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1947/08/09 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第10号
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1947/08/09 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第10号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第10号
昭和二十二年八月九日(土曜日)
    午前十時五十四分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 中崎  敏君
 理事 梅林 時雄君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 塚田十一郎君 理事 葉梨新五郎君
      赤松  勇君    川合 彰武君
      川島 金次君    河井 榮藏君
      佐藤觀次郎君    田中織之進君
      西村 榮一君    林  大作君
      松尾 トシ君    大上  司君
      泉山 三六君    島村 一郎君
      周東 英雄君    鈴木 正文君
      苫米地英俊君    井出一太郎君
      内藤 友明君    石原  登君
      相馬 助治君    河口 陽一君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        總理廳技官   坂田 英一君
        經濟安定本部財
        政金融局長   佐多 忠隆君
        經濟安定本部物
        價局長     谷口  孟君
        大藏政務次官  小坂善太郎君
    ―――――――――――――
八月六日
 大藏省預金部等の債權の條件變更等に關する法
 律案(内閣提出)(第二一號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 新物價體系に關する件
    ―――――――――――――
#2
○中崎委員長代理 これから會議を開きます。
 最初に安定本部から、今囘の新物價體系策定に關する大體のお話を聽きまして、その後の施策と、さらに物價全體に對する將來の見透しについて御説明を願いまして、その後で各委員からの質疑應答に移りたいと思うわけであります。
#3
○赤松(勇)委員 ただいま委員長の御發議まことに結構でございます。しかしながら本日は本會議もありますし、既に十一時にもなつておりまして、結局和田國務大臣の御説明を聽く會合に終つては相ならぬと考えます。從いましてむしろ委員側から、經濟安定本部にお聽きしたい點をいろいろ申し上げながら、その中に織込みつつ、和田國務大臣の意あるところを述べていただく、こういつた形の方がまとまりがよいのではないか、かように考えますので、さようお願いいたしたいと思います。
#4
○塚田委員 ただいま赤松君から御提案がありましたけれども、當初の計畫通りにお進め願いたいと思います。
#5
○中崎委員長代理 ただいま塚田君の動議がありました通り、最初の計畫といたしましてはまず……。
#6
○赤松(勇)委員 理事會の方でさようなことになつているのですか。
#7
○中崎委員長代理 そうです。最初はやはり委員の意向によりまして、この新物價體系に關する事項は非常に重要であるから、一應安定本部側から眞の意圖しているところをよく聽いて、その上で質問をして檢討していこう、こういうことで今日進んだわけであります。
#8
○赤松(勇)委員 わかりました。しからば和田さんのことでございますから、非常に要領よくお話くださると思いますが、本日の時間の點も十分御考慮願いましてお話願いたい。なおそこで私本日の質問のトツプバツターでありますが、特に一言和田さんにお願いしておきたいのでございます。特にその説明の中で、現下の重大問題でありまする物價と賃金と物の配給の問題であります。これは申すまでもなく現在の勞働組合の中に、非常な大きな不安動揺の波が兆しております。一面また名目賃金六千圓、實質賃金四千三百圓という要求をしようというような運動も現に起つておりますし、また新たなる勞働政勢の波も高まろうとしておりますので、特にこの際物價を六十五倍にして賃金をその物價に釣合わさないような形にした、言いかえれば一般勞働者は、勞働者の犠牲において物價の安定が行われておるのだというような不安にかられておりますので、昭和九年、十年を基準にして、物價を六十五倍にされたといいまするが、この物價を六十五倍にされました根據いかん、さらに給與審議會で、勞働者側は平均二千六百圓を要求したにもかかわらず、政府は千八百圓を堅持しておるが、千八百圓で勞働者の生活が維持し得ると思うかどうか。なおそれに關しましては政府は物價改訂によるところの七百五十圓の赤字家計は、食糧事情等の公定配給量の増加、勤勞所得税の免税點の引上げ等の諸政策によつて、このギヤツプを埋める、かように御説明になつておりまするが、一體勤勞所得税の免税點をどの程度まで引上げるのであるか。あるいはその時期いかん。なお衣料あるいは食糧等の配給によつてそのギヤツプを埋めると申しまするが、大體政府の案によれば、主食を九五%、野菜を三十匁、魚類を二十匁、調味料としてみそ百匁、醤油二合七勺、鹽を百グラム、こういうような形においてそのギヤツプを埋めていくというような御説明があつたのであります。そういう點につきましてひとつ具體的にどういう用意があるのであるか。そうしてその時間的なずれが一體いつごろ是正されるのであるかということを、この際具體的に御發表願いまして、一般勤勞大衆をして、安心して増産に邁進できるように、そういう御説明をお願いしたいということを希望しておきます。
#9
○中崎委員長代理 最初に和田國務大臣からの御説明をお願いしたいと思いますが、今の赤松君の質問の意味をも含めて、ごく簡單にひとつお願いいたします。また委員の、側においても大分質問の方の多々あるように思いますので、その意味を含めてお願いいたします。
#10
○和田國務大臣 委員長に最初にお斷りいたしておきますが、今日もしも時間がありませんでしたら、この次に早速出てまいりまして御質疑を繼續していただいで結構であります。ただいまの赤松さんの御質問でありますが、政府が今度の物價體系をやりまするにつきましては、物價改訂をやりますると同時に、政府としては聲明をいたしておるわけであります。赤松さんの御質問の點につきましては、もう一ぺん短いものでありますからそれを讀み上げまして、そうして個々について説明した方がいいかと思いますので、一應そのときの聲明の文を――これはもうお讀みで御存じかと思いますが、一應讀まさしていただいた方がいいと思うのであります。
 「物價賃金安定の根抵がどこにあるかについての政府の見解は、さきに決定した經濟緊急對策に示すとおりである。物價賃金の安定は、公定價格で配給される物の數量を増加することによつて、實質的に生活内容を充實しながら、現在の貨幣賃金はできるだけ維持する以外に解決のみちはないというのがその根本的態度である。この態度は、わが國が當面している經濟の困難を卒直に認識することに由來する。財政も、企業も、家計も、いずれも赤字であるという異常な状態において、經濟安定の方途は國民總耐乏によつて財政を緊縮し、企業經營を合理し、家計消費を節減し、かくして國民一人當りの生産を増加しつつ、實質的に生活を改善する以外にないというのが、政府の立場の根抵である。貨幣賃金を引上げることは、平常時においては、うたがいもなく勞働者の利益を擁護する政策である。政府がこのことを原則的に承認するものであることはいうまでもない。しかし、同時に、勞働者の利益は、元來貨幣賃金そのものにあるのではなくて、それによつてえられる實質的な生活内容にあることを忘れてはならない。もしも賃金の引上げが企業の破綻を引き起すならば、それが勞働者の利益であるということはできないであらう。また、もしも、賃金を引き上げた結果、物貨が高騰し、財政赤字が膨脹し、インフレイシヨンが悪化するならば、それを勞働者の利益ということもできないであらう。賃金の引上げは、それによつて企業の經營が停頓せず、それによつて經營の安定が阻害せられず、それによつてインフレイシヨンの悪化が引き起されない限りにおいて、勞働者の利益である。もしも、賃金の引上げによつて經濟の復興が刺戟され、生産の向上が達成せられるならば、それは、ひとり勞働者のみの利益ではなくて、さらに進んで國民全般の幸福である。政府は、勞働者の利益がこのようなかたちで増進せられることを、衷心から希望しているのである。全國工業、平均賃金を月二千六百圓に引上げるべきだという案については、政府も、種々の角度から檢討を加えたのであるが、財政も、企業も、家計も、共に赤字である現在、賃金をこのように引上げることによつては、勞働者の實質的生活内容を改善することは、きわめて困難であるという結論に達したのである。いま全國工業平均賃金が二千六百圓に引上げられたものとする。そうすればまず、消費財の公定價格は千八百圓の場合に比較して四四%高い水準に、すなわち、平均して現在の三、五倍程度に引き上げなければならないであろう。そうでなければ、企業は賃金の支拂資金に窮して、經營は破綻におちいるほかない。しかし、この結果、家計支出は再び、千三百圓程度の赤字を出すことになる。賃金はしたがつて、さらに引上げなければならなくなる。こうして賃金引上げと價格改訂とを順ぐりにつづける結果、最後に、賃金水準は、全國平均四千五百圓、物價水準は現在の六倍に上昇するであろう。このために財政の面では、人件費の増加や物件費値上りなどを通じて、おそらく二千億圓以上の赤字を生ずるであらう。
  この想定はまだひかえめである。なぜなら賃金、物價の水準が、もしも、このように急激に上昇し、財政赤字がこのように巨額になるならば、物價賃金安定の最大の支柱をなす國民の物價に關する安定感ないしは通貨價値に對する信頼感を、根抵からゆすぶる危險が非常に多いということを考えなければならないからである。この結果、やみ價格が急騰し賃金、物價關係の安定は、急速に崩れさることになるであろう。
  このような過程は、經濟の安定とは正反對のものであり、勞働者の利益確保とも必ずしも、兩立しないであろう。勞働者の利益を眞に擁護するものは、生活内容の確保にある。そして生活内容の確保が、生産の増加と、やみの撲滅による以外にないことは、すでに明らかであろう。
  政府が經濟緊急對策において、第一に、食糧確保の問題をとりあげ、第二に流通秩序の確保をとりあげ、この前提の上に立つて物價賃金の同時的安定を企圖しているのは、全くこのためである。
  もちろん、政府は現在準備している公定價格體系の全面的な改訂が、勞働者の家計に對して重大な影響を及ぼすことについては、きわめて愼重な檢討を加えてきた。しかもそれと同時に、食糧緊急對策により、食糧配給量を確保することができ、價格差補給金によつて價格引上げを抑制することができるならば、この影響を、いかに緩和吸收できるかという點についても十分な檢討を行つたのである。これらの檢討の結果、新公定價格體系のために、百二十億圓の價格差補給金を支出し、工業平均賃金を月平均千八百圓の水準に引上げることができるならば、價格改訂によつて家計に對して二二%程度の影響を生じても、食糧緊急對策による食糧確保量の増加によつて、その多くの部分を吸收できるという結論を得たのである。さらに、このほかに、勤勞所得税の負擔を調整することができるならば、さらに若干の餘裕を家計に生ずることになるが、これについては財政の現況ともにらみあわせて檢討中である。」こういう説明をいたしてきたわけであります。まだあと相當あるわけでありますが、これはあとにすることにいたしまして、結局今言つたような大體の趣旨で、賃金と物價の悪循環を斷つていこうといたしたわけでありますが、價格體系につきましては、昭和九年と十一年という基準年次は、まあ日本の國の經濟から言えば、ほぼ日本の經濟が正常であつたという年だと考えられるのであります。從いましてその正常であるました九年から十一年をとりまして、六十五倍ということを一應限界といたしたのであります。しかしこの六十五倍という點に安定點を設けたことにつきまして、なぜそれなら六十五倍かということにつきましては、理論的な根據と言いますか、そういうものは、やはりこの政策について六十五倍が理論的であるという嚴密なことは言えないと思うのです。ただわれわれとして考えましたのは、あまりに高い一つの安定帶を設けるということになつてくると、一つの面からいけば價格の安定帶を設けるという意味がなくなつてくるわけであります。たとえば百五十倍とか二百倍というふうな安定帶を設けるというのでは、ほとんど全體的なインフレーシヨンのずつと上まで引上げたもの、これをそのまま認めたものであるということになつて、これは意味がなくなつてくると思うのであります。またドイツなどの例を見てみましても、また今度の戰爭後の各國の歴史を見ても、基準年次の百倍以上くらいになつてくると、やはりインフレーシヨンというものは非常な勢で進んでくるおそれもあるわけであります。そこでわれわれとしては、このインフレーシヨンをどこかで價格の面から抑えていく必要がある。このインフレーシヨンの大きな惰性的に進行していくものを、どこか高いところの水準で安定さしていく必要があるということを考えまして、ただいま言いましたような六十五倍という點に、基礎的な物資につきましての安定帶を設けたわけでありまして、その六十五倍なら六十五倍というものを超えて、實際基準年次から比べて騰貴していく、たとえば鐵鋼その他のものにつきましては、これを六十五倍の點まで下げていく。しかしその下げるのに財政の面でこれを負擔して、そのために價格調整補給金というものを出していく、こういうことにいたしたわけであります。その價格調整補給金は大體百二十億程度を豫定しております。こういう原則を一面ではとりました。それから石炭等の特定の産業向けのものにつきましては、これは一應低い特別の石炭を、特殊の産業についてはやはり相當の低い價格でこれを供給していく。そして特定産業というような基礎的なものが、非常にその面からも影響を受けてくるというようなことから、一應そういう方針をとつたわけであります。それから賃金をなぜそんらな千八百圓にしたかという點でありますが、これは御承知のように一應の價格體系をやりますときに、あの當時の官公吏の平均賃金が基準的に千六百圓であつたわけであります。それからそのときの業種別の各工業の平均をとつてみますと、千六百以下であつたわけであります。そこで一應の基準として、政府としましては價格體系に織込むべき賃金というものを、千六百圓という案で進んでいつたわけであります。しかしこれは給與審議會にお諮りいたしまして、給與審議會にもいろいろと御審議を願つたわけでありますが、給與審議會の方ではその際に二千六百圓という案を出されたわけであります。しかしこの二千六百圓という案をかりにそのまま呑むといたしますと、私が最初に讀みましたように、結局それが各物價に影響して來、その物價の高騰のはねかえりがまた影響してくるということで、ただいま言いましたように、基準年次の六倍というような、また財政負擔というものを考えてみると、二千億圓にも及ぶ、そういうことになるわけであります。これでは折角そこで、かりに形式的に一應賃金と物價とが安定したような形をとつたといたしましても、これは財政面の方からもすぐ崩れてくるわけであります。物の裏づけのない二千億から何千億とかいうように、新しい購買力が出てくるのでは、ひとたまりもなく崩れてくると思うのであります。そこでわれわれといたしましてはこの千八百圓という考えに落ち著いたわけであります。千六百圓を千八百圓にいたしましたのは、これは多少そこに政策の時間的なずれもありましようし、そういう點を考えまして、貨幣面においても二百圓というものを殖やしたわけであります。そうしてまたこの程度でありますならば、これは各公定價格の改訂による點についても、ただいま申しましたようにせいぜい二二%程度のものであつて、大體六十五倍のバンドというもので、物價の安定という點からいつても妥當であろう、こういうように考えた次第であります。そこで業種別の算定平均賃金千八百圓というものについては十分御理解を願つておきたいのは、これは今囘の公定價格算定の際に、原價の一要素として算入されるものであります、決して賃金そのものをこれは無視するものではないということであります。各業種別の平均賃金というものが、公定價格の今度の改訂の場合に、生産原價として勞務者一人一箇月の平均賃金であるということ、それから公定價格というものはこれは原則としましては、各産業に對して全國を通じて畫一にきめられるものでありますから、個々の企業に對して個別的にきめられるものじやないのであります。從つて業種別平均賃金も、産業ごとに全國的な標準として算定せられておるのであります。それから業種別の平均賃金として算定せられておりますものは結局標準的な勞働時間に對する總賃金でありまして、所定の時間外の勞働に對する賃金というようなものが含まれておりませんし、通常の厚生福利施設であるとか、そういつたようなものも含まれていないのであります。そこでわれわれといたしましては千八百圓基準をとりましたときに、物價體系によつてのはね返りという考えで、それが生計費にどういうふうに響いておつて、その生計費の赤字をどうしていくかという問題をこまかに檢討いたしたわけであります。その際大體七百五十圓くらいの赤字といいますか、はね返りが出ているということにいたしまして、その七百五十圓のうちの五百圓程度を食糧の配給改善にもつていきたい、それからあとはこの勤勞所得税の免税點の引上げというような事柄によつてカバーしていくということにいたしたわけであります。そのこまかい點につきましては政府委員から表についてこまかく説明いたさせます。
 それからいずれあとですぐ問題になると思うのでありますが、今後の見透しといいますか、八、九、十、十一月に至る平均賃金の維持の問題であります。結局問題は、食糧の配給確保という點が主眼になるのでありまして、要するに配給面のパーセンテージが殖えてくる。そうして、やみで買う數量が減り、またやみの價格が落ちてくるということになりますれば、家計は當然樂になつてくるわけであります。七月をとつてみましても、配給の食糧だけについて申しますれば、配給面の方が大體六八%、約七〇%近く量においてはなつておるのであります。ところが、價格の方でいきますと、ちようどパーセンテージが逆になるのであります。消費者家計調査に現われた點から言えば、やみで買う量はわずかに三〇%程度のものが、價格の點から言えば逆に七〇%に食糧だけについてなつておるわけであります。もしもこの關係がかわつてくれば、かりに一〇%でもやみで買うものの量が減り、そうして價格が下つてくれば、家計としては非常に樂になる。實效價格の點から考えればそうなるわけであります。八月は御承知のように輸入食糧の放出がありまして、また救援米の效果を見ておりまして、それからまたその他の輸入食糧特別措置等によりまして、二合五勺というものを完全に配給するとしましても、家計においてなお百六十圓くらいの赤字が出るのであります。ところがこれはあとになつて詳しく理由を説明いたしますが、九月は大體百三十四圓くらいのマイナスになるのであります。十月は家計の面において約百圓くらいのマイナスになるのであります。ところが十一月になれば二合五勺を完全に食糧の面において配給しますれば、四百十何圓かのプラスになるのであります。それで八月になぜ二合五勺の配給をしても百六十いくらの赤字が出るか。しかもその場合には、例の勤勞所得税の方も一應の免税點の引上げということを考慮した上でのことであります。結局それでも赤字が出る。八月は非常に苦しいことになります。それはやみの價格が非常に上つたということがあります。從つて八月の點につきましては、これはどうしてもやみで買つておる食糧以外のその他のものについて、一應節約をしていただいて、これを處理していくより方法はないと思うのであります。八月はこれは耐乏していただくことになろうかと思うのであります。それでやみの價格は、去年もそうでありましたが八月を頂點として十一月ぐらいまで、去年も約三六%ぐらい、やみ價格は低下しておるのであります。今年も大體今が絶頂でありまして、これは確實に低下していくことと思うのであります。そうして九月に百三十四圓のマイナスが出ておりますが、これはわれわれが一應計算しました基礎となつておりまするのは馬鈴薯とそれから麥の超過供出を、ごく内輪に見積つておりますので、せいぜい五十萬石程度に見積つた結果でそういうことになるのであります。これはもう少し私の方の考えではとれますから、かりに七十萬石と押えてみれば、百三十四圓、それから十月の百圓といつたようなものは、それが配給ルートにのつてくれば、解消していく見込みは十分あるわけであります。十一月になると急にプラスになりますのは、今言いましたように配給のルートにのつてくる主食というものは、米が二合五勺は確保できる。從つてやみの價格というものも下つてくるというような、こまかい家計の上の計算をみますれば、そういうことになるのであります。大體そういうような見透しをわれわれとしてはもつておるのであります。從いましてこれは何といたしましても、ただいま一生懸命やつておりまする食糧部面の確保政策というものを、十分に效果をあげるように努力いたしまして、輸入食糧の懇請をいたすのはもちろんのこと、放出されました食糧についての速急なる處理をいたしまして、遲配のないようにしていくということによりまして、よほどの違いが出てくる、こういうことになろうかと考えておる次第であります。
#11
○赤松(勇)委員 問題は、今長官が申されましたように、實質賃金をどう充足するかという問題であります。ただいま安定本部の見透しによりまするならば、これは勞働大衆に對しまして、明るい希望をもたせる見透しになつておることは、はなはだ喜ばしいことであると思うのでありますが、なおこの程度の約束ではとうてい滿足できません。と申しますのは、從來の政府がしばしば約束いたしまして、その約束が根底から覆えされた。言いかえまするならば、今日の勞働大衆というものは、政府に對しまして、もちろん現内閣に對しましては、何とかなるだろうという一應の信頼感はもつておりまするが、しかしながら差迫つてまいります生活難のために、非常に疑心暗鬼になつておりますので、ただいま長官がおつしやいましたように、後ほど詳しくこの見透しの根據、また具體的なものの數字、こういつたものを御説明願うことにいたしまして、次に私はお尋ねしたい點があるのであります。ただいまの長官の御説明と、過日の勞働委員會におきまする米窪國務大臣の御説明とは、いささか食違つておるように思います。米窪國務大臣はただいま長官がおつしやいましたような見透しをもつてはおられません。その際の御答辯は、補給金等による國家補償を行う。その國家補償によつてギヤツプを埋めていくという御答辯をなさつておりましたが、それに對して長官はどうお考えになつておるか。さらに勤勞所得税、これの免税點の引上げのその額、その時期いかん。その次にお尋ねしたいことは、現在の勞働組合は、決して勞働攻勢を要求しておりません。過日の國鐵の中央委員會におきまする賃金問題を中心とする非常に激烈な討論を見ましても、何とか政府に協力して、實質賃金を充實するような方向にもつていきたいということに考えておりますが、現在の日本の五百萬の勞働組合が一番惱んでおります點は、實質賃金を充足するために、政府と協力するためには、その協力のポイントが一體どこにあるか。ただ増産をするということだけが協力でなく、一定の見透しが立つて、たとえば一箇月なり一箇月半、あるいは二箇月なり、確實に自分たちの家計がひとつの安定感をもち得るのだ。そういう見透しに立つならば、おそらく政府に對して積極的な協力をするでありましよう。しかしながらそういう見透しもなく、そういう確信もないといたしますならば、當然これは各企業においてそれぞれ賃金の値上が要求されて、澎湃たる勞働攻勢が餘儀なく起きてくるということは、これまた必然のいきおいであると思うのであります。從つて政府としてもつとそういう點を後ほど具體的に説明していただく。なお現實に勞働大衆の一番大きな負擔になつておりまする勤勞所得税、これは私は悪税中の悪税だと思います。もちろん勞働者といえども、納税の義務を負わなければなりません。しかしながらその悪税であるという理由はやめましよう。それは申し上げるまでもなく、よくわかつておることと思うのでありますが、とにかくこの勤勞所得税の問題は、非常に大きな問題になつておりますので、免税點の引上げを政府はすでに約束されております。その免税點の引上げ額及びその時期、これについてひとつ明瞭なる御答辯をお願いいたしまして、全國の勞働大衆に對する答えにしていただきたい。かように思います。
#12
○和田國務大臣 お答えいたします。ただいまの赤松さんのお話、非常にごもつともだと思います。米窪さんの言われたのは、こういう意味だと思います。勞働の時間的なずれがあつても、勞賃に直接補給をするというのではありませんで、企業に對して價格調整金の補給金を出しまして、その企業に出すときに、それが勞働者の方にもまわるようにということを十分に注意して、價格差補給金で、企業を通じて勞働者に支拂うようにしていくというお考えだろうと思います。從いましてそういう點については私の説明と齟齬することはないのでありまして、米窪さんもそういう説明をせられたと思つております。それから勤勞所得税の免税點の點は、これはむしろ大藏大臣からお答えされた方がいいと思うのでありますが、ただいま向うと交渉いたしておるのでありまして、數字をここではつきりとは私まだしやべれないのでありますが、とにかくこの實施の期間は、今度の豫算がきまつて實施されることになりましようが、やはり八月からということになろうと思います。金額の點は、例の勤勞所得税の免税點引上げによつて、カバーしていくという點から、大體の御想像をお願いしたいと思います。それより多少は下りはせぬかと思つております。
#13
○川合委員 ただいま和田國務大臣からのお話でありますが、實はその勤勞所得税の問題は一昨日の新聞紙にも發表されておりますし、豫算委員會で大藏大臣及び主計局長、あるいはまた主税局長が一應の説明をされておるのであります。今國務大臣の説明によりますれば七百五十圓のうちの二百五十圓を勤勞所得税の免税によつてカバーしていくようなお話があるのであります。ところが大藏省が一昨日案として發表されたものによりますれば、百三十九圓しか見てないのであります。從いましてそこに相當な差が出ると思います。また大藏省の方もまだ一つの案であつて決定的なものではないのであります。何かここに安本と大藏省の方とに連絡が缺けておるというような感がありますので、どうかそういうようなことのないように、この點も大きな問題でありますので、安本の方から特に大藏省の方と連絡を密にされまして、そして百三十九圓というようなわずかな額でないようにお取計らいを願いたい、かように考えております。
 もう一つは同時に大衆生活に影響のあるタバコの問題であります。現在男一人に對して百二十本の配給、女一人に對して三十本の配給ということになつておりますが、財源をあせるあまり、今囘新しい二十圓の自由販賣のタバコを出す、それに對してその原料の補給策として、百二十本の配給を九十本に減らす、女は十本にして結局二十本減らすということに一應内定したようであります。タバコは嗜好品でありますけれども、勤勞大衆にとつては生活必需品であろうと思つております。從つて今後もしそういうように配給の量が減りますならば、必然的にやみ買いをしなければならぬということになるだろうと思います。私どもといたしましては現下の状況から見て、勤勞大衆諸君のそういうようなものの消費も、極力節約してもらうことを希望はしておりますが、しかしながら今まで百二十本でも足りない現状でありますので、それを九十本に減らすということはかなり困難だろうと思います。從つていきおいやみ買いすることによつて、そこに理論的には物價體系が破綻する原因が宿つている感が深いのであります。われわれがよく勤勞勞働者諸君からつつこまれるのはその點であります。從いまして今後財源の確保や、財政の收支の均衡を得るというような面にのみとらわれることなく、ぜひとも今和田國務大臣の言われたように、勤勞大衆の生活を確保するという面からも、こういうような大藏省の主管事項に對しましても、それぞれ閣内においても統一ある方法をとつていただきたい。これに關しましてはこの機會に今ただちに和田國務大臣の御意見を承ることができないでも、閣内において統一するようにやつていただきたいという希望を申し上げておきます。
#14
○赤松(勇)委員 この際なおわが黨の態度を明確にしておきますことは、わが黨は高物價政策をとるのではない。ただ安本が現に行わんとしております物價政策と相通じます點は、價格があつてそれを國民が知らないというような物價體系では困る。從つて健全なる企業が營まれ、健全なる國家經濟が營まれるという點にまで、全體の物價體系を地ならしして、それに實質賃金をくつつけるというのが、わが黨の總選擧における公約であります。ただ現在の政府がやつておりまする政策とについて、ただいま和田國務大臣がおつしやいましたような線に沿うところの、實質賃金の充足は、私は双手をあげて贊成であります。ただこの問題は、どういうような實質賃金の充足、あるいは新たなる物價體系、あるいは流通秩序の確立、一連のそういう計畫經濟の線に沿うところのいき方が、他面においてインフレの高進によつて壞されるのではないか。わが黨は現在の經濟状態のもとにおいて、あくまで計畫經濟を斷行していく。ただその一つの條件といたしまして、一方においてはインフレ高進をば何とか食い止めたい。また食い止めるための強力なる政策を斷行しなければならぬ、かように考えておるのであります。巷間、往々四黨政策協定のためにそれが行い得ないということを言つておりますが、四黨政策協定の中には、明瞭に新圓階級に對する課税はこれを重視するということもうたつてあるのであります。私は現在の大藏當局が行おうとしておりますいわゆる健全財政の方針に對しましては、そういうやり方自身に對しまして反對するのではありませんが、そういうことが實際の效果を生むかどうかということにつきましては、私はまつたく贊成できませんし、またそれに對して非常な不安をもつているのであります。安本が計畫しておりますそういう計畫がスムーズに進行するためには、どういたしましても社會黨が從來主張してまいりました新圓階級に對する斷呼たる措置がとられ、あるいは財政金融に關するところの、一連の生産的の再編成が行われなければならぬ。かように考えております。和田國務大臣がどのように良心的な政策を行いましようとも、大藏當局の行いまする一連の財政政策と、それが十分にマッチしていなければ、いつかはそれが破綻する。現に食糧問題にいたしましても、平野農林大臣は供出後の食糧に對しまして、これを相當高い値段で買上げる。三倍もしくは四倍ということを言われているのでありますが、とにかく高い値段で買上げる。私は農村の供出の殘りの米をば吸い上げて、これを消費者に公平に派給するということに對しては反對するものではありません。しかしながらそれを吸い上げて、それが消費者の負擔になるということに對しましては、わが日本社會黨は斷固として反對せざるを得ないのであります。今日の勤勞大衆の生活は、先ほど長官がおつしやいましたように、賃金の値上げがそのまま一つのインフレの原因になるといたしますならば、同樣の意味におきまして農村から吸い上げてまいりまするその高い米の價格そのものが消費者の負擔になり、それがまたインフレの一つの原因になつてくるのであります。從つてそういう際にとらるべき當然の方策といたしましては、吸い上げる米の高い價格に對しまして、それを埋めるために一方においては何らかの財源を見つけていく。その財源は今日の國家財政においては負擔できません。從つてそれは新たなる財源として、新圓階級より吸上げる以外に方法はないと思うのでありますが、現在の安本の一連の經濟政策と、今日大藏大臣がとらんとしておりますところの、インフレ阻止とは私は申しませんが、あの財政方針と、はたしてこれがマツチできるかどうか、そうしてそれが一つの破綻の因子を内藏しているかいないか、こういう點について和田安本長官の御見解をこの際ひとつお聽きしておきたいと思うのであります。
#15
○和田國務大臣 勤勞所得税の點につきましては、われわれの方としても十分連絡をとつて、當つていく考えでおりますことを御了承を願います。それからただいまの赤松さんの御質問でありますが、やはり問題は企業と賃金の方を、かりに赤字をなくするということをやつてみましても、お話のようにそれが財政面の方へ轉嫁する。財政面の方で今度はただ、つじつまだけを合わせてみても、またそれが産業面の方へ轉嫁していつて、財政資金が産業資金を食つて、産業の方の經濟金融というものが非常に詰つてくるということになれば、これはまた元へ戻るということになるわけでありますから、われわれといたしましては、とにかく財源の追求につきましては、もちろん新圓階級というものについての追求も、これは嚴密にやる方針であるということを申し述べておきます。やはりできるだけ新しい財源というものを、しかも合理的のものを求め、そして實質的に、ただ、つじつまだけが合うというだけでなく、企業の動き、經濟全體の動きを見て、そこに多少一面には赤字が出てもそれが二年なり三年なりのうちには、必ず黒字になるという大體の見透しをもつた、實質的な健全財政というものの線を、どうしても堅持しなければならぬという考えであります。そういう考えでわれわれとしてはどこまでもやつていきたいと考えております。
#16
○赤松(勇)委員 この際私はさまざま質問したい點があるのでありますが、あまり一人で獨占しておりますと、他から不平が起りますから、この際私は和田長官に御願いしておきたいことは、なるべく財政金融委員會に出ていただいて、現下の重大問題でありますところのインフレと賃金の問題、物價問題、こうした一連の問題について、十分われわれと納得のいくように話し合いたい。かように考えておりますので、私の質問は次の機會に讓りたいとかように考えます。
#17
○中崎委員長代理 きようは和田國務大臣は初めてでありますが、各委員から質問がいろいろあるようでございますから、今後引續いてお願いしたいと思います。周東君。
#18
○周東委員 一つ二つ、先ほど御説明のありましたことに關連しまして、お伺いをいたしたいと思います。今度政府が物價と賃金の同時安定という一つの方策を掲げられたことに對しては、非常に敬表を表するものであります。これは實際、理論的には非常に結構なことであり、ぜひそうなくちやならぬと思うのでありますが、實行上においては、はたしてそれができるのかどうかということについて、多分に疑問をもつ者であります。殊にただいま御説明を伺いますと、新物價體係を定める一つの基準としては、大體昭和十一年當時における基準年度の價格の今日の價格、竝びにその當時の通貨と現在の通貨との開きからみて、大體六十五倍くらいのところをとつて。ひとつ地ならしをする。もしそれ以上になつたものについては引下げる。あるいはまた地の方策をもつて一般大衆に對する負擔を輕からしめるようにする。かつそのもののもたらす大衆への負擔に對しては、與う限り實質賃金の増加、實物給與によつてこの補給をなし、形式的賃金の増加を防ぐ、こういうお話であります。私がお伺いしたい點は、その六十五倍という一つの基準を求められたことについては、一應理屈があると思いますが、今日の場合この六十五倍ということについて、現在それを下まわつておるものについても、一應でこぼことして全部直されるかどうか。またその六十五倍にする基本に考えることの中には、それらの大きい企業それ自體がもつところの健全財政と申しますか、その企業自體の中においての獨立採算制をめざして、そうしてそれだけを引上げることによつて、その企業内部で賃金を拂い、かつその後の企業を推進する上において必要な體系におかれることも頭において、この六十五倍というものに沿うて、各業種別の物價というものをおきめになつたのか。この點を一つお伺いしたいのであります。同時にまたこの六十五倍をきめるについて、形式的賃金については非常な御苦心があつたと思いますが、ともかくも千八百圓は業種別賃金をさすようであります。この點もまた、ただいまお伺いしておる點に關連をするのでありますが、當然そのおのおのの企業において、その企業がそれだけの賃金を拂い、それだけの價格をきめることによつて、獨立採算制がとれるという大體の見込みを立てつつ、その企業の内部の整理と申しますか、企業の合理化をはかるということが前提になつて、そのことがきめられておるのかどうかということを、まず最初にお伺いをしておきたいと思うのであります。
#19
○和田國務大臣 お答えいたします。この六十五倍のバンド以下のものについては、すべてを六十五倍に上げる。こういう考え方ではないのであります。その物の需給の關係によりまして、六十五倍以下でも、十分に原價計算その他によつて成り立つていく物については、やはりその方が合理的でありますから、必ずしも六十五倍まで全部上げてしまうという考え方はとつておりません。それからお話のように、今度は一應安定帶を六十五倍に設けましたが、價格の決定の方式は原價計算主義によつておりますので、今度改訂されました價格におきまして、各企業ともそれぞれのコストをもつてベイして、企業として成り立つていく、こういうふうに考えているわけであります。從いまして、賃金は業種別の平均賃金でありまして、それぞれの業種について考えられてくるわけでありますから、賃金の場合においても、企業それ自體の原價計算の中には、當然賃金の方もはいつているわけで企業自體のコストがとれていくことになれば當然その賃金も支拂いができていく。こおいうふうに考えております。
#20
○周東委員 價格の決定に關し、また賃金の決定に關する安本のお考えは、ただいまのようなことであらうと私は想像するのでありますが、實際問題としては、今日の價格の引上げ、賃金の引上げというものは、常に企業の内部の合理化の行われないところに大きな原因があるのだと私は考える。このことは政府においても、また政府の與黨であるところろの社會黨の諸君におかれましても、非常に觸れなくちやならぬ點であるにかかわらず、この點についてどうも今日の場合徹底した御意見が出てこないのを、私は非常に遺憾とするものであります。ただいま長官は、價格のきめ方も、賃金のきめ方も、大體コスト計算に基いて立てられておるのであるから、おのおのの企業の内部においてペイし得るような範圍においてきめられておるのだ、こういうお説でありますが、一例をとつてみると、最近における鐵道の運賃の値上げ等に見られるがごとく、大體三倍半の賃金値上げをされたようであります。この賃金値上げについての理由の説明の中に、たしかその六割は人件費に充當し、四割は物件費、資材の値上りに應ずるものだという御説明でありました。なおかつ現在の鐵道特別會計というものを、獨立採算的にやるためには、三年半の値上げでも足らぬのであるから、その殘りは一般會計から繰入金をされるように要求されたように承つておりますが、仄聞するに大藏當局はかくのごとき企業態形においては獨立採算の建前をとるべきものであるからということで、一般會計からの繰入金は斷られたように聞いております。その結果鐵道の運賃引上げについて、あれだけでは足らぬので、新聞紙の傳うるところでは、適當な機會を見て、さらに五割ほど上げなければ成り立つていかないのだというように言つておりますので、もしかくのごときことが行われたならば、この運賃の引上げというものが、すべての物價に影響することは非常に大でありますのみならず、同時にまた、そのことが直ちにもつて國民大衆の生活に影響することになるのでありまして、これは非常に恐るべきことではないかと私どもは心配しておるのであります。ところが、かくのごときことをやらなければならぬ原因がどこにあるかというと、結局私は、この鐵道特別會計における事業の内容において、獨立採算がとれるように、もつと企業内容を合理化し、端的に言えば、やはりある程度過剩人員と申しますか、擬制雇傭と申しますか、そこにある程度の手をつけて、企業それ自體においては獨立採算がとれていく。そうしてその範圍においてでき得る限りの勤勞大衆に對する賃金の増、厚生施設の増、その他できるだけやる。しかもまた一面においてはその企業の内部においての資本の償却、すなわち常に資本が健全であらねばならぬ姿において、資本の蓄積ができる程度のこの種の積立ということができる限度においては、最低限度においてその範圍をとらなければならぬのでありますが、そういう面において殘されている面は、やはり人員の合理化、産業の合理化のごとく、過剩人員の整理という面に對しても、與黨である社會黨の諸君が思いきつて眼を開けて手をつけられないと、そのことがすべての價格に影響し、從つて今の例から申しますと、鐵道運賃引上げをならねばならぬということに進んでいくのではないか。これに對して目をつむつておいて、いかに賃金を引上げろと言つても、勤勞大衆のほんとうの意味における幸福の増進にはならぬのであります。こういうふうに私は考えます、眞に今の各企業のおのおのの内部において、獨立採算制がとれる範圍においてすべての價格をきめられておるかどうか。今鐵道特別會計の一例をもつて申し上げたのですが、もう一度私は長官の御意見を承りたいと思います。
#21
○和田國務大臣 鐵道の特別會計のお話がありましたが、御承知のように經濟緊急對策の建前として、一般會計から特別會計の赤字を補給するという方針をとらないで、特別會計はそれぞれ獨立の採算制をとる、こういうことにいたしたわけであります。從つて特別會計の問題についてはこれをどう處理するかということについては、われわれとしては今鐵道、通信兩方の特別會計についていろいろと研究をいたし、審議をいたしておるわけでございまして、この大きな鐵道の特別會計が今年一年ですぐ赤字が解消するというようなことは、とうてい今の日本の經濟力ではできないのであります。これはやはり今年の特別會計豫算として組む問題で、企業自體の、鐵道なら鐵道會計自體の健全性という問題とは、これは相關連いたすものでありまするがゆえに、その面もやはり加味しまして、そこに長期の計畫を立て、特別獨立採算制がきちんと實際上できるように、ただいまいろいろと話合いをいたしておる次第であります。
#22
○周東委員 ただいまのお話によつて一遍にはいかぬが、ある種の計畫を立てなければならぬということは了承できます。私が一例として擧げた點は、鐵道特別會計であまりするけれども、私はどうしても物價の安定、賃金の安定という面には、常にその生産されるものの確實な見透しと、生産されるそのものの生産、配給、處分等によつて出てくる收益、そういうものによつて、獨立採算的にできるような形において、すべての産業の合理化、企業の合理化がなされて、その基礎の上に賃金がきめられないと、長官がこの前お話になつたように、大體新物價體系と業種別賃金千八百圓のきめ方について、そうしてそれを補うについて、實質賃金の増加によつて安定さす、そうして物價と賃金の悪循環を斷つと言われても、これは私は實際にはできないじやないかと考えます。殊に先ほど赤松君の御質問に對して御答辯がありましたが、なるほどお考えにおいては賃金の千八百圓に對して、實質賃金の増加をすることによつてこの難局を切拔ける、ただし八、九、十月、この間には多少の赤字も出るというお話でありましたが、その實質的賃金の増加というものは、とりもなおさず今日においては食糧の補給でなければならぬと思います。これは長官もお話があつたと思いますが、從つてこの間の經濟白書にもありましたように、今日の國民の家計簿を脅かしておる點は食糧であつて、家計支出の七割強というものが食費である。しかしてその内容は配給によつて得るものと、やみによつて得るものとの合計がそうなつておるということでありましたから、その點から見ますと、どうしても實質賃金の補給は、食糧の補給によつてこれを補うべしということになるのは當然だと思いますが、しかるに平野農林大臣の御説明によりますと、今日の場合いかにしても食糧の増加ということは望み得ないのであつて、しばらくの間いわゆる計畫遲配によつてこの難局を切り拔けると言つておられる。この面が正しいとすれば、今の形式的賃金の不足を實質賃金によつて補う。實物給與によつて補う。しかしてそれは食糧によつて補う。やみにまわされておるものをなるたけ少くして、配給量を増加するということであれば、ルートに乘つた食糧の配給量が増加され得るだけのものがなければならぬと思います。しかるに今日農相の説明によりますと、現在の状況において當分の間計畫的遲配を行うということでありまして、私の山口縣等においては四日分の食糧配給をする。そして五日にこれをくれるという命令でありますから、一箇月には少くとも五日ないし六日の遲配を計畫的にやるということであります。すなわち實質的賃金によつて補うということは、少くとも從來の配給量よりもプラスされるということでなければ、その理論は成立たないのではないか。しかるに實際問題としては計畫的遲配によつて食糧が少くなるというならば、私はほんとうに社會黨の諸君と同じように、勤勞大衆の立場からいうと、これは實行のできないことを掲げて、そうして勤勞大衆に迎合されるものだということしか言えないのではないか。私は今日の險しい世相に對して、黨派を離れて、食糧の問題については心配しておるものであります。從つて金の多い、形式的な金の多いものを貰うよりも、實質的に米の量を多く、それはじやがいもでも甘藷でもいいのでありますが、とにかく實物を貰つた方がよほど結構であります。極端にいえば昔のように一石二人扶持というようにして米を貰つた方がいいと考えるのでありますが、安本で考えられるところの實質賃金の増加によつて形式的賃金を補い、通貨の分量を減してインフレーシヨンを抑えるという考え方については敬意を表するものでありますが、そういうことが實際においてできるかできぬか。殊に先ほどの長官のお話では、八、九、十月はだんだん赤字は減るが、十一月になつてプラスになるということでありましたが、實はこの三箇月間ということより、現在というのが一番心配な點であります。その間はまだまだ形式的賃金の補いがつかないで、十一月になつたらある程度プラスになるというお話でありましたが、十一月においては今豫想されるところによると、麥の引上げその他の價格の改訂に伴つて、米價は當然相當大幅に引上げられなければならぬように聞いております。これはまだその時期ではございますまいからお伺いする點はむずかしいでありましようが、常識上四圍の情勢は、米その他のものについて引上げは行われるものと思います。そうするとその間における米價等の引上げその他は、あなた方のお話になつております計畫の中に織りこまれておるかどうか。この點をお伺いしたいと思います。
#23
○和田國務大臣 お答えいたします。計畫遲配という言葉は、われわれとしては別段使つたつもりはないのでありますが、經濟白書の中に述べておりまするように、今までの状態で放つて置けばとにかく十一月五日までに、新米穀年度に至るまで二十日間の遲配になるということなのであります。それをどう埋めていくかということであります。それがたとえば食糧經濟緊急對策の中での代替配給であるとか、あるいは救援米であるとか、それから今度の馬鈴薯、麥の超過供出ということになるのであります。それから私がただいま八月以降十一月までのお話をいたしました中には、救援米とそれから替代配給の面と、麥、馬鈴薯の超過供出の數量を入れて、その面から遲配の日數というものを消していくということを申し上げたわけであります。八月についてはただいま言いましたように、完全に配給しても、やみ物價が非常に高くなつておるので、あれだけのマイナスがでる。しかし九月、十月は麥、馬鈴薯の特過供出が七十萬石ないし八十萬石とれれば、赤字は實質的には解消するということを申し上げただけであります。私が百三十四圓が九月に出、十月には百圓が出ると言うのは、麥、馬鈴薯の超過供出の量を少い六十萬石程度に押えての話でありますから、その面において政府が努力してプラスの面をとつていきましたならば、それは解消できる、こう考えるのであります。
 それから十一月になつたら米が上るから、非常になんではないかというお話でありますが、これも私の方といたしましては、とにかくやみの價格が下ることと、それから配給のルートに乘る分量が殖えるということになりますれば、家計費に響きまするところは非常に大きなものでありまして、それでプラスが出ることになるのであります。たとえばやみの方が三〇%のものが、かりに一〇%減つて、つまりやみ價格が千圓するものか七百圓に下れば、それだけでよほど家計費には響いてくるでありまして、そういう意味におきまして私は申し上げたのでありまして、その努力をわれわれはいたそう、こういうわけであります。
#24
○中崎委員長代理 周東君にお諮りいたしますが、まだ質問長うございますか。
#25
○周東委員 まだありますが……
#26
○中崎委員長代理 あとで理事會を開きますが、今日本會議がありますので、なるべく早く切り上げたいと思いますので……
#27
○周東委員 それでは次の機會にいたします。
#28
○中崎委員長代理 それでは今日はこれをもつて終ります。
   午後零時散會
ソース: 国立国会図書館
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