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1962/06/04 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 商工委員会 第28号
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1962/06/04 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 商工委員会 第28号

#1
第043回国会 商工委員会 第28号
昭和三十八年六月四日(火曜日)
   午後一時二十二分開会
  ―――――――――――――
 五月三十一日
  辞任      補欠選任
   塩見 俊二君  武藤 常介君
 六月四日
  辞任      補欠選任
   豊田 雅孝君  二木 謙吾君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     赤間 文三君
   理事
           川上 為治君
           岸田 幸雄君
           近藤 信一君
           向井 長年君
   委員
           上原 正吉君
           剱木 亨弘君
           古池 信三君
           二木 謙吾君
           武藤 常介君
           吉武 恵市君
           阿部 竹松君
           久保  等君
           椿  繁夫君
           中田 吉雄君
           松澤 兼人君
           奥 むめお君
  国務大臣
   通商産業大臣  福田  一君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       上林 忠次君
   中小企業庁長官 樋詰 誠明君
   中小企業庁振興
   部長      加藤 悌次君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業投資育成株式会社法案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員長及び理事打合会の協議事項について報告をいたします。本日の議事は中小企業投資育成株式会社法案について質疑の後、討論採決を行なうことになりましたから御了承をお願い申し上げます。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(赤間文三君) それではこれから議事に入ります。
 中小企業投資育成株式会社法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言をお願いします。
#4
○近藤信一君 前回に引き続いて若干の質問をするものでありますが、法案の第十六条を見ますると、中小企業公庫は投資育成会社に対しまして、「その事業に必要な長期資金を貸し付けることができる。」、こういうふうになっておるんですが、これは一体どういうふうな資金をお考えになっておられるのか、もし貸付資金が投資のために会社が必要とする資金であるならば、投資育成会社を通じないでも中小企業金融公庫みずから投資することができるはずなんです。これは投資に必要な資金ではないだろうと思うんですが、この点はどうですか。
#5
○政府委員(樋詰誠明君) 三十八年度におきましてはまださしあたり中小企業公庫から資金を貸し付けるという必要は起こらないかと存じますので、ことしは何ら必要な措置は講じてございませんが、将来単なる株を保有するということ以外に、この会社が必要な長期資金を公庫から借りる必要があるという状況が起こりました際には、一般の金融として公庫から貸し付けるものの別ワクという格好で、その関係所要資金を確保するということによりまして中小企業金融公庫の本来の機能が害されるということのないように、またこの新しい投資育成会社が十二分に本来の目的を達成することができるように措置いたしたいというふうに思っておりますが、さしあたりは貸し出すというような計画もございまいませんので、本年度については考えておりません。
#6
○近藤信一君 そういたしますると、公庫から貸し出しをする以外に、さらに投資育成会社では必要なところに公庫に話をして、そして貸し出しをする、こういうことですか。
#7
○政府委員(樋詰誠明君) これは中小企業金融公庫は、御承知のように、直接中小企業に対する貸し出しということを目的としている金融機関でございます。この中小企業投資育成会社は中小企業の体質を改善するためにしばらくの間その会社の株を保有してやろうという会社でございまして、今まで公庫が相手にしておったものとは若干性質が違う特殊の会社でございますので、本来の中小企業の貸付というものとは若干性質が違うところから、こういう投資育成会社に対しても公庫としては貸し出すことができるんだというふうに規定しているわけでございまして、これを受けまして将来事業をやっている中小企業でない、投資育成会社自体が何らかの格好で金を必要とするという場合に公庫から金を借りなければならないという事情が起こりましたならば、それによって一般の事業をやっている中小企業の金融が少しでも不自由になるということは本来の目的でございませんので、そういう際には、本来の融資のワクのほかに、中小企業投資育成会社に対する融資というものをはっきり別ワクに計上することによりまして資金を確保していきたいと考えております。
#8
○近藤信一君 それはそれでよろしいと思いますが、たとえば投資育成会社が、優秀な会社に、五百万円以上の見込みのある会社に投資をする、一方その投資を受ける会社は、それと同時にまた中小企業金融公庫からも貸し出しを受けることにもなるのじゃないかと思いますが、それはどうですか。
#9
○政府委員(樋詰誠明君) これは先生の御指摘のとおり、中小企業金融公庫から金を借りる、投資育成会社に株を持ってもらう、この二つの機関からあるいは融資を受けあるいは投資をしてもらうということは当然あり得るわけでございます。
#10
○近藤信一君 そこでもう一点お尋ねいたしますのは、総額で六億ですね。それから全体では三倍の十八億、その十八億で会社が今度は三カ所できる。そうすると、一体どのくらいの数の会社を現在のところ予定をしておられるのか。たとえば東京は何工場、それから大阪は何工場、名古屋、中部は何工場ほど――というのは、十八億くらいの金ですから、そうたくさんを対象にすることは私はできないと思うので、この点はあなたのほうのお考えは幾工場くらいを現在のところ予定しておられるのかお尋ねいたします。
#11
○政府委員(樋詰誠明君) 大体われわれは平年度といたしましては、百三十から百五十くらいの会社を対象にして考えたいと思っておりますが、三十八年度は初年度で発足が大体十月になる、こう存じますので、期間も短こうございます。そういう関係から、実際にはせいぜい六十程度の会社しか取り上げることができないのじゃないかと、こう思っておりますが、そういたしますと、若干金が余りますので、その分は三十九年度に繰り越して使いたいと考えております。
#12
○近藤信一君 全体では百三十から百五十くらいを予定しているが、初年度といたしましては六十くらいを予定しているということですが、六十くらい予定しておられるうち、たとえば東京、大阪、名古屋でどれくらいずつの工場を予定をしておられるのか、この点。
#13
○政府委員(樋詰誠明君) 予定と申しますよりも、一応そういう見込みを立てているわけでございますが、一応東京、大阪をおのおの二十五社、名古屋の投資育成会社に十五社程度取り上げていただくことになるのじゃなかろうか、そういうふうに考えております。
#14
○近藤信一君 そうすると、六十五社くらいの予定ということになるわけなんですが、少なくともこの本法の趣旨からいきますと、中小企業、しかもなかの中堅企業に対する育成をしていこうということで設立されるわけなんですが、資金も少ないという点もございますけれども、全体で六十から六十五というと、私はこの間いただいた資料からいきましても、ほんの一部分の企業だけしか利益――この投資育成会社から資金源を仰ぐということができないのじゃないかということを思うわけなんですが、そうすると、やはりこれは中小企業の政策からいっても、私はちょっと少な過ぎるのじゃないかというふうにも考えるのですが、この点はどうなんですか。
#15
○政府委員(樋詰誠明君) この前お手元に差し上げました資料では大体一応五百万から五千万円までで約一万ばかりの企業があったわけでございますが、同時に、中小企業という全体の中で、将来、株式公開の意思があるかどうかという調べによりますと、二八%程度のものが公開してもよろしいというような意思を持っているということでございます。それからまた、これは、さしあたり持ちたいと思いますのは、国際競争力を強化し、あるいはわが国の産業構造を高度化するのに役立つような部門から取り上げていきたいというふうにしぼって参りますと、さしあたりまあ五、六年ぐらいの間に千程度の会社というのを取り上げるということが一つの目安になりはしないかと存ずるわけでございまして、それをわれわれは一つの目安といたしまして、この会社を発足さしたいと思っているわけでございまして、初年度でございまして、会社自体ができるのが十月以降になるというようなことから、ことしとしてはぜいぜい六十五か七十前後にとどまると、こう思いますが、それによりますと、若干金が余りますので、その余った分と来年さらに集めようと考えております金と両方合わせまして、来年は予定どおり百三十から百五十ぐらいというものを取り上げていく。まあ五、六年で、ほぼ一万のうち産業的に早急に取り上げる必要があるものであり、しかもその企業者が公開してもよろしいというふうに考えておるというものの大部分をカバーするという方向に持っていきたいと考えております。
#16
○近藤信一君 そうしますと、ただいまの御答弁からいきますると、当初は十月からだから非常に数は少ないと、徐々に年を追っていって、五年後には一千ぐらい――まあ一千くらいといっても、一万幾らで一〇%ぐらいですが、五年ぐらいで一千工場ぐらいの予定をされておられるそうですが、それにしても一万に対する一割というものでは私はこの趣旨からいってはたしてどうかと、こう思うんですが……。
#17
○政府委員(樋詰誠明君) これは必ずしも二つのデータがそのままぴたりとかみ合うわけじゃございませんが、先ほど申し上げましたように、この前差し上げました資料の十四ページに「株式上場の意向の有無」というのがございまして、それに上場の意向があるものが二八・三%というふうになっているわけでございます。ですから、これは言いかえますと、もしこのままを全部に適用されるとすれば、一万のうち二千八百ぐらいの会社が株式上場の意思を持っている。それ以外の会社は株式上場の意向がはっきりしておりませんので、それは株を持ってやると言っても、向こうがいやだと言うかもわかりません。それで、一応マキシマムとして二千八百。それから一万という会社をずっとごらんいただきますと、「その他」といって、いろいろ雑産業に属するものもございますれば、いろいろの産業に属するものに分かれているわけでございまして、その一万というもののうちまあ二千八百程度はひとつ株を公開してもよろしいとかりに考えているといたしました場合、それでは今度は国の立場から、あるいは投資育成会社の立場から、その公開したいという会社の株は全部持つかどうかという問題があるわけでございますが、われわれといたしましては、国民の税金あるいは県民の税金、あるいは産業界から大いに日本産業発展のためにということで出してもらった資金ということでございますので、おのずからそこには、国際競争力を強化したり、あるいは産業構造を高度化させるために必要であるというものを重点に置くべきじゃないかということで二千八百の中から考えていくということにいたしますと、さしあたりはそのうちのまあ半分以下というようなことにもなり得るんじゃないかということで、千という数字はまあただいまのわれわれが手元に持っております資料から申しますと、必ずしも少ない数字でもないというふうに考えております。
#18
○近藤信一君 次にいきますが、投資育成会社は中小企業の株を持ってやるのだが、その中小企業はどうして選定するか。中小企業のほうからの申し入れを待ってきめられるのか。それともあなたのほうで指定をするのか。もしまたきめるというときのこの前もちょっとお伺いしましたが選定基準というようなもの、それについて。
#19
○政府委員(樋詰誠明君) まあ当然この持たれる会社からぜひ自分のところの株を持ってほしいという希望があるものについてだけ持つわけでございますので、これはもっぱら受け身でございます。こちらから積極的にお前のところの株を持ってやるというわけじゃございませんので、持ってもらいたいという希望がございましたら、それを対象にやるということでございますが、その際にはこの前も申し上げたかと存じますが、まず適当なある程度長期間の設備の投資計画を持っているものということ、それから現在の人的構成、あるいは技術水準といったようなもの、あるいは今までの実績等から見ましてある程度将来も損にならない収益を、ある程度の収益は上げ得るであろうというふうに考えられるもの、それからほかの方法で、たとえば同族会社で、まだ同族に大いに増資に応ずる余地がある、あるいはそのほかの方法で増資ができるというものはできるだけ遠慮していただこう。ほかの方法による増資が困難だというようなものが一応の選定の基準になるわけでございます。
#20
○近藤信一君 そういたしますと、今のお話からいきますと、やはり株を持ってもらいたいという申し入れによってあなたのほうできめられるわけなんですが、この持ってもらおうという意欲があるにもかかわらず、まあわずかな基準で――どういう基準が定められるのか私知りませんが、基準ではずれた場合に、非常に意欲をなくするということも考えられるんですが、この点はどうですか。
#21
○政府委員(樋詰誠明君) せっかく申し出たにもかかわらず、会社のほうで振られたといったような場合、非常にがっかりされることも、これも実際問題として、せっかく意気込んで持ってくれと言ったのにだめだと言われたというようなことは、経営者にとっても非常に打撃であろうと存じますが、しかしわれわれはこの投資育成会社で取り上げるというほかに、ほかの政府金融機関関係からの融資のあっせんでありますとか、その他については、これは当然やるつもりでございますので、この投資育成会社に申し込んで取り上げられなかったからということだけで、この会社が非常な打撃を受けて非常に今後やりにくくなるというようなことのないようには十二分に注意していきたいと考えております。
#22
○近藤信一君 投資育成会社は、中小企業の株が第二市場に上場され、また店頭売買ができるような公開株になるまで保有するとのことでございますが、今までの調査では何年ぐらいまではこれがいくのか。この点はどうですか。
#23
○政府委員(樋詰誠明君) 大体われわれの一応の試算では、五、六年保有するというつもりで現在いろいろな計画を進めております。
#24
○近藤信一君 五、六年で見通しがつく。五、六年たってさらに公開株ができないというような場合だともっと十年ぐらいになるということも考えられるのですが、これはどうですか。
#25
○政府委員(樋詰誠明君) お説のとおりでございまして、中には五年ではなかなか公開市場に出て処分できないといったようなものもあるかもわかりませんが、われわれといたしましては、希望される中から、先ほど申し上げました妥当な設備投資計画、あるいは人的構成といったようなものを背景にいたしまして、十分にある程度の利益が上げ得るというふうに考えられる企業をまず選定いたしますと同時に、コンサルタントによる診断指導ということを同時に行ないますので、大体五、六年たてば一応一般の公開市場に出しても引き取られるというところまで企業は育つものというふうに考えております。
#26
○近藤信一君 中小企業の株が公開されますれば売り放つということでございますが、その時期はいつごろお選びになるのか。またその価格が、この前も言いましたように、額面を割ったようなときはどうするのか。その株が高くなっても、もしその企業が株を公開したがらないときもあると思うのですが、すなわち方針を変えて同族会社で残っていたい、こういうふうな希望を持っておるようなときもできてくると思うのです。そういう場合はどうですか。
#27
○政府委員(樋詰誠明君) かりに額面を割るといったようなことになれば、これは公開したくてもだれも引受手がないということになろうかと思いますので、そういう場合には、はなはだ不本意ではございますが、投資育成会社が額面以上に売れるというときまで抱かざるを得ないということで、ある程度の塩漬けができることも、これは神様でございませんので、あるいはあるかもしれませんが、先ほど来申し上げておりますような選定方法と、それからコンサルタントによる指導、診断というものによって、できるだけ額面以上で早く公開市場で処分できるというような方向へ持っていきたいというふうに考えております。
 それから、これは元来が同族性を脱却いたしまして、一般の市場で大衆と結びつけようということが一つのねらいでございまするが、しかしそんなにたくさん市場に出たんでは、どうもせっかくの同族会社で今までやってきたものが元も子もなくなるくらいに売り出されるというようなおそれがあることも場合によってはあるかもしれません。そういう場合には、ある程度限度を設けまして、元の株主に売り戻すということも、これはあり得ると存じますが、しかしその際には決してこれ額面で売り戻すのではございませんので、一般の大衆が買われるであろうと申しますか、これは証券会社に入札で売るわけでございますが、その証券会社が入札で引き受ける価格と同じ価格で売り戻すということになろうかと存じております。
#28
○近藤信一君 それと申しますのも、やはり長官も御承知のように、中小企業の何というか、主人というのか、経営者といいますか、なかなか同族会社から脱却するということはむずかしいですね。あくまでも、できればいつまでも同族会社として自分たちの会社を盛り立てていきたい、こういう意思が強いので、なかなか政府の思惑どおりに同族会社がすぐあなたの御意見のように切りかわっていくかという点は、私はそういう点がなかなかむずかしいのじゃないかというふうに思って、その点をお尋ねするわけなんですが、そういうのに対してはあくまでも同族会社で残っていたい、まあもう少し、もう少しということで向こうが考えて、なかなか脱却しない場合に、あなたのほうは何かそれに対するところの御処置というふうなものを考えておられますか。
#29
○政府委員(樋詰誠明君) それは一番最初に引き受けますときに、約一万あるうち二八%程度のものが株式を上場してもいいということであるというふうに申し上げたのでございますが、われわれは一応株を上場してもいいということは、ある程度同族会社から大衆株主というものに株を公開してもいいという意思表示があったと、そういうふうに存じますが、原則としてこの会社はそういう将来同族性を脱却して大衆に株を持ってもらってもいいのだという意思表示をし、またそれに従って、ぜひ投資育成会社に自分のところの増資株を引き受けてもらいたいという申し込みをしたものの中からこれは選びますので、普通の場合は予定どおり株が上場されるということに特別の支障はないかと存じますが、かりに四割も持たれたんでは困るとかというような場合、せめて一割程度返してもらって、ひとつ一般市民に上場するのは三割程度にしてもらいたいというのもあるかもしれません。大体そういう心配のないように、平均して二割から三割程度を持ちたいというふうには思っておりますが、必ずしもそこにはっきりと二割以上持っちゃいかぬとか、三割以上持っちゃいかぬとかという制限もございませんので、そのときの増資の見込みとその他によりまして、あるいは五割近く持つこともあるかもわからない。そういう際に向こうが非常に心配して、一部は返してくれといったようなことを言うこともあり得るのじゃないかということをさっき申し上げたわけでございますが、原則としては上場の意向というものは同族性を脱却しようという意思表示があるというふうに解釈いたしております。
#30
○近藤信一君 それから近代化促進法では盛んに中小企業の高度化を提唱しております。それによって中小企業の幾つかが合併したり、また新しい会社を作る。あるいは出資して共同の会社を持つ。こういうふうなことが生じてくると思うのですけれども、その場合に、中小企業庁はそういうことを奨励しているのではないかと思うのですが、そういうときに投資会社は株を幾らか引き受けるというふうなことは考えておられますか。
#31
○政府委員(樋詰誠明君) 中小企業の設備近代化を目的といたしますこの前の近代化促進法、これは中小企業の一番の弱点でございます生産性の回復、向上をはかるためには、どうしても、ある程度の経営規模というようなものを達成させなければならないというようなことから、合併あるいは新しい共同の出資による会社の設立というようなものに対しまして特別の助成措置を講じているというわけでございますが、この今御審議いただいております投資育成会社のほうは、これは資本構成という点に着目いたしまして、資本構成を是正しようということで若干そのねらいが違っておりますので、両方が全然相いれないものではもちろんございませんが、われわれといたしましては、近代化を促進するというものと、それから資本構成を是正するというものとの間には、やはり若干差異があるのではないか。もちろんものによっては両者が並行して近代化をする。そのための増資というようなことの一部をここに引き受けてくれということもあるいはあり得るかもしれませんが、必ずしも両者がぴたりと一致するものではございませんし、また同時に、両者が別々のものでもないわけでございます。それは一にケース・バイ・ケースで、必要に応じて両方の助成措置を講ずる必要があれば両方を適用したい。一方だけでよろしいという場合には一方の方法によるというようにやっていきたいと考えております。
#32
○近藤信一君 またそれと別に、今度は新しい会社ですね。新しい会社を設立する場合、五百万円以上で、たとえば一千万円くらいで新しい会社を作る。これは非常に将来有望な工場である、こういう場合にはどうですか。
#33
○政府委員(樋詰誠明君) これは法律の建前がすでに、ある会社が増資の新株を発行する場合にその新株の一部を持つということになっておりますので、新しく会社を作る際ということは一応考えておりません。
#34
○近藤信一君 それでは新しい会社については対象にならぬ、新株ということに重点が置かれているから対象にならぬ。そこで私は投資育成会社から投資して、せっかく投資される。しかしその投資されるところの工場では、工場をよくしていくためには政府から資金を借りて、何とか工場の改善をはかっていかなければならぬということで、いわゆる合理化という問題が出てくると思うのです。この場合優秀な機械を入れて、人が余ってきたから、今度はここで人を整理しなければならん、こういうふうなことも起こってくるのじゃないかという懸念もあるわけなんですが、そういう場合はどうですか。
#35
○政府委員(樋詰誠明君) もし、生産の規模そのものが全然変わらずに、能率だけがどんどん上がるということであれば、同じ人員を持っているところは、むしろ過剰になる。これは先生の御指摘のとおりだと思いますが、われわれといたしましては、これから苛烈化する経済競争に伍していくためには、中小企業をどうしても、もう少し規模を大きくせねばならない。生産について企業の利益といいますか、ある程度、大量生産ということも取り入れることによってコストを安くする必要がどうしても出てくるのじゃないかというふうにも考えておりまして、合理化ということは、これは決して、現在いる人間を人減らしをせなければいけないというのではなくて、今いる人たちに、さらにより高い生産性を発揮していただくことによって、企業自身も栄え、日本経済にもプラスになるようにという意味で、所要の設備投資がなされ、いろいろな合理化、近代化が進められる、こういうふうに考えておりますので、これはあくまでも、前向きに、現在働いている人々にもより高い賃金を給与し、そして大企業に劣らないような魅力ある職場というようなものを作るということを、今後の中小企業の大きな政策のねらいといたしておりますので、先生の御心配になったようなことのないように指導し、また努力していきたいと考えております。
#36
○近藤信一君 長官の考えはそこにございますけれども、往々にして中小企業の経営者というものは、まあ合理化というと、すぐ人を整理して、そして人件費を減らしてというふうな考えが多いのじゃないかと思うのです。せっかくあなたのほうで育成しようとして投資されるわけですが、それが人員整理になって表われるのでは、働く者にとっては大問題だと私は思って、今、その点をお尋ねしたわけですが、そういう点を政府としても慎重に指導といいますか、そういうことをやっていただきたいと思います。
 次に、投資会社の役員のうち、代表取締役は通産大臣の認可を受けることになっておりますが、これは、どういう資格を重点にして選任をされるつもりであるか。株式投資という厄介な仕事でございますから、金融界あるいは証券界から入れるつもりでおられるのか、それとも、特殊会社の人事にいつもあることでございまするが、官僚の天下りが問題になっておりますので、この会社の場合は、どういうふうな構想を持っておられのか、この点をお尋ねしたい。
#37
○政府委員(上林忠次君) 役員の構成につきましては、役員みずからが、経営に努力してもらわなければならんのでありまして、官庁側から容喙を入れる点があっちゃ困る。自発的に産業界の人、金融界の人、かような専門家を求めたいというふうなつもりでおります。官庁の人間を入れないようにという考えでございます。
#38
○政府委員(樋詰誠明君) 今の政務次官の御方針のとおりでございますが、補足さしていただきますが、われわれといたしましては、これは新しい制度でもございますので、ひとつには、産業界、金融界、証券界から相当の金を集めなければならないわけでございます。そこで、あの人が社長ならということで、信用をして、財界が金を出して下さるような人ということが一つの条件にもなり、それから投資あるいは育成ということ、これはやはり企業経営の相当のベテランでないとむずかしい。こういうふうに思いますので、これは産業界、金融界、証券界どれにも特に限定するわけではございませんが、その三つの業界の中から、それぞれの業界の方が一番この方ならと推して下さるような方をぜひお願いしたいということで、もっぱら商工会議所のほうに今人選をお願いしておるわけでございます。
 なお、官僚の古手がこの中に入るというようなことにつきましては、これは今政務次官が申し上げましたように、役員の中には官僚の古手は入れないということを大方針として人選を進めていきたいと考えております。
#39
○近藤信一君 今、長官が産業界、金融界、それぞれそういうエキスパートの中から選ばれた人ということでございますが、私はある特殊会社のことで一応知っておる点があるのですが、やはり地元等で選定される場合、全然関係のないような人がしばしばこの商工会議所や地方自治体から選ばれておる。あの人が、ああいう事業にほとんど今まで関係したことがない人ができるかなと思うような人が、そこの理事長なり社長というようなことをやっておられる向きがしばしばあるのです。そういう点を私はこの特殊会社に対しましても十分、たとえその地元のそういういろいろな業界から推薦されても、その上にもうひとつ慎重に、やはり精通した人、こういう人が役員に選ばれなければならんと私は思うのですが、ただ選ばれたから、推薦されたからそれでいいんだ。こういうことで私はないと思うのですが、その点はどうですか。
#40
○政府委員(樋詰誠明君) これは今先生の御指摘になりましたようなことのないようにということで、最も適任な方を選んでいただきたいというふうに、これはまだ下相談的でございますが、そのようにお願いしておりますが、この法律を通していただきましたならば、大臣から正式に各地の財界等にこの方面からこの会社を作っていただいたら、本来の趣旨にのっとって、最も適任な方が役員に就任していただくようにということを大臣からお願いしていただき、一番いい人を、このように努力したいと考えております。
#41
○近藤信一君 会社は中小企業に投資した場合に、その経営をよくするために、コンサルタント的業務を行なうわけなんです。単にコンサルタントを出して企業診断を行なうよりも、役員を派遣してそうして実務に触れるほうがもっと手っとり早いんじゃないか。こういうふうな、裏を返せば、ことも考えられる。役員を派遣することは、私はさしつかえないのかどうか。先ほどはいろいろと御意見もございましたが、この点最後に一点お聞きしておきます。
#42
○政府委員(樋詰誠明君) われわれといたしましては、できるだけ企業の自主性を尊重するという方向でやっていきたいと思っておりますので、普通の場合は投資育成会社が株を持ち、また株を持てば当然株主になるわけでございますから、株主総会で株主としてのいろいろな意見を述べるということで、この投資を受ける会社が変な方向に走らないようにということは、大体やっていけるのではないかと思っておりますので、原則としては投資育成会社が株を持ったからというて、そこの役員に入り込むということは考えておりません。
#43
○近藤信一君 では僕はこれで終わります。
#44
○委員長(赤間文三君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#45
○委員長(赤間文三君) 速記を起こして。
  ―――――――――――――
#46
○委員長(赤間文三君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日豊田雅孝君が辞任をされ、その補欠として二木謙吾君が選任されました。御了承願います。
  ―――――――――――――
#47
○向井長年君 今度のこの法案で設立される中小企業投資育成会社ですね、これにつきまして、この会社は特殊会社であるという考え方を持つわけなんですが、端的にいうといかなる種類の会社であるか。ということは、この八条の規定で、新株の引受業務、それからコンサルタント業務、こういう二つの業務が規定されているのですが、大体新株の引き受けが中心と見られるわけです。そこでこの会社は一種の証券業務の会社であると思うのですが、そういう会社であるのかどうか。
#48
○政府委員(加藤悌次君) お尋ねの点でございますが、この法律案をわれわれ作るときいろいろ問題になったわけでございますが、結論的には投資会社は証券業務を行なうものではない、こういう結論でございます。と申しますのは、増資新株を保有はいたしますが、その保有している株を途中で売ったり買ったりということはいたさぬわけでございます。じっと鶏が卵を抱くように、成長して卒業してくるのを待つ、そして一人前のひなに育ったときに証券市場にこれを追っ放すということでございますので、証券業者のように株を売ったり買ったりということはやらぬわけでございますので、これは証券業者ではない、また証券業者の業務とは競合するものではない、こういう考えでおるわけでございます。
#49
○向井長年君 非常に、ほんとうに特殊ないわゆる業務を行なうわけなんですが、こういう特殊な業務は、これは今度日本に初めてだと思うのですが、諸外国にこういう例がございますか。
#50
○政府委員(加藤悌次君) これと全く同じようなものがアメリカ、ヨーロッパ等にございます。一番これに似ておりますのが、やはり一九五八年に法律ができましたのでございますが、昭和三十三年から発足しているアメリカの投資会社。それからヨーロッパでこれによく似ておりますのは、これはまだ歴史が新らしうございまして、昨年の三月に法律ができたわけでございますが、政府の資金的なてこ入れの面については、今御審議願っているこの投資会社よりもさらに一歩強くしたような格好でございますが、ベルギーでそういう制度が去年の三月に法律ができました。その他いろいろこれに似たような制度がフランス、ドイツその他にもあるわけでございます。
#51
○向井長年君 それは民間での会社か、政府がこういうような、日本のような投資した会社であるのか、あるいはこの諸外国でやっているのは大体大企業を含めての問題ではないかと思うのですよ。したがって、日本のような中小企業に限った、そういう形があるかどうか。
#52
○政府委員(加藤悌次君) 今申し上げました諸外国の例は、全部中小企業を対象とする投資会社でございます。アメリカにおきましても、ベルギーにおきましても、全部そのための特別の法律ができておるわけでございます。
 それから政府等の公共的な資金的な裏づけということにつきましても、たとえばアメリカの投資会社で見ますというと、発足当初の半分、まあその資本金の中にはアメリカは株式という格好ではございませんで、劣後社債という格好で金を出すわけでありますが、その劣後社債の金額、これは十五万ドルが限度でございます。それを限度としまして半分までは持ってやれるという格好になっております。それからベルギー等になりますと、国の金がたしか七五%ぐらいまで投資会社の株を持つという格好になっております。
#53
○向井長年君 今証券業ではないということなのですが、直接証券売り買いを目的とするということではないにしても、結果的にはやはり卵のようにぬくめておいて、そしてやはり公開にしようということですから、やはり特殊な証券業になるのじゃないのですか、その点はどうですか。
#54
○政府委員(加藤悌次君) 確かにある特定の中小企業の会社が増資します場合に、その株を引き受けてやるわけですから、その引き受けの委託という行為を証券会社がよくよその場合にやりますが、これに確かに似ておるわけでありますが、しかし証券会社が引き受けます場合は、引き受けはするけれどもこれをすぐ一般の大衆にぶっ放す。それまでの間過渡的にその株を保有しているということでございますので、本来の趣旨は、全然、ですからこの投資会社の行なう仕事とは違うということになると思います。
 ただ、先生が今おっしゃいますその証券業務――証券会社との業務の競合の問題がありゃせぬかという実は心配があるわけであります。この投資会社構想をいろいろ民間の学識経験者、この中にはもちろん証券方面、それから金融機関方面の方にも入っていただいたのでありますが、やはり問題点となりました一つの大きな点は、今の証券業者との業務競合のおそれがあるかないか、こういうことであるわけであります。その点につきましては、本質的には先ほど申し上げましたようなことで、証券会社の将来の商売にむしろ種をここで作ってやる、商売の種をこの投資会社が作ってやるのだ、つまり鶏が卵を抱くような格好でひなにするまでこの投資会社がやってやる、ひなに育てばすぐ証券会社にお渡しする、その橋渡し役をこの投資会社がするのだということでありますが、それでどういう中小企業をこの投資会社が引き受けるかということをきめます場合に、たとえばある特定の証券会社が、これは今すぐ増資して、増資すればとたんというか、一、二年のうちには上場に持っていけるじゃないか、しかもその増資資金の一部を自分のほうで心配してやるから、これはうちで十分やれますということで、相手方がそのほうがいいということになりますれば、会社はそういうところには手出しをしないという考え方でおるわけであります。今までの実例、第二市場上場の場合の実例等見ておりましても、大体上場の半年、あるいは一年ぐらい前に、証券会社が当該企業に一部の増資資金を引き受けてやっているというような例があるわけですが、ですから大体時期的に見て、その程度で上場公開の可能性があるものは原則としてこの投資会社は相手にしてはならないというふうな考え方で、先ほど長官も答弁申し上げましたが、大体五、六年くらいその株をじっと持って、そうして当該企業を育てあげる、当初引き受けるときに増資をするわけでございますが、場合によると投資会社が株を持っている間にさらにもう一度増資するというふうなこともあり得るわけでございます。
#55
○向井長年君 その民間との競合の問題ですが、これはこの法案においても、この会社の、明確になっているのは、まず五千万円以下の資本の額、そういうことから考えて将来発展性のある、まあ中小企業の育成という立場が出ておるのですが、大体そういうところには金融業なりあるいは証券関係も目をつけると思うのです。あるいはまたそこに向けて投資をしていると思う。そうなってくると、それ以外のいわゆる中小企業というのであれば、若干危険性のある状態であるか、あるいはまた資金的な問題の苦しいところであるとか、いろいろな情勢の中でやはり育成会社が投資するという範疇は相当狭められてくるのじゃなかろうか。民間を圧迫しない、競合しないという立場になれば、そういう形になってくるのじゃないか、こういうことが考えられるわけなんですが、この点はいかがですか。
#56
○政府委員(加藤悌次君) 私たちこの投資会社の構想を日本でもいよいよ実施する必要があるということに踏み切りますにつきまして、お手元の資料の中にもございますが、資本金五百万円以上の会社の考え方としては悉皆調査でございますが、大体は六大都市でございますが、商工会議所が調査したわけでございます。その中で今先生のおっしゃいますように、投資会社、こういうものが非常に好ましい、できれば利用したいというふうなことがかなりあるわけでございますが、その中でいろいろこまかくしさいに見てみますと、今先生の御指摘のように上場までの間において特定の金融機関なりあるいは特定の大企業、中には証券業者がひとつおれのほうで増資の資金を見てやるから増資しなさいという申し出もかなりあるようでございます。ただそれぞれの企業といたしましては、やはりそういった金融機関あるいは大企業等から株式の格好で金が入ることによっていわゆる系列化するということをやはり一方においてきらうという傾向が非常に濃厚であるわけです。ですから、そういったものは今申し上げましたような意味で、相手方の申し出があっても、中小企業としてはやはり当分の間困るのだというやはり事情がかなりあるようでございます。もしそういう場合に、この投資会社ができれば、これは中立無色の機関でございますし、先ほど御答弁申し上げましたように、会社の中に入って支配権を握るというような意図は毛頭ないわけでございます。そういうものができれば非常にけっこうなんで、自分のほうの株も持ってほしい、そういう希望も個々ではかなりあるわけでございます。
#57
○向井長年君 現在どうなんですか、そうすると民間の金融業で、これは銀行等に地方銀行とかあるいは相互銀行、証券業者あるいは保険、こういうところで五千万円以下のこういう中小企業に対する新株を引き受けていると思うのですよ。そういう調査は現在できておりますか。
#58
○政府委員(加藤悌次君) 実はそこまでの調査は私のほうでやっておらないわけでございます。
#59
○向井長年君 今振興部長からいろいろお話でありますが、結局優秀な将来発展性のある、あるいはまた利益をもたらす、こういうような見通しのつく五千万円以下の会社を目標としているのですが、こういうところに対しては、先ほども言ったように、証券会社等からもやはり投資するという傾向が出てくると思うのですよ。そういうことから考えるならば、今民間を圧迫しないという立場に立って、この会社を進めるとするならば、おのずからそれは証券会社にまかしていく。そうなってくると、若干危険性の多いようなところに投資しなければならぬような結果になるのではないか、こういう私の質問なんですよ。
#60
○政府委員(樋詰誠明君) 証券会社等で取り上げてやる、めんどうを見ようという会社は、これは当然そちらにやっていただきたい、こういうふうに考えております。現に半年とか一年とかという間に上場ができそうだといったような会社等につきましては、実際問題として証券会社等がかなり肩入れをしてめんどうを見ているものが多いわけでございますが、この会社は平均いたしまして五、六年その株をじっと持とうということでございますので、五、六年市場に出さないでじっと抱いているということになると、これは証券会社等ではなかなかそれだけの株は抱き切れない。個々の条件がそういうことになります。われわれといたしましては、個々の証券会社なりあるいは金融機関なりがいろいろめんどう見れるというものは極力そちらにお願いして、とてもそういう個々の私企業ではめんどう見切れないといったような企業を、ある程度長期気長に株を保有してやるということによって、あるところまで育て上げるという必要のあるものを取り上げていきたいということで、民間でできるものは民間に、民間でやりたいけれども、とても五年も七年も抱いているのではいけぬというものだけをこちらで見るというふうにして、民間との競合は避けたいというふうに考えております。
#61
○向井長年君 事実上こういうことが起きてくるのじゃないかと思うのですが、結局投資会社の新株引き受けは、これは大体額面価格とするのだろうと思うのですが、その点どうなのですか。
#62
○政府委員(樋詰誠明君) これは大体新しい会社の株を引き受けます際に、国税庁方式というのがございます。これは純資産をその株数で割るということでございます。われわれこの投資育成会社が新しく中小企業の株を持ちます場合に、五十円額面の株を一体幾らで引き受けるかというのが問題になるわけでございますが、大体今の国税庁方式に準じて純資産を株数に割ったら一体幾らになるかということ、それとこれはまだ市場に出ておらないわけでございますので、流通性がないわけでございます。流通性がないということは、それだけ割引しなければならないということにもなりますので、この流通していないという点の割引ということも考えて値段をきめたい、そういうふうに考えております。
#63
○向井長年君 それは場合によれば、額面よりも高い価格に新株の発行ができると、こういうこともあり得るわけですね。
#64
○政府委員(樋詰誠明君) 当然われわれといたしましては額面よりも高い価格でもって引き受けざるを得ない、こういうふうに考えております。またそれだけの会社を対象にしたいと思っております。
#65
○向井長年君 そうなると、この会社は一応企業優秀な会社である、こういう形になってくるわけなんで、そういうところにはやはり証券会社も食指を動かしてくるのじゃないか、そうすると自然株のつり上げというような状態が現われてくるのじゃないかと思うのです。こういうことになってくると、やはり民間とのいわゆる競合というか圧迫というか、こういう状態になりはしないか、こういう憂いがあるのですが、この点いかがですか。
#66
○政府委員(樋詰誠明君) 大体過去の実績等を見ますると、昭和三十年から三十七年までの間に全産業ひっくるめまして資本命が約五倍程度になっているわけでございます。今後もかりにこの程度でいくと、こういたしますと、やはり五倍になるのには六、七年かかるということでございます。この中小企業投資育成会社が対象にいたしますのは、五千万円以下の会社でございますが、平均いたしますと、あるいは五百万以上ということになっておりますので、平均したら千五百万ということになるかもしれませんが、その会社が上場されるというのは、少なくとも五千万円以上にならぬと店頭売買もできないわけでございます。やはり六、七年かかるのじゃないか、平均で。そうすると、民間の会社がはたして五年も六年もじっと売買しないで持っておるかということになりますと、これはもう非常に問題がございます。われわれといたしましては、そういうふうに、期間の長くかかるものは、やはりこの投資育成会社ででも持ってあげないと、とても民間の証券会社では持ち切れないのじゃないか、こう存じますので、証券会社とこの投資育成会社との間の競合というものは実際問題としてはあり得ない。一年くらいでことに売れるというようなものは、これは証券会社がとると思いますが、それはもう三年も五年もということになりますと、これはとても証券会社としてはその間じっと持っているものは商売にならないということで遠慮するのではないか、こう考えております。
#67
○向井長年君 そういう答弁でございますならば、競合なりあるいは民間圧迫ということはないんだ、こういう形になってくると思います。私けっこうだと思います。
 次に、投資育成会社の、この法案の十条あるいは十一条に関連する問題で、独禁法との関係はどうなるのでしょうか。特に投資会社が、金融業でもない、あるいは証券業でもないというような全くの特殊な会社でございますが、こういう中で、まず金融業に属するとすれば、これは十一条によるところの企業の株の百分の十、こういう形になっておりますし、したがって、この点、投資会社はまず特殊な会社だから、そういう独禁法の規定とは別なんだ、こういう考え方を持っているのか、この点明確じゃないと思うのです。
#68
○政府委員(樋詰誠明君) 独禁法の第十一条に、金融会社の、金融業ということが出ておりますが、この投資育成会社は、金融をするのではございませんで、一定期間中小企業育成のために会社の株を保有するということを目的にする特殊会社でございまして、その法律を制定する際に、独禁法との関係におきまして、十一条に規定する金融会社ではない、また第九条に規定する持株会社――いわゆる株を保有するために他の会社を支配する持株会社じゃないということに関係政府部内の意見が一致しておりますので、それにつきましては、独禁法との関係では、持株会社でもないし、金融会社でもない。ただ、株を保有いたしますので、一応公取にこれだけの株を持ったということの届出だけは必要であるということになっております。
#69
○向井長年君 そうすると、この公取の認可は要らない、届出だけだ、こういうことになるのですが、しからば、この会社が非常に順調に進んで、そして中小企業公庫からの出資が、まず正式の政府資金の出資が消却されてしまった場合には、純然たる民間のような形になるわけなんですが、こういう場合に独禁法の制約をどうするのか。
#70
○政府委員(樋詰誠明君) 私が申し上げましたのは、さしあたり政府、地方庁、民間と三者合同でこの特殊の法律に基づいて作る会社については独禁法の適用がないということでございます。かりに将来全部消却利益をもって政府の持っている株が消却された場合、政府は株主でなくなるわけでございますが、そういう際にやはりこういう中小企業投資育成株式会社法という特別の法律の規制を受けるのかどうかということ自体がいろいろ問題があるわけでございますが、それはそういうことになったときにあらためて検討しようということで、今のところは、発足当時においては、これは独禁法との関係というのはただいま申し上げたような格好になっておる。ただ投資育成会社としてこの法律の適用を受けるということだけが関係者の間できまっているわけでございまして、将来政府が負担を抜いてしまったという場合の規制の仕方ということにつきましては、今後さらに関係者の間でよく打ち合わせをしたい、かように考えております。
#71
○向井長年君 次に、現在は三都市にこれを作るということでございますが、これはもちろん国からの出資ということを合わせての設立でございますが、非常にこういう投資会社が中小企業に大きなプラスをすれば、したがって、各地方においても――各地方と申しましても、若干限定された地方においても、地方自治団体、あるいは民間団体、民間、こういうところで、こういう会社を作ろう、こういうような状態になってくることも予想できるわけなんですが、そういう場合に、政府はこの会社の設立を許可するか、この点いかがですか。
#72
○政府委員(樋詰誠明君) 新しい制度でございまするので、われわれといたしましては、このまず三つの会社が順調に発足し、順調に運用されるということに当面意を用いまして、そうしてその成績いかんによって、将来三都市以外のものについても必要があれば作るということの方向でいきたいというふうに考えております。
#73
○向井長年君 次に、この投資会社の株の公開でございますが、特にこれは中小企業の株じゃなくて、投資会社が非常に業績がよくなったということで、一般の民間からこれに対する株を出資をしたいというような状況が起きないとも限りませんが、こういう場合においては、これを十分受けるだけの何があるというのか、この点いかがですか。
#74
○政府委員(樋詰誠明君) 今のところは、一般大衆の株主ということは予定いたしておりません。これは結局、相当気長に会社を育成するということを目的にいたしておりますので、個人々々がその会社の株を持って、そうしてそれを売買するというようなことは、かえって会社の基礎を危うくすると申しますか、安定させるためには、政府、地方庁あるいは財界というものがしばらく背負ってもかまわないのだということで持っていただくことのほうが適当じゃないかということから、大衆株主は予定いたしておりません。
#75
○向井長年君 次に、租税の特別措置の問題ですが、これは優先株の配当の問題については、損金で落とすという形になっております。これは特に政府出資のことを考えているのですが、これに対しまして、地方自治体からの出資の場合においても、これと同じことを考えるべきだと思うのですが、この点どうなんですか。
#76
○政府委員(樋詰誠明君) 特に政府出資につきまして損金扱いにいたしましたのは、政府が持ちますのがいわば一種の出世払いの確定利付の社債のような性格のものであるということをこの前申し上げたのでございまするが、そういう意味で、もうかったら将来その利益から消却してもらう、またもうかったら六分五厘の範囲までは優先的に払ってやるということをいっているわけでございますが、政府以外に地方庁あるいは民間の株主がおられるわけでございますのでできるだけそういう民間の株主あるいは地方自治体というものに対しましても、早く配当ができるように、またその利益の分配等もできるだけ多くいくようにという配慮をすべきではないか、そういうふうに考えまして、政府に配当する場合には無税ということにいたしまして、それだけ実質的に会社の負担を軽くしてやるという、優先ということのいわばうらはらになるような意味で、政府に払うという場合、これを税金の対象にいたしますと、倍の大体利益がないと配当できないわけでございますが、そうするとそれだけ投資育成会社としては利益を上げないといかないということになりますので、そういうあまり無理なことはいわぬで、六分五厘配当したければ六分五厘相当の利益があればそれでもうすぐ配当できるので、政府との関係ではもう済んでしまうということで、できるだけこの投資育成会社の荷を軽くしてやろうという意味から、特にこう免税の規定を置いたわけでございます。
#77
○向井長年君 それで、今申しました地方公共団体の出資に対するやつもそういう取り扱いが将来できるのかどうか。
#78
○政府委員(樋詰誠明君) 地方公共団体は、民間と並んで一般の普通株主という立場でもって、会社がもうかれば六分五厘でなくても一割でも一割五分でもの配当が受け得るという株主でございますし、また、残余の財産の分配につきましても、会社がもうかれば、それだけそれを受け得るということになりますので、その特例は、なるべく政府はこの会社を育成する暫定期間の間社債のような意味で持っていくんだということの結果が、免税ということに現われておるのでありまして、地方庁の持つものについてはこういうことは考えておりません。
#79
○向井長年君 最後に、先ほど近藤委員も言われましたが、特にこういう五、六年ですか、これくらいの期限で一応長期にわたっての投資をするわけなんですが、この目的の中で、やはりコンサルタントの問題から考えて、相当中小企業に対する言うならば支配権がこれによって出てくるおそれもないとは言えないのですが、この点、往々にして、政府資金を出資したところは、先ほど役員は送らないと、こう言っておりますが、事実上いろいろな干渉が起きてくるおそれがあると、こう考えられるのですが、この点、こういうことはしないのだということをたびたび言われておりますけれども、そういうおそれがあるようにわれわれ考えるわけです。こういう点についていま一度明確にしておいていただきたいと思います。
#80
○政府委員(樋詰誠明君) コンサルタントを派遣いたしまして、会社の経営内容を分折し、調査し、いい方向に向かうように指導するということは、これは当然この会社の任務でございますが、それ以上のことは考えておりませんので、特にこの投資育成会社から役員を送り込んで会社を支配するということは全然考えておりません。
#81
○向井長年君 まあそれは考えておられないのでけっこうですが、場合によれば、やはり中小企業の労働組合等がいろいろと賃上げなり労働条件の改善の運動を行なうと思うのですね、こういう場合、それに対してのいろいろな紛争もあろうと思いますが、特にこの会社は早くよくしなければいかぬという、こういう、コンサルタントの指導から、人件費の問題、若干会社経営の内容についてもくちばしをいれるという状態は起こらないとは限らないと思うのですが、この点どうなんですか。
#82
○政府委員(樋詰誠明君) 私は、最近の中小企業の問題の一番大きな問題は、質のいい労働力を確保しにくくなるのじゃないかというふうに思っております。したがいまして、今後優秀な労働力にできるだけ気持よくとどまっていただくといったような、住みよい中小企業の環境を作り出していく必要があるのじゃないかという意味から申しましても、この投資育成会社によるコンサルタント業務を通じて、前向きで、建設的な方向で体質改善ということになりますれば、おのずから企業の成績も上がり、そこに働く人々も従来よりもっと快適な条件で働くことができるようになるのではないかということで、この会社の株を投資育成会社が持つことによって若干でも労働組合運動を抑制しようということは考えておりません。
#83
○委員長(赤間文三君) 他御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#85
○近藤信一君 私は、日本社会党を代表して、本法案に賛成をするものであります。
 本法案によって投資育成会社が生まれて、中小企業の育成を援助し、将来中小企業が金融市場で自己資金を自分の手で調達することができるようになることは、中小企業に希望を持たせることになりまして、はなはだ時宜に適した施策であると思います。しかしながら、すでに本法案に関する質疑の中で幾たびか触れましたように、本法案の名称は中小企業投資育成株式会社であるにもかかわらず、実は中小の一部――その上層のものにしか適用されないということは、遺憾なことであります。しかし、本法案のような投資会社としてはやむを得ないかもしれませんが、私がしばしば質疑の中でも申しましたとおり、小企業以下のものに対しても早急に何らかの強力な施策を必要とすることを申し述べておきます。また、投資会社におきましても、できるだけ適用の範囲を小規模のものにまで拡大すべきであると存じます。
 次に、資本金も対象業種も設立地もあまりに少な過ぎるきらいがないかということでございます。この点は、本法案を実施してみた上で、早急に考えてももらいたいと思うのであります。
 それから、投資会社のおかげでせっかく増資する際、その増資が従業員の福祉を考えることなく、いたずらに人員を減らすための合理化資金に使われることであってはならないと思いますので、その投資がなるべく賃金格差の是正や、ひいては雇用の拡大にも及ぶようになることを配慮してほしいのであります。
 以上のような希望を申し述べて本法案に賛成をするものであります。
#86
○川上為治君 私は、自由民主党を代表いたしまして、中小企業の現状にかんがみまして、この法案の成立に賛成をいたします。
#87
○委員長(赤間文三君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。中小企業投資育成株式会社法案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#89
○委員長(赤間文三君) 全会一致でございます。
 よって、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後二時三十八分散会
   ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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