつたが、實は隱匿物資である以上、しかもこれがまた途中で官憲の干渉を受けて輸送が困難になるということだとせつかくの供米の約束がむだになるから、これは一つこの際司令部の協力をまつより仕方がないじやないか、かように私は各農業會の人たちと協議いたしまして英文に打つた。そうしてそれに理由書をくつつけて、まずこれは横濱の第八軍の軍政部の了解を得ることが必要だろうというので、私は軍政部に一日潰して行つたのであります。ところが軍政部の方では、第一供出を完了したところに報奬物資をやらないで、供出未完了、しかも五〇%、六〇%を出ない山形、新潟――新潟はそのときはもつと出ていたと思いますが、山形方面などにやるのは不都合だということを、まず最初に非難を受けました。それは私はもつともだと思う。しかし私はそれに對して、お説はごもつともでありますけれども、現在米がないのだ。三月危機が叫ばれ、日本はどうなるかわからぬのだ。せめて出さない農業會に報奬物資を先にやつて米を出させておいて、あとで一一〇%出している農業會にもつとよい條件で出すというようにしていただいたらどうでしようかということを私は隊長に話した。それはグデルという大佐であります。それならひとつ考えておこう、それでは明日來てくれ、こう言われたから、翌日、農業會の本部の連中、全國農業會の代表者、山形縣、新潟縣その他の關係者かれこれ七、八人と思いますが、それに私の知つている通譯を一人連れまして、十人ばかりの者が横濱にまいりまして、陳情書を出したのであります。ところが殘念ながらその日なぜ解決できなかつたかというと、アメリカの記念日で、グデル大佐は來ておられたけれども、實は部下が來ていないほんとうの係りの者が來ていないから、きようはこの問題について囘答できない。日を改めて來てくれという話だつた。それが、あるいは六日であつたか、多分七日と私は記憶いたしております。午前中に行きました。そこで……。
#160
○加藤委員長 獨立記念祭ですか。
#161
○世耕弘一君 獨立記念祭じやない。七日と記憶いたしますが、七日に實は行つてその話をした。そうしたら、記念日で、今日は私は出てきているが、部下が出てきていないから話はまとまらぬと言いましたから、殘念でありましたけれども、こうこうこういう事情でここまで話がついておる。私が留守でもこの話はまとまると思うから、諸君があとを協力してもらいたい。こういうふうに農業會の連中にも話して、私は七日の晩に立つて選擧區へ歸つた。なぜ私がそういうよけいなことをするかというと、私は一文も口錢をとろうという考えはもつておりません。誠心誠意やつたことである。ただ都民の二十日以上の缺配を幾分でも緩和したらという私の政治家としての良心からしたことである。しかも選擧區からは早く來い來いというひつきりなしの電報である。一日遲れることは私の當落に影響することである。それすら犠牲にして、私は七日までがんばつたのであります。それほど私が誠心誠意やつたから、最後の晩のときに、農業會の代表者が來て、先生にはいろいろ御心配かけて濟まぬ。せめてはこの機會に何か陣中お見舞をいたしたいということを口をそろえて言われた。これは私はかけ引とも何とも思わない。眞實そういうような氣持を私に懷いてくれたので、私はそれに感激した。私の微力に對してあなた方がそこまで感謝の辭を述べてくれるのであつたら、私は注文がある。それなら、どうぞ消費者のために、一合でも一升でも、あなた方のその熱意を供出の方へ加えてもらいたい。こういうことから、非常に喜んでくれて、それなら先生、せめて先生の門出を祝いたいから、今晩ちよつとでも席に顏を出してくれぬかと言われた。私は非常に多忙であつたから困つたが、向うの熱意もあつたから――私は酒もタバコも飲みません。殊に選擧を控えて尻がもがもがしておりましたれけども、その晩何という會合でしたか、下町の方で、私は一時間か一時間半ばかりひまをつぶして出て、そうして選擧區に歸りました。私は感激のうちに送られたのであります。恨みを受けるところは少しもありません。もし恨みを受けるというのならば、それはあなた自身の言葉以外に私は聞いておりません。しかもなお、私はこれがうまくいくかいかぬか、選擧區に行つても心配だから、このいきさつについてうまくいつているかどうか電報をくださいよと言つて頼んで、またうまくいかなかつたらだれか若い者でも出張してきてくださいよと言つて、言葉を附加えて立つている。電報はいただきましたけれども、それは電文が明瞭じやなかつたから私は判斷できません。これははつきり申し上げます。今私のところへ手紙を出したと言われるが、そういう手紙は受取つた覺えはございません、殊に濱田、塚崎辯護士に對して百萬圓云々が書いてあるようなことは、私のような潔癖性、また私のような性格は、さようなことをもし濱田辯護士がやつておつたなら、その手紙を握りつぶしにはいたしません。必ず抗議を申込みます。殊に感激のうちに送られた私が七日に立つて、十一日とか十日の日に、そういう私を排撃するような手紙をなぜ出す必要があるか。これが私から言うとすでに隱謀である。あまりに見えすいた隱謀はよした方がいい。不都合千萬である。威かしじやない。私の人格の表現である。
#162
○加藤委員長 靜肅に願います。――木村君、靜肅に願います。
#163
○世耕弘一君 私は言葉の綾じやありません。あまりにもひどすぎる。失禮な言い分ですけれども、私はいささか、憂國の至情で働いておる。生命を投出しておる。あまりにもでたらめなことはやめていただきたい。興奮せざるを得ない。ぼくはあなたのような、そういう人ではないと信じておつた。しかもあなた自身は代理じやないか。御本尊は森という人である。しかもこの問題は、一山形縣の農業會の問題ではございませんよ。全國の農業會の連中が私のところに來て、相談した。その後も私に對してこれから先も不服を言うてきた者はありません。しかし私のやつたことが成功しなかつたことはおわびいたします。けれども、私が歸つてきてからは、それを成功さすべく努力するところの地位を私は奪われております。そのためにできなかつた。それ以外に私は追究されることはない。また私は私心をはさんでやつておるものではないということはおわかりであろう。もし私の言うことがでたらめであるとするならば、他に農業會の關係者も七八名あつたと思います。呼んでいただいて、その心證を聽いていただけば、私はおわかりになると思います。私は農業會の連中がまじめに眞劍にこの問題を處理するために、山形縣竝びに新潟縣の諸君、その他關東十縣の農業會の連中が起ち上つておつたから、私もその感激に應じて起つただけのことである。これはあまりにひど過ぎる。人を侮辱することになる。私はあえてこのことは直情經行に申し上げます。
#164
○加藤委員長 この際ちよつとおはかりいたします。先ほど中野委員から御提議がありました參考資料を取寄せる件でありますが、昭和二十一年三月十八日附の商工次官通牒としての地方商工局長竝びに地方長官あての通牒であります。隱退藏物資等緊急措置令施行に關する件、これが一つ。二番目には登地第二九三號昭和二十二年五月十五日附商工次官、内務次官より地方長官あて隱退藏物資等の買上價格と配給價格との差額の處置についての通牒であります。三番目は、右の價格差から生れた差益金の内容、これは商工省の總務局、農林省の總務局に農林省、商工省關係の個々のものはありますが、總合的なものは大藏省にありますから、大藏省から取寄せる。この證據書類の取寄せについて異議ございませんか。
#165
○加藤委員長 御異議なければ右三通の参考資料を至急政府に請求することにいたします。
 さらに清澤委員から御請求がありましたが、山形縣農業會の會長――實は本栃木縣下における隱退藏物資摘發に絡まる官憲の妨害事件は、先日來多くの證人の御出頭を願つて、それぞれ證言を求めておるのでありますが、委員長においてもなお釋然たらざるものを多分に感じております。しかも途中に人人の人格に關するような事柄が派生的に生れてまいりました。殊にこの人格に關する中には、司法の最高權威である、最高裁判所の判事である塚崎直義氏に關する事柄すらもあるのであります。それゆえに、多少派生的とは思われまするが、こうした問題の本質を明らかにするために、山形縣農業會長を證人として出頭を願うという清澤君の御提議であります。さらに先ほど來證言の中にしばしば出てまいりました森淳君という人、この二名の證人を提議されております。委員長も至極もつともと思いますが、いかがでありましよう。
#166
○加藤委員長 御異議なければ右兩名を證人として出頭してもらうことにいたします。
 それから先ほどの手紙は早速電話で照會いたしましたところが、本人が外出中で不在でありまして、それゆえに宿にそのことを委嘱しておきました。御了承おきを願いたいと存じます。
#167
○木村(公)委員 先ほどの世耕氏の御發言中にもありましたように、これは單に山形縣の農業會だけの問題でありませんので、歡呼の聲で送られたというお言葉もありましたので、山形縣以外、たとえば非常にこのことに對して喜び感謝を捧げておられる新潟縣あるいはその他私ではよくわかりません。關東六縣の名前がよくわかりませんが、それも併せてお喚出しを願つたら公平を期せられると思います。
#168
○明禮委員 今手紙の問題で例の上田事務官のお話の世耕氏の手紙が井上氏の手からまわつたように言つております。その井上という人がその手紙を世耕氏の了解を得ないで方々へまわしたのですから井上氏の喚問を願いたいと思います。
#169
○加藤委員長 木村君、その各地農業會の代表者は直接的には關係がないように思われますので、山形縣農業會の會長が證言されればそれで十分でないかと思いますから、この點はどうかと思いますが御承知を願えますか。それからさらに明禮君の提議されました直接間島君から手紙を見せられて、さらにこれを上田事務官に渡されたという井上事務官を證人として出頭を願うという御提議でありますが、これをいかが取計らいますか。
#170
○加藤委員長 それでは井上事務官をも證人として出頭を願うことにいたします。さらに今證人もしくは參考資料を求める點について世耕議員から發言を求められておりますからこれを許します。
#171
○世耕弘一君 先般本委員會から十四項目にわたつて重要な資料の要求のあつたことを承知いたしたのでありますが、なおその點に關しまして私もそれぞれの手を通じまして調査いたしたのですが、それによりますとその資料の一部を調査いたしまするだけでも三年くらいかかるであろうということを傳え聞いたのであります。なお兵器行政本部の關係書類が大半あるようでありますが、約四十坪ばかりの倉庫に一ぱいつまつておるというような状況で、それを全部掘り返さないと資料が全部出てこないというような状況にあるやに承つております。それにつきましては便法といたしまして委員長にお願いいたしたいと思うことは、終戰後放出物資について會計檢査院の第一、第二、第三、これは陸軍關係でありますが、かれこれ五囘にわたつて調査をしておるようであります。ゆえに大體は會計檢査院の方に御照會になれば明らかになるのじやないかと伺つております。できたならば會計檢査院の院長竝びにその事務の責任者を證人にお喚出しが願えれば、この委員會の進捗を速やかにするのではないかと考えます。もう一つはもとの被服本厰の總務部長をいたしておりまする秋田銀造というもとの主計少將がおります。この方は全國の陸軍の被服を取扱つていた權威者であつたと聞いております。この方に御出席を願えば被服關係は一切わかる。なおこれに關連いたしまして國武中佐、現在は復員局の總務部員をしておられるそうであります。この方はあまり詳細はわからないようでありますが、この方も一應出ていただく。なお物資の各中央の補給所の總務部の各關係者を喚んでいただきますると、大體この全貌がつかめるというふうに私は承つておるのであります。なお昭和二十一年の臨時議會と聞いておりましたが、はたしてこの議會であつたかどうかわかりませんけれども、これは資料提出者から聞いたのであります。これによりますと、進駐軍に日本の軍需物資を引渡した引繼ぎの報告書が行つておるようであります。この報告書は昭和二十年八月十四日の閣議に基いて、八月十五日に各部隊の責任者に次官通牒をもつて無償保管轉換をさせたのを、またそれを取消して再び帳簿に載せた現物であります。この明細書を議會に提出しておると言つております。あるいは議會にまだ提出しないで、安本その他の關係省にあるかと思いますが、これを請求していただきたい。この數字をちよつと見ましたが、それによりますと當時二千三、四百億圓の物がなおあつたという説明を承つておりますから、以上の點を適當に御處置を願いたいと思います。
#172
○加藤委員長 ただいま世耕議員から參考資料なりあるいは證人についての參考意見をお述べくださつたのであります。世耕議員は委員でありませんから、世耕議員の發言がただちに資料の請求なりあるいは證人出頭の請求なりの發言とはならないのであります。しかしながら重要な御發言と思いまして、委員長においては、ただいま世耕君の發言の趣旨に基きまして、それぞれ適當な處置を講じたいと思います。元來あの資料を請求しまして資料が本委員會にまわつてまいりますれば、本委員會は幾つかの小委員會に編成をしまして、それぞれ書類について十分なる檢討をし、その書類の檢討に基いて必要なる第二の書類なり、必要なる證人なりの出頭を求めるという順序であります。まだ參考書類がまわつてまいりませんために、途中においてこういう世耕情報に基く二、三の事件が起つてきたのであります。これを今扱つておるわけでありまするが、これも順次結末に近づいていきつつありまするので、そのうちに本來の資料が提出されると思いまするから、その上でそういうことをやる段取りであります。つきましてはただいま世耕君の御發言も重要な參考意見として承つておきまして、何しろ次もその次もこの問題の證人の喚問がありまするから、それらの證人の證言の陳述を一應終つた後にしたい、そのうちには資料もまわつてまいりまするから、そういうように運びたいと思つております。この點御了承おきを願いたいと思います。
#173
○石田(一)委員 一つだけ内務省の經濟防犯課の上田事務官にお尋ねしておきたい。私は經濟防犯課の一員として忠實に職務に精勵したつもりである、こうおつしやるのですから、すなわちこのいわゆる世耕事件というものを、たとえば警視廳ならば警視廳にかくかくのものがあるから、これを何とかして見ろと、命令又は指示をなされたときに、それがたとい隱退藏物資として、はつきりしたものであろうがなかろうが、その取扱つたものの最後の處分までについて、監督官廳である、また指令を發せられた防犯課の方はどういうようにこれを處理されたかということは全部御報告をお受けになり、またそれに承諾をなさつておるはずだと思いますが、全部そうだということが言えますか。
#174
○上田證人 私の方から直接電話なりでこの件について調査しろと調査を命じたものについては、大體報告がまとまつております。しかし物の處理關係まではしておりません。これはなぜかと申しますと、警察は物の處理には關與しないということを從前からの建前にしております。それで物があつて、警察が隱退藏物資であるかどうかということをかりに認定いたしましても、その認定の權限、主管は經濟部にあるのであります。經濟部では實情がわかつておりますから、こういうものは隱退藏物資と思われるというので、東京都なら東京都の方に通知するわけであります。通知すれば東京都がそれによつて處置をする、こういう段取りであります。
#175
○石田(一)委員 そうすると警察關係では物の處分に關してはタツチすべきでなく、また警察の責任でなくて、いわゆる東京都なら東京都にこれを經濟部の方からまわす、こういう方針でありまして、そのものがいかに處分されたか御存じないということですか。
#176
○上田證人 私、第一線で仕事にあたつておらなかつたからその點よく存じませんが、大體建前としては物の處理は經濟部の方でやつてもらう、それを摘發したらこれを東京都の方に出す、こういう行き方であります。
#177
○小島委員 これは直接栃木縣の問題じやないのですが、經濟防犯課にいらつしやつたのですから、東京都内において水あめ事件があつたことを御承知かどうか。御承知でしたらこれに關連して何らかの指圖を内務省の防犯課から警視廳の方になさつたことがあるかどうか。
#178
○上田證人 問題になつております水あめの事件のことだろうと思いますが、これにつきましては私ははつきりした記憶をもちません。書類も私の方では殘つていないのでありますが、それは世耕内務政務次官に私が呼ばれたと思つております。そうして岩崎君のところにこういう水あめを隱匿してある、これを一つ摘發しろ、警察署に命じてやつてくれ、こういうことを言われましたから、そのとき輕い氣持でメモもせずに、私はそれをそのまま警視廳の係りの方に電話連絡したように記憶しております。その結果につきましてはいろいろ問題があつたように聞いておりまして、副委員長のところに、目白警察署長か何かが直接お呼び出しになつたということも聞いておりますが、それは經濟防犯課を通じてなかつたように私は思つております。もし何かあつたとしますれば、當時の防犯課長を通じて何かお話があつたかもしれませんが、係りといたしましては、それだけの記憶しかもつておりません。
#179
○小島委員 そういたしますと、その事件については初めから全然書類というものをおつくりにならなかつたのですね。どうもすべての事件が書類になつておつて、それだけが書類になつていないというのもおかしいのですが、それはどういう事情なのでしようか。
#180
○上田證人 すべてが事類になつておるとは必ずしも申し上げかねるのです。東京都内やこの近郷でありましたら、情報がありますればそれをすぐ電話でやつたこともあるのであります。でありますから報告が來れば結局いつ電話したものだということがわかるのでありますが、その當時、實はこれは私の事務の怠慢と言われれば言われないこともないのでありまして、自己辯護のような形になりますが、いろいろなものをもつておりましたために、そういうふうな事務上の不始末がないでもないということを申し上げます。
#181
○加藤委員長 ちよつと小島委員に申し上げますが、前囘の本委員會におきまして、田中本田署長の證言におきまして、田中本田署長の證言によりますと、内務省からこの問題はG・H・Qに投書があつた問題であるから愼重に調べよ、そうして十日以内に調べて報告をせよという命令があつた、こういうことを證言されておるのであります。
#182
○小島委員 私の聽きたいのは、そういうことをこの問證言したのでありますけれども、實はほんとうかうそかわかりませんけれども、この摘發については世耕氏の書いておられる自由評論という雜誌、あれを見ましても警視廳の方の警視か何かが摘發を中止せしめたという意味のことも書いてありますし、何らかそこに内務省の防犯課の方から警視廳を指圖して摘發を中止せしめたようなうわさもあるものですから聽いてみたのですが、今證人の言うこともごたごたして何か問題があつたという言葉が出たようでありますので、私は何か別個の指令でも出ておるのではないかと思つて聽いておるわけであります。
#183
○加藤委員長 その點は委員長からも補足いたしますが、水あめの問題については内務省から警視廳に向つてG・H・Qに投書があつた問題であるから愼重に調べよ、しかも時間も十日以内に調べて報告せよということを命令されたということでありますから、内務省としては當然あなた方の關與されておる機關において協議されておらなければならぬと思うのですが、その協議にあなた方が參加されなかつたかどうか、あるいはそれを課長なら課長が個人の意思においてそういうことを言うたのか、その點を小島委員は聽きたいのだろうと思います。
#184
○上田證人 本田署長がこの前の委員會において言われましたG・H・Qからの指令の分は實は私は關與しておらないのであります。これは渉外係というのが別にありまして、G・H・Qの指令の分はみんな渉外の方で扱うのであります。渉外の方で扱いますのはそういうふうに期限付で、警視廳であれば警視廳の方にいくものであります。それで私が先ほど申し上げましたのはその後の問題だと思つております、世耕副委員長からそういうふうなことを承つたのでありますが、前のG・H・Qの命令によるものについては、今度の證言によつて初めてその事實を知つたような次第であります。
#185
○辻委員 監査局長にお尋ねをいたしますが、檢察廳からの正式の御報告に對しまして疑義をさしはさむような質問はお互いに法治國民として愼しむべきことだと思いまして、實は先ほど折り返してお尋ねすることを差控えたのでありまするが、どうも腹に落ちぬことはあと味が惡いので、一言はつきり承つておきたいと思いまするが、御依頼になりましたのは摘發行為に對して警官の妨害があつたかなかつたかということでございますか。それだけでございますか。
#186
○國鹽政府委員 檢察廳の方へ調査を依頼したのはその點であります。なおその物資が物聞の報告によると摘發物資であり、そのほかの報告によると適法物資であるというような點が、私ども疑問でありますので、それはただいま私どもの方で商工省の方について取調べ中であります。
#187
○辻委員 なお先ほどの御報告の中に、私の聽き違いかもわかりませんが、摘發に該當する物資にあらずという御報告が加わつておつたように聽きましたが、私の聽き違いでありましたか。
#188
○國鹽政府委員 それは檢察廳の方の取調べの結果、現地においてはさように認められておる。現地の方ではすべてそういう報告になつております。愛知縣の方から參りました報告も、岐阜県の方から參りました報告も、すべてそうなつておるのでありますが、なおその點新聞と違いますので、私の方で取調べておるのであります。
#189
○辻委員 私のお尋ねいたしておりまするのは、先ほどお讀みいただきました檢察廳からの正式の御報告に、摘發すべき物資にあらずというような意味のことがたしかうたつてあつたように伺つておりますが、その點でございます。
#190
○國鹽政府委員 それはただいま申しました通り、岐阜縣の警察署が取調べたのでありますから、岐阜縣が取調べた結果、そこにある資料によつては適法である、該當でない、というふうに私は解釋しておるのであります。
#191
○辻委員 いまだ商工省の方でお調べになつておりまして、隱匿物資と申しまするか、とにかく届け出がしてあるかどうかということも御研究中のようでありまするが、それにもかかわらずすでに檢察廳が先んじまして、しかもこちらからお問合わせになつた以上のことを、摘發物資にあらずという、その御認定をされて、御報告になつておるのは、これは出過ぎたと申しまするか、ちよつと行き過ぎのように思いまするがどうお考えになりまするか。
#192
○國鹽政府委員 私の方で調査をお願いいたしましたのは、先ほど申し上げましたように警察に妨害事實ありや否や、こういう點に重點を置いて調べるようにということは當然向うが考えたのでしよう。取調べのついでにたまたまそういうものが附加されて、たいしてその方は調べもせず簡單に呑みこんで解釋するのであります。その點は別に檢察廳の方に御依頼してないのでありますから、その點は御了承をお願いいたします。
#193
○辻委員 そうしますと、檢察廳の御報告も十分信を置くに足りない、と言うとこれは言過ぎかもわかりませんけれども、未だ十分の調査をして確定をせざるに先だつて早計なる御判斷をお下しになつたものと、私かように解釋いたしまして、そうした御報告を非常に悲しむものであります。將來のために惡弊を遣すことになるのではないかということをおそれるということだけ申し上げます。
#194
○石田(一)委員 先ほどの上田事務官の御言葉でございますが、連合軍關係の注意事項なんかがあつて、期限をつけられたものは渉外の係でやることで、その方のことはわれわれは全然知らぬ。後日これが問題になつたのでわれわれは驚いたくらいだと、今おつしやいましたが、では今度これが問題になるまでは内務省のいわゆる防犯係の方においては、この件については全然御存じなかつた、そういうことになりますか。
#195
○上田證人 ごもつともだとは思いますが、渉外の方から調査が出たということを私は今度初めて知つたのであります。水あめ事件の結果につきましては、當時内務政務次官室に目白署長かだれかお呼びになつたということは、私は聽いておつたのでありまして、その當時の經緯は、この前證人でおいでになりました小杉課長から、うちの課長に直接話があつたのだろう。係りとしては承知をしておらないのであります。
#196
○石田(一)委員 うちの課長に直接話があつたんだろうと思うだけのことで、それ以上のことははつきりしないのでございますか。
#197
○上田證人 ただその内容につきましては私ははつきりしたことを知らない。何がごたごたがあつた。この前もお話がありましたように、水あめというものは隱匿物資緊急措置令の對象になつていない。それで對象物資ではないから任意供出されたというような意味のことは、私聞いておつたのであります。具體的な數字とか、そのほかのことは私としては存じておらないのであります。
#198
○眞子證人 ちよつと、先ほど鍛冶委員から述べられました摘發状況調べというものを、私どもの調べたものと對照してみましたところ、數で多少食い違つたところがある。數をこちらの方は詳細書いておりますが、私の調べは、お手もとに差出してありまする記録によつてごらんいただければ明瞭と思いますが、私どもの調べは、判事の強制處分の結果を集計したものに過ぎませんから、その記録によつて御判斷を願いたいと思います。それからこの書類はお返しいたします。
#199
○加藤委員長 今眞子證人の言われたことお聽取りの通りであります。檢事の聽取書は全部ここに、先ほど申しまする通り委員會に保管してありまするから、栃木關係の事件の終末を告げるまでは、本調書は本委員會で保管いたしておきます。
#200
○間島證人 ちよつと……。
#201
○加藤委員長 何かあるのですか。あまり證言の範圍を出て述べられることは、殊に重複することは極力避けていただきたいと思います。
#202
○間島證人 先ほど世耕先生が……。
#203
○加藤委員長 そういう個人の言うたことを一々お互い同士反駁されることは迷惑であります。
#204
○間島證人 私は山形縣の農業會長の代理であつて、ほんとの者は森氏であるという件につきましては、間違いで、私も森氏も同格であります。二人とも同じく委任状をもつておるのであります。
#205
○加藤委員長 その點は農業會長を次會に證人として出頭してもらうことになつておりまするから御承知おきを願います。
 本日はこれをもつて散會いたします。次會は來週月曜日午後一時から開會いたします。
   午後六時二十九分散會
ソース: 国立国会図書館
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