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1962/06/26 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 商工委員会 第35号
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1962/06/26 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 商工委員会 第35号

#1
第043回国会 商工委員会 第35号
昭和三十八年六月二十六日(水曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     赤間 文三君
   理事
           川上 為治君
           岸田 幸雄君
           近藤 信一君
           向井 長年君
   委員
           上原 正吉君
           剱木 亨弘君
           古池 信三君
           豊田 雅孝君
           武藤 常介君
           松澤 兼人君
           二宮 文造君
           奥 むめお君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       上林 忠次君
   通商産業大臣官
   房長      渡邊彌榮司君
   中小企業庁長官 樋詰 誠明君
   中小企業庁振興
   部長      加藤 悌次君
   中小企業庁指導
   部長      影山 衞司君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  参考人
   東京工業大学名
   誉教授     磯部 喜一君
   日本生活協同組
   合連合会副会長 十二村吉辰君
   全日本小売商連
   合会会長    高橋 貞治君
   主婦連合会副会
   長       春野 鶴子君
   全国一般労働組
   合東京地方本部
   副執行委員長  小沼良太郎君
   秋田県商工会連
   合会会長    村岡 兼吉君
   石川県中小企業
   団体中央会会長 山田藤太郎君
   八幡第一機械協
   同組合理事長  湯山  要君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業基本法案(内閣送付、予備
 審査)
○中小企業指導法案(内閣送付、予備
 審査)
○中小企業信用保険法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付、予備審査)
○中小企業等協同組合法等の一部を改
 正する法律案(内閣送付、予備審
 査)
○下請代金支払遅延等防止法の一部を
 改正する法律案(内閣送付、予備審
 査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 中小企業基本法案(閣法第六五号)、中小企業指導法案、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案及び下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、以上五法案を一括して議題といたします。
 本日は、午前中は御三人の参考人の方に御出席を願っております。これから順次御意見をお伺いいたしたいと存じますが、その前に一言御礼を兼ねましてごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中にもかかわりませず、本委員会のために御出席をいただきましてまことに参考人の方にはありがとうございます。委員一同にかわりまして厚く御礼を申し上げます。
 参考人の方々からは大体各自二十分以内で御意見をお述べ願いまして、御三人の御発言が終わりましたあとで、委員の方から御質疑がありました場合にはお答えを願いたいと存じます。
 それではまず磯部参考人にお願いを申し上げます。
#3
○参考人(磯部喜一君) 私、基本法についての一般的な問題を中心として私の所感を申し述べたいと思います。
 この基本法の制定されます必要性につきましては、前文においてだいぶん簡潔でありますが、述べてありまして、大体私同感するところでございます。このねらい、前文に書いてありますところのねらいを達成するために、この法律によってどういうような政策をやっていくか、その政策の目標については第一条に書いてあります。一読いたしましてごもっとものように思うのでありますが、率直に申し上げますと、非常にものをよく知っておる学生が書いた答案で、しかもできの悪い答案のような感じを、私、実はこの第一条について感じたのであります。いろいろ考えていけば、この一条というのは、だいぶん問題になるんじゃないかと思うのでありますが、ただこの一条を即読いたしまして、私感じておる点でございますが目標の立て方に――目標を立てますときの基礎になるものをどういうようにしておるのであろうかということでありますが、どうも中小企業というものを一本で考えていらっしゃるように思うのであります。ここであまり初歩的なことを申し上げるのは失礼でありますけれども、私たち従来の研究からとりまとめて申し上げますと、中小企業ほど種々雑多のものはないということであります。したがって、中小企業を一本として政策の目標に掲げることにかなり私は問題があるんじゃなかろうかと思うのであります。その一つの証拠がやはりこの基本法の中にも編み込まれておりまして、たとえば何条ですか、二十三条だったと思うのでありますが、二十三条に小規模企業というものが別に取り扱われておる。小規模企業というものは中小企業の中でやはり一つの別ワクのような取り扱いであるということは、やはり事実においては中小企業というものが一本に取り扱うことがむずかしい場合が多々あるということが規定されておるから、こういう扱いがされておるのだろうと思うのでありますが、そうすると、ここの第一条の場合においてもそういう考え方がやはりほの見えなければ、私はおかしいんじゃなかろうかということを感じておるのであります。そうすると、この中小企業をどういうように分類すればいいのかということになりますと、まず、この法案では資本金の額とそれから常時雇用する従業員数というものを中心に分ける考え方が一応あるのでありますが、中小企業を分けますときには、この分け方だけではやはり分けることができないのであります。たとえば、零細企業という考え方、小規模企業という考え方は、単に従業員が少ないとか、あるいはそこで使っておるところの資金量が少ないというだけで出てくる問題じゃないので、そういう点についての何といいますか、心くばりというものが、この第一条において私は少しく不十分であったのじゃなかろうか、こういうように考えております。
 そうすると、中小企業をどういうように分ければいいのであろうかということになりますと、これはそれを扱いますところの立場によっていろいろと分けることができるのでありますが、まず、この法案で考えなければならない一つの分け方は、大企業との関連における中小企業と、大企業と関連のない中小企業、こういう分け方が実は基本法の場合においては必要であるのじゃなかろうか、こういうように考えます。この二つを簡単に前者を中企業、後者を小零細企業というように略称することも、まずできるのじゃなかろうかと思うのであります。こういう分け方をかりにとりますと、小零細企業というものを分けますところの基準としては、先ほどもちょっと申し上げましたように、出資の額あるいは資本金の額と、それと一方で常時従業員数、この二つのファクターだけでは、実はその内容はきめかねるものであります。
 そうすると、どういう要素をここに入れてくればいいのだろうかということになってくるのでありますが、私は簡単に申し上げることはできにくいのでありますが、私ちょっと思い出しますことは、ドイツで約九十年ほど前からとっておりますハンドグェルクの考え方、ハンドグェルク・オルドヌングというものがございますが、ここで盛られておるような考え方がここにもし取り入れられるならば、この小零細企業の内容といいますか、ワクというものが非常にはっきり出てくるのではなかろうかという感じを私は持っております。小零細企業ということを少しく申し上げてきた関係上、ついでにさらにその問題を掘り下げて参りますと、どうもこの基本法においては、小零細企業対策が少しく貧困でありはしないか。二十三条だけではたしていろいろの施策が可能であるかどうかということについて私は若干の疑問を抱かざるを得ないのであります。もちろん建前上においては第三条の第一項を原則といたしましてそれの各論めいたものが九条ないし十三条あるいは十七条ないし二十三条、二十四条、二十五条に列挙されておりますが、これを小零細企業的に具体化しようとするとかなり不可能な面、むずかしいというよりは不可能である面が相当にございます。またこれだけでは実は小零細企業対策というものは具体化し得ない分野も相当あるということを私は感ずるのであります。したがって、何となく何かくつを隔ててかゆきをかくというような感じを私は感じて参りました。
 その次に感じますことは、第二条に規定がございますが、この法律で中小企業者の範囲をどういうようにきめるかという点でございます。先ほど来申し上げておりますように、資本金の額並びに常時雇用する従業員の数で一応そのワクをきめておるのでありますが、まずこの二つのファクターでそのワクをきめるという行き方というものは、現行の場合といいますか、現在の問題として考えますときには、まず妥当な行き方ではなかろうか。いろいろ反対意見をお持ちの方もいらしゃることは私重々存じ上げておりますが、われわれの立場からいいますと、まずこの二つで穏当じゃなかろうかと思うのであります。ただ問題は千万円というものが妥当であるかどうかということであります。これについては私別個の意見がないわけではございませんが、すでにこの法律をもととしてたしか近代化法もできておりますし、それから中小企業投資育成株式会社法ですか、あれもたしか通っておるのじゃなかろうか。その他いろいろの法律が準備されておりますが、すべてがこれを前提としておりますので、現在のところは、この程度で一応やってみなければならないものだろう、こういうように思うのでありますが、ただ一つ、何といいますか、私の希望といいますか、感じを申し上げますというと、もう少しくきめのこまかい規定があってもよかったのじゃなかろうかという点でありまして、たとえばアメリカのスモール・ビジネス・アクトでいろいろのあちらでいう小企業のデフィニションをやっておりますが、非常にこまかく分けておりますが、まああそこまでこまかくなくてもう少しくきめこまかくやる必要が現実にはあるのだということだけを申し上げておきたいと思います。
 それからいよいよこの第三条に規定されてあります施策を具体化するためには、先ほど申し上げましたように、いろいろの条文が各論的に網羅されております。実際にはこれらの条文が個個の法律その他となって具体化していくことだろうと思うのでありますが、やはりその具体化をしますときにおいては、先ほど申し上げましたように中小企業が一本でないということを前提としてやはりこの具体化に努めていただきたい、こういうように感じております。たとえば、先ほどもちょっと申し上げました中小企業投資育成株式会社法、これはおそらくもう通過したのじゃないかと思うのですが、これなんかは中小企業のトップ・クラスだけに適用可能なものであって、まずこの法律による恩典をこうむる中小企業というものは何十パーセントの一に当たるかどうかわからないくらいの少ないもの、もちろんそれが決して無用というわけではありませんが、これだけでは中小企業の問題は片づかないということで、やはり中小企業のいろいろの層に対するきめこまかな具体案、具体化ということがやはり要請されてぐると思います。
 それから最後にひとつ、この法律の実施に関連して、私、従来感じておる点を申し上げてみたいと思うのでありますが、三条の一項なり九条以下のここの条文の具体化というものは、私が申し上げるまでもなく、そう簡単なことではないと思います。したがって、さらにまた具体的な法律ができましても、その効果を上げることはさらに一そうむずかしい問題がひそんでおるわけでありますから、やはりこれの具体化並びに施行にあたっては、幾らしても十分ということは言いかねるくらいに準備と努力を払って、やはり意味のある、効果の上がるような具体化ということに努めていただきたいというのが私の念願であります。そのためには、ここの法律の二十六条に一つ出ておるのでありますが、中小企業行政に関する組織の整備などという項目が一つあります。その中に行政組織の整備ということがうたってあるのでありますが、これがどういう意味を持っておるのかは私存じませんが、私なりにこれを解釈して申し上げておきたいと思うのであります。
 私、従来痛感しておることが若干あるのでありますが、その一つは、やはり中小企業省というものを作る必要があるということであります。今日だんだん行政機構というものが複雑になってきて非常に省の数がふえる。原則論的にいえば私はあまり感心したことではないと思うのであります。しかし、こと中小企業省についてはやむを得ないのではなかろうかという感じを持っております。その理由の一つは何であるかといいますと、やはり中小企業行政に関係していらっしゃる官吏の方々の発言力をば強化する必要がある。いかにいろいろのりっぱな施策の案がありましても、こういう官庁機構では発言力の強い人がおっしゃらないことには通らない。やはり中小企業庁長官では大臣とは対抗することはできないのでありますから、やはりそういう意味合いにおいて閣議で対等の発言をし得るポスト、これは結局大臣以外にない。そういう意味において中小企業省というものが必要になるのだということが一点であります。
 もう一つ、第二点があるのであります。現在の企業庁というものは通産省の外局になっておりまして、御承知のとおりであります。したがって、通産省のお役人があちらのほうに転勤されていく。そしてまた時期がくれば本省――通産省のほうへ戻っていらっしゃるのであります。われわれ平常接しておりまして感じますことは、若い方々が、非常に優秀な方々が回っていらっしゃるということは事実であります。いろいろ話をいたしまして、私実に一生懸命やっておられることはよくわかるのであります。したがって、あとで数年苦労をされて本省に戻られた暁には、本省での仕事をなさいますときに、やはり中小企業庁における経験が相当生かされておるのだろうというふうに一応は思うのでありますが、その後そういう方々の動きを見ておりますと実は逆でありまして、これは少し言い過ぎかもわかりませんが、私自身の感想でありますから許していただきたいと思うのでありますが、まあ中小企業の問題は卒業だというのですか、それよりはすっかり忘れてしまって、新しいポストにおける仕事をなさっていらっしゃる事例が少なくないように私は見受けるのです。非常にそこに問題がある。そうしてまた、これはうわさ話でありますから、うそであるか、ほんとであるかは知りませんが、中小企業庁にいくことは島流しであるといううわさがある。あちらへの出向を命じられると、だれだれは島流しにあったというようなことを、お互いの仲間同士で言われる場合もあるというわけであります。これはやはり出先機関であるという観念がある。もしこれが省になりますと、中小企業省の役人というのは、終始一貫中小企業名に勤務されることになって、通産省というものは別の役所になってくる。ちょうど労働省の役人が、非常に真剣に労働行政に終始しておられる。ちょうど同じことがこの場合においても言えるのじゃなかろうか。この若い官吏の方々の心がまえをしっかりさせるためにも、私は省の必要というものを感じているのであります。これは前に、何といいましたか、何とかいう大臣と座談会をしましたときにも、そういうことを申し上げたことがあるのでありますが、私多年感じている点でありますので、この二十六条の活用の意味において、中小企業省の設置といいますか、その問題をここで考えていただく必要があるのではなかろうかと思うのであります。
 それからもう一点がございます。それは関係官庁との連絡を密にしていただきたいということであります。私、数年来労働省のいろいろの審議会あるいは調査会のメンバーとしていろいろ仕事をさせられてきているのであります。現在、特に中小企業に密接な関係のある問題が多い、そのための委員会、調査会のありますときに、中小企業庁の関係の方がほとんど見えていないという事実であります。私、労働省の役人に聞いたことがある。連絡しないのか。いや、してあるのだけれども、たまにしかお見えにならないというわけです。まあそれぞれの本務でお忙しいから、そういうことになるのだろうと思うのでありますが、これはちょっとセクショナリズムの現われが過ぎるのじゃなかろうか。労働省は労働省、中小企業庁は中小企業庁という考え方がやはり強いから、そういうことになるのじゃなかろうか。中小企業の問題の解決というものは、中小企業庁だけでできるものではない。現在の段階においては、やはり大蔵省とか、あるいは労働省とは特に密接な関係がある。お互いにいろいろな仕事をされる場合には協調し、連絡を密にされるということが必要だと思うのです。そういう点で、私は特にこういう方面での施策その他については共同作業をされるようなことを考えていただく必要がある。現に労働省の審議会あたりに出てこられる――たまに出てこられても、私が存じ上げている部長クラスの人はほとんど出てこない。課長もほとんど出てこない。かりに来ているとすれば、あまりなじみのない、それ以下の人がいるのじゃなかろうかと思うのでありますが、そういう人が出てきて、はたして庁へ持って帰ってどの程度の報告をされているか、常に疑問にしてきている点でありますので、この二十六条の活用をするときに、やはりそういう点を考慮していただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 ちょうど持ち時間が一ぱいになりましたので、私の意見はこの程度で終わることにいたします。
#4
○委員長(赤間文三君) 磯部参考人、まことにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(赤間文三君) 次に、十二村参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(十二村吉辰君) 御紹介いただきました十二村です。私は、協同組合の立場から、長年中小企業のほうのいろいろの矛盾点の一部を、十二分に体感している事情から、この基本法の一般的な問題について意見を申し述べてみたいと思います。
 まず基本的には、この基本法が中小企業の保護政策として立案されたにもかかわらず、第一章第一条の中において、二つの問題が非常にわれわれの重大関心事として規定されておりますが、これは企業間の格差を調整する、是正するというのですか、あるいは社会的経済的制約の不利を補正する、この二本が柱になっているようです。これがほんとうに基末法としてあるいは憲法にもひとしいこの法案としての性格を持っているのかどうか、非常にわれわれとして疑問としているものです。今や、日本の産業構造の実態がきわめて高度の発展段階に達しまして、しかも、生産と金融の系列化が、流通部門の独占にも密接に結びついてきている現状において、企業というそういう概念の中において、一切がっさい商業面までこれをとにかくコントロールするということは、物理的にできるのかどうか。もし、できるとするならば、少なくとも、母法にふさわしい、もっととにかく根本的な問題がこの第一条に明らかに規定されることを、われわれは望みたい。そういう点からいって、この母法に導びかれて、そして、関連法として制定されるものは、この母法の本能的な劣弱性に関連する法案を決定的に左右する面からいって、この法案がほんとうに早天の慈雨のように、長い間、中小企業の皆さんが御期待される憲法に値する基本法としての性格を持っていないのじゃないかという点から、原案に対しては私は反対。ただし、この原案に相当の修正、付加が加えられるならば、百歩譲って私は賛成したいと思う。かつて、農業協同組合法が真に農民の再生産を保障し、農家経済の健全な発展を期待して、そして立案された農協法が、最後に国会を通過するときは、真にとにかく、農民の基本法にひとしい農協法が、あってもなくてもいいような、そういう批判すら起きたはずです。現在この農協法が、農民に対してどれだけ法益をもたらしているのか。これは、今や大きな農業経済の主要問題として、論議されていることは、院外の人でも常識になっております。そういう点から、ないよりはあるほうがいいんだというお考えは、確かに私は一応の理論ではあっても、真に現在のような、日本の特質的高度経済成長政策のこの無定見な結果からしわ寄せされた一つの被害者です。加害者の立場にあったそういう高い大企業重点主義のとにかく産業政策、税制、金融、財政政策の結果、何らこれに対する予防措置を講ぜず、今や瀕死の重態に陥った中小企業を目前に控え、あるいは来たるべき総選挙に対して、総選挙の事前になると、あってもなくてもいいんではないかというような法案がしばしば多くの法案として制定された過去の実績からいっても、私はこの法案をもっと慎重に御検討願って、同時にこの法案で、もう少し、とにかく中小企業が望んでおいでになる税制、金融の門戸を開放される。あるいはとにかく流通面のこのボイコットを受けている中小企業に対するそういう一つの秩序を整然と確立してあげるというような前提が、もしこの法案の中に織り込まれるならば、私は最前申し上げたとおり、賛成したいと思います。そういう点では、社会党さんと民社党さんが、すでに何年か前から、基本法の生みの親と言われるくらいにわれわれは仄聞しております。こういう点から言っても、まだ衆議院段階において、法案が通過してない現状から言って、参議院の良識に私は期待しますので、十二分に修正、付加の点でお取り上げを願いたいと思います。
 次に、この法案の基本的な問題点として、数点、私は申し上げたいと思います。第一に、現在の日本の生産段階の一つのグループと、消費段階のグループ、これが画然と、これが規定されておられませんと、たとえば前々国会において通過した割賦販売法案は、これは大企業の耐久消費財の一手市場の独占のとにかく法案です。ストリップミルの機械一台で百万トンの生産力を持っておるわけです。これを日本は五台、とにかく外資を導入して入れたわけです。そうすると、現在ですら薄鉄板の需要が二百万トン前後であります。それに対してフルに操業すれば五百万トンの生産が可能なはずです。このような過剰の財政投融資をして、これはもう自己資金によってこのような設備が拡張されたならばけっこうですが、多くの融資を受けて、こういったような過剰設備をし、その結果、生産と需要の経済原則の均衡が破れました結果、大企業においては耐久消費財の一手販売を計画しまして、そうして割賦販売法案、この法案の中において、合法的になされるはずです。このことは大企業が系列化の中におさめている工場、鉱山、事業場を全部結集しまして、そうして低額所得者には相当の長期間をもってこれをとにかく消費を確保させてある。こういう点からいっても、そういうとにかく割賦販売のできるようなそういう企業は、一定の資本金、一定の売り上げ金が通産大臣の一方的な認可によって決定されてしまう。これに具体的な明示がないから、もしも一定の資本金を十億円とし、一定の売上金を五十億円としたならば、はたしてだれがこのような販売機構の特権を得られるかは、これはもはや説明の要はないと思います。
 こういう点からいって生産段階と消費段階というものをいかに区分するか、分類しなかったならば、単に基本法をもってしては――とうてい中小企業の生産されたその品物の需要の面で完全にボイコットされておる面が、この俵本法の中にはどこを見ても、流通面のそういう系列化の中において、中小企業が恩恵を受けるような、そういう門戸が開放されるような――そういう点からいって、どうしても今の経済憲法といわれる独占禁止法案を強化の方向に踏み切るか。あるいは経済力の乱用防止の何らかの法制化をもって、そうして中小企業がこの系列化の中において除外されておる、そういう部門を、法律的にこれをとにかく解放するような措置を講じていただきたい。
 次に、条文中の問題点について数点申し上げたいと思います。まず第一に十四条の問題でございますが、これは商業が経済政策によって救われるのだということが、物理的に日本の小売商にはたして法益として効果をもたらされるのかどうか。現在われわれの調査によりますれば、小売点が十二世帯に一軒の割に許可されておる。この中にはもちろん開店休業の、実質的には営業をしておらない方もおりますが、そのような商業人口が日本の現状です。第一次第二次産業の転落者が第三次の商業人口になだれのごとく転落していったような現状で、経済政策によって救えるということは、いささかこの法案の本質的な一つのねらいというものは、この点からも十二分に伺うことは私はできない。そういう点におきまして健全な社会政策の上に経済政策を立てていただきたい。たとえば、母子保護法によって何十万かを救済する、あるいは貧困者救済法によって……。そして適正な需要と供給のそういう市場を開拓していただくことによって、企業、営業はひとしくなく、生業――生きるために余儀なく、戦争未亡人が必死になって生きようとするために……また露店商の方もこの商業人口の中に入っておるのが現状です。そういう点の日本人的商業の実態を把握されるならば、社会政策の上に、経済政策を立案していただきたいと思います。
 次に、十七条の問題でございますが、これはさいぜんも申し上げたとおり、結局は生産段階の競争から市場争覇戦時代にもう転落、転落ではなくて発展してきているのが現状だと思います。そういう点から、さいぜん一例として申し上げた、片や割賦販売法案のような、そういう大企業の生産品だけが重点的に市場において消化されるような、そういう法律的な保護政策が講じられておるにもかかわらず、中小企業は、今や生産した品物をどこへはけようか、こういう点で国外に自分たちの市場を開拓しようとすれば、特定産業振興法案だとか、あるいは貿易法の一部改正といったようなことが、過去の国会において、しばしば問題になったことをわれわれは漏れ聞いております。そういう点からいっても、すでに産業分野と、そして市場のこれを分離して、そしてこれを整理していただかなければ、力のあるもののみが、自己の生産品の市場が常に幅広く奥行き深く、そしてこれが、開けておるが中小企業の業者の生産品は、現在日本の出荷総額の約五〇%を占めておるが、中小企業はこの点において市場進出をはばまれている。片や大企業は、工場を休み、そして労働賃金を払わない操短によってすらも、市場への進出、あるいは経済的利潤の蓄積がなされておる。今やフルに一家総動員で働いているような弱小企業が、はたしてとにかくも店をしまって、店を一時休業して、生きる道が講じられておるのかどうか、あまりにも日本の企業の内部実態のこの力の相違が歴然として、弱肉強食、もはや良識ある日本社会の法則ではなくて、野獣の法則にひとしいような、そういう経済力を持った企業だけが十二分な再生産を保障されるような、そういう問題点がこの十七条の中において、過度の競争を防止するとはいいながら、業者間の防止にとどめて、加害者の立場にある大企業に対して何らのコントロールの施策がない点について、十二分にこの点は御検討願いたいと思います。
 次に、十九条でございますが、この点の事業活動の機会を適正化するためのコントロールだといって、この条文にも、この基本法が首尾一貫せず、まさに混乱法案と僕は申し上げたいくらいに極言したい。この中において、中小企業以外の業者を、とにかくも紛争が生じた場合は調整するということがうたってありますが、事業を営むこの営利事業の紛争ならば当然でしょうが、事業を行なう非営利団体まで、これを紛争の範囲の中に置いてコントロールする。このお考えは、適正価格の長期政策を打ち出された政府のお考えが那辺にあるのか、自分たちは非常に寂蓼を感ぜざるを得ないわけであります。物理的に非営利団体が行なう企業は、適正な物価政策に貢献していることは、先進国家であるイギリスが、年間小売り総額の約二〇%が生活協同組合のみでこの比重を占めている。さらに非営利団体を加算するならば、少なくとも三〇%以内の非常利団体のそういう行なう事業が物価政策に政治的な大きな効果をもたらすのだということを、政治的確信のもとに育成強化されておるにもかかわらず、事業を行なうものと、営むものと、これをはっきりと区分することもできないようなこの法案の内容は、まさに基本法の真の性格を失っている一端の、氷山の一角ではないかと思います。こういう点からいって、ぜひともこの中において、非営利団体は、われわれは、根拠法に基ずいて農業、漁業生活協同組合、その他非営利団体が十二分に国家的存在の中において重要なる役割を歴史的にも果たしつつある、また理念的にも認められたこの団体までも――中小企業を圧迫し、中小企業の危機をもたらしておる原因であるところの、高い立場で安楽な企業をなされておる大企業に対する何らの制約条項がこの中に織り込まれておらない点に、われわれは非常にこの法案に反対の趣旨もこういう点にある。この基本法全体の中に、随所にこのような無定見な条文が織り込まれております。
 次に、二十三条でございますが、これはさいぜんも申し上げましたとおり、少なくともこれはわれわれは労働性企業と申し上げたい。本来ならば企業の責任著が、大企業であったならば、高い生活の水準を維持されるだけのそういう待遇と条件をお持ちになっておりますが、この弱小企業の方は、労働基準法も無視して、自分も労働服を着、作業服を着て先頭に立って働いておいでになる。これは明らかに労働性企業だと思います。こういう企業の方には、もっと真剣に、この問題の恒久的な保護政策としては、この点は社会党の案の中に、農民あるいは労働者、いわゆる弱小企業の方が少なくとも一体になって、そうして共同経営によって、お互いに持てる力量を相互に活用しようという精神が流れている、そういう案が、この中においては十二分に――僕は社会党さんなりあるいは民社党さんが主張されている点を十二分にこれは御検討願って、そうして修正付加を願いたいと思います。
 次に、結論として御要望申し上げたいことは、現在の生産過剰の段階においては、どうしても流通面の秩序を、もう少し整然とこれを法律的にコントロールできるような法案をこの法文の中に織り込んでもらうか、あるいは別個関連法案として作っていただくか、そうでなければ、現在の中小企業の生産されたこの実需者、需要者を、国あるいは公共団体、あるいは公共企業に優先的にこれを、実需者になるという義務づけをぜひとも御検討願って、そうして織り込んでいただくならば、前提に申し上げました修正、付加がなされるならば、百歩譲って、一応この法案に賛成したいという趣旨をあわせて申し上げまして、簡単でありますが、意見を終わります。
#7
○委員長(赤間文三君) まことにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(赤間文三君) 次に、高橋参考人にお願い申し上げます。
#9
○参考人(高橋貞治君) ただいま御紹介をいただきました全日商連の高橋でございます。今回上程されました中小企業基本法案に対し意見発表の機会を与えていただきまして厚くお礼申し上げます。全国百三十万の小売業者になりかわりまして本件に関し少しく意見を申し述べさせていただきます。
 私ども小売商団体は、一昨年以来小売商業の抜本的基本政策を盛った小売商業基本法の制定要望を続けて参りました。しかし諸般の情勢から小売商業基本法という単独立法の制定はきわめて困難のようでありますので、われわれの要望する趣旨が中小企業基本法の中に実現されるならば、あえて単独立法に固執するものではありません。ただひたすらに中小企業基本法の中に小売商業の基本対策が盛り込まれますことを念願するものであります。
 ここでわが国小売商が抱いております問題点をあげてみたいと思います。
 一つには、わが国の小売商店の大部分は販売生産性のきわめて低い、したがって競争力のきわめて弱い、家族経営の、生業形態の個人商店であるということであります。
 二つには、わが国の小売商業は販売生産性のきわめて高い、したがって市場支配力のきわめて強い百貨店等の大規模小売業を頂点とし、その底辺には企業としての存在ではなしに生業としての零細個人商店が多数群生し、その中間に一割程度の企業としての中小規模の小売商店が混在し激しい過当競争にさらされているということであります。
 三つには、商店数において全体の八割以上を占めております零細個人商店の販売高はわずかに全体の三分の一に過ぎず、中小規模の小売商店と一握りの大規模小売業が全体の六割五分を配給しているのであります。また商店数において全体の九割以上を占めております従業者一人から四人の零細小売店が全体の約半分、五二・六%の配給を担当し、残りの半分、四七・四%はわずか一割に満たない中小規模の小売商店と大規模小売業が配給している状態であります。
 四つには、常時従業者五人以上の小売商店と四人以下の小売商店との間には越えがたい販売生産性の断層があり、五十人以上の大規模小売業とそれ以下の小売商店との間にも同じような販売生産性の断層があるということであります。
 五つには、中小規模の小売商店の経営内容は、日本経済の発展拡大に対応して好転していないということであります。
 右のように、わが国の小売商の問題は単なる対症療法的な対策ではどうにもならない深刻な問題を含んでいるわけであります。
 そもそもわが国の小売商を今日のような状態に導いた最大の原因は一体何であったのでしょうか。
 その第一は大企業の発展拡大と生協、購売会、農協などの発展進出によって、ますます狭まりつつある小売市場の中で、わが国の小売商部門は失業人口のたまり場として何らの制限もなしに開放されているからであります。
 その第二は、大規模小売業と中小小売商の資本構造に大きな差をつける経済的背景として、わが国には制度的資本集中機構が根強く形成されているからであります。わが国のように企業資本の銀行依存度の高いところにおきましては、大企業のほうが相対的に一そう多くの割合の資本を独占的に調達することができ、したがって高い資本集約度をもって、近代化、大規模化ができるからにほかならないのであります。したがいまして、わが国の小売商に対する基本対策の方向は、まず第一にわが国の小売商を失業人口の圧迫から解放して、小売商の半ば宿命的な、過剰、零細性を克服するための抜本的な小売商政策を確立することであり、第二には、さらに進んで積極的な小売商振興対策の推進によって、日本経済の発展拡大に対応できる小売商のあり方を作っていくことであります。
 以上の基本目標を前提といたしまして、われわれが要望する小売商業基本対策は次のとおりであります。
 一、完全雇用政策の推進によって、他産業から過剰人口が小売商業部門に流れ込んでくることのないような法的並びに行政的措置を講ずるとともに、小売商の登録制を実施すること。
 二、近代化しようとしても近代化し得ない、すなわち近代化への意欲もなく、その能力もない生業形態の零細小売商に対しては、社会保障制度の強化拡充によって、その生活を十分に保障しつつ円滑にその労働力をわが国の成長産業に吸収するように法的並びに行政的措置を講ずること。
 三、小売商の体質を改善し、その近代化を推進するため、多額の財政資金の裏づけによる積極的な小売商振興政策を確立すること。
 四、小売商の共同化、連鎖店化、店舗の拡大など、小売商経営の大規模化を推進するための行政指導を強化し、さらに小、零細規模企業の合同、統合を促進するための行政的ならびに法的措置を講ずること   。
 五、しかしながら小売商の近代化、大規模化への道は険しく、また短日月に実現できるものでもない。したがってその間、大企業その他小売商を圧迫する諸勢力の攻勢は依然として続くのであるから、小売商に自由にして公正な事業活動の場を確保するため、百貨店、スーパー・マーケットなどに対する環境是正対策は厳格に行なうこと。
 六、業種別同業組合を制度化し、小売商の団結権と団体交渉権を法的に確立し、取引条件の改善、大企業と小売商の産業分町の調整をはかること。
 七、税制改正によって税の重圧から小売商を解放すること。
 特に零細個人商店の税負担を軽減するため、店主給与、家族従業員給与を認め、事業所得と勤労所得との分離課税制度を確立すること。また勤労部分には事業税を課税しないこと。
 八、国の金融制度を改革し、小売商の資本装備を充実するため、政策的金融機構を強化すること。
 九、商店従業員の福祉対策を強化拡充させるとともに、国立の職業訓練機関を設置して、商店従業員の資質の向上をはかり、その労働力を確保すること。
 十、国及び都道府県に小売商振興審議会を設置し、小売商の振興をはかり経営の近代化を促進するとともに、小売商と小売商以外のものとの紛争を調整すること。
 以上がわれわれ小売業界の基本的な要望事項であります。
 どうか、小売業界が当面する事態の緊急性を考慮し、私どもの要望事項を十分に織り込んでいただいて一日も早く基本法が成立されることを希望するものであります。
#10
○委員長(赤間文三君) どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(赤間文三君) それでは参考人の方に対しまして御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#12
○近藤信一君 まず磯部参考人にお尋ねをいたしますが、中小企業と大企業とのこの格差というものは、現在のままでいきますと、これはますます開きが大きくなっていくということは、もうこれは当然だと私は思うのです。そこで基本法その他を実施いたしましても、今までの政府のやり方では、その格差を縮小することは非常に私はむずかしいのではないかとこう思うわけなんです。そこで私どもの考えからいくと、縮小の方向でなくしてこれはますます開きが拡大していくというふうなことも反面考えられるわけでございますが、少なくとも現在のこの関連法案といわれているものは、これは出ておるわけなんですけれども、この関連法案を見ましても、これはもう中小企業と名はございまするけれども、内容を見てみますると、おおむね上層部のほう、中小企業の中の上のほうの部分に対しては厚く、下のほうはなかなかこれは恩恵といいますか、そういうものがないように思われるわけなんですが、磯部参考人はその点についてはどういうふうな御意見を持っておられるのかちょっとお尋ねいたします。
#13
○参考人(磯部喜一君) ただいまの御質問でございますが、もし従来どおりの中小企業政策の程度でまあ終始されるということになりますと、今近藤委員がおっしゃいましたように、私は大企業と中小企業の格差、企業格差というものは拡大しても縮小しないと思っております。それからだんだんこういう状況になって参りますと、その次に中小企業の中での格差がいよいよ大きくなってくる。したがって、現在出ております基本法の関連法規だけの程度であるとおっしゃいましたが、中小企業の中のトップ・クラスはやや大企業のほうに接近して格差は縮まっていきますけれども、中小企業のトップ・クラスとそれ以下の間における格差というものは一段と広がっていくということは私は免れないと思います。それに対しては、やはりもう少し具体化するときにお考えを願わなければならない問題ではなかろうかと、こういうふうに思っております。
#14
○近藤信一君 今、先生言われましたように、私どもそういう点を非常に心配するわけなんです。そこでやはり中小企業でもいろいろと自分たちの利益を守っていく上においては、労働組合のようにそういう団体を作って強力な推進をせなければならぬということは、私、当然だと思うのです。それで政府はそういうために組織化ということを盛んにこの中でも言われておるわけなんですが、しかし、その組織をどういうふうにするかということになると、これはなかなか実際の面において非常にむずかしいわけなんです。私どもがかつては団体法をこの国会で審議し、作り、さらにその改正もやりまして、なるべく作りやすいように改正をしたわけでございまするけれども、その後におきましてもなかなかこの組合組織ということは非常にはかどっていない、こういう点からいきましても、これはなかなか中小企業の方々が団体を作って交渉をするということについては、腹に思っておっても、実際は運営の面でなかなかむずかしいという点がたくさんある。それはもう先ほどから言われておりますように、系列下にあるという関係もございまするし、いろいろな面から圧迫を感ずるというふうなことも私はあるのではないかと、こういうふうに思うのですが、しかし、それだからといって、これをいつまでもこの状態では私はいけないと思うのであります。やはり強力なそういう団体を作るという方向は何かそのほかに先生のお考えで御意見がおありであったら、ひとつお聞かせいただきたいと思うのですが……。
#15
○参考人(磯部喜一君) ただいまの点でございますが、私、率直に申し上げまして、まあ中小企業の方々が共同、結局協同組合になると思うのですけれども、団体を作っていろいろと話をされる、その本筋は私は従来どおりのやっと新しい考え方があるとは思わないのです。結局そういう団体交渉が実際効果を奏さないということは、こう言っては失礼なんですけれども、中小企業の方々が実際何といいますか、命をかけてといっては大げさになりますけれども、身ぐるみぶつかっていくだけの努力をされていないと思うのです。実際私は見ておりまして、私、ずいぶん欧米の協同組合を調べてきたのですけれども、あそこらで実際にやっておる方々の気がまえが全然違います。何かというと政府に頼って金を引っ張り出そうとか税金を負けさせようとか、こういうところに終始されて、ほんとうに団結されて、そして大企業にぶつかって交渉し自分の道を打開していこうという自主性がないところが、日本の中小企業の最も欠けておるところだと思うのです。こういう自主性があれば、私は日本の中小企業というものは相当高く買っておるのですけれども、もっともっと展開する道があるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
#16
○近藤信一君 それから今先生言われましたように、日本の中小企業の団体は、特に税制の問題やそれから金融の問題、これに苦んでおるということもこれは事実で、そういうことに陥りやすいことになるのですけれども、やはり私どもはそういうことでなくして、実際の中小企業の立場というものは、金融の面で苦しい、税制の面で苦しいことは当然でございまするが、いま一つはやはり大企業の圧迫ということが一番大きな原因であろうと私は思うのであります。特に協同組合等が作られておりまするけれども、これが実際のそれでは組合員の利益のために、大企業と団体交渉なんかできるかというと、なかなかこれはやれないわけなんです。ようやらないといったほうが適当かもしれませんが、もう少し勇気を持ってやれば労働組合までいかなくても、勇気を持ってやれば私はもっと一歩前進するんじゃないかと思う。さらにもう一つは、これはいろいろな団体が法案実現等におけるときにははち巻してえらい大会もやられるのですけれども、実際大企業との圧迫の面に対してはなかなか勇気がない。こういう点で私は非常に金融の面、税制の面、さらに大企業からの圧迫の面等二軍三重の圧迫を受けておるというのが今日の中小企業の現状ではないかと私はこう思うのですが、先生のお考えはどうですか。
#17
○参考人(磯部喜一君) おっしゃるとおりなんですけれどもね、大企業の圧迫というのは何も日本だけの問題ではないのですね。欧米だってやはり下請関係に対する大企業の圧力は相当なものがあるのですけれども、それを優に押し返すだけの力を中小企業は持っております。アメリカあたりでもドイツあたりでも。そうすると、なぜ日本の中小企業だけがそういう押し返すだけの力がないかという問題になりますね。これは単に団結をしただけではだめなんです。やはり中小企業が個々の体質改善をやって対等になり得る程度の力を持たなければいけない、非常にこれは抽象的な言い方になりますけれども。そうして初めて団体交渉をしても効果を持ちますし、また大企業のほうに対していろいろ反省を求めることも効果をあげていくんじゃないかと思います。根本は私はもっと中小企業の方々が体質の改善にしても、その他の方面のいろいろの活動をされるにしても、自主性を持った態度で出られないことには、幾らやってもいつになっても私は大企業の圧力を追い返すことはできないと思います。
#18
○近藤信一君 もう一点お伺いいたしますのは、この法案の問題ですが、第三条第二項は国の施策を行なうのにあたりまして配慮すべき点を示したものでございますが、これは第一項ですでに第一条の目標を達成するために行なう施策でありと、それからしかもこれを総合的に行なうべしとうたってあるわけなんですが、全くこれは蛇足であり、配慮規定であるというよりも、むしろ制限規定であるのではないかというふうな感じを持つわけなんでございますが、第二項はないほうがよいのではないかと私は思うのですが、この点は先生のお考えはいかがですか。
#19
○参考人(磯部喜一君) 私はあまり詳しく条文については勉強していませんのですが、第三条第二項はまあ今の御意見どおりじゃないかと思うのですが、その中でちょっとおっしゃったのですが、制限規定ということ、どういう意味かちょっと私にわからないのですけれども、蛇足であるという点は、まあ蛇足と言えば言えないものでもなさそうですが、まああってもなくてもいいという感じですね。
#20
○近藤信一君 最後に、先ほど中小企業省の問題に触れられましたのですが、私ども社会党としては中小企業省を設置せよと、こういう意見でございまするが、先生も言われましたように、やはりおおむね中小企業庁ということでは通産省の下請機関のような形で、実際通産省としては中小企業よりもまず大企業のほうがどうしても重点的になっていくと、こういう関係からいきましても、やはり先生の御意見のように、私どもも省として独立したほうが中小企業全般にわたる施策等を行なっていく上においても非常に好都合であり、また大きな力というものもあると、こういうふうに思うわけなんで、これは全く先生の中小企業者設置と私どもの意見とは同じなんでございまして、やはりこういう点は現在の通産省のもとで中小企業庁ということでは、小、零細企業というところまでは現在のあれでは目が届かないのではないかと私も思うのですが、特にそういう点でもう一つ何か御意見がございますれば、ひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
#21
○参考人(磯部喜一君) 先ほども申し上げたとおりなんですけれども、私は別に省にしなくてもいいとは思うのですけれども。日本の官僚機構がそうしからしめるのだと思うのです。その官僚機構をかえるということができれば、現在の庁でけっこうだと存じておりますが、これは言うべく行ないがたしでして、結局速急的に効果を上げる施策をやろうとすると、やはり中小企業省の設置というものはやむを得ないのではないかという感じで申し上げたわけです。そうして具体的には先ほど二、三の例を申し上げたとおりでございます。
#22
○近藤信一君 次に十二村参考人にお尋ねいたしますが、生協などの事業活動によりましては、やはり中小企業者の利益が不当に侵害されるということでいろいろな制約がなされるわけなんですが、しかし、生協活動の中では員外者がある程度認められておる点があると私は思うのですが、現在おおむね生協の中では員外者のほうはどのぐらいのあれがあるか、もしおわかりになったら、ちょっとお知らせ願いたいと田ふうのです。
#23
○参考人(十二村吉辰君) 先生の御質問にお答えする前に、われわれ生協が中小企業を圧迫するという点で一つ意見を述べさせていただきたいと思うのです。
 現在、われわれは年間約四百億円ぐらい。これは生協が四十六都道府県に存在しておるが、その生協の年間売り上げです。そうしますと、これはもう日本の小売総額の約一%弱なんですね。これはその企業の商業段階の圧迫ということは、物理的には全くこれはさか立ちしても、大きなたった一社のデパートの売り上げが五百億、六百億といった点からいっても、真の紛争の相手はだれか、僕は中小企業の方に十二分に御理解いただきたいと思う。
 さらに御質問の員外利用の点ですが、法律的にはわれわれ生協だけが認められておりません。農協や漁協は認められております。しかし、われわれはこの点はもう厳重にとにかく自粛して現在員外利用をやっておりません。ただ員外利用をやっているかのようなそういう印象を与えておるのは、たとえばもう大企業の経営者が直売のとにかく購買会を持っておる。これは人格なき法人なんです。たとえば今縮小されたとはいいながら、現在炭鉱経営者の購買会の年間売り上げが約四百億円ぐらいに計上されている。これは税金一銭もかかっていないのです。こういう業者こそ法律的に認められていない無法地帯のこれは僕は営利活動だと思います。そういう点からいって、われわれの協同組合員外活動は、少なくとも利用二割ぐらいは世間並みの農協並みに認めていただいたとしても、われわれは決して流通面の紛争の原因になっていないという点を御理解いただきたいと思います。
#24
○近藤信一君 先ほど十二村さんも言っておられましたように、今度の基本法の十九条ですね。これで「中小企業者以外の者の事業活動」という言葉がありますが、そうなりますると、先ほどの非常利用業である生協なんかがこの事業活動で制約される。その他の事業活動ですか、これで制約されると、こういうことになってくるわけですか、この点はどうですか。
#25
○参考人(十二村吉辰君) 条文どおり、われわれのしろうとの判断によりますると、何か対象にされるような気がします。ただし、その行なう者と営む者に対する法律的解釈が明文化されれば、これは何も除外ということを規定していただかなくても除外になるとは思いますが、この法文全体の全編がきわめてあいまいなのでわれわれは心配なんです。ぜひともこの点は御審議の段階において、行なう者と営む者をこれをとにかく不明確な解釈で拡大解釈されるような、そういう論議がなされた場合は、ぜひともこれはもう除外していただきたいと、こう思います。
#26
○近藤信一君 そうすると、やはりこのままの字句でいくと拡大解釈される場合には、生協活動というものが非常に大きな制約を受けると、こういうことになるから、これは非常に危険な、何といいますか、条文というか、こういうことと、生協の関係では解釈をされるわけですね。
#27
○参考人(十二村吉辰君) 非常に我田引水論で恐縮なんですが、単に自分たちのこの生協活動の発展だけを期待して申し上げておるのではなくて、日本の物価政策の無定見は、たとえばアメリカにしてもイギリスにしても、五%以上とにかくもう抜き打ち的に物価が上がったならば独占禁止法が発動される、労使関係の労働協約がくずれて、自動的に産業不安が発生する。それにもかかわらず、日本の場合は、一割五分、二割と、こういう小売価格あるいは卸売物価が、ある特定の物品について上がったとしても、一割五分も二割も上げないで、そして十二分にとにかく操業されたそういう企業は、十二分な経済的力があるから耐えられたと思うんです。弱い日本が一割五分の物価も上げないで、そうして企業の存続ができたのに、少なくともアメリカのあの高度な資本主義政策が普遍化したところにしろ、五%であの大紛争が生じるという点からいって、日本の非営利団体が政府の掲げておいでになる長期物価安定政策に積極的に社会的に貢献しておるんだというこの目的意識を十二分に御理解になりまして、その手段として適正物価への物理的コントロールが常時行なわれておる。この非営利団体は、そういう面で保護助成をしていただきたいと思います。
#28
○近藤信一君 僕一人で質問するのもあれだから、最後に高橋参考人にお尋ねをするんですが、中小企業ということになりますると、これは工業も商業も一緒になっての中小企業対策ということになるわけなんですが、その中で、特に私どもが国会で論議するときでもそうですが、中小企業というと、おもに工業関係のほうにウエートが置かれて、商業関係は何か置き忘れられたような議論が非常に多いと思うんです。私どもそういうことを痛感しておるわけなんです。そこで、商業関係の立場からいくと、やはり商業は商業として別個なひとつ何か基本法みたいなものを作ったらどうかと、こういうような御意見もあるやに私聞くわけなんですが、工業と商業との格差の点も私はこれは問題があろうかと思うんです。こういう点について、高橋さんのお考えをひとつお聞かせ願えたら幸いだと思うんです。
#29
○参考人(高橋貞治君) ただいまお話になりました全日商、これは約百五十万の業者がおりますんですが、このものたちは絶対に単独法で小売商業基本法を作っていただきたいということを二年前から主張して参ったんでございますが、それを工と商と一緒にして中小企業基本法をお作りになるということで、われわれの希望がそっくりそのままその中に入りますれば、まあこれは百歩譲ってけっこうだと、いうふうに全日商運の考えがそうきまったわけでございまして、その内容の面でございますが、十分に盛っていただいて、われわれの主張を入れていただきたい。小売商の主張を入れていただきますれば、あえて単独立法には固執しないということをきめたわけでございまして、この点はどうぞ御了承いただきたいと思います。
#30
○近藤信一君 特に商業の面になりますると、おおむね零細が多いですね。ところが一方はうんと今度は開いたデパートてなのがあって、デパートと小売商との関係というものは、私はなかなかむずかしいのではないか。デパートのあるすぐ軒下に小売商がずらっと並んでおるというような日本の小売商の立場なんだから、どうしても小売商、これは、もう一方商店街の組合もございますね。商店街の組合と小売商の組合とは、これは重複をしての組合であろうかと私思うのでありますが、そういう点を考えますると、やはり私どもは商業の面、先ほど高橋さんも言われましたように、不況がくると、大企業の中から整理されてくる、合理化による犠牲になって、若干の退職金をもらって出る。何かひとつ遊んでおっても仕方がないからやってみようかということで、またちょっとした店ができる。こういう形が非常に多いんじゃないか。それで、あなたの先ほど言われました完全雇用によることによって商業へ流れ込んでくることを防止してもらいたい、これは全く私ども同感だと思うのでありますが、そのためにはいろいろな施策というものも講じなければならないと思うんですけれども、これはなかなか現在の政府のもとにおいては私はむずかしいのではないかと思うんですが、あなたが先ほど御意見の中で完全雇用の問題をあげておられましたので、何かあなたが特別に御意見を持っておられるようでしたら、ひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
#31
○参考人(高橋貞治君) 今先生からお話のありました百貨店の問題でございますが、これは百貨店法を作りますときには、全会一致で衆議院も参議院も御承認いただきまして、現在運行をして百貨店審議会並びに各府県に商業調整協議会というものがございまして、まあ十分とはいきませんが、われわれの希望も十分入れていただきまして運行しておりますので、これはないよりましだと言ってはおかしいのでございますが、ある程度われわれの希望が入っております。
 それから先ほどお話ありました完全雇用の問題でございますが、これはもう一つ関連法規をお作りいただいて、そうしてこの点は小売商の要望をひとついれていただけばけっこうだと思います。どうぞこの点でひとつよろしくお願いいたします。
#32
○松澤兼人君 簡単に高橋さんにちょっとお伺いいたしたい。
 他産業から商業への人口の流入の問題もやはり取り上げていらっしゃるようですから、その対策として登録制ということを一言おっしゃったと思うんです。しかし、これは商業の全分野にわたって登録制を採用するということは非常にむずかしいことじゃなかろうか。場合によりましては、たとえば市場を設置する場合に許可制にしてもらいたいというような意向もだいぶありましたけれども、憲法の問題と関連して許可制ということではちょっと困るというようなことで、現在のような法律の建前になっている。そこで、商業への人口の流入ということ、どういう形の登録側というものによって阻止といいますか、あるいは逆に言えば商業人口の安定化、固定化ということが実現できるかということを疑問に思うわけです。名案がありましたら、ひとつお示し願いたい。
#33
○参考人(高橋貞治君) 今先生からお話ございました銀行から預金が流れるということのお話でございますが、まあ中小企業には流れないということですね。これに対してやはり関連法規か何かでひとつ中小企業、小売商のほうに回るような姿をぜひやっていただきたいということをお願いするわけでございまして、現在商工中金等の金はある程度流れておりますが、ほとんど工の方面にいっておるという現状でございます。小売商はほとんどまあ足場がすくわれていると申しますか、ほとんど利用ができないという状況でございますから、なるべくこの面において企業面の小売商のほうに流れるようにしていただけますれば、大企業との差もあるいは均衡がとれていくんじゃないかとこう思っておりますが、ほかに何か……。
#34
○松澤兼人君 逆に言いますと、今度は従業員の側から申しますと、今度は中小企業あるいは中小商業のほうに従業員を確保するということが非常に困難だという面が出てくるわけなんですが、これはほんとうに個々の小売業者のお店に伺ってみましても、今までのような人手もありませんし、お困りになっていらっしゃる様子はよくわかるわけであります。これにつきましては、何か政府として最低必要な商業従業員の数を保障するといいますか、あるいは雇用を安定させるというような名案をお持ちでございますか。
#35
○参考人(高橋貞治君) ただいま先生の仰せのとおりでございまして、なかなか店員などを雇い入れますことは今若労いたしておりまして、特に東北方面とか、東京で申しますと、募集に行ったりなんかしておりますが、思うとおりに入って参りません。現在は昔のように男の店員はほとんど見込みありませんで、女店員を使うことでどうやら活路を開いておりますが、なろうことでございますれば、この面も何かの方法で小売商の方面にも流れますように、ひとつお手配を願いたいと思っておりますが、そのほかに政府でおっしゃるとおり改善しまして、店舗の合同とか、そういったものをして、店主自体が店員のかわりをするという株式会社形態にするということも、現在策がどんどんと進んでおります。たいした見込みはありませんが、問題は別でございますが、ある程度進んでおります。こういった面で政府の歩調にも合わしておりますが、まあ商業面にも雇用できますよう、店員のひとつ特別何か御配慮いただければけっこうだと思っております。
#36
○松澤兼人君 そこで従業員の手不足ということから、いわゆるセルフ・サービスあるいはスーパー・マーケットという問題も起こってくるようです。小売業者の方々はどんなスーパーマーケットにも反対でおありなのか、あるいは場合によりましては、商店会が一体となってスーパー形式のマーケットを作っていらっしゃるところもある。これは商業を近代化したり合理化したり、あるいはセルフ・サービスということで、購売者の要求にぴったりするという、そういうサービスの仕方によると、一がいにもスーパー・マーケットは全面的に反対だと言えないところもあるんじゃないかと、こういうように思うのです。そこでスーパー・マーケットがどれもけしからぬと、こう言えばそれだけなんですが、何かやはりそこにこういう形式のものならばやむを得ないだろうというような形があるようにも思われますですが、これに対するお考えどうですか。
#37
○参考人(高橋貞治君) 今スーパーのお話が出ましたが、全日商運では何でもスーパーがいけないとは申し上げてない。まあ五十坪から百坪程度の小さいのは、消費者にサービスの点で必要だろう、こう申し上げておるのでございますが、まあ規模を大きくいたしまして、二百坪とかそれ以上になるものは、これは非常に影響が大きい。特に小売商自体も神戸等で、今仰せのとおり一つの商店街ぐるみのスーパー・マーケットができております。非常に消費者に御評判がいいようでございますから、こういった面に小売商自体も目ざめまして、今おっしゃった町会ごと、あるいは商店会ごとに、だんだんと数をふやすという意向が現在出ております。ただよく、デパートですか、デパートはあの姿でいいのでございますが、電鉄会社とか大きな資本が膨大なスーパーをやられましたら、これは小売商は一たまりもないと思っておりまして、こういう大規模なスーパーは何らかの法的な規制をお願いいたしまして、小売商百三十万の業者を安心させていただきたいということは、通産省にもお願いを申し上げているのでございますが、小さいのはこれは消費者のために必要だ。特にこれに関連いたしまして、外国資本などが出てきたらば、非常に腰の弱い日本の小売商は一たまりもないだろうということでございまして、外国資本のスーパーはぜひひとつ何らかの面で、過日御心配いただきまして一応中止したようでございますが、小さいのは仕方がない、しかし、大きいのはひとつ何とか御規制願いたいというふうに考えております。
#38
○松澤兼人君 その問題についてはもう一つだけ。いなかのほうに参りますと、三、四の小売業者が集まってスーパー形式の店を開く、その口実に、外部資本が入ってくるよりは、地元資本を合同してスーパー・マーケットなり、スーパー・ストアを作ったほうがお互いに話し合いもできるからいいんじゃないかという意見を、その開設しようとする側から言っております。これももちろん私たちとしましても、小売商業というものがどうしても近代化していかなければならぬということであれば、四つ五つのものが個々に黒字でありましても、ごくわずかの利益しか上げておらない、スーパー形式にすれば、それでもっと大きな収益を上げることができるかもしれない。しかも外部資本が入ってこようとする場合においては、地元資本が共同してそういう形のものを作るということ、これは合理的でもあるし、これをしも反対す
 るということは、ちょっといろいろ問題があると思うのです。そういう面で、今仰せになりましたように、外国資本は徹底的に反対してもらいたい、これは私たちもそういう気持でおるわけなんです。中小企業の一つのいき方として、いなかの町で業者が寄り集まって、共同的にスーパー・ストアを経営するというようなことは、今のお話ですと、別段差しつかえがないように考えられますが、それでよろしゅうございますか。
#39
○参考人(高橋貞治君) 大体全日商運はその考えで進んでおりますからして、地方の小さい町で四軒、五軒、六軒ぐらい集まって、それでスーパー形式でやっていただくということもけっこうだろうということの方針で進んでおりますので、私も先生の仰せのとおり考えております。
#40
○松澤兼人君 最後に、今の高橋さんの非常に詳細にわたった基本法に対する御要望を承ったのです。今私たちは基本法及びその関連法案というものを中心にして審議を進めておるわけでございまして、立案の前でしたら、いろいろ御参考の御意見もあるように考えます。今こういうふうに基本法というものができ上がってしまった場合における最小限度の修正要望というようなものはお持ちだろうと思いますが、これは私今すぐにお聞かせ願いたいというふうには申しませんけれども、だんだんと衆議院におきまして本会議でこれが通過いたしますと、私たちの中で審議しなければなりません。そういう最小限度、法案に対する修正意見というようなものがございましたら、各委員に御配付願えたらけっこうだと思います。これは要望いたしておきます。
#41
○向井長年君 磯部先生にちょっとお伺いいたしますが、先ほど近藤委員からも御質問がございましたが、現在の経済の二軍構造の中で大企業との関連で、ますます中小企業が圧迫されつつある、こういう状態の中で、今度基本法を作り、その中から育成強化しよう、こういう形で出しておるわけなんですが、特にまず第一に、何といってもこれは中小企業自体の組織ですね、先ほどちょっとお話がありました協同組合、こういうお話がございましたが、まず組織を強化しなければならぬということが一つあるし、あるいは次には、まあ現在の不合理なと申しますか、金融あるいはまた税制、こういう問題の今後の対策も必要である。なお、もう一点は、いわゆる受注ですね、それの確保、こういうことが、一応三つが中心になってくると思います。
 そこで、まず第一に組織の問題ですが、先ほど先生ちょっと協同組合が一番いいのじゃないか、こういうお話がございましたが、現在協合組合ということになりますと、これはやはり自由加盟でございまして、したがって、アウトサイダーがあるわけですね。で、そういう大企業との関連と、なおまた中小企業内部の不当競争を廃止する、こういう立場を考えてくると、そういうものよりももう少し強化された、やはりアウトサイダーでなくて全部加盟をする、そういう組織の実態が望ましいのじゃないか。それと同時に、そうなって参りますと、業種々々がたくさんありますから、同業組合的な方向をとっていく、こういう形について先生どう考えられますか、まずお聞きしたいと思います。
#42
○参考人(磯部喜一君) 今の御質問ですけれども、私現段階で今おっしゃったような同業組合的な機構ですね、私は反対なんです。それはなぜかといいますと、ドイツでも約九十年前にイヌングという制度ができたときに任意組織にすることもできるし、強制組織ですね、全員が入ります強制組織、それは同業者の確か八割でしたか、八割以上がそのイヌングの設立に賛成したときには、全員入らなくちゃいけない、ツバングオルガニザチオン――強制組織にすることができるという二本建てでやってきたのですね。これはちょうど今世紀の初めですけれども、しかし、だんだん時代がくだるにつれて、その組織は全廃になったのですね。これはなぜかという問題、それと日本ではやはり資本主義組織というものは各人の自由意思というものが中心になっているのです。少しでもいやだという人があるときにその人の意思に反して入れるということは私は大問題だと思うのですね。そういう意味で、やはり組織、特に経済界の組織というのは任意組織でなければいけないということが私の持論なんです。そういう意味で、団体法ができたときにも商工組合が強制加入の制度を作ったのですが、これは僕は時代に逆行した組織であるということを言った。また現にその運用においても事実上それは今まで適用された事例も何もないわけです。で、まあ中小企業の方々は若干反対意見がありますと、ついめんどうくさくて、いやでも入れたほうが結果が強まっていいじゃないかとおっしゃるのです。私はそういう人が入りますと、中でまたかきまわすことになりまして、内部的にその組織が弱くなる一つの動機になる。やはり気の合った賛成した人だけが集まって、少数でもそういう人たちばかりが集まったときに、初めてその組織というものは有効になる、強固になるのだ。これはいろいろ事例がございます。今までに。現にあります商工協同組合関係を見ましても、一番実績を上げている組合はどんなのだといいますと、やはりみんなが気持よく協力しておる組合が一番力が強い。多少人数が少ない――東京でも六人で作っている組合があります。これでもりっぱに成績を上げているんですね。で、一方で百人入っている組合がいいかというと、かえって悪いですね。むしろ逆に、中小企業でも、御承知のように、いろいろございますからね、同じ業種でもそういういろいろの人が入りますと、利害が必ずしも一致しないですね。そうすると、中でどさくさどさくさやっているわけですね。そうすると、その中に一つの派ができまして、やや上の人がやや小さい人を押えつけるような、そしてその間に、業者というのはなかなかこすいですから、あまりフェアでないことをやる。それが今に至っても尾を引いている組合が商工組合の中にもございます。現に――これは名前言っていいかどうか知りませんが、相当な、輸出関係では重要な品種の一つのものを作っておる商工組合がある。東京の中にあるんです。それが常に最初からごたごたしている。安定審議会でも一応調整規程というのはとっておりますけれども、しかし内部では非常にごたごたしておる。そのたんびに何ら関係のない私のところに陳情がくるくらいでして、やはり私は強制組織のようにすればますますそういう紛糾は日本の場合には大きくなる、こういう感じをしております。
#43
○向井長年君 まあそれが実態だろうと思うのです。したがって、そういう実態を中小企業の諸君が十分認識して、そうしてやはり自分たちのみずからの利益という立場から組織化をしなければ、今、先生がおっしゃったような形であるならば、協同組合方式をやってもなかなかこれは目的を達するような条件にならぬのじゃないか。現在までおそらく協同組合とか、いろいろなのがありますけれども、これは政府資金を借り入れるためのいろいろな手段であってみたり、あるいはまた内部的に若干のいろいろな問題を提起したりする程度ですね。何らその打開に努め得ないというところが、まあそういうところに原因があると思うのです。したがって、もちろん私たちの言うのは、強制的というよりも自主的に少なくとも目ざめて理解をして、そういう組織化を作っていくということが最も望ましいのじゃないか、そのためにはやはり最終的には同種の同業組合という形でやっていくことが、この段階においては最も望ましいのじゃないかという気持を持っているわけなんですが、先生の意見、よくわかりました。
 次にもう一点、特に受注問題ですね、発注の問題ですが、これは何といってもまあ今大企業が中心になっていろいろこういう生産をしている、あるいはまたいろいろな業種に対しましても、なかなか中小企業は苦しい立場に置かれておる、こういう問題ですが、この中で特にわれわれが一番注目すべき問題は官公需ですね。これは非常に大きいと思うのです。したがって、これは国なりあるいは公共団体、あるいはまた公共企業体、こういうところのいろいろな発注というものが、これはまあ会計法にも基づくわけでございますが、こういう問題がある程度確保されるべきだ、中小企業に対してもそれは確保されるべきだ、こういう考え方を持っているわけなんですが、この点諸外国の先生の何か知っておられる例がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
#44
○参考人(磯部喜一君) 今の点ですが、私、今のおっしゃる御意見には全く賛成です。で、今度の基本法でもたしか一項目入っておったと思うのですけれども、国その他の何ですね。で、私は思っているのですが、国とかあるいは地方庁程度じゃ私はいけない。およそ国民の税金が資本になって運営されておるたとえば公団であるとか、事業団であるとか、あるいは公庫ですね、こういうところに対しては受注量の二〇%ですか、三〇%というものは中小企業側から買わなくちゃいけない、このぐらいの強制はしても私は妥当ではないかと思っておるのであります。
 まあ外国の例ということですけれども、私はあまり詳しくは存じておりませんが、たしかアメリカのスモール・ビジネス・アクトの中に若干そういう例があって、相当あっせんしておるのじゃないかと思います。
#45
○向井長年君 もう一点は、金融、税制の問題ですが、これにつきましても、まあ今までの政府の考え方は大体何と申しますか、経済性が非常に高まるというところにはある程度の助成をすると、こういうことでありますし、あるいはまた何と申しますか、その企業がある程度円滑に運営でき得るという態勢については、これは助成するのですが、それに対しましては非常な条件があるわけなんですね、政府資金を出す場合においては。まあそういう条件を満たすところは、そんなに買わなくてもよそでもよけい満たされるわけです。満たし得ないところが一番困っているわけですね。こういう点について、特にこの金融の問題、あるいは税制の問題について、先生何かいい案があれば教えていただきたい。
#46
○参考人(磯部喜一君) そうおっしゃられると、ちょっと私も困るのでして、今の組織で特に政府資金を使いますときには、あんまり条件がルーズにできないのでございますね。まああまりやりますとやはり滞りとか焦げつきができますと、そうしますと、やはり担当者の責任問題が出てくるようになる。それからやはり安全第一と考えますと、やはり相当なシビアな条件というものが出てくるので、これは今日の機構じゃ私はやむを得ないのじゃないということです。だからしたがって名案というものはないですね。
 それからまあ先ほどのことに関連いたしますが、私ちょっと申し上げるのを忘れたのですけれども、何と申しますか、下請を使っているのはみな大企業でございますね。それらの支払いぶりその他に関連して一番痛感いたしますことは、下請代金の遅払いの問題ですね。私はこれはもっとシビアに是正していいものだと思います。今度、若干改正法案が出ておるようでありますけれども、あの程度でもまだなまぬるいという感じがいたします。もっとやってしかるべきだと思います。大体景気のいいときは、まあ親工場というものは相当金払いはいいですけれども、ちょっと下向きになると、すぐしわ寄せがそっちにくる。最近でも多少そういう点のわかってきた大企業がないわけでもありませんけれども、下請発注する側では、非常に下請のほうの立場になって考えても、結局会社の経理のほうからの圧力がかかる、結局しわ寄せがいくということが非常にたくさんあるのですね。そういう意味で、そういう面はフェアじゃないと思います。そういう意味の是正というものは、やはり考えてしかるべきじゃないかと思います。やはりもう少しそういう形でそちらのほうから当然もらうところの代金はフェアにもらえる、そこを相当改善すれば、いわゆる下請工場の金融問題というものは、僕はかなり改善されていく、こういう工合に思います。
#47
○向井長年君 十二村参考人に一言お聞きしたいのですが、特にこの十九条の問題で不当な利益の侵害、こういう問題で、紛争の問題ですが、これはひとつこういう紛争、特に中小企業以外のものとの間の紛争処理については、何かの機関か、機構を持たなければいかぬと思いますが、そういう中でどういう機構を持ったらいいと思われますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#48
○参考人(十二村吉辰君) 自信のある私は一つの意見は持っておりませんが、むしろ紛争を生ずる原因となっておる産業分野を、秩序を明確にしないと、運輸業者が金がたまって資本蓄積がされる。その蓄積された資本を運輸企業のサービス面には投資しないで、百貨店を設立したり、あるいは船会社に、これは運輸業ですから船会社はいいでしょうが、あるいは不動産の企業をやる、非常に多角経営なんです。あるいは重電機メーカーが弱電機メーカーの仕事を取り上げる、最後には中小企業のセロテープまで取り上げる。最近ではとにかく大電機メーカーがプラスチック企業に手を伸ばし、雨どいまで作っている。そうしますと、力のある企業が財政金融、また保護政策においては電力料金、水道料金といったような、そういうコスト・ダウンができるような法外もない保護政策を加えるだけではなくて、健全な企業を次々に集中化して奪っていく。その結果生ずる紛争はこれはもう事前に原因を排除しないで、末端の底辺におけるとにかく紛争に問題点を、焦点をそこに無理々々向けさせるところに問題がありますので、むしろこの点では最後に御要望申し上げました独占禁止法をアメリカですら一昨年すでに強化の方向に踏み切られておる。またドイツはエアハルト経済相が今度刑首相になって、独禁法の育ての親でございますから、少なくとも僕は中小企業の紛争に対して、もう少し政治的道徳を底辺にした理念を持って整然としたそういうともかく予防措置が講じられるのではないかと思う。そういう予防措置を十二分、とにかく法制化の段階に御研究をなさるなり、もしどうしても独禁法強化の方向が、現在の資本主義的政策の方向からいって無理ならば、経済力乱用の何らかのそういう予防措置を講じていただいて、そして最終的に予防するならいいんですが、もうすでに重病患者が瀕死のも症になったからといって、スピロヘーターのある温床地帯に何の手も加えないで、常にそういうばい菌とのみ取っ組むような、そういう施策の無定見を十二分に御検討を願いたいと思います。
#49
○向井長年君 ただいまの御意見は大体中小企業と大企業とのいわゆる産業分野の確保、こういうことだと思うのです。これは磯部さんにお聞きしたほうがいいかと思うのですが、どうですか、今十二村参考人から言われましたように、確かに最近大企業が中小企業の分野の業種までどんどんと奪いつつある。こういう状態の中で、産業分野の確保を明確に法制化するということですが、言うなれば、業種によっては、これは中小企業の業種である、これは大企業でやっちゃいかぬ、これは大企業の業種だ、そういうような形が現在のわが国の産業界の中で確立することがわれわれも望ましいと思うのですが、この点ひとつ先生の御感見をお聞きしたいと思うのです。
#50
○参考人(磯部喜一君) 理論的には私はもし生産分野なり産業分野の確定ができれば、これは私はけっこうなことだと思うのですけれども、ところが、産業分野で、たまたま今は中小企業が作っているという産業分野がかりにあったとする。それはいつまでも中小企業の生産条件から考えて最もふさわしい産業分野であるということは私は言えないと思いますね。これは生産技術の発展その他からして、それからあるいは需要量の増大その他からして、これは絶えず移動するものですね。そういう場合に、はたして理論的に見ても妥当と思われるような産業分野を確定することができるかどうかという実際問題にわれわれはぶつかるわけなんですね。おそらく中小企業あるいは小零細企業の分野とはっきり言えるものは非常にりょうりょうたるものである。今二、三の例が出ておりますけれども、あれは量産可能であり、大企業の線に乗るから乗り出してくるわけなんですね。需要量が少なくなればとても大企業はでき得るものではないのです。だからそういう意味において、まあだれが見ても納得できるような分野の確定ということができれば私は好ましいと思うのですが、もしできないとしたら、そのためにむだなトラブルが起こる可能性もある。だからこれは非常に慎重な調査と研究を要する問題じゃなかろうか、こういうように思うわけです。それと大企業の多角経営の問題が出ておりますけれども、これも資本主義の社会においては、私は仕方がない問題だと思います。それを是正するということになれば、資本主義そのものを是正していかないことには、これは解決できない、こういうふうに考えております。
#51
○向井長年君 先生、資本主義社会というけれども、そうではなくて、やはり資本主義社会の中でやるのですが、しかし、計画生産ということがあり得るのじゃないですか、計画的な生産というものは、需要に対抗する計画的な生産というものは。これは特にわれわれいなかでも、中小企業だけの問題ではなくて、農業生産の問題に非常によくあると思います。最近もなま野菜のレタスとか何とかいうやつが非常に需要が多くなり、どこでもそれを作り出す。イチゴも非常に需要が多いというと、イチゴをどこまでも作り出す。そうすると、それは飽和状態になって腐らしてしまう。こういう方向が各所に現われてきているわけです。したがって、これはやはり計画性がないからですね。やはり気候風土に、地域に適した生産というものは、これは農業生産の中でも必要であるし、したがって、中小企業あるいは大企業の中においても、資本主義社会において、そういう自由を拘束しちゃいかぬ、こういう理由もあるかもしれませんけれども、しかし、政府はやはり需要と生産をいろいろな面から考えて、ある程度の計画というものは立てて進んで、資本主義社会であってもいいのじゃないか、こういう私たち意見を持つわけなんですが、この点いかがでしょうか。
#52
○参考人(磯部喜一君) まさしくおっしゃるとおりなんですけれども、今の組織のもとで、そういう意味の計画を政府ないし地方庁ですか、そこらがそういう権限を持ち得るかという問題なんですね。おそらくそういうことをおっしゃいますと、今の社会は自由社会だ、そういうことはもってのほかだと業界のほうでは必ず反対なさるのですね。私は資本主義社会で計画性というものはあり得ないと思います。これは統制はできる。統制と計画というものは別個に考えています。実際では常識では一緒に混同される場合が多いのですが、私ははっきり分けている。そういう意味で、今おっしゃったような計画というものはあり得ないのですね。実際とり得ますのは、その関係業者がお互いの話し合いで調整をするということはできます。その調整が日本の人々はできない、やらないのですね。これは私たちいろいろ聞いておりますと、ドイツの業界は非常にやっております。だからたとえば隣が新しいものをやった、必ずしも私がそれをやることは――やはりそれを隣がやり、私のほうが追随した場合に、その需要がどうなるかということを十分の調査の上で見通しを立てて、私のほうとしては、新しいものをやる、だからその場合はドイツはうまくいっている、つまり自主調整というものができておるからいいのですね。日本の場合は、隣がやれば自分のうちも対抗上やる、市場のシェアを従来どおりに保持するためにやる、お互いにむちゃな競争をやるという意識が先に立つものですから、できない。私は自主調整でやるべきである、こういうふうに考えております。
#53
○豊田雅孝君 いろいろお尋ねしたい問題もありますけれども、時間の関係上、お一人に対しまして一問ずつに限定いたしまして、そして一括お尋ねいたしたいと思います。
 まず第一に、磯部さんに対してお願いをしますが、これは中小企業省に関する問題であります。先ほど御意見承わりまして傾聴をしたのでございますが、御承知のとおり、中小企業は複雑多岐である、これは御指摘のありましたとおり。したがって、また各省にそれぞれ分担せられておるわけであります。通産省にはもちろん相当なものがありますが、食べる物の生産から販売、一貫して農林省がやっておるという関係からいたしますると、米から、主食はもちろん、副食それからみそ、しょうゆ、こういうものを一さい農林省でやり、数から言うと、なかなか農林省所管の中小企業があるいは一番多いかもしれない。あるいは薬の関係あるいはクリーニング関係などは厚生省、またトラック関係などになりますというと運輸省、かように今日行政機構的にみますというと、それぞれ分担せられておる。その中小企業に対しまして中小企業省設置という場合に、今の中小企業庁を拡大強化し、そして主管大臣を置くという程度でいいとお考えになるか、あるいは行政機構の再編成、その一環としての中小企業省設置でなければ、その所期の目的を達成しがたいであろうというふうにお考えになるかどうか、この点であります。これは最大公約数の問題といたしましては、税制、金融の問題あるいはまた事業活動調整の問題、さらにまた近代化、合理化の問題、これらがあるわけでありますが、それらに対してどういうふうにお考えになっておるか、これを伺えたらと思います。
 それから第二は、十二村さんに対してでありますが、さっきから非営利団体の商行為、これについていろいろ御意見が出たわけであります。言葉をかえていいますと、事業を行なうものと事業を営むものと区別すべきじゃないかというような御意見でありましたが、員外販売をやるようになりますと、これは事業を行なうものを事業を営むものとの区別は非常に困難であることは言うまでもないのであります。しかし、生活協同組合のほうは、員外販売については相当の制限があるというようなことから別に考えるべきだというような御意見もありましたが、これがしかし、組合に対する関係でありましても、大規模に行なわれるということになりますると、相当そこに中小企業との間に深刻なる問題が出てくる。また国民経済からみましても、二重投資の問題が出て、はたしてそれを放置していいのかどうか、こういう問題、また御承知だと思いまするけれども、特定の生活協同組合などはゆりかごから墓場に至るまでというようなことで、お産道具からお墓まで徹底的にやっておる。そうして多数の支店網的なものも持ち、そうしてその売り上げも巨億の金額に上っておるというようなこと、これらと中小企業との間に深刻なる摩擦が出てきたときに、これを調整する道を全然ふさいでいいのかどうか、ここに問題があるだろうと思うのであります。いわんや農協につきましては、中にはみそ、しょうゆまで作り、あるいは散髪屋まで直営し、あるいはクリーニングまで直覚するというようなところまで出て、深刻なる問題が出ていることは御承知のことかと思いますが、要するに、これらは一例でありまするけれども、そこに非営利のものであろうと営利のものであろうと、あるいは大企業であろうと中小企業であろうと、ここに深刻なる利害の調整、しかもそれが大規模化してくるという場合におきましては、これに対して適当なる調整の道があってしかるべきじゃないか、こういう点についての御意見を承わりたいと思うのであります。
 それから最後に、高橋さんに伺いますが、いろいろ問題があるのでありますけれども、特に登録制の問題、さっき松澤さんからも御質問がありましたが、これについてどういうふうな具体的のお考えを持っておられるか。許可制ではない登録制だという点で、私どもその点の差異は十分に承知をした上のことであります。もっとも最近私は欧米諸国における商業関係の許可制度について、法制的な調べをしておるのでありますけれども、西ドイツには許可制があるということがはっきりわかってきておりまするけれども、しかし今のは許可制でない登録制でありますが、しからば登録基準というものをどういうふうに置くか、ことに新規開業に対してどういう登録措置をとっていくか、これについて、もしも実際的な立場からのお考えがありまするならば伺い、もしもまだその段階に至っておらぬということでありますれば、御研究を願っておきたいということを質問にからめて要望いたしまして、どうか三つの問題につきまして、それぞれお答えが願えますならば、まことにけっこうであります。
#54
○参考人(磯部喜一君) 理想的に申しますと、やはり各省との所管事項の折衝あるいは調整ということは絶対に必要だということはおっしゃるとおりだと思います。しかし、実際問題といたしましては、それをやるには時間がかかると思います。また現に農林省の例が出ておりましたが、私もだいぶ存じ上げておりますけれども、いざ話すということになると、なかなか話がまとまらないことがある。そうしてそれですから、そういう全部の調整を待ってから中小企業省を設置する――中小企業者を設置するよりはさしあたりは現在の企業庁の拡大強化でやっても私はいい面があると思う。そうしてその後に、そういう調整をやっていただいたほうがいいのではなかろうか、これが実際的ではないかと考えております。
#55
○参考人(十二村吉辰君) われわれ生活協同組合の目的意織を十分に御理解いただきたいと思います。たとえば現在のパーマにしても、あるいはふろ代にしてもわれわれの調査し、またわれわれが間接的に――とにかく経営しているふろ屋さんでは十一円くらいで十分に再生産が保障されているんです。それがいや二十一円だか二十三円くれ、こう要求されている。こういったような不適正ないわゆる物価政策に対して、われわれは顕著にとにかく訴えるという意味で、生活協同組合の目的なんです。われわれは決して好んで物品を扱っておるのではございません。たとえば、ある町のくつ屋さんが共同して、ほんとうにもう原価にプラス再生産の資金、そういったような適正な価格をわれわれといわゆる約束してくれるなら、われわれ共同組合店舗は、極言するならば、存在意義は失ってくるのです。そういう面の不当な物価政策に対するわれわの、やはり弱い者同士がそういう高価なものにどうしても生活を破壊されるという、これは原始時代のホモ・サピエンスの精神基盤の上に立っているわけです。決してわれわれは好んで店舗をやっているのではなくて、またおっしゃるように、大規模というのは一、二の地域の消費者に十二分に理解された結果伸びておるのです。われわれは利潤が上がったからといって土蔵を建て、その他安易な生活を営もうという目的意識でございませんので、いわゆる適正な物価政策によって消費者にサービスするのだというお考えの業者の方は、百貨店に行っては決して御相談に応じないはずです。われわれはいつでも中小業者のために君たちはどうしてもこれをやってくれるなといったときは、われわれが扱う品物は規制しまして、皆さんが扱う品物は適正な価格でやっていただきたいということ、これは社会主義政策の本質的な思想とまっこうからわれわれに対立しておりますので、われわれは決して社会主義政策とか、資本主義政策とか、イデオロギーによってわれわれの協同組合が存在しておるのじゃなくて、少なくとも衣食住を基盤とした生活の三原則は、乏しい者、弱い者、いわゆる経済的生活の弱者が結束して生きていこうとする、この尊いとまで僕らは言いたいのです。人間の尊厳を何とかしてこの精神基盤の上において、あたたかく前向きになって、そうしてわれわれは法律的に許された範囲内において――決して院外活動をやっておりません。今おっしゃられる点は、むしろ生活協同組合は会社の購買会の一割もやっていないのです。そうすると、この職場のとにかく非営利ではなくて、人格なき法人がやっておるこの営業実体までも生協がやっておるような錯覚をお持ちになっておるのではないかと思いますので、生協の実体をつぶさに僕は調査していただいて、その上において豊田先生の御意見にもう一回これはこの院外においていつでも僕は御相談に応じたいと思います。
#56
○参考人(高橋貞治君) お答えいたします。先ほど登録制の問題が出ましたが、これはほのかに聞いておりますところによりますと、中小企業におきましても三、四年前に登録制の下調査でございますか、都道府県でおやりになったようですが、最近は、これは御存じと思いますが、一橋の名誉教授の博士でございますが、許可制まで最近これはどうだということをおっしゃっております。これは百貨店の許可制はけっこうだが、今の憲法ではどうかと思って一歩引き下がって登録制を主張しておりますので、これがやっていただきますれば、先ほどの企業合同とか、あるいは店舗の改善などに非常に役立つわけでございまして、登録制はぜひこれは要望でございますので、これは全国的に要望しておりますことを取り上げていただきまして、登録をやって、それからいろいろな施策を、そのうちから資料を得られるのじゃないかと、こう思っておりますので、これは非常に望むところでございますが、せいぜいこの程度のことで、何か御希望がありましたら……。
#57
○川上為治君 時間がありませんので、私は一点、磯部先生にちょっとお伺いしたいと思いますが、これは中小企業基本法の制定審議の基本的な問題に実はなってくると思うのですが、ある大学の先生のお話を聞きますと、名前は別に申し上げませんが、今後の中小企業問題として一番大きな問題は、やはり流通機構の革命、これは何といいましても一番日本においては大きな問題であります。生産者についてはさほど革命的なことは起きないだろう、しかし流通機構についてはもうすぐ大きな革命が起こってくるような話を盛んにされ、また同時に本にも書いてあるわけなんです。これに対しまして全国の流通関係の人たちは非常に脅威を受けまして、心配をいたしまして、自分たちはどうなっていくのだろう、今後どういう対策を早く講じたらいいだろうかというように戦々きょうきょうと実はしておる人たちがたくさんいるわけなんです。たとえば、スーパー・マーケットの問題とか、その他いろいろな問題がありましょう。これらの説によりますというと、小売業者百三十万軒のうち、半分か三分の二ぐらいにはすぐなってしまうだろう。あるいはまた、問屋さんについては特にそれがひどくて、うんと減るだろう、こういうことが盛んに唱えられておるのですが、一応その方向としては私どもも了解することもできるのですが、問題はテンポの問題、そのテンポの問題がそんなに早くくるというようなことになりますというと、われわれとしましては基本法の制定の問題についても、その問題は非常に研究した上で、やらなくちゃいけないと思うのですが、その意見に対しては、中にはそんなに早くくるものじゃない、日本の産業の構造なり経済の構造なり、いろいろな点から見まして、さように早くくるようなことは絶対ないという意見もありますし、そういう点について先生の今後の見通しですね、そういう点
 について、どういうふうにお考えになっておりますか、その点を一点磯部先生に御質問申し上げるわけです。
#58
○参考人(磯部喜一君) だいぶ予測の問題になりますので、はっきりしたことは申し上げかねるのですが、ある方が書物で書いておられるように、私は五年間のうちに今の流通革命が完成するというようなことは毛頭考えられないと思うのです。ただ相当テンポが激しいということは事実だと思いますが、しかし、たとえばスーパーにしても、あるいはセルフ・サービスの店にしても、今では非常に数はふえておりますけれども、あれがはたしていつまで続くかという問題がある。アメリカあたりと違いまして、私はこういう考えを持っております。日本で万引というやつがどの程度スーパー・マーケットあたりでチェックできるか。きょうかきのうの新聞にもだいぶ出ておりましたけれども、農村、地方都市のスーパーあたりで非常に万引が多い。おそらくデパートよりも非常に多い率を占めておるのじゃないか。この万引による損害というものはどうしてカバーできるか。おそらくこの問題から、現在ある相当数のスーパーが相当僕は参るのじゃないかということを考えております。そう考えて見ますと、まあ極端に言えば、スーパーおそれるに足らずということになるわけです。現在独立の小売業者が今おっしゃったように、ある程度少なくなるかもしれません。しかし少なくなるには、そういう方々にやはり考えてもらわなくちゃならない点があるわけです。私ずっと見ておりまして、一般の小売商の方々はまだ勉強が足りない。それはどういう点において勉強が足りないかというと、たとえば商品の仕入れということについて非常に私はまだ考え方が浅いと思うのです。前世紀末から今世紀にかけてドイツの小売業者で一番強敵であったのは生協であった。消費組合が非常に発達しました。じゃ、それによってドイツの小売業者が参ったかというと参っておりません。生協対策というものを立てた。もちろんそのときに一番大きくなりましたのは食料品関係の小売商であります。そうしてりっぱな協同組織の機構を確立した、それが今ドイツにありますエデカという組織でありますが、全国組織がもう七十年の歴史を持っておるのであります。それから単位組合でありますと、ベルリンにあるやつとか、その他のやつが七つか八つぐらいは百年以上の歴史を持っておる。全国組織ですらも七十年持っておる。この組織は実にりっぱなものです。日本ではあまり研究されておりませんけれども、それによって十分な対策を立てた。その結果、今どうだといいますと、たとえばミュンヘンで聞いた話ですけれども、生協のほうがたじたじなんですね、むしろ。そういう努力は私は幾らでもまだあると思うのです。それによってそういう対策を立てていけば私はまだまだ小売というもののファンクションは十分にあるのですから、そういう単にかけ声におびえて自分はすぐなくなってしまうのだというような考えを持つこと自体が間違いじゃないか、こういうふうに思っています。卸の問題になってくるとちょっと違ってくると思います。
#59
○委員長(赤間文三君) 他に御質問ございませんか。――他に御発言もなければ、午前の審議はこの程度にとどめます。
 参考人の方には長時間にわたりましてまことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
 速記をちょっととめて下さい。
  〔速記中止〕
#60
○委員長(赤間文三君) 速記始めて下さい。
 午前はこの程度で休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十七分開会
#61
○委員長(赤間文三君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、中小企業基本法案(閣法第六五号)外四案を議題とし、午後は五人の参考人の方に御出席願っておりまするので、これから順次御意見を伺いたいと存じまするが、その前に、一言お礼を兼ねまして、ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、本日はまことに御多忙の中、また非常に暑いおりからにもかかわりませず、本委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員一同にかわりまして、厚く御礼を申し上げます。
 参考人の方々からは、大体各自二十分以内で御意見をお述べを願いたいと考えております。五人の方の御発言が終わりましたあとで、委員の方から御質疑がありました場合には、お答えをお願い申し上げたいと存じております。
 それでは、まず春野参考人からお願いを申し上げます。
#62
○参考人(春野鶴子君) 主婦連合会の副会長をいたしております春野でございます。
 一言おわびを申し上げたいのでございますが、きょうの日に備えまして、中小企業基本法を私ども十分勉強いたします予定で時間をとっておりましたところ、不測の事件が起きまして、そのために遠くへ旅行に出なければならないというようなことが、直前に起こりましたので、詳細にわたって勉強する時間を逸しておりますので、不行き届きの点をどうぞお許しいただきたいと思います。
 私どもここに出されております中小企業基本法の概略を拝見いたしまして、たいへん至れり尽くせりでりっぱな事柄が並んでいると思います。従来、中小企業の皆様方が、どうかいたしますと、資金がほしいのだけれども、大企業のように十分借りることができないとか、政府はとかく大企業の方々を非常に応援されるけれども、数の多い中小企業の者たちは、砂をまいたようにほうり出されていて非常に不満だということを承っておりましたから、もしこういう法律が進みますならば、中小企業の皆様方の従来の御不満は、だいぶ満足されるのじゃないかというような気もいたしますけれども、私ども消費者側といたしましては、大企業は大企業の行き方なりに不利な面が、消費者のほうにしわ寄せをされる。そこでまた今度は、中小企業の近代家、合理化、非常にこれを育てなければいけないという目標でございますから、たいへんけっこうなようでございますが、よほど慎重にお進め下さいませんと、中小企業の皆様方の近代化、合理化あるいは機械化あるいは賃金格差の是正というふうな、かねがね中小企業に従事していらっしゃる方々の御不満が、だいぶ埋めれるかもしれませんけれども、その育成を急ぐのあまりに、そこから出て参ります奇妙なことが、はっきりいえば、たとえば下がるべき値段も下がらないで、高いほうの料金が、簡単にいいますと、消費者の犠牲において中小企業の皆様方が育っていくというふうなことがあっては、せっかくのこの法案も私どもあまり嬉しくないのでございます。
 これまでも私どもこれに類似したような法律であまり恩恵をはっきり受けたかしら、むしろそうでなくて、いろいろ政府や官庁が干渉なさるとあべこべに物価が上がる。しかも、その名目は過度の競争を排除する、あるいは格差を縮めなければいけないとか、近代化、合理化をするんだといういい名目で、しかも、悪いしわ寄せは消費者のほうが受けざるを得ないという経験が多いのでございます。当たらない例かもしれませんけれども、大企業の一つの例でしたら、バターを生産される、名前を言って恐縮ですけれども、雪印という大きな会社がクローバーを合併されて、相当大量の生産量をおつかみになった。それならさぞ合理化されて、量も豊富に出回るし、お値段も下がるだろう。こういうふうに期待をいたしましたら、そういう事実は全く出て参らないのでございます。むしろお値段がかっちりきめられてしまって、下がるべきものも下がらない。こういうのがこれは大企業のほうの行き方でございますがございました。それから最近出て参りました新しい寝具でございますが、ホームラバーと申しましょうか、これをお作りになっている大メーカーのほうでは、非常にこれが幸に売れましたので、会社としては笑いがとまらないくらいに利潤が上がった。それで値段を下げてもっともっと広く、こういう計画を立てられたようでございます。そうしましたら、これを受けて売ります小売業者の方々が、表価格が下がると、たとえば三割なら三割の利益が小売りにいくといいますと、その同じ三割でも価格が下がると利益が減るからもう下げないでくれ、こういう突き上げが強くて、どうしても会社として値段を下げられない。これは実際メーカーの責任ある方々からごく最近聞いたことでございます。
 従来の中小企業団体組織法とか小売商業調整特別措置法、それから御承知のようにサービス業関係では環境衛生に関します通称環衛法というのがございます。これなんか一つモデル・ケースでございましょうと思って、これは少し詳しく申し上げたいのでございます。これらを見ましても、前段に申し上げましたように、何かよさそうな法律でございますけれども、数多くの業種が一つ一つ、たとえば環衛法のような網の中にお入りになる。育成もされるかもしれませんけれども、どうしても値上がり云々ということは必ず消費者のほうにやってくる。むしろこういうもののなかった昔のほうがいいのじゃないかしら、そういう実感がひしひしとあるのでございます。
 これは現に目の前で起こっていることでございます。この中身につきましては、あとで申し上げますけれども、それでまじめなアウトサイダーの方々が非常に個人的に企業努力をなさいまして、消費者とマッチして正しい繁栄に進もうとなさると、これを団体の組織に入っていらっしゃるいわゆる組合の方々が、ちょっと申し上げにくいのでございますけれども、いろいろな意味での圧迫をなさるのです。そういう企業努力をむしろ組合の安易なかげに隠れて、そういう人たちを異端視いたしましたり、値下げをして営業するとは何事だというようなことが実に多く起こっております。ですからこれは非常に私どもの今までの経験からして、心配が過ぎるのでございましょうけれども、とにかく心配しているということをよくよくおくみ取り下さいまして、この法律をお進めになるにつきましては、中小企業の、しかも、数が非常に多いのでございます。その業種の方方の合理化、近代化ということは、ほんとうに必要なことだろうと思いますが、その名目で、うっかりいたしますと、組合万能主義になる、あるいはどうかいたしますと、政治的な交渉団体、あるいは奇妙な意味の圧力団体、そんなふうになる心配はないかしら、そのかげに隠れて、あまり個人々々の一生懸命な努力というものがスポイルされて、何かいえば組合を通じて政治にたよるというようなことが起こりませんように祈るのですが、それから通産省なら通産省がこの数多い中小企業の方々を、この中小企業基本法というそのワクの中で、この畑は通産省の管理下にあるのが、申し上げにくいことでございますが、何か官庁がそれだけのもの、その勢力をかかえ込んで、変なことにならなければいいと思いますけれども、そんな心配も今までの経験上いささか持っております。
 それから格差を縮めるとか、あるいは不利な点を補正するのだ、こんなふうなことがうたわれておりますけれども、何を基準にして格差を縮める、何を基準にしてその給料の格差というものを、どの時限においてどれだけの格差があるから、それを縮める。縮める段階が何年かたって縮んでしまって、いわば私どもの頭でしたら、大企業という一つの標準がある。それから中小企業の標準がある。その格差が縮まるというなら、すべての業種は何といいましょうか、賃金のほうでも、あるいは生産能力のほうでも、みな大企業になりなさいというような、そういうふうなことかしらと思ってみたりいたします。どの時限においてどの基準に縮めようとなさるのか、この辺だいぶあいまいなような気もいたします。
 それから成長する業種とあまりこれから望みがない、あまり役に立たないそういう業種を相当整理なさるということも聞きますけれども、こんなに数の多い中小企業の各業種を、どんなふうにして、これは成長産業だから大いに助けて育てる。あるいはこれとこれはもう望みなき産業だからあなたやめなさい、やめるかわりに転業というようなものをあっせんしてあげましょう、こういうようなことがうたわれているようでございますが、文章で書けばそのとおりでございますけれども、そこは生きた人間のことで、どんなものでございましょうか、この整理あるいは判定ということは、非常にむずかしいのではないかと思います。
 それから中小企業の皆様方が絶えずいっておられ、また、ほしがっておられる金融措置あるいは税制上の手当、そういうこともうたってあるようでございます。だけれども、これもうっかりいたしますと、非常に数も多いことでございますし、さきに申し上げましたように、もうとにかく政府が今度保護してくれるのだというので、あまり御自分の努力をなさらずに、金融々々といったふうな依存心がいたずらに出てくるのではないかしら、私どもの心配が杞憂に終わればそれでけっこうだと思いますけれども、そんなふうな点を一とおり拝見した上持つのでございます。
 ちょっとこまかいことに入りまして恐縮でございますけれども、たとえばさきに申し上げました環境衛生、通称環衛法と申しますが、環衛法の問題でございますが、これは一つのモデル・ケースとして先生方お聞き下さればありがたいと思うのでございますが、これは御承知のように、国会では、もう過度の競争でひどくダンピングするところを押さえて、そうして大衆のために公衆衛生を維持するという目的で、組合の希望があれば、一つの適正な基準価格をきめることができる、それを認可いたしまして、それを皆さんが守っていく分は、独禁法の違反、独禁法の範囲から除外する、こういうことで進んで参ったのでございます。私ども当初からこういうことをやると、必ずサービス業界の料金を引き上げることになるということをかたく七年、八年前から信じて反対もいたしたのでございますが、現に今日まで実際が進んでみますと、私どもの心配が当たってしまいまして、基準価格はなるほどほんとうに苦心惨たんいたしまして、計算カルテル方式か何かではじき出しまして、これには人件費も多分に含め、それからその他いろいろの一切の費用を入れましてはじき出した基準料金でございますが、これはもう完全な最低料金ということに言いならされてしまいました。その当時、基準価格がきまりましたときには、業界代表の方々はこれと前後して、これから百円も二百円もいたずらにはね上がったような料金で営業するったって、お客様は来やしませんし、決してそんなばかなことはしませんよということを審議会の席でもたびたび宣言されたのでございます。ところが、それはもうつかの間でございまして、過去三年の間に値上がりいたしました諸物価の値上がり率というものを御調査下さればおわかりになりますように、理髪、パーマあるいはクリーニング、こういったものの値上がりはまことに目ざましいものがございます。私どもしばしば厚生省にも参りまして、もうそういう高い料金で営業ができるのだったら、過度の競争という事実はなくなったじゃありませんか。そんならばさっき認可された基準料金云々というワクをはめることはおやめになって、そうして自由な、もとに戻して、そしてアウト・サイダーその他の方々が安く適正な料金でもって、消費者とともに、非常に客数がふえて、あるいは回数もふえてけっこうやっていける、そういう事実も多くあることでございますから、そうしてもらったらいいということを何回も当局に迫まるのでございますけれども、値上げは野放しでございまして、値下げのほうは一向に、幾らかでも値下げをしようといたしますと、それは絶対組合が非常な圧迫をいたしまして、その方向は封殺してしまうのでございます。
 で、もしこの中小企業のほうでも、そういった一つの同業種の方が何かの形で背伸びをしよう、成長していこうという形は好ましいことではございましょうけれども、同じ業種の中でも、ごく零細あるいは非能率的な工場もありましょうし、同じぐらいの模規でも非常に意欲に燃えて企業努力をなさる同業者もあるかと思います。そういう場合にうっかりいたしますと、これはクリーニングの例でございますが、あえて名前を申し上げますと、白洋舎という非常に効率のいいところがございます。そうすると、町の零細なお店もございます。これを同列に扱いまして、白洋舎はたとえばワイシャツを二十五円ぐらいで十分やれますと、こうおっしゃる。ところがそれをやると、ほかの中以下の方からいわせると、比率を引き上げるために、あえて値下げがなされないで、そのままの料金で、その零細な人たちを育成しなければいけない。白洋舎はそのために価下げをしようにも値下げができない、こういうばかばかしいことが現にあるのでございます。
 さらにまた、同じ環衛関係の中でも、パーマ、理髪は、理髪などは倍以上の飛び抜けた値上げをしておりますが、理髪などは意外に手でやるだけということで非常に同情された業種でございますけれども、クリーニングに至っては最近の貿易の自由化とともにたいへん効率のいい機械がどしどし入って参ります。そうして人数が少なくて非常に洗たくの能率が上がったわけです。で、現に、組合員の中でもその機械を買い入れましてどしどし能率を上げているところがございます。したがって、値段はうんと下げて十分営業できるということがところどころ出始めている。ところが、それすらも組合がこわいということで、組合がこれまた圧迫いたしまして、そうして値下げをした料金で営業されては困るという、血を流すような争いが北九州にも起こっております。あるいはその他、こっそり私どものほうにお知らせ下さるお店も、逗子あるいは東京各方面で四、五十万円の機械を入れたらば、こういうふうに能率が上がるようになりましたから、安い料金でやりたいのですが、とにかく組合がこわい、泣く泣く高い料金で、みんなと同じような高い料金で営業せざるを得ません、こういうことがあるのでございます。
 もし不利の補正とかあるいは格差の是正とかいうようなことがここにうたってあるのでございますが、大同小異、環衛法のささやかでもございませんけれども、現に法律にはうまく、りっぱな三一がうたわれていて、現実これが実施されますと都合がいい業界の方々は、自分たちの利益をちょっとでもへこまさないために有利なほう有利なほうへ逃げ込んでおいでになる。そうして当然値下げができるあるいはもっと従業者に対して相当な賃金を払ってもいいというふうなことはあまりなさらずに、何といいましょうか、とにかく工場を広げなければならない、とにかく機械を買い入れなければならない、能率が上がっても、その機械の料金を支払わなければいけないから、何年間の間は値段は下げられないなんと言い、そういうふうな実例が今まで多かったのでございます。
 それからその不利の補正というところで、私どもそういうふうないろいろなところに、渦巻きに巻かれるものですから、消費者としてはやむを得ず自衛手段といたしまして、生活協同組合を苦心してそういう事業をやってみたい、それからまた中には、これはごく最近の例でございますが、あまりパーマネントの料金が上がるものですから、農協のおかあさんたちが百円ずつお金を出し合わせまして、それから農協の事務所から幾らかお金を出してもらって、そうしてささやかなパーマのお部屋をこさえて、それでやるようになさった。これは三百五十円とか四百円くらいで、町よりもうんと安く、しかも技術者には相当の賃金を出して十分大勢のおかあさんたちが利用できる、こういうところが相当ふえた。これはパーマ料金の町の値上がりがはなはだしいために、つい自衛手段としてこれはできた現象でございます。ところが、これがもう評判が悪くて、商売以外の人たちがこういうことをやって零細な自分たちパーマネント業名を圧迫してくれるな、農協はひどい、というふうなことを強くおっしゃいまして、ただいま環衛法の改悪、私どもから言わせれば第三回目のむしろ改悪と思われるような改正案が出されようとしておりますけれども、元を探れば原因はこういうところにあるのでございます。
 で、いささか残されております消費者自身の自己保衛と申しましょうか、あるいは自分たち自身を保護しなければいけないというふうなことは、一つは生協事業としてあるいは農協の今のようなことがやむを得ず起こる。それをしも、この商売以外の者がなまいきだ、あるいはそういうことをやってくれるな、こういうことで封殺されようとしております。それからまた一方には、別に大企業の方におべっかを使うわけではございませんが、これはもういずれにしろ、大企業の方もあるいは中小の同じ同業者の中でも、企業努力を非常になさるところがありまして、少し消費者にとっては迷惑なくらい次から次にいろいろな方法を生み出して、そうして安くてよいものを提供しようという、中には非常にいい努力もあるのでございます。そういたしますと、大企業がまた中小の小さな店、小さな工場を圧迫するようなことを始めて、それはやめなさいというようなことで、すぐにもう政治的な動きがわいわいわいと騒ぎが大きくなる例もございます。私どもはどちらからもけっこうなものは、けっこうな利益というものはあずかりたいのでございますけれども、あべこべに両方から不利益を受けるという例が多かったということを申し上げたいのでございます。
 それから、スーパー・マーケットがなぜ燎原の火のように三千以上の店ができたか、いろいろ論ぜられておりますけれども、これとてもやっぱり消費者がそれを愛し、それを信頼して、そこにその店が繁栄するから、なぜスーパーマーケットに主婦が集まるかというところに、もう自然ではございましょうけれども、従来の中小企業の方々のあるいは企業努力の足りなさ、あるいは現状をみずから打開していこうとする研究の足りなさでしょうか、非常にお気の毒な点もあろうかと思いますが、そういう間隙を縫ってスーパーというものが店開きをしたら、そこに非常に消費者の気持にマッチしたものがあったという、この自然の姿をもう一度よくごらんいただきたいと思います。さればといって、スーパー万能か。何もかもスーパーというものを支持するものではございません。これにはこれでまた問題がございますけれども、まあ一例として申し上げる次第でございます。
 それから最後に、ごく零細な業種の方々もあろうと思います。その方々がつい転業せざるを得ない。あるいはまあ、つまりワクからはずされた、そういうこともあろうと思います。それから、ごくお年を召した方々で、細々ながらそのことをやっていけばどうにかいけるんだと、そういう人たちがもうがぜんここで差がついてしまいまして、ああいう人たちのお店なり工場なりはあってもなくてもいいんだというようなふうに烙印を押されて、一そう凋落、あるいは悲しい末路をたどられると、そういうふうなことにも、十分あたたかい目を注いでいただくべきじゃなかろうかと思います。ただ転業させるんだから――まあ働き盛りでございましたら新しい転業もけっこうでございましょうけれども、そういう点も問題が出てくるような気がいたします。
 ですから、最後に私ども消費者側としてお願い申し上げたいのは、まあまっこうからこれを反対するという意味合いのものはございませんのですけれども、今申し上げたような非常に心配がたくさんつきまとっていることでございますので、何とかひとつ、大企業も大いに発展していただきたいし、それから中小企業の方々も、従来の弊害を乗り越えて、いい意味にそれに国のあたたかい日が当たって育っていただきたい。これは異存はございません。だがしかし、今申し上げたような心配があることと、あわせて、できればこの法律でもって、そういう未熟な人たちがずっと近代的にあるいは合理化され、非常にたくましい業種として伸びていかれる、また育っていくんだというふうに国の気持がございますならば、そうやって伸びていくがゆえに、それによって出てきた利益がこのように消費者に還元されるんだ、またされなければならないというようなことを何か具体的にお示し願えないだろうか、並行してそういうことがほしいと思います。あるいは消費者保証だとか、あるいは消費者の教育だとか、そういう点は全く国の手としては伸びておりません。それをそのままほうって、大企業、次には中小企業ということでぐいぐい進められて参りますと、申し上げたような心配が私どものほうには非常に暗くおおいかぶさってきはしないかという心配でございます。経済成長ということが非常にうたわれまして、成長していくためには多少の物価の値上がりはやむを得ない、なるほどそうかもしれません。だがしかし、多少が大へんな多少になりまして、もう経済成長あんまりうれしくない、それよりも物価を押えてほしいというような事実がここに出てくるようでは、これも私どもあわせて非常に悲しく思っている点でございます。したがいまして、中小企業の方々の発展育成ということは望ましいことでございますが、その名目において、反面消費者に犠牲をしいられつつ、この方面のみが成長するというのでは片手落ちではなかろうか。ぜひ、そういう点に十分な御配慮と慎重なお進め方をお願いしたいと思っております。以上でございます。
#63
○委員長(赤間文三君) 春野さん、たいへんありがとうございました。
#64
○委員長(赤間文三君) 次に、小沼参考人にお願いを申し上げます。
#65
○参考人(小沼良太郎君) 私は学者でもなければ、また、法律家でもないので、ほんとうの一介の労働組合の幹部の立場からこの問題をお話ししてみたい、こう思います。
 この中小企業基本法について、この法案についてはわれわれ労働者は少なくとも非常な期待を持ったはずだと思う。中小企業者の方々も期待を持ったと思うのです。それはあらゆる政党が少なくとも中小企業を育成強化しなけりゃならないということを政策の中に第一点として大きく打ち出しているはずです。選挙があるたびにも中小企業を育成しなけりゃならないということが公約されているはずです。したがって、そういう意味合いから申し上げまするならば、ほんとうの中小企業とかあるいはそこに働く労働者を考えた上に立ってその利益を守っていく、こういう立場が明確にならなくちゃならないだろう、こういうふうな期待を持っておったのですが、この法案については、御承知のように、経営者団体も反対して、反対意見が相当出ております。いわゆる中小企業の同友会あるいは全商運の総会等によりますと、この法案そのものは、農業基本法と同じように、いわゆる中小企業の切り捨てをやるのだ、こういうことを同時に、この法律によって整理を断行していくのだ、こういうことが第一点にあげられております。第二点は、中小企業の近代化促進法という、きわめて美名のもとに、指定業種の一部にひもつきの近代化をはかろうとしている。第三点は、産業分野調整と称して、官僚の指導による調査委員会の手で調整をやらせようとしておる。第四点は、改正団体法をてことして、業種別組織化を推進し、合理化統制をはかろうとしておるのだ。なお、これにつけ加えて、この法案は金融、税制、下請取引などにおける独占偏重政策にメスを入れることなくして、こういう法案を提出したところに問題がある。こういう攻撃の仕方をしております。また、全商連の総会においては、これも現実的に考えてみた場合、その真のねらいは、切り捨てするということを前提としてやはり攻撃をしております。
 かように業者団体それ自体がこの法案に対しては反対意向を持っておる。そういうことから考えても、われわれ労働者の立場では非常に関心を持たざるを得ない。かりに経営者団体の人方がおっしゃっているような立場で、中小企業の切り捨てと整理統合、こういうものをやるとするならば一体労働者はどうなるのか。この法案に――最後に申し上げますけれども、そういう働く従業員のことがたった二点、簡単に、しかも抽象的に触れておる。それは第一点は、第十五条の二項で、「中小企業の従事者の就職を容易にすることができるように必要な考慮を払うものとする。」、この一点で、明らかに労働者の首切りを当然やられるだろうし、これについての救済をどうするかということについては何ら一言も触れておらない。また、二十三条では、近くのいわゆる大企業者をさしておると思いますが、周囲の賃金と同じようにしてあげよう、この二点が労働者の立場を現わしていると思いますが、この二点とも別にこの法案がなければできないというものではなくして、法案がなくとも当然政府としてこういうことは行なうべきが中小企業育成の問題じゃないか。またそういうことを考えるところに労働政策があるのではないか、こういうふうに考えるわけです。ところが今中小企業が、終戦後労使がほんうに協力しながら、いろいろ大企業にあぐらをかかれながら、その下積みとして今の日本の産業を育成してきた、しかも不況で、いわゆる朝鮮動乱のあの影響によって中小企業の倒産が目立ってくる、しかし、その中で労働者と中小企業の経営者は全く真剣になって自分たちの企業を守り通してきた。ところがここ二、三年来、皆さん御承知のように、中小企業にとっては、なるほど金融の問題もございましょうけれども、金融問題以外に人の問題が非常に困難を来たしておる。特に若年労働者の定着なり、あるいは充足という面から考えますならば、まさに中小企業は大企業に押しつぶされているという形が顕著に出てきておるわけです。
 賃金格差についても、そういう若年労働者の雇用関係あるいは労働者それ自体の雇用の安定、定着ということから考えて、六大都市においては、そう格差があるというよりも、若年労働者の場合にはまさに同じくらいまでに格差が縮まっております。しかし、これは中小企業そのものがもうかっておるということではなしに、自分の企業を守ろうとするその立場からどうしても賃金を上昇させなければ労働者の定着が成り立たない、充足ができない。そういう点が非常に中小企業の困っておる面だと思うのであります。神田の問屋街にしてもしかり、三十名も三十五名もいた洋服の生地の問屋さんが現在十名に減っております。減ったからといって、その産業があるいはその企業がけしからぬのだとはならないで、むしろこの労働者を雇おうとしても雇い得ないところのそういう状況にある。したがって、企業そのものは十人以下だからどうのこうのということには私はならないと、こう思います。若年労働者にかわるに中小企業では中高年令層、中年や高年令の人方に依存しなければならない。したがって、中小企業の経営の中にはほとんど八割くらいまで、そういう中高年令層の労働者に依存しなければならない。ひどいところには若い人がほとんどいない。こういう実態です。しかもこの労働政策の面から中小企業の人的関係を、お前たちは少なくとも受け入れ態勢がないのだからやむを得ないのだ、いたし方がないのだ、これであっては、一体中小企業なり労働政策なり政治というものはないと同様だと思う。いたし方もなければ仕方がないから、お前たちのほうはそれでがまんしなければならない、人は入らないのだ、こういうことであっては政治もなければ、いわゆる労働政策ももちろんない、こういうことを直してやるところに政治というものはあってよろしい、こう考えておるわけです。
 それからもう一つは、そういう大企業に労働者がほとんど、若年労働者が行っちゃう。これには賃金格差の問題もございましょう。また福利厚生施設の面もございましょう。それからもう一点は、技術、技能を修得するという、こういう関係に立たされておる点もあろうと思います。今東京都で五億一千万円の予算で、毎年のように中小企業の働く若年労働者の技能を高めようということで、いわゆる職業訓練をやっておるわけですが、せっかくいなかから、三万円なり四万円もかけてつれてきた若い労働者が、この技能を修得するために、経営者がいわゆる都の、委託生として委託訓練を行なっておる。事業内訓練においては、これは大企業が自分のところでやりますからよろしいのですが、この技能、職業訓練、こうしたものが中小企業を目的とし、中小企業の技能を、技術を高めよう、こういうことで五億円もつぎ込んでやって、一体どういう効果が上がっておるかと申し上げますと、せっかく経営者がいなかからつれてくる、そうしてその東京都の委託訓練所に入れる。その費用はもちろん中小企業の経営者、ところがそこを訓練を終えるというと、ほとんどが大企業に引っ張られちゃう。定着しない。こういう面が非常に多いわけで、したがって、先ほど申し上げたように、若年労働者の労働力がほとんど中高年令層の労働者に中小企業が変わっておるという現状です。
 また、中小企業がたくさんあるから過当競争が起きるとか、あるいは生産過剰だといったようなことは、これはむしろ私は逆だと思う。なぜか。今まで中小企業の分野として仕事をやっておった製品やそういう仕事を天企業がほとんど今始めておる。そうしてその反面、中小企業は非常な圧迫を受けておる。たとえばダンボールの問題にしても、あるいはそういうような紙を製造する大きな会社はほとんどダンボールをやり出した。したがって、今まで中小企業の生産として、当分の生産品としてみておったのが、ほとんどが大企業に移されてしまう。あるいはボンベでもそうです。あるいはスレートの問題もそうです。あるいは最近はベニヤの製造にしても、あるいはベニヤに使う接着剤にしても、大企業が大資本によって始めてきておる。こういうことで、決して中小企業が過当競争をやっておるとかということではなしに、大企業の立場に立ってそれが行なわれておるということを見のがしてはならない、こうわれわれは考えます。
 したがって、この法案が、経営者団体がおっしゃるように、いわゆる切り捨ての、最終的には切り捨て整理の法案だとするならば、われわれ労働者の当然解雇という問題が出てくる。しかも、先ほど申し上げましたように、中小企業の今の労働力は中年層、荷年令層に依存しておる。この人方が相当な数解雇の運命に合わなければならない。ところが再雇用をやるなどといっても、中年層や高年層ではなかなかそれは雇い入れる方々はあまりいらっしゃらない。こういうようなことになった場合、やはり中高年令層の失業者がおそらくちまたにはんらんするでありましょう。これに対して先ほどの十五条で、就職を容易ならしむるように考慮するということです。一体何を考慮してもらうのか私はわかりませんが、おそらくそういうことは、それを救う、失業者を救うということには相ならない、こう思います。
 そこで、この法案で、中小企業という範囲の問題がございますけれども、その範囲の問題で、いわゆる中小企業の上位に位するところは、少なくともこの法律によって恩恵を受けるでございましょう。しかしその下になるところは、これはだれが見てもやはり切り捨て整理の対象にその方向づけがはっきりとしているのではないか、こう考えます。
 次は、現在いわゆる政府の方針である貿易の自由化や技術革新、あるいは系列化、あるいは低賃金政策、あるいは合理化の問題等、これだけでも今東京都の中小企業の状態はどうなっているか、こう申し上げますならば、中小企業で倒産したのが大体二百件近くあります。それから現在そういうことを土台にして労使間の紛争を起こしておる、首切りやいわゆる整理の対象になって、労使問題として紛争を起こしているのが百二十ぐらい東京にはあります。こういう実態の中で、この法案が通ると同時に、中小企業に働く中高年令層の労働者のもし解雇が続々出てきた場合は、おそらくは終戦後最大の私は労使紛争が巻き起こるのではないか、こういうふうに考えます。そのような状態の中で、この法案が成立し、不幸にして私たちが考えているような切り捨てごめんの政策がとられたとするならば、今申し上げたように、労働者という立場に立って考える場合、どうしても賛成はできない、こういう結論になります。したがって、好むと好まざるとにかかわらず、労使間の紛争というものは非常に激化することは予想にかたくない、こう考えております。
 したがって、真の中小企業育成の法律を制定するとするならば、いわゆる金融、税制、下請の問題、あるいは雇用と賃金格差の問題、あるいは技術、技能の問題、あるいは福利厚生の問題、こういうことを基礎として、そうして真に中小企業の悩みや、そこに働いている者同士の立場を基礎にしてこそ、そういう方策を立てるべきがほんとうではないか、こう考えます。安易な首切りや人員整理、安易な方向ですべてのしわ寄せを中小企業の経営者と、またそこに働く労働者に押しかぶせるような法案には賛成できません。同時に法によって縛る前に、政府なりが真剣になって、むしろ法案によらざるところの重要政策の一つとして取り上げて、今申し上げたようなことを解決してもらうことが好ましい、こう思います。したがって、この法案については労働者の立場から反対せざるを得ません。
#66
○委員長(赤間文三君) 小沼参考人ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#67
○委員長(赤間文三君) 次に村岡参考人にお願いを申し上げます。
#68
○参考人(村岡兼吉君) 私秋田県の商工連合会長の村岡兼吉でございます。
 この中小企業法案が国会に提案されましてからずいぶん長い時日を経ております。私どもは毎日の新聞に目を通しまして、一日も早くこの法案が通ることを心待ちに待っておる次第でございます。
 中小企業三百九十万、その約九〇%に相当するのが小規模業者でございまして、いわゆる零細業者であります。そのうち六〇%が商工会員であります。私はこの零細業者の立場から少しく意見を申し述べさしていただきたいと存じます。
 政府案につきましてはおおむね私どもは賛成でございます。小規模企業対策が、法案の中で、またその関連法律の中でどのように位置づけられ、取り扱われているかが、あるいはまた国の助成策がどのような方向で裏づけされておるかが、私どもの最も関心を持つところでございます。私どもの切実な願いがいかほど理解され法律の中に盛り込んでいただけるかを真剣に見守って参ってきたのであります。第二条の中小企業者の範囲につきましては、特に中小企業の下積み層を助成するために、資本の額または出資の総額及び従業者の数の上限を引き下げていただきたいのであります。小規模業者とあまりにも諸条件がかけ離れました大業右――中小業者といいましても、相当大きいのがございます。それと同一に扱っていただくことは、下積み層に対する施策が薄くなりがちであり、忘れられるおそれがあるものと杞憂を感ずるところでございます。この点特に御配慮を願いたいのであります。
 国の施策については当を得たものが多いのでございますが、ただこの法案の中で災害援助対策が盛り込まれておりませんことは遺憾でございまして、農業基本法にありますように、風水害、雪害、大火災等、予測せられない災害に対する救済の道をぜひとも講ぜられんことを切に私どもは望むものでございます。
 第四条の商業及び第十九条の事業活動の機会の適正確保につきましては、小売商業についての対策が十分でございません。私どもは全国商工連合会として、さきに小売商業振興法、仮称でございますが、これを制定せられるよう関係筋に陳情いたして参ったのでありますが、ぜひともこれを実現していただきたいのであります。商工会法が公布せられましてから三年の時日をけみいたしましたが、その間運営にあたりまして種々なる困難に逢着いたしました。それはデパートあるいはスーパー・マーケット等に対する措置あるいは農協、生協、購買会などの員外利用の野放しの措置、これらのためにあるいはまた経済上のためもございますが、小売商業者は、このあおりを食いまして、売り上げの減少、事業の不振、ひいては倒産に至る者を数多く見るに至ったのでございます。これを救済するためには、やはり指導育成を強化し、金融の円滑化をはかり、税制上の優遇策等をもって対処する以外に方法はない、その上に法の制定によりまして活動分野を規定していただく以外に方法はない、こう考えるものでございますが、しかるべき御配慮をお願いいたします。私どもはこの法案の制定によりまして、流通秩序を保ち、小売商業経営の安定をはからんことを切望しておるものでございますが、もちろん業者自身もいたずらに政府の施策に頼るのみでなく、みずから体質改善、経営近代化に即応いたす等、意欲を持たなければならないのでございまして、それは十分心得ておりまして、商工会活動のこれまでの重点をそこに置いて組織強化をはかって参ったのであります。したがって、私どもは恒久的な法律ではなくとも、年限を切りました私どもの中小企業、ことに零細企業がある程度の点に達するまでの間、短期間でもけっこうでございます。適切な御措置を賜わるようお願いする次第でございます。
 第六に、第十五条の事業の転換についてでございますが、貿易の自由化その他経済の目まぐるしい変動によりまして、この事例が今後ますます増加するものと思われますが、石炭対策の例もありますので、事業の転換にあたりましては、特段の手厚い保護措置を要望いたします。
 第七に、第十六条の労働に関する施策につきましては、まことにけっこうでございます。諸般の悪条件によりまして、私ども小規模業者には質量ともに劣悪なる労働力しか保有できないのであります。農村における労働者が老令化、女性化の一途をたどっておると同様に、私ども業者の労働力も低下の一途を走っております。従業員の福祉厚生、この対策、施設に対しまして大幅の助成を御配慮下さるよう切に望みます。
 第八、十八条の下請取引について申し上げます。特に下請業者の代金支払いについては、常日ごろおくれがちであることは伝えられるとおりでございますが、不況に際しましては、第一番にそのしわ寄せが下請業者に参るのであります。特別の金融措置を講ぜられまして、たやすく現金入手が得られるよう、たとえば元請業者の発行する手形の割引については何らかの手を打っていただきたい。非常にこの手形が割引できない。このために材料の入手その他のために倒産しておる者も、私どもの在住する木荘市に発生しておる状態でございます。この点ひとつとくと御勘考をお願いしたいと存じます。
 第九に、二十三条につきましては、特に商工会の会員にとりまして密接な関係のある条文でございますが、商工会の組織等に関する法律の趣旨を一段と活用いたしまして、経営改善普及事業をますます強化するため、商工会関係、特に小規模業者に対する政府予算の大幅増額を要望いたします。小規模業者の改善育成は、経営改善普及事業なくして、とうてい望み得ないのでございますが、私ども商工会の運営に際しまして、幾多の支障を感じております。それは経済活動を禁じられておることであります。会員のためにする事業資金の貸付あるいは貯蓄、共済事業、保険業の代行あるいは信用保証協会の保証事務の代行等を商工会の事業等で行なうことができますように、この措置をひとつお願いしたいのであります。また税措置につきましても、商工並びにその連合会に対して、固定資産税、不動産取引税、道府県民税、市町村民税の非課税措置がなされておりません。そこで私どもは以上の事がらを商工会法の第十一条事業の範囲に追加改正されんことを希望いたすものであります。
 第十帝国に、第二十四条の資金融通適正化につきましては、第一に国民金融公庫の貸付ワクの増大が特に望まれております。また中小企業金融公庫について、主として製造業者の設備投資が対象となっておりますが、小売商の店舗改装などにも同様の措置が講ぜられんことを御配慮願いたいのでございます。また私どもが一番多く利用いたしておりますところの相互銀行、信用金庫、信用組合が円滑に融資できるよう、公庫代理業務において大幅なワクの増大をはかられるようお願いいたします。信用補完に関しましては、信用保険公庫並びに信用保証協会の充実が最も急務と考えます。信用保証協会の規模は地方により異なっております。その基金の量、したがって、その保証限度、また保証料の高低等、はなはだしい格差がございます。地域によってこうむる業者の利害得失は相当の隔たりがあるのでございます。貧弱な地方の財政では、今にわかに基金の増大をはかり得ない実情にあります。この点、国の施策によりまして、あまねく業者がこの恩典に均霑するように御配慮を願いたいのであります。また取り扱い店舗も比較的少ないのでございまして、面積の広大な地域においては非常に不便を感じております。先ほど商工会の行ない得る事業のところでも申し上げましたが、商工会にその事務を委託することができますなら、このことは解決できる問題だと考えております。
 第十一番目に、第二十五条の企業資本の充実については、税の面では御配慮を願い、特に小規模業者に対する事業税の減免措置を講ぜられますよう要望いたします。
 第十二番目に、第二十八条の中小企業政策審議会の設置につきましては賛成いたします。私どもとしてはぜひかなえていただきたいことがあります。それはこの審議会に小規模業者の代表として商工会関係者からの委員を任命していただきたいことでございます。これは先ほども申し上げましたように、三百九十万あまりの中小企業者の八九%を占める小規模業者の長いかつ切なる願いでございます。また関連法律の中において審議会を設置される等のことがありました場合におきましても、同様の御措置をお願い申し上げまして、私の意見の開陳を終わります。
#69
○委員長(赤間文三君) 村岡参考人ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#70
○委員長(赤間文三君) それでは次に山田参考人にお願いを申し上げます。
#71
○参考人(山田藤太郎君) 私はただいま諸先生方のお手元に配付申し上げました公述要旨に示しましたごとく、全国の繊維製品卸売業に関する商業組合連合会の理事長並びに石川県における単一組合の理事長、同じく石川県中小企業中央会の会長をいたしておりまするが、私ども中小商業者が中小企業基本法に対し要望する点を総合し意見を申し上げたいと思います。
 中小企業の範囲、定義の問題でございますが、法案には「資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、工業、鉱業、運送業その他の業種に属する事業」を営むもの、及び商業またはサービス業を営むものにあっては、「資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人」と定義してございますが、今後の経済が高度に成長する情勢にかんがみまして、はたしてどうかと疑問を抱かざるを得ませんのでございます。
 現在の経済構造から見まして、大企業が何十億、数十億の資本を擁するときに、三千万、五千万の資本では小企業と言わざるを得ませんのでございます。したがいまして、上限を五千万に引き上げ、適用の範囲を広げたいのは、時代の趨勢であるかと存じます。問題は、この定義において工業の面と商業の面に格差が設けられている点であります。工業関係は資本金五千万円以下に引き上げられたのに対し、商業、サービス業を営む者の場合は一千万円以下と据え置きになっているのがそれであります。
 これは、最近の経済構造の変革に伴う資本の増大に対応して引き上げられたものと思いまするが、資本の増大はひとり工業関係ばかりではございません。従来、立法、施策の面においても、予算の面でも、工業と商業、サービス業には常に大きな格差が設けられ、はなはだしい差別取り扱いを受けておりましたが、今回の中小企業基本法案においても依然として旧来の格差設定を踏襲しているのはいかなる理由か、はなはだ理解に苦しむところでございます。
 設備、施設の近代化、協業化の叫ばれている今日、その要請にこたえて五軒、十軒で協業のための新会社を設立しようとすれば、二千万、三千万円の資本を必要とすることは、言うまでもございません。
 本来、中小企業基本法制定の目的が、「国民経済の成長発展に即応し、中小企業の経済的社会的制約による不利を補正」し生産性等の諸格差の是正にあるとすれば、この際右のような差別的取り扱いを撤廃し、商業、サービス業を営むものも、工業同様に五千万円以下、または従業員は百名以下に引き上げるように強く要望いたしますものでございます。
 なお、この点については団体法で原則三十名を、繊維については政令で百人になっておるのでございます。
 二、国の施策、中小企業省の設置。わが国の産業構造からみて、中小企業対策の重視される今日、通産省の一部局としての中小企業庁では、強力な中小企業対策の行なわれようがないことは、従来の経過からみまして、皆さんの周知の事実であると存じます。したがいまして、中小企業の成長発展をはかり、わが国の産業構造を全体的に両度化するためには、中小企業庁を昇格せしめて、中小企業省とせられるような要望は、基本法制定の問題が起こった当時からわれわれの強く要望してきた問題でございます。この多年の要望が法案で回避されたのはまことに遺憾でございます。特に消費経済政策の重要視される今日、国民の日常生活に直接つながるのは商業であり、サービス業でございます。二百万に近いその業者の指導機関が、企業庁の中の一商業課ではあまりにも無力であります。この際、中小企業省を設置することを重ねて要望いたします。もし省がだめでも国務大臣を長官に、または国会内に中小企業専門の常任委員会を置くようにしていただきたいと存じます。
 三に、事業分野の確保の問題。この条項は二百万の卸、小売業、サービス業等商業者の最も深く関心を寄せるところでございます。中小企業の安定を阻害する外的要因には、過当競争、大企業の圧力、取引条件の不公正等があり、そのほか中小企業以外の者が行なう事業活動、すなわち、商業では、デパート、生協、農協、購買会、さらに大資本によるスーパー・マーケットの進出等が中小企業者にとって大きな脅威となっているのであります。これらの事業活動による不利を是正するために、法案中には過度の競争の防止、下請取引の適正化、事業活動の機会の適正な確保等が掲げられておりまするが、その内容を検討してみるに、今日流通革命の渦中にあって最も困難な状況に置かれている二百万の商業者をいかにするかについて全く触れていないのはまことに遺憾でございます。生産と消費の関係の中で、流通機構の改善向上が論議されているおりから、これではたして流通面に効果的な施策が打ち出されるかはなはだ疑問でございます。消費経済面での商業問題は、やがて大企業メーカーにも大きな影響を及ぼす重大問題であることを深く認識していただきたいのでございます。
 四番目に、金融、税制問題につきまして。中小企業問題は一に金融問題であり税制問題であります。そのために法案中に資金の融通の円滑化と、企業資本の充実とをあげ、税制負担の適正化をうたっていますが、はなはだ具体性には乏しいように思われます。これについては、たとえば、一、中小企業専門金融機関の育成。二、資金増大のための財政充実。三、中小企業資金の優先確保に民間金融機関を指導。四、信用補完制度の充実。五、に貸付条件の公平。これにつきましては、引き上げるとともに、上のほうに厚く下に薄い政策であっては困るのであります。第六、輸出金融の円滑化等、具体的な措置を講ずるよう銘記されることを望みます。さらに、税制の面でもかなり具体的に問題点をあげてあるのは好ましいことではありまするが、全体的にこの中小企業基本法案を見るとき、この法律も相変わらず工業に偏し、商業に対して配慮のはなはだ薄いのは、まことに遺憾にたえないところでございます。
 結論といたしまして、中小企業基本法案は、全部で七章、三十三条、附則二項からなっており、国民経済のあらゆる発展に寄与するとともに、国民生活の安定に貢献してきた中小企業が、すべての分野において今後ますますその使命を十分に果たし得るよう適正な施策を講ずるのを主眼とするものでありまするが、この中で二百万商業者に関する項目は、中小商業について流通機構の合理化に即応することができるようにとの僅か数項目にすぎないとは、いかにもさびしい限りでございます。特に流通革命をうたわれている今日、せっかく待望の基本法が制定される機運にありながら、依然として、高度化、近代化の面においても、融資、税制の面においても、何ら具体的に積極策が示されないのは、全国二百万の卸、小売、サービス業者にとってまことに遺憾でございます。
 試みに商業対策予算を見るとき、三十八年度の予算におきましても、中小企業近代化促進費として承っておりまするが、約六十五億のうち商業関係の分として見込まれているのは約五億円にすぎないとのことでございます。このように、あってなきがごとき予算をもって、何を近代化するというのか。また何の協業化をはかろうというのか、理解に苦しむところでございます。
 商業に対する施策は、かくのごとき現状でございます。賢明なる諸先生方の御明察を請う次第でございます。
 最後に、中小企業基本法が制定されることは、まことに喜ばしいことでありますが、それには、本法制定の趣旨にのっとりまして、真に公平に光が当たるよう諸般の施策が講ぜられることをこいねがってやまない次第でございます。
 その意味において、この際、法案を中心に、自民、社会、民社の三党その他関係団体の要望を十分に取り入れられまして、中小企業者の満足できるような関連法規を整備するということを前提として、賛成するものでございます。
 何とぞ今国会中に早く処理して、基本法の成立を切に希望する次第でございます。以上。
#72
○委員長(赤間文三君) 山田参考人、まことにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#73
○委員長(赤間文三君) 次に、湯山参考人にお願いを申します。
#74
○参考人(湯山要君) 湯山要でございます。私は日本中小企業団体連盟の福岡県の役員をいたしております。また中央会の福岡県の役員もいたしておりまするが、私が営んでおりますところの事業は機械工業でございます。今日ここに私たちの中小企業基本法の立案につきまして諮問をされることにつきまして、学者でありませんので、過去の経験をもって、先生諸氏に一言述べたいと、かように思っております。
 二条の問題につきまして定義が出ておりまするが、この定義の点におきましては、私といたしましては十分なるところの資料を持っておりませんので、あとの質問について意見を述べたいと考えております。
 九条の問題におきまして、設備の近代化というものが取り上げられておりまするが、この点につきましては、私たちに重要な問題でありまするので、一言述べさしていただきたいと思うのであります。それは中小企業の償却資産税は大蔵大臣の指定する四十六種目の重要産業機械においてのみが三分の一だけの一年間の償却を認められておるのでございまするが、すでに大企業は五分の一の償却を過去においてもう認められておるのでございます。今日私たちの基本法の問題から取り上げられまして、大企業は五分の一償却が認められるのにかかわらず、中小企業の私たちが設備の近代化をするために三分の一ということは、どうも同じ国民でありながら不公平ではないかと、かように感ずるものでございまするので、基幹産業並びに大企業並みに五分の一の特別償却をお願いできればけっこうではないか、かように思う次第でございます。また、四十六種目という限定された種目の中では、なかなか設備の近代化がされないのでございまするので、この四十六種目の重要機械産業の種目をもう少し幅を増して広げていただきたいということを意見として申し述べたいのでございます。
 また一般につきましては、私たちの機械の耐用年数がただいまでは十九年になっておるのでございます。この機械の耐用年数の十九年というのは、あまりにも今日の社会テンポからおきましておそいのでございまするので、この十九年の機械耐用年数をもう少し圧縮していただきたい、こういうことを申したいのでございます。
 それはどういうことによってそういうことを申し上げるかと申しますと、設備資金の借り入れは、私たち最高の恩典に浴するものが一年据え置きの四年でございます。こういう観点におきまして、機械の償却のほうは十九年である。金の借り入れは一年間の据え置きで四年間で支払いする。五年で払うということになりますと、金融の状態と設備の状態のバランスがくずれるのでございまするので、こういう点を助成していただきます上につきましても、十九年の機械の耐用年数は特別に圧縮していただきたい。またこれに生まれましたところの益金は、約五割は国税並びに地方税に持っていかれるのでございますので、この点からおきまして、設備近代化におきましては特別の御考慮を払っていただきたいということを申したい。
 十八条の点におきまして下請取引の適正化ということがうたってございまするが、私たちは年々中小企業の大会をやっておりまするのでございまするが、その際にも、大会には通産大臣並びに諸先生方の御来賓を招いておりますときに申しておりまするのは、下請代金と今度法が改正されまして限定されておりまするが、私たちは大企業から仕事をする際に、したものは、中小企業であればひとつ即座に払っていただきたいと、こう言いたいのでございます。下請代金ということになりますると、製造の委託加工と修繕委託と、これ二つに限定されるのでございます。私は戦前においても仕事をしておったんでございまするが、戦前は商売の道義におきまして、手形を相手方が発行する場合には、発行した業者が受取側に対して金利を持っておったんでございまするが、今日では社会情勢が変わりまして、中小企業に発行する手形は全部中小企業が金利を持って一般銀行で手形割りをしておるのでございます。こういう状態で商売の道義もなくなりまして、しかも手形の乱発でございまして、大きな手形は台風手形と申しまして二百十日でございます。小さい、一番短いので九十日ぐらいでございまするので、でき縁るなれば、手形の金利は発行する者に与えるという程度のことを御研究願って、していただくなれば、中小企業はしあわせするんではないかと、かように思いまするし、ただ委託加工と修繕の委託だけを限定せずに、資本金三千万円以下の中小企業に対しては、大企業は――これに支払いする者は六十日以内に現金で払う、いかなる中小企業といえども現金で払うというような特例をいただくなれば、中小企業は浮かぶ瀬があるんではないか、かように考えるものでございます。
 また公正取引委員会の問題が十八条に出ておるのでございまするが、私は九州から参ったものでございまするので、東京のことは存じませんが、この公正取引委員会の事務員さんが山口県並びに九州全部を兼ねまして、ただいまでは六名ないし七名しかいらっしゃらないのでございます。こういう程度の人では、九州と申しましても、東京のように近郊は多うございませんが、大きいのでございます。また日本の心臓部でございます。それに公正取引委員会のお方が六名や七名では、ほんとうに公正取引ができておるかどうかという調査にお困りでございまするし、また公正取引委員会の役員の皆さんが実際にできないということを私にも漏らされたことを申し添えたいと思います。ぜひとも充実をはかっていただきたい。
 次に、二十四条の問題でございますが、資金の流通化と適正なる円滑化をはかるということが申されておりまして、これは大体全般的に金融の問題ではないか。中小企業並びに大企業を語る上には、まず金融と税制であるということは皆様方先生は御存じだと思うんでありますが、私たち九州で中小企業を営んでおりますが、民間の大手銀行は地方の金を吸い上げて中央に持って来て流しておるんでございます。これが現状でございます。八幡市にたくさん銀行がありますが、一例をあげますると、一銀行だけでも中央に十何億という金を吸い上げております。この現状を見ましたときに、約二十の銀行がございまするが、何十億という金を東京に吸い上げてきておるのでございます。こういう状態では地方産業並びに中小企業は発展することができないのでございます。こういう点も御考慮願いたい。しからば地方銀行はいかがであるかということになりまするが、地方銀行もたくさんございまするが、地方銀行はそれに伴いまして両建預金をたくさん要求するのでございます。平均いたしますると、私は資料は持っておりませんが、大体五割から六割の両建預金を要求しております。これは現実でありまするので、こういうところも先生方にお知り願いたいと思います。
 その次に、相互銀行でございまするが、相互銀行は私たちが過去におきまして、不況対策をやったのでございまするが、その点におきまして、いろいろ調査をしてみましたるところ、中小公庫の資金をえさにいたしまして、両建預金をやって私たちを食いものにしているのでございます。こういう状態で、地方産業の発展というものがずいぶんおくれておるのでございます。これはすでに政府の機関のお方が御調査されまして、実際にあったという実証でございまするので、相互銀行に対しましても、政府のほうから何かやかましい達しがいったそうでございまするが、この点も特にお気をつけが願いたいのでございます。
 そういたしますなれば、しからば君たちの中小企業はどうして救われるのかという問題になりまするが、私たちには中小公庫とただいまでは商工中金と信用金庫と信用組合と国民金融公庫とこの五公庫がございまして、こういうものをもって大体金融に充てておるのでございますので、この点におきまして、中小企業金融公庫の金はなかなか直借りは人の関係でうまく参らないのでございまするから、相互銀行に流す金を商工中金にもう少し多額に回していただきたいということを申し添えたいと思います。
 次に、中小企業の信用補完事業の充実についてでございまするが、この問題はもう法律が通ったように承っておりまするが、今までは大体保証協会の保証が一企業七百万円、一組合が一千万円であったのでございまするが、私の希望といたしましては、一企業千五百万円、一組合五千万円という工合に、私の希望でございまして、法律はもう先に通っておるようでございまするから、くどくどと申さないつもりでございます。
 それから、これも法律が通っておるようでございまするので、もう申さないつもりでございますが、九条の設備の近代化をはかるために、設備近代化の保証制度の設立をお願いしたい、かように思っておったのでございまするが、これも何か聞くところによりますれば、設備近代化の問題はお考えになっておられるようでございまするので……。
 次に、二十五条の問題でございまするが、企業資本の充実をはかれということは、私たちセミナまたはいろいろの講義を聞きに参りましても、中小企業はとにかくいろいろな形で設備をし、また資本の蓄積をやらなければいけないということは、諸先生方もそうでありまするし、大学の先生方もそうであるのでございます。しかしながら、中小企業というものは、なかなかこの金が足らない。設備の近代化がされない現状があるのでございます。それはどういうわけであるかと申しますると、基幹産業並びに公益事業は私の知った範囲でございまするので、間違っておりましたら誤りでございまするが、大体基幹産業並びに公益事業は一八%ないし二二%の税金だということを承っております。私たち中小企業におきましては、二百万円以下のものは三三%の税金でございます。二百万円以上の利益を上げた場合には三八%の税金を払っているのでございます。この点におきましても、いかに同じ国民でありながら、卒業をやりながら、大企業並びに中小企業との税金の格差があるかという問題でございます。なんぼかせぎましても、先ほどからいろいろ参考人からもお話になっておりましたが、何か中小企業は今度の法律を作られることによって、私たちがたいへんよくなるがごとき誤解を招くようなおそれもあるのでございまするが、すでに税金は大企業よりも私たちがたくさん払っておるのでございます。大企業と同じ並みであれば、私たちは決してこういう法律も何も作っていただく必要はないのでございまするが、ここに申しますように、一八%から二二%が基幹産業並びに公営事業であります。中小企業は三三%から三八%でございます。この点をお考えになっていただくなれば、中小企業のわれわれがいかに苦しんでおるかということがわかるのでございます。そういたしまして、地方税におきましては、均等割が県で六百円でございます。中小企業のわれわれも均等割は六百円、また何十億、何百億の会社でありましても、均等割は六百円でございます。面積におきまして、人間におきまして、設備におきましてだいぶん違うのでございまするが、われわれと同じであるという点も多少不公平ではないか。法人税割は四五・四でございまするので、利益率でございまするから、申す必要はないと思います。また、市民税の均等割もさようでございまして、大企業も千八百円なら、私が経営しておりますところの新興製作所も千八百円、こういうところには、私は、人間の問題、資本の問題にあっても格差があってしかるべきではないか、かように思いますので、御検討がいただきたい。そういたしますならば、二百万円以上の三八%の税金と州民税と均等割と市民税と市民税の均等割と入れますると、五五%くらいの税金が要るのでございます。中小企業に。またこれと並行いたしまして、先ほどからの設備の近代化におけるところの償却資産、固定資産、こういうものも利益の中から払うのでございまするから、大体利益の八〇%から七五%くらいを税金で吸い上げられてしまうのでございます。そういたしますると、なかなか従業員の優遇はできない。ここで私は賃金の格差が中小企業と大企業との間に生まれてくるのだということを確信するものでございます。基幹産業は、税金も安い、金利も安い。そうしてどんどんものを作る。中小企業は、税金が高くて、金利が高くて、なかなか借りられなくて、そうしてものを作るのでございまするから、これだけでも差があるのでございます。そういう意味において、基幹産業は自分の製品に名前をつけて売るような形で、すぐに、ものを売るときには協議会を作って協議によって単価がきめられるのでございます。私たちは過当競争をしておるのでございます。こういう点において、そうして大企業はもうかったから労働者の皆様方は、会社が利益を上げたからわれわれの給料を上げろ、給料を上げなければ、ストライキをする。ストライキをしなければデモ行進をやるというて、給料をどんどん上げられる。中小企業のほうは、こういう国からの施策によって税金は高い上に過当競争をいたしますから、どんどん従業員の給料は安くなるというのが現状でございまするので、せめて基幹産業の税金にひとしくしていただきたいということが私の叫びでございます。同じであれば私たちは何も大企業の設備に負けません、何ぼ競争いたしましても、大企業でやれるものは、中小企業がやっても、絶対に成功さしてみせる自信を持っておりまするので、基幹産業並みの税金を中小企業にかける、こういうことにしていただきたい。また、地方税におきましても、先ほどから事業税がわれわれだけだという問題がございまするが、これも農民にはかかっておりませんが、われわれだけでございます。事業税の撤廃を願いたいということを御研究を願いたいと思います。
 私の住んでおりますところの八幡の区役所――昔は八幡市で八幡市役所でございましたが、半年ぐらい前から北九州市になりました――基幹産業の従業員の皆様が給料が上がるから区役所の従業員の給料を上げなければいけないということで基幹産業と役所の皆さんの給料は上がるが、中小企業のわれわれの子弟の給料は上がることがどうしてもできないのであります。こういう点におきましても、私はどうしても中小企業に与えるところの税金を軽減してもらわなければ、いつまでたっても中小企業と基幹産業の格差がなくならないということを主張したいのであります。うまくしゃべられませんので……。
 次に、二十七条の問題でございまするが、これは先ほど申しましたが、私、中央会のお世話をさしていただいておりまするが、東京都の場合は知りませんが、九州の福岡におきましてはいろいろの団体がたくさん今日できております。中小企業団体法の商工組合であります。また商工会法ということで商工会がございます。商店街振興組合というのもございます。環境衛生同業組合、こういうものを中央会に一本にまとめていただくならば、私たちは中央会のお世話をし、中小企業の協同連合のお世話をする上にたいへん好都合ではないか、かように思うものでございますので、この点をよろしくお願いしたいと思います。
 それから、申し忘れておりますが、償却の問題におきましても、私たちは特別償却が三分の一、大企業は二分の一でございまするので、これも大企業と同じように私たちも同じ企業をやり、同じ輸出をやっておりまするので、特別償却費を二分の一に引き上げていただきますように、一般税金も基幹産業並みにしていただきますように、終戦後十八年たっておりまするので、どうぞよろしくお願いいたしまして、この法案を一日も早く通していただくようにお願いする次第でございます。
#75
○委員長(赤間文三君) 湯山参考人、ほんとうにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#76
○委員長(赤間文三君) 以上で参考人の方々の意見開陳は大体終わりました。これから参考人の方々に対しまして御質疑のおありの方は順次御発言をお願いを申し上げます。春野鶴子女史は特別の用事がありましたのでお帰りになりましたが……。
 速記をとめて。
  〔午後三時十九分速記中止〕
  〔午後三時三十二分速記開止〕
#77
○委員長(赤間文三君) それでは、速記をつけて。
 それでは、これから参考人の方々に対して御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
#78
○近藤信一君 まず、小沼参考人からお尋ねしますが、まあ暑いときだから簡単にちょっとお尋ねしますが、この十六条の中に、「労働関係の適正化及び従業員の福祉の向上」云々と、こうありまするけれども、この項だけでは、この中にはたして労働条件の問題が含まれているかどうか、労働条件の改善という問題がね。そういう点、ちょっと明確でないと思うんだが、小沼さんはこの点をどのようにお考えになっておられるのか。ちょっとこの点を一点。
 それから、今このことは湯山さんにも共通する点だと思うのですけれども、中小企業関係に対するところの新規学卒者、特にまあ中卒者なんかの雇用ということが非常にむずかしくなってきておる。これは一面から言えば、大企業と中小企業とのいろいろな福利厚生等の関係もあって、中小企業にはなかなか入らないと、入りたがらないと、こういう傾向が多く出てきておることも事実だと思うのですが、この新規採用の学卒者の問題も、これはおおむね大企業がほとんどとってしまう。大企業では余って、そうしてまた、そのきまった日にちに採用ができないというふうな傾向も現われてきておるわけなんで、こういうことについて、やはり今後中小企業としては、雇用の問題ということもよく考えていかなければならないんじゃないか。何かこれは打開の道を開かなければならないのじゃないかと。このことは若干法案には触れてはありますけれども、これだけでは私はなかなか困難じゃないかと、こういうふうにも考えるわけなんですが、この点はどういうようにお考えになっておられるのか。
 それからもう一つは、これは大企業と中小企業の特に賃金の格差という問題が、これはずっと出てきておるわけなんで、で、若干この賃金の格差というものが、もう雇用のむずかしさからくる点もございまするが、まあ多く賃金を払わなきゃならぬということで、ここのところは若干は中小企業のほうでも賃金がふえてきておるやにも聞くわけなんですが、実際には、一体現在中小企業と大企業との賃金の格差というものはどの程度であるかということをひとつお尋ねいたします。
#79
○参考人(小沼良太郎君) 第一の労働条件の問題ですが、いわゆる中小企業が転業する場合、はたしてその労働者が、就職のあっせんとか、そういうような退職時の条件というものが含まれているかいないかということについては、私はこれは含まれていないんだと、こう解釈しています。もし含まれておったとしても、今の中小企業は、先ほど申し上げたように、中年の労働者、あるいは高年の労働者をたくさんかかえて、ほとんどそれに依存しなければならない状態の中で、もしそこで転業だとか、あるいは倒産だとか、あるいは切り捨てなどをやってきたとするならば、その人たちが、失業者を一体どうするのかということは、やはり先に考えられなければならない問題じゃないか。もし、そのままでやられた日には、おそらく現在でも相当そういう中年層、高年層の失業者がいるのに、より以上これに拍車をかけてくる可能性が私はあると思うのです。だから、その点は、したがって、もしこの法案がわれわれが解釈するような立場だとすれば、私たちとしては承服できないと、こういう気がするわけです。
 それから第二の若年労働者の雇用問題、これについては、確かに今中小企業に入ろうとする若い学卒の人方があまりいない。それでせっかく地方などから縁故関係などで連れてくる。ところが、二十人か三十人やるのに二十万や三十万からの金をかけなければならない。せっかく連れてきて、半年か一年でほとんど、定着率が一割の歩どまりがあればいいほうだといわれているのが東京あたりの現状です。したがって、それについて、これは労働条件の問題もございますが、今の中卒の人方の賃金格差というものは、大企業もそう変わりはないと思うのです。ないということは、大体一万円そこらを前後にして中小企業は払っている。払わなければ一人も雇うことができない、こういうことです。したがって、政府当局のほうで、学卒者は七千五百円から八千五百円ということで押えてはいますけれども、そういうのでは一人も入らないというのが実情です。
 それから福利厚生の面も確かにその点は大企業と比べて、これは問題にならないほど悪い。しかし、私はその点については少なくとも中小企業のこういう法案を作るということであるならば、もっとやはり中小企業の経営者に何といいますか、定着が、充足ができるような指導なり施策を政府がとってやらない限りにおいて、今の状態ではほとんど大企業に行ってしまう。ところが、先ほども言ったように、技能訓練をわざわざ五億もかけてやってみたところが、毎年やっているところは大企業に奉仕するためのまるで施策になっちゃう。金はたくさんかけました、やや一人前になりかけました、大企業に全部持っていかれました、こういう実態が今あるわけで、この点についても私はむしろ抑制するなり、そういう雇用の点についての政府のやり方を考え直していただかないというと、これは雇用条件は今現状のままでいく可能性が非常に強いのじゃないか。したがって、大企業の機械だとかスクラップと同じように、中年層なり高年層の労働者は、今どんどん大企業でスクラップと同じようになってきている、これを拾い上げるのは中小企業。ところが、その中小企業が、そういうところの中年層か高年層を雇うところの、失業者を出さないところの犠牲を払っているのは中小企業だと思う。したがって、その中小企業を、今度逆に切り捨てごめんのようなことをやられたのでは一体どこに行くのか、これがやはり一番問題点じゃないかというような気がするわけです。したがって、若年労働者をどう定着させ充足させるかということは、国全体の立場で、労働行政の中で、この法案に関係なくやはりひとつ考えていただくということが一番必要なんじゃないか、こう思います。
#80
○近藤信一君 こう一点お尋ねしますが、中小企業の労使慣行というものは、比較的うまく従来からきておるわけなんだが、ところが特に昨年から、零細企業といいますか、小規模企業というのか、ここの小さなところに比較的合理化のしわがきているわけなんですね。これはやはり、私の知っている例から見ましても、大企業が従来の下請のあまりよくないところに資本投資する、資本投資して合理化をやるわけなんだが、そのときにいわゆる従来の小規模事業所に働いておる労働者をこれを整理せよと、こういうふうな大企業からの圧力も往々にしてあるわけなんで、そこでやはり今度の基本法を見ても、先ほど来午前中からもいろいろと言われているように、いわゆる今度のこの基本法というものが零細企業の切り捨てになるんじゃないかという心配が相当ある意見も述べられておるわけなんで、こういう点についてどういうふうなお考えを持っておられるのか、この点についてお尋ねいたします。
#81
○参考人(小沼良太郎君) やはり今系列化――いわゆる貿易の自由化あるいは設備の近代化、こういうことから相当系列化が進んでいる。ところがその系列化のやり方についても、いろいろケースがございますが、電気関係などではほとんど下請が系列下に入る場合、八割から九割ぐらいは親会社が株を持つ。したがって、その系列化のされた工場の重役さんなり社長さんなり、そういう人事権まで全部親会社が握っているというケースが最近非常に多くなってきていると思うのです。したがって、そういうところの方針として労務者をどうするかというと、やはり若年労働者を雇用するけれども、中高年令層はもはや熟練工というのは必要がなくなってきていますから、そういう人方にやめてもらうという方向が出ておる。同時に、やめるにしてもたいへんだということで、要求を出したり、あるいは退職金の問題などを討議する。それじゃ自分のほうの資本を全部引き揚げてしまう、そうすれば会社はつぶれてしまうんだから、こういう方向が非常に多くなってきていると思うのです。
 それから、先ほど言い落としましたが、賃金の問題についても大体こういう方向だと思う。若年労働者の場合は厚くしていく。たとえば統一要求といいますか、三千円のベース・アップとなると、若い人方に三千円、年をとった人も三千円。ところがこのことが非常に賃金政策の上からいっていいのか悪いのかという議論は別としても、経営者自身がそのことを喜んでいるという傾向がございます。それは若い人方の賃金を高く上げる。これで若い人方は動かない。そこで中高年令層の人の賃金は上がらなくともやめてはいかないんだから、若い人方を優遇していこうという、こういう政策が最近はとられていると思います。したがって、要求も統一要求といいますか、画一的な要求が出てきている原因はまたそこにあるのだと思いますが、下請企業は、相当中小企業の系列化されたところには条件がびっしりとついているために、中小企業の経営者それ自体が動きがとれないという実態じゃないかと思うのです。そういうことが、いわゆる今の下請関係と親会社との関係が進行しているというのは、そういう状態だと思います。
#82
○近藤信一君 次に、村岡さんにちょっと二点ほどお尋ねするのですが、今度の基本法を見ますと、先ほどからも意見が述べられておりますように、小規模事業者、零細事業者に対するところの問題が非常に軽く扱われている点があるわけなんです。こういうことでいく場合に、やはり私どもが心配することは、将来零細企業、小規模事業者の整理統合というふうなことが考えられてくるのじゃないかという心配もあるわけなんです。やはり今度の基本法に対しましては各商工会その他の中小企業団体の方も早くこれを国会で成立さしていただきたいという希望は重々ごもっともでございますし、私どもも何とか一日も早くこれを成立さしたい、こういうふうに思っているわけなんですが、実際地方の小規模事業者の御意見としては一体どんなような意見があるのか、これに対するところの意見は、早く通してしまいたいというだけではなくして、やはり先ほど来述べられているようないろいろな希望があることはあると思うのですが、特に地方で問題になっている点というのはどういう個所であるか。この点をまず一つお伺いいたしたい。
 それから商工会の経営改善事業といいますか、これがあるわけなんですが、今回のこの中小企業の関連法案として中小企業の指導法というのがあるわけなんですが、これとの関係はどういうことになるのか。この二点についてちょっとお尋ねいたします。
#83
○参考人(村岡兼吉君) お答えいたします。先ほどからも小沼参考人のほうへお聞きになったように、小規模事業者としては労務対策が非常に大事でございます。それとやはり先ほどからも私が申し述べましたとおり、税金の問題、それから金融の問題、こういうのでございますが、従来、ともすれば小規模業者は労力を確保するためには縁故雇用にたよっておったわけであります。しかも形態がやはり徒弟という形で今まで労力を確保しておったということから抜け切れない業者もあるわけであります。そこで商工会の指導員なり何なりがそういう点を是正いたしまして、やはり今日の労働力を確保するためには、大企業と同様に適正な賃金あるいは適正な待遇を、みずからの犠牲でではありますけれども、そこでやっていかなければどうしても確保はできない。こういうわけで一つの例でありますけれども、私の属しております木荘市の商工会におきましては、地元の中小企業者と相談いたしまして、雇用対策協議会というものを昨年作りまして、そうして職安とタイアップいたしまして、すべて職安を通して雇い入れ条件なり何なりをガラス張りの上で明朗に話し合った上でやっていこう。これには中学校の先生あるいは高等学校の職業係、こういうような方たちも入っていただきまして、そうして、大企業のみが決していいのではない、地方の小規模業者にもそれぞれの意欲を持った者がおるのである。こういうことの小規模業者のPRあるいは心がまえが足りなかったことを補正しながらやって参りました。で、三十八年度におきましては、これは金融引き締めその他によって多少中央の業者が雇用を控えたという傾向もありましたけれども、今年の傾向といたしましては、昨年の数ははっきりでございませんけれども、わずかの数でございますけれども、倍になる人数が地元に定着した。ただ今後考えられますことは、やはりこの昇給が一定の期間ごとに大企業者に伍してやっていかれないということ、初任給は一応大企業者に近い数字を支払うという条件を持つことができますが、ただやはり零細企業でございますので、逐次勤続年限が増しますと、ほかの例のようにどんどん賃金を上げていくということはできない。さらにまた、公務員の間においても相当な賃金や俸給の値上げがあったりする、こういうことから、非常にこの点においては私ども今後いかようにしてこの昇給という問題を解決していくかというように考えております。
 これはまあ小規模業者というものは、一応政府の施策がありましても、その本人自身が自覚を持たなければ決して救われないということを痛感いたしておりますが、ただ小規模業者というものは、いろいろな条件から、零細企業というものは一つを救えばあとから出てくると、こういう状態でございますけれども、だからといって、これを捨てておいては、社会的にも重大なる問題だというわけで、先ほどから私の申し述べておりますことは、一に政府の補助育成ということのみに重点を置いてお願いいたしておりますが、現状はやはりそれにたよるほかはない、こういうことでございまして、再度申し上げますが、税制あるいは税金の問題、それから金融の問題、こういう問題についても、ひとつもっと強い施策をお願いいたしたい。
 それから中小企業指導法案に関してでありますが、これは実は私詳しく読んでおりませんが、これは指導センターというものを拡充いたしまして、それから指導員を養成するということであります。何分にも商工会法が出ましてからまだ三年目でございます。各指導員は、中には非常に適当でない者もございます。今日新たに採用いたします経営指導員というものは、各県におきましても商工会あるいは連合会等が協力いたしまして、試験の上採用するというようになっておりますので、相当質のよい者が今後は出て参ると思います。それにつきましても、一応この普及員の国の補助は二万四千円で打ち切られております。したがって、有能な方をたとえば二万円で採用いたしますと、期末手当その他家族手当、そういう手当を加えますと、商工会の持ち出しということになるわけであります。そこで私はやはりこの二万四千円という限度も、もう少し引き上げていただかないと――だからといって、必ずしもみんな二万四千円に引き上げるという考えは持っておりません。その年令とか、学歴の程度とか、雇い入れの程度によって適正な給料を払っていきたいと考えておりますが、現在商工会の経営指導員というものは、非常に多方面の知識を持たなければならない。したがって、各県でも、これは講習会、研修会、そういうものを開きまして、地位の向上に努めておりまして、逐次その内容は改善されておりますし、また補助員の俸給につきましても、限度はありますけれども、国のほうでつけていただきましたので、昨年以来、非常に商工会の活動がよくなりました。私どもの秋田県におきましては、四つの商工会議所のある市を除きまして七十二カ市町村のうち六十八市町村に商工会が設立を見まして、全部できたわけでありまして、その組織強化というのは機運が非常に上がって参りまして、ただこの業者が少ないという点でまだ四つ国の指導員の補助がいかないところがございますが、これは県の施策によって県担補助をやりまして、そこにも指導員が出て、わずかの数のところでありますけれども、そこにも指導がなされる、こういうようになっております。とにかくやはり税務講習会、あるいは簿記の講習、そういうような面について、しばしば私ども講習会を開きますが、開きましても自分がやはり奥さんと二人きりでやっている商売の手前、なかなか出てこられない、こういうのが実情でございますので、努めて休みの日、そういうようなときを利用してそういう指導を、どんぶり勘定をなくしていこうというような指事をやっておりますが、こういう指導方面については、やはりもっとひとつ政府のほうで力を入れていただきたい、このように考えております。
#84
○近藤信一君 次に、山田さんに一点お尋ねするのですが、あなたの御意見の中にも、この三のところに事業分野の確保の問題が取り上げられておるのですが、昨日の日経の夕刊を見ますると、これは経済同友会傘下の中小企業についてアンケートを行なったその調査結果として、中小企業の中でも、いわゆる事業分野とかまた官公需に対する中小企業の分け前を確保するといった点については、当の中小企業者が必ずしもこれは積極的でない、あまり積極性がないのだ、そんなものはどうでもいいのだというふうにも受け取られるわけなんですが、そういうふうなことがアンケートによる問答として出ているわけなんですが、そうすると、このあなたの御意見と若干違っておるようにも思われるのですが、実際にはこの事業分野の確保ということについて、どういうふうにお考えになっておられるのか、ちょっと昨日日経の夕刊に出ておったものだから、この点お尋ねしておきます。
#85
○参考人(山田藤太郎君) ただいま経済同友会からのアンケートということで、中小企業者が関心が薄いというようなお話でございますが、私ども商工会議所にも関係いたしておりますが、石川県といたしましても、全部が、この中小企業というようなものはやはり団結というようなものがなくちゃいけない、しかしてこの、石川県では経営者協会、あるいは会議所、中央会、商工会等みんな一致いたしまして、この中小企業基本法が一日も早く通るようにと希望をいたしておるわけでございまして、私は先ほど繊維関係のことを申しましたが、中央会といたしましては、金融面におきましても、協同組合の一致というような問題につきまして、たえず指導員を使いまして、あなたのほうもやはり早く協同組合々組織されたほうがいいのじゃないかというようなことで、年々十から十五以上の組合が結成されつつございまして、その協同組合ではおのおの商工中金、あるいは国民金融公庫というのを非常に利用するように相なっておるわけでございます。それから信用保証協会はもちろんでございます。これらを利用して非常に効果を上げておるわけでございます。せんだっての豪雪に際しましても、商工中金の格別な融通をお願いいたしまして、その組合には相当な融資ができておりまして、たいへんみんな弄んでおるのでございまして、ことに最近は、先ほどちょっと申し上げましたごとく、商業面のつまりサービス業を含むと相なっておりまするこの旅館等におきましては、組合をそれぞれの地区で結成いたしまして、商工中金あるいは中小企業公庫、国民公庫を利用するというような率が非常に多くなりまして、最近観光ブームと申しますか、観光がはやる、あるいは近くオリンピックとかいうような問題で非常に来客が多いというので、やはり設備の改善とかいうようなことに力をみんな入れております。そういったような関係におきましても、少し拡張すると、従業員が五十人ではとうていやっていけない、少なくもやはり百人にしてもらいたい――それはまあ余談になりますけれどもよろしゅうございますか。そういったようなことで、このアンケートがどういうふうに出ましたか知りませんが、石川県といたしましては、この中小企業というようなものは一致団結いたしまして、労務の確保並びに金融面等についてできるだけの努力をいたしておるわけでございます。で、今般私こちらへあがると聞きまして、旅館業者からも特に五十人の一千万円ぐらいではどうにもならぬから、これはぜひともひとつ工場関係同様に五千万円、あるいは三百人は要らないけれども、まあ百人以下というようなふうに、ぜひともこれはお願いしてきてくれというようなことでございまして、経済情勢の進展とともに、これらはぜひともお願いしたいのでございます。しかしてこの労働問題についきましても、労働の確保あるいはこの労働者の待遇改善あるいは福祉協同組合の設置とかいうような面に、着々と共同炊事等を営むというようなことで、たえず事業をいたし、この労働者の確保に万全を期しておるような次第でございます。重ねてお願いいたしまするが、商業も工業同様に資本あるいは従業員の数を、特に御先生方の御配慮によりまして工業に近い数字を表わしていただくように特にお願いをする次第でございます。
 以上です。
#86
○近藤信一君 次に湯山さんにお尋ねいたしますが、あなたも先ほど言っておられましたように、公取の委員が非常に少ないから十分な活動ができないということでございますが、やはり私ども昨年だったか、下請代金の遅払い防止法、この法律を改正して、六十日を越した手形に対しては利子をつけなければならぬと、こういう改正があったわけですが、あなたの御意見でいきますと、六十日以内は全部現金で支払えと、こういよ御意見でございますが、やはり手形の問題とそれから下請代金の問題は非常に重大な問題で私はあろうかと思うんです。だんだんと手形の期間が長くなってきて、非常にもう特に下請の皆さんは苦しい金融を切りまわしていかなければならぬと、こう思うんです。そこでやはりただ法律で――私どもが昨年も防止法の改正をしたのですが、これはあまり実効は上がっていないようにもまあ聞いておるわけなんです。それは人数の関係もあろうかと思うのですが、やはりこれを実効の上がるような方法を講じなければならぬと思うので、私どうもいろいろと苦労をするわけなんですが、何かいいあなたのほうで御意見があれば、こうしたらどうだろうというふうな、ひとつ意見を聞かせていただきたいというのと、それから第二点といたしましては、従来やはり下請の協同組合ということになりますると、非常に親会社からの圧力というのもあって、思い切ったことがあまりできない。たとえば、労働組合のようにあなた方が団体交渉をするということもできるわけなんですが、実際にはこれが活用されていないというのが現状じゃないかと私は思うのです。やはりこういう問題についても、もう少し協同組合の皆さんが自分の事業なんだから、もっとしっかりと団結して親企業と当たる、こういうふうなことも考えていいのじゃないかと思うのですが、この点についてどのようなお考えを持っておられるのか。それからもう一つは先ほど小沼さんにもお尋ねしましたように、中小企業の若年労務者の獲得ということが非常に困難になってきておる。そうして特にそういう若年の労務者が雇えないから、無理してまあ技術のあるのをよそから引っこ抜いてきたり、そうして苦労をされる結果、高い賃金も払わなければならぬと、こういうことにもなってくるのではないかというふうに思うのであります。特に九州地方は若年労働者の何といいますか、東京、それから私どもの東海地方、関西地方から、九州地方におおむね新規の労務者、若年労務者を雇用するために盛んに運動が行なわれるわけなんです。そうすると、ますます九州地方では地元からそういう若年の労務者を使うということが困難になってくるのじゃないか、こういうふうにも思われるわけなんです。ここの基本法の中にも中小企業におけるところの労務者の確保ということがうたってございまするが、実際にはこれはなかなかおいそれと簡単にできるものじゃないと思うのですが、こういう点、何かあなたのほうでいいお考えがあれば、ひとつこの点もお聞かせ願いたいと思います。
#87
○参考人(湯山要君) ただいま先生からお尋ねされたことは、私たちが実はどうしたらいいか、ひとつお尋ねしたい問題でございまして、私がどうしたらいいということは、まあ一番むずかしい問題じゃないかと思いまするが、一、二まあ私の感じたことでございまするが、先ほどの下請代金がおそい。大体実情は私たちは材料を大企業から買います。大企業から買う場合に、中小企業でありますので、お金を大体問屋に前払いをする。そうして買った材料で仕事をいたしまするのが大体一カ月でございます。納品いたしますと、基幹産業のような大きなところは検収が一カ月かかります。すでにもう六十日たってしまうのです。検収が上がって。これにうたわれておりますところの下請代金ですね、修繕または委託加工の場合が六十日であると、そうでないものの予備品とか――予備品であるか修繕品であるか知らぬが、いろいろ基幹産業には取りかえ品がございますが、そういうものを法の解釈によって九十日とか百日とかきめられるわけなんですが、もうここらのところ、私たちが何々の基幹産業悪と、何々と言うてしまうと、けっこうでございまするけれども、そう言いますと、おえら方の方は大体会社の社長とか常務とか副社長という人に話をする場合は、割合に話がわかっていただける。しかしながら、部長があり係長があり係長があり伍長がある組長がある係があるということになりますと、この間においてあまりそういったことを申し送りますと、すぐにちょんになる。あしたの日から見積照会がこないようになる。そこでなかなかネコの首に鈴をつけなきゃいけないけれども、こちらがネズミでありますがゆえに鈴がつけられない。そうすると、どうしても次の段階の公取の役人さんを――役人さんがふえれば税金がふえますので、役人さんがふえることを実は私たちは希望しないのですけれども、やはりここらをふやしていただいて、もう少し綿密にひとつわれわれの実情を知っていただきたい、こう思うわけなんです。どうもあまりぴちっとした御回答ができませんが……。
 それと九州地区はなるほど先生が申されますように青少年の、どう申しますか生産地なんですね。私たちがまことに、実際生産地で一番困っておるのは、九州は何で困っておるかというと、集団就職、集団就職という名前のもとに関西、中京、関東にどんどんこられる。関西、中京、東京にこられて、私たちよりもいい事業場へ就職されているかということになりまして調査いたしますと、私たち以下のたとえば洗たく屋さんとかラーメン屋さんとか、そのほか多々ありますが、しかし東京に行っちゃったけれども、もうしようがない、九州に帰るわけにはいかぬということで、東京で就職はかえられる向きはあると思いますが、大体九州の九九%までは、そういう集団就職という名前のもとに、九州が生産児になって流れていくということが今日の実情でございます。それとまああとわずか残った青少年を私たち雇い入れますが、これは先ほどからどなたか申されておりましたが、一生懸命に少ない人間だからかわいがって、実は技術を仕込むわけなんです。仕込みますと、今度十八才の雇い入れ制限令が解けますると、大企業の、基幹産業のほうでもう手をつけて待っておられるわけなんです。これが解けるとさあおいでおいでと、そうすると、先ほどから申しますように、基幹産業は金利も安い、税金も安いがゆえに、社会福祉もたくさんできますのと、お嫁さんをもらうときに都合がいいのでしょう。私たちのほうが親切にいたしますけれども、仲人もしますし、お祝いもたくさんやりますけれども、やはり基幹産業に流れるというようなことが実情でございます。それから賃金の格差は、中小企業でできるものは大企業で――先ほど申しましたように、競争いたしますれば絶対に勝つ自信を持っております。
 それと今日では日本の産業機械が先生御存じのとおり、もう世界一だという折紙がついておるわけでございます。要はこの機械をいかにして買うかという問題なんです。それにはこの法案の中にいろいろありまするけれども、私、先ほど言い損ないましたが、大企業の場合は五割償却、中小企業は三割償却、償却率がたいへん違うということ、それから一般の税が違うということで、資本の蓄積ができませんので、欲しいながらも買えないので、つい徳川時代の旋盤を一生懸命におれは名人だということで回すようなことで、もう徳川時代のを何ぼ名人が回しても、今の新しい機械で、若い人を半年ぐらい仕込みましたら、もうりっぱな製品ができます。それは私のほうにアメリカのシンシナチも持っておりますし、問題のありましたところの般若旋盤も持っておりますが、御存じのあの般若が会社更正法をやりましたが、この機械のほうがアメリカのシンシナチよりも三倍も五倍も仕事をする。中小企業ができるものを大企業がやったらいかぬのですが、税金が安い、金利が安いものですから、つい中小企業に手を出すというのが実情でございます。
 それと会社更生法なんですが、あれがまた中小企業に大きな害をなしているわけなんです。一応会社を作りまして今度むちゃくちゃにやってつぶれかけると、会社更生法にかけます。会社更生法にかけますると、今度税金がストップ、銀行がストップ、それから中小企業のわれわれが納めたのはみなストップするわけです。そうすると、自分だけ一生懸命やっておっても、ちっと大きい会社が会社更生法にかかりますと、私どもに支払い代金一銭も入ってこぬようになります。それで会社更正法というのは更正される人にはいい法律でございまするが、われわれ中小企業にとってはもう一番悪い法律でございまするので、これもかてて加えて御研究願いたい。それで銀行屋さんが大体会社更生法――われわれにも金出しておって、ひょっと間違ったら会社更生法にひっかけられると、もう貸した金がストップいたしますから、ちょっと不景気という声が世の中に流れますと、銀行が締め上げるというのはここに原因をなしております。そのほかの原因もありますが、ここに原因がありますので、会社更生法という法律もひとつついでに御研究していただきたい、かように思っております。
#88
○参考人(小沼良太郎君) 人員の充足の問題ですが、参考になるかどうかわかりませんが、昨年の春、江戸川の区議会では、いわゆる中小企業の労働組合が江戸川区内から一万円以下の労働者をなくそうじゃないか。理由はいわゆる若年労働舌なり労働力を確保するわけにいかないから、そういうことを区議会でひとつ決議してくれという陳情、請願を出したのであります。ところが区議会ではこれを満場一致で採択しまして、そこで労働組合と中小企業経営者がそれに従って、うちからは一万円以下の労働者を使わないようにしよう、こういうようなことで、特に江戸川区は御承知のように、中小企業が零細企業を含めて多い関係上、そういう方法ができて会社と組合がそういう協定をしたところが出て参りました。ところがそれに刺激されて、その近くの隣の区では、区のやはり労働組合と会社が、うちからは一万一千円以下の労働者、新卒であろうと何であろうと、それをやってひとつ労使協力して人員を確保しよう、労働力を確保しようということから、そういうことで割合にそういうことをやったところが、人員の点については成功しているように思います。そこで中小企業に中年層、高年層の人ばっかりになると、労働賃金の総ワクにおいて平均ベースというものはぐんと上がってしまいます。そこでやはり若年労働者を、一万円から一万一千円くらいの労働者なり女の人を雇い入れる、それによってむしろ賃金の総額というものが緩和するというか、こういうことでこれは経営者も非常に理解をしてくれた。こういうことで、われわれから見た場合ある程度成功しているんじゃないかということです。参考までに申し上げました。
#89
○向井長年君 きょういろいろと参考人の皆さんの御意見を伺ったんですが、小沼さんは大体従事する労働者の立場からいろいろな御意見を述べられましたし、他の皆さん方は経営者の立場あるいはまたその団体の役員の立場でいろいろと個々に御意見があったのでございますが、今、皆さん御承知のように、わが国の中小商工業者はこれは約四百万、その中で従事される人は千五百万、家族を入れますと、少なくとも人口の半分程度が、四千万から五千万という、これに近い人口を持っておると思います。そういう重大な国民の層を持っておる中小工業者が、今まで非常にめぐまれなかった、あるいはまた大企業等の圧迫等で非常に企業等についてもなかなか苦しい状態を続けておる。こういう状態が現状であろうかと私たちは見ておるのであります。そういう意味から今回のこの中小企業法案というものは、これはもうわれわれから言うならばおそきに失している。もっと早く中小企業法案を作って、中小企業の皆さん方の育成、あるいは強化、いろんな隘路の打開、こういうことを努めるべきではないかという考え方を時っておるわけですが、しかし、幸い今度政府からもこういう案が出まして、われわれ審議途上にあるわけでございますけれども、しかし、この中小企業法案そのものが万全であるという考え方を私たちはまだ持っておりませんし、あるいはまた皆さん方が、この中小企業法案が制定されるならば、直ちに各企業々々がそれでいろんな育成され、強化されてよくなるんだ、こういうことでもないと思うんです。これはやはり何といっても、先ほど湯山さん等も言われましたが、少なくともやはり企業老なり、あるいはまたその団体なりが、皆さんの企業を大企業に比して堂々と肩を並べていくというまで、やはり成長しなければならぬわけなんですが、そのためには今までの弊害は少なくともやはりいろんなこういう団体を持っておりますけれども、ほとんどは自分の企業というものを本位において、そこにその企業をやっておるところの経営者が政治力があるならば伸びていく、あるいは経済性が若干あればこれが若干伸びていく、こういうことで全般的な中小企業が上がってくる形ではないんじゃないか。そういう意味において、今度この法案に伴ってやはり各企業に対する組織化が必要ではなかろうか。その組織化というものについては、これはやはり中小企業者みずからが十分やはり理解と協力態勢、そしてその団体をもってこの法案の具体的な実施に当たらしめるような方策を講じなきゃならぬのじゃないか、こう私たちは思っているわけです。もちろんこの法案だけじゃなくて、これに伴うところのいろんな関連法案等も作らなければ無理かと思うのですが、そういう組織化の問題について現在の商工会なり、あるいは中小企業団体の協同関係の組合なり、いろいろあるかと思いますが、こういう点について現状のような形ですぐいけると思っておられるか。この点ひとつ村岡さんなり、山田さんなり、湯山さんにお聞きしたいと思います。
#90
○参考人(村岡兼吉君) 先ほども申し上げましたように、商工会法ができましてから、ばらばらであったわれわれの中小関係のものがまとまったことは事実でございます。ただ業種もよけいであり、その資本関係その他構成する格差も非常にたくさんあることは事実でございますが、私はやはりこの基本法が全部理想的なものだとは考えませんが、先ほども申しましたとおり、おおむね私どもは賛成でありまして、これを一つの拠点といたしまして、これからいろいろ諸先生が作っていただける関連法案を充足いたしまして、それによってますますわれわれの組織が固くなっていく、こういうことは私確信いたしておりまして、商工業者も今までは理解が薄かったのでありますが、過去三年間の指導、育成によって急にとは申しませんが、この商工会法ができる前から見ますと、ほんとうに急速に結束したことは事実でございまして、さらにこの基本法案ができることによって、精神的にもまたその裏づけとなる経済的にも、ひとつの安心感を持って、私たちがいよいよ結束を固くしていくという方向に向かうことは確かなものでございますので、私どもは一日も早くこの法案を成立していただきまして、われわれのよりどころをひとつ持たしていただきたい、これが念願でございます。
#91
○参考人(山田藤太郎君) ただいま向井さんからこの中小企業というのは、全国で家族を入れると五千万以上あるが、至ってこの組織とかあるいは中小企業の団結というものがないじゃないかというのは、仰せごもっともでございまして、従来は団結があまりできておりません。そこでこの組織の強化というようなことがやはり大事なんでございまして、おのおのの鉄鋼なら鉄鋼、繊維なら繊維、相協力いたしまして進まなければならないというような機運は、おいおいと盛り上がっているわけでございまして、その点につきましても、この基本法の設立を一日も早くみなが要望いたしております。すべての点において、やはりこれは業種ごとに団結をしなければいけないという機運に相なっているわけでございまして、今後におきましても、これらの組織強化というようなことには、できるだけ声を大きくいたしまして、及ばずながらその指導をいたしたいと思っているわけでございます。先ほど申しましたごとく、石川県といたしましては、この商工会あるいは中央会、経営者協会、ともに手を握って団結の強化ということを主張いたしている次第でございます。おいおいと基本法の成立と同時に、実績が多々上がることを期待しているものであります。何分よろしくどうぞお願いいたします。
#92
○参考人(湯山要君) 組織の強化におきましては、山田さんなり村岡さんから話がありましたが、中小企業というものは、もう先生たちも御存じのように、一番むずかしい問題だと思います。これは御存じのように、雨が降ればかさ屋が喜ぶ、日が照れば洗たく屋が喜ぶ、それが中小企業でございまして、湯山要が東京に来れば、同一業者が九州で喜んでいる。あのやかましいのがこぬから、おれが今度とれそうだというのが実態でございます。そういうことで、私たちは大体一番最初に設定されましたところのこの協同組合法でございまするが、中小企業協同組合、この前に、私たちはもう戦後すぐ協同組織でやらなければならないということで思い立ちまして、協同組合法ができる前に協同組合を作ったわけです。そして今日まで参ってきたのでございまするが、農業のほうに参りますると、何々委員、何々委員というて、市役所から月給をもらい、市役所に机があって、そこにいって月給をもらう。出張すれば市から金が出る、県から金が出るというようになっていますけれども、中小企業の私たちは、皆さんもそうであるが、きょう初めて出張旅費をいただきましたが、今までずいぶん大会にも参りましたり、いろんな会議に出て、私の妻のごときは、あなたは中小企業の総会屋じゃ。うちの仕事は少しもやらないじゃないかと、悪口までいわれるくらいやりましても、やっとこの程度でございます。それで先ほど先生から申されましたように、中小企業は日本の経済の半分をにない、日本の人口の半分あるのだ。しかもまだ官庁関係やら大企業に勤められるお方が元気な間は、やれ労働組合員だ何だといって旗を持って騒いでおりますが、一たび五十五才の年令満期が参りますと、中小企業にこなければならない。自分がみそを売るか、米を売るかして、中小企業の仲間入りをしなければならない。それは学校で本を習うより私は入って来やすいと思う。それなのに中小企業に対しては私冷淡だと思う。今日の大企業の従業員のお方でも、昔は五十五才まで三十年間勤めたら退職金をもらって、錦を飾ってくにに帰って、田地田畑を買うて余生を楽に送る、こう考えておった。しかし今日ではいなかから出てきまして、そして、大企業に入りましても、五十五才の定年満期がきて、二百五十万か三百万かの退職金をもらいます。そのときに家を作って、そして自分の家族を学校にやって、またそれが大企業に勤める。しかし、今はその学校も、昔は高等小学校だけが、高校になり、大学になった今日でありますから、五十五才の定年までにはまだ子供が大学を卒業してないのです。末の子は。それでどうしても働かなければいけないから中小企業にくるわけなんです。私の取引しておる基幹産業にもそういう従業員の方がたくさんおられます。それを一々説いて回りますがわからぬ。やめてみて、湯山君初めてわかったと、こう言ってくれるのですが、やめて初めてわかったのでは実際困るわけです。どうしても先生方のお力を借りて、中小企業は日本の縮図である、縮図であるがなくてはならない企業であるということをお考えになって、消費者の皆さん方があの法案が出るとたいそう物価が上がるようにおっしゃいますが、そうでないのです。私たちが一生懸命やりさえすればまだ物価はどんどん下がってくるのです。一部の特権階級の給料はどうか知りませんけれども、一般レベルが上がるかわり生産が上がって世の中が住みよくなるのでございまするし、また定年満期でおやめになったお方も救われるわけでございますので、どうぞひとつよろしくお願いしたい、かように思います。
#93
○向井長年君 もう一点お三人にお聞きしたいのですが、お聞きしたいというより、皆様方の体験があろうかと思いますが、特に今、中小企業は先ほどいろいろのお話しの中でもありますように、困るのは金融問題である、こういうことですね。したがって、この金融問題について非常に困っておられるわけなんですが、いろいろな方策をきめて徐々に、若干緩和されつつはありますけれども、まだまだ十分でないと思うのです。そこでその金融問題に対しては、実際当にあたっておられる皆様方がどうしたらいいと思うか。言うならば、政府資金の問題、国の金、たとえば財政投融資、これは大企業とか、そういうところには相当多くいきますけれども、これに対して割合をきめて、そしてそれは中小企業に必ず向けなさい、こういう形をとるとか、あるいはまた民間融資の問題、これについてもいろいろ問題点が地方においてもあると思うのです。結局これもやはり民間融資は一定の割合で中小企業に向けなければならぬということを一応これがきめられて、そうやる。こういう方策等があろうかと思いますが、皆様方が実際当たっておられて、金融の問題はどうしたほうが中小企業が救われるか、むくわれるか、こういう点についてお三人に聞きたいと思う。
#94
○参考人(村岡兼吉君) これは秋田県でほんとうの零細業者だけにやっておる問題でございまして、もう三年目になりますが、実は一昨年の八月から県の余裕金をもちまして、これを信用保証協会に、初めはたしか五千万と存じます。これを県が信用保証協会に貸し出しをしたわけです。そしてその金を県が指定する県内の金融機関に預託いたしまして、預託された金融機関は、これを八倍にして零細業者に貸し与える。そこで、県のほうには、私、連合会長としてその運営委員の一人に入りました。さらに県の吏員からも選び、それから貸し出しの衝に当たる銀行あるいは信用金庫、相互銀行、さらにまた信用保証協会、この四者が運営委員を構成いたしまして、そうして単位商工会が各会員の借り入れようとする資金の用途その他を調べまして、またふだんの行動において誠実であるかどうかというようなことを調べまして、それによって運営委員会にかけられまして、一件当たりの最高の額は二十万でございます。期間は一年、さらにこの保証料は、先ほども私申しましたとおり、秋山県の信用保証協会は下のほうから勘定したほうがいいだけの貧弱な信用保証協会、基金の上で非常に貧弱でございます。そこで、保証料は、一昨年、三年前までは七厘でありましたが、その年に六厘に下げました。ただし、小規模金融というものに対しては、五厘の保証料とする、こういう約束をいたしまして、そうしてその五厘の保証料は県が補助してやろうということで、大体本年度あたりは四百万くらいは、県会の議決を経まして、当初予算に保証料を補給する方策が講ぜられております。これによって、今までだんだん県の預託金をふやしまして、約一億になっております。したがって、八億がわれわれ零細業者に対する貸し出し残となっている状態であります。初めはこの返済について非常に心配をいたしましたけれどもやはり結果においては二、三の滞りがありますけれども、おおむねうまくいっております。ただいまは、金額をもっと上げたらいいのかあるいは期間をもっと延ばしたらいいのかというようなことが論議されている状態でございますが、零細業者からは非常に喜ばれて、このたびの臨時来会におきましても三千万円を増額いたしました。そうすると、二億四千万さらに金融の道が講ぜられる、かようにやっておりますので、もし政府のほうで、たとえば十億の金をこの方面に向けていただきますと、八十億という金が零細業者に動いてくるというようなことになります。ただ、金額が小さいのでありますけれども、非常に手続その他においてめんどうではございますけれども、秋田県におきましては、この制度が一応成功した、こう考えております。ただ、資金が少ないために、設備とか、そういうものには、期間も短かいのでありまして、やっておりません。もっぱらこれは運転資金としてやっております。そういう状態で、御参考になればと思いまして。
#95
○参考人(山田藤太郎君) 金融の問題につきましては、先ほどちょっと申し上げましたごとく、商工中金のほうといたされましても、組合としての転貸資金、組合で共同で借りまして、それを組合員に貸すというような制度、あるいは組合員が個々で細組員であるということを証明して、商工中金では個人の資産というようなものをお調べになって貸し出しなさるのとありまして、この点非常に各業ともこれを利用するという機運に相なっております。それから、県の保証協会にいたしましても、先般の豪雪の際には、やはり県市から出た補助金と申しますか、元金に対して三十億あまりの融資がございまして、県全体の業者は非常に潤おうているわけでございます。商工中金その他中小企業金融公庫にいたされましても同様でございます。それにつきまして、要はやはり組合をこしらえなければ、これらの融資ができないのだというようなことを強調いたしておるわけでございます。そういう点におきましても、逐次効果をあげておる次第でございます。
#96
○参考人(湯山要君) 私は今日の金融状態全体には当てはまらぬかと思いますが、大体私たちの関係では、大企業からもらったところの手形の再割りでございますので、考え直すと、これは大企業の融資をしているのじゃないか、かように考えます。ただいま商工中金の貸し出しが全部で二千万円くらいじゃないかと思いますが、その中の大半は受け取り手形だったと思うのです。三分の一くらいは直貸し、設備資金のようなものがあるのじゃないかと思いますが、私は金融の問題より先にやっぱり金融は受けても払わなければならない金でございます。税金は納めなくても、まけてもらいさえすれば、十万円まけてもらえば十万円そのまま残って使える金でございますので、私は今は金融でつながなければならぬが、将来はやっぱり基幹産業と同一の税金で同列に作業をしていただく。それと先ほど組織の中で多少言い忘れましたが、私三十六年に八幡の市会に出たのです。そのときに小口金融というものを最初に提出して取り上げていただきました。これも私は組合を代表して出たのでございますので、組合員に融資をしてもらいたい。しかし、市は市民全体であるからアウトサイダーにも貸さなければならないということで、川崎市も今日やっております。各市でも今日やっております。やっぱり組合組織を強化するためには、金融の問題、設備の近代化の貸与機械の問題とか、こういうものをひとつ国も設備の近代化の問題あたりで、アウトサイダーだけでなくて、組合運動をやっておるものを、組合員を優先的に誘致する、設備近代化をさせるというように御指導願えれば団体組織がしっかりする。それと先ほどの農協のように、もう少し一生懸命でやるものは、政府のほうなり地方自治なりで任命していただく、そして先ほどどなたかからもお話がありましたが、指導員を雇うと国のひも付融資がございますが、私たちが何ぼ動いても、これは何にもならないのであります。しかし、中小企業の中には御存じのように、それぞれ技術は技術で明るい者、組織は組織で明るい者、帳面は帳面で明るい者、この人たちが一生懸命動いても一銭にもならないので、ついそっぽを向いてしまう、そして国のひも付の指導員を雇うということになりますので、組織の世話をするのは農協と同じようにひとつ取り扱っていただけたらしあわせするのじゃないかと思います。金融の問題は、今は金融でつなぐ、先は基幹産業と同じように税の引き下げによってみずからの力でいく。そしてどうしても今の現状でいきますと、危険を冒して脱税をやらなければいかぬ。脱税してでもどろぼうしてでも銀行にお金を持っていかなければならない。金融機関はお金を持っていかなければお金を貸してくれぬ、いろいろ申しておりますが、ほんとうに金をお貸ししてくれるのは国民金融公庫だけであります。それと中小企業金融公庫、これは両建がありません。商工中金はやかましゅうはございませんけれども、一番低率でございますけれども、商工中金といえども両性預金は多少要るのであります。金を借りるために貯金をしなければ金が借りられないというのは実際あわれな事情であります。どろぼうした金でも金庫に持っていけば喜んで預ってくれる。税金が下がるというところが一番でありますが、まず金融でつなぎ、それから税金を下げていただく。
#97
○参考人(山田藤太郎君) ちょっとつけ加えたいと思いますが、商工中金の金利でございますが、これが九銭七厘かと思いますが――商工中金は九銭何厘かと思いますが、これをもうちょっと下げようにしたら、たいへんけっこうでございます。
#98
○二宮文造君 午後、五人の方の貴重な御意見を排聴いたしまして、流通革命というお言葉の中に、非常にきびしい試練を受けていらっしゃる中小企業の問題について、今基本法を中心に一段と脚光を浴びたわけですが、きょうの午後の五人の方の御意見を見ましても、消費者を代表する主婦連の方は不満の意を表明されている、また労働組合を代表されている方は、これまたその立場から不満の意を表明された。また、今度は業界を代表された三人の方は、満足はしないけれども、次善、三善の策として、この法案のすみやかなる成立を願って、さらにそれをよりどころにして、的確な中小企業の政策を進めてもらいたいという御意見でございました。またその三人の御意見の中の定義の問題を取り上げて見ましても、村岡さんは、上限を下げてもらいたい。また山田さんは上限を上げてもらいたい、それぞれのお立場で御意見が出たと思いますが、この定義の問題につきまして、このように画一的なきめ方をするということに御不満があるというふうに私は了解したのですが、また山田さんのお立場は繊維の卸商業、石川県は御存じのとおり、かつては絹、人絹を中心にいたしまして、繊維部門が非常に盛んでございました。したがって、それに従事される業者の方は、非常に資本費も大きいというお立場から、この苦難を乗り切っていくために上限を上げろ、このように了解したのでありますが、業界全体の希望としては、このような画一的なきめ方に対して、どうも了解できがたいというふうに御意見があったと了解してよろしゅうございますか。この点は村岡さんと山田さんにお伺いしたいと思います。
#99
○参考人(村岡兼吉君) 私の申しましたのは上限はけっこうでございます。現在のきめ方に。ところが私ども零細企業の施策が薄れるのじゃないかということをおそれるから、ああいう発言になったのでございます。やはり商工会法にありますようなあの程度のことでやっていただけば、決して私はこの五千万の資本の方の施策を減らしてもらいたいというような、やきもちを焼くような気持で申し上げているのじゃなくて、われわれ零細業者に対しても、もっと厚いひとつの保護の手を加えてもらいたいという意味合いで申し上げましたので、できますならば、やはり先生のおっしゃったように、私どものほうの零細業者にはっきりした施策を打ち出していただきたい。みずからやり得る業態も、五千万、三千万という資本の中にはあるはずでございまして、ところが私どもの零細業者の中には、なかなかみずから立ち上がれるという数は、そんなにはないと思いますので、できますならば、上限においてある制限を加えていただきたいというのが私の真意であります。
#100
○参考人(山田藤太郎君) ただいまは二宮先生からおっしゃったのですが、この工業においては五千万円、三百万人以下と、こうなっておりますのは商業は一千万円と、工業も商業も小売と卸とございますので、卸業者にとりましては、何か政令でおきめになるようなことができれば別でございますが、このごろ企業の合同とかいうような問題が起こっておるわけでございまして、かりに五軒あるいは十軒が統合したらどうかというような問題、そうしますと、自然、建築等をいたします。あるいは土地を買い入れるとかいうので、つい一千万、二千万、三千万というような資金を要するわけでございます。まあこれらにつきましても、もし五千万円がどうしても第一回無理だということでしたら、少なくも商業においては三千万ぐらいにはぜひとも引き上げていただきたいというのが希望でございます。それに中小企業金融公庫ですか、これが団体法のできましたときから、やはりこの資本が一千万円以下というようなことに貸し出しが――国民金融公庫はどちらかといえば、やはり小資本のほうが多いのですが、中小企業金融公庫ですね、これがやはり一千万円を限度として貸し出すと、資本金が。そういったふうにこれはもう八年前からなっておるわけでございます。それで少なくともこれが五千万円が無理であれば三千万円ぐらいに引き上げてもらいたい。それから従業員も、先ほど申しましたごとく、五十人では五軒か十軒か統合するというようなこと、あるいは御業者にいたしましてはどうしてもやはり少なくも八十人ぐらいにしていただきたい。あるいは先ほど申しましたホテル業にいたしましても、どうしてもやはり設備を広げればやはり人が要るということに相なるわけでございまして、少なくとも三千万円、従業員は八十人以下とかいうようなふうにひとつ先生方の御高配をお願いいたしたいと思う次第でございます。何とぞよろしくどうぞ。
#101
○二宮文造君 組織の問題についてちょっとお伺いしたいのですが、組織の問題につきましても、現在それぞれの責任者であられるお方の中でも悲喜こもごもな観測が今あったわけですが、特に村岡さんにお伺いしたいのですが、商工会の活動につきまして、秋田県では非常に商工会法が制定されて、ここ両三年の間に組織も充実してきたし、また運営も非常によろしくなったというふうなお話でございましたけれども、これもまた地域的にいろいろな表現の仕方がございまして、この商工会そのものがこれまたその中の格差の問題で、代表的な業者のほうで商工会が運営されているというふうなことで、いわゆるあなたのおっしゃった零細業者に対する施策というもの、国からの施策というものがまだまだ徹底してないというふうな話も聞くわけでございますが、従来の通産省の指導というものは、たとえば経営指導とか、指導員の問題とか、それからまた研修の問題とかいうふうに、二階から目薬式なことで運営されていたように聞いておるんですが、実態は改善されて参りましたですか。
#102
○参考人(村岡兼吉君) 最初にこの商工会法ができましてから、小規模業者に対するいわゆる商工会関係の予算はたしか四億と聞いておりました。現在では十六億という額になったようでございます。したがって、徐々に組織の拡大とともにその予算も増大してきた。しかし、私どもとしては、やはりまだまだたくさんの予算をほしいのでございますが、いろいろ御事情もあることで、逐次増加していただきたい。これは商工指導員の活動といたしまして、バイクの問題やらそういう機動力の問題までもめんどうを見ていただいておるような状況でございます。ただ希望を申し述べればきりがないのでございますけれども、もう少しこの予算を回していただきたい。それから指導員がやはりそれぞれ自分の得意なものがございまして、何でも指導するという万能の選手ではございません。したがって、講習会等に専門の講師を頼む場合の費用も国のほうからちょうだいいたしておる状態でございまして、それぞれその道の権威者を招聘いたしまして、あるいは地元の計理士とかあるいは簿記の関係、そういうようなものについての講師を逐次招聘いたしまして、お願いいたしまして活動を続けております。しかし、何分にも非常に零細な業者というものは、何といいますか、その日の暮らしのために、余裕がないために、なかなかいろいろな講習会、研修会等にも集まりがうといのでございます。しかし、それもだんだん理解して参りまして、一応会を開きますと、相当集まるようになって参ったのでありますが、まだまだやはり適正な税金をおさめるための簿記と、それから税金に対するほんとうの認識を持っていただくように指導していただかなければいけない。それからやはりこのごろは経営指導面に対しましていろいろな事柄について相談を受けるようになりまして、現在までは商工会がどういう活動をしておるかということを知らない業者もあったわけでございますが、三年にもなりましたので、相当数理解が深まってきたものと思います。まだ万全とは申しません。これからますますやはり自分たちの力をつけるためにも、あらゆる機会に勉強し、そうして自分たちの団結を強めていきたい、こういうような考えでおるわけでございます。
#103
○二宮文造君 最後に湯山さんにお伺いしたいのですが、ずいぶん経験に基づいた突っ込んだお話を聞かしていただきまして、中小企業庁の長官もずいぶんといろいろとお考えがあったと思いますが、金融の問題ですが、先ほど民間の金融機関では両建、歩積みと、これがたいへん中小企業の金融の隘路になっているというふうなお話でございました。そのときにちょっと一言触れられたのですが、政府機関の、これが大体民間の金融機関の代理貸しとこうなっておると、これを直接貸しにしますと、窓口で政府機関が扱う、その割合を高くしますと、業者のほうはいかがでございますか。その点について聞かして下さい。
#104
○参考人(湯山要君) 私が取り上げましたのは、中庸、中庫と私たち申しておりますが、中小企業金融公庫のことでございます。これは相互銀行、一般銀行、商工中金ということで代理貸しをおもにやっております。それから一部は直貸しもやっております。一番問題になるのが相互銀行が、大体聞くところによりますと、一番余計に代理貸しをいたしておるようでございます。私たちの地元の北九州では、盛んに相互銀行が代理貸しをしております。なるほど中庫に金を世話していただきますが、そのかわり預金をせい、掛金をせいというて強制されて、今度の、私たち北九州は御存じのように、国会でも問題になりましたように、鉄、石炭で不況でございます。それを見てみますと、相互銀行で融資を受けておるお方が大半でございます。そのお金で商工中金なんかで融資を受けておるところは割合に倒産が少ない。それをもう少しこまかく掘り下げていきましたところが、公庫の金を出すと同時に預金をせい、預金をする金がない、それならもう一つ追加で自分のところの金を五百万公庫の金を貸してやる、そうして預金をせい、預金をする金がない、それならもう二百万円貸してやる、そのかわりその二百万円はそのままそっくり預金をせい。そうすると自分の金を借りて、安い金利で高い利子を払うというような実情が現われるわけでございます。これは政府機関の人がお調べになったのですが、それで商工中金は全体の二割くらいの両建でございますので、二割でもわれわれはひどいけれども、まあほかから比べますと、これが安いので、一県一単位、県によれば今二行もあるところもございますので、もう少し相互銀行から重点的に商工中金のほうへ公庫の金を回していただくほうが、中小企業は救われるのじゃないかということを考えついて、同志と話し合った結果でございますので、ひとつ商工中金の増額を願いたいという気持でございます。それで相互銀行さんのほうが両建をよけいとらなければけっこうでございまするが、最近では北九州があまりにも金融問題を取り上げましたので、地方銀行、相互銀行というのが控え目になりまして、金の貸し出しをやかましくも申しませんが、貸し出しもずいぶん締めております。こういう現状でありますので、われわれ中小企業者は金融の状態が悪いのでございます。それで公庫の金ももう少しふやしてもらって、直貸しもわれわれ福岡まで行けばいいわけです。九州では福岡だけしかございませんが、直貸しももう少しふやしていただきたい、かように考えております。
#105
○二宮文造君 村岡さんの先ほどの秋田の零細企業に対する金融の問題ですが、私よく聞きますのは、信用金庫が金を貸します場合に、組合員でないと貸し出せないということで、信用金庫から貸し出しを受けるときに、そのときに出資金を幾らか取られるというふうなことを聞いておりますが、秋田の場合はそういうことはございませんか、今、先ほどのお話の中には。
#106
○参考人(村岡兼吉君) 信用金庫は秋田県にたしか九つあると存じます。で、先ほどの零細業者の金融を扱っている信用金庫は秋田信用金庫一つでございます。最初は一つでございました。それを一つの試験台として昨年から追加いたしまして全部の信用金庫が扱うようになったということでございますが、大体、信用金庫というのは組合制度の発達したようなものでございまして、今日、資金力も相当増大して参りまして、手形取引、それから小切手等もやるようになっておりますが、一応建前として組合員に貸し出しをする、こういうことでございまして、預金は組合員外から受けますけれども、ただ、その信用金庫の実情によって、個々の実情によって私は違うと思うのであります。私のほうの本荘市にあります信用金庫は一口が二百円でございます。大体、十口を持ちますと組合員として――一口でも組合員と認めますが、一口では、二百円では非常にひどいじゃないかというので、大体、今十口くらいが最低の出資金となっております。したがって、さして零細業者としましても苦痛は感じておらない、こういう状態であります。ただ欠点は、地方の銀行よりもさらに金利が幾らか高いということでございますが、ただ零細業者に対する県の指導する融資については、やはりきめられた日歩二銭四厘――先ほど申しませんでしたが、日歩二銭四厘でございまして、それに保証料を全部県が持つ、こういうことが現在、秋田県内における零細業者が借り得る金利としては一番安いものだ、こういうふうになっておりまして、信用金庫の場合はやはり銀行やその他の関係もありますので、組合員でなければ貸せないのじゃないか、こういうふうに考えております。
#107
○豊田雅孝君 時間の関係で一問題だけに限定いたしましてお尋ねをしたいと思いますが、零細企業問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。
 さっきからいろいろお話がこれについても出ておりましたが、中小企業の中で半分から上のほうあたりのむしろ代表的な階層には相当国の施策も理解せられ、また大会等にもこれが反映をしておるのであります。しかし、その大会などに零細企業が進んでしかも大量的に出ておるような段階にまで入っておるかというと、私は全国の模様を見てそうじやない、ここに中小企業の団結とか、あるいは組織化とか、あるいは政治力の結集とかいいまするけれども、その点について全くまだ上層部の自覚、認識が得られてきた程度のことであって、八割、九割を占める零細企業というものがその外にあるといっても、必ずしも過言でないような状態だ、ここに中小企業対策なり特に零細企業対策というものが躍進しない大きな原因があると思うのであります。また、個々に各地で大会が開かれるような状態に今日なってきておりますけれども、それは労働者の大会なりあるいは農民大会と違うところがある、ここに中小企業、零細企業としての大きな問題があると思うのであります。さっき村岡さんは商工会ができて以来非常に変わってきたというお話でありまして御同慶に存ずるのでありますが、具体的にいって、今言ったような面でどういうふうに商工会ができて以来、進とまではいかぬにしても、進んできておるか、この点を伺うと同時に、こうもしたならば零細企業というものが非常に自覚、認識もし、そうして団結力を発揮するようになるであろう、こういう妙案について村岡さんなり、あるいは山田さんなり、湯山さんなり、第一線でこれがために御努力になっておる方々に伺っておきたいと思うのであります。私は私なりに案を持ってはおりますけれども、ここでは特に申しませんで、むしろ皆さんの実際的な面で、ここまできているのだという事実と、そうして、こうもしたらほんとうに零細企業の八、九割が動いてくるのだということを伺っておきたいと思うのであります。
 それと、これはつけ足りでありますが、湯山さんに、先ほど下請代金支払い遅延の問題についてはいろいろ御意見が出ておりましたが、下請関係以外の物品を納入するというか、そういう面についての支払い遅延というのが非常に問題に一面ではなっておる、しかし、まだそれが十分に表面化しない、少なくとも下請代金支払遅延等防止法ではそれが解決できぬのだ、この点についてどういうふうに考えられ、また意見を持っておられるか、その点を承っておきたいと思います。
#108
○参考人(村岡兼吉君) そのお尋ねの第一点についてでありますが、非常に零細業者の団結ということは、むずかしい問題でございます。で、まだ商工会法ができません前に、私ある中央からの講師を招きまして、サービス講習会を開いたわけでございます。旅館の女中さんあるいは料理屋の仲居さんや、そういう方々を招いて、一応の知識を得てもらおうという意図でやったことがございます。ところが、実際に相当な金を出しまして、中央からの講師をお招きしたところが、現実に集まったのは二人きりしがなかったわけです。私たちの予想としては、二十人も集まっていただければということで考えておったのですが、実際上はそのとおりです。で、この講師の方にも何か恥ずかしいような関係になりまして、急に婦人会の会員を女中に仕立てまして、当面を糊塗した。これは商工会法ができない前の話でございますが、商工会法ができましてからも、初めのうちは、令を貸す話、金融の話、こういうことになりますと集まりますが、みずからがいろいろ内面から自分を育てていくというような問題に対しては、なかなか集まりが薄いのであります。しかし、そういうことを、それにこりずに何回も、指導員その他商工会の理事等が協力いたしまして、また商工会には総代という制度もございまして、総代を通じて理解を求めましたところ、徐々に集まるようになってきたということでございまして、やはり金融の問題と、税金を納めることについてのお話や、その他では、今でも出席率が多いという状態でございまして、非常にむずかしい問題でございますけれども、先ほどから申しますとおり、私ども、このままではやはり中小企業というものは永久に日の目を見ないのだ……。幸いに、政府のほうでも、これを取り上げて下さいまして、逐次予算もふえて参りましたし、さらにこの中小企業基本法案ができまして、われわれのよりどころができる、こういうことの外からの一つの呼びかけといいますか、そういうことによって、なお一そうの組織強化ができるのじゃないか。
 なおまた、小売商業の中には、専門店会、商店会、こういうような設立当時からの優劣の争いというような精神的なしこり、そういうものが残っておりまして、なかなかやりにくいことではありますけれども、一応われわれの置かれておる立場がどんなものであるかということをよく理解させて、団結以外に道はないのだということがわかりますれば、私は決して悲観すべきものじゃない、こういうふうに考えておるのでございます。
 いかようにしたらば第二段のこれがいいのかと申しますと、私これを明確に諸先生に申し上げる能力を持っておりませんが、先ほどから私の申し述べましたこと、これらをひとつ早急に実現していただくならば、やはり相当な成績が上がってくるものと私は考えておるわけでございます。歩積み問題にしろ、これはやかましく政府のほうでもいろいろ指導をされておるようでございますけれども、やはりこの問題が、湯山さんのおっしゃるとおり、私どもの一番の悩みとなっております。ことに相互銀行の利息というものは、日歩六銭、日歩七銭、あるいは最後になりますと十銭以上になる、こういうような計算でございます。それでもなお、零細業者は飛びつかなければならないというところに、われわれの苦しい立場があることを御了察願いたいと存ずるものであります。
#109
○参考人(山田藤太郎君) 私どもの県の中央会といたしましては、組合活動が非常に活発に行なわれておりまして、政府の金融機関を利用するというような点におきまして、最近非常に活発に動いております。
 それから、商工会のほうですが、私は直接商工会には関係はありませんけれども、最近非常に団結が強固になりまして、共済貯金ですか、これを商工会でやっておられるたびに、非常に出席率もよし、団結もいいというふうに承っております。
 それから、この商工会も、同じく県の信用保証協会を利用するというようなことが、活発に行なわれておりまして、能登方面の信用金庫あるいは加賀における信用金庫、金沢市における信用金庫というのが、だんだん取引が増大しておるように伺っております。そういう点におきまして、金融面では、国民金融公庫もいわゆる二百万円以下ですか、これを貸し出しするという方法があるのだというようなことを、中央会といたしましても、絶えず郡部方面に宣伝をいたしておるわけでございまして、これの利用が、非常に以前よりは活発になったと思うわけでございます。以上でございます。
#110
○参考人(湯山要君) 協同組合の組織をいかにするかという豊田先生のお尋ねでございます。私の経験から参りますると、私たちの協同組合の中央会というものは、国のほうで中小企業を結束せいということで、多大な予算を組んでいただきまして、御指導を願っておるわけでございます。私たちはみずからも努力いたしておりまするが、国のほうで大きな予算を組んで協同組合を作れというような御指導が願われることであれば、また、県、市もこれに多少の裏づけをいたしまして、組織の強化に協力いたしておりまするが、しかしながら、施行の面におきましては、協同組合員もアウトサイダーも、何ら変わりがないのでございます。
 この点におきまして一例をあげますならば、国に、保険公庫というものがございます。保険公庫は、ただいま、現行では、一企業七百万円、一組合一千万円という保証をするようになっておりまするが、一組合の場合は別といたしまして、一企業の場合は、組合員であろうとなかろうと、七百万円の保証ができるわけでございます。また地元の市に返りましても、市が融資をいたします場合には、組合員であろうとなかろうと、きめられたワク内で融資ができるのでございます。しかし一方では、国の予算、県の予算、市の予算を使って、組織化の御指導を受けております。これを私どもは、もう協同組合法ができまして、相当の年数がたっておりまするので、もう認識は大体深めておりまするので、組合員でなければこの恩典に浴さないというようなことをお考えになれば、組織の強化はできるのじゃないか、かように思うわけでありますが、またわれわれみずからがいよいよ組織の強化をやらなければならないということになりますれば、たとえば新興製作所の出入り小企業者が三十名おれば、これを私たちが指導して結束していくというようなこともやらなければいけませんが、何分にも小規模者というものは、みずからが働いてその日の生計を立て、重税に苦しんでおりまするので、なかなか労働組合の皆さんや農民組合の皆さんのようにスクラム組んで東京まで来るような余裕は、一番私は社会の谷間に置かれてできぬのじゃないか。みずからもそう感じておりまするので、やはり協同組合を組織化するためには、今の現行の中で使われておる保証協会の問題とか、そういうものを組合員優先と、先ほどから信用金庫または信用組合の金融のごときでも、組合員でなければ融資しないという原則論がございまするので、それで、組合員でなければ市の恩恵にもこうむらない、県のほうの恩恵にもこうむらない、また国の恩恵にもこうむらないということになれば組織化がはっきりできるのじゃないかと、午前中にちょっと傍聴しておりましたら、外国の例も引かれまして大学の先生がお話しされておりましたが、組合をきちっと作れば、かえってアウトサイドにおることによって、その人だけが利点を得るということになると、なかなか組合に入らないのでございます。あれたちが一生懸命に運動して、そしていいものができ上がったら、おれたちがひとつそのぼたもちを食おうかというような考え方の人が中小企業の中にたくさんおりますので、組合員には恩典が何があるというようなことをお考え願ったら、組織化は割合に早くいくんじゃないか。それから農民組合のように、また組織化の指導者には、任命してもらってわずかでもお手当を出してもらうと、それが何か名誉のように感じて、十二分にお世話をしていただけるというようになるんじゃないかと、私はこう感じております。
 それから下請代金の問題を先生からお聞きになったんでございますが、私こうしていただいたらいいと思うのでございます。下請代金支払遅延等防止法の適用を下請企業者のみに限定せずに、大企業と取引する一切の中小企業者に拡充をしていただいたら、私はこの問題が解決するんじゃないか、かように考えております。
#111
○委員長(赤間文三君) ほかに参考人に対しまして御質疑はありませんか。――ほかに御発言もなければ参考人に対する質疑はこの程度にとどめることにいたします。
 参考人の方にお礼をかねてごあいさつを申しますが、本日は非常にお暑いところ、また非常にお忙しいところ遠方からお集まりを賜わりまして、しかも長時間にわたりまして意見の開陳、また質疑に対するお答え等いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表しまして心から厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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