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1947/10/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第3号
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1947/10/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第3号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第3号
昭和二十二年十月二十八日(火曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
  財政及び金融委員
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
   理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君
   理事 葉梨新五郎君 理事 吉川 久衛君
      川合 彰武君    川島 金次君
      河井 榮藏君    佐藤觀次郎君
      田中織之進君    西村 榮一君
      林  大作君    松尾 トシ君
      後藤 悦治君    松田 正一君
      青木 孝義君    島村 一郎君
      周東 英雄君    苫米地英俊君
      井出一太郎君    内藤 友明君
      石原  登君
  商業委員
   理事 石神 啓吾君 理事 笹口  晃君
   理事 片岡伊三郎君 理事 福永 一臣君
      赤松 明勅君    林  大作君
      松原喜之次君    岡野 繁藏君
      櫻内 義雄君    坪川 信三君
      山本 猛夫君    鈴木 仙八君
      辻  寛一君    星島 二郎君
      前田  郁君    松崎 朝治君
     唐木田藤五郎君
  鑛工業委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 岡田 春夫君
  理事 生悦住貞太郎君 理事 澁谷雄太郎君
      今澄  勇君    金野 定吉君
      松本 七郎君    萬田 五郎君
      村尾 薩男君    生越 三郎君
      庄  忠人君    西田 隆男君
      三好 竹勇君    有田 二郎君
      淵上房太郎君    前田 正男君
      高倉 定助君
 出席政府委員
        總理廳事務官  渡邊喜久造君
        經濟安定本部
        財政金融局長  佐多 忠隆君
 委員外の出席者
        財政及び金融委
        員會專門調査員 圓地與四松君
        財政及び金融委
        員會專門調査員 氏家  武君
        鑛工業委員會專
        門調査員    谷崎  明君
推薦により、鑛工業委員長伊藤卯四郎君が委員長
席に著いた。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 經濟力集中排除法案(内閣提出)(第六八號)
    ―――――――――――――
#2
○伊藤委員長 これより財政及び金融委員會、商業委員會、鑛工業委員會連合審査會を開きます。
 本日は委員諸君の御推薦によりまして私が委員長を勤めることと相なりました。よろしくお願いいたします。
 それでは經濟力集中排除法案を議題とし、前會に引續き、ただいまより懇談會に入ります。
     ――――◇―――――
    〔午前十時四十六分懇談會に入る〕
    〔午後零時二十二分懇談會を終る〕
     ――――◇―――――
#3
○伊藤委員長 懇談會はこの程度で終ります。
 次會は公報をもつて御通知いたします。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後零時二十二分散會
     ――――◇―――――
#4
○伊藤委員長 これより懇談會を開きます。
 本案實施については持株會社整理委員會の笹山委員長より忌憚なき御意見を承ることにいたします。笹山忠夫君。
#5
○笹山忠夫君 ただいま御紹介にあずかりました持株會社整理委員會の笹山であります。よろしくお願いいたします。
 今度の經濟力集中排除法案に關する私の個人的な考えを御參考までに申し上げます。この法案は先般來、ずいぶん全國にわたつていろいろ問題にされております非常に重大な意味のある法律だと思いまするが、率直に申し上げますると、これが世間で問題になり始めましたころは、少し過度にこの法律が恐れられた傾きがなかつたかという氣がいたしております。私ども昨年來財閥解體の仕事に從事いたしておりました者は、こういつたことが法律になるとは思いませんでしたが、何等かの方法で實際問題として取上げられていくだろうということは、實は豫測しておりました。と申しますのは、一昨年の司令部進駐直後、御承知のように占領初期における對日管理政策というものが總司令部から宣言いたされました。その中に、工業、商業、農業、金融各面にわたつての大きな企業結合體というものは、これは除去せられなければいけないということがはつきりと宣言されておりますし、それに基いて日本政府側から、一昨年の十一月四日に、三井本社、三菱本社、住友本社竝びに安田保全社の四社の解體を自發的にやるということを申出たのに對して、十一月六日の司令部覺書には、四社を自發的に解體することはまことによろしい。それは了承する。しかしそれは、大きな企業結合體というものを除去するというのは、これは最高司令官の意圖するところであるので、そのただ豫備的措置としてのみ了承する。すなわち、四つの本社の解體はもちろん結構だが、それだけで財閥解體ということは終るのではなくて、それは豫備的措置であつて、その線からさらに具體的に歩を進めて、好ましからざる企業結合、資本の面、人的關係、いろいろな關係においてのそういつた結合というものを除去して、そうして平和的な、民主的な經濟に立ち歸らなければならぬ。そういつた措置は次々にとつていけるということが、十一月六日の覺書に明示されております。獨占禁止法といつたようなものも、そこに由來して制定せられておるのだと思いますが、結局それが今日のこの集中排除法ということにも相なつておるのではないかと思うのであります。私ども承知しておりましたところでは、今度の集中排除法の中で、最も問題になると思われますのは、いわゆる企業の再編成、もう一つくだけて言えば、分割の問題だと思いますが、そのことは最初の考えでは、企業再建整備法の方の再建整備計畫を政府に提出せられる場合に、單に企業再建整法の中に盛られております經理的な措置だけでなく、今度の集中排除法案の中に盛りこまれておりますような、事業の實態の方の再編成といつたものを織りこまなければ認可を得にくい。もちろんこれはどの會社ということでもありませんが、おもな會社、ちようど今度の法案で對象に取上げられるようなもの、殊にその中の制限會社等については、そういつた考えで運用の方針を考慮しておられたように察知いたしております。それですでに昨年の春以來、この制限會社の中の比較的大きいものといつたようなものについては、實際的にこれに對する再編成といつたようなことが慫慂せられておりました。會社筋でもいろいろ具體的に折衝もし、その再編成計畫を相當具體的に進めておつたところもあるように承知いたしております。その中で世間に公表せられた最初のものは冨士産業株式會社であります。御案内だと思いますが、昨年の八月に冨士産業は、それぞれの工場を中心にして十五の會社にわかれて再出發する。そういうふうに指令されておるといつた記事が新聞に出たと思います。これが表に現われた最初のものでありますけれども、表にはそういうふうにはつきりと公表されはしませんでしたが、その他日鐵初め各社において、そういつたことは昨年から具體的には折衝せられておつたのであります。それが企業再建整備法の決定が今年の春まで遲れた關係上、昨年の秋からしばらくの間は、この再編成の問題は多少足踏みの状態でありました。しかしその間といえども、全然この問題の進行がまつたく停頓したわけではありません。やはり相當の會社は次々にいろいろそういう勸奨を受け、指導を受けておつたように、われわれは承知いたしております。また今年の春、これも世間に公表された事實ですが、三井物産と、三菱商事と、この兩商事會社が十社以上に分割して再出發をしろという慫慂があつて、兩社は一應その方針に向つて進んでおつたわけであります。その後事情がまた急轉下しまして、兩社とも解散ということに相なりました。一應は十社に分割して第二會社を拵えていくという線に向つて進んおつたわけであります。そういつたふうで今年の春以來、再建整備計畫提出の時期がだんだん迫つてくるのと竝行しまして、再編成計畫という問題は具體的に相當進んでおりました。そこへ新しく今度の法案の問題が起つてきたのであります。これは必ずしも新しいこの法案ができなくても、實際上の運用としましては、そういうふうに相當程度いろいろ實行の機運に向いつつあつたのでありますから、企業再建整備法の運用ということでも、相當程度目的は達成せらるるではないかというふうにも考えられましたし、また世間でも問題にされましたように、獨占禁止法の面においても、同樣のことが相當程度實行できるんではないかというふうにも考えられました。しかし企業再建整備法では、特定會社以外には及ぼすことができないわけですし、また内面指導というだけでは、やはり十分強行力がないといつたような面で、新しい立法というのも考えられたのではないかと思いますし、また獨占禁止法だけでも不十分な點があるように思います。たとえば關連性のない事業といつたようなものを分割するというようなことは、獨占禁止法ではやれない問題だと思いますが、そういつたものでも、あるいは分割を要するものがあるかもわかりません。いろいろな意味で、とにかくあらゆる場合を豫想して網は廣く擴げておき、そうして實行力を十分附加していくということからいくと、今度のような法律が必要になつてくるという結果になつたのではないかと思いますし、またその他財閥解體問題につながる一連の政策というものは、いろいろ大きく、より高い政策と關連性があることと想像いたされます。そういつた面からの事情も加味されて、この法案を拵えるということになつたのではないかと私は推察いたしております。
 それで今度の法案の字句を字句通り解釋いたしまして、この法案の許す限りで與えられた權能を十分に振りまわすということになれば、これは非常に強烈なものになると思います。一時新聞紙上等にも、全國にわたつてあらゆる會社が個々にこまぎれのように寸斷されるのではないか。こういうふうでは、せつかく復興しかけている日本の經濟にとつて由々しいことである。生産は非常に低下する。日本の經濟は非常に劣弱になるんではないかといつたふうなことが傳えられておりましたが、これは法文をそのまま見て、そうしてその權能を顧慮するところなく振りまわすということになれば、そういつた懸念も起り得るし、ごもつともだと思います。しかし昨年來いろいろ事實世間に行われているところ、その程度等から想察いたしますと、この法案でねらわれている對象がどの程度のものであろうが、またその取扱いがどの程度であろうかということは、ほぼ推察できるのでありまするが、われわれ多少その事情を從來側面から見聞きしておつた者といたしましては、先ほど申し上げたように、あらゆる會社が寸斷される、その結果日本の生産力に非常な障害を來すといつたような結果が招來されるということは考えておりません。從來この財閥解體關係で、純然たる持株會社以外に現業部門をもつております會社で、持株會社的な性格のあるところというのが、やはり持株會社ということに指定されて、われわれ仕事の對象になつております。たとえば三菱重工業とか、井華鑛業とか、扶桑金屬工業とかいう事業會社でありますが、そういつたものの處置の場合に、そこの生産を阻害しないように――持株會社的性質を拂拭することは強力にやらなければならないが、生産そのものを阻害しないように、十分氣をつけてそれをやれという指導を絶えず受けてきております。また三井物産、三菱商事會社の場合も、この解散は強行しなければならないが、そのために商取引、その他金融關係等に悪影響のないように、十分注意してやれということを言われております。そして物産、商事の場合でも、その點にわれわれは最も苦心して處置してまいつたのでありますが、同樣の考え方は今度の法案の中にも當然盛りこまれておると思います。もちろんある程度の動きはあるわけです。再編成の途上においては、ある程度の動きはこれは免れないわけですから、その過程において、ある期間若干の生産能率が落ちるということは免れないことだと思いますが、永久的にそのために生産が非常に落ちるということでありましたら、それはそのことを十分説明し、立證すれば、それをしもなおかつ分割するということはないと思います。その邊の説明を十分にすることは必要だと思いますが、説明が十分届けば、なおかつこれをぜひとも排除しなければならぬのだということはなかろうと私は考えております。ただこの産業のあり方や、從來のような大きい企業結合體というものがいくつかあつて、それが中心的勢力になつておつて、その他のものが特に抑えられて、思うように延びることができないといつたような形をなくして、ほんとうに公正な自由競爭を十分にやることができるような素地をつくりたいということが大きな目的だと思いますし、またその一面において、この法案の第一條には平和的、民主的で、健全な經濟再建の基礎をつくることが目的とされております、しかしその前に平和的ということも言われておるわけですから、産業のあり方を非武装的にする、武装的な面を排除することは、この法案の實施の上にも現われてくるのだろうと思いますが、結局平和な、民主的な經濟組織につくり上げることが目的とされておるのでありますから、やたらに、過度にこの法律に現われておる權能を振りまわして、そのために日本の經濟が不健全になることは法案自體が目的としていないところだと思いますから、そこまでこれが運用されることは萬々ないと私は考えております。問題は、結局あらゆる場合に字句通りにとらわれないで、個々の會社の實情を十分檢討して、そしてそれぞれの實情にできるだけ適應したようにして、再編成を考えていくことが必要であり、結局この法案の運用ということが大きい問題になるのだと思います。
 その運用において、さつきも申し上げましたが、一體この對象になるところはどれくらいあるだろうかというようなこと、そしてどの程度にそれが分割されるだろうかということが一番眼目であり、おそらく皆さん方もこの點をお聽きになられたいところだと思いますが、對象がおよそどれくらいであろうかということは、まだ具體的のことを申し上げる段階にまで私の方の檢討はできておりません。法案が通りましたら、その邊のところについて、次次と具體的に準備を進めていきたいと思つておりますが、ただいまのところでは、まだ具體的に數字等を申し上げる段階には立至つておりません。しかしそんなに多くのものではないというふうに、われわれとしては想像いたしております。それからその分割そのものも、そんなに極端にこま切れにされることはないと思つております。いろいろこれまで傳えられておる具體的の一、二の實例もありますが、そういつた問題も、まだ十分固まつておる問題等もございませんし、よく實情を檢討していけばそんなにむりな手術の方法にはならないだろうと考えております。
 大體私の感じておりますことは、一應この程度のことを申し上げることにいたしまして、何かまた御質問でもございましたら、私の承知いたしております限り御説明申し上げることにいたします。
#6
○伊藤委員長 ただいま笹山さんの御發言について質疑があればお許しいたします。なおその發言の際お名前を御發表願いたいと思つております。さらに安定本部の方からも財政金融局長以下係りの政府委員が見えておりますかて、御自由に質疑の御發言を願いたいと思います。
#7
○赤松委員 ただいまの持株會社整理委員會の笹山さんに二、三質問いたしたいと思います。本法律が制定せられるとすれば、その法律の運營の全權を握るところの持株會社整理委員會、これが現在までのいわゆる財閥解體をやられた間における經驗を通してみて、今日の持株會社整理委員會の機構をもつてして、この法律を完全に運營できるかどうか、すなわちはつきり言えば、この委員會の構成要員はすべて資本家的色彩をもつた方々ばかりであるが、實際運營上において、本法律によつて起るところの企業再建整備、この間におけるところの勞働階層に對する影響も相當のものがあるのじやないかと思つておるが、この持株會社整理委員會そのものに、いわゆるその機構改廢の要があると思われておるか、それともこのままのようなかつこうでいいと思われておるか、これが一點であります。これを具體的に言えば、勞働階層、勤勞階層の代表者をも加えることによつて、眞の意味の民主的な持株會社整理委員會というものをつくる必要はないか、これが一點、あと續いて質問いたします。
#8
○笹山忠夫君 それではただいまのお尋ねに對して御説明いたします。先ほど申し上げたように、この集中排除法案の中に盛られております一番大きな點の、企業の再編成という問題ですが、これはすでに財閥解體問題の最初から關係方面では考えておられたことであります。從つて持株會社整理委員會が昨年スタートしましたときから、制限會社についてはその當時からいずれ再編成の問題が起るということで、それに對する準備を著々いたしておりました。昨年から管理部というものを設けまして、私ども當時の考えでは、秋になれば企業再建整備法が實施されるようになるのではないか、秋になればこういつた再編成の問題が必ず起つてくる。それまでに急いで要員を充實し、これを訓練してその準備をやつていかなければならない。こう思つて、昨年の八月から著々準備をいたしておりました。それがちようど當時豫期しておつたよりは一箇年延びてきたわけです。先ほど申し上げたように、昨年冨士産業の分割の問題が考慮されて以後、各社についていろいろそういつた具體的の折衝も起つておつたのであります。その經過はすべてわれわれの方もその間に介在して承知しており、また會社とも連絡していろいろ實情についての打合せ等もいたしておつたのです。また事情もよく調査しておつたわけであります。ですから制限會社に關する限りは、昨年以來相當資料も用意いたしております。ただ今度の法案では、先に申し上げたように制限會社以外というようなものも一應含まれることになつております。そういつた面についてはこれから新しく資料の調製等もいたさなければなりませんが、しかし結局今度の問題でも、主たる部分は制限會社にあるのではないかというふうに想像いたしておりまして、それについては昨年から用意いたしております。ごく最近の數字は覚えませんが、九月の頃のところで、その管理部の人員は約八十一名おりました。さらにそれを今度増員いたしますが、その仕事に對して昨年來準備的の訓練をいたしてきたわけであります。
 それから人の點も、ただいま資本家的色彩の者が多いのではないかというお話でございましたが、もともとこの財閥解體をやつている委員會の委員その他についても、一切財閥關係の人はいけないとされております。それで當面の委員會の仕事に一番接觸の多い關係方面でも、持株會社整理委員會の仕事に從事する人には二つの關所がある、その一つは内閣の公職審査委員會であるがそれだけでは濟まないので、それにパスした者でも、この財閥解體というようなことによつて不適格ではないかどうかということを調べる大きな關所がもう一つあるのです。それを通つた者でなければならぬということをいわれております 個々の一人々々の職員まですることは、到底その煩にたえませんが、委員はもちろん、部長程度のところまでは、一切財閥關係の者はいかぬとされているので、われわれもそれを避けてきております。日本でいわゆる資本家といえば、從來財閥といつたような色彩のところに大部分を網羅していると思いますが、その畑の方からは一人も參加しておりません。平の職員にもおりません。よほど昔、ある期間そういつたところで若干の仕事をしたとかいう者ははいつております。私自身も今から二十年近く前には、安田關係で四、五年暮したことがあります。非常に昔、ただ南年かおつたというような者は若干おりますが、財閥で最近まで働つておつた人ではいつている人は一人もありません。それから有價證券とか、そういつた會議的なものを非常に扱わなければならぬ關係等がありますし、それから今まとめて人を採用するには、なかなかそうどこからも得やすくありません。從つて朝鮮銀行臺灣銀行、滿州中央銀行というような職員が比較的多くまいつております。しかしそれ以外の滿鐵その他の事業會社方面からも相當はいつております。ただわれわれのところは永久的な機關ではありませんから若い人をぼつぼつ養成してかかつていくという時間がありますん。なるべく三十から四十ぐらいのほんとうに中堅となつて働ける、すぐ間に合うといつた訓練のできた人を採用する方針でもつぱら來たので、そういつた人が非常に多いのであります。そういつた銀行とか、財閥以外の大會社で働いていた者はたくさんいるわけですが、しかしみな勤勞者であります。私ども委員も、殊に常務委員あたりは、いわゆる資本家といわれるような金持ちは一人もおりません。財産税を拂う資格のなかつた者ばりです。われわれも財閥を解體するのですから、できるだけ資本家的色彩はないようにしたいと思つております。それから勞働方面との連絡については、昨年來實は考えております。常任委員はわれわれの仕事に專念していただかなければならぬので、實際問題としてなかなか簡單に人をもつてきにくい。またいろいろやかましいストリームがありますので、各方面のいろいろの知識はできるだけ平委員の方によつて知識を得るようにしたいと考えております。それで昨年來ぜひ一人勞働方面の御經驗の方、それもただ理論的でなく、實際の體驗をもつておられる方をお迎えしたいと努力しておつたのでありますが、それがやはり資格査審の關係等で非常にひまどつて、半年以上かかつて、今年の六月に大阪在佳の金正米吉さんに任命があつたわけであります。ただいまのところその方面の委員は金正さんお一人であります。常務委會の中にはおりません。しかし大きい事業の整理については、委員總會できめて、それに基いてわれわれ常任の者が日常の實務をとつておるという形であります。金正さんを通じて、ただいまのところはできるだけ勞働方面の事情をお伺ひすることにしております。機構の點は從來管理部というところで企業を分割しそういつた問題の準備は十分いたしておりますから、これをさらに擴充しさらに從來の管理部でも人を補充しております。それから調査部についても調査第一課というのが、今年の春から各事業の基礎的調査をやつておるので、それをそのまま今度の仕事に活用することにした方が能率的だと思つて、公營關係の事業とともに兩方やらせております。それから個人關係の方は從來政治部の審査課がやつております。これも從來一課であつたのを二課としました。そういう形でやつておりまして、職員は昨年來相當訓練されてきておりますが、半年後どうという大きいことは申しかねますが、何とか大過なくやつていきたいと思います。しかし各方面とのいろいろの御連絡については、今後さらに構想を新たにしたいと、よりより相談をしております。
#9
○伊藤委員長 ちよつと御相談をしておきたいと思うのでありますが、多くの委員各位から質疑が相當あろうと思いますので、質疑も答辯もきわめて重要な點をひとつ簡單にお話を願うようにいたしたいと思いはす。
#10
○赤松(明)委員 持株會社整理委員會の委員長として、同じ持株整理委員會ではあるが、今日までの財閥解體は、これはポツダム宣言にいわゆる直接支配下にある政令によつて行われてきた。これは官廳側と私どもの意見が少し違うがこの點について持株會社整理委員會委員長として、今日ので財閥解體、制限會社に對する指導をやつてきた。しかもそのポツダム宣言に要綱中には、開放的な感じすらあつて、しかも日本の政府を認める。いわゆる一般行政權能は認めて、そうしてその管理下にあつても、憲法は御承知のようにいわゆる民主憲法が制定せられた。その民主憲法下に第一囘の國會において制定するところの經濟力集中排除法というものは、いわゆる日本國民の要請によつてできるわけなのである。この點については今まで説明を伺つてわかつており、われわれも了解しておるのであるが、これとこれとは殘しておきたいと思つても、今までは強大な壓力によつてどうにもならなかつた。しかし今後この法律を運營する氣構えは今までと同じ心構えでやられるのであるか。それともこの法律に準據して、少くとも日本國内の問題である限りは、向うの方々の對しても、これは事情が違うのであるから、この點でよいのだと言いきることができるかどうか。すなわち今日までのやり方と違つて、この法律を遵法しようとしてやられるかどうか。その點を伺いたい。
#11
○笹山忠夫君 お話の通りこの法案は日本の國會が取上け、自發的にこういう法律が制定されようとするわけでありまして、これを運用する私どもとしては、國會と緊密な連絡のもとに、これが運用に當つていかなければならないのでと思つております。こういつた意味でいよいよこれが實施されれば、何らかの形でこの法案の運用について、十分の御指導なり、管理していただくような、組織ができれば、たいへん結構だと思つております。
#12
○赤松(明)委員 佐多さんに伺いたいが、第一に經濟安定本部の立場として、これによつて能率の低下をきたさないと思うかどうか。たとえば本法によつて、巷間傳うるところの三百ばかりの對象を分割したときに、その間に影響をきたさないと言いきれるか。われわれとしては大きな影響があると思う。本法律制定後一箇年間かかつて指定を終り、その間税の徴收その他に大きな影響がありはしないか。この點の細密な檢討を行つて當局は立案したのであるかどうか。たとえば料理屋を禁止すればそれからあがる歳入に大きなくるいを生ずるごとく、今日日本の税のパーセンテージは知らないが、いわゆる分割指定を受けるものは、相當大きな税の負擔をもつておる。これが分割されることによつて起る收入面の大きな影響、これを仔細に御檢討なさつておるかどうか、これを聽いておきたい。
#13
○佐多政府委員 今の御質問のように經過的には生産力その他について若干の停滯があることは認めなければならない。それはこういう非常に大きな、いはば革命的な變革をいたすのであるから、これは簡單にはいくまいと思います。しかし繰返し御説明いたしておるように、所期するところは經濟を合理的に再組織するということが目的でございますから、そういう線に沿うように組織をやる。從つて長い目から見れば、決して生産力の低下、あるいは事業を細分化して縮少するというようなことでなしに、それを契機にしてより生産力が上つていくということを庶幾しておりますから、運營の方面においてもそういうことをやるべく、あらゆる努力をしなければならない。そのためには、さらに指定なり排除なりを、急速に了えてしまうということも心掛けなければならないと思いまして、そういう萬般の措置によつて、經過的な弊害をなるべく早く排除したいという所存であります。さらに税の問題でありますが、なるほど若干の影響があると思いますが、現實の問題といたしましては、制限會社あるいは特定會社等等は、ほとんど利益をあげておりません。それからあがる税收入はそうたくさんないのでございます。從つて御心配のように非常に大きな税收上の狂いがくるということは考えられないだろうと思います。
#14
○赤松(明)委員 いま一つの問題、これは笹山さんに尋ね落しましたが、いずれにしても本法案は成立しなければならないような運命である。これは笹山さんからもたびたび承つている。しかし修正論議はわれわれの問題である。ところで本法案の運用にあたつて、公共の利益に適合すること、これを一般に解釋する者は、公共の利益ということを、ただ生産會社であれば生産會社が、その生産能力の低下することによつて、これに伴つて物が少くなるからインフレを起らせるというような、一般社會通念として考えをもつているようであるが、しかしこの公共の利益の中に勞働階層の、今佐多さんの言つたような、經過的に必ず起るだろうというのは、おそらく企業合理化という名をかりて失業者を出すに違いないという面がすでにわかつている。たとえば、井華鑛業なら井華鑛業は、先ほど笹山さんが言われておつたように、すでに一千何百名という者を整理しなければならない。別子の銅山において一箇月以前にこういうことを發表している。これが分割されるとするならば七つとかになるのである。その中で金屬を掘り出しているところ、別子銅山においてのみ一千何百名という勞働者をきらなければ成立していかないということを公表しており。この勞働者をも公共の利益の中に含めるか、含めないか。もちろん含めてもらはなければならぬが、これが心構えについて持株整理委員長としてのお考えを承つておきたい。
#15
○笹山忠夫君 お答えいたします。井華鑛業の場合は、分割するということがなければそういつた失業者を出すということが起らないで濟むかどうか。疑問ではないかと思います。この法案が出なくても、そういつた問題はいろいろやかましく懸念されている點ではないかと思い。この法案目體によつて失職者を増すということは、私は考えないでいいのじやないかと思う。結局一つの會社が工場々々を單位にいたいくつかの會社になる。職場そのものが減るわけではない。そのままの状態であればこの法案によつてただちに失職者を増すということにはなり得ないのじやないかと思います。あるいはその後に經營の悪いところには失職者を出すことも起るかもしれぬ、その一面において經營をよりよくすることがさらに從來より人を殖やす必要も起つてきましようし、全面的に見て生産能率をあげるこの法案の目的になつているわけでありますから、究局的に見れば、別に失職者を殖やすことにはならないと思います。私どもこの法案の運用に當る者は、もちろんできるだけ一人でも多くの人が、やはり職場を得て働くことは望ましいわけでありますからことさらにそれに反對するような、そういつた措置はとらないように注意していきたいと思います。
#16
○赤松(明)委員 ただいまの笹山委員長の答辯は認識不足だ。井華鑛業なら井華鑛業を考えてみても、分割するということが、その會社、事業場にいくつかの會社をつくるのでから失業者は出ない。あるいは能率があがるのだというがそれはいけない。たとえば銅の精錬所を分割するについて、その精錬所は他の鑛石をもつてきてここで收益をあげる銅山そのもの、鑛石そのものは公定價格からいつたら成立をさすには、ほとんどだめなんだというものがたくさんある、いくつかの事業所をもつておつて、どこかで赤字が出ておるけれども、事業内の傾斜生産によつて。どこかで收益をあげて一方を補つておるものがたくさんある、この面を考えないで、どれも分割したからそのままだ、そうして失業者は出ないと考えておるとすれば重大な問題である。これは別に答辯を必要としませんけれども、持株會社整理委員會が、本法案運營の原動力になるとすれば、ただいまの認識は當然あらためていただかなければならぬということを要望しておきます。
#17
○前田(正)委員 この法案に對してこの間から新聞に出ておるのでありますが、除外をする産業があり得るかどうか聞きたい。除外をするとすればどういう基準で除外される考えであるか、その點について聽いておきたい。
#18
○佐多政府委員 今のお尋ねに對して政府委員の方から御答辯いたします。この法案の第十七條に「國、地方公共團體、公團(特別調達廳を含む。)及び勞働組合については、第三條の規定による指定を行わない。この法律の施行は、配給統制に關する法令の適用を妨げるものではない。」という規定を設けまして、すなわち國營事業等々と公團だけは、事業の中で本法案の適用對象から除かれるとことになつております。そのほかの産業はすべて建前としては一應この法律の對象になるというふうに考えております。
#19
○前田(正)委員 しまするとこの國營、公團というような關係からいくと、國家管理を行つておるところ、あるいは國家管理に近い體制のところは、これは除くのであるかどうか。
#20
○佐多政府委員 お答えいたします。十七條に規定してありますような完全な國營事業だけを除いておりますので、かりに國家管理等々のことがありましても、それはこの法律の對象になるということになります。
#21
○前田(正)委員 そうしますると、電力、その他それに近いような製鐵、鐵鋼事業、こういつたものはどうなる。
#22
○佐多政府委員 先ほど申したように、それらの産業もすべて對象にはなりますが、しかし先ほど繰返し御説明しておりますように、公共の利益のために排除いたしますので、もし公共の利益上、そういうものは排除する必要がないということになれば排除しません。そこいらの運用の問題としては、さらに愼重に考慮しなければならない問題かと思つております。
#23
○前田(正)委員 次にお尋ねしたいことは、先ほど來御説明の中で、「將來生産の能率を合理的にあげるために細分化する」というような方針でおられるように聽きましたが、もしその御方針でありますならば、私はこれを一持株會社整理委員會の考えというようなことでなしに、國家全體の産業の再編成計畫、大工業でいくのが、中小工業を基礎としていくのか、あるいは農工一體でいくのか、日本は輸出産業でやつていくのか、こういうふうな國家全體の今後の工業政策に關係があることであると思います。しかも日本の工業のやり方というものは總合計畫的でなかつたために、たとえばこれから分割しようと思つているのは、ユニツト單位に生産を切離していくというようなことも考えなければなりませんし、あるいはまた農村の餘剩勞力を利用しなければならぬ。それにはアメリカにおきますところのユニツト單位の生産ということが、これからの近代的な生産には非常に大きな影響を與えてくるのではないかと思いますが、そういつた國家全體の計畫が立てられなければならぬというものを、一持株會社整理委員會で決定していくということができるかどうか、お考えを承りたい。
#24
○佐多政府委員 おつしやる通りに、日本全體の經濟再建、特に産業全體をどういうふうに今後再建し、再組織していくか、さらには各個別の産業をどういう形態で、どういう規模においてもつていくかというような問題は、非常に重大な問題でありますし、政府としてもいろいろ檢討しなければならないと思いますし、それと關連して國會の方でもそういう大きな問題は十分具體的に御審議願つて、その方針に則つていきたいと思つておるのでございますが、さしあたりこの法案が目的としますところの産業の再編成は、恆久的な問題としましては、獨占禁止法が目途としておりますような獨占的な性格の諸企業を排除していつて、公正な取引、自由な競爭のもとに産業が生存していけるような形をつくりたい。特にそういう状態をこの集中排除法案で急速にもたらすような措置をいたしたい。そういう意味で、ここで掲げられておりますように、獨占的な性質の企業なり、あるいは關連性のない事業分野で活動している企業なり、あるいは他の企業を支配している企業等々を、この際排除していくという、その限られた排除、再組織の方法だけは、本法案の運營によつてやつていきたいという心組みでございます。
#25
○前田(正)委員 今のお話ではまことに當面の問題を排除されていくというようなことで一應のお話はあるようでありますが、しかし先ほど來御説明のありましたように、この再組織によりまして日本の生産力を合理的に能率的に上げていきたい、こういうようなお考えがあるとするならば、それは私どもの國會でももちろん日本のこれからの産業の再編成問題については考えなければならぬ問題であると思います。あるいは政府においても政府の責任においてお考えにならなければならぬこともたくさんあるのでありまして、これを一々この法案の示すような委員會だけに委ねるというような考え方には、どうもおかしい點があるじやないかと思います。もう少し廣く意見を聽いてこの再編成問題を考えなければならぬ。殊にこの法案の對象になると思われるところの企業會社は、日本の工業の基礎をなしているんじやないかと思うのでありますが、それを一整理委員會などで考えていくことは――日本のこれからの工業問題ということに對しては、もつとみなの總力を合わせて大いに研究しければならぬと思うのであります。この集中排除法案の對象になる會社工場に對する、もつとみなの意見の集まるような方法をお考え願えないかと思うのでありますが、そういう點に對して政府はどういうふうにお考えになりますか。
#26
○佐多政府委員 特株會社整理委員會が當面やりますのは、先ほど御説明いたしましたように、經濟力の集中を排除するということでございまして、それには獨占的な性質の企業、その他水平的な結合をしているもの、あるいは垂直的な結合をしているもの、そういう結合の仕方において、あるいはコンツエルンというようなものをつくり、それが財閥を形成していつて、そういう形で日本の經濟をゆがめているという考え方に立脚して、さしあたりそういうものを排除していこう、しかも急速に排除していこう、その排除した後において國民經濟を合理的に再編成するということを考えておりますので、さしあたります非除すること、しかも特定に今申しましたような諸企業を排除していくことを考えて、その上でそういう合理的な再組織の問題、さらに長期計畫との關連においての、そういう合理的な問題というようなものは、もつと廣汎な問題として審議していきたいというつもりでおります。
#27
○伊藤委員長 ちよつ御相談申しておきたいと思うのですが、政府側には今後本法案審査中に十分質疑ができることでございますので、本日は持株會社整理委員會委員長の笹山さんを中心にしてなるべく質疑をしていただきたいと思うのです。
#28
○苫米地(英)委員 この排除法案はいろいろの基準があるようでありますが、これは企業自體を對象としてお考えでありますか。もしくは企業の内部における各種の生産品がありますが、その各個の生産品というものを對象としてお考えになりますか、その點を一つお伺いしておきたいと思います。
 次は、この合理的ということは、現在の國内經濟を對象としてのみ合理的と考えられるものであると考えます。またこの法案を見ましても、外國の勢力が日本に及んできて、それが非常な力をもつておつても、これを排除することができないことは當然であります。そこで合理的ということは、現在の實情のみを對象としてお考えになるのか、將來展開せらるべき世界經濟との關連においてお考えになるのであるか、この二つの點を伺つておきたいと思います。
#29
○笹山忠夫君 お答えいたします。第一の御質問の、企業を對象として考えるか、個々の生産品を對象にして考えるかという御質問です。個々の生産品をこまかく一々對象にしたら、非常に煩雜になると思います。大體において企業を對象として考えていくことになると思います。ただ企業と言つても、非常に大まかな企業のわけ方では、あまりにまた茫漠になるから、いくらかそこは細分した形にはなると思います。それから合理化の問題ですが、この法案自體は非常に技術的なものであります。その再編成したものが、後に合理的な經營になるようにということは、これは平時の經濟状態の場合を想定して、その場合におけるあり方が合理的になるようにという考え方でありますから、外國貿易等も豫想せられる今日としては、そういつたことも頭に入れて、どうやつたら合理的だということを檢討していかなければならぬ、そう思つております。
#30
○苫米地(英)委員 お話は了承いたしましたが、この企業全體を對象をするということになりますと、化學工業のごときものは、非常に合理的に考えて企業が成立しなくなるのじやないかというようなことが考えられます。またこの需要のきわめて限られてる品で、ほとんど一つの企業が大部分の生産を占めているというようなこともあるのであります。そこで一々の商品あるいは製品を對象とすることができないということは、ごもつともでございますけれども、化學工業などにおいては、特に御考慮があるものでありましようかどうか、その點をもう一應お伺いしたいのであります。
 それから第二の問題につきましても、外國貿易のみを私は考えておるのではありません。國内的に日本の國民だけの産業を對象として合理的と考えましても、外國資本が進入してくるとか、外國の企業が日本において創設されていくとか、もしくは移されてくるとかいうようなことになつたときに、やはり平和産業として合理的に存在し得るということをお考えになつているかどうか、これをお伺いいたしたいのであります。
#31
○笹山忠夫君 お考えいたします。順序が逆になりますが、第二の御質問に對しましては、ただいま御質問の御趣旨のようなふうに考えていつたらいいじやないかと思つております。
 それから化學工業の場合のお話、ちよつとよく御質問の要旨が十分わかりかねる點があるのですが、個々の商品を相手にしていつた方がいいというお考えですか。
#32
○苫米地(英)委員 いやそうじやありません。化學工業の場合には化學工業の振興の過程においていろいろな製品ができてくる。そこでこれを小さくわけられると化學工業が成立しなくなる。そこでその點をどういうふうにお考えになつておりますか。
#33
○笹山忠夫君 化學工業の場合は、これは大體今度の一つの工場の場合、いろいろ生産原價の上に共同的な部分が非常に多いわけです。そういつた共同原價の關係のあるようなものは、なるべく切らないようにという考え方であります。全然地域的に異なつた場合、化學工業の場合でも分割して支障を來さざる場合があると思います。一工場の場合だと、大體化學工業の場合には分割されにくい係數が非常に多いじやないかと思います。その邊は十分考慮して考えております。
#34
○苫米地(英)委員 その點についてこの化學工業の場合には、一工場でなしに、二、三の工場が一つの單位になつておる場合が非常に多いのであります。そういうものを工場が別であるがゆえにこれをおのおの切離してしまうということになると、全體の工場が成立しない、こういうことになるおそれがあるのでありますが、これは工場單位ということでいかれますか、もしくはその企業の成立する總體を一括としてお考えになりますか、その點を伺つておきたいのであります。
#35
○笹山忠夫君 工場が別であつても、その間に非常に緊密な關連性のある場合、これは二つが同一經營内にある方が合理的なわけであります。その點がよく立證せられるならば、それは分割されることはないと思います。
#36
○井出委員 一點だけ笹山委員長にお尋ねいたします。先ほど赤松君の御質問に答えられて、國會と持株會社整理委員會との關連につきまして、十分に國會の監視を受け、鞭撻を受けてやつていきたい、こういう御答辯でありました。私聞いております範圍では、この持株會社整理委員會の中に、國會議員をもつて構成をする整理監査委員會なるものができる。そうしてすでにその官制は決定に相なつたようでありまするが、現在その方面へ政黨代表が出ておるかどうか、その構成が實際に運用をされておりますかどうか、その點私寡聞にして知らぬのでありますが、最初にお答えをいただきたいと思います。
#37
○笹山忠夫君 お答えいたします。ただいまお話のように衆議院議員九名の方から成立ちます持株會社整理委員會監査委員會というものが、昨年來あつたのであります。今年の春總選擧のときにお顔振れが大分變つたのであります。それと同時にこれは私よりも、あるいは佐多さんから御説明を願う方が的確な御説明ができると思いますが、國會法の關係で、そういつた國會外にある委員會制度というものが認められなくなつたというふうに私聞いております。そういつた關係で監査委員會委員の方の何名かの方は再選せられませんでした。相當數が減つたわけですが、殘つた方も、その監査委員會そのものが法的にそのままでは存在しにくい形になつたように伺つております。そういつた關係で實はその後空任の形になつておるのです。私どもとしては至急官房長官その他にお願いして、國會の承認を得られれば監査委員會の委員の任命ということは、あるいはおできになるのではなかろうかというふうに考えられます。國會の承認を經た上でその監査委員會をひとつぜひ一日も早く御復活願いたいということは、幾度もお願い申しておつたのでありますが、そのうち排除法案の問題等が起りまして、いろいろその邊についてのいくらか政府のお考えも、あるいは變つてきたのではないかと思つておるのでありますが、實情はそんなぐあいで、ただいまのところは今年の春以來、事實上なしでやつております。それは私ども非常に遺憾に思つております。
#38
○井出委員 關連しておりますから、政府當局の御見解をお伺いします。
#39
○佐多政府委員 お答えいたします。持株會社整理委員會にありました持株會社整理監査委員會は、今説明がありましたように、國會議員をもつて構成されておるのでありますが、これは持株會社整理委員會が、大體内閣總理大臣の所管に屬することになりまして、一つの政府の代理機關という形になりますので、それ自體が一つの行政機關的な性質になることになります。これについては今まで若干曖昧な點がございましたが、今度持株會社整理委員會令の改正案をさらに御審議願つて、そこで明瞭に決定していただきたいと思うのでありますが、そういうふうになりますと、それに附屬する整理監査委員會というようなものを國會の代表者が構成するということは、行政と立法との混淆になるという意味で、今度の改正案におきましては整理監査委員會は廢止するということにいたしたいと思つておるのであります。從いまして、そうすると國會との關係がどうなるかという問題になりますが、その場合には國會は直接に内閣總理大臣の監督に屬している機關を、總理大臣についての審査、監査という形において、國會自體で審議していただくということになると思います。さらにもう一點、不足經資を豫算によつて國庫から支辨いたすことになりますので、そういう豫算の問題を通じて、さらに監査あるいは審査をしていただくという形になると思いますので、國會と委員會との關係は、今後そういうふうに改まるものと御承知を願いたい。
#40
○井出委員 その點でありますが、これは確かに立法と行政の混淆というふうなむずかしい問題が出てまいると思いますけれども、例の私的獨占禁止法の中における公正取引委員會の例ののように、たとえば持株會社整理委員がその任免にあたつては衆議院の同意を要する、ないしはその施行状況に對して毎年國會に報告をするとか、ちようど公正取引委員會と同じような内容を、近く改正されるであろうと今おつしやる特株會社整理委員會令の中に盛りこむような御意思がおありになるかどうか、この一點をお伺いしたい。
#41
○佐多政府委員 委員の任免につきましては、公正取引委員會の場合とは別に考えておりまして、單に内閣總理大臣が任免を行うということに從來なつておりますが、今後もそういうふうに繼續したいというつもりでおります。それから報告につきましては、内閣總理大臣にいろいろな業務報告なり、會計報告なりをしなければならないことになつておりますので、その報告を通じて、國會の方で十分御審議願いたいというふうに考えております。
#42
○今澄委員 最後に少し笹山さんにお伺いしたいのでありますが、集中排除法による企業の再編成とか、あるいは新しく財界人の追放をまつて、重要企業の人事が刷新されるというような問題が、當面の經濟界としてはひとしく注目しておる大問題であるということは言うをまたないところであります。とろこがこうした問題がなかなか早くきまらない、しかも産業經濟の合理的再編成とは言うけれども、次ぎ次ぎとこうしたものが現われるということは、眞に日本の産業の復興を願うものにとつては、いささか考えさせられる節もある。そこで私特株會社整理委員會の委員長としては、今囘の場合集中排除法をもつて一應自主的にごらんになつて、日本の經濟を合理化編成するには、この前の獨占禁止竝びに企業再建整備、今度の臨時措置として集中排除法が出ましたが、これをもつて絶對に仕上げができるというお考えがございますか、まだなおこの次にもいろいろやらなければ完璧にはならないというような御意見でございますか、そこのところをちよつとお伺いしたいと思います。
#43
○笹山忠夫君 ただいまの御質問は、私ども整理委員會だけの力では負えない大きい範圍にまで及んでおるわけであります。その點ちよつとお答えに困るのでありまするが、しかし復興のための企業會社の經理面の措置は、再建整備法で完了するわけです。企業面の方の措置は今度の法案で大體完了するのでありますが、それから一方恆久的な措置としては、すでに獨占禁止法が制定されております。大體この邊でやまが見えているのではないかという氣がいたします。これは私の單純な個人的な氣持ではありますが……。
#44
○今澄委員 今のお話を承りまして非常に安堵いたしたのでありますが、特株會社整理委員會の委員長としては、少くとも日本の産業經濟の合理的な再編成とは言いながら、そういつた自信のある態度でもつてこれに臨まれて、なお次ぎ次ぎとそういつたようなことをしなければならぬというようなことのないように、ひとつ腹をしめてやつていただきたいということを希望するとともに、いまひとつ具體的な問題でありますが、先ほどの御説明の、化學工業が有機的な關連の上に立つておるので、一つの大きな企業であつても、有機的な關連性を重んじて、それを分割するということはしないというお話でございましたが、まことに結構だと思います。具體的に申し上げましても、三井化學の大牟田工場であるとか、あるいは三菱化成の黒崎の工場であるとか、朝日化成の延岡の工場であるとかいうものは、まことに一見厖大な工場組織のようでありますけれども、化學工業の特質の上に立つてこれを眺めると、これは決してこれを分割して成り立ち得る企業でないということは、われわれ素人といえども大體わかるのであります。こういつたような工場に對しては、委員長としては、個人的な見解で結構ですが、どういうふうな態度でお臨みになるのですか、併せてお伺いしたいと思います。
#45
○笹山忠夫君 ただいま御質問の具體的な工場についての考えは、これはちよつともまだ今日私個人的立場においても申し上げる段階に立ち至つていないと思います。ただ先ほど申し上げましたように、化學工業等は非常にそこに斷ちがたい關連性のあるような場合が多々あるわけです。そういう點は十分に考慮する。しかしかりに同じ敷地内にあつても、二つにわけられるものも中にはあるかと思います。しかしそれはわけることに非常にそこに不合理があればそういうことはされないと思います。同一工場で敷地が同じだと、必ずしもそれは絶對にわけないというものではなかろうと思います。しかしそういつたことは抽象的にはちよつと論ぜられぬ問題でございまして、個々の實情についてよく檢討してむりのない措置を講じていきたいと思つております。
#46
○林(大)委員 笹山さんにお尋ねいたしますが、この法律の第一條に明らかなるごとく、この法律は日本の經濟の平和化ということと民主化、この二つをねらつております。今日まで新聞紙上などで委員長の御意見を伺つておりますと、いわゆる民主化のうちの細分化という點に非常に注意を排つておられるのであります。そうして日本の經濟を一つのスタートラインにそろえて、自由競爭をさすという形の再編成ということを中心に考えておられるようでありますが、私の見るところでは日本の經濟にとりましては、民主化よりもむしろ平和化の方が必要であろうと思うのであります。何となればアメリカのごとき大企業に比べまして、日本の企業をこれ以上細分化するとかいう方面の民主化の方は、むしろあまり勉強していただかなくてもいいのであつて、平和化の方、武装國家として再び起ち得ないような方向、すなわち第一條の一番初めに書いてありまする平和的な再建ということに、重心をおいていただかなければならないと思うのであります。なおかつ民主化の方にも御承知のごとく二つの行き方があると思うのであります。一つは將來平和に支障のあるような産業を細分化することはよろしゆうございます。しかしながら日本の國民の幸福のために、また今の苦しい實情から一時でも早く逃れるために、生産を落してはならないと思うのであります。その意味において細分化するよりも、殊に公共的な事業に關係したものにつきましては、いわゆる社會化すると申しますか、第十七條で排除されるような方向にもつていくことが、私はほんとうであらうと思うのであります。その意味においてあくまで私は民主化にも方法が二つあり、そのうちの最も悪い、つまらない方向に力を注いでいかれないで、できることなら民主化のうちでもいわゆる社會化していく、公共事業の一つの經濟體としてそのまま殘していくような線をひとつねらつていただきたいということ、なおその上、今申し上げる民主化よりも平和化の方に力を注いで、そこでなるべく問題を小範圍に食い止めていただきたいということを私は考えるのであります。それらに關する忌憚ない御意見を承りたいと思うのであります。
#47
○笹山忠夫君 お答えいたします。先ほども申し上げましたように、いたずらに細分化するということではないと思うのであります。ある一つの事業の中の、ある規模以上大き過ぎるもの、それをほば普通の規模のものに平準化するということだと思います。企業のあり方がそういう形になる方が、一つの事業の中でも大きい企業結合體がある状態よりも、日本の經濟のあり方が平和的になる、簡單に戰爭に突入するといつたようなことがなくなるのではないかということが、この法案に織りこまれておる精神だと考えております。それから自由競爭といつたようなものが公正に取行われることが、大衆の利益を増進することになるのではないか、そういつた状態をねらつておるのだと考えられます。
 それから社會化の問題でありますが、別にこの法案は社會化といつた問題を排除しているわけでも何でもないと思います。それはそれとして別個に、並行的に考えられていい問題ではないかと思います。ただここで取上げられておるのは、そういう大きい企業結合體が、あるごく一部の限られた少數者によつて獨占せられ、大衆の利益に合致しない、そういう状態を崩そう。そうして民主化を促進させようというところにあると思います。別にそれによつて社會化を排除するのだといつたようなことではないと考えております。
#48
○林(大)委員 今の御説明によりますと、大きい企業は平和的なものでないというような印象を受けるのでありまするが、これは判斷の基準でございまして、民主化する、すなわち細分化するというような考え方と、武装國家に再びならないという平和化の方面とは、判斷の基準がまつたく違うと思うのであります。あなたは大きければ、戰争に關係があるようにお考えになるというような點がうかがわれまするが私はいくら大きくても平和的に貢獻し得るものはいいのであろうというふうに考えたいのであります。どうかひとつそういうふうにお考え願いたいということと、それからもう一つは今の社會化の問題でありまするが、平和的な再建をするという意味の中には、社會化の問題も、あなたの將來擔當していただくお仕事の中に十分にはいつておる問題である。そうして十分に織りこんで考えていただかなければ、まず解體すればいいのだというのでほぐしてしまつてから、これは社會化の方がいいのだと、また集めるようなことがないように、ひとつ十分あなたの將來のお仕事の一部分として、その邊を明確な観念をもつて進んでいただきたい、こういうことを希望するのであります。
#49
○中崎委員 一點だけお伺いいたします。獨占的な性質をもつておるというのか、あるいは業界に支配力をもつておるというような企業が、本法案によつて排除されるという建前になるようですが、かりにそうしたものを再編しまして、小さいものにしていく。その場合において公正自由な取引ということが建前になりますから、その結果また再び大きなものが出てくるということは自然考えられるわけですが、こういうふうなものに對しては、本法とどういうふうな關係があるのか、將來そういうものはなりほうだいになつてもいいのかどうかということについてお伺いいたします。
#50
○笹山忠夫君 お答えいたします。この法案自體ではそこまで考えておりませんが、獨占禁止法の方では公正な競争は許されておるわけです。ただそれがふたたびまた公共の利益に反するほど大きい力になつて、獨占的な支配力をもつようなことになつては、その場合はいけないというので、あの事業能力の較差ということがありますが、獨占禁止法の方で、あの事業能力の較差ということに觸れない限りおいては、そこで取上げられるようにならない限りにおいては、今度は公正なる競争のもとに大きくなることは許されるであろう、こう考えております。
#51
○伊藤委員長 ほかに……。
#52
○櫻内委員 すでに質問があつたかとも思うのでありますが、私遲れてまいりましたので、ちよつと重要なことなのでお尋ねしたいのであります。今ここに手もとに再編成の基準要旨というものが、渡されておるのでありますが、この基準要旨というものを一暼しておりまして、いろいろと疑問があるのであります。しかしながら今日はその一々についてお尋ねする餘裕もないと思いますので、この特殊會社整利委員會におきましては、ここに渡された基準要旨のような考え方をされるのであるかどうか、またこの基準要旨というものは、經濟安定本部の書きおろしになるように思われますが、これについては委員長はよく御承知であつたのかどうか。この點をお尋ねしたい。
#53
○笹山忠夫君 お答えいたします。この基準要旨は私も承知しておりますが、要するにやはり一つ大きなよりどころといつた程度のものでありまして、何しろあらゆる産業を相手にして基準というものをこしらえるわけでありますから、非常に抽象的な點が多くなるのであります。また中には具體的なことをいつておる點については、それを極端にこの通りにやると、先般からたびたび御質問もあつたように、非常に細分化されるというようなことになるのじやないかという懸念が起りやすいと思います。しかしこれは要するにありとあらゆる産業を對象とした場合の、一つの原則的な大きいよりどころというのにすぎないのでありまして、實際の運用の場合は個々の實情を十分勘案して、大體こういつたことを頭において考えていくわけでありますが、その運用は十分彈力性をもたせてやり、これに固執しないという考え方でおります。そういつた點をひとつお含みおきで、ごらんを願つたらよろしいのではないかと思います。
#54
○櫻内委員 委員長の今のお答えによりまして、この基準要旨が少くとも相當整理委員會の御意向も反映しておるように受取れるのであります。そこで私はもう少しこれを詳細に檢討いたしますが、私が今一暼した間におきましては、これはたいへん重要な點があるということを考えておりますので、笹山委員長に對する質問は私は保留しておきたいと思います。
#55
○伊藤委員長 櫻内さん、笹山さんはきよう懇談會の方に特に御出席願いましたので、あとお呼びできるかどうかはわかりませんから……。
#56
○中崎委員 必要である場合は出てもらつてもいいわけでしよう。
#57
○伊藤委員 そのこともできますけれども、できればきようなるべく笹山さんに關する限りは質疑をしておいていただくと結構だと思います。
#58
○櫻内委員 委員長の今のお言葉でありますが、この内容は相當具體的なことが盛られておりますし、各委員會の委員のお方も、おそらくこれを詳細に檢討する場合においては、その考え方については大いに檢討しなければならない面があるというふうに、私は今一べつした間に思つたのであります。そこで質問を保留したい。こういう考え方では、私としてはどうも感心できない點を二、三認めておる。しかし單にここで拜見してすぐそれについて反駁するというような輕卒な態度をとりたくないので、質問を保留したい、こう申し上げておるのでありまして、今後におきまして委員會の必要によつては、笹山委員長の御出席を私は求めたい、こう思うのであります。
#59
○伊藤委員長 承知しました。それではいずれ理事の各位と御相談いたしまして、必要に應じてまた笹山委員長に御出席していただくことにいたします。
 きようはこの程度でいかがでしよう。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○伊藤委員長 それではこの際委員長といたしまして、笹山さんに一言御挨拶を申し上げます。本日は御多用のところを御出席いただきまして、貴重な御意見を御發表くださいまして、本法案審査の上に多大の參考になつたことを厚く感謝をいたします。
 それではこれにて懇談會を閉じます。
ソース: 国立国会図書館
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