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1947/10/29 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第4号
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1947/10/29 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第4号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第4号
昭和二十二年十月二十九日(水曜日)
    午前十一時十分開議
 出席委員
  財政及び金融委員
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
 理事 梅林 時雄君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 塚田十一郎君 理事 吉川 久衛君
      川合 彰武君    川島 金次君
      河井 榮藏君    佐藤觀次郎君
      田中織之進君    西村 榮一君
      林  大作君    松尾 トシ君
      八百板 正君    松田 正一君
      泉山 三六君    島村 一郎君
      周東 英雄君    苫米地英俊君
      井出一太郎君    内藤 友明君
      石原  登君
  商業委員
   理事 石神 啓吾君 理事 笹口  晃君
   理事 細川八十八君 理事 福永 一臣君
      赤松 明勅君    林  大作君
      松原喜之次君    師岡 榮一君
      山口 靜江君    岡野 繁藏君
      櫻内 義雄君    坪川 信三君
      松井 豊吉君    山本 猛夫君
      關内 正一君    辻  寛一君
      前田  郁君
   鑛工業委員委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 岡田 春夫君
   理事 澁谷雄太郎君 理事 早川  崇君
      今澄  勇君    金野 定吉君
      松本 七郎君    萬田 五郎君
      村尾 薩男君    生越 三郎君
      庄  忠人君    西田 隆男君
      三好 竹勇君    有田 二郎君
      神田  博君    前田 正男君
      高倉 定助君
 出席政府委員
        總理廳事務官  渡邊喜久造君
        經濟安定本部財
        政金融局長   佐多 忠隆君
 委員外の出席者
        財政及び金融委
        員會專門調査員 圓地與四松君
        財政及び金融委
        員會專門調査員 氏家  武君
        鑛工業委員會專
        門調査員    谷崎  明君
        鑛工業委員會專
        門調査員    保科 治朗君
推薦により鑛工業委員長伊藤卯四郎君が委員長席
に著いた。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 經濟力集中排除法案(内閣提出)(第六八號)
    ―――――――――――――
#2
○伊藤委員長 これより前囘に引續き連合審査會を開きます。
 本日より經濟力集中排除法を議題とし、質疑に移ります。赤松明勅君。
#3
○赤松(明)委員 昨日までの懇談會において、大體におけるいわゆる提案者としての政府側の意向もほぼ大綱的には檢討されたわけですが、そのうちで第一番に政府側にお伺いしたいことは、昨日持株會社整理委員會の會長笹山氏に對する本委員の質問のうちで、本法律を政定するとすれば、この全權を握るところの持株會社整理委員會が、その還用の上、すなわち經濟力の集中を排除しなければならないと認定して、企業を分割した場合に起るであろういくつかにわけられたそのうちのどれかの事業分野において、沒落するものがありはしないか。この質問を提起した折に、笹山委員長はいわく、現在一つの企業體内において、いくつかに分割せられなければならない各事業の分割が成立つておるのだから、これを分割したところで全部が必ず生きてくるんだと、こういう認識不足の答辯をした。これは私はあとの答辯は要らないけれども、そういう認識不足なことでこれを運營せられるということになれば、おそらく經濟界は大動亂を來すのではないかというようなことを豫言しておいたことは、政府側も御承知のことと思う。そこで今日の經濟力集中排除法というものがおそらく出るであろうことは知つておつた。知つておりつつ一般經濟界は相當深刻な動搖を見つつある。その動搖は、第一に持株會社整理委員會というものの性格がわからない。しかもその性格がわからないということが、いいかげんな机上の空論的な、要するに分割を法文そのままによつて運用の上に現わそうとするんじやないかというような不安が、經濟界の動搖の第一の原因であろうと私は思つておる。これは提案者として、持株整理委員會の會長笹山氏の言つたごとくに、經濟界においても、分割されても各事業分野がそのままなり立つていくものだと考えておられるかどうか。またもし考えておられないで、いわゆる笹山さんの意見が、提案者の考えと食い違うとするならば、その後においても、この法律の行政措置上の責任者として監督の衝に立たなければならない、政府側としては、この持株會社整理委員會が、しかもその會長がこういう認識不足の立場におる者をもつてして、そのままこの法律を制定するとして、その後においてこれをそのまま適用するかどうか。この一點をよく聽きたい。それから第二番目は、本法律を制定するとして、その後において、現在までの占領下におけるいわゆる直接占領方策の一環として、政令をもつてして財閥解體をやつてきたような場合とは違つて、いわゆる占領下において許された新憲法をつくり、その民主憲法のもとに第一囘國會をもつたわれわれ國會が、これを審議して決定するところの法律を運用する上に、われわれ國會としてもこれは責任があるわけだが、この點についてどうかと笹山さんに聽いた折に、笹山さんは答えていわく、國會においてわれわれの持株會社整理委員會なるものに對する監視機關みたいなものでもつくつてもらつたらどうか。こういうことを答えられた。これに對して政府側としては、はたしてどういうお考えをもつておるか、この二點であります。なおこれに附隨して私はいわゆる占領下にある日本の現在の實體を知らなければならない。實體を知らなければならないということは、しかし平和會議あるいはその後において起るだろうところの、要するにおそらく莫大に上るだろう賠償を、貨幣をもつて支拂うことのできない日本で現物支拂をやらなければならないだろうその折にあたつて、不當な經濟力集中排除法、その運營が不當であることによつて産生が低下するということになつた場合は、今占領せられ、ポツダム宣言に忠實でなければならない日本として、はたして正しいあり方であるかどうかということを考えてかからなければならない。すなわちこの法律を制定することによつて、もし運用を誤まるならば、今日の日本のこの經濟界のあり方は、なお一層悲惨のどん底に落ちこまれなければならないのじやないか。これをたとえていえば、先ほど問題の第一點として質問した中で、事業分野を分割する。その分割された事業分野で、ある一業種が成り立たないということになる。成り立たなくなつたけれども、しかし今日の日本の産業部面より見て、その業種がぜひとも必要であり、いわゆる日本經濟の面に絶對に必要であるということになつた場合、これが成り立たないからといつて、そのまま放つて置くのかどうか、すなわち國家管理なら國家管理という部面において、特にその産業を殺してはいけない建前において、これを何とかして保護しようとする方法を講じようとするかどうか。これについて政府として何らかの對策をもつておるか。業種を例をあげて言うまでもないと思いますが、御承知の通りあらゆるものに公定價格がある。その公定價格によつてどうにも生産が成り立たないということになつて、沒落するということになる。その品物がなければ、日本の産業が沒落するんだ、こういう業種が確かにある。化學分野において、金屬工業分野において、その他においてもこれがある。この問題をどういうふうにお考えになつておるか。しかもそれによつて起るところの賠償なら賠償というものに對しても、相當もし影響をもつとするならば、本法律を指導してくれたところの占領軍當局に對しても、われわれ國民として要するにその親心を無にするようになつてはいけない。この點を十分御檢討になつておるかどうか聽きたい。以上三點について政府側の明確なる御答辯をお願いします。
#4
○佐多政府委員 お尋ねの點についてお答えいたします。もしこの集中排除法案によつていろんな水平的な結合なり、あるいは垂直的な結合が分割されるとすれば、そのために採算不可能になつて脱落していく企業が相當ありはしないか。脱落する部面が相當あるんじやないかというお尋ねでございますが、この點に關しましては、本法案の運用に際して十分に留意して、ただ單に分割すること自體を目的としているものではなくて、この法案が明らかにしておりますように、産業の合理的な再編成を所期しているわけでございますから、單に採算不可能だからそれを切捨てるというようなことにはならないように、あらゆる努力をいたしたい。特にそれを分割し、分割したために相互に品質を悪くするとか、あるいは原價がそのために高くなるとか、あるいは經理上非常に不健全な状態になるというような場合が考えられますならば、そういうことは絶對になさないように、あらゆる努力をし、その點については業者の方でも、確實な詳細な資料をもつて、いろいろ答辯されることと思いますが、それを十分に酌みとつて、合理的な再編成ができるように分割のしかたをしたいと考えております。しかしもし國民經濟全體の立場から、しかも平和的に日本經濟を再編成するために、絶對にそれだけの物資が必要であるが、その物資が今の經濟状態では採算不可能であるというような場合には、いろいろな資材なり、資金なりの特別な供給のしかたをして、單に採算的に不可能だから全部切り離すというようなことはいたさないで、國民經濟全體として必要なものであれば、そういう特別な措置を講じて、なおかつ生産の供給力に見込むような努力をしなければならないというふうに考えております。ただ平和的に再編成するのでありますから、かつて軍事經濟のもとに必要としていたような、企業全部が全部現在の状態において必要だということは言えないと思います。ただ軍事目的のためにのみ必要とされていたようなものは、相當切り落される場合もあるということも、お含み願いたいと思います。
 第一點と第三點につきましては、そういうふうに政府は考えているのでございますが、第二點の國會と持株會社整理委員會との關係は、持株會社整理委員會は從來曖昧になつていた處の規定をはつきりして、内閣總理大臣の所管に屬する。しかも持株會社整理委員會のいろいろな不足の經費は國庫から支辯することになりますので、そういう點において内閣總理大臣に監督され、さらにはいろいろな報告を出し會計檢査院の檢査を受けることになつております。そういう點を通じて國會の嚴重な監視をお願いしたい。從來は監査委員會の制度で、行政機關の中に一つの監査機關ができていたのでございますが、そういう特別の機關でなく、國會自體の重要な機能として監査なり審査を嚴重におやり願いたいというふうに考えているわけでございます。
#5
○赤松(明)委員 本法律が制定されるとすれば、第三國人の企業そのものに對して適用されるかどうか。
#6
○佐多政府委員 第三國人の企業に對しても、建前として適用があるというふうに考えております。
#7
○川合委員 本法案はポツダム宣言の受諾と共に、當然法案化されねばならぬところの不可避的、運命的な法案であるということは、言わずして明らかなのであります。從つてこの法案自體に對しては、すでに可否の論はないという氣もいたしますし、かつまた本委員會において證人として喚ばれた各證人の證言に徴しても、本法案自體を何ら不可とする問題は多く聽かなかつたのであります。問題はこの法案の運用如何にかかることになつておるのでありますが、この運用はどこまでもわが國經濟の變則的な擴大化を修正するということがねらいでなければならぬと思うのであります。ところでそのねらいは本法案の第一條にありますように、國民經濟を合理的に再編成するにあるということになつておるわけでありますが、今ただちに國民經濟を再編成する事によつて、わが國の産業經濟の再建が一應そこで障害にぶつかるという事實に、われわれは目をおおうわけにはまいらぬわけであります。わが國の産業經濟の再建のためには、石炭あるいは鐵鋼の緊急増産ということが大きな課題になつてのるのでありますが、一つの具體的な例をあげますならば、おそらく本法案の運用の適用の對象になつているところの日本製鐵の例をとつて見まするに、日本製鐵はおそらく幾多の事業場あるいは會社に分割されるだろうと思うのであります。ところが日本の現在の製鐵業は、すこぶる變態的な經營になつておりまして、事業場の異ることによつて、いろいろな生産の資材の内容が異つている。從つて今ただちに日本製鐵を分割すれば、日本の現在の鐵鋼需給上から非常に支障を來すだろうと思うのであります。そこで政府にお尋ねしたい點は、分割する前に生産の増強の妨げにならないような事前處置をとる必要があると思うが、これに對する政府の方策はどうか。今赤松君の質問に對する御答辯によつて、極力生産の低下は避ける。それに對する對策は講ずると言うけれども、われわれとしては分割されない前に、たとえば日鐵で言うならば、入幡の設備を輪西、あるいは室蘭なら室蘭に移して、そういう事前的措置を講じておいて分割するかどうかということを伺いたい。それが質問の第一點であります。
 第二點といたしましては、最もわれわれのおそれる點は、その運用の問題である。その運用の問題は、第一次指定と第二次指定との間に、指定基準が變るようなおそれはないか。客觀情勢の變化に伴つて、指定時の異ることによつて、指定の運用方針というものが異ることはないかどうか。そういうことに對する政府の所見を伺いたいと思います。
#8
○佐多政府委員 お答えいたします。分割の結果非常に不都合が生じて來て、場合によつては二、三、の工場が成り立たなくなる場合に、それに對して事後においていろいろな方策を講ずるのみならず、事前において諸方策を講ずべきだというお話でございましたが、その點に關しましては、われわれの方としては具體的にはこういうふうに考えておるわけでございます。
#9
○伊藤委員長 ちよつと速記を止めてください。
    〔速記中止〕
#10
○伊藤委員長 速記を始めてください。
#11
○佐多政府委員 第二點の第一次指定と第二次指定との期間のずれによつて狂いを生じはしないかというお話でございましたが、この點につきましてはすでに法案自體をつくりましたときに、さらには分割の基準をいずれ後ほど詳しく御説明いたしたいと思いますが、そういうことによつて大體の基準ははつきりしておりますので、しかも指定は非常に短期間にやりたいというふうに思つておりますので、第一次、第二次、第三次等々の指定の間に、そういう狂いはないものとわれわれは思つておりますし、そういう氣持は變えないで、終始一貫、大體一貫した方針で運營していきたいと考えております。
#12
○中崎委員 先ほどの理事會にをきまして本法案の今後の審査の方法を、大體逐條審議の形をもつて進めていくというふうに決定しましたので、一應委員長の方からそういうことを各委員に徹底させてもらいたいと思います。それに基きまして、私は質問を續けたいと思います。
#13
○伊藤委員長 ただいまお聞きのように、中崎君から發議がありまして、先ほど理事各位と、御相談をいたしまして、法案全體にわたる大體と、法案のそれぞれ逐條につきまして、併せて質疑を行つていただきたいという打合わせになつておりますから、そのつもりで質疑を進めていただきたいと思います。
#14
○中崎委員 第一條の内容につきまして、本法案によると「平和的且つ民主的な國家を再建するための方策の一環として、云々」ということになつておりますが、政府側においては、大きな事業は必ず平和的でない、平和的にやるためには、大きな事業は解體していかなければならぬのだというふうに考えておられるかどうかを伺いたいと思います。
#15
○佐多政府委員 獨占禁止法や集中力排除法案で規定しておりますように、過當に大きくなつて、そのために獨占的な支配をやるようになり、それが基礎になつて過當支配への方面にいくようなものは、大體において分割したいというふうに考えております。そうでないと、そういうものは獨占的な力なり何なりを利用して、海外に對しては侵略的になり、平和的經濟の運行を妨げるというように考えております。しかし公共の利益上、どうしてもそれが近代的な技術を基礎にして、大きな規模で運營しなければならないし、それはむしろ技術的な、經濟的な要請であるというようなものに對しては、もちろん別途考えるというふうな氣持であります。
#16
○中崎委員 公共の利益のために排除するのが妥當でないものは除外されるというふうに一應考えられますが、この點について大體どういう範圍のものが、それに該當するかということについての一つの構想がありますれば、そのアウト・ラインについて説明していただければ、たいへん好都合だと思います。
#17
○佐多政府委員 一般的にそれを排除することが公共の利益になるかどうか。公共の利益のためにその存在が障害になるかということで對處したいと考えております。具體的にどの産業についてはどうするかというような問題は、今後個別に事情を精査いたしまして、決定したいと考えております。
#18
○中崎委員 第三條について質問いたします。大體項目はわけてありまして、そういうふうな範圍のものを經濟力の集中として排除されるということになるわけでありますが、この運營いかんによつては、相當廣範圍にわたつてこの法案の適用を受けて排除されるものが出てくることによつて、日本の經濟に大きな打撃を與えるものであり、さらに明日の十トンよりも今の一トンというふうな、差迫られた經濟状態にあるのでありますが、こういうふうな面において、過度の集中を排除する、普通の常識というか、經濟の程度においては、この法律の意味をもつてしては適用されるかもしれませんけれども、その運用において、その程度を越えたものに限つて適用するというふうな考え方が必要ではないかと思います。この實例は今日のドイツにおいても、やはり實際に問題になりまして、その結果ドイツにおいては、過度の經濟力の集中のみを排除するというふうにできておると承つておるわけでありますが、日本においてもやはり同じようないき方において、過度の經濟力の集中を排除するというふうなことを、はつきりとこの條文の中に明らかにすべきではないかと思うわけでありますが、この點について政府の御意見を伺いたい。
#19
○佐多政府委員 おつしやる通り一應法文の中には、過度の經濟力の集中云云というような表現を用いてございませんが、大體實際の運用としては、おつしやる通りに過度なものについて、特にそれが公共の利益に反し、むしろ獨占の力によつて生産を抑止する、生産を阻害するというようなおそれのあるものに對して、分割するというふうな考え方でおりますので、運用としては、おつしやる通りに運用していきたいと思つております。
#20
○中崎委員 第三條以下におきまして、持株整理委員會に關する規定がいろいろあるようでございますが、これについては不日政府側からもこの持株整理委員會令の改正をするというふうに言つておられますが、この持株整理會社というものは、きわめて廣汎なる權限を委任されて、實際において行使する機關でありまして、その運用いかんによつては、先ほど申しましたように、きわめて日本の經濟に大きな影響を及ぼすものであるわけでありまして、この持株整理委員會の改正によるところの改正案の内容をお示し願いたいと思います。
#21
○佐多政府委員 お答えいたします、持株會社整理委員會は御承知の通り。委員會令によりまして規定されておりますように、指定された持株會社や個人の有價證券その他の財産を讓り受けて、これを管理處分することをその目的としてつくられたものでありますが、今度御審議願つております經濟力集中排除法案によりまして、この法案の擔當機關として非常に廣大な權限をもたされることになりますので、所案の改組が必要だというふうに思いまして、改組案をつくりまして、今關係方面と折衝しておるのでございますが、大體の構想といたしましては、整理委員會の目的及び業務の中に、經濟力集中排除法の施行に關する事項を加え、それから整理委員會は内閣總理大臣の監督に属するという旨を明瞭に規定します。それから整理委員會の中に監督委員會するものがありましたが、それを廢止いたします。同時に監査委員も廢止することになるわけであります。さらに整理委員會の經費でございますが、現在は手數料及び附屬の雜收入をもつて支辯しておるのでございますけれども、今度の經濟力の集中排除によつて、そういうものだけで賄われない大きな仕事をいたしますので、不足する經費は豫算の定めるところによつて、國庫からこれを交付するということにいたします。そこでそれに關連しまして整理委員會の會計は、會計檢査院の檢査に付するものとし、整理委員會は六箇月ごとに收支計算書その他の書類を内閣總理大臣及び會計檢査院に提出するということに義務ずけたいと思つております。持株會社整理委員會の改組の大體の構想は以上の通りであります。
#22
○中崎委員 ただいまの答辯に關連いたしまして、總理大臣は持株整理委員會に對する指令を發する權能があるかどうかお尋ねいたします。
#23
○佐多政府委員 任免については内閣總理大臣がやるということになりますし、今の委員會の活動の諸項目に對しての監督はやるということになつておりますが、同時にこの委員會は、非常に特殊な委員會でございまして、非常に獨立的な權能をもつておりますので、一つ一つの指令はできるかどうかということについては、ちよつとはつきりいたしません。
#24
○中崎委員 この問題はその程度に止めておきたいと思います。
 次に第六號ですが、持株會社整理委員會は、經濟力の集中を排除するに必要な具體的基準を定めてこれを公示するということになつておりますが、その基準というものについて、大體どういうふうな基準をおいておられるのか。私の考えではむしろかくのごとき重要なものは、法律の内容に盛つて、そうして國民もこの基準によつて排除されるのだということがはつきりされることが必要だと思うのでありますが、大體政府において、その具體的な基準をどういうふうに今考えておられるかを明らかにしてもらいたいと思います。
#25
○佐多政府委員 具體的基準につきましては、これを法律で規定する。あるいは少くとも政令で規定するというようなことも考えられるのでありますが、この法律自體は非常に一般的、抽象的な規定をしておいて、あとの問題は運用に任せたいという考え方から、大體法律にはそれを規定いたしませんで、一應別に具體的に基準を定めるということにいたしたわけであります。そこでその具體的な基準をどういうものをつくるかということが、いろいろ問題になるのでございますが、それについて各方面と打合せまして、大體こういうラインで具體的な基準をつくろうじやないかというふうに纏まりましたのが、先ほど手もとに差上げました再編成の基準でございます。從つて具體的な基準は、大體それに則つたものがつくつて出されるというふうに御承知願いたいと思います。
#26
○中崎委員 昨日持株整理委員會委員長の笹山君のこの基準に關する答辯において、安定本部から出されたあの基準の要旨とは、必ずしも同じ考え方をもつて進むものではないというふうな感じを受けたわけでありますが、實際においてあの基準というものが、持株整理委員會においての基準要綱を具體的に定める場合において、大體あれを基準にして取上げられるものかどうか。あるいはさらにあれとは全然關係がないかどうか知りませんが、直接あれを一つの重要な案として取上げられるかどうかということについて伺いたいと思います。
#27
○佐多政府委員 お手もとに差上げました再編成の基準は、各關係方面と打合せしてできたものでございますので、大體においてあれに則つたものが基準として出てくるというふうに考えております。しかしもちろん二、三の表現その他については、さらに變えなければならぬところもございましようし、こまかな點においては、若干の變更があるかも知れませんが、大體の構想としてはあれでいくというふうに思つております。笹山君の答えられたときの私の感じは、基準はあれできまつておるけれども、實際の運用については事態が非常に複雜なので、その複雜多岐な事態に對處して支障なからしめるようにあれを運用していきたい。そういう意味で、あれがそのまま文字通りに運用されるとは思わないというふうなお考えではなかつたかと思います。
#28
○中崎委員 經濟力集中排除の際における實際の否定、それから國家經濟産業全般から見たいわゆる綜合計畫との間に、前もつて一つの關連性をもたして、こういう線に沿つて、この法案の趣旨を運用するのだというふうな考え方をされるものかどうか。この問題はわれわれの眼から見ればきわめて重要な問題でありますので、それについての方針を伺いたい。
#29
○佐多政府委員 日本經濟全體の合理的な再編成、あるいは各産業別の合理的な再組織というような問題は、非常に廣汎な問題を含んでおりますし、問題が非常に複雜でございますので、今まで決定した構想というものがあるわけではございませんので、それはそれとして別途今後考えられると思いますが、そういうものをつくる基礎的な條件を備えるために、すなわち基礎工事、まずならす工事をするという意味で、今度の排除法案が運用されると思います。そういう見地から排除法案の運用はなされるというふうにお考え願いたい。
#30
○中崎委員 それでは日本の經濟の今後というものは、まずこの法案の適用によつて排除する。それから後に再編成を考えるというふうに解釋していいのですか。
#31
○佐多政府委員 お話のようにまずこれで排除してしまつて、それから後に合理的な再編成をやるというふうにわかれるのではなくて、「將來への合理的な再編成の含みをもつて、現在の排除をやつていく。」しかしその排除は先ほど申しましたように、將來への再編成の基礎工事という意味で排除をやつていくという氣持であります。
#32
○中崎委員 具體的にたとえば製鐵はどういうふうにするか、紡績はどういうふうにするか、あるいは石炭はどういうふうにするか、電氣はどういうふうにするかという、大體においての排除の具體的な適用の構想をもつておるのでありますか。
#33
○佐多政府委員 その問題については、非常に具體的な問題になると思いますが、大體の考え方としては、鑛山業については大體石炭の鑛業と金屬山の鑛業とはわける。石炭業でももし非常に廣汎な地域にわたつて、それが不合理な經營のしかたに陷つておるとすれば、適當に合理的になるような地域的な分割もやるというような考え方でございます。なおもし金屬山あたりにおいて、精錬業と鑛山業とをわける方が、經營としてより合理的であるというふうな結論に達した場合にはわける。しかし技術的な觀點から、あるいは原價計算の觀點等々から、そういうものはむしろ垂直的な結合として一緒になつていた方が合理的だというのであれば、必ずしもわけないというような考え方であります。紡績業などについては、大體において紡績業自體はいいのですが、「紡績業に關連してあらゆる雜な産業をやつておるものがある。たとえば化學工業をやつたり、それの一つとして化粧品をやつたり、藥品をやつたり、あるいは鐵綱商をやつたり、木工をやつたりというような、非當に雜なものを雜然とコンツエルンとか。財閥の形で集めておるというようなものについては、これを適當に整理する。」「さらに紡績業自體においても、この點非常に問題であると思うのですが、綿紡、絹紡、毛紡というようなものは、もし技術的に可能であり、採算的にその方がより合理的であるならばわけるというような構想になると思います。」さらにいろいろな産業があると思いますが、大體大きな考え方はそういう考え方で貫かれていくというふうにお考になつたら、あとは了承していただけると思います。
#34
○中崎委員 最後にもう一つお尋ねいたします。もとへ歸りますが、持株整理委員會の權限は、先ほど言いましたようにきわめて廣汎なものでありますが、これはまた日本の經濟の面においても、非常に大きな關係をもちますので、むしろこの機構を民主的にするというふうな考えから、委員會のごときものをつくつて、それに諮問なり、あるいは決議機關としてその意見を尊重するというふうな機構にもつていくような努力を拂われたかどうか、さらにそういうふうにしてもつていかれるような考えはないかどうかをお尋ねします。
#35
○佐多政府委員 大體の考え方といたしまして、行政機關なり行政機關に準ずる諮機關については、原則として諮問委員會的なものはなるべく避けた方がいいのじやないか。と言いますのは少くとも從來のようなやり方でありますと、單に責任を轉嫁するというような形になる結果が多いものですから、そういうものは原則としてはなるべく避けていきたい。仰せのような諮問委員會なり、何か頭の方に乘つかるような委員會というようなものは、今のところ考えておりません。しかしお説のようにそれ自體非常に複雜多岐な問題を取扱いますし、さらに各産業別に具體的な專門的な知識と經驗を非常に必要とすることであると思いますので、それらの見解は十分に取入れ、そういう意見を十分に聽くというような措置は、何らかの形においてやられなければならないと思つております。
#36
○佐藤(觀)委員 第三條の獨占的性質の企業というものをあげておりますが、これは一體政府は具體的にどれくらいの範圍と、どのくらいの數を考えておるかどうかを伺いたいと思います。
#37
○佐多政府委員 お答えいたします。獨占的性質としては大體二條の定義で述べておりますように、「獨立企業の合併の結果、又は昭和十二年七月一日から昭和二十年九月一日までの間に當該事業分野において從前に比し過當な事業の擴張をした結果、當該事業分野において影響力を持つている」企業というふうに考えておりまして、「その影響力というのは、その事業分野において價格の決定または資金、商品もしくは役務の移動を左右するに足る程度の支配力をもつているもの」というふうに、一般的に抽象的に規定しておるわけであります。さらに個々に産業においては、たとえば何パーセントとか等々にことがあり得ると思いますが、その點については個々の事業分野、個々の産業別において非常に複雜な事情があると思いますので、一律にいくらまでをそういう獨占的な性質と考えるかというふうには規定してなくて、「個別産業を精査した上で、それがここにいう支配力をもつものかどうかを判定」したいというつもりであります。
#38
○佐藤(觀)委員 そういう範圍から言つても、どのくらいの數に上るかということまで研究されておるかどうか。ただ抽象的の理論だけでこれを規定されて實際に當つておるかどうか。その點を伺いたい。
#39
○佐多政府委員 どの程度のものが獨占的な性質の企業として考えられ、算え上げられるかということは、今詳しく調べさしておりますが、ここではきのう笹山委員長も申しましたように、まだ具體的にいくらぐらいな數字ということを申し上げる段階までに至つておらないのであります。
#40
○苫米地(英)委員 私は將來の質問をいたすために、たつた一つだけ伺つておきたいと思うのであります。この法案の内容をなすところのものは、もちろんポツダム宣言受諾に伴うところの、これを履行ずる政令によつて行い得るものであることは明らかであるのであります。しかるにその政令によらないで、これを國會に提出して、法律としてきめなければならないその根本の考えはどこにあるのであるか。國會に付議する以上は、國會の獨自の權限によつてこれをあらかじめ決定し、十分にやつていくことができるのであるかどうか。ただ責任を國會に轉嫁する。こういう意味でこの法案が提出されたのであるかどうか。そこの根本をはつきり伺つておきたいのであります。この法案の中に幾多の疑問もあり、また將來の日本の産業のために考えなければならないこともあるのであります。これらについて一應意見は聽くが、そうはならない。こういうことであるならば、これは政府が國會に責任を轉嫁したに過ぎないものと私どもは考えなければならない。この點をはつきりさしていただきたいと思います。
#41
○佐多政府委員 お答えいたします。ポツダム宣言の受諾に伴いまして、日本經濟を民主的に、平和的に再建するということ、特にその中核をなすものが財閥を解體することであり、巨大な産業上、金融上その他經濟上のコンビネーシヨンを解體することであるということが、われわれ自身の責務として課せられておる以上、その線に沿つた方策は、すべてこれをわれわれ自身が國民的な課題として果すことが現在最も緊急にして必要なことである。特に國際的な諸關係、諸事情を考えるときに、さらには近く講和會議を前にしておるというような場合に、その緊切の度はさらに深まるものであるという確信から、われわれはこれを國民的な課題として取上げ、遂行していく必要があると思いますので、皆樣に御審議を願つて、われわれ自身の問題にしたいという態度をとつたわけであります。
#42
○苫米地(英)委員 われわれ自身の目的として取上げたということは了承いたしますが、從つてわれわれ自身の目的としてこれを取扱う場合に、眞にわれわれ自身のためであり、國際的關係においても、また將來に對しても、この原案の示す通りでなければならないということは考えられない。その點においてわれわれ自身の問題として取上げる以上は、そのままのまなければならないという政府のお考えであるかどうか、これを伺うのであります。
#43
○佐多政府委員 日本經濟の民主化、平和化ということが、われわれの國民的な課題であるならば、大體この法案はそのラインに沿つたものであるということを、われわれは確信いたすのでありますがゆえに、こういう法案として出したわけでございまして、そういう意味でこの法案をお受取り願いたいと考えております。
#44
○苫米地(英)委員 どうもその點が私は理解できないのであります。これはわれわれもそういう國際的な線に沿うて、日本再建のためにありたいという至誠においては、政府と何ら變るところがないのであります。ただ國會に付議せられた以上は、國會の責任においてこの方がさらによいというところを考え、檢討していく自由はあるものと考えますが、政府が大體この線に沿うていくべきであると思うから、そう受取つてくれでは、何も國會に付議される必要はない、こう考えるのであります。
#45
○佐多政府委員 その點につきましては、政府としては今申し上げたような希望を國會に對してもつているわけでございますが、國會自身がこれをどうお受取りになり、どう審議されるかということにつきましては、實にわれわれの方でとやかく申し上げる問題の點でないと思いますので、それは國際的な情勢、その他を十分に御勘案の上、適當にお取扱い願いたいと思つております。
#46
○山口(靜)委員 この經濟力集中排除法案の第二條におきまして、昭和十二年七月一日より昭和二十年九月一日までの間における事業分野に對してこの法案を施行するということになつておりますけれども、私の考えですと、日本の經濟の獨占的状態をかもし出しましたのは、歐洲戰末期あたりからのことと存じますが、なたゆえ法案を遡つて實施されないのですか。そこに昭和十二年七月一日から昭和二十年九月一日ということをはつきり條項に載せてございますが、なにゆえこれを昭和五年あたりまで遡つての企業に對して實施をしないのか。政府の方で考えがありますればその點、御質問いたしいと存じます。
#47
○佐多政府委員 お尋ねの點についてお答えいたします。「獨占的性質のものが他の獨立の企業を合併したために生じたものでありますれば、期間の限定をしないで、ずつと前からのものも一應問題にする」ということになつております。しかしただそれ自身が大きくなつたため、他の企業を合併するとか何とかいうことでなしに、「それ自身の規模を非常に擴大して大きくなつたために、獨占的結果に陷つたというような場合に限つては、昭和十二年七月一日から昭和二十年九月一日までの期間に限定」しているわけでございます。特にそれに限つたのは、先ほどからいろいろお話がありますように、「一つの工場なりそれ自身が、近代的な技術的な要求から、それ自身が經濟的な合理性に基いて大きくなつたものならば、それを必ずしも排除するものではない。ただ軍事的目的なり、特殊な目的に從つて、經濟外的な力で大きくなつたというようなものについて、特に問題にしたい。」そういうものは具體的には昭和十二年以後に特に多かつたのだというような認識のもとに、こういう限定をいたしたわけであります。
#48
○赤松(明)委員 これは關連性のあるものですが、財團法人理化學研究所というものがこの法律の對象に此ままあつてなるものか。同時にその理化學研究所は、やはり占領政策の一環としてではあるが、今日經營が不能であるからということによつて、われわれの商業常任委員會へ株式會社として組織替する件が上程されておる。ところがこの株式會社としてもし立直るということになつて、この法律の期間は大體一箇年ということになつておりますが、株式會社として發足したと同時に、この法律の適用を受けなければならないということになりはしないか。この理化學研究所は御承知の通り日本の科學方面の權威者を集めておるところのもので、現在は財團法人である。これが株式會社に變ろうとしつつある。しかもこれは時を同じうして、この面についてこのままおいてもかかるのであるか。このままおいてもかかるものであるならば、株式會社として組織替すると同時に、この法律の活きておるという事によつてかかるということになるとすれば、これは一體どうなるか。現在において株式會社として發足する。是に對して今日まで、たといそれが善い結果であつたか悪かつたかしらないけれども、あの不當な戰爭中にも、彼ら科學者そのものを動員して、ほんとうに命令をもつてしてできないものをもつくらしてきて、今日その財團法人がやつていけない。しかもこれの經營に當つておるものが、實のところ學者ばかりで、ほとんど成り立たないということになつた結果が、こういうことになつて來ておる。これにも命令系統は確かにある。株式會社にしろという、これが株式會社になつた場合、これとこの法律との牴觸の關係はどうなるか。これについて構想があれば承つておきたい。
#49
○佐多政府委員 具體的なことにつきましてはもう少し事實をはつきり調べないと、確言することはできないと思いますが、大體の考え方といたしましてはこの場合に對象になる企業というのは、株式會社であろうと何であろうと、その形體を問わないわけでございますから、それは明らかにこの法律の適用を受ける建前にはなつております。ただしかし私寡聞にしてよく存じないのでありますが、理化學研究所がもし經濟上の生産的な、あるいは經濟的な活動をしてないで、純粹な研究活動であるならば、一應別な問題になると思います。それからかりに理化學研究所がこの法律の適用を受けるとしましても、それがはたして指定の對象になるかどうか。さらには排除されなければならない企業になるかどうかという點は、さらに事情を精査した上でないと、何ともお答えできないと思います。
#50
○八百板委員 この法律は私的獨占禁止法と表裏一體をなすものだと思うのですが、獨占禁止法の場合には私的ということを明確にしておきながら、この經濟力集中排除法の場合は、たとえば第一條などに私的經濟力という言葉を用いなかつたのはどういうお考えであるか、この點を一つ。
 それから、先ほどもお話が出まして、ちよつとはつきりしませんでしたが、十六條、十七條にそれぞれ公のものの規定があるようでありますが、この際日發、配電、これをどういうふうに具體的に頭の中に入れて立案せられたか、この點を一つ。
 もう一つ、第二條では組合という形態を指摘せられておりますが、この場合民主的な協同組合という形態をもこの對象とするというような點について、どういうような考えをもつて立案せられたか。この三つの點をお伺いしたいと思います。
#51
○佐多政府委員 獨占禁止法には私的獨占と明瞭に規定しておるのでありますが、あの場合に考えましたことは、公共事業に關する限りは全部獨占禁止法から適用を除外しようという考え方でございましたので、私的獨占ということをはつきりうたつておるのでありますが、本法案におきましては、かりに公共事業であつても一應建前としてはこの法律の對象になるという考え方をしておりますので、單に獨占というふうに規定したわけであります。
 第二點の、日發、配電をどうするかという點につきましては、さらに事實を精査した上でどういうふうにするかということを判定したいと思いますので、今どういう構想ということは申し上げられる段階までに至つていないとお答えしておきたいと思います。
 第三の協同組合でございますが、獨占禁止法には協同組合は御承知の通り除かれておるのでありますが、この法律においては建前としては除かれていませんで、やはり適用の中にはいることになつております。しかし實際問題としては大體問題にならないだろうというふうに考えております。
#52
○伊藤委員長 次會は公報をもつてお知らせいたします。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後零時二十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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