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1947/12/04 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会司法委員会連合審査会 第5号
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1947/12/04 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会司法委員会連合審査会 第5号

#1
第001回国会 議院運営委員会司法委員会連合審査会 第5号
昭和二十二年十二月四日(木曜日)
    午前十一時十六分開議
 出席委員
   議院運營委員長 淺沼稻次郎君
   理事 坪川 信三君
      佐々木更三君    笹口  晃君
      森 三樹二君    安平 鹿一君
      吉川 兼光君    工藤 鐵男君
      小島 徹三君    後藤 悦治君
      小澤佐重喜君    石田 一松君
      田中 久雄君
   司法委員長 松永 義雄君
   理事 鍛冶 良作君
      池谷 信一君    石井 繁丸君
      榊原 千代君    山中日露史君
      中村 又一君    八並 達雄君
      山下 春江君    吉田  安君
      明禮輝三郎君    山口 好一君
      大島 多藏君
 委員外の出席者
        法制部第一部長 福原 忠男君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 議院における證人の宣誓及び證言に關する法律案起草の件
    ―――――――――――――
#2
○淺沼委員長 それではこれから議會運營委員會及び司法委員會の連合審査會を開きます。
 委員長間の協議に基きまして私が委員長の職務を行います。
 それでは議院における證人の宣誓及び證言等に關する法律案起草の件を議題として、連合審査に入ります。本案に關しましては、新國會の今日までの運營の經驗に基きまして、證人の宣誓及び證言について不利があると認めまれます點について、各方面の意見をも參酌しつつ、議院運營委員會において一應審議の結果を起草して、大體の成案を得るに至りましたので、ここに兩委員會の連合審査會を開いて、さらに御檢討を願いました上、御贊同をいただけるならば、速かに提出の運びにいたしたいと存ずる次第であります。この際便宜上私から、本案の大體の主要な起草經過について御説明を申し上げます。
 ただいま議題となりました議院における證人の宣誓及び證言等に關する法律案について、提案の理由を御説明いたします。
 日本國憲法第六十二條によりまして、各議院は證人の出頭及び證言竝びに記録の提出を要求することができることになつておりまするが、これに關する國會法の規定には、足りない點がありまして、今會期中における各委員會での證人の證言の實情を見ておりますと、憲法及び國會法が豫期した效果を上げることができず、證據力において缺けるところがあると思われまして、まことに遺憾に存じます。この觀點から、證人がその義務に反した場合においては、何らかの制裁を加えることが必要となつてきましたので、ここに本案を提出いたしまして、諸君の御贊成を得たいと考えたのであります。
 この法律案は議院運營委員會におきまして、數箇月の間研究に研究を重ねて得た案でございまして、その間委員諸君は非常に熱心に審議せられ、案の改廢も數囘に及んだのであります。今、本案の内容について簡單に御説明申し上げます。
 まづ第一に、證人として出頭を求められたとき、または書類の提出を求められたときは、何人もこれに應じなければならないことを明記いたしました。しかして證人が證言をする場合におきましては、司法裁判所における例にならい、宣誓をさせることといたし、その形式をも定めました。ただ、證人本人、證人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、證人の後見人または證人の後見を受くる者に刑事上の訴追または處罰を招くおそれあるとき及び醫師、齒科醫師、薬劑師、辯護士、その他宗教または祷祀の職にある者については、民事訴訟法第二百八十條及び二百八十一條の例によつて證言を拒み、または宣誓を拒み得ることといたしました。書類の提出についても同樣であります。但しこれらの拒絶の場合には、その理由を疏明させることとして民事訴訟法第二百八十二條の規定を準用いたしました。
 次に、證人が國務大臣以外の國會議員を除いた公務員である場合には、その者が知り得た事實について、本人または當該公務所から、職務上の秘密に關するものであることを申し立てたときは、當該公務所またはその監督官廳の承認がなければ、證言または書類の提出を、求めることができないことといたしました。この場合におきましても、やはりその理由は疏明させることといたしました。但し、その理由をその議院もしくは委員會または合同審査會において受入れられる場合には證言をし、または書類を提出する必要がないこととし、他面その理由を受入れられないときにおいては、内閣に對してその證言または書類の提出が國家の重大な利益に惡影響を及ぼす旨の聲明を要求することができることといたしました。しかしてその聲明が十日以内になされないときは、證人はやはり證言をし、または書類を提出しなければならないことといたしました。
 次に、罰則であります。以上の趣旨により、宣誓した證人が虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に處することといたしましたのは、刑法の僞證罪の例によつたものであります。なお、本人が當該事件の審査または調査の終る前で、かつ犯罪が發覺する前に自白したときには、その刑を減輕または免除し得ることといたしました。
 次に、正當の理由がなくて證人が出頭しなかつた場合、あるいは要求された書類を提出しなかつたとき、または證人が宣誓もしくは證言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一萬圓以下の罰金に處することとし、この場合には、情状により禁錮及び罰金を併科することができることといたしました。
 なお最後に、以上の罰につきましては、各議院もしくは委員會または兩議院の合同審査會は、これを告發しなければならないこととし、ただ、先刻申し上げました當該事件の審査または調査の終る前で、かつ犯罪の發覺する前に自白したときは、議院において告發しないことを議決することができることといたしました。もつとも合同審査會の事件であれば、兩議院の議決が必要であります。以上がこの法案の趣旨でございます。何とぞ御贊成あらんことを希望いたします。
 これについて御質疑はありませんか。
#3
○小島委員 第八條の犯罪の發覺する前にというその犯罪というのは僞證罪ということでしようか、それともほかの犯罪の意味でしようか。
#4
○福原説明員 御説の通り僞證罪のことを意味します。その表現は、第六條のときには、やはり犯罪の發覺という表現を使つております。それを踏襲したものです。
#5
○小島委員 そうすると、犯罪の發覺ということは、どういう段階を指して犯罪の發覺と言われるのでしようか。たとえば、この證人は僞證しているということがわかつているときもあるわけです。だれかその委員のうち、この證人はうそを言つているということがわかつていることになれば、その時期を發覺の日といいますか、それともはつきりと委員會できめたときということになるのか。發覺の日認定というか、それは一體いつになるでしようか、お聽きしたい。
#6
○福原説明員 この犯罪の發覺という字句は、搜査官憲において、この事實を認めたとき、探知したとき、または告發の權限のある委員會、また兩議院の合同審査會、あるいは議院においてその犯罪の發覺を認めた場合を指すのであります。
#7
○鍛冶委員 第二條で宣誓させなければならないというのだが、これはどんなことがあつても、證人が出てくる以上は必ず宣誓させなければならぬのでしようか。ことによつては宣誓させないでもよいと思うようなことがあれば、宣誓させないでもよいでしようか。これを見ると必ず宣誓させなければならないことになつておるが、これはどういうことでしようか。
#8
○福原説明員 これは必ず宣誓させる建前なのであります。もちろん第二條に書いてあります通り、この法律に別段の定めのある場合、すなわち第四條の除外例の場合を除きまして、その他の場合には、證人として喚ぶ限り、宣誓をする、すなわち僞證罪の規定がございます。ある證人については、宣誓を免除することによつて僞證罪を成立せしめないとか、ある證人によつては宣誓させることによつて僞證罪の成立があるというような不公平な處置をとることは、一應法律の前に平等だという建前から避けたいという趣旨であります。
#9
○鍛冶委員 ここに書いてある民事訴訟法二百八十條及び二百八十一條の場合は、宣誓を拒むことができるのだが、多分民事訴訟法では、ものによつては宣誓させないで調べることもできるという規定があつたと思う。ところが、ここにはそういうことがない、必ず宣誓させる。向うが拒めば、調べる者の方で、そんなら宣誓ぜぬでよろしい、やろうというようなことができないようですが、そういう場合はあり得ませんか。それほどでもないから、宣誓なしで聽こうということがあり得ると思うのですが……。
#10
○福原説明員 一應そのような場合も、宣誓させる建前をとつておるようです。もつとも刑事訴訟法、あるいは民事訴訟法においては、十六歳未滿の者、あるいは宣誓の趣旨を解しない者については、宣誓させてはならないというような規定があるのでございますけれども、その點は國會における證人の性質から鑑みましても、そのような者を喚ぶことは、まず考えられないというので、その點を規定上置いてないのであります。その他の場合には、一應議院の權威のためにも、證人に宣誓させるという建前をとつておるのであります。
#11
○鍛冶委員 そうすると、根本問題に觸れてくるのですが、宣誓ということは、個人の自由を奪う重大なるものでありますから、われわれの常識から申しますと、裁判官以外の者は、宣誓をさせ得ないものだと考えておるのであります。この點、私はこの法案に反對するものではないのですが、理窟の上から言うて差支えないものかどうか、その根據を立案者の方から説明していただきたい。
#12
○福原説明員 ただいまの御質問につきましては、從來も宣誓というものは、裁判所のみの特權と申しましようか、そのような制度ではなくて、たとえば特許法におきまして、特許審判の場合の宣誓というものを認めておるのであります。その特許審判の性質が行政事項であるということは、ほとんど疑いを容されないところでありますが、そのような場合にも、やはり裁判あるいはこれに準ずべきような審判の權威を保持するためにも必要だということから、宣誓という制度が設けられたわけであります。これと同樣に議會における主人の供述というものが、今後の國會運營上非常に大切なものであり、それが特に新憲法において認められたという觀點からいたしますならば、同樣にこの證言の神聖を保持するというために、一定の處置を講じなければならないということは當然だと思うのであります。各國の例におきましても、やはり宣誓違反、すなわち日本におきまする僞證の罪というものは、裁判所に對する侮辱という形で考えられているのでありますが、その點から言いますならば、この國會における證人の虚僞の陳述をするということは、やはり國会に對する侮辱という觀念から考えられていいものだと思います。國會に對する侮辱というものは、立法例から言いましても、各國ともそれぞれ相當の處置を講じており、國會における證人の僞證罪を認めるということも立法例にございまして、宣誓の制度はあながち司法のみの特有の制度であるということは當らないかと考えます。そのような觀點から、本法の立案にあたりましては、さような形をとつたのであります。
#13
○鍛冶委員 司法行爲以外にもあるということだけでは、根據が薄いと思います。なるほど特許審判の場合にもありますが、これはやはり審判という裁判に準ずる行爲をなすがゆえにあるのでありまして、議會においても、そういうことであればどうかしりませんが、ただここに議案その他の審査、國政に關する調査となつておりますが、第一調べる證人を喚ぼうとするときの制限はないのですか。ここに書いてあることは議會なら何でもやれるのですか。
#14
○福原説明員 何人も證人としての適格があれば、なれるように思いますが……。
#15
○鍛冶委員 制限はないのかということです。
#16
○福原説明員 それはやはり國政に關する調査ですから、かなり廣範なものではありましようが、おのずからそこに限界があるものと考えます。
#17
○鍛冶委員 證人として喚ぶ以上は、何か判斷をするとかいうことが必要である。何でもちよつと調べたいから出てこいというときに、すぐ宣誓させるという、それはどの必要がありますか。そうして憲法第三十八條だつたか、それにも牴觸する憂いがあるものだから、まず調べる上においては、少くとも判斷をする、その判斷の資料として是非必要だ、こういうことの制限が必要じやないかと思います。それでないと、何でもいい、調べるから出てこい、そうして宣誓せいというような、どうもわれわれの法律常識が許さぬように思う。調べる上においては、國政に關する議案の審査、または國政に關する調査のために少くとも判斷する必要がある。その判斷の資料とする必要がある。この制限がなくちやいかぬのではないかと思うが、どうですか。
#18
○福原説明員 お答えいたします。ただいまの點は、法律の明文にそのような規定がないということに、あるいはなるかと思うのでありますが、現實の問題といたしまして、證人の出頭あるいは記録の提出を要求するという場合には、議院の議決、あるいは委員會の議決によつてなされることなのであります。すなわち國會あるいは委員會の權威のために、おのずからそこに制限が下されるのではないか、妥當なる判斷が國會なり委員會においてなされるということが考えられて、その上で證人として喚ばれるものだ、こう考えます。
#19
○鍛冶委員 そうすると、やはり立案者においても、判斷をする上において、資料として必要とする場合でなければいかぬというお考えですか。
#20
○福原説明員 おのずから、そのような解釋になると思います。
#21
○鍛冶委員 その次は、宣誓をせしめるときなのでありますが、宣誓をさせないでも調べてよいという場合があり得ると思いまするが、そのように嚴格に解釋し、宣誓ということは重大なことだということになつているが、民事訴訟法及び刑事訴訟法にあるように、特に必要なりと認めれば、宣誓させずに調べることもできるという規定があつた方が穏當だと考えまするが、いかがですか。
#22
○福原説明員 そのような場合も十分に考えられることなのでありますが、先ほど申し上げましたように、國會の權威として、證人を喚んだ場合に、ある證人と證人との間にけじめをつけるというようなことは、いかがかと考えて、同列に置いたのであります。宣誓をさせる場合と、宣誓をさせないでよい場合と、判斷をするのに平等を缺くことを考えて立案したものであります。
#23
○鍛冶委員 私今民事訴訟法をもつていないが、民事訴訟法、刑事訴訟法には、親族の場合があつたように考える。
 それからもう一つは、ここまで考えたら、判斷の資料にする鑑定もあり得る。鑑定人ということは考えられないのですか。必要ありと思うが、いかがですか。
#24
○福原説明員 憲法において國會に認められたものは、證人の出頭及び書類の提出、證言の要求ということになつているので、鑑定については、そこまで擴張することをいかがかと考えて、入れなかつたのであります。將來の立法としては、十分考慮の餘地があるかと考えます。
#25
○淺沼委員長 ほかにございませんか。
#26
○鍛冶委員 今民事訴訟法だけ見ましても、拒むことができるというときと、それから拒んでおつても、あとで理由があるということになれば、あとからまた宣誓させるということもあるし、それからそのままやれるという、すべての場合を斟酌でき得るようにできているのですが、この二百八十一條に掲げてある場合でも、宣誓を拒むことができるけれども、證言を拒むことはできないのですから、宣誓なしに證言できることになつておる。これをさらに必要があればやるというふうに、融通のきくようにしてあつた方がよろしいと思う。もしでき得るならばそういうことも考えた方がよろしいと思います。
#27
○福原説明員 御質問の趣旨は十分わかるのでございます。しかし民事訴訟法ないし刑事訴訟法における證人というものは、ある場合に證人が證言を拒むようなときには、宣誓義務のない者についてもやはり尋問する必要がある場合が十分考えられるのであります。國政の調査の場合には、本人の供述が必ずしも眞實であるという保證がない場合の供述も、どうしても聽かなければならないということの必要が、はたしてあるものかどうか、その點について多少の疑いもあるのじやないかと思います。そのような觀點からも、證言を拒むことができる者に宣誓をさせないでもよいということは、いかがと考えて、このような規定にいたしたのであります。
#28
○淺沼委員長 他に御意見はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○淺沼委員長 なければ、合同審査會はこれで終りたいと思います。
 本日はこれで散會いたします。
   午前十一時四十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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