くにさくロゴ
1947/09/23 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第17号
姉妹サイト
 
1947/09/23 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第17号

#1
第001回国会 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第17号
昭和二十二年九月二十三日(火曜日)
    午後一時五十八分開議
 出席委員
   委員長 加藤 勘十君
   理事 梶川 靜雄君 理事 大森 玉木君
   理事 吉田  安君 理事 辻  寛一君
   理事 本多 市郎君 理事 石田 一松君
      清澤 俊英君    佐竹 新市君
      田中 健吉君    小島 徹三君
      鍛冶 良作君    北浦圭太郎君
      水田三喜男君    明禮輝三郎君
      村上  勇君    木下  榮君
      小西 寅松君    中野 四郎君
      徳田 球一君
 出席國務大臣
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        總理廳事務官  國鹽耕一郎君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 小委員會設置に關する件
 現地視察に關する件
 隱退藏物資等に關する問題
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長 これより會議を開きます。
 先日の委員會で御考究をお願いするようになつておりました小委員會設置の問題であります。先日は一應の御參考までと思つて委員長の私案を提出しておきましたが、それについて御意見がございますれば御意見をお述べ願いたいと思います。御異議ございませんか。
#3
○加藤委員長 それでは委員長の私案として提出いたしました小委員會の區分を私案通り五つに分類することに決定いたします。その名稱は一、軍竝びに行政官廳關係小委員會、一、民間統制團體に關する小委員會、一、兵器處理に關する小委員會、一、特殊物件處理に關する小委員會、一、情報に基く現物現地調査に關する小委員會を設置することにいたします。御異議ございませんか。
#4
○加藤委員長 御異議なければそのようにいたします。小委員會の選任につきましては各派からそれぞれ申し出を願いまして、次の委員會においてこれを決定いたしたいと存じますが、それでよろしゆうございますか。
#5
○加藤委員長 それでは次の委員會までにそれぞれの委員會に所屬する委員の氏名をお申し出を願いたいと存じます。
 さらに一言附加えて申し上げておきたいことは、この委員會はしばしば申し上げましたように事務處理の小委員會としまして、速記をとる必要のあるときにはとらなければならぬと思いまするが、できるだけ速記をとらない事務處理の小委員會として、もし速記をとり公開する必要のある場合は全委員會で事を處していきたい。こういう考えでありますから、その點も一つお含みおき願いたいと存じます。
#6
○鍛冶委員 最後の五に言われたのはどういう範圍のものかよくわかりません。
#7
○加藤委員長 情報に基く現物現地調査に關する小委員會で、この情報といいますのが今委員長の手もとだけでも數百通に達しておるのでありまして、それをそのまま無條件で政府の機關なり、あるいは今度できた物資活用委員會なりにまわしましてもどうかと思いますので、そういう情報を整理しまして、一々委員會の承認の上に政府にまわすものはまわして、それについての結果の報告を求める。そういう場合に委員會として摘發状況なり物資實任の状況なりを現地について調査するという意味であります。
 なおもう一つ今日御協議を願いたいと思いますことは、これは東京都内でありますが、物は電波兵器に使つた銀を主體とする物資が相當量あるという情報がもたらされておりまして、これは近いところでもあるし、殊に物が物でありまするから急を要するという點で、明後日でも安本の方に摘發の手續をとつてもらつて、委員會としても實地調査に行きたいと思います。御異議がなければ至急それをはからいたいと思いますがいかがでしようか。
#8
○加藤委員長 それではそういうようにいたします。
 委員は何名まいることにいたしましようか。
#9
○徳田委員 二名か三名くらい。
#10
○加藤委員長 それでは三名程度で委員長の指名にお願いできますか。
#11
○加藤委員長 それではそのようにいたします。氏名は後刻申し上げます。
 それでは安定本部長官がみえまして、御希望によれば商工大臣と同列でというお話でありましたが、先ほど申しましたような事情で二人同時ということがあるいはむつかしいかもわかりませんから、取りあえず安定本部長官にお尋ねくださる點があれば、まず安定本部長官に一つお尋ねを願いたいと思います。
#12
○徳田委員 和田安本長官にお尋ねいたします。兵器處理委員會はいかなる法律上の根據において構成せられ、どういう仕事をしたものでありますか、それをお尋ねしたいと思うのであります。
#13
○和田國務大臣 お答えいたします。私の詳しいことは存じませんが、一應調べたものがありますから、それをもつてお答えいたします。第八軍のバラード大佐の勸めによりまして昭和二十年の十月末にできました。それで官制も閣議の決定もございません。委員は日本鋼管、日本製鐵、古河電氣、扶桑金屬、神戸製鋼の五社であります。委員會と稱しておりますが、實際上は五社の組合みたいなものであります。それから仕事はどういうようにやつておるかと言いますと、この五社が鐵鋼兵器と航空兵器の廢兵器につきまして内務省からの受領、破碎、輸送、保管、解體濟み資材の處分などをすることにいたしております。各社の收支はプール計算になつております。所管は拂下げをした官廳が内務省でありますから、拂下げ金額等、拂下げに關することについては内務省の所管になつております。
#14
○徳田委員 そうしますと、所管が内務大臣でありますから、いずれ詳しくは内務大臣に御出席を願いましてお尋ねすることにいたしますが、しかしこのことは經濟上のすべての問題を處理するのに非常に重大であります。殊に資材を處理するのには非常に重大であります。この處理委員會は日本の經濟の復興にも非常に重大な關係があると思いますので、安本長官もすでにこのことには留意せられておると思いますから特にお尋ねしたいと思いますが、兵器處理委員會がそういうふうにできておるとすれば、これは法律上の根據は何もないものでありますな。
#15
○和田國務大臣 お話のように官制も閣議の決定もないわけでありますから、バラード大佐の勸めによつて組合をつくつて五社でやつておる。それに行政事務として所管の内務省が拂下げをやつておる。拂下げたものについてスクラツプ等ができますが、このスクラツプ等はおおむね指定生産資材でありますからそれの配給等は商工省でやつておる。こういう行政關係になつておるのであります。
#16
○徳田委員 そうしますと、これは法律上の根據がないといたしますと、G・H・Qのある人の推擧と言いますか、そういう人の御命令によつてなされたとしましても、國内的にこれは非常に重大なる問題を派生しているのではないかと思うのであります。いかなることによつてできたとしてもこの財産というものは國の財産であつて、國の財産を處理するにあたつて、法律上の根據なしに、單に内務省の監督に屬するというだけでこういう重大なことをしたということは、これは違法だと思いますが、安定本部長官はこれに對していかなる見解を有せられるか、お伺いいたしたい。
#17
○和田國務大臣 違法ということはちよつと言えないと思うのでありますが、内務省が自分の行政處分をこれに委託してやつたという形におそらくなつておると思うのでありまして、その點から言いますと、内務省がもつておる權限から行政處分として委託してやつたということになるわけでありますから、違法であるということはちよつと言いにくいじやないかと思います。
#18
○徳田委員 しからばこういう國の財産を處理するのに、處理する機關に法的な根據がなく、またそれの構成や、それを處理するのにいかなることをやるべきかも、何ら法的な閣議の決定も何もなしに、ただ内務省で勝手にこれを行政處分として處理することも正しいということになりますが、そういうことになりますからこの特殊物件というものはえらい暗黒面を生じておると思う。そういうふうなことも政府としては何ら法律上の違反でない、適法である、こういう勝手なこともやつてよろしいという見解であるかどうか、この點を十分明確にしてもらいたいと思います。
#19
○和田國務大臣 これは今私が言いましたような事柄をやつているので、ここの五社の組合で勝手にこれを賣つたりどうこうするということはできないのでありまして、指定生産資材でありますから配給は商工省がちやんとやつているのであります。ただ内務省がもつております航空兵器の廢兵器等につきましては、一應それを受けとつて、碎いたり、ほかへ輸送したり、スクラツプにしたり、そういう仕事を委託を受けてやるということになつております。
#20
○徳田委員 それでは水谷商工大臣にお尋ねしたい。この處理した指定資材、こういうものは兵器處理委員會の組合の勝手にならないはずですが、この物が一體いくら商工省に受け繼がれて、そしてこれをいかなるルートに流したかという帳面上はつきりしたものがありますか。もしわかつておればこれを報告してもらいたいのであります。
#21
○水谷國務大臣 ただいま徳田議員の御質問の處理状況でございますが、連合軍より内務省に返還せられ、本委員會の受領いたしました廢兵器の數量は、連合軍より民返還の物件もありますので、正確なる全體の數字は全額受領後でございませんと的確に申し上げかねますが、大體百三十萬トン近く、すなわちお手もとに差し上げました資料五枚目にありますように、囘收豫定量百二十八萬八千七百二十トンでございます。このうちすでに解體を終り、集積所に運搬を終りましたもの、すなわち囘收量は九十四萬八千二百三十四トンになりまして、全體の約七割五分に當ります。このうち處分量、すなわち販賣されましたものは四十五萬二千六百三十五トンに達し、囘收量の約半分でございます。販賣數量の點に關してちよつと説明を加えさしていただきますと、品種別にして銅は七〇%、ゴムは八一%、ドラムカン七九%、そのまま利用できますものはたいへん良好な販賣成績點をあげておりますが、鐵の四七%、輕合金四〇%、鉛その他の金屬の四二%等、溶解を要する品種は燃料關係にて、はなはだ販賣成績があがつておりませんのは殘念でございまするが、これも燃料事情の好轉とともに販賣成績向上し、遊休化は防止できることと信じております。また販賣先は、資料の最後の二枚目に販賣品種目ごとに詳細に、たとえば進駐軍向、あるいは輸出用等、用途別に區分いたしました統計表を添えでございますので、これによつて御承知をいただきたいと思います。
#22
○徳田委員 そうしますとこの委員會はもうすでに大體解體されておるように聞いておりますが、この解體されたあとは一體商工省がこれを引繼いでおるのか、いずれがあの機關を引繼いでおるのか、この點はいかがでありますか。
#23
○水谷國務大臣 ただいま徳田委員のお尋ねですが、委員會はまだ繼續しておりまして、解體はしておりません。
#24
○徳田委員 そうするとこの委員會は何ら商賣にはならないわけですな。これはただ解體してあなた方の方にもつてくるだけでありますから、仕事をしてこれをただ勞するだけであります。勞したものに對する報酬關係はどうなつておりますか。
#25
○水谷國務大臣 これは手數料は無報酬です。但し實費を拂つております。
#26
○徳田委員 それならば商工省からこの委員會の仕事の内容及びこれに拂つた手數料、これから囘收した國庫の收入、これらのものを詳細に報告せられんことを私は要求したいのであります。私たちの聞くところによると、この兵器處理委員會の内容たるやまつたく奇怪至極のものであつて、これから出たところの資材が多くこれらの組合の各大會社が獨占し、このために非常なる醜惡な事件が出ておると言われておる。殊に中小商工業者の諸君はこの問題に非常に關心を有しておるのでありまして、中小商工業者に與うべき資材、また與えればより有效に使用せらるべき資材、これをこの大會社が獨占しているために非常に無駄に使つておる。特にこれから出ておりますのは水谷君もよく街頭でごらんになるだろうと思うが、アルマイトのなべとか、あるいはアルミニウムの諸製品とかたくさん出ておるのであります。こういうものが一體どこから出てくるか。これはすべてこの兵器處理委員會關係から出てきておるものと思わなければならぬ。これらから横流しされておることは世間では大概皆知つておる。殊に中小商工業者からはこのことに對しては幾たびも陳情が來ておるのである。そういう關係上この内容というものは、よほどしつかり調べないと大したものになると思いますが、商工省ではこの内容をはつきりつかんでおられるかどうか。この内容を十分報告できるかどうか、この點をお尋ねしたいのであります。
#27
○水谷國務大臣 ただいまお尋ねの物の處分ですが、これは商工省がやつておりますが、そりの經理の關係は内務省になつておりますから、この點は内務省から責任ある御答辯をしていただけば結構であろうと思います。ただもう一つ今申されました配分の方針、これは商工省からお答えしておきたいと思いますが、兵器解體後の各種資材の配分は説明資料二枚目にあります通り、兵器處理特別委員會におきまして各需要家の申請によつて實施いたしまして、金額三十萬圓未滿、輕金屬、銅各三十トン、鐵屑二百トン未滿は各地商工局において同樣にして實施いたしました。それから二十一年一月二十五日内務省、商工省連名で各地方廳に通牒いたしました通り、配分方針としましては統制機關のあるものについてはそれぞれの機關に、その他は食糧、石炭、運輸、通信、戰災復興、日用品の順に優先配分することといたしまして、特に思惑防止のため最終需要家に配分することを原則といたしました。その後今年初頭指定生産資材割當規則の公布とともに同品目に該當するものはすべて各主要官廳の發行する割當證明書によつて販賣しており、かつ同規則の趣旨によりまして二十一年末をもつて特別委員會を廢止し、指定生産資材以外のものは商工省鑛山局及び地方商工局において需要家の申請によつて配分いたしております。兵器處理により廢生いたしますおもなる資材は屑鐵、銅屑、輕合金等すべて指定生産資材となつております關係上、ただいまでは商工省鑛山局及び地方商工局で配分いたしておりまするのは、きわめて少量のそのまま活用できるものにすぎません。大部分は安定本部決定の物資需要計畫に織り込まれ、各主要官廳によつて發行される割當證明書の持參者に販賣されておるというのが状況でございます。
#28
○徳田委員 大體この問題はこれくらいにしておきまして、いずれこの機構の内容及びこれがいくらの實費を拂つてどういう經營にしていたかは内務省から聽くことにいたしまして、その後にこの問題を發展じたいと思うのであります。私たちの調べましたところによりますと、よほどこれは内容が今商工大臣の御報告になつたものとは違うようであります。非常に多くの横流れがあると見込んでおりますから、この點はいずれ内務大臣の答辯を聽きました後にやりたいと思います。
 引續き水谷商工大臣にお尋ねしたいと思いますが、戰時中にたくさんの徴發した機械類を大工場に貸付けておるはずであります。そういう貸付品は囘收したか、あるいはそのままにしておるのかどうか、こういう點の處理はどうしておるかをお尋ねしたいと思います。
#29
○水谷國務大臣 ただいまの御質問ですが、陸海軍關係竝びに軍需省關係、これはそれぞれその機械を使つておりまする工場に全部拂下げをいたしました。
#30
○徳田委員 そうするとこれらの拂下げたものの代價等はみな精算ができておるわけですね。それならそれらの報告をひとつやつていただきたいと思います。われわれの調べたところによると、これは大體拂下と言つても無償同樣な状態になつておる。そうすることれはなかなか重大な問題でありまして、國家が戰爭のために使つた財産を資本家にただくれたような状態ではとうてい承知できないのでありまして、重大なる責任を追究しなければならないと思います。これらの精算書があればこれを報告していただきたい。
#31
○水谷國務大臣 ただいまの問題は大藏省の國有財産を扱つておるところで、それらのものがきちんと精算されておりまするから、大藏省からお聽取りを願いたいと思います。
#32
○徳田委員 それならこれは大藏省に讓りまして、いずれまたお尋ねすることにします。しかしこの點は私は商工省に大きい責任があると思うのであります。と申しますのは生産につきましては商工大臣の所管でありまして、これらの機械がいかに活用せられるか、またこれらをどう配置するかということは、すべて商工大臣の指揮せらるるところであります。ただ財産が國有財産だから大藏省に聽いてみればわかるというだけでは、きわめて私は不親切な答辯じやないかと思う。どうですか。それに附け加えることはありませんか。
#33
○水谷國務大臣 大體徳田さんの要旨は戰時中の問題であると思うのですが、これに陸海軍がやつておることでありまして、商工省はそれに關して何ら與かつておりません。
#34
○徳田委員 なるほどこれは戰時中ではありますが、戰時中は大體貸與であると思います。戰後になつてこれを處理しておるはずでありまして、戰後になればもうすでに軍部は解體せられておるのでありますから、その後の計畫はすべて商工大臣が主管すべきものと考えられるのであります。これは戰爭中すでに二束三文で拂下げたというわけでありますが、それとも戰後處置したのでありますか。いずれでありますか。
#35
○水谷國務大臣 戰後の場合におきましても、御指摘のものは特殊物件として内務省がやる。さらにまた大藏省は、さきに申しましたように、國有財産の件に關しまして所管しておりまして、ただいま御指摘の點に關しましては、商工省は關係しておりません。
#36
○徳田委員 それならいずれ關係している方から尋ねることにいたしましよう。そこで問題をかえまして、この前の委員會でお尋ねしました栃木縣の特特物件の處理についてこれの配給、いわゆる處理濟みになつた後に莫大な物資を配給しているという事實、この點に對してこの前商工大臣は愼重に取調べるというお話でありましたが、この報告書はもうすでに出ているかどうか伺います。
#37
○水谷國務大臣 ただいま徳田さんの御質問の栃木縣の問題ですが、これは非常に關係が多いので、目下著々調べておりまして、大方來週中には御返答できるだろうと思つております。
#38
○徳田委員 それなら從來の誼もありますから、來週中まで待つことにいたします。最近埼玉縣で盛んに特殊物件の處理をしておる。これらも新聞の報ずるところによりますと、みんな特殊物件としてはもう處理濟である。その處理濟になつて、供出超過だから殘りはまあおこぼれとしてやれということで、六十何萬點もめちやくちやなことをやつておるという報告が出ておりますが、そういうことに關して商工省は何ら關知しないつもりかどうか。これはやはり重要なる物資の配給でありますが、こういうことにも商工省は關知しないのかどうか。これをお尋ねしたいのである。
#39
○水谷國務大臣 今の埼玉縣の例でございますが、これは結論的に言えば商工省は關知しておりません。大體統制物資の方は御案内のごとくに、商工省が切府を切りますが、非統制物資に關しては縣廳でやられることになつておるのであります。今御指摘のものは私も新聞では見ておりますけれども、商工省としていろいろ調べたのではどれにも關知しておらないということであります。
#40
○徳田委員 ところがこれは米だとか、繊維物だとか、ガソリンだとか、みんな統制物資である。これを關知しないということになりますと、特殊物件に關しては商工省は放つたらかしということになる。さつきから聽いておりますと、兵器處理委員會の問題もそうでありますけれども、その他機構の問題でも大體みんな特殊物件だからというわけで、商工省はあまり關知しないような態度でおられる。一方では統制物資として統制會社があり、他方ではそういうものは特殊物件だから放つたらかしておけというふうな態度では、これこそ横流れをしたり、いわゆる隱退藏物資となるもとでありまして、犯罪の巣だと思う。地方の各行政官廳にはこういうものは莫大にもつておる。この前の栃木縣の問題でも、新聞の報ぜられておるところによるとおそらく數億に上るじやないか。埼玉縣の問題でも、これはおそらく數億に上る莫大なものであると思う。しかもこういうことを效つたらかしておくから、たとえば李王家だとか、あるいは梨本宮だとかに獻上するというような問題が起りまして、そこから資金を四萬圓もとつておるという。國民に對して今重要なる物資、配給しなければならない物資が、こういうふうなところでやみ取引をされておるというような状態になつておるのである。こういうことに關しまして既往のこともそうだが、今後におきまして商工省はいかなる方針で臨まれるつもりか。この點もひとつ聽きたいと思うのである。
#41
○水谷國務大臣 過去のことはとにかく、將來の問題といたしましては、ただいま御指摘のような物資は、産業復興公團で今後そういうような特殊物件は一括して買上げることになつておりますので、その方面できちんきちんと處理していけるのじやないか。このように考えております。
#42
○徳田委員 それではまだ後に報告も殘つておりますから、この次の機會に讓りまして、次は鈴木さんにお尋ねしたいのですか、その前に中野さんから水谷さんにちよつとお話があるそうであります。
#43
○中野(四)委員 商工大臣に重ねて申し上げたいのは、先日から全國の摘發物資を正規ルートに配給したその差益金の問題について再々申し上げておるのですが、九月十五日のお話では、その係の課長さんから暫く待つてくださいということで、お待ち申し上げたのですが、今日に至るも一向音沙汰がない。この問題たるや民間であるいは各機關を通じて相當眞劍に摘發をしても、事實においてさらにそれが退藏されるという觀點に立つて、あくまでもこの問題を指摘しなければならない。また一つにはさらに差益金を完全に調べなければならないという大きなねらいがある。先日商工大臣に私からも念を押して申し上げておいた。しかしながら一向まだそういう資料の提出を見ておらない。このことたるや放つておくような傾向になると、また時日が遷延させられて、かえつて非常な支障を來たすと思う。本委員會の目的を達成する上から言つても、商工大臣はひとつ係の者を督勵して、いつまでに出せるということをこの際明確に御答辯をしていただきたいと思います。あえて徳田さんの質問中をお借したわけであります。
#44
○水谷國務大臣 ただいまの差益金の問題については、一應資料は提出する筈になつておりますが、これでは不十分だというのであなたからお叱りを蒙つたという事情は聽いております。ところが纖維局の方へ行つて、あなたの御注文通りの資料が出せるかどうかと聽いてみましたところ、なかなかむづかしい。それは別にサボるとか、そういう意味ではなしに、なかなか困難な問題であるということを言つております。しかしながらできるだけ御趣旨に副いたいと思つておりますので、その資料の係の纖維局の方から一度あなたとお打合せいたしまして、これこれのものに對してはこれこれの資料を出せということを檢討いたしまして、できるだけ御趣旨に副いたいと思いますが、あなたがこれまで言つておられたものを百パーセント注文に應ずるということは、なかなかむづかしいというぐあいに聽いております。
#45
○加藤委員長 ちよつと委員長から申しますが、ただむづかしいだけではいけないと思う。どういう點においてむづかしいか、その理由を明確にして述べてもらいたい。ただむづかしいという抽象的なことでは、この委員會は納得できないと思う。
#46
○中野(四)委員 これは目先のきく委員長から特に一矢を酬いられたので、その必要はないかも如れませんが、特に今の商工大臣の御答辯の中で、纖維局の問題だけを取上げられておるようですが私は鐵、あるいは非鐵金屬ないしは纖維製品の三點に未完了配給の分が多いのでありまして、全部のものを報告するのは短い時間ではなかなかむづかしいという課長のお言葉でありましたので、時間的にも急ぐ關係があるので、一應纖維問題をば先にお出しになつた方がよろしいということを申し上げた。私らがこの委員會の席上で商工大臣に要求したものは、一都二府四十六縣にわたるところの摘發物資の數量、品目、所在地ないしはこれを配給した品目あるいは所在ないとは數量、現在各官廳に退藏されておるところの、摘發をしても事實まだ配給をしてないところの觀點に立つ物資のありか、品目、數量、これを明確にしていただきたいということを注文した。ところが商工省から出てきたものはまことに申譯的な、ただ單に中央の一つの集約されたる資料にすぎない。私の要求したものとおよそ懸隔がありますので、これを速やかにあなたの方で出していただきたいということを再要求したのです。しかしながら今承ればなかなか難儀なことだと言われますが、この難儀なことは特別委員會が設置される當初からわかつたことで、この難儀を克服するにあらずんば潜在あるいは隱退藏されておる物資を正規のルートに流すということは容易なことではありません。ゆえに私は商工大臣に特に申し上げなかつたのでありますが、内閣の首班である片山總理大臣にすべての點において積極的にこれに協力するという意味で資料の提出は萬離を排してやるという言質を得ておるのであります。從つてあなたの方が相當難儀はあろうと存じますけれども、この目的を達するためにぜひとも早く出していただきたいと思う。さらに各縣に向つては商工省より要求をして、各縣から相當集つてきておるはずです。私の知り得ただけでも六、七縣はもうとつくに送つておるという言葉であります。纖維課長の言葉ではまだ受取つておらぬと言いますけれでも、受け取つているはずです。それを集約して、そのままプリントにしてこの委員會に提出されることが最も賢明な策で、われわれの趣旨に副うゆえんであると考うるのであります。であるからすべてこの難儀なことを突破して、資料をいつごろ出せるということのおよその見當をつけてもらわなければ、水谷さんのようにいつ出すかわからぬというようなお言葉では承知することができないのであります。
#47
○水谷國務大臣 ただいまの問題ですが、集つたものから、たとえば各府縣から來る生のものをそのまま出せとおつしやるならば、到著したものから順次出しましよう。しかしあなたの御注文通りのやつを全部百パーセントにいつ滿足さすかということは、賢明なるあなたも御推察のように、なかなかむずかしい問題ですから、何月何日と月を約束することはできないと思います。しかし生でいい、各府縣から集つてきたやつだけでも出せというならば、それは集つたやつから逐次遲滯なく出すことにいたします。
#48
○中野(四)委員 中央の威令よく地方に徹底しておる社會黨内閣のことでありますから、むろんあなたの方から御要求があれば、各官廳においてはただちに資料を提出するものと信じております。またそのくらいの資料が中央の命令で集つてこないというような、威令が行われないということになれば、私は相當重大な問題だと思いますが、とりあえず商工大臣の御趣旨にわれわれは贊意を表して、現在集つておるもの、さらに集らざるものに對しては督促をして速やかにそれぞれの資料を提出されるように希望します。
#49
○徳田委員 鈴木司法大臣にお尋ねしたいのでありますが、今問題になりました埼玉縣の隱退藏特殊物件處理に關する調査資料というのがここへ出てきております。これは政府から出したものでなく、今聽いてみますと自由黨の方から出ておるようでありますが、この調査資料は今出てきたばかりでちよつと讀んでみたのですけれども、これだというと明確な犯罪だ。三和銀行の點もこれは犯罪で、この方はすでに八年の懲役が確定し服役したとかいう話であります。これには、新聞には六十二萬點いくらとありますが、もつといろいろのものを合計すれば、百萬點以上を勝手に隱匿したようなことになつておりますから、これに對しまして司法省では手を入れて、十分なる調査をしておらるるかどうか、これをお尋ねしたいのであります。
#50
○鈴木國務大臣 それはちよつと拜見できれば、一層ぐあいがいいのですが、私見ていないのでこれについてはちよつと今お答えする材料をもつておりませんから、あらためて取調べた上でお答えをいたしますが、埼玉縣の例のやみ物資を動かしたとかいうので日本タイムスに大々的に出たもの、四億何千萬圓、あの件は取調べております。ただいままで判明したところでは、物資はあるようであるが、別に動いたというのは、たしかに梨本宮が四萬二千圓の公定價格で枠内の品物を何か使用者に配給するために買つたというような事實がわかつたのであります。その他の犯罪となるべきような證據はまだ上つておらないということを口頭で檢事長から聽いております。引續き調べておりまするが、その程度であります。新聞は非常に大きく書いておりまするが、實際はその程度であります。
#51
○徳田委員 すべてこの種類のもの、いわゆる特殊物件を地方官廳でかなりごまかしている、そして横流しなどをしているという事實に關しましては、非常にたくさんな報告を受けておるのであります。これらのことに關しては十分これを徹底的に司法官廳が手を入れませんと、ただ隱退藏物資の摘發云云だけでは、とうていこれは處置のできないものと思う。いわゆる隱退藏物資の摘發云々は大概任意的のものになつておるのでありまして、今まで強制力をもつておりません。從つてこれだけでは結局やはりいろいろの口實を設けまして避け得られるようになつておるのであります。もつと強權を發動して、徹底的にこれを司法省が手を入れなければ、完全に眞相を暴露し、またこの物件を正規のルートに乘せ、もしくはこれによつて收得したところの利益を取上げることはできないだろうと思いますが、司法省ではこういう事件に關しまして徹底的にやらるる方針であるかどうか。
#52
○鈴木國務大臣 すべてそういう怪しむべき資材につきましては、合法と不合法とを問わず、一應徹底的に調べ、すべて正規のルートにもつてくるようにということを嚴重に指令してあるのであります。各檢事局とも、そういうものが耳にはいりました以上は徹底的にやつておるはずであります。
#53
○徳田委員 これに關連することでありますが、世上ごろつきと稱せらるる連中及びブローカー筋の者が、この隱退藏物資をめぐりまして横行していることは司法大臣も御承知のことと思いますが、こういうことに關してはG・H・Q方面からも大分やかましく言われておるのでありまして、社會黨中心の内閣になりましてからややその方面に手をつけておるようでありますが、まだ東京その他では少しやつているけれども、田舎ではほとんどこれはやつておらないように思われる、そうして東京に所在しておつた者が田舎などにたくさん行きましてこれが田舎の治安を紊しておる點は非常に大きいのであります。われわれの知る範圍では相當大きい。こういう點に關しまして司法大臣はあくまでこういう連中を處理せられるか、これを檢擧し、これに徹底的に鐵槌を與えるかどうか、これが存在する限りはなかなか隱退藏物資に絡まる諸犯罪はあとを絶たないと思いますが、どういう見解を売せられるか伺いたい。
#54
○鈴木國務大臣 その點は徳田委員の仰せられる通りでありまして、十分熱をもつてやるつもりであります。すでにやりました部分につきましては後ほど時間をいただいて御報告をいたすつもりであります。
#55
○徳田委員 それではこれは後ほどに御報告を承ることといたしまして、東久邇宮の事件でありますが、この前もお尋ねしたわけですけれども、あのとき水田委員からも最後に發言がありまして、あの問題は一遍命令したものを取消しているから、取消した以上はすでに法律上から言つてもこれを所有することはできないじやないか、すなわち客觀的には違法である、主觀的にはこれは犯罪を構成しないかもしれないと司法大臣は言われたのでありますけれども、すでにあの命令が一昨年の八月二十八日にはああいうことをしてはいかぬ、とつたものは戻せという命令が出ておるのであります。そうするとこれは所持しておる者は違法の所持だと思われます。この所持は犯罪だと認めなければならぬ、少くとも犯罪と認めないまでも不適法であると見られる。そうすると隱退藏物資に非常に關係があるのでありまして、これを追究することは非常に大事だと思いますが、これについてはどういう御見解をもつておられますか。
#56
○鈴木國務大臣 その點も徳田委員の仰せられる通りでありまして、その取消があつたことを知りました後は返すべきものであります。それをもつておりますならば横領であります。そういうものは遠慮なくやつたわけであります。はだ數量が非常に少い、まあこの程度は見逃しておけというものは不起訴にいたしましたけれども、少しく目星しいものは遠慮なくやつたのであります。ただ實際知らなかつた、取消のあつたことを知らなかつたというものは違法性を阻却するものでありますから、稀に許した例もありますけれども、大體は知らぬとは言わせぬこういう態度で臨んでおります。相當數檢擧をいたしております。そのことも御了承願いたい。
#57
○徳田委員 それではこの點もどれくらいのものがあつたかということをあとで一つ報告していただきたい。しかしわれわれが考えますところでは、まだまだ非常に莫大なものが所持せられておると考える。衆議院の代議士諸君のいろいろな方面からのお話を聽きましても、こういうもので大儲けをしておる者があり、地方などにいきますと、にわかに數千萬圓あるいは數億というような財産を拵えた者が相當ある。すべてこれはこれに關係しておるということを言つておるのであります。從つてもし司法省がこの事件を徹底的にやろうと思えば、この點について一般的に布告を發して、もしくは布告でなくてもその趣旨を十分徹底さして、こういうものを所持した者は違法である。それを知つていながら所持したり、あるいは儲けたりした者はこれは犯罪的行為である。從つてこれに對しては國民全體が協力してこの措置を誤らぬように、こういう疑わしい者に對しては政府に刻々報告しろというようなことをぜひ僕は知らしめなければいかぬと思います。これを知らしめればおそらく隱退藏物資による利得の大半はこれによつて私は取返すことができると思いますが、司法大臣はこういう處置をとられる御意思がありますか。
#58
○鈴木國務大臣 むろんとる意思があります。それで隱匿物資等緊急措置令が出ました後は御趣旨に從つてやつておるのであります。相當成績を上げたつもりでありますが、この内閣になつてから一層激勵いたしまして相當やつておるのであります。
#59
○徳田委員 そこで問題を一轉したいのでありますが、實はこういう大きな仕事をやりますことについては今の司法省の所管、これは裁判官にしろ、檢事局にしろでありますが、これをはたして司法大臣が信用せられるかどうか。實を言いますと、この前當委員會において私は北海道の確實な情報を得まして、北海道で農民に農産物を供出せしめるために買付けた物資が官廳方面に横流れされまして、その中には司法官まで入つておる、檢事正まで入つておる、こういうふうにこの物資に絡まつて司法官までもくつついておるようでは――こういう熱意がはたしてあり得るかどうか、こういうことに關係してないとあなたは斷言できるかどうか、そうしてこういうものに對して關係しておれば熱意はない、これはどうしても避けたい、自分たちにもその關係が及ぶということであればどうしてもこれをやりたがらぬ。そういうことになりますと、今の司法省の所管というものに對して非常な決斷力をもつてこれを一掃しない限り、この重大問題は解決せられないと思いますが、はたして司法大臣はこれに關係なく、彼等が熱意をもつてこれをやらるると認められますかどうか。
#60
○鈴木國務大臣 私は檢察當局、檢事諸君が決して仰せのごとく熱意をもつておらないとは思わないのでありまして、また徳田委員が指摘せられるような弱點があるために熱意をもたないというようなこともないと信ずるのであります。ただ實際上檢察當局はただいま手不足でありまして、しかも事件は稀に見るほど激増しておるのであります。つい手がまわりかねて十分に御期待に副わないことはあると思うのであります。それらの點についてはあらゆる方法をもつて適當な人を補充し、ぜひ御期待に副いたい、こう考えておる次第であります。
#61
○徳田委員 こうなりますといわゆる賃金値上の問題、勞働運動まではいるわけでありますが、實際賃金が今少くて司法官としても實際苦しいだろう、生活できません。できないからこういう仕事にもなかなか熱意をもちがたいと思いますが、また生活が苦しければ、そこにいろいろな魔の手がのびるのであります。こういうものにタツチいたしますればなかなかこれはあなたの言われるように信用のできるような状態には私はあり得ないと思う。もしあなたがこれを徹底的にやられるというならば給與問題、生活問題までも十分に考えないと司法省及び警察官、その他これら犯罪を捜査する國の權威ある仕事をする者に大きなきずがついて、實際上これが何ら發動し得ない、また人々もこれに信頼をおかないような状態になると思いますが、そういう點に關してまでもあなたが大いにやられる意思があられるかどうか、この點も聽いておきたいのであります。
#62
○鈴木國務大臣 徳田委員の指摘せられる點は現實の問題として非常に大事な點でありまして、私はたれよりもその點は大切なことであると信じております。從つて過日も司法委員會において熱心に判檢事の給與改善、地位の向上の問題を申し上げまして、ぜひ近い將來に一層優遇の途を講じていただくようにお願いをいたしてあるのであります。これは一つぜひ國會の力強い御協力によつて、目的を達成させていただきたいと熱望いたしておる次第であります。
#63
○徳田委員 この問題はこれくらいにいたしまして、ここで一つ問題をもう少し展開いたしまして、終戰當時各軍部ですべてもつておりました諸物資の目録です。リスト、帳簿というものを大體みな燒き捨てておるようであります。あなたがこの前報告せられました靜岡の砂糖事件にいたしましても、この根源がはつきりわからないのは、結局帳簿を燒き捨てておるからであります。この燒き捨ては明らかに公文書破棄罪であると思うのであります。犯罪的事實じやないかと思う。こういうことは命令されておらぬと思う。軍事機密に關するものは、あるいは燒き捨てろという命令があつたかもしれぬ。しかしこういうものは國家の所有する物資でありまして、この帳簿なしにはこの物資の處理ができないのであります。國家の財産の目録でありますから、これを燒き捨てるということは非常に重大なる犯罪的行為であると思うのであります。今國民がこうやつてみな苦しんでおるのは、これを燒き捨てたことに大きな原因がある。これを燒き捨てたためにあらゆる捜査も、あらゆる隱退藏物資の摘發もできないことになつておるのであります。でありますからこの燒き捨てたことは犯罪と認めます。それに對して司法大臣はどう考えるか。またこの犯罪に對していかなる處置をなさるるお考えであるかお聽きしたいのであります。
#64
○鈴木國務大臣 その點もほぼ徳田委員の指摘せられる通りであります。ただはたして犯罪を隱蔽するために燒いたかどうかということも、その帳簿がなければ證明できない場合が多いのであります。この帳簿を燒いた者が全部犯罪であると言つて檢擧することもできない。犯罪に該當するものと該當しないものがありまして、やはり證據に基いて檢擧ができるのであります。今日まで他の事情から帳簿を燒いたことがすなわち犯罪を隱蔽するためにやつたのだということがわかりまして檢擧した者もあるように聞いておりますが、それは證據が上つた實例でありまして、多くの場合狼狽して帳簿を燒いたというだけで、必ずしも一齊に帳簿を燒いた者は罪ありと斷するわけにはいかないのでありまして、そういう意味で實際上むずかしい點がありますが、理論上は徳田君の仰せの通りと思います。
#65
○徳田委員 私はそれは少々司法大臣に似合わない御答辯じやないかと思います。少々苦しいようでありまして私も追究するのを差控えたいと思いますけれども、しかしここが非常に根本的な問題でありまして、犯罪を隱蔽するために燒いただけが犯罪であると言われるならば、これは少々違うのではありませんか、これはやはり國庫の所有物のリストでありまして公文書である。この公文書を燒くとうのは公文書破棄罪ではありませんか。これが犯罪を隱蔽する目的をもつておつたかいなかつたかにかかわらず、故意に國庫の所有物に屬するものを記録している文書、こういうものを燒くべきではないと私は思います。これは權利義務に關するものでありますから、殊に重大なる財産に關する問題でありますから、この財産に關するものを燒き捨てるということは、事のいかんにかかわらず犯罪であります。この犯罪を處斷するか否かは別問題といたしまして、それに對してやはり相當の處置をとらなければならぬ。とにかくこれは私たちの聞及ぶところによりますと、これの責任者が約十五萬人くらいあるといわれているのであります。この十五萬人についてはやはり明らかにして、徹底的に彼等を取調べて、いかなる理由によつてこれを燒いたのか、またこのときにはどのくらいの物がどのくらいあつたか、記憶によりましてもそれを辿つてこれに對する處置をつけておくことが隱退藏物資を處理していく上におきまして非常に大きな問題となる。これは一番の調べのもとであります。こういう處置をなされるかどうか。これを單にあなたの言われるようなふうに處置せられるということになりますと、實際上はこれはやられぬことになり、隱退藏物資を處理するのに根據をつかむことにならないのであります。私たちはこの根據をつかみたいのである。今帳簿を出せといつてもない。それで復員局からきましたものでも、この原簿によるものではないので、いろいろ間違つたものがたくさんあると思う。この根源を衝いて、そうしてここに出てきておる書類と一々照らし合わせてみないと、この間の消息がわからない。だから私は申し上げるのでありまして、何も單に犯罪だから追究する。あのやろうとつつかまえて網走にでも送つてしまえというわけで申すのではない。根據をつかみたいために申しておるのでありますから、この處置をとられるかどうかを明かにしていただきたいのであります。
#66
○鈴木國務大臣 先ほど私が答えたのは少し誤解がありまして、靜岡の事件を頭においたがために、むしろどんな帳簿を燒いた場合でもいつでも罪になるものとはきめかねると思つたのでありますが、徳田委員が言われるように、明らかに公文書があつたという證明があつて、それを燒いたというのならば、一應公文書毀棄は成立するわけであります。しかし當時帳面を燒くことまで指令されたがごとくに傳えられておりまして、結局そういう錯豪に基いて燒いたというような辯解をするものも多いのであります。これも一齊に檢擧するということをお約束することはちよつとむつかしいと思います。しかし隱退藏物等の摘發に際して、そういう事實が現われてまいるものが少くないようでありますから、その都度處理するようにいたすのでありますが、しかし本犯の方で重き罪になる場合に、別に公文書毀棄だけを追加して論じなくてもよいという場合が多いために、特に公文書毀棄罪という獨立の起訴をみないだけのことでありまして、全然これを無視しておるわけではないのであります。今度もそういう事例がありますならば、摘發あるいは告發してくださいますならば、われわれの方ではこれを捜査するにやぶさかでないということを申し上げておきます。
#67
○徳田委員 これはどうも少々鈴木さんは消極的になり過ぎはしませんか。司法當局が消極的になりますと、この隱退藏物資の摘發はなかなか困難である。こういうことはすでに犯罪だということは明らかなんだから、罰するだけが能じやなくして、罰しなくてもよいから、隱退蔵物資を摘發するために、一々そういう責任者を喚んで、そうして積極的に調べて、これが犯罪でなければ放免してもよろしい。また犯罪であつても、しいて檢擧をするほどのこともなければ、放免してもよろしいけれども、しかしその當時の事情と彼の記憶にでもあるほどのことは、すべてこれを調書にでもとつて、ここに提供していただけば、われわれにとつては隱退藏物資の摘發に非常に有用である。この際經濟を復興し得るか否かという非常に重大なるわかれ道でありますから、そういうときに際しまして、特に司法省が權限を發動されて、こういうことをやられる意思があるかどうかということを承りたいのであります。私はそういうことにまでひとつ御奮闘せられんことを特に望むわけでありますが、どうでしようか、そういうところまでできないでしようか。
#68
○鈴木國務大臣 私としてはぜひやるつもりであります。ただ實際檢事局は人不足でありまして、各地方の檢事局について實情をごらんくださるとわかるのでありますが、一人で三百件くらいずつ事件をもつている。公判の立會ということで一日のうち大事な時間を數時間つぶさなければならんようなことが多い、ほとんど弱り抜いているわけでありまして、大臣がいかに力んで一生懸命やつてくれんと言つて訓令をいたし激勵をいたしましても、そういうところに隘路がありまして、實際問題としてはなかなかあらゆる犯罪を檢擧し盡すということができない状態にあります。しかし、それは別論でありまして、熱意はあるということは申上げておきます。
#69
○徳田委員 それならばまあ鈴木さんの言にあれしましてこのくらいに止めておきますが、ぜひともこれは檢事を増加しましても何にしましてもやらねばいかぬと思うのであります。そうしないと、これは徹底的にはならない。そこで鈴木さんは打ち切りまして安本の國鹽さんにお尋ねいたしたい。物資活用委員會の構成でありますが、どうもここで安本長官の言われたことと、實際今やつておることとは大分違いますな。これは官憲と民間側が十人十人と言いますけれども、この活用委員會は現在一體何をしておるのか、これを一つ伺いたいのであります。
#70
○加藤委員長 ちよつと徳田君、司法大臣に對してほかに御質問がありませんければ、司法大臣から先般のことについてきわめて大まかではあるが、口頭で報告のできる程度のものを報告したいということでありますから、その方の報告を先に聞いてから今の御質問に移つていただきたいと思います。どうぞ鈴木司法大臣。
#71
○鈴木國務大臣 先日ただいままでの隱退藏物資をめぐる刑事事件について報告をするようにというお話があつたのでありますが、できるだけ取纒めて御報告いたそうと存じて努力いたしたのであります。實は新聞等に出てすでに久しくたつているのでありますが、實際問題として調べている方ではいい加減に調べて片をつけるというわけにいかぬものでありますから、一々その先その先とたぐつてまいりまして取調べを進めてまいります關係上、いずれも取調べの途中にあるものが多いのであります。それでただいま詳細に全貌を明らかにするような御報告ができないことは非常に殘念でありますが、せつかくの御希望でありますから、ここにその概略を取纒めて御報告を申上げたいと思うのであります。ただ次の二、三の點についてお斷り申上げておきたいと思います。その一はここにいう刑事事件の範圍は全國の檢察廳が事件を受理したものに限らなければならないということであります。從つて新聞紙上に取沙汰されている事件でも、檢察廳が取扱う以前に屬するものにつきましてはここに觸れないこととするのであります。その二は、事件はこれを時期的にいうと、終戰から現在に至る間のものについて述べるのでありますが、通信連絡が不圓滑な状況にかんがみまして、必ずしも迅速に資材を集め得ているとは斷言しがたいのでありまして、また隱退藏物資をめぐるいろいろな現象の中で檢察廳の取扱いますところはもつぱらそれが刑事上の犯罪を構成した場合のみ積極的にこれに臨む立場にありまして、犯罪事實の確定にせ念せざるを得ない關係上、隱退藏物資の所在をたしかめるということ、すなわちその摘發という點からすると、きわめてその一部分の角度の觀察に局限せられるということであります。次にその三としては、後に述べますように、いわゆる隱退藏物資をめぐる犯罪は、隱退藏されている物資そのもの調査の必要にもとずく各種の特別法規の違反としてとり上げられる場合は、統計的にも比較的把握しやすいのでありますが、廣くこういう物資をめぐる犯罪ということになりますと、詐欺恐喝窃盗等の固有の刑法犯の中にこれを觀察しなければならないので、全國の檢察廳について、これらの刑法犯の内容がどうのように隱退藏物資と關係をもつているかということをたしかめた上でなければ、正確なことは御報告できない状況であります。殊に司法省としては、從來これらの刑法犯の内容について一つ一つ全部の内容の報告を徴する必要もなかつたので、本委員會の御要求に應ずることができまする資料は各檢察廳共にこれを十分に整えがたい状況にあるといわなければならんのであります。從つて私は全國の各檢察廳において若干の注目すべき事件として報告を受けたものの中から、隱退藏物資をめぐる犯罪という概念に照して適當と思われまするものを拾い上げて御報告を申し上げるほかはないことになりまする點を、とくと御了承願いたいのであります。
 そこで隱退藏物資をめぐる犯罪という概念そのもののもつ常識性からいたしまして、統計的なる説明もはなはだ大ざつぱにならざるを得ないのでありまするが、まず順序として昭和二十年八月終戰當時及びその直後の混亂時の犯罪の統計の説明にはいることといたします。
 ときの檢事總長は終戰後一箇月にして全國の檢事長及び檢事正に對して、終戰に伴う經濟事犯處理に關する件という九月十四日附の通牒を發しまして、終戰の混亂に乘じ軍需物資の處理軍需産業關係の經理に關する不當の措置に對する嚴重なる檢察を命じ、その後數囘にわたりまして次長檢事からも事件處理の徹底を指令したのでありまするが、年があらたまりまするとともに、司法、内務兩省打合せの上昭和二十一年二月全國的に一齊取締りを斷行いたしましたるところ、食糧について申しますると、米二千三百七十石、麥九千八百二十四石、乾パン三百七十六箱、小麥粉千五百八十六袋、その他澱粉、雜穀、乾うどん、カン詰、乾甘藷等多量の物を營團に引渡す成果をあげたのであります。續いて二月十七日隱匿物資等緊急措置令の公布とともに、同令違反の檢擧に乘出したのでありまするが、一應昨年六月末日までの報告によつて、いわゆる放出資關係の犯罪を概括いたしますると、こうなるのであります。報告を受けた被疑者の人員は千六百九十名でありまして、この期間中に起訴せられたるものについて申しますると、豫審請求が二十七件公判の請求が三百十九件、略式の請求が四十六件となつております。この被疑者を職業別にいたしますると陸軍軍人が二百六十八人、陸軍の軍屬が百十三人、海軍の軍人が百六十九人、海軍の軍屬が六十五人、軍需工場等の幹部が七十一人、同じく工員が五百二十五人、一般業者及びブローカーが百五人、消費者、農民その他が三百四十七人、また罪名別に分けますると窃盗が最も多く、その大部分は陸海軍將兵や軍需工場の職員、工員たちが終戰時の混亂に乘じて諸物資を不正に持出したものとか、またはこの物資集積所附近の住民が集團的に盗み出したものなどでありまして、横領は軍人、軍屬が保管物資を持出したり、または軍需工場の職員等が資材として支給され、または保管している物資をとつたり隱したりしたもの、あるいは日本通運その他の倉庫業者等が保管物資を横領し、配給の衝にあたる統制機關や官公吏が横領した場合も少くないのであります。そうしてこれらの物資が他に渡りまするときは必然的にやみ取引となつて國家總動員法違反となりまして、このことを種にした詐欺等が行われたのであります。
 さきに述べた隱匿物資等緊急措置令の違反は同令に規定いたしておりまする調査物資について所定の期日でありまする昭和二十一年二月十日までの申告を怠つたことが發覺する事例が普通の形態でありまして、これに類することは指定生産資材在庫調整規則に至るまで各種の物資にわたつて設けられておりまして、これらの法令違反についてはいわゆる隱匿それ自體を内容とする犯罪なのでありまして、司法省もこういう違反については一應の統計をもつております。すなわち今これらの違反事件について、法律施行後今年六月末までの統計によつて檢察廳受理の被疑者數を法律違反の類別に見すると、隱匿物資等緊急措置令違反が千三十七人、生絲等の數量報告に關する件違反が七百十八人、眞珠竝びに眞珠製品の取引の禁止等に關する違反が百十三人、臨時貴金屬數量等報告令違反が九人、絹織物檢査蒐荷令違反が二十二人、鉛の調査報告に關する件違反が九人、パイプ類臨時措置規則違反が六人、生ゴム、ニツケル錫地金またはアンチモニー地金の調査報告に關する件違反二人、指定生産資材在庫調整規則違反二十一人、計千九百五十七人であります。
 しかし以上申し上げましたところでは本委員會御要求のねらいに對應していないと思われまするから、隱退藏物資をめぐつて起りました一般犯罪について申し上げたのでありまするが、前に申し上げましたような事情から申して特に範圍を限定して統計を示すということに適しませんので、おもな事件約十件について事件の内容に重きをおいて、ごくあらましの御報告を申し上げて御參考に資したいと考える次第であります。
 第一は皇國復興協力會事件、横領事件であります。昨年三月二十日鹿兒島地方裁判所の公判請求濟事件でありまするが、被告人は元憲兵中尉でありまして岩村英夫、同人は勤務先の鹿兒島縣下某陸軍療養所から復員するに際しまして、昭和二十年九月二十日ごろ米、澱粉、小麥粉、茶、わかめ、毛布、ふとん、かや、大なべ、食用油、木工具、鍛工具、電話機、電話線、エンピ、のこぎり、油脂、眞空管、自轉車、乘用自動車、貨物自動車、同附屬品、アルコール、ガソリン、その他多數の物資を多量に拂下げた名義で横領いたしまして、この數量も一々明らかになつておりまするが、何がいくら、何がいくらということを、あとで書面にお手もとに差上げることにいたしまして、あまりこまかくなつて長くもなりまするから、この數量を申し上げることは省略させていただきます。これを資本として皇國復興協力會という團體をつくりまして、燒跡整理等の土木運送の請負業を營んでおつた事件であります。
 第二は徳川齊宏事件、これは詐欺事件であります。警視廳において檢擧後昨年十月進駐軍憲兵官に事件を引繼いでおるのであります。本年六月十五日懲役二年及び罰金二萬五千圓の言渡しがありまして、目下執行中のものであります。被告人は昭和十五年十二月に徳川齊宏を改名いたしまして、連合軍特務協力捜査監、日本公民黨總裁を名乘る者でありますが、徳川家達の甥と稱しまして、連合軍最高幹部や宮家と昵懇であるように吹聽いたしまして、連合軍最高司令部軍政府長官官房長陸軍大佐フランク・キユー・グツトエル作成名義の連合軍特務協力捜査員示達書なるものを作成いたしまして、連合軍に直結して隱退藏物資摘發事業を營む者のごとき態度を示しまして、自己の衆議院議員立候補のための政治獻金、または連合軍公認捜査がたることの身分證明書入手、運動資金等の名義下に、昨年三月ごろより八月ごろまでの間合計三十四萬九千圓を、終戰殘存物資調査會長阿部彌吉ほか十數名より騙取したものであることが判明いたしまして、事件を進駐軍憲兵隊に移しましたるところ、ただいま申し述ベましたような裁判があつたものであります。本人の申立によりますると、東久邇内閣の當時、總理の私設祕書となり、幣原内閣退陣の際は、第二次東久邇内閣の出現を企圖し、アチソン大使、マーシヤル衆議長、ダイク代將等を訪問した事實があると申しまして、政治家となつて大いに伸びようとする希望を抱いておつたようであります。
 第三は復興物資全協連盟事件というのでありまして、これも詐欺であります。昨年十二月九日靜岡地方裁判所に起訴いたしまして、豫審にかかつておるのでありまするが、被告人は大阪市に住居を有する清家義照であります。同人は復興物資全協連盟という團體を設立いたしまして、みずからその理事長となり、隱匿物資を摘發して戰災者援護會や農業會に衣料品、疊表等を斡旋すると稱して、同胞援護會本部の百五十萬圓を初めといたしまして、昭和二十年十月中旬から昭和二十一年二月上旬ころまでの間静岡、沼津、濱松の各市役所、その他農業會、會社等よりここに詳しい數字がみなあがつておりまするが、これも御希望とあれば一々申し上げますけれども、後に文書にでもしたためて申し上げることにいたしまして、省略したいと思います。手附金名義のもとに四百三十一萬數千圓の金を詐取したものであります。彼は情報によつて大阪方面に隱匿物資たる綿布が數百萬ヤードあり、岡山縣下には疊表二百萬枚、相當の製品及び藺草があると確信しておると辯解しております。
 第四は住友學事件という業務横領事件であります。昨年七月九日長野區裁判所に起許せられておつて、ただいま控訴中のものであります。被告人は住友學。彼は昭和二十年八月下旬ころ東京陸軍被服本廠岡谷作業場松本裁斷班の組長として業務上保管にかかる陸軍軍需品用毛絲ほか二十九品目、これも詳しい品目の細別がありまするが、省略しておきます。合計四萬三千二百七十九點を相被告人方に運搬隱匿したのち、賣却處分して上京し、賭博に耽つていたものであります。これは一審の判決は懲役六年になつております。
 第五は富士ゴム株式會社事件で、物價投制令違反その他であります。本年四月二十二日靜岡縣警察部長から檢察廳に檢事報告せられたものであります。本件は戰時中陸軍獸醫資材本廠の注文により袋類を製造していた富士ゴム株式會社が工場擴張資金調達のために、手持の隱匿物資たる麻生地百反、約五千三百九十八ヤードをブローカーにやみ賣りしたことが發覺したものであつて、この麻生地は會社が軍から讓受けた當時は一ヤードわずか六十錢であつたのを、會社はこれを一ヤード百三十圓で賣り、六十九萬餘圓の利益を上げたが、その後ブローカーが介在して最後の買主が手に入れたときは、一ヤード二百三十圓となつておる事實は、この種取引の特異性を如實に示すものと申すことができるのであります。
 第六には新生協力會事件、これは詐欺と恐喝でありますが、京都地方檢察廳の捜査にかかる事件であり、被告人は小沼儀市、同人は終戰後綿布等のブローカーをやつておつたが、昨年六月京都市内に海外引揚者、罰災者新生協力會なるものを設立し、みずからその理事長となり、朝鮮人連盟保安隊と結び、大阪市日本産業建設協會理事長秋月琢磨、及び同協會纖維部長湯淺儀一等を威赫監禁し、綿布五萬反の提供を強要し、さらに百六十萬圓の小切手を喝取した上、自分を通ずれば隱退藏物資の拂下入手が確實であるように裝い、宣傳して、造船統制會勤勞者用物資構買係を欺罔して綾生地等千百反の代金名義のもとに九十五萬七百圓の小切手を騙取したほか、同樣手段で約二十囘にほたり現金合計四百七十八萬五千圓を騙取したのであります。
 第七には千葉教育會事件。これも詐欺でありますが、本年八月十一日千葉縣警察部長から檢察廳に檢擧報告せられたものであります。被疑者は第一物産株式會社社長松葉彌熊ほか二名であつて、本件はオリエンタル物産株式會社社長馬崎三次郎が常民科學研究所龜井貫一郎經營でありますが、この研究所で復員軍人軍屬の被服を洗濯して一組三百五十圓くらいで、民間に拂下げる旨を聞知したことをめぐつて起きた事件であつて、千葉県教育會は本年四月、軍服四千著を注文して、その代金名下に三百萬圓を騙取せられておるのであります。
 第八は安江機關事件と言われるものでありまして、詐欺事件であります。本年八月二十二日大阪地方裁判所に一部起訴濟みのものであります。被告人は安江忠之助ほか二名でありまして、安江は安江商事株式會社の社長であつて、日本織物株式會社より中央水産業會に綿布の讓渡方を指令した商工省發行の讓渡指令書の寫しを利用して、その綿布を世話してやると欺いて、本年二月分から四月までの間に鳳産業株式會社社長や帝國洋傘工業株式會社社長等から契約金名下に二十五萬圓を騙取したものであります。右のほか八名の被害者に對する約三百萬圓の詐欺については、追起訴の豫定であると報告せられております。
 それから本年八月二十九日廣島地方裁判所に同じく安江關係が起訴せられたのでありますが、被告人は安江商事株式會社社員鹿倉春雄ほか一名でありまして、鹿倉は財團法人更生同胞協力會の參與として京都市内の隱退藏纖維製品の調査に從事していたところ、芳しくないので、本年四月から安江機關の一員となり、安江とともに廣島縣下にまいりましたが、隱退藏物資を發見することができないで、かえつて安江から資金の調達を求められましたので、キヤラコを摘發して賣つてやると稱して、本年六月山口縣萩漁業會及び松山市加藤物産株式會社松山連絡所から現金または小切手で会計六十七萬圓を騙取したものであります。
 第九は福井の人絹事件であります。物價統制令違反その他であります。東京地方檢察廳及び福井地方檢察廳で捜査いたしまして、一部起訴濟みであります。被告人は福井縣織物配給株式會社社長酒井伊四郎等約二十名の多數に上るのであります。本件は福井縣織物配給株式會社及び福井縣織物工業協同組合をめぐる人絹のやみ取引でありまして、いずれも表面は正規のルートを流すように見せて、その實統制機關の役職員がその他位を利用してブローカーと結托し、すでに確證を得たものだけでも四十四萬ヤードに及ぶ取引を行いまして、裏面でやみ金の授金を行つていたものでありまするが、これらの人絹は生産者が隱匿していた。無籍物であつて、さらに今後の捜査によりまして、全貌が明らかになる見込であります。
 第十は世にいわゆる世耕事件と稱せられるものであり、本件は目下東京地方檢察廳で捜査中で、全部完了しておらない事件ですから全貌を申し上げかねるのでありますが、大體登場人物及び金錢の動きはこういうことになつております。
 津田沼農業會ほか二十三圓體、これは千葉縣でありますが、財團人法人更生同胞協力會に金を渡し、それが二百三十萬圓、水野繁彦のところにまいつております。それから西田政雄という者から五十萬圓、松田正から十萬圓。また三加莊農業會、大豐富農業會から臼井富治に二百萬圓。宇治山田の勞務共助組合から臼井富治に二百三十九萬圓、岐阜縣の農業會稻葉支部から百十萬圓、江吉良農業會からは百四十四萬圓、海津郡農業會の方からは百萬圓、いずれも臼井富治に渡されているのであります。また孫聖文という者から中村清文に百萬圓、岩手縣の輕米農業會から足立正雄という者に三百八十萬圓が渡されているのであります。これが大體中會根幾太郎という者に集中せられていくのでありまして、ただいま申し上げました中村清文から中曽根幾太郎に百萬圓、足立正雄から百三十萬圓、水野繁彦から二百六十萬圓、この臼井富治がもらいました數百萬圓の中から大矢一市に三百四十萬圓まいつておりまして、その大矢一市から中曽根幾太郎に三百萬圓いつておるのであります。それから矢島徳太郎という者から挟間祐行というものに三十五萬圓まいりまして、さらに挟間祐行から鹽月學という方にいつておるのであります。鹽月學から内藤道之助、藤川文六から内藤道之助に二十萬圓及び十萬圓というふうにいつておるのであります。それから中曽根幾太郎のところにはいりました金はまだ完結しておりませんから申し上げかねまするが、鹽月學のとこに百二十六萬圓、辻嘉六に二百五十萬圓というふうにいつておる次第であります。
 こういうふうに金が動いておるのでありまして、東京第二區から衆議院議員選擧に立候補して落選いたしました自由黨公認の中曽根幾太郎が、本年二月頃面識を得ました鹽月學及び藤川文六兩名から、當時内務政務次官であり隱退藏物資摘發處理委員會副委員長でありました、世耕弘一が、その摘發にかかる軍衣袴多數を一着につき百圓の政治獻金を條件として、一着六十圓乃至六十五圓の價格で拂下げるということを言明したと聞知いたしまして、まず政治資金を獲得しようということを畫策いたしまして、その後ブローカー水野繁彦ほか數名から軍衣袴拂下げを前提とした政治獻金名下に數百萬圓の交付を受けましたが、摘發物資である軍衣袴は皆無で、未だ一着の拂下げもみていないということから捜査に著手するに至つたのであります。
 第十一は、山北町の事件、窃盗と業務横領でありますが、横濱地方裁判所小田原支部に起訴濟みであります。被告人は神奈川縣山北町町長田代彌市、同助役武井郡平及び合資會社東海工業支配人神部北之助であります。本件は進駐軍から日本政府に引渡された物資、綿絲、短綿、撚絲、洋紙、水藥原紙、錫、機械油、電氣銅、それから釘、石綿粉、屋根用フエルト、ブリキ板、ワイヤロープ等多量を搬出いたし、あるいは隱匿いたしたのであります。同町民間で非常な紛議を招いた事件でありまして、綿絲について言いますと、同町が得た量は二百梱以上に達すると報告されております、
 それからキヤラコ事件というものがありまするが、目下東京地方檢察廳において捜査中のものであります。被疑者は佐々木在久、大野圭演、泊利一、平山寅雄という者でありまして、佐々木は弊原男爵の甥であり、大野は朴烈の伜であり、泊は滿洲國高官であると名乘りまして、大倉喜七郎、中島知久平共有の無籍物のキヤラコ五萬七千反が桂公爵邸や野村大使邸の地下室に保管してあるが、大倉からこれを正規のルートによる賣捌き方を依頼せられていると稱しまして、G・H・Qの輸送證明書のごときもの及び朝鮮獨立促進青年同盟の加工委託及び輸送證明書を作成いたしまして、漆原徳藏ほか數名を欺罔いたしまして、代金名下に百九萬八千圓を騙取いたしまして、全部遊興に使用したことがわかつておるのであります。
 その他大分地方檢察廳からの報告によりますと、群馬縣太田市の舊中島航空機太田工場に國際綜合大學を建設する資金獲得のため大藏、商工、内務、各省の拂下になつているキヤラコ、てんじゆく、サラシ、麻服地、ふとん、蚊帳、日用品、雜貨、藥品、軍手、軍足、地下たび、軍衣袴、作業服、窓硝子、ジユラルミン材、鐵板等合計二十四億圓ぐらいあり、拂下先は公共團體に限るが、入用はないかと申しまして水産業會その他からは注文を受けた者がありまして、あるいは連合總司令部が日本キリスト教團擴帳費用に充當するため軍管理物資中から物品を拂下げることになり、既に三箇月前日本キリスト教團が放出申請をなし許可せられ、總司令部直屬米軍衣料仕立工場主田邊某が約六、七十億圓程度の處理をすることができるというようなことを申したということが言われているのであります。
 それから隱匿物資摘發權限あることを装つた者の状罪といたしましては、去る七月十八日宇都宮地方裁判所に窃盗罪で起訴されました井上登外四名のように、摘發情報係と稱して各所の倉庫等を檢査し、賍品の所在を確めておいてから後日不良朝鮮人等と組んで貨物自動車を利用し倉庫破りを敢行して各種生地類、衣類、毛布等を多量に奪いとつている事例がありまするし、また大阪地方檢察廳の報告によりますれば、安本隱匿退藏物資摘發隊員と稱する者の不審な行動に出ている數個の場合を示され、たとえば晝間の臨檢に加わつた者が夜間再び同じ家に現われて「晝間見せてもらつた物資を賣つてくれ、もちろんマル公とは言わない、即金で拂うから旅館で商談したい」などと申込んだ事實等があるのであります。
 こういうふうに引例してきた多くの事件を通じて、私どもは次のことを知り得るのであります。すなわち隱退藏物資ありとして金錢の動くところはほとんど皆詐欺漢の策動にほかならない、まことしやかに傳えられる誇大な嘘言はいろいろの臆説を生んでこれを冷静に考えてみますれば、まつたくばかばかしい狂態の現出であります。
 以上によりまして一應の資料に基くきわめてあつさりした報告を申し上げたわけでありまするが、冒頭に申し上げましたように、その角度からする資料がはなはだしく不十分でありまして、また犯罪捜査中に部分が少くないために、まことに簡略に過ぎるということは私といたしましても遺憾に存ずる次第でありまするが、御了承あらんことを希望いたすのであります。
#72
○本多委員 ちよつとお伺いしておきたいと思いますが、今中曽根某のことを自由黨の公認としてということを説明されたようですが、私ども自由黨としては公認にはなつておらん。本人から獻金を條件に公認というような、いろいろな人を通じての運動のあつたととは聞いておりますが、公認の事實はない。その人物に對して信用ができなかつたので公認しなかつた。こういうことに黨の方ではなつているのですが、公認の事實をどういうふうにして確認せられたものであるか、それをちよつとお伺いしたいと思います。
#73
○鈴木國務大臣 私は檢事の報告をそのまま申し上げたのでありまして、よく私自身調べておるわけではありませんが、本人がそう申し立てておるものと想像いたします。なおよく調べまして次會にもし公認でないならば公認でない旨を申し上げるつもりであります。
#74
○本多委員 これは政黨の名譽に關する重大なことでありまして、そういう詐欺漢が一方的に申し立てたことを、國務大臣としてこの席上で斷定的に報告されるということはまことに遺憾に思います。私ども黨の幹部として絶體に公認していないはずですから、その點はよく御調査になつてお取消しを願いたいと思います。
#75
○中野(四)委員 司法大臣のただいまの御報告を聽いてみると大方概念的なものばかりで、われわれ委員會が希望し要求したのとはおよそ隔たりがありすぎます。われわれが特に指摘をして司法大臣に委員會でもし支障があるなれば祕密會を開いてもその席上で御發表願いたいと申し上げたことは、特に東京都のキヤラコ事件、あるいは世耕情報に基く世耕事件、ないしは龜井貫一郎君を中心とする龜井事件、こういうものについて現在檢察當局が取調べをしておつて事實捜査に支障のない限りにおいて――全部支障がないとは言われませんから許される範圍において、この委員會の祕密を開いても御報告を願いたい。それは本委員會が中間におるとは言いながら少くともこの世耕君の問題を取上げて、この問題に一應の解決點をつけようといたします限りにおいては、司法當局特に檢察當局の取調べ過程が那邊にあるやということをきわむるにあらずんば、なかなか容易な問題ではないのであります。從つて祕密會の席上でこの問題を發表を願えるものなればぜひお願いをしたいし、ただいま御報告のような概念的な點だけを御指摘になるというならば、一體きよう御報告願つた意味はまるきりないではないか。こう考うるのであります。でありますからきわめて近い將來に、祕密會を開いてこの點を發表する意思があられるかどうかという點をまず第一に伺い、さらに更生同胞協力會、常民同胞協力會というような團體が終戰後特に殖えまして、この點も一言申し上げなければならぬことは、更生同胞協力會においては特に警視廳方面において詐欺事件を起した前例がありまして、相當視察あるいは警戒をしておつたはずであります。しかるにこの詐欺事件の渦中にあり中心にある更生同胞協力會というものに對して、檢察當局は今日まで警視廳から報告があつてそれぞれ檢事局において取調中のものであるにかかわらず、公認して置かれたということは非常に事は檢事當局の怠慢と言わなければならぬと思うのであります。そこで司法大臣はこの更生同胞協力會あるいは常民同胞協力會というようなものをばどういうふうに見ておられるかということを伺いたいのが二點、第三點は近來うわさに聞くところによれば、どうも今度の世耕事件というものは被害者が全國の零細なる漁民、農民に莫大にありまして、その割に加害者というものか實際上においてなくなつてしまうおそれがあるではないか。そういうふうに世間は疑惑をもつております。世耕事件、世耕情報というものを中心として各方面にいろいろなうわさの出ます原因は、これが疑獄的であると同時にこの結末は相當政黨的な動きがあるのではないかということを、世間は多く疑惑をもつて見ております。從つて私はこの問題が司法當局の確固たる信念に基いて、その實害の大なるに鑑み、徹底的にこれを究明し、いやしくも政黨に關係のある場合には、假借するところなくお調べを進めていかれる決心があるかどうか。むろんあるでありましようが、ただ單的に委員會では司法大臣が熱意をもつてあるというだけではだめです。これを實績の上に現わす用意があるかないかという三點を明確に伺いたいと思います。
#76
○鈴木國務大臣 ただいま御指摘の、報告がはなはだあつさりしているということは、いかにも私自身が認めるところでありまして、厖大な記録に基いて、その記録のうちどういうことが問題になつたかという結論だけを申し上げることになると、どうしてもこういうことになる。ほんとうは全記録を讀んでいただかなければ生きた事件は目の前に浮んでこないのでありまするが、それは非常に長時間を要しまするし、また全部こういう席に發表するわけにいかぬことも御了承くださると思う。そこで近い將來に秘密會を開いてまでもやるかというお言葉でありますが、政府といたしましては、できるだけ秘密會というようなものは避けようではないか、いたずらに社會の疑惑を深めるだけであるから、できるだけ公開の席で公然發表する、意見を述べることにしよう、秘密會などはなるたけ開かない方がよろしい。その代り仰せられる通り實際調べが全部完結いたしまして、世耕事件等におきましても中野君の言われるのももつともでありますので、最後まで突きつめまして、どういう者に關係がありましても、そういうことには假借なく、斷ごとして全貎を明らかにして御報告を申し上げるつもりであります。しかしただいますでに、ちよつと自由黨公認と申しただけでも、ただちに責任ある司法大臣が何ごとであるかという御詰問を受けるような次第でありまして、この中曽根某がだれにいくらやりましたというようなことを自白しておるとしても、それが眞實でないというような場合があり得るのであります。私ども責任ある者がここで御報告をするのには、まだまだよく調べなければならぬものが殘つておりまするために、御報告を簡略にしておるわけであります。調査の熱意は決して御心配に及ばぬのでありまするから、結論が出ましたときには、全貎についてあらためて御報告を申し上げるつもりであります。
#77
○中野(四)委員 お尋ね申し上げた點が一點抜けておるようです。公開の席上でなるべく發表したいというのは、むろん望むところでありまするが、祕密會と申し上げたことは、私が捜査上の支障を恐れたがゆえに、本委員會のあり方に對して十二分に信用ぜられて、祕密會において相當突つこんだ點まで御説明か願えるものならという考え方で申し上げたのでありまするが、公開の席上の方が結構だと言われるならば、速やかに早い機會に公開の席上で發表せられるように御努力願いたいと思います。さらに私が更生同胞協力會あるいは常民同胞協力會というようなものが相當世間的に指彈せられ疑惑を受けているものであるが、これに對して檢察當局はどう考えておつたか。現に警視廳においてこれを詐欺事件として取調中であります。これに對して相當警戒しておつたにもかかわらず、こういう事件をさらに惹起したということは檢察當局の責任であると、こう申し上げた。この點のお答えがありませんから、一緒に御報告を願いたいと思いますが、私が申し上げたのは、どうも世間では相當實害者があつたにもかかわらず、これをうやむやのうちにもみ消してしまうのではなかろうかというおそれは、政黨獻金というようなデリケートな問題をどつか一箇所で食い止めて、いわゆる個人獻金で終らせようという傾向が非常に強いのであります。すなわちただいま名前が出た鹽月學君にしてもないしは辻嘉六君にしても、いろいろ各方面から取調べ過程においてはその名前が出て來ましよう。ところがこれらの者は相當世間のきけ者です、なかなかの手練の方です。檢察當局においても新憲法施行後においてはなかなか突つこんでいけないという弱點に使乘しておれが貰つたのだ、政黨にやるのではない。おれが貰つておれがばら撒くのだ。個人獻金で政黨獻金でないという理由でぶつ切られるということが想像せられるならば、全國の實害に鑑みて容易ならぬ國民の疑惑を招くおそれがある、こういう點を私は指摘して申し上げたのであります。しかしながら最も信頼できるところの鈴木さんが多くの檢察當局に命ぜられて、徹底的にこれを追究するというならばお手竝拜見という意味において私たちは期して待つております。さらにもう一つ伺つておきたいことは、先日本委員會において徳田委員より世耕指令書と俗にいう摘發の面における指合書ないしは處分に關する指令書に關して、法律的根據ありや否やという點について和田安定本部長官に質し、商工大臣に對しては不肖より質しております。前の委員會で證人として石橋湛山氏はこの處分權限はないということを認めております。また和田さんあるいは商工大臣の水谷さんは法律的根據は認められないということを言明しております。その結果によると、一體世耕さんの出した世耕指名というものはどういう觀點に立つて取扱つておられるか。すなわちこの指令書一本によつて相當なる損害、實害が全國に及び、しかも今日あらゆる點において大きな波紋を投げかけている問題ですから、まず根本問題である世耕君の發した摘發指令書というものに對して、司法大臣は現在どういう取調べをしているかという點を御答辯願いたいと思うのであります。
#78
○鈴木國務大臣 中野委員の御質問は最も核心に觸れておるのでありますがさてこれが本件において最も大きな意味においての罪が成立するかしないかのわかれ目でありまして、あらゆる證據を調べて最後に檢察當局としては結論を出す大事な點であります。從つてその檢察の取締りの任にあります私として、結論に達せざる以前にここでどう考えているかということを申し上げることはやや適當でないと存ずるのであります。問題が非常に重要な問題であるということはよくわかつております。ただいま私の見解あるいは政府としての見解を申し上げることは、しばらくお許しを願いたいと思います。
#79
○中野(四)委員 この問題が明確にならなければ私は取調べの前途に非常に大きな不安を感ずるものであります。すなわち一つのものを捜査するにも大體の方針を立てて、その方針に從つて捜査あるいは調査をするというのが物の順序であります。少くとも今日までは俗にいう世耕事件、世耕情報としていろいろな形において取上げて來られたでしよう。しかしながら同時に本特別委員會においてこれが取上げられ、正式の過程においてそれぞれの主務大臣あるいは關係大臣より明らかに法律的な根據がないということが明確になつたからには、それを基礎としてお取調を始められるのがあたり前であろうと思います。從つてそのとき世耕君の出した指令書というものに對して、はたしてどういう見地に立つかということはわかり知つたことだと思います。その點に對して司法大臣がここで明答をされたからといつて何も捜査線上に支障があつたり、あるいは惡い結果が生れるとは考えられません。むしろ司法大臣がまず所信を明らかにされることを全國民期待し、あるいはそのことによつて世耕事件の速やかなる終結が求められると私は考えるのであります。重ねて司法大臣の御明答を願います。
#80
○鈴木國務大臣 それは何でもないことのようでありますが、檢察當局として結論を出します場合にはすべての調べた證據を工臺として結論を出さなければならぬのでありまして、單なる所信を述べるというようなまわけにはいかぬのでありますから、おそらくは私も檢事同體の原則に從いまして檢事一同が集まりまして、その問題の證據を點檢した上で決定する。取調べの一線にあります檢事は結論をもつているかもしれません。私はその報告を受けておらぬのであります。單に證據を離れて理論的にあるいは信念としてどう思うかということを申し上げることはやさしいことでありますが、それは司法大臣としてなすべきことでなかろう、こう思いますので十分檢事と協議をいたした上で、この問題はお答えをいたしたいと思います。
#81
○中野(四)委員 この委員會において同じ政府の責任ある二國務大臣が明かにその所信を示しておられる。從つて司法大臣がその見解に基いて一定の方針を立て、その立てた結果のあり方についての御説明があるのが當然だと思う。重ねてこれは問いますまい。しかしながらこういうふうにお問い申し上げたらいかがでしようか。すなわち各二大臣の説明に基いてこれが法律的根據がないといたしますれば、その結果起つた事件のあらゆる問題にわたつて世耕君のとつた態度はどういうふうに法律家の鈴木さんとしては取締つていくのが最も妥當であるとお考えになるか。一つお聽かせを願いたいと思います。
#82
○鈴木國務大臣 それもまことに重要な問題でありますが、やはり假定論でありますから、遺憾ながらそういう場合にはどうというようなことはちよつと申し上げかねます。御了承願いたいと思います。
#83
○中野(四)委員 これ以上承つてもむだだと思いますから、私はできることなら委員長にお願いして、檢事の捜査上に支障のない限りにおけるところの現在のあり方、それから世耕情報、指令書を出したすべてのものに對する考え方というようなものが、この委員會において聽ければ大變有難いと思いますから一應御斡旋を願いたいと思います。
#84
○加藤委員長 それはどういう意味ですか。
#85
○中野(四)委員 檢事が世耕君の出した指令書に對してどういう考え方をもつておられるか。それがまるつきり法的根據のないものであるとするならば、根據のなかつたものを發したことによつてこういう大きな實害をこうむつたことについて、あるいは根據のあつたものとするならば、これはどこまでいつても罪にならぬというような見解をまず所管の檢事に私は聽きたいと思う。こういうことについてお取計らいを願えればこれに越したことはないと思いますが、これもできぬというならばやむを得ぬと思います。
 それから私は國鹽さんに伺いたいことが一點あります。物資活用委員會のメンバーはどうふうような要綱によつて選ばれたかということを一遍聽いておきたい。これによつて二、三お質しをしなければならぬ重要な問題がありますので、お答えを願いたい。
#86
○國鹽政府委員 先般官制が公布になりまして成立いたしました物資活用委員會の委員は官民双方から選ぶ建前にいたしておつたのであります。しかして約半數を官からとり、約半數を民からとる、實際におきましては民の方が多くなる豫定になつております。現在はまだ完全に充足された状況にはなつておりません。まだ若干の追加をしなければならぬかと思います。民間の委員の方は關係のあると申すよりも摘發に關心のあるまじめな事業家側からも出す。それから勞働者側からも代表を出し、またそれについて特殊な關心をもつておられる熱心な方から出す。かような標準で選んだのであります。當初は國會からということも考えたのでありますが、國會のいろいろの御都合がありまして、國會の方から出すにはいたらなかつたのであります。ただいまはつきり記憶はいたしておりませんが、民間が八名か九名、そのうち勞働組合農民組合と合せて、四名それに民間の辯護士の方が一名、事業家の方は二名か三名であります。大體そういう状況であります。
#87
○中野(四)委員 民間側の事業家から取上げられた委員の件について、特に隱退藏物資等に相當關心をもつておる者をば取上げたというお言葉であります。この裏面に相當大きな疑惑を投げかけております。すなわち隱退藏物資に關心をもつというのは聞くところによれば自分みずからが隱退藏物資を相當もつておる、そうしてこれが摘發活用の面においては相當大きな利害關係があるというので、安本に猛運動をやつた。その結果現在物資活用委員會のメンバーとしておられる。現に私らはこのメンバーがそこに現存しておられることを知らないから、あらゆる意味においてこの情報を集めてあなた方へ提示した一つの事實があります。しかしながら私が調べた結果においては、本日委員會の仲間から、報告を受けたのでありますが、驚くなかれ、この隱退藏物資をもつておるところの當の責任者が、物資活用委員會のメンバーになつておるという事實がある。私はこれこそ容易ならぬ問題であると思うのであります。世上安本のいわゆる腐敗墮落を衝かれ、第三官僚のあり方が非常に惡いというようなことを言われるのは、こういうような實質に照して言われるであろうと思うのであります。少くともこういうような活用委員會のメンバーを構成起用するときには、相當嚴選はされたのであろうけれども、他からの運動によつて求められたということによつてこういう結果が生れる。しかもこれからいろいろの多くの派生的な事件が起つてくるのであります。さらに私はこの際國鹽さんの意見を聽いておきたいのは、この隱退藏の責任者が選任されたが、もしこの人の手もとから退藏物資が出た。隱匿物資が出たという場合には、この現在の活用物資委員會の委員になつておられる人には、どういうような處置をされるか、一つ承つておきおたいと思います。
#88
○國鹽政府委員 ただいまの民間委員の詮衡に關して世上疑いがあるかのごとき御質問でありますが、これは政府の方からお願いいたしたのでありまして、別に委員になりたいという委員の希望があつたのではないのであります。その點はつきり私ども言明しておきたい。なお民間の事業家でありますから、いろいろその關係する範圍においてそういう問題も將來起り得ると思います。私どもはその人の業界における特殊の知識を利用し、全用していただいて積極的にやつていただこう。こういうねらいをもつておるのであります。でなければ民間の事業家から委員を選ぶということが成立しない。ある意味においては毒をもつて毒を制すると言いますか、そういう考え方であつて、本人さえ眞面目であればその點は大丈夫である。御本人の點については十分各方面から調べていただきまして、その點は私は信頼をもつておるのであります。なお當該關係事業方面でこういう摘發物資があつたらその處分をどうするか。こういうお問いでありますが、もしそれがその委員の占有あるいは所有に屬するものであるならば、おのずがらその責任もはつきりすると思います。廣汎なる事業をやつておられる場合に、その配下の監督不十分というような場合においてはその態樣もまた變つてくるのではなかろうか、かように思つておるのであります。
#89
○中野(四)委員 安本で嚴選したもので、他から運動でやつたのではないということは私はいろいろな理窟があろうと思います。しかし多くの物資を退藏し、あるいは隱匿しておるような疑しをもたれる人たちは、多く安本と深い關係をもちたいのです。活用委員會の面において關係を結んだからといつて、退藏物資の方に深い關係がなかろうじやないかというような考えがあるならば、それは大きな間違いです。安本と少しでも知り合つて摘發の場合に自分の方に有利に導こう。あるいはこれを未然に防ごうというようなことは、物を隱すくらいのやつだから當然やることです。それから今お話がありましたが多くの會社をもつておるからどれだかわからぬというやろなことでありますが、現に指摘しておる會社は特殊物件を集め、しかも惻後における物資の偏在においては、安定本部あるいは商工省方面でも多くの疑いをもつておる會社であります。その會社の社長をも活用委員會のメンバーとして起用する。これは安定本部の大きな誤りであると思うのであります。しかしながらあなたの方は誤りがない。私の方に誤りがあると言われましても、結果から見なければわかりませんから、この私どもの提供いたしました資料について、黒白をつけたらいいと思うのであります、よつて私は正規の手續を踏むと同時に、これが結果については今後重要な關心をもつていきたいと思います。ただ處理の場合においてはもしそういう點があつたならば善處するという國鹽局長の言を私どもは十分に了として、その處置のあらんことを希望いたします。
#90
○小島委員 ただいま國鹽政府委員の御答えのうちに、毒をもつて毒を制するというお話がありましたが、この考え方は非常に危險ではないかと思うのであります。世耕君があんな大きな間違いをしたのも、やはり情報提供者というものが、ブローカーとかそういう人間でなければ、しよつちゆう情報をもつて來ないということ、ここに大きな世耕情報の間違いを起しておるのでありますから、中野委員が言つておるように、毒をもつて毒を制すと言いましても、かりにその人が非常に眞面目な人間だつたところで、その人が自分の關係の會社に隱退藏物資をもつておつたといたしましたならば、社會に與える影響は、ただそんなことで濟まないのであります。すべての活用委員會の行動というものが疑はれることになるのでありますから、ただいま中野委員は名前を言つておられませんが、その點については一刻も早く善處されんことを希望するのであります。
 なお一點お伺いしたいのは、世耕情報と言つて世耕君が出した情報は約四百七十七あるということでありますが、その世耕君の指令書というものは、安本においてこれを全部取戻されたものでありますか。なお國内においてこれを自由にもち運ばれておるものでありますか、その點伺いたい。
#91
○國鹽政府委員 毒をもつて毒を制するという表現、必ずしもただいまの場合に當嵌つておる表現であるかどうか、若干疑問があるのでありますが、多少疑わしいような點があるにしても、その人がまじめてあればその人の知識を活用すれば、非常に役に立つ。こういう考え方であります。なおその點は將來とも私どもの方で十分注意いたしまして、委員各自に責任をもつていただくようにいたすつもりであります。
 次に世耕氏の出された指令を安本が囘收したかどうかという問題でありますが、これは當時の世耕副委員長が直接民間の方へお渡しになりました關係上、手もとには本物がないのであります。ただ世耕氏の祕書をしておられた方から寫しをいただきまして、その寫しは安本の方で保存しておるような次第であります。
#92
○小島委員 なお一點司法大臣にお聽きしておきたいと思うことがあります。前々囘でしたかこの委員會で問題になりました栃木縣の隱退藏物資の摘發のことに關連いたしまして、そこに非常に現在國民に對して絶對的な信用をもつてもらわなければならんと思われる人の名前があげられて、その方に關係した人の態度については、相當疑惑があると思われるような節があるのでありまして、その點はもちろん司法省の方でも十分御承知だと思いますが、これらの點も國民に與える影響からして非常に重大だと思うのでありますが、栃木縣の隱退藏物資の摘發に關する記録というものは、この委員會の速記録をごらんになれば十分わかると思いますが、一刻も早くそれらの點についても司法省で十分御調査の上善處せられたいと思うのであります。あの栃木縣の隱退藏物資の摘發に絡みまして、多少司法官に屬する人の名前が出ておるということは、御承知でございましようかどうか。
#93
○鈴木國務大臣 そういう名前が出たことは新聞紙上でよく承知いたしておりますが、新聞だけを信頼するわけにはいきませんから、當局に命じまして、ただいま調査中であります。その報告を受けました上で善處いたしたいと思います。
#94
○徳田委員 大體日も暮れそうになりましたし、これくらいにすることにいたしまして、次の委員會に内務大臣にぜひ來てもらいまして、この兵器處理委員會のことについて十分聽きたいと思います。それから兵器處理委員會及び戰時中の機械類の處理に對しまして、大藏大臣をぜひ喚んでいただきたい。なお安本長官に關しましては、私の質問はまだ保留されておるのでありまして、安本長官にもぜひ來ていただきたい。それから商工大臣には、この前から言うておりまする栃木の件は、まだちつとも報告がありませんので、どうしても水谷商工大臣に出ていただかなければならないと思うのであります。それから鈴木司法大臣には、この次にはぜひとももつと詳しいところを報告していただきたい。きようのところはみんなが了とするというのでありまして、ほんとうに痛いところはまだ衝いてない。ほんとうのいいところがみな拔けているわけでありますから、そのいいところをこの次にはぜひ報告していただきたい。そういうことをお願いいたしまして、きようこれで散會したらどうでございましよう。
#95
○加藤委員長 それでは委員長からお諮りいたしますが、先ほど中野君の御提議になりました世耕事件擔當の東京檢察廳の田中檢事が、世耕指令書というものを合法的のものとして捜査に當つておるのか、もしくは非合法的なものとしてという觀點から捜査に當つておるのか、その見解を聽くために證人として當委員會に出頭してもらう。こういう御提議であります。
#96
○小島委員 私はその點につきましては遺憾ながら反對したい。中野委員にはあとで了解を得るつもりでございます。私は辯護士をいたしておりますが、當該係檢事というものがどういう考えをもつてこの事件を取調べておるかということを、公開の席で發表いたしますることは、その後の犯罪の捜査という點につきまして非常な困難を來す。たとえば檢事がこういうことを考えておるのだ。この點で犯罪になると思つておるということを公開の席で申しますと、被疑者はそれに對抗するだけのアリバイをつくるとか、言譯をつくるというようなこともありますので、ただいま司法大臣が言われましたように、現在この取調べは進行中でありますし、もはや最終の段階にも近寄つておると思われる筋があるのでありますから、いましばらくこの點は司法大臣を信用いたしまして、第一線の檢事をここに證人として喚ぶことは、一應留保した方がいいのじやないか、かように思うのであります。
#97
○加藤委員長 それでは今小島君が言われたような意味におきまして、これはむしろ中野君から御提議を撤囘していただくということにします。ついては先ほど徳田君から請求されました國務大臣竝びに政府委員の出席については、極力取計らうことにいたします。あるいは司法省關係におきましては刑事局長の出席を求めることにします。なお司法大臣に先ほど徳田君から御請求がありましたように、次會において今日以上に詳細な報告ができる段階になつておるかどうかは、時間的に若干の疑問がありまするが、もし報告できる段階にあれば當然報告してもらうし、もし次會にそれが不可能であるとするならば、できるだけ早い時期に、委員會においても先ほど來委員の各位が言われます通り、世耕事件に關する中間報告をなすために、ぜひとも必要な條件でありますから、そういう意味においてできるだけ早く報告をしていただくようにしていただきたい。
#98
○中野(四)委員 この次の委員會に御出席のときに、東京都のキヤラコ事件というものをば司法省、檢察廳では、まだ多く取上げていないと思います。しかしながらこのくらい奇々怪々な事件はないのです。世耕情報も軍服事件も、近來あらゆる詐欺事件は、このキヤラコ事件から起つておるのであります。しかしながらあなたの方でかりにお調べがあつたとしても、きわめて淺薄なものでありまして、現にその詐欺の當人、相手方と言われるような廣田事務官、これは現在東京都で課を送つただけで勤めておる。そうして一事務官が數百萬圓の金を受取りながら、個人的な口座を組んで、東京都の名で詐欺したということで、終つておるようであります。しかしながらこの問題については、近い將來に相當大きく取上げなければならぬ場面が起つてまいりますから、司法大臣が次の委員會に御出席の際に、キヤラコ事件の現在までの調査過程だけは、御報告願いたいと思います。その上で、私の方にも少し資料がありますから、提供をして、この終局をつける方向に善處したいと思いますから、どうぞお願いいたします。
#99
○鈴木國務大臣 先ほど申し上げた佐々木在久外三名のキヤラコ詐欺事件とは違いますか。
#100
○中野(四)委員 違います。教育局のキヤラコ事件というて芝山義豐――ただいま問題になつた佐々木在久、水野繁彦というのは、京都の詐欺事件で數百萬圓の詐欺にかかつた男ですが、同じような形で、狭間という男を中心に、芝山というのが本人で、東京都に行つてキヤラコの加工を依託するというのを中心にして起つた事件であります。これは相當大きな事件でありますが、どういうものか檢察當局は現在大きく取上げておりません。これは先日櫻井檢事に私が直接會いましたときにも、事實上まだそこまで手が行つておらぬという話でございました。從つてお調べ中の過程のものは、ぜひ今度の委員會に報告をしていただきたい。その後において私の方からもいささかながら資料を提供したいと思うております。
#101
○清澤委員 十日ほど前の新聞に出ておつた御殿場事件というのが、やはりキヤラコ事件ですが、何か商工省の近藤事務官が許可書を出したとかいうような、はなはだ複雜な事件になつておりますが、その後のお取調べはどの邊まで行つておりましようか。おわかりでしようか。
#102
○國鹽政府委員 これは警察の方で目下調べておる樣子でありまして、事件は詐欺であることは明白であると思います。詐欺がどういう手段、どういう方法で行われているかという詳しい報告は、まだ聽いておりません。
#103
○清澤委員 取調べ中のものを詐欺である。品物はないのだという、何か確證はございますか。
#104
○國鹽政府委員 警察が詐欺事件の疑いで調べているということを簡單に申し上げたので、詐欺だという斷定をした、その點は取消します。要するにまだ警察で取調べ中でありまして、私はまだ詳しいことは存じておりません。
#105
○加藤委員長 それでは今日はこれで散會いたします。次會は公報をもつてお知らせします。
   午後四時二十九分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト