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1962/05/28 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 商工委員会 第26号
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1962/05/28 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 商工委員会 第26号

#1
第043回国会 商工委員会 第26号
昭和三十八年五月二十八日(火曜日)
   午後一時五十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     赤間 文三君
   理事
           川上 為治君
           岸田 幸雄君
           近藤 信一君
   委員
           上原 正吉君
           古池 信三君
           豊田 雅孝君
           武藤 常介君
           吉武 恵市君
           阿部 竹松君
           久保  等君
           椿  繁夫君
           中田 吉雄君
           松澤 兼人君
           二宮 文造君
           奥 むめお君
  国務大臣
   通商産業大臣  福田  一君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       上林 忠次君
   通商産業省鉱山
   局長      川出 千速君
   中小企業庁長官 樋詰 誠明君
   中小企業庁振興
   部長      加藤 悌次君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○金属鉱業等安定臨時措置法案(内閣
 送付、予備審査)
○中小企業投資育成株式会社法案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員長及び理事打合会の協議事項について報告を申し上げます。
 本日の委員会の議事は、金属鉱業等安定臨時措置法案の提案理由の説明を聴取する。中小企業投資育成株式会社法案について補足説明を聴取し、後、質疑を行なうこととなりましたから御了承願います。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(赤間文三君) それではこれより議事に入ります。
 昨日予備審査のため本委員会に付託されました金属鉱業等安定臨時措置法案を議題といたします。政府から提案理由の説明を聴取いたします。福田通商産業大臣。
#4
○国務大臣(福田一君) 金属鉱業等安定臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 わが国の金属鉱業等は、御承知のとおり、貿易自由化の時期を迎えてかつてない困難な事態に直面しておりますが、政府といたしましては、これに対処するため、さきの第四十国会における金属鉱業危機打開に関する決議を尊重し、抜本的な鉱業政策を確立して金属鉱業等の長期的な安定をはかるべく、鉱業審議会の審議その他を通じて具体的施策の検討を進めて参りました。
 金属鉱業等の安定をはかるためには、鉱産物の生産費の引き下げを促進して、その国際競争力を強化することがぜひとも必要でありますので、政府は、すでに今通常国会において成立をみた金属鉱物探鉱融資事業団法に基づく事業団の探鉱融資その他の措置を講じて、金属鉱業等の抜本的な体質改善策を実施いたしております。
 しかしながら金属鉱業等の早期安定のためには、今後、この体質改善策を一そう積極的かつ計画的に推進する必要がありますが、また同時に、鉱産物は、国際的に需給、価格の変動が激しい商品でありますので、体質改善過程中の過渡的措置として、関連業界の協調による引取体制を中心とした生産及び価格の安定対策を講ずることがぜひとも必要であり、そのための臨時措置としてこの法律案を提案した次第であります。
 この法律案のおもな内容を申し述べますと、その第一は、金属鉱業等の国際競争力を強化して、これを安定させるための計画の策定であります。計画は、基本計画及び毎年の実施計画よりなり、通商産業大臣が、鉱業審議会の意見を聞いて、鉱産物の安定的かつ低廉な供給を確保するため、その合理化の目標、生産の目標等について定めることといたしております。
 第二は、鉱産物の引き取りに関する取りきめであります。鉱産物の生産者および需要者は、一定の要件のもとに鉱産物の価格、数量その他の取引に関する事項について取りきめを締結することができることとしておりまして、この場合には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律は適用しないことといたしております。
 第三は、政府の援助及び勧告であります。政府は、基本計画の達成をはかるため、金属鉱業等を営む者に対し所要の援助に努めるとともに、特に必要がある場合には、原料鉱石の輸入条件の改善、引き取り取りきめの締結または生産数量の制限について勧告を行なうことができることといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(赤間文三君) 以上で提案理の説明は終了いたしました。
 自後の審査は後日に譲ることといたします。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(赤間文三君) 次に、中小企業投資育成株式会社法案を議題に供します。
 本案につきましては、すでに提案理由の説明は聴取をいたしておりまするので、本日はまず政府委員からその補足説明を聴取いたします。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#7
○委員長(赤間文三君) 速記を始めて。
#8
○近藤信一君 この際、ちょっと大臣にお尋ねしておきたいのですが、ただいまも金属鉱業等安定臨時措置法案が提案されましたのですが、会期も七月の六日で終わるのでございますから、もうあと一カ月ちょっとしかない。ぼつぼつと法案が次から次へと出てくるわけなんですが、一体これから政府がまだ予定しておる法律案というふうなもの、いわゆる提案を予定されておる法律案、こういうものは何件くらいあるのか。そうしてそれを今国会で提案されるお考えであるのか、この点をちょっとお伺いしていかなければ、残余の法案の審議の問題等でいろいろ私は複雑になってくると思うので、この点ちょっとお聞かせ願いたい。
#9
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。実はこの委員会においてもお答えをいたしておったところでございますが、鉱業法の改正というものを出すつもりで今準備をいたしております。もう一つは、中小企業対策といたしましての産炭地の売掛金の問題について法案を政府提案として出したいということで、今法制局と打ち合わせをいたしておりまして、大体この二法案を今後追加して出さしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
#10
○近藤信一君 ただいまの御答弁によりますと、鉱業法と産炭地の売掛金ですか、この二つの法案だということなんですが、一体いつごろこれは提案される予定ですか。
#11
○国務大臣(福田一君) 両方ともまだ法制局との審議が完全に済んでおりませんので、今打ち合わせ中でございますので、なるべく早く出したい、こういうつもりで考えております。
#12
○近藤信一君 目下打ち合わせ中だということでございますが、そういう事態では私は今国会での成立ということは非常にむずかしいのじゃないかと思うのです。それと言いますのも、やはり今かかっておりまして、いわゆる重要法案と称せられるものは、御承知のように、中小企業基本法案があり、それから特定産業振興法、こういう重要法案がございまして、この基本法などにおきましては、まだ衆議院においても審議がされていない。こういう段階でございますので、この二法案を提案されても、今国会に成立ということを政府として考えておられるのだったら、私ちょっとむずかしいのじゃないかと思うのですが、この点どうですか。
#13
○委員長(赤間文三君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#14
○委員長(赤間文三君) 速記を起こして。
#15
○国務大臣(福田一君) ただいまの御質問でございますが、大体鉱業法と、それから石炭鉱業に対する売掛金の措置に関する法案の二つを今国会に提案をいたしたいと考えております。
#16
○委員長(赤間文三君) それでは、まず政府委員から補足説明を聴取いたします。
#17
○政府委員(樋詰誠明君) 中小企業投資育成株式会社法案につきましては、去る二月二十六日の提案理由説明の際に概要を御説明申し上げましたが、何分にもわが国で初めての制度でございますので、この際、中小企業投資育成株式会社制度の趣旨及び法案の内容等につきまして、若干の補足説明を申し述べたいと存じます。
 中小企業の、安定と発展をはかるために、長期安定資金の供給体制を樹立する必要が痛感されるところでありましたが、たまたま米国において中小企業投資法の制定が行なわれ、中小企業投資会社の非常な発展を見るとともに、わが国においても証券市場、特に第二市場が大きく伸張して参りましたので、これら内外の事情を勘案して、中小企業投資育成会社構想について検討を加えて参った次第であります。昨年五月におきましては、中小企業庁に中小企業金融関係各界の代表の方々十五名からなる中小企業金融懇談会を設け、投資会社構想についても十分御審議をいただきましたところ、七月末、投資会社制度をわが国に設けることの必要性と制度の大綱について結論を見るに至りました。この間、中小企業界におきましても、商工会議所を中心に本制度の実現を推進する要請が高まって参りました。このような情勢のもとで、中小企業投資育成会社を設けることについて、三十八年度予算措置が決定を見ましたので、本法案を提出した次第でございます。
 まず、本制度の趣旨について申し上げます。
 わが国の中小企業は、大企業との生産性格差を是正するため近代化を進める必要がありますが、それに加え貿易の自由化、労働事情の変化に対処して、近代化を従来以上にかつ緊急に推進することを要請されております。このためには、まず多額の設備投資を行なわなければなりませんが、設備資金の調達にあたっては、できるだけこれを自己資本の形で調達していくことが経営の安定性、弾力性を高めるために肝要なことと存じます。また実際問題として、設備資金の借り入れにあたって、金融機関から相当程度の自己資本の充実を要請される事例も多いのでございます。ところが、中小企業は、同族的色彩が強く、株主の範囲も限られておりますため、企業規模が相当な水準になって参りますと増資資金も大きなものとなり、みずからの力のみでは資金をまかなうにおのずから限界があります。一方、証券市場を通して安定した株式資本を調達する道も閉ざされているのでございます。したがいまして、このような中小企業に対して、補完的に株式資本を供給し、その自己資本の充実を促進し、あわせて経営技術上の相談にも応ずることによって、将来は独力で証券市場から資本を調達することができるようになるまで、中小企業を育成する機関を創設することとしたいと存じた次第であります。
 次に、この法律案の主要な点について御説明申し上げます。
 まず第一条は、目的に関する規定でありますが、さきに申し上げましたこの制度創設の趣旨に即しまして、会社の目的が中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展をはかるため、中小企業に対する投資並びにコンサルテーション業務を行なうことにあることを簡潔に規定したものであります。
 投資育成会社の法的性格は、商法上の株式会社でありますが、その成立が本法によって予定され、設立行為が公権的に進められ、事業の運営等について、本法の特殊の規制を受けるという意味において特殊の株式会社であります。このように特殊の会社形態を採用いたしましたのは、会社の事業が中小企業に対する長期の投資と育成を行なうものであるため、当初から純然たる民間ベースで発足させることは、資金調達その他の面でかなりの困難性が予想されること、並びにその事業の法的性格にかんがみ、政府が特別の助成と監督を行なう必要があったからであります。
 次に、第二条におきまして、中小企業投資育成株式会社は、東京、名古屋及び大阪の各地にそれぞれ設けることといたしております。従来の特殊会社法では、一社制が例となっておりますが、本法で複数会社制を採用いたしましたのは、投資事業という事業の性質上、できるだけ地元中小企業と密着した業務運営が行なわれることが望ましいこと。また資金の調達面で、民間経済界や地方公共団体の協力を仰ぐためには、地域ごとに設けたほうが円滑にいくと判断いたしましたことなどによるものであります。会社の数を三社といたしましたのは、会社存立の背景となる対象中小企業層の広がりや厚さなども考慮した結果であります。
 法案の第三条から第五条までは会社の株式、主として会社に対する国の出資に関する規定であります。
 まず、中小企業金融公庫は、投資会社の発行する株式を引き受けることができること、すなわち国は同公庫を経由して投資会社に出資することといたしております。投資会社の事業は極力民間ベースで行なわれ、その運営が機動的に行なわれることが望ましいため、国としてはできるだけ投資会社に直接参加する方式を避けたほうが適当と考え、このような経由方式をとったのであります。
 次に、中小公庫の引き受ける株式は議決権がないこと、利益の配当等について優先的内容を有すること、利益をもって消却することができることの三点を内容といたしております。ただいまも申し述べましたように、投資会社に対する出資にあたりましては、その聖業の性格上機動的な運営を期しました半面、国の出資援助は投資会社の経理的基礎が確立し、その事業が軌道に乗るまでの過渡的な援助と考えまして、投資会社の経営に入り込む度合をなるべく低くすることといたしました。このため株式の内容につきましても、議決権のない株式とし、将来の償還を予定し、かつ優先配当株式といたしております。ただ優先配当株式でありましても、株式である以上、利益がなければ配当がないという原則は当然適用されますので、優先配当割合については当然適用されますし、優先配当割合については極力低くとどめる方針といたしておりますこと。また本法案の附則におきまして、優先株式に対する優先配当については税法上非課税扱いとする措置を講じておりますこと等をあわせ考えれば、投資会社の経理については、かなりの援助効果を発揮し得るものと考えております。
 さらに、中小公庫の投資会社に対する出資の限度は総額で六億円であり、それぞれの投資会社についてその発行済み株式総数の三分の一であることといたしております。三十八年度予算措置といたしましては、産業投資特別会計から中小公庫に六億円が出資され、これが東京、名古屋、大阪の三投資会社に配分されることとなっておりますため、投資会社に対する出資の総額が六億円以内であることを法律に明示いたしました。また投資会社に対する出資者といたしましては、中小公庫のほか、地方公共団体及び民間を予定し、それぞれにつきまして中小公庫の出資と同額以上の出資を期待いたしておりますため、中小公庫の出資額は各投資会社の資本金の三分の一以内であることを規定いたしました。
 なお、投資会社の事業量の増大に伴い、資金の借り入れが必要となりますが、会社の経理状況等から見て、当面は民間借り入れが困難と考えられますので、第十六条において中小公庫から融資の道を開くことといたしております。
 第六条においては、投資会社に中小企業投資育成株式会社という商号を文字の専用権を認め、投資会社以外のものによる商号の使用を禁止することとしております。
 第八条は、投資会社の事業に関する規定であります。投資会社の事業は、中小企業が増資に際して発行する株式を引き受け、これを保有する事業、並びに投資先中小企業の依頼に応じて経営、あるいは技術面の指導を行なう事業であります。対象となる中小企業は、資本金五千万円以下の株式会社で、産業構造の高度化または産業の国際競争力の強化の促進の見地から、政令で定める業種に属する事業を営むものでありますが、この制度の趣旨が中小企業の株式公開によって資本調達力を強化することにあること、並びに証券市場の現状等にかんがみまして、資本金一億円になるまでは再増資に応ずることができるものといたしております。対象企業の業種を限定いたしましたのは、政府資金の投入をささえとして設立される投資会社の限られた事業資金を、国民経済的に最も望ましい方向で効率的に運用しようとする趣旨に基づくものでございます。
 以上のほか、投資会社に対しては、中小企業の健全な成長発展に資するよう事業の適切な運用をはかる目的から、通産大臣が所要の監督を加えることといたしております。そのおもな事項は、第三条第七項の新株発行の認可、第七条の代表取締役等の選定等の決議の認可、第九条第一項の事業に関する規程の認可、第十条の事業計画等の認可、第十一条の定款変更等の認可、第十三条の業務監督命令、第十五条の報告聴取及び検査などでありまして、このうち一定の事項の認可については大蔵大臣に協議することとなっております。
 以上が本制度の趣旨及び法案の概要についての補足的な御説明でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、本法案を可決されますようお願い申し上げます。
#18
○委員長(赤間文三君) 以上で補足説明は終了いたしました。
 それではこれから質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#19
○近藤信一君 まず、私は内容の質疑に入る前に、ちょっとお尋ねしておきたい点が一、二点あるわけなんですが、この法律案を見て、まず私思いましたことは、名称の問題でございますが、衆議院で答弁されたところによると、やはり投資育成する会社は五千万円以下と、こういうことになって、それじゃ下はどうかというと、何か五百万円以上と、こういうことを言っておられるのですが、そういたしますと、私はやはり中小企業という小をお入れになったことは適当でないと私は思うのですが、いかなる理由で中小と、小企業に関係あるかのごとき名称をお用いになったのか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
#20
○政府委員(樋詰誠明君) まず、確かにこの会社が対象として手短しておりますものの主力は、五百万円から五千万冊までのものということになろうかと、こう存じまして、大部分はいわゆる中堅企業というか、中規模企業であるということになろうと思います。しかし、中企業という言葉、これは法律的にもはなはだ熟さない膏薬等でもございますし、われわれといたしましては、この法律だけで中小企業政策をやるわけではございませんが、今のいろいろな政策とあわせて中小企業の生産性を向上させ、大企業との格差を是正し、また中小企業同士の間における中堅企業と小企業との間の格差是正ということにつきましても、ほかのいろいろの金融上の処置とあわせてとっていきたいと、こう考えております。原則としては、五百万円以上というふうに考えておりますが、これも別にきちっときまったわけでもございません。若干の例外もあり得るかと存じますが、主として中企業投資育成会社、かりにこう言いましても、非常になじまない言葉等でもございますし、アメリカあたりでもスモール・ビジネスということで向こうは小企業投資会社というようなことをやっておるわけでございますが、まあ一応一般的な観念に従いまして中小企業という青葉を使ったわけでございます。
#21
○近藤信一君 今も長官からも答弁がございましたように、私は五百万円以上ということになりますと、今の御答弁にありましたように、中堅企業、こういうことになると、私は中産階級という定義もあるのだし、むしろ私は内容からいくと、やはり中企業の投資育成、このほうが私は適当でなかったのじゃないかというふうに思うのであります。やはり中小とこう書いてありますると、これは内容を見ずに小企業の方々は、これはわれわれのところにも恩典があるんだな、こういうふうに錯覚をすることがあるのじゃないか、こういうふうに思われるわけなんですが、この点はどうですか。
#22
○政府委員(樋詰誠明君) こういう法律を作りましたのは、先ほども補足説明で申し上げましたように、中小企業で非常に同族会社が多いわけでございまして、同族会社であることから、一定規模以上になると、それ以上の増資がなかなか同族だけではできないといったようなこともあるわけでございます。それで五百万円以上の会社が主として取り上げられるであろうというふうに申し上げたことも、そういう増資等の関係からだんだん規模が大きくなってくると、同族だけではまかなえないということが非常に多くなるのではないかということで、一つの目安として五百万円ということを申し上げたわけでございまして、五百万円以下は、じゃ取り上げないかというと、そうじゃございませんで、場合によりましては、妥当な長期的な設備投資計画等を持ち、そして将来のいろいろな見通しというものから、あまりこの会社が長いこと塩づけの状態で泣かんでも済むなというようなものは取り上げるわけでございまして、これは逆に中企業投資育成会社といたしますと、小企業は逆に全然取り上げられないということになりますと、小企業とは何かということの定義等も非常にむずかしゅうございますので、一応中小企業投資育成会社と、中小企業という一番熟した言葉でやっていただきまして、その運用に当たり実情に即して同族ではできない会社に援助の手を伸ばすということでカバーしていきたいと思います。
#23
○近藤信一君 内容をずっと見てみますと、今まで中小企業立法、たくさんいろいろな法律があるのですが、それと重複するがごとき感があっちこっちに見受けられるわけなのですが、それをあえてこの中小企業投資育成株式会社法案を出さなければならなかった理由ですね、これはもうこの理由にも書いてありまするけれども、やはり私はなぜこれを特別に一つの単独立法として出さなければならなかったか、そういう点もう少し詳しく御説明が願いたいと思います。
#24
○政府委員(樋詰誠明君) 中小企業が、たとえば銀行等に参りました際に、しじゅう言われますことは、非常に妥当な計画を持っておりましても、自己資本がこれじゃ少し少なすぎるから資本構成を是正してもらいたい。あなたの会社にお貸しはしますが、もう少し資本構成を是正して自己資本の比率を高くしてもらわないと、どうも金融機関として安心して融資するわけにいかないといったようなことを言われる例が、大企業の場合よりも非常に多いわけであります。中小企業に対しまして政府関係金融機関等を通じていろいろ所要資金の調達等については、先生御指摘のようにいろいろ努力もいたしておりますし、所要の措置も講ぜられております。もちろん十分だとは思っておりませんし、この点については今後ますます拡充しなければならないものと思っておりますが、しかし、他人資本であります限りにおいては、やはりほんとうに企業が強くなったということが言えないわけでございますので、この際、自己資本の充実という今まで取り上げられなかった面に力をそそいで、そうして中小企業の体質改善をはかっていきたいということから、この法案の御審議をお願いしているわけでございます。
#25
○近藤信一君 中小企業は先ほど長官から言われたように同族会社が多い。そこで同族会社が多いので、同族会社では自己資本で伸びるだけ伸びて、それ以上は伸びないのだ、こういうわけで、こういう立法ということになったわけです。そこで、日本の中小企業は、ほとんど同族会社ばっかりであって、その中で五百万円から五千万円くらいの資本ですね、それは一体どれくらいの比率であるのか。
#26
○政府委員(樋詰誠明君) ただいま御手元に「中小企業投資育成株式会社参考資料」というものを差し上げてございます。これの二ページ第一表でございますが、一応全産業といたしまして企業数が五十万六千七百二十一人あるわけでございます。このうちこの投資育成株式会社の対象にしたいと思っておりますのは、先ほども申し上げたと思いますが、日本の産業構造を高度化するに役立つと考えられるもの、あるいは国際競争力の増強に非常に緊急性が感ぜられるものというふうに考えておりました――さしあたりは製造業を中心にいたしたいと思っておりますが、製造業でございますと十六万五千九百六十五で、大体約十六万六千あるわけでございますが、このうち五百万円以上五千万円未満というのは、二ページにございますように、上から二段目一万百六十四ということでございます。
#27
○近藤信一君 今、配付されたのを私気がつかなかったので……。
 じゃ、その次に、ちょっとお尋ねしておきたいことは、地域的にこの法律案では、東京、名古屋、大阪とこういうふうになっておる。当初私が聞きましたときには、東京と大阪だけ、あとから名古屋が追加されて、それでこの法律が提案されたわけなんですが、なぜこの三カ所にこれが地域が決定されたのか、その点ちょっとお尋ねいたしておきます。
#28
○政府委員(樋詰誠明君) 先ほど補足説明で申し上げましたように、普通の特殊会社というのは、大体全国一社制度というのが普通でございます。この投資育成株式会社というものの制度を作るにあたりましても、昨年いろいろ関係方面の学識経験者の御意見を伺ったわけでございます。ところがこの投資育成株式会社という会社の性質上、できるだけ地元の中小企業に密着して業務を行なうべきである。全国一本で支店という格好よりも、主要な地に本店そのものがあるといったほうが、より密着した運営が行なわれるんじゃなかろうかということと、特殊会社ではございますが、政府は三分の一以下の金しか出しておりませんで、残りの三分の二はそれぞれの地方行政機関あるいは地方の財界というような方々に出していただくことを予定しておるわけでございまして、そういう資金を調達する面という上からも、地方開発といった面からも、それぞれの地方に作ったほうが、財界にしてもあるいは地方自治団体にしても金を出しやすい、よけいこのほうが、つまりたくさんの企業が取り上げられるのじゃないかということで複数にしたわけでございます。で、われわれといたしましては、当初から少なくとも三つ程度ということを希望したわけでございますが、何しろ日本で初めての制度でございますので、まず発足させるということが先であるということで、予算折衝いたしました結果、一応政府の予算のきまりましたときには、東京と大阪でやったらどうだろうかということになったわけでございます。ところがその後非常に名古屋財界あるいは中部地方の県、あるいは名古屋市あたりから非常に強い御希望がありまして、自分のところは非常にたくさんの中小企業をかかえておるし、むしろ東京、大阪というところにくっつくよりも、自分らのところで独立した会社を作っていただければ、決して東京、大阪に負けないだけの金を地元で集めてりっぱな会社を育成していくという意見が強く出まして、結局いろいろ審議していく過程におきまして、六億の金を三つに分けても大体順調にやっていけるであろうという一応の見通しがつきましたので、三社ということにしたわけでございます。
#29
○近藤信一君 三つの地域に六億の出資ですね、その六億が、その内容を見てみますると、やはり東京、大阪二億五千万、名古屋に一億とか、こういうことで非常にそこに二億五千万と一億というように差があるのですが、これはどういうところからそういうことになったのですか。
#30
○政府委員(樋詰誠明君) 大体これは三つの地域、これは別にはっきり営業区域がきまっておるわけではございませんが、おのずからと申しますか、大体普通の場合、東京は関東以北、大阪の会社は関西以西、まあ名古屋の会社は中部地方というのが大体主たる対象になろうかと、こう思われるわけでございます。そこで中小企業の中でも主としてこの対象になるであろうと思われる、百人から二百九十九人までの間の比較的中堅的な企業というものの分布状態を調べてみましたところ、東京が三千四百四十九、それから名古屋が千百六十三、大阪が二千九百七十六。東京、大阪、名古屋と申しますのは、先ほど申しました関東と関西以西、それから中部地方ということでございますが、大体そういう割合になりますので、二億五千、二億五千、一億というように大体企業数にほぼ合ったような格好になるわけでございます。
#31
○近藤信一君 最初から三つの地域を予定されておられたようでございますが、そうすれば三等分で設立をするというのが妥当でないかと、こういうように私は思うのです。ところがこれは数字をあげてされましたけれども、三千四百四十九というのは、東京から北海道を含んでのお話だと思います。それから大阪の二千九百七十六というのは、関西から九州を含んでのお話だと私は思うのです。一方におきましては、地域が広い、一方においては中部といっても東海、北陸のようでございますが、こういうように一方は大きな地域を管轄するといいますか、そういうことで二億五千万と、こういうことだと私は思うのです。そうなれ当初、これが成功するかしないかは別として、まず三カ所にということでございますが、それで東京から北海道までの間を東京でやれるかどうか。それであったならばむしろ一本で最初からいくべきではなかったかというふうにも考えられるわけですが、この点はどうですか。
#32
○政府委員(樋詰誠明君) 地元の中小企業に密着して運営が行なわれるべきである、こう申し上げましたが、何といいましても、あまり各地に設けますと、これは投資をして五年なり七年なり個々の会社の株をじっと抱いとってあげて、そうして一般の公開市場に売り出せるようになったら、そこで公開市場に府がわりして、新しい会社を次に育てていくということでございますので、おのずから対象の範囲というものには非常に限定があるわけでございまして、あまり各地におきますと、最初の一年、二年は取り上げる会社があったが、三年目あたりからは会社がなくて、あとは何もせぬで株だけじっと抱いているという格好になってはあまり能率的でない。そういう点から申し上げますと、今申し上げましたような千あるいは三千程度という会社くらいでスタートしたほうがいいのじゃないか、これはスタートいたしまして、さらにその成績を見ましては、まだまだ中小企業の数は多うございますので、さらに大蔵財政当局と折衝して検討していきたいと考えておりますが、さしあたりこの三つで、まず新しい制度によってどのように動くかということを試みさせていただきたいと思っているのであります。
#33
○近藤信一君 新しい制度で発足されるわけでございますから、政府としては慎重なかまえで臨まれたと私は思うのです。そのことはいいといたしましても、やはり三カ所に最初からこれを設けるということであったならば、中部は東海と北陸だけというふうに限られるのじゃなくて、やはりこれはもう少し三つの地域にふさわしい地域的な按分といいますか、そういうことにすべきじゃなかったかと私は思うのです。何かこれを見ると、名古屋のほうだけがまま子扱いで出資額が非常に少ない、また一方裏返してみると、私が最初聞いておった話では、地元のほうから、要望があったから、あとから名古屋にも置かなければならないということで、東京、大阪に予定しておったのをそれを削減してこちらのほうに持ってきて、一億円というふうにやったのであるというふうに聞いているのですが、これはどちらがほんとうですか。
#34
○政府委員(樋詰誠明君) これは予算がきまりました段階においては、二つということであったわけでありまして、これは先生の御指摘のとおりのことであったわけであります。またわれわれも単数でなく複数で最初発足させていただきまして、できれば数が多いほうがいいと思ったのでありますが、初めから三つ、四つと申しましても、なかなかトライアルとして三つ、四つということでは、大蔵当局のほうで受けつけていただけないだろうということで、複数ということによって通れば、あとは実績で所要の地域に次々に設けていきたいということであったわけであります。幸いにいたしまして、予算がきまってから法案を提出するまでの問に、名古屋の地元の財界あるいは地方自治団体のほうから強力な要望がありまして、むしろ自分のところはほかのところよりよけい金を出すということであってもいいから、むしろここで自分の手で自分のほうのものを作りたいというので、こういうふうな分け方にいたしたのであります。なお、非常に広い地域それから中部の比較的狭い地域というお話がございましたが、中小企業が集まっておりますのは、これは先生一番御存じのように、東京と名古屋と大阪と、そこに圧倒的なものが集まっておるわけでございまして、結局はこれらのやはり中小企業が一番集まっておるという地域を中心にいろいろ施策が発足されるものと、そういうふうに存じていたしておりますので、この三つでとりあえずスタートさしていただきたいと思ったわけでございます。
#35
○近藤信一君 今の長官の答弁でよくわかりましたけれども、将来だんだんと成功して発展していくと、また他にもできるというふうな予想をしておられますか。
#36
○政府委員(樋詰誠明君) これはこの法案を衆議院で御可決いただきました際に、附帯決議がつけられておるわけでございます。今後必要に応じてこの三都市以外の地域にも設けることを考慮すべきであるという各党一致の附帯決議をいただいたわけでございます。これに対しまして、通産大臣が極力その御趣旨に沿うように努力いたしますというふうに申し上げておりますので、今後、この会社の発足後運営の状況によりまして必要のある地域には、このただいまの大臣の申し上げました線に沿ってわれわれは努力をすべきであると考えております。
#37
○近藤信一君 私はなぜこのことをお尋ねするかというと、今、経済企画庁でも産業都市の指定地域の問題が出ているわけですね。十カ所ばかり産業都市を指定するというふうな話があるわけなんです。やはり産業都市が指定されれば、むしろ考えられることは、当然そこには中小企業が、大企業はぽんとそうくるわけじゃないのだから、やはり中小企業がまずその産業都市に結集してくるであろう、こういうことが予想されるのです。そうすると、やはり範囲というものがだんだんと広がっていくという私は見通しを持つわけなんです。そういう点で、私は質問したわけなんです。はやり今の長官の答弁でよくわかりましたので、私もこれ以上質問しませんが、あとは法案の内容でございますので、委員長、私はきょうはこの程度にしておきたいと思いますが、ほかの人があれば……。
#38
○椿繁夫君 ちょっと今の近藤委員の質問に関連してですが、これまで中小企業の範囲、規定を一千万円以下、あるいは従業員は何人以上というようになっていたのが、今度広がって、五千万円以下ということになったわけですね。それから何か今伺いますと、衆議院のほうでお答えになりました際、この法律の対象は五千万円以下、五百万円以上というようにお答えになっておるようですが、これに関連して、中小企業と名のつく一切の法律の改正がこれはやはり今後問題になってくると思う。そういう際に、この五百万円以下はもう相手にせぬというような考えで、政府が中小企業というものの範囲を考えられるようなことになると、これはたいへんだと思う。で、条文の上では、五千万円以下ということだけが出て、五百万円以上ということは出ないのでしょうが、しかし法律の運営に当たる政府のほうでそういうことが答弁の中へ出てくるということになると、これはよほど問題はそう簡単じゃない、こう思うのですが、何か政府のほうで中小企業の範囲ということについて、そういうお考えなり意思統一なりをされた上で、そういう御答弁が衆議院の委員会に出てきたのでしょうか。
#39
○政府委員(樋詰誠明君) まず、五千万円以下というふうにいたしましたのは、この法律提出の趣旨が同族だけでは資本金が集まらない、公開市場等から集めなければ十分な増資ができないという方々に対して、公開市場に株が出せるまでひとつ育て上げようということが目的でございますが、今御承知のように、第二部の株式市場は資本金が一億円以上でないと上場できないことになっております。また、証券会社に登録いたしまして店頭売買の対象になる、これも一種の公開でございますが、これは五千万円以上でないと登録できないということになっておりますので、最小限度とにかく五千万円以上にしないと、一般の大衆に株を持っていただくということができない、そういうことになるわけでございますので、五千万円以上にできるだけ早くして上げようということにしたわけでございます。
 それから下のほうの定義、これはこの会社は、国と地方自治体と民間と、三つの方々から金を出していただきまして、中小企業の自己資本を増額して、将来株式を一般の公開市場で調達できるところまで持っていこうということでございますが、あまり長い間これをじっと抱いているということになりましては、非常に資金の効率が悪くなるというふうに思われますので、一応たとえば今資本金五十万だ、三十万だというような方の株を持って公開市場で将来五千万までになるということになりますと、やはりこれは十年とか十五年とかあるいはかかるんじゃないか、その問じっと株を持っているかどうかということになりますと、これは非常に会社としても資金の効率的な使い方になりませんので、そういう方々はむしろ設備資金その他にいたしましても、別の金融の面等で近代化設備をやるということの御援助をいたしまして、その面から早くある程度の、三百万なり五百万なりくらいまで資本を増額できるといったような実力を別途つけていただくということにしたほうが適当ではないかと思ったわけでございます。
 それから先ほど近藤先生からのお話しの、中企業で小がないじゃないかというときに申し上げましたが、われわれは一応の標準が、大体五百万円以上のものが取り上げられるということが、その保有期間等から見て多かろうということを申し上げたわけで、五百万円以下は絶対に取り上げないということではないわけでございます。むしろこれを中企業といたしまして五百万円以下は取り上げないということになると、かえって小に対する配慮が足りないということにもなろうかと存じますので、下のほうは必ずしも五百万円ということではっきりきめるわけではございませんで、一応そのあたりが一応の目安になるんじゃないか、そうしてそれ以下の方々につきましては、政府金融機関の融資あるいは設備近代化のための補助金、高度化資金の活用というようなことで、そっちの面から体質改善をしていただいて、そうして増資ができるような格好にひとつ持っていく、その上で、この会社を利用していただくというようなことのほうが、広く皆さんにこの制度を利用していただけるんじゃないかということで衆議院等で申し上げたわけです。決して五百万円以下は相手にしないということではございません。
#40
○椿繁夫君 五千万円以下ということは、この会社の株式を公開市場に上場したりなんかするのにも好都合だというようなことで、五千万円ということにしたんだと、お話はわかります。そこで政府でお考えになる中小企業とは、資本金だけで申しますと、一千万円以下というふうにこれまではなっていましたが、今度五千万円以下ということに改めるということは、この投資育成会社法、今審議しておりますこの法律だけで、この資本金は五千万円以内、ほかのところには在来の解釈で範囲を統一しておる、こういうふうに理解するのですか。
#41
○政府委員(樋詰誠明君) 従来中小企業の範囲というものは、ただいま先生御指摘のように、従業員が三百人か、資本金が一千万円か、いずれかに該当するものということだったのでございます。ところがこれは大体十年前にきめられた定義でございまして、最近非常に設備投資がこの数年来各方面で行なわれておりますが、三百人程度の従業員を使っているところの資本金規模は、十年前は一千万円くらいだったわけでございます。ところが十年後の今日は五千万円になっているというので、たまたま基本法のほうでは、事実に合わして、三百人というなら五千万円にしないとバランスがとれないということでやったわけでございますが、これにつきましては、この前、休会前の国会でも申し上げましたように、まだこれから基本法の審議の際にいろいろ御審議いただくことで、とりあえずは、政令に譲るということで預りというような格好にしていただいているわけでございます。この法律で五千万円といたしましたのは、その基本法に五千が円と書いたからここに持ってきたというのではございませんで、この法律が一般株式市場で資金を調達するということを目的にしておりますが、それは証券界で五千万円以下は登録できないという建前になっておりますので、公開市場に出し得る最低限度まで持っていきたいということで五千万円にしたわけで、たまたまそれが同じ五千万円でございますので、何か基本法に合わしたかのようなことになっておりますが、それはたまたま二つが五千万円で一致したということで、必ずしも基本法をそのまま受けているわけではございません。
#42
○椿繁夫君 法案の内容につきましては、いずれ後日に譲りたいと思います。対象の業種などが政令に委任されておるようでありますから、それらの内容についても伺いたいのですが、あわせてこれは後日に譲ります。今の五千万円以下ということのお話はわかりました。
 ところが、いただいておりますこの資料によって見ましても、この法律の対象は主として製造業に限る。で、全体で約十六万六千ございますものの中で、五百万円未満というのが十五万二千はある。長官の御説明では、五百万円以下はこの法律の対象にはしないのだということではありませんという説明はございましたけれども、何か五百万円以下のものは特殊なものじゃないと、これはもう取り上げぬのだということがちゃんと底意にうかがわれる、御説明を聞いておりますと。そこで、五百万円未満の資本でありましても、なかなかこの国際市場に相当出ている業種もあるわけです。しかも小資本でもってどんどん輸出をやっているような業種はたくさんある。私が承知しているだけでもございます。そういうものについては何か別のお考えを持っておられますか。
#43
○政府委員(樋詰誠明君) 比較的小規模のものに対しましては、たとえば設備近代化資金のいわゆる無利子貸付というような制度があるわけでございますが、それは大体百人以下というようなところに、九二%くらいが百人以下という、むしろ規模の小さな、大体資本金でいいますと、五百万円程度に相当するというところに主として運用されているわけでございまして、われわれはこの近代化補助金あるいは高度化資金特別会計からの貸付金、または国民金融公庫からの融資といったようなことで、この投資育成会社による以外の方法で、まず中小企業の近代化をはかって体質改善をするということについていろいろ努力しているわけでございまして、もちろん現在の段階において十分だなんということは思っておりませんで、まだまだこれからやるべきことだと思っておりますが、規模の比較的小さな方々にはむしろそちらの方向でいろいろごめんどうを見る。この投資育成会社という制度は、繰り返すようでございますが、五千万円以上に早くもっていって、公開市場に肩がわりをして、また次の候補者を取り上げて育成するということでございますので、あまり小さい方々を取り上げますと、一回転するのに十五年も二十年もかかったのでは、これは非常にまだるっこしいと申しますか、あまり長く資金が固定して効率的な使い方ということにもなりませんので、おのずから投資というものに適するものと、それからさしあたりは金融その他で実質的に設備の近代化等を講じて、体質を改善してあげるほうが近道であるというような方々とは、それぞれの施策を別にしてやったほうがより効果的に行なわれるのじゃないかということから、こうやったわけでございまして、くどいようでございますが、五百万円以下は相手にしないというわけではございませんが、じゃ、五百万円以下は全部主として取り上げろということになりますと、この制度の趣旨としては非常に長い間寝かせることによって効率的に使えないということを考慮いたしました次第でございます。
#44
○近藤信一君 ちょっと関連して。
 先ほど長官の答弁ちょっと間違っているんじゃないかと思うんだが、定義の問題ですね、定義の問題で長官は、今長官のお話で、十年前の法律できまったんだ、一千万円というのは。だから十年前三百人で、一千万円の資本、それが定義になっておる。で、今日では三百人程度だったら五千万円程度であろう。しかし、十年前の法律であろうと今日であろうと法律には私変わりないんだから、長官のほう、その答弁からいくと、私は法律違反だと思うんだ、そんなことは、ああいう答弁であれば。あの点は長官ちょっと答弁間違っているんじゃないかと思うが、どうですか。
#45
○政府委員(樋詰誠明君) 私どもが基本法に出しておりますのは、あくまでも、従来中小企業といわれましたものの実体にできるだけ近い格好で、中小企業をとらえたいと思ったわけでございます。そのことが、従業員三百人程度使っておる方は、最近非常に中小企業の資本装備率が上がりましたので、それを反映して、資本金が非常にふくれて五千万円程度になっておるという事実から、そうやったわけでございます。逆にサービス業、商業というものにおきましては、これは三十人ということにしておったわけでございますが、一千万円または三十人。ところがこれはそう固定資本が要らないものでございまして、調べてみますと、一千万円の資本金の方はむしろ現在五十人程度の従業員を使っておられるということで、商業におきましては、これはむしろ人数のほうともふやして五十人というふうにしたわけでございまして、われわれはあくまでも、ごく最近の中小企業と称せられるものに一番ふさわしい範囲は、いずれであろうかということで、製造業あるいは商業というものに分けて規定したわけでございます。
#46
○近藤信一君 なるほど、現在のあれからいけばそうなるんだけれども、中小企業というものの定義というものは、やはり現在法律では、三百人、資本金一千万円と、こうなっているんです。それには変わりないでしょう、まだこれは改正になっていないと私は思うんだが。そうすると、先ほど椿委員が質問しておられました点はその点だと思うんですよ。定義の問題でね、その後、変わったかどうか、変わっていないのに五千万円になっているのはおかしいじゃないかというのが椿委員の先ほどの質問だったと思う。
#47
○政府委員(樋詰誠明君) 御承知のように、従来の法律では、たとえば中小企業金融公庫法とかあるいは団体法という法、それぞれの法律に三百人以下とかあるいは一千万円以下とかいうことがあるわけでございまして、全体を通じまして、およそ中小企業とはどういうものだということはなかったわけでございます。それぞれの施策ごとに法律で個別に定めておったわけでございます。それを今度の法律におきましては、一応基本法と名をつける以上、その対象になるものの大まかな範囲はあらかじめきめる必要があるのじゃないかということから、今の五千万円とか、あるいは三百人とかということをいっておりますが、それは基本法にもはっきり書いてございますように、これもあくまでも原則でございまして、おおむね次のとおりとし、施策ごとにこれを定めるということで、今後基本法ができましてからも当然例外規定はあり得る、こういうふうに考えております。現行の段階におきましては、中小企業というものの定義はどこにもないわけで、たまたま中小企業金融公庫が金を貸す際には、一千万円じゃなければいけないとかということをいっておるわけでございまして、別に法律違反ということはないかと思っております。
#48
○椿繁夫君 この法律を作るのには私は賛成なんです。五百万円以下の資本金によって、しかも輸出の方面においては相当出ておるものもある。国際競争力をつけていく、そのために設備の高度化をはかり、近代化もはかるというようなことが目的で、この育成会社法というものを提案されておるのだが、十六万幾らの中で十五万二千も五百万以下の製造業がおるのに、中企業だけを対象にして、主として考えて、十五万二千からある五百万以下のものについては、かわるべき何かのものはお持ちじゃないのですかということを聞いておる。今お話だと、いろいろ並べて効能の御説明がありましたけれども、それは五百万円以下の資本の小企業だけが活用するのじゃなくて、言われておる中小企業全体が恩恵を受ける法律なんです。だからこれと同じように中事業をお考えになれば、大多数の小企業については何か特別のものをお考えになっていませんかということを伺っておるのです。
#49
○政府委員(樋詰誠明君) たびたびお言葉を返すようで恐縮でございますが、小さなところには近代化資金の補助金あるいは高度化資金融通特別会計からの無利子の貸付金というようなことが、今回三十八年度から、この前御審議いただきましたようにかなり増強されておるわけでございまして、われわれといたしましては、今後その方面をさらに進めていく。それから国民金融公庫というようなものからの融資をできるだけたくさんにするということについて、財政当局にさらに強力に働きかけて、一番多い小規模の方に隅々までいき渡るように、さらに中小企業の本命は金融と並んで税制でありますので、税制についても小規模の方々の担税力に応じた税制ということを考えていただきたいということを、これは税制審議会のほうでいろいろ御検討いただいておるわけでございます。そちらのほうにわれわれとしてはお願いしておるわけでございます。
 それから五百万円以下の方は比較的同族会社で、中小企業と申しましても、相当個人的にはお金持の方がおられまして、増資がある程度小さいところは容易だといった比較点の問題でございますが――ような点もございまして、ほんとうに資本構成を是正しなければなかなか金融機関等にも金が借りられないといったような場合に、御自身で踏み切ればある程度増資を実行するだけの力を持っておられるといったような方々もたくさんおられますので、そういう方々は御自分でまず増資をやっていただく、それから先ほど申し上げましたような、中小のなかの小を主として考えている施策というものをできるだけ今後拡充するということで、こちらの方々にはできるだけのお世話をするということをやりたいと思っておるわけでございます。
#50
○豊田雅孝君 衆議院の商工委員会の附帯決議によりますと、「中小企業投資育成株式会社は、将来必要に応じ、三都市以外の中小企業の集中する主要地にも配置するよう考慮すべきである。」ということになっておりまして、通産大臣もこの趣旨に極力沿っていくという答弁をせられたようでありますが、具体的に今後どこらが必要性が生ずる、またそれに応ずることが適当だというふうにお考えになっておるのでしょうか、それを伺いたいと思います。
#51
○政府委員(樋詰誠明君) その附帯決議にもございますように、「将来必要に応じ、」ということでございますけれども、それはまずこの三社を発足してその運営状況を十分見た上でやりたいと、こう思っておるわけでございます。大体先ほど申し上げましたように、全国に百人から三百人以下の間の企業が七千六百ばかりあるうち、三千四百から三千、それから千百というふうに三つに分かれているわけでございますけれども、この次に集中しているところと申しますと、これは附帯決議の際、先生方お聞き及びと思いますけれども、四大工業地帯といわれているときになぜ三つにしたかという御意見もあったわけでございます。ただ、われわれといたしましては、これを東日本が三千四百、西日本が三千、それから中部が千百ということを考えると、このくらいがちょうどいいのじゃないかと、こう思ったわけでございますが、今後それぞれの地域開発の問題もございましょうし、この会社自体の発足後のいろいろな運営の実績というようなものを見まして、もっと設けたほうが適当だと思われるようなところがあれば、そこに設けたいと思っておりますが、これはどこに設けるということでございませんで、いわゆる東京を中心にする関東地方、それから大阪、神戸を中心にします京阪神地方あるいは名古屋を中心にする中京地方というものを除きまして、百人から三百人くらいまでのものが相当数おるということになりますと、これは非常に離れた北海道と、あと福岡、九州というようなことになるわけで、あとの県はいずれも比較的少ない数になっております。ただ、これはこの次どこを設けるというようなことではございませんで、現状から見まして、どこにどのくらいの企業があるかということになりますと、この三地域のごく傍の地域以外で離れているところといえば、百をこえているのは北海道とそれから福岡というような格好でございます。
#52
○豊田雅孝君 先ほど樋詰長官からの説明の中にあったのでありますが、地方との密着性を考え、またこれを尊重するために地方に複数制でいくということに踏み切った、これはごもっともでありますが、地方の密着性というようなことを考えるというと、関東なりあるいは大阪なりあるいは名古屋あたりでは、五百万円というもので一応会社のスケールを考えるということになりましても、場合によると、たとえば東北地方などになると、三百万円の資本金であっても、東京、名古屋あるいは大阪の五百万円以上の内容を備え、実力を持っておるというものも出てくると思うのです。そういう点で、地方の密着性を考え、複数制に踏み切ったということになると、できるだけ地方に多数の投資育成会社を設けていって、それぞれの地方の実情に合った行き方をするということが、私は複数制を認めた一つの骨子からいって当然であろうというふうに思うわけですが、その点をどういうふうに考えますか。
#53
○政府委員(樋詰誠明君) 複数制の趣旨から申しますならば、また中小企業対策としてできるだけ広い範囲のものを取り上げて、体質改善をはかっていくという趣旨からいたしますならば、先生の御指摘のとおりだと序じますが、これは、先ほど申しましたとおり、新しい制度でございまして、はたして政府関係でこういう株式まで数年間所有して、そして企業の育成をしなければならないというようなこと自体についてもいろいろ議論をされて、われわれはその必要性を大いに強調し、この制度を認めていただいたわけでございます。その最初でございますので、できるだけ資金を効率的に使うという趣旨から、ある程度実際に限定されるような運用になる。早くまたその対象になり得るようには、先ほど椿先生の御質問にお答え申し上げましたように、ほかの施策で早く内容を充実して、一定の規模まで御自分の力でひとつはい上がっていただくような援助を別途講ずる。今先生の御指摘のありました三百万だけれども実質的には三百万の実力を持っておるという会社につきましては、これは早く五百万にでも増資をしていただくということをお願いするということが、これは中小企業全体としても必要じゃないだろうか。御自分でできるところはなるべく御自分でやっていただいて、足らないところをいろいろ政府のほうで御援助申し上げたい。それだけ御自分でできないところの方々に対する施策が厚くなるということもございますので、実際に増資できるような状況にあるところはできるだけ増資をしていただいて、これ以上できんという段階に政府なり投資育成会社が乗り出すということにすべきではないか。
#54
○豊田雅孝君 今お話の三百万円から五百万円になるというところがなかなかむずかしいのですね。実際問題として、五百万円までいって大いに見込みが立ってくるというと、案外増資はまたレールに乗るということもあり得るわけですから、そういう点から見るというと、複数制を認めたという以上、また衆議院の附帯決議あるいはこれに対しての通産大臣の了承せられた等の点から考えれば、できるだけ必要なところには地方の密着性を考えて、多数に作っていかれる。そしてそれぞれの地方のローカル・カラーを考えて、そして実質的なアンバランスが全国で出てこないような用意周到な配慮をめぐらされる必要があるんだろうと思いますので、その点今後の運用にあたって十分に留意をせられ、複数制の長所を発揮していかれるようにせられたいということを強く要望いたしておきます。
 それからもう一点でありますが、それは業種は政令で指定せられるということになっておるのでありますが、これはどういうものを一応想定をしておられるか、その点。
#55
○政府委員(樋詰誠明君) 抽象的には、法律にございますように、産業構造の高度化あるいは国際競争力の強化ということになっておるわけでございますが、これは別の言葉で言い直しますと、できるだけ付加価値の商いものということになろうと思います。これをさらにもう一歩突き詰めて言いますと、一番普通付加価値の高いものということになりますと、機械工業あるいは高級軽工業といったような、ある程度機械は使いますが、同時にその間にかなりの技術を要して、原料に比べて製品の価格というものが著しく高いというものということになりますので、まだ具体的にたとえばどの業種をどうするかということはきまっておりませんが、輸出に相当の貢献をしております高級軽工業関係、それから機械関係の一部のものといったようなものが一番有力な対象になるものというふうに考えます。
#56
○豊田雅孝君 この業種指定につきましても実質的に考えた場合には、今言われたような業種以外に相当適当性のあるものがあろうと思います。そういう点で政令で指定せられ、それ以外のものはいかぬというようなことになるところに非常にまた無理が出てくると考えられるのでありまして、漸次投資育成会社の内容が充実せられるに伴って、指定業種の範囲も漸次拡大をしていく、それによって実質的なアンバランスがこれまた全国的にないようにしていく、それが中小企業投資育成会社を設けた特殊性から見て必要なんだろうと思いますが、その点はどうでしょうか。
#57
○政府委員(樋詰誠明君) 先ほどの御要望の点といい、また今御指摘の点といい、われわれこの制度が軌道に乗って、ほんとうにわれわれの目的どおりに動くということになったならば、先生のおっしゃった方向で逐次拡大していく、その対象範囲を広げるというふうに持っていきたい、そういうふうに努力したいと考えております。
#58
○委員長(赤間文三君) ほかに御質問ございませんですか。――他に御質問もなければ、本案に対する質疑は、本日は、この程度にとどめて、これにて散会いたします。
   午後三時二十六分散会
   ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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