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1947/08/22 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第11号
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1947/08/22 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第11号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第11号
昭和二十二年八月二十二日(金曜日)
    午後二時六分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 武藤運十郎君 理事 辻  寛一君
   理事 本多 市郎君 理事 石田 一松君
      足立 梅市君    池谷 信一君
      清澤 俊英君    佐竹 新市君
      田中 健吉君    木村 公平君
      水田三喜男君    明禮輝三郎君
      村上  勇君    木下  榮君
      野本 品吉君    中野 四郎君
 出席國務大臣
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
 出席政府委員
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
 證人
  昭和二十二年八月十五日衆議院隱退藏物資等
  に關する特別委員會における證人間島三好氏
  の證言に關する件
        山形縣農業會農
        工課長主事   佐藤  篤君
            山形市宮町三〇七番地
            鑛 業 森   淳君
            東京都臺東區車坂町三
            四番地山水館福島慶一
            郎方
  昭和二十二年八月十五日衆議院隱退藏物資等
  に關する特別委員會における證人上田利實氏
  の證言に關する件
        總理廳事務官經
        濟安定本部員  井上 直明君
            東京都世田ヶ谷區玉川
            等々力町二ノ五八七
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 これより會議を開きます。
 先般來の靜岡縣におきまする砂糖事件についての報告のために司法大臣から發言を求められております。これを許します。鈴木司法大臣。
#3
○鈴木國務大臣 前囘私から靜岡縣大仁の東洋讓造株式會社の所藏しておりました砂糖の處分について御報告いたしましたところ、農林省の報告と數字において食違いがあるということで重ねてお尋ねがありましたので、さらに東京高等檢察廳岡原檢事をして詳細取調べさせました結果、ほぼ食違いの點が明らかになりましたから、ここに御報告を申し上げます。昨年十一月沼津檢事局が大仁の會社につきまして、殘つている砂糖を押收したことは前囘御報告をいたした通りでありまして、ダース箱詰十三貫匁入り八十三箱、百斤入り袋、十六貫匁入り百二袋、これがそのとき存在した砂糖でありまして、これは押收をし、封印をいたして、ただいまも存するのであります。それ以前の砂糖は消費せられたものでありまして、今日の至りまして數計についてこまかく正確な調査をいたしますことは非常に困難であるのでありまして、關係者の申立に基いて前囘約一千トンの砂糖を靜岡砂糖統制組合を經て一般配給にまわしたということを御報告申上げたのでありますが、その後詳細に取調べましたるところ、會社におきましては役職員に特配というものをいたしました。社員三百五十名に一人あたり四貫目づつ、臨時雇、準社員二百五十名に一人あたり二貫目づつ特配をいたしたほか本社贈答用として社長等幹部用として約二百袋、一袋二十四貫入りのものを處分したことが明らかになつたのであります。それから運送屋に運賃のほかに、むしろこれは運賃の代りとして數十俵の砂糖を贈與したのであります。それから荷粉、掃寄せ等の名義で、これまた進物用に數十俵を處分したことがわかつたのでありまして、またこのうち百三十五貫というものが沼津税務署員の贈賄に使われたということは前囘御報告した通りであります。また一般配給にまわします砂糖輸送の當時、積上げ積降し等がはなはだ杜撰でありまして、多量の砂糖が道にこばれておつた。バケツをもつて拾いにいうような事實がありまして、相當輸送の途中において減つておることも想像されるのであります。これらは今日から正確な數字を出すことが困難でありまするが、大體これらによつて相當多量の、約百トン内外の砂糖が別な方面に消費されたということが明らかになつたのでありまして、そのためにいろいろな事件を起しまして、前囘御報告をいたしましたほかに起訴せられて處罰せられた者四十名ほどに上つておるのであります。ゆえに農林省が報告をしておりまする八百八十二トンを一般配給に接收したということがかりに正確であるといたしまするならば、數字の食違いはここでほぼ明らかに相なるものと存ずるのであります。この機會にこの問題に絡んで現内閣の閣僚の二三の者に關係ありと宣傳せられました最初の原因をつくつた者が何者であるかということを檢事局に命じまして鋭意調査いたしました結果、ほぼ時間的に見て最初に閣僚の名前を出した者は、甲府刑務所に收容せられておりまする矢崎松朗の所為であるということが明らかになつたのであります。矢島は詐欺の前科がある男でありまして、今囘もまた約四つほど早稻田大學に入學をさせてやる費用というので若干とり、あるいは進駐軍にぶどう酒を賣り込んでやるということで若干とり、靜岡縣の砂糖を拂い下げてやるということで十萬圓ほどとり、大分いろいろな詐欺をやつておりまして、それでただいま收容されておるのでありまするが、詳細調査せしめました結果、何ゆえに閣僚の名前を言つたのか、閣僚を知つておるのかということを問い質しまたところ、少しも知らない、面接したこともないが、とにかく和田農林大臣の名前を言い、木村大臣の名前を使つたのである。完全に自分の創作である。新聞その他によつて靜岡に砂糖があるということを知つたので、これも一つ詐欺の種になると考えて一つの筋書をつくつたのである。一條公は前から知つておるので、これは架空の人物ではないが、三宅男爵というのは架空の人物であつて、自分自身がその役を勤めて、電話をかけてみろ、三宅男爵が出てくるからというので、時間を打合せておいて先廻りをして向うの受話機をとつて三宅男爵に早變りをして應答をしたのであるというようなことも自白いたしておるのであります。要するに容易に詐欺をなし得るために閣僚の二、三が關係しておるというふうに述べることによつて信用を増大して、結局十萬圓獲得したわけでありまするから、永田某がその被害者となつたわけでありまして、永田某から世耕氏その他にこのことが傳えられた形跡は顯著であります。その後この矢島が申すごときことが數十人の人々の口の端に上り、あるいは新聞記事となり、アカハタ紙のごときには矢島氏が述べる通りのことが出ておるのでありまして、いかにその出所がほぼ相似たるところにあるかということが明らかであります。これらの處分につきましてはもとより信用の毀損、名譽の毀損と詐偽罪と相伴つておるのでありまするから、それら他の關係者とともに、いかにこれを處罰すべきかということについては愼重ただいま審議中であります。
 なおこの機會に、ただいま搜査中でありまして具體的なことを申し上げることはできませんが、一言抽象的にだけ申し上げておきたいと思います。ただいま搜査中の事件に靜岡縣下のキヤラコ、軍衣袴にからんだ三百萬圓ほどの詐欺事件があるのであります。三百萬圓の金をたやすくこれを渡すということはまことに輕率に見えるのでありまするが、見せられた文書が前内閣の某々閣僚竝びに非常にかたい――おそらくわが國において最もかたかるべき大官の名前が連ねてありまして、それらが隱退藏物資であることを證明しておるから間違いないということで三百萬圓渡した後、なかなか品物が渡らぬから催促をしたところが、さらに一枚某大官の證明書を添付いたしまして、ちやんと判までおしてある。そこで信用をして待つておつたが、遂にいつまでも來ないからというので告訴して、ただいま犯人はつかまつておるのでありまするが、その犯人の自白によれば完全に自分がこれを偽造したのである。決して某々大官閣僚等が關係しておるわけでないということを自白いたしておるのであります。そういう種類のことが非常に多い。これらはもとより詐欺罪を構成することはもちろんといたしまして、その名前を詐欺の手段として利用せられた者は信用と名譽とを毀損せらるることおびただしいのでありますから、それらについても適當に處置をとらなければならぬと考えておるのであります。全國には相當廣くこの種の案件が存在することはまことに遺憾に存ずるのであります。いずれ具體的に搜査を終りましたならばすべてを諸君の前に公表いたすつもりでありまするが、ただいま御參考までにこのことも御報告申しておく次第であります。
#4
○木村(公)委員 ちよつと關連して申し上げます。ただいま司法大臣からきわめて丁寧、しかも御明快なる御答辯をいただきましたことは本委員會の欣快とするところであります。御報告の中に承りますれば、砂糖統制會社等におきましてはおよそ百トン――と申しますれば大體二萬七千貫以上という計算になるわけでありますが、これを今日の百匁四百圓とかあるいは四百五十圓といわれるやみ値に換算いたしますれば百匁かりに三百圓と假定いたしましても、實に七十萬圓以上の大きなものであります。結局不正に配給あるいは不正に贈答せられた。贈答はいかに適法であろうとも、贈答用として砂糖が不適法に贈答せられた場合には贈答そのものも不適法でなければならぬ。かくて不正に處分されたということに對しましては司法大臣もきわめて遺憾であろうと思いまするが、この席上においてあらためて遺憾の意を表明していただきたいと私は考えるのであります。それから司法大臣のお言葉の中に某々閣僚あるいは前内閣の某々閣僚あるいは前内閣の某大官等の證明書によつて三百萬圓の詐欺事件があつたけれども、それは偽造であつたということが分明いたしましたことは、私ども前内閣の與黨であつた黨員といたしましてはこれまた欣快に堪えない次第であります。まずここで委員長に特にお願いいたしたいと思うのは、ここで分明いましたものだけでも百トン、つまり二千七百貫以上の砂糖が不正に流されておる。しかも社員には一人當り四貫目、見習社員においても一人あたり二貫匁、贈答用としては二十四貫袋が二百袋、さらにまた他の進物用として數十俵というような、世人が聞きましたならば實に驚愕するような事實に對しましては、本委員會としてはこれを默視することができない、從いましてこれに對しましては、ひとり司法處分をまつのみでなく、本委員會といたしましても、かような不正に對しましては何らかの適當の處置がとられなければならないと思うのでありますが、委員長におきましてはこれに對していかなるお考えをもつていらつしやるか、この機會に伺うことができますれば幸いであります。
#5
○鈴木國務大臣 仰せの通り百トンという砂糖は容易ならざる數量でありまして、それが不正に流れたということにつきましては、國民の一人としてはなはだ遺憾に存ずるのであります。しかし事の追究し得べき限りにおきましては調査をいたし、それぞれ司法處分に附しているわけでありまして、その餘の問題につきましては當委員會における御處置に委ねるほかはないのでありまするが、すでに四十名以上の犯罪者を出しているということをもつても御了承願えると思うのであります。
#6
○加藤委員長 ただいまの木村君の御意見に對して委員長としても一言お答え申し上げておきます。御承知の通り本委員會は實體をありのままに明らかにすることが目的でありまして、すでにただいま問題となりました静岡縣の砂糖の問題は司法問題として檢擧せられ、司法大臣報告のごとくこれにまつわる四十數名の人が刑事被告人として今公判にまわされている。こういう状態でありますので、これらの物資がなお實在しているというならば、その物資を追究することは委員會でできるのでありますが、おそらくこういう消費物資はもう相當長い期間を經ておりますので、消費し盡されたのであろうと思うのであります。われわれは物があつて消費し盡されたにしても、事態が明瞭でないときには、本委員會はその事態の眞相を把握しなければなりませんが、すでに対くの刑事被告人まで出して行方が明白になつておりまするときに、本委員會としてこの問題をそれ以上追究するということは少しく趣旨にはずれていると思いますので、委員長の考えとしては、これをこれ以上追究しないことがよいのではないかと考えておりますから、御了承願いたいと思います。
 本日は栃木縣におきまする隱退藏物資の摘發事件に關して、先日の委員會においての證人間島三好君の證言に關連しまして、森淳君及び井上直明君、これは安本の事務官で手紙を見せられたという方であります。この證人が出頭されております。それから前山形縣の農業會長佐藤直信君という方が證人として出頭することになつておりましたが、病氣のために醫師の診斷書を附けられまして、その代りとして當時の山形縣農業會の農業課長佐藤薫君といふ方が出席されております。そこで皆さんに御異議がなければ、佐藤直信君に代つて佐藤薫君を證人として承認いたしたいと思いますが、この點お諮りいたします。御異議ありませんか。
#7
○加藤委員長 それでは佐藤薫君を本委員會の證人として喚問することにいたします。
 本日は各證人の證言を求めるのでありまするが、その前に先囘の委員會で決定しました神奈川縣寒川元海軍工厰における隱退藏物資摘發状況の調査のために派遣されました中野、石田兩君の状況視察に關する報告がございます。よつてまずさしあたつて證人の證言を求めまする前に、中野委員から視察状況を報告していただくことにいたします。
#8
○中野(四)委員 去る十六日に本委員會から御指名を受けまして神奈川縣寒川の元海軍工厰摘發物件の實地の視察にまいりました。ちようど今日で一週間になりますが、その間あらゆる困難を排しまして辛うじて昨晩の午前一時に、まつたく食事もせずに摘發に行つて歸つてまいりました視察の状況を報告をいたしたいと思います。總括して報告いたしまする點は、物は必ず出るということをまず申上げたいのであります。出させようが惡いから出なかつたのである。たとえば栃木縣におきましても、ないないといつたものが今日のごとく相當量出ました。神奈川縣のこの海軍工厰におきましても、かつては安本の事務官が六月五日、七月十二日再三再四にわたつて摘發に參つたのでありますが、實際上は隱匿物資なしという報告をしております。しかしながら國會が現地の視察に參るということが前提となりまして、全力をあげてこの海軍工厰の摘發にあたりました結果におきましては、相當量の隱匿物資、退藏物資ないしは遊休物資と目されるものが續々と出ておるのであります。詳細は後ほど御報告を申し上げるといたしまして、まず第一に現在出ておりまするものでも帆布が二十七點ないしは過剩物資といたしましては、化學藥品、工業藥品というようなものが相當山をなしておるのであります。この點につきましては私はまずなぜ今日までこのような隱匿物資が何囘も何囘も搜索をしたにもかかわらず出なかつたかという原因を二、三申し上げてみたいと思いますが、それは大體賠償物資というものが非常に摘發困難な過程に陷らしめる原因として存しておるのであります。それから今囘の場合におきましても、二十五萬坪に垂々とする厖大な土地柄におきましてわずか摘発委員二名か三名という少人數で、きわめて小規模なものが大きな範圍の中に入つていつて、摘発をしてもなかなか出てこないということであります。いま一つは地元の警察というものはこれは世耕君の言われるように、まつたく妨害こそしませんでしたけれども、積極的に協力するということは到底考えられないのであります。いま一つは安本の摘發隊に非常に機動性がないということであります。この五つの問題がかなり大きくこの摘發に支障を來しておるのであります。もしさいわいに將來このような點についての隘路が打開されるような面が出てまいりますならば、少くとも近き將來におきましては退藏物資が續々と出てくると思うのであります。現に私らが十六日の土曜日の午後一時本院を出まして、神奈川の現場に石田君とともに參りましたのでありますが、これはやはり賠償物件であるという條件からパスポートの必要を認めまして、このパスポートの手續上の問題から當日は完全にいわゆる摘発が行われず、翌日は日曜日でありましたので、翌々日の火曜日を目標といたしまして、月曜中に完全にパスポートを受けておくようにと安本の係員に委嘱いたしましたにもかかわらず、そのような動向をとつておらぬという大きな缺陷が生じ、ひいては、かいしよで拔打ちに當委員會が出ていつたにもかかわらず、向うにいつてみれば警察の方はもう十二分に存知しておつて、さあお出でなさいましといわんばかりに待つているというぐあいで完全な摘發ができ得ない。それから私はこの摘發にあたつて特に一つ注意をしなければならぬ點は、どうも一般情報提供者の情報というものは十中の八、九割までがどうもあやしい情報が多い。つまり的確を缺く情報が多いのであります、すなわち今度の海軍工廠で昨年はただいま申し上げましたように非常に長い期間を費して調べ上げましても、會社側の帳簿を照らし合わせますとなかなかうまく帳簿ができておるのでありますが、その實際のものはあくまでも軍終戰當時において軍が疎開させておいたところのものをば、一括配給をし、それの配給を受けているというような段階においてたくさん物が退藏されておるのであります。これらを摘發する最もよい方法はいわゆる民間の適正なる團體の協力を求めるほかにないのでありますが、よい例といたしまして、今度の海軍工廠の中における勞働組合の一部の方々に非常な協力をしていただきまして、摘發に對する一々の證言をして、帳簿を指摘して、これはきのう運んだものである。これは何月の何日に勞働組合現在の工員が運んだものであるが、どこへ匿したかというように、實地にあたつて指摘をしてくれました結果、厖大なる數が現在安定本部において續續出つつあるのであります。私はこの詳細なる數字は後刻安定本部の調査と相まちまして、當委員會に提出いたすといたしまして、少くとも今日まで安定本部が摘發にあたりましてもその實績のあがらなかつたゆえんのものは、あくまでも安定本部の係官諸君の怠慢と言わざるを得ないと私は思うのであります。現にその證據には當委員が視察に赴くということによつてあらゆる力を傾けた結果におきましては、遂にこのような、安定本部において三囘もないと斷定したものが續々と出てくるという實證によつて私は明らかであると思うのであります。この點については國鹽監査局長から將來の安定本部の監査局のあり方というものを、はつきりと責任をもつてこの機會に説明を願いたいと思うのであります。私は詳細の報告は後刻書類をもつていたすといたしまして、端的に總合的な私の考え方を御報告いたしまして終りたいと思います。
#9
○國鹽政府委員 ただいま中野委員から先般國會の方で安本とともに隱匿物資の御調査にあたられました結果についての御報告を承つたのでありますが、お話の中に從來の安本の摘發方法に關する種々の有益なる御批判をいただいたのであります。
 第一の點は、賠償關係という點をあげられたのでありますが、たまたまおいでになりました工場が占領軍の管理下にある工場であるために、それを調査するのにパスポートがいるということが一つの支障になつたのでありますが、この點は軍政部に對する了解工作が、時間の關係で徹底しなかつた點におきまして、委員の方々に御迷惑をかけたのでありますが、まことに遺憾であつたと存じます。しかしながら賠償工場というようなものは摘發の場合におきまして大部分を占めるものではないので、必ずしもこれが摘發の重大なる支障になつておるとは考えなれないと存じますが、今後さようなものを調査するにあたりましては、事前に十分軍政部との了解をとりつけるようにいたしたいと存じます。
 それから第二の點、すなわち陣容が非常に貧弱である。調査隊の人數が非常に少いという點をお指摘になつたのであります。これはお説の通りでありまして、私ども自身現在のようなきわめて少數の陣容をもつてして、はたして御期待に副い得るだけの働きができるかどうかということは疑問に思つておるのであります。ただいま政府におかれましても、この點をお考えくださいまして、さらに強力なる機構をこしらえるべく準備中であります。とりあえず私どもといたしましても、安本自體の陣容を強化して、さらに人數を殖やすとともに、關係方面の協力、民間の協力を得ることにつきまして、現在より一段と進んだ案をもつておるのであります。これも近く實現できることになると思うのであります。
 第三の、地元の警察があまり信頼できないという點についての御批判であります。この點につきましては、警察は從來からの犯罪捜査を主として擔當しておる。すなわち隱匿物資の摘發ということは警察本來の仕事ではないのであります。犯罪の容疑があつて初めて警察は活動を起す。そこで單に物があるというだけの場合におきまして、はたしてそれが違法物資であるかどうかわからない場合におきまして、證據がなければ警察として、特に新憲法のもとにおきまして行動を起しにくいのであります。さような點が警察の活動に多少もの足りないものを感じさせる原因になつたのではないかと思うのであります。そういう場合におきましては、權限ある係官、すなわち隱匿物資について申しますならば、商工省の當該係官あるいは縣の商工課の當該係官、これがただいまのところ權限をもつておるのであります。かような人々にお願いいたしまして、警察がその背後からやるということが今日の情勢下におきましてはやむを得ない事情であります。犯罪があれば、當然警察がまつ先に立つてやるのであります。そういう事情が警察の活動の多少なまぬるさを感じさせた原因であらうかと思います。なお土地におきましては、いろいろ日常の交渉がありますので、そういうことが犯罪の嫌疑がありとする場合におきましても、行動に支障を來す場合がないでもなかつたかと思われるのであります。これは内務省の關係でありますが、警保局におきましても、さようなことは徹底的に取締るように注意いたしておるはずであります。
 それから安本の摘發隊に機動性がないという點であります。現在のところ安本の本部だけが摘發の仕事にあたつておるのでありまして、地方安定局の機構がいまだ整備されておりませんので、遠くの方まで行つて活溌に活動するということにはなはだ遺憾の點があり、この點私どもも認めておるのであります。現在整備中であります地方安定局の活動も、本月末あるいは來月早早から相當活溌に始まつてくるのではなかろうか、こういう點におきましてお期待に副うだけの十分な活動をするかどうかということは非常に疑問でありますが、現在よりも數段活溌の活動を開始することになると思つております。
 それから昭和ゴムの工場においでになつた際に、すでに警察が知つておつた、通知をしておつたのではないかという意味の御報告も承つたのでありますが、これは私の聽いております範圍内におきましては、神奈川縣の縣廳でパスポートが得られない問題について知事と折衝しておられるときに警察部のものが來て、その事情を知つて、それでは連絡しようというので、それから警察部から地元の警察署へ通報した。從つて委員の方がおいでになつたときにはすでに警察部ではよく知つておつた。こういうふうに私は聽いております。なおその點御調査願えれば結構だと存じます。
 要するに、今日までの安本の摘發活動というものはきわめて不十分であつて、さらに大規模に、さらに積極的にやるならば、栃木縣の例のごとく相當物は出てくるということに對しましては、私も同感の意を表するものであります。從いまして今後一層われわれの機構を整備し、活動に全力を注ぎたいと存じます。
#10
○石田(一)委員 私は中野委員とともに昭和ゴムに行つた委員の一人として、中野委員の報告に一言附け加えたいことがございます。これはまことに抽象的な問題のようでございますが、昨日の午前十時半、十一時ごろから始めました摘發隊の摘發方法は、まず地圖をもつて綿密に隅から隅までやるという方法でありまして、相當數ある倉庫を一つ一つ摘發して調査して歩くのでありますが、會社側の案内に從つて出發いたしますので、午前中あるいは午後の一番明るくて倉庫の中のよく見える一番大事な時間の間、ほとんど物の入つていない空家同然の倉庫ばかり一生懸命調べることになりまして、いよいよ五時、六時となつて日が暮れかかつて、倉庫の中の物がよく見えないときになつて、はじめて一番大切な所へ皆が案内されて調べる、そのうちに日が暮れる、腹はへつてくるというふうなことで、どうもあの方法は私はちよつと合點しかねる方法だと思います。あんな場合には會社の案内に從わないで、情報によつて得た自分たちの信ずる倉庫からまず徹底的にやつて、それから周圍へ廣がつていくという方法をとつたならば、まだまだ效果があると思いました。一例をあげれば、まず石のりつぱな倉庫に案内されました。中に入つて見ますと、天井はジユラルミン張り、下にはリノリユームを敷いてあり、これは實に應接間のようなりつぱな倉庫でございますが、中にしまつてあるものはわら屑が山になつておるのと、一方の隅には彈藥の空箱が十ばかりある。それを見ておいて次にそれと同じような倉庫を調べるのですが、今度の倉庫を調べるときには暗くなつてしまつてゐるので、うつかりして、おるとさつきのもそうだから今度もそううだろうと開けて見ると大變なことで中には物が一ぱいはいつておる、暗いので勘定がしにくく、懷中電氣が要るという状態である。今度は安本の摘發隊においても、ちよつと意地が惡いようですが、會社が案内するままに捜査しないで、獨自な立場に立つて、必要なところから徹底的にやれば相當效果があがる、こういうことをつくづく感じたのであります。以上ちよつと附加えます。
#11
○辻委員 國鹽監査局長は先般の衆議院の治安委員會におきまして、世耕指令百五十通の中で摘發されたものはわずかに二件であつて、あとは特殊物件を間違えたものである。こういう答辯をして斷定されておりますが、最近發表されたところによりますと、世耕事件が大分やかましくなりました七月の集計でありまするが、非常に成績があがりまして、二月から六月までは三千萬圓程度であつたのが、七月だけで二千五百萬圓にのぼつたというように公表されております。しかも情報の四割五分程度の物資は現存しているものとみているというように、在庫品課では發表するに至つたのでありますが、最近まいる情報が必ずしも世耕情報よりも確かであるとは斷定できないと思います。世耕氏も相當あの情報については吟味いたしたと言つておりますが、最近はいつてきます情報は、その四割五分まで摘發され得る、こういうふうに變つてまいりましたその原因は、一體どこにあると御解釋になつておりますか、この點をお伺いしたい。
#12
○國鹽政府委員 先般の委員會で世耕氏のいわゆる摘發指令書の摘發の結果が必ずしも大きくなかつたということを申し上げましたのは、その當時の調査の資料に從つて申し上げたのであります。あれは安本がやつたかどうか疑問でありますが、いわゆる官僚的摘發隊がやつたのではない。世耕氏の直接の御指揮のもとに行われた摘發の成績をさようであつたというふうに私どもは聞いておるのであります。今囘の私どもの發表いたしましたのは、私どもの方へもつてまいります情報を係官が十分に聞きまして、調査、吟味して大體確實だと思われるものを取上げてやつたのであります。しかして國會の御審議あるいは世間の空氣を反映いたしまして、最近その情報をもつてくる者が非常に殖えたのであります。從つてその結果成績があがつてきている、かように考えるのであります。推定等の情報が相當確實であると係官が認定しているのではないか、また判斷を下しているのではないかと思います。その點は私十分聞いておりません。大體さような事情にあります。
#13
○辻委員 私の見解によりますれば、情報の的確性が増したということよりも、むしろ官憲の非協力的態度、むしろ一歩進んで妨害的態度というものがなくなりまして、積極性を増したというところに原因があるように思います。從いましてやればそのように出る。今までにおいては、どうやつてみたところが結局物は出ないというような主觀をおもちになつておつたようでありますが、現在おやりになれば四割五分まではその摘發をし得る可能性があるということすらわかつてまいつたのでありますから、いま一歩進んで、ただいま中野、石田委員から言れましたように、摘發の不都合の起りやすい點を除去されまして、積極的に一つお進みいただきたいということを特に希望いたしておきます。
#14
○明禮委員 ただいま摘發の場合に安定本部の方でやられたことが十分でないというような中野委員の話に對して、犯罪捜査を主としているのだから、犯罪捜査がある場合はこれはすぐ明確にするのだけれども、犯罪のない場合には隱匿物資がないのだというような答えに承つたのであります。一體安定本部は犯罪捜査をやつているのでありましようか。それから假に警察の防犯課がやるといたしましても、隱退藏物資ということを目標といたしている以上は、隱退藏物資ありや否やというときに、なしと答えるということは、犯罪だけの問題ではなくして、そういつた關係のあるいは犯罪になるかならぬかはいずれにしても、そういう物資がないということを明瞭に答えたものだと考えるのでありますが、これはやはり今までの安定本部なり、警察なりの非協力ということを十分に物語るものだと思いますが、私どもは安定本部の人たちが何囘も行つてお調べになつてもその隱退藏物資はないと三囘も答えられたということは、犯罪性がないからないと答えたのだと言われることは、國民に對してまことに申譯ない言葉だと思うのでありますが、一體その點いかがなものでありましようか、もう一遍伺います。
#15
○國鹽政府委員 ただいまの御質問のうちに安定本部が犯罪捜査をやるのか、やらないのか、安定本部が犯罪捜査をやるという見地からやるために、隱匿物資が出てこないというのはおかしいと、こういう點を第一に御質問になつたと思うのであります。先ほど私が申し上げましたのは、地元の警察の活動に關する中野委員の御報告に對しまして、警察の活動が十分でないという一つの原因は、警察は犯罪捜査をやるという見地から活動しておるからであると申し上げたのでありまして、安定本部はもとより摘發を第一の目的として活躍しておるのであります。しかしながら現在までの活動におきましては、法律的に臨檢檢査權が安定本部の係官になかつた。今囘近く議會に提案いたしまして、臨檢檢査權をもらうことに相なるような方針をきめていただいたのでありますが、現在まで安定本部は直接犯罪捜査の見地からでなくして、摘發をやるという建前でやつてまいりました。その點は御了承願いたいと思います。それで成績があがらなかつたのは人數が足りないので活動が活溌でなかつた。しかし人數もだんだん近ごろ擴充されてきたので、成績もあがつてきた。しかしながらまだ十分ではない、かような意味を先ほど申し上げたのであります。
#16
○明禮委員 地元警察がそういうからということでありますが、その摘發といいますか、隱退藏物資の調査には安定本部の部員が行かれておるはずである。しかしその人たちた立會つて事に當りながら、警察の者がこう言つたからないと報告しておいて、しかも今日これが出るというのはだれの責任でありますか、できたことはしかたがありませんが、私ども國民として納得のいかないところはそこにあると思うのであります。
#17
○中野(四)委員 報告でしたから特に國鹽監査局長の意見として聽いておきたいと思つただけでありますが、しかしながらあなたの御意見と私の方の期待したものとは大分食違つております。重ねて私から申し上げたいと思う。賠償物件の對象なるがゆえにはいれないということは、非常にものの足が早い機會に物を摘發するという面においてはよほど考慮しなければならぬと思う。平素このような場合においては即刻賠償物件の對象になつておる工場へでもはいり得るような用意を常にしておかなければいかぬということであります。たとえば先日も私らがまいりますのに、パスポートがなければはいれないことはわかつておるにもかかわらず、パスポートなしにここから出かけたということがまず第一點、翌日月曜日でありましたけれども、早く行かなければものが隱れてしまうというおそれが多分にありましたから、安定本部の御協力を願つて、特に一日パスポートをとる期間をまつたのであります。ところがそれすらとつてこない、この責任はあくまでも安定本部にあると言いたいのです。事實上午前八時なり九時なりに第八軍軍政部に行つておつたならば何ら支障がなかつたにもかかわらず、午後三時半、四時半というような軍政部のテムスキーという責任者がいないときに行つてパスポートをくれというようなことは、議會から派遣されておるところの委員の意義ある行動に對してすら輕視しておるという結果にほかならぬのであります。だから賠償物件對象の工場に對しては常にはいり得るような用意を安定本部において取はからわれていいということと、それからあのような賠償物件の對象になるものは工廠とかあるいは軍の關係のものが多くて、非常に範圍が廣いのですから、その廣い所へ二人や三人の者が行つて帳簿を見たり、ただいま石田君が言つたようにあの百棟もあるような棟數を調査してのぞいて見たところで、とうていほんとうの摘發はできない。そういう場合にはいわゆる強力なる民間團體を大いに活用して、これらに協力せしめてその徹底を期するという方法もございましよう。
 それから警察の問題でありますが、これはあなたの方の感じ方が違う。大體地方警察は地元のああいう大きな工場には常に恩惠をこうむつている。具體的に言えといわれると今證據はありませんけれども、とにかく警察運營の上において、いろいろ恩惠をこうむりつつあるのでありますから、自分の地元の工場を摘發するに當つてはなかなか自分で迅速に片づけようとはしない。いわんや徹底的にやれなんていつてもできるわけはない。妨害はしなかつたにしても、實際上の協力はなかなか求めがたい。私は特に世耕君が警察の妨害の點について再三意見を述べて注意されておりますから、この點についても石田君とともに最も愼重に警察の態度動向について注意をしておつたのでありますが、國會から派遣された委員でありながら、それでもなかなか積極的には支援してくれなかつたのであります。妨害はしません、協力はしたが、積極的にやるという面が見えなかつたのであります。ですから民間情報に基いてやる場合には、たとえばこうです。警察へある情報提供者が出てまいりまして、たれそれがこう言つたというと、おいそんな間違つたことがあるなら、今夜もう一遍出てこい、おれが聽いてやるからという調子である。刑事あたりからこう言われると情報提供者は一遍に震えあがつてしもう。どんな情報があつてもそんな言葉を使われたのではみな震えあがつてしまつて、もう情報なんかもつてこなくなる傾向がある。これらは妨害ではありませんけれども、妨害というふうに轉用されれば十分に轉用される言葉であります。こういうことについても警察の積極的な協力がなければやはりだめであります。もし警察の協力がなくてもいいと言うならば、今度あなたの方に設けられる監察制度、査察割度によつて疑いのあるものはどんどん臨檢して摘發のできる權限を安定本部がもつことが第一に必要であると私は思うのであります。
 それから機動性がないという問題で、これは大事な問題です。一體安定本部は今度の摘發についてもさうであるが、自動車を用意なさいと言つても、自動車の用意をしなかつた。そこで石田君や議會の車を使つたが、あなたの方では油の配給がないから困るということだつた。ところがあなたの方にはやはり局長用の車が遊んでいた。もう一つ一例をあげるとある警察のことですが、どろぼうを捕えるために緊急手配をしなければならぬので、刑事が大騒ぎをして自動車を探したがどうにもないので署長に相談した。そのとき私もちようどそこにいたので、署長さん君の所にあんな立派な自動車があるからあれを利用したらと言つたら、刑事はあれは署長用の自動車ですよという。そこに實際に車が遊んでおつても使わない。そんなばかなこともある。私はあえて監査局長のことを言うのではないが、局長用の自動車が遊んでおつてもこういう大事な、一刻を爭う場合、國會においても實際にぱつと行つて、その場で現物を押えようという意氣込みの時に、今度のことでも實際には車がないということですつかり遲れて、一週間かかつても實際上の摘發ができなかつた。これを總括して私は安本側においても摘發に對する熱情が足らないという結論を下しております。だからこの隘路を打開すると同時に、あなた方が現在退藏されている物資の摘發に努めて、これを正規のルートに乘せて日本再建のために充足するという大なる熱情がわいてこなければ、なかなかこの問題は完結しないということを局長に申し上げて、この點をあなたに十二分に御了解を願いたい。なおあなたから充足的に御答辯があるならば承りたいと思います。
#18
○國鹽政府委員 ただいま中野委員から非常に有益な御注意を承りまして感謝に堪えないのであります。御注意の點はよく了解いたしました。今後賠償工場等に對しましても、司令部あるいは軍政部の方と事前に了解を得まして、でき得べくんば一々了解を求めないでもいいように、手を打つようにひとつ努力してみたいと思います。民間の協力の點につきましても私ども同感でありまして、ただいまそういう方向に案を練つております。近く發表ができることになりますので、しばらく御猶豫を願いたいと思います。
 それから地元の警察の點でありますが、中野委員の御意見のようなこともあるかも存じませんが、安本が行きます場合に、警察は從來側面から援助する。自分が調査するという建前はとつておらないので、その點があるいは非常に物足らない感じを與えた原因かと存じます。もちろん警察みずからが犯罪の嫌疑ありとして摘發せられる場合におきましては、必ずしもこの間のような状況ばかりであるとは私は思わない。しかしなお警察の從來の活動につきましても、御非難の點十分われわれとしても反省すべき點がありますし、内務省の方とも連絡し、御意見を傳えまして考えていただくようにしたいと思います。自動車の件につきましては非常に御迷惑をかけました點を恐縮に存じます。局長用の自動車をとつておつたために御迷惑をかけたのでは決してないのでありまして、實際ガソリンが非常に不自由でありますので、係が認識を缺きまして御迷惑をかけたので、今後どうしても自動車を使わなければならぬような、緊急を要する場合におきましては、監査局のみならず、安本全體の自動車あるいはほかの所からももつて來て、とにかく機動的活動には十分に支障ないようにいたしたいと思つております。
#19
○辻委員 さらに局長さんに一言御注意を申し上げておきたいと思います。所轄の警察署はいろいろ微妙な因縁關係がありまして、積極的の協力をなし得ないような場合のあることはわかりますが、その所轄署ばかりでなくして、あなたのお膝もとに、もちろん一部ではありましようけれども、そうした隱退藏物資とおぼしき物をもつておる方面の會社なり業者なりと連絡のある向きがあるやに存ずるのでありまして、現にこの寒川の昭和ゴムにつきましても、情報提供者が最初に參りましたときしぶしぶ行きましたが、あれもやはり相當向うと連絡があつたようでありまして、さらに第二囘目のときは、「そんなにしつこく言うてくるならば行くけれどももし今度なかつたときには逆さにするぞ」というようなはげしい言葉まで言われたそうでありまして、行きますると向うにはもうゴム統制會の重役が來ておりまして、お迎えに行く手はずになつておりましたがというようなわけで、そこにいかに微妙きわまる關係がすでにでき上つておるかということは、情報提供者でなくしても、われわれただ小耳に挾んだだけでもおよそ想像がつくことと思います。多くそんな人はあるまいと思いますけれども、一部そうした獅子心中の蟲もあるようでありますから、十分御注意をしていただきたいと存じます。
#20
○木村(公)委員 私は井上事務官に二、三の點についてお伺いをいたしたいのであります。あなたは隱退藏物資摘發を必要と思われるかどうか、私どもは隱退せる物資を速やかに摘發して、これを一般大衆に公平に分配することこそ今日の窮乏時代に最も大事なことであるという信念を各委員がもつておるのであります。特にあなたにこのことを冒頭に出すには理由があるのでありますが、理由は後ほどといたしまして、まずあなたは隱退藏物資を摘發しなければならないという熱意をもつていらつしやるかどうかということをお聽きしたいのであります。
#21
○加藤委員長 證人の方に一言申し上げますが、いろいろ委員の方からお尋ねするであろうと思いますので、その場合は一々委員長の方の發言の許可を得てからお述べくださるように、それから發言はできるだけ尋ねられました範圍においてお答えくださるようにあらかじめ御注意申しておきます。
#22
○武藤(運)委員 議事進行について私はこの際一つの動議を提出いたしたいと思います。われわれは數囘にわたつて調査を繰返しておるのでありますが、先ほど來中野君や石田君の言葉にみましても、物は相當にあるし、やりようによつては出てくるということは、寒川における調査によりましてもわかるのであります。またこの委員會ができましてから、委員長はじめ各委員の手もとへも數十通の投書がまいつております。私どもはなおこの委員會ができて、新聞ラジオ等によつて傳えられた關係からか、物資が移動を始めておるということも聞いておるのであります。こういうような實情を考えてみますと、この遊休物資、隱匿物資に對しましては急いでこれを捕捉する方法を考えなければならないと思うのであります。私は今こそ殘された最後の機會であろうと考えるのでありまして、この委員會におきましてもこの際一應の中間的な結論といたしまして、次のような決議をいたしたいと思うのであります。讀み上げます。
   決  議
 政府はポツダム宣言に基く緊急政令をもつて遊休物資の活用につき速やかに左記要項に從い、最も適切なる措置をとられたし。
 一、對象物資
 相當多量に退藏されているものは、正式ルートを經ないいわゆる隱匿物資(やみ物資、非合法物資、無籍物資)だけでなく、正式なルートを經て記帳されている合法物資でも、それが重要な生産資材であり、または現下の國民生活に必要なる消費物資である場合には、すべてこれを遊休物資として捕促活用の對象とする。
 二、方法
 第一、關係法規を至急整備して、對象物資の範圍を擴大すると同時に、調査、摘發等を簡易迅進かつ強力になし得るようにすること。
 第二、調査、摘發等を官僚(檢事及び警察官を含む)のみに任せないこと。
 第三、民間より選任した遊休物資活用委員會(假稱)を調査及び摘發の主體とすること。
 第四、摘發物資の處理としては、まずこれを産業復興公團に買上げまたは引取らせるが、その配分については遊休物資活用委員會が主務官廳を指揮してこれをなすこと。
 第五、一定期間内に供出したものに對しては隱匿物資等緊急措置令などによる罰則を適用しない、と同時に期間後に摘發せられたものについてはこれを沒收すること。
大體こういうような決議と申しますか、あるいは申合せと申しますか、これを委員長が近い機會に中間報告を國會にせられる場合に、織込んでいただきたいと存ずる次第でございます。
#23
○加藤委員長 ただいま武藤君からお聞きのような動議が提出されました。御承知の通り本委員會は院議をもつて隱退藏物資に關する調査を委託されたのでありまして、本委員會の決定はすべて議會に報告することをもつて使命とするのであります。ただいまの武藤君の動議は、今日までの委員會の調査の進行に鑑み、一應委員會としての意思を定めておいて、近く中間報告がなされる場合に、議會にこのことを併せ織込んで報告してくれという動議のように承りました。從つてこの動議は外部に向つて委員會の意思として發表するものではなく、議會に發表する場合に織込む内容の一つという意味でこれを受取つていいのではないかと考えますが、そういう意味においてただいまの武藤君の動議に御異議がなければ、今申しましたような意味においてこれを決定いたしたいと思います。御異議ございませんか。
#24
○加藤委員長 御異議がなければそのように決定いたします。
 それでは先ほどの木村君の質疑に對しまして御證言を願いたいと思います。井上君。
#25
○井上證人 隱匿物資の摘發が必要であるかどうか、どう思うかという御質問に對しまして、私は隱匿物資の摘發は絶對に必要であるとお答えいたします。
#26
○木村(公)委員 井上證人のお話によりますれば隱退藏物資の摘發はあくまで必要であるという信念をおもちになるということは了解いたしますが、それならばさらにお尋ねいたしたいのですが、先般の本委員會の證人に間島三好という方が來られたのでありますが、間島證人の證言によりますれば、間島氏が世耕弘一代議士にあてられた手紙がある。この手紙の文句をあなたに話されましたところが、證人の言葉によりますれば、井上事務官は、この手紙はきわめて重要なる參考書類だからぜひ提出してくれという話でありまするがこの手紙と隱退藏物資の摘發とはどういう關係があるか。すなわちこの手紙が隱退藏物資摘發のためにはどのような重大な役割をなすかということをひとつお尋ねしておきたいのであります。
#27
○井上證人 ただいまの御質問に對してお答えいたします。當時の私が手紙を受取りました事情を簡單に御説明申し上げます。
 世耕副委員長がおやめになりまして、しばらくして初めて山形縣農業會の方が二人お見えになりました。そのうちの一人は今申されました間島氏であつたと思います。そして世耕副委員長に今日まで供米報奨用としての物資を拂下げていただくように長いこと運動してきた。しかし結果において物を得ることができなかつた。そこで世耕さんがやめられたあとは、ひとつ安定本部で責任をもつてこれを出してくれ。ついては安定本部長官あてに陳情書をもつてきた。その陳情書の説明として、私が世耕さんに差上げたこの手紙の寫しで、過去の世耕さんとのいきさつがよく書いてあるからというので、参考資料として置いていかれたのであります。私としてはこの書類をことさらに隱匿物資の摘發と重大な關係があるとは思つておりません。またあのところに書いてある文言の一々に對してそれほどの注意も私はもつておりませんでした。ただ山形縣農業會がそこまで一生縣命に世耕さんに運動された、そのいきさつを知る參考にすぎなかつたのであります。そこで向うが申されますには、ともかく世耕さんはおやめになつた。結果においては物は得られなかつたが、これはやはり政府の責任ではないか、供米報奬ということを、世耕内務政務次官、引續いて副委員長をやられた方から言われた農民としては、これは政府との約束だ。これはぜひ履行してもらいたい。私も御もつともだ。これは世耕さん個人の御意見であるというよりも、あの地位の世耕さんがお約束になつたのだから、これは政府の責任としても、何とかそのために供米があがつたのだ、農民に對しては何とかしなければならぬということを決心いたしまして、私はまた特にあの手紙を見て、長い苦勞をしたという同情だけは非常に深くもつたのであります。そうして早速安定本部の供米報奬の係官のところにも行つて頼み、また實際に各縣の供米報奬のことをやるのは農林省の仕事でありますから、農林省の係官の方には、いろいろと筋は間違つておつたかも知れないが、とにかく非常に努力をしてこられたのだ、何とかしてくれという活動をやつたのであります。それ以外に私としては、あの手紙に對して何らの意味を考えておりません。まして隱退藏物資摘發とあの手紙とは何らの關連もないと思つております。
#28
○木村(公)委員 井上事務官の證言によりますれば、そういたしますと、間島證人が、この手紙はきわめて重要なる參考書類だからぜひ提出してくれとあなたがおつしやつた、と言つたことに對して、あなたは否定されるものと考えてよろしいかどうかということが一つ。さらにやはり當日の間島證言でありますが、萬一この手紙を見せてくれれば必ず報奬物資はわしの方で世話してやろうとおつしやつたことがありますか、それに對してお答え願いたい。
#29
○井上證人 ただいまの第一の、非常に重大であると言つたという點は、當時私としては非常に目のまわるような仕事をしておりまして、言葉においてそういう言葉を使つたかどうか、記憶はありません。少くとも私の感じでは、それほど強い意味でもらつたとは記憶いたしておりません。
 第二の、手紙を出してくれたらば報奬物資を出すなどということは、斷じて申し上げません。それは私自身が、報奬物資を出すところは今の安定本部の係官の方であり、また農林省であつて、絶對に私の權限にも屬しないことでありますから、そのようなことは申した記憶は絶對にございません。
#30
○木村(公)委員 次にお尋ねいたしますが、八月九日に自由新聞というものに、井下白書という題のもとに、あなたが話をなさつておりますが、これを要約いたしますと、世耕情報というものはことごとく虚偽であるということに盡きるのでありますが、この井上白書というものに對してあなたは責任を負われますかどうか。
#31
○井上證人 これは實は毎日新聞の座談會に出まして、そのあと新聞社の方から話してくれというので話をいたしたのであります。私としてはあの白書を引つ込めようと思つておつたのでありますが、それが出てしまつたのであります。しかしその記事に對しては責任をもちます。
#32
○木村(公)委員 お尋ねいたしますが、非上證人は世耕氏がその摘發委員會の副委員のときにおきましては、どういう役割をなさつていらつしやいましたか。
#33
○井上證人 當時隱退藏物資等處理委員會ができまして、その事務局は閣議によつて經濟安定本部の監査部において行うということにきまつたのであります。當時監査部がまだできませんので、第二部監査班を組織いたしました。私の委員會における地位は幹事と發令されております。そうして安定本部がその事務局を引受けてやる。安定本部々員であると同時に、委員會の幹事であります。
#34
○木村(公)委員 それではお尋ねいたしますが、あなたはしばしば同僚竝びに部下に對して世耕の摘發に協力せずということを言つておられるようでありますが、その點について伺つておきたいと思います。
 同時にいわゆる手紙でありますが、この手紙を先般ここに證人として來られた内務省の摘發係の警察官にお渡しになつた心境、經緯。それから同僚竝びにあなたの部下に對して斷じて世耕の摘發に對しては協力せずとおつしやつたことがあるかないかということをお尋ねいたします。
#35
○井上證人 第一の、部下に對して世耕さんの摘發に協力するなということを申したことは斷じてございません。
 第二の、手紙を上田事務官に渡したいきさつを申し上げます。當時上田事務官はこの處理委員會をつくる上で實質的に安定本部に兼務しておつたのであります。私たちは初めての仕事でどうやつてよいのかわからなかつた。それに對してそのときまでやつていたこの方面での専門家である上田事務官に兼務してもらい、實際問題として鑑査班の部屋に來てもらつて今後やる隱匿物資の處理要領の起案にあたつてもらつたわけであります。そして一日の大半は同じ部屋で働いておつたのであります。さつきも申し上げたように目のまわるような忙しさであつたために明確な記憶はありませんが大體において間違いないひとを申し上げます。私の思い出しますのは、當時上田事務官が隱匿物資の處理要領を起案したり、その他いろいろの事務方法を定めるとともに、經濟防犯課の事務官として、當時隱匿物資をめぐり、特に農業會關係をめぐつていろいろな經濟事犯が全國的に報告されておつたという關係から、隱匿物資をめぐる經濟事犯というものについて私のところでと申すよりも、鑑査班にまいりますいろいろな資料等に目を通しておられました。私としては別に深い意味と關心をもちませんし、上田事務官としては、經濟防犯的な立場からいろいろな書類を見ておりました。私もあえてそれを止めておりませんでした。そこに來たいろいろな書類を本人が寫して來ときに、あの手紙も同時に寫して行つたと私は記憶しております。
#36
○木村(公)委員 あなたは書類々々とおつしやるが、これは親書だということを御存じだと思う。ここにも間島三好からと書いてございますが、三好から世耕弘一先生侍史と書いてある。これから見ると明らかに親書でなければならぬと思いますが、その親書を輕輕に寫されるということについて責任をお感じにならないものか。
 さらにお尋ねいたしたいのは、あなたは摘發の係りであり、殊に内務省のなにがしという人とは机をならべておられたようであります。係りであればこの手紙を讀んで一番先にぴんと來なければならないのは京都、栃木縣においてなぜ物が出なかつたかということを感じなければならないのであつて、辯護士が百萬圓とつたとか、世耕氏がうそをついたということはその次の問題で、摘發が先でなければならぬ。ところがあなた方は摘發に對してこの手紙を讀んで、後に京都あるいは栃木縣において摘發をなさつたことがあるかどうか、おそらくなかつたと言わなければならぬ。しかるに今度突然栃木縣から莫大な摘發物資が出て來た。あなたはこの手紙のどこを重視なさつたか知らぬが、この手紙を重視されたようなことを證人がこの場で述べられておるが、京都において、栃木縣においてなぜ物資が出なかつたかということがポイントでなければならぬ、ところが世耕氏の傷つくことを希い、辯護士が百萬圓請求したとか何とかいうことを重視しているような印象を受けますが、あなたのそれに對するお考えを承りたいと思います。
#37
○井上證人 私のところにまいりましたのは鉛筆で便箋に書いたような參考書類でありました。私はその當時その親書といつたものを手紙の寫しだくらいの感じしかもつていませんでした。ただいま申し上げたように私はその手紙の問題から摘發のことを忘れて世耕さんを排撃するとか兩辯護士のことを云云とかいうようなことは、兩辯護士に對してもその當時からの役所のお附合いから言つても私はそのような感情はもつておりません。今委員の方からそういうような印象を受けると一方的におつしやつたわけですが、私としてはそういうことは毛頭考えていないのであります。
 それから次になぜ京都の問題、栃木の摘發に考え及ばなかつたか。そこに深く行くべきであつたと思いますが、當時閣議決定から、調査班をつくる用意、處理要領の作成、産業復興公團の用意、報奬金の用意、それから機動力、摘發員の採用等の、つまり摘發を大々的にやるための準備態勢に迫われ、自分の頭はそれだけで一ぱいで終日終夜そのことにかかり、川邊事務官と一手に引受けておりましたので、正直に申して私の考えがほかのこととか個人のことに及ぶどころではなかつたのであります。
#38
○木村(公)委員 最後に一言お伺いいたしたいのでありますが、この手紙が先日ここで讀まれました結果非常に大きな問題になつていることは御承知だと思います。しかもそのもとを辿つてまいりますと、あなたが内務省の何某事務官にお渡しになつたということが重大なる素因をなしているのであります。しこうしてその内務省の摘發係の證言によりますれば、鉛筆書きだとかペン書きだとかいうものでなく、女の子にタイプに打たせたとはつきり言つていらつしやいますが、これをごらんになつて、單なる反古同樣にあなたが目にも止めないほど輕視されたとはなかなか受取りにくい。殊にその内容に至りましては、最高裁判所の裁判官の名も出る。また天下の注目している世耕弘一の名も出る。百萬圓という大きなことが書かれている。この手紙を多忙ではあつたでしようけれども、ほとんど反古同樣に思つて氣もつかずに渡したということから重大な結果を招來したのでありますから、あなたは大きな責任を感じなければならぬと考えるのでありますが、最後にあなたの心境を伺つて私の質問を打切りたいと思います。
#39
○井上證人 ただいまタイプライターに打たしたとか、女の子の問題がありましたが、これは私の全然知らないところであります。私はただいま申しましたように山形から出ました長官宛の申請書とその申請書の裏に參考資料としてこの手紙がついておつた。おそらく上田君も山形縣の御兩所が見えたときに横にいたのじやないかという氣がいたしますが、はつきり記憶がございません。この申請書はペンでノートの端のようなものに書いてあるものが私のところにあつた。正直に申しまして、それが後日になつて私の非常な大きな責任になつて來たということを私は感じておりますが、どの書類にいたしましても經濟防犯課の上田事務官に對してはほかの一切の書類と同樣にほとんど自分が見ると同樣な氣持で見せておつたのであります。それが今日になつてこのような問題をひき起そうとは思わなかつたのであります。實はこの前、新聞でこの委員會に提出されたということを聞きましてまことに意想外、まことに驚いたのであります。それで私が出しましたものがこのような社會的な影響を及ぼしたということに對しては十分の責任を感じてはおりますが、その當時の心境といたしましては、私は他の書類と同樣に上田事務官に對してはこれを見せておつたが、それがこういうことになつたということに對する自分の輕率を悔いております。
#40
○加藤委員長 次に清澤君。
#41
○清澤委員 この度のあなたのことで世耕さんの指令を中心としまして物資の拂下げを受けるという話が出ましたもとは、こういうあなたの情報を中心にして成立してまいりましたのか、その事情をまずお伺いしたいと思います。同時に間島さんというお方竝びに今日見えております森さんというお方は農業會とはどういう關係の方、結局しまするならば農業會の役員であられるのか、全然農業會とは關係ないが、この拂下物資を中心にしてお知合になつたのかというような關係をまずお伺いして、續いてあと四、五點お伺いしたいと思います。
#42
○佐藤證人 お答えします。このたびの供米報奬用繊維品の拂下を申請しました理由ですが、これは今年の二月の四日ごろ東置賜郡の赤湯町森淳氏が本會に參りまして、當時縣内の供米の成績が非常に惡く、強權發動云々が叫ばれておつたときでありましたので、森さんから現在内務省で隱退藏物資として多量の重要な物資を摘發している。それで農民のもつとも必要なものをこの際拂上げしていただいて、強權發動に代わる一つの方法をとつてはどうかという話があつた。それで大變好都合なお話でありましたので、森淳氏の意見を信じまして二月五日に本會では山形縣知事の農民人口の證明書を添付しまして内務政務次官世耕弘一あてに申請しました。その後二月五日の申請後、その申請書を携えまして内務省に參りました。森さんから數囘にわたりまして農業會も來てもらわなければならないという話もあつたのですが、縣の農業會としては確實にそれが拂下げし得るものなりや否や、確實なる證擔がつかまえ得なかつたとしたならば參るわけにはゆかないというような返事をしておつた。ところが三月十二、三日ごろに森氏が再び來會しまして世耕さんに懇願したところが、世耕さんは本縣の供米の事情をよく了解せられ、こういう食糧の足りないときには非常の手段をとらなければならない。私は山形縣から現在申請が出ておるが、秋田、新潟というふうに非常に供米の成績の順調にいつてない、しかも生産縣であるというところには、政府としてはこれは尋常の手段ではならないというような話合によつて拂下が内諾されたというような話がありましたので、それでは參りましようというわけで、三月の十七日に私が上京しまして上野驛前の三翠館という旅館で間島三好氏と初めて會つた。これは間島さんから照會があつたのでありますが、今まで東京方面の交渉には間島三好氏に頼んである。それで連絡關係竝びに東京の問題も森さんがあたるわけでありますが、そういうふうな關係でありますし、大體兩者を區分して申し上げますと私らの方としては本繊維品の拂下について本會との連絡の關係は大體森淳氏にお願いし、東京方面の交渉には間島三好氏をお願いしてあつたわけであります。
#43
○清澤委員 そうしますと間島さんも森さんも、あなたのところから何かこの交渉に對する委任状はお出しになつたのですか。
#44
○佐藤證人 それは三月十八日に私が上京して四月一日までおりましたが、その間における一切の責任を私に委任するという會長佐藤直信の委任状を私は持つてまいつておつたのであります。それで私が四月一日に歸るときに、その後軍政部關係に申請することがありましたので、森氏竝びに間島氏が農業會より頼まれてあるということを證するものがなければ困るという話合があつたので、私が會長の委任状をそのままにしておいて、なお私より軍政部關係、その他拂下に關する報奬關係はぜひお願いするという兩者に對する委任の文を渡してあつた。
#45
○清澤委員 あなたが上京なさつたときは三月十七日だとすると、四月にお歸りになるまでには世耕指令なるものが出ておるのでありますが、これはあなたは御承知になりませんでしたか。
#46
○佐藤證人 當時の私の日記から申し上げますが。指令書ですか。
#47
○清澤委員 副委員長世耕弘一氏の指令書がでて、「栃木縣内の摘發の隱退藏物資に付き當該物件を確認し、かつ別紙記載の物件を山形縣農業會々長理事佐藤直信へ供米完遂の目的のため別紙の通り報奬物資として引渡しを指令するもの云々」。こういう指令書があるのでありますが、これはごらんになりましたか。同時にこれをどういうふうにお聽き取りになつたのでありますか。
#48
○佐藤證人 三月十八日に世耕さんと會いまして、私が縣内の供米の事情をよく説明したところが、世耕さんの方ではよくわかつた。君らの希望がかなうようにして上げるからなお供米に對して努力せよというお話があつた。それで十九日は世耕さんが議會の方が忙がしかつたので會われません。二十二日に森さんと間島さんと私と三名で參りまして、内務省の關根事務官より、ここに私が持つてきておる指令書を頂戴しました。これは指令書の本物であります。その前に世耕さんが非常に供米問題を心配されて、もしもこれを山形縣にやつた場合、供米が一〇〇%出なかつたとするならば、おれの顔はまるつぶれになる。君らはそれを誓約して歸ることができるか。必らずださせるというわけで、誓約書を書かせるからという話があつたので、ここに持つてまいつておるところの一〇〇%確實にだすという誓約を私がやりました。そうして事實四月二十九日に1〇〇%完全に出しております。
#49
○清澤委員 いやそこをお伺いしておるのでありません。あなたが世耕さんの指令をごらんになつたかならないか、そのごらんになつたとき、もう品物が手の中へはいつたと、こうお考えになつたのか。この指令書を私どもが見まするならば、まだ未決定の指令書でありまするから、その指令書をどういうふうにあなたが心境としてお聽取りになつたか、その點をお聽きしておるのであります。どつちの點でありますか。この指令書を見たとき、あなたがこの品物はあるのだから、すぐ持つて歸つてどんどんと村へ配られる手配ができるのだと、こうお考えになりましたか。それともこの指令書をよく見まするならば、摘發を確認して、これこれの數量のものを決定すること、こうなつておるのでありますから、未決定のものであります。この指令書をごらんになつたとき、もうこれはきまつたと、こうお考えになりましたか。話はまだ中途にかかつているのだ、これから品物はこういう順序で手配すれば手にはいるのだという一つの段階をもつておる指令書とお考えになつたかどうか、この點をお伺いしておるのであります。
#50
○佐藤證人 この指令書をちようだいしましたときに、この退藏物資は栃木縣の檢事局が封印したものだ、ほかには動いておらない。確實にある。その中から被服及び同生地五十萬ヤール、毛布三萬枚をやるのである。それで栃木縣にまいりまして、現物を私たちが見まして、そうして品種を決定してよいということを言われたものと思います。
#51
○清澤委員 それでその品種を決定するまで、あなたのお考えとしましては、大丈夫あるのだ、これは家へもつていけば必ず買えるものであるとお考えになりましたのか、あなたの指令書はどうなつておるのか知りませんが、安本の方から出ました世耕指令として、これはもつとも船岡壽信ほか一名云々となつておりますから、あなたのとは違うのじやないかと思いますが、第一號指令書となつております。
 船岡壽信ほか一名より、栃木縣内の摘發の隱退藏物資につき當該物件を確認し、かつ別紙記載の物件を山形縣農業會長理事佐藤直信へ供米完遂の目的のため別紙の通り報奬物資として引渡しを指令するものとする。(ただし右物品の代償はおつて本部の指令をまつて決裁するものとす)。右指司實行に對しては辯護士塚崎直義、同濱田三平に右處理を委任す。おつて右處理にあたつては、栃木縣宇都宮檢川局係員の立會を求むること。別紙、物資の種類竝びに數量、被服及び同生地五十萬ヤール、毛布三萬枚、ただし現品確認の上品種竝びに數量決定のことと、
こうなつておりますから、これを確認してしまわなければ自分のものと思われないのですか。これをやられない前から十分來るのだと思われたか、思われないかということなんです。あなたが考えられたときのその氣持を承りたい。
#52
○佐藤證人 檢事局が完全に封印したものであると言われましたから、完全にリストにあるところの現物があるものと私は考えました。それで栃木縣にまいれば、自分たちが要望するものが確實に入手できると確信をもつておりました。
#53
○清澤委員 そうすればお伺いしますが、そこで一つ問題になりますのは、この間ここで森さんのところへ宛てて、濱田さんかどなたかの手紙で、この軍服拂下について一着二圓の手數料をくれという手紙が森さんのところへ來ているという御證言が間島さんからありましたので、そういう手紙が森さんに來ておるかどうかということを伺いたい。
 それから農業會の方としましては、確かに品物が來るのだ、そういう場合においてこれを配給するとき、そのあとでいろいろの手紙などによりますると、もう品物は來るものとして農民に供米を促進せられた事實があるのでありますから、その一着の拂下値段を定められまするとき、二圓の手數料というものをみておられたかどうか、その二點をまずお伺いしてみたいと思うのであります。
#54
○佐藤證人 一着二圓云々のことは私が東京に滯在中に伺つたことがあります。しかしながら私らの方としましては、大體繊維のマージンというものは公定で二割しかないわけであります。その二割の範圍内におきますならばどのようにでもするが、その範圍を超えた場合においてはこれは今私が簡單に答えるわけにはいかない。もしそういうふうな問題をわれわれが考えるとすれば、よく縣の方と連絡をとつて、價絡の認可を受けなけばならないというふうに私は答えたと思います。
#55
○森證人 濱田さんの手紙は來ません。そういうことを書いた手紙は來ません。ほかの手紙は來ました。私に二圓くれとか何とかいうことを書いた手紙は來ません。それは何か間島君の思い違いです。濱田さんからの手紙は、もらいたいという意味は私は言わぬけれども、間島からくれるという意味のことをおつしやつたというので、何か間島さんの思い違いだと思います。
#56
○中野(四)委員 森さんにお尋ね申し上げますが、當國會の證人として御出席を願つた方は、證言の上における罰則はありませんけれども、良心的な答辯をするということを前提のもとにお互いが問いまた答えておるのであります。失禮な言い分でありまするが、先日間島證人から陣述されまして以來、翌朝私ははなはだ電話で失禮でありましたけれども、三翠館のあなたのもとにお電話いたしまして、あなた自身も電話口へ出られて、私は第一番に心配であつたこの手紙がはたしてあるかないかという點についてあなたにお問いをいたしました。その席上、百萬圓の金をくれということは書いてないけれども、一着二圓ずつの、いわゆる二圓くらいの何かをくれ、あるいはやるというような、そういうやりとりの話はある、そういう手紙は現在もつておる、こういう御説と私は拜聽いたしました。念のため二三度御念を押したおぼえがあります。はなはだ偕越なことではあつたと思いまするけれども、かかる問違いの起らないことを前提としてお尋ねしたのでありまするが、ただいまの清澤委員のお尋ねがもしあなたのお聽き違いか何か勘違いであるならいざ知らず、私が承りました當時の御答辯による材料があるならば、御提出願えれば大變仕合せだと思うのであります。それがどういう關連をもつているかという點は後日いろいろ御相談申し上げるとしまして、出していただきたいと思うがどうですか。
#57
○加藤委員長 森證人に申し上げます。もしそういう内容が――どういうことが書いてあるかということは別にして、そういうことを想像し得られるような手紙をお持ちになつておつて、お差支えなければ參考資料として提出してもらいたいと思いますが、お持ちではございませんか。
#58
○森證人 持つていますが、この手紙は出した濱田さんに控えがあるので濱田さんに聽けばよくわかりますが、あまり手紙のことが問題があるようですから、私はほんとうの肚は出したくないのです。手紙の控えが濱田さんにございますから、濱田さんをお喚びになつてお聽きになればおわかりになると思います。
#59
○加藤委員長 濱田證人はそういう手紙は絶對に出したことはない、こう言われております。
#60
○森證人 二圓くれとか百萬圓くれとかいう手紙は、絶對に私には來ておりません。
#61
○加藤委員長 それならそれでよろしい。來ていなければ來ていないでいいです。
#62
○中野(四)委員 間島君の證言に基くところのお手紙をお持ちになつていらつしやることは、私みずからの耳をもつて聽いているのですから、その點についての書類はあなたがお出しを願いたいと思う。あなたは出したくない、濱田君が持つているとおらしやつたのですが、濱田君はあなたのところへ手紙を出した覺えはないという、そこであなたがお持ちの手紙は、濱田君があれほど主張するからには關連なしとはしない。また私があなたに伺つた時には、そのようなお話はなかつたと思いますので、これは委員會に御提出を願うことが、最もよい方法と存じます。どうかぜひ御提出をお願いいたします。
#63
○森證人 出せと言われれば出しますが、あなたのお考えもちよつと何か誤解があるのではないですか。私は百萬圓くれとか、二圓くれとかいうことを言つた覺えもございませんし、どつちの話がほんとうやら、どんな猫が出るものやら、化物が出るものやら實際わからない。濱田さんが間島さんに、君がくれといつたからおれが交渉したのだとおつしやれば、それはなるほどあなたのおつしやる通りですが、間島君と濱田君が百萬圓くれというのだからこう私に言えば、それは君の言うのもほんとうだろう。それは百萬圓くらいの金は要るかもしれない。手紙を出せと言えば出します。何でもない話です。私が行つたわけでもなし、一遍も會わないのですから、さつぱりわけがわからない。どちらの話がほんとうであるか。しかし私に意見を言えと言えば、意見なきにしもあらずでございますが、ほんとうのことは知らないのです。それで濱田さんのお手紙、私に百萬圓くれと言つたなどという手紙も來ておりませんし、ただ間島さんからのアイデアだ、こういう話です。
#64
○清澤委員 それは一番あとにお聽きすることにして、その次に私は農業會の會長さんにお伺いしたいことは、今井上さんとの間に問題になつております間島さんの手紙の中に、農業會に向つて塚崎さんと濱田さんの名によつて百萬圓の、何だかわけははつきりわかりませんが、辯護手數料として百萬圓を要求されて、そのうち半額の五十萬圓を前渡しの要求があつた。これはあなた御承知でありますか。同時にそれに對して山形縣の農業會では理事會を開いて、五十萬圓の金を御用意をなさつたということがありましたかどうか。それと同時に私が常識として考えるのでありますが、まだ品物は渡らない。話がこんからがつている際に、この時期ははつきりしておりませんが。百萬圓の要求があつたり、五十萬圓の前渡金の要求があつたとしますならば、これは辯護手數料でなく、必ずこういう名目で百萬圓ないし今五十萬圓の金がはいれば、便利に今問題になつている品物を渡してやるとかいうような話でなければ、そういう話が成立しないと思いますので、その點を明瞭にしてこの五十萬圓問題をお聽かせ願いたいと思います。
#65
○佐藤證人 その問題は本委員會が八月十五日に開催されるというわけで、間島三好氏より八月十四日、本農業會に對しまして照會があつたわけです。それに對して縣農業會長の名前で、間島三好氏にあてた文書がありますから、讀み上げます。塚崎、濱田兩辯護士より報酬として百萬圓要求ありたることは、佐藤氏は――佐藤氏というのは私です。佐藤氏は左の通り復命している。上野驛前三翠館で森、佐藤に對し間島氏が、昨日濱田氏と會つたところ、百萬圓報酬を受けたしと言つているが、どう取計うかと話があつた。それに對し佐藤は報酬は當然考えなければならないが、それは許可指令が出て現物の引渡しを受けたあとでなければ、應ずるわけにいかない。」こういうふうな會長の公文を出しております。從つて會長が判をついておりますから、理事會は開いていないわけです。
#66
○清澤委員 そうしますと、大體五十萬圓の問題は明らかになつたのでありますが、これは間島さんからお聞きになつたのでありますか。
#67
○佐藤證人 そうです。
#68
○清澤委員 その次には世耕さんはこういうことを言われておる。自分が選擧に立つ前に、約十縣くらいの農業會の代表者に集つていただいて、この隱退藏物資を供米のためにいろいろ御斡旋したが、檢事局や官憲のサボや妨害によつて、自分の思うようにいかなかつた。どうか惡く思つてくれるな、こういう話をしたところが、先生のお立場と先生の御努力に感謝するというので、その席上選擧見舞として金一封をあげようという話があつたが、そういうものは自分は要らないというので斷つたら、當時集られた農業會の幹部の人たちは、非常に感謝をして歸つた。こう言つておられまするが、その十數の農業會の中へ山形縣の代表の方は御參加しておいでであつたかどうか、この點をお伺いしたいと思います。
#69
○佐藤證人 その件につきましては私等の方の依頼人として頼んでおります間島、森兩氏らかも聞いておりませんし、私も參加しておりません。
#70
○清澤委員 それでは最後にお伺いします。大體森、間島というこの二人のお方が、あなた方に世耕さんの情報を中心にして、供米のためにひとつ内務省から物資の拂下を受けることもできるのだから、受けたらいい。こういうお話があつて、それであなた方の農業會が活動を始められたが、お聞きするところによると、森さんも間島さんも農業會には何らかかわりがあなた方とはないようでありまするから、それはいろいろ經費もかかる。こういう問題にお骨を折られるというからには、そう神樣的に供米のために御協力なさつておるとは考えないのであります。その間においてこの御兩氏と農業會等において利益というようなものの上で、多分お話があつたと思うのでありますが、その點をひとつお伺いしたいことと、いま一つはこうやつて森氏竝びに間島氏が飛んで歩いておられまするならば、非常に多額の金もかかつておることでありましようから、それらの經費は農業會から――これはまことに失禮な言いぐさで、お聽きすることはどうかと思いまするが、いろいろ他に關連するところもありまするので、はなはだ恐れ入りまするが、どれくらい大體運動費としてお渡しになつたのでありましようか。この點をお伺いしておきたいと思います。
#71
○佐藤證人 申請にさまざまの運動費がかかることは、われわれもよく存じております。それで私らの方では、森、間島兩氏をお願いしておるわけでありますから、當然報酬は支拂うべきものと考えておつたのであります。しかしながら私らの方といたしましては、現物が全部引渡しを受けなければ、そういうものは一切拂うことができないとはつきり斷つておりましたので、獲得運動費としては一文も出しておりません。これは五月十八日、この詐欺事件が非常に盛んになりましたときに、私が山形警察署に出頭を命ぜられまして、一件書類を全部警察署に提出をいたしまして、警察署ではつきり確認した事實であります。なお當時私が二十日間にわたつて上京しましたので、晝食費、あるいは交通費等にある程度金を使わなければならぬというわけで、三月十七日、會長の決裁を得て、ここに一萬五千圓の假渡金をもらつております。これはどういう名稱でもらつておるかというと、「内務省より拂下關係の經費として、左記の通り支出相成り然るべきや」という文書で、報奬物資購買雜費、そうしてそれらは事件が全部解決してからこれを決定するというわけで、現在まだ假渡しになつておりまして、解決になつておりません。
#72
○清澤委員 森さんにちよつと伺いますが、森さんは何か間島さんの料理屋の支拂いの話で、濱田さんに對して、間島はこの支拂いのために一萬數千圓の金をとつておると話されたように記憶しておりますが、お話になつたことはありませんか。今お聽きしますと、あなた方のところには、農業會の方では一文も金はやつていないと言われておりますが、私は少くともこれだけのものを長い間やつておいでになるあなた方が、農業會から一文ももらわないでやれるのは、よほどの資産家だと思いますが、やれるのでありますか、どうですか。この二つの點を正直に言つてください。もらつても別に惡いことでないし、もらわないというのがかえつておかしい。あたりまえのものを一文ももらわぬということになると、はなはだ私は氣持が惡いのでありますから、もらつたものは、もらつたと、はつきり言つてください。
#73
○森證人 一文ももらつておりません。私の金で私が運動しております。
 それから濱田君の話は、それは間島さんが何千圓かかつたか知りませんが、濱田君の勘定は、間島君が私に報告するには、六、七千圓かかつたと報告をしました。しかし濱田君に聽くと二千圓かそこらでないか、君話が違うではないか。それは後日農業會からもらつて、私も決裁をしていく必要があるから、聽いておかなければならぬ。それだから間島君に聽くのは當然であります。
#74
○清澤委員 間島は農業會から一萬圓もらつている。しかも上野のどこかで會食したものは農業會の金で拂うのだから、拂わぬでもよいとあなたが濱田さんにはつきり言うたと、小切手まで見せて濱田さんから話がありましたのに、あなたはここへ來ては何もないと言われる。どうもさつきの中野さんの話でないが、何かあなたは錯覺を起しているのではありませんか。これは重要な問題だろうと思います。
#75
○森證人 濱田さんがどうおつしやつたかしりませんが、何も私は知らぬことです。決して錯覺も起していなければ、暑いのでのばせているわけでもありません。
#76
○加藤委員長 この際委員長から申し上げますが、濱田辯護士より森淳氏にあてた手紙の件につきましては、先般の本委員會におきまして、その手紙はただちに提出してもらおうということで、わざわざ委員會の開會時間中に、上野の旅館に電話をかけたような状態でありましたが、その後その手紙は、本人が證人として出頭される場合に持參してもろうことになつておりますので、この際その手紙を出していただいて、そういうことが書いてあつたかないか、實物について明白にいたしておきたいと思います。これは人の名譽に關することでありますから、この際その手紙を御提出願いたいと思います。
#77
○石田(一)委員 少し證人の態度が不まじめであります。暑くてのぼせているわけでもなんでもないというようなことは、少しこの委員會を愚弄していると思います。われわれはまじめにやつているのであります。少し證人も議會の威信を重んじて答辯をしてもらいたいと思います。ここはそんななまやさしい委員會でない。
#78
○加藤委員長 それではいろいろ個人の名譽に關することでありますし、あればある、なければ、ないということを明白にいたさなければなりませんから、ただいま御提出になりました八月十二日――これはちよつといけませんね。八月十二日では…。
#79
○森證人 その前には手紙を頂載していません。
#80
○加藤委員長 この手紙はこの委員會を愚弄している、八月十二日附の手紙が何になりますか。
#81
○森證人 私は手紙をもらつたとか何とか何も申し上げていません。
#82
○加藤委員長 もう少し良心的であつてほしい。八月十二日附の手紙が何になりますか。今問題になつているあなた方の問題は、本年春の問題です、そのときにもし手紙が行つていなければ、行つておらぬとはつきりお答えになればよろしい、こんな問題は手紙が來ておる中にはいらない。
#83
○森證人 それはどなたがおつしやつたか知らないけれども……。
#84
○加藤委員長 ちよつと待つてください。よろしうございますか、本年春の問題についてここに濱田、間島兩君出席の席上において證言を求めた場合に、いやしくも最高裁判所の判事、國家の儀表でなければならないその判事塚崎氏の名譽に關する事柄を堂々と間島君は述べられたのです。そこでそのことが問題になりまして、これは單に個人間の手紙であるなら問題にしませんけれども、最高裁判所の判事の名譽に關する問題が含まれておるがゆえに、委員會としてもこれを特に重要視したわけです。そのときここからあなたに、宿屋に電話をかけて尋ねたところが、手紙は持つておるということであつた。しかしあなたが手紙を持つてきてくれることができなかつたから、この次證人に出席される場合に持參を願う、こういうことが決定されたわけなのです。この八月十二日の手紙では、まるきりこの委員會を愚弄したとしかとられないですね。なるほど委員會は偽證の、何も法律上の罪をどうこうする責任はありません。また機限もありません。しかしながらいやしくも、國家の最高の權威の資格においてこの委員會は催されておるのです。
#85
○森證人 申し上げますが、手紙を持つているということは私はどなたにも……。間島さんだけに話しました。
#86
○加藤委員長 中野君、事實を明らかにしてください。
#87
○中野(四)委員 ぼくはこの證人を忌避した方がよろしいと思う。ぼくは森君にあえて申し上げます。罰則があるわけではない。これは良心的にお互いに語り合うのだ。あなたが電話でおつしやつたときもそうだつた。これは國會で取上げるべき性質の問題ではない。手紙がありますからお入用なら出すとあなたは私におつしやつておる。あなたのところに電話をかけたときは明らかに手紙があるとおつしやつている。今日になつてないとか、出したくないとか、そんなべらぼうな話はない、むしろあなたのような權威のない證人は忌避した方がよいと思う。この意味で證人の證言を忌避します。
#88
○加藤委員長 委員長としましても私は八月十二日の日附の手紙を本委員會に出されるような誠意のない證人の證言はこれを忌避したいと思います。從つてただいままでにお述べになりました森證人の證言は認めません。
#89
○森證人 申し上げます。私は天地神明に誓つてこの手紙一本よりちようだいしていないのです。
#90
○清澤委員 あなたは一番先に濱田さんから手紙を―間島さんがあなたのところに一着に對して二圓の手數料のことを書いた手紙がいつておると言われた。そういう手紙を受取られたか、取られないかお伺いしましたときに、そういう手紙は受取つていない。これはわかつておる。そういう手紙でない。ほかの手紙なら何本も受取つたと言われる。そうするならば八月十二日以前のものは數通あなたの手もとにあるはずだ。それを一本しかないということは、この場所でお話を聽いておるたくさんの者の中で、あなたの言われたことをあなたみずからが否定せられる、そんなばかな常識のない話はないと思う。手數料二圓というものを書いた手紙はないかもしれない。ないならないでよろしい。前後を通じて數通の手紙が來ておると言つておる。
#91
○加藤委員長 本委員會におきましてはこの點に對しては先般の委員會に證人として出席されました濱田辯護士はそういう報酬を要求したような手紙は出したことはない。しかし二、三手紙を出したことはあるということを濱田辯護士みずから言われておるのであります。それは速記録がちやんととつてあります。
#92
○木村(公)委員 委員長は非常に正直な潔癖な方でありますから、憤概なさることはよくわかりますが、私も實は森さんの證言及びその態度において信憑力がないと思つております。しかしそれと同時に思い合わせなければならぬのは、間島證人の從來の陳述と他の證言の食い違いから考えましても、間島に對する信憑力は森證人と同じにないという印象を受けざるを得ない。從つて私どもは森證人の證言を忌避するならば、併せて間島證人の證言を忌避してきれいさつぱりとこの問題は打切りたいと思います。
#93
○中野(四)委員 木村君の意見には眞向から反對です。森君の證言と間島君の證言とは關連があつて、事實上においてただいまの木村君の意見にに關連がないのです。森君は事實上において手紙がきておつて、この點は濱田君も十分御承知のことである。それを濱田君は知らないとか何とか、おつしやらなくてもよいし、世耕さんもあのときにあのような大聲でどならなくてもよいし、間島君もいまさらそんなことを言わなくてもよい。こんな問題は國會で取上げたくないけれども、あなたの方からせつかく入要なら手紙を出します。複寫したのもありますからというからです。私は何を好んで森君に電話をしましようか。その點についてあなたはあると言い、私みずからは耳に聽いておるのだが、あなたがお出しになつたのは八月十二日で、全然趣きをかえた手紙だから、あなたの證言は熱意とその眞意を非常に疑問をもつて見なければならない。むしろあなたの證言はこの際忌避するが、間島君の證言は森君の證言が惡いからといつてただちに忌避するということは成り立たないと思う。少くとも間島君の證言は證言として取上げる。森君の證言は證言として成り立たない。しかも當委員會の質問に對してはまつたく誠意をもつて答えておらぬということがわれわれの忌避するゆえんである。森君の證言を忌避したからといつて間島君の證言を忌避するというような妙なことはやめて、間島君のは今まで言つた通り聽いて、森君にはこれ以上聽かないという程度で打切つてもらいたい。
#94
○木村(公)委員 間島君のことは、ただいまの佐藤篤證人の證言の中にも間島は先般ここに證言いたしましたごとく、自分は山形農業會から全面的の委任状を得ておるということをはつきりここで言つておるのであります。しかるところ佐藤篤君のただいままでの證言によりますと自分はたまたま病氣になつて寢ておつて、歸る四月一日に佐藤農業會長から自分すなわち佐藤篤にあてたところの委任状を殘していつた。それからさらにそのほかには別に歸京の折にいろいろの連絡上必要だというのでプライヴエートな私的委任状を出したにすぎないということをはつきりここで述べておられることが一つ。それから先ほどの百萬圓事件について農業會の公式の報告によりますれば、それは間島から言われたのであつて、濱田から言われたのでも何でもないということも公にここで證人がお述べになつておる。その點から考えますれば、一體間島の言つておることは不まじめであるかないかということはしばらく別にしまして、まつたく虚偽であると言わなければならない。當委員會に對して虚偽を申しておるようなことは、また不まじめと言わなければならない。たまたま間島の態度が不まじめでなかつたからといつて、ただちに間島がまじめであつて、森證人の證言のみが不まじめであるということは成り立たない。萬一森證人の證言が不まじめである、当委員會を愚弄するがごとき印象を與える證言であるというならば、同じく間島の言うことはことごとく一から十まで虚偽であるという印象を受けておる。しからばその證言は不まじめである、不正である、虚偽である、とるに足らないものであるとわれわれは斷ぜざるを得ない。私は森證人の證言が不まじめであるから當然間島の證言が不まじめだというのではない。これが關連性があると言うのではない。間島がここに出てきてわれわれが受けた印象と、森證人の印象はまつたくよく似ておる。從つてわれわれは萬一森證人の證言を忌避するならば、あくまで間島證人の證言も忌避しなければならぬと思う。
#95
○加藤委員長 ちよつと待つてください。その點につきましては、本委員會としては、本來はもうこの問題は前囘で打切るはずだつたのです。ところがたまたま最高裁判所の判事塚崎直義君の名譽に關するような事柄が證言されたために、事態をこのままで葬むることは、本人の名譽のためにとらざるところであるから、できればそういう事實がないということを、最高裁判所の判事の名譽のためにわれわれは望んで、その事實を究明したい、こういうことのために一囘證人に出席をしてもらつて、調査を進めることにしたわけであります。ところが遺憾ながら今日の森證人の證言は、そういう點においてまつたくとるに足らないという認識しか得られないことをはなはだ殘念と思うのです。先般の間島證人の證言がどのような證據價値を有するかということにつきましては、いずれ本委員會がこの問題についての中間報告を決しますとき、證據力についてそれぞれ委員會は判斷をして歸納をするわけでありますから、本日森證人の證言をこれ以上に求めない――忌避するとか何とかいうのではない。求めないということは、前囘すでに濟んでおる。間島證人の言葉を否定するということになりませんので、ただ證據力としてどこまでこれを採用するかということは、おのずから別箇の問題で、委員會が裁定すべき問題でありますから、この點は木村君も御了承願いたいと思います。
#96
○明禮委員 今の委員長のお話は、忌避するということは大體初めから聽かないということであります。聽いてから後にこれを忌避しないとかいうことは、一體なんにも論理のないことであつて、どういうふうにこの證言をとるかということは、この委員會で適當に判斷するということで結構だと思います。
 さて私は井上事務官と佐藤さんに伺いたいのであります。この問題の手紙を、井上事務官は上田事務官のところへ渡したというのでありますが、一體手紙というものをどこからお受取りになつたのでありましようか。世耕氏に行つた手紙が井上事務官の手にはいるというその經路が私はわからぬのであります。
#97
○加藤委員長 それはさつき答えられたのです。
#98
○明禮委員 だれから貰つたかという、その點が私ははつきりしておらないと思う。間島から貰つたというのですか。
#99
○加藤委員長 さつきそういうお答えでした。
#100
○明禮委員 そうすると間島という人とあなたとの關係は、こういう祕密文書に屬するものを貰つて、それを人に渡すというようなことは、まことに先ほど言われた通り遺憾の極みでありますが、何か目的があつたようにも思われるのであります。この點私どもは井上事務官の、公の立場の人としての責任を問いたいと思います。もしこの寫しを間島から貰つたというのならば、間島という人がそういうことをしたということも、これは問題になりましようが、これを貰つて他の人に流布するということは大きな責任問題だと私は思います。その點について、もし辯明があれば一應伺つておきます。
#101
○加藤委員長 明禮君に申し上げますが、今お話になりましたことは、さつき木村公平君が詳細にお尋ねして、一應全部濟んでおるわけですが……。
#102
○明禮委員 それから佐藤さんにちよつと伺いたい。一萬五千圓假拂いになつておるとかいうことをさつき言われましたのですが、一萬五千圓というものを清算はしてないが、一應間島という人に農業會から出されたのではないでしようか。それを伺いたい。
#103
○佐藤證人 先ほど申し上げましたように、上京中の經費としまして一萬五千圓を間島氏に渡しまして、間島氏より晝食あるいは交通費、その他の雜費を支拂つてもらいました。
#104
○加藤委員長 ちよつと佐藤證人に委員長からお尋ねいたしますが、ただいまこの席において、あなたは農業會からは二人の人にはまつたく出ていない、こうおつしやつた。そうすると實に言葉が困るですね。
#105
○明禮委員 一萬五千圓假拂いで出したと聽いたのです。
#106
○加藤委員長 それは自分に出されたということであつて、二人の人には何にも來ておらぬと……。
#107
○明禮委員 決議か何かが……。
#108
○加藤委員長 その決議というのは、佐藤篤君に對する假拂として出されて、農業會としては二人の人には何にも出しておらぬと、こう言われたのです。今になると間島に一萬五千圓渡したと、これは實際困る。
#109
○明禮委員 それだから、私はある人に聞いたのです。一萬圓とか一萬五千圓を金が要るのだからといつて向うから取つておりながら、先ほど問題になつている築地か何かで拂つたというのが、二千何ぼかかかつたにかかわらず、たつた七百圓しか拂つていない事實なんです。さつき寫眞にうつしておると言われたのは、二千圓かかつておるのに對して、たつた七百圓しか間島が拂つていない。それを一萬五千圓取つておるという事實を聞いたから、伺つておる。いがですか。
#110
○佐藤證人 私の申し上げましたのは、私は東京方面の支拂いの關係は暗いものですから、間島氏にその支拂いをお願いしただけであつて、實際の支拂いは全部農業會が私の假拂によつて支拂うということになつております。それで築地か何かの問題はたしか五千圓か六千圓だつたと思います。それは間島氏の正當證書によりまして私が承知しております。だがしかし金は、私はこちらにまいつてそういう方面に暗いものですから、姻戚も連れておりませんし、間島氏に拂つてもらつております。
#111
○明禮委員 そうすると五千圓は自分が出したと言うのですか。出してもらつているのを報告を受けて、あなたが後から農業會から拂うということなのですか。どうなのですか。
#112
○佐藤證人 出してもらつているということを私が報告を受けて農業會としてこれを支拂うということがほんとうです。だがしかし金だけは私がこちらに來て持つて歩くことが危險ですから、間島に頼んでおいた。
#113
○明禮委員 頼んでおるというと、金を渡しておるということですか。
#114
○佐藤證人 そうです。ところがその問題で、安田銀行の小切手を私が持つて來た。ところが振出しが山形市六日町の振出しの小切手を持つてきた。そしてその小切手がこちらの安田銀行でとれなかつた。やむを得ず、間島さんが安田銀行と取引になつておるものですから、あなた、それを金にかえてくださいということでかえてもらつた。
#115
○明禮委員 結局出してもらつておるわけですね。
#116
○佐藤證人 そうです。
#117
○明禮委員 それははつきり書いておいてください。私は法廷でやることがついくせになつて、今の井上さんの答えははつきり聞きました。調書にはこれをとつてありましようが、そのことをもう一遍答えておいてください。くどいようでありますが、これは非常に大きな問題であります。將來殘る問題でありますから、また來ていただくことはできませんし、井上さんはたれからもらつた寫しによつて、それをたれに渡したか。はつきり言つていただきたい。
#118
○井上證人 重ねてお答えいたします。私は手紙の寫しを私が要求して受取つたのではありません。先ほど申しましたように、私の記憶では、當時初めて私のところに農業會の方が二人見えまして、世耕さんにお願いしておつたが、かくかくの事情でできなかつた。それでぜひ安定本部長官に供米報奬用としての物資の拂下げをやつていただきたいという陳情書を持つてこられた。その陳情書に、今までどういうふうにして自分たちがこのお願いをしたかといういきさつを私に教えるために、參考資料としてノートの端に書かれたのだつたと思いますが、あの手紙を持つてこられたのであります。それで私はその陳情書と一緒に受取つた。それからそれが崎田事務官に渡りましたのは、先ほど申し上げましたように、上田事務官は當時實質的に私の仕事を兼務いたしておつて、私の横におつた。私の記憶では、山形縣の方が陳情に見えたときに横にいたのじやないかと思いますが、よく知りません。しかしそれはどちらにいたしましても、上田事務官は私の仕事を加勢すると同時に、當時しきりに全國に起つた隱匿物資をめぐる經濟事犯、特に農業會關係をめぐつてのいろいろな問題が起つておる。そういうことで、この隱匿物資をめぐる詐欺事件防禦の立場から、私のところに來る一切の書類は目を通しておつたのであります。それで私のところの書類を上田事務官が寫していつたのであります。それ以後のことにつきましては、私は知りません。
#119
○辻委員 先ほどの森證人の證言を信ずべからずと斷定いたします前に、委員長にちよつと念を押したいと思います。中野君と森證人との間にいろいろお話があつたようであります。これは非公式の問題でありますから、私觸れたくはありませんが、委員長を通じましてその手紙を持つてくるようにという御照會がありました節には、濱田氏から出した手紙で、その内容には、要するに一着について二圓という謝禮をくれというような意味のことが書いてある。その手紙がありますかという御照會をなすつて、それがあるということで、その手紙を持つてくるようにという御念が押してありますが、その點を伺いたい。
#120
○加藤委員長 そうではありません。たまたまこの席上で間島證人からお聞きのような證言が出されて、森という人は上野のこれこれの宿屋におつて、電話はこれこれであるということであつたから、ただちに電話をかけました。ところが森證人は外出中で不在であつたから、その旨を留守の人に依頼して、その手紙を出してもらうようにということを電話で話したわけです。その内容については、何も電話ですから言うこともありません。それはなぜかと申しますると、お聞きのように、當時濱田證人もそういうことを請求した手紙は出したことはない。ほかには一、二囘出したことがある。こういうことでありましたから、その手紙そのものの内容という點については全然觸れることなく、手紙そのものを持つてきてもらいたい。こういうことだけでありまして、内容のことについては觸れておりません。
#121
○辻委員 それではその手紙そのものというわけで、濱田さんから來た手紙を持つてくればいいと思つて、お持ちになつたのであろうと思います。先ほど來委員長からの御質問には、濱田氏からそうした百萬圓とか、あるいは二割の口錢というような手紙は絶對にもらつたことがないとはつきり言うておられます。だからこれは、別に信ずべからずと斷定するのは早計であろうと思います。
#122
○加藤委員長 ところがあの日は十五日です。今のは十二日附です。森さんはいつからその宿屋に泊つておいでになるか知りませんが、少くとも今日の郵便通信關係からいえば、十二日に山形に出された手紙は少くとも數日を要すること間違いないと思います。
#123
○辻委員 私からお尋ねいたします。これは委員會といたしまして、證人を忌避するということは。
#124
○加藤委員長 忌避というよりも、先ほど言われたように、聽かぬ。
#125
○辻委員 私はまだ納得できないと思います。そもそもこうして證人においでいただいたということは、先ほど委員長からも言われた通り、最高裁判所の判事である塚崎先生の名譽に關するものである以上は、やはり納得のいくように質問をさせていただいて、その上で御斷定をいただかなければ早計であろうと存じます。
#126
○加藤委員長 ぼく個人の意見というよりも……。
#127
○水田委員 證人の忌避の問題ですが……。
#128
○加藤委員長 忌避という言葉でなくて。
#129
○水田委員 忌避という言葉でないにしても、今まで來ておる證人が、みなほんとうのことを言つておるという證人ばかりでなく、現に山形縣から一錢も貰つていないということを言つておりながら、きよう見ると、貰つておるということで今までの人の陳述はうそも相當にあるだろうと思いますが、それを想像判斷して――もちろんわれわれが判斷するのは、われわれの立場で、ここに來た證人が何を言つても、われわれは檢事ではないから、各人が言うだけを聽いて、あれはだめだ、あれは確かだ。たとえば濱田氏に對して森さんが栃木縣での支拂いは、君拂わなくてもいい、間島氏に言わせると山形縣からもらつてきておるのだから、そつちに拂わせればいいのだと言つた。このようにきようの陳述が違うのだから、手紙の問題も濱田氏がうそを言つておるのか、森さんがうそを言つておるのか。森さんはもらつてないと言うし、濱田氏は二、三囘出したと言うが、どつちがほんとうかわからぬから、個個に各人の言うことを默つて聞いておつて、あとで信憑性がないということをきめればいいので、委員長がここできめられるのはいけないと思うのです。
#130
○辻委員 八月十二日に出しました速達であります。森さんの出發されたのは十五日だそうでありまして、その間三日間あります。このごろ手紙は相當かかりますけれども、速達ですから三日の間に著かぬとは思えませんから、出發直前に入手されたその手紙を持つてこられたのではないかと思います。それをたまたま間島氏にこういう手紙が來ておる旨を言うたのを、間島氏からいろいろ飾り立てて、先日の證言で言うたのではないかと存じます。
#131
○加藤委員長 これは何もそうこまかいところまで掘り入つてどうこうと言うわけではありませんが、とにかくここから電話をかけた日が十五日なんです。
#132
○水田委員 向うを發つておるのは十四日でしよう。
#133
○加藤委員長 朝上野へ著いたのでしよう。だから向うを發つておるのが十四日。
#134
○森證人 ちよつと申し上げます。あなた方のお氣に障るようなことを申し上げましたが、決してそういう惡い意思ではないのです。この手紙は十四日の朝、私は十四日の晩こつちに來たんです。返事を書こうと思つたが、どうせ行つて會うのだからいいだろうと思つて來た。
#135
○辻委員 委員長がその宿に御照會をされました場合に、その當時の報酬の問題についての手紙が濱田氏から來ておるかどうかという念を押されて、そういう手紙があつたらそれを持つておいで願いたいということを御照會になつておるならば、實に言語道斷の所為でありますけれども、ただ濱田氏からの手紙があつたならば持つてきてくれということならば、もちろん一番新しいやつをもつてきた方がいいだろうと思つて持つてきたのだろうと思う。
#136
○加藤委員長 それは人々の見るところによつて違うのだから、もし委員諸君がお聽きになりたければお聽きになつてもよろしい。私はそれを止めるわけではありません。私としては、八月十二日附の手紙を出されて、これが濱田から來た手紙でございますと、しやあしやあ出されるようなことでは、てんで證人として證言を求める資格がないと私は思う。
#137
○辻委員 それじや森證人にお尋ねいたします。委員會の方からあなたの留守中に電話がかかつて、手紙を持つてくるようにということをお聽きになつたはずでございます。とにかく濱田氏から來た手紙なら何でもいいというふうに御解釋になつたのか。それとも報酬云々について來ておる手紙ということを、委員會直接でなくても――間島さんと同宿であるから、間島さんからお聽きになつた上でのことでありますか。
#138
○森證人 間島さんは私からお聽きになつたときは、この手紙の内容を早呑みこみなさつたのだろうと思います。濱田さんから來た手紙はこれよりほかにはないのです。私は濱田さんとは親交がない。何十年前に一遍お目にかかつたきりで、今度隱退藏物資で辯議士としておやりになるというのでお目にかかつた。私の皆樣に對する態度が惡かつたことについては謝罪を申し上げます。
#139
○辻委員 濱田さんから參つた手紙は一通でありまして、間島さんにその交面の内容について話された。そのことが要するに報酬云々というようなことに誤り傳えられるような内容があつたから、先日の證言において濱田氏がそういうようなことに觸れたのではなかろうか。こういうふうに御解釋なさつておられませうか。
#140
○森證人 間島さんに濱田さんから來た手紙の内容によれば、あなたの方から先にくれるという話であつた。私は私の方から要求したのではないと書いてある。濱田さんの手紙はこれですから、間島さんこれをごらんなさい。私の臆測では、その前に電話で私に聽いたときに、私の言葉を誤解してこの委員會で言つたんじやないかと思う。どつちにしたところで、濱田さんが間島さんに要求したか、間島さんがくれると言つたか、そのときに百萬圓か、二圓ずつか割前があるに違いない。そういう交渉じやないだろうかと思う。
#141
○辻委員 今承つたところによりますと、問題になる手紙はこの一通である。しかもこの一通の中に濱田氏から言うたことが載つているらしく、それがたまたま間島氏の話から混線しているように思いますから、これを證據として御提出を願つて話を進めていただいたらよかろうと思います。
#142
○水田委員 僕はその手紙は本物だと思つておる。委員長は三月に手紙を出しておるという先入觀があるから、それをごまかすためにわざわざ森さんが直前に來た手紙を持つて來たのだというが、こういう手紙が來たと言つたために、間島がその手紙を議會に出せと言つたので持つて來たものと思う。だから愚弄するこにはならない。
#143
○加藤委員長 私もこの手紙が偽物とは思いません。八月十二日附で立派に濱田辯議士から出した手紙に違いない。控えも濱田辯護士のところにとつてあるので、決してこれが偽物だとは思わない。ただ問題は栃木に選擧に行つて、問題發生當時に濱田、塚崎、間島、こういう人が會食をした當時に、いろいろな話が出て、その當時間島の證言によれば、そういう手紙を森にやつたという證言をした。濱田辯護士は斷じてそういう手紙はやつておらぬ。しかしほかのことでは手紙を出したことはあるように思うという證言をされている。だから八月十二日附の手紙では塚崎辯議士の――今は判事だけれども、名譽をどうこうするということには何ら問題にならぬ。その事件當時の手紙であれば、その手紙にあるかないかによつて塚崎判事の名譽に對する問題も釋然とするし、あるいは疑惑も起る問題であるから、從つてその當時の手紙において初めて意義があり、價値があるわけです。森君が八月十二日附の手紙以外にないと言うならば、それは何らの意味をなさぬ。
#144
○水田委員 間島が、その手紙を見たらはつきりするという手紙を持つて來ているので、三月とか二月何日とかいうのは委員會が勝手に言つておるのです。問題の手紙がここに來ておるのだから、愚弄したことにはならない。
#145
○加藤委員長 その手紙はその事件當時の事柄を明らかにすることによつて、初めて手紙としての意義はあるわけです。
#146
○本多委員 せつかく手紙があることでありますし、その手紙がたいへん事件當時と違つた手紙でありますけれども、かりに手紙に工作があれば、われわれは反面、解釋もできますし、得るところはあるかもしれぬと思われますので、これを發表していただきたいと思います。
#147
○加藤委員長 そういう御希望があれば發表しましよう。手紙を朗讀します。
 拜啓久濶を謝上候御壯健にて御過し被遊居候哉御伺申上候、却説隱退藏物資の件に關し問題意外に波及し世上論議の中心として取扱れ居候處端し無くも栃木縣下隱退藏物資拂下に
 關し間島は當時世耕氏に對する不滿の為めか或は自己の非を隱さん為の底意か其の目的何處に在りやは別として右に關し塚崎先生及不肖より百萬圓也の報酬を要求せるかの如く宣傳せる事は洵に迷惑至極の言懸りにて栃木縣出張の前夜間島塚崎先生小生の三人にて會合打合の雜難談の間に本伴拂下成功の曉に於て貴山形縣知事の許可の許に總ての係官了解に依り合法的に出費すべき費用に含め一業宛二圓の割合にて手數料を差上る事は可能なりと説明致し候際當方兩人に於て間島に對して右か農民に對する多額の負擔となり兩人の多年の信用に關する事無之樣御取計ひ願度しと縷縷申添へ置き候事情に御座候貴老に於ては多年の御知己を得居る關係上充分此點御理解被下居候事と存居候而も右の會合に當り小生の知合の築地料亭の會食費に付二千一百圓位を要し其の三分の一の割前七百圓也を間島に負擔せしめ、本年四月三十日同人より料亭宛(小林)小切手を徴し塚崎先生同道にて抽者丸ビル事務所に歸所致し候處不計貴老の御訪問を相受候間右事實を御吐致し候處右の饗應費は縣農業會より間島の請求に依り支拂濟なるを以て御支拂に及ばさるものなりとの御言葉なりし為驚愕し間島の不都合を感知したる次第に有之尚ほ同樣意味により世耕氏に關しても出金し居る旨御話有之候而して其の金額に付小生等分に關して八千圓か一萬八千圓と御話し在り世耕氏分に就ても相當莫大の額にして執れも實費の何倍かの金額に有之唖然としたる事情に御座候此の時彼か運動に關し種々の名目に籍口し貴農業會より金員を取得し居る事實を察知仕候小生等の努力が奏効せざりし事は遺憾にして申釋無之候得共小生等は貴農業會に對して物質的御迷惑をかけ居る事實無之に不拘彼れ間島により報酬を要求せるが如く宣傳さるる事は洵に心痛に有之此際同人との關係を司直の手を經て明瞭に致し度其の準備として左記御一報被下度貴老の御性格上直しき者に御味方被下候事と確信致し候
 一、間島の拂下運動に關し山形県農業會より出費されたる金額、
 二、塚崎先生及小生の饗應費として右農業會より支拂れたる金額、
 因に塚崎先生は過日最高裁判所判事の榮職に就任せられ又間島は數日以前中曽根と謂ふ人の拂下に關する詐欺事件の關係者として檢事局の取調を相受候、御上京の節御立寄被下度尚ほ御自愛を祈上候
            濱田 三平
   森   賢老
        侍史
   昭和二十二年八月十二日この手紙はそれぞれ見るところがありましようが、とにかく發表しました。
#148
○池谷委員 先ほどから森證人及び間島證人の證言が非常に問題になつておるようでありますけれども、證人の證言の信憑性というものは、その人の人格、人柄、職業、平素の行動等によることが多いと思います。この意味におきまして佐藤證人にちよつと伺いたいと思いますが、森さん及び間島氏は平素いかなる職業に從事しておる人でありましようか。またこの人たちがいわゆるブローカー的存在ではないのでありましようか。この點についてちよつと承りたいと思います。
#149
○加藤委員長 なおこの際一言申し上げておきますが、この手紙は親展となつております。委員會としては委員諸君の請求によつて、森證人から提出されたものを本委員會において披露したのでありますから、この點お含みおきを願います。これは外部に出るものではありません。
#150
○佐藤證人 森さんはもと秋田縣の椿鑛山をやられておつた方でありまして、戰爭中東京にお出になつたのですが、その後山形縣の赤湯に疎開されておつた。私らといたしましてはそれだけしかわかつていない。ただわれわれ纖維關係の拂下關係につきましては、全然報酬もわれわれは與えておりませんし、與えなければならないということは考えつつも、實行にならないからしてわれわれとして出す金がありませんので、それを支出していないわけです。そういう件につきまして請求を受けておりません。それから間島さんもそうですが、ブローカーといいますと、これは個人的な問題なので、私からはつきりそういうことを申し上げられないわけですが、私らの方として今まで恐らく兩者は數萬圓の金を使つて山形縣農業會のためにやつていただいたことと思います。それが成功するものと心得て、成功した場合に大丈夫縣農業會がそれに對して報酬をくれるという確信があつたから、努力してくれたと思います。その間において自分らの報酬をそれぞれくれという交渉を私は受けておりませんから、そういう答辯でひとつお察しを願いたいと思います。
#151
○池谷委員 數萬圓の自分の金を出して國家のため、あるいは農業會のために奔走するということは、どうもこの二人の證人の態度とか、今日までの行動から、われわれは納得しかねるのでありますけれども、證人の證言ははたして眞實でありましようか。確約がないまでも、暗默の間に大體何歩くらいの口錢をやるというような話が成立しておつたのではないでしようか。
#152
○佐藤證人 この問題は實は昨年の十一月ごろから縣農業会にはあつたらしいのです。なぜ農耕課長の職にある私がこの問題を取上げたかということを申し上げますと、これははつきり申し上げますが、この問題は實は農業會の資材課で取扱つておつたのでありますが、不祥事件がありましてこういう問題についてやれる人間がいなくなつた。それで當時私が資材關係に相當明るいものですから、二月の四日以降擔當いたしました。そうして三月十七日より二十日間ばかり東京を駈けまわつておつたのであります。あなた方はお疑いになるかもしれませんが、山形に行つてお聽きになればわかりますけれども、私はそんなことは絶對嫌いですし、そんなことは全然ありません。
#153
○池谷委員 森證人及び間島證人が肥料の斡旋とか、資材の斡旋をやつたというような觸れこみはなかつたのでありましようか。
#154
○佐藤證人 私は農耕課長として農耕だけをやつておりますので、この問題のときにはときどきひつぱられましたが、そういうわけで資材關係は全然知りません。この問題は配給を委任されてから殊に問題が大きくなつたものですから、最後まで全部やれと現在の課長からも言われておりますので、私も責任をもつて全部完了したいと考えておりますので、取引の關係はどんなことをやつておるかわかりません。
#155
○木村(公)委員 今の佐藤證人の證言でもわかりますように、間島は將來成功した場合のいくらかの報酬を豫期して數萬圓使つたので、崇高な理念で國家のためにやるような男ではないという印象を受けておりましたが、どなたかこの點を曲解されて、何か間島は國家のためにやるような人物でもなさそうなのに、何のために數萬圓の金をみずから出すかという御質問であつたのでありますが、佐藤證人の證言によつても、成功した場合の報奬金欲しさにやつたようでありますから、それと合わせますればおのずから間島の心理というものはうなずけると思いますので、私はそのように了承しておきたいと思います。
#156
○清澤委員 話がそこまでまいりますと、どうしても聽かなければなりませんが、この間の間島さんの世耕さんに送られた手紙には、山形縣の農業會は品物が來るということで農民に約束をして一〇〇%供出が終つたので非常に面目ないということであつた。少くとも農民の手もとへ渡すとするならばいくらで渡すということはあらかじめわかつておるわけであります。それがなければ渡されるような話ができるものでもありませんし、農民の供出意欲が一著の洋服で片がつくというようなことがおそらくでき得るものではないと考えるのであります。そういうことを私どもが考えますと、大體どれくらいの報奬金をだれのところにやる。あるいは一著の洋服の手數料いくら、一著の洋服をいくらで農民に渡すから米を出しなさいということになつて、米が一〇〇%供出になつたということをわれわれ考えざるを得ないのであります。ただ來るかもしれない洋服があるから、それが來たらお前にやるということでは、山形縣ならいざ知らず、私ども農村におる一人として、このたびの供米は決してスムースにいくものではないと考えます。そういう點から考えますと、あなたのお話はわれわれがお伺いすることを誤解しておられはせぬかと考えるのであります。そういう點からいま一度はつきりしていただきたいと思うのは、たれから二圓の手數料の話があつたか、それに對して縣の指令がどうとかこうとかで、未決定だと言われるが、未決定のもので、農民にいくらの品物を渡すなどという計算は出ません。小くとも人にこれだけ金をかけさしておいて、それの報奬がいくら、經費がどれくらいかかつたら一著にどれくらいかけるという計算が立たないでわけるという結論は出てこないと思う。私はそれまでのことは言いたくないと思つて最前から聽いておりましたが、ここまで來たのですから、この點をはつきりしていただきたい。もしないならないとお答えいただきたい。
#157
○佐藤證人 二圓の手數料のことですが、これは先ほど申し上げましたように間島三好氏よりお話がありました。それに對し私が、先ほど申し上げましたように、現物を入手しなければそういうことには關係できないという話をしたのであります。
 それから農民に對して纖維品が相當來るから皆頑張つてくれということだけは申しておきました。價格の點は大體公定價格がキヤラコ一ヤールは九圓五十錢ですから、産業設備營團に拂います經費やその他の經費、摘發に對する二割の報奬金を含めて大體二十圓を出ても一、二圓こういうふうな話合はしておいたのでありますが、配分の計畫ははつきりと認證できないから、そこまではいつておらなかつたのであります。
#158
○石田(一)委員 私は先ほどからこの問題について聽いておりまして、本委員會として、まことに面目ないことだと思つております。先ほども佐藤證人からの證言がありましたように、山形縣農業會は、ときの内務次官世耕氏から、栃木に檢事が封印したこうした物がある。だからよそに動くことはないというふうな話があつたので、これは大丈夫だと思つて運動をし始めたというふうな話でございます。それに關連してまことにお金持の、數萬圓運動費を拂つても、一文もその運動費を請求しないけれども、やがてなんとかなるだろう。殊に身近にブローカーをおやりになつた方が大分いらつしやつたようであります。察するところこのブローカーたちの間で、この問題が取上げられ、遂に不可能になつて内輪もめがしたのではないかと思います。その内輪もめのした水掛論を、この委員會で自分の潔白なことを立證されようとしても、委員會にとつては迷惑だと存じます。そんなことは議會を利用しないで、それぞれ手續をもつて、自分の名譽を毀損したかどうか、司法裁判所において大いにおやりください。私たちの知つたことではありません。私は殘念であります。ブローカーのいいか惡いかをこの委員會でやつてもらたくない。委員會に喚んだのはうそをつくことを求めようとして喚んだのではありません。しかも事前にあらゆる方面にわたつて證言を相談して、辻つまを合わせてここで證言をされては困るのであります。そんな證言は聽きたくない。ただちにこの問題はこの際もう切り上げて、もう少し委員會らしい方法にはいりたい。こういう動議を提出するのであります。
#159
○加藤委員長 それでは大體各證人に對して證言を求められますことも一通り終つたと思いますので、今日はこれをもつて散會いたしたいと存じますが、次會は來る二十五日午後一時からであります。本日三名の委員が栃木縣に出張されましたので、おそらくは二十五日の委員會には、栃木縣に出張された調査の結果の報告があることと存じますが、出張期間は四日間になつておりまして、多分二十五日に間に合うのではないかと思います。いずれにしましても東洋釀造の事件、水あめ事件、栃木縣下における摘發に關する警察官妨害の事實、この三つの問題は二十五日の一囘で終りといたしまして、大體相當の資料も入手できましたから、これらの資料について本格的な調査を開始したいと思つております。大體その豫定で皆さん方も、暑いところ御苦勞でありますけれども、ひとつぜひ御精勵くださいまして本委員會の成果をあげたいと存じます。證人の方々も御苦勞さまでした。
 今日はこれをもつて散會いたします。
   午後五時十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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