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1962/02/14 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第5号
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1962/02/14 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第5号

#1
第043回国会 外務委員会 第5号
昭和三十八年二月十四日(木曜日)
   午前十時三十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     岡崎 真一君
   理事
           井上 清一君
           長谷川 仁君
           森 元治郎君
   委員
           青柳 秀夫君
          大野木秀次郎君
           岡田 宗司君
           佐多 忠隆君
           佐藤 尚武君
           曾祢  益君
  政府委員
   外務政務次官  飯塚 定輔君
   運輸省航空局長 今井 榮文君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  説明員
   外務省条約局外
   務参事官    須之部量三君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空業務に関する日本国とアラブ連
 合共和国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出)
○航空業務に関する日本国政府とク
 ウェイト政府との間の協定の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提
 出)
   ―――――・―――――
#2
○委員長(岡崎真一君) これより本日の外務委員会を開会いたします。
 航空業務に関する日本国とアラブ連合共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府とクウェイト政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。両件につきましては、すでに委員会で提案理由の説明を聞いておりますので、本日はその補足説明を聞きたいと思います。今井航空局長。
#3
○政府委員(今井榮文君) アラブ連合とクウェイトとの航空協定の背景になります、実際の南回り欧州線の問題でございますが、御承知のように、日本航空は一昨年の六月から北回り欧州線を開設いたしまして、従来アメリカ並びに東南アジアについてのみ行なっておりました国際線業務を初めて日本のキャリアとして欧州にその路線を延ばしたわけでございますが、その後私どもといたしましては、北回り欧州線に呼応しまして、さらに南回り欧州線の開設を日本航空に開始するように指示しておったんでありますが、その間いろいろな準備もございまして、ようやく昨年十月から南回りの欧州路線を開設するということで、当時各関係国との間の協定等につきまして、外務省を中心にいたしましてその交渉を急いでおったわけでございます、現在南回り欧州線につきましては、東京を出まして、東京から香港、それからバンコック、インドのカルカッタからさらにパキスタンのカラチ、それからクウェイトに寄りまして、クウェイトからカイロ、カイロから欧州のゲートであるローマに入りまして、ローマからフランクフルト、それからロンドンに直行する、こういう路線を開設したわけでございます。その間どこへ寄航することが最も適当かという点につきましては、日航におきましても現地調査等を行なうと同時に、私どもも外務省とよく御相談をいたしまして、南回り欧州線の中間基地の選定を行なったのでございますが、現在クウェイトは御承知のように、日本の石油事業があそこに基地を持ちまして石油の採掘をいたしておりますし、滑走路の状況からいたしまして、いわゆる大型ジェットというボーイングの707あるいはダグラスDC8というような飛行機は、現在クウェイトの飛行場には着かないという状況でございまして、現在クウェイトの飛行場を使っております国際線といたしましては、イギリスのBOACのみでございます。したがって、いわゆるマーケットとして意味があるとすればももし日本が寄航いたしますれば、ほとんど現在のところではイギリスと日本だけがその中間基地として利用するという非常な利点があるわけでございます。同こうは、御承知のように南回り欧州線につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆるセクターというものが北回りと違いまして非常に短区間でございまして、したがって、当初から大型のジェットを使うことは必ずしも適当ではないという考え方からいたしまして、現在南回り欧州線につきましては、東南アジア路線に使っているのと同じ機種であるコンベアの880という中型ジェットを使っております。幸いにクウェイトにはコンベア880の機種は十分使えるということでございまして、したがって、クウェイトに寄航することをきめたわけでございます。そのクウェイトを選ぶことについては、もう少し技術的な理由がございまして、コンベアの880はカラチからカイロまで燃料の関係から直行できないというような面もございまして、中近東におけるもう一つの中間基地が必要であったという理由もあったのでございますが、現在の空港の状況を見ますと、特に欧州からクウェイトへの貨客が相当ある。それからまた日本からもクウェイトへの貨客がかなりあるということで、ほかのキャリアが就航しておらない関係もございますけれども、寄航して初めてクウェイトの意義が相当大きいということを現存感じているような状況でございます。最近の日航の態度としましては、当初は中型ジェットで南回りを開発して、適当な時期に、現在太平洋で使っております大型のDC8に置きかえるという構想でおったのでございますが、最近のクウェイトのマーケットからいたしますれば、当分の間むしろこのコンベア880で南回りをやったほうがいいというふうなことまで考えるようになって参りました。私どもとしても非常にけっこうなことであったというふうに感じている次第でございます。
 カイロは、もちろんこれは欧州に入るためのわれわれとしては当初から予定していた地点でございまして、したがって、クウェイト交渉より以前に、アラブ連合との間の交渉は妥結したような次第でございます。簡単でございますが、補足説明をいたした次第でございます。
#4
○委員長(岡崎真一君) 以上で説明を終わりましたので、両件につきまして質疑に入りたいと思います。御質疑のあります方は、順次御発言を願います。
#5
○森元治郎君 帰りの線はどこを通りますか、帰りは。
#6
○政府委員(今井榮文君) 帰りも全く同じポイントを逆に帰って参るわけでございます。
#7
○森元治郎君 帰りをベイルートを飛ぶには、このコンベア880では無理なんですか。
#8
○政府委員(今井榮文君) ベイルートを飛ぶことも、飛行機の機種としては全然問題はありません。ただ、現在のところ週二便の計画で運航いたしておりまして、週二便の路線計画がクウェイトからカイロ、カイロからローマ、こういう路線で行っております。ベイルートへ寄航するということは私ども考えてはおりますが、これは将来増便する場合、それからそのためにはまた新たな交渉をやらなければならないという問題があるわけでございます。
#9
○岡田宗司君 日航の国際路線は赤字が多いわけですが、ことに南回りですね、南回りが開かれてまだわずかなんですけれども、その状況と今までの状況、それから将来の見通しですね、それをお伺いしたい。
#10
○政府委員(今井榮文君) 南回り欧州線につきましては、今、先生の御指摘のように、非常に競争が激甚でございまして、日本航空としても一定期間はやはり赤字を覚悟してやらなければならないということで出発いたしております。現在のところ、大体半年に約七、八億の赤字が出るのではないかというふうな計算でおりますが、三年間これをやっておれば完全にペイするラインに到達する、こういう目算でやっております。現在のところでは、大体当初予定したよりはやや状況としてはいいんではないか。しかし、もちろん採算がとれるという状況ではございません。
#11
○岡田宗司君 先ほど、将来増便したならばということですが、今のその路線の状況からいいまして、将来の増強の可能性はどれくらい先になるのですか。三年たって黒字になってからあと、こういうことになりますか。
#12
○政府委員(今井榮文君) 国際線につきましても、国内線につきましても、同様のことが言えるのでございますが、ある特定のエア・ラインの特定の路線における便数というものは、比較的多いほど客がつきやすいということにもなりまして、かりに現在週一便というふうな運行をやっておるとすれば、現在もっと悪い利用率になるということで、日航が南回りをさらに増便するという、現在までまだ具体計画は持っておりませんが、少なくとも二年あるいは三年の間には南回り欧州線を一便増便したいと、かように考えております。
#13
○森元治郎君 日本人の乗客は日本の飛行機に乗るのが多いのか、外国のを利用するのが多いのか、利用はどういうふうになっておりますか。
#14
○政府委員(今井榮文君) 各路線についての詳しい詳細な資料は今持ち合わせておりませんが……
#15
○森元治郎君 南回りでいい。
#16
○政府委員(今井榮文君) 現在全般的に、国際路線において日本人旅客が日本航空の飛行機を利用する率は、大体日本人の海外へ旅行する方々の六割ないし七割というふうに私どもは計算いたしております。
#17
○佐多忠隆君 この日本航空の北回りと南回りを比較して、終点に到着するまでの所要時間、それから航空運賃、そういうものはどういう工合になっておりますか。
#18
○政府委員(今井榮文君) 所要時間は、私も正確な資料は今ここに持ち合わせておりませんが、大体北回りでロンドンに――北回りは、御承知のように、東京からアンカレッジを経由しまして、コペンハーゲンからロンドンに入り、それからパリに行く、こういうルートになっておりまして、ロンドンまでの所要時間が大体十七、八時間ということでございますが、南側りは中間地点が非常に多うございまして、二十四、五時間かかっておるというふうに記憶いたしております。
 それから、なお運賃につきましては、国際民間航空の運送者の会議、IATAという会議で決定がすでにできまして、南回りでも北回りでも、同一地点へ行く場合には原則として同一という建前がとられておりますので、したがって、運賃については必ずしも今言ったようなケースの場合には、そうたいした差はないというふうに考えております。
 それから、なお正確な運賃は、東京からロンドンまでは、一等が、日本円に換算いたしまして七十二万九千四百八十円、こういうことになっております。したがいまして、北から回る場合でも、あるいは南からロンドンに行く場合でも、同一の運賃が適用になっておるというのが現状でございます。
#19
○森元治郎君 これは片道ですか。一等……。
#20
○政府委員(今井榮文君) 一等でございます。エコノミーは四十三万九千百五十円でございます。
#21
○佐多忠隆君 片道ですか。
#22
○政府委員(今井榮文君) 往復でございます。
#23
○森元治郎君 私は飛行機に乗るとき、飛行機は専門家のつもりだが、イギリスの飛行機は乗っていて非常に操縦士なんか信頼感が多いんだな。日本は、あぶないわけではないが、そこで日本はどういう宣伝をしておるのか、イギリス人はBOACばかり乗るようで、日本の飛行機をうんと使わせるためには、サービスがいいのか、着物がいいのか、シュアーなのか、安いのか。安いというのは、運賃は同じだそうだから別として、どういうふうな宣伝でやっておるんですか。
#24
○政府委員(今井榮文君) 日航のセールスのほうの重点は、日本的なサービスということに非常に強い重点を置いておるようでございます。ただ、操縦士の技量等の問題につきましては、日本航空の操縦士は非常にすぐれておるというふうなことを言われておりますし、実際にそういうふうな信頼感を持たれておるんじゃないかと思うのです。
#25
○森元治郎君 日本的サービス、それは何をやるのか。いろいろなとんでもないサービスもある、日本的サービスとは……。
#26
○政府委員(今井榮文君) 先生もお乗りになってお感じになると思いますけれども、やはり一つの雰囲気といいますか、機体の中のいろいろな装飾等に関しましても、日本的な一つの雰囲気を出すような、まあ内壁の装飾にしましても、飛行機の一番前についておりますロビーのいろいろな雰囲気にしましても、そういったものと、それからホステスの和服にするサービスであるとか、それから、一般に言われておりますのは、比較的日本のはサービスが過剰ではないかというふうに言っておられる方もあるようですが、日航は統計的にいうと、やはりある程度の日本的な親切なサービスがいいのだということを言っておるようでございますが、たとえば寝ている間に、知らない間にひざへ毛布をかけてくれるとかいうふうなこまかいあれですね、そういうようなこととか、いろいろ日本人だけが持っておるような、そういうふうな雰囲気があると思うのです。それ以外に食事等についても十分気をつけておるようでございます。
#27
○森元治郎君 どうも私はしつこいと思うのですね。もう少しゆるめたらいいんじゃないかと思う。ああいうことはやめたほうがいいんではないかと思う。人数をふやすことと、中型でかせぐという方法もありますが、早さということもやはり大事なことで、そういう点も何か特色を出さないと、ムードばっかりでは特色にならぬから、銀座のバーの延長みたいなことになっても……。(笑声)だから、もっと頭を使って外貨を獲得する。実質的にも運航上にも、サービスでも、特段のやはり特徴を作らなくちゃ、いつまでたっても赤字が抜けないと思うのだがね。もう少し日航を鞭撻しないとたるんでいると思うのだな。
#28
○政府委員(今井榮文君) おっしゃるとおりの面があると思いますが、まあ一番やはりサービスというのは、定時に飛行機が出る、それから定時に飛行機が帰ってくるということがサービスの最大の問題であると思います。それには飛行機のメインテナンスあるいは各飛行場における修理施設、あるいは修理のための整備要員というふうな面に重点を置いて整備していかなければならぬと思いますが、そういった面では、先ほど御指摘がございましたように、BOACその他については、なかなかりっぱな運航をしておる会社も相当あると思いますが、日航につきましては、まあその点についてまだ多少努力を要する点があるんじゃないかと思いますが、逐次改善されていくんじゃないかと思います。それから、なおスピードの点につきましては、現在使用いたしておりますコンベアの880型のスピードは、ダグラスのDC8あるいはボーイングの707という飛行機に比べておそい飛行機ではございません。むしろDC8よりは多少スピードが早いんじゃないか、そういうふうに考えております。
#29
○森元治郎君 無事故ということは大きなスローガンになるんじゃないかと思うのですが、私はBOACを宣伝するわけじゃないけれども、ちょっと工合が悪かったときには断じてとまって、そして十時間も十二時間もかけてしっかり直すという、あれはやっぱりイギリス人はだいしたものだと思う。乗りかえの人があってもかまわない、確実に行く。自分のほうで昔コメットか何かおっことした経験からでしょうがね。日航は絶対無事故だということで鞭撻していけば、お客さんもついてくるんじゃないかと思います。命が一番大事だからね、金もうけより。
#30
○政府委員(今井榮文君) おっしゃる点、全くそのとおりでございまして、むしろ私が申し上げたかったのは、日航はそういう点で最も注意を払っておるということでございます。お言葉もございますので、今後ともそういう点については強く指導していきたいと思います。
#31
○岡田宗司君 これから貿易その他でアラビア諸国との関係というものがだんだん密接になって、人の往復も多くなる。大体アラビア諸国へ入るには、ベイルートが一番便利でございます。ベイルートへ寄らないで、クウェイトを寄航地にしていますが、クウェイトからほかのアラビア諸国へは連絡は非常にいいですか。
#32
○政府委員(今井榮文君) クウェイトの航空会社がございまして、中近東間につきましては、アラブ連合の飛行機も入ってきております。それからまたクウェイトの飛行機も行くということで、ローカル的には相当便利になっていると思います。かりに日本の飛行機がクウェイトからあるいはベイルートに行くとか、あるいはダーランに行くということになりますと、アラブ連合の内部で多少の制限といいますか、そういったものをこうむるというふうなことも考えられるわけであります。現在はローカル的には便利になっているというふうに聞いております。
#33
○岡田宗司君 カイロからアフリカ諸国に入るわけですが、この日航を利用してカイロからアフリカへ行くという人は、乗客は相当多いわけですか。
#34
○政府委員(今井榮文君) 現在あまりないと思います。
#35
○岡田宗司君 それはBOACを使っているのですか、そういう人たちは。アフリカ方面へ行く人たちは。
#36
○政府委員(今井榮文君) これは私はアフリカ内部の航空機の運航状況を詳しく存じておらないのですけれども、フランスであるとか、あるいはイギリスであるとか、あるいはエチオピアのナショナル・キャリアであるとかいうふうな各国のキャリアが現存カイロに三十数カ国が入っているようでございますから、アフリカ内部はやはりそういった面でそれぞれの政府からトラフィック・ライトを得た国際線の航空機が運航しているのじゃないかと思います。
#37
○岡田宗司君 そうでなくて、日本からアフリカ諸国に行く人は大体どの飛行機を一番よけい使っているか。BOACをよけい使っているか、あるいはエール・フランスを使っているか。エール・フランスは日航と提携しているわけだけれども。
#38
○政府委員(今井榮文君) その点詳しい知識を実は持っておらないので、調査をしてまたお答えいたしたいと思います。
#39
○佐多忠隆君 この両協定を結ぶにあたって、両国間で問題になった点はどこですか。何か意見が相当違って、歩み寄りに困難をしたとか……。
#40
○説明員(須之部量三君) 一番大きな問題になりましたのは、結局附表がございますが、附表で、アラブ連合との間はカイロから先の航空権をどうするかという問題、それからクウェイトの場合も同じように、クウェイトの国境をどうするかという附表の路線の問題が一番大きな問題でございます。ほかに、たとえば関税の免除等につきまして、片っ方は免除と書き、クウェイトのほうは最恵国待遇を与えるとある。内容は同じでございますが、表現が違ったところがございます。これはそれぞれの国の今まで結びました航空協定の型なり、あるいは考え方に基づくものでございますが、実際上一番大きな問題は附表の問題でございます。
#41
○佐多忠隆君 附表の内容がどういうふうに問題だったのですか。
#42
○説明員(須之部量三君) たとえばアラブ連合との間の路線、附表をごらんいただきますと、ここに「注」がございますが、その「1」の「日本国の指定航空企業が両方向に運営する路線」ということで、「注」として「クウェイト−カイロ、カイロ−アテネ、」それから「カイロ−ローマ、カイロ−フランクフルト・アム・マイン及びカイロ−パリの区間については、運輸権を行使することができない。ただし、カイロ−パリの区間については、アラブ連合共和国の指定航空企業がパリへの業務を運営しない限り、運輸権を行使することができる。」というふうに書いてあります。つまり、一方それに見合いまして、「2」のほうに「アラブ連合共和国の指定航空企業が両方向に運営する路線」というのは、東京どまりになっているわけでございます。こちらのほうは東京どまりになっているということで、向こうのほうでも、カイロからヨーロッパ向けの、東京から見てカイロ以遠については、アラブ連合のほうの航空企業の利害関係もあるので、日航に遠慮してほしいという点が問題になっているわけでございます。
#43
○佐藤尚武君 今の質問に関連しますが、たとえばクウェイトとの協定で、日本の飛行機がクウェイトからフランクフルト・アム・マイン、パリを経由してロンドンに行くことになっているようですが、ただしクウェイトからフランクフルト、もしくはクウェイトとロンドンとの間の航路を開始するということになれば、日本の路線は「自動的に消滅する」となっている。これは一体どういうことなんです。よくわからないのですが、消滅した場合には、また別に新たに協定するとかなんとかいうことが書いてあるようですけれども。
#44
○説明員(須之部量三君) これは自動的に消滅すると申しますか、向こうが始めるまではこちらの運輸権が存在するというわけでございますから、これが自動的に消滅したあとどうなるか、これはちょうどアラブ連合との間で一定の区間の路線権をこっちが認めていないのと同じ条件になるわけでございます。
#45
○佐藤尚武君 「自動的に消滅する」ということは、たとえばクウェイト−フランクフルトもしくはクウェイトとロンドンとの間に日航が飛行機を飛ばせられないということになるのですか。
#46
○説明員(須之部量三君) 運輸権の消滅は飛行機が飛べなくなるということではございません。つまり、クウェイトからフランクフルトまで行くお客さんを、クウェイトからフランクフルトに運べないということでございます、つまり、東京からフランクフルトに行くお客さん、これはもちろんかまわないが、ただクウェイトからフランクフルトに行くお客さんをクウェイトで乗せられなくなるというだけのことでございます。飛行機そのものはもちろん飛べるわけでございます。運輸権という言葉は、飛行機が飛べないということじゃございませんで、お客や荷物を運ぶ権利がなくなるという意味でございます。
#47
○森元治郎君 ソ連との話はどの辺でストップしているのか、その辺のことと相互乗り入れの話。それから、韓国とどういうふうになるのか。
#48
○説明員(須之部量三君) ソ連との間の話が、従来ハバロフスク−東京、あるいはモスクワ−東京が問題になっていることは御存じのとおりでございますが、それと同時に、先方のほうでモスクワ−ハバロフスク間を、日航の名前であるけれども向こうの飛行機を使い、そのかわりホステスやなんかサービスの面は日本を使うということはどうだという案もあるわけでございますが、しかし、その案自体を考えてみるにしましても、まだ技術的に非常に調査する必要がございますので、むしろその技術的な面について専門家の打ち合わせを行なったらどうだろうかというふうなラインで目下検討しているところでございます。
#49
○森元治郎君 それじゃ話がだいぶ煮詰まったじゃない。技術的ということはこまかいことだからね。
#50
○説明員(須之部量三君) 煮詰まったと申しますか、まだ技術的に全然わからない状況がございますので、その点を専門家の人同士で、つまり両方とも立場をどうこうするということではなしに、専門家同士で話し合いをしてほしい、しようということにするようなラインで検討しているという状況でございます。
#51
○森元治郎君 何か、だれかやっちゃいけないよという声が裏のほうにあるような感じだが、日ソ間でそういうふうな話し合いになってきて、それでこれから技術的な会合をやるのかやらぬのか、受けるか受けないか。それは一体政府は考えておるのですか。
#52
○説明員(須之部量三君) 結局その専門家同士、それはもちろん日ソ間の専門家同士の話し合いでございます。シベリアの気象状況とか、私の了解しておりますところでは、飛行場の状況とか、まだまだ技術的にわからない点があるので、その点をまず明らかにしたいということの話を進めたいという今方向であろうと思います。
#53
○森元治郎君 あなたの話には、条約局の人らしくなく、サブジェクトがないのだね、話に。サブジェクトがない話は何度聞いてもわからぬ。だれが、ソ連が、日本がと、それをはっきりして下さい。
#54
○説明員(須之部量三君) ソ連と日本の、直接当たります航空企業の専門家が、相互に技術的な点について話し合いをするような機会を持とう、作ろうということでございます。
#55
○森元治郎君 当事者間で、そういう両方の当事者が話そうということに話がついたのですね。そこで、いつ動き出すのですか。
#56
○説明員(須之部量三君) 私今その話を、ついたとまではちょっとまだ申し上げていないわけでございます。その話は、専門家同士の話し合いが行なわれるような方向で検討しようということでございます。
#57
○森元治郎君 航空局長ひとつ。むずかしい条約の話はわからぬから。
#58
○政府委員(今井榮文君) 補足的に御説明いたしますが、外務省といろいろ打ち合わせいたしておりまして、今次長がお話しいたしましたように、ソ連と日本の航空企業相互の間で、はたしてそういったような路線が国際路線として十分効果を発揮し得るものであるかどうかという点について、たとえば気象条件であるとか、あるいはまた保安施設の面であるとか、あるいは接客または飛行機内における各般のサービスというふうな面について、はたして十分な施設、機能を持っているかどうかという点についてまず調査する必要があるのではないかということで、日本航空と、それからソ連のアエロフロートとが、技術的に専門的に調査をし合うというふうな段階まで来ているように思います。これにつきましては、そういった専門的に調査するという点につきましては、外務省のほうでも大体そういったふうな線をお考えになっておられるのではないかというふうに考えております。
#59
○森元治郎君 そうすると、モスクワ−東京間の航空路の開設という根本問題の解決は、ちょっと別になっているわけだ、今のところ。そうして、ただ日航の飛行機をモスクワからハバロフスクまでは使っておいて、そうして航空路はハバロフスク−東京間というのがソ連側の考えですか。モスクワ−東京は許さぬで、ハバロフスク−東京は許す。ただしモスクワと東京の間は日航の飛行機を使う。
#60
○政府委員(今井榮文君) 先ほど次長が御説明申し上げました点につきましては、わが方としては、従来から相互の首都乗り入れという線は堅持いたしているわけでございます。ただソ連側は、現在のところシベリアに国際路線がないために、他国機を飛ばすことはできないということを主張いたしているわけでございます。これにつきまして、一つの妥協的な考え方と申しますが、日航の名前においてハバロフスクからモスクワへ飛ぶという点については、これはまあ表現の問題はいろいろあると思いますが、私も正確には記憶いたしておりませんが、そういうふうな面については認めよう。そのかわり現在は路線がないのだから、その間は、国際路線が設定されるまでは、ソ連機を日航がチャーターして、したがって、ソ連磯の乗務員の中でコックピット・クルーといいますか、操縦、通信等の乗務員はソ連人を乗せ、それからキャビン・クルーといいますか、パーサーであるとか、あるいはまたホステスであるというふうなものは日本人を乗せ、日航の名前で運航するというふうなことではどうだろうという話がソ連側からも出ておるように聞いております。これに対して、わがほうとしても、そういう形ではたして運航が相互の間に協定が締結ができるかどうかということは、これは将来の問題であろうと思います。両国間の交渉の結果によっては、そういった行き方ではいかぬというふうなことになるかもわかりませんけれども、しかしながら、何にしてもそういう交渉をする意義があるのかどうかというのが一番問題だろうと思います。それには、現在欧州に入るには北回り欧州線、南回り欧州線というのがございまして、北回り欧州線につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、ロンドンへ約十八時間ということで現在運航が行なわれておるわけでございます。したがって、モスクワを経由して欧州へ行くということについて、距離的にはなるほど短いけれども、路線の状況がはたして十分そういうふうな価値があり意義のあるものであるかどうかということについて、技術的、専門的な調査が先行しなければならない。したがって、そういうものをよく調べた結果、現在の状況ではとても国際路線として接客サービス、あるいは貨物、郵便物のサービスなり、あるいはまた保安施設そのものについてのわれわれとソ連との違いというふうなものから、国際路線としてすぐ十分には運営できないということになれば、また話は別ではないかということで、まず、とにかく専門的な問題をこの際十分下調査する必要があるというのが現在の段階ではないかと思います。したがって、これによって政府間交渉が始まるのだとかなんとかいうことではないように私どもは了解しております。
#61
○森元治郎君 気象状況的に、シベリヤの気象状況はそんなに大きな変化があるとは思えない。それはバイカルの湖から興安嶺にかけては若干ありますが、あれから中央モスクワにかけてはほとんど困難な気象条件はないと思われるが、問題はあそこを飛行機が飛ぶようになると、やはり北回り、南回りの日本及び外国の航空会社がお客さんを取られるのではないか、利用度が多くなるのではないか、そういうことから、みんな手を出したがらない、日本も出したがらないんじゃないかという疑いを持つのですが、あそこを通過してモスクワ経由でロンドンへ飛んだときは、飛行時間、したがって、旅客運賃もよほど安くなるんじゃないか。そんな点についてお話を願いたい。
#62
○政府委員(今井榮文君) 先ほど先生が気象条件の問題を取り上げられましたけれども、そういったことを実は十分に調査しなければならない点があるわけであります。運賃につきましては、IATAとも非常にむずかしい問題が起こってくるんじゃないか。先ほども御説明申し上げましたように、IATAの加盟キャリアの間では、同一地点に行く場合は、距離の遠近を問わず同一運賃というような制度が設定されておりまして、したがって、そういったものをかりに開いた場合に、その運賃をどういうふうにきめていくかという非常にむずかしい問題があると思います。それから、ソ連そのものは現在国際民間航空機関には加盟しておらない事情もございまして、したがって、先ほどちょっと申し上げましたように、保安施設その他の面において全然違っておるように伺っておりますが、そういった面ではたして通信系の設定その他について十分な措置がとられるかどうかという問題があるわけでございます。
#63
○佐多忠隆君 今の問題で、私が数年前にフルシチョフ、ミコヤンとこの問題を話したときには、互恵平等の立場からいって、航空路はハバロフスク−東京間を両国でやるということがちょうど互恵平等になるので、さらにモスクワまでということになると、ソ連領を飛ぶ日本側の距離が非常に長くなる、これは平等互恵に反する。したがって、この間だけ、ハバロフスクと東京との間だけをやろうじゃないか、こういうことを言っていましたが、そういう航空路開設にあたって、そういう平等の原則というようなものがほかの国との場合にもあるのかどうか。それから、ハバロフスク−東京間であったら、あすにでも相互乗り入れをやることはちっとも差しつかえないとソ連側は言っておりますが、それが現に問題になっていないのは、ただ単に技術的な調査が不十分だということからなのか、もっと政治的にいって日本がそれを了承しがたいというのか、その辺の事情はどうなんですか。
#64
○政府委員(今井榮文君) 先ほども申し上げましたように、私どもはソ連との間の航空協定の締結につきましては、東京−モスクワ間の相互乗り入れという線を現在でも堅持いたしているわけでございまして、今先生のおっしゃったハバロフスク−東京というもので平等ではないかという、もしそういう考え方がソ連側にありとすれば、実質的には私どもは非常に違った考え方を持っているわけでございます。先ほど森先生からも御指摘がございましたように、現在北回り欧州線につきましては、スカンジナヴィアの航空会社と、それからオランダのKLMとエール・フランスと日本航空と四社が欧州との現在の最短路線を運営しているわけでございまして、かりにシベリア経由モスクワ、モスクワ経由欧州線というものが、先ほどのような調査の結果十分に意義があり価値があるものだということになりますれば、これは北回りに相当に影響を与える問題だと思います。ところが、その非常に重要な路線というものの実権をほとんどソ連側が掌握するという形になるわけでございまして、いわば比喩的に申し上げれば、日本は単にわれわれの首都である東京から向こうのいわば足の裏というふうな程度のところにまでしか飛行機を持っていけない。しかも、その長大路線のほとんど大部分はソ連側の航空企業によって運営されるということになりまして、要するに、そういったような意義があるとすれば、そういう意義のある非常に大きな路線というものの実質上の運営のイニシアチブというものをソ連の航空企業がとってしまうことになるという点について、これはわれわれとしては十分航空権益という観点から考えていかなければならない。したがって、ソ連領を非常に長く飛ぶということはありますけれども、首都相互間で相互に乗り入れるという建前はあくまでも堅持していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
#65
○岡田宗司君 それでは、その建前を堅持するなら、アメリカに対してニューヨーク、ワシントンにこっちのやつの乗り入れを要求しなくちゃならぬことになりますね。それはどうなりますか。
#66
○政府委員(今井榮文君) これにつきましては、一昨年夏私自身がワシントンに交渉に参ったのでありますが、交渉の当時の結論といたしましては、日本機のニューヨーク乗り入れは認めるという線がすでに出ているわけでございます。ただ、日本側が東京−ニューヨークの運営を一応受け入れずに交渉を中絶して帰って参りました理由は、さらにニューヨークを越えて欧州まで、つまり、ニューヨーク・ビヨンドの運輸権を要求しておりましたのに対してアメリカ側が、ニューヨークどまりという主張を強く堅持しておりましたので、一応交渉をさらに将来継続しようということで別れてきたわけでございまして、現在日本と米国との間におきましても、米国側としましては、ニューヨークまでなら入ってきてもよろしいというところまで折れてきておるわけであります。したがいまして、今言った点からすれば、かりにその線で妥結するとすれば、日航は直ちにニューヨークまで乗り入れができるということでございます。
#67
○岡田宗司君 その話を聞いておりますと、ますますおかしいわけですね。PAAでも何でも、みんな日本から先までどんどん行っている。しかも、非常に回数が多いのです。だから、これもニューヨークまで乗り入れを認められてもこれは互恵平等でないわけです。これは占領時代からのなにがある、既得権に基づいているのだといえばそれまでですけれども、しかし、やはり片方に対して強く主張するなら、片方に対しても同じように強く主張するべきだと思うのですがね。
#68
○曾祢益君 その点ですがね、逆にアメリカのほうからいって、アメリカ大陸を向こうの大西洋を通って太平洋に来るBOACだけは認めているのじゃないですか、大陸を通って。だから、たとえば日本がこっちの太平洋岸から大陸を越えてそうしてこの大西洋でヨーロッパへ行くということを要求したわけでしょう。ニューヨーク以遠のヨーロッパ航路まで要求したわけでしょう。それに対してアメリカは、その当時は賛成しなかった。逆に言うと、BOACに対しては何と言うか、何回りか、西だか東だかわからなくなっちゃったが、大西洋を越えて、あるいは大陸をスルーしてそれで太平洋に来るやつはBOACに対しては認めているのでしょう。
#69
○政府委員(今井榮文君) おっしゃいますとおり、BOACはその権利を持っております。
#70
○曾祢益君 それは、それとのあれはどういう関係になるのですか。日本のやつは認めない。BOACのやつはアメリカは認めたというのは、どういうわけですか。
#71
○政府委員(今井榮文君) 私どもは交渉に際しまして、やはり今曾祢先生の御指摘のような面も強くアメリカ側に対しては要求いたしたのでございます。アメリカが大西洋についての権利をその当時の会議で認めるに至らなかった向こう側の理由としては、大西洋の市況が非常に悪い。しかも非常なジェットになって供給力過剰で、アメリカ自体のキャリアが現に困っておる。当時の統計によりますと、ほとんど全体のロード・ファクター、つまり利用率が四割台に転落しておるというふうな状況でございまして、したがって、日本航空が現在大西洋に進出するという点については、なかなかアメリカとしてまだ踏み切れないんだということでございます。で、私どもとしては、先ほど岡田先生からもお話がございましたように、パン・アメリカンは現在東京を越えるビヨンドの権利をエンジョイしておるわけでございます。そういったことについても均衡がとれないという点については強く主張をいたしたわけでございます。こういった交渉については、今後ともさらに機会を得て、近い将来また再開いたしたい、かように考えております。
#72
○佐多忠隆君 さっきちょっと問題になったんですが、中国との間の航空路開設の問題あるいは韓国との間の問題、それはどういうことになりますか。
#73
○政府委員(今井榮文君) 韓国との関係につきましては、日本航空の立場では、非常に強く東京−京城線の開設を希望いたしておるわけでございます。現在東京−京城間につきましては、韓国キャリアも日本のキャリアも全然就航いたしておりません。ノース・ウエスト、それから台湾政府のキャット、この二社だけが就航しておるという状況でございます。客は相当あるようでございます。で、私どもとしても、当然これは日韓両国のキャリアがこの両国の間の国際航空についてはまずプライオリティを持つべきではないかというふうな考え方を持ちつつ参ったのでございますが、日本航空は最近韓国の新しいナショナル・キャリアである大韓航空公社というところと会社ベースでいろいろ具体的に交渉をいたしておるという状況でございまして、私どももでき得れば国交が正常化した後においてすみやかに政府間の協定を結んでいただきたい、かように考えております。
#74
○佐多忠隆君 中国は。
#75
○政府委員(今井榮文君) 中国につきましては、現在航路開設についての計画はございません。
#76
○佐藤尚武君 もう一点、小さい点について。東京から北極回りでロンドンへ行くのと、東京からシベリアを経由して行くのと、距離の上からいって、大ざっぱに言ってどれくらいの違いがあるんですか。
#77
○政府委員(今井榮文君) ちょっと今距離の数字を持っておりませんが、時間でいいますと、もしあらゆる施設が同じ状態であるという仮定をいたしますれば、大体モスクワまで十二時間くらいで行けるのではないかというようなふうに聞いております。正確な数字はまた調査した上で御報告いたしたいと思います。
#78
○委員長(岡崎真一君) 他に御質問もないようでございますので、本件の質疑は、本日はこの程度でとどめたいと思います。本日は、これをもって散会いたします。
   午前十一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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