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1947/09/27 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会連合審査会 第1号
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1947/09/27 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会連合審査会 第1号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会商業委員会連合審査会 第1号
昭和二十二年九月二十七日(土曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   財政及び金融委員長 北村徳太郎君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
   理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君
   理事 葉梨新五郎君 理事 吉川 久衛君
      赤松  勇君    川合 彰武君
      川島 金次君    河井 榮藏君
      佐藤觀次郎君    田中織之進君
      西村 榮一君    林  大作君
      松尾 トシ君    八百板 正君
      栗田 英男君    後藤 悦治君
      松田 正一君    泉山 三六君
      島村 一郎君    鈴木 正文君
      苫米地英俊君    宮幡  靖君
      井出一太郎君    内藤 友明君
      石原  登君    河口 陽一君
   商業委員長 喜多楢治郎君
   理事 笹口  晃君 理事 佃  良一君
   理事 福永 一臣君 理事 中村元治郎君
      赤松 明勅君    金子益太郎君
      佐竹 新市君    松原喜之次君
      師岡 榮一君    山口 靜江君
      井村 徳二君    岡野 繁藏君
      櫻内 義雄君    鈴木 仙八君
      關内 正一君    前田  郁君
 出席政府委員
        大藏政務次官  小坂善太郎君
        大藏事務官   石原 周夫君
        貿易廳長官   永井幸太郎君
        貿易廳次長   新井  茂君
 委員外の出席者
        財政及び金融委
        員會專門調査員 圓地與四松君
        財政及び金融委
        員會專門調査員 氏家  武君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 貿易資金特別會計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出)(第六一號)
    ―――――――――――――
#2
○北村委員長 これより會議を開きます。
 本日は貿易資金特別會計法の一部を改正する法律案につきまして、商業委員會との連合審査會を開くことに相なりました。財政及び金融委員長たる私に議長役を勤めるようにということでございまするから、議長役を勤めることにいたします。
 貿易資金特別會計法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、これより連合審査會を開きます。本案につきまして、まず政府の説明を求めます。小坂政務次官。
    ―――――――――――――
#3
○小坂政府委員 貿易資金特別會計法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 現在貿易物資等の買入及び賣拂につきましては、貿易資金特別會計法第二條第一項に規定いたしまするいわゆる自己資金の十億圓と、同條第二項の規定によりますいわゆる借入資金の五十億圓との合計額六十億圓をもつて運營いたしておるのであります。しこうして最近におきまする貿易の趨勢に對應いたしまして、この際貿易資金の増額、資金運用に伴います損益の處理等につきまして根本的に改正する必要があるのでありまして、これに關しまして、いずれ追加豫算の確定を待つて措置する所存でありますが、これまでの期間における暫定措置といたしまして、この法律案を提案いたした次第であります。すなわち貿易資金は八月末現在におきまして、わずかに九億三千七百餘萬圓を殘すに過ぎない状況にありまして、また九月及び十月の兩月中においても、輸出物資の買入れ等に要する所要資金が約九十六億五千二百餘萬圓を要するのであります。そうしてこれに充て得る資金の囘收額は、同期間中における輸入物資の賣拂い代金等約四十七億六千五百餘萬圓に過ぎない状況でありまして、約三十九億五千萬圓の資金不足を來すことと相なるのであります。しこうしてさしあたりの措置といたしまして、この不足額を調達する對策としては、貿易資金特別會計法第二條第二項の借入金によることを適當と認められるのでありますが、このため同項に定めます借入金の限度額を引上げる必要があるのであります。なおその限度額につきましては、多少の餘裕を見込みまして、五十億圓を増すことといたした次第であります。
 以上の理由によりまして本法律案を提出いたした次第でございますが、何とぞ御審議の上速やかに御贊成あらんことを切にお願い申し上げます。
#4
○北村委員長 これより質疑に入ります。喜多君。
#5
○喜多委員 私は大藏竝びに商工兩省に對しまして、若干の質疑をいたしたいと存じます。貿易資金特別會計法に基き、政府貸付限度を將來どの程度まで延ばしていく考えでありますか。八月以降支拂い中止となるまで放置しており、まことにおもしろからざる現象で生産に多大の支障を生じておるような次第であります。しこうして五十億を百億に改めてもすぐさまその底が見え出してくると豫想せられる次第であります。この種の資金は純然たる輸出でないのでありますから、財政上一時は困難かもしれませんが、今後の貿易行政運營上の成否がかかる問題でありますから、特に思い切つての増額を追加豫算に計上する意思がありますかどうかをお伺いいたしたいのであります。
#6
○小坂政府委員 御指摘の點ごもつともでありまして、この貿易資金特別會計というものは、現在の一般的な經濟状態がきわめて不安定であるという際におきまして、しかもこの輸出を増強することが、國家の再建上非常に必要であるというときにおきましては、この調整額というものがだんだんに増額されるということは、推察されるにがたくないのであります。でありまするが、この全般的の必要とにらみ合わせまして、また特別の能力の低いものを、あくまで補助するということになりますれば、これはやはりインフレを促進するような結果にもなると思いまするので、この間の扱い方につきましては、きわめて愼重な考慮を拂いたいと思つております。實はただいまこの追加豫算を策定中なのでありまして、その際におきまして一般會計からの借入金によりまするようにいたしまするか、一般豫算の中に組込みまするか、實はその點につきまして關係方面の意向もいろいろ伺うようなことをいたしているような次第であります。
#7
○喜多委員 追加豫算に對しまして特別に善處を要望いたしまして、第二は今般補償スタンプ手形制度を創設いたしまして、貿易スタンプ手形制度に準じ、將來優秀なる輸出品を製造し得るものと認可を得た中小企業者に對し、資金獲得の途を新たに開いたことは、まことに喜ばしいことでありまするが、この制度による融資限度はいかなる範圍まで考えておられるか、具體的に發表願いたいのであります。次に純然たる輸出向きと確定されておりまする輸出品製造業者に對しては、その原料買付と同時に、特に融資の途を講ずる意思があるかどうかをお伺いいたしたいのであります。業者は代金を受取るまでには短かくも半年、長きは一年を要する實情につき、その間の資金に特に緊迫を生じている次第であります。實情調査の結果、原料代には、大した支障を生ぜず、むしろ人件費施設費、輸送費等に大半の經費を要するがごとき企業は別といたしまして、布帛製品製造のごとき、原絲購入の場合に莫大なる資金を要するものに對し、良質の發注、製品の受取りのときには、代金の支拂いをなすは時宜を得たものでないと言いがたいのであります。よつて業種の實情に應じて原料買付と同時に、特に融資の途を開く必要があると思いまするが、その點貿易廳次長にお伺いいたします。
#8
○新井政府委員 ただいまお尋ねの貿易關係の資金融通の問題でございます。從來ただいまお話の通り貿易手形、スタンプ手形制度というものがありまして、貿易公團より業者に發注をいたしました場合において、業者が手形を發行いたしまして、それを日銀にもつてまいりまして、日銀でスタンプを押してもらつて、それを市中銀行にもつてまいれば、最優先的に資金の融通をいたすという制度で、貿易資金の融通をはかつておつたのでありまするが、その實施の成績を見てみますると、必ずしもいろいろな事情からいたしまして、それが最優先的に融通を受けがたいような事情が起つてまいりましたので、ただいまお述べの通り、最近大藏省とも御相談の上で、貿易廳におきまして資金の融通を必要とすることの證明をいたしましたものにつきましては、日銀、復興金融金庫におきまして、資金の融通をいたすという制度を實施することに相なりまして、目下すでに實施を見ているようなわけであります。總額はたしか一億五千萬圓の限度であつたと思います。
#9
○喜多委員 第三に、今囘のごとく業者に對する輸出代金支拂いが八月以降停止のやむなきに至つた點より鑑みまして、今後かかる事態が頻發するにおいては、業者をして安んじて輸出企業に專念せしむることができぬばかりでなく、企業の意欲を減殺せしめるおそれが多分にあると思うのであります。先刻小坂政務次官より十分善處方についての御答辯があつたのでありまするが、將來かかることのないことを御言明願いたいと同時に、かくのごときことが生じた場合、いかなる方策をもつておられるかお伺いいたしたいと思うのであります。
#10
○小坂政府委員 ただいま喜多さんの御指摘になつたことが今囘生じましたことは、まことに遺憾であります。このことは追加豫算の關係でだんだんに延引いたしておる事情によるものでありまして、こういうまつたく偶發的なことは、將來ない例であろうというふうに私どもは考えておりますし、またそういうことを決してしないように努力いたす考えであります。
#11
○喜多委員 第四に、貿易インフレ防衞措置についてお伺いいたしたいのであります。貿易囘轉資金及び貿易資金特別會計法による資金支出の運用いかんによつては、いわゆる貿易インフレを惹起する懸念が多分にあると思うのであります。先刻も小坂政務次官よりこの點を指摘せられたのでありますが、これに對する方策を具體的にお伺いいたしたいのであります。
#12
○小坂政府委員 御指摘の點はきわめて重要であると思つております。われわれとしても非常にこの點配慮いたしておりますが、問題は相當にデリケートな問題でありまして、貿易をなします場合に、一番最初に基準となります為替レートということが考えられるのでありまして、このことをよく方々で聞くのであります。しかしながら大藏當局といたしましては、為替レートというようなものは今つくるべきでもないし、またつくるような環境にもない。つくろうと思つてもできないというように考えておるのであります。すなわちこの為替レートというようなものは、兩方の國の經濟状態が、ある一定の基準率をもつてはかられ、得という場合でありまして、ただいまは非常な連合國の好意によつて、貿易が一部再開せられたのでありますが、これは決して兩國の國力の一つの經濟的な基準を示すような安定状態になつておりません。また日本の國自體といたしましても、非常に物價が凸凹が激しい不安定な状態にありますので、こういう際に為替レートというようなことを急に申しましても、害があるのではないかと考えておるのであります。これは私一個の試案とお考えくだすつてよろしいのであますが、考えておりますところは、大體一つの分類にわけまして、商品の種類によりまして、これを十ないし七つくらいにわけまして、この品物については一つの國とドルとの交換比率といいますか、コンヴアーシヨンレートといいますか、エクスチエンジ・フアクターといいますか、こういつたものを大體生産状況の似通つたもの別にわけて、これらによつて交換比率というものをつくる。大體將來の方針としてそれを鞘寄せしてまいつて、一本の為替レートに進むのがいいのではないかということを考えております。いずれにしましてもきわめてこの問題は愼重に取扱わねばならないので、私どもは官廳だけの意見ではなく、民間の有識、達識者の御意見を十分に尊重いたしまして、善處してまいりたいと考えております。
#13
○喜多委員 民間貿易再開よりすでに一箇月餘になるのでありますが、その交渉經過より次の二點をお伺いいたしたいのであります。それは現在までの取扱状況については、バイヤー來朝により、民間貿易運營上多大の教訓を得たと思うのでありますが、今後の民間貿易に對しましての見透しにつきまして貿易廳次長より御答辯願いたいと思います。
#14
○新井政府委員 制限付民間貿易が九月一日に開始せられましてから、一昨二十五日までに契約の承認を司令部より受けましたものは、輸出金額にいたしまして九十萬ドルであります。件數は約七十數件に及びます。それで現在までの程度からみますと、その金額は必ずしも非常に多いというわけにはまいりませんが、これは今日までにまいりました民間貿易代表團は大體においてアメリカの方が大部分であります關係上、日本商品が品質その他よりいたしまして、必ずしもアメリカに向いておるというようなことが申せないような實情からいたしまして、必ずしも多額に上つたということは言えないと存じます。それからまた今日まで來朝せられました代表團の方々の御意見を廳いてみますと、現在の日本の品物の品質なり價格の點なり等からいたしまして、必ずしも今すぐに日本で買付ける品物はないけれども、將來日本が、經濟が正常状態に房り、かつまたアメリカ向きの適品がだんだんと生産せされるような實情になる見込みが多分にあるので、そういう際における準備の途を講じておきたいというような意向をもつておられる方が、相當多數に見受けられるのであります。從いまして將來日本におきまして日本の經濟状態が眞に正常状態をとり戻し、かつまたアメリカ向きの適品の生産せられるようになりましたならば、相當に輸出が殖えるものと私どもは考えております。さらにまた今後東西における代表團の方方がだんだんと見えるような状況になつておりますので、そういう方々が見えましたならば、そういう方面に向く品物は日本としては相當あるように考えられますので、今後におきましては取引は相當に殖える見込みと私どもは考えておる次第であります。
#15
○喜多委員 重ねて一言お伺いいたしますが、大體民間貿易再開に對しましての貿易廳としての豫算とか、豫定的觀念をもつておられただろうと思いますが、それに對する今日はでの經過から見て、大體見透しの上においては滿足を得ておられる結果にあるのでありますか、あるいは不滿足な結果になつておるかという點をお伺いしたいと思つています。
#16
○新井政府委員 正直に申しまして、今度の民間貿易再開によつてどれだけの契約ができるかということは、私どもとしてもほとんど見込みが立たなかつたような次第であります。從つてあらかじめどのくらいできるかということの豫想はもつておらなかつたのでありまして、私どもとしては今直ちに契約ができるということよりも、この途が講ぜられることによりまして、海外における市場の状況、あるいは嗜好、あるいは趣味の變遷等が、だんだんと日本にわかつてまいりまして、そのために將來におれる貿易が大いに増進するようになるということに、多大の期待をもつておつたような次第であります。
#17
○喜多委員 最後に貿易事務手續の簡素化を要望する次第であります。現在業界の怨嗟の的になつておる手續の煩雜、書式の厖大等を、きわめて簡素平易にして、複雜多岐なる窓口行政より業者を解放することが必要なことではないかと思うのでありまして、この點は論をまたないところであると思うのでありますが、最近とみに關係官廳が増加し、手續が冗長となり、書式もまて複雜多岐となり、許可認司も從前の六、七倍の時日を要し、ときには戰災復興院等の無用の干渉により、生産能率を著しく低下せしめておると聞き及ぶのであります。これらを徹底的に壓縮し、無為を避け、簡素平易にすることが、貿易振興を側面より促進するゆえんであると思うのであります。はたして政府において眞劍にかかる點に考慮を拂つておられますか、まことに疑わざるを得ないのであります。この點についていかなる見解をもつておられますか、貿易廳長官にお伺いする次第であります。
#18
○永井政府委員 だんだんと統制經濟の關係もありましたり、G・H・Qと貿易廳と双方に書類を置かなければならぬということで、非常に處理が複雜多岐になつており、非常にお困りのこととよく存じております。その點は十分自覺しておりまして、できるだけ簡素簡便にいたしたいと思います。どうかその邊の事情を御了承願います。私どもの方におきましてもできるだけ迅速簡潔に契約のできまするようにいたしたいと思います。
#19
○喜多委員 貿易廳長官の答辯によりまして事務簡素に對する方針了解いたしましたが、ぜひ一日も早くこれを實行するように要望いたしまして私の質問はこれをもつて打切りたいと思います。
#20
○石原(登)委員 議事進行について發言いたします。本委員會では本法の改正に對して合同審査をすべく決議はいたしましたが、實は財政・金融委員會と商業委員會では、本法の審議にあたつてその基本的立場がよほど異るのじやないか。こういうふうに本委員は考えるのでありますが、さようにいたしますとこの審議にあたつてはそれぞれの委員會の立場において愼重に審議が進められ、そこ結論において共同の審査會が行わるべきものでと私はさように信ずるのであります。今日は初めての本法の審議にあたつて、初めからかような共同の審議をするということは、各々その立場に異つたものが、それぞれの立場においていくらかでも是正され、あるいは制肘を受けるということになりますならば、私は非常に遺憾のことだと、かように考えます。どうか委員長におかれましては今日日本の財政金融の非常に困難な立場において、しかもこの追加豫算編成にあたつて、先般取上げられたところの復興金融金庫の關係、さらに貿易法によるところの資金の關係、これがよほど問題になつておるような際でもありますので、特に私ども財政金融委員會としての立場においては、よほど愼重に考慮しなければならぬ。かように考えておるので、當分の間それぞれの結論に達するまではこれは分離されて、それぞれの立場において審査すべきが適當だと本員は考えます。この點委員長において適當に取り計らわれんことを希望いたします。
#21
○北村委員長 石原君の議事進行についてのただいまの御意見了承いたしましたが、委員長は必ずしも石原君の考えておるようには考えておらないのであります。というのは貿易金融と貿易の事實、貿易業、これは不可分の關係がございまして、從つて國際商業の面から見る貿易と、それに關連する金融というものは不可分關係があるので、共同で連合審査するということの意義がここに非常にある。商業委員會の面からは、主として貿易についての質疑がある。それを深く理解することにおいて、われわれはまて金融の面から質疑していくということで、本委員會のごときはきわめて連合審査に適したものである、こういうふうに委員長は考えております。但し今日理事會を開きまして、なおせつかく御發議がありましたから檢討を加えることにいたしたいと思います。
#22
○石原(登)委員 委員長のただいまの御議論には私も賛成であります。ゆえに本委員會は合同審査に賛成いたします、しかしながら最初から合同審査をやることは危險だというのであります。なぜかと申しますと各々立場の異つた者が集まりましてそれぞれの立場を主張する、あるいはその主張によつて考え方の基本が誤るということは、よほど同化するのじやないかと私は惧れるのであります。ゆえにまずもつてそれぞれの委員會によつて三二分に審議しまして、その審議をもち寄つて、さらに合同審議をやるということになりますならば、そこに私は悔を殘さないというやり方ができるとかように思うのであつて、私はこの合同審査會をやるということが悪いと申し上げるのじやありませんから、どうかその點十二分の御配慮を願いたいと思います。
#23
○川合委員 ただいまの石原君の發言に關しまして、私は意見を申し上げます。そもそもこの新しい國會の下において常任委員會がつくられたということは、過去の帝國議會時代の審議の方法に非常に缺陷があつた。そこでそれぞれの議員の特質に應じ專門的な分野においてそれぞれの職責を遂行するように、かような常任委員會という制度がとられた。これは主としてアメリカの國會をまねたというように思われます。ところで今問題になつておるように、常任委員會が違うことによつてそこにこだわるような結論がでるというような解釋をすることが誤りであり、また問題が同時に一つの合同の審議ということによつて行われるという場合において、議員としましては、その委員會の立場にとらわれて、その問題を論議するというようなことはあり得ないのでありまして、どこまでもわれわれは國會議員としての任務と同時に、またわれわれが國會議員としての矜持と識見とをもつて問題を審議すればいいのである。從つてそのどの委員會に所属しまたどの委員會において發言するということも、それはその委員會の立場にとらわれる必要はないと思います。從いまして私は初めから合同審議するということに賛成であり、またその合同審議した場合において、私どもは財政金融委員會の一人でありますけれども、何も財政金融委員會の立場というものはあるべきはずはないのでありますから、從つて私は現在の審議通りによつて、その結果を理事なり、あるいはまた双方の委員長において結論づければそれでよしというように考えます。
#24
○西村(榮)委員 議事進行については、財政金融委員長竝びに商業委員長に御相談下すつて、適當に御處理願つたらいいと思いますが、ただいま喜多君から貿易長官に對して有益な質問があり、また參考になる答辯が政府當局からなされたのであります。そこで二三貿易の問題について明らかにしておきたいと思うことは、先ほど小坂政務次官が為替基準の決定については困難であるという御答辯がありました。これは私は一應もつともだと思います。しかしこれを決定しなければ貿易に對しては支障がくるということも事實なのであります。そこで私はいずれがいいかということの自分の意見は、申し上げることを差控えますけれども、一箇月半にわたつて貿易が實際行われた結果が、貿易を擔任されておる人々の目に映つて状態というものは一體どうか。貿易再開前に構想しておつたままの状態で大體支障なかつたかどうか。貿易手續の問題や資金の問題、日本の今日のインフレーシヨンと、勞働力、生産力、國内資源竝びに豫定される原資材の輸入等を考慮して、一體これでコスト竝びに品資の點において、日本が將來國際貿易を通じて、世界經濟に進出ができるかどうか。こういうふうな點を一箇月半の經濟の後、一體從來の構想を變更する必要がないかどうかという點を虚心に承りたい。
#25
○永井政府委員 ただいまのお尋ねに對しまして、貿易再開と申しますのは、ごく限られた民間取引の再開でありまして、御存じの通りまだ政府對政府貿易の方面に殘されておる部分が、日本の全貿易の約八割以上を占めております。個人取引に解放せられた部門は約二割に近いのでありまして、これをもつてわが國の貿易の趨向をみるということは、やや困難かと思います。次に實際の契約を始めましたのは九月の二日以後でありまして、約一箇月になんなんといたしておりまして、その間にできました販賣契約、賣上高は、過日對日理事會におきまして、發表せられました通り、八月十五日現在が百八十萬ドルその以來數十萬ドルの契約ができておりますが、これを世間では期待したほどでもないじやないかという評もありまするけれども、今申しました通り、民間貿易に開放せられたる商賣の種類が、金高にしまして大體普通二割以下を占めるものに對してのみ、民間貿易が許されておるという事情と、ただいま來ております代表團の人々のおもなる目的は、今後自由貿易になつたときに、今後の取引の途を開いていくとか、前からありました取引先との關係を更新したり、あるいは新しい取引先をきめたり、あるいはメーカーと新しくコンネクシヨンを結んだりすることに、代表團の活動の重點がおかれておりまして、今そこにある、限られたストツクを買うて歸るといふことに、大きい主眼を置いておりませんので、これらの契約高もそれほど刮目するだけの金高に上つておりません。これは前から當然豫想しておつたところであります。向うから來る人もそういう豫想でありまして、ただ人情で、こちらに來た以上は、できる商賣ならしていこうというくらいなことなのであります。そういうわけであります。それとただいまの商賣は、大體先ものの取引は今少ししかやつておりません。大體ストツクの商賣をしておるというような點から、今後の見透しを十分につけるということもできません。のみならず七月十五日以來、ポンドがドルに自由に交換できるということになつておりまして、ポンドをドルにかえることを始めましてからいくばくならずして、英國政府はポンドをドルにかえることを止めましたので、御承知のように大體ドルで品物を買うてきて、ポンドの地域に物を賣るというようなわが國の立場におきまして、多少の障害になつておるのであります。そういうような事情がありますので、今にわかに見透しを立てるということはできませんけれども、大體今度の囘轉基金によりまして、加工貿易の原料が潤澤にはいつてきましたならば、その原料のみならず、いろいろな副資材等もこれによつて輸入することができるようになつてまいりますから、わが國の工業の建前において、多少戰前と異つたる趣を呈することは必定でありましようけれども、順次發展していくものと思います。ただ六、七年間わが國の經濟は外國の經濟とまつたく隔離しておりましたので、非常に戰時中に變りました外國の經濟と連結していきますまでには、多少の調整が必要であり、あるいは生産能率の増加なり、生産費の切下げといつたようなことが、だんだん必要なことかと考えております。
#26
○新井政府委員 ただいまの貿易長官の御答辯の中に數字が出てまいりましたし、それから先ほど喜多委員の御質問の中に數字が出てまいりましたので、私がお答えいたしましたが、少し數字を誤つておりましたために、この際申し上げておきます、九月一日から二十五日までに契約ができまして、そのうち司令部の承認を得たものが七十三件ございまして、その金額が約百二十五萬ドルであります。御了承願います。
#27
○西村(榮)委員 貿易長官の今の御答辯は少し私の質問を誤解されておるようですが、私のお尋ねしたのは、過去一箇月半の經驗を通じて、日本は過去十箇年間、技術的にも、商業的にも、封鎖經濟をとつてきたのでありますから、學問の上においては技術水準はわかる。しかしこれが具體的に企業化されておる技術というものは、われわれは想像ができない。從つて日本の生産界における進出竝びにコストについて、この一箇月半の經驗を通じて、先方の意見なり、いろいろな事情で一部解放されたのでありますから、それを通じて日本の産業界が立つていけるかいけないかという點を御質問しておる。私の言わんとするところは、同時にこれが立つていけなければ、先般原資材に對するクレジツトを許可されましたが、私の希望するところは、それだけではなしに、技術的なクレジツトも要請しなければならない段階にあるかどうかういう點を知らんとするために質問したのであります。その點をお答え願いたい。一箇月半經つて見透しがつかぬということでは答辯しない方がよいです。
#28
○永井政府委員 ただいま來ております貿易代表團というものの性質は、今申した通り大體政府對政府の貿易に殘された以外の、個人取引に任されましたカン詰であるとか、あるいはセルロイドであるとか、陶器であるとかの、ごく限られたる雑貨であります。それらのしかも來ました人數は百人を超えておるのでありますけれども、殘念ながら商工業全般の權威ある人々がその中に網羅されておるとは思いません。わが國が今後の大方針を立てるために、それらの人の意見によつて多く啓發せられるということには至りませんことは事實であります。私は今後の百年の長計ということを考えますのには、今までの一箇月にわたるこれらの方々の御意見だけで、大方針というものを察知するということまでに至つておりません。今後續々と參りましようが、文獻なども司令部に頼みましてもなかなかそう來ないのであります。その程度には至つておりません。これはわれわれの不敏のいたすところかもしれませんが、まだそれだけの啓蒙開發をしてくれるような人が、殘念ながら參つておりません。これは率直な意見であります。
#29
○西村(榮)委員 今の貿易長官の御答辯は、貿易廳というもしが一體どういうふうな能力を示すかということを、今の御答辯の一端においてうかがわれたということは、私はまことに遺憾だと思います。ついでにお聽きしておきますが、將來の貿易政策とわが國の長期建設政策、當面の緊急の問題を處理し、これを切抜けるために一體どうするかという對策が、政府部内においてとられつつあるはずでありまして、これと貿易政策というものは表裏一體をなすものでありますが、それに對し貿易廳は何かの計畫を樹てられて、それらの官廳との連絡をとられたか、一應承りたい。
#30
○永井政府委員 ただいまの御質問に對しまして、貿易廳としましては安定本部その他各國内の官廳はもとより、司令部關係の各經濟部門とも緊密なる關係をもつて、今後の方針についても研究いたしております。御存じの通り世界の動きは非常に目まぐるしいのでありまして、今も申したポンドをドルに換算できないというようなこと、これは考えを申し上げれば、ほとんど世界的に、經濟的のデツドロツクをもち來すくらいの大問題であります。あるいはまた貿易基金によりまして原料をもつてきましても、それに對する動力、燃料というものが、十分この貿易囘轉基金でもつてはいります原料の全部をこなし得るかどうかというようなことについては、なかなか見透しが困難であります。そういつた疑問の點、Xの點が非常に多いのでありまして、ここでにわかにはつきりした政策をこうだというところには、まだ至つておりません。その方向に向つて研究は及ばずながら逐次やつておりますが、何と申しますか、われわれにおいてもこの相手たる世界が動いているのでありますから、こちらだけ腹をきめてもなかなかそうまいりませんので、今ポンドならポンド地域に物を賣れと申しましても、なかなか賣れない。これは貿易でありまするから先方の心、相手次第であります。相手の状態がしじゆう根本的に變つております。そういう點も御了察願いたいと思います。
#31
○西村(榮)委員 具體的に何か計畫を言えませんか。
#32
○永井政府委員 わが國の貿易としては、ます第一に纖維の關係が一番多いと思うのでありますが、生絲は御存じの通り非常に非觀的な状態に陷つておりますので、われわれの方としてはどうしても生絲をこのままに放つておいてはいけないということで、日本から專門家數名をニユーヨークなり、アメリカへやりまして、もつと積極的に販賣を擴張するような努力をしてみたいと思うのであります。この戰爭中生絲というものを使わずに慣れてきたアメリカの企業者に、また生絲を盛んに使つてもらうように努めておりますから、あたかも明治初年に生絲貿易を發展さしていつたと同様の努力をやつてみたい。そういうことで日本人の專門家をまずアメリカへやりたいということを、司令部と交渉いたしております。綿花紡績の方においては、御存じの通り近く六千萬ドルの囘轉基金による米綿の買付が始まると思います。ただいま買つているのは、向うのC・C・Cの政府の買付を續けておりまするが、間もなくこの囘轉基金による米綿の買付を始めましたならば、六千萬ドル囘轉いたしますと、初めの三箇月くらいは月に五萬俵は買えると思います。四箇月目くらいからだんだん輸出したものの利益がまいりますので、まず毎月七萬俵くらい入れることができると思います。インド綿については新聞でも御存じの通り、十七萬俵のインド綿を買付することになつております。これは囘轉基金によらずポンドで買いまして、日本からポンドの品物を賣つてバーターするというようなことで、大體これで月に三萬俵のインド綿がはいりますれば、月十萬俵といたしまして、わが國の綿紡績はフルに運轉し得るかと思います。羊毛につきましてはしきりに努力をしておりますが、濠州方面との間の話合も未だ懸案中であり、今せつかく努力中でありまして、漸次羊毛紡績も進展することと思います。その他人絹工業のごときはむしろ外貨獲得に效力のあるものでありまして、しきりにスエーデン、ノールウエー、カナダ等に、日本の人絹パルブの不足を補うべく計畫いたしております。これからの日本の加工貿易の大宗としては、まず纖維工業であろうと思いますので、これらに對してまず第一に重點をおいて、纖維工業を通じまして、極力外貨獲得に努めたいと思つております。
 その次にゴムとか、いろいろな雜貨製品の原料、こまかいものを申しますと、漢口の奥地にあります貝ボタンの原料の貝であるとか、そういつた加工用の原料の輸入を、できるだけ續々とはかりたいと思つております。陶器の原料なども今非常に困つておりまして、たとえば窯に入れる時使用するさや用の石膏とが、南朝鮮にあるカオリンとかいうようなものの輸入に對して極力盡力しております。要するに内地の資源は御承知の通りまことに貧弱なものでありますから、できるだけ多くの加工原料を安く各地に求めて、加工貿易によつてわが國の貿易を進展させたい。東亜の政治、經濟が安定しましたならば、東亜の人口は十億にも及んでおり、そうして日本には八千萬の人間がある。これらの勞力を十分に拂い、もつて人口問題の解決と、外貨の獲得ということに向うために、安い原料を求めて加工貿易を振興させたい。そういう方向に進めたいと思つております。
 次に日本は何といつてもやはり水産國でもありますし、手工業等にも秀でておるのでありますから、そういう方面についても十分努力いたしたいと思うのであります。ただ殘念なことには、ただいまでは十分な支拂能力をもつておる國ははなはだ少いので、その點が非常な隘路になつておるような状態であります。大體貿易の發展をどういう方面に求めるかというようなことにつきましては、こういうような構想をもつておるのであります。
#33
○西村(榮)委員 私は本日貿易官長初め貿易關係の人々に對して非難をする意思は毛頭もつておりませんが、先ほど來の答辯を伺つて、きわめて心細いものを感じました。今の貿易長官の答辯は、まつたく戰爭前の貿易觀念にとらわれておるのではないか。少くとも敗戰日本の經濟を背負つて立つ貿易というものは、もつと別な角度から高邁なる世界的規模において考慮していただかなければならないじやないか。私が問わんとしたところは、わが國の長期建設計畫と、それの裏づけをなす産業政策、その産業政策の基礎をなす貿易政策に對して、將來いかなる見解を世界的規模においてもたれるかという點をお聞きしたのでありまして、ただいまの綿花は何俵はいつてどうということは、すでに新聞にも出ておるし、少くともこの委員會に出席される方々は、そのくらいの知識をもつておる。もつとあなたに、われわれ貿易擔當者、わが財政、金融竝びに産業をもつて專門とする者から承りたい點はその點である。あなたが先ほど來一箇月半の經驗で、向うから來た人から何ら得るところはなかつた、また文獻も送つてくれぬという話であつたが、一箇月半窓口を開いてここに精進努力があれば、私はもつと外國の事情がつかめる。申し上げるまでもなく、今度の大戰爭の結果において、世界はどう變革されておるかといえば、あらゆる國が倒れてアメリカとソ連が殘つたという事實よりも、原子物理學が原子動力に發展して、この原子動力が今やまさに人類の生産界竝びに勞働界を一變せしめて、第二次世界革命が、世界において激流を打つて流れておるということが、近世の歴史において特筆すべき状態である。この技術的な大革命、十八世紀の機械の招來からきたところの産業革命の、十數倍の大きさをもつて世界革命を招來してくるところの現段階において、日本の生産界の技術的な水準が、いわゆるアメリカその他の先進國の技術的なクレジツト、援助がなくてやつていけるのかどうか。同時にそのコストが引合うのかどうか。引合わなければ引合うだけの態勢を整え、技術が足らなければこの問題について援助を乞わなければならぬじやないかという點を私たちは知りたい。貿易政策の基本策と思つておるのでありますが、今の貿易長官の御答辯をいつまで求めてもいたし方がありませんから、以上の點について貿易廳はひとつ將來十分に考慮して、何かわれわれの參考になる具體策を、近き將來において御發表願いたいという希望を申し述べて置きます。さて私のその問題についての質問は、これは大藏當局との關係もあるのですが、本案において、五十億から百億圓の、借入限度に關する法律案を改正したいというのであります。將來のそういうふうな大きな任務をもつ貿易政策は、中小商工業者の振興策とともに、これは技術の面とともに資金の面も當然關連してくるのでありますが、はたして百億圓に限度を上げて、それで貿易を擔任する中小商工業者竝びにその他日本の産業が、これでやつていけるのかどうか。現在言われておる時價における為替からいえば五千ドルしかないのでありますから、私は少くとも今の物も考え方からいつて、二億五千萬ドルくらいは要るのではないか。こう思うのですが、これで日本の經濟を支えていく中小商工業者の振興策竝びに日本の産業政策、その基礎をなす貿易というものがやつていけるかどうか。貿易廳と大藏當局の見解を承りたいと思います。
#34
○小坂政府委員 貿易振興策に關しての根本的な對策を立てるという西村さんの御意見は、深く傾聽いたします。その際にその資金としてどのくらいのものを豫定すればよいかというお話でありまするが、これをこの法案に關しての立場から申し上げますると、ただいまの御指摘の五十億圓というものは、この物品を買上げるための差額の補給金でありまして、これをもちまして全面的に貿易振興策の資金としようというのではないのであります。御承知のように、現在の物價情勢が非常にでこぼこになつておつて、これを均等にならすことが、まずこのインフレを克服するための産業再開の大きな題目として取上げられなければならいいと私どもは思つておりますが、さしあたりの緊急の輸出の重要性からいたしまして、われわれとしては、せつかく開かれた門戸を、できるだけ有利にわれわれの國の經濟の中に繰入れていくために、さしあたりは雜貨であるとか、そういつたものでありますが、これをできるだけ助成していこうという建前から、その國のでこぼこ經濟のためにふさいでおりまする産業を、多少有利にしようという考えから、貿易資金特別會計の五十億圓の金額をあげておるわけであります。そういう面でひとつ御了承を願いたいのであります。
 さらに一般の中小商工業の金融の問題でありますが、これに關しましては、相當大きな觀點から、中小商工業の金融助成の機關をつくりたいというふうに私ども考えております。さよう御了承を願います。
#35
○西村(榮)委員 先ほど貿易廳長官が觸れられました中において、技術的な面について御質問したいのです。それは支拂能力のあるのはドルの圏内であつて、その他は支拂能力がないと言うのですが、その支拂能力のない方面、主として東洋全域から、いろいろな雜貨そのほかの注文が來ると思う。それに對する代金の支拂決濟は一體どういうふうになるか。質問の要點を縮めて言いますと、東洋、南方諸地域へ、日本の自轉車その他の雜貨を賣つたときに、その代金の支拂は、向うの物で受取ることが現在、將來とも可能であるかどうか。事實上連合國との關係上、あるいは實際上の貿易状態、それから中國からもしも機關車、車輛、電話その他の通信器具というようなもの、あるいは紡織機というようなものの注文が來たときに、これの決濟はどういうような形でなされるか。それとともに、なおこちらから希望を言えば、向うの注文を受けたときに、海南島の鐵鑛であるとか、中支の鐵鑛、あるいはその注文に必要なるそして中國で餘つておる粘結炭その他鐵鑛石というふうなものが、先にこちらへ入つてくるかどうか。あるいは入つてこなければ、それは一應ドルの了解を求めて支拂つて、生産にかかり得るかどうか。そういう點、こまかいようでありますが、お伺いします。
#36
○永井政府委員 まず南方といいますか、東洋諸地域へ雜貨を賣る場合に、ドルが拂えなければどうなるかというようなお尋ねであると思います。ただいまのところでは、フイリピン、シンガポール、インド等は大體ドルの資金をもつておるか、もしくはインドのごときは今申しましたように綿を持つてきまして、代りに雜貨をこちらから賣るというような、まずバーターであります。ドル資金をもつていない所も、こちらに外國の各國政府のミツシヨンが來ておりますから、その邊から來ましたバイヤーは、その各國おのおのが自身の政府のミツシヨンへ行きまして、ドルの為替でこれだけもらえるかということを打合わせて買うております。そういうことのできない場合は、絶對に日本へ輸入すべきもので、ドルでアメリカから買うてそれを拂わないで濟むというような、日本で絶對必要な品物を向うから提供してくれますなれば、それのバーターとしてこちらから自轉車なり、機械器具なり、何でも輸出するというようなバーターの方法も講じております。ただしかし、向うから供給してくれるものが日本の經濟に絶對必要なものであるか、あるいはそれを加工してただちに輸出して、何倍かの外貨獲得になるというふうなものに、その輸入品は限られておりますので、何々とバーターができないという點において、相當範圍が縮められております。
 それから中國のことでありますけれども、ただいまおつしやいました粘結炭は欲しくてたまらないのでありまして、初めこの七月になれば開らん炭が月に二萬トンばかりはいる豫定になつておりましたのが、山と秦皇島との間の鐵道が中央軍のために遮斷されてしまつたものですから、これがはいつてまいりませんので、非常に困つておりますので、その補充を南樺太の弱粘結炭等によつて多少は補つておりますが、それができないので困つております。今おつしやいました海南島の鐵鑛石はしきりに交渉中でありまして、戰前に日本窒素、石原産業がやつておりました鑛石が港頭に七十萬トンもありますので、これを入れたいとしきりにやつておりますが、運賃が非常に高いということで今行惱んでおります。開らん炭がはいつてきますれば、こちらから機關車、坑木というようなものを供給するはずでありましたが、そういう點で今行き惱んでおるような次第であります。向うは海南島の鐵鑛石を入れたならばレールをくれと言つておりますけれども、レールではうま味が少いので、機關車なりにしてくれればなおいいと思います。
 以上ただいまの御質問のお答えは濟んだと思うのでありますが、先の御質問にお答えしたことについて多少追加いたしておきたいと思います。
 貿易政策ということについていろいろ御注意をいただき、たいへんわれわれ感謝いたした次第でありますが、貿易というものは商業的な考えだけでもいきませんので、私の考えといたしましてはどうしても貿易振興をはかつていく上におきましては、わが國の工業立國策を再檢討せねばならぬという考えをもつております。動力にしましても、石炭がかりに三千萬トン完遂できましても、五億ドル、六億ドルの囘轉基金で原料をもつてきましたならば、おそらく動力、燃料から行き詰まつてくるかと思うのであります。そうしました場合に、やはりこれは燃料石炭等を多量に食うものは、日本で製造することをやめてむしろ輸入にまつ。たとえば今鹽などは非常に簡單に安くアフリカ、ソマリーランド、ボード・セツトあたりからはいつてきますれば――但し萬一の場合ということもありますのでやはり經濟、天然條件が不利なる日本で、鹽をこしらえるために石炭や動力、電氣というものを非常に使つております。片一方の製鹽事業には畫夜電力が來ておるけれども、隣りの綿布工場には電力が止つておるというようなことも見受けるのでありまして、そういつたものに日本の貴重な石炭を使わずに、石炭を多く消費するようなもの、そうして外國から輸入し得べきものは輸入して、戰前のいわゆる國防經濟、國防國家でオータルキーの考えがまだ頭にこびりついておりますから、これらを拂拭して、天然の經濟條件が、日本で製造することが最も適當であるというようなもののみに止めて、そういつたものは輸入するとかいうふうな、全體的に工業立國策の再檢討をするとともに、この貿易政策の檢討というものは進んでいくべきものであろうと思いますので、貿易廳におきましてもその邊のことは考えはいたしておるのであります。
 それからなお、ただいまの技術その他クレジツトの導入なくして日本が再建できるかどうかということでありますが、ただいまできております貿易囘轉基金のみでは、この長い間戰いに疲れた日本の技術、經濟を、もとへ戻すことさえもむつかしいと思います。もとへ戻したのではとうてい追いつけません。この戰爭中に數世紀にも相當するような大きな進歩が外國には行われておるのでありますから、それにくつついていくということにつきましては、もつと固定的なクレジツトとか、技術とか、そういつたものの導入がぜひ必要かと考えるのであります。ただいまの貿易囘轉基金のみをもつて能事終れりとするものでは決してないと思います。
#37
○西村(榮)委員 ただいまの答辯でやや明瞭になりました。最後にお尋ねしておきたいことは、熱カロリーと五億ドルのクレジツトの中において、熱量に費す部分と原資材と、大體どの程度のかね合いで輸入が可能であるか。同時に日本の經濟の状態を――日本政府竝びに國民みずからの再建の氣魄にもよるでしようが、貿易の觀點から見て、大體日本の經濟が昭和五年ないし十一年――連合軍でもつて基準水準とされる點まで日本の産業が囘復するためには、クレジツトが希望としては大體どの程度であるか。第一點は、原資材の基礎をなすところの熱カロリーと原資材とのパーセンテージはどの程度であるか。もちろんこれは國際的に許される部分もあろうし、夜さめぬ部分もありますが、日本經濟再建の點においてどの程度でありますか。
 第二點としてお伺いしたいことは、今から一週間前に新聞で發表された、日本とソ連との貿易關係、これは船を送つて向うから石炭を入れると簡單に報道されているのですが、樺太の油だとか、滿洲のだいずとか、今まで日本の經濟になじみの深かつた部分は、ソ連との貿易關係が、將來突發的な事故がない限りは、どういうふうな状態でいくかという見透し、それから中國から車輛、機關車、紡織機、そういうふうなものの注文がどの程度まであるか。これは國際的な問題ですから、答辯はあつてもなくてもよろしゆうございますが、できればそれを知らしてもらいたい。それから中國がもとのままの交通状態に囘復するためには、車輛、機關車、レールというようなものは、大體どのくらいの需要量があるかというような點を御説明願いたい。
#38
○永井政府委員 囘轉基金によつて燃料カロリーと原料がどういうふうな割合に入れ得るかというお尋ねでありますが、囘轉基金の内容を御存じかと思いますけれども、右の御返答に必要でありますので、順序として申し上げますと、囘轉基金は實は日本政府との契約でも何でもないのでありまして、G・H・Q内部におきましてこういうふうにしようという取極めをしたわけであります。その取極めの中で、囘轉基金によつて輸入できるものは加工用の原料及び副原料、たとえば八割までは日本に原料があるけれども、もう二割の原料が足らぬから、これをもつてきたら八割の原料も加工ができて輸出になるというようなものを副原料と申しますが、そういうものを大部分豫定しております。その輸出に必要なる機械、附属品、部分品というようなものを大體一割五分見ております。そこで燃料をこの原料というものの解釋の中に入れるか入れぬか。解釋によつてはその原料の中に燃料を入れてもいいのでありますが、それは契約の文面ではそうはつきりしておりません。あの囘轉基金の囘轉を司るために、コントローラーというものが御承知のようにございまして、その管理人は近くアメリカから參ります。その管理人は、この囘轉基金を供給しますおもなる銀行――アメリカ政府が百パーセント株を持つておりますエキスポート・インポート・バンクでありまして、それが中心となつて他の個人銀行、市中の銀行へも參加を求めることになつておりますから、相當金融界全體に信望のある人が、こちらへコントローラーとして近く參ることになつております。その人の頭、裁量で、これでは日本は石炭も足らぬし、努力も足らぬから、原料ばかり持つてきても間に合わぬということになれば、石炭の輸入を許すということになります。現に今アメリカから石炭の引合もありますけれども、値段その他の點が、まだコントローラーが來ませんために、どの程度までやつていいかきまりませんが、萬事はコントローラーが來ましたら、きめられました規則は原料だけでありまして、機械その他は一割五分より入れられぬことになつておりますが、その原料の中に石炭をまぜこめることは話合いがつこうと思います。しかしそれらの點がはつきりしませんので的確な御返事はいたしかねます。
 それからソ連との貿易でありますが、ソ連からクラフト・パルプ五千トン、コーライト銑コータスを年内に一萬トン、來年二萬四千トン、弱粘結炭、これは露領の樺太、舊日本領の樺太からちよつとはいつたところでありますが、そこの弱粘結炭を年内に二萬四千トン、來年三萬六千トンの約束をいたしまして、その代り日本から漁船、引舟等を出すことになつております。いずれもドルで買うとドルで賣るという建前になつておりますが、事實上のバーターであります。それからお話になりまして樺太の石油でありますが、御承知のようにソ連は相當豐富な石油を持つておりますけれども、悲しいかなすべてバクーとか、西の方のみにありまして、それを極東地方に運搬することはなかなか困難なために、樺太の石油を日本にくれませんで、シベリアのウラジオストツクその他で相當使うものと見られるのであります。滿洲のだいずでありますが、これもできるだけとりたいと思うのでありますが、御承知の通りだいずは食糧品の一つといたしまして、ワシントンにあります國際緊急食糧委員會におきまして、各國へそれぞれ割當をいたしております。去年の割當は、四十二萬五千トン滿洲のだいずを外國に出すということになつておりまして、その中から七萬六千トン日本へ割當をもらつたのでありますけれども、今申します通り中共と國府軍との爭いのために未だに出てきません。實はもういいから船をよこせというので三遍ばかり船をやつたのでありますが、一遍も積みとらずに歸つたという状態であります。かえつてアメリカからだいずが來るという状態であります。ソ連との全體の貿易ということは、ソ連という國柄からいたしまして、こちらから人絹とか何とかというものを賣りたい、向うも買いたいという意思がありますけれども、やはり今でも民生消費方面を切り詰めて、新五箇年計畫の工業能力の増強に重きを置き、消費品等の輸入を極力抑えておるような状況でありまして、今後の見透しは立ちかねる次第であります。
#39
○川合委員 先ほどからの御説明によりまして、今後の日本貿易、もちろん現在の貿易はいわゆる自由貿易ではないわけでありますが、そこで結論を先に申しますならば、今までの御説明によるならば、あまりに日本の貿易というものは樂觀を許しがたいというような結論に到達するだろうと思うのであります。そういう點におきまして、日本がドル・エリアから輸入し、そうしてエキスポートはポンド・エリアにエキスポートするというような關係からいたしますならば、まさに日本の貿易の將來というものは、樂觀が許されないという結論になるだろうと思うのであります。そこで先ほどもお話があつたのでありますが、日本の貿易を見る場合において、世界的規模において將來を把握しなければならないというわけでありますが、私思うのに現在のドル不足というような世界的な大きな金融の流れというものは、第二次世界大戰後におけるところの一つの安定恐慌の前兆ではないかというように思うのであります。第一次歐洲大戰後におけるところの一九二九年の世界的恐慌というようなものが、まさに勃發する前兆ではないかというような氣でするのであります。もちろんこれは他の政治的なフアクターということも考えなければなりませんが、純經濟的に考えて、私はそういうように、第二次世界大戰後における安定恐慌が勃發するまさに前夜にあると考えるのであります。これは問題は英國の動き、政治的にどういうように解決せられるかということによつて問題は解決せられる可能性もあるわけでありますが、そういう世界的規模において、日本の將來の貿易というものを見透しされることが緊要ではないか。貿易長官は私が思うのに、民間人としてたしか長年の豐富なる經験がある方でありまして、そういうような點において今後の日本の貿易政策、日本の單なる國内の問題だけではなくして、世界的規模においてよくこの問題を把握されんことを切に希望いたしたいと思うのであります。
 それから第二點といたしましては、先ほどから御説明のあつたように、日本は當分の間高度の技術を資本とするような加工貿易によつて、日本のエキスポート・トレードということが進展する可能性は少いと思うのであります。どうしても繊維品というものを中心にして日本の貿易は振興しなければならぬというように考えられるのであります。そこで過去の日本の繊維貿易の發展の經過を考えた場合において、日本の混綿技術とか、あるいは、チープ・レーボアーというようなことによつて、日本の繊維産業というものが發展したというように一應は考えられるのでありますが、私の若干の檢討したころによるならば、むしろ日本に繊維産業資本が、世界的な商業資本としてきわめて活動したという點が、相當大きなフアクターになつておると思うのであります。たとえて申しますならば、綿花というものは非常に騰落の激しい世界的商品であります。從つてたとえば東洋綿花がニユーヨークにおいて米綿を買う、その場合においては、これをすぐにキユーバの砂糖にヘツヂするとか、あるいは上海のゴールド・バーにヘツヂするというようにしてリスクを逃れ、その間において妙味をつかむというようにやつてきたのであります。從つてこういうような世界的な商業資本の活動が封鎖され、その一面において經濟力集中排除というような關係で、總合經營ができないといつたような關係から考えるならば、日本の繊維産業というものは、單なる加工賃だけの受取國ということになる。前のような非常に世界的な規模における商業利潤の獲得ができないということを、われわれは特によく知つておかなければならぬと思うのであります。それと同時に現在は買う場合においても、また賣る場合においても、價格の安定があるわけでありますが、ほんとうに自由貿易がくる日はいつの日であるか、私は推定困難でありますが、その場合におきましては、私はおそらく綿花は過去におけると同様に、世界的な騰落の激しい商品になるだろう思うのであります。そういう場合においては、今までは厖大なる商業資本というものがあつて、それが自己防衞をもつて積極的にリスクを冒して、商業利潤を獲得し得たのでありますが、今後はむしろ資本の寡少性からいたしまして、非常に日本全體としてそういうような危險による損失のみが課せられるという危險性があるのではないか。從つてある意味においては管理された貿易の方が望ましいというようにさえ私は思われるわけであります。そういうようなことももちろん現在の貿易長官はよく御存じのこととは存じまするが、晝夜をあげての貿易再開の喜びというものが、單なる希望のみに終つてはいけない。よく現實と將來を見究めて、その見究めた基礎の上に立つて、いかにして進展せしむるかというようにしなければいけない。從つて今後の貿易政策の上におきまして、業者をしてそういうようなことをも含めて指導せられんことを希望いたしたいと思うのであります。
 そういうようなことを希望申し上げると同時に最近まいつたトレード・ミツシヨンが――私は濱松でありますが、濱松は御承知の通り遠州織物の産地として、日本の繊維界におきましても相當な地位を占めておるわけであります。そうしてたとえば内外編物というような、かなり特色とせられる繊維産業をもつておるわけでありますが、一、二のバイヤーが現地にまいつて、そうして失望して歸つたということを開いておるのであります。その失望して歸つたという意味は、實商品を買うというような、インポートするという意味ではなくて、積極的にインベストメントするというような氣持でまいつたところが、それができない。しかもそれがそういうような當てにしておつた工場が戰災に遭つてしまつたり、あるいは軍工場として轉換されたというようなので、失望して歸つたということを國の方で聞いておるわけでありますが、もしそういうようなトレード・ミツシヨンの人たちは――このトレード・ミツシヨンの方は先ほど御説明のあつたような方で、從いましてそういうような關係において、投資というようなことを目標にしてまいつた方もあるかもわかりませんが、しかしながらもしトレード・ミツシヨンの大部分の人たちが、投資というようなことを目標にしてまいつたというのでありますならば、われわれとしては今後大いに考えなければならぬと思うのでありますが、私たちとしましては日本がいかに困苦缺乏に打勝つたといたしましても、半植民地の状態になるということは、民族全體をあげて警戒しなければならぬわけであります。從いまして現在の貿易廳といたしまして、最近における貿易使節團の具體的な活動からみて、そういうような輸入という面よりも、投資という面に主力が注がれておりはせんかというようなことに對する御見解を承りたいと思うのであります。
#40
○永井政府委員 いろいろ綿花繊維工業に對する御注意をいただきました。その次にお尋ねにあずかりました投資のことでございますが、今度來ております代表者のうちにも、私にも二、三投資というようなことの話がありました、それはあまり大口ではありませんけれどもありました。私としましては大藏大臣にも御相談いたしましたり、その一人には會つたもらつたりいたしましたが、大體今司令部では日本へのインベストメントは許さぬという方針のように承つております。日本の工業上必要な品物を、無為替でもつてくるから賣らしてくれ、それでいろいろな仕事をやり、株を買いたいという話もありました。私としましてはいくら無税でもつてきてくれても、それを圓にかえて、こちらで日本人がすでにやつておる仕事を、甲の日本人から乙の西洋人に移るというだけではおもしろみがないので、日本人が企て及ばないような新しい仕事を日本で創造してくれるというようなことがあるならば、ひとつ政府でも大藏大臣からスキヤツプの方にも十分話してみるがという返事をいたしたのであります。その際に投資を無制限に許すということは、まだ司令部の方でも考えておらぬようであります。
#41
○川合委員 日本の國際貸借のバランスというものは、將來ともに相當赤字になるであろうと思います。御承知の通り日本にはインヴイジブルなインカムスというものが相當あつたようであります。そのインヴイジブルなインカムスの大半というものは、アメリカにおける在外邦人の國元送金であつたわけであります。しかし現在においてはそういうことが望まれないであろうと思いますが、いわゆる平和會議後において、アメリカにおける在外邦人の國元送金を觀誘するというか、そういうような方法をとつて日本の國際貸借のバランスということに對して、一助にするという考え方を今のうちから考究する必要があると思う。その點について大藏當局の御見解を承りたい。
#42
○小坂政府委員 ただいまの御指摘の點については、そういうこともいろいろ考えられると思うのであります。しかし御承知のようにまだ為替レートというものが決定しておりませんし、先けど為替レートの問題については意見を申し上げたのでありますが、インヴイジブル・トレードというものは、為替レートを一時きめましても、國内經濟全般に及ぼす影響なり、なた説體の經濟機構再建に及ぼす影響等もございますので、これもなかなか困難な問題が多いではないかと思うのでありまして、この點についていろいろと研究しております。
#43
○川合委員 國際貿易の振興は同時にまた國際金融と非常に關連性が深いのでありまして、國際貿易と國際金融とは、表裏一體の關係にあることは申すまでもないと思います。その意味において、その善悪は別問題でありますが、横濱正金銀行の存在というものは、かなり日本に好影響をもたらしておつたように思われるのであります。今後において日本はこういうような對外金融に對するところの銀行、金融機關というものに對しては、どういう考えで進まれておるか、もちろんこれは現在の状態のもとにおいては、スキヤツプのいろいろな指示もありましようし、また平和會議後のあり方についてもスキヤツプのサゼツシヨンがあるだろうと思うのでありますが、そういう點についての現在大藏省が懷いておる構想をお漏らし願えればさいわいであると思います。
#44
○小坂政府委員 この問題はなかなか今後といたしまして大きな問題が起ると思うのであります、横濱正金銀行という組織がありまして、これが日本の國際市場における活躍を非常に助成したということは事實でありますが、この正金銀行の機能というものが、終戰後いろいろ非難されまして、その後解體されたような經緯もございまして、日本の經濟の民主化という問題と關連いたしまして、今後そういう機構がどういうことになりますか、いろいろと考えなければならぬ點が多いではないかと思つております。いずれにしてもこの貿易の全面的な再開というものは、講和條約以後の問題でありますので、この期間に至りますまでの見解というものは、早急にきめることも困難ではないか。要するにいろいろと各方面の意向等を斟酌いたしてわれわれの方でつくつていかなければならぬ問題も多いのでありまして、ただいまのところ、その問題につきまして決定的の意見を申し上げるということは、ちよつと困難だと考えます。
#45
○川合委員 話がはなはた具體的な小さな問題になるのでありますが輸入物資に關しましては、主として將來の輸出品に對する原料の輸入ということが重點になつている。同時にまたそれ以外には、食糧というものが重點になつているのでありますが、私が現實に關係した一つの問題といたしましては、實ははなはだ恐縮でありますが、疊表の纖維というものがあるわけであります。これをつくるのには、みな普通たんぼでつくつているわけでありますが、それを今日本全體では相當な規模においてつくつているわけであります。ところがこの原料が、代用品でありますが、中國に相當ある。珠江デルタ地帶一帶に野生であるわけであります。もし中國からそういうものがエキスポートできるならば、日本におけるこの生産がもつと減少し、それによつて米の生産が増加できると思うのであります。それに關して私は貿易廳にまいつて輸入課長に話したのでありますが、そういうものに對する關心が非常に薄いような感じがするわけであります。農林省も比較的關心が薄いような感じがするわけであります。私は中國の代表の韓氏にも話したのでありますが、自分の方ではどうにもできないから、直接G・H・Qにいつてくれという話があつた。私は忙がしいのでまだまいつておりませんが、そういうものに對しましても、もう少し貿易廳が關心を一層拂われんことをこの機會にお願いしたいと思つております。
#46
○永井政府委員 拜承いたしました。ただあれは支那のどの邊にできますかわかりませんが、なかなか上海まで品物が來るのは非常にむずかしい。聞くところによりますと、呉淞から上海にもつていきます船の運賃が、いろいろの障害、途中のどろぼうというような危險性も含んでいるので、上海からニユーヨークへもつていくだけの運賃と同じだけかかつたというようなこともありまして、上海へ奥地から荷物が集まつてくることは困難な状態であります。これは調査いたしまして、できることならそういうことにいたしたいと思います。
#47
○川合委員 先ほど小坂政務次官からコンバーシヨン・レートとか、あるいはエキスチエンジ・バーターでありますか、交換比率というようなものを、目下それぞれ關係者と相談協議中というようなお話があつたのであります。これは私が前囘の議會に申したことがあるのでありますが、おそらくかようなレートというものは、日本がみずからつくるべき問題ではなくして、スキヤツプから與えらるべき問題であろうというように考えられるわけであります。しかし與えられる問題であるにいたしましても、事はかなり重大問題であることは申すまでもないわけであります。從いましてどうか新聞やその他に發表する前に、本委員會において一應檢討せられるよう、そういうことは大藏大臣も申されておりますけれども、もう一囘コンフアームする意味において、特に申し上げておきますから御了承を願いたい。
#48
○小坂政府委員 この為替レートの問題に關連いたしまして、私見を申し上げる意味におきまして、これは私見であると斷りまして、コンバーシヨン・レートとエキスチエンジ・バーターということの考えを申し上げておるわけでありまして、これは私は關係方面と折衝中ということを申したわけではないので、關係方面の意向もありますので、いろいろ愼重にこの問題を取扱わなければならぬということを申し上げたと存ずるわけであります。いずれにいたしましても、ただいま御發言の通りであります。しかしながら私どもといたしましてのいろいろな研究は、こういう場合にはこうなる、こういう場合にはこうなるといつた、いろいろな國内經濟全般と金融情勢との關連におきまして、われわれの私見ももつておるということも、やはり必要ではないかと思つて私見を申し上げた次第でございます。御了承願います。
#49
○塚田委員 もう時間も過ぎておりますので、次會の審議をいたします場合に、御提出願いたい資料を要求しておきたいと思います。ただいま手もとに貿易資金の九、十月の資金繰りというものをちようだいしておるのでありますけれども、どうも見ますところ、貿易資金の立場からするとこれはどんぶり勘定であつて、これだけの金が九、十月に出ていつてはいる金はこれだけしかない。これだけ足りないから五十億圓を殖やしてくれというふうに考えられるのであります。しかし私たちがこれを審議いたします場合にほんとうに知りたいのは、貿易資金の立場からみる損益なんでありまして、收支だけでは困るのでありますから、その邊の資料を何らか出していただきたい。實際的に申しますならば貿易資金の立場から言いますと、結局價格差の補給金というような形で將來消えていつてしまつて、結局財政の面から出していかなければならぬものが、ここに必ずあるはずでありまして、その他は諸掛りその他として結局經費となつてしまうものと、それからただ流動資金の形で、賣つたり買つたりしておる間の資金を必要とする面と、兩方あるはずです。その兩方の面をはつきりと區別した資料を出していただきたい。こういうふうに考えております。
#50
○新井政府委員 ただいまの資料はできるだけ御希望に副うようなものをつくりたいと存じますが、非常に複雜しております關係もございまして、場合によりましては、口頭の説明でお許し願うこともお願いいたしたいと思ひます。
#51
○石原(登)委員 私もちよつと質問いたしたいと思ひますが、時間がございませんので、二、三大綱だけをお尋ねいたしたいと思ひます。壊滅しました日本經濟の再建にあたつて、國民が貿易に依存するところは非常に大なるものがあるのであります。貿易廳當局においては、今後の日本國民の國民所得の何パーセント程度のものを、この貿易利益によつて賄い得るという確信、あるいは構想をもつていらつしやるか、それを一應承りたい。
#52
○永井政府委員 私は國民所得の何パーセントというふうな考え方をいたしませずに、八千萬人が生きていくために、どれだけ貿易で資金をとればよいかというような考え方をいたしておるのであります。これはごくラフな計算なんでありますが、大體暮年ならずして八千五百萬人に人間がなるといたしまして、食糧八千五百萬石必要であるということに根本をおきまして、六千萬石に日本で賄う、二千五百萬石、すなわち約三百萬トンないし三百五十萬トンの食糧を輸入すれば、贅澤な生活ができると思います。そういたしまして南方の米などが有利に買えることになりましたならば、高く見積りましてもまず三億ドルあればよいという勘定になります。それに大體食糧以外のいろいろな、民生を豐かにするための物を食糧の額の半分の一億五千ドルで輸入をする。大體これまでの統計などによりまして、まずこれを食糧の五割と見ておきますればよいというような樂な計算になります。そうすればとにかく四億五千萬ドルのものを稼いでゆけば、今後國防に金を使う必要はないしするので、これが最低標準というふうに考えております。大體今の状態でまいりますと何といいましても纖維工業に頼る部面が多いと思います。綿紡績におきまして大體來年の今ごろまでには約三百萬錘動くと思いますが、そういたしますと大體百二十萬俵ぐらいの綿を入れることができる。そうしますとその八割、約百萬俵を加工して輸出いたしましても、一俵二百ドルとして二億ドルははいるという計算をいたしておるのであります。人絹のごときもいま少しパルプの生産をあげるか、外國でパルプを買入れて、石炭を十分にこれにまわすことができましたならば、人絹スフ十五萬トンできるといたしまして、大體まず一トンに二千ドルくらい純益は糸のまま出してもあります。織物にしますればなお高くなる、まあ二千ドルということにすれば大した違いはない。そうしますと十五萬トン全部輸出しますれば三億、八割輸出しますれば二億四千萬ドル、それに羊毛その他日本の農産品水産品等の輸出がありますから、いま少し日本經濟の再建ができましたならば、安心な經濟が成立つと思います。そういう胸算用であります。ただしかし日本の再建がなつた後に日本の輸出力が非常に旺盛だということをあまり大聲疾呼しますことは、國際問題もありますし、賠償問題もまだ片づいていないこの際、あまり大聲疾呼したくないのでありますけれども、私は十分な確信をもつておるのであります。しかしそれまでには相當忍苦、艱難に堪えた生活に甘んじていかねばならぬと思います。ついでに申し上げたいと思いますけれどもロシヤにおきましては、すべての經濟再建にスターリングラード比率というものを基準にしております。このスターリングラード比率と申しますものは、スターリングラードは戰前五十萬の人口がありましたが、それが戰後人口が二萬五千人になつた。住宅は戰前の五パーセントになつた。ところが今年の六月には五十萬の人口が六割まで囘復しました。工場は一つも動いていなかつたものが七割まで囘復しましたが、住宅は二割だけしが囘復していない。すなわち工場の囘復力は七割、人口は六割、住宅は二割、こういうふうにスターリングラード・レートで、すなわち國民生活を極度に切詰めて、工業再建に努力しておるというようなわけでありますから、わが國におきましてもこういうような氣持で經濟再建に努めましたならば、數年後には必ず非常によき經濟状態になるということを確信をいたしております。
#53
○石原(登)委員 私はただいまの長官の御答辯に非常に遺憾の意を表しなければならぬのであります。今日日本國民は非常に貿易に期待しております。またさらに日本の經濟再興にあたつて、日本のどの面を見てもこれを維持するだけの經濟能力はないことは明らかであります。ただいまの長官の御説明によると、ただ日本人が食つてゆくだけを何とか貿易で獲得したい、端的に言えばそういう御意見であつたようでありますが、しからば新しい憲法で保障しました文化國家として日本國民が起ち得るところの、その經濟的の基盤を大體どこに求めようとしているのでありますか、これはたいへんな認識違いではないかと思う。今日日本の燒跡のこの現状においては工業が發展いたしましても、いずれの産業が發展いたしましても、その對象として考えられることは、貿易によつて外貨を獲得する以外にはない。今のお話によると、貿易によつて得られたところの外貨はすべて食糧の面、あるには二、三のいわゆる日用物資に入れられるというような御囘答では、これは八千萬國民は何と思いますか、これは長官はよほど考えていただかなければならぬと思いますが、いかがでありますか。
#54
○永井政府委員 ただいまのは食糧だけのことを申し上げたのではないつもりでありまして、その他の必要なる輸入品の輸人計畫のことも申し上げたつもりであります。そういう點も十分考慮いたします。これは一貿易長官だけの考えではなかなかいかぬことでありまするが、御趣旨のあるところを體しまして十分努力いたしたいと思います。ただぎりぎりいつぱいのことはこうだ、とにかく食うてゆくにはこうだということを申し上げたのであります。それから先のことは申し上げておりませんけれども、御趣旨のほどはよく了承いたしました。
#55
○北村委員長 石原君、もう時間ですから簡單に願います。
#56
○石原(登)委員 それから先ほどから貿易で長く輸出し得るのは繊維工業品だという御説明は一應了承いたしますが、戰爭後の日本の貿易は、その市場も戰爭前のそれに求めるわけにはまいりません。そこで大體ただいま貿易廳で日本商品のマーケツトとして豫定されている場所、それからおもなる輸出品、そういうものを簡單にお知らせを願います。
#57
○永井政府委員 繊維工業のことを申しましたのはわかりやすいから申し上げましたので、これで大體米びつだけはあると思いまして、その他の輸出品のことにつきましては申し上げなかつたのでありますが、お尋ねの輸出先のおもなるものは、生糸がああいうふうになりました結果、アメリカ合衆國は、その他の雜貨をもつていくのには少し不適當かと思います。それに次ぎまして支拂能力の大體多いのは蘭印、インド、フイリピン、アラビア、イラン、イラク、アレキサンドリヤを中心とします北阿地方、スエーデン等であります。その他南米、中米等も數えられるのでありまするが、ただ殘念なことには、最も近い中國がああいうふうに政治經濟が混沌としておりますのみならず、南方状態もまだはつきりしません。この政治經濟情勢さえ安定しますならば非常な無盡の需要が控えておると思います。
 ただ政治經濟が安定しまして、物資が奧地から港に出て、それが歐米に賣れるというような時代が來ましたならば、日本の輕工業品、輕機械品、電氣器具、自轉車等、ありとあらゆる物が、眞空状態でありますので、非常に賣れる時が來ると確信しております。
#58
○北村委員長 この程度で散會いたしいたします。
   午後零時三十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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