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1947/09/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第9号
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1947/09/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第9号

#1
第001回国会 外務委員会 第9号
昭和二十二年九月二十五日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 安東 義良君
   理事 加藤シヅエ君 理事 細川 隆元君
   理事 原 健三郎君 理事 武藤 嘉一君
   理事 栗山長次郎君 理事 堀江 實藏君
      田中  齊君    竹内 克巳君
      小澤專七郎君    竹田 儀一君
      中山 マサ君    菊池 義郎君
      佐々木盛雄君    仲内 憲治君
      若松 虎雄君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
 出席政府委員
        外務事務官   島津 久大君
        大藏事務官   舟山 正吉君
        商工事務官   玉置 敬三君
 委員外の出席者
        議     員 八並 達雄君
        專門調査員   佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
九月二十三日
 小笠原、硫黄兩島民の歸郷許可助成の請願(八
 並達雄君紹介)(第七一六號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 賠償撤去に關する問題について、大藏大臣より
 説明聽取の件
 小笠原、硫黄兩島民の歸郷許可助成の請願(八
 並達雄君紹介)(第七一六號)
    ―――――――――――――
#2
○安東委員長 ただいまより會議を開きます。
 日程第一賠償撤去に関する件。御質問がありますれば…。
#3
○加藤(シ)委員 私は日本國民代表の一人といたしまして、日本將來の國際的信用の向上について強い関心をもつているものでございます。國と國との外交は、儀禮やあるいはよき意圖をもつた言辭の交換も決して無意味とは思いませんけれども、一國のもつ高い信義、道徳が具體的事實の問題として表現された場合、その國の外交は最も成功するものであるということを信ずるものでございます。そこで日本といたしましては、講和會議も近い將來に迫り、國家としても國民としても目下その心構えをいたしている次第でございますが、敗戰國としての日本が連合國に支拂うべき賠償の義務を、いかに忠實、正確、迅速に處理するか、あるいはしないかの問題は、ただちに日本國家及び國民の道義心の水準を具體的に世界環視のもとに明らかにするものといたしまして、この賠償處理の問題は、まさに敗戰後の最初のかつ重大な日本外交の第一歩と考えているものでございます。今囘の賠償施設の處理の問題につきましては、われわれはこれを單なる敗戰國が戰勝國に對して履行すべき義務の遂行としてなされるのでは十分でないと思います。その理由は、賠償總額及び條件の決定にあたつては、種々の案も出たようでございますが、その間絶えず連合軍最高司令官が、日本人が敗戰後與えられた民主主義の特典を日本人の責任において十分活用すべく、しかも空腹で民主主義を消化することの不可能なることを考慮して、將來の日本經濟を十分に建直して日本が自立し得る國となるようとの見地から、賠償問題が取扱われてきたことを銘記したいと思います。さらにまた新聞紙の報道する、米國政府が、去る四月の十日、極東委員會に提出した對日賠償最終案というのによりますと、國内資産の配分につきましては、米國三割、中華民國四割五分、その他の國二割五分と規定されています。これに基いて想像いたしましても、お隣りの中華民國との配分は、その量において最大であるということが知られます。中華民國が連合國への日本からの賠償のうちの最高額を受け取るというのは、次の理由から來ていると思います。第一に、日本の侵略準備とその實行の結果、賠償を受け取る各有權國が受けた人的、物的破壊と損害の程度を適正に査定し、第二に、格有權國が日本侵略に抵抗した程度と期間を含めて、日本撃破の目的に對する貢獻を適正に査定云々という、この賠額査定の決定方式に基いたということを傳え聞きますときに、われわれは遠くは日滿事變、引續く日華事變以來の日華兩國間の血なまぐさい確執の足跡に深い思いをいたさずにはいられません。しかも終戰の直後において中國の蒋介石主席が中國國民に向つて發せられた布告は、恨みに報いるに恩をもつてせよとの意味の言葉でありました。あの蒋主席の布告は、當時敗戰に茫然自失しながらも、ひたすらきのうまでの敵國に殘されているわが將兵百有餘萬の身の上の安否を気づかつていたわが留守家族は、どんなにこの布告によつて愁眉を開いたことでしよう。そして何ら殘虐行為もなく、日本兵は無事に歸還することができました。軍國日本に對しては最後まで抗日の鉾を収めようとはしなかつた中國は、今や民主的文化國として立ち上ろうと努力している日本に對してはまつたくの白紙の状態をもつて臨んでおります。むしろ近代産業の技術面においてたけている日本と、資源に富む中國、また輸出貿易が生命線となろうとしている日本と、厖大な消費市場をもつところの中國、この兩國の文化的、經濟的提携の將來性こそは、日華兩國民の關心の的と申しても差支えないと存じます。現に今朝の毎日新聞の報道いたしますところの、中國の有名な女流作家であり、現に國民参政會のメンバーであるところの謝泳心女史が、中國における親日の息吹きと題した記事においても、このことがよく知られるのでございます。そこで先に申しました連合軍總司令部の賠償問題に對する好意的な配慮を思い、今また中國蒋介石政権の道義に基く態度を見ますときに、今まさに始まろうとしている賠償施設撤去の問題こそは、新しい日本が連合國側に對する道義的なオブリゲーツヨンを強く感じつつ果さるべきものであることを思うものでございます。國民はこぞつて日本將來の國際的信用のために、また海外貿易發展のために、日本政府が賠償處理を單なる義務遂行以上の決意をもつて忠實に、的確に、迅速に成績を上げることを要望するものでございます。私はこういうような點に立ちましてそれぞれの政府責任當局に對しまして、次の具體的な點について質問をしたいと思います。
 一番先に伺いたいのは、今日まで連合軍司令部より日本に對して賠償撤去の問題に對してはどのような内容の命令あるいは指示が發せられているか。次は賠償撤去の處理上の國内的な最終責任者は、商工大臣であるか、あるいは總理大臣であるか。どの大臣であるか。商工大臣は、賠償問題處理のための具體的にいかなる計畫または案を立てているか。その次は、政府は先に巨額の終戰處理費の使途について、いたずらに一部の土建またはその他の關係者をして莫大な利得を得せしめて、ひいてはインフレ高進の原因をなさしめましたが、今また巨大な額に上る賠償撤去費を最も有効に使うためには、具體的にいかなる方法を考えておられるか。その次は賠償撤去作業をあてこんで、多数の梱包會社が成立し、ブロック的に一種の利權化されているかのごとき状態であるということを聞いておりますが、巨額の國費が費される點からいつても、また請負業者の請け負い得る責任感、それはお金を儲ける範圍内における責任感ではあつても、一國の國際的信用を強く自覺するところの責任觀であるとは考えられない。ではこの請負業者にこれらの作業を請負わせるについて當局がどれだけの責任をもつているか。そうしてこの賠償撤去作業が利權化することの危險について當局はどういうふうにこれを考えておられるか。また今日すでにいろいろの何々組とか何々梱包會社とかいぅものがたくさんにできたというようなことを聞いておりますが、それらの名前やその會社がほんとうにこの梱包の作業について長い間の經驗のある會社であるか、あるいはにわかづくりの會社であるか。そぅいうような内容について監督當局はどういうふうにこれを見ておられるか、許しい内容についての報告を承りたい。
 その次は賠償施設撤去問題の重要性と特殊性に鑑みて、政府が賠償施設撤去に關する法律案の作成を考えて、八月一日の閣議で承認されたごとく新聞紙上に報道しておりますが、それはこの國會に提出されるのであるかどうか、その邊の具體的な報告。
 その次は、もし八月三日附の朝日新聞に報道された右の法律案の内容のようなものが誤りないとすれば、その第十三條において、賠償施設の撤去の問題の効果を高めるのに、またその費用を豫算内においてあげるためにも、大體において非常に適當な案と認められるものがあるが、この案を今後最終案を決定する場合にももち續けるかどうか。またこの新聞に發表された原案と稱するものの第十二條には、舊所有者以外の者が賠償物件の管理や撤去について、舊所有者の協力を必要としたときは、舊所有者はこれに協力をしなければならない。もし協力をしない場合には、政府は協力を命令することができる。というような箇條がございますが、これはいわゆる舊所有者は梱包會社に對して強制的に協力をさせられるということになるので、私が考えますには、賠償撤去の作業がほんとうに責任をもつて遂行されるためには、むしろ舊所有者に最後までその作業の責任をもたせるというようなやり方の方が適當ではないかというふうに考えますが、そういうようなことがどうなつておるか。
 またその次は賠償施設撤去作業に對する當局の責任は、單なる法律をつくることによつて果せるものではなくて、施設を受取つた國がその荷づくりを開いて見たときに、破損の箇所があるかないか、機械にさびがついているか、いないかということによつて責任が明瞭となることは言うまでもございません。そこで政府としては撤去作業の現場にいかなる資格と技術をもつた監督者を派遣するのか、そういうような撤去作業に對する具體的な方法、監督請負業者の技術能力といぅようなことについて、具體的な御説明を承りたいと思います。
#4
○安東委員長 政府委員の御説明を求めます。
#5
○島津政府委員 第一點の司令部からの指示にどういう指示があつたかという御質問でありまして、終連の賠償部からお答え申し上げます。昨年の初めから八月ごろにかけまして、賠償撤去豫定物件としまして、約千工場ばかりが總司令部から指定になりました。その豫定物件の管理、保全ということが日本政府の責任に属するという指令が九月早々に出ております。これに基きまして國有財産關係は大藏大臣、民間の工場は商工大臣、造船關係は運輸大臣、それぞれの所管大臣で良好な状態で維持、管理をすることになりました。今日までそれぞれ所管官廳におきまして管理、保全の責任に任じておるわけであります。そのほか具體的なこまかい準備に關する指令が文書ないし口頭でたびたび出ておるのであります。大きなものといたしましては、今年の七月の二十二日に指令が出まして、撤去準備に關する指令と申しましようか、具體的に割當ができまして、割當に基きまして、撤去の具體的な指令が出ることになるのであります。そういうものが出ます場合に、日本政府としてはどういうことをしたらよいか、またこれに封してどういうふうな準備をしたらよいかということが、詳細に指示されておるのであります。その概略を御參考までに申し上げてみたいと思います。
 「賠償計畫に基き有權國に割當てられた施設及び記録の梱包、輸送及び引渡しに關する日本政府の責任」という題で、七月二十二日附の總司令官の覺書というものが出ております。これによりますと、有權國に對する賠償資産の引渡しに當りましては、梱包、輸送、保管、海送、空送のための日本の港までの積出し、積込み及び右港における有權國の船舶、航空機への積込みに關連あるあらゆる費用、あらゆる作業は日本政府の責任であるというのが第一點であります。次に連合軍總司令官から割當通告を受領しましたときは、日本政府は次に掲げる行動もしくは作業を完成する責任がある。その内譯としまして、まだ日本政府の財産となつていない割當濟み賠償資産は現所有者から政府が取得する。次は工場及び施設の必要なる解體及び分解。これに關しましてもきわめて詳細な具體的指示の附表がついております。次は清掃及び保守、有權國の船舶、航空機中に順序よく積付けが行われることを保障するような基準に從つた梱包。この梱包の仕様に關しましても詳細な指示がございまして、附表としてついております。次は解體、分解、清掃及び保守、梱包、日本の港への輸送、日本における保管、有權國船舶、航空機に適當な荷敷、張縄を用いての積込み、積付けに必要なあらゆる資材、機材の供給、そのほか容器の荷印でありますとか、パッキング・リストの作成でありますとか、受取りの際の再組立てに必要な技術的資料の作成そういうことが指示されております。そのほか撤去に關しまする費用の詳細な報告、あるいは各施設の撤去の具體的な計畫、いろいろなことにつきまして、報告の樣式その他内容につきましても細かい指示がございます。一々申し上げますと詳細にわたりますので、大體以上でその準備指令の説明を終りたいと思います。
 そういうような指示がございましたが、これに基きましてただいま司令部の關係官と日本側の關係官とが緊密に連絡いたしまして、萬般の準備に従事しておるわけであります。さしあたり對象となりますのは、御承知の通り軍工廠十七工場、機械臺數にいたしまして一萬九千五百六十一臺、こういうものがきわめて最近の機會に撤去の對象になる時期に來ておるのであります。これに對しましても具體的に計畫をつくりまして、司令部の承認を經まして準備に從つておるわけであります。大體司令部から今日まで指示を受けました大きな點は以上の二點になつております。
 第二の御質問の國内的の最終責任という點について、概略の御説明を申し上げたいと思います。賠償の實施に關しまして、基本的な計畫の作成は、經濟安定本部長官ということになつております。實施の責任に關しましては、先ほど申しましたような管理、保金、の責任官廳がそれぞれきまつておりますので、大體管理、保金の責行官廳の撤去實施の責任官廳といぅことになつております。軍工廠につきましては大藏大臣、民間工場につきましては大部分が商工大臣ということになつております。また輸送に關しましては運輸大臣というように、擔當する部面が非常に廣汎にわたつております。なおまた府縣廳におきましても全面的な協力をしなければならないということは、申すまでもないことであります。ただ問題の性質上、どこの大臣が一人ということにはただいまなつておりません。それぞれの分擔に從いまして竝行して責任をもつという形になつております。もちろん日本政府が最終的に責任をとることは當然であります。持場々々で賛任をもつて作業を遂行するということが現状でございます。それに關連いたしまして、商工大臣の計畫の點については、商工省の方からお話があると思います。これで一應私のお話を終りたいと思います。
#6
○舟山政府委員 賠償物件撤去問題が具體化しまして、その第一次取立の内示を受けましたものは、舊軍工廠關係のものでございまして、これらは國有財産といたしまして大藏省が責任をもつております關係上、撤去作業につきましても大藏省がこれを擔當いたすことになりました。賠償施設物件を完全に引渡しますことは、先ほどお話もございましたように、今後の國際信用の確保あるいは國際親善の増進ということにきわめて大事な關係があることは、われわれも十分自覺しまして、相戒めて遺憾なきを期しておる次第でございます。問題となります點、御指摘になりました點は、まず技術的に賠償物件を完全に相手に引渡すということが必要であると同時に、また經費の面につきまして、できるだけ最少の經費をもつて所期の目的をあげるということは申すまでもありません。この二點には特に重點をおいて考えておる次第であります。技術の點につきましては、あとで商工省からも詳細な説明があるかと思いますが、先般來技術の講習というものをやつております。その前に、撤去作業につきましては、これに民間業者を活用するかどうかという問題でございます。大藏省が元の軍施設を陸海軍から引繼ぎましてこれを保守、管理してまいりますために、これをことごとく政府の直營にいたしませんで、適宜民間業者を利用してまいつたのであります。手入とか修繕とかいうことにつきまして、それぞれ請負に出すというようなことをやつてまいつたのであります。これは物件の數がきわめて厖大でありますのと、いろいろの技術を要しますので、こういうことが最も效果的な措置であると考えてまいつたのであります。今度の賠償物件の解體、梱包ということについてもこういうような事情でありますから、適宜業者を活用してまいりたいという方針をもつております。ただしいわゆる漫然とこれを請負業者に任してしまうということでなく、十分の監督をなしてまいりたいと考えておるのであります。その最もカを入れなければならぬ點は梱包の規格その他の技術方面でございます。司令部の註文いたす規格が、わが國の水準よりもきわめて高いのでありまして、この點業者に十分習熟させる必要があろうと考えておるのであります。そこで先般今後各工廠において梱包作業の指導者となるべき者を集めまして、これに司令部の指導を得まして十分なる技術教育を施しておるのであります。これらの指導者がそれぞれの各工廠におきまして、さらに幹部となるべき政府職員を十分に技術的に教育いたしまして、そうしてこれらの者はそれぞれ請負業者の中に入りこみ、あるいはみずから作業を擔當することにいたしまして、技術的に完璧ならしめたいという考えをもつてその準備を進めておる次第でございます。
 次の經費の無用の支出をいかに防ぐべきかということにつきましては、司令部も非常なる關心をもつておる次第でもありまして、われわれといたしましても極力研究しておるところでございます。主要な資材、すなわち木材とか鐡製品とかいうようなものは官給する見込が立つておるのでありまして、この面から經費の不當な支出というものは防げるかと思うのであります。なお業者の選定につきましては極力注意をする、先ほどお話もありましたように、賠償準備期間が相當長期にわたりましたので、その間いろいろの梱包會社ができましたし、政府といたしましては、特に大藏省の方面として、實施いたします撤去作業につきましては技術的に信用があり、また十分その仕事をなし得る能力ある業者を選びまして、これを指名競爭入札に付しまして、公正妥當になる業者を選擇してまいりたいと思うのであります。かくして選ばれた業者につきましても、なお先ほど申しましたように、必要資材は官給する等の方法により、またその他の經費につきましても、ただいままでに行いました梱包等によつて原價計算をいたしまして、不當なる利益を業者に與えることのないように努めてまいりたいと考えておるのであります。なお進駐軍の工事關係につきましては、特に昨年法律もできまして、大藏省といたしましては、その契約について種々檢査をして、不當なる支出を阻止しておるのでありますが、こういうような會計檢査方面も、大藏省といたしまして力を入れてやつてまいりたい、こういうふうに業者の不當なる利益を與えることのないようにやつてまいりたいと考えておる次第でございます。
#7
○玉置政府委員 法律案のお話がございましたが、法律案につきましては、目下關係方面とも連絡折衝中でありまして、これ以上申し上げることを差控えたいと存じます。このお話の中に、舊所有者の問題がございましたが、先ほど各政府委員からお答え申し上げましたように、撤去をいたします場合には、一般産業におきましては、主として從來の所有者または現にこれを借用しておられる占有者がおられるわけでありますが、お話のごとく撤去をいたします場合には、舊所有者あるいは現在占有者が撤去作業に參加してやるということとを十分期待しておるのであります。この理由は、撤去そのものが施設を全部撤去することは限らないのでありまして、殘存施設との關係もあり、また撤去される機械施設の技術的な問題もあり、その他これを解體、梱包するにいたしましても、從來それを扱つた方が最もよく知つておられる點だと考えておるのであります。從いまして、そういう意味合いから私どもの方で政府が請負契約をいたします場合にも舊所有者がほんとうに實力があり、またその撤去作業をする意思がある限りにおいては、十分その經營者との關係を考慮して進んでいきたいと考えておるのでありまし。商工大臣はいかなる具體策を從來やつてきたかというような御質問がございましたが商工省の一般所管の問題は、現在賠償豫定工場といたしまして九百二十くらい指定を受けているのでありますが、商工省關係におきましては、そのうち的七百七十くらいあります。これは一般民間工場であります。これらの撤去施設に關する問題につきましては、非常に具體的な問題になりますし、なおかつこの撤去されました施設が求償國へまいりまして活用されるためには、深甚なる注意をもつて解體から梱包、輸送を行ふ必要があるのであります。從いまして個々の業種別に解體をいかなる方法でやるかという解體基準を著々と準備をいたしておるのであります。それから解體をいたしましても、これを求償先で建設あるいは組立てをいたした場合に、いかに運轉をするかというような技術的な問題もありますのでこれらの問題につきましては、詳細なる技術資料の準備もいたしておる次第であります。そういうふうにあらゆる面から、この賠償施設というものはきわめて重要問題であり、お話のごとくこれを通じて日本の誠意を示す非常に大切な事業であるということを痛感いたしておる次第であります。
#8
○加藤(シ)委員 商工當局に少しつけ加えて伺いたいと存じますが、この賠償施設の舊所有者というものが、長い間その機械を自分で手がけていた關係上、特別の機械については一番よい知識をもつている。從つて舊所有者に十分な責任を負わせて協力させるということは、この處理を效果あらしめるためには一番いい方法ではないかと考えられるのでございますが、なおそれと同時に、舊所有者とともに實際の機械を運轉していたところの勞働者も、さらにその機械については十分に知識があるだろうと考えられます。また長年自分が使い慣れた機械に對する愛著ということもああるだろうということを考えまするので、舊所有者に責任をもたせると同時に、そこの會社の勞働組合にも協力させ、かつ責任をもたせるという方法を講じたらいいのではないかと思いますが、商工當局としてはどういふうに考えられますか。
#9
○玉置政府委員 先ほど申し上げましたように、舊所有者あるいは現在の占有者に非常に御協力願う面が多い一つの理由は、お話のごとく從來そこで一生懸命働いておられる勞務者の御協力を得るということも十分考えてのことであります。
#10
○加藤(シ)委員 大藏省當局の政府委員の方が今席をお離れになりましたが、大藏省當局の方にもう一つ伺いたいのは、ただいまの御答辯で官給品ななるべくたくさん支給して豫算が膨脹しないよぅに處理したいという計畫をお話されましたが、實際の梱包作業にあたりましての官給品の支給の割合というものがどのくらいであるか。ほとんど大部分は官給品として支給されるのか。やはりあるものは配給を受けるのか。あるいは今までの進駐軍のいろいろの作業のように、やみで急いで買わなければならないような状態が起るのか。そういうことを伺いたいと思います。
#11
○玉置政府委員 官給品につきましては、でき得る限りこれが全部官給であれば一番結構でありますが、諸般の情勢上でき得る限り私どもとしては官給をいたしたいと考えております。從いまして現状においては木材、鐵鋼二次製品、紙製品というような品種のものを考慮して著々と準備を進めております。これらのものが大體豫定通りに整えば、相當の部分が官給で賄い得るというふうに考えております。何分にも賠償の範囲、内容等が今後どういうふうになるのか、日本政府としては全然豫知し得ない點でありますので、それらの情勢に應じまして適切なる對策を講じていきたいと考えまして、たとえば現在の軍工場の分につきましては、指示せられたる範圍におきましては、相當遺憾のないようにいたしたいと考えている次第であります。
#12
○加藤(シ)委員 私の質問に對する具體的な御答辯はこれで承つたように思いますが、最後にの問題は……。
#13
○安東委員長 加藤委員に申し上げますが、ただいま大藏大臣が出席せられるそうでありますから、ちよつとその點についてはお待ちください。大藏大臣をお待ちしている間に島津政府委員に最近のストライク・コミッションのことについて、御説明願いたいと思います。
#14
○島津政府委員 ストライク・コミッションといわれておりますのは、海外事情調査團と申しますかアメリカ本國にあります。この機關を主宰しますのがストライク氏であります。先般この一月から二月にかけまして來朝しました五人の委員で、日本の賠償の對象になる施設その他を詳細に検討されたのであります。そのストライク氏を中心する海外調査團というものと、アメリカの政府――陸軍省と承知しておりますが、それとの間に契約ができまして、日本の賠償問題はもちろんのこと、産業の各部面にわたりまして、實情を詳細調査するという使命をもつた調査團がただいま來朝しているのであります。この八月の初めに到著しまして、すでに四、五十名のメンバーで各地の産業施設を實地に調査中であります。ただこの調査團と日本側との直接の關係は何もないのであります。これに關しても司令部から何ら指示を受けておりませんので、具體的な、また全般的な計畫につきましては私どもは何も存じません。ただ實際に現われましたところから判斷いたしますと、民間のいろいろな工場の見學ないしは實情に關する諸種の資料の提供をここに求められておりますが、これにつきましては、政府側も民間も協力しまして、なるたけ正確な資料を提出することを心がけておるのであります。話によりますと大體六箇月くらいの期間を費して調査が行われるようであります。なおまたこの團員はその道の一流の技術家のようであります。こういう權威ある調査團から日本の實情を詳細にかつ具體的に見ていただくということは、まことに仕合せなことであると考えます。大體そういう實情であります。
#15
○加藤(シ)委員 ただいま大藏大臣がお見えになりましたので、私は今日この委員會の席におきましてこのたび行われますところの日本賠償施設撤去の問題が十分に迅速に正確に行われることは國民一般の希望するところでございますが、これが問題の中心は單なる敗戰國が戰勝國に對する義務として履行されるのではまだ十分ではなくて、將來この賠償施設去撤の作業がほんとうに效果的によい成績を上げるかどうかが、將來の日本の海外における信用の囘復の問題にかかわる重大な責任であるということについて、日本の政府當局の責任者としての大藏大臣の御所信を承りたいと思います。
 それからもう一つは、さきに、また現在終戰處理費として巨額な豫算がこれに向けられておりますのに、その使途いかんということの具體的な内容が日本の國家經濟に非常に大きな影響を及ぼすということを考えますときに、特に國民の負擔を有效適切に使うために、大藏當局はこの賠償撤去の費用に關して十二分の責任をもち、具體的にこの成績を上げるべく使われるために、いかなる御所信をおもちになつていらつしやるかこの二つの點を承りたいと存じます。
#16
○栗栖國務大臣 お答えいたします。今のニ問とも非常に大事な問題であり、私も同感の意を表したいと思います。
 第一の問題でありますが、政府といたしましては、これは賠償物の撤去に關する問題のみならず、日本の國家及び日本の會社あるいは自治團體が連合國側から背負つております負債も相當あるのであります。たとえば國債、地方債、それから社債、こういうものも相當あるのであります。そういうものをいかにして處理するかという點も同じであります。なおいろいろ連合國及び連合國人が日本の内地に所有しておつた財産でありますが、これが戰時中敵産處理を受けているのであります。それをどういうようにして復元するか、復舊するか、あるいは賠償をするかというような問題は、一連の問題としてこれを考えなければならぬのでありまして、われわれ大藏省といたしましては、やはり國際信義の原則に立ちまして處理したい。單に義務を果すというだけでなしに、國際信義の原則に立つていたしたい、かように考えまして、賠償物の撤去費用については本豫算には出てまいりませんけれども、今囘は追加豫算の中に出てまいろうと思いまして、先方といろいろ折衝をいたしているような次第であります。
 それから戰前適合國から負擔しておりました公債その他の債務でありますが、この處理につきましても、いろいろ準備を重ねておりまして、國際信義の大原則によつて處理いたしたい、かように考えている次第であります。
 それから連合國及び連合國人が日本内地で所有しておつたものが、戰時中敵産處分になりました。そういうものを元に復舊するか、あるいは賠償するかという問題も、これもやはり單なる義務というのみならず、國際信義の大きな原則の上に立つてこれを處理するように、ただいまもいろいろ交渉をしまた實際上の事務もいたしているような次第であります。
 それから賠償物の撤去の方法でありますが、これは國有の場合、その他の場合がいろいろあるのであります、大藏省といたしましては、これは國家が直營する場合もありましようと思いますが、しかしそれよりも専門家をして請負わすという方法でやつた方が費用もかかりませず、また簡易迅速にできると思つております。請負わす場合においても請負人につきましては十分に嚴選主義をとつて、信義の原則に反しないような者を選擇いたしたい、かように考えております。選擇いたしましてやらすにつきましては、戰時中はややもすると監督がルーズになるというようなこともあつたのでありますが、今囘は十分監督をいたしまして、そうして遺漏のないように期したいと考えております。
 それから終戰處理に關する問題でありますが、これもまことにごもつともな實情でありまして、大藏省といたしましても、今囘本豫算に二百七十億の費用が見積つてあるのであります。追加豫算にもさらに金額を見積らなければいかんと思います。ただいま先方と折衝いたしておるような次第であります。その使い途でありますが、これも有效適切に使わなければいかぬということになりますので、政府としては十分監督をいたし、そうして個々の契約につきましても、政府が中にはいつて契約の變更その他ができるようにもいたすことになつております。また物資調達その他についても監督を十分しまして、むだにならぬように、また有效に使用し得るように措置をいたしておるような次第であります。簡單でございますがお答えといたします。
#17
○加藤(シ)委員 ただいま大藏大臣の御答辯を承りましたが、私は終戰處理費の問題については別に御質問をいたさなかつたのでございます。ただ今度の賠償撤去の費用が一部の請負業者によつて利權化されて、その使途が不適當にならないように十分の責任をもつていただきたい。これに對する御所信として承りましたのでございますが、その御答辯もただいまの御答辯の中に含まれておりましたので、私の質問はこれで終りたいと思います。
#18
○若松委員 賠償の物資の義務というものは日本としてはまじめに考えなければいかぬということは、先ほど加藤委員からお示しのように、私も同感でございます。今囘初めて撤去の問題が起つてまいつたのでございますが、私はもう一つ撤去に至るまで、指定された工場その他の管理、維持という問題について、ひとつ商工當局、並びに大藏大臣がお見えになつておられますから大藏大臣に御質問したいと思います。御承知の通り各指定工場のいわゆるインヴエントリーの作成、目録作成というものがまず第一に示されたのでありますが、このインヴエントリーの作成すら私は各地方においては、軍の施設とそれから民間工場と、いわゆる監督官廳が別々にわかれておりますので、地方としては統一がとれていないというような氣がいたすのであります。殊に直接指令を受けまして、大藏省なりあるいは商工省なりがそれを總合されて地方に命令されるのでありましようが、結局その實施になりますと、各府縣廳の手を借りなければならんということがたいへん多いようであります。現に軍の施設の方では、管理官というのはおそらく前に大概そこにおられた將校の方々が皆なつておられますが、これらの方々はなかなかよく事情は知つておられますが、また知つておられる半面では非常にかれこれ融通がきかないというのか、セクシヨナリズムでなかなかよく協力してくれない缺點がたくさんにございます。ただインヴエントリー一つこしらえるにつきましても、各なわ張りの爭いで非常に手をかけた例がたくさんあります。私自身もこれは體驗した例でありますが、今囘維持管理となりますと、さらに指令がこまかくなりますので、手入れやその他につきましても非常に遺憾の點があるのであります。殊に必ず期限を切つて幾日までにはこれこれせよという命令が來ますと、あるいは夜業もやむを得ませんので、いろいろありますが、その場合結局酒をもつたり、あるいは食糧をもつている縣廳あたりの手を借りなければならぬということがたいへん多いのでありますが、何分にも軍の關係の工場は大藏省だということで一向にその最後に至るまでその缺陷を隱し合つて、地方軍政部のおしかりを受けるという點が多々あるのであります。殊に私の非常に遺憾に感じますのは、各大藏省關係の方の管理官竝びにその警備に當つておる、あるいは監視員と申しますか、それと地方の警察官との間の手當と申しますか、給與と申しますか、それが非常に違うのでございます。大藏省關係の者は約倍額いただいて、しかもあまり危險にさらされてない。地方の警察官はほとんど盜難等に對して身を挺してこれが警護にあたつているのに、實際に受ける給料なり手當というものは、ほとんど大藏省關係とは無關係に、やはり一般の安い給料でやらされておるというようなことで、地方によりますと、その地方で見られている以上の豫見できないような大きな差があるように考えられるのでありますが、こういう點は將來これがいよいよ撤去にでもなりますと、各地方におきまして調和を缺くという點がやがては非常に事態を遅滞させる。のみならずまた費用の點においても大いにかさむのではないかということを心配いたしているのでありますが、あるいはこういうような事情を御監督になつて、軍の施設なり、あるいは民間工場といわず一本で、維持管理あるいは撤去ということもお考えになるような御意思がないかどうか、質問いたしたいと思います。
#19
○栗栖國務大臣 御質問の中の大藏省に關するもののお答えをいたしたいと思います。實は大藏省は軍關係の家屋、土地、機械器具などを管理いたしているのでございまして、私も實は大藏省に參ります前に、横須賀、浦賀の一帶を見たのであります。その前にも呉も見ているのであります。今お話になりましたような點が若干あることは、私もその當時氣づいているのであります。大藏省にはいりましてその點も非常に改めたい、殊にこの管理につきましては大體呉とか横須賀一體はそう機械のさびもございません。しかし私見ません他の土地においては相當あるんじやないか、かように考える。なおかつ最近水害その他によりましてそういうような管理物件が水に濡れた點もございまして、實は一昨日はその調査と、それをさらにピカピカ光らすまでに至る費用の見積りを命じたような次第でございます。
 それからそこの管理をいたしているものの中には、從來の關係からとりあえず軍人がそのままそこに管理者として殘つている場合が相當あるのでございます。そういう軍人あたりの中には退職者も相當出まして整理も行われると思つております。もしお話のようなセクシヨナリズムでやつているということがわかりますれば、いろいろと注意もいたしたいと思つております。なお軍人を一時そういうようなところに振向けましたので、地方の警官その他の間に給與のでこぼこもあるということは確かだろうと思つております。この給與のでこぼこにつきましては、實は省と省との間の調整などについて、すでにいろいろ手を打ちつつあるのでございまして、先般兩院の委員會の御承認を得てでこぼこ調整の金は一部は拂いましたけれども、近くまた豫算といたしまして、今月の中には第二次的の支拂いもいたしたい。七、八、九の支拂いもいたしたいと考えております。なお十月以後の問題につきましても、いろいろ關係方面とも相談をいたしましてでこぼこ調整をいたしたいと考えているのであります。警官その他について非常に低いところがあるということは私どもも十分考えておりますので、その調整のときにはいろいろ考慮をいたしたい、かように考えている次第であります。簡單でございますが…。
#20
○若松委員 先ほどの要點について大藏大臣からお答えいただかなかつたのでありますが、この將來の維持管理なり、撤去の問題は、やはり將來も從來通り各省別にやつていかれる意思であるか。私は縣廳一本でやられて、地方的によくまとめていかれた方が有利ではないかと考えます。あくまでも從來のように軍關係の工場は大藏省、民間關係は商工省という考えでいかれるか。その點を伺いたいと思います。
#21
○島津政府委員 實施の官廳は非常にたくさんに分れておつて、その間不統一もありますし、改善すべき點は、事務當局といたしましても十分認めておるのであります。ただ、ただいまのところはそれぞれのやはり責任官廳で極カ推進するということで進んでおります。地方廳を活用するという御意見でございますが、これはまことにごもつともの話でありまして、ただ最終責任が大藏、商工ということになつておりますので、地方廳に最後までの責任を負つてもらうということは困難でありますけれども、全面的に協力をしていただくということは十分考慮しておるのであります。この點に關しまして、具體的にどういうふうに分擔をし、協カをしていただくかということの研究を進めております。現状ではまだ一本の機關でやるというところまでは行つておりません。
#22
○若松委員 私の申し上げたのは責任の問題ではない。もちろん責任を重んじてやつてもらうことは必要ですけれども、どうも各中央の出先がいろいろ獨自の見解でものを取運ぷということが、すでに非常に弊害があつたように私は認めております。殊に管理、維持というような問題は、比較的資材なり何かを利用することが少いのでありますから、少し遅帶するくらいのことで濟むわけでありますが、今後梱包材料とか、大きな材料を使うことになりますれば、命令が二途に出ることが、非常に大きな影響を來しはしないかということを憂慮いたしております。その點でもちろん責任の歸屬は、これは今おわけになることはむつかしいと思いますけれども、少くともどこかに主體をおいて、むしろ責任はとりながらも、地方廳に任せて、自分の方は協力するというような立場でやればやりよいのではないかと思います。從來の經験によりますれば、先ほどから申し上げましたように、各管理官はやはり自分の任されたなわ張り以外に一歩も出ない。私は長崎の例をとりますけれども、インヴエントリーの作成ということを申しましたが、こんなことは簡單なようでありますが、實はあれだけの軍工廠と民間工場のインヴエントリーを作成するのに、タイプライターが五十臺も六十臺も要るのであります。ところが、地方管理局には一臺ぐらいしかタイプライターがない。だからタイプライターを借り集めるのにほとんど全縣下をかけまわらなければならぬという状態で、こちらの軍工廠は大藏省關係だというけれども、實際何もできなくて、私どもも二晩か徹夜して援助したことを覺えております。これは簡單な例でありますけれども、今後たくさんの資材をもつて大きな物を取運ぶということになりますと、そういうことでは決して濟まないのではないかと思います。
 それからもう一つ、ついでですからお伺いいたしますが商工省の政府委員は費用節減のために、なるたけ賠償撤去の資材は軍關係の、いわゆる特殊物件で支給できるというようなことでありますが、私ははなはだ寡聞でありますが、地方へ行つてみますと、特殊物件というものはずいぶん影を沒しておるのでありまして、殊に梱包資材にするものは非常に少いように思いますが、大部分を賄うようにと言われたように私は拜聞いたしたのであります。そう點について私の考えを是正していただくような材料を何かお示し願いたい。
#23
○玉置政府委員 資材はでき得る限り官給すると申しましたが、これを特殊物件で賄うというふうに、私は申し上げなかつたつもりでございます。大體新品その他で調達していくようになると思います。しかし、物によりましては、特殊物件等のものを使用することはありましようが、それはそう大きく期待することはできないと考えております。
#24
○若松委員 先ほど私の申し上げました點で、あるいはどこかへ重點的に一箇所にまとめられることは不可能でありましようが、その邊の御豫定はどうですか。
#25
○島津政府委員 一箇所にまとめる方がよくはないかという御意見ごもつともであります。そういうような趣旨で種々研究したのでありますが、ただいまのところはどこか一箇所へとりまとめることは、ちよつと實情に適しないような状態になつております。第一囘の撤去もまもなく始まることになりますが、ただいまのところは關係官協力してやるという態勢で進むほかはない實情であります。しかしながら、御意見の點はごもつともでありますので、われわれとしても十分考慮いたして、研究を進めたいと思います。
#26
○安東委員長 日程第一はこれをもつて打切ります。
    ―――――――――――――
#27
○安東委員長 日程第二、小笠原、硫黄兩島民の歸郷許可助成の請願を審議いたしたいと思います。これについて紹介議員の八並達雄君からの御説明を求めます。八並達雄君。
#28
○八並達雄君 小笠原及び硫黄島の住民であつた者の歸郷に關する請願につきまして、その請願の理由を簡單に御説明申し上げます。
 小笠原島、硫黄島の住民は、昭和十九年六月に米軍機動部隊の大空襲を受けましたので、政府の命令によりまして本土に疎開を開始したのでありますが、大空襲の間隙を縫いまして、海上五百カイリの間を敵の濳水艦の襲撃の危險を冒して、ようやくにして本土に疎開を無事遂げました。六千餘名の者が本土に疎開を完了いたしたのであります。當時はまだ本土は空襲の危險がなく、神奈川縣廳や東京都廳等の特別の取扱いによりまして、一時的に收容せられまして、順次知己や親戚を頼りましていろいろ職を求めまして、あるいは工場に働いたり、あるいはまた自分の手にある職をもつてようやく生計を營んでまいつたのでありますが、御同様に空襲によりまして、持つておつたわずかのものも失いますし、その後終戰と相なりまして以來、わずかな貯えもなくなりまするし、もとより疎開のときもつてまいりましたわずかな必需品も、これを賣らなければ生活ができないという哀れな状態に立到つたのであります。そのために何とかして小笠原島なり硫黄島の郷里に歸還をしたい。郷里には家もございますし、また財産もありまするし、あるいは仕事にいたしましても、十分に生計を營むだけのものがあるのでありまするが、何とかして歸島したいという願望をもちまして、日本の政府はもちろん、連合國司令部にもその請願をしばしばいたしたのであります。第一囘は昭和二十一年の五月連合軍最高司令部にお願いをいたしたのでありますが、その際におきましては、小笠原諸島への歸還は許可しない。書翰は適宜處置説明のために現地司令官に送付せられた。かような覺書をいただきました。第二囘は昭和二十一年六月二十七日でありまして、日本人の小笠原島への歸還は、アメリカ人またはイギリス人系の者で、日本側により強制的に移動を命ぜられた者以外は、歸還を認められないという囘答であつたのであります。さらに第三囘目、本年六月に再び嘆願しましたけれども、なおやはり小笠原諸島歸還の件は、歐米人を除いては許可をせられない。小笠原諸島に向けては一時的の渡航も、日本人に對して許可されない。かような囘答でありまして、遂に小笠原島、硫黄島の住民でありまして、内地に強制的に政府の命令で疎開させれたものにつきましては、歸島の希望がかなわないのであります。しかし他の島、沖繩島あるいは大東島への歸還は、現在許されております。また小笠原島の先住者の子孫である米英系の住民百三十餘名は許可せられまして、昭和二十一年十一月に小笠原島に無事歸つておるのであります。かような状態でありまして、私どもは今後も何とかして歸島の目的を達したい。そうして現在のわれわれの生活の苦境を脱したい。ひいてはまた多少なりとも日本の食糧問題、人口問題の解決にもなるのではないかということを考えまして、その後も極力日本政府はもちろん、連合軍最高司令部等にいろいろ請願なり運動をいたしておるのでありまするが、なかなかその希望が達せられずに、今日に至つておるのであります。もとより小笠原島なり硫黄島の住民であつたこの請願者の方々は、今後ともその希望を捨てずに、あらゆる努力を拂うでありましよう。しかしながらどうしても國會の國民の聲としてということになりますれば、その實現も少しでも早く可能であることを私どもは信ずるのでありまして、當委員會におきましてはぜひともこの問題について御理解ある、御同情ある御審議を得まして、どうぞ一日も早く小笠原島、硫黄島の住民が、彼らの故郷に歸還せられまするように、特別の御助力をお願いしたいと存ずるのであります。特に當委員會の名をもちまして、連合國最高司令部へ請願についての御助力をお願いできますならば、最も幸いだと私は存ずるのであります。本日實はこの歸還の希望をもつておりまする請願の代表の人たちが、多籔當議院に参上いたしまして、できますれば委員の方々に直接お目にかかりまして、その衷情をお訴えしたいと言つてまいつておるのであります。私は實は島の状態、島の方々の窮状については、多少は知つておるのでありますが、許されますならばその代表者の方によりまして、ぜひともつぷさに現状をお聽取り願いまして、御參考に供していただければ、まことにありがたいと考えるのであります。
#29
○安東委員長 委員各位の御意見はございませんか。
#30
○加藤(シ)委員 たびたび連合軍當局に今まで請願なさいまして、それが却下されましたときに、何か理由が附せられていたのでございますか。もし附せられていなかつたとすれば、何か情報でもあつたか。どういうわけで歸還を許されないのですか。實情を伺いたい。
#31
○八並達雄君 實は私が直接參つたのではございませんので、當時の状況について十分承知をいたしておりませんが、日本の國籍を有する者については、現在の状態においては歸還を許さないというのが理由だと、私は考えております。
#32
○小澤(專)委員 今の八並君からのことは、われわれも最善の努力を盡すということにしまして、私は日程第一で質問されたことについて、參考意見をちよつと述べたいと思うのですが、加藤委員その他もう一人の方の質問に對して、政府委員は各自答辯したようでありましたが、はたして加藤委員竝びにもう一人の方の質問に對して、御兩所ともはつきりと氣持のいい納得がいつたかどうかということを、私は今疑問に感じておるのであります。殊に後者の御質問などは、いわゆる國際信義の原則に則つてやらなければならぬということは、大藏大臣のみならずわかりきつたことなのですが、はたしてその國際信義に則り得るか否かということは實際政治、實際運用、こういう點に對して最も適切な質問であつたと思うのであります。しかも厖大な施設というものを、日本人は最も誠意ある處置を實行したということを、中外に表明するに妥當な、納得ある實行をやるについては、それこそ一本體系をつくつて、最も強力な一つの機關をつくるというようなことは、適切な處置じやないかと、私らは常識としてうかがわれる。今までの國内に對することは、各官廳のセクシヨナリズムによつて、それを批判し、また反省し、その程度で收まつたでしようが、こと平和會議の後に日本が最も國際信義をかち得る、第一の仕事としてやるこの賠償撤去ということに對しては、すべての人が最も眞劍に、これは實際的な考慮竝びに處置をしなければならぬと思うのであります。しかるにただいまの大藏大臣竝びに政府委員の答辯をみると、お座なりの答辯である。委員の質問竝びに答辯というものが、すべてこういうことで終始するならば、むしろこうした委員などの存在價値がどこにあるかということを、不肖委員は疑うのであります。從つて超黨派的にこの問題は刻下の最も重要なる質問であり、また適當な返答なり、具體策を講じなければならぬと思われる。こういう重要な質問に對しては、本委員會を通じて當局に具體的な返答を求めるとか、そうした一つの具體處置を今後とることが、委員會として、將來議會政治を――いわゆるただいま申した通りこういう重要な問題を官廳の一局長や一部長が、答辯は形だけしても、それをよりベターな方向にもつていくという頭があると私は思われぬ。從つてわれわれは政治家として國を憂うる點においてこういうふうにすればいいではないかというような質問に封する當方の具體案をもつていつて官廳に迫り、そうして善處を願うことが委員會としての將來の使命ではないかということを感じたのでありますが、委員長に參考意見として申し上げておきます。
#33
○安東委員長 右御意見は今日出席した政府委員の方にお傳えいたします。
#34
○小澤(專)委員 それは政府委員ばかりでなく、いかがでしようか。そういう重要なことに對しては、加藤先生などは質問はあれで納得されましたでしようか。
#35
○加藤(シ)委員 私は今日の質問に際しましては、この委員會が外務委員會である立場上、最も重大な點を國際信義の問題におくという建前から質問いたしたのでございます。從つて具體的な内容ももとより承らなくてはならなかつた。從つてそれはそれ自身局長の答辯でも十分に具體的な内容は聽かれましたけれども、國際的信義の最近の問題ということに對しては單なる局長によつての答辯では決して満足ができないのでございます。それで最初に私は商工大臣と外務大臣をお願いしておいたのでありますが、商工大臣は今日司令部の方においでになつたし、外務大臣の方も連絡がついていなかつたというようなことで、ほんとうの責任ある最後のお言葉を承らなかつたということを非常に遺憾に思つておる次第であります。
#36
○小澤(專)委員 ぽくがこれを今突然申し上げたのは、各委員會の席へ政府委員が出席して、あんなばかばかしい質問をわれわれは聽いておられないという暴言をはいたある局長があつたということを、最近ある所で聽いた。われわれは敗戰後におきまして最も議會政治というものを、殊にこの國會議員の發言なり主張なり質問なりを尊重しなければならぬ。これはみずから重んじて人これを重んずるのでありますから、われわれはわれわれの勉強、精進は必要でありますけれども、戰爭中も敗戰後も、ややもすれば官僚自身が行政上の治政を政治上の治政なりと錯覺を起して、自分らの考え方はすばらしい大經論、大抱負であるかのような錯覺のもとに、最も貧困なる政泊感覺というもので、少くとも國民の總意を受けて立つた國會議員の質問を輕視するのだと私は考える。それについてはせつかく進駐軍の示唆によつて、またわれわれの気持でこの委員會というものができたのですから、これをすべての強力な推進機關にするについては、ただいま申し上げた通り、こういう機會にわれわれ國會議員としては、良心的に考えて、政黨政派にとらわれずに――なるほどこういう問題は現在官廳あたり簡單に考えておりますが、再び私は申し上げまするが、何百億か何千億か知りませんが、それだけの厖大なる賠償物資というものをいい加減に、ただ單なる利潤追求による企業體、あるいはまた實際のことに通曉しない机上プランの作成者である官吏の方々等々によつてつくられたいい加減なことを、われわれの質問に對する返事で納得させて過さんとするならば、われわれの政治のあり方はない。良心的に私はこう反省したいと思う。從つてこういうような事柄につきましては、今後われわれの總意を通ずるを委員長によつて、どういうような具體策を君らはきようの質問によつてとるのかというようなことについて、最も責任ある返答を具體的に求めるというような方向にもつていきたいと私は思うのであります。
#37
○安東委員長 ただいまの小澤委員の御意見は私どもといたしましても全然同感であります。從つて今後の委員會の運用については、もちろんその精神でやるべきであります。また今日のごとき重大なる問題につきましても、當然それはそうあるべきであると思います。ただ本日はまず一應政府側の説明を求めただけでありまして、問題はこれからであるということを御承知願いたいと思います。
#38
○若松委員 私も實はその囘答に満足しておるものではございませんが、ただ私が細かくお話申し上げたのは、これはどうもいささか外務委員としては行き過ぎではないかという感じがあるかもしれませんが、實は賠償というものはもう始まつておるのでありまして、すでに指定機械の保存、手入れというものはG・H・Qの指令によつて動いておるのであります。今私が申しましたような件で数々のいわゆる苦情が出ておる。それがやがてその地方にもはいつておる。これが私は日本の賠償物資の方にうまく寄與しておるかどうかということを顧慮して質問しておるのでありまして、できれば是正したいという念願から質問をいたしました。どうぞあしからず。
#39
○安東委員長 それでは先ほどの第二の日程の方に續いてはいりますが、この問題はただいま加藤委員もちよつと御指摘になつたように、扱いよういかんによつては相當誤解を生ずる問題と思います。ただいま私は即決を避けたいと思います。なおこれにつきましては、小委員會をつくりまして、一應審議してまいりたいと思います。ことはきわめて明瞭で人道的見地以外の何ものもないようでありますけれども、小笠原島の將來の歸趨というような問題と、あるいはこの日本人を入れないというような問題とどう結びついておるかということは、われわれにはわからない。そこでそういうデリケートな問題が含まれておりまするから、なお一應小委員會で審議していただくということにしたらよいと思いますが…。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○安東委員長 それでは小委員會を構成いたします。委員は委員長において指名して差支えございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○安東委員長 それでは加藤委員、小澤委員、仲内委員、堀江委員この四名の方にお願いしたいと思います。いかがでありますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○安東委員長 それではそういうふうにいたします。ただいま代表者の方が数名參つておられますから、小委員の方で一應御面接くださいまして、いろいろ事情を御聽取を願いたいと思います。
#43
○竹内委員 きようの日程以外のことでございますが、ちよつとお取次願いたいと思います。ただいま加藤委員からお話がありましたが、蒋介石主席の終戰後における聲明というものにつきまして、われわれは非常に感謝しておるのであります。話はちよつと違いますが、本委員會における言論というものは外交上非常に重大性をもつております。お互いの言論がどういう方面に刺激があるかということを考慮して質問その他をしなければならぬ點があることは十分心得ております。この蒋介石の聲明と同一線上にあるかどうかは知りませんが、最近行政院長の張群がなされた講和會議に對する拒否權の問題、これは本委員會としてはきわめて重大性をもつておる。私はこれについて當局に私の意見を申し述べて、政府がどういうお考であるかということをお伺いしたいのでありまするが、これは影響するところ甚大であると思いますから、ただいまはそのことを御遠慮申し上げます。と同時にどういうふうに外務當局においてはこれをお考えになつておるか、同時にまた張群氏の聲明が各國の輿論、新聞その他にどういう影響かあるかというような御調査があると思います。その御調査と外務省の方からまわしていただきたい。それによつて外務當局と打合わせの上で私の質問をいたしたいと思います。これを委員長からお取次ぎをお願いいたします。
 それからもう一つ委員長にお取次ぎをお願いいたしたいことがありますが、この間中國のユネスコ代表の程天放氏と會見いたしました。そのときに私も申しておいたのでありますが、國際連盟なんかはこれは政治的のものであります。しかしユネスコは心の平和運動であります。中國側においては一九五〇年に北京においてユネスコ大會を開くという希望をもつておいでであります。これは過日の程天放氏のお話でそれを伺つたのであります。そうしますと五〇年というともうきわめて最近であります。連盟が政治的であるならば、日本が今ユネスコに参加することはこれは不可能であります。しかしユネスコが心の平和運動であるという意味から申しますならば、たとえ前例がイタリアにありましようとも、もう少しわが外務委員會とか文化委員會とかが強力に參加を希望いたしますならば、あるいは參加できるのじやないか。もし日本の參加が不可能としますならば、ユネスコがすなわち政治的のものだということを證據立てるのじやないか。そういう論據からいたしまして、委員長においては文化委員會、參議院の外交委員會その他と提携されまして、政治的のものではない、心の平和運動である。一日も早く日本が參加するということが、日本自身のためにもいいことであると同時に、世界平和にもそれだけ寄與することである。同時に一九五〇年に差迫つた北京の大會にも日本が參加できるということにもなるのでありますから、そういう意味から委員長においても一つ強力にこの方のお骨折を願いたい。以上二つのことを委員長を通じて私は希望としてお願いいたしておきます。
#44
○安東委員長 承つておきます。
 それではこれをもつて散會いたします。
    午後零時四分散會
ソース: 国立国会図書館
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