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1947/09/19 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第16号
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1947/09/19 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第16号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第16号
昭和二十二年九月十九日(金曜日)
    午後二時三十一分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 梶川 靜雄君 理事 吉田  安君
   理事 辻  寛一君 理事 石田 一松君
      清澤 俊英君    佐竹 新市君
      川崎 秀二君    小島 徹三君
      鍛冶 良作君    北浦圭太郎君
      水田三喜男君    村上  勇君
      木下  榮君    中野 四郎君
      徳田 球一君
 出席國務大臣
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
        商工事務官   鈴木 重郎君
 委員外の出席者
        議     員 世耕 弘一君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 靜岡縣東洋釀造株式會社事件に關する派遣委員
 報告隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 これより會議を開きます。
 休會前に本委員會の決議によりまして、靜岡縣の東洋釀造の砂糖事件の調査、及び岩手縣内における隱退藏物資の摘發状況の調査のため、それぞれ委員を派遣いたしましたので、本日はその調査報告を求め、引續きこれに關連して政府の所見を質し、質議を行いたいと存じます。
 まず小島君から靜岡の東洋釀造の砂糖事件について御報告をお願いいたします。
#3
○小島委員 休會前の委員會の決議によりまして、池谷、中野、辻、小島の四委員が靜岡竝びに沼津、大仁方面に出張して、東洋釀造の件につきまして調査した結果を御報告申し上げます。
 本調査の目的は、御承知の通り、大仁町の東洋釀造株式會社が終戰時に所有しておつたエタノール製造用の砂糖の殘りが、概算千三百五十トンと稱せられるものがあり、その處理に關して二、三の閣僚に關係があるという流言もあるということを自由黨の世耕君が言われましたので、これについて一應鈴木司法大臣から正式の報告をもつて、これは單なる矢島某の創作にかかるものであつて、この處分については閣僚は何ら關係ないという御報告を受けたのであります。また千三百五十トンの砂糖の處分につきましても、その内容について一應の御説明を受けたのでありますが、これは要するに司法大臣の一方的な御報告でありましたので、眞實司法大臣の御報告の通りであるかどうかを調べたいということが一つと、いま一つはこの千三百五十トンの砂糖のうち、靜岡縣に縣民一人について百匁ずつ配給したと稱せられておる砂糖が、實は由比、蒲原方面においては全然配給していないということを、世耕君がやはりこの委員會において反駁聲明をせられたので、はたして司法大臣の報告通りにこの砂糖が配給せられておるかどうかということを取調べるのが目的であつたのであります。私たち委員はその結果靜岡に參りまして、靜岡縣廳の當局者竝びに檢事正、活津の上席檢事、また由比、蒲原の兩町村の役場の當事者及び大仁警察署の署長、司法主任に面會してこれが取調べに當つたのであります。以上詳しいことはいずれ書面をもつて御報告することといたしまして、簡單に口頭をもつて御報告いたします。
 東洋釀造株式會社において處分したという砂糖は、會社の第一號倉庫にあつた千トン、第四號倉庫にあつた三百五十トン、合計千三百五十トンと稱せられておりますけれども、實際におきましては、その他に第二號倉庫、あるいは瓦倉庫、あるいは石藏等になお相當數量の白砂糖及び亂俵が存在しておつたことは疑いないところであります。しかしすでに時期を失しておりましたので、はたしていくばくの數量があつたかということは的確にこれを知ることができないのであります。ただ司法大臣が本委員會において御説明になりましたところの社員、準社員、重役等において分配せりと稱せられております砂糖、竝びに會社が昭和二十一年七月以降製造販賣せるシロツプの製造原料として使用したりと推定される合計約百四十七トンに達する砂糖は、これら千三百五十トン中の七十四トンを除き、主としてこれらの報告に洩れておる隱された砂糖であるということは疑いないと思われるのであります。從つて前面の委員會における司法大臣の説明におきまして、これら社員、準社員、重役等に配給した砂糖あるいはシロツプに使つた砂糖は第一倉庫中の千トン中、縣民に配給した八百八十四トンを差引いた殘りの百十六トンがこれに相當するという意味の御説明がありましたが、それは誤解に基くものであると考えるのであります。この千トンはいつておつたという倉庫は、實は亂俵とか、あるいは溶解の程度がひどかつたので、實際におきましては八百八十四トン見當のものしかなかつたのではないかと考えるのであります。また第四號倉庫の三百五十トンも、これは專門家の山本という人間が調べておるのでありますけれども、この調査當時におきまして、三百五十トンくらいしかなかつたというのでありまして、むしろ實際においてはそれよりも少なかつたのではないかということさえ、今考えられるのであります。從いまして、表面報告せられました東洋釀造の千三百五十トンと稱される砂糖の處分に關しては、私たち委員としては何ら間違いないと考えるのであります。間違いはむしろ正式に報告せられなかつた第二倉庫、瓦倉庫、竝びに石藏等に隱されていた砂糖が疑わしい。かように考えるのであります。なお世耕氏は本委員會におきまして由比、蒲原方面に配給したと稱される砂糖は、實際に配給していないということでありますが、われわれが由比、蒲原町村におきまして調べた結果、實際におきましては家庭通帳の切符によつて、一人當り百匁ずつ配給しておつたのでありまして、その點世耕君の證言は間違つていると考えるのであります。ただ何分當時の砂糖のことで、亂俵が非常に多かつたために、完全な袋をもつて歸つた町村は、一人當り完全に百匁ずつ配給できたけれども、運惡く亂俵、あるいは非常に破れている袋をもつて歸つた町村におきましては、一度に百匁配給できず、一時七十匁とか八十匁ずつ配給して、あとでそれを埋合わせしていつたという状況でありますが、要するにいわゆる千トン中の八百八十四トンを、縣砂糖統制會を通じて縣民に配給したという事實は疑いないものと私たちは考えるのであります。またこの東洋釀造株式會社がエタノール製造過程において、その砂糖の中に乾甘藷を使うことが、むしろ非常に成績がよくなるということを發見いたしましたがために、戰爭中エタノールの製造過程におきまして、自分の手持ちの乾甘藷を使つておつた。その結果手持ちの餘つておつた砂糖が三百五十トンくらいあるということでありまして、東洋釀造におきましては、終戰後今まで自分の手持ちの乾甘藷を使つておつた數量だけ乾甘藷で返してくれるか、あるいはその代りとしてこの三百五十トンをよこせという交渉を始めたのでありまして、これが決定につきまして農林省と會社との間に話がついて、結局三百五十トン甘藷は、當時の食糧事情の關係から渡すわけにいかないので、代替物として三百五十トンの砂糖を會社の所有として認めるときめたことにつきましては、何ら怪しいところがないと私たちは考えるのであります。ただ問題はこの三百五十トンを代替物として認めるにつきましては、靜岡縣廳におきましても會社の言分は正當なりとして農林省に稟申して、何分の處分を仰いでおつたのでありますけれども、その後長い間何ら縣廳に對しては農林省が報告もせず、知らせもしないでおいて、いきなり會社との間にやみ取引と申しまするか、とにかく靜岡縣廳をぬきにして交渉して、きめてしまつて、縣廳の方に三百五十トンは會社の代替物として認めるということを通知いたしましたので、感情的には靜岡縣廳の當事者もおもしろくは思つていないようでありますけれども、手續としては必ずしも間違つていない。かようなことを申しておりました。しかし私たち委員といたしましてもそういう多少の感情的な問題は別として、その手續方法としては間違いはない。かように考える次第であります。
 以上のように會社の正式に屆出られましたところの千三百五十トンの砂糖につきましては、これが處分方法については何ら疑いはないところでありますけれども、何分終戰時のこととて、はたして砂糖がただ千三百五十トンであつたかどうかということについては、的確な數字を認めることはできないのであります。のみならず會社は何ら帳簿をもつておりません。初めから帳簿がなく操作いたしておりましたので、的確にいくらの數量の砂糖をもつておつたかということはわかりませんけれども、少くとも千三百五十トン以上に砂糖をもつておつたということは推定できるのであります。それというのは、私たちの調査の結果によりますと、大仁の東洋釀造からして、約トラツク一杯の砂糖が三島の砂糖統制會社に送られたというけれども、その砂糖の處分も行方がはつきりいたしておらないのであります。またシロツプ製造量から推定いたしまして、どうしてもその原料として使用したところの砂糖は百トン以上でなければならぬ。また先ほど申しました通り社員とか準社員あるいは重役等のわけた砂糖は、届け出でられた千三百五十トンの砂糖ではなくて、届出のなかつた第二號倉庫、瓦倉庫あるいは石藏等に隱されておつたところの砂糖であるということは、ほぼ推定がつきますので、どうしても東洋釀造のもつておつた砂糖というものは千三百五十トン以上にあつたことは確實であります。從つて、檢察廳がこの砂糖事件を調査いたしました際に、千三百五十トンは正式に農林省に届け出られて、これは處分されておるのでありまするから、問題はないのでありまするけれども、しかしそのほかに約千四十餘トンにわたるところの砂糖があつたと言うならば、その砂糖がはたしてだれの所有分に屬するのか、あるいはその砂糖は適法に處分せられたのかどうかというようなことは、當然取調べてこなければならぬと思われるにかかわらず、その點について徹底した取調べがないということは、全部の委員が非常に不滿としたところであります。もちろん終戰後のどさくさにまぎれまして、軍人を含む多くの多人がむちやくちやに會社からこれを持ち出したことも事實でありますし、また帳簿もなければ、終戰後すでに二箇年を經ておる今日でありますので、檢察廳の取調べに非常にむつかしい困難があつたことは認められますけれども、ただ檢察廳がシロツプの公定價格違反のみを追究しておつて、その背後にあるところの、そのシロツプを製造したところの砂糖が、はたして正しいか、正しくないかというような點まで調査することは、檢察廳としては、あるいは價格統制違反という點から言えば派生的問題でありますので、めんどくさいから調べなかつたということもありましようが、私たち隱退藏物資摘發竝びにこれの調査の委員からいたしますると、實は檢察廳はもう少し親切にこのシロツプに使つたところの原料あるいは社員、準社員等にも分配したところの砂糖の所有權がどこにあるのか、三百五十トンはたしかに會社のものであるけれども、その隱された砂糖というものは、はたして東洋釀造に屬すべきものか、あるいは國家の所有に屬すべきものか、その配給は正しいか正しくないかということについても、今少しく詳しく調査してほしかつたと私たちは考える次第であります。以上簡單に御報告申し上げます。
#4
○加藤委員長 次いで岩手縣内における摘發状況の視察に關して、佐竹君から報告していただきます。
#5
○佐竹(新)委員 岩手縣地方に本委員会から派遣されました委員は、休會中からまだ出席しておらぬ委員もあり、水害地方に派遣されておる委員もありますので、全部は集りません。全部集りまして成案を得まして御報告申し上げたいと思います。
#6
○加藤委員長 それではただいまの報告に關連して御質疑がありますれば、質疑をしていただきます。
#7
○中野(四)委員 鈴木司法大臣に率直に伺いたいのでありますが、先々囘の委員會の席上で、司法大臣は、百トンの砂糖の相違について、社員に四貫目、準社員に二貫目、重役に贈答用、あるいは運賃用に拂つた砂糖があつて、それがために四十幾人かの現在被疑者、あるいは證人を喚問して取調べ中である、こういうような御答辯がありました。さらに世耕君の自由黨代議士會において言うたところの、現閣僚二三の者に關係なしとせずという點について、徹底的に追究してみたところが、それはあくまで甲府刑務所に詐欺犯として收容中の矢島某なる者が捏造したものであるということが判明したから、從つて現閣僚には全然關係がないというような御報告をなさいました。そこで本委員會におきましても、政府の一方的の證言によりましては、この問題の解決をつけるわけにはまいりません。いわんや國際的にまで報道されましたる、現政府の威信のみならず、民主國家として再出發をしなければならぬ日本の政治上の名譽にかけても、これはあくまで追究するの必要がありといたしまして、われわれは委員會の指名によつて、四名の者が現地に派遣をされました。從つてただいま小島委員から御報告をいたしましたことは、お聽き及びの通り鈴木司法大臣の報告とはその趣きを異にしておる點が多くあるのであります。そこで私は本日鈴木司法大臣にとくと承りたいと思いますることは、鈴木さんはもちろんわれわれよりも先輩でいらつしやるし、そうして國會の權威ということに關しては常に心配をされ、あるいは政府の一員となられても、國會議員として國會の權威高揚のために御努力をなすつていらつしやると信じまするが、司法大臣が國會の委員會における發言において、もし根據薄弱なるものをもつて證言をしたとあるなれば、その及ぼす影響の甚大なることは申すまでもないことであります。私は第一番に司法大臣に伺いたいのは、先日の委員會における御報告の根據はどこにあつたかということを伺いたいのであります。おそらく司法大臣はそれぞれ所管の者に命じて、それぞれの書類を提出せしめ、それによつて御報告になつたと存じまするが、われわれ委員が現地において調べましたる結果においては、ただいま小島委員が報告をいたしましたる通り、靜岡檢事局において白神檢事正と會いまして、たまたま當日靜岡に來ておりました杉村沼津檢事局の上席檢事も立會つていろいろと當時の状況を聽きましたところ、殘念ながら白神檢事正は赴任早々でありまして、この事件についてはあまり關知しておらないのであります。そこで沼津の上席檢事の言葉によりまして、たどたどしいながらもいろいろと聽いてまいりました。當日は御承知の通りに刑務所内のいわゆる不祥事と言いまするか、靜岡刑務所に脱走犯人があり、非常に混亂を呈しておりました。從つてゆつくりこの點について質すわけにはまいりませんでしたけれども、この上席檢事の證言によりましても、どうも明確にわれわれが事件のすべてを掴むわけにはまいらぬのであります。すなわちそのいきさつは當時これを擔任いたしました河合檢事は、いかなる理由がこの取調べ途中において東京檢察廳にまわされました。その後一切のものは引繼がれたと言つておりますが、書類の上において、引繼がれたものであつて、その後の取調べ過程は一向進展していないのであります。すなわち司法大臣が先日言われましたが、千トンの縣民配給においては、八百八十四トンが縣民に百匁ずつ配られたことは事實であります。世耕君が由比、蒲原において配られておらぬ事實があると言われましたが、これはうそです。それは當日本委員がいろいろの調査した證據書類、あるいはここにある家庭用配給購入通帳によつても十二分に證言がされておりまして、このことははつきりいたしました。しかしながら、殘り三百五十トンは實際上において、はなはだ遺憾ながら何人といえどもこれを確認した者がないのであります。司法大臣は三百五十トン中二百五十トンだけは縣糖連へ、他の百トン中の七十七トンは糖蜜用、シロツプ用に、他の二十三トンは全縣下の乳兒用に配給されたという報告でありました。その後において社員配給の不正があつたと言われたが、この三百五十トンは實際上確認されたものは全然ないのであります。しかもその後大仁警察の司法主任等が、さらにまた東洋釀造に砂糖が隱されておるという情報に基いて、相當深刻に調査したところが、どうしても砂糖のありかが知れない。たまたま社員の堂食で一服やりながらお茶を飲んでいると、その食堂のすぐ前にある倉庫の下の方に穴があいておる。この穴に蜜蜂が盛んに出入りする。どうもおかしいというので目をつけておると、はいつて行つた蜜蜂が體に白い粉を一ぱいつけて飛んで來る。これは砂糖があるに違いないというので、刑事が指摘して無理にその倉庫を開けさしたところが、靜岡、沼津檢事局において保管された八十三箱の三盆白と、百十二袋の砂糖であつた。さらにあまりたくさんはないが各方面の倉庫に、いろいろな形において亂俵と稱されて隱されておつた砂糖が相當あつたのであります。第一囘は現に百四十七トンの過剩トン數においてもわかつておる通りであります。從つてその砂糖の行方の一貫目に至るまで徹底的に追究をして、しかるのちにこのことを國會に報告され、斷じて閣僚に關係がないという證言をなさるならば、これは司法大臣としてりつぱな證言と言い得るのですが、現在の段階においては先ほど申しましたごとく、沼津の檢事局においてはその過程において、いかなる理由が途中から放棄しておる點があるのであります。先はど小島委員が本委員會から調査にまいつて滿足することができ得ないという言葉をもつて言い現わしたのはすなわれそれであります。しかもはなはだしきに至りましては、取調中に三島に配給すべき砂糖がトラツクに一ぱい積んであつた。二十四貫俵、四十俵を積んであつた。ところが大仁から三島に出る途中においてその砂糖が行方不明になつておる。さらに終戰時においては海軍に二千三百トン渡したが、海軍のだれに渡したか知れない。その砂糖の調べ、こういうことについて一つも追究しておらぬ。特にはなはだしいのは運賃の代りにやつたというその砂糖が、どういう形に消費されておるか、全然調べてない。そういう沼津の贈收賄事件と言われるところの原川事務官に對する取調べは、檢察當局においてはこれを贈收賄というように重く取上げておらぬ。近い將來に何かの形で終りになるという輕い意味でお考えになつておるのであります。例をあげれば枚擧にいとまありませんが、かかり薄弱な根據をもつて鈴木司法大臣が本委員會に報告をされたからには、われわれは司法大臣の考え方え方にいささか疑惑をもたざるを得ないのであります。そこで司法大臣は先日この委員會において報告せられた點についての根據と、今日われわれ委員が調べた結果のすべてを總合いたしまして、今後いかなる方向にこれを進めていこうとされるのか、この點について明確なる御答辯を願いたいと思うのであります。
#8
○鈴木國務大臣 前會の私の答辯が不完全であつたことにつきましては恐縮に存じます。實は檢事局の調査というものは、あらかじめこの委員會の御要求に應じて出したものではないのでありまして、昨年十二月頃東洋釀造株式會社が砂糖をもつて大規模に糖蜜をつくり、これを高値にやみに流して、價格違反をやつておるという疑いに基きまして、主力をその點にだけ注いで調査したのでありまして、その點の違反事實は正確に調査されて、それぞれ處分も終つたのでありますが、それ以前の砂糖の處分數量は現存しなかつたために、調査が困難であることと、當時關係者の供述がはぼ一致しておりましたために、大體そういうように處分されたものと認めて、再調査をすることなく、糖蜜事件捜査當時の調査報告を私まで提出しまして、私もまたこれを本委員會に御報告申し上げたわけでありまするが、糖蜜及び贈賄に供ざれた砂糖以外の砂糖の行方處分についての調査が十分精密でないことは私もこれを認めるのであります。ただこういう問題になるとは考えなかつたために、當時糖蜜問題にだけ捜査を集中いたしましたから、その以前の砂糖の數量というものは推定にかかるもので、大體終戰後千五、六百トンの砂糖があつたものと見られる。いろいろな關係から逆算して千二、三百トンが殘つておつた。しかして千トンが正規のルートに配給せられ、三百五十トンが殘つた。そのまた二百トンが正規のルートにまわされて、百トンが糖蜜に使われたというようなことになつておつたのでありまして、檢察當局としては糖蜜事件を扱う限りにおいては自分の捜査は間違いがない。これで公判になつても崩れることはないという信念のもとにやつたと報告されておるのであります。但しその前の方については精密に調査する必要がないと當時考えて、大體各關係者の供述も一致するのであり、今日なくなつた砂糖を探すことは容易でないことでありますので、そのまま報告を出したということに相なつておるのであります。但し農林省の配給したという數量と、檢事局が供出によつて得たところの千トンとの間に開きがありまするので、その點について再び當時の書類につきまして調査を命じまして、その結果前囘御報告を申し上げたようなこまかい點を御報告申し上げたわけであります。その數量がきつちり合わないということは私も認めたところでありまして、今日からこれを捜査することは非常に困難ではあろうが、しかしどうもおもしろくない。一貫目の末に至るまでなるたけ正確にありたい。こう考えましたるがゆえに、少くとも本委員會に私が報告した趣旨は、閣僚は關係がないということだけは確信をもつて申し上げることができる。こういう點に力を入れたのでありまして、砂糖の數量を一貫目の末まで間違いなく御報告を申し上げるというような氣持は毛頭なかつたのであります。その點はどうか御了承を願いたいのでありまして、その後私もはなはだこの數量については不滿足でありまするから、檢事局に命じまして、さらにあらためて今日からでき得る限りの捜査をせよ。そもそも終戰後何トンの砂糖があつたか。それがどいういう方面にどういうふうに使われていつたか。十分徹底的に捜査をし、もしその間に犯罪その他のことがあるならば假借なくこれを摘發すべしということを命じたのであります。その方の調査はただいま進行中でありまして、捜査の機密にわたりまするから、ただいま御報告をいたす自由をもちませんが、遠からざる將來において御報告を申し上げることができようと思うのであります。少くとも、正義の要求するところ、私はこの問題につきましては、一貫目の末に至るまで、できるならば明らかにいたしたい。こう考えまして、檢事局に命じておる次第でありまするから、その點は御了承を願いたいのであります。
 また第一倉庫にだけ千トンあつたというような先ほど小島君の御報告でありまするが、檢事局の取調べの報告にも、二號倉庫にも七十俵、石藏には九百袋、それから川野宅の石藏に三百袋藏されておつたということは報告されておるのでありまして、これらも皆入れて千三百五十トンと推定された數字になつておりますから、その點については、今後精密なる調査の結果正確なることがわかつてくるであろうと思いますが、決して無視したのではない、氣づかなかつたわけではないということは御了承おきを願いたいのであります。そういうわけで私も、前囘の閣僚に關係なしという點につきましては、これまでの捜査をもつて十分に信念をもつて申上げることができる。殊に問題となりましたのは矢島某が永田某にに詐欺の手段として使つた閣僚の名前でありまして、それがいろいろな方面に傳わつて、現閣僚中に關係者ありということに相なつたのでありまするから、その根源だけは明らかに否定できるということを申し上げたつもりでありまして、今後この砂糖の數量が正確に相なりまして、すでに申し上げましたように、四十名ほどは起訴濟みであります。起訴せられて處分濟みでありまするが、さらに今後もつと多くのそういう犠牲者ができるかもしれませんが、假借なくそれはやるつもりであります。新しく出るということにつきましては問題は別でありますが、少くも前囘報告をした主要なる私の申し上げようとした要點は間違いがないつもりでありまして、數量については決して一貫目の末まで間違いないというような氣持をもつて御報告をしたのではないのであります。どうぞその點は御了承を願いたいと思うのであります。
#9
○中野(四)委員 根據の薄弱な點について率直に認められて詫びられる態度はよろしいと思いまするが、近頃の大臣に特に惡いくせと言いますか、盛んに議會で大見得を切つておいて、あとでぴよこりと體をかわす。この態度は私は非常にいけないと思うのです。先日平野君が自由黨の石田君からの質問に對する席上でもやはりそうでした。現にガレーヂでも何でも、建築法の違反にひつかかつておれば率直に認めて、これに對してはこういう態度をとると言えば、まことに男らしいりつぱな態度だと見られるのですけれども、平氣な顔をして斷じて關係なしというようなことを言うたかと思うと、裏面では平氣で奥さんが詫びにいくというような形が相當あると思う。いやしくも國會における發言は權威あるものとして、お互いの良心に問う明確なる根據の上に立つて答辯をすべきものと私は思う。ただいま司法大臣が四十何名起訴濟みだというお話でありましたが、その事實は私は白神檢事正あるいは杉村沼津檢事局の上席檢事に尋ねましたときには、それほどはない、ただいろいろ參考人として來てもらつたけれども、起訴なんかした覺えはない。しかも税務署の關係なんかに至つては先ほど申し上げましたようにきわめて薄弱であつたのであります。特に私が司法大臣に申し上げなければならんことは、矢島というのは元來詐欺の常習犯です。相當監獄に叩きこまれておつて、この問題が大きく新聞等に取扱われ、自分も一かどのある意味における名士になつたような氣になつて、いろいろ言を左右にする場合を考慮しなければならんと思う、すなわち矢島の取調べ過程において、現閣僚に關係がないという司法大臣の一方的説明は私は滿足することができんということは先ほども申し上げた通りです。この根據はあくまでも砂糖の一貫、あるいは百匁とは申しませんが、一貫の末端まで徹底的に追究し、司直のメスを加えて、しかる後においてりつぱな證據となるものを起訴いたしまして、初めてこの砂糖事件に關して現閣僚に關係なしということが明確に言えるのであります。現在の段階において三百五十トンの砂糖は、何人といえどもこれを確認した者がない。しかもこれが五百トンあつたか、七百トンあつたかということは當時その現場に居合わした者がひとしく目でお互いにうなずき合うような状況であつた。東洋醸造というものは當時それほど砂糖があつたのであります。でありまするがゆえに、この砂糖の行方で現に實該として檢事局の帳簿のリストの上に上つているところの問題に對してのみでも、檢事局は徹底的にこれを追究する責任があると考えるのであります。しかるにこれを途中において放棄しているような現状で、今日以後――ただいま司法大臣は今後相當發展過程があるというように私は聽きましたけれども、私らが檢察當局に參りました状況においては、おそらくこれからこれ以上發展するとは考えられません。私は沼津税務署の問題にいたしましても、むしろこれがどこかでだんだんもみ消させてしまうというような傾向にあるのではないか。いわんや三百五十トン、後におけるところの百四十七トンの糖密事件は、事實上の價格統制違反として取扱つておるけれども、私は、いま一歩深くつつこんで、ほんとうにこれがシロツプであつたかどうか、糖密であつたかどうかということを十二分に檢察當局はメスを加える必要があるのである。私などが、司法主任、警察署長に状況を聞きますと、これはシロツプでも何でもない、砂糖を水で溶かして薄めてどろどろのものにして、普通のもので運ぶと色がつくのでドラムカンの中に入れてすつかり封印をして東京まで送つて、東京の三福産業とか、三福商事とかいうものがこれをただちに釜で煮かえして、また元の砂糖に還元してこれをやみで賣つておつた。こういう事實をだんだんと摘發してまいりますれば、現在二百トン、三百トンという行方不明の砂糖が、どういう經路を傳わつて閣僚のもとにまわつておらぬとも限らぬのであります。こういう點について司法大臣が矢島の一方的な證言をもつて永田何がしにいわゆる虚偽の事件を捏造したものであるというような、一つのあなたの一方的な事實を示して、閣僚にないというような言葉は、斷じてわれわれのとらざるところであります。さらに私は一應念のため承つておきたいのでありますが、今日檢察當局がこの問題に對して熱意をもつてやつておるかどうかという點であります。遺憾ながら調査にまいりましたわれわれ委員は、熱意どころかむしろこの問題がこれ以上うるさくなることをきらつておる。忌避しておるというふうにとつたのであります。あなたが眞に熱意をもつていらつしやるなれば、ただちに下僚であるそれぞれの機關に命じて、一貫の砂糖の行方まで徹底的に追究するという熱意があるかないかという點を、この際とくと司法大臣より承つておきたいと思います。
#10
○鈴木國務大臣 今申し上げますように數量の點については、中野委員は二、三百トンが行方不行になつて、おるというふうに仰せられるのでありますが、ただいまのところ責任ある意見は申し上げかねる状況であります。疑えばどにでも疑われるのでありまして、シロツプになつた數量だけは正確にわかつたのでありますが、その以前の砂糖の數量は正確に今のといろまだわかつていないのでありますから、もとより徹底的に調査をいたしまして、今後閣僚に關係者が現われるというようなことがありますなれば責任を明らかにすることは當然であります。また私も責任をとるつもりでありますが、しかし議會で問題になつたときの閣僚に關係ありというのは、ただいま中野委員が仰せられるような根據をあげて怪しいぞというのではなかつたのであります。その根據については完全にこれを撃破することができたのでありますから、私はその當時において責任をもつて申し上げたのでありまして、その點は今なほ誤りないと信じております。今後捜査の結果千トンあつたのか、千二百トンあつたか、それ以上あつたのか存じませんが、その數量の中にやましいものが現われてくるということでありますれば、これはまた別個の問題として論じなければならぬのでありますから、それについて十分に責任をとるということを申し上げておきます。なお下僚が熱意をもつては調べるかどうかということにつきましては、いろいろな犯罪の捜査におきまして、司法大臣みずから捜査するのではないのでありまして、ある部分は警察に依頼をし、ある部分は檢事の熱意に頼らなければならぬのであります。それらがみな一致協力して大いにやつてくれるということでなければ、いかなる犯罪の捜査もできないのでありまして、それができないことはすなわちわれわれの不徳のいたすところ、まことに恥じなければならぬのでありますが、ただいま私の聞いております範圍では、豫備調査、準備のために時間を費しておりまして、表面に現われたる活動はしておらないようでありますが、十分なる熱意をもつて、當時關係のない高等檢察廳の有能なる檢事をもつてこの任にあて、捜査に著手いたしておるのでありますから、中野委員が仰せられるようななるたけ發表しないことを希望するというようなことは萬なかろうと信ずるのであります。
#11
○中野(四)委員 貴重な時間ですからあまりあげ足取りはしたくないと思いますが、私の申上げた三百五十トン以上の砂糖の行方に閣僚に關係があるかないかという點について、私はその觀點からお尋ねをしました。ただいま司法大臣の御答辯によれば、別な點について根據がある。これを反駁することはできる。こういうようなお言葉でありました。世耕さんもちようどここにおられるが、世耕さんは機會のあるごとに盛んにあの矢島松朗のうしろにはさらに大物がいて、いろいろからくりしておるというようなことを知らぬかというような意味深重なことをば再々言うておられます。このことはよく新聞等取り上げられておりますが、またいかなる根據に立つて現閣僚に關係があるのか、あるいはそれが全然なかつたというようなことは、こういう公開の席上においては明確にされておりません。さいわいの機會でもあり、短い時間で結構でありますから、鈴木司法大臣が根據をもつて十二分に撃破することができると言われる現閣僚に關係ありと言われた點について少し御説明が願えれば大變仕合せだと思います。
#12
○鈴木國務大臣 そういう御質問でありますれば資料をもつてまいるのでありましたが、資料がなくとも大體申し上げられると思います。世耕氏が自由黨の代議士會において現閣僚にも關係なしとせずと言つた後、種々問題となりまして、新聞記者諸君などがいろいろ訪問をされ、探索された結果、それが永田某から出ておることが明らかになり、永田は現に矢島の詐欺の被害者として檢事局に告訴を提起しておるような次第でありますから、結局これは矢島が火元である。しかして矢島は和田農林大臣の許可を得ているんだ。この砂糖は木村大臣の許可を得てもつてくるのであるから絶對確實なものである。そうして一條公爵もこれには關係しており、三宅男爵も關係をしておる。それだから間違いない、安心せよということで、四萬何千圓かの金をとつておるのであります。でこの矢島のうしろの大物なるものは、矢島をとらえて十分に糾問いたしました結果、まつたく私の創作であり、でたらめでありましたということを白状しておるのであります。その檢事局における調書をただいまここにもつてきておりませんが、後日發表をいたしてもよろしいと思つております。矢島自身が、これはうそであります、和田大臣とか、木村大臣とか一條公爵――三宅男爵のごときは架空の人物でありまして、私が一人二役を勤めたのでありますと、まで言つておるならば、これくらい間違いのない事實はない。その背後の大物が皆自分のつくつた人物である。詐欺の手段としてもうけたいからそういう名前を拜借し利用したのであると言つている以上は、どうもこれ以上大物が、その背後にあるとは常識上考えられないのでありまして、私も長い間法律事務に携つて、まずこの邊までくれば斷言して差支えないものと私は考えておるのであります。萬一それが間違つております場合には責任をとることはもちろんであります。それどこの席上においても御報告を申し上げたのであります。
#13
○中野(四)委員 司法大臣の明快な御見解によりますれば、こういう結論を得てよろしいでしようか、すなわち去る日の世耕君の自由黨代議士會におけるところの發言に基く現閣僚二、三名に關係なしとせずと言うたことは、まつたく事實無根のことであつて、さもあるがごとく言いふらしたのだということが、矢島松朗を調べた結果明確になつた。この點については司法大臣が責任をもつてはつきりと明答ができる。こういうふうにとつてよろしうございましようか。
#14
○鈴木國務大臣 それは少し早まりすぎるのでありまして、世耕氏がどうこれから言われるかということにかかる問題でありまして、私どもはあの時の情勢において、あの時まで得たる資料においては、世耕氏は矢島某のつくつたところからだんだん永田氏の言を信じ、ああいうふうになつたと推定したのであります。もし世耕氏が別な見地からあの砂糖全體が怪しいのである。一貫目の末まで掘つていかなければならぬ現閣僚の中になめた者がないとは保證できぬ、こう仰せられるならば、これは天下何人が言つても言い得ることでありまして、また別問題になりますから、私はそういう斷言は今いたしかねるのであります。あのときまでに現われた資料と常識によつて判斷し得る限りにおいては、現閣僚に對する一種の輕い意味の誣告罪、輕くもない重い誣告でありますが、その誣告を根據なきものと私は言い得たと信ずるのであります。人間の言うことには、そのときによつてだんだん變化を來しますから、中野君の假定的御質問に對して、私が責任ある斷言的なことはいたさない方が無難であろうかと考えます。
#15
○中野(四)委員 これはどうもなまずをつかまえているようでつかみどころがはつきりしない。世耕君の言われるのは、やはりあなたが申された後者の方を言われているのだろうと思う。砂糖全般にわたつて閣僚が相當なめておつた。少しどころではない。相當なめている。それによつて今度相當選擧に活動されたというふうに認定をされているのだと私は思うのであります。殘念ながら鈴木司法大臣の證言によりますれば、詐欺犯人の辯ずる方法を述べて、いわゆる一方的に證言されて、これを否定するといういき方は、私はあまり感心いたしません。しかしながらこの問題は世耕君もおられることですから、相當の自分の政治的信用にも關し、さらに責任にも關することでありますから、後ほど明確にされる機會を希望して、あえてこれ以上深く申し上げません。
 さらに、私はこの機會に商工大臣にお尋ねを申し上げたいと存じます。水谷商工大臣に、先日委員會におきまして、私はたいへんくどく差益金の全國の資料を要求いたしました。九月の十五日までに必ず出す。この點については何やら課長さんがおいでになりまして、くどくどとお話を聽きました。事情まつたく了承することはできますが、私が七月三十日にあえて片山總理大臣のおいでを願いまして、この隱退藏物資等特別委員會の性格を説明し、さらにこれを積極的に目的達成をせしめんとするならば、資料、あるいは證人、證言等に對しては政府は積極的な行動をとり、熱意をもつてこれにこたえるという答辯を得て滿足したのでありますが、その後委員長を通じてあらゆる資料を要求しております。しかしながら殘念にもその資料は遲々としてまつたく出てまいりません。出てまいつた資料はことごとく後家さんか、ちんばで、一通り滿足にわれわれが目を通し、これを根據にすべての審議を進めるという過程にまいらぬのであります。いわんや私が商工大臣に先日要求をいたしました資料と申しますものは、少くとも全國から國民の熱意、官僚の熱意―熱意があるかどうかしりませんが、とにかん一應摘發されたものが、せつかく摘發されながらこれを正規のルートに流すことをせずにあらゆる機構に束縛されまして、各官廳にこれが退藏されている事實があることを指摘いたしました。この隘路を速やかに打開して正規のルートに乘せたい。一方においては現段階におけるところの差益金を政治的に大きく調査をする一つの案を私はもつておりますので、これによりまして差益金の調査を要求いたしましたが、殘念ながら商工大臣は先日のお約束と全然違ふこの資料の一部を提出されたのみであります。そこで、私は後はど委員長から特に政府に向つて、今後の資料の提出に関しては嚴重に警告を發することと存じますし、常然この委員會の總意によつてこれを政府に要求すべきものであると考えておりまするが、特にこの際伺いたいのは、この資料がきわめて微温的な資料でありますが、資料の一番最後のところに繊維製品が相當配給未完了として残つております。パーセンテージは今明瞭にわかりませんが、相當たくさんここにもつております。この品物がどういう形において退藏されておるのか。あるいは今後これを配給するとするなれば、どういう機會に、いかなる方面にこれを配給しようとするのか。この機會に商工大臣より伺いたいと思うのであります。
#16
○鈴木政府委員 御配付申し上げました資料につきまして御説明申し上げます。本資料は三月二十日現在の資料でありますので、繊維製品につきましてはなおこの程度の在庫があつたわけでありますが、その後本年に入りまして以来、これら保管いたしております未配給の製品もそれぞれ配給に充當しておりますので、その後は相當滅つておると思います。ごく最近の數字につきましては、目下調査しておりますので、その資料の整備いたし次第、最近の状況を御報告するようにいたしたいと考えます。
#17
○中野(四)委員 そんなことを私は質問しはしない。私が先日要求しました資料は――私はこんな微温的なものを要求したのじやない。全國各府縣に、摘發され退藏されておるものがたくさんある。現に商工省に報告しようとして、各縣から、一縣からこのくらいの資料が來ておる。それを集約して、あなたの方でこういうような數字にまとめたのでは、どこを根據にして、私らが質問していいかわからない。少くとも各縣から摘發物資としてこれを處理した、あるいは殘存物資はどういうふうになつておるというようなことは明確に來ておるはずだ。あなたの方は九月十五日までにこれを取寄せるように言つておられるから、私はあえてその後三週間、このことを早く知りたい、詳細に知りたいと存じまするがゆえに、今日まで待つておつたのでありますが、出てきたものは、このような貧弱なものです。しかしながらこれは仕方がありません。あなたの方の課長さんが見えたときに、さらに明確なる資料を提出するように要求をいたしました。時日はかかる、たいへんだという話です。あたりまえのことです。相當たいへんにきまつておる。終戰後におけるあらゆる日本の物資を徹底的に今日まで指摘して、これを正規のルートに乘せて、日本復興の資材不足に充足しようという大きな構想と、大きな目的をもつておる本委員會であります。從つて、その資料を提出するにあたつては、なかなかなみ大抵のことでないことだけはよくわかつておるのであります。しかしながらあえてこの難關を突破しなければ、ほんとうに偏在している物のありかがわからないから、このことをわれわれは要求したのであります。資料の點については、最も明確に委員會の希望通り、たとえたいへんであろうとも、速やかにこれを出していただくことを、あなたにお願いしたい。ただ私が商工大臣にお尋ねを申し上げたのは、この退職されておるところの、現在未配給の退藏品をどういう方面に、いつの時期にこれを配給するつもりか。こういう點について商工大臣の熱意あるお答えが願いたい。こういう意味でお尋ねしたのであります。特に繊維製品です。
#18
○和田國務大臣 私からその點代つてお答えいたします。繊維製品は結局リンク物資としまして、政府が一定の國家計畫を立てて、重點産業に從つておる勞働者なり、あるいは農民に對する供出のリンク物資として使いたい。こう考えておりますけれども、昨日の閣議で隱退藏物資として出てきました物は、できるだけこのリンク物資として活用するという項目を入れましたリンク制度の擴大と計畫化の要綱が決定されましたわけでありまして、そう考えておる次第であります。
#19
○中野(四)委員 和田さんのお答えだけじやなかなか安心ができないのです。これはなかなか簡單な物量ではないのであります。あなたはごらんになつておるかどうか知りませんが、課長さん長官に上げてありますか、これはただ商工省で扱つておる一部の物資なのです。一都二府四十五縣にわかれた全國の相當廣い範圍にわたつた各縣廳には相當な物量が現在退藏されておるのであります。これを商工省なり、安定本部なりにおいて一貫して配給しようというのでありますから、そういうような御答辯ではなかなか納得ができぬのであります。少くともこれに對してはどの方面へどの時期にどういう方法で配給するというような明確なる計畫がなくてはならぬと思うのであります。ただ端的にやるつもりだという程度のことでは滿足することはできません。しかしながらそれもくどくど申すよりも、あなた自身の良心に問うて、速やかにこれをその目的の方面に配給されんことを希望するのでありますが、さらに私は商工大臣にこの點伺つておきたいのは、俗にいう世耕事件というもので相當大きな詐欺事件が起つております。特に栃木縣の物資摘發にからんで、山形縣の農業會は、當時世耕君の言葉によりますれば、食糧事情窮迫した時代でありますので、なんとかして全國の農村より生産された品物を早く農民の熱意により供出をしてもらいたいという建前に從つて、栃木縣方面で摘發されたものをば山形縣の農業會に――ここに五十萬着としてありますが、相當量配給してやるということを當時の内閣において約束されておるのでありますが、その後世耕君のどの摘發指令書によつていきましても、どれもこれもことごとくが大體間違つておつて、實際上の隱退藏物資でなかつたという結果に基いて、思うように配給ができておらぬ、ところが一方農業會においては、當時山形縣は六〇%しか供出をしておりません。これに對していわゆる一〇〇%の供出をするならば、必ずこのものを拂下げてやるというような言葉に從つて、農業會では昭和二十二年の一月末には六五%しか出ていなかつたものが二月に六九%、三月には九二%、さらにもう品物が來るだろうというので四月末には一〇〇%、さらに六月末には一〇四%を突破しておるというようなわけで、山形縣の零細な農民は政府の約束した軍被服、あるいは日用生活必需品を旱天の慈雨のように待つておつたというのであります。しかし殘念ながらこの問題はあらゆる支障があつて、現在に至るまで山形縣には配給をされておらぬ。從つて山形縣の農民は今後においても相當供出面に支障を來するおそれがある。この點について現在たくさん退藏されておるところのいわゆる商工省關係の繊維製品の中からでも、一應農業會の方面に配給してやる意思があるかないかということをこの際商工大臣から承つておくことは、將來の農村より米、麥主食の供出に對して重大な影響があると考えますので、明確なる答辯を願いたいと思うのであります。
#20
○水谷國務大臣 ただいま御質問の點でございますが、これは純然たるブローカーが見込違いをしたというのは放つておいても差支えないのでありますが、ただいま御指摘のような農業會等が詐欺の被害者となつて、その關係上農民諸君に非常な御迷惑をかけた、その結果御指摘のような供出問題にも影響するということは、私も非常に心を痛めておる次第であります。しかしこれは一商工省の問題でなしに、内閣全體の問題であるというふうに考えておりますので、適當に相談をいたしまして、正直なる農民諸君に御迷惑のかからぬよう、できるだけやりたいとは思つておりますが、今商工大臣としてははつきりお答えできませんので、これはいずれ總理あるいはその他然るべき人々と相談いたしまして、内閣全體の問題として一つ考えてみよう、このように考えております。
#21
○中野(四)委員 大變理解のある水谷さんの御答辯で一應滿足していいと思いますが、しかしながら油斷はなりません。うまいことを言つておいて、あとでほんとうに配給がなかつたときには、實際上において全國の農民の供出に直接影響することでありますから、このことたるや商工大臣が端的なる問題でないとは仰しやるけれども配給の面においては商工大臣が相當責任を負わなければならぬのであります。ゆえに將來このような形において、現在旱天の慈雨のごとく待ちに待つているところの農民がだまされたという政治上のまずい結果をみないように、政府においても嚴としてこの點を實行されんことを衷心より希望しておきます。
#22
○小島委員 私は四時にやむを衞ない用で退席しなければなりませんので、その前に一言中野委員の質問に關連して申し上げて、鈴木司法大臣の御答辯を承りたいと思うのであります。實は先ほど司法大臣が閣僚に關係がないと斷言されたその根據について御説明があつたのでありますが、それは矢島某の作製した一つの作り話に基いたものであつて、そういう事實は全然ない、かようにおつしやつたのでありますが、これにつきまして中野委員は、世耕君の言つたのは、この矢島某が作り事をして、それに基いて閣僚に關係ありと言つたのではなくして、靜岡縣の大仁東洋釀造株式會社の砂糖全般に關して閣僚に疑いがある、露骨に言えば、その砂糖はなめたんじやないかということで閣僚に疑いがある、かように世耕君が言われたのではないかというような言葉がございましたけれども、實はこの點につきましては、私はいつかの委員會で世耕君にその點を確かめましたところが、世耕君が閣僚に關係あるかも知れぬという意味のことを自由黨の代議士會で言つたのは、この矢島某の情報に基き、いわゆる有村氏の報告に基いて言つたのであるということを明言されたのであります。從つて司法大臣もおそらく世耕君の明言竝びに矢島某を取調べた結果に基いて閣僚に關係がない、かように言われたのだと思いますがいかがでありましようか、その點司法大臣からお聽きしたいと思います。
#23
○鈴木國務大臣 小島委員の御質問の通りでありまして、少くもあの閣僚に關係云々の問題は、そういう根據に基いて言われたことが明らかになりましたから、それについては關係ないということをはつきり申し上げたわけであります。もし中野委員の言うごとく、どこかに砂糖があつたがそれがなくなつた、たれがなめたろうということであれば、これは因果關係が無限に擴がるのでありまして、そういうことを土臺にして現閣僚を疑う、あるいは全議員を疑う、たれでも疑いたければ疑えるのでありまして、問題がだんだん議論をやつておりますうちに論點變更の錯誤に陷つては困るのでありますから、私は少くとも小島委員のただいま仰せられた意味において、問題に一つのピリオドを打つておつたわけであります。中野委員が仰せられたような意味では、問題は全然振出しに戻るということを御了承願いたいと思います。
#24
○加藤委員長 この點につきまして、さいわいここに世耕君がおられますので、世耕君からあらためて、世耕君の意思がどこにあつたかということをはつきりしてもらいたいと思いますが、いかがでありましようか。
#25
○加藤委員長 御異議なければ世耕君から、その點いずれであるかということをはつきり御説明願いたいと思います。世耕弘一君。
#26
○世耕弘一君 私の發言がはしなくも大きな問題を投げかけた結果になりましたが、結果から申しますれば、政府側の發表は、矢島某が作つた作文だと、かように説明されておるのであります。最初に新聞に發表されたのは、結果論から見た矢島某の取調べた結果だけしか報告されてなかつた。事件の本筋は、むしろ東洋釀造の砂糖にあるのであります。東洋釀造の砂糖が、數量においてりつぱに處理されておつたということが明らかになれば、おのずから本問題は解消されるものと思うのであります。先ほど中野委員からお話がありましたごとく、どうも東洋釀造の砂糖の量竝びにその處置について、多くの疑問が起つておると私は思うのであります。できればこの機會に東洋釀造の砂糖の行方、すなわち處置に對して、檢察當局の徹底的な成動を私は要求いたしたいと思うのであります。なお申し上げたいことは、私のところへ信州の諏訪から手紙がまいつておりますが、それによりますと矢島某の後には、實は大物がいて、一切のことをやつていたのだが、その大物が結局矢島に罪を塗りつけておるのだ、そこをしつかり見抜かなければいかぬぞというような、注意的な手紙をよこしてくれた者もあります。聞くところによりますと、矢島某なる者は、非常に天才的な詐欺漢であり、また非常な大うそつきだということを、言うておられるようであります。大うそつきの人間をとらえて證據にあげても、はたして證據としての價値があるか。むしろ矢島以外のところにメスを入れていただかなければならない。その點に食い違いがありはせぬかと、私はかように思うのであります。私といたしましては、有村君から提出された好意ある文書に基いて、關係なしとは言わぬということを發表いたしたのであります。あの文書は加藤委員長の手もとにも提出しておりますが、ただ單純な作文とのみ見逃し得られないような文書の構成であります。一應犯罪ありと、おそらく檢察當局も見られるであろうような文書であります。ゆえにこれまで報告されただけでは、雲散霧消したとは私は納得できないのであります。できればこの機會に檢察當局の徹底的な活動を、お願いいたしたいと思うのであります。私の集めました情報、竝びにただいまの小島君竝びに中野委員からの調査報告を見ましても、むしろより以上の疑問が、あの東洋釀造の砂糖に含まれておるような感がいたすのであります。どうぞこの機會に問題を速やかに解決し、この疑問を明朗化する意味において、委員諸君の特段の御努力を仰ぎたいと希望する次第であります。
#27
○鈴木國務大臣 政府委員としては質問する權利があるかどうか存じませんが世耕委員の發言ははなはだ重大でありまして、そういう心掛をもつて世の中に對するならば、無限に世の中に波紋を起して、收拾すべからずということになると思うのであります。實に許しがたき發言であると思う。いやしくも現閣僚に何か關係ありという信念があるならば、その證據を提出せられんことを求めます。それがないならば斷じて公の席上において、無責任なる發言をすべきではありません。いやしくも教養ある人間がなすべきことではないのであります。明らかなることは、人を指さないだけのことである、全閣僚に對する侮辱であります。願くば證據を提出せられんことを希望します。私どもは喜んで閣僚といえども起訴する。斷固としてやる覺悟をもつて、今捜査を進めておるのであります。これに手を貸してくださることを希望するのである。全委員諸君の奮起を促すなどと、餘計なことであります。御自身がそれだけの信念があるならば、その根據をお出しくださることを希望いたします。なお矢島の背後に大物あり云云というがごときことは、矢島がいかなる動機で詐欺をし、その得た金をどういうふうに使つたか。いかなるものが死藏されたか。すべて背後關係も調査して上でのことでありますから、矢島のうしろに大物がおるなんということは、荒唐無稽もはなはだしいものでありまして、われわれ檢察當局におきましては、でたらめであることがあまりに明らかでありますから、責任をもつて言明をいたしておるのであります。今もつて諏訪から手紙が來た、だれがどう言つた、そういうことを一々信じて公の席上において、人の名譽に關することをしやべり散らしまするならば、波紋は無限に擴大するだけのことであります。國會の權威のためにもとらざるところでありますから、何とぞそういう發言はやめていただきたい。やめないならば責任をとつていただきたいということを希望いたしておきます。
#28
○世耕弘一君 妙なことを司法大臣は御發言になる。私は發言を求められたから、それに對して私の意見を言うのである。それがなぜ惡い。しかも私に對しては隱當を缺くような答えをあなたはなさつたじやありませんか。私は中野委員竝びに小島委員の報告を聽いて、もつと徹底的なお調べを願いたい。私はむしろ疑問を生じたと言つておるではありませんか。それがなぜ惡い。私はあの問題はすでに解消したものと思うております。ところが本委員會はさらに熱心にこれを追究されて、御調査になつておる。私は當然のことだと思う。私は發言するつもりはありませんでした。それはもうすでにこの問題は調査會にかけられておるから、私は發言を求められる以外に、強いて發言を求める必要がないと思うたから默しておつた。公の席上で云々というのは何事です。私は發言の自由をもつております。けれども發言をすると同時に、責任を感じております。疑惑を一掃してほしいというのが私の今の發言であります。事實であるからこれを指摘しろと私は言うておる。それがなぜ惡い。あなたこそ少し過言じやありませんか。愼しまれるのはあなた自身が愼まれたらよいでしよう。御答辯を承りたい。
#29
○小島委員 私はただいま世耕君の發言を聽いたのでありますが、世耕君は中野委員竝びに小島委員の報告に基いて疑惑が非常に起きた。その疑惑をはつきり解いてほしいと言われるのであります。しかしながら世耕君が閣僚に關係ありと聲明せられたのは、今の中野委員竝びに私の報告する前に發言されたのでありまして、この疑惑を根本として閣僚に關係ありということは、斷じてないと思うのであります。現に世耕君は有村情報が根據であるということを、この委員會で言われておるのであります。いまさら中野委員と私がこの席上におきまして、東洋釀造の砂糖には千三百五十トンのほかに、多少曖昧な砂糖がある、そこまで徹底的に追究する必要があるのではないかということをとらえまして、私はこれは閣僚に關係ありとは毛頭思つておりません。この曖昧な砂糖があるということを申し上げたことを根據といたしまして、閣僚に關係あり云々と言われる理由は毛頭ないと思うのであります。世耕君は少くとも現在の段階に至るまで、そういうことを言われていないのでありまして、今初めて知つたと言われております。閣僚に關係ありということは、今まで世耕君の頭の中になかつたのであります。私はその間におきまして世耕君と司法大臣との間に水掛論をされることを好まないのであります。殊に私と中野委員の報告に關して云々言われることは、この問題をますます紛叫させるのみでありまして、これは私たち調査した目的とまつたく違うと思うのであります。この點をはつきりしておきたいと思います。そのために私は發言したのであります。
#30
○世耕弘一君 私が有村君が私のところに提供してくれた資料に基いて言うたことは、小島君がいつか私に質問をされたときにはつきり答辯した通りでありまして、それに間違いありません。ところがそれに關連して、今度改めて皆さんが御熱心に御調査になつた結果を私今承つて、さらに私は別な感じをもつたことをここに述べたのであつて、それ以外に何も言つていない。
#31
○小島委員 ただいま世耕君のお話を承りましてはつきりいたしました。少くとも閣僚關係の問題につきましては、ただいま世耕君の起された疑問は、まつたく關係のないものでありまして、ただ東洋釀造の砂糖において曖昧というか、はつきりしない數量の砂糖があるからこれについては徹底的に取調べてほしいという世耕君の御意思であつて、閣僚に關係ありと言われた問題とは、まつたく別個の問題であると了承する次第であります。さよう了承してよろしうございますか。
#32
○世耕弘一君 よろしうございます。
#33
○小島委員 そうだと世耕君もおつしやいます。その點において閣僚關係の問題は、一應解決したと私は了承いたします。
#34
○鈴木國務大臣 それではまるで大きい聲を出したのがむだになります。いかにも現閣僚に關係ありという説を維持されたから申したのであります。ただこの砂糖事件には怪しいところがあるから、まだ調べるというのなら、私は率先して考えておるところでありまして、現に東京檢察廳の二人の檢事は現地に行つて働いておるのであります。ますます徹底的にやります。ただ無責任に現閣僚に云々と言われることは默視しがたいのであります。
#35
○加藤委員長 ただいまの問題は、中野君の御發言の中に、世耕君の八月五日本委員會において述べられた言葉と多少食い違つた點があるから、その點を確かめたいというので、委員長から世耕君に發言を求めたので、砂糖そのものについての疑惑は、最初中野君の質問に司法大臣から答えられたときに、過去の報告において誤りがあつたということ、さらに問題は徹底的に調べる決意であるということをはつきり申されておりますので、その點はこの程度をもつて御了承願いたいと思います。
#36
○小島委員 私は委員長と同意見で、もはやこの問題は解決がついておる、あとは砂糖の曖昧なものを追究するということだけでいいのであつて、問題は解決しておる。この點においてピリオドを打つていただきたいと考えて發言いたした次第であります。
#37
○中野(四)委員 それはどうも小島委員の發言に食い違いがあります。私はこの砂糖事件が現閣僚に關係があるかないかということについて、解決がついておるということは、いささか越權の沙汰であろうと思います。三百五十トンの砂糖を調べに行つてみて、その三百五十トンを確認した者はだれもいない、しかもこれは四百トンあつたか、五百トンあつたか、實際上はかりしれない。そのあつたという反證は奈邊にありやと言えば、計畫經濟の價格違反等を取調べるうちに、砂糖が糖密になつた量を調べてみますと、相當數の過剩トン數が出てくるのであつて、從つてただいま申し上げた確認をしなかつたという點に關連して、相當量のものが横流れになつておる。これが果して世耕君の言われるように、關係閣僚に行つておるかもしれない。しかしながらこれは私には明確にわからないので、一貫目の砂糖の行方でも徹底的に司法大臣の威信にかけて追究して、しかる後にその基礎に基いて現閣僚に關係がないのだ、世耕君の言われることは絶對間違いであるということをはつきりしていただきたいということを先ほどお願したのであつて、司法大臣からもこの點については十二分に熱意をもつて今後取調べるという言質を得ておるのでありますから、この點は滿足しておるのであります。しかしただいま小島君の御意見の中に、これで一應終止符を打ちたいということがありましたが、なかなかもつてこの問題はさよう簡單にはかられぬと思うのであります。しかもこの問題はひとり國内の問題だけでなく、國際間にも發表され、ひいては日本再建における大きな信用問題でもあります。わけて世耕君の問題にあたられても、今後世耕君の政治的責任を大いに糾さなければならぬ問題が起ると思うのであります。あるいは檢察當局方面においては、相當愼重にこの問題を取扱つております。たとえ世耕君に實際關係がなくとも、その發言によつて起つた實害は近來未曽有の問題であります。このことたるや徹底的に追究する必要があると思うのであります。しからざれば農漁村の零細なる實害者は斷じて默することができない。こういう意味合におきまして、われわれは今後まだまだこの事件を大きく深く掘下げて、その結論を見出そうと思うのであります。いわんや今日檢察當局は世耕情報を中心にしてあらゆる全國の司法網を網羅して、この問題の摘發にあたつておるのであります。近い將來においておそらく檢察當局の取調べ過程を、たとえ祕密會を開いてでも詳細に聽き、しかる後に委員長の報告になる過程にはいるのでありますから、私はこの點端的に取上げて、これに終止符を打とうという小島委員の發言には贊成できません。間違えないように願います。
#38
○鈴木國務大臣 ほかの點は全部中野君の御發言に贊成であります。ただ新しくできた砂糖事件が怪しいから現閣僚に關係なしとせずという御議論を維持されることは非常に遺憾であります。千葉縣で魚が非常になくなつた、現閣僚に關係なしとせず、栃木縣で醤油がなくなつた、現閣僚に關係なしとせずこういうことが言い得るのであります。因果關係を申せば何とでも言い得るのであります。そういうことは確實な證據をもつていなければ言うていかぬということは、これは道徳的な常識であります。それでもう一度矢島を土臺にした現閣僚に關係あり云々についてはピリオドを打つたのでありますから、新しく閣僚を持出すことは御免をこうむる。確實な證據をもつている人は遠慮なく摘發していただきたいと思うのであります。こういうことをお願いいたします。
#39
○徳田委員 問題を改めまして鈴木君にお尋ねしたいのであります。どうしたことか安本長官その他が皆逃げ去るのでありまして、きわめて遺憾であります。水谷君は病氣だというので斷わりましたから、これはやむを得ない次第でありますが、和田安本長官は、何らの斷りもなしに退席せられたことはきわめて遺憾であります。殊にこの隱退藏物資に關係することは、將來に向つて非常に重大なことでありまして、和田安本長官の責任たるやまことに重大であります。監察局をもち、またこれらの配給に對して責任をもつものでありまして、そういう人大なる責任をもつ人がちよつと答えて、すぐさま何らの挨拶もなしに退席せられることは、きわめて本委員會を侮辱するものであります。從つて委員長はこのことに關しまして、特に和田安本長官に向つて警告を發せられんことを希望する次第であります。
 さて鈴木法相にお尋ねしたいのでありますが、非常なる熱意をもつてこれらの事件に對してお調べになつておるそうでありますが、ここに現われておるのは、この前も埼玉縣の事件で百萬圓事件というのがありました。これは三和銀行から詐欺をしたものを隱退藏物資――特殊物件を渡して、相殺をしてもらつたという事件であります。ところがこればかりではない。埼玉縣におきましてはさらに、九月十九日の東京民報でありますが、これには實に驚くべきことには、すでに特殊物王の受授は内務省と處理濟みになつておる以後におきまして、六十三萬點を横流ししておる事實があるのであります。ところがこの横流しもきわめて曖昧な點がありまして、たとえば熊谷の戰災者連盟に對して四萬五千四百五十一點を配給しておるのに對して、この連盟は一萬三千三百四十いくら、約三分の一しか受取つておらぬというような事實があるのであります。從つてこの特殊物件につきましては、きわめて深刻な、かつ非常に廣汎な大々的な犯罪があると見なければならないのであります。これはおこぼれだということを西村知事自身も認めておる。一體おこぼれとは何だ。政府のもつておるものをおこぼれとは何だ。いかなるものでも、末の末まで政府のものは政府のものだ。これをおこぼれとは一體何だ。それを見ますときわめて奇怪な事實には、内務省が特殊物件を供出せよと言う、供出せよとは一體何だ。たれかの私有物を出すとするならばこれは供出だ。しかし特殊物件とは政府のものだ。各縣廳がこれを保管しておるだけである。この保管しておるものを供出せよとは何だ。これはみんな政府に報告しておる。政府がこれを指令して、いかようにでも處分することが當り前だと思うのであります。これは正當のルートに乘すべきだと思う。この點は和田君がいないから質題ができず、眞相がよくわからないのでありますが、こういう事實があるべきはずはない。ところが割當てられたものよりもよけい供出したから、あとの殘りは勝手にしてもいいというふうに内務省から言われたという、こういうことは一體あり得べきことかどうか。そうしてこれをおこぼれだと言う。とんでもない話である。そのおこぼれを事もあろうに、ここでは皇族が登場いたしまして、李王家竝びに梨本宮家に對しまして、トラツクで數臺獻上をしたというようなことがあるのであります。その禮金として四萬圓をもらつた。この四萬圓は縣廳が収入しておる。一體こんなばかげたことがどこにあるか。特殊物件は政府のものだ。政府のものを獻上して、禮金をもらうというばかげたことがあるはずはない。こういう特殊物件をもらう一切の犯罪行為に關しまして、司法當局は實際上これを摘發するに熱意をもつておられるかどうか、この點をお聽きしたいのであります。
#40
○鈴木國務大臣 御説明のその具體的事件はまだ私よくわかつておりませんから、適切にお答えすることはできないかと思いますが、いやしくもお言葉のようなことがあるならば、それは不都合なことであります。ぜひ明らかにして犯罪に該當するものは檢擧したいと思います。さいわい徳田委員が材料をおもちならば、ぜひ御提供を願いたい。なお司法大臣一人熱意があつてもなかなかできることでありませんから、隱退藏物資の摘發については、特に熱意をもつておられます共産黨の各位等が絶大なる御援助を與えられんことを、私はひそかに期待しておるのであります。喜んでその材料に基いてやりますから、ぜひ御提供願いたいと思います。
#41
○徳田委員 それは結構なお話でありまして、共産黨といたしましても大いにやるつもので實は準備しておる次第であります。たくさんの事實をもつております。しかしながらややもすると、共産黨がやると今度は共産黨に逆ねじをくわらすような場合がたくさんあるのでありまして、これは相當の經過をまつて、これならば安心してわれわれが大得心をするという状態にならない限り、われわれは滿を持しておる次第であります。これは實際上官憲に對して疑い深い、なぜそう言うかというと、昨年われわれが摘發したものに對しては、われわれの同志が三百何十人も監獄に放りこまれておるのであります。われわれは一つも横領しておらぬ。全部公然と明らかにして大きい廣場で市民に分配しておるにもかかわらず、これに對して犯罪と稱して監獄にぶちこんでおる次第でありますから、われわれは十分疑つてよろしい。しかしながら鈴木法相がそれほどまでに言われますから、われわれもどしどしこれを提供したいと思います。
 ところでここで問題になるのを一つ申し上げておきたい。これは砂糖事件でもそうであるごとく、終戰のどさくさまぎれにどつと盜んでいつたのがたくさんある。これは砂糖事件でも報告なさつた通りでありますが、この報告の中に、私はちよつと聽き落したのでありますが、この砂糖がいくらあつたという帳簿、この帳簿が私は見つかつておらぬと思う。この帳簿はおそらく燒いておるのではないかと思う。ここに犯罪がある。これがあればきわめてわかりいいのであります。從つてこの砂糖事件のごときも、あなたも言われる通りすべて推定々々だ。一定のものがあつて、これがどうなつた、こうなつたと言つて調べておるのではない。あつちからこれが出たから、こつちからこれが出たから大體これぐらいだろうという當て事であります。これはほんとうから言えば、犯罪の捜査にはきわめて適當でない。一定の動かしがたい事實があつて、それから調べるならばきわめてやりいいのでありますが、みんな當て事當て事である。だからこれが今日きわめてむつかしい。しかしながら戰爭のどさくさまぎれにこの書類を燒き、そうして軍隊が大分もつていつたそうであります。二千三百トンという大きなものをもつていつた……。
#42
○加藤委員長 私語を禁じます。
#43
○徳田委員 それはどつちでもよろしい。まあ相當大きなものをもつていつたと思われます。そういう場合にこれを犯罪を認めて追究なさる意思があるかどうか。この砂糖事件というのは一つの例でありまして、非常にたくさんあります。莫大なものがある。そういうものがこういうぐあいになつておるとわれわれは大體認めておりますが、戰爭が濟んだその當時政府からもらつておつたものは部分のものであるというふうな考えでいろいろの處置をしておる。ここに隱退藏物資の根據があるのでありますが、これは私は明らかに犯罪だと思う。この終戰のときにいろいろ頭の中で錯誤をしておるけれども、これは錯誤は錯誤である。事實これは法律では犯罪だと思う。これを司法當局がこれを徹底的に追究しない限り、この問題はうやむやになる。この問題がうやむやになるのはここにある。そういう點、はたして司法省ではこれを犯罪と認めて追究せられるや否やをお聽きしたいのであります。
#44
○鈴木國務大臣 それは、仰せのような場合、具體的でないと、犯罪になる、ならぬということはちよつと申し上げかねますが、犯罪になる場合もありましよう。名儀だけでも拂下げを受けたというようなことで、さいわい免れる場合もありましよう。免れたとして、それは決して道徳的に免れ得るものではありませんが、司法當局におきましても、すでにそういう根據なき錯誤に陷つて横領をしております者は相當數起訴いたしております。今後も見つかりますならば、そうして構成要件を充たしますならば、起訴することはあえて辭せないのであります。
#45
○徳田委員 それならば申し上げますが、その當時、實は東久邇宮首相が、みんな軍需品を持つていつてもよろしい、こういうふうなことを命令せられたという、こういう命令がはたして適法であるかどうか。私は不適法だと思う。だから東久邇宮をこつちに出席を願いまして、これを一つ追究してみたいと思う。司法省もこれは大いに關係があるだろうと思う。これが違法である。かくのごとき命令を發する權限はない。總理大臣であろうと、だれであろうとないはずである。憲法上許されない問題である。また法律上もかかることは許されないのだ。國庫の所有物を勝手に持つていけ、そんなばかな話はない。だからいかなる人間が命令しようと、この命令は私は違法であると思う。違法であるからして、拂下げ云云、そういう命令があつてみたところで、これは無效だ。無償で拂下げるというばかな話はない。また拂下げ得るような權限をもつべき性質のものでない。そうしますと、これは徹底的にやはり追究しなければならぬのでありますが、この點を司法大臣は認められまして、東久邇宮を喚ぶ必要はないかどうか。もしあなたがこれを認められないとするならば、私は東久邇宮をここに喚び出して、十分その間の事情を聽き、これが適法なりや否やということに對しまして私は問題を提起しなければならぬと思います。
#46
○鈴木國務大臣 東久邇宮がそういう命令を出されたかどうかについては、私はまだよく調べておりませんから、責任をもつては申し上げかねますが、かりにあつたとして、それはあまり好ましい命令ではない、そして客觀的には違法なるものでありましよう。しかしこれを受けた人は、正當なる命令と思つて違法性を阻却しているということが考え得られる。しかしてこれを東久邇宮が發したといたしまして、どういう動機で發したかといえば、それが國家のためになる、この際緊急状體においてこれがとるべき途であると信じてやつたといたしますれば、積極的に國家に損害を加える目的をもつておらなければ、背任罪を構成しないのでありまして、客觀的には違法なる命令であるけれども、罪人は出てこないという事件ができ上がるわけであります。但しこの具體的な問題をどう扱うべきかということは別問題でありますが、そういうことに相なろうかと思うのであります。
#47
○徳田委員 實はそういう考えを抱かれるところに非常に大きな間違いがあると思うのである。あなたは先ほど檢察官の熱意云々に關して言われたのでありますが、當委員會が調べた範圍におきましては、檢察官がこういうものに對して全然熱意がないばかりか、こんなことはあたりまえだ、戰爭のどさくさ紛れに、自分の方に持つていたものはこれはもう自分のものだというふうなことを考えていること、特殊物件をむちやくちやに取り出したものが、これは違法でも何でもない、あたりまえのことだというふうな感じが檢察官みんなにほとんど行きわたつているように見受けられる。實はこの委員會において水あめ事件を調べましたときにも、その他の事件を調べたときにも、まつたくそうだ。だから當委員會におきましては、官僚のこの點に對する腐敗墮落というものは實におびただしいものだと皆さん感ぜられておるだろうと思う。私自身は實にここに禍根があると思う。これをしもあなたの言われるように、國を思うとか、あるいは主觀的にはそういうものは適法と思つているから、違法性を阻却するとか言われるようになつたならば、いよいよますますこの隱退蔵物資の事件というものは犯罪外である。誰でも勝手氣ままにやつたつて、そういうときに盜んだものはみなあたりまえだということになるわけである。實はこういう六十二萬點のおこぼれ云々もそういうところから發しておる。これは特別物件で、あの當時むちやくちやになつてしまつたものだから、持つている方のものになつてしまつたものだ。だから内務省でもそれを供出と言うておる。こういうばかな考え、おこぼれという考え、それからこれはもう自分のものだ、めちやくちやに使つてもよいという考え、こういう考えがそもそもこの問題の發生點でありまして、その後に至りまして、この特殊物件をまわり、あらゆる犯罪の横行したことは、かかる考え方から起つておると私は思うのであります。司法大臣はこの點に關しまして、政治的にまた常識的に考え、またわれわれの世界的な生活の發展から考えまして、戰爭當時徴用をしてむりやりこしらえたこの莫大なる國民の富が、かかる客觀的に見て違法な命令、しかもこれが國家のためだと考えることは、事實それは普通の人間じやない、よほど根性骨の腐つた人間である。いかなる場合でもそういうようなことがあるべきはずはないか。あなたが法律上の論據から、あるいは法理論的にこれを對して、正當なるもの、あるいは正當に近いものと言われるような御發言をなさるということは、私は今後の檢察廳の熱意に關しましてきわめて重大なる影響を及ぼすと思いますが、あくまでもそういうふうに考えられか否やということをお尋ねしたいのであります。
#48
○鈴木國務大臣 徳田委員の熱意は、非常に私は高く評價するものでありますが、しかしそれは概ね道徳論であり、政治論でありまして、法律論としてはどうもそう單純にはいかない。確かに道徳的にはどろぼうしたに近いものである。そういふものは遠慮なく取上げてよろしいと私も考えるのでありますが、しかし一國の總理大臣ともある者が、これはそれぞれ關係者が保有してよろしい、適當な對價で拂下げにしてよろしいと申したために、縁故拂下でもらつておいてよろしいものと思つて自分は取得した。その對價が正當でなければ、通徳的に蹙蹙すべきことはもちろんであります。ゆえに、正しい人々ならば、言われなくても、それは私が持つているべきものでない。差し出しますからお使いくださいというのが、道徳上の要求であります。法律もまた決してこれを禁じはしないけれども、お前罪人だと言つて縛るためには、どうも自分は正當に拂下げたものと思つておるという場合に、いやそうでない、どうしても犯罪である、横領罪である窃盜罪であるといつてこれを縛るわけにはいかないのでありまして、法律の約束でありますから、遺憾ながらそう單純にはお答えができないと思うのであります。しかし現内閣はそういう困難な問題がありまするから、違法と適法とを問わず、遊休物資は全部これをあるものは無償で、あるものは有償で取上げて活用する。こういうことでいつておるわけであります。徳田委員の御委求の全部とまでは申されませんが、大部分はそれによつて滿たすことができるのではないか、こう考えるわけであります。
#49
○加藤委員長 徳田君、ちよつと御相談いたしますが、ほかに委員の方相當たくさん用事がある方があるそうですが、あなたの質問はどうでしようか、もう少し續くならこの次に讓つていただいてきようは一應この點で打切つて……。
#50
○徳田委員 それならこの點はあとに論議を殘しまして、ただ一點だけお尋ねしたいのであります。兵器處理委員會というのがありますが、この兵器處理委員會は法律上いかなる根據をもつて成立したものか、いわゆる政府が法律上この兵器處理委員というものをこしらえて、それに物を渡したのであるかどうかということをお尋ねしたい。これは安本長官の方がいいかと思いますが……。
#51
○加藤委員長 今の徳田君の御質問は、次會に安定本部長官が出席されたときにお答え願うことにしまして、今日は質疑をこの程度でお止め願いたいと思います。
#52
○水田委員 次會に讓るその前の問題ですか、今徳田君提出の東久邇宮命令の問題、これは一遍みなくれていいという命令を出しておいたところが、返つてきた書類の中に、あるいは處置していかんとあつたので、すぐに政府が取消の命令をおそらく出したと思います。取消の命令が出てるとすれば徳田君と司法大臣とやつておる問題は解決すると思う。むしろその資料を、その間の事情をこの次政府から説明願えれば問題は解決すと思います。取消の命令が出ておるれば無償で持つていつたやつは當然返すという問題になるし、命令が出放しだつたとすれば、司法大臣が言うように總理大臣が緊急措置令に基いてという法理論も成立つでしようが、實際はそうでないと思うので、その點もこの次御調査願いたい。
#53
○加藤委員長 この際ちよつと皆さんにお諮りいたしたいことがございます。御承知の通り本委員會は今日まで主として調査してまいりましたのは、いわゆる世耕事件を中心とした諸多の問題についてでありました。そして一應の結論を中間報告として議會に提出するように先日の委員會で決定はいたしたのでありまするが、なお本委員會としましては、この中間報告の起草にはいるに先だちまして、現に檢察廳において取調べ中のこの種の事件が相當たくさんあるのであります。從つてこれらの世耕情報を中心とし、もしくはそれに類似の事件で、現在どのように取調べが進められておるかということを明らにする必要を感じたわけであります。よつてこの際司法大臣に對しまして世耕事件竝びに世耕情報と類似をもつ隱退藏物資を中心とする各種の事件について、現在檢察廳において取調べを終りまたは取調べ中の件數、取調状況の全貌についての報告書を提出してもらいたいと思うのでありまするが、御異議ございませんか。
#54
○加藤委員長 御異議なければそのように決定いたします。なおこれは書面で提出を求めることにいたしますが、司法大臣としましては、書類の提出が、あるいは次會までに困難かとも想像されますので、次會においては口頭をもつて説明し得られる最大範圍の説明を本委員會においてしていただく、そしてさらに詳細なものは書面によつて報告を求める、こういうことにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。
#55
○加藤委員長 ではそのように取計らいます。
#56
○中野(四)委員 それを決定されるに當つては、むろん世耕君の證言に基く一切の件ということが含まれておりまするが、當議會ではまだあまり問題になつておりませんけれども、近い將來においてこれは政治上においても司法權の上においても相當大きく取扱われなければならぬところの、東京都のキヤラコの拂下事件、あるいは軍服事件、關連して同じく龜井貫一郎君の龜井事件等、一切を含んで檢察當局から詳細なる報告を求めるようにお願いいたしたいと思います。
#57
○加藤委員長 その意味であります。たとえば福井縣における人絹問題のごとき、直接世耕情報に基かなくとも、それに類似の、とにかく隱退藏物資と思われるようなものを種にした事件全部であります。特にこの點は司法大臣において御了承の上、できるだけ早く全貌を明らかにするように報告書をつくらせるようにしていただきたいと思います。
#58
○鈴木國務大臣 非常に大きな仕事の御注文でありまして、そう短時日になし得るかどうか、ちよつと私として責任をもちかねるのでありますが、第一こういうものをまとめて發表するといたしますれば、偏らないことが大切でありまして、私は不偏不黨、何らの黨派的立場にとらわれずにやつておるつもりであります。しかし調べが濟んだものから發表すると、ある者に不利益な發表があり、だんだん時を逐うて發表することになりますると、いかにも細工をする、手加減をするというような印象を社會に與えるのであります。これは非常に遺憾でありますから、司法當局といたしましては、九州において調べておりますことは、廣島で調べておりますこと、北海道で調べておりますことも取まとめまして、どういう方面に關係があろうとも、その點について遠慮なく、公平に、そうしてその時までに調べ得た全部を發表するという形をとりたいと存じておるのであります。その點を御了承おきを願いたいと思います。
#59
○中野(四)委員 司法大臣の憂えられる點もよくわかりまするが、これは時間のあまりかかることは私は有利でないと思うのであります。すなわち近來新聞、ラジオ等におきましても、相當大きくスペースをとつておりますのは、近來の政界の不明朗事件であります。先ほど司法大臣が言を大にして言われたように、世耕君の行くところことごとく波紋で起り、世耕君のしやべるところことごとくあらゆる疑惑が起つてくるのであります。そういうようなものに對しましても、この機會を通じて國民の一應明快なる答辯を與えることは、この委員會として當然の役割でありますから、これは現在の段階において調べられたるところの過程を一應、まとめなくてもその結論だけでもこの委員會へ報告を早くしていただく。もしそれが文書の上においてどうしてもできぬというならば、委員長は各委員と御相談の上秘密會を特に開いて、その席上御發表を願つても支障ないものと存じます。こういう點について委員長から特に司法大臣に御了解を願いたいと思うのです。
#60
○加藤委員長 ただいま中野委員の言われましたことを特に御了承の上で、できるだけ早く報告ができるように御盡力願いたいと思います。
 それからこの際なお政府委員に申し上げておきますが、資料の提出が非常に遲いのです。幾たびか請求してありますが、あるものはほんの少し提出され、あるものはまだ全然提出されておらぬ状態であります。こういうことではこの審議を進めていく上において非常に困りますから、資料の未提出の分は急速に出すようにお計らいを願いたいと思います。
 それから委員諸君にもう一つお諮り申したいことは、不滿足ではありまするが、資料も大分提出されてきております。もちろんこれらの資料はしばしば申し上げました通り、これによつて全貌を知るということは不可能であります。ちようど索引の程度にしか役立たないのではないかと考えますが、その索引の程度にいたしましても、大體ある程度提出されておりますので、これらの資料を整理しさらに私どもの手許に集められた諸情報を整理して、具體的に著手しなければならぬと思いますから、できれば五つくらいの小委員會を編成し、それによつてそれぞれの小委員會で擔任したものを資料に基いて調査を進めていきたいと考えます。そこで小委員會の構成を委員長の試案といたしまして申し上げたいと思います。大體五つにわけるとしまして、第一は軍竝びに行政官廳關係の小委員會、第二は民間統制團體に關する小委員會、第三は兵器處理に關する小委員會、第四は特殊物件處理の問題に關する小委員會、第五は情報に基く現物現地調査に關する小委員會、これはまつたく委員長の試案でありまして、皆さんの中にもそれぞれ御意見をおもちのことと存じますので、これを次會までの提議として次囘に決定をしたいと思いますので、もし御意見があれば御意見を、御意見がなくて委員長試案に御贊成ならば、御贊成のように次會にひとつ御意見をそれぞれ述べていただきたいと思います。同時にもしも小委員會の委員を御希望ありましたならば、御希望の委員會の名おも同時に指摘していただけば結構だと思います。
 なおこの小委員會は速記をとつてかれこれするという小委員會ではなくして、主として事務的に委員が處理する、そうしてこれがために現在十名の臨時職員が議會に雇入れられてありますので、五つの委員會としますれば二名ずつの臨時職員がつくわけであります。なお不足の場合には臨時職員を必要に應じて議會で雇入れてもらうことになつておりますから、こういう點もひとつお含みの上で御決定を願いたいと存じます。
#61
○中野(四)委員 この機會にちよつと最後の五の問題に關連して申上げておきたいことは、水産委員會から水産物の隱匿物資、いわゆる漁網、ロープ等が隱匿してあるので、水産委員會は專門家ばかり集まつておるからぜひこの機會に摘發したいというような意見を議院運營委員會で再々述べられております。從つてこの點は議長から議院運營委員會に諮問を受けておりますけれども、もし水産委員會が水産物の隱匿物資をすべて摘發するということになりますと、農林、鑛工業その他あらゆる面からわれもわれもと調査班、小委員會ができて、結局混沌たる結果になるおそれがありますので、これは一應當特別委員會があるのでありますから、これに各常任委員會より情報を提供していただいて、こちらで第五のいわゆる情報にもとずく現物現地調査を活用して包含するように、そうして物が正規のルートに流れるように常任委員長會議とか、あるいは何かの機會があろうと思いますので、そういう席上において加藤委員長から水産あるいは各委員長に御相談を願つて、この委員會を大きく活用して、同時にさような委員會の氾濫を防ぐということに努力を願いたいと思うのであります。これは議院運營委員會で私一人が反對して大變憎まれ役を買つておりますので、こういう後顧のことを憂えてのことでありますからどうか善處されたいと思います。
#62
○加藤委員長 今中野委員の御言葉の通り、こういう問題が特殊の利害關係をもつ業者によつて摘發されるということははなはだ面白くないと思います。もちろん水産委員會の諸君も議員としての公の立場において言われるのであろうが、今中野君が言われましたように、業者が重きをなしておるとすれば、それだけを委託するということはいかがかと思いますので、當然それは本委員會において扱うべきものと思います。機會がありませんければ直ちに私は議長までそのことを強く申入れておきます。なお他の機會がありますれば、その機會においても他の委員會の委員長緒君にこの趣旨を強く傳えるつもりでおります。御了承願います。
#63
○加藤委員長 本日はこれをもつて散會いたします。
   午後四時三十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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