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1962/02/28 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第9号
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1962/02/28 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第9号

#1
第043回国会 外務委員会 第9号
昭和三十八年二月二十八日(木曜日)
   午前十時三十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   理事
           井上 清一君
           長谷川 仁君
           森 元治郎君
   委員
          大野木秀次郎君
           杉原 荒太君
           山本 利壽君
           岡田 宗司君
           加藤シズエ君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           石田 次男君
           曾祢  益君
  国務大臣
   外 務 大 臣 大平 正芳君
  政府委員
   外務政務次官  飯塚 定輔君
   外務省アジア局
   長       後宮 虎郎君
   外務省条約局長 中川  融君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (当面の国際情勢に関する件)
○国際連合の特権及び免除に関する条
 約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出)
○専門機関の特権及び免除に関する条
 約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出)
○国際原子力機関の特権及び免除に関
 する協定の締結について承認を求め
 るの件(内閣提出)
○国際地震工学研修所を設立するため
 の国際連合特別基金の援助に関する
 日本国政府と特別基金との間の協定
 の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出)
  ―――――――――――――
  〔理事井上清一君委員長席に着く〕
#2
○理事(井上清一君) ただいまより外務委員会を開会いたします。
 まず、国際情勢等に関する調査を議題といたします。外務大臣が出席しておられますので、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○岡田宗司君 昨日、私が本会議におきまして日韓問題の前途について質問いたしました。その際に総理大臣から答弁がございまして、次いで外務大臣の答弁があったのですが、私が質問の中でもって、これはまあ一つの例でありまして、民社党の西尾委員長が、昨年の十一月には、みずから韓国に行ってでも会談の妥結を促進したい、こういう考えでした。ところがその西尾氏が、最近の韓国の政情の変動ということから、日韓会談を今続けることは適当でない、こうお考えになったと見えて、池田総理にお目にかかられたときに、それを一時中止するように話をした。また、民社党から文書をもってもそのことを申し入れております。ところが、首相はこれについて私に対して、西尾氏が中止もしくは停止を申し入れたということはないのだ、それは慎重にやれと言っただけなんだ、こういうことだったのです。ところが、その回答に対しまして民社党のほうでは、これは間違っている、やはりちゃんと中止を申し入れたのだ、こういうことを言われておる。これは外務大臣にお聞きするのはあるいは筋じゃないと思います。もちろん、総理大臣の言われた答弁ですから、総理に質問するのが当然だと思うのでありますけれども、少くとも一党の執行委員長である西尾氏が、あるいはまた民社党が、公式に総理にその中止方を申し入れたとすれば、一心同体というふうに見られておる、そして所管の大臣である外務大臣が、そのことはお知りにならないはずはないと思います。どうして首相はそういうふうに西尾氏の言われたことをひん曲げてお答えになったのか、これを私はお伺いしたい。
#4
○曾祢益君 議事進行。ただいま岡田君から、私どもの民社党の委員長と総理との会談に関する重要な事項について言及されたので、むろん質疑応答を岡田委員と外務大臣と続けてやっていただいてけっこうなんでございますが、外務大臣が答えられる前に、同僚委員の中に、民社党の言っていることの真意がもし伝わっていない、あるいは若干でも誤解があってはならないと思いますから、その点を明らかにして、その理解の上に立っての今後お答えになるならばけっこうでございますからやって下さい。
 そこで、私どもが委員長を通じて総理に申し上げたことの正確な意味ということが明らかでないといけませんので申し上げますが、われわれは基本的にはこの日韓会談は進めるべきである、そうして懸案の一括解決、それから韓国の民主化、この二つの内容を含んだ国交調整ができればけっこうであるから、それに努力する、ただし最近の朴議長の政界不出馬、大統領不出馬、あるいは金鍾泌氏の政界引退等の事態にかんがみて、日韓会談については、次の二つのことがはっきりするまで政治的な折衝はこれを一時停止し、しばらく事態の推移を見守るべきであるということを申し入れたわけであります。その二つの条件とは、先ほど申し上げました懸案の一括解決、もう一つの条件は、いずれ民政移管が目睫の間に迫っているわけでありまするが、民政移管後、要するに、かりに軍政中に何かやった場合にも、それが民政移管後守られる、そういう保証がある。この二つの見通しがつくまでは政治折衝は、今申し上げたように、一時これを停止し、事態の推移を静観すべきである、こういうふうに申し入れたわけであります。したがって、これを正確な表現にしませんと、今岡田君のお話を聞いておっても、今続けることは適当でない、あるいは一時中止するように、こういう申し入れをされたやにお話がありましたが、これは非常に重大なことでございまして、私どもは日韓の交渉を打ち切るべしというようなことは毛頭申しておりません。この段階において打ち切りということは不適当であります。だから、中止という言葉も、中断という言葉も、中絶という言葉も使っておりませんので、この点は明確にしておきたいと思う。ただ、たいへんに岡田委員には申しわけないのは、私自身がきのう出張しておりまして、岡田委員の本会議における御質問と、それに対する池田総理の答弁を聞いておりませんでしたので、岡田委員の質問に対する池田総理の答弁が、もし今申し上げたような西尾委員長の真意を十分に伝えないような、あるいは誤解を招く、あるいは舌足らずであったならば、これは速記録を調べた上に適宜訂正方の申し入れを総理大臣に申し上げようと思っております。これはまだ見ておりませんので、ただ、われわれがそう申し上げても、総理大臣の考えが、続けるということであるならば、これは総理の判断で、それはわれわれが政治的によしあしを論議すればいい。われわれの申し上げたことが、池田総理の口によってもし曲げられておるようなことがあったら、われわれがこれは訂正を申し入れる、こういうつもりでおりますので、この点だけ、訂正というか、問題を明らかにしておく意味で発言をさしていただいたわけであります。
#5
○国務大臣(大平正芳君) お尋ねの会談には私は同席いたしておりません。それから、その会談につきまして、総理大臣から私に内容につきましてお話を伺ったことはございません。ただ、私といたしましては、きのう、やめるということじゃなく、慎重にやれという御趣旨のものと思っておるという、総理大臣がお答えになられました意味は、民社党の委員長の申し入れをそのように受け取ったという感じをお出しになっておったと思うのでございます。
#6
○岡田宗司君 同席をされなかったのは、いろいろな都合でやむを得なかったと思いますが、その話が全然首相のほうからあなたのほうに通じておらないということは、私はどうもふに落ちない点がある。と申しますのは、少なくとも民社党が、しかも民社党の一党の執行委員長が、わざわざ池田さんと会われてそれを申し入れておるわけであります。したがって、主管大臣にそのことが伝わっていないということは、これは首相としても私は手落ちであったのじゃないかと思うのです。それはまあさておきまして、私がお伺いしたいのは、なぜ私がその民社党の委員長の申し入れをあの際に持ち出したかということから始まったので、というのは、朴政権が動揺して、そうして今日のような事態になった。国民は日韓会談の進め方について、やはり非常に関心を持っておる人が多い。そうして韓国の情勢が新聞に刻々伝えられて、韓国は非常に政治的に動揺しているじゃないか、こういうときに今の日韓会談を進めるということは不適当じゃないか、一時中止したらいいじゃないか。私どもとはまたもちろん理由が違いましても、そういうような声がだんだん強くなってきておるわけです。そこで、西尾さんは積極的に進めるという論者であり、みずから乗り込もうというほどの熱意を示された方が、とにかく韓国の政治情勢が今日のような状況だから、これは一時政治折衝はやめたらいいじゃないかということを申し入れたということは、私は、日本の国民の中に動いておる日韓会談に対する世論のやはり一つの現われであると思う。それを軽くあしらわれて、つまり、民社党からそういう申し入れがあったことに対して非常に軽くあしらわれて、つまり、民社党の申し入れをあまり尊重しないどころじゃない、歯牙にもかけなかった。それだからあなたのほうに伝えなかったんじゃないか。つまり、民社党はなめられておったわけなんであります。今私が申しましたように、西尾さんでさえそういうふうに変化したということは、これはやはり日韓会談に対する国民の世論というものが変化を示しておることの大きな例だと、こういうふうに思っています。ですから私は、そういう積極論者でさえ、今とにかくこういう情勢で一時政治折衝をやめよ、こういうことを言われるようになったんだから、まあ総理もひとつこの際やめたらどうか、こういうことを私はお伺いしたわけなんです。この点、つまり国民の世論が日韓会談に対して変わりつつあるということについて、外相はどういうふうに認識されておるか、それをお伺いしたいと思います。
#7
○曾祢益君 議事進行。私はもうこれ以上あまり申し上げるつもりはなかったんですけれども、同僚岡田委員が非常に断定的にわれわれの委員長の意図なり行動をおっしゃいますので、これもやはり訂正しておく必要があろうかと思うので申し上げます。これは笑いごとではありません。やはりそういう点は、御批判は別の機会にやるのはけっこうですけれども、これはやっぱり正確でないといけないと思います。われわれの委員長は、決して何でもかんでも政府のペースによる日韓会談を無条件に促進するという立場ではございません。なおかつ、韓国にみずからもしくは代理人の派遣をしてもいいと言ったときにも、はっきりこういうことを言っておるわけです。もしこの行くことが日韓会談の促進に――正しい意味の懸案解決の促進に、並びに韓国の民主化へのプロセスのために適当であるというならば、あえて行くことを辞さないということを言っておるわけであります。そのときからわれわれは政府に対して、一括解決をやらないで、民意にささえられないような交渉だけやってみてもいけないではないか、民主化ということをわれわれは一括解決と同様に強く条件として申し入れておったわけであります。したがいまして、何も西尾委員長までがとかというような言葉で表現をするのは、御批評は別でありますが、正確にものを伝えるゆえんではないと思う。岡田さんは岡田さんの社会党の論点からいかに議論を発展されてもけっこうですけれども、こういうところでそういうやりとりにならないように、そこはもう少し岡田さん自身も考慮を加えられた上に、ひとつはっきり論陣を進めていただきたいと思います。
#8
○国務大臣(大平正芳君) 私がこれから申し上げますことは、池田・西尾会談とは関係ございませんで、私の心境ということでお聞き取りいただきたいと思うのでございますが、私はこう考えておるのです。日韓の間が正常化されていない、いろんな懸案があるということは事実でございます。したがって、これをどう切り開いていくか、道を直くしていくにはどう工夫をしたらいいかということは、今日ただいまあるわけでございます。韓国の政情いかんにかかわらず、あるわけでございます。しかし、そういうことをいつも頭に置いて苦心して参るのが私は外務大臣の役目だと思うのです。したがって、皆さんがおっしゃるように、交渉を停止するとか中断をするとかいうようなことをしても、問題があるわけでございますから、その問題についてどう解決したらいいかということを私は日夜考える立場にあると思うのでございます。
 それから第二点として、現在私どもは予備交渉という店を開いております。そして皆さんのおっしゃる意味は、もう予備交渉なんという場面を持たぬでもいいじゃないか、この段階だから持たぬでもいいじゃないかという御議論であろうと思うのでございますが、私はそういうことには賛成できないのでございまして、せっかく両方がこのむずかしい懸案解決の場として、話し合いの場として予備交渉を持っておるのでございまして、先方がこれはごめんをこうむるということになれば、これはひとり相撲できませんが、しかし、先方が話し合いましょうという態度をとっているときに、こういうわれわれの宿命的な懸案について話し合いをする場を持ってなぜ悪いだろうか、こう私は思うのです。したがって、いろいろその現実の予備交渉が実質的に進むかどうかという評価は別といたしまして、先方から建設的な御提案がございますれば、それを受けて話し合うということは、ちっとも私は差しつかえないことだと思うのでございますし、むしろそれは私どもの任務であろうと思うのでございます。
 それから第三点として、政治会談云云の問題でございますが、今の段階で政治会談はもうやらぬぞということをなぜ日本から言う必要があるか、先方がやりたいという希望を持ってきた場合に、その内容、御提案を吟味いたしまして、その時点で私は考えるべきものだと思うのでございまして、あらかじめ日本側からそういう通告をするという私は必要はないと思っております。
#9
○岡田宗司君 その質問したことに対してはお答えにならないで、別のことをお答えになったと私は思うのです。私は、日本の国民の世論が、今韓国の政情がああいうふうになった、それでどうも今日韓会談を進めるのは適当じゃないじゃないかというふうにだんだん変わってきておる、その現われとして西尾委員長もああいう申し入れをしたことと申し上げた。そして一体日本の国民の世論がそういうふうに変わったのに、政府はその世論をどう考えておるのかということが一つ。それから、その世論が日韓会談を進めることを適当じゃないのじゃないかというのに対して、こういう世論を政府は無視して、そういう世論を考慮しないで今のように進められるのかどうか、それをお伺いしたのでございます。その国民世論が、韓国の政情がああいうふうになったために変わってきたかどうかという点について、外務大臣がどう認識されておるか、それをお伺いしたい。
#10
○国務大臣(大平正芳君) 韓国のただいまの政情というものをどう受け取るかということについて、世論がどのような反応を示しておるかということにつきましては、私どもも注意を怠らず勉強いたしておるわけでございます。私どもといたしましては、この政情は、たびたび申し上げておりますとおり、軍政から民政への移管の過程で起こった現象であるというように見ておるわけでございますが、国民も、軍政から民政に衣がえを始めておるその間に起こった動揺であるというように大方の方々は見ておるに違いないと判断しておるわけでございます。そのことと日韓交渉とが直ちに私は結びつくとは思っていないのでございます。日韓の閥には、そのことにかかわらず、懸案が依然としてあるわけでございまして、両国のために、そして両国民が納得いくような解決方式はないものかということを絶えず私どもとして注意し、かつ、その仕事に腐心をしておるということは、私は世論も了解していただけるものと思っておるのです。
#11
○岡田宗司君 まあ世論の動きについて、あなたは政府が考えておるように、単に民政移管への苦悶であるとか、あるいは民主化への陣痛であるとかというふうに考えておるのだというふうに外務大臣は認識されておるようでありますけれども、昨日の朴議長の演説、あれなどに伝えられてきておるわけであります。それらを見ますというと、とにかく全面的にとは申しませんけれども、軍政がうまくいかなかったのだ、それで民政に移管するから、ひとつよろしくやってくれ、こういうことで、軍政が失敗だったというれとを認めておる。そうすると、軍政がスムーズに行って、そうして、そのもとに民政移管される場合に起こる単なる技術的な多少の摩擦とか、あるいは波紋とか、あるいは困離とかという問題ではなくて、もう韓国の政治自身の今までのいき方にみずから失敗であったということを表明しておるということを国民がどう受け取るかと考えるならば、それはやはりあれじゃあだめじゃないかということだと思います。だから、私はだいぶん国民の韓国の政情に対する認識というものは、政府が今考えておられるのとは違うように思うわけであります。
 それから、政府が今、それにもかかわらず進めておるということについて、国民は理解をしておるのだというふうにおっしゃっておりますけれども、理解をしておるどころじゃない。何のためにこんな状態のもとでも急いでおるのだろうかという、むしろ疑問を私は持ちつつあると思うのであります。たびたび引き合いに出して恐縮ですが、西尾さんの意見も、国民の世論の動向ということをやはり考慮に入れて申し入れられたものと思う、私は。それは一つの例として申し上げる。また、新聞なんかに政治評論家なり何なりが署名でもって書いておるものの中にも、そういう見解がかなり現われてきておるということは、これは国民の間に、今政府が日韓会談を積極的に進めるという態度をとっており、しばしば首相なり外務大臣が言われておるようなことは適当でない、こういう考え方に変わってきておるからだと思う。私は、民主主義の国におきましては、やはり外交を進めていく上においては、国民の世論の動向ということをやはり十分に考えて、それを背景にして行なわれなければならぬと思うのであります。国民の世論が政府の行き方に強く反対する、あるいは疑惑を持つというような場合には、その疑惑を解くなり何なりしてから進めていくのが当然で、それはほっかむりをして聞かないで、そうしてどんどん進めていくということになりますれば、これは決していい結果は私は生まれないと思うのであります。それで私は、国民世論というものに政府はもっと敏感で、そしてそれの動向というものをもっとよく見てやってもらいたいという意味で今の御質問を申し上げたわけでございます。
 それで、まあそれはそれといたしまして、今、外務大臣の言われたところによると、向こうのほうから会談打ち切りと言って来ていない、予備折衝もあるいは政治会談も、向こうが行なうと言うならそれはやって何が悪いんだと、まあこういうお話であったのであります。ところが、向こうも表向き自分の国の政情がこうだからこれはやめましょうとは言っておりません。けれども、二十八日に行なわれる予定だった第二十九回の予備折衝は、韓国側の都合で来週に延期された。その前にもまた延期されておるわけであります。韓国の代表団でも、やはり本国の政情の動きから、はたして進めていいものかどうか迷っておるだろうと思う。そういうような状況で、この予備折衝さえずるずるおくれていくということは、もうこれは客観的な事実で、私は外務大臣といえども否定できない事実だろうと思うのであります。なお、政治会談につきましては、朴政権が安定しておると、そして強固であると政府が思って、金鍾泌氏とあなたと会談をして、いわゆる請求権問題で合意に達したと思うのでありますが、その朴政権が非常に不安な状態、不安定な状態に陥り、そして金鍾泌氏がついに失脚をするような状況になったわけであります。そういうふうな流動する今の政権のもとにおいて、政府の意向をはっきり代表して、そして日本と政治折衝をやるような人が来るとも思われませんし、また、そういう状態にもないと思うのであります。そうすると、事実上政治折衝も行なわれないような状況になろうと思うのでありますが、まあそういう事実――私はあなたの今ここでもろてやろうという主観はわかったんでありますけれども、客観的な事実として、向こうさんの家庭の事情でどうもずるずる延びるんだということはお認めになるかどうか、その点はいかがですか。
#12
○国務大臣(大平正芳君) 私どもは交渉の場を持っているわけでございまして、先方のほうで建設的な御提案があればいつでも討議するという態度をとっておるわけでございます。で、先方が、岡田さんのおっしゃるように、はたして建設的な御提案が今できる段階であるかどうかということにつきましてそれぞれの評価はあろうと思いますが、私のほうから私の立場で、こういうことでございましょうということは、どうも申し上げる立場にないと私は思います。
#13
○岡田宗司君 しかし、予備折衝も何回か延びておる。もしああいうような政変がなければ続けられておったのだが、しかし、今の予備折衝も、向こう側の家庭の事情で延びておるという事実はお認めになりますか。
#14
○国務大臣(大平正芳君) 予備折衝では、両方で相談し合いまして、そのときどきの御都合で延期する場合もあり得ると思います。
#15
○岡田宗司君 まあ現実に向こうから延ばしてくれと申し入れがあって延びているんですから、これは外務大臣といえども、この延びてるという事実は認めなきゃならぬと思うのであります。
 しかし、まあそれはそれといたしまして……。
#16
○森元治郎君 岡田委員の質問に関連して。建設的御提案があればお会いして話もしようという、きわめてまあ受け身なわけですね。そこでしからば、まだまだ問題はたくさんあります。魚とか法的地位もある。民政移管までは時間があるから、こちらからどうだ促進しようじゃないかという、そういうふうな会議の持っていき方をやる御準備はありますか。
#17
○国務大臣(大平正芳君) 各懸案について一応わがほうの考え方はお示ししてあるわけでございまして、先方がそれに対してどう対処されるか、いろいろ考慮されていることと思います。
#18
○森元治郎君 こっちから、日本政府から、ひとつ代表部あるいは代表の方に向かって、会談やろうじゃないか。まだ時間があるじゃないか。あなたまだやめると言って来ていない。これに対して、そういうふうに、こちらから申し入れるかどうか。交渉をやろうじゃないか。こちらから申し入れる確たるおつもりがあるのかどうか。軍事政権が残務整理で今忙しくて取り込んでいるだろうと思うが、それでもかまわない、僕と今下野している金君と話ができたんだ、あとやろうじゃないか。御熱意があるならばやるべきはずだが、おやりになるかどうか。それを聞いているんです。
#19
○国務大臣(大平正芳君) それは予備折衝が引き続き続けられているところで御判断願いたいと思います。
#20
○岡田宗司君 それはそれとしまして、次に、やはり総理大臣の私の質問に対する答弁のうちで、こういう点があります。私は、その韓国の経済情勢が非常に悪い、そうしてまあ崩壊一歩手前だ、だからして政権も動揺するんだし、その原因が取り除かれないうちは政権の安定はあり得ない、だから、こういう政権と今交渉をすることは適当でないということを申し上げたのであります。その経済情勢の悪いことについて、私は若干の例をあげて御質問申し上げたのですが、総理は、たいへん韓国の経済の悪化したことに同情を示されまして、そうして民間商業べースですか、韓国の経済危機の克服に援助したいということをはっきり言われたのであります。総理大臣が本会議の席上でそういうことを言われるということは、やはりそれ相応の構想をお持ちになって言われていると思うんです。ところが、けさの朝日新聞を見ますというと、首相の答弁に対して、外務省の見解として、対韓民間協力は困難であるという見出しのもとに、「請求権の合意が前提」であると書いてあるわけでございます。で、「外務省でもこうした事情を考慮して、現段階では韓国の民間経済協力はむつかしいと判断しているわけである。」云々と言っているのでありますが、まあ首相がああいうふうに答弁された以上は、やはり何か構想をお持ちになっているんでございましょうが、この会談の責任者であるあなたもそれを知らぬはずもないと思うのでありますが、ひとつ、その韓国経済危機のために首相はいかなる構想を持って韓国経済に対して援助を与えようとしているのかという点をまずお伺いしておきます。
#21
○国務大臣(大平正芳君) 隣国の国民が経済困難に遭遇しておるという場合に、日本としてできることならば援助をして差し上げるという気持を総理大臣は持っておられます。それで、それは先年中共が飢饉のときも、こちらから赤十字社を通じて申し込んだこともございましたが、それは先方が受け入れられなかったのでございまして、何か工夫がないものかということは、私どもにもお話がございます。そういう気持を持たれておることは事実でございます。一方、外務省が、それは請求権問題が合意に達しなければむずかしかろうというような判断をされたように新聞は書いてございますけれども、そういうことを私は指示した覚えはないのでございまして、問題は、その経済援助をする場合に、総理はきのう、何でもコマーシャル・ベースでということでございました。隣国の一時の困難に対しまして日本がコマーシャル・ベースで援助して協力しておるということは、現にすでにやっておることでございまして、いろいろな形で、貿易に対する延べ払いその他でやっておることでございまして、そういう既存のやり方、方式で、できればそういう工夫もしてみたいという気持のようでございまして、経済協力の協定によっての援助というようにあるいは外務省の一部の諸君が受け取ったのかもしれませんけれども、そういうことについてはないようでございます。
#22
○岡田宗司君 ただいまのお話を承っておりますというと、請求権の問題の解決とは関係がないことである、それで自分はそういうことを指示した覚えはないと、こう言われておるのです。そうすると、首相の韓国の経済に対する援助というようなものは、今の経済困難に対して、この問題とは別に援助をするという建前のようでありますが、まず第一にお伺いしたいのは、一体韓国のほうから現在の経済危機に対して何か日本側に対してその交渉妥結前でも、会談の妥結前でも援助をしてくれということの申し入れがあったのかどうか、それをお伺いしたい。
#23
○国務大臣(大平正芳君) そういう申し入れはありません。
#24
○岡田宗司君 そうすると、日本側の好意で援助をするということになるわけですが、首相はコマーシャル・ベースでと言われておるのですが、今まで韓国との間にコマーシャル・ベースでいろいろな経済的な交渉があって、日本からそのことで物資の輸出も行なわれておったということは、これは今日の韓国の経済援助に対する特別な援助とはならないと思います。首相がここで答弁された意味は、私は特別な援助と解しておるわけでありますが、その特別な援助についての構想ということは、外務大臣はどういうふうにお考えになり、またそれが具体的にどういう形で行なわれるのかということをお聞きしたいと思います。
#25
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、韓国の経済は困難な状況にあるので何か工夫がないかという御相談は受けておるわけでございます。ただいままで日本が韓国に対して経済協力をいたしておりますのは、主として船舶であるとか、電気機械であるとか、通信機であるとか、そういう資本財の延べ払いという形で毎年相当額を供与いたしておるわけでございますが、今日の場合は、総理の考えられておることは、こういう資本財よりも、むしろ消費財の面で非常に不足した物資に対して信用を与えるということを頭に置かれておるのじゃないかと思います。何か工夫がないかという御相談を受けておることは事実であります。
#26
○岡田宗司君 私は、一番問題になるのは食糧の問題だろうと思うのですが、先ほど大平外務大臣は、中国が凶作で困っておる、そこで日本から中国に対する援助――これは食糧でありますが、それを送るということを申し入れたが拒否されたと、こういうことであったんでありますが、今回も消費財、特に食糧について何か供給するということを考えておられるのかどうか、それが第一点。
 それから、これはもう全然交渉と別問題であるというふうに言われておるわけでありますけれども、どうも今日本と韓国との間にずっと折衝が行なわれておる際に、それはいろいろ大きな懸案もある。それを向こう側では、その会談の行なわれておる最中にも、なおかつ日本の漁船をどんどんつかまえて、そして乗組員を抑留するというような態度をとっておるわけでありますがね、これらを考えてみますというと、首相が、民間ベースにせよ何にせよ、あるいは政府が食料品を韓国に、無償か有償か知りませんけれども、延べ払いかもしれませんけれども、供与するということについては、これはどうも私ども納得のいかない問題があるのでありますが、それらの点について一体どういうふうにお考えになっているのですか。
#27
○国務大臣(大平正芳君) 第一の点は、消費財を考えられておるのじゃないかと思うのでございまして、韓国の経済状況を見ましてその要否、やるとすればどういう方法においてやるか、それは私どもは工夫してみなければならぬ問題だと思います。
 それから第二点は、これは李ラインの拿捕問題等との関連において国民感情が許さぬのじゃないかというようなことでございますが、まあ人道的な立場から考えましても、両国の関係から考えましても、もし可能であれば、そういうことを考えて私は差しつかえないと思います。
#28
○森元治郎君 今のに関連して。大臣、きのう唐突としてコマーシャル・ベースで経済援助するということを総理が言われたのは、 コマーシャル・ベースで救われるような相手じゃないですね。しかも、コマーシャルというのは、もうけを若干こちらも見、損はしないという援助、そういうような援助でできる援助でないのが韓国の現実の事態だと思う。そこで伺いたいのは、これは私は、事実上交渉がだめだということを認めた上でのてれ隠しの方針の転換だと思うのですが、どうですか。日韓交渉にっちもさっちもいかない、国民からたたかれる、党からは突っつかれる、足を引っぱられる。そこでそういうふうに方針の転換をして、今度は経済援助でつなごうと、こういうふうにだれが見ても考えられるのだが、大臣どうですか。つなぎ対策ですよ。
#29
○国務大臣(大平正芳君) とんでもないことでございまして、そういうような低劣な気持は毛頭持っておりません。
#30
○羽生三七君 簡単に一つお伺いしますが、政府の立場で、急に中止するとかなんとかいうことを簡単に言えない事情は、それはよくわかりますが、しかし、先ほど岡田君も触れたように、朴議長自身が軍事政権の失敗を認めて、一種の自己反省というものを公然とやっておるような状況の中で、あえて急いでやる必要は全然ないわけであります。それじゃ韓国の政情が安定したら社会党は賛成するかというと、そのときになっても社会党は反対しますから、それはしばらく見送ればそれでよろしいのだという議論じゃないのですが、そこで、どういうことでしょうか、今の朴議長の軍事政権下で、たとえば日本では今度の通常国会には出てきっこないですが、そうするとずっと先へ行きますね。そうするというと、一応の地ならしを日本の政府と朴議長との間で、現政権との間でやって、それで結局正式な批准というものは民政移管後、こういう手順になるわけですか。その場合、かりにそうなれば、その場合に一体、これは先ほど曾祢委員が触れられた懸案の一括解決とか、あるいは最近出てきている請求権の問題についてのいろいろな新しい要求、これは具体的なことは知りませんが、そういう情報もあるから、そういうことになってきて、一体民政移管後にも、たとえば朴政権からできたものがそのまま韓国の国会に提案になるという条件があるのかないのか。そういう中でどうして日本があえて急がなければならないかという事情が、私にはどうしてもわからない。ですから、手続的に考えてみて、通常国会後のしかるべき時期に、日本ではそれじゃ政府の構想としてはまとめる、韓国は八月ごろ民政に移管するとすれば、民政移管後に韓国としては批准国会でやるのか、その間の事情は全然わかりません。朴政権下で何もかも片づけるのか。民政移管後に片づけるなら、むしろこんな無理なことをしないほうが――朴さんのところでやったほうが問題が簡単だという判断の上ならば、これは別ですが、そうでなしに、まじめにものを考えていく場合には、どうしても今のやり方は非常に無理がある。だから、もっとすなおに情勢の変化に対応する柔軟性のある取り運びというものができないものかどうか。社会党がそうなったら賛成するということが言えないから、この議論はまことに迫力の薄いものになるけれども、(笑声)事実問題としては私はそうだと思うのです。そういう手続上の具体的な根拠が全然欠けておる。無理に急がんならんという条件は全然ないし、そういうことをしても、しかも、それは成功する可能性というものはほとんどない。こういう条件のもとでどういう御判断をなすっておるのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
#31
○国務大臣(大平正芳君) たいへん恐縮でございますが、羽生先生の御認識の前提に、非常に政府が無理をして急いでおるように受け取っておられる。私どもは全然急いだ覚えもないし、無理もいたしておりません。当然のことを当然の仕事としてやっておるのでございまして、無理にいついつまでにこれは何としても妥結に持っていかなければいかぬというほどの簡単な案件じゃないのです。問題は非常にむずかしい問題なんで、これはしんぼう強くほぐしていかなければならない問題でございますので、私は岡田先生にもお答えいたしましたように、韓国の政情いかんにかかわらず、こういう問題はあるのだから、こういう問題を検討いたし、究明してどういう解決の方式を見出すかということを、私は私の仕事としてやらなければいかぬことでございますと、こう申し上げているわけでございます。そういう仕事は現在も続けておるわけでございまして、また、今後も続けていかなければならない問題だと思うのでございます。そして問題は、それじゃ韓国の政情がどうこれを受け取るかという問題になってくるわけでございますが、私はこう考えておるのです。韓国の群小の政党が形成されて、民主化の過程で政党活動が許されてくる。そうするといたしますと、韓国にとっての重要懸案である日韓の問題について、各政党がみずからの綱領に、日韓の関係についてその態度、身がまえというものを表明してくるだろうと思うのでございます。そうしてそれをどう組織して対日交渉に当たるかということは韓国の問題でございまして、私からこういう手順でこうなるというようなことを申し上げるのは、韓国の民意を私が踏みにじることになるのでございます。そういうことは韓国のほうできめていく問題だろうと思います。しかし、私どもは前提にも申し上げましたように、韓国の政情がいかにあれ、日韓の間の懸案解決を究明して正常化への道をならしていく努力というものは、どの瞬間も忘れてはならないということで進んでおるわけでございますし、そういう手順をそういう交渉の場を持って鋭意やっているわけでございまして、この態度は私はちっとも変える必要はないと考えております。
#32
○羽生三七君 その場合に、予備折衝のいい悪いということは別として、予備交渉から本妥結に朴政権下でかりに――なかなかそんなことはできっこないと思いますが、かりにできたという場合には、それが民政移管のときにそのまま、つまり、何というか、持ち越し事項となって、それで新しくできる民政のその組織された政府が具体的な検討をして、そこで確定案というものになるのか、その辺はどうなんですか。それは政治的なあれとは何にも関係ありませんから、純然たる手続上の問題ですから……。
#33
○国務大臣(大平正芳君) 先方の民意を組織いたしまして対日交渉に当たる、そうしてそれが私どもが期待いたしておるように、日本国民も了解できるリーゾナブルなものであれば、私はけっこうだと思うのです。そうして、そのように先方が建設的な態度を固めて、リーゾナブルな提案をして、日本との間に妥結という空気ができてくるならば、政治的に一番これはスムーズな方法で、当然これは韓国民にささえられた日韓の妥結になると思うのでございまして、今から韓国の政情がどういうふうに動きますか私にはわかりませんけれども、しかし、政党活動において世論が組織化されてくるということは、私は非常にけっこうなことだと思っております。
#34
○曾祢益君 外務大臣の岡田、森委員に対する御答弁を聞いていると、いかにも自信がないという感じを受けたのですが、これはある意味では、岡田委員あたりがいわゆる決裂というか、中断というか、大上段からかまえておられるので、なかなか政府のほうとしては店を閉じると言うことはつらいというところから、非常に逃げ回っておったような感じがするのですが、今羽生委員の御質問に対する外務大臣のお答えを伺っておると、店を閉じるわけにはいかぬ、外務省なんですから。交渉すると言ったときに私はお断わりということはできぬ。だがしかし、やはり外務大臣の話を今伺っておると、内政干渉でないけれども、韓国の各政党が民論、世論を組織し、いわば受け入れ態勢、簡単に言えば、民政移管後の受け入れ態勢ということをきめ、しかも、その上に立って民意に即していわゆる合理的な内容、つまり一括解決、受け入れ態勢と一括解決ということができるのを実は期待しておる。だから、それをやはり一つの目標に置いて、そうして政治的にはしばらく事態を見る、そういうことなんじゃないですか。つまり、われわれの申し上げておることが、一番それこそ合理的、妥当なのであって、店を閉じろと言ったって、それは外交折衝の店を閉じることは、これは少し穏当を欠くという点もあろうし、かといって、総理大臣が言われたかどうか知らんけれども、一体コマーシャル・ベースによる援助とは何です。コマーシャル・ベースによるものは援助じゃない。延べ払いにしたって、こっちも得でコマーシャル・ベースに乗るから援助をやるのであって、そんなカムフラージュをやっておるとは思いませんけれども、そんな取りつくろいじゃなくて、本格的な経済援助は国交調整の後になるということは、これは議論の余地がない。したがって、今の外務大臣の羽生委員に対するお答えを伺っておると、なかなか実は相当いい線に来ているのじゃないかという感じがする。はっきり言えないところに立場があると思うのです。そういうところにあるのじゃないですか。急いでやることはいかんですよ、どう考えても。これはどうなんです。
#35
○国務大臣(大平正芳君) 取り急いでやっておるつもりは毛頭ないのです。私どもの任務としてそういうことを、当然やるべき仕事をじみちにやっておるわけでございます。
#36
○曾祢益君 一つだけ綿製品の問題で伺いたいのですけれども、大体どういう見通しを持っておられるか。やはり二国間の話し合いで相当妥結の可能性を認められておるのかどうか。これについてのお考えを伺いたいし、それに関連いたしまして、アメリカは、こういう問題については政府も労使もいわば一体ではないかと思うのです。だから、私ども考えまするのに、そういう政府、労使一体の日本品に対する壁を突き破るために、政府のほうとしてもお考えだろうと思いますけれども、これは労働組合は労働組合で自主的な判断をされるだろうと思いますけれども、繊維関係の労働組合のほうにも、むしろ政府のほうから我を曲げてといいますか、自主性の上に立ち、なおかつ、日本の労働者の雇用等のために、ひとつ場合によっては向こうに乗り込んで、向こうの労働組合に話してくれというようなとこを要請して、やはりこういう点においては一種の国民戦線といいますか、政府も労働組合も一体となるということを、政府みずからのイニシアチブで要請するようなお考えがあるか。私は、組合がどう受けられるかは別ですけれども、為政者としては、外交当局としては、そういうことを考えられてしかるべきじゃないかと思うので、そういう点も合わせて御意見を伺いたいと思います。
#37
○国務大臣(大平正芳君) 綿製品問題の現時点はこうなっておるのです。御承知のように、一月一日から新綿製品の長期協定が日米間に発効いたしまして、それで先方からの御提案がございました。これはここではっきりしておかなければならぬのは、綿製品長期協定に基づいて第一年度になるということでございますので、したがって、長期協定の解釈ということ自体、アメリカ側と日本側と相当見解の相違がございます。それで、今日までその点は十分反論をいたしまして、先方との意見調整をやって参ったのでございますけれども、まだ長期協定の解釈で帰一してない点がございます。それぞれの言い分があるわけでございます。それから、アメリカ側の提案というもの、これを長い間かかって吟味したのでございますが、六十四品目に分類されておりますし、その分類の仕方につきましても、また、そのうちの規制品目四十品目について、アメリカ側が考えておる規制品目の規制レベルの算出の仕方そのことにも、われわれのほうにふに落ちないことがいろいろあるわけでございます。まず第一の問題は、長期協定の解釈と、その積み上げられた数字の積算根拠というものについて日米間にどういう開きがあるのか。はっきりこういう開きがあるというものと、それから、非常にこれはアンビギュアスだというか、そういうものもあるわけでございます。ようやく私どもは、こういうことではなかろうかというようなところまで来ましたので、けさ経済閣僚懇談会をお開きいただきまして、今日までの経過を御報告し、かつ、米側提案なるものを日本のめがねで見たら一体どういうものになるのか、そうして日本側との意見の扞格というものはどういうものであるかということをきょう御披露いたしたのであります。それが今日までの経過でございます。しかし、もうすでに内外に宣明しておりますように、私どもはあくまでも二国間交渉で円満な解決をはかりたいと思っております。先方もその意思を持っておられます。そこで、これから関係各省の間で十分に対案を練りまして、今まで私どもが確認をいたしました根拠に立って、どういう打開の方針で臨むべきか、今から政府部内で相談をしようという段階でございまして、せっかく労働組合方面のバック・アップ等についても示唆されましたが、当面二国間の政府間でひとつ最善の努力をして参りたいという考えでおります。
#38
○岡田宗司君 今の点についてお伺いしたいと思いまするが、アメリカ側と日本側との解釈の食い違いというものがありますが、そういうことについてはきょうここでお伺いいたしませんが、何かそれらの点について食い違いがどういう点にあるか、それから、日本側の解釈はどういうことかということについての資料をひとつ出していただきたい。
 それからもう一つは、長期協定の問題は対日本だけの問題ではない。これは他の綿製品をアメリカに輸出する国とも関係のあることである。一体他の国はこのアメリカの態度に対してどういう態度をとっているか。また、それらの国々はどういう態度で交渉しているか。そのことについて資料がありましたら、ひとつ出していただきたいと思います。
 それから第三は、これは質問なんですが、他の国々がアメリカに対して、日本と同じように、この協定は承服できない、アメリカ側の案は承服できないということで交渉をする場合に、日本は共同戦線を張っていくのかどうかということです。そこをお伺いしたいと思います。
#39
○国務大臣(大平正芳君) 二つの資料要求でございますが、御要望に応じたいと思いますが、今ちょうど二国間で微妙な交渉段階にございますので、客観的な資料ではございますが、国会等にお出しして御論議いただくということは、日本側の態度としてちょっと気にかかることもございますので、岡田委員の御要求の点につきましては、とくと政府側で相談させていただきたいと思います。
 それから、第三国との関係でございますが、御案内のように、私どもは、あくまで二国間で円満な妥結をはかりたいということでございますけれども、これはあくまで長期協定に根ざして、根拠を置いてやるわけでございますので、ガットの理事会あるいは綿業委員会に付議し、その議題にすることあるべしということは一応通告をいたしておるわけでございますが、この間二月十九日に青木大使がガット理事会に一応インフォームをしたわけでございます。その場合の空気としては、日本側の言い分に対して相当各国とも同情的でありましたし、それから、この問題について過去日本がやりました態度については、西欧側も相当高く評価しておるわけでございます。したがって、綿製品協定第一年度でございますので、私どもは、今まで日本がかち得た信用というものをくずすようなことがあっちゃいかぬと思うわけでございまして、そこは第三国の良識にこたえる意味でも、筋の通った態度をもって処置せにゃならぬという考えをいつも堅持いたしまして臨んでおるわけでございます。
#40
○杉原荒太君 一言だけ外務大臣にお尋ねいたします。日韓交渉の問題について、今この国会でも、外務大臣の発言に対しては内外で注目しておると思います。そこで言葉の端にしましても、その影響するところを考えなければならぬだろう。先ほど外務大臣が特に断わって、別に急いでおるわけじゃないということを申されました。これは、おそらく外務大臣は平明な意味で言われたと思うのでありますが、日本語で急いでおるわけじゃないという言葉は、取りようによっていろいろあり得ると思う。外務大臣は、私の想像では、交渉内容を合理的かつ実際的ならしむるという点を無理に曲げてまであせってやる意味じゃないんだ、依然として真剣に誠意を持ってやっていくんだという意味じゃないかと想像するが、その点を念のために私お尋ねします。
#41
○国務大臣(大平正芳君) 非常に無理をしておるじゃないか、非常にあせっておるじゃないかというようなことでのおとがめでございますので、そう急いでおるわけじゃございません。その私の含意する内容は、今杉原先生がおっしゃったとおりの気持でおります。
#42
○岡田宗司君 ちょっと資料の要求で、それは韓国の政情不安というのは、やはり日韓会談の前途に関係がある。その政情不安のもとになっております韓国の経済情勢について、外務省で調べたものがありましたらお出し願いたい。これはちゃんと印刷でできているはずだと思う。それが一つ。
 それから、韓国の韓国銀行ですね、中央銀行でもっていろいろな韓国の経済情勢について出ておるわけです。日本にも来ているのですね。これはお出しにならぬというわけにはいかぬと思うので、その韓国銀行の出しておる最近の経済情勢、つまり、一九六一年のは確定したのがある。六二年についても月報等で出ておるものがある。それをひとつまとめて私どもにお示し願いたい。それが一つ。
 それから、これから民政移管ということになって参りますというと、韓国の各政党の日韓問題に対する態度というものがやはり交渉の上にいろいろ影響をしてくると思うので、これも何も秘密な情報を発表せよと言うのじゃございません。韓国の新聞はこちらでもおとりになっているし、ラジオも聞いておるだろうと思うのであります。それらに現われました――韓国の全部の政党とは申し上げませんが、三大政党くらいの日韓問題に対するいろいろな見解がもうすでに出ておるわけでありますから、それらについて資料を提出していただきたい、こう思います。
  ―――――――――――――
#43
○理事(井上清一君) 次に、国際連合の特権及び免除に関する条約の締結について承認を求めるの件、専門機関の特権及び免除に関する条約の締結について承認を求めるの件、国際原子力機関の特権及び免除に関する協定の締結について承認を求めるの件、国際地震工学研修所を設立するための国際連合特別基金の援助に関する日本国政府と特別基金との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。
  〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○理事(井上清一君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#45
○理事(井上清一君) 速記を始めて。
 ほかに御質疑はございませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
なければ、四件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○理事(井上清一君) 御異議ないと認めます。
 これより、討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○理事(井上清一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。国際連合の特権及び免除に関する条約の締結について承認を求めるの件、専門機関の特権及び免除に関する条約の締結について承認を求めるの件、国際原子力機関の特権及び免除に関する協定の締結について承認を求めるの件、国際地震工学研修所を設立するための国際連合特別基金の援助に関する日本国政府と特別基金との間の協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。以上四件を承認することに賛成の方の挙手をお願いいたします。
  〔賛成者挙手〕
#48
○理事(井上清一君) 全会一致でございます。よって四件は、全会一致をもって、承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○理事(井上清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、この程度にて散会いたします。午前十一時五十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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