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1947/08/18 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第10号
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1947/08/18 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第10号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第10号
昭和二十二年八月十八日(月曜日)
    午後二時一分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 梶川 靜雄君 理事 武藤運十郎君
   理事 辻  寛一君 理事 石田 一松君
      足立 梅市君    清澤 俊英君
      小島 徹三君    福田 繁芳君
      矢野 政男君    山本 猛夫君
      鍛冶 良作君    北浦圭太郎君
      木村 公平君    水田三喜男君
      明禮輝三郎君    村上  勇君
      中野 四郎君    徳田 球一君
 出席政府委員
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
 委員外の出席者
        議     員 世耕 弘一君
 證人
  昭和二十二年八月十三日衆議院隱退藏物資等
  に關する特別委員會における證人清水清氏の
  證言に關する件について左の證人が出頭した。
                柴田 富治君
           東京都中央區新富町三ノ
           七相互ビル
                武永利三郎君
           東京都練馬區練馬南町二
           ノ三六五九
  都内葛飾區小谷野町三八番地岩崎澱粉化學工
  業所に所藏する水飴の事實調査につき世耕内
  務政務次官に對する昭和二十一年十月七日附
  報告書に關する件について左の證人が出頭し
  た。
        岩崎澱粉化學工
        業所取締役   岩崎新一郎君
           東京都葛飾區小谷野町三
           八番地
        岩崎澱粉化學工
        業所取締役   川端 佳夫君
           東京都世田ヶ谷區弦巻町
           一ノ二七
        前警視廳生活課
        長       小杉 平一君
            群馬縣前橋市群馬縣廳
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 隱退藏物資等に關する問題
 委員派遣に關する件
 證人出頭要求に關する件
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 これより會議を開きます。
 本日はいわゆる目白における水あめの摘發事件に關する證言のために柴田富治君、武永利三郎君、川端佳夫君、岩崎新一郎君竝びに小杉平一君の五證人が出頭されております。證人の證言を求める前に、今日初めて御出頭になりました證人の方に一言申し上げますが、證人が證言をなさいまする場合は一々委員長の許可を得て發言していただきたいと思います。なお證言のの範圍は求められた範圍に限つて述べていただくことに御了承を願います。また委員各位にも申し上げますが、委員の諸君が證人に證言を求められまする場合には、たまたまあるいは言葉が強くなつたり、あるいは尋問というような形になるおそれがありまするが、證人に證言を求めますのは、本委員會が調査の必要のために出頭を求めたものでありまして、ある事柄を尋問するというのではないのでありまするから、その點は特に言葉の上に御留意を願いたいと存じます。それではこれから順次各證人について證言を求めることにいたします。その前に、先日の岐阜縣笠松における摘發妨害事件に關しての最終報告が到著しておるそうでありまして、安定本部の國鹽監査局長から報告をされるそうであります。國鹽政府委員。
#3
○國鹽政府委員 この前の委員會で、檢察廳の囘答を御披露申し上げたわけでありますが、その際發見した物資がはたして正規のものか、隱匿物資であるかということの調査が商工省との關係においてまだ濟んでおらなかつた。その返事がきたら御報告申し上げるというお約束をしておいたのであります。商工省の方から、返事がまいりましたので御披露申し上げることにいたします。本件に關しましては、名古屋の商工局長から商工省の繊維局長に正規のものであるかどうかという公文の問合せがあつたのであります。それに對して商工省の繊維局長名をもつて該當物資にあらずという囘答文を出した。その寫しを入手いたしましたから、一應それを讀むことにいたします。
  八月二日附名古屋名商第三九〇八號で、在庫生絲の處理に關し打合せがあつたが、左記の通りであるから御了知の上、よろしく措置されたく、囘答する。
 一、岐阜縣羽島郡川島村綜合撚絲有限會社が所有している絹絲は京都織物株式會社が右會社に撚絲加工を委託したものである。
 二、右絹絲の内譯は左の通りである。生絲一千二百九十一貫三百九十五匁、四本片撚絲五百十二貫六十匁、九號撚糸千九百五十四貫四百九十匁、二號撚絲三百六十九貫三百九匁、計四千百二十七貫二百五十四匁。
 三、右絹絲は昭和二十年商工、農林省令第一號により凍結されたときの申告濟みのものである。
 四、絹絲は昭和二十一年商工省令第三十三號で輸出指定絹織物を製織するよう日本繊維協會に指令濟みである。
 以上でありまして、この全體の量も先般の報告の數字と大體において一致しておりますのでこれは正規のものであるとわれわれも認定する次第であります。
#4
○加藤委員長 ついで先々囘の委員會において委員長に指名一任されておりました栃木縣に派遣する委員の氏名を申し上げます。武藤運十郎君、大森玉木君、鍛冶良作君の三名を指名いたします。三名の委員諸君は御協議の上で日時等を決定していただきたい。派遣日時は往復の時間を計算に入れまして四日間としておりまするから、四日間に所定の調査をしていただきたいと思います。出發されます期日は、委員諸君の御協議によつて適宜なるべく早い日に決定していただきたいと存じます。それから先囘の委員會において委員會終了後全委員の協議によりまして、委員長の手許にもたらされた一つの情報に基きまして、現在の摘發機關である安定本部と商工省との摘發委員が出發されるように努力いたしまして、これに對して摘發の状況を視察するために、非公式に本委員會の委員中野四郎君と石田一松君の兩君に行つてもらいました。これはもちろん非公式のものではありましたが、摘發の状況を委員が知るということは、今後の本委員會の進行の上にも多分に示唆するものがあると思われましたので、こういう措置をとるに至つたのであります。なお聞くところによりますと、該摘發隊の摘發の仕事は全部完了しなかつたそうでありますが、一應視察されました視察の状況を本委員會に御報告願いまして、さらに必要ありとするならば、正式に視察員を派遣したいと思いまするので、一昨日摘發状況視察のために出張されました石田君、中野君兩名のうち、石田君から視察状況の概要を御報告願うことにいたしたいと思います。
#5
○石田(一)委員 去る十六日の土曜日、非公式でありましたけれども、安本の元島、中村、高山の三君、商工省側からは高原氏一人がこの摘發隊に同行いたしまして、衆議院前を午後二時ごろ出發いたしました。視察する場所、また摘發する物資のある場所は昭和ゴム株式會社で、神奈川縣の寒川にありますもとの海軍の工廠跡であります。但しこの昭和ゴムの施設、機械類は賠償物資の指定工場になつておりますので、もし正式なる手續を踏むとすれば、第八軍または神奈川、東京あたりの軍司令部のパスポートが必要となるわけであります。そこで私たちもいろいろ横濱に參りましてその手續をとりましたが、土曜日のことで、向うに著いたのがすでに四時ごろでした。當直の方もおりませんし、いろいろと中野四郎君あたりの折衝によりまして、まず神奈川縣知事から所管の警察署長に電話をしてもらいまして、調査というのでなくて、現場視察程度ということならばよかろうということで出發いたしました。まことに警察署長竝びに警察官のこの摘發隊に對する協力は、一點非の打ちどころのない協力のしかたでありました。私たちは昭和ゴムの工場内にただちに入れてもらいまして、安本の方がまず事情を話し、向うの業務局長の阿部という方も快くこれを迎え入れまして、どうぞごらんくださいと向うから倉庫の扉を開いて中を見せてくれるという状況でございました、私たちが同行しましたこの摘發隊は、まことにきびきびとして實にあざやかな調査ぶりでございました。しかし遺憾なことは、聞くところによると當日より二、三日前にやはり安本の方から齋藤事務官とかいうのが一人か二人の情報提供者を連れてこの工場においでになつたそうでありますが、おそらくもしあの工場の倉庫を摘發または調査をするとすれば、一人や二人で一日、二日ではとうてい調査しきれないものだと私たちは考えます。ただ摘發の状態はまことにスムースにまいりましたが、時間が遲くなりまして現場ですでに九時過ぎになりまして、數量等を懐中電燈で暗い、臭い倉庫の中で調べるのでありまして、思うようにまいりませんでした。そこで安本の方たちがいろいろと協議をなさいまして、そのときに安本の元島氏は向うの業務部長に、當工場の倉庫にある物資については相當綿密に調査する必要があると考える。だから一日、二日後にあらためて再調査にくるということを申し渡されまして、われわれは引上げたのでありますが、このときに私たちが非常に感じましたことは、今までの摘發隊にたとえ一人でも二人でも國會を代表するものだとか、また嚴正なる立場を堅持するものがこうした意味の同行視察を許されていたならば、こういうふうに摘發が今まで行われていたならば、相當綿密な調査も行届いて、今日のような事態にはならなかつたのではないかというふうな考えも起きました。そこにありましたいろいろな物資につきましては、安本の係の方がそれぞれ記入いたしておりましたが、私たちがちよつと見たところでは、生ゴムのことについてはまだ倉庫が三つばかり未調査のものがありますのでこれは何とも申し上げられませんが、一、二の倉庫を調べましたところ、苛性ソーダのドラム罐に入つたものがちよつと見たところ、三、四十本倉庫にしまつてありまして、しかもこれは必要生産資材であるがすでに登録濟みかという安本の方の質問に對して、倉庫係業務部長の方が言葉をにごして、よくわからない、本社から來た品物であるから本社でやつておるのじやないかと思いますと言う。途端にまた安本の方が、今度の登録責任者は物資を保管している者が登録することになつておるのだが、そのことを御存じでございますかと鋭い質問が浴せられておりました。遂にこれはおそらく登録しない必要生産物資ではないかという疑いが多分にもたれたのであります。また情報提供者の話によりますと、以前大きな倉庫にいつぱいあり、その近所にばらばらころがつていたというセルロイドの原料と申しますか、疊一枚ぐらいの、厚さ約三分ぐらいの板が八十枚そこに積み重ねてありました。これなどは全然その會社の帳簿にものつておらず、しかもこれは安本に處分をお願いしているものであるという言葉でございました。しかし八十枚というものはわずかなもので、これがもし現在倉庫一ぱいあつたならば、たとえばセルロイドのおもちやなどの輸出向の原料になると私たちは素人考えをしたものすであります。すなわち私たちはただそばについて見ておりましたが、數量など、また情報者の提供した情報などと比べまして、情報に記載していない別の藥品類が相當發見されたように見ました。もしあすあたり正式なパスポートを持つて再びこれを綿密に調査したならば、隱退藏物資でないかもしれませんが、少くとも遊休物資の範圍にはいるものが藥品類においては相當あるのではないか。私たちはこういうふうな感じをいたしました。最後に安本の摘發隊の方方がまことに機敏に、しかも專門的な知識をもつていらつしやいまして、取調べになつたこと、調査なすつたこと、所轄警察署竝びに神奈川縣當局がこの摘發に全面的な協力をしてくだすつたことを、私たちはまことに快く感じたのであります。細かいことは安本の摘發隊の記録によることといたしまして、概略以上のことを申し上げます。
#6
○加藤委員長 ただいまの石田君の御報告によつて摘發状況の概要を知ることができたのでありますが、お聽きの通り摘發の仕事はまだ完了していないのであります。明日さらに前囘と同樣の摘發員が行かれるそうでありまして、本委員會としましてもやはりこの摘發状況を一應この仕事の終るまで視察を繼續したいと思いますから、明日視察のために委員を二名派遣いたしたいと思いますが、いかがですか。御異議なければさよう決定し、さらに委員としては御苦勞でも石田君と中野君の二名をお願いいたしたいと思いますが、いかがでしようか。
#7
○加藤委員長 御異議なければそのようにお願いします。
#8
○辻委員 ただいま石田君から御報告いただきまして、一昨日おいでになりました安本の係の方が非常に機敏に摘發事務をおやりいただいたという話を承りまして、私どもも大變喜ぶものでありますが、聞くところによりますとこの寒川のもと海軍工廠には相當の隱匿物資があるという情報がありまして、實は十數日前にわが黨の菊池義郎代議士がこの情報をもたらして安本を訪ねまして、名前は忘れましたが安本の次長の方にお目にかかり、さらに係の方に紹介をいただいて摘發の申請をいたしましたところが、すでにそれは方々から情報がはいつて、調べてみたけれどもそういうものはない。こういう御返事があつたそうでそのままになつておつたわけでありますが、委員長からの申請に基きまして一昨日この摘發が行われまして、隱匿物資でありや否やはまだはつきりしませんが、とにかく相當の物資が温存されておつたことだけは大體確認されつつある状態なのでありますが、これにつきまして監査局長はそうした情報をお聞きになつたことがありますか、その點をひとつお尋ねいたしてみたいと思います。
#9
○國鹽政府委員 私はその話はまだ聞いておりません。
#10
○辻委員 その係と申しますのは、はつきり聽きませんでしたが、在庫品課の方であろうと思いますが、そちらにおきましてはそのようにすでに情報に基いて調べたけれどももうなかつたというような御返答があつたように聞いております。一遍その邊もよくお調べいただきたいと思います。それから先ほどの笠松の御報告でありますが、そうした委託を受けて撚絲をやつておつたその在庫品につきましては直接商工省の纖維局に届出るのであつて、管轄を受けるところの名古屋の商工局に届け出ないというような状態で、名古屋商工局から商工省に照會をして初めてこれが届濟のものであるということがわかつたというようなお話でありますが、そういうことになりますると、今度遊休物資活用委員會もできまして、その地方委員會というものが地方經濟安定局内に委員會を設けてやるということになりまして、地方で活動をいたして、あそこに相當隱匿物資があるというようなわけで當つてみたところが、どつこいこれは本省の方に届けてあるというようなことが往々できて、ほんとうにその効果を發揮することができないばかりでなく、その途中において今囘のようないざこざが起ると思うのでありますが、そうした場合におきましては地方商工局を通じて商工省に在庫の届け出をするなり、何とか系統的なやり方をしておかないと、ちぐはぐな問題が起り易いと思うのでありますが、現在までは届け出につきましてはどういう方針になつておりまするか。なお今囘のそうした地元の商工局が知らずして中央に届けてあつたというような事例に鑑みまして、將來はどんなふうな方法によつて届け出方についてお取締りなさるお考えでありますか。この點を答辯願いたいと思います。
#11
○國鹽政府委員 ただいまの生絲の届け出は隱匿物資等緊急措置令による届け出ではなくして、昭和二十年の規則であります。隱匿物資の規則は二十一年の初めにできたのであります。その當時はまだ商工局というものができておらなかつたので、直接商工省がやつたというように私は聞いております。その後の商工局ができてからの調査はもちろん全部商工局を經由することになつております。今後もさような方針でいくのが當然だと考えます。
#12
○石田(一)委員 これに關連してではありませんが、證人について伺いたいのですが……。
#13
○加藤委員長 どうぞ。
#14
○石田(一)委員 私はまず武永證人についてお尋ねしたいのであります。この前、十三日かの委員會で清水證人は關口愛治氏から委託された三萬圓を武永、柴田兩氏に渡した。そうしたところが武永、柴田の兩君はこれを大久保留次郎氏の所へつつ返しに行つたということを證言しております。その時に大久保氏は、そんなことは知らぬ、おれが出したものじやない、關口君の所に行つてそれは話せということであつたというふうな證言がありましたが、どういうわけで武永證人はその三萬圓を大保留次郎氏の所へお返しにいらしつたか。何か強い根據でもおありになつたのか。しかも大久保留郎氏とどこでお會いになつてその金をお返しになろうとしたか。大久保氏に持つていく理由と、根據と、その場所をひとつお聽きしたいと思います。
#15
○武永證人 それは清水君が關口氏を通じて、關口氏から三萬圓ぼくらに渡してくれと言つて持つてこられた金を一應受取りました。しかし當時この水あめ問題をめぐつて相當政治的な動きがあつたように私たちは聞いております。いつでしたか清水君と一緒に警視廳に行つたことがありました。ちようどそれは水あめ事件のさなかでした。生活課へ大久保留次郎氏がはいつて何か話しておるところを清水君と私は見たわけであります。そういういろいろなことがありましたし、その他にも岩崎工業と大久保留次郎氏との關係についてはいろいろ聽いておつたこともありました。しかしこれはただ噂でありまして、はたして事實であるかどうかということはここで言明できません。けれども少くともこの水あめ問題に對しては退藏してあるという觀點で私たちは動いたものであります。しかしどうも當時の警視廳の人々の取扱い方と、その間にまたいろいろ策動する人たちがあつて、そういうふうの空氣があつたものですから、その當時清水君が私たちに對してそういう金を持つて來たものですから、あるいは大久保留次郎氏の方面からこの金が出て來たのじやないかというような疑いを私たちがもつたわけであります。疑いをもちましたからただちに柴田氏と同道して自由黨の本部へ大久保留次郎氏を尋ねました。實はこうして關口氏から清水君を通して三萬圓という金を手交された、しかしこれはわれわれはなはだ不思議に思う。清水君は、關口氏が諸君に對して諸君の勞をねぎろう意味において金を出すのだと言つたけれども、あなた方がしきりに策動しておるということを聽いておるからおそらくこれはあなたから出た金だろう。こういう不淨な金はわれわれいただけない。それで大久保さんとつてもらいたいというので三萬圓を出したわけであります。しかるに大久保氏はなかなか老獪な人だから自分はこういうものは知らない。これは關口に聽け、關口から清水を通してもつて來たものであれば、自分に來ることは筋違いではないかということをしきりに辯明しておられました。それから事水あめ問題にふれて來ました。ところが大久保氏は諸君はしきりに水あめが隱退藏物資であるとか何とか言つて騒いでおるようだが、自分は警保局にもいつた。聽いてみると水あめは別段隱退藏物資でもなんでもない。諸君の方が間違つておる。あるいはああだ、こうだと言つてとにかく岩崎澱粉化學工業の辯明一色であつたのであります。それで私たちも仕方がない。大久保氏がやらないというものをやつたと言つてみたところで始まらない。とにかく大久保氏が、そのときの話ぶりによつて自分は動いておるとは言わないけれども、警保局長と會つたとか、やれどこへいつたとかいう話から總合して、確に陰で大久保氏が動いておつたという事實だけは私たちは感じたのであります。
#16
○石田(一)委員 そうするとあるいは大久保氏がこの問題の陰にいたのじやないかと思つていつたところ、偶偶この水あめ事件に關連して大久保氏が非常に岩崎側の辯明一色にあたるような話をして警保局にも行き、どこへいつて調べたが、あれは何でもないということを大久保氏が大變くわしく知つていたので、なおその疑惑を深めた。こういうふうに私は了解したいと思います。
 さてその次にお尋ねしたいのは、この三萬圓がいつでも返せるようにしてあるということ、今でもなおこの三萬圓がどこから出たかという見透しについては證人はどういうふうに考えていらつしやるか、これを一つ聽きたいのであります。
#17
○武永證人 私たちとしましては、その後いろいろと水あめ問題に警視廳が干渉して、隱退藏物資として取上げられなかつたというようないろいろなこともありましたし、その三萬圓についてははたしてどこから出たのであるかということをいろいろ私も檢討もし、その後調査もしてみました。しかしながらどうもはつきりした見透しがつかなくて、ついにこの四月ちようど區長選擧のさなかでした。關口君と會いました。どうもあなたから、われわれが相當骨を折つたということに對して折角われわれの勞をねぎらう意味において下すつたものだが、しかしその點に疑惑をもつたから一應大久保に返しにいつたけれども知らんという。はたしてそうかということを關口に聽いてみました。關口はそうだ。それは大久保氏の知るところじやない。自方はとにかくあなた方がいろいろ骨を折られた。まだまだそんなことじや足らないのだが、自動車賃の一部にして了承してくれという話しがありましたから、さよう了承しました。
#18
○石田(一)委員 そうすると結局この三萬圓は、武永證人には未だにどこからでたか疑問であるが、どうもわからないということに、ぼやけてしまつたように私は思うのであります。これはどうも私は遺憾だと思います。
 まず次に一應移ります。この事件に關して武永證人は政治家とか、官僚、警察官、その他どういう人たちにこの事件に關して今までお會いになつたか。またどういうことを依頼なすつたか。相手の公職とか氏名が記憶にあつたら御發表願いたいと思います。
#19
○武永證人 警視廳の生活課長、それから部下の猪股警部ですか、その人と會いました。
#20
○石田(一)委員 そこで先だつて新聞にも出ていたことであるし、相當私たちも以前から聞いたわけでありますが、神田の寶亭で酒宴を催した。このときに岩崎側が行つたのは、菓子の統制組合かなんかの方で招待をしてくれたから岩崎側は行つたのである。また出席していた者は誰だつたか自分たちが行つたのでないからよくわからないということを先日證言したのでありますが、武永、柴田兩氏いずれでもかまわん、この神田の寶亭における酒宴に連なつた關係者の名前を、たしかあなたたちは御承知なはずでありますが、この際はつきりここで御説明を願いたいのです。なおまたそうした情報はどういうふうにして入手遊ばしたか。それを一應附加えて出席者の氏名を御發表願いたいと思います。
#21
○柴田證人 では私からお答えいたします。まず出席者の名前を申し上げます。全部ではありません。私の方で當時ぜひ知りたいと思つて調べた人――官職に就いておる人を主にして調べたものでありますから、わかつておるだけ申し上げます。警視廳から猪股、戸田、松澤、この三君が行つておるそうであります。それから東京都經濟局から經濱局食品課の榎本、長原、この事務官だそうであります。そのほかに東京菓子工業組合の當時の役員であつたものが四名、國民生活連盟の役員であつたものが二名、これだけがわかつております。この出席者の名前をどうして調べたかということは、その會のある當日いち早く私どもの耳へはいりました。きようこういう會合がある、こういうことが私どもの耳にはいつたのであります。當時この水あめが隱退藏にあらずという斷定を下されて後のことでありますので、さて水あめがどういうふうに處分されるかということに對して、非常に興味と疑問をもつて眺めておりましたので、あらゆる方面に情報網というか、情報があつたら知らせてくれと頼んでおきました。その方面からきようこういう會合がある。岩崎新太郎氏が主催して開くという話がありましたので、この水あめが何か重要な進展を見せるだろうという見當をつけまして、當日の出席を調べてくれるように、當日酒席に出ました實は藝者であります。私は當日その席に出ておりませんから見たわけではありませんが、申し上げた名前は絶對に間違いがないはずであります。
#22
○石田(一)委員 ここで私は小杉前生活課長にお尋ねしたいと思うのでありますが、これは一應武永、柴田、兩君に私の質問しようとする點が濟んだあとに保留をすることにいたしまして、なお武永氏にひとつお聽きしたい。過日の新聞に發表されたところによると、本田署あるいは坂本署ほ、岩崎工場から水あめ三百カンとかいくらか贈られたというようなことを岩崎工場側自身のものが諸君に言つたということを新聞に見て、武藤委員がこれの證言を求めたところ、そんな事實はないというふうな岩崎側の證言でありましたので、これについては武永證人はどういうふうなお考えでありますか。
#23
○武永證人 これはおそらく神聖なる國會に來てそうでしたと言えないでしよう。私は當時目白署の署員である巡査部長の矢野君と、警視廳の生活物資係の阿部巡査、目白署の同じ生活課の巡査と四人で岩崎の工場へ出向きました。それで一應岩崎新一郎君と會見して事情を聽取しました。私は警察官ではないから別段その權限はないから、矢野部長及び警視廳の阿部君がこれを質問いたしました。そして質問をしたあとで一應倉庫を見ようというので倉庫へはいつて行きました。第一囘、倉庫へはいつたところが一萬九千八百カンでしたか、九百カンでしたか、數量は一年前ですから記憶いたしませんがはいつておりました。それから第二の倉庫に何千カンかのあめがはいつておつた。第三の倉庫にはぎつしりはいつておりました。大麥、あわというものが全部で七、八十俵か百俵くらいあつたと思いますが、長いことですから多少數字の點では間違つておるかもしれません。それだけのものを見て、私も實際酒で醉うという話は聽いておりましたが餘り多くてあめで醉いました。それから事務所へ引上げて來て、帳簿を見せてくださいということで帳簿を披見した。一應は合法的に何本がどこの委託品であるとか、過剩澱粉とか、配給を受けた澱粉でつくつたものであるとかということで、一應筋道だけは通るような通らぬような話でありました。そういう事情があつてとにかくいろいろと辯明釋明に努めておりました。その當時自分たちは月に何百本かのあめがどうしてもなければいけないのだ。どういう理由か、ここに岩崎新一郎君が來ておりますから、私がうそを言うか言わないか、新一郎君を前において言うのですから、決して私はうそを言わない。天地神明に誓うて申しますよ。本田警察署にもあめを數十本やつた。警視廳にも數百本のあめをやつておるのだ。最近は坂本警察署にも三百本とられた。こういうことを言つておりました。毎月相當の數字のあめが消える理由は、警視廳にいくものもあるし、隣組にも配給してある。日通にもあめをやらないと動いてくれないのだ。そういう理由で、毎月數百本のあめが消えるのだというような話をしておりました。それでとにかく當時行きました矢野部長と警視廳の阿部と苦笑しておりました。私もはなはだおもしろいことを聞くものだというふうに考えておりました。一應とにかく岩崎新一郎君を退席させて、矢野君と阿部君とが相談をいたしました。これはどうもすこぶる臭い。記載も帳簿の上においてはどうもごまかしてあるのだ。突つけば必らずほこりが出るのだから、一應今日は引上げようぢやないか。どうも隣組に何十本のあめを配給する。本田署へやつた、警視廳へやつた。同時に坂本署にとられたという餘分のあめがあるならば、この際子供に配給したらどうかというので、矢野君と阿部君と相談して、一應三百本供出させよう、そうして一應引上げようという相談をした。私は民間人だから、介在する權利も資格もないので默つて聞いておりました。相談が一決したものだから岩崎新一郎君を呼んで、とにかくいろいろと話をして、結局それだけの餘分のものがあるならば、この際三百本だけ供出したらどうか。いや、三百本は多いからもうちよつと減して百本にしてくれ。結局二百本にしてくれと、とにかく話合がきまつて、淺草の五百十四番でありましたか、岩崎新一郎君宅の電話ですが、そこへ電話で打合わせて、岩崎新太郎氏の了解を得た上で、しからば三百本供出しましようという確言を得たのであります。警視廳の阿部君と矢野君ととにかく一應引上げよう。それから岩崎新一郎君は、はなはだ相濟まないけれども、お茶菓子の代りだと、ここにありますこれくらいのカンがあります。このカンを二カン、この中にあめがはいつております。このあめをお茶菓子代りとして二カンずつおみやげとして持つて歸りました。私は民間人で大抵關係ないのですから、私はいさぎよく持つて歸りましたがね。そういうことで一應引上げたのであります。そうしてとにかく正式に供出手續をするように目白署へ出頭してくれ。必らずたれか責任者が來なければだめだよと、岩崎新太郎氏に出頭を求めたわけであります。しかるにその後目白警察署に現われましたのは、第一陣のもみけし運動が始まつたのであります。これはたれが來たかというと、とにかく彼等一味でこさえておる國民生活連盟の幹部で、前の内務省の調査局長であります大島弘夫君が第一陣に目白署へ現われて、岩崎新一郎氏は實に人格者である。決してそういう不正なことをすることはないと言つたということであります。それ以上のことを當時の有田署長に言つたということでありますが、これは證據がありませんから申し上げられません。その後岩崎の使用人某が供出手續のことで現われた。その時私は目白警察署に行つておりました。そこへ正式に承諾書に印鑑を押しに來たのであります。ところがどういうわけか供出せんでもよいということで、その使用人は歸つたわけであります。これは私は當時見たことをここで申し上げるわけであります。
#24
○石田(一)委員 そうするとせんだつての岩崎側の證人の言うくことは全然違つておる。岩崎側の證人の言うことでは、何だかあめを三百本よこせとかいふうに聞きましたが、もしそんなことをおつしやるなら、供出という形によつて配給するという形にしたい。呉れというのでは出せないから、こいつは斷つたということでありましたが、全然この證言とは意味が違います。しかも本田署の官轄警察署とか、また目白とかいうことに關してのこういう問題、警視廳へあめをやつたということはあるかないか、私たちは見たのではないからはつきりわからないが、それはうなづけるところがある。坂本署へあめをやつたとか何とかいうことを、もし岩崎氏の方で証人に言つたとすれば、何だかこれは第三者が聽いておると、全然了解に苦しむと思います。どんなことで坂本署が何かこれに關係があるとかないとかいうことをお考えになつたのですか。なぜこういうことが信ぜられるのですか。坂本署と岩崎氏とは全然關係がないと思うが、そういうことについて証人は相當これを信頼しておるようでありますが、どういう根據でこういうことが信頼できるのか、どうも私はおかしいと思う。何か坂本署長に岩崎氏からあめが行く理由でも御存じないのか。ここが了解に苦しむのですか、全然違うのです。一つこの点について御記憶でもあれば、この際一應眞相を承つておきたいと思います。
#25
○武永證人 私はちよつと申し上げたいことがもう一つ殘つておりました。それを説明いたしましよう。當時三百カンの供出をいたしましようということ、これは實に奇々怪々のことです。そのとき新一郎君がこういうことを言いました。そういうふうにしてさいさい警察の方に見えられて、さいさい供出をやれとか、あめをよこせと言われては、いくらあめがあつても足らない。それで今囘をもつてどなたがいらしても、とにかく水あめは出さなくてもいいような證文を一本書いて行つてくれ、これは私ばかりではない、矢野部長、警視廳の阿部、塚越巡査、この三人が聽いておりまして、その當時苦が苦がしい顏をしておりました。そういう事實があつたわけです。今の坂本署の問題も、これは私が完全に調査したわけではありませんけれども、私の知つておるやつで、岩崎新一郎君とも新太郎君とも知つておる者が一人おる。これが坂本警察署に三百本あめをとられたということについて私に事こまかに話したことがある。それは坂本警察署に醤油の問題か何か知らぬが食糧品の問題で擧がつたやみの團體があつた。それから順々と絲をたぐつてきたら遂にあめ問題に逢著した。これは大變だというので岩崎はただちに警視廳に動いて、警視廳の某々の二、三人が當時の坂本警察署の取調係官とやはりいろいろ關係があつて、一席設けた。これを何とか不問に附してくれぬかというような相談があつた。とにかくその係官は警察官としては正當か正當でないか知らぬが、腹が大きいと言いますか、惡人と言いますか、結局一件書類を燒いてしまつた。そうしてこれが潔く警察をやめて、その代償にとつたものがあめ三百カン、その當時の金で十何萬圓か二十萬圓とか言いました。これを握つてチヤツカリ警察を退陣した。名前は當時聞いておりましたけれども、どうも年取つたせいか記憶がなくなつて名前だけは失念しております。
#26
○石田(一)委員 これはまつたく聽けば聽くほど奇々怪々で、これは全部が全部信用できるとはもちろん私たちも思いませんが、半分でもこの事實があつたとしたならば大變な問題だと私たちは聽きおきたい。こまかい數字の問題に關する柴田証人に對する質問、または岩崎側にもあるのですが、これは保留いたしまして、まずほかの角度からこちらとして一、二小杉前警視廳生活課長にお伺いしたいのでございます。過日この委員會で本委員が水あめの問題に關して何か政治家とか、政黨人というような者が關言しておるのではないかとお尋ねいたしましたところ、全然そういうことはないとははつきりお答えくださつたと私は記憶しております。しかるにせんだつての當委員會における清水證人、現在ここに一番最初の情報の提供者であり、この事件に關してまことに精しい、しかも小杉前生活課長とはこの事件のために會つていると證人は言つておる。その生活課長の部屋へ水あめ事件の處理とか摘發について相當いろいろと事件が紛糾しているさ中に大久保留次郎氏が何かあなたと協議をしておつたところを二人も現實に見ておるのであります。これはせんだつての小杉證人の證言では全然ないとおつしやつたのだが、水あめ事件との關係ではないかもしれませんけれども、火のない所に煙は立たぬ。もしお差支えがなかつたならば、この大久保留次郎氏と小杉氏が課長室において御協議なさつたのは水あめの關係の事件でないという證據があるならば、ひとつこの際ここで御証言を願いたいと思います。
#27
○小杉證人 先般私は本事件の處理に關して政治家と會つたりしたようなことは全然ございませんと證言をいたしました。今日もさらに同じ證言を繰返すわけであります。ただいまお話がございまして、私がこの事件の處理につきまして、大久保留次郎氏に會つた。あるいは課長室で會つたところを二人の證人の方がこれを證言しておる。こういうお話でございますが、私は神聖なる國會の光榮ある證人といたしましてはつきり證言をいたしますが、私はこの世に生まれましてから今日に至るまで大久保留次郎さんという人に會つたことがありません。また姿を見たこともありません。また電話で話をしたこともありません。從いまして私は大久保さんは全然未知の方であります。從いまして先般證言を申し上げました點をさらに繰返して證言をいたします。
#28
○石田(一)委員 これはますます奇々怪々になつてまいりました。顔を見たことがない。話したこともない。電話でも一度も話したこともないという人が、生活課長室にいらして協議していた。おそらくこれは相手が小杉生活課長でなくて、その下の部下であつたかもしれません。そう言われるならばこの際これ以上私たちも追究できないのでありますが、しからば過日この水あめの處分とか、この事件に關してのいわゆる都廳とか、また業者と警視廳の協議は、警視廳の會議室でこれをしたとはつきり證言をなすつていらつしやいますが、先ほどの他の證人から説明を求めました神田の寶亭において、あなたの部下ですか、それとも何だか知りませんが、猪股、松戸、戸田、松澤、これら當時の水あめの處分に關して、相當重要な役割をした本廳の警察官が酒席に招待され、そかもその席上には柴田證人の言によると、藝者まで侍つての大饗宴であつた。それが水あめに關する協議でないということは、われわれ委員としては信じられないのであります。これは小杉證人としてはおそらく寝耳に水の事件だろうとは思いますが、こういうことに關してはあなたは前會で警視廳の會議室でこの點に關して協議したとおつしやいますが、この神田の寶亭のいわゆるこの酒宴は、水あめに關する協議であると私たちは認定したいのでありますが、これでも小杉證人は警視廳の會議室で堂々としたということを、今なお證言なさるのでありますか、ひとつお伺いしたいのであります。
#29
○小杉證人 水あめの處理につきまして最初に會合をいたしましたのは、前會に私が證言をいたしまし通り、警視廳の四階の保安部長の別室でやつたのであります。そこで岩崎側から出してもらう數字、都廳がこれを引取る數字、その他根本的なことはその會議のときに決定をいたしたのであります。そして私は前會の證言のときにその會議だけのことを申しました。實はその後歸りまして當時の部下であつた者等に聽いてみましたが、その後警視廳の四階でやりました會議の後でいろいろ話が出ております。神田で會合があつた。それに私どもの部下も出席をしておつたということが判明をいたしましたので、私はそのことを今日申し上げたいと思います。ただその神田のときの會合は、とにかく根本的な方針を警視廳の四階できめまして、都廳に引渡したその後に行われたと思います。從つておそらくその根本方針に從つた細目の手續とか何とかいうことで會合が開かれたのではないかと私は思います。
#30
○石田(一)委員 ただいま小杉證人の證言では、先だつての本委員の證言を求めたときに、警視廳の四階の保安課の別室で最初に根本的な處理問題について決定したときのことを言つたので、それからその當時の部下に聽いてみたら、寶亭において、すでにあれが都廳に渡されてからの會合であつたということをここに報告したい。しかもその最後のお言葉で、それは都廳に行つてからのこまかい配給の點などに關して相談があつたのだろうというお言葉でございますが、こまかい配給の問題であろうが、大きな根本的な問題であろうが、この水あめ事件に關しては警視廳の會議室とか、四階の保安部の別室で協議されたという以外に、この處分に關して今の小杉證人のお言葉によるとこまかい處分の協議をしたと了解して構いませんですか。
#31
○小杉證人 私は最後のこまかい協議をしたろうと私が想像するのであります。とにかく先般も申し上げましたように、四千五百カン都廳にまわすということは、警視廳の會議室できめたのでございます。
#32
○石田(一)委員 大變私たちは遺憾に思うのでございますが、こまかい配給の協議をしたろうと主觀的に小杉證人がお考えになるだけであるかどうか知りませんが、その席上に全然水あめに關しては關係のない團體のように思える國民生活連盟の役員二名がこれに與つておるということを、先ほど柴田君が證言しております。これなどを考えますと、このこまかい配分こそがまことに一番必要な協議でございまして、都廳へ四千五百カン行つたとか、行くとかいうようなことを言つたそのあめが、はたして同胞援護會に事實帳簿にある通りに渡つているかどうか。小學校の學童用のあめとしてこれが配給されたかどうか。一番重大なことは、こういうこまかい水あめの處分方法なのであります。その點について小杉證人が主觀的にそう考えただけだというふうにおつしやるので、私は遺憾の意を表しておきたいのであります。ただ小杉證人にもう一點お尋ねしたいことは、この事件に關しまして内務事務官の上田防犯課員は、世耕氏から聽いてメモをとつただけで電話で小杉生活課長に命令を出したということを過日おつしやつているのであります。にもかかわらず、せんだつて小杉證人は、この水あめの處分は私の責任においてこれをやつた。こういうことをおつしやつておる。そうすると私たちは内務行政というか、警察行政というか、その命令系統が途中で命令だけは出されて、その結果の報告があつたのかないのか全然わからなくなりますから、上田事務官にせんだつて一應證言を求めましたところ、小杉生活課長から、うちの課長に報告していたように記憶するという證言を得たのであります。せんだつて小杉證人は、この水あめの處分は私の責任においてやつたのだ。しかも私はあなたに、こうしたやみ價格で何千萬圓というような水あめの處分に關與する權限があるのかとお尋ねしたら、非常に政治的な意味をもつて處分したというふうなお答えだつたと私は承つておりますが、せんだつての栃木の眞子檢事の證言竝びに内務省の上田事務官の證言によりますと、隱退藏物資であるかどうかのまず搜査をする。しかしこれが隱退藏物資でないとわかつた場合にこの處分に關與することは、われわれ警察官にとつては越權行為であるというふうなことを證言なすつておるのであります。しかるに小杉證人は、上官に命令を受けた事件でありながら、これを自分の責任において政治的に處分あそばした、私たちはまことに奇々怪々なる證言であると思わざるを得ないのであります。しかも私はこの點についてどう小杉證人は現在お考えになつておるか一應御答辯を願うとともに、この問題以前に、内務省から進駐軍の命令によつて十日以内の期限附で、本田署にこの事件の調査を命ぜられておるのであります。本田署へ調査の命令を出すのに内務省が直接命令を出すのであるか。それとも警視廳を通じてこれが所管の警察署に命令されるのか。私たちはこの邊に非常なあいまいな、不明朗なものを感知せざるを得ないと私は考えます。ただ證人はその當事者の上官とか同僚とかあるいはまた政治家とかいうものを、この際自分の責任でやつたと言つて庇護しようとする安價なるセンチメンタリズムに陷つているのではないか。私は實に遺憾に思うのであります。現在官僚、特にわれわれが信頼しなければならない警察官憲が國民からどういう目をもつて見られておるかというのであります。私は最近商工省あたり、あるいは文部省あたりの不正事件を警察の搜査課が追究するというふうな新聞記事を見ました場合にも、特に司法警察官が、または經濟警察官あたりの正しいふだんの行いが必要なのである。これでこそ國民の信頼を得るのである。こう考えていたのであります。過日來小杉證人がたびたび證言なさつている中で、特に目立つたのは、ただいまの警視廳の四階の保安課長の室で第一囘目を協議した。あとのことは歸つて部下に聽いてみたら神田の寶亭のことがあつてこうだつたというような、實に何か心に秘していられることがあるように思えてしようがないのであります。私はこの際上官を庇うとか、あるいはあの人にきずがついてはいかんとか、そんな安價な氣持でその問題を小杉證人が證言なさるときにおいては、永久に日本の警察官の信頼というものは國民から囘復できないのであります。實に小杉證人の一喜一句は日本の警察官の信頼にまで影響する重大なる段階に至つておるのであります。本員は國民代表の一人として、小杉證人の日本人的良心を喚起し、この際まず大膽率直なる、いはば暴露的なる證言を求めてやまないものでありますが、先ほどからいろいろお尋ねしたところによると、どうもそこまではいかないのをまことに遺憾といたします。ぜひ小杉證人は、眞に天下の國民が警察官竝びに官僚に對してどういう不信の情をもつているか、これをどうしたならば解決できるか、という大所高所より善處せられんことを私は希望いたします。これに對する御意見がありましたならば一應お聽かせを願つて、他の委員の御質問もあることですから、數字にわたる質問を保留して私の質問を終りたいと思います。
#33
○小杉證人 ただいまの石田委員の御發言は、内務省の上田さんからどういう話があつたか存じませんが、私は當時の内務省の防犯課長から直接呼ばれて、目白がやつているこの問題についての處理について聽かれたわけであります。從つてもし前囘申しましたようなことであればはなはだおもしろくないと思いまして、私が目白署へ飛んで行つたようなわけであります。それで結局隱匿物資緊急措置令にいう隱退藏物資ではないということがわかりました。しかしながら道徳的に見て、やはり廣い意味の退藏物資であるには違いない。從つてこのままこれを放任しておくならばやはり横流しの材料にならぬとも限らないという、防犯的の見地から、私はこの問題を處理しようとそのときに決心いたしたのでございまして、警察がこれらのものを處理するということはおもしろくないとは思つておるのであります。從いましてこれを警察で配分するとか、最後まで處分するとかいうようなことでなしに、權限をもつておる東京都廳に委讓をいたしまして、適正な配給をなされることを期待するために私はむしろ斡旋の勞をとるというか、そういう氣持を起したのでございます。從いまして當時といたしまして、防犯的な見地からやむを得ぬ措置であると解釋をいたしております。
 それから進駐軍から命令がありました件でお尋ねがありましたが、内務省からまいりましたものも、やはり警視廳を通じて所轄署に命令を出されております。從いましてこの本田署に對しましても警視廳を通じてなされております。囘答も警視廳を通じてなされております。
#34
○中野(四)委員 小杉さんに補足的に二、三伺いたいと思います。あなたの直屬の部下でいらつしやる、しかも食品係の衝に當つておられる猪股警部竝びに戸田、松澤の兩君が神田の料亭へ行つたということを、あなたは後日になつてお聽きにお聽きになつたでしようか。
#35
○小杉證人 私は後日になつて聽きました。そうして調べた結果、松澤は行つておりません。
#36
○中野(四)委員 石田君の質問の中に重要な問題が落されておつたと思うのであります。いやしくも近來の警視廳がややもすればこういう經濟面において疑惑の眼をもつて見られておるときにあたつて、このような大きな問題を取扱つて、その細目の問題を、たとえいかなる問題を協議すると言いながら、このような場所において、しかもその署の主任である猪股警部が列席して、酒宴の席に侍つておるというようなことがあれば、それに對して直接の課長であつたあなたがなぜ相當の責任をとつておらぬかという點が非常に不明朗なのであります。端的に、行つておつたというだけで濟ますわけにはまいらぬと思う。この點について小杉さんは何か適當な處置をとつておられるかどうか。猪股警部に對して相當な責任をとつておられるかどうか。こういう點を明確にしていただきたいと思う。
#37
○小杉證人 當時も、私の部下が何か業者の關係のものと酒宴に列席しているというようなうわさを聞いたことがあります。それで私は、松澤という食糧係の係長でありますが、私が十一月七日に轉任になりまして、出發するときに、實はこういう話を聞いたが、よくひとつ調べてくれよと私は言い殘して轉任をいたしました。その後聞きますと、こういうことについてやはり警視廳内部でも調査がされたということを聞いております。
#38
○中野(四)委員 まつたくこれは石田君の言葉じやないが、奇々怪々だ。警視廳の調べ官が、いやしくも被疑者であるものから招待を受けて、また招待を受けたと疑われるがごとき場所に出て、配分についてとかくの論議をするなどということは、言語道斷と言わざるを得ない。このようなことがあるから、警視廳の行動が一切疑われ、全警察官の信用が失墜するゆえんである。私はこういうようなことを平然としてここに證言される小杉證人の態度に非常に不滿をもつものだ。こんなばかなことがあり得るわけはない。たとえば猪股警部がそういう席に侍つて食糧の配分について相談するということがあつたならば、直接の責仕者であるあなたが猪股警部を呼んで、それぞれの責任をとつて處分するというのがあたりまえだと思う。あるいは警視廳の慣例として、そういうようなときに御馳走酒に招ばれるのはあたりまえだとおつしやるなら別だけれども、少くともそういう場合にはそれぞれの責任を追究するというのが、課長の當然の責任ではないか。それを追究しないというのはあなたの怠慢じやないか。私は非常に不審に思う。かくのごときことが各警察官の信用を問われ、あるいは警視廳があらゆる面にわたつていろいろなことをしているんじやないかという疑惑の眼をもつて見られる原因がここに存していると思う。あなたが當時追究しなかつたという證言に基くならば、少くともこの裏面には相當なる疑惑をもつて見られる事實があつたと私らは認定せざるを得ないのであります。
 そこでさらに私は武永證人に伺いたい。あなたの御證言の中に、書類を燒いたという、坂本警察署の三百カンのあめの件ですが、これはやはり由々しい證言でありますが、實際上において書類を燒いて三百カンのあめをもらつたというような具體的な事實がありましようか。それから坂本署に三百カンのあめをやつたという件に關しましては、まだ具體的な御説明がないようです。警視廳某幹部一、二あるが特に名前は祕すというお話でありましたが、この機會にその名前も明確にし、當時の經過も明らかにしていただいた方がかえつてよいと思うのでありますが、この點について御陳述を願いたい。
#39
○武永證人 私は先刻申し上げましたように、私の知つておる者で坂本署の問題について、當時取調べにあたつた係官の名を私は當時は記憶しておつたが、警視廳から行つた者の名前は不幸にして聽き落しましたけれども、その後私にその情報をもたらした者に最近會えないのです。實は私もこの事件については確固たる證據をもつて陳述したいと思いましたけれども、ついそれと會えなくて、ただいま私が申し上げたくらいの程度のことしか私も證言できないわけです。
#40
○小島委員 この寶亭の會合のことでちよつとお聽きしたいのですが、前會の取調べにおきまして、川端さんは、この會合は自分の方は招ばれたのであつて、自分の方で招待したのじやないという言葉があつたと思いますが、確かにそれに間違いないですか。
#41
○川端證人 まつたくその通りでございます。これは東京菓子工が招待したものでございまして、先ほどからいろいろお話がこんがらがつているような感じがいたしますので、この際ちよつと事情を御報告申し上げます。
#42
○石田(一)委員 ちよつと關連して……。私は川端證人の發言に先立つて一言川端君にお尋ねしたい。川端氏は岩崎新太郎氏の女婿であるということで、本委員會に岩崎新太郎氏が病氣のために出られない、それで事情をよく知つておるからというので、新一郎氏と二人でいらつしやつた、こういうことになつておりますが、岩崎新太郎氏の女婿でいらつしやる川端君は、いつから岩崎新太郎氏の女婿におなりになつたか、はたしてこの水あめ事件當時からのずつと事件の責任者であり、しかもこれに關連したお方であるかどうか。私はこの點一應お聽きして、もしこの事件の發生した當時にまだ川端氏が女婿でなかつたとしたならば、事件發生後の女婿であるならば、時間的に言つても、私は岩崎新太郎氏の代理としてここで證言をする資格があるかないかという疑問も起つてくるのでありますが、一應この點について川端君の御説明を願つておきたいと考えるのであります。
#43
○加藤委員長 今お聞きの通りですから……。
#44
○川端證人 時期的には水あめ事件の當時は私は親子の關係はございませんでした。しかし岩崎澱粉化學工業の業務の運營の状況は前會において私が證言申し上げましたようにガラス張りで、正々堂々とやつておる。そうして現在までいろいろ從業員幹部、その他の話も聽きまして、私はあらゆる材料に基きまして證言をいたしております。
#45
○石田(一)委員 ただいま川端君自身の御答辯によると、この水あめ事件のときには岩崎新太郎氏と父子の關係にはなつていなかつたが、この岩崎工業はガラス張の家で營業をやつておるのである、後から行つていろいろ帳簿を調べたりして相當知つておるから證人に立つのだというお答えでありますが、委員長としてこれはよろしく御判斷願いたいと考えるのであります。
#46
○川端證人 私は單なる女婿關係ということではございません。私は同社の重役をいたしております。從つて經過ならびに將來の計畫その他現状について萬般の問題を私は承知しておるつもりであります。そうして責任ある態度を私はとつてまいつております。
#47
○石田(一)委員 そうすると營業の帳簿の上で、あなたが現在の重役で責任者であるとすれば證人としてのお答えも結構でしようが、ただいまの神田の寶亭のような事件に關しての問題は帳簿に載つておるものではなし、しかもこれは會社の營業の一つと法的に認め得ないものでありますし、これはその當時の當事者か、これに關連した人が證言してこそ信憑力があるのであつて、後から聞いた人がこうだああだということになりましては、かえつて混亂を生じるのではないか、こういうことをおそれるのでありますが、これも委員長において御判斷願いたいと思います。
#48
○川端證人 私はただいまの御質問につきまして申し上げたいことは、岩崎新太郎が當事者でございます。しかし病氣のために出席できません。從つて岩崎新太郎社長にこの話を聞いてまいりまして、私がこれに證言いたすのでございます。
#49
○石田(一)委員 私は私事にわたつてとやかくこの際言いたくなかつたのでありますが、證人がそういうふうにおつしやれば、一應私も委員長に任せておるのでありますが申し上げたい。川端證人が岩崎新太郎氏の女婿となられたところの仲人關係は、今追放になつておる楢橋渡氏あたりとか何とか相當有力な方がいらつしやるような話も聞いておりますし、むしろこういう委員會でそういつた人の證言を聞き入れることになれば、相當變な問題になるのではないかというようなことも考えましたので、この際あまりに杓子定規な證人に對する考え方でありますが、一應これは冷靜に御判斷を願いたいと思います。
#50
○小島委員 今石田委員からのお質問もございますし、川崎君はその當時においてはおそらくこの會社とは關係なかつたのかもしれんと思いますので、この業態の詳しいことを聽こうという考えは毛頭もつておりません。ただ私といたしましてお聽きしたいのは、この間川端證人は寶亭の會合では自分も岩崎も呼ばれたものである。かようにお答えになつたという事實を確めただけであります。それはたしかにさよう了解してよろしゆうございますか。
#51
○川端證人 その通りでございます。
#52
○小島委員 私ははなはだこれが奇怪だと思う。川端證人がその當時岩崎と全然關係がなかつたということであるとするならば、前會ここに證人としておいでになる前に寶亭の會合があつたのであつて、そこへ呼ばれたか呼ばれなかつたか、自分の方で呼んだかということまでお聽きになつているということは餘り深いところまでお聽きになり過ぎておるのではないかという氣がしますか、それはどうでしよう。
#53
○川端證人 私は新聞によつて拜承いたしました。そうしてこういうわれわれが今まで聞いておつたこととまつたく違う事實が新聞によつて暴露されておりますから、これが何であるかということを私は確めました。そういうときに寶亭の問題を知り得たのでございます。
#54
○小島委員 もう一點お聽きしたいのでありますが、菓子統制組合というようなものはいかにして業務上の配給をするか、どこにいかに配給するかということをきめる場合に、宴會の席を設けて、そこに藝者を侍らして相談するということは大體菓子統制會社の常に行つておつたことでありましようか。またはそのときだけ行つたのでありますか。お答え願いたい。
#55
○川端證人 寶亭の問題につきましては、私が御證言申し上げましたように、岩崎澱粉化學工業社の生産者からたしかに警視廳の勸告の通り東京都が直接受取つてくれて、その通りに私たち業者の菓子工が中へ入つて渡しました。これを報告するために、これは業者の方に聽いていただけばわかりますが、業者の仲間ではこういうようにはつきりした區切りをつけるために、藝者を呼ぶということは必ずしもございませんでしようが、そういう會をもつことは恆例になつてございます。
#56
○小島委員 そういたしますると、そういう菓子工業組合というようなものがそういう最終段階に至つたときに宴會を設けて結末をつけるということは通常のことであると了解してよろしうございますね。そこでもう一點お聽きしたいのでありますが、水あめを白あめにするといくらくらいの割合になるのですか。
#57
○岩崎證人 私の方では水あめを製造しておりまして、ただいま御質問のようなさらしあめ、白あめが何貫できるかということについては專門家でありませんからわかりません。
#58
○小島委員 專門家でないから御承知でないかもしらぬけれども、いやしくも水あめを製造していらつしやるのですから、その水あめからそれをさらしあめにするとか白あめにすると、大體どれくらいのパーセンテージのものができるかということは御存じないのでしようか。
#59
○岩崎證人 ただいまお尋ねがありましたが、私は正確な數字という意味においてお答えができないというのでありまして、大體においてその水あめの品質とか、または濃度、その他不純物いかんによつては四貫目のときもあるし、おそらく五貫目のときもあるんぢやないか、こういうふうに考えるのであります。
#60
○小島委員 四貫目ないし五貫目とおつしやるのは、要するに石油カン一本約六貫半、七貫目のうちから四貫目か五貫目できる、こうおつしやるのでございますね。
#61
○岩崎證人 そうでございます。
#62
○小島委員 私の質問はこれで終ります。
#63
○辻委員 ただいまいただきました去年の八月二十二日附で田中本田警察署長から鹽谷保安部長あてに報告書が出ております。これはおそらく進駐軍からの命に基いて警視廳を通じてお調べになつた復命書だと思いますが、小杉さんは生活課長として保安部長さんの下におられたわけであると思いますので、この復命書をもちろんよく御檢討になつておると思いますが、これをごらんになりましてこの復命書に間違いはないとお考えになつたか、なおこれに基きまして内務省を通じて進駐軍の方に御報告になつておりまするか。その點をちよつとお伺いいたします。
#64
○小杉證人 本田警察から出て來ましたものは、これは生活課から内務省に御報告をしたのであります。實は私自身は目を通しませんでしたが、生活課でこの通りであると認めて出したものであります。
#65
○辻委員 あなたは目をお通しにならなくても部下がおやりになつたのですから、當然責任はおありになるわけですね。さよう承知してよろしうございますね。そうしますと、これによりまとあめの多量隱匿の眞否というところで、現在數量八千三百二十五カン、そして指定配給計畫といたしまして厚生省醫療課ほか三箇所七千三百七十カン、明治産業預品三百カン、その他自家消費が六百五十五カンとよく辻棲が合つておりまして、全部で八千三百二十五カンになつておりますが、この指定配給計画というのはどういうのか存じませんか、要するにここにあります通り、厚生省醫療課ほか三箇所に對して當然配給する計畫に基いてでき上つておるものだと思います。そういたしますると、四千五百カンなどという任意供出をいたす分のあめというものは、この通り報告書に基くと出て來ない勘定になりますが、いかがなものでございましよう。
#66
○岩崎證人 ただいまの御質問のありました四千五百カンがそのうちから出て來ないというお話でありますが、先日も私が證言いたしましたように、この製品は――そのうちにはもちろん委託加工品もありましたが、自家の保有分であつて、それから大體こういう計畫があるということを日本水飴配給統制組合にも通知してございましたので、そのうち四千五百カンを警視廳のお話もありましたので切替えて私の方で都に渡したのであります。
#67
○辻委員 これにははつきり厚生省醫療課ほか三箇所に七千三百七十カン指定配給計畫ということにたつて報告がのつておるわけでありますが、自家消費量六百五十五カン、この中から任意供出というものがあるのですが、すでに配給計畫にのつておるわけです。そういうふうにあなたの方で本田署の調査に對して、御報告なさつておるわけだ。そうするとこれを削つて指定配給計畫を變更して、四千五百カンを都の方へお出しになつた。こういうことになりますか。
#68
○岩崎證人 指定配給計畫ということはありません。
#69
○辻委員 そうするとこの報告書はあなたの方を御調査になつてその調査に基いて復命されておるのであると思ひます。指定配給計畫とはつきりのつておりますが、これは違つておりますか。
#70
○岩崎證人 私は當時におきまして、こういう計畫をもつているということを申し上げたのであつて、指定配給計畫云々ということを申した覺えは絶對ありません。
#71
○辻委員 先ほど小杉前生活課長は横流れをするおそれがあるといけないから都の方の任意供出をさして正式のルートに乘せるために菓子工業組合へ入れた、こういうお話でありましたが、この報告に基きますれば今の指定配給ということはないとおつしやるかもわかりませんけれども、少くともこれによりますれば指定配給となつておりまする以上は、横流れをするというおそれは全然ないはずなんですが、どこからそういう横流れをするおそれがあるいうとことをお感じになつたのでありまするか。
 さらに先般の御證言によりますれば、これから約一箇月後、目白署がさらに調査を始めましたけれども、その場合本田署竝びに目白署の調査を一時中止せしめて、警視廳がじかに調査をすることになつたというお話がありましたが、その警視廳直接の御調査の結果、これは違つて、こうした指定配給にも乘つておらないあやふやな申し出があるからして、これをほつておけば横流れをするおそれがある。こういうようなお考えから、いわゆる政務次官の意を體して、正式のルートに乘せなければならぬ、こういうお考えが湧いてまいつたのでありまするか、その點をお伺いいたします。
#72
○小杉證人 本田から出てきた、――十日以内に報告するものですが、實はこれは先般私が證言をいたしましたときの事情を辯解がましいようですが、ちよつとお聽きをいただきたいのです。先般は、私は本田に調査を命じておつたことは記憶があつたのですが、この報告が十日以内に、八月二十二日附で出されているということは、實は私は知らなかつたのです。生活課はやつたかも知れませんが、知らなかつた。そしてまたその當時ももちろん知らなかつた。從つて私は先般の、六日の委員會のときでしたか、その前の前の日でしたか、夜遲く内務省から電話があつて、こういうわけで議會に出席するようにということで、そのときの事情をあまり調査もしないで實は出てきた。從つて記憶をたどつて言つたために、本田の分がまだ調査中であるときに、目白署でも調査をしておる、從つて警視廳でやつたというふうな證言をしたと存じますが、あとで調べてみたら、本田の分はこの八月二十二日で報告して、本田署としては一應警視廳に報告は濟んでいるわけなんです。そしてその後一箇月經つて目白が調査した、こういうことになるわけです。從つてその事實を訂正したいと思うのでございます。それでただいまお話しになりました本田の報告書、目白の報告書、それから警視廳獨自の調査、この中にはすでに時日が一月以上經つてしまつているのです。從つて私どもの方も兩方から出てきた資料に基いて檢討を加えた結果、それはあるいは手持品であつたかもしれないし、あるいは歩留りの點から一部出てきたかも知れないが、とにかく四千五百カンというものは任意供出させるべきものであると認定をしたわけなんであります。
#73
○辻委員 進駐軍の方から、しかも十日という期間つきで調査をせよという命令がきて、その調査を命令されてその報告が來たか來ぬかということをお確めにならぬということはどうもおかしいと思いまするが、あなた、生活課長でございましよう。これはちよつとどうかと思いますな。
#74
○小杉證人 それは實は投書というものは實にたくさん來るのでありまして、一々その投書の囘答その他を當時の警視廳として、百七八十人もいる係りの中から出てくるものを、一々生活課長が目を通すことができないので、係長がそれぞれの係りでもつて處理をしているのでございます。從つて私はそういうようなことも調査すべきであつたかもしれませんが、まあ失念しておつたかどうかして、とにかく係長の手を通じて内務省には報告されているわけなんであります。
#75
○辻委員 そうしますると、目白署の調査報告ができまして、そのときに初めて本田署にも調査が命じてあつたから一遍それは調べてみようというわけで、照し合わせたわけですが、何かそれは今承りますれば兩方照らし合わせてみて、一箇月の時日は經ているけれども大して相違がなかつたという話でありますが、その時に初めてごらんになつたわけですね。
#76
○小杉證人 本田の調査をしたことは知つておりました。しかしその本田から來た結果は私は見ておらなくて、目白署で調査した結果が出てきたときに本田の分も見たわけであります。
#77
○辻委員 そのときに目白署の報告書とこの本田署の報告書とは大して違はないというふうにお考えになつたのでございますか。目白署のは七千七百八十カンになつておりますが、もちろんこれは時日が經過いたしておりますから、目白署の御報告によりますれば、その間配給の方に出したというようなこともおそらく載つておつたと思いますが、とにかく兩方お比べになりまして、御不審をお抱きになつたようなことはございませんか。
#78
○小杉證人 時日が經過しているから、數量に違いがあるのは別に私は不審を抱きませんでした。
#79
○辻委員 御不審を抱く數量ではなかつたと言われたが、時日が經過いたしておりまして、動いてはおりましよう。おりましようけれども、それを目白署の報告によりこの移動の程度等をお調べになつて決して御不審をもたなかつたですね。
#80
○小杉證人 當時のことをよく思い出しておるのですが、私は別に不審をもたなかつたのです。
#81
○辻委員 先だつての目白前署長の御證言とは大分違うように存じますので、警視廳の方へ御報告になりました目白署の調査報告書をお取寄せいただくことを委員長にお願い申し上げます。
 それから岩崎さんにお尋ね申し上げまするが、前目白署長の御證言によりまして、九月二十日初めてあの工場に臨檢に行かれましたとき、それは矢野部長、阿部巡査と、その中に民間の方で武永という人がおつたはずだということを申し上げまして、その人が武永という人であつたかどうか記憶がないけれども、一人の人がおつたというお話でありましたが、この人がまさに武永という人でしようか。
#82
○岩崎證人 間違いありません。
#83
○辻委員 そういたしますると、私が先日お尋ねいたしましたことを本日武永さんが言われましたが、あなたとの應對の場面におきまして、各警察署にそれぞれあめが行つているというようなことを言われたと武永さんはきようも證言しておりますが、あなたはさようなことは絶對にないという御證言であります。念を押すようで恐縮に存じますが、先日の御證言は全然お間違いはございませんか。一年も經つておることでありますから、その間記憶の薄れているような點もあるかと思いますので、御訂正いただいても結構でありますが、先日の證言に間違いがないかどうか。
#84
○岩崎證人 それでは一應簡單に御説明申し上げます。先ほどの御證言に坂本署、警視廳へ私があめを三百カンやつたというようなお話がありましたが、それは當時武永氏がおいでになりましたときに、私に對して、きよう目白署がこういう調べに來たが以前にもこういつた調べに來た人があるかというお話がありましたので、私は警視廳、坂本署においてこういうお調べがあつたということを言つたのでありまして、私が坂本署に何百カンやつたとか、警視廳に何百カンやつたというような事實もなければ、またそういつたお答えをした覺えは全然ございません。
#85
○辻委員 現實に一年すぎたこととは言いながら、お二人會われて對談されましたお話がまるで變つているということは、まことにこれこそ奇々怪々であると思いまするが、いずれもこの國會の權威を重んじてその御證言にいつわれがあろうとは存じませんが、どうしてそういうふうに話が違つてくるものだか、私にはどうも見當がつきません。ただ一點お尋ねを申し上げまするのは、いろいろ御證言をいただいたところで、つじつまの合わぬところが多ければ、それをもつて類推するよりわれわれにはしようがないのでありますが、先日の御證言によりますると、武永氏が三百カンの水あめをひとつ目白の管内に供出してくれという話があつた。しかし配給の證明書が何か正式のものをおもちいただかなければ困るということをお答えしたのであるというお話でありましたが、先ほどの武永氏の御證言によりますれば、武永氏はただ情報提供者としてついて行かれただけで、表だつて正式の話をあなた方となさるわけもないと思いまするし、まして目白署管内へ水あめをどうかなんということは、武永氏個人の立場として、民間の一個人とさようなことを言われるはずはない。これはもしそうした話があるとすれば、おそらく警察方面からのお話ではなかつたかと思いますが、あなたの御證言では武永氏がそういうことを言つたというお話でありまして、その點がちよつと腑に落ちぬのでありますが、先日の御證言には誤りありませんか。
#86
○岩崎證人 絶對に間違いありません。當時のことにつきまして、私と武永氏とただ二人だけで話をしたのではなくて、警視廳竝びに目白署の方もおいでになつておりましたから、もし御必要ならばお聽き取り願えば幸いだと思います。
#87
○辻委員 實は先日武永氏に證人としておいでを願うことを委員長に申請いたしました折にも、お二人では水かけ論になるといかぬから、その場においでになつた他の警察の方々もおいでをいただいたらどうかとは考えてもみたのでありますが、これもまたやはり微妙な關係がありまして、第三者が證人に立つて言うたことを證言として用いなければならぬ。それが往々にして間違うもとになるおそれもあると考えまして、實はお二人においでをいただきまして、お二人からほんとうのざつくばらんのお話を承ればよもやこんな食い違いはあるまい、かように考えましておいで願つたようなわけで、ただいまの御進言は先日も考えたのでありまするが、私は今しばらく保留いたしたいと思います。
 つきましては、武永さんも岩崎さんもかようにはつきり申しておられまするが、言うた言わぬという水かけ論でまことにどうも不可思議千萬でありまするが、さらにその場の状景について何か納得のいくようなお話ぶりを願うことができましたらお聽きいたしたいと思います。
#88
○武永證人 これは常識の判斷ですね。しかも警視廳の物資係の阿部巡査を連れ目白署から巡査を二人連れて行つて、一民間の私が、おい岩崎君、三百カン目白署に供出しろと言い得ることでありやいなやということは、賢明なる皆さんの常識の判斷にまちたいと思う。私にさようなばかなことを言えるものか言えないものか、よくお考になつたらわかると思います。それから私だけ行つて恐喝がましく、おい出せ、君たちやみで賣つているじやないか、と言つたということであれば、あるいはそうかもしれません。それも摘發に行つて、しかも警視廳から一人と目白署から二人、この三人の警察官を前において――それは私は心臓は弱いことはありません。強いですよ。しかしさようなことは言えません。これは賢明なる議員諸君の判斷に任せたいと思います。
#89
○辻委員 お二人のお話を承つておりますと、私どもの常識ではいずれが眞がいずれが偽かということはどうも判斷に苦しむのであります。これは重要な問題でありまして、もしそうした警察署方面に相當のあめが流れておるということでありましたならば、業者と官廳が結託しておると言われてもやむを得ないことでありますから、そうでないものをそうであるかのごとく言われるならば、これまたゆゆしい問題であると思いますので、この眞偽はどうしてもはつきりいたさなければならないと思いますが、それにつきまして先ほど岩崎氏は、あなた方お二人ばかりでない、ほかの人も行つておりますから他の證人も喚んで聽いてもらえばわかるということであります。矢野氏なりあるいは阿部巡査なり喚んでもらうということにつきまして、御異存はございませんか。
#90
○武永證人 私はぜひ喚んでもらいたいと思います。當時その警察官が行つておるということは事實ですから、私がもしさようなことを言えば、私は即座に縛られなければならない。これは天下周知の事實だと思います。そういうくだらぬことを私が言えるか言えないか、しかも警察官を前においてです。とにかく戰いには敗けて、人間の氣持も相當に荒んでおり、強盗が横行しておる。しかしながら摘發に行つて、擬裝の警官ならば別ですが、本物の警官を連れてきて、あめをよこせなどとは言えませんよ。それだから警視廳の阿部なり、目白署の矢野なり目白署の矢野はほかに行つているらしいです。あるいは警察官吏だから、それを言わないというかもしれません。しかしそれはぜひ喚んでください。この間あの傍聽席に矢野が來ていました。
#91
○辻委員 それでは矢野部長竝びに警視廳の阿部巡査のお二人に證人としておいでを願うようにお取計らいを願いたいと思います。
#92
○加藤委員長 先ほど辻君から、目白署から警視廳に報告書が來ておるはずであるから、その報告書を取寄せてくれというお話でありましたが、實はこの前徳田君でありましたか、石田君でありましたか、この次證人として出頭されるときには、目白署で取調べた聽取書を持つて來てくれという要求がありました。從つてその請求をしましたところが、先方からの證據書類の提出につきまして、その點は目白署長から世耕内務次官にあてた報告書があるから、それで全部わかると思う、こういうことで取調べの聽取書はこちらに送付されなかつたのであります。もし必要であるならばその取調べの聽取書を見なければなりませんが、ここにお手もとに配付しました參考書類の中に、有田目白署長から世耕内務次官にあてた報告書が綴つてあります。それをごらんくださつて、もしこれでよければやめますし、もしその取調べの聽取書が必要であるならば、警察署に保存してある聽取書をあらためて取寄せることにいたします。
#93
○辻委員 世耕内務次官にもたらされましたのは、あれは報告書ではない、通知書だと御本人も言われております通り、はつきりした命令系統から來た報告書、先ほど生活課長も兩者照し合わしてみたということでありまして、警視廳にもそれがあるわけでありますから、兩者相比較してごらんになつたということでありますから、そのごらんになつた報告書をお探しいただいて、警視廳の方から御提供いただいて、結構であります。
#94
○小杉證人 私の照し合わせたのは十月七日附ですが、目自署長からせ世耕内務次官にあてたあの報告書であります。
#95
○加藤委員長 辻君の小杉證人に對する御質疑のことに關連して委員長から一言小杉證人にお尋ねいたしたいのでありますが、あなたは本田警察署から報告書の來たことを知らなくて、それが内務省に自分の手を經ないで係長から報告されたものでないかと思う。こういう御證言がありましたが、そうするとたとえどういう關係にあつたとしても、本省から取調べを求められた事柄に對して、直接の課長を通らないで、係長から報告ができるものでありましようか。
#96
○小杉證人 それはもちろん課長を通じてなすべきものでありますが、課長があるいは不在のとき、期限が間に合わないということもありましよう。いろいろな事情があつて、課長を通らぬこともありましよう。そういうことを申したのでありまして、必ず課長は通すべきものであります。
#97
○加藤委員長 そうするとこの場合においては、あなたが御不在であつたということになるわけですか。
#98
○小杉證人 當時私は病氣をしておりませんから、不在であつたと思います。別に病氣缺席などはしておりません。
#99
○加藤委員長 そうすると、當時あなたはどこかに御出張か何かして、おいでにならないということになりますか。
#100
○小杉證人 とにかく期間が間に合わないで、私の決裁がとれずに出したものであると思います。
#101
○中野(四)委員 目白署に對する資料の要求は私からしたのでありますが、ここに出されました資料では滿足することができない。なぜかなれば、この本田署の資料と一方の資料と照合いたしますと、たとえば、水あめは一方には六貫入りとしてありますが、一方には六貫八百匁としてありまして、どちらの數字を照し合わせてもでたらめである。あなた方のような特別な技能をもたれる方にはわかるかもしれないが、私たち素人にはまつたくわからない數字です。先ほどから徳田君とも一生懸命數字を合わせようとしておるが、二人ともあまり數字の知識がないせいか、やるたびに違つてくる。はなはだ奇々怪々でありますから、これは何といたしましても、目白署の當時の調書をば再提出を願いたいと思います。
#102
○小島委員 私はだから先ほど證人に聽いたのですが、岩崎さんには聽きましたから、もう一度川端さんに聽いておきたいと思いますが、水あめから白あめを製造すればどのくらいのパーセンテージの歩留りがあるか、あなた方は常識として御承知であろうと思いますから、その點をもう一度明確にしておきたい。
#103
○川端證人 私の會社では水あめから白あめをつくつておりませんので、ただ大體の見當だけを先ほど申し上げた。われわれもさように承知しておりますが、そういうことを直接やつておりませんので、遺憾ながらどうも……。
#104
○小島委員 私はなぜそれを聽くかというと、この菓子統制組合に渡された水あめの材料は、四千五百カンのはずであります。ところがこれが實際白あめとして配給した數字をみると約一萬三千貫にしかなつておらぬ。そうするとかりに先ほど岩崎が言つた通り、一番惡くて四貫目――六貫八百匁から四貫目できるとしても約一萬八千貫の白あめができていなければならぬ。ところがこの數字をみると一萬三千貫しか配給していない。であるからこの差額というものはざつとみても約一千本以上の石油カンが、行方不明になつておる。であるから私はこの際菓子統制會社というか、その組合の人を證人として喚んでいただきたいのであります。この一千本の行方というものは、相當怪しいではないか、岩崎の方は間違いないけれども、岩崎から渡つた先の、統制組合が受取つた後の一千本の行方は相當怪しいといふことを私は疑わざるを得ないのであります。
#105
○石田(一)委員 ただいまの事項に關して私もあと數字を保留しておいたのですが、聞くところによると、今日出席されておる證人の柴田君は、あめの製造については經驗者であるそうであります。この人から私は今の水あめからさらしあめがいくらできるか、しかも水あめの工場、たとえばこの岩崎から水飴統制會を通じてさらしあめ加工工場に渡される場合のいきさつ。これが正當に水あめが配分されておるかどうか。しかもこれが正當に、事實ただいま言われた歩留りで言うならば今のような結果になる。聞くところによると、この歩留りはちよつと安めではないかと思つております。もう一遍この點について經驗者である柴田氏の證言を求めますとともに、そのさらしあめ加工の業者に水飴統制會を通してやる經路等のなおくわしい説明を願つたらばいいと思います。それからもう一つここに附加えたいことは、ただいま目白署が取調べた書類、數字について大變疑問が起きておりますが、おそらくこれはその當時の資料がないので、内務省としても世耕氏に出された報告書、通知書でかえてもらいたいという御意向だろうと思います。そうだと察するのであります。そこで私は後日どういう書類が提出されるか知りませんが、本員はここに貴重な資料を持つております。この入手の關係については、一應ここでその提供者の名前を保留しておきますが、必要とあれば提供者の名前も申し上げます。ここに持つております二枚の數字は岩崎工場の水あめ製品出入明細表竝びに昭和二十一年の一月から八月までの澱粉出入明細表、それから細かい數字で、せんだつても申し上げました昭和十九年、二十年、二十一年の軍民のものとして、澱粉が岩崎工場に配給された二十六萬七千十五貫であるとか、あるいはいつから水あめをまた製造し初めたとかいう數字がここにはつきり現われております。これは申し上げておきますが、目白警察署の取調べたときの、原稿であります。この原稿を私が保存する必要もこれ以上ありませんので、後日目白署がこの取調べの明細表を提出した場合に、これと符合するかどうか、一應委員長において權限によつて照し合せを願うことを望みまして、この資料を本員は提出しておきます。
#106
○柴田證人 水あめからさらしあめにするところの歩留りを私は專門的に申し上げます。大體水あめ一本は六貫八百匁ということは御承知の通りでありますが、これをさらしあめにする場合に、正直にやると五貫二百匁できるのであります。これは數字でありますから、よく御記憶願いたいと思います。それを一般の業者は四貫五百匁とか四貫とかいつておりますが、その歩留りはどこへ流れていくか、推して知るべきで、一萬七千八百本のうち四千五百本を東京都下へ供出したそうでありますが、その場合の換算によりますと、私が今ここで簡單に考えただけでも四千五百本、五貫匁の勘定にしても二萬二千五百貫のあめ菓子ができなければならないはずであります。ところがただいま委員の方のお話で、私も實は初めて聽いたのでありますが、一萬三千貫しか納まつていない。これは二萬二千五百貫でなければならないはずであります。ところが一萬三千貫であります。その差額の九千五百貫はどこへ消えたかと言いたいわけであります。
#107
○小島委員 私はその點を初めから疑つておつたから、先ほど來見當のつかないような、要領を得たような得ないような質問をしておつたのでありますが、ことここにいたりましては、はつきりと私は要求いたしたいことは、この菓子統制組合の組合長を呼んでいただきたい。また東京都の配給に携わつた職員を呼んでいただきたいのであります。
#108
○徳田委員 岩崎製造工場のどなたでもよい。川端さんでも岩崎さんでもどつちでもよいですから、お答え願いたい。これは本田警察署長の田中さん、鹽谷保安部長の報告でありますが、これによりますと、第一にあめの數量がずつと引續いて六百五十五カンはその他自家消費となつておりますが、これは配給すべきものでなくして、自家消費してもよい權利のものでありますか。これをお伺いいたしたい。
#109
○岩崎證人 われわれ業者におきましては、自家消費というものは認められておるのであります。
#110
○徳田委員 自家消費となりますと、これは自分の家で食べるだけのものであつて、賣るわけではありませんな。これを一つお願いいたします。よほどたくさん食べたことになります。
#111
○岩崎證人 これはわれわれのところにおいて從業員にも配給いたしますし、またランニング・ストツク用としてとつてあるのであります。
#112
○徳田委員 よろしうございます。このずつと後ろになりますと、本年一月以降外務省終戰事務局に當時慰勞用として四百八十カン配給せる事實がある。そういう事實ありやいなや。またかかる權能は岩崎會社において公然と認められておるものかどうか。この點をお聽きしたいのであります。
#113
○岩崎證人 外務省の終戰事務局に行つたことは事實でありまして、ただいま權限というお話がありましたが、もちろん權限という強い意味ではありませんが、そういつたことはわれわれの業者の間においては、當時配給協議會というものの機能が停止しておつたわけであります。その關係で生産者が直接消費者にお渡しすることは許されておつたものであります。
#114
○徳田委員 しからばこれは警保局からの報告でありますが、この中に自家消費として從業員配給――これは從業員に百五十六カン、ここは四十人の從業員でありますから、よほどたくさんの配給をしておる。まあ大體ブリキカンで四つぐらいづつ配給することになつておりますが、こういうことは統制規則に違反しない、當然これは全部配給してもいいものですか、どうですか。このことをひとつお聽きしたい。私はずいぶん大きな金額になると思いますが……。
#115
○岩崎證人 百五十何本というお話がありましたが、いつからいつまでということがうたつてありますでしようか。
#116
○徳田委員 いつからいつまでとはありません。これは昭和二十年九月二十八日に調べたものでありまして、岩崎澱粉工業所手持品の千四百八十五本、これらの供出内容であります。でありますからこれはいつからいつまでやつたかはつきりいたしませんが、ここではその供出内容でありますから、約一箇月であろうと思います。この前にもたくさん配給しておりますし、その後の問題でありますから、これは大體一箇月というべきであろうと思いますが、いかがですか。
#117
○岩崎證人 それは私の方で百五十本というものを一ぺんに配給したのではありません。時日をおいて配給しておるのでございます。
#118
○徳田委員 そうすると、何箇月ぐらいでこれを配給しておりますか。ひとつ御囘答願います。
#119
○岩崎證人 この點につきましては、現在私といたしまして、過去に配給されたのが何箇月分であつたかということは、確實にお答えできません。
#120
○徳田委員 この報告書によりますと、岩崎氏の持つておつたもので、委託加工品以外のものの原料は、すべて澱粉會社に貸し越しておつたもので、これを整理してあらためて支給したから、原料に對して岩崎は製品の供出の責任は一應負わないものだということになつておる。そういたしますると、これは貸し越したものをあなたの方からとつたことになるので、つまりあなた方自身の所有物であつて、これは配給統制關係からは全然除かれておるものと見なければなりませんが、そう見て差支えありませんか。
#121
○岩崎證人 ただいまその受取つた澱粉は自己のものであり、製品は自己でどういうふうにしてもいいというようなお話がありましたが、われわれとしましては、常に配給組合とも連絡をとり、また工業組合とも連絡をとりまして仕事をしておるのであつて、自己の所有品ではあるけれども、それは良心的に行つておるつもりであります。
#122
○徳田委員 大體わかりました。この書類を調べておりますと、一つも辻褄が合わぬばかりか、この内容は證人を云々しなくても、この書類だけで大體これが山かんものであることはよくわかるのでありまして、いずれも符合するものはないのであります。それゆえに本議員は動議を提出いたしまして、この證人の退席を求めて、委員だけでこの問題に對する處理方法を協議した方がいいだろうと思うのであります。これ以上もう聽く必要はないほど、明確になつておるのであります。委員會がこの事件を處理するのに、相當の資料が今まで出ておると思いますから、委員會はこれに結論を與えて處理した方がいいと思うのであります。動議を提出いたします。
#123
○加藤委員長 よくわかりました。今徳田君から動議が出ましたが、動議の採否を決しまする前に、出頭されておる證人の諸君にお尋ねになることはもうございませんか。――清澤君。
#124
○清澤委員 たつた二點であります。一つはこの間岩崎さんの方で七千七百八十本の水あめは、昭和十六年以來自分の方でもつておつた二萬本のあめが殘つたのだ。こうお答えになつておるのでありまして、その點は目白署長竝びに小杉さんのお調べと、全然違つたところがあるので、非常に疑問に思つております。そういう御主張が強く取交されたのであります。ここにただいま岩崎さんにお目にかかりましたが、この數量のうちで、どの分が七千七百八十本に該當するのか。これをひとつ數字の上で教えていただきたい。
 その次は柴田さんにお伺いしますが、先ほどから大分寶亭の問題について、岩崎さんが呼んだのか、菓子會社か統制組合が呼んだのかということで、お互いに武永さんと岩崎さんの間に水掛論になつております。ところがその寶亭の内容を藝者を通じてお調べになつたとき、これは菓子統制會社が呼んだものであるか、あるいはあなたとしては岩崎さんが呼んだのだ、この言われるが、それに對する何か具體的な確證をおもちになりまするならば、お聽かせいただければ、兩方の水掛論を私どもが解決する上に、まことに都合がいいと思うのでありますから、これをひとつお伺いしたいのであります。岩崎さんの方からひとつお願いします。
#125
○岩崎證人 先ほど御質問のありました二萬本が、結局七千本までに減つたというお話は、先日もお話申し上げましたように、われわれの工場においてはすでに二萬本及至三萬本の自由ストツク品を持つておつたのであります。それがたまたま十六年に統制になりまして、われわれの方へ澱粉が配給になつた。そのときまた製品の最大需要時期というものは、ほぼ同一時期で冬場であるために、原料が遲れるとわれわれは製品をつくり出して、原料はあとからもらうという方法をとつた。それが囘轉してもたまたま終戰となりました結果、その原料を受入れて、それによつて製造したという意味であります、
#126
○柴田證人 寶亭の記録は實は證據になるようなものが何もないのであります。當時聞きすてに聞いただけでありまして、現在何も證據を提出できないのは殘念でありますが、事實は事實であります。どつちが拂つたか、會計を拂つたことによつて主催者がきまるわけでありますが、どつちが拂つたかということは、どなたかの御意見にもあつたのでありますが、東京菓子工の職員を呼んでいただけば、一番わかるのではないかと思います。
#127
○清澤委員 ちよつとくどいようでありますが、岩崎さんにお伺いします。七千七百八十本は、この表の中のどの部分が七千七百八十本に該當するものとして、あなた方は取つたとおつしやるのですか。それはすぐわかるでしよう。とつてものであるというなら、それはわかるわけでありますが……。
#128
○岩崎證人 それは原料の數量でありますが、その點は私といたしまして現在ここで、何貫目がこの分であるということは、私どもは概算して申し上げれば申し上げられますが、實際において何貫目かかつて七千七百本になつたかということは、毎日仕事を繼續しておるのでありますから、はつきりした數字は申し上げかねます。
#129
○清澤委員 私はこれで打切ります。
#130
○辻委員 小杉君がお答えになつたという、目白署長から世耕代議士あてのものが出ております。これを兩方比べてみまして、大體一箇月の間に動いた状態を參照して、あまり不思議に思われなかつたと言われますが、私ども粗雜な頭ではまことに不思議だらけであります。しかしそれはともかくとして、目白署に御報告になつたときは、日本水飴配給統制組合から供出すべき數量は申告になつておりますが、岩崎さんが目白署に御申告になりました中には、日本水飴配給統制組合に供出される量というものは載つておりましたが、この供出はどうなつたのですか。これはあなたの方からの申告によつてこれを減らしてもらうことができるのですか。
#131
○岩崎證人 いわゆる日本水飴に絶對的に供出しなければならない量というものは、當時におきまして、その年の原料の範圍内であります。そうして、その他のいわゆる七千何百本から引いたもの、委託加工とか配給しなければならないものを引いたものはわれわれの自己のものでありますから日本水飴と協議して、いわゆる任意に供出しておつたのであります。
#132
○辻委員 その御報告書中にはこれまたはつきり殘品――殘品と申しますのは、目白署の調査の場合は七千七百八十カンでありますが、そのうち四千カンは日本水飴配給統制組合に供出すべきものである、かようになつているのであります。そうすると、三千七百八十カンしか殘らなかつたわけであります。つまり任意供出のできる分は、その中にしかも、前の本田警察署のお調べによりますと、自家消費の六百五十何カン、明治産業の預かり分が三百カン、これを引きますと任意供出のできる分というものは、大體目白署に御報告になつた當時において二千七百本くらいしかないわけでありますが、それにも拘らず四千五百本を都に供出されるということはまことに不思儀に思うのでありますが、日本水飴配給統制組合四千本というのは、これは確定的なものでないのでありますか。ただこれだけ向うに供出しようと思つているというようなことで、數字のつじつまを合せられたのか、そのへんがはつきりいたしません。
#133
○岩崎證人 その當時そういつた計畫があつたものでありまして、ただ單につじつまを合せたというのではありません。
#134
○辻委員 打切ります。
#135
○小島委員 この次に統制組合の方に來てもらう都合もございますので、前にもう一度確かめておきたいと思いますが、水飴統制會社が東京都のためにお出しになつた四千五百本、これはたしかにあなたの方からお送りになりましたか。
#136
○岩崎證人 たしかに出しました。
#137
○小島委員 その一本というのは、あなたのところの一本というのは六貫八百匁入りであつたのかどうか。
#138
○岩崎證人 六貫八百匁というのが水あめ一カンに入る規定の量なのでありまして、それが漏つたり何かした場合には減る場合があります。普通の状態におきましては、漏りとかいうものは取換えることになつているのでありますが、われわれの方は當時その數量を全部出したために、製造ももちろん原料がなくてやつておりませんでした。いわゆる規定の六貫八百匁全部入つて、いわゆる漏りがなく完全に六貰八百入つておつたということは私として申上げかねます。
#139
○小島委員 それでは大體あなたのところでつくつていらしつたのは六貫八百匁入りであつたということが言い得るのですか。
#140
○岩崎證人 さようでございます。
#141
○小島委員 ありがとうございました。
#142
○石田(一)委員 私はただいまいろいろ委員によつて數字的のことが質問されておる中で、まず大ざつぱに言つても、あの昭和二十年戰爭に負けた八月までに軍民の澱粉が五萬七千六百六十三貫あつた、その澱粉の割當から約九割の歩留りとみても七千四百十三本しか水あめが製造されていないのであります。軍民の澱粉で、しかもこれが戰爭が終つて八ケ月にそれだけしかない。しかも澱粉の繰越は昭和二十一年度に三萬六千八百十四貫目もある、二十一年の一月から八月までに一萬七千九百六十二本の水あめを製造して、九十六貫しか繰越の殘餘の澱粉が出ておらぬ。私はこれはあまりに戰爭中に空襲があつたために、製造能率が低下したのかどうかしらぬが、ずいぶんな水あめ生産の差だと思う。戰爭が終つたとたん、翌年の一月から八月までの生産高は、少くとも昭和二十年度の戰爭の八月までの生産高よりものすごい上昇率を示しております。しかも食糧危機を叫ばれていたときに重要な澱粉によつてこのあめがつくられておるのであります。しかもこれが澱粉の統制會社とかいうようなものから、いかなる方法かによつて入手されておるのであります。まことに遺憾であります。こういうことを私は最後に小杉證人に申し上げたいのですが、こういう證言をお聞きになつていても、その方面のいわゆる專門家である小杉證人は、この水あめ事件の證言をお聞きになつていて、相當の深いところまで觀察がいき、またいわゆる捜査眼というものも相當出てくることと思います。もし小杉證人がその際涙をふるつて馬謖を斬るというようなお考えが最後にありましたならば、この委員會では證言の取消し訂正等はできないのであります。それつきりであります。ぜひ警官の信を保つためにも、斷固たる決意をもつて最後の御證言があるならば、ぜひ私は願いたいと思うのでありますが、小杉證人はこれに對して御證言はこれ以上ございませんか。ぜひそれを最後に煩わしたいと思います。
#143
○小杉證人 私はこれ以上證言いたしません。
#144
○加藤委員長 もう證人に對する御質疑はございませんか。――ございませんければ證人の各位に申し上げます。本日はどうも御苦勞樣でございました。職務上の證言においでになつた方を除いては、法規によつてそれぞれ旅費日當が支給されることになつておりますので、それは委員部の方で處置することになつておりますから、どうぞお立寄り願います。御苦勞樣でございました。
 先ほど各委員の諸君からさらに矢野、阿部兩巡査、それと東京都菓子工業統制組合の當時の責任者、東京都のあめの配給を擔任した責任者等の證人を目白署において取調べた取調聽取書の書類の提出の要求があります。と同時に、徳田君から、さらにこの問題の調査方針について、そういう證人もしくは參考資料の提出を待つまでもなく、協議したいという新しい動議が提出されております。そこでお諮りいたしますが、この問題をさらに進んで、今少しく眞相を調査しようとするならば、先ほど御請求になりました證人や參考資料の提出を必要とするでありましようし、今日までの各證人について證言を求めた事實から、委員會として一箇の判斷を下そうとすれば、下し得る状態にもあると思うのであります。よつてまず最初にもう一歩進んで眞相調査のために、證人の出頭、參考資料の提出を求めようとする御意見に對してお諮りいたします。小島君。
#145
○小島委員 私はさらにつつこんで調査していただきたいのであります。というのは私の今までの判斷から申しますと、この四千五百本のあめを、いかなる理由によるかは別といたしまして、ともあれ菓子統制組合を通じて、都に供出したということだけは、信じてさしつかえないのではないかと思うのであります。にもかかわらず、實際において都の兒童に配給されたあめが、わずかに一萬三千貫であつて、先ほどの證人の言からいきますと、どうしてもここに約一萬貫のあめの行方が不明になつておるのであります。で四千五百本の水あめを供出することに至りましたまでの事情は、大體私たちは推量することはできますけれども、むしろ怪しいのは一旦統制會社に渡された四千五百本のあめのうち、石油カンに擔算すると約千本近い水あめの行方が、わからなくなつてしまつておるというのでありまして、私はむしろこの千本のあめの行方を追究してななければ、この水あめの眞相は出てこないと思うのであります。かりにもしここに怪しき者があつて、いろいろなところに三百匁ずつ配給されたとか、あるいはこれによつて金を得た者がありといたしましたならば、おそらく禍根はこの行方不明になつておる千本の水あめにあるのではないかと考えるのであります。でありますからさらにつつこんで、この千本の水あめの行方について調査するために、この水あめに關する調査を進行せられんことを望むのであります。
#146
○加藤委員長 中野君。
#147
○中野(四)委員 私はこの問題は、これ以上追究する必要はないと主張するものです。その理由はこの水あめ事件をあえて取上げましたのは、御承知のように警察官がこの摘發にあたつて相當な妨害、壓迫をしたかどうか。あるいは警察側において、ないしは岩崎製飴所において、相當な不正があつたかどうかという點を追究するところに主眼があつたのであります。從つて今日まで委員會であらゆる證人を招致いたしまして、いろいろと聽いてみましたが、どの證言も信をおくに足るものがない。從つて客觀點にこれを洞察いたしますと、大體警察側に相當な不正ありということだけは認定がつくのであります。しかも岩崎製飴所においても、このカン數の不正提出と申しますか、そういう方面においても多分に疑いがもてるのでありますから、これ以上の追究は當委員會の役割ではなく、むしろ檢察廳の役目であろうと思うのであります。ゆえに委員會の意見を附して、このすべてを檢察廳に報告され今後檢察廳において嚴重にこれを調査するという點において、この水あめ事件のけりをつけたい。そうしてその調査の經過報告は、大體この委員會に報告してもらうという段階に行つた方がよいと思いますので、これ以上の證人を喚問し、これ以上問題を追究していくことはやめたいと、私は主張するものであります。
#148
○加藤委員長 小島君。
#149
○小島委員 私はせつかくの中野委員の言葉でありますけれども、この水あめ事件に關する限りにおいて、警察側において非常に不當なる方法でやつたということは、皆さんの證言を自分の主觀によつて採量するならばいざ知らず、はつきりした證擔においては、警察官が不正なことをしたと斷言するのはまだ早いのではないかと思います。むしろ私はもう一歩つき進んでかりに警察官に不正があるとするならば、どういうことによつて不正をなしたかということをはつきりしなければ、私はただこの水かけ論になつておる證言を主觀的に判斷することは早過ぎると思うのであります。むしろもう一歩つつこんで、少くとも全部の證言を通じて一つ間違いないことは、とにかく四千五百本の水あめが、東京都に配給されて兒童に配給したということになつておるのであります。しかもそのうち千本からの水あめが行方不明になつておる。この當時は水あめ一貫目の値段は少くとも五百圓ぐらいしておる。そういたしますと、一萬貫もの水あめが行方不明になつておるということは約五百萬圓の金が行方不明になつておるということであります。この水あめを追究したならば、警察官が不正をしたならばはつきり出てくると思うのであります。もう少し物的證擔をもつて警察官に不正があるとしたならば、それだけの注意が必要だと思うが、今までの水かけ論をもつて警察官に不正があると斷定するのは少し早過ぎるのではないかと主張するものであります。
#150
○加藤委員長 徳田君。
#151
○徳田委員 私は小島委員のお説に對して反對したいのであります。われわれはこういう事件に對しまして檢事的な態度をとるということは大體最初からやめることになつておつたのでありまして、なるほど警察官がはたしてどれだけのものをとつて、どれだけ出したかということは判明しておりません。物的證擔はありません。しかしこの報告及び證言を聽きますれば、一つも信をおくことのできないことだけは明らかであります。そうしてこの内容が統制を亂して、官僚統制が隱退藏物資の處理にあたりまして、きわめて不適當である。これを官僚統制のままにおくこと自體がきわめて危險であるということも判明したのであります。水あめのごどき食糧問題と最も關係深いものが、自由供出とか任意供出とかを許す。これに對しまして嚴重な統制をしておらぬということでありますし、また警察官がこういう事實に對しまして、ほとんど統制政策に對しまして不感症になつておる。ちつともこの統制を嚴密にしようとしていない事實は明らかであります。すでに政治的にはこの問題は十分最後の判斷をつけてよろしいだけの資料は集まつたと思うのであります。われわれは政治的にこれを解決すべきでありまして、これ以上に犯罪的事實云々をわれわれが確かむべきではないと思うのであります。それゆえに犯罪云々のことはさておきまして、この事實をわれわれは政治的に判斷し、これとその他の事實とを判斷いたしまして、ここに一定の委員會の報告書をこしらえまして、本會議に提出しなければならないと思うのであります。いつまでもこういうことでぐずぐずしておりますれば、これからたくさんに資料が出てきますし、これらの資料も重要なものでありまして、この水あめ事件のごときはほんの派生的なものである。これは要するに官僚統制が腐敗し、その官僚統制の腐敗から、隱退藏物資の實に奇怪至極な事件を派生しておるということを突きとめさえすれば、すでに任は終れりとするものでありますから、この點御考慮をくださいまして、ここで打切つて、本會議で報告したいと思います。檢察廳その他におきましては、この資料を中心としてさらに調べる、調べぬはこれは檢察廳の任務でありまして、われわれがこれを命令しなくても、少くとも檢察廳の責任においてこの事件を處置すべきものと信ずるからであります。
#152
○辻委員 第一この水あめ問題の中心は、先ほど中野君からも言われましたように、警察と業者との結託ありやなしや、從つて摘發に對して非協力的態度であり、さらには妨害的能度があつたかなかつたかという、その眞相をきわめるために證人においでを願つて、お互いにお尋ねをいたしておるわけであります。それについては先ほど岩崎證人と武永證人との問答が相對立して、同じ場所で同じ日にお話をされた内容が、まるで相反しておるのでありまして、私どもそれ以外のいろいろの證言を承りますと、中野、徳田兩氏のごとく大體どんな心境であるかということは、おのずから期するところはありまするけれども、しかしわれわれはもはや岩崎工場ではありませんが、ガラス張りの氣持でこの問題に對しておりまして、しかもこうして二人の證人の言われることが全然相反しておるということになれば、そのいずれを信じ、いずれを疑うべきやということについては迷わざるを得ないのであります。そのいずれが眞であるかということは、同行された兩氏の御出頭をまつて初めて明らかになると思うので、御面倒ではありますけれども、少くとも今一囘續開され、最後の核心に觸れる機會を得たいと存ずるのであります。
#153
○清澤委員 私ももう一囘開いてもらいたいという考えであります。それはこの間から證人に鹽務課長の出頭を求めて、二萬本が終戰以來自分の持越品だというのが七千本に變つて、今いろいろな形でわけがわからないものになつているのでありまするから、その統制がはたしてどういうものか聽かなければ、私はその點がはつきりしないと思いますので、鹽務課長にこの次には正式に出席してもらつて、ぜひ統制の運用を聽きたいと思います。
#154
○小島委員 私最後に一言申し上げておきたいのですが、徳田委員はこれをもつて本委員會の目的が達せられたとおつしやるけれども、もし徳田委員がこの程度をもつて滿足されるということならば、私はすべての隱退藏物資が一應統制會社の手に渡されるという形式をとつたならば、常にそれは正當なルートに乘つたものであつて、統制會社に渡された以後の物品は、すべて公平に分配されておるということを頭からこれを認めてしまうことにならなければ成り立たぬと思うのであります。ところが現在の日本の段階において一番問題になつておるのは、一たん統制會社のような公的機關に渡されて、官僚統制機關に渡された後の物品は非常に横に流れておる。あるいは何々援護會とか、あるいは何々更生協會とか、そういうものに渡されれば、物資の大半が横流れしておることの方がむしろ私は危險なのであつて、隱退藏物資としてはこれも追究してやらなければならぬと私は考えるのであります。どの證人も一致しておることがただ一つあるのは、要するに四千五百本の水あめが東京都に配給されたが、實際はそれより一千本も少いものが配給されておる疑いが多分にあるものですから、あくまでこの點を追求するために、私は委員會を續行せられんことを希望するものであります。
#155
○石田(一)委員 私も小島君の意見に贊成であります。しかし私は觀點をいくらかかえております。今まで來てもらつた證人がいわゆる責任のない、何かしら言逃れのできるような立場にある人たちで、最後のこの問題に大きく關連してくる。警察關係では警保局長とか、また溝淵防犯課長とか、あるいはその當時の上長である内務大臣とか、それらの者が少くともこういう問題に對しては、責任を負う地位にあると思うのであります。これでこそ初めて政治的解決ができるものだと思いますが、今まで出頭してもらつた證人の口からは遺憾ながら皆自己の責任でやつたとか何とかいつて實に不明瞭な、ほとんど信ずるに足らぬ證言ばかりがなされておるという状態であります。かくなる上はこの七千七百八十箱の水あめが―今小島君のやみ相場などというのは實になまやさしい表現の方法で、少くとも六貫八百目入りの一本が、最高のときには五千圓以上で上野あたりで賣られていたということは、これは世耕代議士からも證言されておることであります。こういう觀點から考えますと、今の一千本の水あめが行方不明になつたということは、一本が五千圓としたならば――その當時五千圓、もしこれがやみで賣買されたとしたならば、一體どういうことになるかというのであります。私は實に厖大なる水あめの行方であると考えます。小島君の意見が容れられて、もう一歩突き進んで檢事的な、檢察廳的な取調べではないが、どういうふうに處分されたかということだけは結末をつけた方が、本委員會としては望ましいことだはないかと思うのであります。
#156
○加藤委員長 それでは私から一言申し上げます。本委員會の請求しました資料は一部ずつ今日も提出されましたが、ごく少數の全國から蒐集するものを除いては、大體二十五日ころには出そろう豫定であります。從つてそれまでの間は若干の時間がありますことも一つ。これからただいま各委員諸君のお話を承りまして、徳田君の證人喚問、參考資料の提料を求めることを打切ろうという御意見は、採決をとることなく委員長の判斷において、いま一囘水あめ事件に關する調査を進めることにいたします。從つて……。
#157
○徳田委員 もう少し言いたいことがある。それだけは言わしてください。
#158
○加藤委員長 それでは徳田君。
#159
○徳田委員 小島君の意見は私の言つておることを非常に曲解しておる。私はこれが正式のルートに乘つたと言いさえすればいいというのではない。正式のルートに乘つたといつても、皆汚いことをしておることはこの報告書でも明らかである。一萬三千貫というもがごまかされておることはこれだけで明らかである。こういうことは調べないでも政治家にはちやんと勘がある。こういうものを皆どろぼうしておることは明らかである。だから證言が合わない。こういうものをわれわれがいつまでもほじくつたところが、これでなかなか解決がつくものではない。これは半端の事件であるから、われわれはこれからこの大物を皆握つておる。二十五日までに非常な努力をもつて調べない限り、こういうものは調べられません。ですからこれだけの時間があつたにしても、われわれは大所高所から見ておる。そこで半端のものを打切つてわれわれの結論をつけたいというのでありまして、決して私はこれがやみに流れる云々のこと、及び統制會社のルートに乘つたと言いさえすればいいと安心しておるわけではありません。わが共産黨の態度は諸君すでに御承知の通りでありまして、あらゆる配給機構そのものがあらゆる惡いことをしておることはわれわれのよく知つておるところである。こういうことをここで一々言わなくとも濟むべきことでありますから、これは政治的に解決すべきものでありまして、これ以上やることはただわれわれが汗をかくだけであります。當今は非常に嚴暑の折でありますし、食糧の少いときでありますから、お互いにもつと休養したいので、ここはまずこれぐらいで打切つた方がいいという意見であります。
#160
○加藤委員長 徳田君の御意見でありますが、多くの委員諸君の御意見を總合しまして、委員長の判斷において、いま一囘本水あめの事件の調査を行うということに決定いたします。御異議ありませんか。
    ―――――――――――――
#161
○加藤委員長 それでは先ほど御請求のありました證人として、現在は警視廳に行つておるそうですが、當時の目白署の矢野巡部長、警視廳の阿部巡査、この二人と東京都菓子工業統制組合の當時の責任者、あめの配給にあたつた東京都經濟局の配給責任者、以上四名、それから參考資料としましては、目白署で當時の事件を取調べた聽取書、これを求めることにいたします。以上四名の證人と參考書類の提出を求めることに御異議ございませんか。
#162
○加藤委員長 御異議なければそのように取計らいます。
#163
○石田(一)委員 ちよつとそれに關連して……。東京都の配給に關係したという漠然たる證人でなくて、寶亭などに出席した榎本というのが傍らで何か言つておるのでありますが、そういう者も指名した方がよいと思います。
#164
○加藤委員長 それでは東京都の方はその責任者である榎本という事務官ですか、それを御希望のように取計らいます。次會は二十二日にこの前の栃木事件の證人が喚んでありますので、二十二日に開きます。本日決定しました證人は二十二日以後二十五日までの間に適當な日を選んで開會することにはたしたいと存じます。なお宇都宮地方にいらつしやいます諸君は、議長の正式の承認を得ましたので、明日は本會議がありますからみな出席されると思いますが、明後日でもあらかじめ調査方針を打合せの上で御出發願いたいと思います。今日出席しておいでにならぬ方はそれぞれの黨派で連絡をとつていただいて、そのようにお取計いを願いたいと思います。
#165
○小島委員 民主黨は大森玉木君と御指名になつたのですが、大森君は昨日から來てなかつたようで、代りの人ではいけませんか。
#166
○加藤委員長 もし萬一大森君が間に合わぬ場合には、變更できるように議長の方で取計らいます。
 それでは今日はこれをもつて散會いたします。
    午後五時散會
ソース: 国立国会図書館
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